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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150075
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】剥離検知ラベル及び剥離検知方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/03 20060101AFI20241016BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241016BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20241016BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G09F3/03 E
B32B27/00 M
C09J7/38
C09J201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063307
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大畠 健二
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AK15D
4F100AT00A
4F100AT00B
4F100AT00D
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10E
4F100CB05C
4F100CB05E
4F100DC00B
4F100HB31
4F100JK02D
4F100JK06C
4F100JK06E
4F100JK08D
4F100YY00C
4F100YY00D
4F100YY00E
4J004AA05
4J004AA10
4J004AA15
4J004AB01
4J004BA02
4J004CB03
4J004CC02
4J004DB02
4J040CA001
4J040DF001
4J040ED001
4J040EK031
4J040JA09
4J040JB09
(57)【要約】
【課題】剥離されたことの検知が容易であり、かつ、剥離後には、被着体から容易に剥がすことができない剥離検知ラベルを提供する。
【解決手段】本発明は、剥離検知ラベル100であって、第1ラベル10と、第1ラベル10の上に設けられた第2ラベル20とを備えてなり、第1ラベル10側の表面が第1主面10aを構成し、第2ラベル20側の表面が第2主面20aを構成し、第1ラベル10が、第1主面10a側から、永久接着タイプ粘着剤層11、及び脆質性フィルム基材12をこの順に備え、第2ラベル20が、第2主面20a側から、少なくとも、支持体31、支持体31の表面31aの一部に形成されたパターン層32、基材層(Y)34、及び再剥離タイプ粘着剤層(X)33をこの順に備える剥離検知ラベルである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離検知ラベルであって、
第1ラベルと、該第1ラベルの上に設けられた第2ラベルとを備えてなり、前記第1ラベル側の表面が第1主面を構成し、前記第2ラベル側の表面が第2主面を構成し、
前記第1ラベルが、前記第1主面側から、永久接着タイプ粘着剤層、及び脆質性フィルム基材をこの順に備え、
前記第2ラベルが、前記第2主面側から、少なくとも、支持体、該支持体の表面の一部に形成されたパターン層、基材層(Y)、及び再剥離タイプ粘着剤層(X)をこの順に備える剥離検知ラベル。
【請求項2】
前記脆質性フィルム基材が、製膜方向(MD)に対してJIS Z0237:2009に準拠して測定される引張破断伸度が20%以下である請求項1記載の剥離検知ラベル。
【請求項3】
前記脆質性フィルム基材が、製膜方向(MD)に対してJIS Z0237:2009に準拠して測定される引張破断強度が100N/15mm以下である請求項1記載の剥離検知ラベル。
【請求項4】
前記永久接着タイプ粘着剤層の粘着力が、5N/25mm以上40.0N/25mm以下であり、
前記再剥離タイプ粘着剤層(X)の粘着力が、0.1N/25mm以上30.0N/25mm以下であり、
前記永久接着タイプ粘着剤層の粘着力が、再剥離タイプ粘着剤層(X)の粘着力より大きい請求項1記載の剥離検知ラベル。
【請求項5】
前記第2ラベルが、前記パターン層と、前記基材層(Y)との間に、第1の粘着剤層を有し、
前記永久接着タイプ粘着剤層の粘着力が、5N/25mm以上40.0N/25mm以下であり、
前記再剥離タイプ粘着剤層(X)の粘着力が、0.1N/25mm以上30.0N/25mm以下であり、
前記永久接着タイプ粘着剤層の粘着力が、再剥離タイプ粘着剤層(X)の粘着力より大きく、かつ、前記第1の粘着剤層の粘着力が、前記再剥離タイプ粘着剤層(X)の粘着力より大きい請求項1記載の剥離検知ラベル。
【請求項6】
前記第1ラベルが、前記脆質性フィルム基材の前記第2ラベル側に第1ベタ印刷層を有し、
前記第2ラベルが、前記支持体と前記再剥離タイプ粘着層(X)の間に第2ベタ印刷層を有する請求項1記載の請求項1記載の剥離検知ラベル。
【請求項7】
前記第1ラベルの前記第1主面側に、剥離材を有する請求項1記載の剥離検知ラベル。
【請求項8】
前記第2ラベルの前記第2主面側に、印刷コート層を有する請求項1記載の剥離検知ラベル。
【請求項9】
剥離検知ラベルが剥離されたことを検知する方法であって、
前記剥離検知ラベルが、第1ラベルと、該第1ラベルの上に設けられた第2ラベルとを備えてなり、前記第1ラベル側の表面が第1主面を構成し、前記第2ラベル側の表面が第2主面を構成し、
前記第1ラベルが、前記第1主面側から、永久接着タイプ粘着剤層、及び脆質性フィルム基材をこの順に備え、
前記第2ラベルが、前記第2主面側から、支持体、該支持体の表面の一部に形成されたパターン層、基材層(Y)、及び再剥離タイプ粘着剤層(X)を、この順に備え、
前記剥離検知ラベルは、前記第1ラベルの前記第1主面が被着体に貼付され、
前記剥離検知ラベルを剥離しようとした場合に、前記第2ラベルのみが剥離され、前記第2ラベルの剥離前後で、前記第2ラベルに、前記パターン層のパターンが発現するとともに、前記第1ラベルは前記被着体に残存することにより、不正に前記剥離検知ラベルが剥離されたことを検知する剥離検知方法。
【請求項10】
前記第2ラベルの剥離前後で、前記剥離検知ラベル全体の色から、前記第1ラベル及び前記第2ラベルに固有の色が発現することにより、不正に前記剥離検知ラベルが剥離されたことを検知する請求項9記載の剥離検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離検知ラベル及び剥離検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製品に貼ることでセキュリティ性能を付与できるラベル素材はVOID(ボイド)ラベルとして広く知られている。
例えば、文字パターンを有する粘着層と基材シートとからなる改ざん防止ラベルであって、粘着層側を被着体に貼付した後、ラベルを剥がすと、粘着層の文字が被着体に転写される文字転写タイプの改ざん防止ラベルが知られている。このタイプの改ざん防止ラベルは、高価な電子機器、精密機械部品のコーションラベル、封印用に用いられる。
また、ラベルを剥がすと、ラベルに文字が浮き出て、被着体には痕跡が残らない非転着タイプの改ざん防止ラベルも知られている。このタイプの改ざん防止ラベルは、ラベルに文字が浮き出ることで、ラベルの再利用ができないため、薬品、化粧箱等の不正開封を防止する目的、正規製品のラベルを剥がして別の製品に貼付する模倣手段に用いられることを防止する目的等で用いられる。また、このタイプの改ざん防止ラベルは、ラベルが被着体に残らないため、高価な容器を再利用したい場合に有用である。
またさらに、バーコード等を記したシールでは、基材が容易に破壊されるタイプの改ざん防止ラベルが用いられている。このタイプの改ざん防止ラベルは、正規製品のバーコードラベルを剥がして別の製品に貼付する模倣手段に用いられることを防止する目的で用いられる。
【0003】
特許文献1には、被着体から不正に剥離されたことを検知できながらも使用後に被着体からきれいに剥離することができることを目的とした剥離検知ラベルが開示されている。この剥離検知ラベルは、第1のシートと第2のシートとが貼着され、第2のシートの第1のシートとの貼着面とは反対側の面に積層された粘着層によって被着体に貼着された後、第1のシートと第2のシートとが剥離されることで被着体からの剥離を検知可能な剥離検知ラベルであって、第2のシートは、分割線によって2つの領域に分割され、該2つの領域のそれぞれは、被着体への貼着面のうち分割線の少なくとも一部に沿う領域が、被着体に貼着されない非貼着部となっているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2014-215350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のような剥離検知ラベルでは、被着体に貼着されている側のシートが、被着体から綺麗に剥がれることで、改ざん防止ラベル自体が元々貼付されていたかどうかの判断ができない場合がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、剥離されたことの検知が容易であり、かつ、剥離後には、被着体から容易に剥がすことができない剥離検知ラベル及び剥離検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、鋭意検討の結果、上層のシートを剥離することで、剥離したシートに文字等が発現して、剥離されたことの検知ができる第2ラベルと、被着体に貼着できるが、第2ラベルを剥離する際には、被着体から剥がれることがないよう、粘着力が高く、かつ脆質な基材を備えた第1のラベルとを備えることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は、剥離検知ラベルであって、第1ラベルと、第1ラベルの上に設けられた第2ラベルとを備えてなり、第1ラベル側の表面が第1主面を構成し、第2ラベル側の表面が第2主面を構成し、第1ラベルが、第1主面側から、永久接着タイプ粘着剤層、及び脆質性フィルム基材をこの順に備え、第2ラベルが、第2主面側から、少なくとも、支持体、支持体の表面の一部に形成されたパターン層、基材層(Y)、及び再剥離タイプ粘着剤層(X)をこの順に備える剥離検知ラベルである。
【0008】
脆質性フィルム基材は、製膜方向(MD)に対してJIS Z0237:2009に準拠して測定される引張破断伸度が20%以下であることが好ましい。
【0009】
脆質性フィルム基材は、製膜方向(MD)に対してJIS Z0237:2009に準拠して測定される引張破断強度が100N/15mm以下であることが好ましい。
【0010】
永久接着タイプ粘着剤層の粘着力は、5N/25mm以上40.0N/25mm以下であり、再剥離タイプ粘着剤層(X)の粘着力は、0.1N/25mm以上30.0N/25mm以下であり、永久接着タイプ粘着剤層の粘着力は、再剥離タイプ粘着剤層(X)の粘着力より大きいことが好ましい。
【0011】
第2ラベルは、パターン層と、基材層(Y)との間に、第1の粘着剤層を有し、永久接着タイプ粘着剤層の粘着力は、5N/25mm以上40.0N/25mm以下であり、再剥離タイプ粘着剤層(X)の粘着力は、0.1N/25mm以上30.0N/25mm以下であり、永久接着タイプ粘着剤層の粘着力は、再剥離タイプ粘着剤層(X)の粘着力より大きく、かつ、第1の粘着剤層の粘着力は、再剥離タイプ粘着剤層(X)の粘着力より大きいことが好ましい。
【0012】
第1ラベルは、脆質性フィルム基材の第2ラベル側に第1ベタ印刷層を有し、第2ラベルは、支持体と再剥離タイプ粘着層(X)の間に第2ベタ印刷層を有することが好ましい。
【0013】
第1ラベルの第1主面側に、剥離材を有することが好ましい。
【0014】
第2ラベルの第2主面側に、印刷コート層を有することが好ましい。
【0015】
本発明の剥離検知方法は、剥離検知ラベルが剥離されたことを検知する方法であって、剥離検知ラベルが、第1ラベルと、第1ラベルの上に設けられた第2ラベルとを備えてなり、第1ラベル側の表面が第1主面を構成し、第2ラベル側の表面が第2主面を構成し、第1ラベルが、第1主面側から、永久接着タイプ粘着剤層、及び脆質性フィルム基材をこの順に備え、第2ラベルが、第2主面側から、支持体、支持体の表面の一部に形成されたパターン層、基材層(Y)、及び再剥離タイプ粘着剤層(X)を、この順に備え、剥離検知ラベルは、第1ラベルの第1主面が被着体に貼付され、剥離検知ラベルを剥離しようとした場合に、第2ラベルのみが剥離され、第2ラベルの剥離前後で、第2ラベルに、パターン層のパターンが発現するとともに、第1ラベルは被着体に残存することにより、不正に剥離検知ラベルが剥離されたことを検知する剥離検知方法である。
【0016】
本発明の剥離検知方法では、第2ラベルの剥離前後で、剥離検知ラベル全体の色から、第1ラベル及び第2ラベルに固有の色が発現することにより、不正に剥離検知ラベルが剥離されたことを検知するものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、剥離されたことの検知が容易であり、かつ、剥離後には、被着体から容易に剥がすことができない剥離検知ラベル及び剥離検知方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の剥離検知ラベルの一実施形態を示す断面模式図である。
図2】本発明の一実施形態の剥離検知ラベルを被着体から剥離する途中の状態を示す断面模式図である。
図3】本発明の剥離検知ラベルの他の実施形態を示す断面模式図である。
図4】本発明の剥離検知ラベルのさらに他の実施形態を示す断面模式図である。
図5】剥離材を備えた剥離検知ラベルの一実施形態を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作及び物性の測定等は、室温(20~25℃)/相対湿度45~55%RHの条件で行う。さらに、本明細書において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語も同様である。
【0020】
本発明において、対象となる樹脂が、「粘着性樹脂」又は「非粘着性樹脂」のどちらに属するかの判断は、次の手順(1)~(4)に基づいて行う。
・手順(1):対象となる樹脂のみから形成した厚さ20μmの樹脂層を、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に設け、縦300mm×横25mmの大きさに切断した試験片を作製する。
・手順(2):23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、当該試験片の樹脂層の表出している側の表面を、ステンレス板(SUS304 360番研磨)に貼付し、同環境下で24時間静置する。
・手順(3):静置後、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引張速度300mm/分にて、粘着力を測定する。
・手順(4):測定した粘着力が0.1N/25mm以上であれば、対象となる樹脂は「粘着性樹脂」と判断する。一方、測定した粘着力が0.1N/25mm未満であれば、対象となる樹脂は「非粘着性樹脂」と判断する。
【0021】
本発明において、「有効成分」とは、対象となる組成物に含まれる成分のうち、希釈溶媒を除いた成分を指す。
また、本発明において、「視覚的に検知可能」とは、剥離検知ラベルの再剥離前後の変化を人間の目で確認できることをいう。
また、質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
また、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。同様に、例えば、「好ましくは10以上、より好ましくは30以上であり、そして、好ましくは90以下、より好ましくは60以下である」という記載からも、好適範囲として、「10以上60以下」を選択することもでき、また、単に、「60以下」という範囲を選択することもできる。
【0022】
[剥離検知ラベル]
本発明の一実施形態の剥離検知ラベル100について、図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、剥離検知ラベル100は、第1ラベル10と、第1ラベル10の上に設けられた第2ラベル20とを備えてなり、第1ラベル10側の表面10aが第1主面を構成し、第2ラベル20側の表面20aが第2主面を構成している。以下、第1ラベル10側の表面10aを「第1主面10a」と記載し、第2ラベル20側の表面20aを「第2主面20a」と記載する場合がある。
第1ラベル10は、第1主面10a側から、永久接着タイプ粘着剤層11、及び脆質性フィルム基材12をこの順に備え、第2ラベル20は、第2主面20a側から、支持体31、支持体31の表面31aの一部に形成されたパターン層32、基材層(Y)34、及び再剥離タイプ粘着剤層(X)33をこの順に備える。
【0023】
剥離検知ラベル100は、図2に示すように、永久接着タイプ粘着剤層11を被着体200に貼付して使用するものである。一旦貼付された剥離検知ラベル100を被着体200から剥離しようとすると、永久接着タイプ粘着剤層11の粘着力が、再剥離タイプ粘着剤層(X)33の粘着力より大きいため、第2ラベル20が剥離される。それと同時に、支持体31とパターン層32との間で界面剥離が起こり、空隙40が生じることにより、第2ラベル20にパターンが発現し、視覚的に剥離検知ラベル100が被着体200から剥離されたか否かの検知が可能となる。
また、剥離検知ラベル100は、永久接着タイプ粘着剤層11と脆質性フィルム基材12とを備える第1ラベル10が被着体200に貼付されている。第2ラベル20を剥がした後、更に第1ラベル10を被着体200から剥がそうとしても、第1ラベル10が破壊されて第1ラベル10を剥がすことができないので、被着体200に第1ラベル10を剥がした証拠が残ることとなる。第1ラベル10が破壊されることにより、第1ラベル10を、貼り直す、又は再使用することができない。
上記のとおり、本発明の剥離検知ラベル100は、第1ラベル10と第2ラベル20とで、二重の剥離検知機能を有しており、優れた改ざん及び不正開封防止効果を有し、セキュリティ性が高い剥離検知ラベルである。
【0024】
(他の実施態様)
本発明の他の実施形態の剥離検知ラベル110について、図3を参照しながら説明する。
図3に示すように、剥離検知ラベル110は、支持体31の表面31aの一部に形成されたパターン層32と、基材層(Y)34の間に、第1の粘着剤層(X1)(以下、単に「粘着剤層(X1)」とも記載する。)33Aを備える点で、剥離検知ラベル100と異なる。本実施形態は、基材層(Y)34を、第1の粘着剤層(X1)33Aと再剥離タイプ粘着剤層(X)33との間に有するため、パターン層32の発現がし易く、第2ラベル20の、より好ましい態様である。
【0025】
(さらに他の実施態様)
本発明のさらに他の実施形態の剥離検知ラベル120について、図4を参照しながら説明する。
図4に示すように、剥離検知ラベル120は、第1ラベル10が、第1主面側10aから、永久接着タイプ粘着剤層11、脆質性フィルム基材12、及び第1ベタ印刷層15をこの順に備えるものである。そして、第2ラベル20が、第2主面側20aから、印刷コート層50、支持体31、支持体31の表面31aの一部に形成されたパターン層32、第2ベタ印刷層35、粘着剤層(X1)33A、基材層(Y)34、及び再剥離タイプ粘着剤層(X)33を、この順に備えるものである。
【0026】
本実施形態の剥離検知ラベル120は、第2ラベル20の剥離前後で、剥離検知ラベル120全体の色から、第1ラベル10及び第2ラベル20に固有の色が発現することにより、不正に剥離検知ラベル120が剥離されたことを検知することができるものである。
詳細は後述する。
【0027】
以下、第1ラベル及び第2ラベルの詳細を説明する。
1.第1ラベル
第1ラベル10は、第1主面10a側から、永久接着タイプ粘着剤層11及び脆質性フィルム基材12をこの順に備える。
【0028】
1.1.永久接着タイプ粘着剤層
第1ラベル10は、永久接着タイプ粘着剤層11によって、被着体200に貼付される。
永久接着タイプ粘着剤層11に使用できる粘着剤としては、特に制限されることなく、公知の粘着剤を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
永久接着タイプ粘着剤層11の粘着剤としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、又はシリコーン系粘着剤を主剤とする粘着剤が挙げられる。この中でも、アクリル系粘着剤を用いることが好ましい。アクリル系粘着剤は、耐候性に優れ、また、比較的安価に得ることができる。
【0029】
また、永久接着タイプ粘着剤層11には、必要に応じて粘着性付与剤、充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤等の公知の各種添加剤が含まれていてもよい。
【0030】
(永久接着タイプ粘着剤層の粘着力)
第1ラベル10における永久接着タイプ粘着剤層11の粘着力は、下記粘着力試験において、粘着力が5N/25mm以上であることが好ましく、8N/25mm以上であることがより好ましい。永久接着タイプ粘着剤層11の粘着力の上限値は特に限定されないが、好ましくは40.0N/25mm以下、より好ましくは35.0N/25mm以下である。永久接着タイプ粘着剤層11の粘着力が上記範囲内であることで、被着体200への粘着力が良好なものとなり、被着体200からの剥離時に、第1ラベル10が破壊されやすくなる。
【0031】
<永久接着タイプ粘着剤層の粘着力試験>
粘着力試験は、ISO 29862:2007(JIS Z0237:2009)に準拠して、第1ラベル10の試験片をSUS304鋼板(試験板)に質量2kgのローラを1往復させて圧着しながら貼付し、剥離速度300mm/minの条件で、試験片を試験板に対して180°に引きはがす試験方法により測定する。
第1ラベル10の試験片は、試験時におけるラベルの破断を防止するため、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートを基材とする粘着テープで補強したものを用いる。試験片のサイズは幅25mm、長さ100mm以上とする。
【0032】
(永久接着タイプ粘着剤層の厚さ)
永久接着タイプ粘着剤層11の厚さは、10μm以上50μm以下であることが好ましく、15μm以上40μm以下であることがより好ましい。これにより、第1ラベル10は、十分な粘着性(タック)及び粘着力を有しつつ、被着体200への貼付時においてラベル端部で粘着剤がはみだすこと、及び、ラベルの端部に露出した粘着剤によってゴミが付着することが防止される。
【0033】
1.2.脆質性フィルム基材
脆質性フィルム基材12は、比較的もろく裂けやすい素材からなることが好ましく、例えば、グラシン紙、透明紙などの紙類、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ乳酸樹脂、セロファンフィルムなどからなるシートが好適に使用できる。
【0034】
以下に述べる脆質性フィルム基材12の製膜方向(以下、Machine direction:MDともいう)は、脆質性フィルム基材12を製膜する際の製膜方向と一致するものであり、フィルムの長手方向とも一致する。脆質性フィルム基材12の製膜方向に対して90°の方向(以下、Cross machine direction: CDともいう)は、脆質性フィルム基材12を製膜する際の製膜方向に対して90°の方向となるものであり、フィルムの幅方向とも一致する。
脆質性フィルム基材12の製膜方向は、当業者であればフィルム性状を確認することで容易に判別可能である。
【0035】
脆質性フィルム基材12は、製膜方向(MD)に対してJIS Z0237:2009に準拠して測定される引張破断伸度が20%以下であることが好ましく、1%以上10%以下であることがより好ましく、3%以上7%以下であることがさらに好ましい。脆質性フィルム基材12の製膜方向に対しての引張破断伸度が上記範囲内であることにより、製造されたラベルは脆質性が良好なものとなる。すなわち、ラベルを剥がそうとして脆質性フィルム基材12に力がかけられたときに、脆質性フィルム基材12が伸びにくいことで脆質性フィルム基材12が切れやすいものとなる。
【0036】
また、脆質性フィルム基材12は、製膜方向(MD)に対してJIS Z0237:2009に準拠して測定される引張破断強度が100N/15mm以下であることが好ましく、15N/15mm以上50N/15mm以下であることがより好ましく、28N/15mm以上35N/15mm以下であることがさらに好ましい。脆質性フィルム基材12の製膜方向に対しての引張破断強度が上記範囲であることにより、製造されたラベルの脆質性が良好なものとなる。
すなわち、被着体からラベルを剥がそうとして脆質性フィルム基材12に力がかけられたときに、脆質性フィルム基材12が切れやすいものとなる。
【0037】
(脆質性フィルム基材の厚さ)
脆質性フィルム基材12の厚さは、10μm以上120μm以下であることが好ましく、25μm以上100μm以下であることがより好ましく、40μm以上80μm以下であることがさらに好ましい。これにより、第1ラベル10は、適度な剛性を有する。また、第1ラベル10を用いて製造されるラベルは、OA機器等の筺体に添付する際に、気泡の巻き込みやシワの発生が好適に防止されたものとなる。
また、製造された帯状の第1ラベル10を巻き取る際において、粘着剤と剥離ライナーとの間に浮きが発生することが確実に防止される。
【0038】
なお、本明細書において、「厚さ」は、無作為に選定した5箇所で厚さを測定した平均で表される値として、JIS K7130に準じて、定圧厚さ測定器を用いて取得できる。ここでのJIS K7130は、ISO 4593, Plastics-Film and sheeting-Determination of thickness by mechanical scanningを翻訳し、技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。
ここで、基材又は層の厚さは、基材又は層の全体の厚さを意味し、例えば、脆質性フィルム基材12が複数層からなる場合、厚さとは、脆質性フィルム基材12本体を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
【0039】
1.3.剥離材
図5に示すように、第1ラベル10は、第1主面10aに剥離材60を備えていてもよい。
剥離材60の基材としては、例えば、上質紙、グラシン紙、クラフト紙等の紙類;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム;等が挙げられる。
【0040】
離型処理を行うための離型処理剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
【0041】
(剥離材の厚さ)
剥離材60の厚さは、特に限定されないが、好ましくは10μm以上200μm以下、より好ましくは25μm以上170μm以下、更に好ましくは30μm以上125μm以下、より更に好ましくは50μm以上100μm以下である。
【0042】
剥離材60を除く、第1ラベル10の厚さは、目的に応じて適宜選択できるが、20μm以上200μm以下であることが好ましく、60μm以上150μm以下であることがより好ましく、70μm以上90μm以下であることが特に好ましい。
第1ラベル10の厚さは、後述の方法により測定することができる。
【0043】
1.4.第1ベタ印刷層
図4に示すように、第1ラベル10は、脆質性フィルム基材12の第2ラベル20側に第1ベタ印刷層15を有してもよい。
第1ベタ印刷層15としては、水系インク、溶剤系インク等により形成されたもの、紫外線硬化型のインクを用いて形成されたものが挙げられる。第1ベタ印刷層15の色は、後述の第2ベタ印刷層35の色と異なるようにすることが好ましい。
第1ベタ印刷層15は、後述の第2ラベル20に第2ベタ印刷層35を設けて、互いの色を異ならせることによって、剥離検知ラベル100を剥離しようとした場合に、第2ラベル20のみが剥離されると、第2ラベル20の剥離前後で、ラベルの色が変化することにより、不正にラベルが剥離されたことを検知することが可能となる。
例えば、第1ベタ印刷層15の色を、青色とし、第2ベタ印刷層35を、黄色とすることで、剥離検知ラベル120全体の色は、緑色となる。剥離検知ラベル120を剥がそうとすると、第2ラベル20が剥離され、青色の第1のラベル10が被着体に残ることとなるので、ラベル全体の色が、緑色から青色に変わるため、不正にラベルが剥離されたことが検知できる。
また、剥離された第2ラベル20は、剥離されたことで、第2ラベル20固有の透明な黄色を示すこととなり、不正にラベルが剥離されたことがわかる。さらには、第2ラベル20には、パターン層32のパターンが発現することから、剥離したことの痕跡が残る。
第1ベタ印刷層と第2ベタ印刷層35の色は、上記に限られるものではなく、多様な組合せが可能である。
【0044】
2.第2ラベル
図1に示すように、第2ラベル20は、第2主面20a側から、支持体31、支持体31の表面31aの一部に形成されたパターン層32、基材層(Y)34、及び再剥離タイプ粘着剤層(X)33を、この順に備えるものである。
図2に示すように、剥離検知ラベル100を被着体200から剥離しようとすると、第2ラベル20が剥離され、かつ、支持体31とパターン層32との間で界面剥離が起こり、空隙40が生じることにより、第2ラベル20にパターンが発現し、視覚的に剥離検知ラベル100が被着体200から剥離されたか否かが検知可能となる。
【0045】
また、第2ラベル20の他の態様としては、再剥離タイプ粘着剤層(X)33の貼付表面上に、更に異なる形成材料である組成物から形成した粘着剤層(Xn)を積層した構成としてもよい(図示せず)。nは3以上の整数を表す。
さらに、第2ラベル20の他の態様としては、基材層(Y)34と再剥離タイプ粘着剤層(X)33との間に、更に異なる形成材料である組成物から形成した中間層(M)(例えば、プライマー層、金属系蒸着膜や着色層等)を積層した構成としてもよい(図示せず)。
【0046】
2.1.支持体
支持体31としては、特に限定されないが、パターン層32が形成される側の表面32aが、梨地処理されている支持体であることが好ましい。ここで、梨地処理とは、支持体31の表面31aを、微細な凹凸が形成された面に加工する処理のことをいい、梨地とは、一般的には、梨の皮の表面のようにざらついている面である。なお、本明細書で、「梨地処理されてなる表面」は、その微細凹凸面が不規則な形状であってもよく、規則的な形状であってもよい。
パターン層32が形成される側の支持体31の表面31aが、梨地処理されてなる表面であると、基材層(Y)34又は再剥離タイプ粘着剤層(X)33との界面密着性が向上し、これらの界面で界面剥離が生じることをより効果的に防止できるため好ましい。
また、例えば、支持体31の片面が梨地処理されている場合、支持体31とパターン層32との間で界面剥離が生じて剥離部分に空隙40が生じた場合、空隙40内に露出した梨地面上で光が乱反射し、剥離箇所が剥離前後で透明から半透明又は不透明に変化、又はマット調のパターンを形成することができる。それによって、剥離検知ラベル100の剥離を検知する際の視認性が向上するため好ましい。
【0047】
そのため、支持体31としては、支持体31が剥離検知ラベル100中に組み込まれた際、支持体31が透けて、第2主面20a側から、少なくとも支持体31の表面31a側に存在する任意の物体が目視で見える程度の透明性を有する支持体31であることが好ましい。
【0048】
このようなことから、支持体31としては、剥離検知ラベル100の剥離の有無が視覚的に検知可能な透明性を有し、かつ、パターン層32が形成される側の表面31aが梨地処理されてなる表面を有することがより好ましい。
具体的には、支持体31は、JIS K 7361-1:1997に準拠して測定される全光線透過率が80%以上であることが好ましい。
【0049】
支持体31としては、例えば、透明性のプラスチックフィルムが好ましく用いられる。プラスチックフィルムの材料としては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂;全芳香族ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン共重合体等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等のポリエステル系樹脂;ポリウレタンアクリレート等のポリウレタン系樹脂;ポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン系樹脂;ポリ(4-メチルペンテン-1);ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体;ポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ノルボルネン系樹脂;シクロオレフィン樹脂等が挙げられる。これらの中では、透明性や、コスト、汎用性の点から、ポリアミド、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
【0050】
また、梨地処理としては、例えば、梨地面を有するエンボスロールを用いたエンボス処理、サンドブラスト処理(サンドマット処理)、プラズマ処理、溶剤を用いるケミカルエッチング処理、透明な微細樹脂粒子の練り込み処理、マット材のコーティング処理等による微細凹凸化処理が挙げられる。これらの中では、コスト面、汎用性の観点から、好ましくは梨地面を有するエンボスロールを用いたエンボス処理又はサンドブラスト処理、より好ましくはサンドブラスト処理が挙げられる。
したがって、支持体31としては、パターン層32が形成される側の支持体31の表面31aが梨地処理されたポリアミドフィルム又はポリエステル系樹脂を材料とするフィルムがより好ましく、パターン層32が形成される側の支持体31の表面31aが梨地処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムが更に好ましい。
【0051】
支持体31の厚さとしては、好ましくは1μm以上150μm以下、より好ましくは5μm以上130μm以下、更に好ましくは10μm以上80μm以下、より更に好ましくは20μm以上60μm以下、より更に好ましくは30μm以上50μm以下である。
支持体31の厚さは、後述の方法により測定することができる。
【0052】
2.2.パターン層
パターン層32とは、剥離検知ラベル100の剥離時に、第2ラベル20が剥離されたことを視覚的に検知可能とするために必要となる層である。
パターン層32としては、第2ラベル20の剥離前にはパターンが潜在化していることが好ましいため、透明性を有する層であることが好ましい。透明性を有するパターン層32とすることで、第2ラベル20の剥離前後の変化がより明確になること、また、剥離検知ラベル100を被着体200に貼付している状態においては、剥離検知ラベル100を通して被着体200表面の文字や図柄といった情報も確認することも可能となる、または剥離検知ラベル自体が透明となりラベルを目立たなくできるといった観点からも好ましい。
【0053】
パターン層32としては、特に限定されないが、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリ(メタ)アクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂;ウレタン系樹脂;アクリルウレタン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等のポリエステル系樹脂;及びエポキシ系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む組成物から形成された層であることが好ましく、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む組成物から形成された層であることがより好ましく、アクリル系樹脂及びアクリルウレタン系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を含む組成物から形成された層であることが更に好ましく、アクリル系樹脂を含む組成物から形成された層であることがより更に好ましい。
【0054】
パターン層32は、再剥離タイプ粘着剤層(X)33の粘着力より低い粘着力となる樹脂から形成された層であることが好ましく、非粘着性樹脂から形成された層であることがより好ましい。
したがって、上記アクリル系樹脂を含む組成物から形成された層としては、後述するアクリル系樹脂のうち、再剥離タイプ粘着剤層(X)33で用いられる樹脂よりも粘着力の低い層を形成できるアクリル系樹脂で形成された層であることが好ましく、主モノマーがメチル(メタ)アクリレートであるアクリル系重合体を含む組成物から形成された層であることがより更に好ましい。ここで、「主モノマー」とは、重合体を形成するモノマー成分中で最も含有量(使用量)の多いモノマー成分をいう。
【0055】
また、剥離検知ラベル100を剥離しようとすると、第2ラベル20が剥離され、支持体31とパターン層32との間での界面剥離がより生じ易くなることから、例えば、パターン層32が基材層(Y)34で被覆される場合、パターン層32と支持体31との接着力が、基材層(Y)34と支持体31との接着力よりも低いことが好ましく、パターン層32と支持体31との接着力が、基材層(Y)34と支持体31との接着力よりも低く、かつパターン層32と基材層(Y)34との接着力よりも低いことがより好ましい。
更に同様の観点から、図3に示すような剥離検知ラベル110場合、パターン層32と支持体31との接着力が、粘着剤層(X1)33Aと支持体31との接着力よりも低いことが好ましく、パターン層32と支持体31との接着力が、粘着剤層(X1)33Aと支持体31との接着力よりも低く、かつパターン層32と粘着剤層(X1)33Aとの接着力よりも低いことがより好ましい。
また、このような態様であれば、例えば、支持体31とパターン層32との間の界面以外の界面で剥離が生じることを、より効果的に防止できる。
【0056】
パターン層32中、前述した各樹脂の合計含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、より更に好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは100質量%以下である。
【0057】
また、パターン層32は、支持体31の表面の一部に形成される。
ここで、「支持体31の表面の一部に形成される」とは、剥離検知ラベル100が実際に貼付されている状態のサイズ、又は使用するために所定のサイズに抜き加工された後の剥離検知ラベル100において、支持体31のパターン層32が形成されている表面上の面積100%中、パターン層が形成されている面積が100%未満であればよく、好ましくは1%以上99%以下、より好ましくは2%以上95%以下、更に好ましくは3%以上90%以下、より更に好ましくは5%以上80%以下、より更に好ましくは8%以上70%以下、より更に好ましくは10%以上60%以下、より更に好ましくは12%以上45%以下である。
【0058】
パターン層32の形成方法は、支持体31上に、パターン層32を形成できる方法であれば、特に限定されない。例えば、樹脂と溶剤とを含有するインクを用いて、一般的な印刷方法、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷等により形成することができる。
また、形成されるパターンの形状等も、第2ラベル20の剥離の有無が検知可能であれば特に限定されず、幾何学的なパターン又は図柄であってもよく、文字パターンであってもよい。
なお、パターンとは、必ずしも一定の規則性に基づいて「配置」されたものに限らず、不規則(ランダム)な形状のものも含むものとする。例えば、印刷方法を用いて特定の規則的形状を印刷するに限らず、単に、パターン層用原料を支持体上にスプレーする等、不規則(ランダム)な形状となるように処理した場合に、一部の箇所において、ランダムにラベルの色調や光透過性が変化して視覚的に認識できるような場合であっても、支持体31上に形成されたパターン層用原料から形成されている箇所は、パターン層32に含まれる。
ただし、より確実かつ明確に第2ラベル20の剥離の有無を検知する観点、また、どのラベルサイズに加工した場合、そのサイズに適したパターン層32を形成することができる観点等の、製造上及び製品品質上の観点からも、一定以上の面積で支持体31とパターン層32との界面が存在していることが好ましいため、所定の規則的なパターンを形成することが好ましい。
【0059】
また、前述のとおり、パターン層自体で所定のパターンを形成することが可能であるため、パターン層32が透明性を有する層である場合のパターンを隠し文字等の隠しパターンとして形成することができる。ここで、「隠しパターン」とは、第2ラベル20の剥離前には、形成されたパターンが透明であるため、顕在化していて視覚的には検知できず、第2ラベル20の離後にパターンが顕在化することで視覚的に検知できるようになるパターンを指す。
【0060】
また、前述のとおり、本発明で用いられるパターン層32は、パターン層32自体が支持体31から界面剥離するため、例えば、パターン層32として剥離層と印刷層といったようにそれぞれの機能を分離した層を設ける必要がなくなるといった利点がある。
そして、前述した第2ラベル20の構成とすることで、支持体31とパターン層32との間で界面剥離を生じさせ、一方でその他の箇所での界面剥離を効果的に抑制することができるため、パターン層32自体で文字のような比較的入り組んだ形状のパターンを形成した場合でも、第2ラベル20を剥離する際に、そのパターンを視覚的に検知できる程度に表示させることが可能になる。
【0061】
パターン層32の厚さとしては、図1のように支持体31が基材層(Y)34と接する態様である場合は、基材層(Y)34の厚さ未満であることが好ましく、また、図3の態様である場合は、粘着剤層(X1)33Aの厚さ未満であることが好ましい。パターン層32の厚さとしては、例えば、好ましくは0.05~16μm、より好ましくは0.1~12μm、更に好ましくは0.5~8μmである。
パターン層32の厚さは、後述の方法により測定することができる。
【0062】
2.3.1.再剥離タイプ粘着剤層(X)及び第1の粘着剤層(X1)
再剥離タイプ粘着剤層(X)33及び第1の粘着剤層(X1)33Aの粘着剤としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリイソブチレン系粘着剤、オレフィン系粘着剤、アクリルウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤を主剤とする粘着剤等が挙げられる。これらの粘着剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。再剥離タイプ粘着剤層(X)33、第1の粘着剤層(X1)33Aと基材層(Y)34との界面密着性をより向上させる観点から、再剥離タイプ粘着剤層(X)33及び第1の粘着剤層(X1)33Aは、アクリル系樹脂から形成されていることが好ましい。また、再剥離タイプ粘着剤層(X)33及び第1の粘着剤層(X1)33Aには、必要に応じて粘着性付与剤、充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤等の公知の各種添加剤が含まれていてもよい。
なお、再剥離タイプ粘着剤層(X)33及び第1の粘着剤層(X1)33Aは、単層であってもよく複数層であってもよい。本発明で用いられる第2ラベル20としては、例えば、特開WO2019/039306号公報に開示された材料を用いることができる。
【0063】
また、図3のような第2ラベル20の構成である場合、パターン層32と、第1の粘着剤層(X1)33Aとが、互いに同種の樹脂を含有することが好ましく、例えば、パターン層32がアクリル系樹脂から形成されている層である場合、第1の粘着剤層(X1)33Aも、後述するアクリル系樹脂であることが好ましい。このような態様とすることで、第1の粘着剤層(X1)33Aとパターン層32との界面密着性が向上し、剥離検知ラベル110を被着体200から剥離しようとすると、第2ラベル20が剥離され、かつ、支持体31とパターン層32との間で界面剥離が起こって、空隙40が生じることにより、第2ラベル20にパターンが発現し、視覚的に第2ラベル20が剥離されたか否かの検知が可能となる。
【0064】
(再剥離タイプ粘着剤層(X)の粘着力及び第1の粘着剤層(X1)の粘着力)
再剥離タイプ粘着剤層(X)33の粘着力は、好ましくは0.1N/25mm以上、より好ましくは0.5N/25mm以上、更に好ましくは1.0N/25mm以上である。そして、再剥離タイプ粘着剤層(X)33の粘着力の上限値は特に限定されないが、好ましくは300N/25mm以下、より好ましくは20.0N/25mm以下、より更に好ましくは10.0N/25mm以下である。
再剥離タイプ粘着剤層(X)33の粘着力が、上記範囲を満たす場合、例えば、第2ラベル20が剥離材を有する場合、剥離検知ラベルを剥離材から剥離する際にはパターンを発現させないようにし、第2ラベル20の剥離時にパターンを発現できるといった機能を、より発現し易くできるために好ましい。
【0065】
図3のような、第2ラベル20が、第1の粘着剤層(X1)33A及び再剥離タイプ粘着剤層(X)33を有する態様の場合、粘着剤層(X1)33Aの粘着力は、好ましくは5.0N/25mm以上、より好ましくは10.0N/25mm以上である。第1の粘着剤層(X1)33Aの粘着力の上限値は特に限定されないが、好ましくは40.0N/25mm以下、より好ましくは30.0N/25mm以下である。
第1の粘着剤層(X1)33Aの粘着力が、上記範囲を満たす場合、剥離検知ラベルの再剥離時に、支持体及び/又はパターン層と第1の粘着剤層(X1)33Aとの界面で剥離が生じにくく、第1の粘着剤層(X1)33A自体も破断しにくくなるため好ましい。
【0066】
また、第2ラベル20が、第1の粘着剤層(X1)33A及び再剥離タイプ粘着剤層(X)33を有する態様の場合、第1の粘着剤層(X1)33Aの粘着力は、再剥離タイプ粘着剤層(X)33の粘着力と同等か、それより大きいことが好ましい。第1の粘着剤層(X1)33Aの粘着力が、再剥離タイプ粘着剤層(X)33の粘着力と同等か、それより大きいことにより、「第2ラベル20の剥離時、第1ラベル10から再剥離タイプ粘着剤層(X)33を剥離する前に、支持体31及び/又はパターン層32と第1の粘着剤層(X1)33Aとの界面で剥離が生じてしまい、再剥離タイプ粘着剤層(X)33が第1ラベル10上に残って、糊残りを生じてしまう」といった不具合の発生を、より効果的に防止できるために好ましい。
また、第1の粘着剤層(X1)33Aの粘着力が、再剥離タイプ粘着剤層(X)33の粘着力と同等か、それより大きいことで、例えば、第2ラベル20の抜き加工や第2ラベル20をロールとして巻き取りや繰り出しといった製造時や保管時、並びに、使用直前に剥離材60から剥離検知ラベル100を剥離する時といった、本来、想定している場面とは異なる場面で界面剥離が生じることも、より効果的に防止できるため好ましい。
【0067】
<粘着力の測定方法>
粘着剤層(X1)33A、再剥離タイプ粘着剤層(X)33の粘着力は、下記方法を用いて測定できる。
・手順(1):測定対象となる粘着剤層を形成する組成物と同一の組成物から形成した厚さ25μmの粘着剤層を、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に設け、縦300mm×横25mmの大きさに切断した試験片を作製する。
・手順(2):23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、当該試験片の粘着剤層の表出している側の表面を、ステンレス板(SUS304 360番研磨)に貼付し、同環境下で24時間静置する。
・手順(3):手順(2)の後、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で、JIS Z0237:2000に基づき、180°引き剥がし法により、引張速度(剥離速度)300mm/分にて、粘着剤層の粘着力を測定する。測定結果を、対象となる粘着剤層の粘着力とする。
【0068】
2.3.2.基材層(Y)
第2ラベル20に用いられる基材層(Y)34は、弾性率が10MPa以上800MPa以下であることが好ましい。基材層(Y)34が、上記要件を満たすことで、第1ラベル上に糊残りが生じない剥離検知ラベルとなる。
また、第1ラベル上への糊残り防止とより優れたパターン発現性とを両立する観点から、基材層(Y)34の弾性率は、好ましくは15MPa以上、より好ましくは18Mpa以上、更に好ましくは50MPa以上、より更に好ましくは100MPa以上、より更に好ましくは200MPa以上であり、そして、好ましくは700MPa以下、より好ましくは600MPa以下、更に好ましくは500MPa以下、より更に好ましくは400MPa以下、より更に好ましくは300MPa以下である。
また、より優れたパターン発現性を得る観点から、基材層(Y)34としては、支持体31の弾性率よりも低い弾性率を有する層であることが好ましく、支持体31の弾性率よりも低い弾性率を有し、かつ、粘着剤層(X)33よりも高い弾性率を有する層であることがより好ましい。
基材層(Y)34の弾性率の値は、当該値が100MPa以下である場合、ねじりせん断法により測定された23℃での貯蔵弾性率E’の値を意味し、そして、当該値が100MPaを超える場合、引張法により測定された23℃での貯蔵弾性率E’の値を意味する。弾性率の測定は、下記の方法により測定することができる。
【0069】
<弾性率の測定方法>
基材層(Y)34の弾性率は、次の方法を用いて測定することができる。
測定対象となる層を形成する組成物と同一の組成物から形成した直径8mm×厚さ3mmの試験サンプルを作成する。粘弾性測定装置(Anton Paar社製、装置名「MCR300」)を用いて、試験開始温度:-20℃、試験終了温度:150℃、昇温速度:3℃/分、周波数:1Hzの条件で、ねじりせん断法によって、23℃における、試験サンプルの貯蔵せん断弾性率G’を測定する。
なお、貯蔵せん断弾性率G’の値から貯蔵弾性率E’の値の算出は、近似式「E’=3G’」から算出する。
また、数値が100MPaを超えるような、上記の粘弾性測定装置では測定できない測定サンプルに関しては、動的粘弾性自動測定機(株式会社オリエンテック製、製品名「レオバイブロン(登録商標)DDV-01FD」)を用いて、別途、測定対象となる層を形成する組成物と同一の組成物から形成し、MD方向30mm×TD方向5mm×厚さ200μmの大きさに裁断した試験サンプルに対して、試験開始温度:-50℃、試験終了温度:200℃、昇温速度:3℃/分、振幅:5μm、周波数:1Hzの条件で、引張法によって、23℃における、試験サンプルの貯蔵弾性率E’を測定する。
【0070】
基材層(Y)34としては、弾性率を満たす層であればよく、例えば、支持体の欄で説明したプラスチックフィルムのうち、弾性率を満たすものも基材層(Y)34として使用することができる。基材層(Y)34は、透明性や、コスト、汎用性の点から、アクリルウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリエステル系樹脂から形成されることが好ましい。
【0071】
基材層(Y)34は、着色剤を含んでいてもよい。
基材層(Y)34は、着色剤を含有することで、剥離検知パターンの視認性が更に向上し、剥離検知ラベルの再剥離有無の検知がより容易となる。
【0072】
再剥離タイプ粘着剤層(X)33の厚さ(Xt)は、好ましくは0.5μm以上50.0μm以下、より好ましくは1.0μm以上30.0μm以下、更に好ましくは2.0μm以上20.0μm以下、より更に好ましくは3.0μm以上15.0μm以下、より更に好ましくは4.0μm以上12.0μm以下である。
【0073】
基材層(Y)34の厚さ(Yt)は、好ましくは0.5μm以上50.0μm以下、より好ましくは1.0μm以上30.0μm以下、更に好ましくは2.0μm以上20.0μm以下、より更に好ましくは2.5μm以上15.0μm以下、より更に好ましくは3.0μm以上12.0μm以下である。
【0074】
2.4.第2ベタ印刷層
第2ラベル20は、図4に示すように、支持体31と再剥離タイプ粘着層(X)33の間に第2ベタ印刷層35を有してもよい。
第2ベタ印刷層35は、上記第1ベタ印刷層15と同様に、水系インク、溶剤系インク等により形成されたもの、紫外線硬化型のインクを用いて形成されたものが挙げられる。
剥離検知ラベル120を被着体200に貼付した際、剥離検知ラベル120の支持体31側から、少なくとも界面剥離に起因する変化が視覚的に認識可能な程度の透明性を有する剥離検知ラベルであることが好ましく、被着体200上の情報が視覚的に認識可能な程度の透明性を有する剥離検知ラベルであることがより好ましい。
すなわち、第2ラベル20の支持体31側の表面(第2主面20a)側から、第1ラベル10もう一方の表面側に存在する任意の物体が目視で見えることがより好ましい。
【0075】
2.5.印刷コート層
第2ラベル20は、図5に示すように、最表面に、印刷コート層50を備えてもよい。印刷コート層50は、ポリエステル系樹脂又はアクリル系樹脂を含有することが好ましい。
印刷コート層50は、印刷コート層50の形成対象面に、印刷コート層50を構成するための各成分及び希釈媒体を含む印刷用コート剤を塗工し、必要に応じて乾燥させて希釈媒体を揮発させることで、目的とする部位に印刷コート層50を形成できる。
上記印刷用コート剤の第2ラベル20への塗布量は、通常乾燥後の印刷コート層50の厚さが0.05μm以上9μm以下であることが好ましく、0.5μm以上7μm以下であることがより好ましく、2μm以上5μm以下であることがさらに好ましい。
【0076】
第2ラベル20の厚さとしては、好ましくは5μm以上150μm以下、より好ましくは10μm以上100μm以下、更に好ましくは20μm以上80μm以下、より更に好ましくは30μm以上70μm以下である。
第2ラベル20の厚さは、後述の方法により測定することができる。
【0077】
[剥離検知ラベルの製造方法]
剥離検知ラベルの製造方法としては、特に限定されない。一例を挙げれば、第1ラベル10と第2ラベル20をそれぞれ公知方法にて製造し、積層ですることで、本発明の剥離検知ラベルは製造することができる。
【0078】
[剥離検知ラベルの使用]
本発明の剥離検知ラベルは、例えば、自動車部品、電気・電子部品、精密機械部品等の表示内容の改ざん防止用;物品の託送又は梱包における不当な物品の梱包や開封防止用;医薬品、化粧品、食料品等の内容物のバージン性を保証するための封印用ラベル;各種乗用車、航空機、電車、船舶等の乗り物が備える各種開閉口の不当な開閉の防止用(例えば、運搬物搬入口や燃料タンク等への不当な異物混入防止用);パスポート等の各種証明書や製品証明等の識別若しくは証明用ラベルの剥離有無又は改ざん有無の防止用;各種乗用車、航空機、電車、船舶等の乗り物への不当な侵入の防止や各種建造物への不当な侵入の防止といったセキュリティ対策用;等の用途が想定される。
【0079】
[剥離検知方法]
本発明の剥離検知方法は、剥離検知ラベルが剥離されたことを検知する方法である。前述したように、図1を参照して説明すると、剥離検知ラベル100が、第1ラベル10と、第1ラベル10の上に設けられた第2ラベル20とを備えてなり、第1ラベル10側の表面10aが第1主面を構成し、第2ラベル20側の表面20aが第2主面を構成し、第1ラベル10が、第1主面10a側から、永久接着タイプ粘着剤層11、及び脆質性フィルム基材12をこの順に備え、第2ラベル20が、第2主面20a側から、支持体31、支持体31の表面31aの一部に形成されたパターン層32、基材層(Y)34、及び再剥離タイプ粘着剤層(X)33を、この順に備え、剥離検知ラベル100は、第1ラベル10の第1主面10aが被着体200に貼付され、剥離検知ラベル100を剥離しようとした場合に、第2ラベル20のみが剥離され、第2ラベル20の剥離前後で、第2ラベル20に、パターン層32のパターンが発現するとともに、第1ラベル10は被着体200に残存することにより、不正に剥離検知ラベルが剥離されたことを検知する剥離検知方法である。
【0080】
また、本発明の剥離検知方法は、第2ラベル20の剥離前後で、剥離検知ラベル100全体の色から、第1ラベル10及び第2ラベル20に固有の色が発現することにより、不正に剥離検知ラベル100が剥離されたことを検知する方法であることが好ましい。
本発明の剥離検知方法は、上記のような構成であることにより、第1ラベル10と第1ラベル20とで、二重の剥離検知機能を有しており、優れた改ざん及び不正開封防止効果を有する。
【実施例0081】
以下、本発明について、実施例及び比較例を用いて説明する。実施例において「部」又は「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」又は「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
【0082】
[第1ラベル]
以下に、実施例及び比較例で用いる第1ラベルを記載する。
【0083】
〔ラベル1(脆質ラベル)〕
永久接着タイプ粘着剤層、及び脆質性フィルム基材(ポリ塩化ビニルフィルム(白色) 50μm)をこの順に備える粘着製品(リンテック社製、製品名「FP1102B PAT1 11HLDF」)、粘着力:15.5N/25mm
【0084】
〔ラベル2(易破壊ラベル)〕
永久接着タイプ粘着剤層、及び易破壊性フィルム基材(特殊ポリプロピレン系フィルム(白色) 80μm)をこの順に備える粘着製品(リンテック社製、製品名「TE80WPAT1 8K」)、粘着力:15.5N/25mm
【0085】
[第2ラベル]
以下に、実施例及び比較例で用いる第2ラベルを記載する。
【0086】
〔ラベル3〕
支持体及び再剥離タイプ粘着剤層を、この順に備える粘着製品(リンテック社製、製品名「RE5054」)、粘着力:9.4N/25mm、文字のパターン層無し。
【0087】
〔ラベル4〕
支持体及び、再剥離タイプ粘着剤層を、この順に備える粘着製品(リンテック社製、製名「RE505S」)、粘着力:0.1N/25mm、文字のパターン層無し。
【0088】
〔ラベル5〕
支持体及び支持体の表面の一部に形成されたパターン層、第2ベタ印刷層(青色)、基材層及び、再剥離タイプ粘着剤層を、この順に備える粘着製品(リンテック社製、製品名「TPシールB(NT)VOID」)、粘着力:3.6N/25mm
【0089】
〔ラベル6〕
支持体及び支持体の表面の一部に形成されたパターン層、第2ベタ印刷層(赤色)、基材層及び、再剥離タイプ粘着剤層を、この順に備える粘着製品(リンテック社製、製品名「TPシールR(NT)VOID」)、粘着力:3.6N/25mm
【0090】
〔ラベル7〕
リンテック社製改ざん防止用ラベル文字転写タイプ製品名「TEケシ50VOID PAT1 8LK」、粘着力:11.0N/25mm
【0091】
[実施例1から3及び比較1から7]
表1に示す組み合わせで第1ラベルと第2ラベルを貼り合わせて、剥離検知ラベルを作製した。なお、実施例1においては、ラベル1の脆質性フィルム基材上に、第1ベタ印刷層(黄色)を施した。
【0092】
[評価]
上記実施例及び比較例について、下記の評価を行った。表1に、評価結果を示す。
【0093】
(第2ラベルを剥がす前の色味)
第2ラベルを剥がす前の剥離検知ラベルの色味を、上面から目視で判断した。
【0094】
(第2ラベルを剥がした後の色味)
第2ラベルを剥がした後の色味を上面から目視で判断した。
【0095】
(ラベル剥離の検知の容易性:色の変化)
ラベル剥離の際に、色味の変化があり、剥離したことの検知が容易かどうかを目視で判断した。
<色の変化の評価基準>
A:色味の変化があり、検知が容易であった。
B:色味の変化が無く、検知が困難であった。
【0096】
(第2ラベルの剥離の痕跡:文字の発現性)
第2ラベルを剥がした際に、基材に文字が浮き出るなどの痕跡が残るかどうかを目視で判断した。
<文字の発現性の評価基準>
・A:文字が浮き出るなどの痕跡が残った。
・B:痕跡が残らなかった。
【0097】
(第1ラベルの除去の困難性:セキュリティ性)
第1ラベルを被着体から取り除けるかどうかを判断した。
<セキュリティ性の評価基準>
A:第1ラベルの除去が困難であった。
B:第1ラベルの除去が容易であった。










【0098】
【表1】

【0099】
脆質性フィルム基材を有する第1ラベルを用いた実施例1から3は、全ての評価項目で良好であった。
一方、比較例1及び2は、第2ラベルに、剥がしたときに文字が発現するラベル5及びラベル6を用いているが、第1ラベルに易破壊ラベルを用いているため、ラベル全体を剥がそうとしたときに、第1ラベルの基材破壊が起こり、文字の発現が無かった。
比較例3から6は、第1ラベルに白色の脆質性フィルム及び易破壊ラベルをそれぞれ用い、第2ラベルに透明ラベルを用いているため、色の変化がなかった。また、第2ラベルのラベル3及びラベル4は、文字のパターンがないラベルであるため、文字の発現はなかった。しかし、第1ラベルに、脆質性フィルム又は易破壊ラベルを用いているため、第1ラベルの剥離が容易ではないため、セキュリティ性は有する。
比較例7は、第2ラベルとして、文字が被着体に転着される転着タイプのラベルを用いている。すなわち、第2ラベルの粘着力が高いため、第2ラベルのみを剥がすことができなかった。
【符号の説明】
【0100】
10 第1ラベル
10a 第1ラベルの表面(第1主面)
11 永久接着タイプ粘着剤層
12 脆質性フィルム基材
15 第1ベタ印刷層
20 第2ラベル
20a 第2ラベル20の表面(第2主面)
31 支持体
31a 支持体の表面
32 パターン層
32a パターン層の表面
33 再剥離タイプ粘着剤層(X)
33A 粘着剤層(X1)
34 基材層(Y)
35 第2ベタ印刷層
40 空隙
50 印刷コート層
60 剥離材
100、110、120 剥離検知ラベル
200 被着体
図1
図2
図3
図4
図5