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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015009
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 25/10 20060101AFI20240125BHJP
   F04D 25/08 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
F04D25/10 302L
F04D25/08 306C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023197843
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2019232791の分割
【原出願日】2019-02-22
(31)【優先権主張番号】P 2018191843
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】福増 一人
(72)【発明者】
【氏名】山本 秀規
(72)【発明者】
【氏名】石川 弘
(72)【発明者】
【氏名】江崎 淳史
(72)【発明者】
【氏名】大畦 真吾
(57)【要約】
【課題】洗濯物をムラなく乾燥させることができる送風機を提供する。
【解決手段】送風機1は、台座部3と、台座部3より立設する支柱70と、支柱70に対して上下首振り可能に支持される送風部2と、送風部2に設けられた上下首振り用のモーターM2と、モーターM2の出力軸にラチェット機構81を介して回転自在に接続されたピニオンギア82と、支柱70に設けられた、ピニオンギア82と噛み合うラックギア85とを備えており、モーターM2によりピニオンギア82が駆動されることにより送風部2が上下首振りするように構成されている。
【選択図】図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座部と、
前記台座部より立設する支柱と、
前記支柱に対して上下首振り可能に支持される送風部と、
前記送風部に設けられた上下首振り用のモーターと、
前記モーターの出力軸にラチェット機構を介して回転自在に接続されたピニオンギアと、
前記支柱に設けられた、前記ピニオンギアと噛み合うラックギアとを備えており、
前記モーターにより前記ピニオンギアが駆動されることにより前記送風部が上下首振りするように構成されている、
送風機。
【請求項2】
前記モーターの前記出力軸にラッチベースが取り付けられ、
前記出力軸の同軸上に、前記ラッチベースと対向するように前記ピニオンギアが設けられており、
前記ラチェット機構が、前記ラッチベースに形成された孔に収容されたバネ及び係止用のピンと、前記ピニオンギアに形成された係止凹部とを備えており、
前記ピンが、前記バネにより前記係止凹部に押し付けられるように構成されている、
請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記ラックギアと一体のギアホルダーをさらに備えており、
前記ギアホルダーが、前記ピニオンギアの前記係止凹部とは反対側の面に当接している、
請求項2に記載の送風機。
【請求項4】
前記ピニオンギアの中心に凸部が形成されており、
前記凸部が前記ギアホルダーに形成された溝に沿って動くように構成されている、
請求項3に記載の送風機。
【請求項5】
前記ギアホルダーに、前記ラックギアと対向する円弧状のガイド部が形成されており、
前記ガイド部と前記ラックギアとの間に前記ピニオンギアが位置するように構成されている、
請求項4に記載の送風機。
【請求項6】
前記モーターによる前記送風部の上下首振り動作を開始した際に、前記送風部を上向きに上限まで作動させ、手動で動かした分前記送風部を停止させることで、手動で前記送風部を動かした分のズレを解消させるように構成されている、
請求項1~5の何れか一項に記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、送風機(サーキュレータ)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、室外に干した洗濯物に花粉やPM2.5が付着するのを避けるため、洗濯物の室内干しのニーズが高まっており、室内の空気を撹拝するために用いられるサーキュレータによって洗濯物に風を当てて衣類乾燥に利用するケースがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010―54084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のサーキュレータは、風速一定のまま左右に首を振るように構成されており、横方向に並べた洗濯物に風を当てて乾かそうとすると、中央寄りの洗濯物に強く風が当り、両端寄りの洗濯物にはあまり風が当らなかった。また、サーキュレータの風を強くしすぎると、中央寄りの洗濯物が風圧で両端に寄ってしまい、洗濯物が両端に偏って均一に風が当らなくなり、乾燥状態にムラが出るという問題があった。
【0005】
本実施の形態は、洗濯物をムラなく乾燥させることができる送風機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態の一態様によれば、台座部と、前記台座部より立設する支柱と、前記支柱に対して上下首振り可能に支持される送風部と、前記送風部に設けられた上下首振り用のモーターと、前記モーターの出力軸にラチェット機構を介して回転自在に接続されたピニオンギアと、前記支柱に設けられた、前記ピニオンギアと噛み合うラックギアとを備えており、前記モーターにより前記ピニオンギアが駆動されることにより前記送風部が上下首振りするように構成されている送風機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本実施の形態によれば、洗濯物をムラなく乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係る送風機の斜視図。
図2】本実施の形態に係る送風機の正面図。
図3】本実施の形態に係る送風機の右側面図。
図4】本実施の形態に係る送風機の上面図。
図5】本実施の形態に係る送風機の背面図。
図6】本実施の形態に係る送風機の断面図。
図7】本実施の形態に係る送風機の分解斜視図。
図8】比較例に係る送風機を用いて洗濯物を乾燥させている様子を示す図。
図9】本実施の形態に係る送風機を用いて洗濯物を乾燥させている様子を示す図。
図10】本実施の形態に係る送風機を用いて洗濯物を乾燥させている様子を示す図。
図11】本実施の形態に係る送風機が備える操作パネルの平面図。
図12】本実施の形態に係る送風機の衣類乾燥モードでの左右首振りの設定角度範囲を3段階設定にした効果の説明図であり、(a)比較例に係る送風機を用いた場合、(b)本実施の形態に係る送風機を用いた場合。
図13】本実施の形態に係る送風機の衣類乾燥モードでの左右首振りの設定角度範囲と風速との関係の説明図であり、(a)左右首振りの設定角度範囲が60°の場合、(b)左右首振りの設定角度範囲が120°の場合。
図14】本実施の形態に係る送風機の左右首振りの説明図。
図15】本実施の形態に係る送風機の台座部の内部構造を示す斜視図。
図16】本実施の形態に係る送風機の上下首振りの説明図。
図17】本実施の形態に係る送風機の左右首振りの設定角度と上下首振りの角度との関係の説明図であり、(a)上下首振りの角度が65°の場合、(b)左右首振りの設定角度が90°の場合、(c)送風の軌道のイメージ。
図18】本実施の形態に係る送風機が備える上下首振りラッチ構造の説明図。
図19】本実施の形態に係る送風機が備える上下首振りラッチ構造の説明図。
図20】本実施の形態に係る送風機が備える上下首振りラッチ構造の説明図。
図21】本実施の形態に係る送風機が備えるギアホルダーの説明図。
図22】本実施の形態に係る送風機が備えるギアホルダーの説明図。
図23】本実施の形態に係る送風機の上下首振り動作の説明図であり、(a)送風部の送風方向が水平状方向を向いた状態の説明図、(b)上向きに上限まで作動した状態の説明図。
図24】本実施の形態に係る送風機の上下首振りの別の動作の説明図。
図25】本実施の形態に係る送風機における空気の流れを示す断面図。
図26】本実施の形態に係る送風機が備えるリモコンホルダーの斜視図。
図27】本実施の形態に係る送風機が使用状態で洗濯物を乾燥させている様子を示す図。
図28】本実施の形態に係る送風機が使用状態で洗濯物を乾燥させている様子を示す図。
図29】本実施の形態に係る送風機が使用状態で洗濯物を乾燥させている様子を示す図。
図30】他の実施例に係る送風機の上下角度範囲の説明図。
図31】他の実施例に係る送風機が洗濯物を乾燥させている様子を示す図。
図32】本実施の形態に係る送風機が部屋の空気を撹拌している様子を示す図。
図33】本実施の形態に係る送風機の強制撹拌モードの他の首振り動作例を示すフローチャート。
図34】送風機が部屋の空気を撹拌している様子を示す図。
図35】送風機が部屋の空気を撹拌している様子を示す図。
図36】本実施の形態に係る送風機が備える距離センサの取り付け位置を示す斜視図。
図37】本実施の形態に係る送風機の入切タイマーの説明図。
図38】本実施の形態に係る送風機が備えるリモコンホルダーの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0010】
[概要]
本実施の形態に係る送風機1は、DCモーター搭載のサーキュレータである。この送風機1は、衣類乾燥モードで部屋干しに最適であり、左右首振りの角度調節が可能であり、吸気面積UPにより送風能力UPを実現したものである。衣類乾燥モードでは、左右首振りの両端寄りの位置から中央寄りの位置への回動に伴って、風速を次第に小さくするように制御するため、洗濯物をムラなく乾燥させることができる。
【0011】
[外観]
図1図5は、本実施の形態に係る送風機1を示す外観図であり、図1は斜視図、図2は正面図、図3は右側面図、図4は上面図、図5は背面図である。この送風機1は、球面グリル構造により風速強化を図るとともに、球体形状の進化形デザインによりコンパクトに見えるように構成されている。
【0012】
具体的には、本実施の形態に係る送風機1は、図1図5に示すように、正面側に送風口11を有し、送風口11にグリル12が設けられた送風部2と、送風部2を支持する台座部(支持部)3とを備え、グリル12は、複数のフィン(送風案内板)13が渦巻き状に設けられ、複数のフィン13の渦巻きの中心部Oに近い内端部13Aが、送風口11に連続する外端部13Bより送風方向4に突出している。換言すると、グリル12の内の複数のフィン13が形成されている部分13Cの外端部13Bに対し内端部13Aが送風方向4に突出している。内端部13Aとは、渦巻きの中心部Oに近い内端側であり、内端近くを含む。外端部13Bとは、送風口11に連続する外端側の部分である。これにより、風が中央に集まり(収束し)、送風方向の中央に於ける風速を向上できる。また、送風口11から吹き出される風(スパイラル気流)の到達距離を伸長できる。その結果、室内の空気を確実に撹拌でき、室内の温度を均一化させて省エネに貢献できる。
【0013】
なお、ここでは、複数のフィン13,13の隙間から手指が入るのを防止すると共にグリル12の補強も兼ねて、各フィン13と交差する円形のリング13Rを設けた構成を例示しているが、このリング13Rはなくてもよい。
【0014】
送風部2のカバー15は、フロントカバー15aと、リアカバー15bとを有する。フロントカバー15aは、例えば、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料で形成された半球形状のカバーであり、前方に開口された円形の送風口11に球面のグリル12が設けられている。リアカバー15bも、例えば、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料で形成された半球形状のカバーである。リアカバー15bのほぼ全面にわたって、外気を取り込むための多数の通気口21が形成されている。
【0015】
グリル12は、例えば、耐衝撃性の高い合成樹脂材料で形成された前面パネルである。具体的には、渦巻き状のフィン13が渦巻きの中心部Oに向かうにつれて次第に突出するように凸弯曲状に形成されている。グリル12の渦巻きの中心部Oにはキャップ14が取り付けられている。グリル12の後方から風を送り、グリル12の前後方向に空気流(風)が通過すると、渦を巻きながら直進するスパイラル気流が生じるようになっている。
【0016】
台座部3は、送風部2を左右首振り自在に支持し、設置面に載置される。台座部3は、平面視で円形状に形成された台座下部31と、台座下部31に嵌着可能な台座上部32とを有する。台座下部31も台座上部32も、外面を形成するカバーは、例えば、ポリプロピレンなどの合成樹脂材料で形成することができる。台座上部32の中心より後方に一本脚形状の支柱部33を垂直に立設し、支柱部33より前方に操作パネル34を配置している。ここでは、支持部3として台座部3を例示しているが、支持部3は、天井などに取り付け可能な構造にしてもよい。
【0017】
[内部構造]
図6は、本実施の形態に係る送風機1の断面図である。この図に示すように、送風部2は、空気流を発生させる送風装置であって、送風用のファン17と、ファン17を駆動するモーター18とを備える。送風用のファン17としては、軸流式のプロペラファンを採用している。また、ファン17用のモーター18としては、ACモーターよりも細かな風速調節が可能なDCモーター18を採用している。
【0018】
本実施の形態に係る送風機1は、左右首振り及び上下首振りを自動で行うために、左右首振り用のモーターM1と上下首振り用のモーターM2とを用いている。この2つの首振り用のモーターM1,M2としては、パルス信号によって回転角度・回転速度を正確に制御できるステッピングモーターM1,M2を採用している。なお、上下首振りについては、手動で行うことも可能である。
【0019】
[制御部]
図7は、本実施の形態に係る送風機1の分解斜視図である。ここでは、送風部2のフロントカバー15aとリアカバー15bを取り外し、また台座部3の外面を形成するカバーも取り外した状態を示している。
【0020】
図7に示すように、本実施の形態に係る送風機1は、電源のON/OFF、切タイマーの作動、入タイマーの作動、送風モードの選択、DCモーター18の回転数、ステッピングモーターM1,M2に送るパルス信号等を制御する制御部50を備えている。このような制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などが実装されたメイン基板により実現される。メイン基板には、入力電力から必要とされる出力電力を生成するための電源基板3Aが接続されている。電源基板3Aに代えてACアダプターを採用することもできる。
【0021】
また、本実施の形態に係る送風機1は、操作パネル34を用いて操作できるだけなく、リモコン25を用いて操作することもできる。リモコン25からの信号は、台座部3の正面中央部に設けられた信号受信部25a(図2参照)を介して制御部50に通知される。制御部50は、リモコン25や操作パネル34から通知された信号に基づいて、上記した各処理を制御する。なお、リモコン25は、送風部2のリアカバー15b上部に設けられたリモコンホルダー26に取り付け可能となっている。
【0022】
[比較例]
図8は、比較例に係る送風機100を用いて洗濯物S1~S20(以下、一括して「洗濯物S」と記載する。)を乾燥させている様子を示している。ここでは、ハンガーにタオルが掛けられ、物干し竿に2列に並べられている場合を例示している。
【0023】
図8に示すように、比較例に係る送風機100は、風速一定のまま左右に首を振るように構成されており、横方向に並べた洗濯物Sに風を当てて乾かそうとすると、中央寄りの洗濯物S14,S15,S16,S17などに強く風が当り(符号4b参照)、両端寄りの洗濯物S11,S12,S19,S20などにはあまり風が当らなかった(符号4a,4c参照)。また、送風機100の風を強くしすぎると、中央寄りの洗濯物S14,S15,S16,S17などが風圧で両端に寄ってしまい、洗濯物Sが両端に偏って均一に風が当らなくなり、乾燥状態にムラが出るという問題があった。
【0024】
[実施例1]
図9は、本実施の形態に係る送風機1を用いて洗濯物Sを乾燥させている様子を示している。ここでも、比較例と同様、ハンガーにタオルが掛けられ、物干し竿に2列に並べられている場合を例示している。
【0025】
図9に示すように、本実施の形態に係る送風機1は、送風モードが衣類乾燥モードの場合、左右首振り動作の中央寄りでは風を比較的弱く、両端寄りでは風を比較的強くする。これにより、左右方向に広げて干した洗濯物Sに対し、距離が近い中央寄りの位置に向けて弱い風を送るとともに(符号4b参照)、距離が遠い両端寄りの位置に向けて強い風を送る(符号4a,4c参照)。即ち、送風機1からの距離が異なる洗濯物S11~S20に対し、中央寄りの洗濯物S14,S15,S16,S17にだけ強く風が当ったり、両端寄りの洗濯物S11,S12,S19,S20にはあまり風が当らなかったりするのを防止できる。従って、洗濯物Sをムラなく乾燥できる。
【0026】
既に説明したように、本実施の形態に係る送風機1では、左右首振り用のモーターM1としてステッピングモーターM1を採用している。ステッピングモーターM1は、パルス信号(パルス電力)に同期して動作するモーターであって、制御部50からのパルス信号に対応して時計の秒針のように一定の角度ずつ回転する。そのため、制御部50がステッピングモーターM1に送るパルス信号の分だけステッピングモーターM1が回転する。即ち、送風機1は、制御部50から送られるパルス信号によりステッピングモーターM1を制御しており、自己姿勢の把握が可能であり、左右首振りを精度よく制御することができる。また、送風部2に外力が掛かって、制御部50から送られるパルス信号とステッピングモーターM1の回転に差異が生じた場合でも、IRセンサ51(図15参照)による位置検知によって、制御部50の認識と送風部2の姿勢のズレを補正することができる。
【0027】
さらに、ファン17用のモーター18としてDCモーター18を採用しているため、ステッピングモーターM1による左右首振りに対応して、10段階刻みの風速制御が可能である。例えば、衣類乾燥モードに於て、左右首振り動作の中央寄りでの風速を10段階の6とし、送風部2が左右首振りの中央から端部へ回動するに伴って、風速を6→7→8→9→10と次第に大きくしていく。次に、送風部2が左右首振りの端部から中央へ戻ってくる時には、風速を10→9→8→7→6と次第に小さくする。
【0028】
また、衣類乾燥モードの風速制御では、例えば、強・中・弱のように風速調節範囲を、複数段(複数の強弱レベルから択一的)に設定可能とするのが望ましい。
【0029】
ここで、風速調節範囲とは、左右首振りの両端寄りの位置の風速を上限とし中央寄りの位置の風速を下限とする風速の変化量である。具体的には、衣類乾燥モードの強は、左右首振り時における風速設定が強レベルであることを意味し、衣類乾燥モードの中は、左右首振り時における風速設定が中レベルであることを意味し、衣類乾燥モードの弱は、左右首振り時における風速設定が弱レベルであることを意味する。衣類乾燥モードの強では、風速調節範囲が、衣類乾燥モードの中の風速調節範囲より相対的に高く設定され、衣類乾燥モードの中では、風速調節範囲が、衣類乾燥モードの弱の風速調節範囲より相対的に高く設定される。これにより、洗濯物Sと送風機1との距離によって、複数段の風速調節範囲の中から適切なものを選択することが可能である。
【0030】
[実施例2]
図10は、本実施の形態に係る送風機1を用いて洗濯物Sを乾燥させている様子を示している。ここでは、ハンガーにシャツが掛けられ、物干し竿に干されている。
【0031】
図10に示すように、本実施の形態に係る送風機1は、送風モードが衣類乾燥モードの場合、上下首振り動作の下端(下限)寄りの位置では風を比較的弱く、上端(上限)寄りの位置ではでは風を比較的強くする。これにより、上下方向に吊り下げた洗濯物Sに対し、送風機1との距離が近い洗濯物Sの下部に向けて弱い風を送り(符号4e参照)、送風機1との距離が遠い洗濯物Sの上部に向けて強い風を送り(符号4d参照)、洗濯物Sの上部と下部での乾燥状態のムラを生じさせない。
【0032】
既に説明したように、本実施の形態に係る送風機1では、上下首振り用のモーターM2としてステッピングモーターM2を採用している。そのため、ステッピングモーターM2に送るパルス信号によって上下首振りを精度よく制御することが可能である。
【0033】
さらに、ファン17用のモーター18としてDCモーター18を採用しているため、ステッピングモーターM2による上下首振りに対応して、10段階刻みの風速制御が可能である。例えば、衣類乾燥モードに於て、上下首振り動作の下端寄りでの風速を10段階の6とし、送風部2が上下首振りの下端から上端へ回動するに伴って、風速を6→7→8→9→10と次第に大きくしていく。次に、送風部2が上下首振りの上端から下端へ戻ってくる時には、風速を10→9→8→7→6と次第に小さくする。また、衣類乾燥モードの風速制御では、例えば、強・中・弱のように風速調節範囲を、複数段(複数の強弱レベルから択一的)に設定可能とするのが望ましい。これにより、洗濯物Sと送風機1との距離によって、複数段の風速調節範囲の中から適切なものを選択して、衣類乾燥モードの上下首振りを行うことが可能である。
【0034】
[操作パネル]
図11は、本実施の形態に係る送風機1が備える操作パネル34の平面図である。操作パネル34には、図11に示すように、電源ボタン34a、切タイマーボタン34b、入タイマーボタン34c、送風モードボタン34d、風量ボタン34e・34f、上下首振りボタン34g、左右首振りボタン34hなどが含まれる。電源ボタン34aは、電源の切/入を設定するためのボタンである。切タイマーボタン34bは、切タイマーを設定するためのボタンである。入タイマーボタン34cは、入タイマーを設定するためのボタンである。送風モードボタン34dは、送風モード(連続モード、リズムモード、衣類乾燥モード)を選択するためのボタンである。風量ボタン34e・34fは、送風部2の風量調節を行うためのボタンであって、風量ボタン34eが押下される度に風量を弱くし、風量ボタン34fが押下される度に風量を強くする。上下首振りボタン34gは、上下首振りのオン/オフを設定するためのボタンである。左右首振りボタン34hは、左右首振りのオン/オフを設定するためのボタンであって、左右首振りの振り幅を3段階の設定角度範囲(60°90°120°)に調節可能となっている。
【0035】
[衣類乾燥モードでの左右首振りの設定角度範囲を3段階設定]
図12は、本実施の形態に係る送風機1の衣類乾燥モードでの左右首振りの設定角度範囲を3段階設定にした効果を説明するための図である。すなわち、比較例に係る送風機100を用いた場合は、左右首振りの設定角度範囲(振り幅)を調整できないため、多量の洗濯物Sを左右に広げて干した場合には、洗濯物Sから遠く離れた所から送風する必要がある(図12(a)参照)。それに対して、本実施の形態に係る送風機1を用いた場合は、図12(b)に示すように、洗濯物Sの設置幅に合わせて、左右首振りの振り幅を複数の設定角度範囲(60°90°120°)に調節できるため、洗濯物Sから遠く離れた所に送風機1を設置する必要は無く、また、衣類乾燥モードの風速調節で、全ての洗濯物Sを乾燥させるのに適した強さの風を送りつつ洗濯物Sが両端に偏らないようにするため、乾燥能率を向上できる。
【0036】
[衣類乾燥モードでの左右首振りの角度設定に応じて風速を設定]
図13は、本実施の形態に係る送風機1の衣類乾燥モードでの左右首振りの設定角度範囲と風速との関係を説明するための図である。すなわち、左右首振りの設定角度範囲(振り幅)を変える使用シーンで、洗濯物Sの設置幅が拡大すると、送風機1と洗濯物Sの設置幅の中央位置との距離が同じでも、送風機1と洗濯物Sの設置幅の両端位置との距離が遠くなる。そこで、左右首振りの各設定角度範囲(60°90°120°)に対応して、風速増減幅が設定されているのが望ましい。ここで、風速増減幅とは、左右首振りの両端寄りの位置の風速を上限とし中央寄りの位置の風速を下限とする風速の変化量であり、上述した風速調節範囲と言い換えても良い。
【0037】
例えば、図13(a)に示すように、左右首振りの設定角度範囲が60°である場合、左右首振りの中央寄りの位置の風速を10段階の3とし(符号4b参照)、左右首振りの端部への回動に伴って、風速を3→4→5と次第に大きくする(符号4a,4c参照)。左右首振りの端部から中央寄りの位置に戻る時には、風速を5→4→3と次第に小さくする。即ち、左右首振りの設定角度範囲が60°である場合には、風速を3~5の3段階に切換える。
【0038】
一方、図13(b)に示すように、左右首振りの設定角度範囲が120°である場合、左右首振りの中央寄りの位置の風速を10段階の3とし(符号4b参照)、左右首振りの端部への回動に伴って、風速を3→4→5→6→7と次第に大きくする(符号4a,4c参照)。左右首振りの端部から中央寄りの位置に戻る時には、風速を7→6→5→4→3と次第に小さくする。即ち、左右首振りの設定角度範囲が120°である場合には、風速を3~7の5段階に切換える。
【0039】
即ち、洗濯物Sの設置幅が拡大するのに対応して、左右首振りの設定角度範囲を60°から120°に変更する場合、送風機1と洗濯物Sの設置幅の両端位置との距離が大きくなるが、左右首振りの両端寄りの位置の風速を高く設定するため、設置幅の両端位置の洗濯物Sにも適正な風を送ることができ、設置幅の中央位置と両端位置の洗濯物Sの乾燥率にムラがなく、洗濯物Sをしっかりと乾かすことができる。つまり、本実施の形態に係る送風機1は、少量~多量の洗濯物Sに対応できる。
【0040】
[左右首振り:ステッピングモーター&IRセンサ]
図14は、本実施の形態に係る送風機1の左右首振りを説明するための図である。既に説明したように、本実施の形態に係る送風機1では、左右首振り用のモーターM1としてステッピングモーターM1を採用している。そこで、ステッピングモーターM1に送るパルス信号を制御することにより、図14に示すように、左右自動首振りを停止させた時(符号P11参照)、送風部2が正面を向いた基準姿勢に戻るようにしている(符号P10参照)。同様に、電源OFFの時も、送風部2が正面を向いた基準姿勢に戻るようにしている。
【0041】
基準姿勢とは、図1図5に示される静止姿勢をいう。言い換えると、基準姿勢とは、送風部2の左右首振り位置がセンター位置にあり、かつ送風部2の送風方向4が水平状方向を向いた姿勢である。
【0042】
このように、本実施の形態に係る送風機1では、左右首振りの停止時及び電源OFF時は、基準姿勢と同じ正面姿勢に戻る。これにより、左右首振りの待機状態(停止状態)で送風部2が常に正面を向く整った姿勢を保つことができる。また、送風部2を洗濯物Sに対して正対させた状態で衣類乾燥モードの左右首振りを開始(再開)すれば、常に均等角に左右首振りを再開することになるため、衣類乾燥用途でセンター位置合わせが容易である。
【0043】
図15は、本実施の形態に係る送風機1の台座部3の内部構造を示す斜視図である。図15に示すように、フォトトランジスタ等のIR(赤外線)センサ51によって、左右首振り位置(1箇所)を検知する。これにより、以下に説明するように、稼働中の左右首振り位置の補正が可能となる。
【0044】
すなわち、固定板41の上面にステッピングモーターM1が固定され、ステッピングモーターM1の出力軸に左右首振り機構43が接続されている。固定板41の下部にはIRセンサ51が取り付けられ、送風部2の左右首振り位置がセンター位置にあるとき、台座下部31に設けられた遮光板52によってIRセンサ51が遮光される。これにより、送風部2の左右首振り位置がセンター位置にあることを検知できるため、センター位置を通過する度にステッピングモーターM1のステップ数を補正できる。その結果、送風部2に外力がかかり、送風部2が動けなくなった場合、あるいは、強制的に回動させられた場合、あるいは、左右首振りの途中で物に当たって送風部2が動けなくなった場合でも、正しいステップ数で左右首振り動作を継続することが可能である。
【0045】
[上下首振り:ステッピングモーター]
図16は、本実施の形態に係る送風機1の上下首振りを説明するための図である。既に説明したように、本実施の形態に係る送風機1では、上下首振り用のモーターM2としてステッピングモーターM2を採用している。そこで、ステッピングモーターM2に送るパルス信号を制御することにより、図16に示すように、上下自動首振りを停止させた時(符号P21参照)、送風部2が水平を向いた基準姿勢に戻るようにしている(符号P20参照)。同様に、電源OFFの時も、送風部2が水平を向いた基準姿勢に戻るようにしている。
【0046】
このように、本実施の形態に係る送風機1では、上下首振りの停止時及び電源OFF時は、基準姿勢と同じ水平姿勢に戻る。これにより、上下首振りの待機状態(停止状態)で送風部2が常に水平を向く整った姿勢を保つことができる。
【0047】
[球の中心=首振り回転中心(上下左右)]
本実施の形態に係る送風機1では、図14に示すように、平面視で、左右首振りの回転軸C1は、球体形状の送風部2の中心を通る位置に設けられる。また、図16に示すように、側面視で、上下首振りの回転軸C2は、球体形状の送風部2の中心を通る位置に設けられる。このように、左右首振りの回転軸C1・上下首振りの回転軸C2共に球体形状の送風部2の中心を通る位置に配設する構成によれば、左右・上下どの向きに首を振っても、外郭(シルエット)は同一形状である。そのため、窓際や階段などの狭い場所に設置しても、首振り時に近接物に接触しない。
【0048】
[左右首振りの設定角度≠上下首振りの角度整数倍]
図17は、本実施の形態に係る送風機1の左右首振りの設定角度と上下首振りの角度との関係を説明するための図である。本実施の形態では、図17(a)に示すように、上下首振りの角度は65°である。また、左右首振りの設定角度は60°・90°・120°のいずれかであるが、ここでは、図17(b)に示すように、左右首振りの設定角度を90°に設定する。このように、左右首振りの設定角度は、上下首振りの角度の整数倍でなく、上下左右同時首振りで左右・上下の首振りスピードが同じならば、図17(c)に示すように、送風軌道がランダムになり、送風範囲の全体に行き渡るように送風することが可能である。
【0049】
以下、図17(c)について更に詳しく説明する。図17(c)中の破線は、送風対象を面としたときに送風方向4の送風中心がある位置を表し、図17(c)中の矢印は、その送風軌道を表している。今、左右首振りが一番左の端にいる状態で、上下首振りが一番下にいる状態であると仮定する。また、左右・上下の首振りスピードは同じである。この状態で首が右に90°動きながら上に65°動く場合を想定している。このような場合、首が上に65°動く間に右にも65°動くことになり、上に65°動くと下に動き始め、右に65°から90°まで動く間に下に動き続けることになる。そして、右に90°まで動いたときには首は下がる動きをしているので、下がりながら左に反転していくことになる。これにより、左右・上下同時首振りによるランダムな軌道での送風を簡単に実現できる。そのため、偏った送風を防止でき、送風方向4にある洗濯物Sをムラなく乾燥させることができる。
【0050】
[上下首振りラッチ構造]
図18図20は、本実施の形態に係る送風機1が備える上下首振りラッチ構造を説明するための図である。以下に説明するように、上下首振りを自動で行うだけでなく、上下首振り角度を手動で調節可能となっている。
【0051】
図18に示すように、送風部2のフロントカバー15aやリアカバー15bなどを取り外すと、ステッピングモーターM2、ラチェット機構81、ラックギア85が表れる。ラックギア85は、支柱70に固定されている。支柱70でモーターカバー71を両脇から挟み込み、この挟み込んだ位置を上下首振りの軸72として、送風部2が台座部3に対して上下首振りを行う。ステッピングモーターM2の出力軸にギアが取り付けられ、それがラック・アンド・ピニオンで上下するようになっている。
【0052】
具体的には、ラチェット機構81は、係止凹部82aを有するピニオンギア82(図19参照)と、係止用のピン84を有するラッチベース83(図20参照)とが向かい合った構造である。ラッチベース83の中央の孔83bにはステッピングモーターM2の出力軸が入る。ラッチベース83のピン84は、アキシャル(軸心)方向の弾発力で係止凹部82aに押付けられる。これにより、ピニオンギア82の大きさの範囲内でラッチが完結するため、ラチェット機構81のコンパクト化を図ることが可能である。
【0053】
ここで、上下首振りを自動で行う場合は、ステッピングモーターM2でラッチベース83を回転駆動する。ラッチベース83が回転すると、係止用のピン84が係止凹部82aに押付けられているため、ピニオンギア82も同時に回転する。
【0054】
一方、上下首振り角度を手動で調節する場合は、ステッピングモーターM2は停止しているため、ラッチベース83は回転していない。この状態で送風部2を手で動かすと、ピニオンギア82だけが回転する。すなわち、係止用のピン84はバネB(図22参照)で押付けられているだけであるため、ラッチベース83は回転しない。送風部2を手で動かしても、ステッピングモーターM2の方に影響を及ぼさないようになっている。
【0055】
なお、ここでは、ラッチベース83に形成された複数の孔83aの1つに係止用のピン84が取り付けられているが、係止用のピン84の数は適宜調整することができる。複数の係止用のピン84を取り付ける場合は対称位置に取り付けるのが望ましい。
【0056】
[上下首振りラッチ構造(ギアホルダー)]
図21図22は、本実施の形態に係る送風機1が備えるギアホルダー86を説明するための図である。図21図22に示すように、ラックギア85と一体のギアホルダー86を備えている。ステッピングモーターM2を駆動すると、ステッピングモーターM1の出力軸M2aが回転し、ラッチベース83を介してピニオンギア82に回転力が伝達され、この回転力によって、ラックギア85に噛み合うピニオンギア82が上下する。このとき、ピニオンギア82の中心に形成された凸部82cは、ギアホルダー86の溝86aに沿って動く。ギアホルダー86は、ピニオンギア82の係止凹部82aにピン84が押付けられている面とは(アキシャル方向の)反対側の面に当接して、ピニオンギア82を支持し、係止凹部82aとピン84の係止状態を維持する役割を果たす。また、ギアホルダー86のガイド部86gにより、ピニオンギア82とラックギア85の噛合を保持している。これにより、確実に噛合状態を保持でき、故障を防止できる。
【0057】
[上下首振り:手動調節後の首振り動作]
図23は、本実施の形態に係る送風機1の上下首振りの動作を説明するための図である。図23(a)に示すように、上下可動域θ2が65°である場合において、送風部2の送風方向が水平状方向を向いた状態から、上下首振りの中間位置P22まで手動で動かすと、ステッピングモーターM2の認識位置と実際の首振り位置にズレが生じる。そのため、上下首振り停止状態から上下首振りを開始(再開)すると、図23(b)に示すように、ステップ(1)で上向きに上限まで作動し、ステップ(2)で手動で動かした分だけ停止し、ステップ(3)で下向きに下限まで作動するようにしている。ステップ(2)では、ピニオンギア82の中心に形成された凸部82cがギアホルダー86の溝86aの端部で物理的に係止される。これにより、首振り始動時は常に上向きに作動させれば、生じたズレを初回のステップ(2)で解消できる。
【0058】
[上下首振り:手動調節後の首振り動作の変形例]
図24は、本実施の形態に係る送風機1の上下首振りの別の動作を説明するための図である。ここでも、図23と同様、上下可動域θ2が65°である場合において、上下首振りの停止状態で位置P22まで手動で動かしたものと仮定する。もちろん、このときも、ステッピングモーターM2の認識位置と実際の首振り位置にズレが生じる。その後、上下首振りを再開すると、ステップ(1)→(2)→(3)→(4)のように、首振り始動は小刻みに上下首振り、次第にその角度を大きくしていく。これにより、ステッピングモーターM2の認識位置と実際の首振り位置の“ズレ”による上下首振りが停止する“タイムラグ”を小さくできる。“タイムラグ”を小さくすることで、上下首振りが停止したままになる秒数を短くでき、使用者が故障と勘違いするのを減らすことができる。
【0059】
[吸気面積を拡大→送風能力UP]
図25は、本実施の形態に係る送風機1における空気の流れを示す断面図である。図25に示すように、フロントカバー15aの縁部に複数の吸気孔15dを形成している。これにより、リアカバー15bに形成された通気口21だけでなく、複数の吸気孔15dからも外気を取り込むことができる。その結果、吸気面積が拡大して空気がスムーズに流れるため、送風能力を向上させることができる。その結果、衣類乾燥性能がUPする。
【0060】
また、図25に示すように、フロントカバー15aの内側には、円筒状の風洞部16が設けられているため、送風口11から吹き出される風の風速が安定する。サーキュレータから吹き出される風は、渦を巻きながら直進するスパイラル気流であり、扇風機等と比べて風の指向性及び直進性が高い。風洞部16を設ければ、このようなサーキュレータ特有の作用である風の指向性及び直進性を確保できる。なお、本実施の形態では、弯曲状(球面状)のグリル12が直進性を出す効果を生んでいるので、風洞部16は短くてもよい。
【0061】
[リモコンホルダー]
図26は、本実施の形態に係る送風機1が備えるリモコンホルダー26の斜視図である。図26に示すように、送風部2のリアカバー15b上部には、リモコン25を保持するためのリモコンホルダー26が設けられている。具体的には、球体形状を崩さないように内側に窪んだ空間を設け、その空間の左右両側に二重の板状部材26a,26b,26c,26dが設けられている。上段の板状部材26a,26bでリモコン25の上面を押さえ、下段の板状部材26c,26dでリモコン25の側面を押さえることができるため、しっかりとリモコン25を保持することが可能である。また、リモコンホルダー26にリモコン25を保持した状態で、リモコン25の上の空間に手指を差し込んで、送風機1を持ち上げることができ、リモコンホルダー26と取っ手を共用した構造となっている。
【0062】
[衣類乾燥モード:左右首振り]
本実施の形態に係る送風機1を衣類乾燥モード(左右首振り)にしたときは、左右首振りの角度は(自動的に)60°に設定される。左右首振りの角度は、首振り(左右)ボタン34hを押すたびに、60°→90°→120°→60°→・・・のように設定できる。なお、衣類乾燥モードでも、首振り(左右)が60°のときは、風速は変化しないように設定しても良い。左右首振りの角度を90°/120°と切り替えると、正面の風速に対して左右の風速がより強くなる。
【0063】
送風機1は、送風モードボタン34dを押すことで、複数種類の送風モード(連続モード、リズムモード、衣類乾燥モード)に切換えて制御する。連続モードでは、風速一定となるようにモーター18を制御しつつ所定速度で送風部2の左右首振りを行う。衣類乾燥モードでは、送風部2の左右首振りに於ける両端寄りの位置での風速より中央寄りの位置での風速を小さくするようモーター18を制御し、連続モードの所定速度より低速で送風部2の左右首振りを行う。即ち、衣類乾燥モードの左右首振りのスピードは、通常(連続モード)の左右首振りに比べて、遅く設定されている。好ましくは、連続モードの左右首振り速度の1/2倍~1/4倍の低速で衣類乾燥モードの左右首振りを行う。具体的には、衣類乾燥モードの左右首振り速度は、連続モードの左右首振り速度の1/3倍に設定されている。なお、衣類乾燥モードの左右首振りの速度は、左右首振りの角度(60°・90°・120°)に応じて変化するように設定するも好ましい。衣類乾燥モードの左右首振りを低速で行うことにより、洗濯物Sに対し連続的に風が当たる時間が長くなり、乾燥が促進される。さらに説明すると、洗濯物Sに風が当たると、洗濯物Sが揺れて送風機1に対する向き(角度)が変わることがあり、洗濯物Sに対し連続的に風が当たる時間が短いと、洗濯物Sが不安定な姿勢で風を受けることとなる。洗濯物Sに連続的に風が当たる時間を長くすることで、洗濯物Sの揺れが収まってから(収束してから)安定した姿勢で風を受けて、洗濯物Sがよく乾くという利点がある。
【0064】
本発明者らは、衣類乾燥試験を実施した。その結果、連続モードで所定速度(通常)の左右首振りスピードで衣類乾燥を行う場合と、衣類乾燥モードで低速の左右首振りスピードで衣類乾燥を行う場合と、を比較すると、衣類乾燥率が100%から72%まで低下する時間が、連続モードでは176分であり、衣類乾燥モードでは160分となり、約10%の時間短縮が期待できることがわかった。
【0065】
[衣類乾燥モード:上下左右同時首振り]
本実施の形態に係る送風機1は、衣類乾燥モードで上下左右同時首振りを行い、上下左右の送風の向きに応じて、風速を調節して洗濯物Sに当る風の強さを一定にすることが可能である。言い換えると、衣類乾燥モードで上下左右同時首振りに設定したときは、左右方向及び上下方向において送風機1と洗濯物Sの距離に応じた風速制御を行い、近くの洗濯物Sに向けては風を弱く、遠くの洗濯物Sに向けては風を強くする。
【0066】
図27に示すように、洗濯物Sが干されている領域を15個の領域(高さ方向に3つ、幅方向に5つの領域)に分割し、各領域に当る風の強さの目安を1~5の数字で表現している。数字が大きいほど風が強いことを意味している。この例では、送風機1から距離が遠い洗濯物Sがある上段の左右端の領域に最も強い風(目安1~5の「5」)を送り、送風機1から距離が近い洗濯物Sがある下段の中央の領域に最も弱い風(目安1~5の「1」)を送っている。これにより、洗濯物Sをムラなく乾燥できる。
【0067】
[距離検知手段]
送風方向にある洗濯物Sとの距離を検知する距離センサ61などの距離検知手段(図36参照)を設け、距離センサ61で検知した距離検知情報に基づいてモーター18及び首振りを制御して、風速を調節しても良い。即ち、衣類乾燥モードで、距離検知手段により検知した送風機1と洗濯物Sの距離に応じた風速制御を行い、近くの洗濯物Sに向けては風を弱く、遠くの洗濯物Sに向けては風を強くする。距離センサ61としては、赤外線センサや超音波センサを採用することができる。距離センサ61の取り付け位置については後述する。
【0068】
[湿潤検知手段]
送風方向にある洗濯物Sの湿潤状態を検知する温度センサ62などの湿潤検知手段(図36参照)を設け、温度センサ62で検知した洗濯物Sの湿潤状態に基づいてモーター18及び首振りを制御して、濡れている洗濯物Sに向けて適切な風を送るように風速を調節しても良い。送風機1の風速及び首振り制御の例として、図28に示すように、温度センサ62で検知される濡れた洗濯物Sがある送風範囲内で、送風方向による風速制御を行う。この例では、上段の左端2つの領域及び下段の全領域には濡れた洗濯物Sが存在しないため、弱い風(目安1~5の「1」)を送っている。一方、残りの領域(太枠部分)には濡れた洗濯物Sが存在するため、送風機1と洗濯物Sの距離に応じた風速制御を行い、近くの洗濯物Sに向けては風を弱く、遠くの洗濯物Sに向けては風を強くする。洗濯物Sが存在しない領域に強い風を送る無駄を省き、濡れた洗濯物Sを効率よく乾燥させることができる。温度センサ62としては、赤外線放射温度計などの非接触型温度計から構成される表面温度計測装置を採用することができる。温度センサ62の取り付け位置については後述する。温度センサ62と距離センサ61の共用による風速制御も可能である。
【0069】
送風機1の風速及び首振り制御の他の例として、図29に示すように、温度センサ62で検知される濡れた洗濯物Sに送風部2の送風方向が指向する頻度が高くなるように送風部2を首振りさせて送風を行うようにしても良い。この例では、上段の左端2つの領域及び下段の全領域には濡れた洗濯物Sが存在しないため、非乾燥対象領域と判定して風を送っていない。一方、残りの領域(太枠部分)には濡れた洗濯物Sが存在するため、送風機1と洗濯物Sの距離に応じた風速制御を行い、近くの洗濯物Sに向けては風を弱く、遠くの洗濯物Sに向けては風を強くする。洗濯物Sが存在しない領域に風を送る無駄を省き、濡れた洗濯物Sを効率よく乾燥させることができる。
【0070】
送風機1の制御部50は、温度センサ62で検知した洗濯物S(送風対象物)の湿潤状態に基づいて、上下左右首振りによる送風範囲の内、濡れた洗濯物Sが存在する範囲を乾燥対象領域とし、濡れた洗濯物Sが存在しない範囲を非乾燥対象領域として判定する判定手段を有し、乾燥対象領域の洗濯物Sの一部が乾燥したと判定すれば、乾燥した洗濯物Sが存在する範囲を乾燥対象領域から非乾燥対象領域に変更する。即ち、洗濯物Sが乾燥したと判定すれば、その範囲を除外し、送風部2の首振りの範囲を徐々に狭く限定していくようにしても良い。このように、温度センサ62を利用した制御部50の乾燥判定に基づいて送風範囲を次第に減少させれば、更に、濡れた洗濯物Sを効率よく乾燥させることができる。
【0071】
本実施の形態に係る送風機1の他の実施例について説明する。
【0072】
図30に示すように、他の実施例に係る送風機1の上下可動域θ1は下向き15°(-15°)~上向き90°である。衣類乾燥モードでは、上下首振りの角度範囲θ2が下向き15°(-15°)~上向き45°に限定される。洗濯物Sが存在しない上向き送風方向に風を送る無駄を省き、送風機1の下向き15°~上向き45°に存在する洗濯物Sに向けて集中的に風を当てることができる。
【0073】
図31に示すように、他の実施例に係る送風機1は、衣類乾燥モードでの上下首振りの角度範囲θ2を維持したまま送風方向を上向きに変更できる。これにより、平干しネット120などに下方から風を当てつつ、吊り下げた洗濯物Sも同時に乾かすことができる。なお、上下首振りの角度範囲が60°である場合を例示しているが、これに限定されるものではない。すなわち、送風部2の上下首振りは、45°~75°の角度範囲に設定され、送風部2の上下首振りの角度範囲を維持しつつ、上下方向に角度調節可能である。45°の角度範囲とは、-15°~30°や45°~90°などである。75°の角度範囲とは、-15°~60°や15°~90°などである。このように角度範囲を変更できる構成によれば、使用者の多様なニーズに対応できる。
【0074】
[強制撹拌モード]
図32は、本実施の形態に係る送風機1が部屋110の空気を撹拌している様子を示す図である。
【0075】
送風機1は、送風モードを、(前述の送風モードボタン34dで)強制撹拌モードに切換えて制御することができるよう構成されている。強制撹拌モードでは、連続モード(通常)より高速で左右方向に首振りさせるよう制御する。強制撹拌モードの左右首振りのスピードは、通常(連続モード)の左右首振りに比べて、例えば2倍に速く設定されている。好ましくは、連続モードの左右首振り速度の1.5倍~3倍の高速で強制撹拌モードの左右首振りを行う。送風機1の送風モードを強制撹拌モードにしたときは、首振り(左右)が「切」だった場合でも、自動的に首振り(左右)が「入」になり、首振り(上下)の角度は上向き45°に固定される。強制撹拌モードでは、送風部2の上下方向の首振りを停止させて上下角度(上向き45°)を維持しつつ高速(例えば2倍速)で間欠的に左右首振りして、作動・停止を繰り返すよう制御される。具体的には、左右15度ずつ(30°の角度範囲)で首振りし、両端位置で一定時間(例えば4秒)だけ停止させる。強制撹拌モードは、部屋110全体に縦方向に回転する気流を発生させて部屋110の空気を循環させる。
【0076】
図32に示すように、強制撹拌モードは、部屋110の空気を撹拌し、温度差を少なくしたいときに使用する。天井に風を送って空気を循環させ、部屋110の空気の温度むらを少なくすることができる。
【0077】
本発明者らは、送風機1を強制撹拌モードにして、運転前後において部屋の中央での天井付近と床付近の温度ムラの改善率(以下、平均撹拌率という)を調べる強制撹拌試験を実施した。具体的には、20畳部屋を使用し、送風機能の無い熱源(石油ストーブ)で室内を暖め、室内上下に温度差(約7~8℃)を設けた後、送風機1を0.5時間稼動して攪拌効果を測定した。その結果、連続モードによる撹拌運転前後での平均撹拌率が92.9%であったのに対し、連続モードの2倍の左右首振り速度で左右首振りを行う強制撹拌モードで、平均撹拌率が95.8%であり、連続モードの1/2倍の左右首振り速度で左右首振りを行う比較例モードで、88.1%であった。なお、左右首振りを2倍速にしたうえで、左右15度ずつの角度範囲で首振りし、両端位置で4秒だけ停止させる強制撹拌モードでは、平均撹拌率が98.9%まで向上することがわかった。このように、通常の左右首振りの場合に比べ、左右首振りを高速(例えば2倍速)にした場合は、室内空気をより効率的に撹拌する効果があることが明らかになった。
【0078】
[強制撹拌モード:左右首振り間欠作動]
図33は、送風機1の強制撹拌モードの他の首振り動作例を示すフローチャートである。強制撹拌モードにしたとき、以下に説明するように、間欠的に左右首振りして、作動・停止を繰り返しても良い。
【0079】
まず、送風機1は、(送風モードボタン34dで)強制撹拌モードが選ばれると、送風部2の送風方向4が正面を向くように首振りを行い、例えば、10分間、正面を向いた状態で固定する(ステップS1)。次いで、送風部2の送風方向4が左60°を向くように首振りを行い、例えば、5分間、左60°を向いた姿勢で固定する(ステップS2)。次いで、送風部2の送風方向4が正面を向くように首振りを行い、例えば、5分間、正面を向いた姿勢で固定する(ステップS3)。次いで、送風部2の送風方向4が右60°を向くように首振りを行い、5分間、右60°を向いた姿勢で固定する(ステップS4)。次いで、送風部2の送風方向4が正面を向くように首振りを行い、5分間、正面を向いた姿勢で固定する(ステップS5)。以降は、同様の処理を繰り返す(ステップS2→S3→S4→S5→S2→・・・)。このように間欠的に左右首振りして、作動・停止を繰り返すと、縦方向に回転する気流を発生させることができる。
【0080】
[強制撹拌モード:距離センサ]
送風機1は、送風部2に距離センサ61を搭載し、最も離れた所にある壁(即ち、図32の部屋110の隅111)を検知し、そこに向けて送風するように風向を調節しても良い。あるいは、部屋110の隅の2点111,112(又は3点111,112,113)間で左右首振りをするよう制御する。これにより、送風機1の設置場所に関わらず、最も距離のある部屋110の隅を見つけ出して、効率良く部屋110の空気を循環させることができる。送風機1から部屋110の隅までの距離に応じて、風速を調節するように制御することもできる。
【0081】
[強制撹拌モード:温度センサ]
図34に示すように、送風部2に温度センサ62を搭載し、暖房時のエアコン115の位置を検知し、エアコン115に向けて送風しても良い。これにより、送風機1の設置場所に関わらず、エアコン115の付近(天井付近)に滞留する暖かい空気を循環させることができる。このようにすれば、部屋の温度を均一化し、暖房効率を向上できる。また、送風機1に温度センサ62を搭載するコストのみで済むため、送風機1がエアコン115と連動する場合のコストに比べて、低コストで実現可能である。
【0082】
また、図35に示すように、冷房使用時は、エアコン115を背にして、下にたまる冷たい空気を循環させるのが望ましい。このようにすれば、床面付近にたまる冷たい空気を循環させる気流ができて清涼感がアップする。
【0083】
そこで、送風部2の温度センサ62により検知する温度情報に基づいて、エアコン115の冷房運転・暖房運転を判別し、冷房使用時と暖房運転時で送風方法を変えても良い。具体的には、図35のように、冷房使用時には水平方向に送風し、一方、図34に示すように、暖房運転時には斜め上向きに送風する。これにより、サーキュレータの効果を最大限に発揮でき、季節に応じて冷房・暖房の効率を向上できる。
【0084】
また、送風機1が旋回可能(180度方向転換可能)となるように構成され、冷房使用時と暖房運転時で最適な送風方向に送風するようにしても良い。具体的には、送風機1の台座部3の可動域を変更して、180°を超える左右首振りが可能な構成とする。あるいは、送風機1がタイヤなどの走行手段を備え、送風機1が走行手段により方向転換するようにしても良く、さらに、送風機1が自走して室内の最適位置に移動し、最適な送風方向に送風するようにしても良い。これにより、更に、冷房・暖房の効率を向上できる。
【0085】
強制撹拌モードでの送風方向を手動で設定することもできる。
【0086】
例えば、部屋110に送風機1を設置し、送風モードを強制撹拌モードにすると、サーチモードが発動する。サーチモードでは、送風機1が上下左右に首振り動作を行う。そこで、送風機1が上下左右に首振り動作を行っている間にリモコン25などの設定操作手段を使って、例えば、図32に示す部屋110の送風機1から最も離れた壁面116の四つのうちの1つの隅112と、そこと対角の隅114を設定すると、サーチモードが終了する。サーチモードが終了すると、送風機1が設定した部屋110の2点112,114により区画される四角形の範囲内で左右首振りをするよう制御する。このようにすれば、距離センサ61がうまく作動しないような特異な部屋形状に対応できる。すなわち、部屋110の形状に合わせた効率の良い空気撹拌を実現可能である。また、距離センサ61が不要であるため、コストダウンを図ることも可能である。
【0087】
[センサ取付位置]
図36は、本実施の形態に係る送風機1が備える距離センサ61の取り付け位置を示す斜視図である。ここでは、距離センサ61の取り付け位置について説明するが、温度センサ62の取り付け位置についても同様である。図36に示すように、上下左右に首振りするサーキュレータの可動部分(送風部2)に距離センサ61を設ける。ここでは、送風部2のフロントカバー15aの上端部に距離センサ61を設けた場合を例示しているが、送風部2のフロントカバー15aの下端部に距離センサ61を設けても良い。これにより、送風方向4に距離センサ61あるいは温度センサ62の検知対象箇所が追従する。球面グリル構造のサーキュレータは、風が収束して狭い範囲に集中するため、距離センサ61あるいは温度センサ62で検知する検知対象箇所が狭小な範囲であっても、そこに集中的に風を送ることができる利点がある。
【0088】
[入切タイマー]
送風機1の入タイマーボタン34c(図11参照)を押すと、入タイマーを選択できる。同様に、切タイマーボタン34bを押すと、切タイマーを選択できる。運転停止中(電源OFF)で、入タイマーの設定中(ランプの点滅中)は、切タイマー・送風モード・上下首振り・左右首振り・風量を設定することが可能である。
【0089】
また、入タイマーが設定されている場合には、切タイマー設定時間の運転停止時の上下・左右の首振り位置を維持し、入タイマー設定時間の運転開始時には、元の首振り位置のまま送風する。これにより、就寝の際、使用者に直接風が当らない首振り位置に設定すれば、入タイマー作動後においても、使用者に対し直接に風が当らない。通常時の運転停止では、上下・左右の首振り位置が原点復帰するようになっている。
【0090】
図37は、本実施の形態に係る送風機1の入切タイマーの説明図である。ここでは、切タイマーを先に設定してから、入タイマーを設定したときを想定している。図37に示すように、切タイマー動作中(運転中)に入タイマーを設定すると、切タイマーで設定した時間後に運転が停止し、入タイマーランプのみ点灯する。また、残り時間にしたがって入タイマーランプが切り替わり、入タイマーで設定した時間後に運転を開始する。
【0091】
[リモコンホルダー]
図38は、本実施の形態に係る送風機1が備えるリモコンホルダー26の斜視図である。既に説明したように、送風部2のリアカバー15b上部には、リモコン25を保持するためのリモコンホルダー26が設けられている。図38に示すように、リモコンホルダー26を構成するリブの内、少なくとも1本のリブ26eを少し高く立てても良い。これにより、リモコンホルダー26にリモコン25を取り付けたとき、リモコン25の下面にリブ26eが当たるため、リモコン25の離脱を防止することが可能である。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態に係る送風機1は、送風用のファン17と、ファン17を駆動するモーター18を有する、左右首振り自在の送風部2と、送風部2のモーター18の制御、及び、送風部2の左右首振りの制御を行う制御部50とを、備え、制御部50は、送風部2の左右首振りに於ける両端寄りの位置での風速よりも、中央寄りの位置での風速を小さくするよう制御する。これにより、左右方向に広げて干した洗濯物Sに対し、距離が近い中央寄りの位置に向けて弱い風を送ることができるとともに、距離が遠い両端寄りの位置に向けて強い風を送ることができ、洗濯物Sをムラなく乾燥できる。
【0093】
具体的には、本実施の形態に係る送風機1は、送風部2の左右首振りを駆動するステッピングモーターM1を備え、制御部50は、ステッピングモーターM1に送るパルス信号によって送風部2の左右首振りを制御するのが望ましい。これにより、送風部2の左右首振り位置に応じた風速の制御が可能となる。
【0094】
また、送風部2は、ファン17を駆動するDCモーター18を有し、制御部50は、ステッピングモーターM1による送風部2の左右首振りに対応してDCモーター18を制御するのが望ましい。これにより、多段階での小刻みな風速制御が可能となり、送風部2の左右首振り位置に応じて細かな風速切換えができる。
【0095】
また、送風部2の左右首振りの両端寄りの位置の風速を上限とし中央寄りの位置の風速を下限とする風速調節範囲を、複数段(複数の強弱レベルから択一的)に設定可能とするのが望ましい。これにより、洗濯物Sとの距離に応じた風速調節ができる。
【0096】
また、送風部2の左右首振りの振り幅を複数の設定角度範囲に調節可能とするのが望ましい。これにより、洗濯物Sの設置幅に合わせて左右首振り角度(振り幅)を調節できるため、乾燥能率がUPする。
【0097】
また、送風部2の左右首振りの各設定角度範囲に対応して、送風部2の左右首振りの両端寄りの位置の風速の上限から中央寄りの位置の風速の下限までの風速増減幅が設定されているのが望ましい。これにより、洗濯物Sの乾燥率がUPし、少量~多量の洗濯物Sに対応できる。
【0098】
また、制御部50は、送風部2の左右首振りの停止時及び電源OFF時、送風部2の送風方向4が正面を向いた基準姿勢に戻すように制御するのが望ましい。これにより、衣類乾燥用途でセンター位置合わせが容易になる。
【0099】
また、送風部2の左右首振り位置が所定位置であることを検知する検知部(IRセンサ51)を備えているのが望ましい。これにより、稼働中の左右首振り位置補正が可能となる。
【0100】
また、送風部2の上下首振りを駆動するステッピングモーターM2を備え、制御部50は、送風部2の上下首振りに於ける下端寄りの位置での風速よりも、上端寄りの位置での風速を大きくするよう制御するのが望ましい。これにより、上下方向に吊り下げた洗濯物Sに対し、距離が近い下端寄りの位置に向けて弱い風を送ることができるとともに、距離が遠い上端寄りの位置に向けて強い風を送ることができ、洗濯物Sをムラなく乾燥できる。
【0101】
また、制御部50は、送風部2の上下首振りの停止時及び電源OFF時、送風部2の送風方向4が水平状方向を向いた基準姿勢に戻すように制御するのが望ましい。これにより、上下首振りの待機状態(停止状態)で送風部2が常に水平を向く整った姿勢を保つことができる。
【0102】
また、本実施の形態に係る送風機1は、送風用のファン17と、ファン17を駆動するモーター18を有する、左右首振り自在の送風部2と、送風部2のモーター18の制御、及び、送風部2の左右首振りの制御を行う制御部50とを、備え、制御部50は、送風部2の左右首振りに於ける両端寄りの位置での風速よりも、中央寄りの位置での風速を小さくするよう制御する。また、制御部50は、送風部2の送風と左右首振りを、複数種類の送風モードに切換えて制御し、複数種類の送風モードは、風速一定となるようにモーター18を制御しつつ所定速度で送風部2の左右首振りを行う連続モードと、送風部2の左右首振りに於ける両端寄りの位置での風速より中央寄りの位置での風速を小さくするようモーター18を制御しつつ所定速度より低速で送風部2の左右首振りを行う衣類乾燥モードとを、備える。これにより、衣類乾燥モードで、左右首振りを低速でゆっくり行うことで、衣類などの洗濯物Sの乾燥を促進できる。
【0103】
また、送風部2は、送風方向4にある洗濯物Sとの距離を検知する距離センサ61を備え、制御部50は、距離センサ61にて検知される距離検知情報に基づいて、送風部2のモーター18及び首振りを制御するのが望ましい。これにより、送風機1から洗濯物Sの距離に応じて最適な風速を選択して、洗濯物Sに一定の風速で風を当てることができる。
【0104】
また、送風部2は、送風方向4にある洗濯物Sの湿潤状態を検知する温度センサ62を備え、制御部50は、温度センサ62によって検知される洗濯物Sの湿潤状態に基づいて、送風部2のモーター18及び首振りを制御するのが望ましい。これにより、濡れた洗濯物Sを効率よく乾燥させることができる。
【0105】
また、制御部50は、温度センサ62にて検知される洗濯物Sの湿潤状態に基づいて、送風部2の送風範囲の内、濡れた洗濯物Sが存在する範囲を乾燥対象領域とし、濡れた洗濯物Sが存在しない範囲を非乾燥対象領域として判定する判定手段を有し、乾燥対象領域の洗濯物Sの一部が乾燥したと判定すれば、乾燥した洗濯物Sが存在する範囲を乾燥対象領域から非乾燥対象領域に変更するのが望ましい。これにより、濡れた洗濯物Sを効率よく乾燥させることができる。
【0106】
また、本実施の形態に係る送風機1は、送風用のファン17と、ファン17を駆動するモーター18を有する、左右首振り自在の送風部2と、送風部2のモーター18の制御、及び、送風部2の左右首振りの制御を行う制御部50とを、備え、制御部50は、送風部2の上下首振りに於ける下端寄りの位置での風速よりも、上端寄りの位置での風速を大きくするよう制御する。これにより、洗濯物Sをムラなく乾燥できる。
【0107】
また、送風部2の上下首振りは、45度~75度の角度範囲に設定され、送風部2の上下首振りの角度範囲を維持しつつ、上下方向に角度調節可能とするのが望ましい。これにより、洗濯物Sに集中的に風を当てることができ、効率良く乾燥できる。また、衣類乾燥の多様な使用シーンに対応できる。
【0108】
また、本実施の形態に係る送風機1は、送風用のファン17と、ファン17を駆動するモーター18を有する、上下方向及び左右方向に首振り自在の送風部2と、送風部2のモーター18の制御、及び、送風部2の上下左右首振りの制御を行う制御部50とを、備え、 制御部50は、送風部2の左右首振りに於ける両端位置での風速よりも、中央位置での風速を小さくするよう制御し、かつ、送風部2の上下首振りに於ける下端寄りの位置での風速よりも、上端寄りの位置での風速を大きくするよう制御する。これにより、洗濯物Sをムラなく乾燥できる。
【0109】
また、本実施の形態に係る送風機1は、送風用のファン17と、ファン17を駆動するモーター18を有する、左右首振り自在の送風部2と、送風部2のモーター18の制御、及び、送風部2の左右首振りの制御を行う制御部50とを、備え、制御部50は、送風部2の送風と左右首振りを、複数種類の送風モードに切換えて制御し、複数種類の送風モードは、所定速度で送風部2の左右首振りを行う連続モードと、所定速度より高速で左右方向に首振りさせる強制撹拌モードとを、備える。これにより、強制撹拌モードで、左右首振りを速く行うことで、室内空気を循環できる。
【0110】
また、制御部50は、送風部2の上下方向の首振りを停止させて上下角度を維持しつつ所定速度より高速で左右方向に首振りさせるよう制御するのが望ましい。これにより、室内空気を効率良く撹拌できる。
【0111】
また、制御部50は、送風部2の左右首振りを間欠的に行うよう制御するのが望ましい。これにより、室内空気の撹拌率を向上できる。
【0112】
また、送風部2は、送風方向4にある洗濯物Sとの距離を検知する距離センサ61を備え、制御部50は、距離センサ61にて検知される距離検知情報に基づいて、送風部2のモーター18及び首振りを制御するのが望ましい。これにより、送風機1の設置場所に関わらず、強制撹拌モードで、室内空気の撹拌を効率よく行うことができる。
【0113】
また、送風部2は、送風方向4にある対象物の温度を検知する温度センサ62を備え、制御部50は、温度センサ62にて検知される温度検知情報に基づいて、送風部2のモーター18及び首振りを制御するのが望ましい。これにより、室内空気を効率良く撹拌できる。
【0114】
また、制御部50は、温度センサ62にて検知された温度検知情報に基づいて、空気調和機が室内温度を下げようとする冷房使用状態と、空気調和機が室内温度を上げようとする暖房使用状態とを、判定する判定手段を有し、冷房使用状態では、送風部2が室内の床に沿った低い位置に向けて送風するように制御し、暖房使用状態では、送風部2が室内の高い位置に向けて送風するように制御するのが望ましい。これにより、冷房時あるいは暖房時に、サーキュレータの効果を最大限に発揮でき、冷房・暖房の効率を向上できる。
【0115】
また、送風部2は、180度方向転換可能に構成されているのが望ましい。これにより、室内空気を効率良く撹拌できる。
【0116】
また、送風部2は、走行手段を備えているのが望ましい。これにより、室内空気を効率良く撹拌できる。
【0117】
また、送風部2の送風範囲を設定するリモコン25を備え、制御部50は、リモコン25にて設定された送風範囲に向けて送風するように、送風部2の首振りを制御するのが望ましい。これにより、センサ不要でコストを低減することができる。また、使用者の希望通りに送風範囲を設定することができる。
【0118】
[その他の実施の形態]
上記のように、いくつかの実施の形態について記載したが、開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0119】
このように、本実施の形態は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。
【符号の説明】
【0120】
1 送風機
2 送風部
17…ファン
18…DCモーター
25…リモコン(設定操作手段)
50…制御部
61…距離センサ(距離検知手段)
62…温度センサ(湿潤検知手段)
M1…ステッピングモーター
M2…ステッピングモーター
図1
図2
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