(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150102
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】丸形ブローボトル
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
B65D1/02 232
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063351
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】今井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】浅田 太一
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA14
3E033BA17
3E033BA18
3E033BB08
3E033CA16
3E033DA03
3E033DA04
3E033DB01
3E033DD02
3E033DD03
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】接地部の肉厚を周方向の全長にわたって均等にする。
【解決手段】口部、肩部、胴部13、および底部14が、ボトル軸O方向に沿って上方から下方に向けてこの順に連設されるとともに、合成樹脂材料で有底円筒状に形成された丸形ブローボトルであって、底部の底壁部は、外周縁部に位置する接地部18と、接地部より径方向の内側に位置し、上方に向けて窪む有頂筒状の陥没部19と、を備え、陥没部の周壁部21は、上方に向かうに従い径方向の内側に向けて延び、陥没部の周壁部は、接地部に連なる下部22と、陥没部の頂壁部に連なる上部23と、を備え、下部は、上下方向に沿う縦断面視で径方向の外側に向けて窪む曲線状を呈し、下部と上部との連結部分に、径方向の内側に向けて突の段部24が形成され、段部は、周方向の全長にわたって連続して延びている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、肩部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に連設されるとともに、合成樹脂材料で有底円筒状に形成された丸形ブローボトルであって、
前記底部の底壁部は、
外周縁部に位置する接地部と、
前記接地部より径方向の内側に位置し、上方に向けて窪む有頂筒状の陥没部と、を備え、
前記陥没部の周壁部は、上方に向かうに従い径方向の内側に向けて延び、
前記陥没部の周壁部は、前記接地部に連なる下部と、前記陥没部の頂壁部に連なる上部と、を備え、
前記下部は、上下方向に沿う縦断面視で径方向の外側に向けて窪む曲線状を呈し、
前記下部と前記上部との連結部分に、径方向の内側に向けて突の段部が形成され、
前記段部は、周方向の全長にわたって連続して延びている、丸形ブローボトル。
【請求項2】
前記上部は、上下方向に沿う縦断面視で直線状を呈する、請求項1に記載の丸形ブローボトル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丸形ブローボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、合成樹脂材料で有底円筒状に形成された丸形ボトルとして、例えば下記特許文献1に示されるように、底部の底壁部が、外周縁部に位置する接地部と、接地部より径方向の内側に位置し、上方に向けて窪む有頂筒状の陥没部と、を備えた構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の丸形ブローボトルでは、ブロー成形時に、キャビティ内面のうち、接地部を成形する部分で樹脂材料の流動抵抗が高くなり、いわゆる肉溜りが生じ、接地部を境に肉厚差が生じるおそれがある。この場合、接地部の肉厚を周方向の全長にわたって均等にすることが困難になり、内容物の充填時に、接地部の変形量が、周方向の全長にわたって均等になりにくく、接地安定性を確保することが困難になるおそれが考えられる。
特に、丸形ブローボトルの軽量化を図ると、内容物の充填時に接地部の変形量が大きくなることから、この問題が顕在化するおそれがある。
【0005】
本発明は、接地部の肉厚を周方向の全長にわたって均等にすることができる丸形ブローボトルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る丸形ブローボトルは、口部、肩部、胴部、および底部が、ボトル軸方向に沿って上方から下方に向けてこの順に連設されるとともに、合成樹脂材料で有底円筒状に形成された丸形ブローボトルであって、前記底部の底壁部は、外周縁部に位置する接地部と、前記接地部より径方向の内側に位置し、上方に向けて窪む有頂筒状の陥没部と、を備え、前記陥没部の周壁部は、上方に向かうに従い径方向の内側に向けて延び、前記陥没部の周壁部は、前記接地部に連なる下部と、前記陥没部の頂壁部に連なる上部と、を備え、前記下部は、上下方向に沿う縦断面視で径方向の外側に向けて窪む曲線状を呈し、前記下部と前記上部との連結部分に、径方向の内側に向けて突の段部が形成され、前記段部は、周方向の全長にわたって連続して延びている。
【0007】
陥没部の周壁部において、下部と上部との連結部分に、径方向の内側に向けて突の段部が形成され、段部が、周方向の全長にわたって連続して延びているので、ブロー成形時に、キャビティ内面のうち、接地部を成形する部分より径方向の内側に位置し、かつ段部を成形する部分で樹脂材料の流動抵抗を高めて、いわゆる肉溜りが生じさせることができる。これにより、ブロー成形時に、樹脂材料が、キャビティ内面のうち、接地部を成形する部分に到達するまでの間に充分に延伸されることとなり、接地部を境に肉厚差を生じにくくすることが可能になり、接地部の肉厚を、周方向の全長にわたって均等にしやすくすることができる。
なお、ブロー成形時に、樹脂材料を、キャビティ内面のうち、接地部を成形する部分に到達させるまでの間に充分に延伸させるために、段部を設けるのに代えて、陥没部の頂壁部の直径や接地部の幅(径方向の大きさ)を大きくすると、内容物の充填時に、陥没部の頂壁部や接地部に、丸形ブローボトルの外側に向けて膨出する、いわゆる底落ちが生じやすくなる。また、陥没部の頂壁部の直径を大きくすると、例えば、陥没部の周壁部や接地部が薄くなり過ぎて破れる等の成形不良が生ずるおそれもある。
以上より、内容物の充填時に底落ちが生じやすくなるのを抑えつつ、接地部の肉厚を周方向の全長にわたって均等にすることができる。
【0008】
前記上部は、上下方向に沿う縦断面視で直線状を呈してもよい。
【0009】
陥没部の周壁部の上部が、上下方向に沿う縦断面視で直線状を呈するので、ブロー成形時に、キャビティ内面のうち、段部を成形する部分より径方向の内側に位置し、かつ陥没部の周壁部の上部を成形する部分では樹脂材料の流動抵抗を確実に低く抑えることが可能になり、接地部の肉厚を周方向の全長にわたって均等にすることができる丸形ブローボトルを容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、接地部の肉厚を周方向の全長にわたって均等にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態として示した丸形ブローボトルの側面図である。
【
図2】
図1に示す丸形ブローボトルの底部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るボトルを説明する。
本実施形態に係る丸形ブローボトル1は、
図1に示されるように、口部11、肩部12、胴部13および底部14を備え、これら11~14が、それぞれの中心軸線を共通軸上に位置させた状態で、この順に連設された概略構成となっている。
【0013】
以下、前記共通軸をボトル軸Oといい、ボトル軸Oに沿う口部11側を上側といい、ボトル軸Oに沿う底部14側を下側といい、ボトル軸Oに沿う方向を上下方向といい、また、上下方向から見てボトル軸Oに交差する方向を径方向といい、上下方向から見てボトル軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0014】
丸形ブローボトル1は、ブロー成形されて合成樹脂材料により有底円筒状に形成されている。丸形ブローボトル1は、例えば射出成形により有底筒状に形成されたプリフォームに基いて形成される。
丸形ブローボトル1は、例えば、高温(例えば約40℃~95℃)の内容物が充填された状態で、ヘッドスペースに不活性ガスが吹き込まれて、ヘッドスペースの空気が不活性ガスに入れ替えられた後に、口部11内が封止されて用いられる。
【0015】
口部11、肩部12、胴部13および底部14は、ボトル軸Oに直交する横断面視形状が円形状となっている。
口部11には、図示しないキャップが装着される。
肩部12は、下方に向かうに従い径方向の外側に向けて延びている。肩部12の下端部は、上下方向に沿う縦断面視で径方向の外側に向けて突の曲線状を呈する。肩部12のうち、下端部より上方に位置する部分は、前記縦断面視で直線状を呈する。肩部12のうち、下端部の上下方向の大きさは、下端部より上方に位置する部分の上下方向の大きさより小さくなっている。
胴部13は、上下方向に真直ぐ延びている。
【0016】
底部14は、上端開口部が胴部13の下端開口部に接続された筒状のヒール部17と、ヒール部17の下端開口部を閉塞し、かつ外周縁部が接地部18とされた底壁部と、を備えるカップ状に形成されている。
【0017】
ヒール部17は、下方に向かうに従い径方向の内側に向けて延びている。ヒール部17の上端部が、底部14において最も外径が大きい部分となっている。
底部14の外径の最大値は30mm以上130mm以下とされ、底部14の重量は2.0g以上20g以下とされている。底部14の重量と、底部14の外径の最大値と、の比率は、0.06g/mm以上0.20g/mm以下としてもよい。
接地部18は、径方向の幅を有し、周方向の全長にわたって連続して延びる環状に形成されている。接地部18の径方向の幅は、接地部18の内周縁における直径(図示の例では50mm)の15%以下となっている。なお、接地部18は、径方向の幅を実質的に有しない線状に形成されてもよい。
【0018】
底壁部において、接地部18より径方向の内側に位置する部分に、上方に向けて窪む陥没部19が形成されている。陥没部19は、頂壁部20および周壁部21を有する有頂筒状に形成され、ボトル軸Oと同軸に配設されている。
【0019】
頂壁部20は、表裏面が上下方向を向く円板状に形成されている。頂壁部20は、ヒール部17の上端部より上方に位置している。頂壁部20の直径(図示の例では16mm)は、接地部18の内周縁における直径の50%以下となっている。
周壁部21は、上方に向かうに従い径方向の内側に向けて延びている。
図2に示されるように、周壁部21は、接地部18に連なる下部22と、頂壁部20に連なる上部23と、を備えている。下部22および上部23それぞれの上下方向の大きさは、互いに同等になっている。
【0020】
下部22は、上下方向に沿う縦断面視で径方向の外側に向けて窪む曲線状を呈する。下部22は、接地部18に、前記縦断面視で径方向の内側に向けて突の曲線状を呈する下接続部25を介して連なっている。前記縦断面視において、下部22のうち、下接続部25に連なる下側部分の曲率半径は、後述する段部24に連なる上側部分の曲率半径より小さくなっている。
【0021】
下部22と上部23との連結部分に、径方向の内側に向けて突の段部24が形成されている。段部24は、周壁部21における上下方向の中央部に設けられている。段部24は、周方向の全長にわたって連続して延びている。段部24は、前記縦断面視で径方向の内側に向けて突の曲線状を呈する。段部24は、径方向の内側を向く斜め下方に向けて張り出している。前記縦断面視において、段部24の曲率半径は、下部22の下側部分の曲率半径より小さくなっている。
【0022】
段部24の頂部は、前記縦断面視において、接地部18の内周縁と、頂壁部20の外周縁と、を結ぶ直線より径方向の内側に位置している。段部24の頂部における直径(内径)は、接地部18の内周縁における直径の30%以上70%以下となっている。図示の例では、段部24の頂部における直径は30mmとなっている。接地部18から段部24の頂部までの上下方向の距離は、接地部18から頂壁部20までの上下方向の距離の30%以上70%以下(図示の例では47%)となっている。
【0023】
上部23は、上下方向に沿う縦断面視で直線状を呈する。上部23は、頂壁部20に、前記縦断面視で径方向の外側に向けて窪む曲線状を呈する上接続部26を介して連なっている。
なお、上部23は、前記縦断面視において、径方向の外側に向けて突の曲線状を呈してもよいし、径方向の内側に向けて突の曲線状を呈してもよい。
【0024】
以上説明したように、本実施形態による丸形ブローボトル1によれば、陥没部19の周壁部21において、下部22と上部23との連結部分に、径方向の内側に向けて突の段部24が形成され、段部24が、周方向の全長にわたって連続して延びているので、ブロー成形時に、キャビティ内面のうち、接地部18を成形する部分より径方向の内側に位置し、かつ段部24を成形する部分で樹脂材料の流動抵抗を高めて、いわゆる肉溜りが生じさせることができる。これにより、ブロー成形時に、樹脂材料が、キャビティ内面のうち、接地部18を成形する部分に到達するまでの間に充分に延伸されることとなり、接地部18を境に肉厚差を生じにくくすることが可能になり、接地部18の肉厚を、周方向の全長にわたって均等にしやすくすることができる。
なお、ブロー成形時に、樹脂材料を、キャビティ内面のうち、接地部18を成形する部分に到達させるまでの間に充分に延伸させるために、段部24を設けるのに代えて、陥没部19の頂壁部20の直径や接地部18の幅(径方向の大きさ)を大きくすると、内容物の充填時に、陥没部19の頂壁部20や接地部18に、丸形ブローボトル1の外側に向けて膨出する、いわゆる底落ちが生じやすくなる。また、陥没部19の頂壁部20の直径を大きくすると、例えば、陥没部19の周壁部21や接地部18が薄くなり過ぎて破れる等の成形不良が生ずるおそれもある。
以上より、内容物の充填時に底落ちが生じやすくなるのを抑えつつ、接地部18の肉厚を周方向の全長にわたって均等にすることができる。
【0025】
陥没部19の周壁部21の上部23が、上下方向に沿う縦断面視で直線状を呈するので、ブロー成形時に、キャビティ内面のうち、段部24を成形する部分より径方向の内側に位置し、かつ陥没部19の周壁部21の上部23を成形する部分では樹脂材料の流動抵抗を確実に低く抑えることが可能になり、接地部18の肉厚を周方向の全長にわたって均等にすることができる丸形ブローボトル1を容易に形成することができる。
【0026】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0027】
丸形ブローボトル1を形成する合成樹脂材料は、例えばポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレンナフタレート、非晶性ポリエステル、ポリオレフィン等、またはこれらのブレンド材料等、適宜変更してもよい。
丸形ブローボトル1は、単層構造体に限らず中間層を有する積層構造体としてもよい。この中間層としては、例えばガスバリア性を有する樹脂材料からなる層、再生材からなる層、若しくは酸素吸収性を有する樹脂材料からなる層等が挙げられる。
【0028】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 丸形ブローボトル
11 口部
12 肩部
13 胴部
14 底部
18 接地部
19 陥没部
20 頂壁部
21 周壁部
22 下部
23 上部
24 段部
O ボトル軸