(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150178
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】工事資材の管理コンピュータシステム及び管理方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20241016BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063458
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】坂根 一聡
(72)【発明者】
【氏名】小椋 孝太
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】工事資材を生産から出荷、納品、施用まで一元的に管理し、トレース可能なシステムを提供する。
【解決手段】工事資材管理コンピュータシステム10は、生産された工事資材2の品名、型番等の資材特定情報を含む生産情報を情報入力端末4から受け付け、これに応じて、工事資材2を識別する資材識別コードをコード取得端末4へ発行するとともに、生産情報及び資材識別コードを含む管理情報14をデータベース12dに記憶する。発行された資材識別コードはバーコード化されて工事資材2に付される。工事資材管理コンピュータシステム10は、出荷側端末5からの資材識別コードの読み取り情報を出荷情報として管理情報14に加え、入荷側端末6からの資材識別コードの読み取り情報を納品情報として管理情報14に加え、施用側端末7からの資材識別コードの読み取り情報を施用情報として管理情報14に加える。管理情報14は管理情報閲覧端末8に提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土木工事用又は建設工事用の工事資材の生産、出荷、納品、施用を管理する工事資材管理コンピュータシステムであって、
生産された工事資材を特定する資材特定情報を含む生産情報を情報入力端末から受け付ける生産情報受付部と、
前記生産情報の受け付けに応じて、前記工事資材を識別する資材識別コードをコード取得端末へ発行するコード発行部と、
前記生産情報及び前記資材識別コードを含む管理情報を記憶するデータベースと、
出荷側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて出荷情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える出荷受付処理部と、
入荷側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて納品情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える納品受付処理部と、
施用側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて施用情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える施用受付処理部と、
前記管理情報を管理情報閲覧端末に提供する管理情報提供部と
を備えたことを特徴とする工事資材管理コンピュータシステム。
【請求項2】
前記生産情報、前記出荷情報、前記納品情報の何れかの受付日又は前記生産情報に含まれる生産日を起算日とする経過期間が許容期間に対して所定以内又は超過していないか否かを判定して、所定以内又は超過と判定されたときは、前記管理情報閲覧端末に供する管理情報に期間アラート情報を付加する期間管理部を、更に備えた請求項1に記載の工事資材管理コンピュータシステム。
【請求項3】
前記納品情報の受付時における前記出荷情報の受付の有無、又は前記施用情報の受付時における前記納品情報若しくは前記出荷情報の受付の有無を判定して、受付無しと判定されたときは、前記管理情報閲覧端末に供する管理情報に受付順エラー情報を付加する受付順管理部を、更に備えた請求項1又は2に記載の工事資材管理コンピュータシステム。
【請求項4】
土木工事用又は建設工事用の工事資材の生産、出荷、納品、施用を工事資材管理コンピュータシステムによって管理する方法であって、
生産された前記工事資材を特定する資材特定情報を含む生産情報を情報入力端末から受け付ける工程と、
前記生産情報の受け付けに応じて、前記工事資材を識別する資材識別コードをコード取得端末へ発行する工程と、
前記生産情報及び前記資材識別コードを含む管理情報をデータベースに記憶する工程と、
出荷側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて出荷情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える工程と、
入荷側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて納品情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える工程と、
施用側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて施用情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える工程と、
前記管理情報を管理情報閲覧端末に提供する工程と
を前記工事資材管理コンピュータシステムが実行することを特徴とする工事資材の管理方法。
【請求項5】
土木工事用又は建設工事用の工事資材の生産、出荷、納品、施用を管理する工事資材管理コンピュータシステムのためのプログラムであって、
生産された前記工事資材を特定する資材特定情報を含む生産情報を情報入力端末から受け付ける処理と、
前記生産情報の受け付けに応じて、前記工事資材を識別する資材識別コードをコード取得端末へ発行する処理と、
前記生産情報及び前記資材識別コードを含む管理情報をデータベースに記憶する処理と、
出荷側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて出荷情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える処理と、
入荷側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて納品情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える処理と、
施用側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて施用情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える処理と、
前記管理情報を管理情報閲覧端末に提供する処理と
を前記工事資材管理コンピュータシステムに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル、橋梁、道路等の土木工事やビル等の建設工事に用いられる工事資材を管理するシステム及び管理方法、並びにプログラムに関し、特に、コンピュータシステムによって工事資材の生産、出荷、納品、施用を管理する管理コンピュータシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
土木工事や建設工事に用いられる工事資材は、通常、生産業者や施工業者等によって個別に生産管理や在庫管理が行われている。
特許文献1に記載の管理システムにおいては、トンネル掘進の進捗情報に基づいて、使用された資材の種類及び数量を算出して在庫数量を算定している。
る資材の推定在庫数量を更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の工事資材における品質の不具合の有無は、生産時や納品時の品質点検で明らかになるケースのほか、施工時や施工後供用されてから明らかになるケースもある。しかし、施工時や施工後に不具合が判明しても、その工事資材がいつどこで生産されたものであるかを遡って調べるのは容易でない。また、生産時には良品であっても、運搬時に取り扱い不良があったり、施工現場に納品後、屋外の野晒しの環境で長期間保管される等して品質が低下することもあり得る。例えば、鋼管やH型鋼等の鋼材、セメント、有機化学品等の工事資材には、一定の品質を保持し得る品質保持期間があるが、その期間を超えて在庫されるケースも少なくない。
本発明は、かかる事情に鑑み、工事資材を生産から出荷、納品、施用まで一元的に管理し、トレース可能にして、施工時や施工後に品質の不具合が見つかったときは、その不具合の発生原因の調査を容易化したり、工事資材の品質保持期間を超えて在庫していないかどうかを確認しやすくしたりすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係るシステムは、土木工事用又は建設工事用の工事資材の生産、出荷、納品、施用を管理する工事資材管理コンピュータシステムであって、
生産された工事資材を特定する資材特定情報を含む生産情報を情報入力端末から受け付ける生産情報受付部と、
前記生産情報の受け付けに応じて、前記工事資材を識別する資材識別コードをコード取得端末へ発行するコード発行部と、
前記生産情報及び前記資材識別コードを含む管理情報を記憶するデータベースと、
出荷側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて出荷情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える出荷受付処理部と、
入荷側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて納品情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える納品受付処理部と、
施用側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて施用情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える施用受付処理部と、
前記管理情報を管理情報閲覧端末に提供する管理情報提供部と
を備えたことを特徴とする。
【0006】
前記資材特定情報は、好ましくは工事資材の品名又は型番又は製造番号を含み、工事資材の生産日を含んでいてもよい。該資材特定情報が情報入力端末に入力される。情報入力端末は、入力された資材特定情報を工事資材管理コンピュータシステムへ送信する。工事資材管理コンピュータシステムは、資材特定情報を受け付けて、資材識別コードをコード取得端末へ発行する。
好ましくは、前記資材識別コードはバーコード又は二次元コードで表される。より好ましくは、前記バーコード又は二次元コードがコード取得端末によって印刷されて、生産された工事資材に付される。出荷側端末及び入荷側端末及び施用側端末は、バーコード又は二次元コードの読み取り機能を有しており、該読み取り機能によって、工事資材に付されたバーコード又は二次元コードすなわち資材識別コードを読み取ることができる。
前記情報入力端末、前記コード取得端末、前記出荷側端末、前記入荷側端末、前記施用側端末の何れかが前記管理情報閲覧端末を兼ねていてもよい。
前記情報入力端末が、前記コード取得端末を兼ねていてもよい。
前記情報入力端末又は前記コード取得端末が前記出荷側端末を兼ねていてもよい。
前記入荷側端末が前記施用側端末を兼ねていてもよい。
【0007】
好ましくは、前記工事資材管理コンピュータシステムは、前記生産情報、前記出荷情報、前記納品情報の何れかの受付日又は前記生産情報に含まれる生産日を起算日とする経過期間が許容期間に対して所定以内又は超過していないか否かを判定して、所定以内又は超過と判定されたときは、前記管理情報閲覧端末に供する管理情報に期間アラート情報を付加する期間管理部を、更に備えている。
期間アラート情報の提供は、所定以内又は超過と判定されたとき実行してもよく、前記管理情報閲覧端末からの管理情報の閲覧要求に応じて実行してもよい。
【0008】
好ましくは、前記工事資材管理コンピュータシステムは、前記納品情報の受付時における前記出荷情報の受付の有無、又は前記施用情報の受付時における前記納品情報若しくは前記出荷情報の受付の有無を判定して、受付無しと判定されたときは、前記管理情報閲覧端末に供する管理情報に受付順エラー情報を付加する受付順管理部を、更に備えている。
受付順エラー情報の提供は、受付無しと判定されたとき実行してもよく、前記管理情報閲覧端末からの管理情報の閲覧要求に応じて実行してもよい。
【0009】
本発明に係る方法は、土木工事用又は建設工事用の工事資材の生産、出荷、納品、施用を工事資材管理コンピュータシステムによって管理する方法であって、
生産された前記工事資材を特定する資材特定情報を含む生産情報を情報入力端末から受け付ける工程と、
前記生産情報の受け付けに応じて、前記工事資材を識別する資材識別コードをコード取得端末へ発行する工程と、
前記生産情報及び前記資材識別コードを含む管理情報をデータベースに記憶する工程と、
出荷側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて出荷情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える工程と、
入荷側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて納品情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える工程と、
施用側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて施用情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える工程と、
前記管理情報を管理情報閲覧端末に提供する工程と
を前記工事資材管理コンピュータシステムが実行することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るプログラムは、土木工事用又は建設工事用の工事資材の生産、出荷、納品、施用を管理する工事資材管理コンピュータシステムのためのプログラムであって、
生産された前記工事資材を特定する資材特定情報を含む生産情報を情報入力端末から受け付ける処理と、
前記生産情報の受け付けに応じて、前記工事資材を識別する資材識別コードをコード取得端末へ発行する処理と、
前記生産情報及び前記資材識別コードを含む管理情報をデータベースに記憶する処理と、
出荷側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて出荷情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える処理と、
入荷側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて納品情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える処理と、
施用側端末から前記資材識別コードの読み取り情報を受け付けて施用情報として前記データベースにおける前記管理情報に加える処理と、
前記管理情報を管理情報閲覧端末に提供する処理と
を前記工事資材管理コンピュータシステムに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、工事資材を生産から出荷、納品、施用まで一元的に管理し、トレースできる。これによって、たとえば、施工時や施工後に品質の不具合が見つかったときは、その不具合の発生原因の調査を容易化したり、工事資材の品質保持期間を超えて在庫していないかどうかを確認しやすくしたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る工事資材管理システムの概要を示す構成図である。
【
図2】
図2は、前記工事資材管理システムを構成する工事資材管理コンピュータシステム及び各端末の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、前記工事資材管理システムのデータベースの管理情報の構造例を示す表である。
【
図4】
図4は、前記工事資材管理システムによる工事資材管理方法における工事資材の生産から納品までのステップを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、前記工事資材管理システムによる工事資材管理方法における納品後施用までのステップを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、前記工事資材管理システムによる工事資材管理方法における管理情報の閲覧ステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、工事資材管理システム1の概要を示したものである。工事資材管理システム1は、各種の工事資材2を生産から出荷、納品、施用までトレースして管理する。
図1に示すように、この実施形態における工事は、例えば山岳トンネルの構築工事であり、工事資材2としては、例えば、ロックボルト、補強工法用長尺ボルト、支保工用のH型鋼その他の鋼材2a、覆工用のセメント2b、充填材用の有機化学品2c等が挙げられる。鋼材2a、セメント2b、有機化学品2c等は、長期にわたって在庫するとサビ等の腐食や変質が進むため、品質保持期間がある。セメント2b等の粉粒体や有機化学品2c等の流体は、袋、箱、缶などの容器に収容された状態で生産工場9で生産され、トンネルの工事現場3へ出荷、納品される。同一ロット等の複数個の工事資材2が1つの梱包にまとめられて出荷、納品されることもある。
【0014】
工事資材2には、資材識別コードが振り当てられている。資材識別コードは、個々の工事資材2ごと(容器に収容されている場合は容器ごと)に振り当てられていてもよく、梱包単位やロットごとに振り当てられていてもよい。資材識別コードは、バーコード31によって表されている。バーコード31が印刷されたタグ30が工事資材2に付されている。
【0015】
図1に示すように、工事資材管理システム1は、受注・生産側端末4と、出荷側端末5と、入荷側端末6と、施用側端末7と、管理情報閲覧端末8と、工事資材管理コンピュータシステム10とを備えている。端末4~8は、例えば、デスクトップパソコン、スマートフォン、タブレット等のパーソナルコンピュータ(PC)によって構成されている。
【0016】
詳しくは、受注・生産側端末4は、工事資材2の受注・生産管理担当者Aのデスクトップパソコンによって構成されている。受注・生産管理担当者Aは、工事資材2の受注、生産の手配、管理等に加えて、後述する資材生産情報の入力、送信処理、資材識別コードの出力、貼付け処理等を行なう。複数人が、分担して、受注・生産管理担当者Aとしての役割を担ってもよい。受注・生産側端末4は、デスクトップパソコンに限らず、スマートフォン、タブレット等の携行可能なPCによって構成されていてもよい。好ましくは、受注・生産側端末4には、キーボード等の入力機器4aやプリンター等の出力機器4b等の周辺機器が付設されている。受注・生産側端末4には、受注・生産管理プログラム4pが格納されている。受注・生産管理プログラム4pによって、受注・生産側端末4が、資材生産情報入力部4c、資材生産情報送信部4d、資材識別コード受領部4e、資材識別コード出力部4fとして機能する。受注・生産側端末4は、情報入力端末とコード取得端末を兼ねている。受注・生産側端末4が、情報入力端末とコード取得端末との、2つの端末にて構成されていてもよい。
【0017】
図1に示すように、出荷側端末5は、出荷担当者Bが携行するスマートフォンによって構成されているが、これに限らず、タブレットやデスクトップパソコンによって構成されていてもよい。出荷側端末5には、出荷側管理プログラム5pが格納されている。出荷側管理プログラム5pによって、出荷側端末5が、工事資材2の出荷情報入力部5c及び出荷情報送信部5dとして機能する。出荷情報入力部5cは、出荷側端末5のカメラ機能と連繋したバーコード読み取りアプリケーションを含む。
【0018】
図1に示すように、入荷側端末6は、納品確認担当者Cが携行するスマートフォンによって構成されているが、これに限らず、タブレットやデスクトップパソコンによって構成されていてもよい。入荷側端末6には、入荷側管理プログラム6pが格納されている。入荷側管理プログラム6pによって、入荷側端末6が、工事資材2の納品情報入力部6c及び納品情報送信部6dとして機能する。納品情報入力部6cは、入荷側端末6のカメラ機能と連繋したバーコード読み取りアプリケーションを含む。
【0019】
図1に示すように、施用側端末7は、施用担当者Dが携行するスマートフォンによって構成されているが、これに限らず、タブレットやデスクトップパソコンによって構成されていてもよい。施用側端末7には、施用側管理プログラム7pが格納されている。施用側管理プログラム7pによって、施用側端末7が、工事資材2の施用情報入力部7c及び施用情報送信部7dとして機能する。施用情報入力部7cは、施用側端末7のカメラ機能と連繋したバーコード読み取りアプリケーション又は二次元コード読み取りプリケーションを含む。
【0020】
図1に示すように、管理情報閲覧端末8は、管理情報閲覧者Eのデスクトップパソコンによって構成されているが、これに限らず、スマートフォン、タブレット等の携行可能なPCによって構成されていてもよい。管理情報閲覧者Eは、例えば工事管理者であるが、受注・生産、出荷、納品確認、施用の各担当者A~Dも管理情報閲覧者Eとなり得る。各担当者A~Dの端末4~7が、管理情報閲覧端末8を兼ね得る。
【0021】
管理情報閲覧端末8には、工事資材管理システム1の管理情報14の閲覧用ソフトウェア8pが搭載されている。閲覧用ソフトウェア8pによって、管理情報閲覧端末8は、工事資材管理コンピュータシステム10にアクセスして管理情報14の閲覧要求を出し、かつ工事資材管理コンピュータシステム10から提供された管理情報14を画面表示可能である。閲覧用ソフトウェア8pは、汎用ブラウザでもよく、システム1の専用ブラウザであってもよい。
【0022】
図1に示すように、端末4~8は、通信網Nを介して工事資材管理コンピュータシステム10と通信可能に接続されている。通信網Nは、インターネット等の公衆通信網でもよく、専用通信網でもよく、VPNでもよい。
担当者A~D及び管理者Eにはそれぞれ認証コードが交付されており、該認証コードを端末に入力することによって工事資材管理コンピュータシステム10にアクセスできる。
【0023】
図1に示すように、工事資材管理コンピュータシステム10は、クラウドコンピュータによって構成されているが、これに限らず、物理サーバによって構成されていてもよい。工事資材管理コンピュータシステム10は、CPU11、記憶部12、及び通信部13を含む。記憶部12には、工事資材管理プログラム12p及びデータベース12dが格納されている。
【0024】
図2に示すように、工事資材管理プログラム12pによって、工事資材管理コンピュータシステム10が、生産情報受付部21、コード発行部22、出荷受付処理部23、納品受付処理部24、施用受付処理部25、期間管理部26、管理情報提供部27、受付順管理部28等としての処理を実行する。
【0025】
図1に示すように、データベース12dには、各工事資材2の管理情報14が記憶されている。
図3に示すように、管理情報14は、工事資材2の生産情報及び資材識別コードのほか、出荷情報、納品情報、施用情報及び許容期間情報を含み、更に、期間アラート情報、受付順エラー情報を含み得る。
【0026】
生産情報は、工事資材管理コンピュータシステム10の生産情報受付部21が受注・生産側端末4から受け付けた情報であり、工事資材2を特定する資材特定情報及びその受付日(資材登録日)の情報を含み、更に工事資材2の生産日の情報を含んでいてもよい。資材登録日が生産日であってもよい。
資材特定情報としては、工事資材2の品名、型番、製造番号等が挙げられる。
【0027】
出荷情報は、工事資材管理コンピュータシステム10の出荷受付処理部23が出荷側端末5から受け付けた資材識別コードの読み取り情報であり、その受付日(出荷日)の情報を含む。
納品情報は、工事資材管理コンピュータシステム10の納品受付処理部24が入荷側端末6から受け付けた資材識別コードの読み取り情報であり、その受付日(納品日)の情報を含む。
【0028】
施用情報は、工事資材管理コンピュータシステム10の施用受付処理部25が施用側端末7から受け付けた資材識別コードの読み取り情報であり、その受付日(施用日)の情報を含む。
工事資材2の生産日、資材登録日、出荷日、納品日、施用日の各情報は、日付に限らず時間の情報を含んでいてもよい。
【0029】
許容期間情報は、工場が起算日から工事に施用されるまでの許容期間(日数又は時間)の情報であり、好ましくは、工事資材2が所要の品質を保持し得る期間である。許容期間は、基本的には、工事資材2の種類によって決定されるが、工事施工現場等での工事資材2の保管環境(屋外か屋内又は坑内か等)に応じて選択的に設定できるようにしてもよい。許容期間の起算日は、例えば出荷日であるが、これに限らず、生産日でもよく、資材登録日でもよく、納品日でもよい。
【0030】
期間アラート情報は、工事資材管理コンピュータシステム10の期間管理部26によって付加される情報であり、起算日からの経過期間が許容期間に未だ達していないが許容期間まで所定以内であることを示す「所定以内」の期間アラート情報と、起算日からの経過期間が許容期間を既に超過していることを示す「超過」の期間アラート情報を含む。
【0031】
受付順エラー情報は、工事資材管理コンピュータシステム10の受付順管理部28によって付加される情報であり、工事資材管理コンピュータシステム10が出荷情報を受け付けていないのに納品情報を受け付けたことを示す「納品時」の受付順エラー情報と、出荷情報又は納品情報を受け付けていないのに施用情報を受け付けたことを示す「施用時」の受付順エラー情報とを含む。
【0032】
図4のフローチャートにて示すように、工事資材管理システム1においては、工事資材2が次のように管理される。
受注・生産管理担当者Aは、発注担当者(図示せず)から受注した受注(工事資材2の品名、型番、製造番号、数量、指定納期等)に応じて工事資材2の生産を手配する。これに応じて、生産工場9において工事資材2が生産される(100)。
受注・生産管理担当者Aは、受注・生産側端末4の資材生産情報入力部4cを起動し、生産された工事資材2を特定する資材特定情報、生産日などの生産情報を入力する(ステップ101)。受注・生産側端末4に登録された発注情報の一覧から、生産した工事資材2の項目を選択することによって、生産情報の入力操作とみなしてもよい。工事資材管理システム1は、工事資材2の受発注管理をも行なうことが好ましい。
入力された生産情報は、受注・生産側端末4の資材生産情報送信部4dによって通信網N経由で工事資材管理コンピュータシステム10へ送信される(ステップ102)。
【0033】
工事資材管理コンピュータシステム10においては、生産情報受付部21が工事資材2の生産情報を受け付ける(ステップ110)。これに応じて、コード発行部22が、工事資材2を識別する資材識別コードを発行する(ステップ111)。発行された資材識別コードは、通信網N経由で受注・生産側端末4へ送信される(ステップ112)。併せて、データベース12dに生産情報及び資材識別コードを含む管理情報14が作成される(ステップ113)。
なお、生産情報の入力(ステップ101)及び受付(ステップ110)の実行タイミングは、工事資材2の出荷前であればよく、生産時に限らない。
【0034】
受注・生産側端末4においては、コード受領部4eが、工事資材管理コンピュータシステム10のコード発行部22からの資材識別コードを受領する(ステップ120)。続いて、コード出力部4fが、受領した資材識別コードをバーコード31で表して出力機器4bによってタグ30に印刷して出力する(ステップ121)。タグ30は、紙でもよく、樹脂シートでもよく、粘着シールでもよい。
受注・生産管理担当者Aは、バーコード31付きのタグ30を、対応する工事資材2に貼り付ける(ステップ129)。
【0035】
工事資材の点数が多い場合は、生産リストや納品書等にバーコード31を付し、個々の工事資材2にタグ30を貼るのを省略してもよい。端末4~7等に生産リストや納品書が画面表示され、それにバーコード31が付されるようにしてもよい。
【0036】
図4に示すように、生産された工事資材2の出荷時には(ステップ130)、出荷担当者Bが出荷側端末5の出荷情報入力部5cを起動して、出荷する工事資材2に付されたタグ30のバーコード31を読み取る(ステップ131)。読み取られたバーコード31は、出荷情報入力部5cによって資材識別コードにデコードされる(ステップ132)。デコードされた資材識別コードすなわち資材識別コードの読み取り情報が、出荷情報送信部5dによって、通信網N経由で工事資材管理コンピュータシステム10へ送信される(ステップ133)。送信される情報には、出荷を示す情報識別コードが付される。
【0037】
工事資材管理コンピュータシステム10においては、出荷受付処理部23が、出荷側端末5から資材識別コードの読み取り情報(出荷情報)を通信網N経由で受け付ける(ステップ140)。続いて、出荷受付処理部23は、その資材識別コードの読み取り情報の受付日を出荷日として、該出荷日を含む出荷情報をデータベース12dにおける管理情報14に加える(ステップ141)。
【0038】
図1に示すように、出荷された工事資材2は、トンネル工事現場3に納品される(ステップ150)。
図4に示すように、納品確認担当者Cは、入荷側端末6の納品情報入力部6cを起動して、納品された工事資材2に付されたタグ30のバーコード31を読み取る(ステップ151)。読み取られたバーコード31は、納品情報入力部6cによって資材識別コードにデコードされる(ステップ152)。デコードされた資材識別コードすなわち資材識別コードの読み取り情報が、納品情報送信部6dによって、通信網N経由で工事資材管理コンピュータシステム10へ送信される(ステップ153)。送信される情報には、納品を示す情報識別コードが付される。
【0039】
工事資材管理コンピュータシステム10においては、納品受付処理部24が、入荷側端末6から資材識別コードの読み取り情報(納品情報)を通信網N経由で受け付ける(ステップ160)。納品受付処理部24は、その資材識別コードの読み取り情報の受付日を納品日として、該納品日を含む納品情報をデータベース12dの管理情報14に加える(ステップ161)。
【0040】
さらに、工事資材管理コンピュータシステム10の受付順管理部28が、納品受付処理部24による資材識別コードの読み取り情報の受付時に、出荷の受付処理が済んでいるか否かを判定する(ステップ162)。否(ステップ162の「no」)と判定されたときは、データベース12dの管理情報14に「納品時」の受付順エラー情報を付加する(ステップ163)。更に好ましくは、受付順管理部28は、管理情報閲覧端末8、出荷側端末5、入荷側端末6等に納品時受付順エラー情報を電子メール等で送信する(ステップ164)。これによって、工事管理者E、出荷担当者B、納品確認担当者C等に、納品した工事資材2の出荷の受付処理がなされていないことを報知することができる。
なお、ステップ164における端末5,6は管理情報閲覧端末を兼ねる。
【0041】
図1に示すように、納品された工事資材2は、直ちに施用される場合を除き、工事現場3内の資材置き場3bに保管される。保管期間は、数時間~数日の場合もあれば、数週間~数ヶ月の場合もあり、さらには数年に及ぶ場合もある。
【0042】
図5に示すように、工事資材管理コンピュータシステム10の期間管理部26は、例えば出荷日を起算日とする経過期間を管理する(ステップ170)。起算日は、出荷日に限らず、生産日でもよく、資材登録日でもよく、納品日でもよい。工事資材2が保管されたまま、すなわち後記施用情報が未着のまま、経過期間が許容期間に対して所定以内となったときは(ステップ171の「yes」)、期間管理部26は、データベース12dの管理情報14に「所定以内」の期間アラート情報を付加する(172)。更に好ましくは、期間管理部26は、管理情報閲覧端末8又は施用側端末7等に「所定以内」の期間アラート情報を電子メール等で送信する(ステップ173)。これによって、工事資材2の品質保持期間が切れるのが近いことを工事管理者Eや施用担当者Dに報知することができる。
なお、ステップ173における施用側端末7は管理情報閲覧端末を兼ねる。
【0043】
図5に示すように、資材置き場3bの工事資材2がトンネル構築に施用されるときには(ステップ180)、施用担当者Dは、施用側端末7の施用情報入力部7cを起動して、施用しようとする工事資材2に付されたタグ30のバーコード31を読み取る(ステップ181)。読み取られたバーコード31は、施用情報入力部7cによって資材識別コードにデコードされる(ステップ182)。デコードされた資材識別コードすなわち資材識別コードの読み取り情報が、施用情報送信部7dによって、通信網N経由で工事資材管理コンピュータシステム10へ送信される(ステップ183)。送信される情報には、施用を示す情報識別コードが付される。
【0044】
工事資材管理コンピュータシステム10においては、施用受付処理部25が、施用側端末7から資材識別コードの読み取り情報(施用情報)を通信網N経由で受け付ける(ステップ190)。続いて、施用受付処理部25は、その資材識別コードの読み取り情報の受付日を施用日として、該施用日を含む施用情報をデータベース12dにおける管理情報14に加える(ステップ191)。
【0045】
また、工事資材管理コンピュータシステム10の期間管理部26が、例えば出荷日から施用日までの経過期間を算出して(ステップ192)、算出結果をデータベース12dにおける管理情報14に加える(ステップ193)。さらに、期間管理部26は、データベース12dの管理情報14中の許容期間のデータを読み出し、算出された経過期間が許容期間を超過していない否かを判定する(ステップ194)。そして、超過と判定されたときは、データベース12dの管理情報14に「超過」を示す期間アラート情報を付加する(ステップ195)。更に好ましくは、期間管理部26は、管理情報閲覧端末8又は施用側端末7等に「超過」の期間アラート情報を電子メール等で送信する(ステップ196)
。これによって、施用しようとする工事資材2が品質保持期間を超過していることを工事管理者Eや施用担当者Dに報知することができる。これによって、不良在庫による不具合発生が起きるのを未然防止できる。
【0046】
さらに、受付順管理部28が、施用受付処理部25による資材識別コードの読み取り情報の受付時に、出荷及び納品の受付処理が済んでいるか否かを判定する(ステップ197)。否と判定されたときは、データベース12dの管理情報14に「施用時」の受付順エラー情報を付加する(ステップ198)。更に好ましくは、受付順管理部28は、管理情報閲覧端末8、出荷側端末5、入荷側端末6、施用側端末7等に施用時受付順エラー情報を電子メール等で送信する(ステップ199)。これによって、工事管理者E、出荷担当者B、納品確認担当者C、施用担当者D等に、施用しようとする工事資材2の出荷又は納品の受付処理がなされていないことを報知することができる。
なお、ステップ199における端末5~7は管理情報閲覧端末を兼ねる。
【0047】
図6に示すように、管理情報閲覧者Eが管理情報14を閲覧するときは、管理情報閲覧端末8によって工事資材管理コンピュータシステム10にアクセスし、管理情報14の閲覧要求を出す(ステップ201)。
工事資材管理コンピュータシステム10においては、管理情報閲覧端末8からの閲覧要求に応じて(ステップ210)、管理情報提供部27が管理情報14を管理情報閲覧端末8に提供する(ステップ211)。
これによって、管理情報閲覧端末8に管理情報14が画面表示され、これを管理情報閲覧者Eが閲覧することができる(ステップ220)。
【0048】
提供される管理情報14には、工事資材2ごとに、品名、型番、製造番号等の資材特定情報のほか、その工事資材2の現況(ステータス)に応じて、資材登録日又は生産日、出荷日、納品日、施用日、出荷から施用までの経過期間が含まれる。出荷日、納品日、施用日及び経過期間の情報については、それぞれ出荷、納品、施用の処理が未だなされていない工事資材2の管理情報14には含まれない。
【0049】
また、経過期間が許容期間に対して所定以内又は超過している工事資材2の場合、管理情報14には、期間管理部26による期間アラート情報が含まれる。これによって、管理情報閲覧者Eに注意喚起できる。期間アラート情報は、マーキング、特別色、点滅、太字等の目立つ態様で管理情報閲覧端末8に画面表示されるようにすることで、注意を促してもよい。
【0050】
さらに、受付順管理部28で否判定された工事資材2の場合、管理情報14には受付順エラー情報が含まれる。受付順エラー情報は、マーキング、特別色、点滅、太字等の目立つ態様で管理情報閲覧端末8に画面表示されることで、注意を促してもよい。
【0051】
なお、管理情報閲覧端末8から閲覧要求があった時点で、期間管理部26が経過期間を算出して、許容期間に対して所定以内又は超過か否かを判定し、所定以内又は超過と判定されたときは、管理情報閲覧端末8への管理情報14に期間アラート情報を付してもよい。
同様に、管理情報閲覧端末8から閲覧要求があった時点で、受付順管理部28が受付順判定を行い、否判定されたときは、管理情報閲覧端末8への管理情報14に受付順エラー情報を付してもよい。
【0052】
工事資材管理システム1によれば、工事資材2を、生産から出荷、納品、施用まで一元的に管理して、トレースすることができる。したがって、例えば、施工時や施工後に工事資材2の品質に不具合が見つかったときは、管理情報14を参照することによって、その不具合の発生原因の調査を行なうことができる。すなわち、その不具合が生産工程によるものなのか運搬時に起きたものなのか納品後に起きたものなのか等を究明しやすくなる。あるいは、不具合があった工事資材と同じ生産ロットの工事資材を生産情報などから追跡して施用しないようにしたり、既に施用していた場合は同じような不具合が無いか点検したりできる。また、工事資材の品質保持期間を超えて在庫していないかどうかを確認しやすくなる。
【0053】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、管理対象の工事は、トンネルに限らず、橋梁、道路、ダムその他の土木工事や、ビルなどの建設工事であってもよい。工事資材2は、土木工事資材の他、建設工事資材であってもよい。
資材識別コードは、バーコード31に代えて、二次元コード、RFID、磁気カード等によって表されてもよい。端末5,6,7の入力部5c,6c,7cが、カメラ機能と連繋した二次元コード読み取りアプリケーションを有し、二次元コードからなる資材識別コードを読み取るようになっていてもよい。
工事資材の納品書にバーコードや二次元コードからなる資材識別コードが付加されていてもよい。前記納品書は、紙で発行されるものに限らず、工事資材管理コンピュータシステム10からデータファイルで入荷側端末6等へ発行されるようにしてもよい。
受注・生産側端末4が、情報入力端末とコード取得端末との2つの端末に分かれていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、例えばトンネル施工等の土木工事における資材管理に適用できる。
【符号の説明】
【0055】
A 受注・生産管理担当者
B 出荷担当者
C 納品確認担当者
D 施用担当者
E 管理情報閲覧者
1 工事資材管理システム
2 工事資材
3 工事現場
3b 資材置き場
4 受注・生産側端末(情報入力端末、コード取得端末)
5 出荷側端末
6 入荷側端末
7 施用側端末
8 管理情報閲覧端末
10 工事資材管理コンピュータシステム
12d データベース
12p 工事資材管理プログラム
14 管理情報
21 生産情報受付部
22 コード発行部
23 出荷受付処理部
24 納品受付処理部
25 施用受付処理部
26 期間管理部
27 管理情報提供部
28 受付順管理部
30 タグ
31 バーコード(資材識別コード)