(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150093
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】蓄電池トレイ引出構造
(51)【国際特許分類】
H01M 50/251 20210101AFI20241016BHJP
B65G 1/10 20060101ALI20241016BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20241016BHJP
H01M 50/256 20210101ALI20241016BHJP
【FI】
H01M50/251
B65G1/10 B
H01M50/244 A
H01M50/244 Z
H01M50/256 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063340
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤井 良介
(72)【発明者】
【氏名】宮副 勉
(72)【発明者】
【氏名】村田 聡
【テーマコード(参考)】
3F022
5H040
【Fターム(参考)】
3F022EE02
3F022FF23
3F022MM03
5H040AA03
5H040AS02
5H040AT06
5H040AY10
5H040CC58
(57)【要約】
【課題】蓄電池収納体から蓄電池トレイを引き出す作業を安心して行えるようにすること。
【解決手段】1以上の蓄電池40が搭載される蓄電池トレイ10と、蓄電池トレイを上下方向に分けて収納可能な蓄電池収納体と、蓄電池収納体20から引き出した蓄電池トレイを搭載可能な作業台30と、を備えた蓄電池トレイ引出構造であって、蓄電池収納体は、蓄電池トレイを搭載可能な第1レール26を複数有し、作業台は、第2レール321を有する台部32を複数備え、作業台を蓄電池収納体の隣に配置した状態で、第1レールの端面の高さに対応させるように配置した第2レールを蓄電池収納体の内側に位置させることを可能とした構成とする。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の蓄電池が搭載される蓄電池トレイと、
蓄電池トレイを上下方向に分けて収納可能な蓄電池収納体と、
蓄電池収納体から引き出した蓄電池トレイを搭載可能な作業台と、
を備えた蓄電池トレイ引出構造であって、
蓄電池収納体は、蓄電池トレイを搭載可能な第1レールを複数有し、
作業台は、第2レールを有する台部を複数備え、
作業台を蓄電池収納体の隣に配置した状態で、第1レールの端面の高さに対応させるように配置した第2レールを蓄電池収納体の内側に位置させることを可能とした蓄電池トレイ引出構造。
【請求項2】
作業台の台部の少なくとも一つは、枠体を備え、かつ、枠体から突出した第2レールを下方から支持する支持片を備え、
支持片を蓄電池収納体と連結固定可能とした請求項1に記載の蓄電池トレイ引出構造。
【請求項3】
作業台の台部の一つは、床面に載置する設置台であり、
作業台の台部の少なくとも一つは、設置台の上に載せられる増設台であり、
設置台の上面と増設台の天面に第2レールを備え、
設置台に増設台を搭載した作業台は、上から2段目以降の台部の第2レールの少なくとも一つが、作業台の強度を補強するように機能する請求項2に記載の蓄電池トレイ引出構造。
【請求項4】
台部の少なくとも一つは、底面側に切欠部を備え、
下側の台部の第2レールの一部が、上側の台部の底面側に備えた切欠部に挿入された状態となるように、台部を上下方向に重ねることを可能とする請求項3に記載の蓄電池トレイ引出構造。
【請求項5】
設置台に増設台を搭載した作業台の下部に位置する台部の第2レールを、蓄電池収納体の第1レールに対応する位置とすることが可能な請求項4に記載の蓄電池トレイ引出構造。
【請求項6】
蓄電池トレイの底面側に、第1レールに沿った移動を可能とするガイドレールを前後方向に延びるように備え、
第1レールは、第1レールの長手方向と垂直となるように切った断面が略コ字状であり、かつ、第2レールは、第2レールの長手方向と垂直となるように切った断面が略コ字状であり、
第1レールと第2レールを対応する位置に配置した状態において、
第1レールの開放端と第2レールの開放端が同じ向きになり、ガイドレールの一部を第1レールに挿入して、かつ、ガイドレールの一部を第2レールに挿入して、蓄電池トレイを移動させることが可能な請求項1から5の何れかに記載の蓄電池トレイ引出構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池トレイ引出構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽光発電装置等で発電された電力を蓄電する単位電池を複数収納した電池収容体において、単位電池を引き出して作業を行えるようにするためにスライドレールを設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、特許文献1に開示の電池収容体は、自在に移動させることが前提であり、移動用キャスターが設けられている。また、移動用キャスターが電池収容体を支える構成となっている。つまり、特許文献1に開示の電池収容体は、しっかりと固定されるものではない。このため、単位電池などの蓄電池トレイを多数引き出した状態においては、引き出した蓄電池トレイの重みにより、電池収容体が転倒することなどが懸念される。このような問題が生じないように、搭載されている蓄電池トレイの重量や位置などを考慮して作業をすることは、利用者にとっては負担である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、蓄電池収納体から蓄電池トレイを引き出す作業を安心して行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、1以上の蓄電池が搭載される蓄電池トレイと、蓄電池トレイを上下方向に分けて収納可能な蓄電池収納体と、蓄電池収納体から引き出した蓄電池トレイを搭載可能な作業台と、を備えた蓄電池トレイ引出構造であって、蓄電池収納体は、蓄電池トレイを搭載可能な第1レールを複数有し、作業台は、第2レールを有する台部を複数備え、作業台を蓄電池収納体の隣に配置した状態で、第1レールの端面の高さに対応させるように配置した第2レールを蓄電池収納体の内側に位置させることを可能とした蓄電池トレイ引出構造とする。
【0007】
また、作業台の台部の少なくとも一つは、枠体を備え、かつ、枠体から突出した第2レールを下方から支持する支持片を備え、支持片を蓄電池収納体と連結固定可能とした構成とすることが好ましい。
【0008】
また、作業台の台部の一つは、床面に載置する設置台であり、作業台の台部の少なくとも一つは、設置台の上に載せられる増設台であり、設置台の上面と増設台の天面に第2レールを備え、設置台に増設台を搭載した作業台は、上から2段目以降の台部の第2レールの少なくとも一つが、作業台の強度を補強するように機能する構成とすることが好ましい。
【0009】
また、台部の少なくとも一つは、底面側に切欠部を備え、下側の台部の第2レールの一部が、上側の台部の底面側に備えた切欠部に挿入された状態となるように、台部を上下方向に重ねることを可能とする構成とすることが好ましい。
【0010】
また、設置台に増設台を搭載した作業台の下部に位置する台部の第2レールを、蓄電池収納体の第1レールに対応する位置とすることが可能な構成とすることが好ましい。
【0011】
また、蓄電池トレイの底面側に、第1レールに沿った移動を可能とするガイドレールを前後方向に延びるように備え、第1レールは、第1レールの長手方向と垂直となるように切った断面が略コ字状であり、かつ、第2レールは、第2レールの長手方向と垂直となるように切った断面が略コ字状であり、第1レールと第2レールを対応する位置に配置した状態において、第1レールの開放端と第2レールの開放端が同じ向きになり、ガイドレールの一部を第1レールに挿入して、かつ、ガイドレールの一部を第2レールに挿入して、蓄電池トレイを移動させることが可能な構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、蓄電池収納体から蓄電池トレイを引き出す作業を安心して行える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態における蓄電池収納体の斜視図である。
【
図2】
図1に示す蓄電池収納体の扉体を開いた状態を示す図である。
【
図3】
図1に示す蓄電池収納体の扉体などを外した状態を示す図である。
【
図4】
図3に示す状態とした蓄電池収納体の隣に作業台を配置した例を示す図である。
【
図5】
図4に示す状態から蓄電池トレイを引き出した状態を示す図である。
【
図6】
図3に示す状態とした蓄電池収納体の隣に作業台を配置した例を示す図である。ただし、
図4に示す例とは異なる例である。
【
図10】実施形態における作業台の斜視図である。ただし、
図7に示す例とは異なる向きから見た斜視図である。
【
図11】
図7に示す作業台の分解斜視図である。ただし、
図8に示す例とは異なる向きから見た分解斜視図である。
【
図12】実施形態における作業台の第2レールの端部周りを示す図である。
【
図13】実施形態における蓄電池収納体の第1レールと固定レール周りを示す図である。
【
図14】実施形態における蓄電池収納体の隣に作業台を配置した状態における作業台と蓄電池トレイとの関係例を示す図である。ただし、二つの蓄電池トレイが蓄電池収納体側に配置されている状態を示す例である。
【
図15】
図14に示す状態から一つの蓄電池トレイを作業台側に移動させた状態を示す例である。
【
図16】蓄電池トレイに蓄電池を搭載した例を示す図である。
【
図17】
図16に示す蓄電池に電線を接続した例を示す図である。
【
図18】
図16に示す蓄電池が搭載された蓄電池トレイを底面板側から見た斜視図である。
【
図19】実施形態の蓄電池収納体の第1レール周りの例を示す図である。
【
図20】蓄電池が搭載された蓄電池トレイを第1レールに載置した状態の例を示す側面図である。
【
図21】第1レールや第2レールに使用するレールの例を示す斜視図である。
【
図23】蓄電池トレイが載置された第1レールと第2レールが隣り合っている状態の例を示す図である。ただし、第1レールと第2レールは同形態のものである。
【
図24】作業台の利用後に、車輪を利用して作業台を蓄電池収納体から離すように移動させた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に発明を実施するための形態を示す。本実施形態の蓄電池トレイ引出構造は、1以上の蓄電池40が搭載される蓄電池トレイ10と、蓄電池トレイ10を上下方向に分けて収納可能な蓄電池収納体20と、蓄電池収納体20から引き出した蓄電池トレイ10を搭載可能な作業台30と、を備えている。また、蓄電池収納体20は、蓄電池トレイ10を搭載可能な第1レール26を複数有し、作業台30は、第2レール321を有する台部32を複数備えている。そして、作業台30を蓄電池収納体20の隣に配置した状態で、第1レール26の端面の高さに対応させるように配置した第2レール321を蓄電池収納体20の内側に位置させることを可能としている。このため、蓄電池収納体20から蓄電池トレイ10を引き出す作業を安心して行える。
【0015】
ここで、実施形態の蓄電池トレイ引出構造における蓄電池収納体20について説明をする。
図1に示す例の蓄電池収納体20は蓄電池収納箱であり、複数のフレーム部材211で組み上げられたフレーム体21や複数の側板23や扉体24などによって筐体が構成されている。この蓄電池収納体20は、内部に複数の蓄電池トレイ10が備えられている。
【0016】
蓄電池収納体20に側板23や扉体24などが備えられている場合、側板23や扉体24にファンや排気口を備えるようにしてもよい。この場合、ファンや排気口を、蓄電池トレイ10の隣など、蓄電池トレイ10に対応する位置に設ければ、蓄電池40からの放熱を効率的におこなうことができる。
【0017】
蓄電池トレイ10は搭載された蓄電池40などと組み合わされて蓄電池ユニットとなる。蓄電池ユニットは、太陽光電池などの電源と電線を介して接続される。また、蓄電池ユニットは、装置などの負荷と電線を介して接続される。蓄電池ユニットに接続される電線は天井面や設置面から引き出すようにするのが好ましい。
【0018】
蓄電池トレイ10を引き出したい場合には、蓄電池収納体20に備えられた扉体24を開放したり(
図2参照)、扉体24などを外したりしてから(
図3参照)、蓄電池トレイ10を引き出せばよい。ただし、蓄電池収納体20に扉体24などを取り付けない場合には、扉体24の開放などの作業は発生しない。
【0019】
実施形態の蓄電池トレイ10は、蓄電池40を収納可能な収納部11を備えており、その収納部11に複数の蓄電池40が搭載される。蓄電池40は鉛電池、ニッケル電池、リチウム電池などが例示できる。それらの蓄電池40は、1つが10kgから50kgの重量であるのが通常であり、蓄電池トレイ10に10個の蓄電池40を搭載した場合、蓄電池トレイ10に搭載された蓄電池40の総重量は100kgから500kgとなる。
【0020】
このように、蓄電池40が搭載された蓄電池トレイ10は重いため、引き出した蓄電池トレイ10を支えることができるように、作業台30を用意し、引出先で蓄電池トレイ10を支えることができるようにする(
図4及び
図5参照)。例えば、作業台30を蓄電池収納体20の前側に連結し、蓄電池収納体20の前方に引き出した蓄電池トレイ10を作業台30で支えられるようにする。なお、
図5に示すように、実施形態の蓄電池収納体20は、蓄電池トレイ10を搭載可能な第1レール26が前後方向に延びるように取り付けられており、この第1レール26に載った蓄電池トレイ10を、第1レール26の長手方向に向けて移動させることができる。
【0021】
蓄電池トレイ10は蓄電池収納体20に上下方向に分けて収納されるのが通常である。したがって、引き出したい蓄電池トレイ10が収納されている高さにあった作業台30を用意する必要がある(
図5及び
図6参照)。蓄電池トレイ10が収納されている高さ毎に作業台を個別に用意しようとすると、作業台を保管しておくためにスペースがとられる。このため、作業台は、少なくとも二つ以上の高さに対応できる構成とすることが好ましい。
【0022】
図7及び
図8に示すことから理解されるように、実施形態の作業台30は複数の台部32を備えている。この台部32の組み合わせを調整することによって高さを調整することができる。つまり、引き出したい蓄電池トレイ10の高さに応じて、利用する台部32の個数などを決めて作業台30の高さを調整し、該当する蓄電池トレイ10の引出先で蓄電池トレイ10を支えられるようにする。このような作業台30とすれば、蓄電池40の点検や交換などが終わった後には、作業台30を分解して保管することができる。
【0023】
図7及び
図8に示す例では、作業台30の最下段の台部32は設置台32aであり、床面と接触する台部32となる。また、設置台32aより上側に位置する台部32が増設台32bである。設置台32aは移動をしやすいように車輪32a1を備える構成とするのが好ましい。また車輪32a1の有無に限らず、設置位置に固定するための脚部であるレベルフットを備える構成とするのが好ましい。レベルフットを利用すれば、高さの微調整が可能となる。
【0024】
図7及び
図8に示す例では、設置台32aは矩形状の枠体322の上部に第2レール321が複数固定されている。第2レール321は第1レール26に載っていた蓄電池トレイ10を受けることが予定される部分であるため、第2レール321の上面の高さが第1レール26の上面の高さと同様となるようにするのが好ましい。
【0025】
設置台32aに固定された第2レール321は蓄電池収納体20の最下段に設けられた第1レール26と同様の高さとなるのが好ましいが、必ずしも、そのようなものではなくてもよい。設置台32aの上に載せる増設台32bに固定された第2レール321が、蓄電池収納体20の最下段に設けられた第1レール26と同様の高さとなるようにしてもよい。
【0026】
設置台32aの上に設置される増設台32bは、前後、上下、左右の各々にフレームを配置して直方体状の骨格をなすように構成された枠体322を備えている。
図7及び
図8に示す例では、増設台32bは、天面部に複数の第2レール321を備えている。
【0027】
また、実施形態では、第2レール321は枠体322から突出するように構成されている(
図9及び
図10参照)。これは第2レール321を第1レール26に近づけるためである。また、実施形態では、第2レール321を枠体322でしっかりと支えることができるように、第2レール321は枠体322に載せた状態で固定される。
【0028】
このような構成を可能にしつつ台部32を上に重ねるようにするため、増設台32bの底面に切欠部32b1を設けている。この切欠部32b1は下側の台部32の第2レール321の一部を挿入することを可能としている。
図11に示す例では、増設台32bの枠体322の下部に切欠部32b1を設けているが、増設部の枠体322の下方に、別の部材を取り付けている場合などは、その部材に切欠部32b1を設ければよい。いずれにせよ、切欠部32b1が存在することで、台部32を上下方向に重ねようとする場合に、下側の台部32の第2レール321が障害となることを回避することができる。
【0029】
これらの記載から理解されるように、台部32の少なくとも一つは、底面側に切欠部32b1を備え、下側の台部32の第2レール321の一部が、上側の台部32の底面側に備えた切欠部32b1に挿入された状態となるように、台部32を上下方向に重ねることを可能とする構成とするのが好ましい。なお、切欠部32b1は増設台32bに設けられることになる。
【0030】
なお、切欠部32b1は下方に開放した形状となるため、台部32を重ね合わせると、上の台部32の枠体322などが、下の台部32に固定された第2レール321の真上に、第2レール321と隣接するように位置することになる。したがって、実質的に作業台30の最上段に配置した台部32に固定された第2レール321以外は、蓄電池トレイ10を作業台30側に引き込むためのレールとして機能しなくなる。つまり、引き出し可能な蓄電池トレイ10は、作業台30の最上段に配置した台部32と対応する高さに収納された蓄電池トレイ10に限定される。このため、蓄電池トレイ10を作業台30側に引き込むことによる、蓄電池収納体20の重心の移動を抑制できる。したがって、蓄電池収納体20を転倒させようとする力の発生を抑制することができる。
【0031】
これらの記載から理解されるように、設置台32aに増設台32bを搭載した作業台30の下部に位置する台部32の第2レール321は、蓄電池トレイ10の移動には直接利用されないが、蓄電池収納体20の第1レール26に対応する位置とすることが可能なものとすれば、作業台30を組み上げる途中段階で、作業台30の位置合わせを行うことができる。このため、設置台32aに増設台32bを搭載した作業台30の下部に位置する台部32の第2レール321を、蓄電池収納体20の第1レール26に対応する位置とすることが可能な構成とするのが好ましい。
【0032】
また、上から2段目以降の台部32の第2レール321は、作業台30の強度を補強するように機能させることも可能である。例えば、切欠部32b1の幅が第2レール321の幅とほぼ同じとなるようにし、第2レール321が切欠部32b1に嵌る構成とすると、2段目以降の台部32の第2レール321は、作業台30の強度を補強するように機能させることができる。
【0033】
これらの記載から理解されるように、作業台30の台部32の一つは、床面に載置する設置台32aであり、作業台30の台部32の少なくとも一つは、設置台32aの上に載せられる増設台32bであり、設置台32aの上面と増設台32bの天面に第2レール321を備え、設置台32aに増設台32bを搭載した作業台30は、上から2段目以降の台部32の第2レール321の少なくとも一つが、作業台30の強度を補強するように機能する構成とするのが好ましい。
【0034】
ところで、
図12に示すことから理解されるように、実施形態の台部32には、枠体322から突出した第2レール321を下方から支持する支持片323を備えている。また、この支持片323には固定孔3231を備えている。支持片323に備えられた固定孔3231は、蓄電池収納体20の固定レール22に備えられた固定孔221と対応する位置に設けられており、ボルトを用いて、支持片323と固定レール22を連結可能としている(
図12から
図14参照)。また、支持片323と固定レール22が連結されれば、作業台30と蓄電池収納体20とが連結されることになる。したがって、蓄電池トレイ10の移動時に、作業台30が移動することなどが回避できる。このため、蓄電池トレイ10の移動時に、作業台30が転倒することなどを回避できる。
【0035】
作業台30と蓄電池収納体20の連結は、作業台30の何れかの台部32と蓄電池収納体20の連結により行うようにすればよいが、最上段の台部32と蓄電池収納体20の連結により作業台30と蓄電池収納体20の連結を行うのが好ましい。また、複数の台部32と蓄電池収納体20の連結により作業台30と蓄電池収納体20の連結を行うのが好ましい。いずれにせよ、全ての台部32に支持片323を備えている必要はない。ただし、全ての台部32に支持片323を備えるようにし、それら全てを作業台30と蓄電池収納体20の連結に利用することも可能である。
【0036】
この例から理解されるように、作業台30の台部32の少なくとも一つは、枠体322を備え、かつ、枠体322から突出した第2レール321を下方から支持する支持片323を備え、支持片323を蓄電池収納体20と連結固定可能とするのが好ましい。
【0037】
なお、支持片323は、第2レール321を下方から支持するため、蓄電池トレイ10の移動時に第2レール321の枠体322から突出した部分にかかる荷重を支持片323が受けることができる。
【0038】
ところで、蓄電池収納体20と作業台30を固定する場合には、第1レール26と第2レール321が対向する位置にある状態で固定をする。
図14に示す例では、第1レール26と第2レール321が当接する状態で、蓄電池収納体20と作業台30を固定している。第1レール26と第2レール321が当接していれば、蓄電池トレイ10をスムーズに移動させることができる(
図14及び
図15参照)。
【0039】
第1レール26と第2レール321間に隙間を設けている構成であってもよいが、少なくとも、蓄電池トレイ10がガタツキなく移動できる程度の間隔であるのが好ましい。また、蓄電池トレイ10を蓄電池収納体20から作業台30に移動させる際に、蓄電池トレイ10のガイドレール15が第1レール26と第2レール321のガイド面r4(後述する)から外れない程度の間隔としておくことが好ましい。
【0040】
ところで、実施形態の蓄電池トレイ10は、複数の蓄電池40を搭載して蓄電池ユニットを構成することができるようにしている。
図16に示す例では、10個の蓄電池40を搭載している。それぞれの蓄電池40には正極の電極41及び負極の電極42が備えられているため、これらを接続して一つのまとまりにしたものが蓄電池ユニットである。
【0041】
図17に示す例では、それぞれの蓄電池40を直列に接続した蓄電池ユニットとしているが、蓄電池40を並列に接続した蓄電池ユニットや、直列及び並列を組み合わせて蓄電池ユニットを構成してもよい。
【0042】
図16に示す蓄電池トレイ10では、収納部11よりも前側に、引き出し用の取手12を設けている。
図16に示す例では、取手12は蓄電池トレイ10の左右両側に設けられているが、取手12の配置はこのようなものでなくてもよい。例えば、上下両側や正面視の中央位置などに取手12を配置するようにしてもよい。
【0043】
また、
図16に示すことから理解されるように、蓄電池トレイ10の収納部11の側面側にも取手13を設けるようにしてもよい。例えば、収納部11の前側に設けられた取手12を持って引っ張る役割の人と、収納部11の側面側に設けられた取手13を使って蓄電池トレイ10の移動を補助する役割の人が協力して蓄電池トレイ10を引き出すことが可能となる。
【0044】
蓄電池トレイ10に、他の蓄電池トレイ10との接続や、蓄電池40との接続が可能な端子台を備えるようにしてもよい。また、蓄電池トレイ10に配線支持金具14を備えるようにすれば、配線支持金具14を用いて、配線を結束させることや、配線の位置規制が可能となる。このため、配線が引き出し時の障害になることを回避することができる。なお、
図16に示す例では収納部11の側面に対して、長手方向が前後方向となるように配線支持金具14が取り付けられているが、そのようなものではなくてもよい。
【0045】
蓄電池トレイ10は、蓄電池収納体20と固定できるようにするのが好ましい。蓄電池トレイ10が蓄電池収納体20に固定されていれば、地震などが生じても蓄電池トレイ10が蓄電池収納体20から飛び出すことを回避することができる。
【0046】
このため、蓄電池トレイ10は、蓄電池収納体20との固定に用いる取付部16を備えるのが好ましい。また、取付部16は間隔をあけて複数設けるのが好ましい。
図18に示す例では蓄電池トレイ10の前側の下部に、二つの取付部16を間隔をあけて設けている。取付部16は蓄電池トレイ10の前側でない位置や下部でない位置に設けることも可能である。
【0047】
また、蓄電池トレイ10の底面板111にはガイドレール15を備えている。このガイドレール15は第1レール26とともに機能することで、蓄電池トレイ10の移動範囲を制限することができる。
【0048】
図18に示す例では、蓄電池トレイ10の底面板111の左右にガイドレール15が設けられている。このガイドレール15は蓄電池トレイ10の底面板111の下方で上下に延びる縦面151と、縦面151の下部から左右方向に延びる横面152を備えている。横面152の端部上方であって縦面151と対向する部分は第1レール26が侵入可能な開放部153となっている。
図18に示す例では、開放部153はガイドレール15の左右方向のうち、蓄電池トレイ10の中心側に設けられている。
【0049】
また、ガイドレール15が、蓄電池トレイ10の前半分側の少なくとも一部及び後ろ半分側の少なくとも一部に位置する構成とすることが好ましい。このようにすれば、スライド移動させている際に蓄電池トレイ10が前方に傾くことを抑制することができる。
図18に示す例では、蓄電池トレイ10の前半分側と後ろ半分側にわたるガイドレール15を設けた構成であるが、蓄電池トレイ10の前半分側に配置したガイドレール15とは別のガイドレール15を後ろ半分側に配置するように構成してもよい。
【0050】
図19に示す例では、蓄電池収納体20には三本の第1レール26が備えられている。このうち両端に位置する第1レール26が、各々ガイドレール15とともに機能することで、蓄電池トレイ10の移動範囲を制限する。より詳しくは、蓄電池トレイ10が左右、上下にずれないように前側に移動することを可能としている。両端の第1レール26の間に配置された第1レール26は、蓄電池トレイ10を中央付近でも支えることができようにするために設けられている。
【0051】
なお、
図19に示す例の蓄電池収納体20には、垂直方向に延びるフレーム部材211間を渡すように固定レール22が固定されている。この固定レール22は蓄電池収納体20の前部及び後部に設けられている。この固定レール22間を渡すように第1レール26が取り付けられている。
【0052】
また、
図19に示す例では、前側の固定レール22の上方であって第1レール26間には、蓄電池トレイ10を固定するために用いるトレイ固定部27が設けられている。トレイ固定部27を複数設ける場合、正面視において、トレイ固定部27とトレイ固定部27の間に第1レール26が位置するように配置するのが好ましい。
図19及び
図20に示す例では、トレイ固定部27とトレイ固定部27の間の空間に中央の第1レール26が介在するように構成している。なお、後側の固定レール22は、蓄電池ユニットの移動を規制する壁部222を備えている。
【0053】
図21及び
図22に示すことから理解されるように、実施形態の第1レール26は断面が略コ字状の形態となる構成である。より詳しくは、第1レール26はレールの固定に用いられる固定面r1と、蓄電池トレイ10が搭載される搭載面r2と、が対向するように配置されるものであり、固定面r1と搭載面r2が立上面r3によって連結されている。また、
図22に示すことから理解されるように、搭載面r2の開放端部側には固定面r1側に向かうように折り曲げたガイド面r4を備えている。ガイドレール15と隣接することになるガイド面r4は、ガイドレール15の縦面151と対向することになる部分であり、蓄電池トレイ10の移動範囲を抑制するように機能させることができる。
【0054】
図19及び
図20に示す例では、左右端部に位置する第1レール26は、ガイド面r4の先端側に位置する開口部r5が、蓄電池収納体20の左右外側を向くように構成されている。ガイドレール15と第1レール26の向きは、
図19及び
図20に示す例とは逆にしてもよい。ただし、
図19及び
図20に示す例のように、ガイドレール15の開放部153が内向き、第1レール26の開口部r5が外向きとなる構成とするのが好ましい。なお、実施形態においては、第1レール26と第2レール321は同様な構成である。このため、第2レール321の向きは第1レール26にあわせるようにしている。
【0055】
ガイドレール15と当接する第1レール26の断面形状と第2レール321の断面形状を同様とし、ガイドレール15と当接する第1レール26の端面と第2レール321の端面が対向するように配置すれば、ガイドレール15の第1レール26と第2レール321の乗り継ぎをスムーズにすることができる(
図23参照)。
【0056】
これらの記載から理解されるように、蓄電池トレイ10の底面側に、第1レール26に沿った移動を可能とするガイドレール15を前後方向に延びるように備え、第1レール26は、第1レール26の長手方向と垂直となるように切った断面が略コ字状であり、かつ、第2レール321は、第2レール321の長手方向と垂直となるように切った断面が略コ字状であり、第1レール26と第2レール321を対応する位置に配置した状態において、第1レール26の開放端と第2レール321の開放端が同じ向きになり、ガイドレール15の一部を第1レール26に挿入して、かつ、ガイドレール15の一部を第2レール321に挿入して、蓄電池トレイ10を移動させることが可能な構成とするのが好ましい。
【0057】
ところで、蓄電池40が蓄電池トレイ10に搭載された蓄電池ユニットは、底面板111が第1レール26の上面に当接するように搭載されるが、蓄電池ユニットは重量物となるため、第1レール26や第2レール321は、鉄などの金属製材料を用いて構成されるのが好ましい。また、蓄電池トレイ10の収納部11も鉄などの金属製材料とするのが好ましい。ただし、このような構成であると蓄電池ユニットの移動がスムーズとならない可能性がある。このような事態を考慮して、第1レール26の搭載面r2に、蓄電池トレイ10の底面板111と異なる材料の部材を用いて滑りを良くすることが考えられる。
【0058】
図22に示す例では、第1レール26の搭載面r2に樹脂プレートr6を重ね合わせ、蓄電池ユニットが樹脂プレートr6上を滑ることができるように構成している。また、
図22に示す例では、第1レール26と樹脂プレートr6の固定をねじ止めで行っているが、この固定に利用するねじを皿ネジr7とし、ねじ頭が樹脂プレートr6の上端よりも上方に突出しないように構成している。
【0059】
なお、実施形態の作業台30は、床面を移動するために用いる車輪32a1が備えられているため、組み上げられた状態で移動することもできる(
図24参照)。
【0060】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、第1レール26は二本としてもよいし四本以上としてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10 蓄電池トレイ
20 蓄電池収納体
26 第1レール
30 作業台
32 台部
32a 設置台
32b 増設台
32b1 切欠部
321 第2レール
322 枠体
323 支持片
40 蓄電池