(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150101
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】洗浄組成物、洗浄シートおよび洗浄シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
C11D 17/06 20060101AFI20241016BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20241016BHJP
C11D 7/50 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
C11D17/06
C11D7/26
C11D7/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063350
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100100413
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 温
(74)【代理人】
【識別番号】100107939
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 由美子
(74)【代理人】
【識別番号】100104684
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 武
(72)【発明者】
【氏名】池田 明優
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 博
【テーマコード(参考)】
4H003
【Fターム(参考)】
4H003BA19
4H003DA05
4H003DA11
4H003DB02
4H003DC02
4H003EA24
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB06
4H003ED28
4H003ED29
4H003FA04
(57)【要約】
【課題】汚れ等が付着した車両や自動車等のガラス表面等から油膜等の汚れを除去することができる洗浄組成物および洗浄シートを提供すること。
【解決手段】洗浄組成物は、少なくとも、グリコールエーテル及び/又はグリコール、研磨剤、および、多価アルコールを含有する。また、洗浄組成物は、洗浄液を乾燥させたものであることができる。本発明の洗浄シートは、少なくとも、グリコールエーテル及び/又はグリコール、研磨剤、および、多価アルコールを含有する洗浄組成物をシートに有するものである。この洗浄シートは、乾燥させた状態のものであることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、グリコールエーテル及び/又はグリコール、研磨剤、および、多価アルコールを含有することを特徴とする洗浄組成物。
【請求項2】
前記洗浄組成物を乾燥させたことを特徴とする請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の洗浄組成物を有することを特徴とする洗浄シート。
【請求項4】
前記洗浄シートを乾燥させたことを特徴とする請求項3に記載の洗浄シート。
【請求項5】
前記多価アルコールが、グリセリン、1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、および、ジエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項3に記載の洗浄シート。
【請求項6】
前記研磨剤が、アルミナ、酸化セリウム、および、酸化ジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項3に記載の洗浄シート。
【請求項7】
前記グリコールエーテルがグリコールエーテル類であり、前記グリコールがグリコール類であることを特徴とする請求項3に記載の洗浄シート。
【請求項8】
少なくとも、グリコールエーテル及び/又はグリコール、研磨剤、および、多価アルコールを含有する洗浄組成物を、シートに含浸させる工程と、その後、該シートを乾燥させる乾燥工程と、を有することを特徴とする洗浄シートの製造方法。
【請求項9】
前記乾燥工程が、温度70℃~150℃、時間3分~60分の範囲内で実施されることを特徴とする請求項8に記載の洗浄シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄組成物、洗浄シートおよび洗浄シートの製造方法に関し、特に、自動車、鉄道車両等のガラス等に対し、また、自動二輪車、自動車等のミラー等に対し、その表面を洗浄する洗浄組成物、洗浄シートおよび洗浄シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、鉄道車両等の窓ガラスや、自動車、オートバイ等のミラー等は、汚れが付着しやすく、油膜が付着していることも多い。また、自動車等の窓ガラスやミラー等には撥水剤やコーティング剤等を施工することもあり、この場合には、ガラスやミラー等に付着している古くなった撥水剤等を予め除去してから、新しい撥水剤等を施工する必要がある。また、ガラス等にコーティングを施工する場合には、その下地処理などのため、まず、ガラスやミラー等の表面を清浄にしておく清浄作業が欠かせない。
しかしながら、例えば、特許文献1には、自動車等における水垢などの汚れを除去するために、アルカリ成分、研磨剤、増粘剤、シリコーンオイルおよび/またはワックスパウダーを含んだ液体洗浄剤を布に含浸させた水垢クロスが開示されているが、撥水剤や油膜等の汚れを除去することはできない。また、特許文献2には、自動車やバイクなどの塗装面、ガラスや金属等の硬質表面の汚れを除去するため、研磨粒子、表面活性剤、ジオルガノポリシロキサンオイル、および、溶剤を含有する研磨粒子分散液を布に含浸させて乾燥させた研削型洗浄クロスが開示されているが、撥水剤や油膜等の汚れを除去することはできない。
【0003】
【特許文献1】特開2005-87487号公報
【特許文献2】特開2008-284102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題点に鑑み、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。すなわち本発明の目的は、撥水剤や油膜等汚れが付着した自動車、バイク等のミラー表面、自動車等のガラス表面等の対象物の表面から汚れを除去することができる洗浄組成物、洗浄シートと該洗浄シートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の洗浄組成物は、少なくとも、グリコールエーテル及び/又はグリコール、研磨剤、および、多価アルコールを含有することを特徴とする。
本発明においては、前記洗浄組成物は乾燥させた状態であることが好ましい。
本発明の洗浄シートは、少なくとも、グリコールエーテル及び/又はグリコール、研磨剤、および、多価アルコールを含有する洗浄組成物を有することを特徴とする。
本発明において、前記洗浄シートは乾燥させた状態であることが好ましい。
本発明においては、前記洗浄組成物を構成する多価アルコールが、グリセリン、1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、および、ジエチレングリコールからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
また、前記洗浄組成物を構成する研磨剤が、アルミナ、酸化セリウム、および、酸化ジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
本発明において、前記洗浄組成物を構成するグリコールエーテルが、グリコールエーテル類であり、グリコールがグリコール類であることが好ましい。
本発明の洗浄シートの製造方法は、少なくとも、グリコールエーテル及び/又はグリコール、研磨剤、および、多価アルコールを含有する洗浄組成物を、シートに含浸させる工程と、その後、該シートを乾燥させる乾燥工程とを有することを特徴とする。
ここで、前記乾燥工程は、温度70~150℃、時間3~60分の範囲内で実施されることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、油膜等の汚れが付着等したガラス表面、ミラー表面等を清浄にすることができる洗浄組成物、洗浄シート等を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の洗浄組成物は、少なくとも、グリコールエーテル及び/又はグリコール、研磨剤、および、多価アルコールを含有する。かかる洗浄組成物は液体状であり、本発明においては洗浄液と称すこともある。
【0008】
本発明に用いられる研磨剤としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、シリカ、カオリン、ケイ酸アルミニウム、ゼオライト、ベントナイト、タルク、モンモリロナイト、珪藻土、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、炭化ケイ素、酸化チタン、トリポリリン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、、および、これらの焼成物などが挙げられる。これら研磨剤は、1種類あるいは2種類以上で使用され、また、粒径の異なる研磨剤を2種類以上使用することができる。
【0009】
本発明に用いられる研磨剤は、その平均粒径が0.05~50μm、好ましくは、0.1~20μm、より好ましくは0.5~10μmのものが挙げられる。研磨剤の平均粒径が0.05~50μmの範囲内であると、汚れを効率良く擦り取ることができ、このようにして擦り取った汚れを、研磨剤の表面に吸着させて、汚れの再付着の防止を図ることができる。
本発明においては、異なる平均粒径の研磨剤を2種類以上使用することが好ましく、例えば、好ましくは、平均粒径0.05μm~50μmの研磨剤、更に好ましくは、平均粒径0.5μm~10μmの中から2種類以上を選択することが好ましい。
【0010】
研磨剤は、洗浄組成物(洗浄液)中において、好ましくは、10~60重量%、更に好ましくは、15~40重量%、特に好ましくは、20~25重量%となるように配合される。研磨剤の配合量が10~60重量%の範囲内であると、汚れを効率良く擦り取ることができ、このようにして擦り取った汚れを、研磨剤の表面に吸着させて、汚れの再付着の防止を図ることができる。
【0011】
本発明における洗浄組成物(洗浄液)は、グリコールエーテルおよび/またはグリコールを含有する。
グリコールエーテルとは、エチレングリコールやプロピレングリコールの片末端もしくは両末端のOH基がアルキルやアリール置換された化合物であり、本発明に使用されるグリコールエーテルとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル等のいわゆるグリコールエーテル類などが挙げられる。本発明においては、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が好ましく使用される。
【0012】
また、グリコールとは、2つ以上の炭素を有する脂肪族炭化水素、または、環式脂肪族炭化水素が持つ、2つの炭素原子に結合した水素が、1つずつヒドロキシ基に置換した構造をもった化合物であり、代表的なものとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のいわゆるグリコール類が挙げられる。本発明において好ましく使用されるグリコールとしては、プロピレングリコールが挙げられる。
【0013】
本発明において、グリコールエーテル及び/又はグリコールは、洗浄液100重量%中、1~40重量%の範囲で配合されることが好ましく、1~20重量%の範囲で配合されることが更に好ましく、3~10重量%の範囲で配合されることが特に好ましい。
【0014】
本発明における洗浄組成物(洗浄液)は、多価アルコールを含有することが好ましく、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどが挙げられる。本発明においては、多価アルコールとして、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオールなどが配合されることが好ましい。なお、多価アルコールは2種類以上を併用しても良い。本発明において、多価アルコールはバインダーとして機能し、研磨剤粒子を定着させる働きがある。
【0015】
本発明における洗浄組成物(洗浄液)は、溶媒を含有することができる。溶媒としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール、ブタノールなどが挙げられる。本発明においては、溶媒として、イソプロピルアルコールなどを使用することが好ましい。
【0016】
本発明においては、目的および用途等に応じて、公知のバインダーや添加剤等を適宜配合することができる。
【0017】
本発明における洗浄組成物(洗浄液)は、少なくとも、グリコールエーテル及び/又はグリコール、研磨剤、および、多価アルコールを、必要に応じて溶媒等を用いて混合することにより得られる。
【0018】
本発明においては、少なくとも、グリコールエーテル及び/又はグリコール、研磨剤、および、多価アルコールを含有する洗浄組成物(洗浄液)を乾燥させることが好ましい。このように乾燥させられた洗浄組成物は、ガラスやミラー表面等に付着した油膜等の汚れ除去に対し、非常に優れた洗浄効果を発揮することができる。また、乾燥状態であるので、持ち運びも便利であり、手軽に洗浄作業を行うことができる。
【0019】
本発明においては、洗浄組成物(洗浄液)をシートに含ませて洗浄シートとすることができる。ここでシートに洗浄液を含ませる方法としては、シートを洗浄液に含浸させて作製しても良いし、シートに洗浄液を吹き付けても良い。含浸方法としては、例えば、ディップ法、ディップロールコーター法、グラビアロールコーター法、スプレーコート法、リバースロールコーター法、ダイレクトロールコーター法、キスロールコーター法、インバースナイフコーター法、エアナイフコーター法、オポジットナイフコーター法、ハケ塗法等が挙げられる。
【0020】
シートとしては、不織布などが挙げられる。本発明に用いられる不織布等の繊維の材質としては、例えば、コットン、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、ポリ乳酸などが挙げられる。
また、シートの目付量は30g/m2以上であることが好ましく、更に好ましくは40~200g/m2であり、特に好ましくは150~200g/m2である。
本発明に用いられるシートは、厚さが0.1~5.0mmであることが好ましく、更に好ましくは0.5~2.0mmである。
【0021】
本発明においては、洗浄液を有する洗浄シートを乾燥させて、乾燥状態の洗浄シートとすることが好ましい。乾燥条件としては、洗浄シートに含浸した洗浄組成物(洗浄液)の液体が適度に蒸発するような条件であることが好ましく、例えば、乾燥温度が70~150℃であることが好ましく、更に好ましくは100~120℃である。また、乾燥時間は3~60分であることが好ましく、更に好ましくは、10~20分である。
乾燥状態の洗浄シートは、持ち運び、貯蔵に便利であり、自動車のガラスやミラー等の表面を洗浄したい時に手軽に取り出せ、直ぐに使用に供することができるという利点がある。しかも、乾燥状態の洗浄シートは、従来存在しなかったような非常に優れた洗浄効果を発揮することができる。
乾燥状態の洗浄シートの使用方法としては、洗浄対象物であるガラスやミラー等の表面に少量の水等を滴下してから洗浄シートを接触させて擦ることにより油膜等の汚れを除去することが好ましい。
【0022】
本発明の洗浄組成物は乾燥状態の洗浄組成物とすることができる。すなわち、本発明の液体状態の洗浄組成物(洗浄液)を乾燥させて、固体状態の洗浄組成物とすることができる。液体状態の洗浄組成物の使用方法として、例えば、スポンジ等に含浸させて、このスポンジでガラス等の表面を擦ることにより洗浄することができる。また、固体状態の洗浄組成物は、ガラス等の洗浄対象の表面に、水を滴下し、そこに洗浄組成物をのせ、その上をスポンジ等で擦ることにより洗浄することができる。
【0023】
本発明の洗浄組成物を用いれば、自動車、鉄道車両のガラスや、自動車、二輪車等のミラー表面に付着した油性汚れ等を、十分に除去することができる。また、本発明の洗浄シートを用いれば、自動車等のガラスやミラー等に付着した油膜等の汚れを、いつでも、どこでも、手軽に容易に、しかも十分に除去することができる。
【実施例0024】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0025】
(洗浄組成物の作製)
洗浄液1の作製:
2種類のアルミナを用意する。すなわち、平均粒径が2μmのアルミナ、平均粒径が1μmのアルミナを用意する。平均粒径が2μmのアルミナを15重量%、平均粒径が1μmのアルミナを10重量%、グリセリンを10重量%、プロピレングリコールを5重量%、および、イソプロピルアルコールを60重量%混合して、洗浄液1を作製した。
【0026】
洗浄液2の作製:
平均粒径が2μmのアルミナを15重量%、平均粒径が1μmのアルミナを10重量%、プロピレングリコールを5重量%、および、イソプロピルアルコールを70重量%混合して、洗浄液2を作製した。
【0027】
洗浄液3の作製:
平均粒径が2μmのアルミナを15重量%、平均粒径が1μmのアルミナを10重量%、グリセリンを10重量%、ジエチレングリコールジエチルエーテルを5重量%、および、イソプロピルアルコールを60重量%混合して、洗浄液3を作製した。
【0028】
洗浄液4の作製:
平均粒径が2μmのアルミナを15重量%、平均粒径が1μmのアルミナを10重量%、ジエチレングリコールジエチルエーテルを5重量%、および、イソプロピルアルコールを70重量%混合して、洗浄液4を作製した。
【0029】
洗浄液5の作製:
平均粒径が2μmのアルミナを15重量%、平均粒径が1μmのアルミナを10重量%、グリセリンを10重量%、および、イソプロピルアルコールを65重量%混合して、洗浄液5を作製した。
【0030】
洗浄液6の作製:
平均粒径が2μmのアルミナを15重量%、平均粒径が1μmのアルミナを10重量%、および、イソプロピルアルコールを75重量%混合して、洗浄液6を作製した。
【0031】
実施例1
試験対象の材料として、ガラス板の表面を研磨した後、ガラス表面に油膜を形成するため、油膜形成用の液体(フッ素系撥水剤、株式会社カーメイト製 品番C112)を、研磨したガラス表面に施工、養生させ、試験対象としてのガラス板を作製した。得られたガラス板の試験対象表面の接触角を測定した。なお、実施例における接触角の測定は、すべて下記に記載する方法で行った。
得られた洗浄液1の0.69gを、0.33gのスパンボンド不織布(ESE-545、三井化学株式会社製:目付量140g/m2、厚さ1.9mm、通気量155cc/cm2/sec)に含浸させた後、95℃で15分間乾燥させて乾燥状態の洗浄シート1を作製した。得られた洗浄シート1を、スポンジ(大きさ2cm×5cm)に巻回したものを作製した。
このスポンジに巻回した洗浄シート1を、試験対象のガラス板表面に0.5gの水を滴下した後、接触するように載置し、洗浄シート1の上から、2kgの荷重がかかるように力を加えて、試験対象表面を所定回数擦った。擦る回数が20往復となった時点で、試験対象表面の接触角を測定した。また、同様にして、40往復擦った時点で接触角を測定し、60往復擦った時点で接触角を測定した。その結果を表1に示す。
【0032】
実施例2
実施例1において、洗浄液1を洗浄液2に変更し、洗浄液2の1.02gを、0.33gのスパンボンド不織布(ESE-545)に含浸させた後、実施例1と同様にして、95℃で15分間乾燥させて乾燥状態の洗浄シート2を作製した。実施例1と同様にして、洗浄シート2をスポンジに巻回したものを作製した。
実施例1と同様にして、油膜形成用の液体(C112)を、研磨したガラス表面に施工、養生させ、試験対象としてのガラス板を作製し、ガラス板の試験対象表面の接触角を測定した。
作製したスポンジに巻回した洗浄シート2を、試験対象のガラス板表面に0.5gの水を滴下した後、接触するように載置し、洗浄シート2の上から、2kgの荷重がかかるように力を加えて、試験対象表面を実施例1と同様にして所定回数擦った。すなわち、20往復擦った時点で接触角を測定し、40往復擦った時点で接触角を測定し、60往復擦った時点で接触角を測定した。その結果を表1に示す。
【0033】
実施例3
実施例1において、洗浄液1を洗浄液3に変更し、洗浄液3の0.67gを、0.33gのスパンボンド不織布(ESE-545)に含浸させた後、実施例1と同様にして、95℃で15分間乾燥させて乾燥状態の洗浄シート3を作製した。実施例1と同様にして、得られた洗浄シート3をスポンジに巻回したものを作製した。
実施例1と同様にして、油膜形成用の液体(C112)を、研磨したガラス表面に施工、養生させ、試験対象としてのガラス板を作製し、ガラス板の試験対象表面の接触角を測定した。
スポンジに巻回した洗浄シート3を、試験対象のガラス板表面に0.5gの水を滴下した後、接触するように載置し、洗浄シート3の上から、2kgの荷重がかかるように力を加えて、実施例1と同様にして、試験対象表面を所定回数擦った。擦る回数が20往復となった時点で、試験対象表面の接触角を測定した。また、同様にして、40往復擦った時点で接触角を測定し、60往復擦った時点で接触角を測定した。その結果を表1に示す。
【0034】
実施例4
実施例1において、洗浄液1を洗浄液4に変更し、洗浄液4の1.02gを、0.33gのスパンボンド不織布(ESE-545)に含浸させた後、実施例1と同様にして、95℃で15分間乾燥させて乾燥状態の洗浄シート4を作製した。実施例1と同様にして、得られた洗浄シート4をスポンジに巻回したものを作製した。
実施例1と同様にして、油膜形成用の液体(C112)を、研磨したガラス表面に施工、養生させ、試験対象としてのガラス板を作製し、ガラス板の試験対象表面の接触角を測定した。
スポンジに巻回した洗浄シート4を、試験対象のガラス板表面に0.5gの水を滴下した後、接触するように載置し、洗浄シート4の上から、2kgの荷重がかかるように力を加えて、実施例1と同様にして、試験対象表面を所定回数擦った。擦る回数が20往復となった時点で、試験対象表面の接触角を測定した。また、同様にして、40往復擦った時点で接触角を測定し、60往復擦った時点で接触角を測定した。その結果を表1に示す。
【0035】
比較例1
実施例1において、洗浄液1を洗浄液5に変更し、洗浄液5の0.72gを、0.33gのスパンボンド不織布(ESE-545)に含浸させた後、実施例1と同様にして、95℃で15分間乾燥させて洗浄シート5を作製した。実施例1と同様にして、得られた洗浄シート5をスポンジに巻回したものを作製した。
実施例1と同様にして、油膜形成用の液体(C112)を、研磨したガラス表面に施工、養生させ、試験対象としてのガラス板を作製し、ガラス板の試験対象表面の接触角を測定した。
スポンジに巻回した洗浄シート5を、試験対象のガラス板表面に0.5gの水を滴下した後、接触するように載置し、洗浄シート5の上から、2kgの荷重がかかるように力を加えて、実施例1と同様にして、試験対象表面を所定回数擦った。また、同様にして、20往復擦った時点で接触角を測定し、40往復擦った時点で接触角を測定し、60往復擦った時点で接触角を測定した。その結果を表1に示す。
【0036】
比較例2
実施例1において、洗浄液1を洗浄液6に変更し、洗浄液6の0.98gを、0.33gのスパンボンド不織布(ESE-545)に含浸させた後、実施例1と同様にして、95℃で15分間乾燥させて洗浄シート6を作製した。得られた乾燥状態の洗浄シート6を、上記と同様のスポンジに巻回したものを作製した。
実施例1と同様にして、油膜形成用の液体(C112)を研磨したガラス表面に施工、養生させ、試験対象としてのガラス板を作製し、ガラス板の試験対象表面の接触角を測定した。
スポンジに巻回した洗浄シート6を、試験対象のガラス板表面に0.5gの水を滴下した後、接触するように載置し、洗浄シート6の上から、2kgの荷重がかかるように力を加えて、実施例1と同様にして、試験対象表面を所定回数擦った。擦る回数が20往復となった時点で、試験対象表面の接触角を測定した。擦る回数が20往復となった時点で、試験対象表面の接触角を測定した。また、同様にして、40往復擦った時点で接触角を測定し、60往復擦った時点で接触角を測定した。その結果を表1に示す。
【0037】
接触角の測定:
試験対象の表面の任意の3点について、協和界面科学株式会社製の測定機(型式 CA-DT)を用いて接触角を測定し、その平均値を求めた。
【0038】
実施例5
シャーレに洗浄液2を20g入れ、70℃の恒温槽で一晩加熱して、乾燥状態の洗浄組成物1を作製した。
実施例1と同様にして、試験対象の材料として、ガラス板の表面を研磨した後、ガラス表面に油膜を形成するため、油膜形成用の液体(C112)を、研磨したガラス表面に施工、養生させ、試験対象としてのガラス板を作製した。得られたガラス板の試験対象表面の接触角を測定した。
得られた洗浄組成物1の0.1gを、試験対象であるガラス板の表面に乗せ、その上に0.5gの水を滴下し、実施例1と同様のスポンジ(大きさ2cm×5cm)を、試験対象であるガラス板の表面に、このスポンジが接触するように載置し、スポンジの上から、2kgの荷重がかかるように力を加えて、試験対象表面を擦った。擦る回数が20往復となった時点で、試験対象表面の接触角を測定した。また、同様にして、40往復擦った時点でも接触角を測定し、60往復擦った時点でも接触角を測定した。その結果を表2に示す。
【0039】
実施例6
実施例5において、洗浄液2を洗浄液4に変更した以外は実施例5と同様にして、乾燥状態の洗浄組成物2を作製した。
実施例1と同様にして、試験対象の材料として、ガラス板の表面を研磨した後、ガラス表面に油膜を形成するため、油膜形成用の液体(C112)を、研磨したガラス表面に施工、養生させ、試験対象としてのガラス板を作製した。得られたガラス板の試験対象表面の接触角を測定した。
得られた洗浄組成物2の0.1gを、試験対象であるガラス板の表面に乗せ、その上に0.5gの水を滴下し、実施例1と同様のスポンジ(大きさ2cm×5cm)を、試験対象であるガラス板の表面に、このスポンジが接触するように載置し、スポンジの上から、2kgの荷重がかかるように力を加えて、試験対象表面を擦った。擦る回数が20往復となった時点で、試験対象表面の接触角を測定した。また、同様にして、40往復擦った時点でも接触角を測定し、60往復擦った時点でも接触角を測定した。その結果を表2に示す。
【0040】
比較例3
実施例5において、洗浄液2を洗浄液6に変更した以外は実施例5と同様にして、乾燥状態の洗浄組成物3を作製した。
実施例1と同様にして、試験対象の材料として、ガラス板の表面を研磨した後、ガラス表面に油膜を形成するため、油膜形成用の液体(C112)を、研磨したガラス表面に施工、養生させ、試験対象としてのガラス板を作製した。得られたガラス板の試験対象表面の接触角を測定した。
得られた洗浄組成物3の0.1gを、試験対象であるガラス板の表面に乗せ、その上に0.5gの水を滴下し、実施例1と同様のスポンジ(大きさ2cm×5cm)を、試験対象であるガラス板の表面に、このスポンジが接触するように載置し、スポンジの上から、2kgの荷重がかかるように力を加えて、試験対象表面を擦った。擦る回数が20往復となった時点で、試験対象表面の接触角を測定した。また、同様にして、40往復擦った時点でも接触角を測定し、60往復擦った時点でも接触角を測定した。その結果を表2に示す。
【0041】
実施例7
試験対象の材料として、実施例1と同様にして、ガラス板の表面を研磨した後、ガラス表面に油膜を形成するため、油膜形成用の液体(C112)を、研磨したガラス表面に施工、養生させ、試験対象としてのガラス板を作製した。得られたガラス板の試験対象表面の接触角を測定した。
得られた洗浄液1の0.5gを、スポンジ(大きさ2cm×5cm)に含浸させ、試験対象であるガラス板の表面に、このスポンジを接触するように載置し、スポンジの上から、2kgの荷重がかかるように力を加えて、試験対象表面を擦った。擦る回数が10往復となった時点で、試験対象表面の接触角を測定した。また、同様にして、20往復擦った時点でも接触角を測定し、30往復擦った時点でも接触角を測定した。その結果を表3に示す。
【0042】
実施例8
試験対象の材料として、実施例1と同様にして、ガラス板の表面を研磨した後、ガラス表面に油膜を形成するため、油膜形成用の液体(C112)を、研磨したガラス表面に施工、養生させ、試験対象としてのガラス板を作製した。得られたガラス板の試験対象表面の接触角を測定した。
実施例7において、洗浄液1を洗浄液2に変更した以外は実施例7と同様にして、洗浄液2をスポンジに含浸させて試験を行った。すなわち、洗浄液2の0.5gを、スポンジに含浸させ、試験対象のガラス板の試験対象表面に、このスポンジを接触するように載置し、スポンジの上から、2kgの荷重がかかるように力を加えて、試験対象表面を擦った。擦る回数が10往復となった時点で、試験対象表面の接触角を測定し、20往復擦った時点でも接触角を測定し、30往復擦った時点でも接触角を測定した。その結果を表3に示す。
【0043】
実施例9
試験対象の材料として、実施例1と同様にして、ガラス板の表面を研磨した後、ガラス表面に油膜を形成するため、油膜形成用の液体(C112)を、研磨したガラス表面に施工、養生させ、試験対象としてのガラス板を作製した。得られたガラス板の試験対象表面の接触角を測定した。
実施例7において、洗浄液1を洗浄液3に変更した以外は実施例7と同様にして、洗浄液3をスポンジに含浸させて試験を行った。すなわち、洗浄液3の0.5gを、スポンジに含浸させ、試験対象のガラス板の試験対象表面に、このスポンジを接触するように載置し、スポンジの上から、2kgの荷重がかかるように力を加えて、試験対象表面を擦った。擦る回数が10往復となった時点で、試験対象表面の接触角を測定し、20往復擦った時点でも接触角を測定し、30往復擦った時点でも接触角を測定した。その結果を表3に示す。
【0044】
実施例10
試験対象の材料として、実施例1と同様にして、ガラス板の表面を研磨した後、ガラス表面に油膜を形成するため、油膜形成用の液体(C112)を、研磨したガラス表面に施工、養生させ、試験対象としてのガラス板を作製した。得られたガラス板の試験対象表面の接触角を測定した。
実施例7において、洗浄液1を洗浄液4に変更した以外は実施例7と同様にして、洗浄液4をスポンジに含浸させて試験を行った。すなわち、洗浄液4の0.5gを、スポンジに含浸させ、試験対象のガラス板の試験対象表面に、このスポンジを接触するように載置し、スポンジの上から、2kgの荷重がかかるように力を加えて、試験対象表面を擦った。擦る回数が10往復となった時点で、試験対象表面の接触角を測定し、20往復擦った時点でも接触角を測定し、30往復擦った時点でも接触角を測定した。その結果を表3に示す。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
表1から、実施例1~4の洗浄シートは、比較例1~2の洗浄シートよりもガラス表面の油膜等の汚れ除去効果に優れていることが分かった。すなわち、本発明の研磨剤、イソプロピルアルコールに、グリコールエーテル又はグリコールを含有する洗浄液1~4をシートに含浸させて乾燥させた洗浄シート1~4は、比較用の洗浄液5、6をシートに含浸させて乾燥させた洗浄シート5~6よりも、20往復擦った時点でも、洗浄効果が現れ、40往復、60往復擦った段階では顕著に洗浄効果に差がつくことが分かった。
なお、通常、乾燥した状態の洗浄シートでは、研磨剤等が剥がれ落ちてしまい、優れた洗浄効果を発揮できないことが多いが、本発明の洗浄シートであれば、乾燥した状態の洗浄シートであっても研磨剤が良好に残存しており、優れた洗浄効果を発揮することが分かった。
【0049】
表2から、洗浄液2および洗浄液4を乾燥させた実施例5および実施例6の洗浄組成物は、比較用の洗浄液6を乾燥させた比較例3の洗浄組成物よりも洗浄効果に優れていることが分かった。特に、グリコールエーテルを含有する洗浄液を乾燥させた実施例6は、非常に優れた洗浄効果を発揮し、プロピレングリコールを含有する洗浄液を乾燥させた実施例5よりも優れた洗浄効果を発揮するものであることが分かった。このことから、グリコールエーテルを含有する洗浄液の乾燥状態の洗浄組成物は、研磨剤の粒子自体に何等かの影響が付与されているものと推定される。
【0050】
表3から、洗浄液1~4の液体状態の本発明の洗浄組成物は、ガラス表面に付着した油膜等の汚れに対し、優れた洗浄効果を有するものであることが分かった。