(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150074
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】停電損害算出装置、停電損害算出装置用コンピュータプログラム、および停電損害算出方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20241016BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063306
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】小原 玲子
(72)【発明者】
【氏名】中田 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】堺 紀夫
(72)【発明者】
【氏名】當房 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】廣政 勝利
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】
停電により発生する損失にかかる損害コストを可視化することができる停電損害算出装置を提供する。
【解決手段】
停電損害算出装置1は、需要家の種類および停電により需要家に発生する被害の種別を示す情報である需要家被害データ301に基づき、停電により受ける被害の種別を示す停電被害カテゴリを選択する停電被害カテゴリ選択部201と、停電被害カテゴリ選択部201により選択された停電被害カテゴリにかかる被害の種別ごとに記憶された、標準となるコストと、入力された、停電の発生の態様を示す情報である停電態様情報と、停電が発生した場合に需要家が受ける被害の態様を示す情報である被害態様情報と、に基づき、需要家の種別に対応した、停電により発生する損害にかかる金額である損害コストCを算出する損害コスト算出部202と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
需要家の種類および停電により前記需要家に発生する被害の種別を示す情報である需要家被害データに基づき、停電により受ける被害の種別を示す停電被害カテゴリを選択する停電被害カテゴリ選択部と、
前記停電被害カテゴリ選択部により選択された前記停電被害カテゴリにかかる前記被害の種別ごとに記憶された、標準となるコストと、
入力された、停電の発生の態様および停電による被害の態様を示す情報である停電被害態様情報に基づき、
前記需要家の種別に対応した、停電により発生する損害にかかる金額である損害コストを算出する損害コスト算出部と、
を有する停電損害算出装置。
【請求項2】
前記損害コスト算出部は、前記停電被害態様情報に基づき、重み付け係数を選択し、
選択した前記重み付け係数に基づき、前記損害コストを算出する、
請求項1に記載の停電損害算出装置。
【請求項3】
前記損害コスト算出部は、前記停電被害カテゴリ選択部により選択された前記停電被害カテゴリに基づき、停電により発生する損害にかかる金額である、前記被害の種別ごとの前記損害コストを算出する、
請求項1に記載の停電損害算出装置。
【請求項4】
前記損害コスト算出部により算出された、前記被害の種別ごとの前記損害コストのうち、予め定められた金額以上となる前記被害の種別を示す、
請求項3に記載の停電損害算出装置。
【請求項5】
前記損害コスト算出部により算出された前記損害コストの大きさの順に、前記被害の種別を示す、
請求項3に記載の停電損害算出装置。
【請求項6】
前記損害コスト算出部は、前記停電被害態様情報にかかる停電規模、被害規模のうち少なくとも一方の大きさを変動させた場合における、複数の前記損害コストを算出し、
前記損害コスト算出部により算出された、複数の前記損害コストを対比して示す、
請求項1に記載の停電損害算出装置。
【請求項7】
停電による被害を軽減または防止する停電対策に関するコストである対策コストを算出する対策コスト算出部と、
停電により発生する損害にかかる金額である前記損害コストと前記対策コスト算出部により算出された前記対策コストを対比し、前記停電対策の評価を行うコスト評価部と、
を有する請求項1に記載の停電損害算出装置。
【請求項8】
前記損害コスト算出部は、
入力された需要家による電力の使用態様を示す情報に基づき、
記憶された、停電により受ける損害の単位あたりの基準となるコストから、
需要家による電力の前記使用態様に対応した、前記基準となるコストを選択し、前記標準となるコストに含め、
停電により発生する損害にかかる金額である前記損害コストを算出する、
請求項1に記載の停電損害算出装置。
【請求項9】
コンピュータに、
需要家の種類および停電により前記需要家に発生する被害の種別を示す情報である需要家被害データに基づき、停電により受ける被害の種別を示す停電被害カテゴリを選択する停電被害カテゴリ選択ステップと、
前記停電被害カテゴリ選択ステップにより選択された前記停電被害カテゴリにかかる前記被害の種別ごとに記憶された、標準となるコストと、
入力された、停電の発生の態様および停電による被害の態様を示す情報である停電被害態様情報に基づき、
前記需要家の種別に対応した、停電により発生する損害にかかる金額である損害コストを算出する損害コスト算出ステップと、
を実行させる停電損害算出装置用コンピュータプログラム。
【請求項10】
需要家の種類および停電により前記需要家に発生する被害の種別を示す情報である需要家被害データに基づき、停電により受ける被害の種別を示す停電被害カテゴリを選択する停電被害カテゴリ選択手順と、
前記停電被害カテゴリ選択手順により選択された前記停電被害カテゴリにかかる前記被害の種別ごとに記憶された、標準となるコストと、
入力された、停電の発生の態様および停電による被害の態様を示す情報である停電被害態様情報に基づき、
前記需要家の種別に対応した、停電により発生する損害にかかる金額である損害コストを算出する損害コスト算出手順と、
を有する停電損害算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、電力系統の停電に起因して発生する損害に関するコストを算出評価する停電損害算出装置、停電損害算出装置用コンピュータプログラム、および停電損害算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配電系統における停電リスクにかかる損害賠償額を定量化するシステム等が知られている。また、災害発生時の上位系統における電力系統計画運用に関するシステム、電力機器システムの保全または設備点検に関する停電時間を短縮するためのシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-030649号公報
【特許文献2】特開2022-181964号公報
【特許文献3】特開2014-073062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今の電力自由化により太陽光や風力などの再生エネルギーの利用が促進されるとともに、移動手段として電気自動車が普及してきており、社会が利用するエネルギー形態のうち電力の重要性は一層高まりを見せている。一方、台風や地震などの自然災害、テロ行動やサイバー攻撃などの人為災害、機器老朽化等に起因する停電が多発しており、停電による影響への対応が喫緊の課題となっている。
【0005】
このような停電による影響への対応の効果を検証するためには、停電による影響が定量化または可視化されることが好ましい。従来、停電による影響は、供給が停止された電力量に換算され算出されていた。たとえば供給が停止された一事象発生時の総電力量(kWh)、1時間停電あたり電力量(kWh)などが損害額相当として算出されていた。このような算出方法による損害額は、事業者の設備計画立案等に用いられる。
【0006】
しかしながら、昨今、自然災害、人為災害等に対する事業者の対応およびその資金計画に対する社会の意識が高まってきており、停電に対する対策の導入による費用便益分析影響において便益の可視化の必要性が増している。
【0007】
電力の市場分離により電力価格が一般消費者を含む需要家にも身近なものとなり、停電に起因する損害に対し、電力供給者が責任をとる傾向にある。こうした損害を定量的に示すためには、電力供給が停止したことに起因する損害にかかる額(以降、「損害コスト」「停電コスト」と呼ぶ場合がある)を損害額とした算出が電力供給者と需要家の間の合意上適切な方法となる。このようにして、停電により発生する損失にかかるコストである損害コストの大きさを定量化し、可視化することが好ましい。
【0008】
一方、電力需要家は、停電により発生する損失にかかるコストである損害コストと、停電を回避することにより得られる価値(「停電回避便益」と呼ぶ場合がある)とを比較考量し、停電に対する対策の導入を行いたいと考える。このため、停電を回避することにより得られる価値である停電回避便益を定量化し、可視化することが好ましい。
【0009】
本実施形態は、停電により発生する損失にかかる損害コストを可視化することができる停電損害算出装置、停電損害算出装置用コンピュータプログラム、および停電損害算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態の停電損害算出装置は、次のような特徴を有する。
(1)需要家の種類、および停電により前記需要家に発生する被害の種別を示す情報である
需要家被害データに基づき、停電により受ける被害の種別を示す停電被害カテゴリを選択する停電被害カテゴリ選択部を有する。
(2)前記停電被害カテゴリ選択部により選択された前記停電被害カテゴリにかかる前記被害の種別ごとに記憶された、標準となるコストと、入力された、停電の発生の態様および停電による被害の態様を示す情報である停電被害態様情報に基づき、前記需要家の種別に対応した、停電により発生する損害にかかる金額である損害コストを算出する損害コスト算出部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成を示す図
【
図2】第1実施形態にかかる停電損害算出装置1の停電被害カテゴリを示す図
【
図3】第1実施形態にかかる停電損害算出装置1の停電態様情報の一例を示す図
【
図4】第1実施形態にかかる停電損害算出装置1の被害態様情報の一例を示す図
【
図5】第1実施形態にかかる停電損害算出装置1のプログラムフローを示す図
【
図6】第2実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成を示す図
【
図7】第2実施形態にかかる停電損害算出装置1の停電被害カテゴリ別データの一例を示す図
【
図8】第2実施形態にかかる停電損害算出装置1の損害コストデータを示す図
【
図9】第2実施形態にかかる停電損害算出装置1のプログラムフローを示す図
【
図10】第3実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成を示す図
【
図11】第3実施形態にかかる停電損害算出装置1の損害対比データを示す図
【
図12】第3実施形態にかかる停電損害算出装置1のプログラムフローを示す図
【
図13】第4実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成を示す図
【
図14】第4実施形態にかかる停電損害算出装置1のコスト評価データを示す図
【
図15】第4実施形態にかかる停電損害算出装置1のプログラムフローを示す図
【
図16】第5実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成を示す図
【
図17】第5実施形態にかかる停電損害算出装置1の使用態様情報の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
[1-1.構成]
図1を参照して本実施形態の一例として、停電損害算出装置1の構成について説明する。停電損害算出装置1は、コンピュータにより構成される。停電損害算出装置1は、停電により発生する損失にかかるコストである損害コストを算出し出力する。停電損害算出装置1は、電力需要家とのコミュニケーションをサポートするために用いられる。
【0013】
停電損害算出装置1は、入力部10、演算部20、記憶部30、出力部40を有する。
【0014】
入力部10は、ディスプレイ上に配置されたタッチスイッチ、キーボード、マウス等の操作装置、または受信回路、外部メモリ接続回路により構成される。入力部10は、演算部20に接続される。入力部10は、需要家種類入力部101、停電態様入力部102、被害態様入力部103を備える。
【0015】
需要家種類入力部101は、作業者により操作され、需要家の種類を示す需要家種類情報が入力される。需要家種類入力部101は、ディスプレイ上に配置されたタッチスイッチ、キーボード、マウス等が作業者により操作され、需要家の種類が選択されるものであってもよい。入力部10は、インターネット等による通信、または外部の記憶装置から情報が入力されるものであってもよい。需要家種類入力部101から入力された需要家種類情報は、演算部20の後述する停電被害カテゴリ選択部201に送信される。
【0016】
停電態様入力部102は、作業者により操作され、停電態様情報が入力される。停電態様情報は、発生地域、発生時期、発生頻度などの停電の特徴を示す情報である。停電態様情報の一例を
図3に示す。発生地域や発生時期は自由記載により入力されるようにしてもよいし、選択肢から選択して入力されるようにしてもよい。停電態様情報は、上記に限られず任意の停電の特徴を示す情報であってよい。
【0017】
停電態様入力部102に入力された停電態様情報は、停電による損害コストの算出に用いられる。停電態様入力部102に入力された停電態様情報は、演算部20の後述する損害コスト算出部202に送信される。
【0018】
被害態様入力部103は、作業者により操作され、被害態様情報が入力される。被害態様情報は、電力依存度、被害面積などの停電が発生した場合に受ける被害の特徴を示す情報である。被害態様情報の一例を
図4に示す。電力依存度や被害面積については数値により入力されるようにしてもよい。被害態様情報は、代替手段の有無、需要家数、地域などの情報を含むようにしてもよい。被害態様情報は、上記に限られず任意の被害の特徴を示す情報であってよい。
【0019】
被害態様入力部103に入力された被害態様情報は、停電による損害コストの算出に用いられる。被害態様入力部103に入力された被害態様情報は、演算部20の後述する損害コスト算出部202に送信される。
【0020】
記憶部30は、半導体メモリやハードディスクのような記憶媒体にて構成される。記憶部30は、演算部20に接続される。
【0021】
記憶部30は、需要家の種類、および停電により需要家に発生する被害の種別を示す情報である需要家被害データ301を予め記憶する。需要家被害データ301は、需要家の種類ごとに、想定される停電被害カテゴリが記録されたデータである。需要家被害データ301の一例を
図2に示す。
【0022】
需要家被害データ301は、需要家の種類により、一般産業系の産業需要家の業種、公共系の産業需要家の業種、一般需要家などに区分けされる。需要家被害データ301における需要家の種類は、金融機関、小売店、理容店などの業種、大規模産業、中小規模産業などの規模の大きさ、民間、公共、一般などにより分類されていてもよい。
【0023】
需要家被害データ301の停電被害カテゴリは、「売上阻害コスト」、「再起動コスト」、「データ損失コスト」などに区分けされる。需要家被害データ301の停電被害カテゴリは、「顧客資産への被害」、「エンドユーザへの被害」、「従業員への被害」、「周辺住民への被害」、「自然環境への被害」などを含み分類されていてもよい。停電被害カテゴリは、入力部10を介し、追加されるようにしてもよい。停電被害カテゴリは、上記に限られず任意の被害が記憶部30に設定され記憶されるようにしてもよい。
【0024】
また、需要家被害データ301は、停電被害カテゴリごとの需要家別標準停電コストSを記憶している。需要家別標準停電コストSは、停電被害カテゴリにかかる停電により受ける被害の種別ごとの、標準となるコストである。需要家別標準停電コストSは、標準時において1時間の停電があった場合の需要家ごとのコストである。標準時は、停電発生時のコスト算出の基準として選択された時刻である。例えば金融機関の需要家別標準停電コストSは、
図2に示すように、売上阻害コスト:Sa1円、再起動コスト:Sa2円、データ損失コスト:Sa3円などに区分けして記憶される。
【0025】
演算部20は、マイクロコンピュータの演算部等により構成される。演算部20は、演算部のソフトウェアモジュールにより構成されるものであってもよい。演算部20は、入力部10、記憶部30、出力部40に接続される。演算部20は、停電被害カテゴリ選択部201、損害コスト算出部202を備える。
【0026】
停電被害カテゴリ選択部201は、需要家種類入力部101から送信された需要家種類情報にかかる需要家の種類に応じ、停電被害カテゴリを選択する。停電被害カテゴリは、予め記憶部30に設定された需要家被害データ301に基づき選択される。
【0027】
停電被害カテゴリ選択部201において選択された停電被害カテゴリは、損害コスト算出部202に送信される。
【0028】
損害コスト算出部202は、停電態様入力部102から受信した停電態様情報と、被害態様入力部103から受信した被害態様情報に基づき、重み付け係数Fを選択する。重み付け係数Fは、停電態様情報にかかる停電の態様、被害態様情報にかかる被害の態様に応じ設定された数値であり、予め記憶部30に記憶される(図示せず)。重み付け係数Fは、停電の態様、被害の態様に応じたクロスマトリクスにより、停電被害カテゴリごとに記憶されたものであってもよい。損害コスト算出部202は、選択した重み付け係数Fと、停電被害カテゴリ選択部201により選択された停電被害カテゴリとに基づき、需要家の種別に対応した、停電により発生する損害にかかる金額である損害コストCを算出する。
【0029】
損害コストCは、停電により受ける停電被害により発生した停電損害にかかるコストである。損害コストCは、需要家別標準停電コストSに基づき算出される。需要家別標準停電コストSは、標準時において1時間の停電があった場合の需要家ごとのコストである。需要家別標準停電コストSにかかるデータは、需要家被害データ301に予め設定され記憶されている。
【0030】
損害コストCは、需要家別標準停電コストSが重み付け係数Fにより重み付けされることにより算出される。重み付け係数Fは、停電態様情報、被害態様情報に基づき予め定められる。標準時は、停電発生時のコスト算出の基準として選択された時刻であり、例えば春の17時など、任意に選択されたのでよい。
【0031】
損害コスト算出部202により算出された損害コストCは、出力部40に送信される。
【0032】
出力部40は、表示装置、プリンタ等の装置、または送信回路、外部メモリ接続回路により構成される。出力部40は、損害コスト算出部202により算出された損害コストCを損害コストデータとして、ディスプレイ表示、プリントアウト、または電子データにより出力する。
【0033】
以上が、本実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成である。
【0034】
[1-2.作用]
【0035】
次に、
図1~4に基づき本実施形態の停電損害算出装置1の動作の概要を説明する。停電により受ける被害を「停電被害」、「停電被害」により発生した損害を「停電損害」と呼ぶ場合がある。「停電損害」にかかる損害額を「損害コスト」と呼ぶ。
【0036】
本実施形態にかかる停電損害算出装置1は、停電により影響を受ける需要家の、被害の種類および被害の量に基づいて、停電により発生する損失にかかるコストである損害コストCを算出する。停電損害算出装置1は、個別の各需要家により使用される。
【0037】
停電損害算出装置1の記憶部30は、需要家の種類、および停電により前記需要家に発生する被害の種別を示す情報である需要家被害データ301を予め記憶する。停電損害算出装置1の停電被害カテゴリ選択部201は、記憶部30に記憶された需要家被害データ301に基づき、停電により受ける被害の種別を示す停電被害カテゴリを選択する。
【0038】
停電損害算出装置1の損害コスト算出部202は、停電被害カテゴリ選択部201により選択された停電被害カテゴリにかかる被害の種別ごとに記憶された、標準となるコストである需要家別標準停電コストSと、停電態様入力部102に入力された、停電の発生の態様を示す情報である停電態様情報と、被害態様入力部103に入力された、停電が発生した場合に需要家が受ける被害の態様を示す情報である被害態様情報とに基づき、需要家の種別に対応した、停電により発生する損害にかかる金額である損害コストCを算出する。
【0039】
損害コスト算出部202は、停電態様情報と被害態様情報とに基づき、重み付け係数Fを選択し、選択した重み付け係数Fと、停電被害カテゴリ選択部201により選択された停電被害カテゴリとに基づき、需要家の種別に対応した、停電により発生する損害にかかる金額である損害コストCを算出する。
【0040】
停電の発生の態様を示す情報である停電態様情報と、停電が発生した場合に需要家が受ける被害の態様を示す情報である被害態様情報を総括して停電被害態様情報と呼ぶ場合がある。停電被害態様情報は、停電態様情報、被害態様情報のうち少なくとも一方を含む。停電被害態様情報は、停電の発生の態様および停電による被害の態様を示す情報である。
【0041】
損害コストの定量化に関する従来技術は、停電により損なわれた電力に関するコストを算出するものが主流であった。しかし、損害コストは、様々な需要家の特性に注目したうえで、客観的な損害対象と対象ごとの損害額を定量化して、停電による需要家のカテゴリ別に算出されることが好ましい。
【0042】
さらに、算出された損害コストは、可視化されることが好ましい。停電損害算出装置1は、損害コストの可視化にために、発生事象による被害者と被害の関係を予め記憶する。停電損害算出装置1は、入力された対象となる被害者と被害に基づき、予め設定された関係式に基づき、各被害について損害コストを定量化する。
【0043】
各被害に関する損害コストは、整理して記憶された、例えば停電時間、停電時期、停電期間、需要家種類などの評価条件に応じて算出される。停電損害算出装置1は、停電により発生する損失にかかるコストである損害コストの大きさを定量化し、可視化する。
【0044】
可視化された損害コストは、電力の需要家である産業需要家、一般需要家、および地方自治体等により利用される。従来、電力の需要家において損害コストを把握することは困難であった。可視化された損害コストは、産業需要家、一般需要家における、機器やサービス導入による効果の理解促進、納入機器サービスの仕様等決定プロセスの明確化等に役立てられる。
【0045】
また、可視化された損害コストは、地方自治体における、新規機器サービス導入の判断、住民への説明プロセスの明確化等に役立てられる。可視化された損害コストは、事業者により需要家とのコミュニケーションのサポートに用いられるなどにより活用される。
【0046】
停電損害算出装置1の動作の詳細は、以下のとおりである。
【0047】
入力部10の需要家種類入力部101は、作業者により操作され、需要家の種類を示す需要家種類情報が入力される。例えば、需要家種類情報は、記憶部30に記憶された需要家被害データ301のうち需要家に該当する需要家の種類が、作業者により選択され作成される。
【0048】
需要家の種類は、予め記憶部30に需要家被害データ301として設定され記憶されている。需要家の種類は、
図2に示すように、一般産業系の産業需要家の業種、公共系の産業需要家の業種、一般需要家などに区分けされ記憶されている。需要家被害データ301の需要家の種類は、金融機関、小売店、理容店などの業種、大規模産業、中小規模産業などの規模の大きさ、民間、公共、一般などの分類に区分けされて記憶されるようにしてもよい。
【0049】
入力部10の需要家種類入力部101において入力された需要家の種類は、需要家種類情報として演算部20の停電被害カテゴリ選択部201に送信される。
【0050】
演算部20の停電被害カテゴリ選択部201は、入力部10の需要家種類入力部101から送信された需要家種類情報にかかる需要家の種類に応じ、停電被害カテゴリを選択する。停電被害カテゴリは、
図2に示す需要家被害データ301として予め記憶部30に設定され記憶されている。停電被害カテゴリは、入力部10を介し、追加されるようにしてもよい。
【0051】
需要家被害データ301の停電被害カテゴリは、「売上阻害コスト」、「再起動コスト」、「データ損失コスト」などに区分けされている。需要家被害データ301の停電被害カテゴリは、「顧客資産への被害」、「エンドユーザへの被害」、「従業員への被害」、「周辺住民への被害」、「自然環境への被害」などを含み分類されるようにしてもよい。停電被害カテゴリは、入力部10を介し、追加されるようにしてもよい。停電被害カテゴリは、上記に限られず任意の被害が記憶部30に設定され記憶されるようにしてもよい。
【0052】
停電被害カテゴリ選択部201において選択された停電被害カテゴリは、損害コスト算出部202に送信される。
【0053】
入力部10の停電態様入力部102は、作業者により操作され停電態様情報が入力される。停電態様情報は、発生地域、発生時期、発生頻度などの停電の特徴を示す情報である。停電態様情報の一例を
図3に示す。発生地域や発生時間は自由記載により入力されるようにしてもよいし、選択肢から選択して入力されるようにしてもよい。停電態様情報は、上記に限られず任意の停電の特徴を示す情報であってよい。
【0054】
停電態様入力部102に入力された停電態様情報は、損害コストCの算出に用いられる。停電態様入力部102に入力された停電態様情報は、演算部20の損害コスト算出部202に送信される。
【0055】
入力部10の被害態様入力部103は、作業者により操作され被害態様情報が入力される。被害態様情報は、電力依存度、被害面積などの停電が発生した場合に受ける被害の特徴を示す情報である。被害態様情報の一例を
図4に示す。電力依存度や被害面積については数値により入力されるようにしてもよい。被害態様情報は、代替手段の有無、需要家数、地域などの情報を含むようにしてもよい。被害態様情報は、上記に限られず任意の被害の特徴を示す情報であってよい。
【0056】
被害態様入力部103に入力された被害態様情報は、損害コストCの算出に用いられる。被害態様入力部103に入力された被害態様情報は、演算部20の損害コスト算出部202に送信される。
【0057】
演算部20の損害コスト算出部202は、停電被害カテゴリ選択部201により選択された停電被害カテゴリ、停電態様入力部102から送信された停電態様情報、被害態様入力部103から送信された被害態様情報に基づき、損害コストCの算出を行う。
【0058】
損害コスト算出部202は、停電態様入力部102から受信した停電態様情報と、被害態様入力部103から受信した被害態様情報に基づき、重み付け係数Fを選択する。停電態様情報は、停電の発生の態様を示す情報である。被害態様情報は、停電が発生した場合に需要家が受ける被害の態様を示す情報である。重み付け係数Fは、停電態様情報にかかる停電の態様、被害態様情報にかかる被害の態様に応じ設定された数値であり、予め記憶部30に記憶される(図示せず)。重み付け係数Fは、停電の態様、被害の態様に応じたクロスマトリクスにより、停電被害カテゴリごとに記憶されたものであってもよい。
【0059】
損害コスト算出部202は、選択した重み付け係数Fと、停電被害カテゴリ選択部201により選択された停電被害カテゴリとに基づき、需要家の種別に対応した、停電により発生する損害にかかる金額である損害コストCを算出する。
【0060】
損害コストCは、停電により発生する損失にかかるコストである。損害コストCは、需要家別標準停電コストSに基づき算出される。需要家別標準停電コストSは、停電被害カテゴリにかかる停電により受ける被害の種別ごとの、標準となるコストである。需要家別標準停電コストSは、標準時において1時間の停電があった場合の需要家ごとのコストである。需要家別標準停電コストSにかかるデータは、需要家被害データ301に予め設定され記憶されている。
【0061】
損害コストは、需要家別標準停電コストSが重み付け係数Fにより重み付けされることにより算出される。重み付け係数Fは、停電態様情報、被害態様情報に基づき予め定められる。標準時は、停電発生時のコスト算出の基準として選択された時刻であり、例えば春の17時など、任意に選択されたのでよい。
【0062】
損害コスト算出部202は、停電被害カテゴリごとに損害コストCの算出を行う。損害コスト算出部202は、損害コストCを(式1)により算出する。
C=S*F
・・・・・(式1)
(式1)において各パラメータは以下のとおりである。
S:需要家別標準停電コスト
F:重み付け係数 (行列)
【0063】
損害コストCは、需要家別標準停電コストSに重み付け係数Fが乗算され算出される。重み付け係数Fは、停電態様情報、被害態様情報に基づき選択され、行列であってよい。
【0064】
損害コスト算出部202は、行列計算により損害コストCの算出を行う。例えば、需要家が小売店である場合、損害コスト算出部202は、以下の(式2)により需要家の損害コストCbの算出を行う。損害コストCbは、停電被害カテゴリごとの損害コストCの総和となる。
[小売店bの損害コストCb]
Cb=Cb1+Cb2+Cb3+・・・+Cbn
・・・・・(式2)
【0065】
(式2)において、Cb1、Cb2、Cb3・・・Cbnは、以下のとおりである。需要家が小売店である場合、Cb1、Cb2、Cb3・・・Cbnは、以下の(式3)~(式6)にかかる停電被害カテゴリごとの損害コストCである。
[Cb1:売上阻害コストにかかる損害コスト]
Cb1=Sb1*Fb1
・・・・・(式3)
ここで、Sb1:小売店bの売上阻害コストにかかる需要家別標準停電コスト
Fb1:停電態様情報、被害態様情報に基づく小売店bの重み付け係数
[Cb2:食品等品質低下コストにかかる損害コスト]
Cb2=Sb2*Fb2
・・・・・(式4)
ここで、Sb2:小売店bの食品等品質低下コストにかかる需要家別標準停電コスト
Fb2:停電態様情報、被害態様情報に基づく小売店bの重み付け係数
[Cb3:設備停止コストにかかる損害コスト]
Cb3=Sb3*Fb3
・・・・・(式5)
ここで、Sb3:小売店bの設備停止コストにかかる需要家別標準停電コスト
Fb3:停電態様情報、被害態様情報に基づく小売店bの重み付け係数
・・・
[Cbn:バックアップコストにかかる損害コスト]
Cbn=Sbn*Fbn
・・・・・(式6)
ここで、Sbn:小売店bのバックアップコストにかかる需要家別標準停電コスト
Fbn:停電態様情報、被害態様情報に基づく小売店bの重み付け係数
【0066】
損害コスト算出部202により算出された損害コストCb、および損害コストCb1~Cbnにかかる損害コストCは、損害コストデータとして出力部40に送信される。
【0067】
停電損害算出装置1の出力部40は、損害コスト算出部202から送信された損害コストデータを、ディスプレイ表示、プリントアウト、または電子データにより出力する。
【0068】
需要家別標準停電コストSは、需要家により入力されたものであってもよいし、外部のデータベース等を検索することにより得られた損害額に基づき算出されたものであってもよい。また、需要家別標準停電コストSは、カレンダー、社会の事象変化、人間活動、行動に応じて算出されたものであってもよい。需要家別標準停電コストSは、これらの時々刻々変化するデータを、リアルタイムで入手し算出されたものであってもよい。
【0069】
また、停電損害算出装置1の動作は、
図5に示すコンピュータプログラムにより実現されるものであってもよい。
図5に示すコンピュータプログラムは、停電損害算出装置1の演算部20に内蔵される。
【0070】
(ステップS01:停電被害カテゴリの選択)
演算部20は、停電被害カテゴリの選択を行う。ステップS01にかかる動作は、演算部20の停電被害カテゴリ選択部201により実行される。停電被害カテゴリ選択部201は、入力部10の需要家種類入力部101に入力された需要家の種類にかかる需要家種類情報を受信し、停電被害カテゴリを選択する。
【0071】
(ステップS02:重み付け係数Fの選択)
演算部20は、重み付け係数Fの選択を行う。ステップS02にかかる動作は、演算部20の損害コスト算出部202により実行される。損害コスト算出部202は、停電態様入力部102から受信した停電態様情報と、被害態様入力部103から受信した被害態様情報に基づき、重み付け係数Fを選択する。
【0072】
(ステップS03:損害コストCの算出)
演算部20は、損害コストCの算出を行う。ステップS03にかかる動作は、演算部20の損害コスト算出部202により実行される。損害コスト算出部202は、ステップS02で選択した重み付け係数Fと、需要家被害データ301に含まれた需要家別標準停電コストSに基づき、損害コストCを算出する。損害コストは、需要家別標準停電コストSが重み付け係数Fにより重み付けされ(式1)により算出される。
【0073】
(ステップS04:損害コストデータを出力させる)
演算部20は、出力部40に損害コストデータを出力させる指示を行う。ステップS03にて算出された損害コストCは、損害コストデータとして出力される。
【0074】
以上が、本実施形態にかかる停電損害算出装置1の動作である。
【0075】
[1-3.効果]
(1)本実施形態によれば、停電損害算出装置1は、需要家の種類、および停電により需要家に発生する被害の種別を示す情報である需要家被害データ301に基づき、停電により受ける被害の種別を示す停電被害カテゴリを選択する停電被害カテゴリ選択部201と、停電被害カテゴリ選択部201により選択された停電被害カテゴリにかかる被害の種別ごとに記憶された、標準となるコストと、入力された、停電の発生の態様および停電による被害の態様を示す情報である停電被害態様情報に基づき、需要家の種別に対応した、停電により発生する損害にかかる金額である損害コストCを算出する損害コスト算出部202と、を有するので停電により発生する損失にかかる損害コストCを可視化することができる停電損害算出装置を提供することができる。
【0076】
本実施形態によれば、損害コスト算出部202は、停電による被害の種別、停電の発生の態様、被害の態様に基づき損害コストCを算出するので、停電に起因して発生する、需要家ごとの個別の損害コストCを算出することができる。
【0077】
(2)本実施形態によれば、損害コスト算出部202は、停電被害態様情報である停電態様情報と、被害態様情報とに基づき、重み付け係数Fを選択し、選択した重み付け係数Fに基づき、損害コストCを算出するので、より精度よく損害コストCを算出することができる。
【0078】
本実施形態によれば、停電により発生する損失にかかる損害コストCは、例えば停電時間、停電時期、停電期間、需要家種類などの評価条件に応じて定量化され、可視化される。可視化された損害コストCは、電力の需要家である産業需要家、一般需要家、および地方自治体等により利用される。従来、電力の需要家において損害コストCを把握することは困難であった。可視化された損害コストCは、産業需要家、一般需要家における、機器やサービス導入による効果の理解促進、納入機器サービスの仕様等決定プロセスの明確化等に役立てられる。
【0079】
また、可視化された損害コストCは、地方自治体における、新規機器サービス導入の判断、住民への説明プロセスの明確化等に役立てられる。可視化された損害コストCは、事業者により需要家とのコミュニケーションのサポートに用いられるなどにより活用される。
【0080】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成および作用]
図6を参照して、第2実施形態にかかる停電損害算出装置1について説明する。第2実施形態にかかる停電損害算出装置1は、第1実施形態にかかる停電損害算出装置1に加え、演算部20に停電被害カテゴリ選定部203を有する。第2実施形態にかかる停電損害算出装置1は、演算部20に停電被害カテゴリ選定部203を有する点が、第1実施形態にかかる停電損害算出装置1と異なる。
【0081】
その他の第2実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成は、
図1に示す第1実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成と同じである。第1実施形態にかかる停電損害算出装置1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0082】
停電被害カテゴリ選定部203は、マイクロコンピュータの演算部等により構成される。停電被害カテゴリ選定部203は、ソフトウェアモジュールにより構成されるものであってもよい。
【0083】
停電被害カテゴリ選定部203は、損害コスト算出部202により算出された損害コストCの値を、予め定められた停電被害カテゴリ別に選別する。停電被害カテゴリは、需要家被害データ301に含まれ、予め設定され記憶部30に記憶されている。
【0084】
出力部40は、停電被害カテゴリ選定部203により、停電被害カテゴリ別に選別された損害コストCを、ディスプレイ表示、プリントアウト、または電子データにより出力する。
【0085】
本実施形態にかかる停電損害算出装置1の損害コスト算出部202は、停電被害カテゴリ選択部201により選択された停電被害カテゴリに基づき、停電により発生する損害にかかる金額である、被害の種別ごとの損害コストCを算出する。
【0086】
停電損害算出装置1は、損害コスト算出部202により算出された、被害の種別ごとの損害コストCのうち、予め定められた金額以上となる被害の種別を示す。停電損害算出装置1は、損害コスト算出部202により算出された損害コストCの大きさの順に、被害の種別を示す。
【0087】
第2実施形態にかかる停電損害算出装置1の動作の詳細は、以下のとおりである。
【0088】
停電被害カテゴリは、
図2に示す需要家被害データ301に含まれ、予め記憶部30に記憶されている。
【0089】
損害コスト算出部202は、停電被害カテゴリ選択部201により選択された停電被害カテゴリ、停電態様入力部102から送信された停電条件、被害態様入力部103から送信された被害条件に基づき、損害コストCの算出を行う。
【0090】
損害コストCは、停電により発生する損失にかかるコストである。損害コストCは、需要家別標準停電コストSに基づき算出される。需要家別標準停電コストSは、標準時において1時間の停電があった場合の需要家ごとのコストである。需要家別標準停電コストSにかかるデータは需要家ごとに予め設定され記憶されている。損害コストCは、需要家別標準停電コストSに停電条件、被害条件ごとに予め定められた重み付けを行うことにより算出される。
【0091】
損害コスト算出部202は、算出した損害コストCにかかるデータを停電被害カテゴリ選定部203に送信する。損害コスト算出部202により算出された損害コストCにかかるデータは、数値データである。
【0092】
停電被害カテゴリ選定部203は、損害コスト算出部202から数値データである損害コストCにかかるデータを受信し、予め定められた停電被害カテゴリ別に選別する。停電被害カテゴリは、需要家被害データ301に含まれ、予め記憶部30に記憶されている。停電被害カテゴリ選定部203は、停電被害カテゴリ別に選別した損害コストCを停電被害カテゴリ別データとする。
図7に停電被害カテゴリ別データの一例を示す。
図7は、「小売店」にかかる停電被害カテゴリ別の損害コストCを示す。
【0093】
停電被害カテゴリ選定部203は、損害コスト算出部202にて(式2)により算出された損害コストCbを停電被害カテゴリごとの損害コストCに選別する。例えば、需要家が小売店である場合、停電被害カテゴリ選定部203は、[小売店bの損害コストCb]を[売上阻害コストにかかる損害コストCb1]、[食品等品質低下コストにかかる損害コストCb2]、[設備停止コストにかかる損害コストCb3]・・・[バックアップコストにかかる損害コストCbn]に選別する。
【0094】
停電被害カテゴリ選定部203は、損害コストCを被害の種別ごとに選別し、被害の種別ごとの損害コストCのうち予め定められた金額以上となる損害コストCを停電被害カテゴリ別データにおいて示す。
【0095】
停電被害カテゴリ選定部203は、損害コストCを被害の種別ごとに選別し、被害の種別ごとの損害コストCの大きさの順を停電被害カテゴリ別データにおいて示す。
【0096】
停電被害カテゴリ選定部203は、停電被害カテゴリ別に選別した数値データである損害コストCをグラフィック表示用のデータに変換する。停電被害カテゴリ別のグラフィック表示用のデータは、停電被害カテゴリ別データに含まれる。
【0097】
出力部40は、停電被害カテゴリ別データを、停電被害カテゴリ選定部203から受信する。出力部40は、損害コストを、ディスプレイ表示、プリントアウト、または電子データとして出力する。出力部40は、予め定められた表示方法により停電被害カテゴリ別データを表示する。
【0098】
図8に停電被害カテゴリ別データの表示例を示す。出力部40は、例えば被害を受ける対象ごと、または被害の種類ごとに、損害コストCをグラフ状に示す。また、出力部40は、損害コストCが基準値以上となる被害を識別しやすい表示方法により示す。
【0099】
図8のように、バックアップコストにかかる損害コストCbnが、予め定められた金額以上であり、強調されて表示される。
【0100】
図8のように、バックアップコストにかかる損害コストCbn、売上阻害コストにかかる損害コストCb1、設備停止コストにかかる損害コストCb3の順に、損害コストCの大きさの順が表示される。
【0101】
出力部40は、例えば、全体の50%以上となるなど、一定以上の割合を占める停電被害カテゴリ、注目すべき停電被害カテゴリ、トータルで最大となる停電被害カテゴリなどを識別しやすい方法により示す。識別される停電被害カテゴリは、グラフや停電被害カテゴリが周囲と異なる色により強調して表示されるようにしてもよいし、グラフや停電被害カテゴリを点線で囲うなどの方法により強調して表示されるようにしてもよい。
【0102】
出力部40は、損害コストCの大きさに基づき停電対策を行うべき対応順位を決定し、対応順位とともに停電被害カテゴリを表示するようにしてもよい。
【0103】
また、停電損害算出装置1の動作は、
図9に示すコンピュータプログラムにより実現されるものであってもよい。
図9に示すコンピュータプログラムは、停電損害算出装置1の演算部20に内蔵される。
【0104】
(ステップS01:停電被害カテゴリの選択)
演算部20は、停電被害カテゴリの選択を行う。ステップS01にかかる動作は、演算部20の停電被害カテゴリ選択部201により実行される。停電被害カテゴリ選択部201は、入力部10の需要家種類入力部101に入力された需要家の種類にかかる需要家種類情報を受信し、停電被害カテゴリを選択する。
【0105】
(ステップS02:重み付け係数Fの選択)
演算部20は、重み付け係数Fの選択を行う。ステップS02にかかる動作は、演算部20の損害コスト算出部202により実行される。損害コスト算出部202は、停電態様入力部102から受信した停電態様情報と、被害態様入力部103から受信した被害態様情報に基づき、重み付け係数Fを選択する。
【0106】
(ステップS03:損害コストCの算出)
演算部20は、損害コストCの算出を行う。ステップS03にかかる動作は、演算部20の損害コスト算出部202により実行される。損害コスト算出部202は、ステップS02で選択した重み付け係数Fと、需要家被害データ301に含まれた需要家別標準停電コストSに基づき、損害コストCを算出する。損害コストは、需要家別標準停電コストSが重み付け係数Fにより重み付けされ(式1)により算出される。
【0107】
(ステップS21:損害コストCを被害の種別ごとに選別)
ステップS03の次にステップS21が実行される。演算部20は、損害コストCを被害の種別ごとに選別する。ステップS21にかかる動作は、演算部20の停電被害カテゴリ選定部203により実行される。
【0108】
停電被害カテゴリ選定部203は、損害コストCを被害の種別ごとに選別し、被害の種別ごとの損害コストCのうち予め定められた金額以上となる損害コストCを停電被害カテゴリ別データにおいて示す。
【0109】
停電被害カテゴリ選定部203は、損害コストCを被害の種別ごとに選別し、被害の種別ごとの損害コストCの大きさの順を停電被害カテゴリ別データにおいて示す。
【0110】
停電被害カテゴリ選定部203は、停電被害カテゴリ別に選別した数値データである損害コストCをグラフィック表示用のデータに変換する。停電被害カテゴリ別のグラフィック表示用のデータは、停電被害カテゴリ別データに含まれる。
【0111】
(ステップS04:停電被害カテゴリ別データを出力させる)
ステップS21の次にステップS04が実行される。演算部20は、出力部40に停電被害カテゴリ別データを出力させる指示を行う。
【0112】
以上が、本実施形態にかかる停電損害算出装置1の動作である。
【0113】
[2-2.効果]
(1)本実施形態によれば、損害コスト算出部202は、停電被害カテゴリ選択部201により選択された停電被害カテゴリに基づき、停電により発生する損害にかかる金額である、被害の種別ごとの損害コストCを算出するので、使用者は被害の種別ごとの損害コストCを把握することができる。
【0114】
(2)本実施形態によれば、停電損害算出装置1は、損害コスト算出部202により算出された、被害の種別ごとの損害コストCのうち、予め定められた金額以上となる被害の種別を示すので、使用者は損害コストCのうち、金額の大きな被害の種別、および損害コストCを把握することができる。
【0115】
(3)本実施形態によれば、停電損害算出装置1は、損害コスト算出部202により算出された前記損害コストCの大きさの順に、被害の種別を示すので、使用者は損害コストCの大きい順に被害の種別を把握することができる。
【0116】
本実施形態にかかる停電損害算出装置1は、停電被害カテゴリごとに損害コストCをグラフにより表示する。これにより、テナント契約や損害賠償契約等により保護される損害コストCの支払い区分が可視化される。
【0117】
本実施形態にかかる停電損害算出装置1は、基準となる想定条件に沿って損害コスト算出部202により算出された、需要家や需要家の被害種類ごとの損害コストCに基づき、損害コストCや停電の影響の大小を可視化し、回避すべき被害種類や対応順位の需要家による判断をサポートする。本実施形態にかかる停電損害算出装置1は、各個別の需要家による損害コストCの把握に利用される。
【0118】
[3.第3実施形態]
[3-1.構成および作用]
図10を参照して、第3実施形態にかかる停電損害算出装置1について説明する。第3実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成は、第2実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成と同じである。第3実施形態にかかる停電損害算出装置1は、停電態様入力部102、および被害態様入力部103に入力される情報、損害コスト算出部202、および停電被害カテゴリ選定部203により実行される処理、出力部40から出力されるデータが、第2実施形態にかかる停電損害算出装置1と異なる。
【0119】
第2実施形態にかかる停電損害算出装置1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0120】
停電態様入力部102は、作業者により操作され、停電の大きさを示す情報である停電規模情報を含む停電態様情報が入力される。本実施形態の停電態様入力部102に入力される停電態様情報は、第1実施形態および第2実施形態にかかる停電態様情報に加え停電規模情報が含まれる。
【0121】
被害態様入力部103は、作業者により操作され、被害の大きさを示す情報である被害規模情報を含む被害態様情報が入力される。本実施形態の被害態様入力部103に入力される被害態様情報は、第1実施形態および第2実施形態にかかる被害態様情報に加え被害規模情報が含まれる。
【0122】
損害コスト算出部202は、停電態様入力部102に入力された停電規模情報、および被害態様入力部103に入力された被害規模情報に基づき、損害コストCを停電規模または被害規模の大きさごとに算出する。
【0123】
停電被害カテゴリ選定部203は、損害コスト算出部202により停電規模または被害規模の大きさごとに算出された損害コストCを、さらに停電被害カテゴリに基づき被害の種別ごとに選別し損害対比データを作成する。
【0124】
出力部40は、停電被害カテゴリ選定部203により作成された損害対比データを出力する。
【0125】
本実施形態にかかる停電損害算出装置1の損害コスト算出部202は、停電態様情報にかかる停電規模、被害態様情報にかかる被害規模のうち少なくとも一方の大きさを変動させた場合における、複数の損害コストCを算出し、停電損害算出装置1は、損害コスト算出部202により算出された、複数の損害コストCを対比して示す。
【0126】
第3実施形態にかかる停電損害算出装置1の動作の詳細は、以下のとおりである。
【0127】
停電態様入力部102は、作業者により操作され、停電規模情報を含む停電態様情報が入力される。停電規模情報は、停電の大きさを示す情報であり、停電の大きさに関するパラメータを含む。作業者は、停電態様入力部102を構成するディスプレイ上に配置されたタッチスイッチ、キーボード、マウス等の操作装置を操作し、停電規模情報を含む停電態様情報を入力する。
【0128】
停電規模情報は、停電の大きさを示す情報として、例えば停電が発生する頻度に関するパラメータを含む。停電が発生する頻度に関するパラメータは、例えば「発生頻度=1回/年~10回/年」のような情報である。停電の大きさを示すパラメータは、一定の幅をもたせて設定されてもよい。停電の大きさを示すパラメータは、上記に限られず任意の情報であってよい。作業者は、停電の大きさに関するパラメータを変動させることにより、損害コストCの算出条件となる停電規模の大きさを変動させる。
【0129】
被害態様入力部103は、作業者により操作され、被害規模情報を含む被害態様情報が入力される。被害規模情報は、被害の大きさを示す情報であり、被害の大きさに関するパラメータを含む。作業者は、被害態様入力部103を構成するディスプレイ上に配置されたタッチスイッチ、キーボード、マウス等の操作装置を操作し、被害規模情報を含む被害態様情報を入力する。
【0130】
被害規模情報は、停電による被害の大きさを示す情報として、例えば停電が発生する面積に関するパラメータを含む。停電が発生する面積に関するパラメータは、例えば「発生面積=1km2~10km2」のような情報である。停電による被害の大きさを示すパラメータは、一定の幅をもたせて設定されてもよい。停電による被害の大きさを示すパラメータは、上記に限られず任意の情報であってよい。作業者は、停電による被害の大きさに関するパラメータを変動させることにより、損害コストCの算出条件となる被害規模の大きさを変動させる。
【0131】
損害コスト算出部202は、停電態様入力部102に入力された停電規模情報、および被害態様入力部103に入力された被害規模情報に基づき、損害コストCを停電規模または被害規模の大きさに基づき算出する。作業者により、停電規模情報にかかる停電の大きさに関するパラメータ、または被害規模情報にかかる停電による被害の大きさに関するパラメータが変更され、損害コストCの算出条件が変更される。
【0132】
損害コスト算出部202は、作業者により変更された、停電規模情報にかかる停電の大きさに関するパラメータ、または被害規模情報にかかる停電による被害の大きさに関するパラメータに基づき、複数の損害コストCを停電規模または被害規模の大きさごとに算出する。損害コストCは、停電規模情報にかかる停電の大きさに関するパラメータ、または被害規模情報にかかる停電による被害の大きさに関するパラメータが、大小の二値に変動され算出されてもよいし、三値以上に変動され算出されてもよい。損害コストCは、変動されたパラメータごとに算出される。
【0133】
停電被害カテゴリ選定部203は、損害コスト算出部202により停電規模または被害規模の大きさに基づき算出された損害コストCを、さらに停電被害カテゴリに基づき被害の種別ごとに選別し損害対比データを作成する。
【0134】
出力部40は、損害対比データを、停電被害カテゴリ選定部203から受信する。出力部40は、損害対比データを、ディスプレイ表示、プリントアウト、または電子データにより出力する。出力部40は、予め定められた表示方法により損害対比データを表示する。出力部40は、例えば被害を受ける対象ごと、または被害の種類ごとに、損害コストCをグラフ状に示す。
【0135】
図11に損害対比データの表示例を示す。
図11の損害対比データは、停電規模情報にかかる[停電持続時間]、[停電発生時期]、[停電告知の有無]に関するパラメータ、被害規模情報にかかる[需要家種類]、[被害者数]に関するパラメータを、二値に変動させた場合の損害コストCを示す。
【0136】
また、
図11の損害対比データは、停電被害カテゴリに基づく被害の種別ごとの損害コストCを示す。
【0137】
損害対比データは、停電規模情報または被害規模情報のパラメータに基づき、二つに対比して示されるものに限られない。損害対比データは、例えば停電規模情報または被害規模情報の三値以上のパラメータ値に基づき、対比して示されるものであってもよい。
【0138】
また、停電損害算出装置1の動作は、
図12に示すコンピュータプログラムにより実現されるものであってもよい。
図12に示すコンピュータプログラムは、停電損害算出装置1の演算部20に内蔵される。
【0139】
(ステップS01:停電被害カテゴリの選択)
演算部20は、停電被害カテゴリの選択を行う。ステップS01にかかる動作は、演算部20の停電被害カテゴリ選択部201により実行される。停電被害カテゴリ選択部201は、入力部10の需要家種類入力部101に入力された需要家の種類にかかる需要家種類情報を受信し、停電被害カテゴリを選択する。
【0140】
(ステップS02:重み付け係数Fの選択)
演算部20は、重み付け係数Fの選択を行う。ステップS02にかかる動作は、演算部20の損害コスト算出部202により実行される。損害コスト算出部202は、停電態様入力部102から受信した停電態様情報と、被害態様入力部103から受信した被害態様情報に基づき、重み付け係数Fを選択する。
【0141】
(ステップS31:停電規模情報、被害規模情報に基づく複数の損害コストCの算出)
ステップS02の次にステップS31が実行される。演算部20は、停電規模情報、被害規模情報に基づき複数の損害コストCの算出を行う。ステップS31にかかる動作は、演算部20の損害コスト算出部202により実行される。損害コスト算出部202は、停電態様入力部102に入力された停電規模情報、および被害態様入力部103に入力された被害規模情報に基づき、損害コストCを停電規模または被害規模の大きさに基づき算出する。
【0142】
複数の損害コストCは、ステップS02で選択した重み付け係数Fと、需要家被害データ301に含まれた需要家別標準停電コストSに基づき算出される。
【0143】
(ステップS32:損害コストCを被害の種別ごとに選別)
ステップS31の次にステップS32が実行される。演算部20は、損害コストCを被害の種別ごとに選別する。ステップS32にかかる動作は、演算部20の停電被害カテゴリ選定部203により実行される。
【0144】
停電被害カテゴリ選定部203は、損害コスト算出部202により停電規模または被害規模の大きさに基づき算出された損害コストCを、さらに停電被害カテゴリに基づき被害の種別ごとに選別し損害対比データを作成する。
【0145】
(ステップS33:停電被害カテゴリ別データを出力させる)
ステップS32の次にステップS33が実行される。演算部20は、出力部40に損害対比データを出力させる指示を行う。
【0146】
以上が、本実施形態にかかる停電損害算出装置1の動作である。
【0147】
[3-2.効果]
本実施形態によれば、損害コスト算出部202は、停電被害態様情報にかかる停電規模、被害規模のうち少なくとも一方の大きさを変動させた場合における、複数の損害コストCを算出し、停電損害算出装置1は、損害コスト算出部202により算出された、複数の損害コストCを対比して示すので、使用者は停電規模、または被害規模の大きさに対応した損害コストCを把握することができる。
【0148】
本実施形態にかかる停電損害算出装置1は、停電規模または被害規模の大きさに対応した損害コストCを対比して可視化し、回避すべき被害の種類や対応順位の判断をサポートする。本実施形態にかかる停電損害算出装置1は、停電規模または被害規模ごとの損害コストCが各個別の需要家により把握されること、管轄対象地域全体の停電規模または被害規模ごとの損害コストCが自治体等により把握されることに利用される。
【0149】
[4.第4実施形態]
[4-1.構成および作用]
図13を参照して、第4実施形態にかかる停電損害算出装置1について説明する。第4実施形態にかかる停電損害算出装置1は、第3実施形態にかかる停電損害算出装置1に加え、入力部10に対策コスト入力部104を、演算部20に対策コスト算出部204、コスト評価部205を有する。第4実施形態にかかる停電損害算出装置1は、対策コスト入力部104、対策コスト算出部204、コスト評価部205を有する点が、第3実施形態にかかる停電損害算出装置1と異なる。第4実施形態にかかる停電損害算出装置1は、出力部40からコスト評価データを出力する。
【0150】
その他の第4実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成は、
図10に示す第3実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成と同じである。その他の第4実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成は、第1実施形態、第2実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成と同様であってもよい。第3実施形態にかかる停電損害算出装置1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0151】
対策コスト入力部104は、ディスプレイ上に配置されたタッチスイッチ、キーボード、マウス等の操作装置、または受信回路、外部メモリ接続回路により構成される。対策コスト入力部104は、作業者により操作され、停電の対策、および対策の費用に関する対策コスト情報が入力される。対策コスト情報は、公的情報からの引用、インターネットのサイト等を検索して得られる情報であってもよい。
【0152】
対策コスト算出部204、コスト評価部205は、マイクロコンピュータの演算部等により構成される。対策コスト算出部204、コスト評価部205は、ソフトウェアモジュールにより構成されるものであってもよい。
【0153】
対策コスト算出部204は、コスト評価部205に接続される。対策コスト算出部204は、初期導入費用、運用費用等の対策コストRを算出する。対策コスト算出部204は、算出した対策コストRをコスト評価部205に送信する。
【0154】
コスト評価部205は、対策コスト算出部204により算出された対策コストRと損害コストCとの比較を行い、比較結果にかかるコスト評価データを作成し出力部40に送信する。
【0155】
出力部40は、コスト評価部205により作成されたコスト評価データをディスプレイ表示、プリントアウト、または電子データにより出力する。
【0156】
本実施形態にかかる停電損害算出装置1は、停電による被害を軽減または防止する停電対策に関するコストである対策コストRを算出する対策コスト算出部204と、停電により発生する損害にかかる金額である損害コストCと対策コスト算出部204により算出された対策コストRを対比し、停電対策の評価を行うコスト評価部205と、を有する。
【0157】
第4実施形態にかかる停電損害算出装置1の動作の詳細は、以下のとおりである。
【0158】
対策コスト算出部204は、対策コスト入力部104に入力された対策コスト情報に基づき、対策コストRを算出する。対策コストRは、停電による損害を回避または軽減するための対策に関する費用である。対策コスト算出部204は、例えば停電による損害を回避または軽減するための装置または設備の初期導入費用、運用費用等の対策コストRを算出する。
【0159】
停電による損害を回避または軽減するための装置または設備は、例えば非常用電源システム、再生エネルギー電源システム、水素システム、蓄電池システム、エネルギー制御システム等である。対策コスト算出部204は、これらの装置または設備の初期導入費用および運用費用を対策コストRとして算出する。対策コスト算出部204は、例えば外部のサイト等から、これらの装置または設備の初期導入費用および運用費用を検索する。対策コスト算出部204は、算出した対策コストRをコスト評価部205に送信する。
【0160】
コスト評価部205は、対策コスト算出部204から対策コストRを、損害コスト算出部202から損害コストCを受信する。コスト評価部205は、停電対策を行なった場合の損害コストCの算出を行う。さらにコスト評価部205は、停電対策を行わない場合の損害コストCと停電対策を行なった場合の損害コストCとの差分を算出し、改善コストCRとする。
【0161】
コスト評価部205は、改善コストCRと対策コストRを比較し、以下の評価を行う。
改善コストCR>対策コストR → OK
改善コストCR<対策コストR → NG
【0162】
コスト評価部205は、例えば、水素システム、蓄電池など複数の損害回避のための手段にかかる対策コストRと、損害コストCに基づく改善コストCRとの比較を行う。損害回避のための一つの手段にかかる設備容量などの仕様、性能、稼働率などを変更した場合の対策コストRと、改善コストCRとの比較が行われるようにしてもよい。コスト評価部205は、コスト評価データを出力部40に送信する。
【0163】
出力部40は、コスト評価部205から受信したコスト評価データをディスプレイ表示、プリントアウト、または電子データにより出力する。
図14にコスト評価データの一例を示す。コスト評価データは、停電対策を行なっていない場合の損害コストC、停電対策を行なった場合の損害コストC、停電対策を行なった場合の対策コストRを示す。また停電対策を行なっていない場合の損害コストCと、停電対策を行なった場合の損害コストCとの差分は、改善コストCRとされる。
【0164】
図14において、C0は、停電対策を行なっていない場合の損害コストである。Cxは、停電対策x1、x2、またはx3を行なった場合の損害コスト、Cyは、停電対策y1、y2、またはy3を行なった場合の損害コストである。停電対策x1、x2、x3を行なった場合の対策コストは、それぞれRx1、Rx2、Rx3であり、停電対策y1、y2、y3を行なった場合の対策コストは、それぞれRy1、Ry2、Ry3である。
【0165】
図14に示すように停電対策x1、x2、x3、停電対策y1、y2、y3を行なった場合、それぞれ以下のように評価される。
[停電対策x1、x2、y1、y2を行なった場合]
改善コストCRx=損害コストC0-損害コストCx>対策コストRx
改善コストCRy=損害コストC0-損害コストCy>対策コストRy
→ OKと評価される
[停電対策x3、y3を行なった場合]
改善コストCRx=損害コストC0-損害コストCx<対策コストRx
改善コストCRy=損害コストC0-損害コストCy<対策コストRy
→ NGと評価される
【0166】
また、停電損害算出装置1の動作は、
図15に示すコンピュータプログラムにより実現されるものであってもよい。
図15に示すコンピュータプログラムは、停電損害算出装置1の演算部20に内蔵される。
【0167】
(ステップS01:停電被害カテゴリの選択)
演算部20は、停電被害カテゴリの選択を行う。ステップS01にかかる動作は、演算部20の停電被害カテゴリ選択部201により実行される。停電被害カテゴリ選択部201は、入力部10の需要家種類入力部101に入力された需要家の種類にかかる需要家種類情報を受信し、停電被害カテゴリを選択する。
【0168】
(ステップS02:重み付け係数Fの選択)
演算部20は、重み付け係数Fの選択を行う。ステップS02にかかる動作は、演算部20の損害コスト算出部202により実行される。損害コスト算出部202は、停電態様入力部102から受信した停電態様情報と、被害態様入力部103から受信した被害態様情報に基づき、重み付け係数Fを選択する。
【0169】
(ステップS03:損害コストCの算出)
演算部20は、損害コストCの算出を行う。ステップS03にかかる動作は、演算部20の損害コスト算出部202により実行される。損害コスト算出部202は、ステップS02で選択した重み付け係数Fと、需要家被害データ301に含まれた需要家別標準停電コストSに基づき、損害コストCを算出する。
【0170】
停電対策を行わない場合の損害コストC、停電対策を行なった場合の損害コストC、改善コストCRは、第3実施形態のように損害コスト算出部202により、停電規模情報にかかる停電の大きさを示すパラメータ、または被害規模情報にかかる被害の大きさに関するパラメータを変動させ、算出されるようにしてもよい。
【0171】
(ステップS21:損害コストCを被害の種別ごとに選別)
ステップS03の次にステップS21が実行される。演算部20は、損害コストCを被害の種別ごとに選別する。ステップS21にかかる動作は、演算部20の停電被害カテゴリ選定部203により実行される。
【0172】
(ステップS41:停電対策にかかる対策コストRの算出)
ステップS21の次にステップS41が実行される。演算部20は、停電対策にかかる対策コストRの算出を行う。ステップS41にかかる動作は、演算部20の対策コスト算出部204により実行される。
【0173】
対策コスト算出部204は、対策コスト入力部104に入力された対策コスト情報に基づき、対策コストRを算出する。対策コストRは、停電による損害を回避または軽減するための対策に関する費用である。
【0174】
(ステップS42:停電対策を行なった場合の改善コストCRの算出)
ステップS41の次にステップS42が実行される。演算部20は、損害コストCの改善額である改善コストCRの算出を行う。改善コストCRは、停電対策を行なった場合に軽減される損害コストCの額である。ステップS42にかかる動作は、演算部20のコスト評価部205により実行される。
【0175】
コスト評価部205は、対策コスト算出部204から対策コストRを、損害コスト算出部202から損害コストCを受信する。コスト評価部205は、停電対策を行わない場合の損害コストCと停電対策を行なった場合の損害コストCとの差分を算出し、改善コストCRとする。
【0176】
(ステップS43:改善コストCRと対策コストRとの比較)
ステップS42の次にステップS43が実行される。演算部20は、改善コストCRと対策コストRとの比較を行う。ステップS43にかかる動作は、演算部20のコスト評価部205により実行される。
【0177】
コスト評価部205は、改善コストCRと対策コストRを比較し、以下の評価を行う。コスト評価部205は、コスト評価データを作成する。
改善コストCR>対策コストR → OK
改善コストCR<対策コストR → NG
【0178】
コスト評価部205は、停電対策を行わない場合の損害コストC、停電対策を行なった場合の損害コストC、改善コストCR、対策コストRを含むコスト評価データを作成する。
【0179】
(ステップS44:コスト評価データを出力させる)
ステップS43の次にステップS44が実行される。演算部20は、出力部40にコスト評価データを出力させる指示を行う。
【0180】
以上が、本実施形態にかかる停電損害算出装置1の動作である。
【0181】
[4-2.効果]
本実施形態によれば、停電損害算出装置1は、停電による被害を軽減または防止する停電対策に関するコストである対策コストRを算出する対策コスト算出部204を備え、停電により発生する損害にかかる金額である損害コストCと対策コスト算出部204により算出された対策コストRを対比し、停電対策の評価を行うコスト評価部205と、を有するので、停電により発生する損害にかかる金額である損害コストCと、停電による被害を軽減または防止する停電対策に関するコストである対策コストRを、容易に比較することができ、使用者による停電対策の導入の判断に役立てることができる。
【0182】
本実施形態にかかる停電損害算出装置1を用いることにより、対策コストRと損害コストCを比較することができ、水素システムと蓄電池など複数の損害回避の手段ごと、損害回避のための一つの手段につき設備容量などの仕様、性能、稼働率などの違いごとのコスト差を把握することができる。
【0183】
需要家は、上記のように対策コストRと損害コストCの比較結果を、停電による損害を回避または軽減するための装置または設備の選定および仕様、性能条件の検討に役立てることができる。また、需要家は、停電の態様や被害の態様に応じて異なる損害コストCに応じ、停電対策を検討することができる。
【0184】
需要家は、停電損害算出装置1を用いることにより、停電による損害を回避または軽減するための装置または設備を導入した場合に発生する費用である対策コストRと、停電により発生する損失にかかるコストである損害コストCのバランスから、停電対策を決定することができる。本実施形態にかかる停電損害算出装置1は、各個別の需要家の停電対策に利用されてもよいし、自治体等による管轄対象地域全体の停電対策に利用されてもよい。
【0185】
[5.第5実施形態]
[5-1.構成および作用]
図16を参照して、第5実施形態にかかる停電損害算出装置1について説明する。第5実施形態にかかる停電損害算出装置1は、第4実施形態にかかる停電損害算出装置1に加え、入力部10に使用態様入力部105を有する。また、第5実施形態にかかる停電損害算出装置1の記憶部30は、需要家別被害コストデータ302を記憶する。第5実施形態にかかる停電損害算出装置1は、使用態様入力部105を有する点、および記憶部30が需要家別被害コストデータ302を記憶する点が、第4実施形態にかかる停電損害算出装置1と異なる。
【0186】
その他の第5実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成は、
図13に示す第4実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成と同じである。その他の第5実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成は、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態にかかる停電損害算出装置1の構成と同様であってもよい。第4実施形態にかかる停電損害算出装置1と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0187】
使用態様入力部105は、ディスプレイ上に配置されたタッチスイッチ、キーボード、マウス等の操作装置、または受信回路により構成される。使用態様入力部105は、損害コスト算出部202に接続される。
【0188】
作業者により操作され、使用態様入力部105から、需要家による電力の使用態様を示す情報が使用態様情報として入力される。使用態様情報は、例えば在宅時の活動内容、電化率、電気自動車(EV)の所有、および性別、年齢などの需要家による電気の使用態様を表す情報である。使用態様情報の一例を
図17に示す。使用態様入力部105は、使用態様情報を演算部20の損害コスト算出部202に送信する。
【0189】
記憶部30は、需要家による電力の使用態様別に、使用態様別基準コストUを需要家別被害コストデータ302として予め設定され記憶している。使用態様別基準コストUは、需要家による電力の使用態様ごとの、停電により受ける損害の単位あたりの基準となるコストである。記憶部30に記憶された需要家別被害コストデータ302は、演算部20の損害コスト算出部202に送信される。
【0190】
損害コスト算出部202は、使用態様入力部105から使用態様情報を、記憶部30から需要家別被害コストデータ302を受信する。損害コスト算出部202は、需要家別被害コストデータ302から使用態様情報に対応する使用態様別基準コストUを選択し、損害コストCの算出を行う。算出された損害コストCは、損害コストデータとして出力部40から出力される。
【0191】
本実施形態にかかる停電損害算出装置1の損害コスト算出部202は、入力された需要家による電力の使用態様を示す使用態様情報に基づき、記憶された、停電により受ける損害の単位あたりの基準となるコストにかかるデータである需要家別被害コストデータ302から、需要家による電力の使用態様に対応した使用態様別基準コストUを選択し、選択した使用態様別基準コストUを需要家別標準停電コストSに含め、停電により発生する損害にかかる金額である損害コストCを算出する。
【0192】
第5実施形態にかかる停電損害算出装置1の動作の詳細は、以下のとおりである。
【0193】
記憶部30は、需要家による電力の使用態様別に、使用態様別基準コストUを、需要家別被害コストデータ302として予め設定され記憶している。これらのデータは、例えば仮想評価法等のアンケートにより得られたデータに基づき作成される。これらのデータは、過去の事例に基づき作成されたものであってもよい。
【0194】
需要家別被害コストデータ302は、例えば需要家の性別、年齢、在宅時の活動内容、電化率、電気自動車(EV)所有の有無等のカテゴリーごとの使用態様別基準コストUに関するデータである。
【0195】
使用態様入力部105は、作業者により操作され使用態様情報が入力される。使用態様情報は、需要家による電力の使用態様を示す情報である。作業者は、使用態様入力部105を操作し、需要家による電力の使用態様を入力する。作業者により入力された電力の使用態様の特徴が、使用態様情報とされる。
【0196】
例えば、使用態様入力部105のディスプレイ上に選択肢が表示され、作業者は需要家による電力の使用態様の特徴に合致する選択肢を選択するようにしてもよい。一例として使用態様に関する選択肢は、需要家の性別、年齢、在宅時間(時間帯、月平均滞在時間)、在宅時の活動内容(在宅勤務、家事労働、家庭内業務など)、電気自動車(EV)の所有、電化率、大型家電の所有について設けられている。
【0197】
使用態様情報は、上記のように選択肢が選択されて入力されたデータに基づき作成されるものであってもよいし、質問に対して自由記述により入力されたデータに基づき作成されるものであってもよい。または使用態様情報は、通信機能付き電力量計(いわゆるスマートメータ)等を介して使用態様入力部105に入力されたデータに基づき作成されたものであってもよい。
【0198】
損害コスト算出部202は、使用態様入力部105から受信した使用態様情報、記憶部30から受信した需要家別被害コストデータ302にかかる使用態様別基準コストUに基づき、損害コストCの算出を行う。
【0199】
使用態様別基準コストUは、需要家による電力の使用態様ごとの、停電により受ける損害の単位あたりの基準となるコストである。使用態様別基準コストUは、例えば、使用電力量1kWhを単位とする。例えば、男性:10円、20代:15円、在宅勤務:50円、電化率100%:50円、電気自動車(EV)所有あり:50円である場合、使用態様別基準コストUは、単位となる電力量1kWhにつき175円である。加えて、評価対象が複数種類の需要家の集合体と想定される場合については、各需要家の使用様態別コストと各需要家の構成比率に応じて、代表値としての使用様態別コストを算出することも可能である。
【0200】
損害コスト算出部202は、損害コストCを(式7)により算出する。
C=H*U
・・・・・(式7)
(式7)において各パラメータは以下のとおりである。
H:停電時間における逸失電力量(kWh)
U:使用態様別基準コスト(円/kWh)
【0201】
(式7)において、使用態様別基準コストUの値は、需要家属性情報にかかる性別、年齢、職業、在宅時の活動内容、電化率、大型家電等の所有によって変化する。使用態様別基準コストUの値は、電力の料金ではなく、停電に起因して発生した損害にかかるコストである。
【0202】
損害コスト算出部202は、需要家が停電発生時に被害を受ける場合における、需要家による電力の使用態様ごとに異なる損害コストCの大きさを算出する。損害コスト算出部202は、使用態様情報に基づき、需要家ごとに異なる損害コストCの大きさを算出する。算出された損害コストCは、損害コストデータとして出力部40から出力される。
【0203】
上記の停電損害算出装置1の動作は、コンピュータプログラムにより実現されるものであってもよい。
【0204】
上記では、記憶部30の需要家別被害コストデータ302は、需要家による電力の使用態様別の使用態様別基準コストUを記憶するものとした。これに代替し、記憶部30の需要家別被害コストデータ302は、需要家による電力の使用態様別に、第2の重み付け係数Gを記憶するようにしてもよい。第1実施形態~第3実施形態の損害コスト算出部202により算出された損害コストCに第2の重み付け係数Gを乗算し、新たな損害コストCを算出するようにしてもよい。
【0205】
以上が、本実施形態にかかる停電損害算出装置1の動作である。
【0206】
[5-2.効果]
本実施形態によれば、停電損害算出装置1の損害コスト算出部202は、入力された需要家による電力の使用態様を示す使用態様情報に基づき、記憶された、停電により受ける損害の単位あたりの基準となるコストにかかるデータである需要家別被害コストデータ302から、需要家による電力の使用態様に対応した使用態様別基準コストUを選択し、選択した使用態様別基準コストUを需要家別標準停電コストSに含め、停電により発生する損害にかかる金額である損害コストCを算出するので、需要家による電力の使用態様に対応した、損害コストCを精度よく算出することができる。
【0207】
一般需要家における停電発生時の被害は、具体化されにくかった。このため従来技術では、精度よく損害コストCを算出することは困難であった。本実施形態にかかる停電損害算出装置1は、需要家による電力の使用態様の特徴を示す使用態様情報に基づき、精度よく個別の需要家の損害コストCの算出を行う。個別の需要家の損害コストCにかかるデータは、自治体により収集されることにより、自治体トータルの損害コストCの推測に役立てることができる。
【0208】
本実施形態にかかる停電損害算出装置1は、需要家として特に一般市民を想定している。停電損害算出装置1は、電力の使用態様により異なる個別の需要家の損害コストCの大きさを可視化することができる。一般市民である需要家は、需要家ごとに生活態様、電気の使用態様において個別の特徴を有する。
【0209】
本実施形態にかかる停電損害算出装置1は、これらの需要家の電力の使用態様に応じ、より精度よく損害コストCを算出する。停電損害算出装置1は、金銭的価値では表すことが困難な心理的ダメージや環境負荷排出コストなどを含め、需要家により回避可能な被害種類の選別や、停電被害対策の対応順位の決定のサポートに用いられる。停電損害算出装置1は、各個別の需要家の損害コストCの把握に加え、ユニバーサルサービス、高齢化などへの対応も要求される自治体等による、管轄対象地域全体の損害コストCの把握に役立てられる。
【0210】
[6.他の実施形態]
変形例を含めた実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下は、その一例である。
【0211】
(1)上記実施形態における各部は、停電損害算出装置用コンピュータプログラムにかかるステップ、または停電損害算出方法にかかる手順により実現されるものであってもよい。停電被害カテゴリ選択部201により実行されるステップが停電被害カテゴリ選択ステップ、実行される手順が停電被害カテゴリ選択手順により実現されるものであってもよい。ステップS01が停電被害カテゴリ選択ステップ、停電被害カテゴリ選択手順に相当する。損害コスト算出部202により実行されるステップが損害コスト算出ステップ、実行される手順が損害コスト算出手順により実現されるものであってもよい。ステップS02、ステップS03が損害コスト算出ステップ、損害コスト算出手順に相当する。
【0212】
(2)記憶部30に記憶されるデータは、上記実施形態に限られない。上記実施形態に加えて任意のデータが記憶部30に記憶されるようにしてもよい。
【0213】
(3)上記実施形態において、記憶部30は、停電損害算出装置1の内部に設けられるものとした。しかしながら、記憶部30は、停電損害算出装置1の外部に設けられるものであってもよい。例えば、記憶部30は、停電損害算出装置1の外部のサーバーやクラウドに設けられたものであってもよい。
【符号の説明】
【0214】
1・・・停電損害算出装置
10・・・入力部
101・・・需要家種類入力部
102・・・停電態様入力部
103・・・被害態様入力部
104・・・対策コスト入力部
105・・・使用態様入力部
20・・・演算部
201・・・停電被害カテゴリ選択部
202・・・損害コスト算出部
203・・・停電被害カテゴリ選定部
204・・・対策コスト算出部
205・・・コスト評価部
30・・・記憶部
301・・・需要家被害データ
302・・・需要家別被害コストデータ
40・・・出力部