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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150111
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】燃料電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04858 20160101AFI20241016BHJP
   H01M 8/00 20160101ALI20241016BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20241016BHJP
   H01M 8/04664 20160101ALI20241016BHJP
   H01M 8/04228 20160101ALI20241016BHJP
   H01M 8/04303 20160101ALI20241016BHJP
   H01M 8/04955 20160101ALI20241016BHJP
   H01M 8/04313 20160101ALI20241016BHJP
【FI】
H01M8/04858
H01M8/00 A
H01M8/04537
H01M8/04664
H01M8/04228
H01M8/04303
H01M8/04955
H01M8/04313
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063366
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】山川 大輝
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC01
5H127BA02
5H127BA57
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127DA11
5H127DB50
5H127DB63
5H127DB89
5H127DC43
5H127DC89
5H127FF04
(57)【要約】
【課題】燃料電池モジュールにおいて、DCDCコンバータから燃料電池スタックに電流が流れることを抑制する。
【解決手段】燃料電池スタックFCSと蓄電装置Bとの間に接続されるDCDCコンバータCNVと、DCDCコンバータCNVと蓄電装置Bとの間に接続されるコンタクタMCと、DCDCコンバータCNVの動作を制御する制御部Ccnvと、燃料電池スタックFCSの発電を制御する制御部Cfcとを備えて燃料電池モジュールFCMを構成し、制御部Ccnvは、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れていると判断すると、異常通知を制御部Cfcに送信し、制御部Cfcは、異常通知を受信すると、燃料電池スタックFCSの発電を停止させるとともにコンタクタMCを遮断状態にさせる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックと、
蓄電装置と、
前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に接続されるDCDCコンバータと、
前記DCDCコンバータと前記蓄電装置との間に接続されるコンタクタと、
前記DCDCコンバータの動作を制御する第1制御部と、
前記燃料電池スタックの発電を制御する第2制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、前記DCDCコンバータから前記燃料電池スタックへ電流が流れていると判断すると、異常通知を前記第2制御部に送信し、
前記第2制御部は、前記異常通知を受信すると、前記燃料電池スタックの発電を停止させるとともに前記コンタクタを遮断状態にさせる、または、前記蓄電装置の電圧と前記燃料電池スタックの電圧との電圧差が小さくなるように前記燃料電池スタックの発電を制御する
燃料電池モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池モジュールであって、
前記DCDCコンバータは、上アームスイッチング素子または上アームダイオードと、前記上アームスイッチング素子または前記上アームダイオードに直列接続される下アームスイッチング素子とを有する相を3相有し、
前記第2制御部は、前記異常通知を受信すると、前記燃料電池スタックの発電を停止させるとともに前記コンタクタを遮断状態にさせた後、または、前記蓄電装置の電圧と前記燃料電池スタックの電圧との電圧差が小さくなるように前記燃料電池スタックの発電を制御した後、停止指令を前記第1制御部に送信し、
前記第1制御部は、前記DCDCコンバータから前記燃料電池スタックへ電流が流れていると判断すると、前記停止指令を受信するまでの間、前記3相のうち、前記燃料電池スタックへ電流が流れている相の前記下アームスイッチング素子を常時オフさせつつ、前記燃料電池スタックへ電流が流れている相以外の相の前記下アームスイッチング素子を繰り返しオン、オフさせる
燃料電池モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の燃料電池モジュールであって、
前記第1制御部の制御周期は、前記第2制御部の制御周期よりも短い
燃料電池モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の燃料電池モジュールであって、
前記第1制御部は、前記DCDCコンバータから前記燃料電池スタックに電流が流れていると一定時間連続して判断すると、前記異常通知を前記第2制御部に送信する
燃料電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池モジュールとして、燃料電池スタックからDCDCコンバータを介して蓄電装置に電力を供給するものがある。関連する技術として、特許文献1がある。
【0003】
しかしながら、上記燃料電池モジュールでは、DCDCコンバータの上アームスイッチング素子または上アームダイオードに短絡異常が発生し、かつ、蓄電装置の電圧が燃料電池スタックの電圧より高くなると、蓄電装置から上アームスイッチング素子または上アームダイオードを介して燃料電池スタックに電流が流れることで、燃料電池スタックを構成する燃料電池セル内のカーボンが酸化し燃料電池スタックが劣化するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-082092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一側面に係る目的は、燃料電池モジュールにおいて、DCDCコンバータから燃料電池スタックに電流が流れることを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る一つの形態である燃料電池モジュールは、燃料電池スタックと、蓄電装置と、前記燃料電池スタックと前記蓄電装置との間に接続されるDCDCコンバータと、前記DCDCコンバータと前記蓄電装置との間に接続されるコンタクタと、前記DCDCコンバータの動作を制御する第1制御部と、前記燃料電池スタックの発電を制御する第2制御部とを備える。
【0007】
前記第1制御部は、前記DCDCコンバータから前記燃料電池スタックへ電流が流れていると判断すると、異常通知を前記第2制御部に送信し、前記第2制御部は、前記異常通知を受信すると、前記燃料電池スタックの発電を停止させるとともに前記コンタクタを遮断状態にさせる、または、前記蓄電装置の電圧と前記燃料電池スタックの電圧との電圧差が小さくなるように前記燃料電池スタックの発電を制御する。
【0008】
これにより、上アームスイッチング素子または上アームダイオードに短絡異常が発生しても、蓄電装置から上アームスイッチング素子または上アームダイオードを介して燃料電池スタックに電流が流れることを抑制することができるため、燃料電池スタックが劣化することを抑制することができる。
【0009】
前記DCDCコンバータは、上アームスイッチング素子または上アームダイオードと、前記上アームスイッチング素子または前記上アームダイオードに直列接続される下アームスイッチング素子とを有する相を3相有し、前記第2制御部は、前記異常通知を受信すると、前記燃料電池スタックの発電を停止させるとともに前記コンタクタを遮断状態にさせた後、または、前記蓄電装置の電圧と前記燃料電池スタックの電圧との電圧差が小さくなるように前記燃料電池スタックの発電を制御した後、停止指令を前記第1制御部に送信し、前記第1制御部は、前記DCDCコンバータから前記燃料電池スタックへ電流が流れていると判断すると、前記停止指令を受信するまでの間、前記3相のうち、前記燃料電池スタックへ電流が流れている相の前記下アームスイッチング素子を常時オフさせつつ、前記燃料電池スタックへ電流が流れている相以外の相の前記下アームスイッチング素子を繰り返しオン、オフさせるように構成してもよい。
【0010】
これにより、DCDCコンバータから燃料電池スタックへ電流が流れていると判断されてからコンタクタが遮断状態になるまでの間において、DCDCコンバータから燃料電池スタックへ流れる電流を低減することができるため、燃料電池スタックが劣化することをさらに抑制することができる。
【0011】
前記第1制御部の制御周期は、前記第2制御部の制御周期よりも短くなるように構成してもよい。
【0012】
これにより、DCDCコンバータから燃料電池スタックへ電流が流れているか否かを第2制御部が判断する場合に比べて、DCDCコンバータから燃料電池スタックへ電流が流れているか否かを早く判断することができるため、DCDCコンバータから燃料電池スタックへ電流が流れることをさらに抑制することができ、燃料電池スタックが劣化することをさらに抑制することができる。
【0013】
前記第1制御部は、前記DCDCコンバータから前記燃料電池スタックへ電流が流れていると一定時間連続して判断すると、前記異常通知を前記第2制御部に送信するように構成してもよい。
【0014】
これにより、燃料電池スタックとDCDCコンバータとの間に流れる電流を検出する際にその検出電流に含まれるノイズの影響により、DCDCコンバータから燃料電池スタックに電流が流れていないにもかかわらず、DCDCコンバータから燃料電池スタックに電流が流れていると誤判断することを低減することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、燃料電池モジュールにおいて、DCDCコンバータから燃料電池スタックに電流が流れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態の燃料電池モジュールの一例を示す図である。
図2】DCDCコンバータの動作を制御する制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
図3】燃料電池モジュールの発電を制御する制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
図4】実施形態の燃料電池モジュールの変形例を示す図である。
図5】燃料電池モジュールの発電を制御する制御部の動作の変形例を示すフローチャートである。
図6】DCDCコンバータの動作を制御する制御部の動作の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面に基づいて実施形態について詳細を説明する。
【0018】
図1は、実施形態の燃料電池モジュールの一例を示す図である。
【0019】
図1に示す燃料電池モジュールFCMは、車両Veに搭載され、外部負荷Loなどに電力を供給する。なお、車両Veは、フォークリフトなどの産業車両や自動車などとする。また、外部負荷Loは、走行用モータを駆動するインバータなどとする。
【0020】
また、燃料電池モジュールFCMは、燃料電池スタックFCSと、電流センサSifと、電圧センサSvfと、蓄電装置Bと、コンタクタMCと、電流センサSibと、電圧センサSvbと、DCDCコンバータCNVと、制御部Cfc(第2制御部)とを備える。
【0021】
燃料電池スタックFCSは、互いに直列接続される複数の燃料電池セルにより構成され、不図示の水素タンクから供給されるアノードガス(水素ガスなど)に含まれる水素と、不図示のエアコンプレッサから供給されるカソードガス(空気など)に含まれる酸素との電気化学反応により電気を発生させる。
【0022】
電流センサSifは、シャント抵抗やホール素子などにより構成され、燃料電池スタックFCSからDCDCコンバータCNVに流れる電流Ifを検出し、その検出した電流IfをDCDCコンバータCNV及び制御部Cfcに送る。
【0023】
電圧センサSvfは、分圧抵抗などにより構成され、燃料電池スタックFCSの電圧Vfを検出しDCDCコンバータCNV及び制御部Cfcに送る。
【0024】
蓄電装置Bは、リチウムイオンキャパシタなどにより構成され、DCDCコンバータCNVと外部負荷Loとの間に接続される。
【0025】
DCDCコンバータCNVから出力される電力と、補機(例えば、不図示のエアコンプレッサや水素循環ポンプなど)に供給される全体の電力との差に相当する供給電力が、燃料電池モジュールFCMの外部(例えば、車両Veの走行を制御する走行制御部)から要求される要求電力より大きい場合、その供給電力のうち、要求電力分の電力が外部負荷Loに供給されるとともに、残りの電力が蓄電装置Bに供給される。DCDCコンバータCNVから蓄電装置Bに電力が供給されると、蓄電装置Bが充電され蓄電装置Bの状態変数が増加する。
【0026】
また、DCDCコンバータCNVから出力される電力と、補機に供給される全体の電力との差に相当する供給電力が、燃料電池モジュールFCMの外部から要求される要求電力より小さい場合、その供給電力が外部負荷Loに供給されるとともに、足りない分の電力が蓄電装置Bから外部負荷Loに供給される。蓄電装置Bから外部負荷Loに電力が供給されると、蓄電装置Bが放電され蓄電装置Bの状態変数が減少する。
【0027】
なお、蓄電装置Bの状態変数とは、蓄電装置Bの充電率[%](蓄電装置Bの満充電容量に対する残容量の割合)、または、蓄電装置Bに電流が流れていないときの蓄電装置Bの開回路電圧[V]、または、蓄電装置Bに電流が流れているときの蓄電装置Bの閉回路電圧[V]、または、蓄電装置Bに流れる電流の積算値[Ah]などとする。
【0028】
コンタクタMCは、電磁接触器などにより構成され、DCDCコンバータCNVと蓄電装置Bとの間に接続される。コンタクタMCが導通状態であるとき、蓄電装置Bと、補機、外部負荷Lo、及びDCDCコンバータCNVとが電気的に接続される。また、コンタクタMCが遮断状態であるとき、蓄電装置Bと、補機、外部負荷Lo、及びDCDCコンバータCNVとが電気的に切断される。
【0029】
電流センサSibは、シャント抵抗やホール素子などにより構成され、コンタクタMCが導通状態であるとき、DCDCコンバータCNVから蓄電装置Bに流れる電流Ibまたは蓄電装置Bから外部負荷Loに流れる電流Ibを検出し、その検出した電流Ibを制御部Cfcに送る。
【0030】
電圧センサSvbは、分圧抵抗などにより構成され、コンタクタMCが導通状態であるとき、蓄電装置Bの電圧Vbを検出し、その検出した電圧Vbを制御部Cfcに送る。
【0031】
制御部Cfcは、マイクロコンピュータなどにより構成され、制御周期T1毎に、燃料電池スタックFCSの発電を制御する。
【0032】
すなわち、制御部Cfcは、燃料電池モジュールFCMの稼働時(燃料電池スタックFCSの発電時)、蓄電装置Bの状態変数に応じて目標発電電力Ptを段階的に変化させる。
【0033】
また、制御部Cfcは、燃料電池モジュールFCMの稼働時、燃料電池スタックFCSの発電電力(電圧Vfと電流Ifとの乗算値)が目標発電電力Ptに追従するように、補機の動作を制御する。
【0034】
また、制御部Cfcは、燃料電池モジュールFCMの停止要求が外部から入力されると、燃料電池モジュールFCMから外部負荷Loや蓄電装置Bに電力が供給されないように燃料電池スタックFCSの発電を停止させるとともにコンタクタMCを遮断状態にさせる。
【0035】
また、制御部Cfcは、燃料電池モジュールFCMの停止要求が外部から入力されると、燃料電池スタックFCSの電圧Vfの上昇による燃料電池スタックFCSの劣化を回避するためにDCDCコンバータCNVを所定時間駆動させて燃料電池スタックFCSに流れる電流を一時的に増加させる。
【0036】
DCDCコンバータCNVは、U相、V相、W相を有する昇圧回路であって、燃料電池スタックFCSと蓄電装置Bとの間に接続される。
【0037】
また、DCDCコンバータCNVは、上アームスイッチング素子SHu、SHv、SHwと、下アームスイッチング素子SLu、SLv、SLwと、上アームダイオードDHu、DHv、DHwと、下アームダイオードDLu、DLv、DLwと、インダクタLu、Lv、Lwと、コンデンサCと、電流センサSiu、Siv、Siwと、制御部Ccnv(第1制御部)とを備える。
【0038】
なお、上アームスイッチング素子SHu、SHv、SHw及び下アームスイッチング素子SLu、SLv、SLwは、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)により構成され、上アームダイオードDHu、DHv、DHw及び下アームダイオードDLu、DLv、DLwは、上アームスイッチング素子SHu、SHv、SHw及び下アームスイッチング素子SLu、SLv、SLwの寄生ダイオードとする。
【0039】
また、DCDCコンバータCNVの各相の上アームにおいて、上アームスイッチング素子SHu、SHv、SHwを省略し、上アームダイオードDHu、DHv、DHwのみを備えるように構成してもよい。
【0040】
また、電流センサSifにより検出される電流Ifと3相のうちの2相に流れる電流の合計値との差により残りの1相の電流を算出する場合、電流センサSiu、Siv、Siwののうちの残りの1相に対応する電流センサを省略してもよい。
【0041】
U相において、上アームスイッチング素子SHuに上アームダイオードDHuが並列接続され、上アームスイッチング素子SHuに直列接続される下アームスイッチング素子SLuに下アームダイオードDLuが並列接続され、上アームスイッチング素子SHu及び下アームスイッチング素子SLuの接続点と燃料電池スタックFCSとの間にインダクタLuが接続されている。
【0042】
V相において、上アームスイッチング素子SHvに上アームダイオードDHvが並列接続され、上アームスイッチング素子SHvに直列接続される下アームスイッチング素子SLvに下アームダイオードDLvが並列接続され、上アームスイッチング素子SHv及び下アームスイッチング素子SLvの接続点と燃料電池スタックFCSとの間にインダクタLvが接続されている。
【0043】
W相において、上アームスイッチング素子SHwに上アームダイオードDHwが並列接続され、上アームスイッチング素子SHwに直列接続される下アームスイッチング素子SLwに下アームダイオードDLwが並列接続され、上アームスイッチング素子SHw及び下アームスイッチング素子SLwの接続点と燃料電池スタックFCSとの間にインダクタLwが接続されている。
【0044】
コンデンサCは、上アームスイッチング素子SHu及び下アームスイッチング素子SLu、上アームスイッチング素子SHv及び下アームスイッチング素子SLv、及び上アームスイッチング素子SHw及び下アームスイッチング素子SLwにそれぞれ並列接続されている。
【0045】
電流センサSiuは、シャント抵抗やホール素子などにより構成され、U相に流れる電流Iuを検出し制御部Ccnvに送る。
【0046】
電流センサSivは、シャント抵抗やホール素子などにより構成され、V相に流れる電流Ivを検出し制御部Ccnvに送る。
【0047】
電流センサSiwは、シャント抵抗やホール素子などにより構成され、W相に流れる電流Iwを検出し制御部Ccnvに送る。
【0048】
制御部Ccnvは、マイクロコンピュータなどにより構成され、制御周期T2毎に、DCDCコンバータCNVの動作を制御する。なお、制御周期T2は、制御周期T1より短いものとする。
【0049】
すなわち、制御部Ccnvは、電圧Vfが制御部Cfcから送信される電圧指令値に追従するとともに電流Ifまたは電流Iu、Iv、Iwの合計値が制御部Cfcから送信される電流指令値に追従するように、上アームスイッチング素子SHu、SHv、SHwを常時オフさせつつ、下アームスイッチング素子SLu、SLv、SLwのオン、オフを制御する。例えば、制御部Ccnvは、制御部Cfcから送信される電流指令値の3分の1に相当する電流がU相、V相、W相にそれぞれ流れるように下アームスイッチング素子SLu、SLv、SLwを繰り返しオン、オフさせる(昇圧制御)。なお、上アームスイッチング素子SHu、SHv、SHw及び下アームスイッチング素子SLu、SLv、SLwが常時オフである場合で、かつ、燃料電池スタックFCSの電圧Vfが蓄電装置Bの電圧Vbより高い場合、燃料電池スタックFCSから上アームダイオードDHu、DHv、DHwを介して蓄電装置Bに電流が流れる(簡易降圧)。
【0050】
ここで、例えば、上アームスイッチング素子SHuの両端(ドレイン端子及びソース端子)または上アームダイオードDHuの両端(カソード端子及びアノード端子)が短絡している場合で、かつ、蓄電装置Bの電圧Vbが燃料電池スタックFCSの電圧Vfより高い場合を想定する。
【0051】
この場合、上アームスイッチング素子SHu、SHv、SHw及び下アームスイッチング素子SLu、SLv、SLwが常時オフするように制御されているとき、蓄電装置Bから上アームスイッチング素子SHuまたは上アームダイオードDHuを介して燃料電池スタックFCSへ電流が流れてしまう。または、上アームスイッチング素子SHu、SHv、SHw及び下アームスイッチング素子SLuが常時オフするとともに下アームスイッチング素子SLv、SLwが繰り返しオン、オフするように制御されているときで、かつ、制御部Cfcから送信される電流指令値が比較的小さいとき、蓄電装置Bから上アームスイッチング素子SHuを介して燃料電池スタックFCSへ電流が流れるおそれがある。
【0052】
このように、燃料電池スタックFCSに流れる電流が逆流してしまうと(DCDCコンバータから燃料電池スタックFCSに比較的長い時間継続して電流が流れることで燃料電池スタックFCSの電圧が擬似的に反対になると)、燃料電池セル内のカーボンが酸化し燃料電池スタックFCSが劣化するおそれがある。
【0053】
そこで、本実施形態の燃料電池モジュールFCMでは、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れていると判断すると、コンタクタMCを遮断状態にさせる。
【0054】
これにより、少なくとも1つの上アームスイッチング素子SHまたは少なくとも1つの上アームダイオードの両端が短絡している状態において、蓄電装置Bの電圧Vbが燃料電池スタックFCSの電圧Vfより高くなったとしても、蓄電装置BからDCDCコンバータCNVを介して燃料電池スタックFCSへ電流が流れないようにすることができるため、燃料電池スタックFCSが劣化することを抑制することができる。
【0055】
すなわち、制御部Ccnvは、電流Iu、Iv、Iwのうちの少なくとも1つの電流が負の電流になったか否かを判断する。なお、燃料電池スタックFCSからDCDCコンバータCNVに電流が流れているときの電流Iu、Iv、Iwを正の電流とする。
【0056】
制御部Ccnvは、電流Iu、Iv、Iwのうちの少なくとも1つの電流が負の電流になると、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れていると判断し、異常通知を制御部Cfcに送信する。
【0057】
制御部Cfcは、異常通知を受信すると、燃料電池スタックFCSの発電が停止するように補機の動作を制御するとともにコンタクタMCを遮断状態にさせた後、停止指令を制御部Ccnvに送信する。
【0058】
制御部Ccnvは、停止指令を受信すると、上アームスイッチング素子SHu、SHv、SHw及び下アームスイッチング素子SLu、SLv、SLwを常時オフさせる。
【0059】
図2は、制御部Ccnvの動作の一例を示すフローチャートである。なお、図2に示すフローチャートにおいて、制御部Ccnvは、上アームスイッチング素子SHu、SHv、SHwを常時オフさせているものとする。
【0060】
まず、制御部Ccnvは、電流センサSiu、Siv、Siwにより検出される電流Iu、Iv、Iwを取得する(ステップS101)。
【0061】
次に、制御部Ccnvは、電流Iu、Iv、Iwがゼロ以上である場合(ステップS102:No)、ステップS101、S102を繰り返し実行する。
【0062】
一方、制御部Ccnvは、電流Iu、Iv、Iwのうちの少なくとも1つの電流がゼロより小さい状態が一定時間継続した場合(ステップS102:Yes)、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れていると判断し、燃料電池スタックFCSへ電流が流れている相に対応する下アームスイッチング素子SLを常時オフさせるとともに燃料電池スタックFCSへ電流が流れている相以外の相に対応する下アームスイッチング素子SLを繰り返しオン、オフさせ、異常通知を制御部Cfcに送信する(ステップS103)。
【0063】
次に、制御部Ccnvは、停止指令を受信するまで、燃料電池スタックFCSへ電流が流れている相以外の相に対応する下アームスイッチング素子SLを繰り返しオン、オフさせ(ステップS104:No)、停止指令を受信すると(ステップS104:Yes)、下アームスイッチング素子SLu、SLv、SLwを常時オフさせる(ステップS105)。
【0064】
図3は、制御部Cfcの動作の一例を示すフローチャートである。
【0065】
制御部Cfcは、異常通知を受信すると(ステップS201:Yes)、燃料電池スタックFCSの発電が停止するように補機の動作を制御するとともにコンタクタMCを遮断状態にさせた後(ステップS202)、停止指令を制御部Ccnvに送信する(ステップS203)。
【0066】
このように、実施形態の燃料電池モジュールFCMでは、制御部CcnvがDCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れていると判断すると異常通知を制御部Cfcに送信し、制御部Cfcが異常通知を受信すると燃料電池スタックFCSの発電を停止させるとともにコンタクタMCを遮断状態にさせた後、停止指令を制御部Ccnvに送信し、制御部Ccnvが停止指令を受信するとDCDCコンバータCNVを停止させる構成である。
【0067】
これにより、上アームスイッチング素子SHまたは上アームダイオードDHに短絡異常が発生しても、蓄電装置Bから上アームスイッチング素子SHまたは上アームダイオードDHを介して燃料電池スタックFCSへ電流が流れることを抑制することができるため、燃料電池スタックFCSが劣化することを抑制することができる。
【0068】
また、実施形態の燃料電池モジュールFCMでは、制御部CcnvがDCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れていると判断すると、停止指令を受信するまでの間、3相のうち、燃料電池スタックFCSへ電流が流れている相の下アームスイッチング素子SLを常時オフさせつつ、燃料電池スタックFCSへ電流が流れている相以外の相の下アームスイッチング素子SLを繰り返しオン、オフさせる構成である。
【0069】
これにより、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れていると判断されてからコンタクタMCが遮断状態になるまでの間において、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ流れる電流を低減することができるため、燃料電池スタックFCSが劣化することをさらに抑制することができる。
【0070】
また、実施形態の燃料電池モジュールFCMでは、制御部Ccnvの制御周期T2が制御部Cfcの制御周期T1より短い。
【0071】
これにより、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れているか否かを制御部Cfcが判断する場合に比べて、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れているか否かを早く判断することができるため、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れることをさらに抑制することができ、燃料電池スタックFCSが劣化することをさらに抑制することができる。
【0072】
また、実施形態の燃料電池モジュールFCMでは、制御部CcnvがDCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れていると一定時間連続して判断すると、異常通知を制御部Cfcに送信する構成である。
【0073】
これにより、燃料電池スタックFCSとDCDCコンバータCNVとの間に流れる電流を検出する際にその検出電流に含まれるノイズの影響により、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れていないにもかかわらず、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れていると誤判断することを低減することができる。
【0074】
また、実施形態の燃料電池モジュールFCMでは、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れることを抑制することができるため、燃料電池スタックFCSとDCDCコンバータCNVとの間に逆流防止用ダイオードを備える必要がなく、製造コストの増大を抑制することができる。
【0075】
なお、本発明は、以上の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。
【0076】
<変形例1>
図4は、実施形態の燃料電池モジュールの変形例を示す図である。なお、図4に示す構成において、図1に示す構成と同じ構成には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
図4に示す燃料電池モジュールFCM´において、図1に示す燃料電池モジュールFCMと異なる点は、1相(例えば、図1に示すようにU相)のみによりDCDCコンバータCNV´を構成している点である。
【0078】
なお、このように構成する場合、図2に示すフローチャートのステップS103において、制御部Ccnvは、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れていると判断し、下アームスイッチング素子SLuを常時オフさせ、異常通知を制御部Cfcに送信する。
【0079】
また、このように構成する場合、DCDCコンバータCNV´の上アームにおいて、上アームスイッチング素子SHuを省略し、上アームダイオードDHuのみを備えるように構成してもよい。
【0080】
このように構成しても、上アームスイッチング素子SHまたは上アームダイオードDHに短絡異常が発生しているとき、蓄電装置Bから上アームスイッチング素子SHまたは上アームダイオードDHを介して燃料電池スタックFCSへ電流が流れることを抑制することができるため、燃料電池スタックFCSが劣化することを抑制することができる。
【0081】
<変形例2>
図5は、制御部Cfcの動作の変形例を示すフローチャートである。
【0082】
図5に示すフローチャートにおいて、制御部Cfcは、異常通知を受信すると(ステップS201:Yes)、電圧Vbと電圧Vfとの電圧差ΔVが小さくなるように燃料電池スタックFCSの発電を制御した後、燃料電池スタックFCSの発電を停止させ(ステップS202´)、停止指令を制御部Ccnvに送信する(ステップS203)。
【0083】
このように構成することにより、制御部Cfcから制御部Ccnvに異常通知が送信されたとき、コンタクタMCを遮断状態にしなくても、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ流れる電流を低減することができる。
【0084】
そのため、上アームスイッチング素子SHまたは上アームダイオードDHに短絡異常が発生しているとき、蓄電装置Bから上アームスイッチング素子SHまたは上アームダイオードDHを介して燃料電池スタックFCSへ電流が流れることを抑制することができ、燃料電池スタックFCSが劣化することを抑制することができる。
【0085】
<変形例3>
図6は、制御部Ccnvの動作の変形例を示すフローチャートである。なお、図6に示すステップS101、S102、S104、S105は、図2に示すステップS101、S102、S104、S105と同じであり、その説明を省略する。また、図6に示すフローチャートにおいて、制御部Ccnvは、上アームスイッチング素子SHu、SHv、SHwを常時オフさせているものとする。
【0086】
図6に示すフローチャートにおいて、制御部Ccnvは、電流Iu、Iv、Iwのうちの少なくとも1つの電流がゼロより小さい状態が一定時間継続した場合(ステップS102:Yes)、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ電流が流れていると判断し、電圧Vbと電圧Vfとの電圧差ΔVが閾値Vth以下であるか否かを判断する(ステップS301)。
【0087】
制御部Ccnvは、電圧差ΔVが閾値Vthより大きい場合、すなわち、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ流れている電流が比較的大きく燃料電池スタックFCSが劣化するおそれがある場合(ステップS301:No)、燃料電池スタックFCSへ電流が流れている相に対応する下アームスイッチング素子SLを常時オフさせるとともに燃料電池スタックFCSへ電流が流れている相以外の相に対応する下アームスイッチング素子SLを繰り返しオン、オフさせた後、異常通知を制御部Cfcに送信する(ステップS302)。なお、閾値Vthは、例えば、燃料電池スタックFCSが劣化する場合においてDCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ流れる電流により算出されるものとする。
【0088】
一方、制御部Ccnvは、電圧差ΔVが閾値Vth以下である場合、すなわち、DCDCコンバータCNVから燃料電池スタックFCSへ流れている電流が比較的小さく燃料電池スタックFCSが劣化するおそれがない場合(ステップS301:Yes)、下アームスイッチング素子SLu、SLv、SLwを常時オフさせる(ステップS105)。
【0089】
このように構成しても、上アームスイッチング素子SHまたは上アームダイオードDHに短絡異常が発生しているとき、蓄電装置Bから上アームスイッチング素子SHまたは上アームダイオードDHを介して燃料電池スタックFCSへ電流が流れることを抑制することができるため、燃料電池スタックFCSが劣化することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0090】
FCM 燃料電池モジュール
FCS 燃料電池スタック
Svf 電圧センサ
Sif 電流センサ
B 蓄電装置
MC コンタクタ
Sib 電流センサ
Svb 電圧センサ
CNV DCDCコンバータ
Cfc 制御部
SHu、SHv、SHw 上アームスイッチング素子
SLu、SLv、SLw 下アームスイッチング素子
DHu、DHv、DHw ダイオード
DLu、DLv、DLw ダイオード
Lu、Lv、Lw インダクタ
C コンデンサ
Siu、Siv、Siw 電流センサ
Ccnv 制御部
Ve 車両
Lo 外部負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6