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特開2024-150114画像読取装置およびそれを備えた画像形成装置並びに画像読取システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150114
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】画像読取装置およびそれを備えた画像形成装置並びに画像読取システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/04 20060101AFI20241016BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20241016BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H04N1/04 105
H04N1/04 101
H04N1/10
H04N1/04 106A
H04N1/387 800
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063370
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン ティ ・スエン
【テーマコード(参考)】
5C072
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA03
5C072CA03
5C072CA12
5C072DA03
5C072DA25
5C072EA07
5C072LA02
5C072LA07
5C072MA01
5C072MB01
5C072MB04
5C072MB08
5C072RA03
5C072RA04
5C072RA06
5C072UA05
5C072UA06
5C072UA13
(57)【要約】
【課題】原稿のサイズや位置に合わせてスキャン範囲を簡単に設定可能な画像読取装置およびそれを備えた画像形成装置並びに画像読取システムを提供する。
【解決手段】画像読取装置は、コンタクトガラスと、画像読取部と、入力部と、制御部と、を備える。コンタクトガラスは、原稿が載置される。画像読取部は、コンタクトガラスに沿って往復移動しながら原稿の読取動作を行う読取ユニットと、読取ユニットを往復移動させる駆動部と、を有し、原稿の読取画像データを生成する。入力部は、コンタクトガラスに載置された原稿の位置情報が入力される。制御部は、画像読取部を制御する。制御部は、入力部に位置情報が入力された場合、位置情報に基づいて決定される読取範囲のみで読取動作を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置されるコンタクトガラスと、
前記コンタクトガラスに沿って往復移動しながら前記原稿の読取動作を行う読取ユニットと、
前記読取ユニットを往復移動させる駆動部と、
を有し、前記原稿の読取画像データを生成する画像読取部と、
前記コンタクトガラスに載置された前記原稿の位置情報が入力される入力部と、
前記画像読取部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記入力部に前記位置情報が入力された場合、前記位置情報に基づいて決定される読取範囲のみで前記読取動作を実行することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記読取ユニットは、前記読取動作を行わないとき前記コンタクトガラスの一端に対向する基準位置に配置されており、
前記制御部は、前記入力部に前記位置情報が入力された場合、前記読取ユニットを前記読取範囲の前記基準位置に近い側の第1端部まで移動させた時点で前記読取動作を開始し、
前記読取ユニットを前記読取範囲の前記基準位置から遠い側の第2端部まで移動させた時点で前記読取動作を終了し、前記読取ユニットを前記基準位置に移動させることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記読取ユニットは、
前記原稿に光を照射する光源と、
前記原稿からの反射光を画像光として受光する受光素子を有し、前記受光素子から出力されたアナログ信号をデジタル値に変換して前記読取画像データを生成するイメージセンサーと、
を備え、
前記制御部は、前記読取ユニットを前記第1端部まで移動させた時点で前記光源を点灯し、
前記読取ユニットを前記第2端部まで移動させた時点で前記光源を消灯することを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記読取画像データを補正する画像処理部を備え、
前記制御部は、前記読取画像データの補正が必要である場合、前記読取画像データを前記画像処理部に送信して補正画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記読取画像データの傾きを補正した傾き補正画像データ、および前記読取画像データの位置を補正した位置補正画像データを生成することを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記入力部は、
所定の検知範囲を有する入力画面と、
前記検知範囲に対する接触を検出し、接触を検出した位置に対応する座標を前記入力画面に出力するタッチセンサーと、
を含むタッチパネルであることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の画像読取装置を備えた画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置と通信する画像処理装置と、
を含む画像読取システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読みとって画像データを生成する画像読取装置、およびそれを備えた画像形成装置、画像読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セットされた原稿を読み取って画像データを生成する画像読取装置が広く用いられている。このような画像読取装置では、読み取り範囲の設定や読み取りで得られた画像データの調整(加工)等の種々の処理が行われる。
【0003】
特許文献1には、縁なし複写を行う場合、スキャナーの原稿載置台に載置された画像原稿の位置とサイズとを検出し、検出結果と所定の縁なしはみ出し量とに基づいて、原稿載置台上の読取領域を決定し、その決定された読取領域から画像原稿を読取るように、スキャナーのセンサの走査範囲と動作範囲と限定して画像読取を行うよう制御する画像記録装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、読取画像データが原稿台に載せられた複数の原稿を同時に読みとったものである場合、この読取画像データにおける各原稿画像データの原稿エッジを濃度差に基づき原稿エッジ検出部により検出し、検出された原稿エッジに基づいて複数原稿画像データを複数原稿検出部により切り出し、複数原稿処理部にて個別に傾きを揃える等の処理を施し、画像出力装置にて用紙に出力する画像処理装置が開示されている。
【0005】
特許文献3には、操作部、複数枚の原稿を読み取って読取画像データを生成する画像読取部、原稿に対応するカード画像を認識するカード画像認識部、カード画像の全体を含む円形領域を設定する円形領域設定部、円形領域の位置を示す位置情報を設定する位置情報設定部、予め定められた方向に対するカード画像のずれ角度を求めるずれ角度演算部、円形領域を回転させて傾きのずれを補正した補正画像データを取得する補正データ取得部、傾きのずれが補正されたカード画像を列状に配した整列画像データを生成する整列処理部を含む画像読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-49479号公報
【特許文献2】特開2002-10059号公報
【特許文献3】特開2018-196042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~3に記載の技術は、いずれも原稿台(コンタクトガラス)上に載置された原稿の位置(端部)を自動的に検知するものである。そのため、例えばカード原稿のように小型の原稿であってもコンタクトガラスの全域に亘ってスキャン(走査)を行う必要があり、スキャン時間が長くなるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、原稿のサイズや位置に合わせてスキャン範囲を簡単に設定可能な画像読取装置およびそれを備えた画像形成装置並びに画像読取システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、コンタクトガラスと、画像読取部と、入力部と、制御部と、を備えた画像読取装置である。コンタクトガラスは、原稿が載置される。画像読取部は、コンタクトガラスに沿って往復移動しながら原稿の読取動作を行う読取ユニットと、読取ユニットを往復移動させる駆動部と、を有し、原稿の読取画像データを生成する。入力部は、コンタクトガラスに載置された原稿の位置情報が入力される。制御部は、画像読取部を制御する。制御部は、入力部に位置情報が入力された場合、位置情報に基づいて決定される読取範囲のみで読取動作を実行する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の構成によれば、入力部から予め原稿の位置情報が入力された場合、読取ユニットは位置情報に基づいて決定される読取範囲のみで読取動作を実行する。従って、読取が不要な領域での読取動作を回避することができ、読取時間を短縮することができる。また、読取ユニットの光源の点灯時間も短縮できるため、消費電力の低減や光源の長寿命化の効果も期待でき、画像読取装置のランニングコストの低下にも繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る画像読取部4を含む画像読取システム100の一例を示すブロック図
図2】本実施形態の画像読取部4の一例を示す側面図
図3】本実施形態の画像読取部4の制御経路の一例を示すブロック図
図4】本実施形態の画像読取部4を備えた複合機200におけるマニュアル読取モードでの処理の流れの一例を示すフローチャート
図5】スキャン範囲選択を実行する際のタッチパネル52の表示例を示す模式図であって、「原稿の数と位置を指定してください」という指示が表示された状態を示す図
図6図5の状態から原稿の数を入力した状態を示す図
図7図6の状態からタッチパネル52で原稿の位置を指定した状態を示す図
図8】反時計回りに傾いている読取画像データD1を模式的に示す図
図9図8の読取画像データD1を垂直方向に傾き補正した状態を示す図
図10図9の読取画像データD1を水平方向に傾き補正した状態を示す図
図11図10の読取画像データD1を原点Oに位置合わせした状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(画像読取システムおよび複合機の構成)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る画像読取システム100の一例を示す図である。図1に示すように、画像読取システム100は、複合機200と画像処理装置300を含む。画像処理装置300は、画像データの回転処理を行えるコンピューター(例えばパソコン)である。画像処理装置300は、画像データの回転処理を行うためのハードウェアとソフトウェアを含む。
【0013】
図1に示すように、複合機200は、制御部1、記憶部2、印刷部3、画像読取部4、操作パネル5、通信部6を含む。
【0014】
制御部1は、複合機200の全体を統括的に制御する。制御部1は、CPU11と画像処理部7を含む。記憶部2は、ROM、フラッシュROM、ストレージ(HDD)のような不揮発性の記憶装置を含む。記憶部2はRAMのような揮発性の記憶装置を含む。制御部1は、記憶部2に記憶されたプログラムやデータを利用して各部を制御する。制御部1は、コピーや送信のようなジョブでのスキャンを制御する。また、制御部1は、印刷、送信、画像データの記憶を制御する。画像処理部7は、画像データに画像処理を行う。
【0015】
印刷部3は、給紙部3a 、用紙搬送部3b 、画像形成部3c 、定着部3d 、両面搬送部3eを含む。印刷ジョブのとき、制御部1は用紙を給紙部3aに供給させる。制御部1は用紙を用紙搬送部3bに搬送させる。用紙搬送部3 b は印刷済み用紙を機外に排出する。制御部1は画像データに基づくトナー像を画像形成部3cに形成させる。制御部1は搬送用紙へのトナー像の転写を画像形成部3cに行わせる。制御部1は転写されたトナー像の用紙への定着を定着部3dに行わせる。制御部1は印刷部3の動作を制御する。
【0016】
両面搬送部3eは、両面印刷時に用いられる。両面印刷時、制御部1は、両面搬送部3eに片面印刷済用紙を搬送させる。両面搬送部3eは、複数の搬送ローラー対、各搬送ローラー対を回転させるモーターを含む。両面搬送部3eは、定着部3dを通過した片面印刷済の用紙の表と裏を反転させる。反転のため、両面搬送部3eは用紙をスイッチバックする。そして、両面搬送部3eは、表裏が反転された用紙を画像形成部3cの上流側に向けて搬送する。制御部1は、片面印刷済の用紙の未印刷面への印刷を画像形成部3cに行わせる。制御部1は2回目のトナー像の定着を定着部3dに行わせる。制御部1は、両面印刷された用紙の排出を用紙搬送部3bに行わせる。
【0017】
操作パネル5は、表示パネル51、タッチパネル52(入力部)、ハードキー53(入力部)を含む。制御部1は、設定用画面や操作用画像を表示パネル51に表示させる。例えば、操作用画像は、ボタン、キー、タブである。タッチパネル52は、所定の検知範囲を有する入力画面と、検知範囲に対する接触を検出し、接触を検出した位置に対応する座標を入力画面に出力するタッチセンサーと、を含む。ハードキー53は、スタートキーやテンキーを含む。タッチパネル52、ハードキー53は使用者の設定操作(ジョブに関する操作)を受け付ける。制御部1は操作パネル5と通信する。制御部1は設定内容を認識する。
【0018】
通信部6は、画像処理装置300と通信可能に接続される。通信部6と画像処理装置300は、ネットワークを介して通信する。画像処理装置300の詳細は後述する。
【0019】
(画像読取部の構成)
次に、図2、3を用いて、本実施形態に係る画像読取部4を説明する。図2は、本実施形態に係る画像読取部4の一例を示す図である。図3は、本実施形態に係る画像読取部4の制御経路の一例を示すブロック図である。
【0020】
画像読取部4の上面には、コンタクトガラス41が配置される。コンタクトガラス41には、原稿がセットされる。画像読取部4は、コンタクトガラス41上にセットされた原稿の画像面に光を照射する。画像処理部7は原稿からの反射光を画像光として読み取って読取画像データD1を生成する。画像処理部7は、後述するマニュル読取モードにおいて読取画像データD1の傾き補正および位置補正が行われた場合、読取画像データD1を補正した整列画像データD2を生成する。記憶部2は、読取画像データD1および整列画像データD2を記憶する。
【0021】
図2に示すように、原稿押さえ部42が画像読取部4の上方に設けられる。原稿押さえ部42を開閉できるように、画像読取部4の上面かつ複合機200の奥側に回動軸(ヒンジ、図示せず)が設けられる。原稿押さえ部42のうち、複合機200の手前側が自由端となる。複合機200の手前側を上下に揺動させて、原稿押さえ部42を開閉することができる。原稿押さえ部42の下面には、原稿押さえ板(プラテン)43が取り付けられる。例えば、原稿押さえ板43は白色の板である。原稿押さえ部42を閉じたとき、原稿押さえ板43はコンタクトガラス41を上から覆う。原稿押さえ板43は、コンタクトガラス41上にセットされた原稿を押さえてコンタクトガラス41に密着させる。
【0022】
図3に示すように、画像読取部4は、読取制御部40を含む。読取制御部40は画像読取部4の動作を制御する基板である。読取制御部40は、CPU、メモリー、その他の回路を含む。読取制御部40は制御部1からの指示、信号を受け、原稿の読み取りを行う。
【0023】
図2に示すように、画像読取部4は、読取ユニット44、ワイヤー45、巻取ドラム46を含む。読取ユニット44は、CIS方式のスキャンユニットである。ワイヤー45は読取ユニット44と巻取ドラム46に接続される。巻取ドラム46は、正逆回転する巻取モーター47(図3参照)により回転する。読み取りのとき、読取制御部40は、巻取ドラム46を回転させる。これにより、読取ユニット44は水平方向(副走査方向、図2の左右方向)に移動する。
【0024】
読取ユニット44はランプ(光源)44aとイメージセンサー44bを含む。ランプ44aは原稿に光を照射する。イメージセンサー44bは主走査方向に並べられた複数の受光素子(画素)を含む。各受光素子は反射光量に応じたアナログ電気信号を出力する。画像読取部4は画像データ生成部48を含む。画像データ生成部48は、A/D変換部48a、補正部48b、画像メモリー48cを含む。A/D 変換部48aは、イメージセンサー44bの各受光素子のアナログ信号を補正する。
【0025】
また、A/D変換部48aは、補正後の各受光素子のアナログ信号をデジタル値に変換する(例えば、8ビットや10ビット)。これにより、読取画像データD1が生成される。補正部48bは、読取画像データD1を補正する。補正部48bは読み取りに起因する画像の濃度の歪みを補正する画像処理を行う。例えば、補正部48bはシェーディング補正を行う。画像データ生成部48が生成した各ラインの画像データは、画像メモリー48cに蓄積される。このように、画像読取部4は、原稿読み取りに基づく読取画像データD1を生成する。画像メモリー48cに蓄積された画像データ(読取画像データD1)は、記憶部2に送信される。
【0026】
(読取モード)
次に、図3を用いて、本実施形態に係る複合機200が備える画像読取部4の原稿読取モードの一例を説明する。
【0027】
画像読取部4は、コンタクトガラス41上にセットされた原稿を読み取る。画像読取部4は、読取画像データD1を生成する。複合機200では、読取画像データに基づく印刷を行うことができる(印刷ジョブ)。また、複合機200では、読取画像データを送信することもできる(スキャン送信ジョブ)。また、複合機200 では、読取画像データD1を不揮発的に記憶部2に記憶させることもできる(スキャン保存ジョブ)。読取画像データの出力態様としては、印刷、送信、保存がある。印刷、送信、保存のうち何れを行うか(どのジョブを行うか)は、操作パネル5で設定することができる。
【0028】
複合機200は、原稿読取のモードとして、オート読取モード、マニュアル読取モードを備える。タッチパネル52は、モードを選択する操作を受け付ける。タッチパネル52の出力に基づき、制御部1は、選択されたモードを認識する。制御部1は、選択されたモードに応じた処理を行う。
【0029】
オート読取モードは、原稿を自動的に読み取るモードである。原稿がある程度大きい場合、コンタクトガラス41上に原稿が1枚ずつセットされる。オート読取モードでは、制御部1は、画像読取部4にセットされた所定サイズ(例えばA4サイズ)の原稿を1枚ずつ読み取らせる。
【0030】
次に、マニュアル読取モードについて説明する。図4は、本実施形態の画像読取部4を含む複合機200におけるマニュアル読取モードでの処理の流れの一例を示すフローチャートである。図4では、読取画像データの出力態様として印刷を行う場合について示している。
【0031】
先ず、操作者は、コンタクトガラス41に載置された原稿のスキャン範囲をタッチパネル52上で指定する(ステップS1)。具体的には、タッチパネル52で「スキャン範囲選択」というオプション機能を選択する。この機能は、原稿がコンタクトガラス41上のどの位置にあるかを指定する。
【0032】
図5図7は、スキャン範囲選択を実行する際のタッチパネル52の表示例を示す模式図である。「スキャン範囲選択」を選択すると、図5に示すように、「原稿の数と位置を指定してください」という指示が表示される。
【0033】
図6に示すように、操作者は、操作パネルのハードキー53を用いて原稿の数を入力する。ここでは原稿G1、G2の2枚が載置されているため、原稿の数は「2」と入力する。また、指またはタッチペンを用いてタッチパネル52上で原稿G1、G2の位置(範囲)を指定する。原稿の数と位置を指定した後、図7に示すように「完了」ボタンを押すと「スキャン範囲選択」が完了する。図7のハッチング領域で示される原稿G1、G2の位置の指定範囲(スキャン範囲S)は、指定された原稿の大きさに対応したオブジェクトを表示する。そのため、原稿サイズの検知は不要となる。
【0034】
次に、画像読取部4によるスキャン動作を実行する(ステップS2)。具体的には、操作者によりタッチパネル52の「スキャン実行」が選択されると、読取制御部40は、巻取モーター47に制御信号を送信して読取ユニット44のホームポジション(基準位置、図2参照)からの移動を開始する。
【0035】
読取ユニット44は、読取動作を行わずにステップS1で指定されたスキャン範囲Sに向かって移動する。そして、スキャン範囲Sのホームポジションに近い側の端部(第1端部E1)まで移動した時点でランプ44aを点灯させる。そして、原稿からの反射光(画像光)をイメージセンサー44bにより読み取る。読取ユニット44は、スキャン範囲Sのホームポジションから遠い側の端部(第2端部E2)まで移動した後、ホームポジションに戻る。
【0036】
次に、読取制御部40は、読取ユニット44の読取動作によって読み取られた読取画像データD1を生成する(ステップS3)。生成された読取画像データD1は画像メモリー48cに保存される。
【0037】
次に、読取制御部40は、読取画像データD1の傾き補正が必要であるか否かを判定する(ステップS4)。原稿が傾いて載置され、読取画像データD1が傾いている場合は傾き補正が必要であると判定され(ステップS4でYes)、読取制御部40は、画像処理部7の傾き処理部71に読取画像データD1を送信する。傾き処理部71は、傾きが補正された傾き補正画像データを生成する(ステップS5)。
【0038】
次に、読取制御部40は、読取画像データD1の位置補正が必要であるか否かを判定する(ステップS6)。位置補正が必要であると判定された場合は(ステップS6でYes)、読取制御部40は、画像処理部7の整列処理部72に読取画像データD1を送信する。整列処理部72は、位置が補正された位置補正画像データを生成する(ステップS7)。
【0039】
図8図11は、反時計回りに傾いている読取画像データD1の傾きおよび位置補正手順の一例を模式的に示す図である。図8図11を用いて読取画像データD1の傾き補正、位置補正手順について説明する。
【0040】
(傾き補正)
先ず、読取画像データD1の4つの角部の座標を決定する。図8では、コンタクトガラス41の左上角の座標を原点O[0,0]として、右方向に進むにつれて座標jが大きくなり、下方向に進むにつれて座標iが大きくなるものとする。例えば、読取画像データD1の最も左に位置する角部の画素A1の座標を[i,J]とすると、他の3つの角部の画素A2、A3、A4の座標は、それぞれ[i-4,j+9]、[i-1,j+15]、[i+3,j+6]となる。
【0041】
次に、読取画像データD1の最上部の画素が画素A1[i,J]を含む行となるように、図8の破線領域にある画素データを垂直方向(i方向)にシフトする。その結果、画素A2は画素A1と同じ行に移動するため、画素A2の座標は[i-4,j+9]から[i,j+9]にシフトする。また、画素A4の座標は[i+3,j+6]から[i+6,j+6]にシフトする。
【0042】
次に、読取画像データD1の最下部の画素が画素A4[i+6,j+6]を含む行となるように、図8の一点鎖線領域にある画素データを垂直方向(i方向)にシフトする。その結果、画素A3は画素A4と同じ行に移動するため、画素A3の座標は[i-1,j+15]から[i+6,j+15]にシフトする。
【0043】
これにより、上部の画素A1、A2が同じ行[i]となり、下部の画素A3、A4が同じ行[i+6]となった図9のような読取画像データD1に変換される。
【0044】
次に、画素A4が画素A1と同じ列となるように、図9の破線領域にある画素データを水平方向(j方向)にシフトする。その結果、画素A4は画素A1と同じ列に移動するため、画素A4の座標は[i+6,j+6]から[i+6,j]にシフトする。
【0045】
次に、画素A3が画素A2と同じ列となるように、図9の一点鎖線領域にある画素データを水平方向(j方向)にシフトする。その結果、画素A3は画素A2と同じ列に移動するため、画素A3の座標は[i+6,j+15]から[i+6,j+9]にシフトする。
【0046】
これにより、左端部の画素A1、A4が同じ列[j]となり、右端部の画素A2、A3が同じ列[j+9]となった図10のような読取画像データD1に変換される。
【0047】
(位置補正)
最後に、画素A1が原点Oに重なるように、画素データを垂直方向(i方向)および水平方向(j方向)にシフトする。これにより、画像データの左端部および上部がコンタクトガラス41の二辺に沿った図11のような読取画像データD1に変換される。以上のようにして読取画像データD1の傾き補正、位置補正が実行される。
【0048】
なお、図8図11では、反時計回りに傾いている読取画像データD1の傾きおよび位置補正手順について説明したが、読取画像データD1が時計回りに傾いている場合についても同様の手順で補正される。読取画像データD1が時計回りに傾いている場合、垂直方向および水平方向の傾き補正におけるシフト方向は上記と逆になる。
【0049】
図4に戻って、制御部1は、画像データを印刷するための用紙サイズを決定する(ステップS8)。具体的には、画像データの傾き補正を行った場合は(ステップS4でYes)、ステップS5で生成された傾き補正画像データ(整列画像データD2)に基づいて用紙サイズを決定する。画像データの位置補正を行った場合は(ステップS6でYes)、ステップS7で生成された位置補正画像データ(整列画像データD2)に基づいて用紙サイズを決定する。傾き補正および位置補正を行わなかった場合は、ステップS1で指定したスキャン範囲Sに基づいて用紙サイズを決定する。
【0050】
制御部1は、決定されたサイズの用紙を給紙部3aおよび用紙搬送部3b用いて画像形成部3cに搬送し、印刷を実行する(ステップS9)。
【0051】
図4に示した制御例によれば、ユーザーが予め原稿の位置および数(スキャン範囲S)を指定することにより、読取ユニット44は読取動作を行わずにホームポジションから移動して、スキャン範囲Sのみで読取動作を実行する。その結果、読取ユニット44はスキャン範囲Sを超えてホームポジションと反対側の位置(図2の右端)まで移動しない。従って、読取が不要な領域での読取動作を回避することができ、スキャン時間を短縮することができる。
【0052】
また、読取ユニット44のランプ44aの点灯時間も短縮できるため、消費電力の低減やランプ44aの長寿命化の効果も期待でき、画像読取部4のランニングコストの低下にも繋がる。
【0053】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、本実施形態では画像読取部4の読取ユニット44がランプ44aとイメージセンサー44bとを備える例について示したが、読取ユニット44がランプ44aと反射ミラーとを備え、画像読取部4の筐体に固定されたイメージセンサー44bに画像光を導光する構成であってもよい。
【0054】
また、上記実施形態ではタッチパネル52を用いてスキャン範囲Sを指定したが、スキャン範囲Sを指定する手段はタッチパネル52に限定されるものではない。例えば、表示パネル51と、表示パネル51上を移動するカーソルとを用いてスキャン範囲Sを指定してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、画像読取部4が複合機200に搭載された画像読取システム100について示したが、画像読取部4が搭載される機器は、カラーおよびモノクロプリンター、モノクロ複写機、カラーおよびファクシミリ、スキャナー等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、原稿を読みとって画像データを生成する画像読取装置に利用可能である。本発明の利用により、原稿のサイズや位置に合わせてスキャン範囲を簡単に設定可能な画像読取装置および画像読取システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 制御部
4 画像読取部(画像読取装置)
7 画像処理部
40 読取制御部(制御部)
41 コンタクトガラス
44 読取ユニット
44a ランプ(光源)
44b イメージセンサー
45 ワイヤー(駆動部)
46 巻取ドラム(駆動部)
47 巻取モーター(駆動部)
52 タッチパネル(入力部)
53 ハードキー(入力部)
100 画像形成システム
200 複合機(画像形成装置)
S スキャン範囲
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図10
図11