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特開2024-150096圧着トナー面同士を圧着させる圧着装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150096
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】圧着トナー面同士を圧着させる圧着装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 27/00 20060101AFI20241016BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20241016BHJP
   G03G 21/20 20060101ALI20241016BHJP
   G03G 15/22 20060101ALI20241016BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B65D27/00 A
G03G15/20 510
G03G21/20
G03G15/22 103Z
G03G15/01 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063343
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗田 知一
(72)【発明者】
【氏名】久保 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】永井 丈晴
【テーマコード(参考)】
2H033
2H078
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2H033AA47
2H033AA49
2H033BA01
2H033BA02
2H033BA59
2H033CA02
2H033CA12
2H078AA08
2H078AA15
2H078DD49
2H078DD57
2H078EE04
2H270KA57
2H270LC02
2H270MA33
2H270MA38
2H270MA40
2H270MA41
2H270PA42
2H270ZC04
2H300ED12
2H300EJ49
2H300EJ50
2H300EK01
2H300EK02
2H300EK05
2H300EK07
2H300EK10
2H300EM06
2H300EM07
2H300QQ20
2H300QQ22
2H300TT04
(57)【要約】
【課題】圧着トナー面同士を圧着させるための圧力を単に増大させる場合に比して、印刷媒体の変形又は破損が生じる可能性を低減させつつ、圧着トナー面同士をより確実に圧着させる。
【解決手段】画像形成装置12は、圧着トナーPTを印刷媒体M上に形成する。折り装置14は、圧着トナーPTが形成された印刷媒体Mの面である圧着トナー面PS同士が対向するように、印刷媒体Mを折る。圧着装置16のローラ対20は、ニップ部28に印刷媒体Mを挟み込むことで、印刷媒体Mの圧着トナー面PS同士が対向した面である圧着面に圧力を加える。圧着装置16の加熱制御機構34は、ローラ対20のニップ部28、換言すれば、ニップ部28に挟み込まれた印刷媒体Mの圧着面を加熱する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧着トナーが形成された印刷媒体の面である圧着トナー面同士を圧着させる圧着装置であって、
ニップ部に前記印刷媒体を挟み込むことで、前記印刷媒体の前記圧着トナー面同士が対向した圧着面に圧力を加えるローラ対と、
前記ニップ部を加熱する加熱制御機構と、
を備えることを特徴とする圧着装置。
【請求項2】
前記印刷媒体の前記圧着面に順次圧力を加える複数の前記ローラ対とを備え、
前記加熱制御機構は、複数の前記ローラ対それぞれの前記ニップ部を加熱する、
ことを特徴とする請求項1に記載の圧着装置。
【請求項3】
前記印刷媒体の搬送方向において下流側に配置された前記ローラ対は、当該ローラ対よりも上流側に配置された他の前記ローラ対よりも大きい圧力を前記印刷媒体の前記圧着面に加える、
ことを特徴とする請求項2に記載の圧着装置。
【請求項4】
前記加熱制御機構は、前記印刷媒体の搬送方向において下流側に配置された前記ローラ対の前記ニップ部の加熱量を、当該ローラ対よりも上流側に配置された他の前記ローラ対の前記ニップ部の加熱量よりも小さくする、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の圧着装置。
【請求項5】
前記ローラ対が前記印刷媒体の前記圧着面に加える圧力を制御する加圧制御機構をさらに備え、
前記加熱制御機構は、前記ニップ部への加熱量を制御可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載の圧着装置。
【請求項6】
前記加圧制御機構は、前記加熱制御機構による前記ニップ部の加熱量が増大したことに応じて、前記ローラ対が前記印刷媒体の前記圧着面に加える圧力を減少させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の圧着装置。
【請求項7】
前記加圧制御機構は、前記加熱制御機構による前記ニップ部の加熱量が減少したことに応じて、前記ローラ対が前記印刷媒体の前記圧着面に加える圧力を増大させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の圧着装置。
【請求項8】
前記ローラ対の回転速度を制御する回転制御機構をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の圧着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧着トナー面同士を圧着させる圧着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧着面同士が圧着された圧着印刷物(例えば圧着はがきなど)が知られている。従来、圧着機能を発揮可能な圧着トナーが提案されている。圧着トナーによれば、別途、糊などの接着剤を用いることなく、圧着印刷物を形成することができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、圧力を加えることで接着性を発揮する圧力応答性粒子を含むトナーである圧着トナーを印刷媒体上に形成し、印刷媒体の圧着トナーが形成された面である圧着トナー面同士を加圧装置にて圧着させる印刷物の製造システムが開示されている。特許文献2には、感圧接着剤トナー及び色トナーが形成された印刷媒体を加熱及び加圧して、感圧接着剤トナー及び色トナーを印刷媒体上に定着させる感圧接着シートの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-18422号公報
【特許文献2】特開2008-225042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、圧着トナーが形成された印刷媒体の面である圧着トナー面同士をより確実に圧着させることが望まれる。ここで、単に、圧着トナー面同士を圧着させるための圧力を増大させることでも、圧着トナー面同士をより確実に圧着させることができ得る。しかしながら、その場合、印刷媒体の変形又は破損が生じる可能性も増大する。
【0006】
本発明の目的は、圧着トナー面同士を圧着させるための圧力を単に増大させる場合に比して、印刷媒体の変形又は破損が生じる可能性を低減させつつ、圧着トナー面同士をより確実に圧着させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、圧着トナーが形成された印刷媒体の面である圧着トナー面同士を圧着させる圧着装置であって、ニップ部に前記印刷媒体を挟み込むことで、前記印刷媒体の前記圧着トナー面同士が対向した圧着面に圧力を加えるローラ対と、前記ニップ部を加熱する加熱制御機構と、を備えることを特徴とする圧着装置である。
請求項2に係る発明は、前記印刷媒体の前記圧着面に順次圧力を加える複数の前記ローラ対とを備え、前記加熱制御機構は、複数の前記ローラ対それぞれの前記ニップ部を加熱する、ことを特徴とする請求項1に記載の圧着装置である。
請求項3に係る発明は、前記印刷媒体の搬送方向において下流側に配置された前記ローラ対は、当該ローラ対よりも上流側に配置された他の前記ローラ対よりも大きい圧力を前記印刷媒体の前記圧着面に加える、ことを特徴とする請求項2に記載の圧着装置である。
請求項4に係る発明は、前記加熱制御機構は、前記印刷媒体の搬送方向において下流側に配置された前記ローラ対の前記ニップ部の加熱量を、当該ローラ対よりも上流側に配置された他の前記ローラ対の前記ニップ部の加熱量よりも小さくする、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の圧着装置である。
請求項5に係る発明は、前記ローラ対が前記印刷媒体の前記圧着面に加える圧力を制御する加圧制御機構をさらに備え、前記加熱制御機構は、前記ニップ部への加熱量を制御可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の圧着装置である。
請求項6に係る発明は、前記加圧制御機構は、前記加熱制御機構による前記ニップ部の加熱量が増大したことに応じて、前記ローラ対が前記印刷媒体の前記圧着面に加える圧力を減少させる、ことを特徴とする請求項5に記載の圧着装置である。
請求項7に係る発明は、前記加圧制御機構は、前記加熱制御機構による前記ニップ部の加熱量が減少したことに応じて、前記ローラ対が前記印刷媒体の前記圧着面に加える圧力を増大させる、ことを特徴とする請求項5に記載の圧着装置である。
請求項8に係る発明は、前記ローラ対の回転速度を制御する回転制御機構をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の圧着装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、圧着トナー面同士を圧着させるための圧力を単に増大させる場合に比して、印刷媒体の変形又は破損が生じる可能性を低減させつつ、圧着トナー面同士をより確実に圧着させることができる。
請求項2に係る発明によれば、単一のローラ対にて圧着面に圧力及び加熱を行う場合に比して、圧着トナー面同士をより確実に圧着させることができる。
請求項3に係る発明によれば、複数のローラ対が圧着面に加える圧力を均一とした場合に比して、印刷媒体の変形又は破損が生じる可能性を低減させつつ、圧着トナー面同士をより確実に圧着させることができる。
請求項4に係る発明によれば、複数のローラ対のニップ部に加える加熱量を均一とした場合に比して、圧着トナー面同士を圧着させつつ、印刷媒体に形成された画像の劣化を抑制することができる。
請求項5に係る発明によれば、圧着面に所望の圧力をかけることができ、且つ、ローラ対のニップ部に所望の加熱量を加えることができる。
請求項6又は7に係る発明によれば、ローラ対のニップ部に加えられた加熱量に応じた圧力を圧着面に加えることができる。
請求項8に係る発明によれば、所望の時間、圧着面に対して圧力をかけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る圧着印刷物形成システムの構成概略図である。
図2】圧着トナーを示す概念図である。
図3】折られた印刷媒体を示す図である。
図4】圧着装置の構成概略図である。
図5】圧着装置の変形例を示す構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施形態に係る圧着印刷物形成システム10の構成概略図である。圧着印刷物形成システム10は、圧着面同士が圧着された圧着印刷物(例えば圧着はがきなど)を形成するためのシステムである。圧着印刷物形成システム10は、画像形成装置12、折り装置14、及び、圧着装置16を含んで構成される。
【0011】
画像形成装置12は、紙などの印刷媒体上に画像を形成する印刷処理を実行する装置である。本実施形態では、画像形成装置12はレーザプリンタである。画像形成装置12は、例えばC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)、(あるいはさらに特色)の各色トナーを印刷媒体上に順次転写させ、その後、印刷媒体に転写された色トナーを加熱及び加圧することで、印刷媒体上に色トナーを定着させる。これにより、印刷媒体上に画像が形成される。
【0012】
本実施形態では、画像形成装置12は、各色トナーに加え、圧着トナーを印刷媒体上に形成する。圧着トナーとは、接着機能を発揮するトナーである。図2は、圧着トナーPTを示す概念図である。圧着トナーPTは、従来のトナー材料に相当する樹脂Rに、圧力応答性粒子PPが混合されたものである。圧力応答性粒子PPとは、圧力を加えると軟化する特徴を持つ樹脂である。圧力応答性粒子PPは、例えば、スチレン及びその他のビニルモノマーを重合成分に含むスチレン系樹脂と、少なくとも2種の(メタ)アクリル酸エステルを重合成分に含み、重合成分全体に占める(メタ)アクリル酸エステルの質量割合が90質量%以上である(メタ)アクリル酸エステル系樹脂と、を含んで構成される。圧着トナーPTは、圧力が加えられると、当該圧力によって圧力応答性粒子PPが軟化することで接着機能を発揮する。
【0013】
本実施形態では、圧着トナーは、透明色のトナーであり(詳しくは、上述の樹脂Rが透明の樹脂である)、色トナーの上を覆うようにして印刷媒体上に形成される。圧着トナーが形成された部分は、後述の圧着装置16にて圧力を加えられることで接着機能を発揮する部分となる。なお、圧着トナーは、必ずしも透明色である必要はない。例えば、C、M、Y、K、あるいは特色のいずれかの色トナーが圧着トナーであってもよい。すなわち、圧着トナーPTは、着色樹脂である樹脂Rに圧力応答性粒子PPが混合されたものであってもよい。この場合、C、M、Y、Kなどの色トナーに対して別途圧着トナーを用意する必要はない。
【0014】
色トナー及び圧着トナーPTが形成された印刷媒体は、折り装置14に送られる。
【0015】
折り装置14は、画像形成装置12で色トナー及び圧着トナーPTが形成された印刷媒体を折る処理を実行する。折り装置14の具体的構造は、従来と同等の構造であってよいため、ここでは詳細な説明は省略する。折り方としては、例えば、V折り、Z折り、L折りなどの様々種類がある。どの折り方をするかは、ユーザが指定可能であってよい。本実施形態では、折り装置14は、圧着トナーPTが形成された印刷媒体の面である圧着トナー面同士が対向するように、印刷媒体を折る。例えば、V折りの場合、図3に示すように、圧着トナー面PSが内側面となるように、折り目Lで谷折りされる。
【0016】
圧着トナー面PS同士が対向するように折られた印刷媒体Mは、圧着装置16に送られる。
【0017】
圧着装置16は、印刷媒体Mの圧着トナー面PS同士が対向した面である圧着面に圧力を加えることで、圧着トナー面PS同士を圧着させる装置である。
【0018】
図4は、圧着装置16の構成概略図である。圧着装置16は、ローラ対20を備える。ローラ対20は、円筒形状のローラ22a及びローラ22bから構成される。図2においては、ローラ22a及びローラ22bの底面が示されている。ローラ22aは、ローラ軸24aを中心に矢印AAが示す方向に回転し、ローラ22bはローラ軸24bを中心に、ローラ22aとは反対方向の矢印ABが示す方向に回転する。ローラ22a及びローラ22bは、印刷媒体Mを搬送する搬送ベルト26を挟むように設けられる。これにより、ローラ22a及びローラ22bは、搬送ベルト26を介して互いに対向する部分であるニップ部28を形成する。搬送ベルト26は無限軌道のベルトであり、不図示の駆動ローラによって、矢印ACが示す方向に移動する。詳しくは後述するが、ローラ対20は、ニップ部28に印刷媒体Mを挟み込むことで、印刷媒体Mの圧着面に圧力を加える。
【0019】
圧着装置16は、回転制御機構30を備える。回転制御機構30は、ローラ対20の回転/停止を制御する機構である。好ましくは、回転制御機構30は、ローラ対20の回転速度を制御するとよい。回転制御機構30は、例えば、ローラ軸24a及び24bを回転させるためのモータ、及び、当該モータの回転速度を制御するためのプロセッサなどを含んで構成される。
【0020】
圧着装置16は、加圧制御機構32を備える。加圧制御機構32は、ローラ対20が印刷媒体Mの圧着面に加える圧力を制御する機構である。加圧制御機構32は、例えば、ローラ22aをローラ22bへ押し付ける弾性力を発揮する弾性部材(例えばスプリングなど)、当該弾性部材の弾性力を変更するためのアクチュエータ、及び、当該アクチュエータを制御するためのプロセッサなどを含んで構成される。本実施形態においては、ローラ対20が印刷媒体Mの圧着面に加える圧力は、500kgf/cm~1,000kgf/cm程度となっている。
【0021】
さらに、圧着装置16は、加熱制御機構34を備える。加熱制御機構34は、ローラ対20のニップ部28を加熱する機構である。換言すれば、加熱制御機構34は、ニップ部28に挟み込まれた印刷媒体Mの圧着面を加熱する機構である。好ましくは、加熱制御機構34は、ニップ部28への加熱量を制御可能であるとよい。ニップ部28への加熱量は、圧力応答性粒子PPのガラス転移温度(例えば50~60℃)以下に設定されるとよい。
【0022】
加熱制御機構34の構成としては、種々の構成を採用し得る。例えば、加熱制御機構34は、ローラ22aに外接する第1発熱ローラ、ローラ22bに外接する第2発熱ローラ、及び、第1発熱ローラ及び第2発熱ローラを加熱する熱源、及び、当該熱源の発熱量を制御するプロセッサを含んで構成される。当該構成によれば、熱源からの熱が第1発熱ローラ及び第2発熱ローラを介してローラ22a及びローラ22bの表面に伝わり、ひいてはニップ部28が加熱される。第1発熱ローラと第2発熱ローラのいずれか一方が設けられる態様でもよい。
【0023】
又は、加熱制御機構34は、ローラ軸24a又はローラ軸24bの少なくとも一方を加熱する熱源、及び、当該熱源の発熱量を制御するプロセッサを含んで構成される。当該構成よれば、熱源からの熱がローラ軸24a又はローラ軸24bを介してローラ22a及びローラ22bの表面に伝わり、ひいてはニップ部28が加熱される。
【0024】
加熱制御機構34の構成としては上述の例に限られず、ニップ部28を加熱可能な限りにおいてどのような構成であってもよい。
【0025】
本実施形態の圧着装置16の構成概要は以上の通りである。以下、圧着装置16の作用を説明する。圧着トナー面PS同士が対向するように折られた印刷媒体Mは、搬送ベルト26のニップ部28よりも上流側に載置される。その状態で搬送ベルト26が移動すると、印刷媒体Mは、矢印ACの方向へ移動し、やがてニップ部28に挟み込まれる。ローラ対20は、ニップ部28に印刷媒体Mを挟み込むことで、印刷媒体Mの圧着面に圧力を加える。ローラ対20から圧力を加えられることで、圧着トナー面PS同士が圧着され、圧着印刷物が形成される。
【0026】
ここで、本実施形態では、加熱制御機構34により、ニップ部28が加熱されている。すなわち、印刷媒体Mの圧着面には、ローラ対20から加圧されると共に、加熱制御機構34によって加熱される。圧着トナーPTに含まれる圧力応答性粒子PPは、その温度が高い程、小さい圧力で軟化する(すなわち接着機能を発揮する)という特徴がある。したがって、加熱制御機構34によりニップ部28、換言すれば印刷媒体Mの圧着面を加熱することにより、ローラ対20によって印刷媒体Mの圧着面に加えられる圧力をそれほど大きくしなくても、圧着トナー面PS同士を十分に圧着させることができるようになる。すなわち、印刷媒体Mの圧着面を加熱することにより、印刷媒体Mの変形又は破損が生じる可能性を低減させつつ、圧着トナー面PS同士をより確実に圧着させることができる。また、ローラ対20によって印刷媒体Mの圧着面に加えられる圧力を一定とするならば、印刷媒体Mの圧着面を加熱することにより、印刷媒体Mの圧着面を加熱しない場合に比して、圧着トナー面PS同士をより確実に圧着させることができる、ということもできる。
【0027】
印刷媒体Mの圧着面に対して多大な熱を加えると、印刷媒体M上(特に圧着面)に形成された画像が劣化する場合がある。例えば、画像に光沢が出てしまう(テカってしまう)、あるいは、画像にムラができてしまう場合がある。一方で、上述のように、印刷媒体Mの圧着面に対して多大な圧力を加えると、印刷媒体Mの変形又は破損が生じ得る。そこで、加圧制御機構32及び加熱制御機構34は、印刷媒体Mの圧着面に対して、圧力と熱をバランスよく加えるのがよい。具体的には、圧力応答性粒子PPは、その温度が高い程小さい圧力で軟化するという特徴があるため、加圧制御機構32は、加熱制御機構34によるニップ部28の加熱量が増大したことに応じて、ローラ対20が印刷媒体Mの圧着面に加える圧力を減少させるとよい。又は、加圧制御機構32は、加熱制御機構34によるニップ部28の加熱量が減少したことに応じて、ローラ対20が印刷媒体Mの圧着面に加える圧力を増大させるとよい。
【0028】
また、圧着装置16は、回転制御機構30により、ローラ対20の回転量が制御可能となっている。ローラ対20の回転量が小さい程、ローラ対20が印刷媒体Mの圧着面に圧力を加える時間が長くなる。すなわち、回転制御機構30は、ローラ対20が印刷媒体Mの圧着面に圧力を加える時間を調整することができる。例えば、回転制御機構30は、印刷媒体Mの用紙種、印刷媒体M上に形成された画像、あるいは、ニップ部28の温度又は湿度などに基づいて、ローラ対20の回転量(すなわちローラ対20が印刷媒体Mの圧着面に圧力を加える時間)を決定するとよい。
【0029】
図5は、圧着装置16の変形例を示す構成概略図である。変形例に係る圧着装置16は、複数のローラ対20を有している。図5の例では、圧着装置16は、ローラ対20A、ローラ対20B、及びローラ対20Cの3つのローラ対20を有しているが、ローラ対20の数は2つであってもよいし4つ以上であってもよい。
【0030】
上記の基本実施形態同様、各ローラ対20には、回転制御機構30、加圧制御機構32、加熱制御機構34が設けられている。図5の例では、具体的には、ローラ対20Aには、ローラ対20Aの回転を制御する回転制御機構(不図示)、ローラ対20Aが印刷媒体Mの圧着面に加える圧力を制御する加圧制御機構32A、及び、ローラ対20Aのニップ部28Aへの加熱量を制御する加熱制御機構34Aが設けられる。ローラ対20Bには、ローラ対20Bの回転を制御する回転制御機構(不図示)、ローラ対20Bが印刷媒体Mの圧着面に加える圧力を制御する加圧制御機構32B、及び、ローラ対20Bのニップ部28Bへの加熱量を制御する加熱制御機構34Bが設けられる。ローラ対20Cには、ローラ対20Cの回転を制御する回転制御機構(不図示)、ローラ対20Cが印刷媒体Mの圧着面に加える圧力を制御する加圧制御機構32C、及び、ローラ対20Cのニップ部28Cへの加熱量を制御する加熱制御機構34Cが設けられている。
【0031】
複数のローラ対20は、搬送ベルト26に沿って、換言すれば、印刷媒体Mの搬送方向に沿って設けられている。図5の例では、ローラ対20Aは、印刷媒体Mの搬送方向においける上流側から下流側へ向かって、ローラ対A、ローラ対B、ローラ対Cの順番で配置されている。
【0032】
変形例に係る圧着装置16においては、搬送ベルト26が移動すると、印刷媒体Mは矢印ACの方向へ移動し、複数のローラ対20のニップ部28に順次挟み込まれる。すなわち、複数のローラ対20は、印刷媒体Mの圧着面に順次圧力を加えていく。それと共に、複数のローラ対20に設けられた各加熱制御機構34は、印刷媒体Mの圧着面に順次熱を加えていく。変形例に係る圧着装置16では、複数のローラ対20によって、印刷媒体Mの圧着面に順次圧力及び熱が加えられるため、1つのローラ対20によって印刷媒体Mの圧着面に圧力及び熱を加える場合に比して、より確実に圧着トナー面PS同士をより確実に圧着させることができる。
【0033】
ここで、印刷媒体Mの搬送方向において下流側に配置されたローラ対20は、当該ローラ対20よりも上流側に配置された他のローラ対20よりも大きい圧力を印刷媒体Mの圧着面に加えるとよい。圧着トナーPTには、大量の圧力応答性粒子PPが含まれているところ(図2参照)、強い圧力を1回加えただけでは、未反応(軟化しない)圧力応答性粒子PPが残ってしまう場合がある。特に、印刷媒体M上に形成された圧着トナーPTの表面側ではなく、内側にある圧力応答性粒子PPが未反応のまま残ってしまう場合がある。そこで、複数のローラ対20により徐々に強い圧力をかけることで、印刷媒体Mの変形又は破損が生じる可能性を低減させつつ、未反応の圧力応答性粒子PPの数を低減させ、すなわち、圧着トナーPTのより安定した(ばらつきの少ない)接着機能を発揮させることができる。
【0034】
具体的には、図5の例においては、加圧制御機構32Aが、ローラ対20Aが印刷媒体Mの圧力面に圧力Pを加えるように制御している場合、加圧制御機構32Bは、ローラ対20Bが印刷媒体Mの圧力面に加える圧力Pを、P<Pとなるように制御する。さらに、加圧制御機構32Cは、ローラ対20Cが印刷媒体Mの圧力面に加える圧力Pを、P<Pとなるように制御する。なお、圧着装置16が3つ以上のローラ対20を有する場合、印刷媒体Mの搬送方向における上流側から下流側へ向かって、各ローラ対20が印刷媒体Mに加える圧力は、必ずしも徐々に大きくする必要はない。例えば、上述の例において、ローラ対20Aが印刷媒体Mの圧力面に圧力Pと、ローラ対20Bが印刷媒体Mの圧力面に加える圧力Pが同じであってもよい。すなわち、P=P<Pであってもよい。あるいは、上述の例において、ローラ対20Bが印刷媒体Mの圧力面に圧力Pと、ローラ対20Cが印刷媒体Mの圧力面に加える圧力Pが同じであってもよい。すなわち、P<P=Pであってもよい。
【0035】
また、各ローラ対20の加熱制御機構34は、印刷媒体Mの搬送方向において下流側に配置されたローラ対20のニップ部28の加熱量を、当該ローラ対20よりも上流側に配置された他のローラ対20のニップ部28の加熱量よりも小さくするとよい。上述のように、印刷媒体Mを加熱すると、印刷媒体M上に形成された画像が劣化する場合がある。そこで、印刷媒体Mに加える熱を徐々に下げることで、圧着トナー面PS同士をより確実に圧着させつつも、印刷媒体M上に形成された画像の劣化を抑制することができる。
【0036】
具体的には、図5の例においては、加熱制御機構34Aが、ローラ対20Aのニップ部28Aに加熱量Hを加えるように制御している場合、加熱制御機構34Bは、ローラ対20Bのニップ部28Aに加える加熱量Hを、H>Hとなるように制御する。さらに、加熱制御機構34Cは、ローラ対20Cのニップ部28Cに加える加熱量Hを、H>Hとなるように制御する。なお、圧着装置16が3つ以上のローラ対20を有する場合、印刷媒体Mの搬送方向における上流側から下流側へ向かって、各ローラ対20のニップ部28に加えられる加熱量は、必ずしも徐々に小さくする必要はない。例えば、上述の例において、ローラ対20Aのニップ部28Aに加熱量Hと、ローラ対20Bのニップ部28Aに加える加熱量Hが同じであってもよい。すなわち、H=H>Hであってもよい。あるいは、上述の例において、ローラ対20Bのニップ部28Aに加える加熱量Hと、ローラ対20Cのニップ部28Cに加える加熱量Hが同じであってもよい。すなわち、H>H=Hであってもよい。
【0037】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0038】
上記実施形態において、プロセッサとは、広義的な処理装置を指し、汎用的な処理装置(例えばCPU(Central Processing Unit)など)、及び、専用の処理装置(例えばGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいは、プログラマブル論理デバイスなど)の少なくとも1つを含んで構成される。プロセッサとしては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。
【0039】
(付記)
(((1)))
圧着トナーが形成された印刷媒体の面である圧着トナー面同士を圧着させる圧着装置であって、
ニップ部に前記印刷媒体を挟み込むことで、前記印刷媒体の前記圧着トナー面同士が対向した圧着面に圧力を加えるローラ対と、
前記ニップ部を加熱する加熱制御機構と、
を備えることを特徴とする圧着装置。
(((2)))
前記印刷媒体の前記圧着面に順次圧力を加える複数の前記ローラ対とを備え、
前記加熱制御機構は、複数の前記ローラ対それぞれの前記ニップ部を加熱する、
ことを特徴とする(((1)))に記載の圧着装置。
(((3)))
前記印刷媒体の搬送方向において下流側に配置された前記ローラ対は、当該ローラ対よりも上流側に配置された他の前記ローラ対よりも大きい圧力を前記印刷媒体の前記圧着面に加える、
ことを特徴とする(((2)))に記載の圧着装置。
(((4)))
前記加熱制御機構は、前記印刷媒体の搬送方向において下流側に配置された前記ローラ対の前記ニップ部の加熱量を、当該ローラ対よりも上流側に配置された他の前記ローラ対の前記ニップ部の加熱量よりも小さくする、
ことを特徴とする(((2)))又は(((3)))に記載の圧着装置。
(((5)))
前記ローラ対が前記印刷媒体の前記圧着面に加える圧力を制御する加圧制御機構をさらに備え、
前記加熱制御機構は、前記ニップ部への加熱量を制御可能である、
ことを特徴とする(((1)))から(((4)))のいずれか1項に記載の圧着装置。
(((6)))
前記加圧制御機構は、前記加熱制御機構による前記ニップ部の加熱量が増大したことに応じて、前記ローラ対が前記印刷媒体の前記圧着面に加える圧力を減少させる、
ことを特徴とする(((5)))に記載の圧着装置。
(((7)))
前記加圧制御機構は、前記加熱制御機構による前記ニップ部の加熱量が減少したことに応じて、前記ローラ対が前記印刷媒体の前記圧着面に加える圧力を増大させる、
ことを特徴とする(((5)))に記載の圧着装置。
(((8)))
前記ローラ対の回転速度を制御する回転制御機構をさらに備える、
ことを特徴とする(((1)))から(((7)))のいずれか1項に記載の圧着装置。
【0040】
(((1)))に係る発明によれば、圧着トナー面同士を圧着させるための圧力を単に増大させる場合に比して、印刷媒体の変形又は破損が生じる可能性を低減させつつ、圧着トナー面同士をより確実に圧着させることができる。
(((2)))に係る発明によれば、単一のローラ対にて圧着面に圧力及び加熱を行う場合に比して、圧着トナー面同士をより確実に圧着させることができる。
(((3)))に係る発明によれば、複数のローラ対が圧着面に加える圧力を均一とした場合に比して、印刷媒体の変形又は破損が生じる可能性を低減させつつ、圧着トナー面同士をより確実に圧着させることができる。
(((4)))に係る発明によれば、複数のローラ対のニップ部に加える加熱量を均一とした場合に比して、圧着トナー面同士を圧着させつつ、印刷媒体に形成された画像の劣化を抑制することができる。
(((5)))に係る発明によれば、圧着面に所望の圧力をかけることができ、且つ、ローラ対のニップ部に所望の加熱量を加えることができる。
(((6)))又は(((7)))に係る発明によれば、ローラ対のニップ部に加えられた加熱量に応じた圧力を圧着面に加えることができる。
(((8)))に係る発明によれば、所望の時間、圧着面に対して圧力をかけることができる。
【符号の説明】
【0041】
10 圧着印刷物形成システム、12 画像形成装置、14 折り装置、16 圧着装置、20 ローラ対、22a,22b ローラ、24a,24b ローラ軸、26 搬送ベルト、28 ニップ部、30 回転制御機構、32 加圧制御機構、34 加熱制御機構、PT 圧着トナー、PP 圧力応答性粒子、M 印刷媒体、PS 圧着トナー面。
図1
図2
図3
図4
図5