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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150087
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/18 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
H01R4/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063323
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】李 敏鎬
【テーマコード(参考)】
5E085
【Fターム(参考)】
5E085BB12
5E085HH06
5E085JJ40
(57)【要約】
【課題】作業者が逆向きでの端子金具のキャビティ内への挿入をより速やかに止めることができる、コネクタを開示する。
【解決手段】コネクタ10が、端子金具14とキャビティ16を有するハウジング18とを備え、端子金具14は、上板部24と底板部26と底板部26から下方に突出して設けられた底側突部28とを有し、ハウジング18は、キャビティ16への端子金具14の挿入方向に延びるガイド溝86と、端子金具14の挿入方向と反対方向に突出する逆挿入検知突部94と、を有し、端子金具14が正規向きでキャビティ16に挿入される際には、端子金具14の底側突部28がハウジング18のガイド溝86内を挿通して端子金具14のキャビティ16内への挿入が許容され、端子金具14が上下逆向きでキャビティ16に挿入される際には、底側突部28が逆挿入検知突部94に当接してキャビティ16内への端子金具14の挿入が阻止される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の端末に接続された端子金具と、
前記端子金具が収容されたキャビティを有するハウジングと、を備え、
前記端子金具は、前記キャビティの上面に対向して配置される上板部と、前記キャビティの底面に対向して配置される底板部と、前記底板部から下方に突出して設けられた底側突部と、を有し、
前記ハウジングは、前記キャビティの前記底面と前記キャビティの開口周縁部の底側部に開口して前記キャビティへの前記端子金具の挿入方向に延びるガイド溝と、前記キャビティの前記上面に連接する前記キャビティの前記開口周縁部の上側部から前記挿入方向と反対方向に突出する逆挿入検知突部と、を有し、
前記キャビティの前記上面と前記底面の対向方向である第1方向の距離が、前記端子金具の前記上板部の外面と前記底板部の外面の前記第1方向の離隔距離よりも大きく、且つ、前記端子金具の前記上板部の前記外面と前記底側突部の突出端面の前記第1方向の離隔距離よりも小さくされており、
前記端子金具が正規向きで前記キャビティに挿入される際には、前記端子金具の前記底側突部が前記ハウジングの前記ガイド溝内を挿通して前記端子金具の前記キャビティ内への挿入が許容され、
前記端子金具が上下逆向きで前記キャビティに挿入される際には、前記底側突部が前記逆挿入検知突部に当接して前記キャビティ内への前記端子金具の挿入が阻止される、
コネクタ。
【請求項2】
前記底側突部の前記挿入方向の突出端面と、前記逆挿入検知突部の前記反対方向の突出端面の少なくとも一方が、傾斜面および湾曲面の少なくとも1つを含んで構成されている、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記逆挿入検知突部は、前記キャビティの前記開口周縁部の前記上側部における前記第1方向に直交する第2方向の中央部から前記第2方向の両側に広がる幅寸法を有し、前記反対方向の前記突出端面が、前記第2方向の前記中央部から前記両側に向かって次第に前記反対方向への突出寸法が小さくなる一対の前記傾斜面または一対の前記湾曲面を有し、
前記端子金具の前記底側突部は、前記第2方向で前記底板部の中央部から前記第2方向の両側に広がる幅寸法を有し、前記挿入方向の前記突出端面が、前記第2方向の前記中央部から前記両側に向かって広がりつつ前記反対方向へ向かって延びる一対の前記傾斜面または一対の前記湾曲面を有し、
前記キャビティの前記開口周縁部は、前記第2方向で対向する一対の側壁部を有し、前記第2方向における前記一対の側壁部の間の対向距離が、前記端子金具の前記第2方向で対向する一対の側板部間の離隔距離よりも僅かに大きくされている、請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記キャビティが開口する前記ハウジングの後端面に組み付けられて、前記キャビティを覆い、前記キャビティに収容された前記端子金具から延び出す前記電線を挿通する挿通孔を備えたカバー部材をさらに備え、
前記カバー部材が、前記後端面から前記反対方向に突出する前記逆挿入検知突部を収容する収容部を有している、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記カバー部材が、前記挿入方向で前記キャビティ内の前記端子金具に向かって突出して対向する押さえリブを有しており、前記端子金具が前記反対方向に変位した際に前記押さえリブが前記端子金具に当接するようになっている、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記カバー部材が、前記第1方向と前記第1方向に直交する第2方向の少なくとも一方で前記ハウジングよりも外方に突出するフランジ部を有している、請求項4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、端子金具と、端子金具が収容されるキャビティを備えたハウジングと、を備えてなるコネクタが開示されている。特許文献1のコネクタでは、端子金具に係止片が突設されている。そして、端子金具が正規の向きでキャビティに挿入される際には、端子金具の係止片が、ハウジングに設けられてキャビティ内に突出する係止用弾性舌片を押圧し、端子金具のキャビティ内への挿入が許容される。一方、端子金具が逆向きでキャビティに挿入される際には、端子金具の係止片がハウジングのキャビティ開口縁部に当接して端子金具のキャビティ内への挿入が阻止されることにより、端子金具の誤組付が防止されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-121091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構造では、逆向きの端子金具がある程度キャビティ内に挿入された後に、係止片がキャビティ開口縁部に当接してそれ以上のキャビティ内への端子金具の挿入が阻止される。そのため、係止片がキャビティ開口縁部に当接した際には、作業者は直ちに逆挿入行為を止めるよりもむしろ無理に押圧する可能性が高い。それゆえ、その際にキャビティ内に収容された端子金具の一部がキャビティ内面に強く接触し易く、端子金具に大きな外力が加わって変形するおそれがあった。
【0005】
そこで、作業者が逆向きでの端子金具のキャビティ内への挿入をより速やかに止めることができる、コネクタを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、電線の端末に接続された端子金具と、前記端子金具が収容されたキャビティを有するハウジングと、を備え、前記端子金具は、前記キャビティの上面に対向して配置される上板部と、前記キャビティの底面に対向して配置される底板部と、前記底板部から下方に突出して設けられた底側突部と、を有し、前記ハウジングは、前記キャビティの前記底面と前記キャビティの開口周縁部の底側部に開口して前記キャビティへの前記端子金具の挿入方向に延びるガイド溝と、前記キャビティの前記上面に連接する前記キャビティの前記開口周縁部の上側部から前記挿入方向と反対方向に突出する逆挿入検知突部と、を有し、前記キャビティの前記上面と前記底面の対向方向である第1方向の距離が、前記端子金具の前記上板部の外面と前記底板部の外面の前記第1方向の離隔距離よりも大きく、且つ、前記端子金具の前記上板部の前記外面と前記底側突部の突出端面の前記第1方向の離隔距離よりも小さくされており、前記端子金具が正規向きで前記キャビティに挿入される際には、前記端子金具の前記底側突部が前記ハウジングの前記ガイド溝内を挿通して前記端子金具の前記キャビティ内への挿入が許容され、前記端子金具が上下逆向きで前記キャビティに挿入される際には、前記底側突部が前記逆挿入検知突部に当接して前記キャビティ内への前記端子金具の挿入が阻止される、ものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、作業者が逆向きでの端子金具のキャビティ内への挿入をより速やかに止めることができる、コネクタが提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係るコネクタを示す斜視図である。
図2図2は、図1に示されたコネクタにおける平面図である。
図3図3は、図1に示されたコネクタにおける底面図である。
図4図4は、図2におけるIV-IV断面図である。
図5図5は、図1に示されたコネクタをカバー部材を取り外した状態で示す正面図である。
図6図6は、図1に示されたコネクタを構成するハウジングを平面側から示す斜視図である。
図7図7は、図6に示されたハウジングを底面側から示す斜視図である。
図8図8は、図1に示されたコネクタを構成する端子金具を電線との接続状態で示す斜視図である。
図9図9は、図1に示されたコネクタを構成するカバー部材を背面側から示す斜視図である。
図10図10は、図1に示されたコネクタにおいて端子金具が上下逆向きで挿入される状態を示す斜視図である。
図11図11は、図10に示されたコネクタにおける平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)電線の端末に接続された端子金具と、前記端子金具が収容されたキャビティを有するハウジングと、を備え、前記端子金具は、前記キャビティの上面に対向して配置される上板部と、前記キャビティの底面に対向して配置される底板部と、前記底板部から下方に突出して設けられた底側突部と、を有し、前記ハウジングは、前記キャビティの前記底面と前記キャビティの開口周縁部の底側部に開口して前記キャビティへの前記端子金具の挿入方向に延びるガイド溝と、前記キャビティの前記上面に連接する前記キャビティの前記開口周縁部の上側部から前記挿入方向と反対方向に突出する逆挿入検知突部と、を有し、前記キャビティの前記上面と前記底面の対向方向である第1方向の距離が、前記端子金具の前記上板部の外面と前記底板部の外面の前記第1方向の離隔距離よりも大きく、且つ、前記端子金具の前記上板部の前記外面と前記底側突部の突出端面の前記第1方向の離隔距離よりも小さくされており、前記端子金具が正規向きで前記キャビティに挿入される際には、前記端子金具の前記底側突部が前記ハウジングの前記ガイド溝内を挿通して前記端子金具の前記キャビティ内への挿入が許容され、前記端子金具が上下逆向きで前記キャビティに挿入される際には、前記底側突部が前記逆挿入検知突部に当接して前記キャビティ内への前記端子金具の挿入が阻止される、ものである。
【0010】
本態様のコネクタによれば、キャビティの上面と底面の対向方向(以下、第1方向)の距離が、端子金具の上板部の外面と底板部の外面の第1方向の離隔距離よりも大きく、且つ、端子金具の上板部の外面と底側突部の突出端面の第1方向の離隔距離よりも小さくされている。これにより、端子金具が上下逆向きでキャビティに挿入される際には、端子金具の上板部をキャビティの底面に位置合わせして挿入しようとすると、必ず端子金具の底側突部がハウジングの逆挿入検知突部に干渉することになる。そして、端子金具が上下逆向きでキャビティに挿入される際には、端子金具の底側突部がハウジングの逆挿入検知突部に当接してキャビティ内への端子金具の挿入が阻止されるようになっている。ここで、逆挿入検知突部は、キャビティの開口周縁部の上側部から端子金具のキャビティへの挿入方向と反対方向に突出している。それゆえ、キャビティ内に端子金具が入り込む前や入り込んだ直後など、従来構造よりも早い段階で、端子金具の上下逆向き挿入状態を、逆挿入検知突部と底側突部の当接により作業者が検知することができる。それゆえ、作業者が逆向きでの端子金具のキャビティ内への挿入をより速やか止めることができるコネクタを提供できる。
【0011】
なお、端子金具が正規向きでキャビティに挿入される際には、端子金具の底側突部がハウジングのガイド溝内を挿通して端子金具のキャビティ内への挿入が許容されることから、底側突部とガイド溝の協働により、端子金具を正しい装着状態に保持したまま、キャビティの配置位置まで案内することができる。その結果、端子金具の斜め挿入による端子金具の変形等の不具合の発生を未然に防止することができる。
【0012】
(2)上記(1)において、前記底側突部の前記挿入方向の突出端面と、前記逆挿入検知突部の前記反対方向の突出端面の少なくとも一方が、傾斜面および湾曲面の少なくとも1つを含んで構成されている、ことが好ましい。底側突部と逆挿入検知突部の相互の当接面を構成するそれらの突出端面の少なくとも一方が、傾斜面および湾曲面の少なくとも1つを含んで構成されている。これにより、端子金具が上下逆向きでキャビティに挿入される際に、底側突部と逆挿入検知突部が相互に当接すると、傾斜面および/または湾曲面を介する当接により端子金具の挿入方向が変化する。その結果、より一層速やかに作業者に誤挿入であることを検知させることができ、さらに挿入方向への無理な押し込みによるキャビティ内での端子金具の変形等の発生も未然に防止することができる。
【0013】
(3)上記(2)において、前記逆挿入検知突部は、前記キャビティの前記開口周縁部の前記上側部における前記第1方向に直交する第2方向の中央部から前記第2方向の両側に広がる幅寸法を有し、前記反対方向の前記突出端面が、前記第2方向の前記中央部から前記両側に向かって次第に前記反対方向への突出寸法が小さくなる一対の前記傾斜面または一対の前記湾曲面を有し、前記端子金具の前記底側突部は、前記第2方向で前記底板部の中央部から前記第2方向の両側に広がる幅寸法を有し、前記挿入方向の前記突出端面が、前記第2方向の前記中央部から前記両側に向かって広がりつつ前記反対方向に向かって延びる一対の前記傾斜面または一対の前記湾曲面を有し、前記キャビティの前記開口周縁部は、前記第2方向で対向する一対の側壁部を有し、前記第2方向における前記一対の側壁部の間の対向距離が、前記端子金具の前記第2方向で対向する一対の側板部間の離隔距離よりも僅かに大きくされている、ことが好ましい。
【0014】
作業者がキャビティの開口周縁部に端子金具を位置合わせして挿入しようとする際に、第1方向に加えて第2方向でも端子金具とキャビティの対向隙間は小さくされている。しかも、ハウジングの逆挿入検知突部および端子金具の底側突部はいずれも幅方向の中央部分から幅方向両側に広がる形状で設けられている。それゆえ、端子金具が上下逆向きでキャビティに挿入される際には、必ず端子金具の底側突部がハウジングの逆挿入検知突部に干渉して、逆挿入であることを作業者に検知させることができる。逆挿入検知突部と底側突部がいずれも幅方向中央部から幅方向両側に向かって次第に突出寸法が小さくなる一対の傾斜面または湾曲面を有していることから、逆挿入検知突部と底側突部の当接後速やかに端子金具の挿入方向が変化して、逆向きでの端子金具のキャビティ内への挿入をより速やか且つ確実に止めることができる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記キャビティが開口する前記ハウジングの後端面に組み付けられて、前記キャビティを覆い、前記キャビティに収容された前記端子金具から延び出す前記電線を挿通する挿通孔を備えたカバー部材をさらに備え、前記カバー部材が、前記後端面から前記反対方向に突出する前記逆挿入検知突部を収容する収容部を有している、ことが好ましい。ハウジングの後端面に組み付けられてキャビティの開口を覆うカバー部材を巧く利用して、後端面から突出する逆挿入検知突部をカバー部材に設けられた収容部に収容することができる。これにより、逆挿入検知突部の他部材との干渉を未然に防止することができ、ハウジングへの端子金具の組付作業時の誤組付を防止しつつ、コネクタの完成品における製品の安定性や他部材の干渉リスクの低減を、少ない部品点数で達成することができる。
【0016】
(5)上記(4)において、前記カバー部材が、前記挿入方向で前記キャビティ内の前記端子金具に向かって突出して対向する押さえリブを有しており、前記端子金具が前記反対方向に変位した際に前記押さえリブが前記端子金具に当接するようになっている、ことが好ましい。カバー部材に押さえリブを設けることで、端子金具のキャビティからの抜け出し方向の変位を阻止することができる。これにより、カバー部材にバックリテーナの機能を担わせることもでき、少ない部品点数で多機能なコネクタを提供できる。
【0017】
(6)上記(4)または(5)において、前記カバー部材が、前記第1方向と前記第1方向に直交する第2方向の少なくとも一方で前記ハウジングよりも外方に突出するフランジ部を有している、ことが好ましい。カバー部材のフランジ部が第1方向(上下方向)と第2方向(左右方向)の少なくとも一方でハウジングよりも外方に突出していることから、コネクタの相手方への組付作業性の向上を図ることができる。
【0018】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1のコネクタ10について、図1から図11を用いて説明する。コネクタ10は、電線12の端末に接続された端子金具14を含んでおり、コネクタ10と図示しない相手側コネクタとが接続されて、端子金具14と相手側コネクタにおける相手側端子15(図4中に二点鎖線で図示)とが当接することで、コネクタ10と相手側コネクタとが電気的に導通状態となるようになっている。なお、コネクタ10は、任意の向きで配置することができるが、以下では、上方とは図4中の上方、下方とは図4中の下方、前方とは図2中の左方、後方とは図2中の右方、左方とは図2中の下方、右方とは図2中の上方として説明する。また、以下の説明では、上下方向を第1方向、上下方向に直交する方向である左右方向を第2方向として説明する場合がある。さらに、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0020】
<コネクタ10>
コネクタ10は、電線12の端末に接続された端子金具14と、端子金具14が収容されるキャビティ16を有するハウジング18と、を備えている。実施形態1では、ハウジング18が一対のキャビティ16,16を有しており、これら一対のキャビティ16,16が左右方向で並んで設けられている。なお、図1から図5では、端子金具14が右方のキャビティ16に対して正規向きで挿入されている状態が示されているとともに、図10,11では、端子金具14が左方のキャビティ16に対して上下逆向きで挿入される際の状態が示されている。
【0021】
電線12は被覆電線であり、芯線20と、芯線20を略全長にわたって被覆する合成樹脂製の絶縁被覆22とから構成されている。そして、電線12の端末(前端)において絶縁被覆22が剥がされて芯線20が露出している。そして、電線12の端末において露出した芯線20に対して端子金具14が接続されている。
【0022】
<端子金具14>
端子金具14は、キャビティ16の後述する上面70に対向して配置される上板部24と、キャビティ16の後述する底面72に対向して配置される底板部26と、底板部26の一部が下方に突出して設けられた底側突部28と、を有している。
【0023】
実施形態1では、図4図8にも示されるように、端子金具14が1枚の金属平板に対してプレス加工を施すことにより形成されており、端子金具14の前方部分に略矩形筒状の本体部30が構成されている。この本体部30の上側の壁部が上記上板部24により構成されているとともに、下側の壁部が上記底板部26により構成されている。また、本体部30の左右両側の壁部が、上板部24と底板部26とを接続する一対の側板部32,32により構成されている。これら上板部24、底板部26および一対の側板部32,32により、前後方向両側に開口する本体部30が構成されている。
【0024】
端子金具14を構成する金属平板にプレス加工を施す前の状態では、底板部26が上板部24や各側板部32よりも前方に延び出しており、上板部24や各側板部32の前端部と略等しい前後方向位置で折返部34により後方に折り返されている。底板部26から延び出して折返部34により後方に折り返された部分は、複数の湾曲部や屈曲部をもって本体部30の内部に収容されている。これにより、折返部34により後方に折り返された部分は、上板部24に上下方向で対向して近接する部分を有している。また、上板部24には、下方、すなわち折返部34により後方に折り返された部分に向かって突出する内方突部36が設けられている。この内方突部36と、折返部34により後方に折り返されて上板部24(内方突部36)に近接する部分により、相手側端子15が挿入された際に相手側端子15の上下両面に接触する上下の接点部38a,38bが構成されている。
【0025】
そして、相手側端子15は、これら上下の接点部38a,38bに対して略圧入状態で挿入されるようになっており、相手側端子15の圧入時には、上下の接点部38a,38bが相手側端子15の上下両面により上下方向外方に押し広げられるように相互に離隔変位する。実施形態1では、上述のように折返部34により後方に折り返された部分には複数の湾曲部や屈曲部が設けられており、これら湾曲部や屈曲部が弾性変形して下側の接点部38bが下方に変位することで、相手側端子15の圧入が許容されるようになっている。
【0026】
また、折返部34により後方に折り返された部分において下側の接点部38bの形成位置には、左右方向両側に突出する一対の係合突部40,40が設けられている。本体部30における各側板部32には、左右方向で貫通する略矩形の係合窓42が形成されており、金属平板を折り曲げて本体部30を構成した際には、折返部34により後方に折り返された部分に設けられた各係合突部40が各係合窓42に挿入されるようになっている。これにより、各係合突部40が各係合窓42の上方の内面に当接することで、折返部34により後方に折り返された部分が、折り返される前の状態に戻るように変形することが防止される。また、相手側端子15が圧入されて下側の接点部38bが下方に変位した際に、各係合突部40が各係合窓42の下方の内面に当接することで、下側の接点部38bの下方への変位量が制限されるようになっている。
【0027】
さらに、各側板部32は、金属平板が折り曲げられる前の状態において上板部24よりも前方に突出する部分を有しており、これらの部分は、金属平板を折り曲げて本体部30を構成するに際して左右方向内方に折り曲げられるようになっている。そして、本体部30が構成された際には、これらの部分が左右方向で相互に対向するようになっており、これらの部分により、本体部30の前方の開口部を部分的に覆う一対の前板部44,44が構成されている。具体的には、これら各前板部44により本体部30における前方の開口部の下方部分が覆われるようになっており、これにより、折返部34により後方に折り返された部分が、折り返される前の状態に戻るように変形することが防止される。また、本体部30における前方の開口部の上方部分は各前板部44に覆われることなく開口状態が維持されており、本体部30における前方の開口部の上方部分により、相手側端子15が挿入される挿入部46が構成されている。
【0028】
図8図10にも示されるように、実施形態1では、一方(右方)の側板部32において上方に開口する係合凹部48が設けられているとともに、上板部24において側方(右方)に突出する係合凸部49が設けられている。そして、金属平板を折り曲げて本体部30を構成する際に、係合凸部49が係合凹部48に入り込むとともに、一方(右方)の側板部32の端部が上板部24の外面50に上方から重ね合わされるようになっている。これにより、折り曲げて構成された本体部30が、開く方向へ変形することが防止される。また、本体部30が上記のような形状とされることで、本体部30の上端部には、幅方向の一方(実施形態1では右方)において、上板部24から上方に突出する位置決め突部51が設けられており、当該位置決め突部51が、一方(右方)の側板部32の端部により構成されている。
【0029】
さらに、端子金具14において本体部30よりも後方には、前述の電線12が接続される電線接続部52が設けられている。実施形態1では、電線12が圧着されることで電線接続部52に接続されており、電線接続部52が電線12を左右両側から圧着するための一対の圧着片54,54を含んで構成されている。特に、実施形態1では、電線12の圧着箇所が前後方向で離隔する2箇所とされており、前方の各圧着片54aが電線12の前端部において露出する芯線20を左右両側から挟み込んで固定しているとともに、後方の各圧着片54bが電線12の絶縁被覆22を左右両側から挟み込んで固定している。また、実施形態1では、底板部26が本体部30よりも後方に延び出す部分を有しており、底板部26において本体部30よりも後方に延び出す部分に上記の電線接続部52が一体的に形成されている。図8に示されるように、端子金具14における電線接続部52において電線12の端末(前端部)が圧着固定されることで、電線12と端子金具14とが一体的に設けられた端子金具付き電線53が構成されている。
【0030】
<底側突部28>
ここで、底板部26には、底板部26の外面(下面)55から下方に突出する底側突部28が設けられている。上述のように、端子金具14は1枚の金属平板をプレス加工することで形成されていることから、底側突部28は底板部26の一部を下方に突出させることで形成されており、底側突部28は底板部26に対して一体的に形成されている。底側突部28は、底板部26における幅方向(第2方向)の中央部分に設けられており、所定の幅寸法を有している。すなわち、底側突部28は、第2方向(左右方向)で底板部26の中央部から第2方向の両側に広がる幅寸法を有している。
【0031】
また、底側突部28は、図4図10,11に示されるように、前方から後方に向かって次第に下方への突出寸法が大きくなるようにされているとともに、幅方向中央部から幅方向両側に向かって次第に下方への突出寸法が小さくなるようにされている。換言すれば、底側突部28は、後端部における幅方向中央部が最も下方に突出しており、当該最も下方に突出する部分から前方になるにつれて下方への突出寸法が次第に小さくなっているとともに、最も下方に突出する部分から幅方向両側になるにつれて下方への突出寸法が次第に小さくなっている。これにより、底側突部28の突出端面(下端面)56は、全体として滑らかに接続される湾曲面や傾斜面を含んで構成されている。
【0032】
特に、端子金具14におけるキャビティ16への挿入方向(後方から前方に向かう方向)の突出端面56、要するに、突出端面56における前方部分は、傾斜面および湾曲面の少なくとも1つを含んで構成されている。より具体的には、突出端面56における前方部分は、第2方向(左右方向)の中央部から両側に向かって広がる一対の側面58,58を有している。これら両側面58,58は、左右方向の中央部から両側に向かって、すなわち前方から後方に向かって次第に下方への突出寸法が大きくなるとともに、第2方向の中央部から両側に向かって広がりつつ挿入方向と反対方向(前方から後方に向かう方向)に向かって延びる一対の傾斜面または一対の湾曲面を含んで構成されている。
【0033】
<ハウジング18>
ハウジング18は、例えば絶縁性を有する合成樹脂により形成される。ハウジング18は、前述のように端子金具14が収容されるキャビティ16を有しており、実施形態1では、一対のキャビティ16,16が左右方向で並んで配置されている。すなわち、ハウジング18は、各キャビティ16を上方から覆う上壁部60と、各キャビティ16を下方から覆う下壁部62と、これら上壁部60と下壁部62とを接続して第2方向(左右方向)で対向する一対の側壁部64,64と、各キャビティ16を前方から覆う前壁部66とを有している。なお、各キャビティ16,16は左右方向で隣接していることから、各キャビティ16間の側壁部64は共通であり、各キャビティ16の間に設けられる側壁部64が、ハウジング18の内部空間を左右両側の各キャビティ16に仕切る仕切壁部として機能している。
【0034】
要するに、これら上壁部60、下壁部62、一対の側壁部64,64および前壁部66で囲まれる空間が各キャビティ16であり、各キャビティ16の後端部に後方開口部69(および後述する開口周縁部88)が形成されている。それゆえ、各キャビティ16の後方開口部69および開口周縁部88は、上壁部60、下壁部62および一対の側壁部64,64の後端部により構成されている。そして、上壁部60の内面(下面)が各キャビティ16の上面70であり、下壁部62の内面(上面)が各キャビティ16の底面72である。
【0035】
なお、上壁部60の上面には、コネクタ10を図示しない車両に組み付ける際に、車両に対して弾性的に係合する弾性係合部74が設けられている。弾性係合部74は、前端および後端が上壁部60に接続されており、前後方向中央部分が上下方向で弾性変形可能である。この弾性係合部74の後端部には、幅方向中央部分において後方に開口する中央凹部76が設けられている。
【0036】
また、図5図7に示されるように、上壁部60において各キャビティ16を構成する部分の下面には、前端部から所定の長さ寸法にわたって延びる下方突出部77が設けられており、実施形態1では下方突出部77が上壁部60の前端部から後方部分に至る長さで形成されている。これら各下方突出部77は、各キャビティ16において、左右方向中間部分から幅方向の他方端部(実施形態1では左方端部)に至る幅寸法をもって形成されている。これにより、各キャビティ16において上壁部60の下面には幅方向で下方突出部77が設けられていない部分があり、各キャビティ16における右方部分は、他の部分に比べて下方突出部77の分だけ上下方向寸法が大きくされている。要するに、各キャビティ16において上壁部60の下面には、幅方向一方(右方)において、上方に開口する位置決め凹部78が形成されている。なお、端子金具14をキャビティ16に挿入した際には、端子金具14の上板部24が下方突出部77の下面と対向することとなり、各下方突出部77の下面を各キャビティ16の上面70と把握することができる。
【0037】
実施形態1では、図4,5や図7にも示されるように、各下方突出部77における右方部分、すなわち各キャビティ16における上壁部60の幅方向中央部分において、各下方突出部77の後端部に、後方に突出する第2防止突部79が設けられている。後述するようにハウジング18には逆挿入検知突部94が設けられており、キャビティ16に対して端子金具14が上下逆向きに挿入された際に、この逆挿入検知突部94によりキャビティ16への端子金具14の挿入が阻止されることとなる。それでも万が一、キャビティ16へ端子金具14が上下逆向きにさらに挿入された際に、第2防止突部79がハウジング18における底側突部28と当接することで、それ以上の端子金具14の挿入がより確実に防止され得る。すなわち、実施形態1では、各キャビティ16のそれぞれに第2防止突部79が設けられており、ハウジング18において一対の第2防止突部79,79が左右方向で相互に離隔して設けられている。
【0038】
さらに、図3,4に示されるように、下壁部62において各キャビティ16を構成する部分の前方部分には、上下方向で貫通する貫通孔80が設けられている。すなわち、実施形態1では、各キャビティ16のそれぞれに貫通孔80が設けられており、ハウジング18において一対の貫通孔80,80が左右方向で相互に離隔して設けられている。また、各キャビティ16において、下壁部62には、各貫通孔80内に突出して上下方向で弾性変形可能な弾性爪部82が設けられている。すなわち、図3に示される底面視において各貫通孔80を略矩形と想定した場合、各貫通孔80の内面における後方部分から前方に突出する各弾性爪部82が設けられており、各弾性爪部82の周囲の三方(前方および左右両側)に各貫通孔80が形成されている。これにより、各弾性爪部82が上下方向で弾性変形可能とされている。
【0039】
そして、各キャビティ16において、各弾性爪部82よりも前方部分に比して各弾性爪部82よりも後方部分では、下壁部62の内面(上面)が、上下方向でより低い位置にある。図4から図6にも示されるように、これら各キャビティ16の下壁部62における後方部分において、左右方向両側には、上方に突出して端子金具14の挿入方向となる前後方向に延びる一対のガイドリブ84,84が設けられている。これにより、各キャビティ16において、各ガイドリブ84の左右方向間には前後方向に延びるガイド溝86が構成されている。これら各ガイドリブ84は、各キャビティ16の開口周縁部88(後方開口部69の周縁部)から連続して形成されている。すなわち、各ガイドリブ84の後端面には、前方になるにつれて次第に上方へと傾斜する誘い込み面90が形成されており、各ガイドリブ84の上面が、各誘い込み面90を介して開口周縁部88から略滑らかに連続している。これら各ガイドリブ84の上面は、下壁部62における前方部分の内面(底面72)と上下方向で略同じ位置にある。
【0040】
これにより、後述するように、各キャビティ16の後方開口部69から挿入された端子金具14は、各誘い込み面90により底面72と略同じ高さに位置する各ガイドリブ84の上面へと案内されて、各ガイドリブ84の上面に摺接しながら前方へと移動することとなる。そして、図4にも示されるように、端子金具14におけるキャビティ16への挿入完了時には、本体部30の一部が各ガイドリブ84の上面上に載置されることとなる。それゆえ、各ガイドリブ84の上面を各キャビティ16の底面72として把握することも可能である。したがって、換言すれば、各キャビティ16には、底面72と開口周縁部88の底側部91に開口する各ガイド溝86が形成されており、各ガイド溝86が端子金具14の挿入方向となる前後方向に延びている。なお、下壁部62における各弾性爪部82の上面も下壁部62における前方部分の内面や各ガイドリブ84の上面と略同じ高さ位置にあり、各キャビティ16の底面72は、各弾性爪部82の上面を含んでいてもよい。
【0041】
上述のように、実施形態1では、各キャビティ16の上面70が各下方突出部77の下面により構成されているとともに、各キャビティ16の底面72が各下壁部62の前方部分の内面(上面)、各弾性爪部82の上面および各ガイドリブ84の上面を含んで構成されている。端子金具14はキャビティ16に対して図1から図5に示される正規向きでの挿入が許容されることから、キャビティ16における上面70と底面72の対向方向である第1方向(上下方向)の距離C(図4参照)が、本体部30における上板部24の外面50と底板部26の外面55との第1方向における離隔距離T(図4参照)より大きくされている。また、端子金具14はキャビティ16に対して図10,11に示される上下逆向きでの挿入が阻止されることから、キャビティ16における上面70と底面72との第1方向の離隔距離Tが、本体部30における上板部24の外面50と底側突部28の突出端面56との第1方向における離隔距離R(図4参照)より小さくされている。一方、各キャビティ16の後方において下壁部62の上面が他の部分よりも下方に位置する部分では、キャビティ16における上面70と下壁部62の上面との第1方向における距離D(図4参照)は、上板部24の外面50と底側突部28の突出端面56との第1方向における離隔距離Rより大きくされている。
【0042】
すなわち、キャビティ16における上面70と底面72との第1方向の距離Cが、本体部30における上板部24の外面50と底側突部28の突出端面56との第1方向における離隔距離Rより小さくされていることから、仮に端子金具14が正規の向きであっても、単純に挿入することはできない。そこで、キャビティ16の後方部分における上下方向の開口寸法を、上板部24の外面50と底側突部28の突出端面56との第1方向における離隔距離Rより大きいUとした。キャビティ16におけるガイド溝86と端子金具14における底側突部28はいずれも左右方向中央部に設けられていることから、端子金具14を正規向きで挿入した際には、底側突部28はガイド溝86内に挿し入れられて通過可能となる。また、本体部30における上端部には位置決め突部51が設けられているとともに、キャビティ16の上壁部60における下面(すなわち、下方突出部77)の右側部分には位置決め凹部78が設けられている。これら位置決め突部51および位置決め凹部78は、図5に示される正面視においてキャビティ16の同じ位置(右上部分)に形成されていることから、端子金具14を正規の向きで挿入することができる。
【0043】
さらに、底側突部28が下壁部62における弾性爪部82に到達すると、弾性爪部82と底側突部28との当接により弾性爪部82が下方へ弾性変形させられる。これにより、端子金具14のさらなる挿入が許容されて、底側突部28が弾性爪部82を通過すると、弾性爪部82は弾性的に復元変形して初期位置に復帰する。これにより、端子金具14の挿入完了位置では、図3,4に示されるように、底側突部28が下壁部62に設けられた貫通孔80内に入り込んでいる。この結果、電線12に対して引抜方向(端子金具14の挿入方向)と反対方向の外力が及ぼされた際には、底側突部28が弾性爪部82と当接することで、電線12および端子金具14の引抜きが防止されている。
【0044】
一方、端子金具14をキャビティ16に対して上下逆向きで挿入した際には、キャビティ16における上面70と底面72との第1方向の離隔距離Tが、本体部30における上板部24の外面50と底側突部28の突出端面56との第1方向における離隔距離Rより小さくされている。それに加えて、底側突部28や位置決め突部51を回避する構成が設けられていないことから、端子金具14におけるキャビティ16への挿入が阻止される。
【0045】
<逆挿入検知突部94>
ハウジング18は、キャビティ16の上面70(上壁部60の下面)に連接するキャビティ16の開口周縁部88の上側部92(上壁部60の後端部)から端子金具14の挿入方向と反対方向(前方から後方に向かう方向)に突出する逆挿入検知突部94を有している。図6,7にも示されるように、実施形態1では、逆挿入検知突部94が平面視において略五角形または略六角形を有している。この逆挿入検知突部94は、各キャビティ16のそれぞれに設けられており、ハウジング18において一対の逆挿入検知突部94,94が左右方向で相互に離隔して設けられている。
【0046】
各逆挿入検知突部94は、各キャビティ16の開口周縁部88の上側部92における幅方向(第2方向)で所定の幅寸法を有している。すなわち、各逆挿入検知突部94は、第2方向(左右方向)で上側部92の中央部から第2方向の両側に広がる幅寸法を有している。実施形態1では、各逆挿入検知突部94において、端子金具14の挿入方向と反対方向の突出端面96、要するに突出端面96における後方部分は、傾斜面および湾曲面の少なくとも1つを含んで構成されている。
【0047】
特に、実施形態1では、突出端面96における後方部分は、第2方向(左右方向)の中央部から両側に向かって広がる一対の側面98,98を有しており、これら両側面98,98が左右方向の中央部から両側に向かって、後方から前方に向かって、次第に後方への突出寸法が小さくなる一対の傾斜面または一対の湾曲面を含んで構成されている。
【0048】
<側壁部64>
各キャビティ16の開口周縁部88は、第2方向(左右方向)で対向する一対の側壁部64,64を有している。そして、端子金具14をキャビティ16へ挿入可能とするために、第2方向における一対の側壁部64,64の間の対向距離Wc(図5参照)が、端子金具14の第2方向で対向する一対の側板部32,32間の離隔距離Wt、具体的には一対の側板部32,32のそれぞれの外面の離隔距離Wt(図5参照)よりも僅かに大きくされている。
【0049】
また、図5から図7にも示されるように、左右方向で最も外側の一対の側壁部64,64(すなわち、最も右側のキャビティ16の右方を覆う側壁部64および最も左側のキャビティ16の左方を覆う側壁部64)の後端部分において、上下方向中間部分には、上下方向の他の部分よりも左右方向内方に凹となる切欠状の取付凹部100,100が設けられている。さらに、上記左右方向で最も外側の各側壁部64の外面において各取付凹部100よりも前方には、左右方向外方に突出する係止突部102が設けられている。
【0050】
なお、図4,5にも示されるように、ハウジング18の前壁部66において、各キャビティ16を構成する部分には、端子金具14の挿入部46と略対応する位置に略矩形の相手側端子挿通孔104が形成されている。また、各キャビティ16を構成する前壁部66において、相手側端子挿通孔104よりも下方には、略円形の通電検査用孔106が形成されている。
【0051】
<カバー部材108>
図1から図4に示されるように、実施形態1では、キャビティ16に対して端子金具14(端子金具付き電線53)が装着された後に、各キャビティ16が開口するハウジング18の後端面107にカバー部材108が組み付けられるようになっている。このカバー部材108により、端子金具14の装着後の各キャビティ16の後方開口部69が覆われて、キャビティ16からの端子金具14の脱落が防止される。すなわち、カバー部材108は、端子金具14から後方に延び出す電線12が挿通される挿通孔110を有している。また、前述のように、ハウジング18の後端面107からは各逆挿入検知突部94が後方に突出していることから、カバー部材108は、各逆挿入検知突部94が収容される収容部112を有している。ハウジング18に組み付けられる前の単品状態のカバー部材108を図9に示す。カバー部材108は、例えば絶縁性を有する合成樹脂により形成される。
【0052】
カバー部材108は、前後方向視において全体として略矩形または略六角形とされて所定の厚さ寸法(前後方向寸法)を有するベース部114を備えており、ハウジング18に対してカバー部材108が組み付けられた際には、ハウジング18の後端面107に対してベース部114が重ね合わされるようになっている。それゆえ、上記挿通孔110および各収容部112は、ベース部114に設けられている。実施形態1では、挿通孔110が、ベース部114の下端における幅方向(左右方向)中間部分において、下方に開口するとともに前後方向で貫通して、略切欠状に形成されている。この挿通孔110は、所定の左右方向寸法を有しており、各キャビティ16に端子金具14(端子金具付き電線53)が装着された際に、各端子金具14から後方に延び出す各電線12が挿通されるようになっている。すなわち、挿通孔110は、左右で隣接する各キャビティ16から後方に延び出す2本の電線12,12が挿通可能な左右方向の大きさをもって形成されている。また、挿通孔110の上方において各逆挿入検知突部94と対応する位置には、各収容部112が、ベース部114を厚さ方向(前後方向)で貫通する矩形孔の態様をもって形成されている。
【0053】
さらに、ベース部114の左右両側には、前方に突出する係止枠体116が設けられている。各係止枠体116は、ベース部114がハウジング18の後端面107に接近することでハウジング18の左右両側の各側壁部64に設けられた各取付凹部100に後方から挿し入れられる。そして、ベース部114をハウジング18の後端面107にさらに接近させることで各係止枠体116が各係止突部102を乗り越えて、各係止突部102が各係止枠体116に係止されるようになっている。また、ベース部114において、各収容部112よりも上方且つ幅方向中央には、前方に向かって突出する中央凸部118が設けられている。この中央凸部118は、カバー部材108がハウジング18に組み付けられた際に、ハウジング18の上端部に設けられた中央凹部76に対して後方から挿し入れられるようになっている。
【0054】
このように、挿通孔110に電線12が挿通されるとともに各収容部112に各逆挿入検知突部94が収容されて、各係止突部102が各係止枠体116に係止されることで、カバー部材108がハウジング18に組み付けられるようになっている。カバー部材108がハウジング18に組み付けられた状態では、図1から図4に示されるように、ベース部114の上端部がハウジング18よりも上方に位置しているとともに、ベース部114の左右両端部がハウジング18よりも左右方向外方に位置している。すなわち、ベース部114は、外周部分が、第1方向(上下方向、特に上方)および第2方向(左右方向)の両方向でハウジング18よりも外方に突出しており、ベース部114の外周部分により、ハウジング18よりも外方に突出するフランジ部120が構成されている。
【0055】
そして、カバー部材108がハウジング18に組み付けられた状態では、ベース部114における挿通孔110よりも上方の部分が各キャビティ16における後方開口部69の上方部分を覆い、キャビティ16からの端子金具14(端子金具付き電線53)の脱落が防止される。さらに、ベース部114において各キャビティ16における後方開口部69の上方部分を覆う部分(すなわち、挿通孔110と各収容部112の上下方向間)には、端子金具14のキャビティ16への挿入方向となる後方から前方に向かう方向に突出する押さえリブ122が設けられている。すなわち、実施形態1では、一対の押さえリブ122,122が左右方向で相互に離隔して設けられている。
【0056】
各押さえリブ122は、所定の幅方向寸法と前後方向寸法を有する略矩形板状とされている。各押さえリブ122は、上述のように各キャビティ16における上方部分に対して後方から挿入されることとなり、キャビティ16の上方部分に挿入された押さえリブ122は、端子金具14における上板部24と前後方向で対向することとなる。これにより、端子金具14が挿入方向と反対方向(前方から後方に向かう方向)に変位した際に、上板部24と押さえリブ122とが当接して、端子金具14(端子金具付き電線53)の脱落が防止される。実施形態1では、各押さえリブ122が、カバー部材108がハウジング18に組み付けられた際に上板部24の後端部に当接する前後方向寸法をもって形成されている。これにより、カバー部材108がハウジング18に組み付けられることで各押さえリブ122が上板部24を前方に押し込み、各キャビティ16内での端子金具14の変位が抑制されるようになっている。
【0057】
また、各押さえリブ122は、各端子金具14の幅方向寸法と略等しい幅方向寸法(左右方向寸法)を有している。この押さえリブ122は、端子金具14の上板部24と同様に、上壁部60に設けられた下方突出部77の下面(キャビティ16の上面70)に対向して(上面70に沿って)前方へと挿入される。実施形態1では、各押さえリブ122の右方端部において上方に突出する位置決め突部124が設けられており、各押さえリブ122が各キャビティ16の上方部分へ挿入された際に、各位置決め突部124が、幅方向で下方突出部77が設けられていない部分、要するに位置決め凹部78へ挿入されるようになっている。これにより、カバー部材108がハウジング18に対してより高度に位置決めされた状態で組み付けられ得る。
【0058】
<コネクタ10の組立工程>
続いて、コネクタ10の組立工程の具体的な一例について説明するが、コネクタ10の組立工程は以下の記載に限定されない。なお、実施形態1のコネクタ10は、左右両側の各キャビティ16に対してそれぞれ端子金具14(端子金具付き電線53)が正規の向きで挿入されて固定されることにより構成される。以下の記載では、右方のキャビティ16に端子金具14(端子金具付き電線53)が収容される態様について説明して、左方のキャビティ16に端子金具14(端子金具付き電線53)が収容される態様については右方と同様であることから説明を省略する。
【0059】
先ず、端子金具14を構成する1枚の金属平板に対してプレス加工を施して、端子金具14の前方において本体部30を形成する。また、端子金具14の後方における電線接続部52に対して電線12を圧着固定する。これにより、端子金具付き電線53を形成する。さらに、ハウジング18、カバー部材108を別途準備する。
【0060】
そして、ハウジング18におけるキャビティ16の後方開口部69に対して、端子金具付き電線53を前後方向で対向させて、端子金具14の前端部をキャビティ16の後方開口部69から挿し入れる。端子金具14の前端部における下端を、キャビティ16の開口周縁部88から略連続的に設けられた各誘い込み面90に当接させて、端子金具14を各誘い込み面90に沿って移動させる。これにより、端子金具14の下面(底板部26の外面55)が各ガイドリブ84の上面上へと案内される。その際、底板部26から下方に突出する底側突部28は、各ガイドリブ84間のガイド溝86に挿し入れられる。この状態で、端子金具14(端子金具付き電線53)を、各ガイドリブ84の上面に対して摺接させつつ前方へ移動させる。また、その際、端子金具14の上端に設けられた位置決め突部51が、キャビティ16の上面70に設けられた位置決め凹部78に挿し入れられる。
【0061】
このように端子金具14(端子金具付き電線53)を、キャビティ16内において前方に移動させることで、ハウジング18の下壁部62に設けられた弾性爪部82と端子金具14から下方に突出する底側突部28とが当接して、底側突部28が弾性爪部82を下方に押し込んで弾性変形させる。これにより、端子金具14(端子金具付き電線53)のさらなる前進が許容されて、底側突部28が弾性爪部82を乗り越えることで、弾性爪部82が弾性的に復元変形し、底側突部28が下壁部62に設けられた貫通孔80内に収容される。この端子金具14(端子金具付き電線53)の前方への移動は、例えば端子金具14の前端部(各前板部44)がキャビティ16における前壁部66に当接することにより制限される。これにより、端子金具14(端子金具付き電線53)がキャビティ16内に収容された状態とされる。また、左方の端子金具14(端子金具付き電線53)についても、右方と同様に左方のキャビティ16に収容する。
【0062】
このように左右のキャビティ16に対してそれぞれ端子金具14(端子金具付き電線53)を収容した後、ハウジング18の後方からカバー部材108を接近させる。そして、各押さえリブ122における位置決め突部124を各キャビティ16の上面70に設けられた位置決め凹部78に挿し入れて、カバー部材108から前方に突出する各押さえリブ122を各キャビティ16の上方部分に挿し入れる。また、各キャビティ16から後方に延び出す2本の各電線12をカバー部材108における挿通孔110に挿通させるとともに、ハウジング18から後方に突出する各逆挿入検知突部94をカバー部材108における各収容部112に収容する。続いて、カバー部材108における左右両側の係止枠体116をハウジング18における左右両側の取付凹部100に挿し入れて、各係止突部102を各係止枠体116に係止させる。これにより、カバー部材108がハウジング18に組み付けられてコネクタ10が完成する。
【0063】
以上のように製造されたコネクタ10は、図示しない車両に組み付けられる。そして、例えば車両側の相手側コネクタに設けられた相手側端子15が、ハウジング18における相手側端子挿通孔104および端子金具14における挿入部46を通じて端子金具14内に挿入される。これにより、相手側端子15が端子金具14内で上下の接点部38a,38bに接触して、相手側コネクタとコネクタ10とが電気的に導通した状態とされる。
【0064】
ここにおいて、本開示のコネクタ10は逆挿入検知突部94を備えており、端子金具14(端子金具付き電線53)が上下逆向きで挿入された際に、それを速やかに検知して、且つそれ以上の端子金具14(端子金具付き電線53)の挿入が阻止されるようになっている。
【0065】
すなわち、端子金具14(端子金具付き電線53)が上下逆向きとされることで、正規向きでは下方に突出していた底側突部28が端子金具14から上方に突出することになる。そして、キャビティ16の上方部分(開口周縁部88の上側部92)からは後方に逆挿入検知突部94が突出していることから、図10に示されるように、作業者が上下逆向きの端子金具14(端子金具付き電線53)をキャビティ16に挿入し始める段階で、あるいは端子金具14をキャビティ16に挿入する前の段階で、逆挿入検知突部94と底側突部28とが当接する。これにより、作業者は、端子金具14(端子金具付き電線53)が上下逆向きであることを検知(認識)することができて、それ以上の端子金具14におけるキャビティ16内への挿入が阻止され、端子金具14(端子金具付き電線53)を正規の向きに修正した後、端子金具14をキャビティ16に挿入することができる。
【0066】
また、仮に端子金具14をキャビティ16に挿入するに際して、底側突部28と逆挿入検知突部94との当接を避けるように、キャビティ16の後方開口部69に対して端子金具14(端子金具付き電線53)を傾斜させて斜め下方から挿入したとしても、実施形態1のコネクタ10には、キャビティ16の開口周縁部88に対して略連続的に延びる各誘い込み面90が設けられている。これにより、端子金具14における後方開口部69への挿入と略同時に端子金具14は上方へと案内されて、底側突部28と逆挿入検知突部94とを当接させることができる。
【0067】
実施形態1では、底側突部28の突出端面56における前方部分と、逆挿入検知突部94の突出端面96における後方部分との少なくとも一方が、傾斜面および湾曲面の少なくとも一方を含んでいる。これにより、底側突部28と逆挿入検知突部94とが当接した場合において、作業者がさらに端子金具14を前方へ押し込もうとすると、前方への押込力が上記傾斜面や湾曲面によって逸らされて、例えば図11において二点鎖線で示されるように端子金具14(端子金具付き電線53)の向きが変わりやすくされている。この結果、作業者は、端子金具14(端子金具付き電線53)が上下逆向きであることをより容易に検知(認識)することができる。
【0068】
特に、実施形態1では、底側突部28の突出端面56が、一対の傾斜面または一対の湾曲面から構成される一対の側面58,58を有しているとともに、逆挿入検知突部94の突出端面96が、一対の傾斜面または一対の湾曲面から構成される一対の側面98,98を有している。この結果、上記のような端子金具14(端子金具付き電線53)の向きの変化が生じやすく、作業者は、端子金具14(端子金具付き電線53)が上下逆向きであることをさらに容易に検知(認識)することができる。
【0069】
なお、このように逆挿入検知突部94を設けていても端子金具14が上下逆向きであることに気付けず、端子金具14をキャビティ16に無理矢理押し込むような場合も想定できる。仮に、そのような場合でも、実施形態1のコネクタ10には、キャビティ16の上方部分において第2防止突部79が設けられており、この第2防止突部79が端子金具14から上方に突出する底側突部28に当接するようになっている。これにより、作業者が、端子金具14が上下逆向きであることをより確実に検知(認識)できるだけでなく、さらなる端子金具14(端子金具付き電線53)の挿入もより効果的に防止され得る。
【0070】
コネクタ10は、キャビティ16が開口するハウジング18の後端面107に組み付けられるカバー部材108を備えている。カバー部材108には、各逆挿入検知突部94が収容される各収容部112が設けられていることから、カバー部材108の装着時において各逆挿入検知突部94が外部に突出することがなく、これら各逆挿入検知突部94が他部材に接触する等のおそれが低減され得る。
【0071】
カバー部材108は、キャビティ16の端子金具14に向かって突出して前後方向で対向する押さえリブ122を有している。これにより、端子金具14(端子金具付き電線53)に対して引抜方向の外力が作用した場合にも、端子金具14と押さえリブ122とが当接することで端子金具14(端子金具付き電線53)がキャビティ16から脱落することが防止され得る。特に、カバー部材108をハウジング18に組み付けた際に、押さえリブ122が端子金具14に対して後方から当接する態様とすることで、キャビティ16内での端子金具14の変位をより効果的に防止することができる。
【0072】
カバー部材108が、ハウジング18よりも第1方向(上下方向)および/または第2方向(左右方向)で突出するフランジ部120を有している。これにより、例えばコネクタ10を図示しない車両に組み付けるに際して、フランジ部120を把持して組付作業を行うことができて、作業効率の向上が図られる。
【0073】
<変形例>
以上、本開示の具体例として、実施形態1について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0074】
(1)底側突部や逆挿入検知突部の形状は限定されるものではない。すなわち、底側突部が端子金具から下方に突出するとともに、逆挿入検知突部がハウジングから後方に突出して、底側突部と逆挿入検知突部とが相互に当接することで、作業者が、端子金具が上下逆向きであることを検知(認識)できるようになっていればよい。それゆえ、底側突部および逆挿入検知突部は、例えば平面視の形状として、円(円弧)や多角形等、任意の形状が採用され得る。なお、底側突部と逆挿入検知突部の当接面における少なくとも一方は、前記実施形態のように傾斜面や湾曲面を含んでいることが好ましい。これにより、前記実施形態のように、底側突部と逆挿入検知突部との当接時に端子金具(端子金具付き電線)の挿入方向が変化しやすく、作業者が、端子金具が上下逆向きであることを検知(認識)しやすくすることができる。
【0075】
(2)前記実施形態では、電線12が端子金具14に対して圧着により固定されていたが、電線と端子金具との固定方法は限定されるものではなく、芯線と端子金具とが接着や溶接されることにより、電線と端子金具とが固定されてもよい。
【0076】
(3)前記実施形態では、ハウジング18において2つのキャビティ16,16が設けられて2本の電線12(端子金具付き電線53)を挿入することができるようになっていたが、キャビティおよび電線の数は限定されるものではなく、それぞれ1つずつ設けられたり、それぞれ3つずつ設けられてもよい。
【0077】
(4)前記実施形態では、カバー部材108が各キャビティ16を覆い端子金具14の抜出しを阻止する機能と、各押さえリブ122により端子金具14を後方から保持する機能と、フランジ部120によりコネクタ10を把持しやすくする機能を有していたが、カバー部材により少なくとも1つの効果が発揮されるだけでもよく、例えば押さえリブやフランジ部は設けられなくてもよい。なお、本開示に係るコネクタにおいて、カバー部材は必須なものではない。
【0078】
(5)前記実施形態では、カバー部材108において、逆挿入検知突部94が収容される収容部112が逆挿入検知突部94に対応して2つ設けられていたが、この態様に限定されるものではない。逆挿入検知突部が複数設けられる場合、カバー部材にはそれらを収容する1つの収容部が設けられてもよい。同様に、電線の数と、カバー部材において電線が挿通される挿通孔の数は対応していてもよく、前記実施形態のカバー部材108において2つの挿通孔が形成されてもよい。
【0079】
(6)前記実施形態では、端子金具14が1枚の金属平板をプレス加工することによって構成されており、底側突部28が、底板部26の一部が下方に突出することによって構成されていたが、この態様に限定されるものではない。底側突部は端子金具とは別体で形成されてもよく、別体で形成された底側突部を端子金具の下面(底板部の外面)に対して後固着してもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 コネクタ
12 電線
14 端子金具
15 相手側端子
16 キャビティ
18 ハウジング
20 芯線
22 絶縁被覆
24 上板部
26 底板部
28 底側突部
30 本体部
32 側板部
34 折返部
36 内方突部
38a,38b 接点部
40 係合突部
42 係合窓
44 前板部
46 挿入部
48 係合凹部
49 係合凸部
50 外面
51 位置決め突部
52 電線接続部
53 端子金具付き電線
54,54a,54b 圧着片
55 外面
56 突出端面
58 側面
60 上壁部
62 下壁部
64 側壁部
66 前壁部
69 後方開口部
70 上面
72 底面
74 弾性係合部
76 中央凹部
77 下方突出部
78 位置決め凹部
79 第2防止突部
80 貫通孔
82 弾性爪部
84 ガイドリブ
86 ガイド溝
88 開口周縁部
90 誘い込み面
91 底側部
92 上側部
94 逆挿入検知突部
96 突出端面
98 側面
100 取付凹部
102 係止突部
104 相手側端子挿通孔
106 通電検査用孔
107 後端面
108 カバー部材
110 挿通孔
112 収容部
114 ベース部
116 係止枠体
118 中央凸部
120 フランジ部
122 押さえリブ
124 位置決め突部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11