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  • 特開-融着方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150119
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】融着方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/34 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
B29C65/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063379
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】岡部 良次
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 保徳
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AA29
4F211AA32
4F211AA34
4F211AA40
4F211AB13
4F211AD16
4F211AG01
4F211AG03
4F211AR06
4F211AR08
4F211AR12
4F211TA01
4F211TC01
4F211TD11
4F211TN29
4F211TQ01
4F211TW15
(57)【要約】
【課題】融着面内における温度分布の均一化を図り、被着体同士を好適に融着する。
【解決手段】被着体同士の間に絶縁層を介して配置される発熱体を発熱させて、被着体同士を融着する融着方法であって、前記被着体は、炭素繊維と、前記炭素繊維に含浸させた熱可塑性樹脂と、を含み、前記発熱体は、カーボンナノチューブを含む繊維の繊維方向を異ならせて配向した繊維シートを含み、前記絶縁層は、樹脂を含み、前記被着体同士の間に前記発熱体を配置すると共に、前記被着体と前記発熱体との間に前記絶縁層を配置するステップと、前記発熱体を昇温して、前記熱可塑性樹脂の融点温度または前記熱可塑性樹脂の結晶化開始温度よりも高い温度まで加熱するステップと、加熱後、前記融点温度以下または前記結晶化開始温度以下の温度から、前記結晶化停止温度または前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度までの範囲において、前記被着体同士を加圧するステップと、を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体同士の間に絶縁層を介して配置される発熱体を発熱させて、被着体同士を融着する融着方法であって、
前記被着体は、炭素繊維と、前記炭素繊維に含浸させた熱可塑性樹脂と、を含み、
前記発熱体は、カーボンナノチューブを含む繊維の繊維方向を異ならせて配向した繊維シートを含み、
前記絶縁層は、樹脂を含み、
前記被着体同士の間に前記発熱体を配置すると共に、前記被着体と前記発熱体との間に前記絶縁層を配置するステップと、
前記発熱体を昇温して、前記熱可塑性樹脂の融点温度よりも高い温度または前記熱可塑性樹脂の結晶化開始温度よりも高い温度まで加熱するステップと、
加熱後、前記融点温度以下または前記結晶化開始温度以下の温度から、結晶化停止温度または前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度までの範囲において、前記被着体同士を加圧するステップと、を実行する融着方法。
【請求項2】
前記繊維シートは、不織布である請求項1に記載の融着方法。
【請求項3】
前記繊維シートは、前記カーボンナノチューブの目付量が、10g/m以下である請求項1に記載の融着方法。
【請求項4】
前記発熱体は、前記繊維シートに含浸させた樹脂を、さらに含む請求項1に記載の融着方法。
【請求項5】
前記繊維シートに含浸する前記樹脂の含浸率は、9%以上となっている請求項4に記載の融着方法。
【請求項6】
前記繊維シートに含浸する前記樹脂の含浸率は、24%から100%の範囲となっている請求項5に記載の融着方法。
【請求項7】
前記繊維シートに含浸する前記樹脂の含浸率は、56%以上となっている請求項6に記載の融着方法。
【請求項8】
前記発熱体は、前記被着体が融着する融着部位と、前記発熱体を発熱させるための電極が接触する電極部位と、を含み、
前記樹脂は、前記融着部位に含浸する一方で、前記電極部位に含浸していない請求項4に記載の融着方法。
【請求項9】
前記発熱体の厚みは、0.12mm以下である請求項1に記載の融着方法。
【請求項10】
前記絶縁層の厚みは、0.06mm以下である請求項1に記載の融着方法。
【請求項11】
前記絶縁層は、前記樹脂が含浸するガラス繊維をさらに含む請求項1に記載の融着方法。
【請求項12】
前記被着体同士を加圧するステップでは、前記被着体の冷却速度が、予め要求される結晶化度を満足する冷却速度となっている請求項1に記載の融着方法。
【請求項13】
前記冷却速度は、100℃/min以下である請求項12に記載の融着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被着体同士を融着する融着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、炭素繊維基材と熱可塑性樹脂とを含む第1複合材と第2複合材とを融着させる融着方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この融着方法では、第1複合材および第2複合材が加圧された状態で、第1複合材と第2複合材との間に配置した通電シートを加熱させることで、第1複合材と第2複合材とを融着させている。通電シートは、一方向に配向された炭素繊維基材となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-175320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、通電シート等の炭素繊維を含む発熱体として、一方向材を用いる場合、被着体の融着面内において、配向方向に直交する方向の温度分布が不均一、つまり、融着面内における温度差が大きくなり易く、融着強度が低下する可能性がある。また、被着体同士が加圧された状態で、発熱体により被着体を加熱すると、被着体に含まれる炭素繊維と発熱体とが短絡し易くなり、融着面内において、温度分布が不均一になり易く、融着強度が低下する可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、融着面内における温度分布の均一化を図り、被着体同士を好適に融着することができる融着方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の融着方法は、被着体同士の間に絶縁層を介して配置される発熱体を発熱させて、被着体同士を融着する融着方法であって、前記被着体は、炭素繊維と、前記炭素繊維に含浸させた熱可塑性樹脂と、を含み、前記発熱体は、カーボンナノチューブを含む繊維の繊維方向を異ならせて配向した繊維シートを含み、前記絶縁層は、樹脂を含み、前記被着体同士の間に前記発熱体を配置すると共に、前記被着体と前記発熱体との間に前記絶縁層を配置するステップと、前記発熱体を昇温して、前記熱可塑性樹脂の融点温度または前記熱可塑性樹脂の結晶化開始温度よりも高い温度まで加熱するステップと、加熱後、前記融点温度以下または前記結晶化開始温度以下の温度から、結晶化停止温度または前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度までの範囲において、前記被着体同士を加圧するステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、被着体同士を好適に融着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第一実施形態に係る融着方法の説明図である。
図2図2は、第一実施形態に係る融着方法の温度および圧力の変化に関するグラフである。
図3図3は、第二実施形態に係る融着方法の説明図である。
図4図4は、融着方法の一例の試験結果に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの開示が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能であり、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせることも可能である。
【0010】
[第一実施形態]
第一実施形態に係る融着方法は、被着体5同士の間に絶縁層6を介して配置される発熱体7を発熱させて、被着体5同士を融着する方法となっている。図1は、第一実施形態に係る融着方法の説明図である。図2は、第一実施形態に係る融着方法の温度および圧力の変化に関するグラフである。先ずは、被着体5、絶縁層6及び発熱体7についてそれぞれ説明する。
【0011】
被着体5は、炭素繊維と、炭素繊維に含浸させた熱可塑性樹脂と、を含む複合材である。被着体5は、例えば、板状に形成されている。炭素繊維は、導電性を有する繊維である。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミド(PA)等である。
【0012】
絶縁層6は、少なくとも樹脂を含むシートである。絶縁層6は、樹脂を用いた樹脂フィルム、または、ガラス繊維やガラスビーズに樹脂を含浸させたガラスマットが用いられる。また、絶縁層6の樹脂は、被着体5に含まれる樹脂と同じ樹脂となっている。絶縁層6の厚みは、0.06mm以下となっている。
【0013】
発熱体7は、カーボンナノチューブを含む繊維を用いてシート状に形成した繊維シートであり、通電されることで発熱する抵抗体となっている。発熱体7には、一対の(正極及び負極の)電極11が接触する。繊維シートは、カーボンナノチューブの目付量が、10g/m以下となっている。発熱体7は、繊維の繊維方向を異ならせている。発熱体7は、不織布であってもよいし、織布であってもよい。発熱体7の厚みは、0.12mm以下となっている。
【0014】
また、発熱体7は、繊維シートに樹脂を含浸させたものであってもよい。繊維シートに樹脂を含浸させる場合、樹脂は、被着体5に含まれる熱可塑性樹脂と同じであることが好ましい。繊維シートに含浸する樹脂の含浸率は、9%以上であればよく、好ましくは、24%から100%の範囲であればよい。最適な含浸率としては、56%以上となっている。
【0015】
(融着方法)
次に、図1及び図2を参照して、融着方法について説明する。図1に示すように、融着方法では、被着体5同士の間に発熱体7を配置すると共に、被着体5と発熱体7との間に絶縁層6を配置するステップS1を実行する。具体的に、図1に示すように、ステップS1では、被着体5同士、つまり2つの被着体5を重ね合わせるときに、2つの被着体5の間に発熱体7を配置する。このとき、発熱体7は、電極11が接触する部位が外部に露出するように配置される。2つの被着体5と発熱体7とのそれぞれの間には、絶縁層6が配置されるため、発熱体7及び2つの絶縁層6は、積層された3層構造となる。なお、発熱体7及び2つの絶縁層6は、一体化させることで単層構造としてもよい。また、発熱体7及び2つの絶縁層6は、2つの被着体5のそれぞれに一体化されていてもよい。
【0016】
ステップS1の実行後、融着方法では、発熱体7を昇温して、被着体5に含まれる熱可塑性樹脂の融点温度よりも高い温度または熱可塑性樹脂の結晶化開始温度よりも高い温度まで加熱するステップS2を実行する。ステップS2では、図2に示すように、電極11から発熱体7に通電を行うことで、熱可塑性樹脂の融点温度よりも高い温度Tまで加熱する。また、ステップS2では、被着体5同士の加圧は実行されない。なお、ステップS2では、被着体5に対して積極的な加圧は実行しないものの、自重等による接触圧は発生している。なお、ステップS2では、被着体5の熱可塑性樹脂の温度Tを、熱可塑性樹脂の融点温度よりも高い温度としたが、熱可塑性樹脂の結晶化開始温度よりも高い温度であってもよい。
【0017】
ステップS2の実行後、融着方法では、ステップS1における加熱後、熱可塑性樹脂の融点温度以下または熱可塑性樹脂の結晶化開始温度以下の温度から、熱可塑性樹脂の結晶化停止温度または熱可塑性樹脂のガラス転移温度までの範囲において、被着体5同士を加圧するステップS3を実行する。ステップS3では、図2に示すように、熱可塑性樹脂が融点温度以下になるまでは、加圧をせずに、熱可塑性樹脂が融点温度以下になると、被着体5同士の加圧を開始する。ステップS3では、加圧時において、被着体5の冷却速度が、予め要求される結晶化度を満足する冷却速度となっており、具体的に、冷却速度は、100℃/min以下となっている。そして、ステップS3では、熱可塑性樹脂の結晶化停止温度または熱可塑性樹脂のガラス転移温度になるまでは、被着体5同士の加圧を実行し続ける。なお、ステップS3における被着体5同士の加圧は、熱可塑性樹脂の結晶化停止温度または熱可塑性樹脂のガラス転移温度より低くなった後、継続して実行してもよいし、解除してもよい。
【0018】
[第二実施形態]
次に、図3を参照して、第二実施形態について説明する。図3は、第二実施形態に係る融着方法の説明図である。なお、第二実施形態では、重複した記載を避けるべく、第一実施形態と異なる部分について説明し、第一実施形態と同様の構成である部分については、同じ符号を付して説明する。
【0019】
第二実施形態の融着方法は、第一実施形態の発熱体7において、熱可塑性樹脂が含浸する部位と、熱可塑性樹脂が含浸していない部位とを有している。具体的に、発熱体7は、被着体5が融着する融着部位7aと、電極11が接触する電極部位7bと、を含んでいる。熱可塑性樹脂は、融着部位7aに含浸する一方で、電極部位7bに含浸していない。つまり、発熱体7は、熱可塑性樹脂が含浸する部位が融着部位7aとなっており、熱可塑性樹脂が含浸していない部位が電極部位7bとなっている。そして、発熱体7は、電極部位7bが外部に露出した状態で、被着体5の間に配置される。
【0020】
次に、図4を参照して、融着方法における発熱体7及び絶縁層6の一例の試験結果について説明する。図4は、融着方法の一例の試験結果に関する説明図である。発熱体7は、カーボンナノチューブを含む繊維を用いた不織布(繊維シート)であり、この不織布に熱可塑性樹脂を含浸させたものである。また、発熱体7は、融着部位7aに樹脂を含浸させる一方で、電極部位7bに樹脂を含浸させていないものとなっている。そして、発熱体7の融着部位7aにおいて、厚みが0.07mmとなっている。絶縁層6は、ガラス繊維に樹脂を含浸させたガラスマットとなっており、厚みが0.05mmとなっている。
【0021】
上記の発熱体7及び絶縁層6を用いた試験結果では、被着体5同士の融着が成功し、融着した融着品の強度試験結果が、樹脂強度の80%以上の結果が得られた。このため、十分な融着強度が得られることが確認された。
【0022】
以上のように、第一実施形態から第二実施形態に記載の融着方法は、例えば、以下のように把握される。
【0023】
第1の態様に係る融着方法は、被着体5同士の間に絶縁層6を介して配置される発熱体7を発熱させて、被着体5同士を融着する融着方法であって、前記被着体5は、炭素繊維と、前記炭素繊維に含浸させた熱可塑性樹脂と、を含み、前記発熱体7は、カーボンナノチューブを含む繊維の繊維方向を異ならせて配向した繊維シートを含み、前記絶縁層6は、樹脂を含み、前記被着体5同士の間に前記発熱体7を配置すると共に、前記被着体5と前記発熱体7との間に前記絶縁層6を配置するステップS1と、前記発熱体7を昇温して、前記熱可塑性樹脂の融点温度よりも高い温度または前記熱可塑性樹脂の結晶化開始温度よりも高い温度まで加熱するステップS2と、加熱後、前記融点温度以下または前記結晶化開始温度以下の温度から、結晶化停止温度または前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度までの範囲において、前記被着体5同士を加圧するステップS3と、を実行する。
【0024】
この構成によれば、発熱体7として、カーボンナノチューブを含む繊維シートを用いることができるため、発熱体7の加熱時における被着体5の温度分布の均一化を図り、被着体5同士が融着する融着面内における温度差を小さくすることができる。また、被着体同士の加圧時において、融点温度以下または結晶化開始温度以下の温度から、結晶化停止温度または熱可塑性樹脂のガラス転移温度までの範囲において実行することができるため、被着体5に含まれる炭素繊維と発熱体とが短絡し難くなり、融着面内において、温度分布の均一化を図ることができる。以上から、融着面内における温度分布の均一化を図ることができ、被着体5同士を好適に融着することができる。
【0025】
第2の態様として、第1の態様に係る融着方法において、前記繊維シートは、不織布である。
【0026】
この構成によれば、発熱体7の加熱時における温度分布の均一化をより図ることができる。
【0027】
第3の態様として、第1または第2の態様に係る融着方法において、前記繊維シートは、前記カーボンナノチューブの目付量が、10g/m以下である。
【0028】
この構成によれば、カーボンナノチューブの目付量を適切な目付量とすることができるため、発熱体7による加熱を好適に行うことができ、被着体5の融着強度を十分な強度とすることができる。
【0029】
第4の態様として、第1から第3のいずれか1つの態様に係る融着方法において、前記発熱体は、前記繊維シートに含浸させた樹脂を、さらに含む。
【0030】
この構成によれば、発熱体7の繊維シートに樹脂を含浸させることができるため、被着体5と発熱体7との融着を好適なものとすることができ、被着体5同士の融着も好適なものとすることができる。
【0031】
第5の態様として、第4の態様に係る融着方法において、前記繊維シートに含浸する前記樹脂の含浸率は、9%以上となっている。
【0032】
この構成によれば、発熱体7の加熱時における温度分布の均一化を適切に図ることができる。
【0033】
第6の態様として、第5の態様に係る融着方法において、前記繊維シートに含浸する前記樹脂の含浸率は、24%から100%の範囲となっている。
【0034】
この構成によれば、発熱体7の加熱時における温度分布の均一化をより適切に図ることができる。
【0035】
第7の態様として、第6の態様に係る融着方法において、前記繊維シートに含浸する前記樹脂の含浸率は、56%以上となっている。
【0036】
この構成によれば、発熱体7の加熱時における温度分布の均一化を最適なものとすることができる。
【0037】
第8の態様として、第4の態様に係る融着方法において、前記発熱体7は、前記被着体5が融着する融着部位7aと、前記発熱体7を発熱させるための電極11が接触する電極部位7bと、を含み、前記樹脂は、前記融着部位7aに含浸する一方で、前記電極部位7bに含浸していない。
【0038】
この構成によれば、発熱体7の繊維シートに対して、電極11を適切に接触させることができる。
【0039】
第9の態様として、第1から第8のいずれか1つの態様に係る融着方法において、前記発熱体の厚みは、0.12mm以下である。
【0040】
この構成によれば、発熱体7の厚みを薄くすることができるため、被着体5同士を好適に融着させることができる。
【0041】
第10の態様として、第1から第9のいずれか1つの態様に係る融着方法において、前記絶縁層の厚みは、0.06mm以下である。
【0042】
この構成によれば、発熱体7から被着体5への伝熱を好適に行うことができる。
【0043】
第11の態様として、第1から第10のいずれか1つの態様に係る融着方法において、前記絶縁層6は、前記樹脂が含浸するガラス繊維をさらに含む。
【0044】
この構成によれば、絶縁層6により発熱体7と被着体5の炭素繊維との短絡を好適に抑制することができる。
【0045】
第12の態様として、第1から第11のいずれか1つの態様に係る融着方法において、前記被着体5同士を加圧するステップS2では、前記被着体5の冷却速度が、予め要求される結晶化度を満足する冷却速度となっている。
【0046】
この構成によれば、被着体5同士を加圧時において、熱可塑性樹脂の結晶化を促す温度とすることができるため、融着強度を高めることができる。
【0047】
第13の態様として、第12の態様に係る融着方法において、前記冷却速度は、100℃/min以下である。
【0048】
この構成によれば、熱可塑性樹脂の温度を結晶化に適した温度にすることができる。
【符号の説明】
【0049】
5 被着体
6 絶縁層
7 発熱体
11 電極
図1
図2
図3
図4