(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150165
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】血液浄化装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/14 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
A61M1/14 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063441
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 祥人
(72)【発明者】
【氏名】石井 浩
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077HH21
(57)【要約】
【課題】所定の高さに位置する機器に対して作業を実施する際に、機器に関する情報をディスプレイで参照することを容易とする。
【解決手段】本開示に基づく血液浄化装置1において、本体部10は、液体が流れるチューブ2を取り付けおよび取り外し可能な機器11を有する。ディスプレイ30は、上記機器11に対するチューブ2の取り付けに関する情報、取り外しに関する情報、および、上記機器11の操作方法の少なくとも1つを表示可能である。上記機器11は、鉛直方向Zにおいて、本体部10の載置面18からディスプレイ30の上端までの高さの半分の高さより下方に位置している。係合部32は、支持部20に係合し、水平方向を軸方向として支持部20に対して回動可能である。表示面部31は、係合部32が支持部20に対して回動することにより、斜め下方に向くことが可能に構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流れるチューブを取り付けおよび取り外し可能な機器を有する本体部と、
前記本体部の上部に接続され、鉛直方向を軸方向として回動可能な支持部と、
前記支持部に支持され、前記機器に対する前記チューブの取り付けに関する情報、取り外しに関する情報、および、前記機器の操作方法の少なくとも1つを表示可能なディスプレイと、を備え、
前記機器は、前記鉛直方向において、前記本体部の載置面から前記ディスプレイの上端までの高さの半分の高さより下方に位置し、
前記ディスプレイは、
表示面部と、
前記支持部に係合し、水平方向を軸方向として前記支持部に対して回動可能な係合部とを有し、
前記表示面部は、前記係合部が前記支持部に対して回動することにより、斜め下方に向くことが可能に構成されている、血液浄化装置。
【請求項2】
前記本体部は、
正面部と、
前記正面部とは反対側に位置する背面部と、
前記正面部および前記背面部の両方に接続する一対の側面部とをさらに有し、
前記支持部は、前記本体部の前記背面部寄りの位置に接続されており、
前記支持部は、前記鉛直方向から見て前記正面部を向く方向を基準として両側に45度以上回動可能である、請求項1に記載の血液浄化装置。
【請求項3】
前記表示面部は、前記係合部が前記支持部に対して回動することにより、前記鉛直方向に対して10度以上の角度で交差するように傾くことが可能に構成されている、請求項1または請求項2に記載の血液浄化装置。
【請求項4】
前記表示面部は、前記係合部が前記支持部に対して回動することにより、前記鉛直方向に対して20度以上の角度で交差するように傾くことが可能に構成されている、請求項3に記載の血液浄化装置。
【請求項5】
前記鉛直方向から見たときの前記ディスプレイの重心位置が、前記本体部と重なる領域内でのみ変位する、請求項1または請求項2に記載の血液浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、血液浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-063262号公報(特許文献1)には、IABP駆動装置等の医療機器を駆動する駆動装置等に用いられるモニタ支持構造が開示されている。特許第6847407号公報(特許文献2)には、体外血液処理装置の動作中に使用されるディスプレイを取り付けるための複数軸モニタマウントを有する体外血液処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-063262号公報
【特許文献2】特許第6847407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開閉バルブまたはポンプなどの機器が設けられた血液浄化装置が知られている。当該機器には、液体が流れるチューブが取り付けおよび取り外し可能に構成される。また、血液浄化装置が、本体部の上部にディスプレイをさらに備えることも知られている。当該ディスプレイには、たとえば、血液浄化装置に関する所定の情報が表示される。
【0005】
ここで、血液浄化装置の操作者は、当該ディスプレイに表示される情報を参考にしつつ、当該機器に対する作業を行う場合がある。このとき、操作者は、ディスプレイを本体部に対して駆動させることにより、ディスプレイの表示面を操作者の方に可能な限り向けようとする。しかしながら、上記機器の取り付けられている位置によっては、ディスプレイに表示された情報を確認しながらの作業が容易でない場合がある。
【0006】
本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、所定の高さに位置する機器に対して作業を実施する際に、機器に関する情報をディスプレイで参照することが容易となる、血液浄化装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に基づく血液浄化装置は、本体部と、支持部と、ディスプレイと、を備える。本体部は、液体が流れるチューブを取り付けおよび取り外し可能な機器を有する。支持部は、本体部の上部に接続される。支持部は、鉛直方向を軸方向として回動可能である。ディスプレイは、支持部に支持されている。ディスプレイは、上記機器に対するチューブの取り付けに関する情報、取り外しに関する情報、および、上記機器の操作方法の少なくとも1つを表示可能である。上記機器は、鉛直方向において、本体部の載置面からディスプレイの上端までの高さの半分の高さより下方に位置している。ディスプレイは、表示面部と、係合部とを有している。係合部は、支持部に係合する。係合部は、水平方向を軸方向として支持部に対して回動可能である。表示面部は、係合部が支持部に対して回動することにより、斜め下方に向くことが可能に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、表示面部を斜め下方に向けることにより、所定の高さに位置する機器に対して作業を実施しながら、機器に関する情報をディスプレイで容易に参照できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る血液浄化装置の回路の構成を模式的に示す回路図である。
【
図2】本実施形態に係る血液浄化装置を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る血液浄化装置を示す側面図である。
【
図4】本実施形態に係る血液浄化装置を示す平面図である。
【
図5】本実施形態に係る血液浄化装置の係合部が回動した後の状態の一例を示す斜視図である。
【
図6】本実施形態に係る血液浄化装置の係合部が回動した後の状態の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態に係る血液浄化装置の構成について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る血液浄化装置の回路の構成を模式的に示す回路図である。
図1に示すように、本実施形態に係る血液浄化装置1は、具体的には、持続緩徐式血液浄化療法(Continuous Renal Replacement Therapy:CRRT)に用いられる血液浄化装置である。ただし、血液浄化装置1は、持続的血液濾過透析法(continuous hemodiafiltration:CHDF)、持続的血液ろ過法(continuous hemofiltration:CHF)、持続的血液透析法(continuous hemodialysis:CHD)、および、持続緩徐式限外濾過(Slow Continuous UltraFiltration:SCUF)のいずれかに用いられるものであってもよい。血液浄化装置1は、病院内において、たとえば、手術室、集中治療室、救急集中治療室、病室、または、準備室など、様々な場所で使用され得る。
【0012】
血液浄化装置1は、血液浄化器101、複数の開閉バルブ102、および、複数のポンプ103を備えている。血液浄化器101、複数の開閉バルブ102、および、複数のポンプ103には、それぞれ、血液、薬液または排液などの所定の液体が流れる可撓性のチューブ2が複数取り付けられる。
【0013】
たとえば、複数のチューブ2のうちの1つは、動脈側血液回路として、血液浄化器101の血液入口に取り付けられる。当該血液入口に取り付けられたチューブ2は、動脈側開閉バルブ102aにさらに取り付けられる。また、複数のチューブ2のうち他の1つは、静脈側血液回路として、血液浄化器101の血液出口に取り付けられる。血液出口に取り付けられたチューブ2は、静脈側開閉バルブ102bにさらに取り付けられる。動脈側開閉バルブ102aおよび静脈側開閉バルブにそれぞれ取り付けられた複数のチューブ2は、これらのバルブから取り外すこともできる。
【0014】
図2は、本実施形態に係る血液浄化装置を示す斜視図である。
図3は、本実施形態に係る血液浄化装置を示す側面図である。
図4は、本実施形態に係る血液浄化装置を示す平面図である。
図2から
図4に示すように、本実施形態に係る血液浄化装置を示す本実施形態に係る血液浄化装置1は、本体部10と、支持部20と、ディスプレイ30と、をさらに備えている。
【0015】
本体部10は、機器11と、上部14と、正面部15と、背面部16と、一対の側面部17と、載置面18とを有している。
【0016】
機器11は、チューブ2を取り付けおよび取り外し可能に構成されている。機器11は、具体的にはチューブ2を閉止可能な開閉バルブ102を有するバルブユニットである。機器11は、より具体的には、上述した動脈側開閉バルブ102aおよび静脈側開閉バルブ102bを有する、バルブユニットである(
図1参照)。
【0017】
機器11は、鉛直方向Zにおいて、本体部10の載置面18からディスプレイ30の上端までの高さの半分の高さより下方に位置している。本実施形態において説明される機器11は、上述の通りバルブユニットである。しかしながら、血液浄化器101、その他の開閉バルブ102およびポンプ103も、本体部10の載置面18からディスプレイ30の上端までの高さの半分の高さより下方に位置していてもよい。血液浄化器101、その他の開閉バルブ102およびポンプ103がこのような高さに位置している場合、以下の説明における機器11は、血液浄化器101、その他の開閉バルブ102またはポンプ103であってもよい。
【0018】
上部14は、正面部15、背面部16、および一対の側面部17とそれぞれ接続している。側面部17側から血液浄化装置1を見たときに、上部14は少なくとも一部が傾斜している。
【0019】
正面部15上には、機器11が位置している。機器11は、側面部17上に位置していてもよい。背面部16は、正面部15とは反対側に位置している。一対の側面部17は、それぞれ、正面部15および背面部16の両方に接続している。
【0020】
本体部10は、回動可能な複数のキャスタ19をさらに有する。複数のキャスタ19の下端部が、本体部10の載置面18を構成する。複数のキャスタ19が地面に接しつつ回動することにより、操作者は血液浄化装置1を容易に移動させることができる。たとえば、操作者は、血液浄化装置1を一の治療室から他の治療室まで素早く移動させることができる。
【0021】
支持部20は、本体部10の上部14に接続されている。支持部20は、本体部10の背面部16寄りの位置に接続されている。支持部20は、本体部10の上部14に直接接続されて鉛直方向に延びる軸部21と、軸部21から斜め上方に延出する延出部22とを有している。軸部21と延出部22とは、互いに固定接続されており、関節部を介して接続されていない。
【0022】
支持部20は、鉛直方向Zを軸方向として回動可能である。具体的には、軸部21が、鉛直方向Zを軸方向として回動可能に前記本体部10の上部14に直接接続される。支持部20と本体部10との接続態様としては、従来公知のものが採用され得る。
【0023】
支持部20は、鉛直方向Zから見て正面部15を向く方向を基準として両側に45度以上回動可能である。すなわち、鉛直方向Zから見て、軸部21の中心から正面部15の中央を結ぶ直線と、軸部21の中心から延出部22の延びる方向に延びる直線とのなす角度αが、45度以上となるように、支持部20が回動可能に構成される。
【0024】
機器11に対するチューブ2の取り付けに関する情報、取り外しに関する情報、および、機器11の操作方法の少なくとも1つを表示可能である。ディスプレイ30は、支持部20に支持されている。具体的には、ディスプレイ30は、延出部22に支持されている。
【0025】
ディスプレイ30は、表示面部31と、係合部32とを有している。係合部32は、支持部20に係合している。係合部32は、具体的には延出部22に係合している。
【0026】
図5は、本実施形態に係る血液浄化装置の係合部が回動した後の状態の一例を示す斜視図である。
図6は、本実施形態に係る血液浄化装置の係合部が回動した後の状態の一例を示す側面図である。
図5および
図6に示すように、係合部32は、水平方向を軸方向として支持部20(具体的には延出部22)に対して回動可能である。係合部32と支持部20(延出部22)との接続態様としては、従来公知のものが採用され得る。
【0027】
そして、表示面部31は、係合部32が支持部20(延出部22)に対して回動することにより、斜め下方に向くことが可能に構成されている。これにより、表示面部31を斜め下方に向けることにより、所定の高さに位置する機器11に対して作業を実施しながら、機器11に関する情報をディスプレイ30で容易に参照できる。また、表示面部31が斜め下方に傾いたときに、本体部10の上部14のうち、表示面部31の下方に位置する部分は、正面部15に向かって斜め下方に傾いている。これにより、所定の高さに位置する機器11に対して作業を実施しながら、機器11に関する情報をディスプレイ30でより容易に参照できる。
【0028】
表示面部31は、係合部32が支持部20に対して回動することにより、鉛直方向Zに対して好ましくは10度以上、より好ましくは15度以上、さらに好ましくは20度以上の角度で交差するように傾くことが可能に構成される。これにより、所定の高さに位置する機器11に対する作業を実施しながら、機器11に関する情報をディスプレイ30にて参照することの容易性が向上する。
図6において、上記角度は角度βとして示している。
【0029】
なお、上記のように支持部20が本体部10に対して回動したり、ディスプレイ30の係合部32が支持部20に対して回動した場合であっても、鉛直方向Zから見たときのディスプレイ30の重心位置Pは、本体部10と重なる領域内でのみ変位する。これにより、ディスプレイ30を変位させた場合においても、鉛直方向Zから見たときの血液浄化装置1全体の重心の偏りが比較的小さくなるため、血液浄化装置1を水平方向に容易に移動させることができる。
【0030】
[付記]
以上のように、本開示の実施形態は以下のような開示を含む。
【0031】
(構成1)
液体が流れるチューブ(2)を取り付けおよび取り外し可能な機器(11)を有する本体部(10)と、
前記本体部(10)の上部(14)に接続され、鉛直方向(Z)を軸方向として回動可能な支持部(20)と、
前記支持部(20)に支持され、前記機器(11)に対する前記チューブ(2)の取り付けに関する情報、取り外しに関する情報、および、前記機器(11)の操作方法の少なくとも1つを表示可能なディスプレイ(30)と、を備え、
前記機器(11)は、前記鉛直方向(Z)において、前記本体部(10)の載置面(18)から前記ディスプレイ(30)の上端までの高さの半分の高さより下方に位置し、
前記ディスプレイ(30)は、
表示面部(31)と、
前記支持部(20)に係合し、水平方向を軸方向として前記支持部(20)に対して回動可能な係合部(32)とを有し、
前記表示面部(31)は、前記係合部(32)が前記支持部(20)に対して回動することにより、斜め下方に向くことが可能に構成されている、血液浄化装置(1)。
【0032】
(構成2)
前記本体部(10)は、
正面部(15)と、
前記正面部(15)とは反対側に位置する背面部(16)と、
前記正面部(15)および前記背面部(16)の両方に接続する一対の側面部(17)とをさらに有し、
前記支持部(20)は、前記本体部(10)の前記背面部(16)寄りの位置に接続されており、
前記支持部(20)は、前記鉛直方向(Z)から見て前記正面部(15)を向く方向を基準として両側に45度以上回動可能である、構成1に記載の血液浄化装置(1)。
【0033】
(構成3)
前記表示面部(31)は、前記係合部(32)が前記支持部(20)に対して回動することにより、前記鉛直方向(Z)に対して10度以上の角度で交差するように傾くことが可能に構成されている、構成1または構成2に記載の血液浄化装置(1)。
【0034】
(構成4)
前記表示面部(31)は、前記係合部(32)が前記支持部(20)に対して回動することにより、前記鉛直方向(Z)に対して20度以上の角度で交差するように傾くことが可能に構成されている、構成3に記載の血液浄化装置(1)。
【0035】
(構成5)
鉛直方向(Z)から見たときの前記ディスプレイ(30)の重心位置(P)が、前記本体部(10)と重なる領域内でのみ変位する、構成1から構成4のいずれか1つに記載の血液浄化装置(1)。
【0036】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0037】
1 血液浄化装置、2 チューブ、10 本体部、11 機器、14 上部、15 正面部、16 背面部、17 側面部、18 載置面、19 キャスタ、20 支持部、21 軸部、22 延出部、30 ディスプレイ、31 表示面部、32 係合部、101 血液浄化器、102 開閉バルブ、102a 動脈側開閉バルブ、102b 静脈側開閉バルブ、103 ポンプ。