(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150190
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】予約管理装置および貸出装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0645 20230101AFI20241016BHJP
【FI】
G06Q30/0645
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063473
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 弘友希
(72)【発明者】
【氏名】浅井 成実
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB68
5L049BB68
(57)【要約】
【課題】配送者に使用済みのバッテリを計画通りに回収してもらうことが可能な予約管理装置および貸出装置を提供する。
【解決手段】予約管理装置70は、配送者に使用済みバッテリの回収および充電済みバッテリの配送をしてもらう可搬式バッテリの貸出装置10を利用する、ユーザへの充電済みバッテリの貸し出しおよびユーザからの使用済みバッテリの返却の予約を管理する。ユーザが過去に返却予約時刻通りにバッテリを返却した頻度が所定の割合以上の場合に、劣化度の少ないバッテリをユーザに割り当てる指示を貸出装置10へ送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送者に使用済みバッテリの回収および充電済みバッテリの配送をしてもらう可搬式バッテリの貸出装置を利用する、ユーザへの充電済みバッテリの貸し出しおよびユーザからの使用済みバッテリの返却の予約を管理する、予約管理装置であって、
ユーザが過去に返却予約時刻通りにバッテリを返却した頻度が所定の割合以上の場合に、劣化度の少ないバッテリをユーザに割り当てる指示を前記貸出装置へ送信する、予約管理装置。
【請求項2】
個々のバッテリを識別可能なバッテリIDと、バッテリの所在と、バッテリの予約状況と、バッテリの劣化度とを関連付けて記録したバッテリデータベースに基づき、前記ユーザが希望する時刻であって前記ユーザが希望する前記貸出装置に在庫されているバッテリの中から劣化度が最も低いバッテリを特定し、特定したバッテリを前記ユーザに割り当てる、請求項1に記載の予約管理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の予約管理装置と通信可能に接続された前記貸出装置であって、
前記予約管理装置から前記ユーザを識別可能なユーザIDと前記ユーザが希望する利用時刻を含む前記指示を受領した時に、
前記貸出装置が保管している複数のバッテリについて、個々のバッテリを識別可能なバッテリIDと、バッテリの予約状況と、バッテリの劣化度とを関連付けて記録したバッテリデータベースに基づき、前記利用時刻に貸出可能なバッテリの中から劣化度が最も低いバッテリを特定し、特定したバッテリのバッテリIDと前記ユーザIDを関連付けて記録する、貸出装置。
【請求項4】
ユーザへ充電済みバッテリの貸し出しおよび使用済みバッテリの返却を行ってもらい、配送者に使用済みバッテリの回収および充電済みバッテリの配送をしてもらう、可搬式バッテリの貸出装置であって、
ユーザへの貸出時に、ユーザが過去に返却予約時刻通りにバッテリを返却した頻度が所定の割合以上の場合に、貸出可能バッテリの内で劣化度の少ないバッテリをユーザへ貸し出す、貸出装置。
【請求項5】
配送者により使用済みバッテリが回収され充電済みバッテリが前記貸出装置に配送される度に、過去に返却予約時刻通りにバッテリを返却した頻度が所定の割合以上のユーザへ貸し出す劣化度の少ないバッテリを再割り当てする、請求項4に記載の貸出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、予約管理装置および貸出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1などにより、可搬式のバッテリをユーザに貸し出す充電ステーションが知られている。このような充電ステーションでは、使用済みバッテリを充電ステーション内で充電し、再びユーザに貸し出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、社会的な要請などにより可搬式バッテリの需要が高まりつつある。特許文献1のような充電ステーションでは、短時間に必要な個数のバッテリを一斉に充電しようとすると、商用電源からの買電コストが嵩み、充電コストが嵩んでしまう。
本開示者は、充電ステーションに充電済みバッテリを配送するようにすれば、充電ステーションのみでバッテリを充電するよりも、供給可能なバッテリの数を多くできると考えた。この場合、配送者に効率よくバッテリを回収および配送してもらうためには、ユーザから使用済みバッテリを返却予定時刻に返却してもらう必要がある。
そこで本開示は、配送者に使用済みのバッテリを計画通りに回収してもらうことが可能な予約管理装置および貸出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面によれば、予約管理装置は、
配送者に使用済みバッテリの回収および充電済みバッテリの配送をしてもらう可搬式バッテリの貸出装置を利用する、ユーザへの充電済みバッテリの貸し出しおよびユーザからの使用済みバッテリの返却の予約を管理する、予約管理装置であって、
ユーザが過去に返却予約時刻通りにバッテリを返却した頻度が所定の割合以上の場合に、劣化度の少ないバッテリをユーザに割り当てる指示を前記貸出装置へ送信する。
【0006】
本開示の一側面によれば、貸出装置は、
上記予約管理装置と通信可能に接続された前記貸出装置であって、
前記予約管理装置から前記ユーザを識別可能なユーザIDと前記ユーザが希望する利用時刻を含む前記指示を受領した時に、
前記貸出装置が保管している複数のバッテリについて、個々のバッテリを識別可能なバッテリIDと、バッテリの予約状況と、バッテリの劣化度とを関連付けて記録したバッテリデータベースに基づき、前記利用時刻に貸出可能なバッテリの中から劣化度が最も低いバッテリを特定し、特定したバッテリのバッテリIDと前記ユーザIDを関連付けて記録する。
【0007】
本開示の一側面によれば、貸出装置は、
ユーザへ充電済みバッテリの貸し出しおよび使用済みバッテリの返却を行ってもらい、配送者に使用済みバッテリの回収および充電済みバッテリの配送をしてもらう、可搬式バッテリの貸出装置であって、
ユーザへの貸出時に、ユーザが過去に返却予約時刻通りにバッテリを返却した頻度が所定の割合以上の場合に、貸出可能バッテリの内で劣化度の少ないバッテリをユーザへ貸し出す。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、配送者に使用済みのバッテリを計画通りに回収してもらうことが可能な予約管理装置および貸出装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、貸出装置が用いられるサービスの概要を示す図である。
【
図2】
図2は、貸出装置が用いられるサービスにおける情報のやり取りを示す図である。
【
図3】
図3は、予約管理装置が実行する、予約受付時のフローチャートである。
【
図4】
図4は、予約管理装置に保存されるバッテリ在庫データベースの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、予約管理装置に保存されるユーザデータベースの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、予約管理装置に保存される貸出装置所在データベースの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、予約管理装置に保存されるバッテリデータベースの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、予約管理装置に保存される予約データベースの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第二実施形態において予約管理装置が実行する、予約受付時のフローチャートである。
【
図10】
図10は、第二実施形態において貸出装置が実行する、貸出時のフローチャートである。
【
図11】
図11は、貸出装置に保存される予約状況データベースの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、貸出装置に保存されるバッテリデータベースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、可搬式バッテリの貸出装置10および当該貸出装置10におけるバッテリの予約を管理する予約管理装置70に関する。可搬式のバッテリとは、ユーザが持ち運び可能なバッテリである。可搬式のバッテリは、例えば、電動式の自動二輪車、電動式の自動四輪車、電動自転車、電動式のキックスクーターなどに搭載される車両などの移動手段に用いられるバッテリである。バッテリの予約とは、ユーザがバッテリを貸出し(持出し)または返却する際の予約のことである。
【0011】
図1は、貸出装置10が用いられるサービスの概要を示す図である。
図1に示すように貸出装置10は、ユーザに充電済みのバッテリを貸し出し、使用済みのバッテリを返却してもらう。また本開示の貸出装置10は、商用電源2から給電される電力で、返却されたバッテリを充電する。また、本開示のサービスにおいては、配送者により、貸出装置10に返却された使用済みのバッテリを回収してもらい、新たに充電済みバッテリを配送してもらう。充電工場3は、配送者から使用済みバッテリを引き取り、引き取ったバッテリを充電する。充電されたバッテリは、配送者により貸出装置10へ配送される。
【0012】
なお、
図1では作図の都合上、単一の貸出装置10を図示したが、実際には複数の貸出装置10が設けられており、各々の貸出装置10がユーザへバッテリを貸し出したり、各々の貸出装置10で配送者からのバッテリの授受が行われる。また
図1では、貸出装置10において商用電源2の電力でバッテリを充電する例を示したが、貸出装置10が太陽光発電設備を有している、あるいは太陽光発電設備に接続されており、商用電源2以外の電力源によってバッテリを充電するように構成されていてもよい。商用電源2以外の電力源としては、太陽光発電設備の他、地熱発電設備、バイオマス発電設備、風力発電設備などがあげられる。
【0013】
図2は、貸出装置10を利用した予約管理装置70が用いられるサービスの情報のやり取りを示す図である。
図2に示すように、貸出装置10は、配送管理装置50に配送リクエストを送信し、配送管理装置50から配送スケジュールを受信する。また、配送管理装置50は、配送スケジュールを予約管理装置70に送信する。なお、予約管理装置70への配送スケジュールの送信は、貸出装置10から予約管理装置70に送信されてもよい。また、配送管理装置50は、配送者へ運送スケジュールを送信する。配送者は配送管理装置50へ配送者の現在位置を送信するように構成されていてもよい。貸出装置10と配送管理装置50と予約管理装置70は、互いに通信可能に接続されている。
【0014】
貸出装置10は、予約管理装置70に在庫情報を送信し、予約管理装置70から予約情報を受信する。予約管理装置70は、ユーザ端末40(携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、PCなど)から予約リクエストを受け付け、貸出装置10に予約情報を送信する。また、予約管理装置70は、予約リクエストに対して、ユーザ端末40へ予約受領通知を送信する。予約管理装置70は、ユーザへ充電済みバッテリを貸し出しする貸出予約の管理およびユーザから使用済みバッテリが返却される返却予約の管理を行う。
【0015】
なお、配送管理装置50と予約管理装置70は、一体の管理装置として構成されていてもよいし、別に用意された管理装置であってもよい。予約管理装置70の情報は、クラウドサーバに記憶しておくようにしてもよい。また、貸出装置10、充電工場3、配送者、予約管理装置70は全て同一の事業者により運営されてもよいし、各々が異なる事業者によって運営されていてもよい。
【0016】
(第一実施形態)
次に、
図3のフローチャートを用いて本サービスにおける第一実施形態の概要を説明する。
図3は、予約管理装置70が実行する、予約受付時のフローチャートである。本例では、ユーザは、予め本サービスの利用開始に当たって、ユーザ登録を行っており、ユーザID(identification)を有している。予約管理装置70は、ユーザIDによりユーザを識別可能とされている。ユーザはユーザ端末40を通じて予約管理装置70にユーザIDなどの利用開始情報を送信し、ログイン処理を行う。
【0017】
図3に示すように、予約管理装置70は、ユーザ端末40から送信されるユーザIDを取得する(step01)。予約管理装置70はユーザIDの判定を行った後、ユーザのリクエストを受け付ける。
【0018】
ユーザは、ログイン処理を行った後、ユーザ端末40を通じて、バッテリの持ち出し時刻を予約する持出予約時刻と、バッテリの返却予定の時刻を予約する返却予約時刻と、持ち出しの際に利用を希望する貸出装置10を特定可能な貸出装置IDと、返却の際に利用を希望する貸出装置10を特定可能な返却装置IDと、ユーザIDを含む、予約リクエストを予約管理装置70へ送信する。
【0019】
予約管理装置70は、予約リクエストを取得したら(step02)、当該予約リクエストの受諾の可否を判定する(step03)。予約管理装置70は、ユーザが利用を希望する貸出装置10において、持ち出しを予約した持出予約時刻に貸出可能なバッテリが存在するか否かにより受諾の可否を判定する。例えば、予約管理装置70は、貸出装置10に貸出可能なバッテリが存在することを確認できたら、当該予約リクエストが受諾可能と判定する。
【0020】
予約管理装置70は、当該予約リクエストが受諾不可と判定したら(step03:No)、本サービス提供側から見た本サービスを利用する当該ユーザに対する評点を判定する。予約管理装置70は、当該ユーザに対する評点が閾値以上(本例では、60以上)であるか否かを判定する(step04)。ユーザに対する評点は、本サービスを利用するユーザが予約した返却予約時刻までに遅れずにバッテリを返却したか否かにより判定される。ユーザに対する評点は、予約管理装置70が有する例えばユーザデータベース(
図5で後述する)に記録されている。
【0021】
予約管理装置70は、ユーザの評点が60以上であると判定したら(step04:Yes)、ユーザが希望する予約リクエスト通りにバッテリを貸し出すことができない旨の通知と、予約リクエストの内容に代わるバッテリの貸し出しに関する代替情報と、をユーザ端末40に送信し、その情報をユーザ端末40に表示させる(step05)。代替情報には、例えばユーザが利用を希望する貸出装置10の近傍に設置されている他の貸出装置10に関する情報、ユーザが利用を希望する貸出装置10においてバッテリを利用することが可能になる見込み時刻に関する情報などが含まれる。他の貸出装置10に関する情報は、予約管理装置70が有する例えば貸出装置所在データベース(
図6で後述する)に記録されている。利用することが可能になる見込み時刻に関する情報は、予約管理装置70が有する例えばバッテリ在庫データベース(
図4で後述する)に記録されている。
【0022】
ユーザは、ユーザ端末40に表示される予約管理装置70からの代替情報に基づいて、新たな予約リクエストを作成し、作成した予約リクエストを予約管理装置70へ送信する。
【0023】
予約管理装置70は、代替情報に対する予約リクエストを取得したら(step02)、当該予約リクエストの受諾の可否を判定する(step03)。
【0024】
一方、予約管理装置70は、ユーザの評点が60以上ではないと判定したら(step04:No)、ユーザが希望する予約リクエストを受け付けることができない旨の通知をユーザ端末40に送信し、その旨を示す予約受付不可の情報をユーザ端末40に表示させる(step06)。
【0025】
予約管理装置70は、step03の予約リクエストが受諾可能と判定したら(step03:Yes)、上記step04と同様に、本サービスを利用するユーザに対する評点を判定する。予約管理装置70は、当該ユーザに対する評点が閾値以上(60以上)であるか否かを判定する(step07)。
【0026】
予約管理装置70は、ユーザの評点が60以上ではないと判定したら(step07:No)、本処理を終了する。
予約管理装置70は、ユーザの評点が60以上であると判定したら(step07:Yes)、予約リクエストに基づく予約情報の受諾を確定し、その評点の高い優良なユーザに優良バッテリを優先的に割り当てることを示す優良ユーザフラグをその予約情報に付す(step08)。予約情報は、ユーザID、持出予約時刻、返却予約時刻、利用する貸出装置10の貸出装置IDおよび返却装置IDを含む。予約情報には、例えば個々のバッテリを識別可能なバッテリIDを含めてもよい。
【0027】
予約管理装置70は、予約を受諾した旨の予約受領通知をユーザ端末40に返信する(step09)。また予約管理装置70は、優良ユーザフラグを付した予約情報、すなわち劣化度の少ない優良バッテリを当該ユーザに割り当てる指示を含んだ予約情報を、予約管理装置70が有する例えば予約データベース(
図8で後述する)に記録する(step09)。また予約管理装置70は、この予約データベースに記録された優良ユーザフラグ付きの予約情報を、ユーザが持ち出しを希望する貸出装置10に送信する(step09)。また、予約管理装置70は、予約情報を、ユーザが返却を希望する貸出装置10に送信する(step09)。
【0028】
なお、ユーザが持ち出しを希望する貸出装置10は、受信した優良ユーザフラグ付きの予約情報を、当該貸出装置10が有する例えば予約状況データベースに記録する。また貸出装置10は、ユーザが利用を希望するバッテリの持出予約時刻において、ユーザに貸し出すことが可能なバッテリを、貸出装置10が有するバッテリデータベースに基づき特定する。貸出装置10は、貸出可能なバッテリのうちから最も劣化度が少ないバッテリ(以下、「最優良バッテリ」という)を特定する。バッテリの劣化度は、利用回数、充電回数、充電履歴(どのくらいの充電率のときに充電されたか)、充電速度、充電時の最高温度などに基づいて算出される。貸出装置10は、最優良バッテリを特定可能なバッテリIDと、予約リクエストが受諾されたユーザのユーザIDと、を関連付けて予約状況データベースに記録する。予約リクエストが受諾されたユーザ(評点が60以上)が複数人いる場合は、本サービスへの予約の先着順でユーザを特定しバッテリIDと関連付けてもよい。
【0029】
また、例えばバッテリが配送や充電完了などにより補充された場合には、貸出装置10は、各々のバッテリの劣化度を再評価して、ユーザ評価順に劣化度の少ないバッテリを割り当てるようにしてもよい。貸出装置10は、必要に応じて予約管理装置70へ、割り当てたバッテリのバッテリIDを送信してもよい。貸出装置10は、バッテリの貸出時に、予約リクエストが受諾されたユーザIDを確認し、予約状況データベースから貸し出すバッテリIDを特定して、劣化度の少ないバッテリをユーザに貸し出す。
【0030】
本例において、例えば予約管理装置70は、貸出装置10に貸出可能なバッテリが存在するか否かをバッテリ在庫データベース(
図4で後述する)を参照して確認する。バッテリ在庫データベースは、将来時刻におけるバッテリの需要見込みと、将来時刻におけるバッテリの在庫見込みと、に基づいて作成される。
将来時刻におけるバッテリの需要見込みは、貸出装置10毎の貸出実績が記録された貸出装置データベースに基づいて算出される。将来時刻におけるバッテリの在庫見込みは、貸出装置10におけるバッテリの充電スケジュールと、貸出装置10への配送者によるバッテリの配送スケジュールと、バッテリの予約情報と、に基づいて算出される。
バッテリの需要見込みと在庫見込みは、貸出装置10で算出されて、予約管理装置70に定期的に送信される。また、充電スケジュールは、例えばどのバッテリをどのタイミングで充電すべきかのスケジュールであり、予約管理装置70が作成してもよいし、貸出装置10が作成し予約管理装置70に送信してもよい。
【0031】
なお、予約管理装置70は、バッテリ在庫データベースを参照して予約リクエストの受諾の可否を判定してもよいし、あるいは、予約管理装置70が予約リクエストを取得する都度、ユーザが持ち出しを希望する貸出装置10に対して持出予約時刻に貸出可能なバッテリがあるか否かを問い合わせ、貸出装置10から受諾の可否を受信するように構成してもよい。
【0032】
次に、予約管理装置70に保存されている
図4から
図6のデータベースを用いて本サービスの具体的なサービス内容について説明する。まず、ユーザAとユーザBとユーザCが本サービスを利用しようとしている状況であるとする。ユーザAはユーザID:AAAを有している。ユーザBはユーザID:BBBを有している。ユーザCはユーザID:CCCを有している。
例えばユーザAとユーザBがともに、バッテリを持ち出しする際に利用する貸出装置10として貸出装置ID:123の貸出装置10を希望し、持ち出す時刻として同日の持出予約時刻8:00を希望して、これらの希望事項を含む予約リクエストを予約管理装置70へ送信したとする。また、ユーザCが、バッテリを持ち出しする際に利用する貸出装置10として貸出装置ID:456の貸出装置10を希望し、持ち出す時刻としてユーザA,Bと同日の持出予約時刻8:00を希望して、これらの希望事項を含む予約リクエストを予約管理装置70へ送信したとする。
【0033】
図4は、予約管理装置70に保存される「バッテリ在庫データベース」の一例を示す図である。
図4に示すように、バッテリ在庫データベース71には、複数の貸出装置10における各時刻の在庫バッテリ数が記録されている。本例では、貸出装置ID:123の貸出装置10、貸出装置ID:456の貸出装置10、貸出装置ID:789の貸出装置10、および貸出装置ID:234の貸出装置10における在庫バッテリ数が記録されている。
【0034】
また、貸出装置ID:123の貸出装置10における2023/2/10の8:00時点での在庫バッテリ数が0個であり、9:00時点での在庫バッテリ数が1個であり、10:00時点での在庫バッテリ数が2個である。同様に、貸出装置ID:456の貸出装置10における8:00時点での在庫バッテリ数が7個であり、9:00時点での在庫バッテリ数が7個であり、10:00時点での在庫バッテリ数が6個である。同様に、貸出装置ID:789の貸出装置10における8:00時点での在庫バッテリ数が5個であり、9:00時点での在庫バッテリ数が4個であり、10:00時点での在庫バッテリ数が5個である。同様に、貸出装置ID:234の貸出装置10における8:00時点での在庫バッテリ数が13個であり、9:00時点での在庫バッテリ数が12個であり、10:00時点での在庫バッテリ数が13個である。
【0035】
上述したように、ユーザAとユーザBはともに、バッテリを持ち出す時刻が持出予約時刻8:00であり、貸出装置ID:123の貸出装置10の利用を希望している。ところが、貸出装置ID:123の貸出装置10における8:00時点での在庫バッテリ数は0個である。したがって、予約管理装置70は、バッテリ在庫データベース71を参照して、例えば
図3のstep03において、ユーザAの予約リクエストもユーザBの予約リクエストも受諾不可であると判定する。
これに対して、ユーザCは、貸出装置ID:456の利用を希望しており、その持ち出す時刻が持出予約時刻8:00である。貸出装置ID:456の貸出装置10における8:00時点での在庫バッテリ数は7個である。したがって、予約管理装置70は、バッテリ在庫データベース71を参照して、例えば
図3のstep03において、ユーザCの予約リクエストを受諾可能であると判定する。
【0036】
図5は、予約管理装置70に保存される「ユーザデータベース」の一例を示す図である。
図5に示すように、ユーザデータベース72には、本サービスを利用する複数のユーザの利用状況が記録されている。本例では、本サービスを利用するユーザのユーザID:AAAからHHH、本サービスの利用回数、返却予約時刻までに返却した回数、および各ユーザに対する評点が記録されている。
【0037】
例えば、ユーザA(ユーザID:AAA)は、これまで本サービスを10回利用しており、その10回のうち予約した返却予約時刻までに、持ち出したバッテリを遅れることなく返却した回数が8回である。このため、本サービスにおけるユーザAに対する評点は、ユーザAが返却予約時刻までに遅れずにバッテリを返却した頻度の割合で算出されて、80となる。同様に、ユーザB(ユーザID:BBB)は、これまで本サービスを13回利用しており、その13回のうち返却予約時刻までにバッテリを返却した回数が5回である。このため、本サービスにおけるユーザBに対する評点は38と算出される。同様に、ユーザC(ユーザID:CCC)は、これまで本サービスを21回利用しており、その21回のうち返却予約時刻までにバッテリを返却した回数が5回である。このため、本サービスにおけるユーザCに対する評点は24と算出される。
【0038】
上記
図4で説明したように、貸出装置ID:123の貸出装置10における8:00時点の在庫バッテリは0個であるため、予約管理装置70は、ユーザAとユーザBの予約リクエストを受諾不可であると判定する。そこで、予約管理装置70は、ユーザAとユーザBに対する評点を判定するが、ユーザデータベース72に示すように、ユーザAに対する評点が80であり、ユーザBに対する評点が38である。したがって、予約管理装置70は、ユーザデータベース72を参照し、ユーザAの評点(80点)が高い(60点以上である)ので、例えば
図3のstep05において、ユーザAに対して代替情報を提示する。一方、予約管理装置70は、ユーザBの評点(38点)が低い(60以上ではない)ので、例えば
図3のstep06において、ユーザBに対して予約受付できない旨を通知し、「またのご利用をお待ちしております。」などのメッセージを表示する。
【0039】
また、貸出装置ID:456の貸出装置10における8:00時点の在庫バッテリは7個であるため、予約管理装置70は、ユーザCの予約リクエストを受諾可能であると判定する。そこで、予約管理装置70は、ユーザCに対する評点を判定するが、ユーザデータベース72に示すように、ユーザCに対する評点が24である。したがって、予約管理装置70は、貸出装置ID:456の貸出装置10におけるバッテリの貸し出しは可能ではあるが、ユーザデータベース72を参照し、ユーザCの評点(24点)が低い(60以上ではない)ため、例えば
図3のstep07:Noのように、ユーザCに対して優良バッテリの割り当ては行わない。
【0040】
図6は、予約管理装置70に保存される「貸出装置所在データベース」の一例を示す図である。
図6に示すように、貸出装置所在データベース73には、複数の貸出装置10の貸出装置IDと、その貸出装置10の所在地が記録されている。本例では、貸出装置ID:123,456,789,234の貸出装置10と、その設置場所の住所が記録されている。
【0041】
上述したように、予約管理装置70は、ユーザの予約リクエストを受諾不可である場合、評点が高いユーザAに対し、代替情報の一つとしてユーザが利用を希望する貸出装置10の近傍に設置されている他の貸出装置10に関する情報を提示する。例えば、予約管理装置70は、貸出装置所在データベース73を参照し、ユーザAが利用を希望する貸出装置ID:123の貸出装置10が設置されている場所(愛知県瀬戸市)と同地区にある貸出装置ID:456の貸出装置10に関する所在地情報を、ユーザAのユーザ端末40に送信する。ただし、代替の貸出装置10として提示する貸出装置ID:456の貸出装置10に貸出可能なバッテリが存在することが必要である。貸出装置ID:456の貸出可能なバッテリ数は、
図4のバッテリ在庫データベース71に示すように、ユーザAが利用を希望する8:00において7個のバッテリが存在すると算出されている。なお、評点が低いユーザBに対しては、このような情報は送信されない。
【0042】
例えば、提示された代替情報に対して、ユーザAが、貸出装置ID:456の貸出装置10の利用と、それまでの希望時刻と同時刻の8:00におけるバッテリの持ち出しと、を希望する予約変更のリクエストを行ったとする。この場合、上記のように貸出装置ID:456の8:00における貸出可能なバッテリ数が7個存在するので、予約管理装置70は、例えば
図3のstep03において、当該ユーザAからの変更された予約リクエストを受諾可能であると判定する。
【0043】
図7は、予約管理装置70に保存される「バッテリデータベース」の一例を示す図である。
図7に示すように、バッテリデータベース74には、貸出装置10が保有している複数のバッテリのバッテリIDと、それらのバッテリの劣化度が記録されている。本例のバッテリデータベース74は、貸出装置ID:456の貸出装置10の8:00における保有バッテリとその劣化度を記憶する。
【0044】
バッテリの劣化度は、例えば劣化度100で使用不可、劣化度50以上で交換目安、劣化度10以下で優良バッテリとされている。したがって、バッテリデータベース74に保有されているバッテリの場合、バッテリID:234567,456789のバッテリが優良バッテリになり、そのうちバッテリID:456789のバッテリが最優良バッテリになる。なお、本例のバッテリデータベース74ではバッテリIDと劣化度だけを示すが、これに限られず、例えばバッテリデータベースにはバッテリの貸出回数、充電回数、充電率、所在(貸出装置の設置場所)、バッテリの予約状況などが記録されている。
【0045】
なお、バッテリデータベース74を予約管理装置70が作成するために、貸出装置10が、ある時刻に在庫しているバッテリのバッテリIDと劣化度を、定期的に予約管理装置70に送信している。バッテリの劣化度は、例えば各バッテリに備えられたメモリに記録されており、貸出装置10がバッテリのメモリから劣化度を読み取るように構成することができる。
【0046】
予約管理装置70は、バッテリデータベース74に基づき、劣化度が最も少ない最優良バッテリを特定し、その最優良バッテリを評点が高い優良のユーザに割り当てる指示を含む優良ユーザフラグを付した予約情報を、例えば
図3のstep09において、貸出装置ID:456の貸出装置10に送信する。
【0047】
図8は、予約管理装置70に保存される「予約データベース」の一例を示す図である。
図8に示すように、予約データベース75には、予約情報を識別可能な予約IDと、ユーザIDと、貸出装置ID(あるいは返却装置ID)と、持出予約時刻と、返却予約時刻と、バッテリIDとが記録されている。本例の予約データベース75では、ユーザA(ユーザID:AAA)のリクエストに対して受け付けられた予約内容である予約ID:0001と、ユーザC(ユーザID:CCC)のリクエストに対して受け付けられた予約内容である予約ID:0002とが記録されている。
【0048】
上記
図6で説明したように、代替情報に対するユーザAの予約リクエストとして、貸出装置ID:456で時刻8:00にバッテリを持ち出すことが受諾される。そして、ユーザAの評点(80点)が高い(60点以上である)ため、ユーザAに対して優良バッテリの優先的割り当てが行われる。また、上記
図6で説明したように、ユーザCの予約リクエストとして、貸出装置ID:456で時刻8:00にバッテリを持ち出すことが受諾される。しかし、ユーザCの評点(24点)が低い(60以上ではない)ため、ユーザCに対して優良バッテリの割り当ては行われない。
【0049】
このため、予約データベース75に示すように、ユーザA(ユーザID:AAA)には、貸出装置ID:456で時刻8:00に最優良バッテリであるバッテリID:456789(
図7参照)が割り当てられる。また、ユーザC(ユーザID:CCC)には、貸出装置ID:456で時刻8:00に優良バッテリではないバッテリID345678(
図7参照)が割り当てられる。また、ユーザBの予約リクエストは、上記
図5で説明したように、ユーザBの評点(38点)が低い(60以上ではない)ので受け付けられず、予約データベース75には記録されない。
【0050】
なお、貸出装置10は、優良バッテリを評点の高いユーザAに割り当てる指示(優良ユーザフラグが付された予約情報)を予約管理装置70から受信すると、その予約情報を当該貸出装置10が有する予約状況データベースに記録する。また、貸出装置10は、最優良バッテリのバッテリIDと、評点が高いユーザAのユーザID:AAAと、を関連付けて、例えば
図8に示す予約データベース75と同様に、貸出装置10の予約状況データベースに記録する。
【0051】
また、本例において、予約管理装置70から予約受領通知を受信したユーザは、持出予約時刻になると、持ち出しを希望した貸出装置10にユーザ端末40をかざしてユーザIDを貸出装置10に認識させ、バッテリを持ち出す。また、貸出装置10は、ユーザがバッテリを返却すると、その返却した時刻を記録し、例えば
図5に示すユーザデータベース72の、利用回数および返却予約時刻までに返却した回数を更新して記録する。
【0052】
上述したように、第一実施形態に係る予約管理装置70は、
配送者に使用済みバッテリの回収および充電済みバッテリの配送をしてもらう可搬式バッテリの貸出装置10を利用する、ユーザへの充電済みバッテリの貸し出しおよびユーザからの使用済みバッテリの返却の予約を管理する、予約管理装置70であって、
ユーザが過去に返却予約時刻通りにバッテリを返却した頻度が所定の割合以上の場合に、劣化度の少ないバッテリをユーザに割り当てる指示を貸出装置10へ送信する。
【0053】
本実施形態では、予約管理装置70が、返却予約時刻までに遅れずにバッテリを返却した頻度の割合で算出されるユーザAの評点を判定し、ユーザAの評点(80点)が高い(60点以上である)ため、劣化度の少ない優良バッテリをユーザAに割り当てる指示を含んだ予約情報を、貸出装置10に送信する例を説明した。
【0054】
このような構成の予約管理装置70によれば、持ち出したバッテリを返却予約時刻内に返却してくれたユーザに、本サービスをさらに利用してもらいやすいように、バッテリの貸し出しに関してインセンティブを与えることができる。これにより、本サービスを利用するユーザに貸し出したバッテリを予定通りに返却してもらいやすくなる。このため、返却された使用済みのバッテリを配送者に計画通りに回収してもらうことが可能になる。したがって、配送者に充電済みバッテリを配送してもらうことができ、供給可能なバッテリの数を多くできる。また、予約管理装置70がユーザからのバッテリの予約受付時に劣化度の少ないバッテリを割り当てるので、どのバッテリがいつ満充電になるなど、貸し出すバッテリを特定しやすい。このため、評点の高い優良ユーザに劣化度の少ない優良なバッテリを貸し出ししやすい。
【0055】
また第一実施形態に係る予約管理装置70によれば、
個々のバッテリを識別可能なバッテリIDと、バッテリの所在と、バッテリの予約状況と、バッテリの劣化度とを関連付けて記録したバッテリデータベース74に基づき、ユーザが希望する時刻であってユーザが希望する貸出装置10に在庫されているバッテリの中から劣化度が最も低いバッテリを特定し、特定したバッテリをユーザに割り当てる。
【0056】
上述した実施形態においては、評点の高い優良のユーザに対して優良バッテリの優先的割り当てが行われ、例えばユーザA(ユーザID:AAA)に、貸出装置ID:456で時刻8:00に最優良バッテリであるバッテリID:456789が割り当てられる例を説明した。
【0057】
このような構成の予約管理装置70によれば、評点の高い優良ユーザに対してユーザが利用を希望する時刻に劣化度の少ない優良バッテリを割り当てる指示を、適切に貸出装置10へ送信することができる。
【0058】
また第一実施形態に係る貸出装置10によれば、
上記予約管理装置70と通信可能に接続された貸出装置10であって、
予約管理装置70からユーザを識別可能なユーザIDとユーザが希望する利用時刻を含む指示を受領した時に、
貸出装置10が保管している複数のバッテリについて、個々のバッテリを識別可能なバッテリIDと、バッテリの予約状況と、バッテリの劣化度とを関連付けて記録したバッテリデータベースに基づき、利用時刻に貸出可能なバッテリの中から劣化度が最も低いバッテリを特定し、特定したバッテリのバッテリIDとユーザIDを関連付けて記録する。
【0059】
上述した実施形態においては、優良バッテリを評点の高いユーザAに割り当てる指示(優良ユーザフラグが付された予約情報)を予約管理装置70から受信したときに、最優良バッテリのバッテリIDと、評点が高いユーザAのユーザID:AAAと、を関連付けて貸出装置10の予約状況データベースに記録する例を説明した。
【0060】
このような構成の貸出装置10によれば、予約管理装置70からの指示に基づいて、貸出装置10が予約状況データベースに予約情報を記録し、その予約情報に基づき劣化度の少ない優良なバッテリを評点の高い優良ユーザに貸し出すことができる。
【0061】
(第二実施形態)
次に、
図9および
図10のフローチャートを用いて本サービスにおける第二実施形態の概要を説明する。
図9は、第二実施形態において予約管理装置70が実行する、予約受付時のフローチャートである。上述した第一実施形態においては、予約管理装置70がバッテリの劣化度を把握しており、評点の高い優良なユーザからのバッテリの予約を受け付けたときに、劣化度の少ないバッテリを割り当てるように構成した。本開示はこれに限られない。例えば以下に説明する第二実施形態のように、予約管理装置70は、単にユーザが評点の高い優良なユーザ(以下、優良ユーザという)であることを貸出装置10に送信し、貸出装置10が優良ユーザに優良バッテリを割り当てるように構成してもよい。
【0062】
図9に示すように、本サービスの利用開始にあたり、予約管理装置70は、ユーザ端末40から送信されるユーザIDを取得する(step11)。予約管理装置70はユーザIDの判定を行った後、ユーザのリクエストを受け付ける。
【0063】
ユーザは、上記第一実施形態と同様に、ユーザ端末40を通じて、持出予約時刻と、返却予約時刻と、貸出装置IDと、返却装置IDと、ユーザIDを含む、予約リクエストを予約管理装置70へ送信する。本例では、ユーザDが本サービスを利用しようとしている状況であるとする。ユーザDはユーザID:DDDを有している。ユーザDが、バッテリを持ち出しする際に利用する貸出装置10として貸出装置ID:789を希望し、持ち出す時刻として持出予約時刻8:00、返却する時刻として返却予約時刻18:00を希望して、これらの希望事項を含む予約リクエストを予約管理装置70へ送信したとする。
【0064】
予約管理装置70は、予約リクエストを取得したら(step12)、当該予約リクエストの受諾の可否を判定する(step13)。予約管理装置70は、ユーザDが利用を希望する貸出装置ID:789において、持ち出しを予約した持出予約時刻8:00に貸出可能なバッテリが存在するか否かにより受諾の可否を判定する。予約管理装置70は、上記第一実施形態と同様に、例えば
図4に示すバッテリ在庫データベース71に基づき、受諾の可否を判定する。
【0065】
予約管理装置70は、予約リクエストが受諾可能と判定したら(step13:Yes)、予約リクエストに基づく予約情報の受諾を確定し、ユーザDに対する評点を予約情報に付す(step14)。予約情報は、上記第一実施形態と同様に、ユーザID、持出予約時刻、返却予約時刻、利用する貸出装置10の貸出装置IDおよび返却装置ID、バッテリIDなどを含む。予約管理装置70は、例えば
図5に示すユーザデータベース72に基づき、ユーザDの評点を予約情報に付す。予約管理装置70は、評点を付した予約情報を、予約管理装置70の予約データベースに記録する(step14)。また予約管理装置70は、評点を付した予約情報を、ユーザDが持ち出しを希望する貸出装置ID:789の貸出装置10に送信する(step14)。なお、評点が付された予約情報を受信した貸出装置10は、その予約情報を貸出装置10の予約状況データベースに記録する。
【0066】
また、予約管理装置70は、予約を受諾した旨の予約受領通知をユーザ端末40に返信する(step15)。
【0067】
一方、予約管理装置70は、予約リクエストが受諾可能ではないと判定したら(step13:No)、本処理を終了する。
【0068】
図10は、第二実施形態において貸出装置10が実行する、貸出時のフローチャートである。
本例における上記ユーザDは、持ち出しを希望した貸出装置ID:789の貸出装置10を訪れ、ユーザ端末40を貸出装置10にかざして予約したバッテリを持ち出す。
【0069】
図10に示すように、貸出装置10は、ユーザ端末40からユーザIDを取得する(step21)。貸出装置10は、取得したユーザIDに基づき、予約状況データベースからそのユーザIDを含む予約情報を取得する(step22)。
【0070】
貸出装置10は、まず現在の時刻、すなわちユーザが貸出装置10を訪れた時刻が持出予約時刻に該当しているか否かを判定する。上述したように、ユーザDの持出予約時刻は8:00であるので、貸出装置10は、現在時刻が8:00に該当しているか否かを判定する。次に貸出装置10は、取得した予約情報からそのユーザの評点を読み出す。
【0071】
貸出装置10は、読み出したユーザの評点が60以上であるか否かを判定する(step23)。貸出装置10は、ユーザの評点が60以上であると判定したら(step23:Yes)、そのユーザを優良ユーザと判定し、劣化度の少ない優良バッテリを貸し出す(step24)。貸出装置10は、ユーザの評点が60以上ではないと判定したら(step23:No)、そのユーザを優良ユーザではないと判定し、通常バッテリ(優良バッテリではないバッテリ)を貸し出す(step25)。バッテリの劣化度は、貸出装置10が有する例えばバッテリデータベース(
図12で後述する)に記録されている。貸出装置10は、貸し出したバッテリに関する情報を、例えば予約状況データベース81(
図11で後述する)に記録する。
【0072】
図11は、貸出装置10に保存される「予約状況データベース」の一例を示す図である。
図11に示すように、予約状況データベース81には、予約IDと、ユーザIDと、貸出装置ID(あるいは返却装置ID)と、持出予約時刻と、返却予約時刻と、ユーザ評点とが記録されている。本例の予約状況データベース81では、ユーザD(ユーザID:DDD)のリクエストに対して受け付けられた予約内容である予約ID:0001が記録されている。例えばユーザDがバッテリの持ち出しを希望する貸出装置10は貸出装置ID:789であり、その持出予約時刻が8:00である。また、本サービス提供側から見たユーザDの評点は67である。
【0073】
このように、ユーザDの評点が60以上であるため、貸出装置10は、例えば
図10のstep23,step24において、ユーザDを優良ユーザと判定して劣化度の少ない優良バッテリを貸し出す。
【0074】
図12は、貸出装置10に保存される「バッテリデータベース」の一例を示す図である。
図12に示すように、バッテリデータベース82には、貸出装置10が保有している複数のバッテリのバッテリIDと、それらのバッテリの劣化度が記録されている。本例のバッテリデータベース82は、貸出装置ID:789の8:00における保有バッテリとその劣化度を記憶する。
【0075】
バッテリの劣化度は、上記第一実施形態と同様に、劣化度10以下で優良バッテリとされている。したがって、バッテリデータベース82に保有されているバッテリの場合、バッテリID:210987,098765のバッテリが優良バッテリになり、そのうちバッテリID:210987のバッテリが最優良バッテリになる。
【0076】
このため、貸出装置ID:789の貸出装置10は、バッテリデータベース82を参照して、利用時刻8:00において最も劣化度が少ないバッテリがバッテリID:210987のバッテリであると特定する。貸出装置10は、例えば
図10のstep24において、優良ユーザであるユーザDに、例えば最優良バッテリであるバッテリID:210987のバッテリを貸し出す。
【0077】
上述したように、第二実施形態に係る貸出装置10は、
ユーザに充電済みバッテリの貸し出しおよび使用済みバッテリの返却を行ってもらい、配送者に使用済みバッテリの回収および充電済みバッテリの配送をしてもらう、可搬式バッテリの貸出装置10であって、
ユーザへの貸出時に、ユーザが過去に返却予約時刻通りにバッテリを返却した頻度が所定の割合以上の場合に、貸出可能バッテリの内で劣化度の少ないバッテリをユーザへ貸し出す。
【0078】
このような構成の貸出装置10によっても、上記第一実施形態の予約管理装置70と同様に、バッテリの貸し出しに関してユーザにインセンティブを与えることができる。これにより、ユーザに貸し出したバッテリを予定通りに返却してもらいやすくなる。このため、返却されたバッテリを配送者に計画通りに回収してもらい、充電済みバッテリを配送してもらうことができ、供給可能なバッテリの数を多くできる。また、例えばユーザからのバッテリの貸出予約が1週間後など、貸出予約までの期間が比較的に長いの場合には、どのバッテリが予約時に在庫しているか特定しにくい。これに対して、上記貸出装置10の構成によれば、貸出装置10で貸し出すときにバッテリの劣化度を判定するので、在庫しているバッテリのうちで劣化度の少ないバッテリを特定しやすい。これにより、バッテリの貸出予約が1週間先などの予約であっても、評点の高い優良ユーザに劣化度の少ない優良なバッテリを貸し出すことができる。
【0079】
また第二実施形態に係る貸出装置10において、
貸出装置10は、各々のユーザを識別可能なユーザIDを取得し、
取得したユーザIDおよびユーザが過去に返却予約時刻通りにバッテリを返却した頻度を示す優良度が記録されたユーザデータベースを参照して、取得したユーザIDの優良度に基づき、貸出可能バッテリの内で劣化度の少ないバッテリをユーザへ貸し出す、ように構成してもよい。ユーザデータベースは貸出装置10が有していてもよいし、予約管理装置70に保存されていてもよい。この構成によれば、優良度に基づいてユーザに劣化度の少ないバッテリを貸し出すことが可能となる。
【0080】
(第二実施形態の変形例)
次に、本サービスにおける第二実施形態の変形例について説明する。上記第二実施形態では、ユーザが予約したバッテリを持ち出す都度、そのときに在庫しているバッテリのうちで最も劣化度の少ないバッテリを貸し出すように構成した例を説明したが、本開示はこれに限られない。
【0081】
例えば、貸出装置10は、予約管理装置70から予約情報を取得したときに、持出予約時刻に在庫しているであろうバッテリを特定し、評点の高い優良ユーザにはあらかじめ劣化度の少ない優良バッテリを割り当てるようにしてもよい。この場合、貸出装置10は、ユーザに割り当てるバッテリのバッテリID情報を予約情報に付すように構成する。
【0082】
なお、貸出装置10がユーザに貸し出すバッテリを割り当てるタイミングは、予約管理装置70から予約情報を取得したときや、ユーザに貸し出すときに限られない。例えば、予約管理装置70から予約情報を取得したときにユーザに貸し出すバッテリを仮に割り当てておき、所望のタイミングで、バッテリの割り当て計画を見直すように構成してもよい。具体的には、配送者から充電済みバッテリが配送される度に、在庫されているバッテリの状況が変わるので、このタイミングでユーザへ貸し出すバッテリを再割り当てするように構成してもよい。
【0083】
あるいは、貸出装置10は、予約状況データベースを参照して、利用開始時刻が現在時刻から次回配送時刻までの期間に属するユーザ群を特定し、特定したユーザ群について、ユーザデータベースに基づき、優良度(評点)が高いユーザから順に劣化度の少ないバッテリを割り当てるように構成してもよい。
【0084】
例えば、貸出装置10は、
配送者により使用済みバッテリが貸出装置10から回収され充電済みバッテリが貸出装置10に配送される度に、過去に返却予約時刻通りにバッテリを返却した頻度が所定の割合以上のユーザへ貸し出す劣化度の少ないバッテリを再割り当てする、ように構成してもよい。
この構成によれば、配送者が貸出装置10に回収および配送に来るたびに在庫しているバッテリが変わるので、バッテリの劣化度を評価し直し、最も劣化度の少ないバッテリを優良ユーザへ貸し出すことが可能となる。
【0085】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本開示の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本開示の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0086】
2 商用電源
3 充電工場
10 貸出装置
40 ユーザ端末
50 配送管理装置
70 予約管理装置
71 バッテリ在庫データベース
72 ユーザデータベース
73 貸出装置所在データベース
74,82 バッテリデータベース
75 予約データベース
81 予約状況データベース