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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150185
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】摘便・浣腸練習モデル
(51)【国際特許分類】
   G09B 23/34 20060101AFI20241016BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G09B23/34
G09B19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063468
(22)【出願日】2023-04-10
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.マジックテープ
(71)【出願人】
【識別番号】591071104
【氏名又は名称】株式会社高研
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 正弘
【テーマコード(参考)】
2C032
【Fターム(参考)】
2C032CA03
2C032CA06
(57)【要約】
【課題】従来の摘便・浣腸練習モデルにおいて、1)使用前の準備や使用後の洗浄の煩雑性の解消、2)模擬肛門に指を挿入したときのリアルな感触、3)臀部(殿部)のたるみの再現、及び4)摘便・浣腸練習モデルが訓練時に自立できる構造の要望を見出した。
【解決手段】一体化模擬肛門・直腸部を有する及び/又は背面に窪みがあり正面から背面に貫通した穴を有する模擬臀部先端部、及び/又は、レーンを収納する模擬大腿が、上記課題のいずれか1以上を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構成を有する、摘便及び/又は浣腸練習モデル:
1)模擬本体、ここで、該模擬本体は、模擬太腿、模擬臀部本体、模擬腹部及び模擬腹壁を含み;
2)模擬臀部先端部、ここで、該模擬臀部先端部は、模擬肛門及び該肛門に連通している模擬直腸部を含む一体化模擬肛門・直腸部を含み:及び
3)該模擬本体は、該模擬臀部本体の正面から該模擬腹部の内腔まで貫通している該一体化模擬肛門・直腸部を収納する直腸収納部を有する、
モデル。
【請求項2】
前記模擬臀部先端部は、背面に窪みを有する、請求項1に記載のモデル。
【請求項3】
前記一体化模擬肛門・直腸部の内腔表面の材質がスチレン系エラストマー又はウレタン系エラストマーである、請求項1又は2に記載のモデル。
【請求項4】
さらに、スタンドを有し、ここで、該スタンドはレーンを有し、及び
前記模擬太腿は、模擬左太腿及び模擬右太腿を含み、該模擬左太腿及び/又は該模擬右太腿は、該レーンを収納する溝を有する、
請求項1又は2に記載のモデル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模擬臀部先端部が模擬臀部本体から分離可能であり並びに一体化模擬肛門・直腸部を有する摘便・浣腸練習モデルに関する。
【0002】
(摘便・浣腸)
老人や入院患者は、便を自ら排出することが困難な場合がある。このような場合には、浣腸を使用する。しかし、便秘で便が硬く詰まっている場合等は、看護師等によって、手指で便を摘出する摘便が必要になる。
摘便の一般的な方法は、看護師等が患者の腹部を揉みながら、手袋等をした利き手の人差し指に潤滑剤を付けた後、ゆっくりと肛門に人差し指を入れ、直腸に沿ってゆっくりと指を回して便を直腸壁から剥し、便を少しずつ指でかき出す。
摘便は、患者は苦痛や不快感を伴うこともあるため、正しい知識と手技を身につけることが必要である。そのため、看護師等は摘便・浣腸練習モデルで摘便・浣腸の練習が必要になる。
【0003】
摘便・浣腸練習モデルは市販されている。しかし、本発明の構成の摘便・浣腸練習モデルは開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-191197
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】https://www.koken-educational-medical-models.com/products/830
【非特許文献2】https://www.sakamoto-model.co.jp/excretion/m169/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の摘便・浣腸練習モデルにおいて、1)使用前の準備や使用後の洗浄の煩雑性の解消、2)模擬肛門に指を挿入したときのリアルな感触、3)臀部(殿部)のたるみの再現、及び4)摘便・浣腸練習モデルが訓練時に自立できる構造の要望を新規に見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、一体化模擬肛門・直腸部を有する及び/又は背面に窪みがある模擬臀部先端部、及び/又は、レーンを収納する模擬大腿が、上記課題のいずれか1以上を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.以下の構成を有する、摘便及び/又は浣腸練習モデル:
1)模擬本体(1)、ここで、該模擬本体(1)は、模擬太腿(2)、模擬臀部本体(3)、模擬腹部(4)及び模擬腹壁(10)を含み;
2)模擬臀部先端部(5)、ここで、該模擬臀部先端部(5)は、模擬肛門及び該肛門に連通している模擬直腸部を含む一体化模擬肛門・直腸部(9)を含み:及び
3)該模擬本体(1)は、該模擬臀部本体(3)の正面から該模擬腹部の内腔(16)まで貫通している一体化模擬肛門・直腸部(9)を収納する直腸収納部(15)を有する、
モデル。
2.前記模擬臀部先端部(5)は、背面に窪み(6)を有する、前項1に記載のモデル。
3.前記一体化模擬肛門・直腸部(9)の内腔表面の材質がスチレン系エラストマー又はウレタン系エラストマーである、前項1又は2に記載のモデル。
4.さらに、スタンド(11)を有し、ここで、該スタンド(11)はレーン(12)を有し、及び
前記模擬太腿(2)は、模擬左太腿及び模擬右太腿を含み、該模擬左太腿及び/又は該模擬右太腿は、該レーン(12)を収納する溝(13)を有する、
前項1又は2に記載のモデル。
【本発明の効果】
【0009】
本発明の摘便・浣腸練習モデルは、従来の摘便・浣腸練習モデルと比較して、1)使用前の準備や使用後の洗浄の煩雑性の解消、2)模擬肛門に指を挿入したときのリアルな感触、3)臀部のたるみの再現、及び/又は、4)摘便・浣腸練習モデルが訓練時に自立できる構造を実現している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(A)模擬本体(1)の正面図。(B)模擬本体(1)の背面図。
図2】(A)本発明の模擬腹部(4)。(B)従来品の摘便・浣腸練習モデルの模擬腹部。
図3】(A)模擬臀部先端部(5)の正面図。(B)模擬臀部先端部(5)の背面図。
図4】(A)一体化模擬肛門・直腸部(9)が模擬臀部本体(3)に挿入(収納)されていない状態。(B)一体化模擬肛門・直腸部(9)が模擬臀部本体(3)に挿入(収納)された状態。
図5】摘便・浣腸練習モデルの模擬臀部のたるみを示す図(左:従来品、右:本発明)
図6】(A)スタンド(11)。(B)本発明の摘便・浣腸練習モデルがスタンド(11)により自立している図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について図面を参照して説明するが、本発明は図面に記載された摘便・浣腸練習モデルに限定されるものではない。
なお、図1(A)を正面図として説明する。
各構成の材質は、各練習モデルで使用されている材質を使用することができる。
【0012】
(模擬本体(1))
本発明の模擬本体(1)は、図1(A)、図1(B)、図2(A)、図3(A)、図3(B)及び図4(A)で例示されているように、少なくとも、模擬太腿(2)、模擬臀部本体(3)、模擬腹部(4)、模擬腹壁(10)並びに模擬臀部本体(3)の正面から模擬腹部の内腔(16)まで貫通している一体化模擬肛門・直腸部(9)を収納する直腸収納部(15)を含む。なお、模擬太腿(2)は、模擬左太腿及び模擬右太腿も含んでも良い。さらに、これらの太腿は、以下で説明するレーン(12)を収納する溝(13)を有しても良い。
なお、模擬腹壁(10)は模擬本体(1)から分離可能である。模擬太腿(2)、模擬臀部本体(3)及び模擬腹部(4)は、一体化されていても良い。
【0013】
(模擬腹部(4))
訓練者は、模擬本体(1)から模擬腹壁(10)を分離すると、図2(A)で例示されるように、模擬腹部の内腔(16)を確認することができる。さらに、以下で説明する一体化模擬肛門・直腸部の先端部(17)を確認することができる。
本発明の模擬腹部(4)は、従来品の摘便・浣腸練習モデルの模擬腹部(図2(B))とは異なり、模擬腸管(22)を有していないので、模擬腸管(22)を設置するための訓練使用前の準備や訓練使用後の模擬腸管(22)の洗浄の煩雑性を有さない。
【0014】
(模擬臀部先端部(5))
模擬臀部先端部(5)は、図3(A)(B)で例示されるように、模擬肛門及び該肛門に連通している模擬直腸部を含む一体化模擬肛門・直腸部(9)を含む。より詳しくは、模擬臀部先端部(5)は、模擬肛門及び模擬臀部本体(3)に接する方向へ伸長しておりかつ該肛門に連通している模擬直腸部を含む一体化模擬肛門・直腸部(9)を含む。
また、一体化模擬肛門・直腸部(9)の内腔表面は、訓練者が指を該内腔に挿入した時に、実際の肛門・腸の感触(挿入した指を締め付ける感触や腸管が動く感触)を再現できる材質(例:スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー等)を使用することが好ましい。
一体化模擬肛門・直腸部の先端部の直径(18)は、 図2(A)及び図4(A)に記載のように、好ましくは、伸縮可能な材質により、直腸収納部の内径(19)よりも大きくすることが好ましい。これにより、一体化模擬肛門・直腸部(9)は、図4(B)に記載のように、直腸収納部(15)に収納された後に離脱することを防ぐことができる。さらに、必要に応じて、マジックテープ(23)のオス・メスを模擬臀部本体(3)・模擬臀部先端部(5)に設置しても良い。
加えて、図4(B)に記載のように、模擬臀部先端部のはめ込みずれ防止用突起(20)及び模擬臀部先端部のはめ込みずれ防止用突起収納部(21)を設けても良い。突起(20)を収納部(21)に収納することにより、模擬臀部先端部(5)を模擬臀部本体(3)にはめ込みずれがなく設置することができる。
なお、従来品の摘便・浣腸練習モデルは、本発明の摘便・浣腸練習モデルとは異なり、一体化模擬肛門・直腸部の構造を採用しておらず、模擬肛門及び模擬直腸は外観を実際の臓器に似せることを重視したため、訓練者の指の径よりも大きい内径のチューブ状の空洞になっており、訓練者の指を締め付ける感触を提供していない。
【0015】
従来品の摘便・浣腸練習モデルは、模擬臀部は臀部の模擬皮膚をあえてだぼつき気味に作っており、それがたるむことで高齢者等の臀部のたるみをある程度再現している。
しかし、従来品の摘便・浣腸練習モデルは、図5(左)に記載のように充分なたるみがないため、訓練開始前から模擬肛門(24)が見えてしまっているので、実際の状態とは異なっていた。詳しくは、従来品の摘便・浣腸練習モデルは、構造により臀部のたるみは再現できていたが模擬肛門(24)が訓練者から見えなくなるほどのたるみは再現できていなかった。
本発明の模擬臀部先端部(5)は、図5(右)に記載のように、背面に窪み(6)(参照:図4(A)(B))を形成することにより、模擬肛門が訓練者から見えなくなるほどの臀部のたるみを再現することができたため、実際の手技と同様に左手でたれた臀部を持ち上げ、肛門が見える状態にして、右手で摘便の操作を行うという、よりリアルな練習が可能となった。
【0016】
(スタンド(11))
本発明の摘便・浣腸練習モデルは、好ましくは、図6(A)に例示されるように、スタンド(11)を含んでも良い。
スタンド(11)は、レーン(12)を有する。
本発明の摘便・浣腸練習モデルは、スタンド(11)により、床面の状態に依らず、安定して自立できる(参照:図6(B))。
なお、従来品の摘便・浣腸練習モデルの多くは、スタンドがないため、安定して自立することができない。詳しくは、訓練者は、訓練中に、利き手以外の手でモデルを押さえる必要がある。
【0017】
(使用前の準備)
浣腸の練習の場合、図2(A)で例示されるように、ドレインチューブ(8)に接続したコネクタ(14)を一体化模擬肛門・直腸部の模擬腸管の穴(7)に接続する。
摘便の練習の場合、模擬便を一体化模擬肛門・直腸部の模擬腸管の穴(7)から内腔内に入れ、次に、コネクタ(14)をキャップ代わりに差し込む。
本発明の摘便・浣腸練習モデルは、上記で説明したように、模擬腹壁(10)を模擬本体(1)から分離可能であり、上記使用前の準備は容易に行うことができる。
【0018】
(使用後の洗浄)
本発明の摘便・浣腸練習モデルは、潤滑剤や模擬便が付着した箇所(主に一体化模擬肛門・直腸部の内腔)を洗浄する際に、模擬本体(1)から模擬臀部先端部(5)を取り外すことができるので、容易に洗浄することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明では、摘便・浣腸練習モデルを提供できる。
【符号の説明】
【0020】
1:模擬本体
2:模擬太腿
3:模擬臀部本体
4:模擬腹部
5:模擬臀部先端部
6:窪み
7:模擬腸管の穴
8:ドレインチューブ
9:一体化模擬肛門・直腸部
10:模擬腹壁
11:スタンド
12:レーン
13:溝
14:コネクタ
15:直腸収納部
16:模擬腹部の内腔
17:一体化模擬肛門・直腸部の先端部
18:一体化模擬肛門・直腸部の先端部の直径
19:直腸収納部の内径
20:模擬臀部先端部のはめ込みずれ防止用突起
21:模擬臀部先端部のはめ込みずれ防止用突起収納部
22:模擬腸管
23:マジックテープ
24:模擬肛門
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B