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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150076
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】アミノ酸吸収促進用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20241016BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20241016BHJP
   A61P 21/00 20060101ALN20241016BHJP
   A61K 36/481 20060101ALN20241016BHJP
   A61K 36/258 20060101ALN20241016BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
A23L33/105
A23L33/10
A61P21/00
A61K36/481
A61K36/258
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063308
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】230116816
【弁護士】
【氏名又は名称】成川 弘樹
(74)【代理人】
【識別番号】100174850
【弁理士】
【氏名又は名称】大崎 絵美
(72)【発明者】
【氏名】海田 真帆
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】本岡 香奈
(72)【発明者】
【氏名】上野 栞
(72)【発明者】
【氏名】友澤 寛
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 慎一郎
【テーマコード(参考)】
4B018
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE04
4B018LE05
4B018MD05
4B018MD10
4B018MD20
4B018MD32
4B018MD35
4B018MD36
4B018MD54
4B018MD61
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF02
4B018MF07
4C088AB18
4C088AB59
4C088AC02
4C088BA08
4C088MA07
4C088MA52
4C088NA05
4C088ZA94
4C088ZC75
(57)【要約】
【課題】本発明は、優れたアミノ酸吸収促進効果を示す組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のアミノ酸吸収促進用組成物は、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を含有する。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を含有する、アミノ酸吸収促進用組成物。
【請求項2】
キバナオウギの地上部をアミノ酸吸収促進の有効成分とするアミノ酸吸収促進用組成物であって、さらにデンシチニンジンの地上部を含有する、アミノ酸吸収促進用組成物。
【請求項3】
デンシチニンジンの地上部をアミノ酸吸収促進の有効成分とするアミノ酸吸収促進用組成物であって、さらにキバナオウギの地上部を含有する、アミノ酸吸収促進用組成物。
【請求項4】
キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を含有し、キバナオウギ及び/又はデンシチニンジンが食事に含まれるアミノ酸の吸収を促進する働きがある旨を表示した食品。
【請求項5】
キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を摂取することにより、食事に含まれるアミノ酸の吸収を促進する方法(医療行為を除く)。
【請求項6】
食事に含まれるアミノ酸の吸収を促進する有効成分としての、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を含有するアミノ酸吸収促進用組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康に対する関心の高まり等を背景に、種々の健康食品の開発が行われており、健康食品に用いられる様々な素材の研究が行われている。
【0003】
例えば、アミノ酸は、骨格筋細胞において筋タンパク質合成を調節する役割がある。日常生活では、食事によるタンパク質の摂取を介して体内にアミノ酸が吸収され、血中アミノ酸濃度が上昇し、筋タンパク質合成が促進される。ヒトの身体では常時、筋タンパク質の合成と分解が生じているが、分解量が合成量を上回ると骨格筋量は減少してしまう。若年者から高齢者に至るまで、適切にタンパク質及びアミノ酸を摂取し、筋量を維持することは健康の維持及び増進において重要であるといえる。摂取されたタンパク質は、タンパク質分解酵素により、ほとんどがアミノ酸まで分解されて体内へ吸収されるため、タンパク質及びアミノ酸を適切に摂取することに加えて、効率的なアミノ酸の吸収がタンパク質合成には重要である。
【0004】
このような背景から、アミノ酸吸収を促進する素材の開発が求められている。例えば、特許文献1には、分枝鎖アミノ酸吸収促進用組成物として、大麦の茎及び/又は葉を含有する組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-004211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1は大麦の茎及び/又は葉に関するものであり、アミノ酸の供給源となる飲食品の剤形(錠剤など)や風味によっては、必ずしも適さない場合がある。そのため、新たなアミノ酸吸収促進用組成物が求められる。
本発明は、優れたアミノ酸吸収促進作用を示す組成物を実現すること等を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願人は、上記課題を解決するために、種々の物質について鋭意検討を積み重ねたところ、驚くべきことに、キバナオウギの地上部とデンシチニンジンの地上部とを組み合わせることによって、格段に優れたアミノ酸吸収促進効果を示すことを見出した。本発明は、かかる知見に基づき、完成された発明である。
【0008】
本発明は、例えば、以下のものを提供する。
[1]キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を含有する、アミノ酸吸収促進用組成物。
[2](A)キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部と、(B)アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の中から選ばれる少なくとも1以上を含有する、アミノ酸吸収促進用組成物。
[3]前記組成物中の(A)キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計量(質量%):(B)アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の合計量(質量%)が、1:0.00001~10000であることを特徴とする、[2]に記載のアミノ酸吸収促進用組成物。
[4]キバナオウギの地上部をアミノ酸吸収促進の有効成分とするアミノ酸吸収促進用組成物であって、さらにデンシチニンジンの地上部を含有する、アミノ酸吸収促進用組成物。
[5]キバナオウギの地上部をアミノ酸吸収促進の有効成分とするアミノ酸吸収促進用組成物であって、さらにデンシチニンジンの地上部、並びに、アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の中から選ばれる少なくとも1以上を含有する、アミノ酸吸収促進用組成物。
[6]前記組成物中の(A)キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計量(質量%):(B)アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の合計量(質量%)が、1:0.00001~10000であることを特徴とする、[5]に記載のアミノ酸吸収促進用組成物。
[7]デンシチニンジンの地上部をアミノ酸吸収促進の有効成分とするアミノ酸吸収促進用組成物であって、さらにキバナオウギの地上部を含有する、アミノ酸吸収促進用組成物。
[8]デンシチニンジンの地上部をアミノ酸吸収促進の有効成分とするアミノ酸吸収促進用組成物であって、さらにキバナオウギの地上部、並びに、アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の中から選ばれる少なくとも1以上を含有する、アミノ酸吸収促進用組成物。
[9]前記組成物中の(A)キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計量(質量%):(B)アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の合計量(質量%)が、1:0.00001~10000であることを特徴とする、[8]に記載のアミノ酸吸収促進用組成物。
[10]機能性表示食品であることを特徴とする、[1]~[9]のいずれか一項に記載のアミノ酸吸収促進用組成物。
[11]キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を含有し、キバナオウギ及び/又はデンシチニンジンが食事に含まれるアミノ酸の吸収を促進する働きがある旨を表示した食品。
[12](A)キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部、並びに、(B)アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の中から選ばれる少なくとも1以上を含有し、キバナオウギ及び/又はデンシチニンジンが食事に含まれるアミノ酸の吸収を促進する働きがある旨を表示した食品。
[13]前記組成物中の(A)キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計量(質量%):(B)アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の合計量(質量%)が、1:0.00001~10000であることを特徴とする、[12]に記載の食品。
[14]機能性表示食品であることを特徴とする、[11]~[13]のいずれか一項に記載の食品。
[15]キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を摂取することにより、食事に含まれるアミノ酸の吸収を促進する方法(医療行為を除く)。
[16]キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を食事と共に摂取することにより、食事に含まれるアミノ酸の吸収を促進する方法(医療行為を除く)。
[17]食事に含まれるアミノ酸の吸収を促進する有効成分としての、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の使用。
[18]キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を含有し、キバナオウギ及び/又はデンシチニンジンが食事に含まれるアミノ酸の吸収を高める働きがある旨を表示した食品。
[19](A)キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部と、(B)アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の中から選ばれる少なくとも1以上を含有する、アミノ酸吸収促進用経口組成物。
[20]前記組成物中の(A)キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計量(質量%):(B)アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の合計量(質量%)が、1:0.00001~10000であることを特徴とする、[19]に記載のアミノ酸吸収促進用経口組成物。
[21](A)キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部と、(B)ハイドロキシプロリン、トレオニン、セリン、アスパラギン、プロリン、α-アミノ-n-酪酸、シスチン、β-アラニン、オルニチン、ヒスチジン、リジン及びアルギニンの中から選ばれる少なくとも1以上のアミノ酸を含有する、アミノ酸吸収促進用経口組成物。
[22](A)キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部と、(B)大豆タンパク質、ホエイタンパク質、カゼイン及びコラーゲン、並びに、前記タンパク質の分解物の中から選ばれる1以上のタンパク質及び/又はペプチド、を含有するアミノ酸吸収促進用経口組成物。
[23]粉末飲料であることを特徴とする、[22]に記載のアミノ酸吸収促進用経口組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、効率的に体内へアミノ酸を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】試験1におけるSLC7A1遺伝子の発現量の結果を示す図である。
図2】試験1におけるSLC1A5遺伝子の発現量の結果を示す図である。
図3】試験1におけるSLC1A1遺伝子の発現量の結果を示す図である。
図4】試験2における総アミノ酸iAUCの結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔1.アミノ酸吸収促進用組成物〕
本発明のアミノ酸吸収促進用組成物は、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を含有する。
【0012】
<キバナオウギ>
キバナオウギ(黄花黄耆)は、マメ科ゲンゲ属に属する植物であり、学名Astragalus membranaceusである。本発明においては、キバナオウギの地上部(茎、葉、花、果実など)を用いることを特徴とする。地上部としては、茎、葉、花、果実などいずれの部位であってもよいが、茎及び/又は葉を含むことが特に好ましい。一般に、キバナオウギは根の生理活性が高いことが知られている。そのため、キバナオウギの根は生薬として用いられているが、地上部についてはあまり利用されてこなかった。しかしながら、本出願人は、驚くべきことに、これまであまり利用価値がないと考えられていたキバナオウギの地上部を、デンシチニンジンの地上部と組み合わせて用いることにより、格段に優れたアミノ酸吸収効果が得られることを見出した。本発明によれば、キバナオウギの地上部の利用は、優れたアミノ酸吸収促進用組成物を得られるのみではなく、廃棄されることが多かった部位の有効活用に繋がり、環境負荷を減らすこともできる。
【0013】
本発明において、キバナオウギは加工物を用いてもよく、加工物としては具体的には、粉砕物、搾汁及、抽出物、及びこれらの乾燥粉末などが挙げられる。本発明において用いられるキバナオウギは、製剤性を考慮すると、適用が容易であることから、粉砕物、搾汁物、抽出物又はこれらの乾燥粉末であることが好ましく、より高い効果を得ることができる点から、抽出物又はその乾燥粉末であることがより好ましい。加工物は、当業者により通常知られている方法によって製造したものでもよいし、市場に流通しているものであってもよい。
【0014】
キバナオウギの粉砕物を得る方法は特に限定されないが、例えば、洗浄後に天日又は乾燥機を用いて乾燥後、そのままで、又は適当な形状や大きさに裁断して得た処理物を、粉砕装置を用いて粉砕することで得ることができる。粉砕装置としては通常使用されるものが広く使用できるが、例えば、原料ホッパー、粉砕機、分級機、製品ホルダーなどから構成される粉砕機を用いることができる。搾汁物は、必要に応じて濃縮してもよいし、減圧乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、流動乾燥などの処理を行い、乾燥粉末(粉砕末)とすることもできる。
【0015】
キバナオウギの搾汁物を得る方法は特に限定されないが、例えば、キバナオウギ又はその細片化物を圧搾する方法、キバナオウギの細片化物を遠心や濾過する方法などを挙げることができる。具体的な搾汁物の製造方法の例としては、ミキサー、ジューサーなどの機械的破砕手段によって搾汁し、必要に応じて、篩別、濾過などの手段によって粗固形分を除去することにより搾汁液を得る方法が挙げられる。搾汁物は、必要に応じて濃縮してもよいし、減圧乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、流動乾燥などの処理を行い、乾燥粉末(搾汁末)とすることもできる。
【0016】
キバナオウギの抽出物を得る方法は特に限定されないが、例えば、キバナオウギが含有する成分を、常法に従って溶媒で抽出して得られる抽出液、その希釈液や濃縮液、又はそれらの乾燥物やその粉末などが挙げられる。
【0017】
抽出に使用される溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、含水有機溶媒(含水エタノールなどの含水アルコール)が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び1,1,2-トリクロロエテンなどが挙げられる。これらの水及び有機溶媒は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。抽出溶媒としては、水、エタノール、又は含水エタノールが好ましく、含水エタノール又はエタノールがより好ましく、エタノールが特に好ましい。含水エタノール中のエタノール含有量は、特に限定されないが、例えば、10~95質量%とすることができる。抽出する際の溶媒の温度は、用いる溶媒の沸点以下であれば限定されない。
【0018】
抽出方法は、例えば、キバナオウギに対して0.5~50質量部、好ましくは1~30質量部、より好ましくは5~20質量部の溶媒を加え、常温~溶媒の沸点の範囲で、数分~数十時間、好ましくは30分~2時間程度、静置、振盪、攪拌、還流などの任意の条件下にて抽出を行う方法などが挙げられる。抽出作業後、濾過、遠心分離などの固液分離操作を行い、不溶な固形物を除去することが好ましい。これに、必要に応じて希釈、濃縮などの操作を行うことにより、抽出物を得ることができる。さらに、不溶物についても同じ操作を繰り返して抽出し、その抽出物を先の抽出物と合わせて用いてもよい。これらの抽出物は、当業者が通常用いる精製方法により、さらに精製して使用してもよい。抽出物は、減圧乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、流動乾燥などの処理を行い、乾燥粉末(エキス末)とすることもできる。
【0019】
キバナオウギ地上部抽出物を得る具体的な一例は次のとおりである。
キバナオウギの地上部(茎及び葉等)を洗浄後、粉砕する。粉砕物をエタノールで抽出する。これを濾過し、固体成分を除去して、抽出液を得る。抽出液を乾燥し、抽出溶媒を除去して、抽出物(エキス末)を得る。
【0020】
<デンシチニンジン>
デンシチニンジン(田七人参)は、ウコギ科ニンジン属に属する植物であり、学名Panax notoginsengである。サンシチニンジン(三七人参)、ニンジン(人蔘)、薬用人参とも呼ばれる。本発明においては、デンシチニンジンの地上部(茎、葉、花、果実など)を用いることを特徴とする。地上部としては、茎、葉、花、果実などいずれの部位であってもよいが、茎及び/又は葉を含むことが特に好ましい。一般に、デンシチニンジンは根の生理活性が高いことが知られている。そのため、デンシチニンジンの根は生薬として用いられているが、地上部についてはあまり利用されてこなかった。しかしながら、本出願人は、驚くべきことに、これまであまり利用価値がないと考えられていたデンシチニンジンの地上部を、キバナオウギの地上部と組み合わせて用いることにより、格段に優れたアミノ酸吸収効果が得られることを見出した。本発明によれば、デンシチニンジンの地上部の利用は、優れたアミノ酸吸収促進用組成物を得られるのみではなく、廃棄されることが多かった地上部の有効活用に繋がり、環境負荷を減らすこともできる。
【0021】
本発明において、デンシチニンジンは加工物を用いてもよく、加工物としては具体的には、粉砕物、搾汁及、抽出物、及びこれらの乾燥粉末などが挙げられる。本発明において用いられるデンシチニンジンは、製剤性を考慮すると、適用が容易であることから、粉砕物、搾汁物、抽出物又はこれらの乾燥粉末であることが好ましく、より高い効果を得ることができる点から、抽出物又はその乾燥粉末であることがより好ましい。加工物は、当業者により通常知られている方法によって製造したものでもよいし、市場に流通しているものであってもよい。
【0022】
デンシチニンジンの粉砕物を得る方法は特に限定されないが、例えば、洗浄後に天日又は乾燥機を用いて乾燥後、そのままで、又は適当な形状や大きさに裁断して得た処理物を、粉砕装置を用いて粉砕することで得ることができる。粉砕装置としては通常使用されるものが広く使用できるが、例えば、原料ホッパー、粉砕機、分級機、製品ホルダーなどから構成される粉砕機を用いることができる。搾汁物は、必要に応じて濃縮してもよいし、減圧乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、流動乾燥などの処理を行い、乾燥粉末(粉砕末)とすることもできる。
【0023】
デンシチニンジンの搾汁物を得る方法は特に限定されないが、例えば、デンシチニンジン又はその細片化物を圧搾する方法、デンシチニンジンの細片化物を遠心や濾過する方法などを挙げることができる。具体的な搾汁物の製造方法の例としては、ミキサー、ジューサーなどの機械的破砕手段によって搾汁し、必要に応じて、篩別、濾過などの手段によって粗固形分を除去することにより搾汁液を得る方法が挙げられる。搾汁物は、必要に応じて濃縮してもよいし、減圧乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、流動乾燥などの処理を行い、乾燥粉末(搾汁末)とすることもできる。
【0024】
デンシチニンジンの抽出物を得る方法は特に限定されないが、例えば、デンシチニンジンが含有する成分を、常法に従って溶媒で抽出して得られる抽出液、その希釈液や濃縮液、又はそれらの乾燥物やその粉末などが挙げられる。
【0025】
抽出に使用される溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、含水有機溶媒(含水エタノールなどの含水アルコール)が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び1,1,2-トリクロロエテンなどが挙げられる。これらの水及び有機溶媒は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。抽出溶媒としては、水、エタノール、又は含水エタノールが好ましく、水又は含水エタノールがより好ましく、水が特に好ましい。含水エタノール中のエタノール含有量は、特に限定されないが、例えば、10~95質量%とすることができる。抽出する際の溶媒の温度は、用いる溶媒の沸点以下であれば限定されない。
【0026】
抽出方法は、例えば、デンシチニンジンに対して0.5~50質量部、好ましくは1~30質量部、より好ましくは5~20質量部の溶媒を加え、常温~溶媒の沸点の範囲で、数分~数十時間、好ましくは30分~2時間程度、静置、振盪、攪拌、還流などの任意の条件下にて抽出を行う方法などが挙げられる。抽出作業後、濾過、遠心分離などの固液分離操作を行い、不溶な固形物を除去することが好ましい。これに、必要に応じて希釈、濃縮などの操作を行うことにより、抽出物を得ることができる。さらに、不溶物についても同じ操作を繰り返して抽出し、その抽出物を先の抽出物と合わせて用いてもよい。これらの抽出物は、当業者が通常用いる精製方法により、さらに精製して使用してもよい。抽出物は、減圧乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、流動乾燥などの処理を行い、乾燥粉末(エキス末)とすることもできる。
【0027】
デンシチニンジン地上部抽出物を得る具体的な一例は次のとおりである。
デンシチニンジンの地上部(葉及び茎等)を洗浄後、粉砕する。粉砕物を水で抽出する。これを濾過し、固体成分を除去して、抽出液を得る。抽出液を乾燥し、抽出溶媒を除去して、抽出物(エキス末)を得る。
【0028】
<組成物>
本発明の組成物は、アミノ酸の吸収を促進することを特徴とする。本発明において吸収が促進されるアミノ酸は特に限定されないが、一例において、吸収促進効果がより高いアミノ酸として、ハイドロキシプロリン、トレオニン、セリン、アスパラギン、プロリン、α-アミノ-n-酪酸、シスチン、β-アラニン、オルニチン、ヒスチジン、リジン、及びアルギニンが挙げられ、一例において、吸収促進効果が特に高いアミノ酸として、ハイドロキシプロリン、トレオニン、セリン、アスパラギン、プロリン、α-アミノ-n-酪酸、シスチン、β-アラニン、及びオルニチンが挙げられる。また、本発明の組成物は、アミノ酸の吸収促進により、優れた筋肉増強効果や抗肥満効果などを発揮し得る。
【0029】
本発明の組成物におけるキバナオウギの地上部の含有量は、特に限定されず、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。本発明の組成物中、乾物換算で、例えば、0.0001質量%以上90質量%以下であり、好ましくは0.001質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上48質量%以下である。
【0030】
本発明の組成物におけるデンシチニンジンの地上部の含有量は、特に限定されず、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。本発明の組成物中、乾物換算で、例えば、0.0001質量%以上90質量%以下であり、アミノ酸吸収促進の効果を効率的に発揮する観点から、好ましくは0.001質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上48質量%以下である。
【0031】
本発明の組成物におけるキバナオウギの地上部とデンシチニンジンの地上部の配合質量比は、特に限定されず、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。本発明の組成物におけるキバナオウギの地上部とデンシチニンジンの地上部の配合質量比は、例えば、1:10~10:1であり、アミノ酸吸収促進の効果の高さの観点から、好ましくは1:5~5:1であり、より好ましくは1:2~2:1であり、特に好ましくは1:1である。
【0032】
本発明の組成物におけるキバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計含有量は、特に限定されず、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。本発明の組成物中の合計含有量は、乾物換算で、例えば、0.001質量%以上100質量%以下であり、アミノ酸吸収促進の効果を効率的に発揮する観点から、好ましくは0.01質量%以上95質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上80質量%以下である。
【0033】
本発明の組成物は、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部のみを含むものであってもよいし、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部に加えて、その他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、添加剤などを挙げることができる。その他の成分の含有量は、本発明の組成物の利用形態などに応じて適宜選択することができる。
【0034】
本発明の組成物は、アミノ酸吸収促進作用を得ることを目的とした種々の形態で利用され得る。本発明の組成物は、例えば、経口用又は非経口用の組成物とすることができる。
【0035】
本発明の組成物の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。経口組成物の形態としては、どのような形態であってもよいが、例えば、経口的な使用に適した形態、具体的には、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、液状、ペースト状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状などの各形態が挙げられる。
【0036】
本発明の組成物は、粉末状(粉末、顆粒などの粉の形態)であって、水や牛乳などの液体と混合した混合物を経口的に使用する形態(すなわち、粉末飲料)であると、腐敗を防ぎ長期保存に適することから好ましい。本発明の粉末飲料は液体に分散しやすい。また、本発明の組成物が粉末状や錠状などの固体の形態である場合、上述したように、これを水や牛乳などの液体と混合して液状体となし、経口的に使用することができるが、使用者の好みなどに応じて、固体のまま経口的に使用してもよい。また、キバナオウギやデンシチニンジンは必ずしも呈味に優れるわけではなく、キバナオウギやデンシチニンジンの呈味を好まない消費者もいることから、摂取しやすさの観点においては、錠状とすることが好ましい。
【0037】
本発明の組成物の包装形態は特に限定されず、剤形などに応じて適宜選択できるが、例えば、PTPなどのブリスターパック;ストリップ包装;ヒートシール;アルミパウチ;プラスチックや合成樹脂などを用いるフィルム包装;バイアルなどのガラス容器;アンプルなどのプラスチック容器などが挙げられる。
【0038】
本発明の組成物の1日の使用量は特に限定されず、使用態様や使用者の使用内容などに応じて適宜設定され得るが、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計の質量換算で、使用者の体重を基準として、例えば、0.01~200mg/kgであり、好ましくは0.05~50mg/kgであり、より好ましくは0.1~10mg/kgであり、さらに好ましくは0.2~5mg/kgである。本発明の組成物の1回の使用量についても同様に特に限定されず、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計の質量換算で、使用者の体重を基準として、例えば、0.005~100mg/kgであり、好ましくは0.025~25mg/kgであり、より好ましくは0.05~5mg/kgである。また、本発明の組成物の1日の使用量は、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計の質量換算で、例えば、0.2~10000mg、好ましくは1~2000mg、より好ましくは2.5~1000mg、さらに好ましくは5~500mgである。本発明の組成物の1回の使用量は、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計の質量換算で、例えば、0.1~5000mg、好ましくは0.5~1000mg、より好ましくは1.25~500mg、さらに好ましくは2.5~250mgである。
【0039】
また、アミノ酸の生理活性を存分に発揮するためには、本発明の組成物は、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部とともに、アミノ酸を含むことが好ましい。アミノ酸としては、アミノ酸そのものを使用することが可能であるし、アミノ酸を含有するタンパク質やペプチドも使用可能である。すなわち、本発明の組成物は、アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の中から選ばれる少なくとも1以上を含有することが好ましい。アミノ酸としては、特に限定されず、例えば、タンパク質を構成する22種のアミノ酸(アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパラギン、グルタミン、システイン、グリシン、プロリン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、セレノシステイン、ピロリシン)のいずれかであってもよいし、ハイドロキシプロリン、α-アミノ-n-酪酸、オルニチン、β-アラニンなどであってもよいが、アミノ酸吸収促進効果が顕著に発揮される観点から、ハイドロキシプロリン、トレオニン、セリン、アスパラギン、プロリン、α-アミノ-n-酪酸、シスチン、β-アラニン、オルニチン、ヒスチジン、リジン、アルギニンのいずれかであることが特に好ましい。タンパク質やペプチドとしては、例えば、ホエイ、カゼイン、シルク、コラーゲン等の動物性タンパク質、大豆、米、小麦、エンドウ豆、アーモンド、クランベリー、そら豆、麻の実、ジャガイモ、芋カス等の植物性タンパク質、並びに前記動物性又は植物性タンパク質の分解物などであってもよいが、アミノ酸吸収促進効果が顕著に優れる観点から、大豆タンパク質、ホエイタンパク質、カゼイン、コラーゲンの中から選ばれるタンパク質、又は、前記タンパク質の分解物であることが特に好ましい。
【0040】
タンパク質及び/又はペプチドを用いる場合、その平均分子量は特に限定されず、例えば、500~1000000以下であり、好ましくは1000~100000である。本発明の組成物に配合されるアミノ酸、ペプチド及びタンパク質の量は特に限定されず、例えば、組成物の形態や所望のアミノ酸の生理活性効果に応じて適宜設定できる。アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の合計摂取量としては、成人1日当たり、例えば、0.01g~100gであり、好ましくは0.1g~50gである。
【0041】
本発明の組成物がキバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部とともに、アミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質を含む場合、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計量(質量%):アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の合計量(質量%)の比率は特に制限されないが、例えば、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計量(質量%):アミノ酸、ペプチド及びタンパク質の合計量(質量%)は、1:0.00001~10000であってもよく、アミノ酸吸収量促進効果を効率的に発揮する観点において、1:0.1~8000が好ましく、より好ましくは1:1~5000であり、さらに好ましくは1:10~3000であり、よりさらに好ましくは1:50~2000であり、特に好ましくは1:100~1000であり、最も好ましくは1:300~800である。
【0042】
また、本発明の組成物は、アミノ酸を効率的に吸収するために、アミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質と併用して摂取されるものであることが好ましい。この場合の併用とは、本発明の組成物と同時に、又は前後(1時間以内)して、アミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質を摂取することをいう。「同時に摂取する」とは、アミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質(食事を含む)と一緒に摂取する場合と、時間を置かずに連続的に摂取する場合を含む概念であり、例えば、食事とともに摂取する態様も「同時に摂取する」態様に該当する。本発明の組成物を、アミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質と併用して摂取する場合には、アミノ酸吸収量促進効果をより効率的に発揮する観点において、両者を同時に摂取することが特に好ましい。なお、本発明の組成物と併用して摂取するアミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質としては、例えば、市販されるプロテイン商品であってもよいし、肉や魚など、アミノ酸やタンパク質を含む食事であってもよい。
【0043】
本発明の組成物を、アミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質と併用して摂取する場合において、本発明の組成物に含まれるキバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計量(質量%)と、併用して摂取するアミノ酸、ペプチド及びタンパク質の合計量(質量%)の比率は特に制限されないが、例えば、本発明の組成物中のキバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計量(質量%):併用して摂取するアミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質合計量(質量%)は、1:0.00001~10000であってもよく、アミノ酸吸収量促進効果を効率的に発揮する観点において、1:0.1~8000が好ましく、より好ましくは1:1~5000であり、さらに好ましくは1:10~3000であり、よりさらに好ましくは1:50~2000であり、特に好ましくは1:100~1000であり、最も好ましくは1:300~800である。
【0044】
本発明の組成物がキバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部と、アミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質をどちらも含有し、かつ、アミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質を併用して摂取する場合には、本発明の組成物中のキバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計量(質量%)と、本発明の組成物中のアミノ酸、ペプチド及びタンパク質の合計量に前記併用して摂取するアミノ酸、ペプチド及びタンパク質の合計量を足し合わせた量(質量%)の比率は特に制限されないが、例えば、本発明の組成物中のキバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計量(質量%):本発明の組成物中のアミノ酸、ペプチド及びタンパク質の合計量に前記併用して摂取するアミノ酸、ペプチド及びタンパク質の合計量を足し合わせた量(質量%)は、1:0.00001~10000であってもよく、アミノ酸吸収量促進効果を効率的に発揮する観点において、1:0.1~8000が好ましく、より好ましくは1:1~5000であり、さらに好ましくは1:10~3000であり、よりさらに好ましくは1:50~2000であり、特に好ましくは1:100~1000であり、最も好ましくは1:300~800である。
【0045】
また、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を含有する組成物と、アミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質を含有する組成物を組み合わせてキットにしてもよい。当該キットは、筋肉増強作用、抗肥満作用などの用途目的のキットとして有用である。また、本発明の別の態様は、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を含有する、筋肉増強及び/又は抗肥満のための組成物である。特に、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を含有する組成物と、アミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質を含有する組成物を組み合わせたキットは、上記の用途目的のキットとして有用である。
【0046】
本発明の組成物は、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部が有するアミノ酸吸収促進作用に加えて、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部に由来するビタミン類、ミネラル類などを多く含むため、これを使用することは、健康維持に有用である。
【0047】
本発明の組成物は、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や食品(特には、所定機関より効能の表示が認められた機能性表示食品)等として用いることができる。なお、本発明の食品とは、医薬品(医薬部外品を含む)以外の経口摂取される組成物を意味し、飲料を含む概念である。
【0048】
本発明のアミノ酸吸収用組成物は、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を含有し、アミノ酸の吸収の促進のために用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、アミノ酸吸収促進の機能を表示したものが本発明の範囲に含まれる。本発明の組成物は、キバナオウギの地上部及び/又はデンシチニンジンの地上部に由来する成分を有効成分として表示するものであってもよいが、製品の包装等に、キバナオウギの地上部及び/又はデンシチニンジンの地上部に由来する成分が有効成分として表示されているものに限られない。例えば、キバナオウギの地上部又はデンシチニンジンの地上部のいずれかに由来する成分のみを有効成分として表示するものであってもよく、有効成分を特定していないものであってもよい。
また、一般的な食品であっても、用途を示唆して製造販売されるものは本発明の範囲に含まれる。例えば、摂取した人の個人的感想として、アミノ酸吸収促進に言及する体験談をホームページ等に記載して販売される食品等についても、本発明の範囲に含まれる。また、アミノ酸吸収促進を示す論文等を機能性の科学的根拠とし、キバナオウギの地上部及び/又はデンシチニンジンの地上部に由来する成分を機能性関与成分とする機能性表示食品であって、アミノ酸吸収促進に関する機能性を届出表示とする機能性表示食品も本発明の範囲に含まれる。一例において、アミノ酸吸収促進に関する機能は、食事に含まれるアミノ酸の吸収を促進する機能である。
【0049】
なお、本願において、「キバナオウギの地上部をアミノ酸吸収促進の有効成分とする」とは、キバナオウギの地上部又はキバナオウギの地上部に含まれる特定の成分を有効成分として訴求することを意味し、「デンシチニンジンの地上部をアミノ酸吸収促進の有効成分とする」とは、デンシチニンジンの地上部又はデンシチニンジンの地上部に含まれる特定の成分を有効成分として訴求することを意味する。有効成分として訴求するとは、製品の本体、包装物、説明書、宣伝物のいずれかに当該成分が有効成分であることを直接的若しくは間接的に記載すること、又は、アミノ酸吸収促進に関する機能性を届出表示とする機能性表示食品であって、当該成分がアミノ酸吸収促進の有効成分であることを示す論文等を機能性の科学的根拠とした機能性表示食品を販売することを意味する。
【0050】
本発明のアミノ酸吸収用組成物に該当する具体的なものとしては、食品(例えば、いわゆる健康食品)においては、例えば、「アミノ酸の吸収を高める」、「アミノ酸の吸収を促進する」、「アミノ酸の吸収を助ける」、「アミノ酸の吸収に役立つ」、「アミノ酸の吸収をサポートする」、「アミノ酸の吸収を高める働きがある」、「アミノ酸の吸収を促進する働きがある」、「アミノ酸の吸収を助ける働きがある」、「アミノ酸の吸収に役立つ働きがある」、「アミノ酸の吸収をサポートする働きがある」、「アミノ酸の吸収を高める働きが報告されている」、「アミノ酸の吸収を促進する働きが報告されている」、「アミノ酸の吸収を助ける働きが報告されている」、「アミノ酸の吸収に役立つ働きが報告されている」、「アミノ酸の吸収をサポートする働きが報告されている」、「アミノ酸の吸収力を高める」、「アミノ酸の吸収力をアップさせる」、「アミノ酸の吸収力を強化する」、「アミノ酸の吸収力を高める働きがある」、「アミノ酸の吸収力をアップさせる働きがある」、「アミノ酸の吸収力を強化する働きがある」、「アミノ酸の吸収力を高める働きが報告されている」、「アミノ酸の吸収力をアップさせる働きが報告されている」、「アミノ酸の吸収力を強化する働きが報告されている」、「アミノ酸が不足していると感じる方に適した」、「アミノ酸不足が気になる方に適した」等を表示したものを例示することができる。また、「食事に含まれるアミノ酸の吸収を高める」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収を促進する」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収を助ける」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収に役立つ」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収をサポートする」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収を高める働きがある」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収を促進する働きがある」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収を助ける働きがある」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収に役立つ働きがある」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収をサポートする働きがある」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収を高める働きが報告されている」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収を促進する働きが報告されている」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収を助ける働きが報告されている」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収に役立つ働きが報告されている」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収をサポートする働きが報告されている」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収力を高める」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収力をアップさせる」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収力を強化する」「食事に含まれるアミノ酸の吸収力を高める働きがある」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収力をアップさせる働きがある」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収力を強化する働きがある」「食事に含まれるアミノ酸の吸収力を高める働きが報告されている」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収力をアップさせる働きが報告されている」、「食事に含まれるアミノ酸の吸収力を強化する働きが報告されている」等を表示したものを例示することができる。また、タンパク質はアミノ酸に分解されて吸収されるため、「タンパク質の吸収を高める」、「タンパク質の吸収を促進する」、「タンパク質の吸収を助ける」、「タンパク質の吸収に役立つ」、「タンパク質の吸収をサポートする」、「タンパク質の吸収を高める働きがある」、「タンパク質の吸収を促進する働きがある」、「タンパク質の吸収を助ける働きがある」、「タンパク質の吸収に役立つ働きがある」、「タンパク質の吸収をサポートする働きがある」、「タンパク質の吸収を高める働きが報告されている」、「タンパク質の吸収を促進する働きが報告されている」、「タンパク質の吸収を助ける働きが報告されている」、「タンパク質の吸収に役立つ働きが報告されている」、「タンパク質の吸収をサポートする働きが報告されている」、「タンパク質の吸収力を高める」、「タンパク質の吸収力をアップさせる」、「タンパク質の吸収力を強化する」、「タンパク質の吸収力を高める働きがある」、「タンパク質の吸収力をアップさせる働きがある」、「タンパク質の吸収力を強化する働きがある」、「タンパク質の吸収力を高める働きが報告されている」、「タンパク質の吸収力をアップさせる働きが報告されている」、「タンパク質の吸収力を強化する働きが報告されている」、「タンパク質が不足していると感じる方に適した」、「タンパク質不足が気になる方に適した」、「食事に含まれるタンパク質の吸収を促進する」、「食事に含まれるタンパク質の吸収を助ける」、「食事に含まれるタンパク質の吸収に役立つ」、「食事に含まれるタンパク質の吸収をサポートする」、「食事に含まれるタンパク質の吸収力を高める」、「食事に含まれるタンパク質の吸収力をアップさせる」、「食事に含まれるタンパク質の吸収力を強化する」、「食事に含まれるタンパク質の吸収を促進する働きがある」、「食事に含まれるタンパク質の吸収を助ける働きがある」、「食事に含まれるタンパク質の吸収に役立つ働きがある」、「食事に含まれるタンパク質の吸収をサポートする働きがある」、「食事に含まれるタンパク質の吸収力を高める働きがある」、「食事に含まれるタンパク質の吸収力をアップさせる働きがある」、「食事に含まれるタンパク質の吸収力を強化する働きがある」、「食事に含まれるタンパク質の吸収を促進する働きが報告されている」、「食事に含まれるタンパク質の吸収を助ける働きが報告されている」、「食事に含まれるタンパク質の吸収に役立つ働きが報告されている」、「食事に含まれるタンパク質の吸収をサポートする働きが報告されている」、「食事に含まれるタンパク質の吸収力を高める働きが報告されている」、「食事に含まれるタンパク質の吸収力をアップさせる働きが報告されている」、「食事に含まれるタンパク質の吸収力を強化する働きが報告されている」、「タンパク質と一緒に摂取することで、アミノ酸の吸収を高める働きが報告されています」、「タンパク質と一緒に摂取することで、アミノ酸の吸収を促進する働きが報告されています」、「タンパク質と一緒に摂取することで、アミノ酸の吸収を助ける働きが報告されています」、「タンパク質と一緒に摂取することで、アミノ酸の吸収をサポートする働きが報告されています」、等を表示した食品等も、本発明のアミノ酸吸収用組成物に該当する。
【0051】
〔2.アミノ酸の吸収を促進する方法〕
本発明の一実施形態は、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を摂取することにより、食事に含まれるアミノ酸の吸収を促進する方法である。
【0052】
キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部に関する説明は、〔1.アミノ酸吸収促進用組成物〕の項目に記載したとおりである。
【0053】
本発明の方法において、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を摂取するタイミングは特に限定されず、同時に摂取してもよいし、異なるタイミングで摂取してもよい。異なるタイミングで摂取する場合、例えば、一定時間を置いてそれぞれ摂取してもよいが、時間を置く場合には1時間以内に摂取することが好ましい。また、異なるタイミングで摂取する場合、何れを先に摂取してもよい。アミノ酸吸収促進の効率を高める観点では、キバナオウギの地上部とデンシチニンジンの地上部とを同時に摂取することが好ましい。
【0054】
同時に摂取する方法としては、上述のアミノ酸吸収促進用組成物を摂取することが挙げられる。また、異なるタイミングで摂取する場合は、キバナオウギの地上部を含む組成物とデンシチニンジンの地上部を含む組成物とを別々に摂取することが挙げられる。
【0055】
キバナオウギの地上部を含む組成物、及び、デンシチニンジンの地上部を含む組成物については、〔1.アミノ酸吸収促進用組成物〕の項目の記載に準じて適宜調製することができる。
【0056】
キバナオウギの地上部とデンシチニンジンの地上部の摂取量の質量比は、特に限定されず、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。本発明の方法におけるキバナオウギの地上部とデンシチニンジンの地上部の摂取量の質量比は、例えば、1:10~10:1であり、好ましくは1:5~5:1であり、より好ましくは1:2~2:1であり、特に好ましくは1:1である。
【0057】
キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の1日の摂取量は、特に限定されず、使用態様や使用者の使用内容などに応じて適宜設定され得るが、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計の質量換算で、使用者の体重を基準として、例えば、0.01~200mg/kgであり、好ましくは0.05~50mg/kgであり、より好ましくは0.1~10mg/kgであり、さらに好ましくは0.2~5mg/kgである。1回の摂取量についても同様に特に限定されず、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計の質量換算で、使用者の体重を基準として、例えば、0.005~100mg/kgであり、好ましくは0.025~25mg/kgであり、より好ましくは0.05~5mg/kgである。また、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の1日の摂取量は、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計の質量換算で、例えば、0.2~10000mg、好ましくは1~2000mg、より好ましくは2.5~1000mg、さらに好ましくは5~500mgである。キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の1回の摂取量は、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計の質量換算で、例えば、0.1~5000mg、好ましくは0.5~1000mg、より好ましくは1.25~500mg、さらに好ましくは2.5~250mgである。
【0058】
キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の1日あたりの摂取回数は、例えば、1~5回、好ましくは1~3回、より好ましくは1回である。摂取のタイミングは、食事の直前(例えば15分以内)、食事中、又は食事の直後(例えば15分以内)であることが好ましく、食事中であることがより好ましい。
【0059】
また、アミノ酸の生理活性を存分に発揮するためには、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部とともに、アミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質を摂取することが好ましい。具体的には、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部と同時に、又は前後して、アミノ酸、ペプチド及び/又はタンパク質を摂取する。アミノ酸、ペプチド及びタンパク質に関する説明は、〔1.アミノ酸吸収促進用組成物〕の項目に記載したとおりである。また、その他の各種具体的な説明も〔1.アミノ酸吸収促進用組成物〕に準じる。
【0060】
本発明はまた、食事に含まれるアミノ酸の吸収を促進する有効成分としての、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の使用を提供する。具体的な説明は、〔1.アミノ酸吸収促進用組成物〕及び〔2.アミノ酸の吸収を促進する方法〕に準じる。
【実施例0061】
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0062】
〔試験1.遺伝子発現量の評価〕
<試験方法>
(1)37℃、5%COインキュベーター内で、75cmフラスコを用いて、ヒト大腸癌由来細胞(Caco-2)を培養した。培地は1%NEAA(MEM Non-Essential Amino Acids Solution)-10%FBS-DMEMを用いた。
(2)24ウェルプレートに培地を600μL添加し、インサートウェルを移した。
(3)トリプシン処理により浮遊させた細胞を、75cmフラスコからインサートウェルに4.0×10cells/wellの細胞密度となるように100μL播種した。
(4)37℃、5%COインキュベーター内で培養し、2~3日毎に培地交換を実施した。培地交換は、インサートウェル外側(基底膜側ウェル)を1000μL、インサートウェル内側(管腔側ウェル)を350μLの1%NEAA-10%FBS-DMEMで行った。
(5)Millicell ERS-2(Millipore製)にて電気抵抗値を測定し、1000Ω以上になるまで培養し、試験に使用した。
(6)新しい24ウェルプレートに1000μLの1%NEAA-10%FBS-DMEMを添加し、インサートウェルを移した。
(7)インサートウェル内側の培地を除いた後、被験物質溶液を350μLずつ添加し、37℃、5%COインキュベーター内で24時間培養した。
被験物質として、キバナオウギ地上部抽出物(エキス末)、キバナオウギ地下部抽出物(エキス末)、デンシチニンジン地上部抽出物(エキス末)、デンシチニンジン地下部抽出物(エキス末)、大麦若葉末を用いた。なお、大麦若葉末は、大麦の茎葉として、出穂前に刈り取ったものを洗浄後、裁断、乾燥後に粉砕して得られた大麦茎葉の粉砕末(目開き75μmの篩を90%以上通過するもの;株式会社東洋新薬社製)を用いた(大麦若葉末のアミノ酸吸収促進効果については特許文献1も参照のこと)。
被験物質はDMSO又は0.5%DMSO含有1%NEAA-10%FBS-DMEMに溶解し、各成分の合計量が10μg/mL、かつDMSO濃度が0.5%になるように1%NEAA-10%FBS-DMEMで調製したものを被験物質溶液として使用した。
コントロールとして、被験物質を含まない、0.5%DMSO含有1%NEAA-10%FBS-DMEMを使用した。
【0063】
【表1】
【0064】
(8)24時間培養後、インサートウェル外側を1000μL、インサートウェル内側を500μLのPBSで1回ずつ洗浄し、RNeasy Mini Kit(QIAGEN製)を用いてRNAを抽出した。
(9)NANODROP2000(Thermo SCIENTIFIC製)にてRNAの濃度を測定し、5ng/μLとなるように希釈した。
(10)One Step TB Green(登録商標) PrimeScriptTM RT-PCR Kit II (Perfect Real Time)(タカラバイオ製)にて、標的遺伝子としてSLC7A1、SLC1A5、SLC1A1の遺伝子発現量をリアルタイムPCRで評価した。SLC7A1は塩基性アミノ酸トランスポーターCAT1、SLC1A5は中性アミノ酸トランスポーターASCT2、SLC1A1は酸性アミノ酸トランスポーターEAAC1をコードする遺伝子である。アミノ酸トランスポーターは、アミノ酸の細胞膜透過を可能にする膜タンパク質であり、アミノ酸の吸収に寄与すると考えられているため、アミノ酸トランスポーター遺伝子の発現が促進されれば、アミノ酸の吸収が促進されると推察できる。なお、内在性コントロールとしてRRN18Sを用いて、検量線法による比較定量にて各標的遺伝子の発現量を解析した。いずれもQIAGEN製のプライマーを用いた。
(11)各実施例及び比較例について、コントロール(被験物質を含まない溶液)の遺伝子発現量を1とした相対的な遺伝子発現量を算出し、遺伝子発現量を評価した。
【0065】
<試験結果>
遺伝子発現量の結果を図1~3に示す。図1は、SLC7A1遺伝子の発現量の結果を示す図である。図2は、SLC1A5遺伝子の発現量の結果を示す図である。図3は、SLC1A1遺伝子の発現量の結果を示す図である。図1~3からわかるとおり、キバナオウギの地上部とデンシチニンジンの地上部とを被験物質としたもの(実施例1)では、SLC7A1、SLC1A5、及びSLC1A1の何れについても遺伝子発現量の増加が顕著であった。このことから、キバナオウギの地上部とデンシチニンジンの地上部との組み合わせが、優れたアミノ酸吸収促進効果を有すると考えられた。
【0066】
〔試験2.臨床試験〕
<試験方法の概要>
ヒトを用いて、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を含有する組成物のアミノ酸吸収に及ぼす影響を検討することを目的とするプラセボ対照ランダム化二重盲検クロスオーバー試験を行った。被験組成物先行摂取群では、被験組成物摂取期間(7日間)、休止期間(7日間)、対照組成物摂取期間(7日間)の順番のスケジュールとした。対照組成物先行摂取群では、対照組成物摂取期間(7日間)、休止期間(7日間)、被験組成物摂取期間(7日間)の順番のスケジュールとした。被験者数は合計10名であった。
【0067】
<試験組成物の調製>
試験組成物(実施例2)及び対照組成物(比較例7)を表2に示す配合で錠剤を製造した。表2は1回2錠あたりの配合を示す。
【0068】
【表2】
【0069】
<負荷食品の用意>
負荷食品として、マイプロテイン社製の商品名「ホエイプロテイン25g(ノンフレーバー)」を用意した。当該製品は、タンパク質を21g含有していた。
【0070】
<摂取方法>
通常日(第1日目~第6日目):1回あたり2錠の試験組成物(実施例2)又は対照組成物(比較例7)を、100mLの水で経口摂取した。
負荷日(第7日目):1回あたり2錠の試験組成物(実施例2)又は対照組成物(比較例7)を、200mLの水に溶かした負荷食品25gと同時に、一気に経口摂取した。なお、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部の合計量とタンパク質の合計量の比率は約1:442であった。
【0071】
<評価方法>
負荷日において、試験組成物(実施例2)又は対照組成物(比較例7)の摂取前、摂取後30分、45分、60分、90分、120分、180分の時点で被験者から採血した。LC-MS/MSを用いて45種類のアミノ酸について各時点のそれぞれの血中濃度を測定した。総アミノ酸濃度の値(45種類のアミノ酸の濃度を合計した値)から、台形法により、摂取後180分までの血中濃度上昇曲線下面積(iAUC)を算出した。また、各アミノ酸のiAUCも同様に算出した。
【0072】
<結果>
総アミノ酸iAUCの結果を図4に示す。図4からわかるとおり、負荷食品を実施例2の試験組成物と一緒に摂取した群(以下、「実施例2」とも略す)では、負荷食品を比較例7の対照組成物と一緒に摂取した群(以下、「比較例7」とも略す))と比較して、血中のアミノ酸濃度が有意に増加していた。このことから、キバナオウギの地上部及びデンシチニンジンの地上部を含有する試験組成物が負荷食品に含まれるアミノ酸の吸収を促進したことが示された。
【0073】
また、各アミノ酸のiAUCの結果から、アミノ酸のなかでも、ハイドロキシプロリン、トレオニン、セリン、アスパラギン、プロリン、α-アミノ-n-酪酸、シスチン、β-アラニン、オルニチン、ヒスチジン、リジン、アルギニンについては、比較例7と比較して実施例2では特にアミノ酸吸収の促進効果が高いことがわかった。
【0074】
〔製造例〕
下記成分からなる実施例3~12の粉末飲料を製造した。具体的には、各原料を混合後、造粒機を用いて流動層造粒を行い、顆粒状の粉末飲料を製造した。得られた粉末飲料は嗜好性に優れるものであり、同粉末飲料を1日1回、1回あたり10gを水又は牛乳80~150mLに懸濁して摂取することで、優れたアミノ酸吸収効果が得られる。
【0075】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の組成物は、優れたアミノ酸吸収促進効果を有するため、食品や医薬品等に利用することができる。

図1
図2
図3
図4