(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150104
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241016BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20241016BHJP
G01N 21/88 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01N21/64 Z
G01N21/88 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063355
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】523133063
【氏名又は名称】株式会社ケイウェアシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100171848
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 裕美
(72)【発明者】
【氏名】木村 一彦
【テーマコード(参考)】
2G043
2G051
4M106
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043CA05
2G043DA06
2G043EA01
2G043EA14
2G043FA01
2G043HA01
2G043HA07
2G043HA09
2G043JA03
2G043KA03
2G043KA09
2G043LA03
2G051AA51
2G051AB07
2G051BA05
2G051BA10
2G051CA04
2G051CB01
2G051CB05
2G051CC12
2G051EC01
4M106AA01
4M106BA05
4M106CA18
4M106CA38
4M106DB04
4M106DB08
4M106DB16
4M106DH32
4M106DH39
(57)【要約】
【課題】 高精度の反射画像等を得ること。
【解決手段】検査装置100は、照明レーザ光源装置11を含む照明装置10aと、反射センサ23を含む反射観察装置10bとを有する表面欠陥検出系10と、励起レーザ光源装置31を含むUV照射装置50aと、蛍光センサ45,46,47を含む蛍光観察装置50bとを有するフォトルミネッセンス検出系30とを備え、照明レーザ光源装置11による対象OBへの照明光I1の照射と、励起レーザ光源装置31による対象OBへの励起光E1の照射とを共通光路で行いつつ、反射観察装置10bによって計測光I2を取得し、蛍光観察装置50bによって蛍光P1,P2,P3を取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明レーザ光源装置を含む照明装置と、反射センサを含む反射観察装置とを有する表面欠陥検出系と、
励起レーザ光源装置を含むUV照射装置と、蛍光センサを含む蛍光観察装置とを有するフォトルミネッセンス検出系とを備え、
前記照明レーザ光源装置による対象への照明光の照射と、前記励起レーザ光源装置による前記対象への励起光の照射とを行いつつ、前記反射観察装置によって計測光を取得し、蛍光観察装置によって蛍光を取得する、検査装置。
【請求項2】
前記照明レーザ光源装置による照明光の照射と、前記励起レーザ光源装置による励起光の照射とを並行して行う共通光路型光学系を含む、請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記表面欠陥検出系において、前記照明装置と前記反射観察装置とは、共焦点光学系である、請求項1に記載の検査装置。
【請求項4】
前記表面欠陥検出系は、マルチビーム型の光学系であり、複数のラインセンサによって得た画像を合成する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項5】
斜入射光源装置を含む斜入射装置と、暗視野センサを含む暗視野観察装置と表面粗さ検出系をさらに備え、
前記斜入射装置及び前記表面粗さ検出系は、前記表面欠陥検出系及び前記フォトルミネッセンス検出系とともに共通光路型光学系の要素を構成する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項6】
前記照明装置と前記反射観察装置と前記UV照射装置と前記蛍光観察装置と前記斜入射装置と前記暗視野観察装置とは、前記共通光路型光学系の要素として共用の対物レンズを有する、請求項5に記載の検査装置。
【請求項7】
前記フォトルミネッセンス検出系は、複数波長の励起光で前記対象を照明する、請求項1に記載の検査装置。
【請求項8】
前記フォトルミネッセンス検出系は、近紫外波長域、及び前記近紫外波長域よりも長波長の長波長域を含む複数波長域で前記対象からの蛍光を計測する、請求項1に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化珪素基板に代表される化合物半導体基板やその他の半導体基板に存在する欠陥を検出する検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
SiC基板等を用いた半導体デバイスの製造工程において、製造上の歩留りを改良するためには、SiC基板に存在する欠陥を検出することが重要である。SiC基板に向けて照明ビームを投射し、SiC基板から出射した反射光及びフォトルミネッセンス光を分離して検出し、反射画像及びフォトルミネッセンス画像を形成し、反射画像及びフォトルミネッセンス画像から欠陥像を検出し、欠陥を分類することが公知となっている(特許文献1及び2)。
【0003】
特許文献1及び2の装置では、単一波長の照明ビームから反射画像及びフォトルミネッセンス画像を得ており、反射画像を得るためのセンサや結像光学系を自由に選択し構成することができず、高精度の反射画像を得ることは容易でない。
【0004】
特許文献1及び2の装置では、スリットを透過させた単一波長の紫外線照明ビームから反射画像及びフォトルミネッセンス画像を得ているが、狭いスリットを透過した光の強度は弱いため、検出に必要な十分な光量の蛍光を発生させることが困難であり、高精度の反射画像を得ることは容易でない。また、反射計測用照明光の波長を紫外線とした場合、紫外域での画像センサの量子効率は低くて受光感度は小さいため、この点でも、S/N比の優れた反射画像を得ることは容易でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5633099号公報
【特許文献2】特許第5713419号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、高精度の反射画像等を高速に得ることを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る検査装置は、照明レーザ光源装置を含む照明装置と、反射センサを含む反射観察装置とを有する表面欠陥検出系と、励起レーザ光源装置を含むUV照射装置と、蛍光センサを含む蛍光観察装置とを有するフォトルミネッセンス検出系とを備え、照明レーザ光源装置による対象への照明光の照射と、励起レーザ光源装置による対象への励起光の照射とを行いつつ、反射観察装置によって計測光を取得し、蛍光観察装置によって蛍光を取得する。
【0008】
上記検査装置では、照明レーザ光源装置と励起レーザ光源装置とを個別に用意するので、反射画像を得るためのセンサや光学系を自由に選択することができ、スリットを透過させる必要があるランプのような光源を用いることなく十分な光量を確保できるので、欠陥検出系を高精度とすることができる。
【0009】
本発明の具体的な側面によれば、上記検査装置において、照明レーザ光源装置による照明光の照射と、励起レーザ光源装置による励起光の照射とを並行して行う共通光路型光学系を含む。この場合、直接反射の計測光と励起による蛍光とを同時に計測することができ、検査速度を向上させることができる。
【0010】
本発明の別の側面によれば、表面欠陥検出系において、照明装置と反射観察装置とは、共焦点光学系である。この場合、基板表面からの反射光だけを選択的に検出することができるため、基板表面の欠陥だけを分離して検査することができる。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、表面欠陥検出系は、マルチビーム型の光学系であり、複数のラインセンサによって得た画像を合成する。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、斜入射光源装置を含む斜入射装置と、暗視野センサを含む暗視野観察装置と表面粗さ検出系をさらに備え、斜入射装置及び表面粗さ検出系は、表面欠陥検出系及びフォトルミネッセンス検出系とともに共通光路型光学系の要素を構成する。
【0013】
本発明のさらに別の側面によれば、照明装置と反射観察装置とUV照射装置と蛍光観察装置と斜入射装置と暗視野観察装置とは、共通光路型光学系の要素として共用の対物レンズを有する。表面欠陥検出系と、フォトルミネッセンス検出系と、表面粗さ検出系とが共通する対物レンズを有することにより、表面欠陥検出系、フォトルミネッセンス検出系、及び表面粗さ検出系に関して、オートフォーカス系を共通化することが容易になり、計測を高精度化することができる。
【0014】
本発明のさらに別の側面によれば、フォトルミネッセンス検出系は、複数波長の励起光で対象を照明する。この場合、基板への励起光の侵入深さは波長に依存するため、深さが異なる欠陥の検査が可能になる。
【0015】
本発明のさらに別の側面によれば、フォトルミネッセンス検出系は、近紫外波長域、及び前記近紫外波長域よりも長波長の長波長域を含む複数波長域で対象からの蛍光を計測する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態の検査装置の全体構成を説明するブロック図である。
【
図2】(A)は、ステージ上の座標軸を示し、(B)は、ワークに対する対物レンズ等の相対的移動を説明する図である。
【
図3】マルチビームを用いた画像取得方法の一例を示す図である。
【
図4】(A)及び(B)は、マルチビームを用いた画像取得方法の別例を示す図である。
【
図5】(A)~(C)は、表面欠陥検出系による表面検査時に、オートフォーカス系によるAF動作が、迷光成分によって誤動作することを回避する手法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である検査装置及びその動作について説明する。
【0018】
図1を参照して、実施形態の検査装置100は、検査光学系2と、ステージ4と、制御装置8とを備える。検査装置100による検査の対象OBであるワークWOは、ステージ4上に支持されている。ワークWOは、例えばSiCのウェハである。図面中で、XYZは、直交座標系を示す。光学系において、符号AXは光軸を示す。
【0019】
検査光学系2は、垂直入射照明型の表面欠陥検出系10と、垂直入射励起型の第1フォトルミネッセンス検出系30と、斜入射励起型の第2フォトルミネッセンス検出系50と、斜入射照明型の表面粗さ検出系70と、エリア観察系91と、オートフォーカス系93とを備える。
【0020】
表面欠陥検出系10は、照明装置10aとして、照明レーザ光源装置11と、ビームエキスパンダ12と、回折光学素子(DOE)13と、第1レンズ系14と、偏光分離プリズム(PBS)15と、第2レンズ系16と、1/4波長板17と、ノマルスキープリズム18と、対物レンズ2aとを備える。ここで、照明レーザ光源装置11は、例えば可視波長域における波長445nmのレーザ照明光I1を出力する。レーザ照明光I1は、例えば紙面に垂直なX方向に電界面又は偏光面を有する。ビームエキスパンダ12は、レーザ照明光I1の光線束の直径を例えば1mmから5mmの5倍程度に拡大する。回折光学素子13は、レーザ照明光I1から多数のラインビームLBを形成する。ラインビームLBは、コリメートされた状態となっている。多数のラインビームLBをマルチビームとも呼ぶ。第1レンズ系14は、一対のレンズ14a,14bを含み、偏光分離プリズム15の物体側に瞳を投影する。偏光分離プリズム15は、紙面に垂直なX方向に偏光面を有するレーザ照明光I1を反射する。第2レンズ系16は、一対のレンズ16a,16bを含み、その射出側において対物レンズ2aとの間に瞳を投影する。一対のレンズ16a,16b間には、中間焦点位置IFが配置されている。1/4波長板17は、レーザ照明光I1を円偏光とする。ノマルスキープリズム18は、微小凹凸を強調する微分干渉計測を可能にする。対物レンズ2aは、レーザ照明光I1を多数の分離したラインビームLBとしてワークWO上に入射させる。ワークWOの表面上には、多数のラインビームLBに対応するマルチラインパターンLPが投影される。ここで、多数のラインビームLBは、長手方向に直交する方向(具体的にはY方向)に関して互いに離間しており、等間隔で投影されている。照明装置10aにおいて、対物レンズ2aは、表面欠陥検査のため、ワークWOに対してレーザ照明光I1を全体として垂直入射させる役割を有する。
【0021】
照明装置10aにおいて、ノマルスキープリズム18は、駆動装置M1によって光路上の動作位置と光路外の退避位置との間で進退可能になっており、光路上での配置を微調整することができる。ノマルスキープリズム18は、レーザ照明光I1の偏光成分を正常光と異常光との2成分に分離しつつ両光を横のX方向に分離し微小な水平距離(シャー)を発生させる。正常光と異常光とは、ワークWO上で例えばX方向に離間した2点へ入射し、ワークWOで反射された計測光I2は、再びノマルスキープリズム18を通過して同じ光路を逆行し、後述するマルチライン型の反射センサ23に入射する。ワークWO上において、正常光と異常光とが入射した2点の間に高低差がある場合、正常光と異常光とは位相がずれて合流時に干渉を起こすので、ワークWOに勾配の分布がある部分には明暗の輝度コントラストが発生し、ワークWO表面の凹凸が強調される。
【0022】
表面欠陥検出系10は、反射観察装置10bとして、対物レンズ2aと、ノマルスキープリズム18と、1/4波長板17と、第2レンズ系16と、偏光分離プリズム(PBS)15と、バンドパスフィルタ21と、再結像レンズ22と、マルチライン型の反射センサ23とを備える。以上のうち、対物レンズ2aと、ノマルスキープリズム18と、1/4波長板17と、第2レンズ系16と、偏光分離プリズム15とは、照明装置10aと共通する要素である。バンドパスフィルタ21は、波長445nmのレーザ照明光I1を選択的に通過させ、後述するAF用の計測光等が反射センサ23に入射することを阻止する。反射センサ23は、Y方向に等間隔で配列された多数のラインセンサ23aを有する。ラインセンサ23aは、走査方向又はY方向に直交方向する方向に延びる検出面23dを有する。各ラインセンサ23aは、多数のラインビームLBに対応する多数の計測光I2のパターン、つまりマルチライン像を検出する。ここで、マルチライン像を構成する多数のラインパターンは、長手方向に直交する方向つまりY方向に関して互いに離間しており、等間隔で結像されている。
【0023】
以上において、照明装置10a及び反射観察装置10bは、共焦点光学系となっており、深さ方向に分解能を持たせることができる。照明装置10a及び反射観察装置10bを共焦点光学系とすることにより、基板表面からの反射光だけを選択的に検出することができるため、基板表面の欠陥だけを分離して検査することができる。
【0024】
第1フォトルミネッセンス検出系30は、UV照射装置30aとして、励起レーザ光源装置31と、ビームエキスパンダ32と、回折光学素子33と、ミラー34と、光源レンズ35と、ダイクロイックミラー71と、リレーレンズ系36と、ダイクロイックミラー37と、1/4波長板17と、対物レンズ2aとを備える。以上のうち、対物レンズ2aと、1/4波長板17とは、表面欠陥検出系10の照明装置10a又は反射観察装置10bと共通する要素である。励起レーザ光源装置31は、例えば波長266nm、波長325nm等の複数の紫外波長域で励起光E1を出力する。回折光学素子33は、2次元的な方向に一様に励起光E1を回折させる。つまり、回折光学素子33を経た励起光E1は、矩形断面を有するものとなる。
【0025】
第1フォトルミネッセンス検出系30は、蛍光観察装置30bとして、対物レンズ2aと、1/4波長板17と、ダイクロイックミラー37と、分岐ハーフミラー38と、ノッチフィルタ39と、一対の蛍光分岐ダイクロイックミラー40,41と、結像レンズ42,43,44と、蛍光センサ45,46,47と、バンドパスフィルタ48とを備える。以上のうち、対物レンズ2aと、1/4波長板17と、ダイクロイックミラー37とは、UV照射装置30aと共通する要素である。第1の蛍光センサ45は、例えば波長700nm以上の赤外波長域で蛍光P1を検出する。第2の蛍光センサ46は、例えば可視波長域で蛍光P2を検出する。第3の蛍光センサ47は、例えば波長380-400nmの近紫外波長域で蛍光P3を検出する。バンドパスフィルタ48は、駆動装置M2によって光路上の動作位置と光路外の退避位置との間で進退可能になっており、透過波長が異なる他のバンドパスフィルタと交換することができる。以上において、蛍光センサ45,46,47は、具体的にはTDI(Time Delay Integration)センサであり、ステージをY方向に移動させながら蛍光P1,P2,P3を高感度で計測する。TDIセンサは、矩形の検出面を有し、矩形の検出面は、走査されるY方向に短く画素数が少なく、走査されないX方向に長く画素数が多い。TDIセンサは、ワークWOを走査によってY方向に移動させつつ撮像を行う。TDIセンサは、ワークWOの移動速度に合わせてY方向に電荷を転送するので、輝度値を積算することができ、検出光量を大きくでき感度を高めることができる。また、輝度値を積算することで平滑化効果もあるので、ノイズが低減される。
【0026】
ワークWOがSiC基板又はウェハである場合、ワークWOを励起光E1で照明すると、無欠陥であってもバンド端発光が生じる。具体的には、SiCウェハは、波長380-400nmにおいて蛍光が発生する。SiCウェハに欠陥が存在する場合、例えば波長480nmにおいて蛍光が発生し、波長380-400nmにおける蛍光が減少する。SiCウェハに欠陥や不純物が存在する場合、例えば波長420nmや波長450nm近辺において蛍光が発生するとの報告もある。さらに、SiCウェハに欠陥や不純物が存在する場合、赤外域において蛍光が発生するとの報告もある。
【0027】
第2フォトルミネッセンス検出系50は、斜入射型の光学系であり、UV照射装置50aとして、兼用レーザ光源装置51と、ビームエキスパンダ52と、ミラー58と、回折光学素子53と、光源レンズ55と、穴あきミラー59と、リレーレンズ系36と、ダイクロイックミラー37と、1/4波長板17と、対物レンズ2aとを備える。以上のうち、リレーレンズ系36と、ダイクロイックミラー37と、1/4波長板17と、対物レンズ2aとは、第1フォトルミネッセンス検出系30と共通する要素である。兼用レーザ光源装置51は、例えば波長355nmの紫外波長域で励起光E2を出力する。回折光学素子53は、円錐面に沿った方向に励起光E2を回折させる。つまり、回折光学素子53を経た励起光E2は、円環断面を有するものとなる。このような円環断面の励起光E2を用いることで、光軸AXのまわりの全方向から斜め照明をすることができ、欠陥検出に方向性が生じることを抑制できる。
【0028】
第2フォトルミネッセンス検出系50は、蛍光観察装置50bとして、対物レンズ2aと、1/4波長板17と、ダイクロイックミラー37と、分岐ハーフミラー38と、ノッチフィルタ39と、一対の蛍光分岐ダイクロイックミラー40,41と、結像レンズ42,43,44と、蛍光センサ45,46,47と、バンドパスフィルタ48とを備える。以上のうち、対物レンズ2aと、1/4波長板17と、ダイクロイックミラー37とは、蛍光観察装置50b又はUV照射装置30aと共通する要素である。
【0029】
表面粗さ検出系70は、斜入射型の光学系であり、UV照射装置70aとして、兼用レーザ光源装置51と、ビームエキスパンダ52と、ミラー58と、回折光学素子53と、光源レンズ55と、穴あきミラー59と、リレーレンズ系36と、ダイクロイックミラー37と、1/4波長板17と、対物レンズ2aとを備える。UV照射装置70aは、第2フォトルミネッセンス検出系50のUV照射装置50aとしても機能している。本明細書において、UV照射装置70aを斜入射装置ORと呼び、兼用レーザ光源装置51を斜入射光源装置OSと呼ぶ。
【0030】
表面粗さ検出系70は、観察装置70bとして、対物レンズ2aと、1/4波長板17と、ダイクロイックミラー37と、リレーレンズ系36と、ダイクロイックミラー71と、バンドパスフィルタ72と、結像レンズ73と、散乱光センサ74とを備える。以上のうち、対物レンズ2aと、1/4波長板17と、ダイクロイックミラー37と、リレーレンズ系36とは、UV照射装置70aと共通する要素である。散乱光センサ74は、第2フォトルミネッセンス検出系50のUV照射装置50aによって斜入射照明されたワークWOの表面で散乱された励起光E2をそのまま計測光I3として検出する。散乱光センサ74は、具体的にはTDIセンサであり、ステージをY方向に移動させながら計測光I3を高感度で計測する。本明細書において、観察装置70bを暗視野観察装置DRと呼び、散乱光センサ74を暗視野センサDSと呼ぶ。
【0031】
エリア観察系91は、表面欠陥検出系10の一部を用いたものであり、第1照明LED91aと、偏光分離プリズム91cと、ハーフミラー91eと、ノッチフィルタ91gと、観察用ダイクロイックミラー91iと、バンドパスフィルタ91kと、結像レンズ91mと、CCDカメラ91oとを備える。第1照明LED91aは、可視波長域において広い帯域で発光する。第1照明LED91aは、具体的には白色LEDである。第1照明LED91aを点灯することにより、偏光分離プリズム91c、ハーフミラー91e、ノッチフィルタ91g、及び観察用ダイクロイックミラー91iを介して、観察照明光L2を表面欠陥検出系10の第2レンズ系16以降に導く。この際、ワークWOに入射する観察照明光L2は、偏光分離プリズム91cや1/4波長板17を経て円偏光を含むものとなっており、対物レンズ2aを介してワークWOに入射する。ワークWOで反射された観察照明光L2は、対物レンズ2aから表面欠陥検出系10を逆行し、観察用ダイクロイックミラー91iによって表面欠陥検出系10外に取り出され、ハーフミラー91eや偏光分離プリズム91cで反射され、結像レンズ91m等を経てCCDカメラ91oに入射する。第1照明LED91aを点灯してCCDカメラ91oによって撮影される画像は、通常の顕微鏡観察に相当するものである。この際、バンドパスフィルタ91kについて、透過波長が異なるものに切り替えることで、見たい波長の観察画像を取得することができる。
【0032】
なお、エリア観察系91の第1照明LED91aを消灯し、第1フォトルミネッセンス検出系30の励起レーザ光源装置31を点灯することで、直接入射型の蛍光顕微鏡観察が可能になる。また、第1照明LED91aを消灯し、第2フォトルミネッセンス検出系50の兼用レーザ光源装置51を点灯することで、斜入射型の蛍光顕微鏡観察が可能になる。
【0033】
オートフォーカス系93は、表面欠陥検出系10の一部(具体的には、第2レンズ系16、対物レンズ2a等)を用いたものであり、第2照明LED93a、バンドパスフィルタ93rと、ストライプパターンマスク93sと、偏光分離プリズム93cと、結像レンズ93mと、ハーフミラー91eと、観察用ダイクロイックミラー91iと、ハーフミラー93jと、第1CCDセンサ93pと、第2CCDセンサ93qとを備える。第2照明LED93aは、可視波長域において広い帯域で発光する。第2照明LED93aは、具体的には白色LEDである。バンドパスフィルタ93rは、多数のバンドパスフィルタを組み込んだターレットによって、所望の透過波長特性を持つものに切り替えることができ、監視用のAF光L3の波長、つまりAF用の照明波長を観察中又は計測中の波長に対応させることができる。ストライプパターンマスク93sは、ワークWO表面にストライプパターンを投影するためのものである。ワークWO表面に投影されるストライプパターンがシャープであれば、フォーカスが合った状態である。
【0034】
対物レンズ2a、第2レンズ系16、結像レンズ93m等によってワークWO上のストライプパターンが第1CCDセンサ93p及び第2CCDセンサ93q上に投影される。CCDセンサ93p,93qは、イメージセンサであり、AF制御回路7bによって動作を制御されている。AF制御回路7bは、CCDセンサセンサ93p,93qによって検出した画像のコントラストから対物レンズ2aが合焦状態か、前ピン状態か後ピン状態かを判定することができ、そのようなフォーカス状態又はずれ状態を制御装置8に出力することができる。なお、第1CCDセンサ93pは、合焦状態に対して前側にシフトさせた状態に配置され、第2CCDセンサ93qは、合焦状態に対して後側にシフトさせた状態に配置されている。よって、レンズ用ステージ5によって対物レンズ2aを上下のZ方向に移動させつつ、第1CCDセンサ93pによって検出されるパターンのコントラストと、第2CCDセンサ93qによって検出されるパターンのコントラストとが一致する位置で対物レンズ2aの昇降を停止させることで合焦状態を達成することができる。
【0035】
オートフォーカス系93による合焦状態の調整は、ワークWO表面での状態に限らず、ワークWOの深さ方向にシフトさせることができる。例えば蛍光P1,P2,P3の計測では、ワークWOの内部にピントを合わせることができる。例えばイメージセンサであるCCDセンサ93p,93qによる検出結果に対してオフセットをかけた位置に対物レンズ2aをシフトさせることで、ワークWOの内部にピントを合わせることができる。
【0036】
表面欠陥検出系10に付随して、駆動回路6aが設けられている。駆動回路6aは、制御装置8の制御下で動作し、照明レーザ光源装置11によってワークWOに対する垂直入射型の照明を行わせつつ、反射センサ23による検出結果を保存する。
【0037】
第1フォトルミネッセンス検出系30に付随して、光源駆動回路6bやセンサ駆動回路6cが設けられている。光源駆動回路6bは、制御装置8の制御下で動作し、励起レーザ光源装置31によってワークWOに対する垂直入射型の光励起を行わせる。センサ駆動回路6cは、制御装置8の制御下で動作し、蛍光センサ45,46,47による検出結果を保存する。
【0038】
第2フォトルミネッセンス検出系50に付随して、光源駆動回路6dが設けられている。光源駆動回路6dは、制御装置8の制御下で動作し、兼用レーザ光源装置51によってワークWOに対する斜入射型の光励起を行わせる。なお、斜入射型の光励起による蛍光は、蛍光センサ45,46,47によって検出され、センサ駆動回路6cは、蛍光センサ45,46,47による検出結果を保存する。
【0039】
表面粗さ検出系70に付随して、センサ駆動回路6eが設けられている。センサ駆動回路6eは、制御装置8の制御下で動作し、散乱光センサ74によって斜入射型の照明がされたワークWOからの散乱光の検出を行う。なお、斜入射型の照明は、光源駆動回路6dによって駆動された兼用レーザ光源装置51によって行われる。
【0040】
エリア観察系91に付随して、カメラ駆動回路7aが設けられている。カメラ駆動回路7aは、制御装置8の制御下で動作し、第1照明LED91aによって照明光を射出させつつ、CCDカメラ91oによってワークWOのエリア画像を取得させエリア画像を記録する。
【0041】
オートフォーカス系93に付随して、AF制御回路7bが設けられている。AF制御回路7bは、制御装置8の制御下で動作し、第2照明LED93aからAF光を射出させつつ、CCDセンサ93p,93qによって取得した画像のコントラスト状態を判断する。
【0042】
対物レンズ2aは、レンズ用ステージ5に支持されて上下のZ方向に移動可能になっている。レンズ用ステージ5は、レンズ駆動装置5aによって動作を制御されており、制御装置8の制御下で、対物レンズ2aをZ方向に微動させて、反射センサ23によって検出される像のフォーカス状態を調整する。
【0043】
ステージ4は、ワークWOを支持してXY方向やZ方向に移動させることができ、X軸、Y軸、及びZ軸の周りに回転させることができる。ステージ4は、ステージコントローラ4aによって動作を制御されており、制御装置8の制御下で、ワークWOを既定位置に精密に移動させることができ、ワークWOを所定の経路に沿って所望の速度で移動させることができる。
【0044】
以上において、(1)表面欠陥検出系10の照明装置10a及び反射観察装置10bを構成する光学要素(光源やセンサを含む。以下同様。)と、(2)第1フォトルミネッセンス検出系30のUV照射装置30a及び蛍光観察装置30bを構成する光学要素と、(3)第2フォトルミネッセンス検出系50のUV照射装置50a及び蛍光観察装置50bを構成する光学要素と、(4)表面粗さ検出系70のUV照射装置70a及び観察装置70bを構成する光学要素と、(5)エリア観察系91を構成する光学要素と、(6)オートフォーカス系93を構成する光学要素とは、全体で共通光路型光学系102を構成している。共通光路型光学系102において、特に対物レンズ2aは、表面欠陥検出系10、第1フォトルミネッセンス検出系30、第2フォトルミネッセンス検出系50、表面粗さ検出系70、エリア観察系91、及びオートフォーカス系93のすべてに供用されるものとなっている。照明光I1の照射と励起光励起光E1の照射とを並行して行う共通光路型光学系102、直接反射の計測光I2と励起による蛍光P1,P2,P3とを同時に計測することができ、検査速度を向上させることができる。また、対物レンズ2aは、表面欠陥検出系10と、フォトルミネッセンス検出系30,50と、表面粗さ検出系70とに共通するものとなっているので、表面欠陥検出系10、フォトルミネッセンス検出系30,50、及び表面粗さ検出系70に関して、オートフォーカス系93を共通化することが容易になり、計測を高精度化することができる。
【0045】
制御装置8は、コンピュータであり、演算処理装置、記憶装置、通信装置等を備え、プログラムやオペレータの指示に従って動作する。
【0046】
図2(A)は、ステージ4上の座標軸を示し、
図2(B)は、ステージ4やワークWOに対する対物レンズ2a等の相対的移動を説明する図である。この場合、Y方向が主走査方向であり、X方向が副走査方向である。対物レンズ2aの直下は、検査領域IRとなっている。対物レンズ2a又は検査領域IRは、軌跡TRに沿って段階的に移動する。検査領域IRには、マルチラインパターンLPが投影されている。軌跡TRは、実線で示す主走査の軌跡TR1と、点線で示す副走査の軌跡TR2とを含む。結果的に、検査領域IRは、ワークWOの表面Wa全体をカバーするように移動する。
【0047】
図3は、多数のラインビームLBからなるマルチビームを用いた画像取得方法の一例を示す図である。図中において、4つのブロックは、1フレームの時間経過(T=0,1,2,3)を示し、各ブロック中のパターン(A,B,C,D)は、ワークWO上に形成された仮想的なパターンを示す。矢印Vは、ステージ4又はワーク(
図2(B)参照)の移動を示し、矢印V'は、ラインビームの相対的な移動を示す。この場合、仮にP/W
0=2,n=2(ビーム本数5)とし、ラインビームLBを1ステップでW
O×5移動させている。ここで、値Pはビーム間ピッチを示し、値W
0はビームサイズを示し、値nは任意の正数を示す。図示の例では、5つのラインビームLBの検出結果を第3→第1→第4→第2→第5の順にメモリ上で並べ替える必要があり、走査の最初と最後における端の2つのラインビームLBの検出結果は無駄になるが、ワークWOを一定速度で移動させつつワークWO上のパターンを連続的に取得し再構成することができる。例えば
図4(A)に示すように、P/W
0=2、n=3(ビーム本数7)とし、ラインビームLBを1ステップでW
O×7移動させてもよい。この場合、7つのラインビームLBの検出結果を第4→第1→第5→第2→第6→第3→第7の順にメモリ上で並べ替える。また、P/W
0は、2に限らず3以上とすることもできる。具体的には、例えば
図4(B)に示すように、P/W
0=3、n=2(ビーム本数7)とし、ラインビームLBを1ステップでW
O×7移動させてもよい。この場合、7つのラインビームLBの検出結果を第5→第3→第1→第6→第4→第2→第7の順にメモリ上で並べ替える。以上から明かなように、2回目のマルチビーム又はラインビーム群は、第1回目のマルチビーム中のn+1番のラインビームLBの次に並ぶ。一般的には、マルチビームに含まれるビーム本数NはN=n×(P/W
0)+1で与えられ、ステージ速度vはv=W
0×N/Tで与えられる。
【0048】
図5(A)~5(C)は、表面欠陥検出系10による表面検査時に、オートフォーカス系93によるAF動作が、様々な光学素子で発生する迷光成分によって誤動作することを回避する手法を説明する図である。
図5(A)は、ノマルスキープリズム18の機能を説明する図であり、レーザ照明光I1の偏光成分を正常光と異常光との2成分に分離し、正常光と異常光とは、ワークWO上で例えばY方向に離間した2点へ入射し、ワークWOで反射された計測光I2は、再びノマルスキープリズム18を通過して同じ光路を逆行する。この際、突起Wbについては、一方斜面と他方斜面とに傾斜SL+,SL-が存在する。
図5(B)は、傾斜SL+,SL-が輝度コントラストに与える影響を説明する図であり、ノマルスキープリズム18の背景位相(つまりリタデーション)を90度に設定している場合、輝度コントラストは、傾斜SL+に応じて増加して明るくなり、傾斜SL-に応じて減少して暗くなるため、2タイプの傾斜SL+,SL-を区別することができる。
図5(C)は、表面欠陥検出系10によるワークWO表面の微分干渉計測時におけるレーザ照明光I1の検出強度と、オートフォーカス系93によるAF光の検出強度とを示す概念図であり、横軸は、ノマルスキープリズム18によるリタデーションβを示す。具体例において、レーザ照明光I1の照明波長は、λ
DIC=445nmであり、AF光の波長は、λ
AF~560nmである。微分干渉計測時は、レーザ照明光I1が黒丸(●)のような状態(最大傾斜状態)で検出されることが望ましい。これにより、光強度の変化である傾きが最大となり、感度が最も高くなり、突起Wbの判定、つまり欠陥形状の凹凸判定が容易になる。一方、AF光については、白丸(〇)のような状態(極小状態)で検出されることが望ましい。この場合、ワークWOに向かうAF光は、例えば右回り円偏光でノマルスキープリズム18に入射し、ワークWOで反射されたAF光は、例えば左回り円偏光でノマルスキープリズム18から射出され、直交した状態となっている。よって、AF光やその波長域の迷光が、偏光分離プリズム93cによってカットされてオートフォーカス系93の第1CCDセンサ93pと第2CCDセンサ93qとによって検出されることを回避できる。特に、ワークWOがSiCウェハである場合、可視波長域でSiCウェハは透明に近いので(反射率約10%)、反射光強度が小さい。あらゆる光学素子で発生する迷光成分を除去して、光学的なS/N比を高くすることが重要である。つまり、レーザ照明光I1が黒丸で示す最大傾斜状態であり、かつ、AF光が白丸で示す極小状態となっている目標箇所にノマルスキープリズム18によるリタデーションβを設定することで、微分干渉計測時にAF動作がが迷光に影響されることを抑制することができる。リタデーションβについては、以下のような関係が成り立っている。
AF光の波長λ
AFがレーザ照明光I1の照明波長λ
DIC/4の整数倍である場合、レーザ照明光I1を黒丸で示す最大傾斜状態にし、かつ、AF光を白丸で示す極小状態にする目標箇所への調整が容易となる。AF光の波長は、バンドパスフィルタ93rの切り換えによる透過特性の調整によって調整可能である。リタデーションβについては、上記のようにノマルスキープリズム18の位置をずらすことで調整可能である。
【0049】
図6は、欠陥レビュー動作を説明する図である。レビュー動作は、ワークWOの全体検査後に行われる。ワークWOの全体検査では、表面欠陥検出系10と、第1フォトルミネッセンス検出系30と、第2フォトルミネッセンス検出系50と、表面粗さ検出系70とを同時並行して動作させて、ワークWO全体について、垂直入射照明型の表面欠陥情報と、垂直入射励起型の蛍光分布情報と、斜入射励起型の蛍光分布情報と、斜入射照明型の表面粗さ情報とを一括して検出する。一方、レビュー動作では、欠陥等の異常があった箇所に移動して異常個所の個別観察を可能にする。
【0050】
まず、制御装置8の制御下でステージ4を移動させ、ワークWOの欠陥位置又は異常位置に対物レンズ2aが対向する状態とする(ステップS11)。次に、制御装置8の制御下でオートフォーカス系93を動作させ、AF動作を行わせる(ステップS12)。制御装置8は、この位置における欠陥又は異常の種類を判定する(ステップS13)。
【0051】
欠陥又は異常がワークWOの表面又は外部のものである場合、励起レーザ光源装置31の動作をオフとし(ステップS14)、エリア観察系91の第1照明LED91aの動作をオンとする(ステップS15)。制御装置8は、エリア観察系91による観察が可能か否かを判断する(ステップS16)。エリア観察系91による観察が可能であれば(ステップS16でYES)、エリア観察系91のCCDカメラ91oによってワークWOのエリア画像を取得させる(ステップS17)。エリア観察系91による観察が不可能であれば(ステップS16でNO)、異常箇所の近傍領域でワークWOの相対的走査を行いつつ表面欠陥検出系10によって画像を取得し表面欠陥情報を取得する(ステップS18)。これにより、異常箇所の欠陥画像を取得しオペレータに提示することができる。
【0052】
欠陥又は異常が内部のものである場合、励起レーザ光源装置31の動作をオンとし(ステップS24)、エリア観察系91の第1照明LED91aの動作をオフとする(ステップS25)。制御装置8は、オペレータの指示やプログラムの指定に基づいて観察したい波長域のバンドパスフィルタ48や蛍光センサ45,46,47を選択する(ステップS26)。その後、制御装置8は、第1フォトルミネッセンス検出系30等を動作させ、ワークWOの蛍光画像を取得させる(ステップS27)。
【0053】
欠陥又は異常が表面及び内部に存在する場合、制御装置8は、これらの画像を合成し、制御装置8に設けられたディスプレイ(不図示)に表示させる(ステップS28)。画像の合成に際して、色付けや領域の仕分けや3次元表示を行うこともできる。
【0054】
以上で説明した実施形態の検査装置100は、照明レーザ光源装置11を含む照明装置10aと、反射センサ23を含む反射観察装置10bとを有する表面欠陥検出系10と、励起レーザ光源装置31を含むUV照射装置50aと、蛍光センサ45,46,47を含む蛍光観察装置50bとを有するフォトルミネッセンス検出系30とを備え、照明レーザ光源装置11による対象OBへの照明光I1の照射と、励起レーザ光源装置31による対象OBへの励起光E1の照射とを行いつつ、反射観察装置10bによって計測光I2を取得し、蛍光観察装置50bによって蛍光P1,P2,P3を取得する。
【0055】
上記検査装置100では、照明レーザ光源装置11と励起レーザ光源装置31とを個別に用意するので、反射画像を得るためのセンサや光学系を自由に選択することができ、表面欠陥検出系10を高精度とすることができる。
【0056】
また、上記検査装置100において、フォトルミネッセンス検出系30,50は、複数波長の励起光E1で対象を照明する。この場合、対象OB又はワークWOである基板への励起光E1の侵入深さは波長に依存するため、基板において深さが異なる欠陥の検査が可能になる。
【0057】
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、検査対象であるワークWOは、SiCウェハに限らず、Ga2O3やGaNのような他の化合物半導体基板、或いはSiウェハであってもよい。
【0058】
上記実施形態では、第1の蛍光センサ45によって波長700nm以上の赤外波長域で蛍光P1を検出し、第2の蛍光センサ46によって可視波長域で蛍光P2を検出し、第3の蛍光センサ47によって波長380-400nmの近紫外波長域で蛍光P3を検出するとしたが、2つの蛍光センサによって2波長域の蛍光を計測することもできる。この場合、例えば第1の蛍光センサ45又は第2の蛍光センサ46を省略することができる。
【符号の説明】
【0059】
2…検査光学系、2a…対物レンズ、4…ステージ、4a…ステージコントローラ、5…レンズ用ステージ、5a…レンズ駆動装置、6a…駆動回路、6b…光源駆動回路、6c…センサ駆動回路、6d…光源駆動回路、6e…センサ駆動回路、7a…カメラ駆動回路、7b…AF制御回路、8…制御装置、10…表面欠陥検出系、10a…照明装置、10b…反射観察装置、11…照明レーザ光源装置、15…偏光分離プリズム、16a,16b…レンズ、18…ノマルスキープリズム、21…バンドパスフィルタ、22…再結像レンズ、23…反射センサ、23a…ラインセンサ、30…第1フォトルミネッセンス検出系、30a…UV照射装置、30b…蛍光観察装置、31…励起レーザ光源装置、33…回折光学素子、35…光源レンズ、36…リレーレンズ系、37…ダイクロイックミラー、38…分岐ハーフミラー、39…ノッチフィルタ、40,41…蛍光分岐ダイクロイックミラー、42,43,44…結像レンズ、45,46,47…蛍光センサ、50…第2フォトルミネッセンス検出系、50a…UV照射装置、50b…蛍光観察装置、51…兼用レーザ光源装置、53…回折光学素子、70…表面粗さ検出系、70a…UV照射装置、70b…観察装置、71…ダイクロイックミラー、72…バンドパスフィルタ、74…散乱光センサ、91…エリア観察系、91c…偏光分離プリズム、91e…ハーフミラー、91g…ノッチフィルタ、91i…観察用ダイクロイックミラー、91k…バンドパスフィルタ、91m…結像レンズ、91o…CCDカメラ、93…オートフォーカス系、93c…偏光分離プリズム、93j…ハーフミラー、93m…結像レンズ、93p,93q…CCDセンサ、93s…ストライプパターンマスク、100…検査装置、102…共通光路型光学系、AX…光軸、DR…暗視野観察装置、DS…暗視野センサ、E1,E2…励起光、I1…レーザ照明光、I2,I3…計測光、IF…中間焦点位置、IR…検査領域、LB…ラインビーム、OB…対象、OR…斜入射装置、OS…斜入射光源装置、P1,P2,P3…蛍光、TR…軌跡、WO…ワーク