IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150191
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ヒューズユニット保護カバー
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/583 20210101AFI20241016BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20241016BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20241016BHJP
   H01M 50/543 20210101ALI20241016BHJP
【FI】
H01M50/583
H01M50/588 101
H01M50/591
H01M50/543
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063475
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】山口 真
(72)【発明者】
【氏名】内山 綾
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA04
5H043AA13
5H043AA14
5H043AA17
5H043BA12
5H043CA05
5H043GA03
5H043GA25
5H043HA08D
5H043JA01D
5H043JA03D
5H043LA22D
(57)【要約】
【課題】バッテリとの間に隙間が形成されてしまうことをより確実に抑制することが可能なヒューズユニット保護カバーを提供する。
【解決手段】ヒューズユニット保護カバー10は、バッテリ50に設置されているヒューズユニット40を保護することが可能なカバーである。このヒューズユニット保護カバー10は、第1方向に開口する開口部S1aが形成された状態で、ヒューズユニット40を覆うように配置される第1の部材20を備えている。また、ヒューズユニット保護カバー10は、開口部S1aを塞ぐことが可能な蓋体31を有し、第1の部材20に取り付けられる第2の部材30を備えている。そして、第2の部材30は、少なくとも蓋体31を第1方向と交差する第2方向に移動させることができるようにした状態で第1の部材20に取り付けられている。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリに設置されているヒューズユニットを保護することが可能なヒューズユニット保護カバーであって、
第1方向に開口する開口部が形成された状態で、前記ヒューズユニットを覆うように配置される第1の部材と、
前記開口部を塞ぐことが可能な蓋体を有し、前記第1の部材に取り付けられる第2の部材と、
を備え、
前記第2の部材は、少なくとも前記蓋体を前記第1方向と交差する第2方向に移動させることができるようにした状態で前記第1の部材に取り付けられている、
ヒューズユニット保護カバー。
【請求項2】
前記蓋体が弾性変形可能に構成されており、
前記蓋体には、前記第1の部材に形成された一対の取付部にそれぞれ取り付けられる一対の被取付部が、前記蓋体の弾性変形に追従するように形成されており、
一対の前記被取付部が近づくように前記蓋体を弾性変形させた状態で、一対の前記被取付部を一対の前記取付部にそれぞれ取り付けることで、前記第2の部材が前記第1の部材に取り付けられている、
請求項1に記載のヒューズユニット保護カバー。
【請求項3】
前記取付部及び前記被取付部の一方が、前記第2方向に延在する突部であり、他方が、前記突部を前記第2方向に移動可能な状態で挿入することが可能な孔である、
請求項2に記載のヒューズユニット保護カバー。
【請求項4】
前記被取付部が、前記第2方向に延在するリブであり、前記取付部が、前記リブを前記第2方向に摺動可能に嵌合するスリットである、
請求項2または請求項3に記載のヒューズユニット保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズユニット保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来のヒューズユニット保護カバーとしては、特許文献1に開示されたものが提案されている。この特許文献1には、バッテリに設置されているヒューズユニットに固定される固定部と、ヒンジ部を介して固定部に接続され、ヒンジ部を回動中心にして固定部に対して回動する開閉部と、を備えるヒューズユニット保護カバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-180146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリに設置されているヒューズユニットを保護するためのヒューズユニット保護カバーにおいては、バッテリとの間に隙間が形成されてしまうことをより確実に抑制できるようにするのが好ましい。
【0005】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、バッテリとの間に隙間が形成されてしまうことをより確実に抑制することが可能なヒューズユニット保護カバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係るヒューズユニット保護カバーは、バッテリに設置されているヒューズユニットを保護することが可能なものであって、第1方向に開口する開口部が形成された状態で、前記ヒューズユニットを覆うように配置される第1の部材と、前記開口部を塞ぐことが可能な蓋体を有し、前記第1の部材に取り付けられる第2の部材と、を備え、前記第2の部材は、少なくとも前記蓋体を前記第1方向と交差する第2方向に移動させることができるようにした状態で前記第1の部材に取り付けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バッテリとの間に隙間が形成されてしまうことをより確実に抑制することが可能なヒューズユニット保護カバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るヒューズユニット保護カバーをバッテリに設置されているヒューズユニットに取り付けた状態を、後側の上方から見た斜視図である。
図2】第1実施形態に係るヒューズユニット保護カバーをバッテリに設置されているヒューズユニットから取り外した状態を、後側の上方から見た斜視図である。
図3】第1実施形態に係るヒューズユニットをバッテリ端子とユニット本体と電線付端子とに分解した状態を、後側の上方から見た斜視図である。
図4】第1実施形態に係るユニット本体をバスバーと保護部本体と被覆部材とに分解した状態を、後側の上方から見た斜視図である。
図5】第1実施形態に係るヒューズユニット保護カバーを後側の上方から見た斜視図である。
図6】第1実施形態に係るヒューズユニット保護カバーを前側の上方から見た斜視図である。
図7】第1実施形態に係るヒューズユニット保護カバーをカバー本体と蓋部材とに分解した状態を、後側の上方から見た斜視図である。
図8】第1実施形態に係るヒューズユニット保護カバーをカバー本体と蓋部材とに分解した状態を、前側の上方から見た斜視図である。
図9】第1実施形態に係るヒューズユニット保護カバーの蓋部材をカバー本体に取り付ける方法の一例を説明する図であって、弾性変形させた蓋部材をカバー本体に取り付ける前の状態を、後側の上方から見た斜視図である。
図10】第1実施形態に係るヒューズユニット保護カバーの蓋部材をカバー本体に取り付ける方法の一例を説明する図であって、弾性変形させた蓋部材をカバー本体に取り付けた状態を、後側の上方から見た斜視図である。
図11】第1実施形態に係るヒューズユニット保護カバーの蓋部材をカバー本体に取り付けた状態を示す平面図である。
図12】第1実施形態に係るヒューズユニット保護カバーをバッテリに設置されているヒューズユニットに取り付ける方法の一例を説明する図であって、ヒューズユニット保護カバーのカバー本体をヒューズユニットに取り付ける前の状態を示す断面図である。
図13】第1実施形態に係るヒューズユニット保護カバーをバッテリに設置されているヒューズユニットに取り付ける方法の一例を説明する図であって、ヒューズユニット保護カバーのカバー本体をヒューズユニットに取り付けた状態を示す断面図である。
図14】第1実施形態に係るヒューズユニット保護カバーをバッテリに設置されているヒューズユニットに取り付ける方法の一例を説明する図であって、ヒューズユニット保護カバーの蓋部材で、カバー本体の前方に形成される開口部を覆った状態を示す断面図である。
図15】第1実施形態に係るヒューズユニット保護カバーの蓋部材で、カバー本体の前方に形成される開口部を覆った状態を示す正面図である。
図16】第1実施形態に係るヒューズユニット保護カバーを突部の高さが異なるバッテリに設置されているヒューズユニットに取り付けた状態を、前側の上方から見た斜視図である。
図17】第1実施形態に係るヒューズユニット保護カバーを突部の高さが異なるバッテリに設置されているヒューズユニットに取り付けた状態を示す正面図である。
図18】第2実施形態に係るヒューズユニット保護カバーをバッテリに設置されているヒューズユニットに取り付けた状態を、後側の上方から見た斜視図である。
図19】第2実施形態に係るヒューズユニット保護カバーをバッテリに設置されているヒューズユニットから取り外した状態を、後側の上方から見た斜視図である。
図20】第2実施形態に係るヒューズユニット保護カバーを後側の上方から見た斜視図である。
図21】第2実施形態に係るヒューズユニット保護カバーを前側の上方から見た斜視図である。
図22】第2実施形態に係るヒューズユニット保護カバーをカバー本体と蓋部材とに分解した状態を、後側の上方から見た斜視図である。
図23】第2実施形態に係るヒューズユニット保護カバーをカバー本体と蓋部材とに分解した状態を、前側の上方から見た斜視図である。
図24】第2実施形態に係るヒューズユニット保護カバーの蓋部材をカバー本体に取り付けた状態を示す平面図である。
図25】第2実施形態に係るヒューズユニット保護カバーを、バッテリポストの先端側に設置されているヒューズユニットに取り付けた状態を示す断面図である。
図26】第2実施形態に係るヒューズユニット保護カバーの蓋部材を、バッテリポストの先端側に設置されているヒューズユニットに取り付けた状態を示す正面図である。
図27】第2実施形態に係るヒューズユニット保護カバーを、バッテリポストの根元側に設置されているヒューズユニットに取り付けた状態を示す断面図である。
図28】第2実施形態に係るヒューズユニット保護カバーを、バッテリポストの根元側に設置されているヒューズユニットに取り付けた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本実施形態に係るヒューズユニット保護カバーについて詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0010】
また、以下の各実施形態では、バッテリポストの先端が上方を向くように配置したバッテリに組み付けたヒューズユニットを覆うようにヒューズユニット保護カバーを配置した状態における上下方向を、Z方向と規定して説明する。すなわち、バッテリポストの中心軸に沿った方向がZ方向(第2方向:上下方向)となるようにした状態で、ヒューズユニット保護カバーの上下方向を規定して説明する。
【0011】
また、バッテリ端子とユニット本体が並ぶ方向を、X方向(第1方向:ヒューズユニット保護カバーの前後方向)と規定して説明する。そして、Z方向(第2方向:上下方向)及びX方向(第1方向:ヒューズユニット保護カバーの前後方向)と交差(直交)する方向をY方向(ヒューズユニット保護カバーの幅方向)と規定して説明する。また、ヒューズユニット保護カバーの開口部が位置する側を前後方向の前方と規定して説明する。
【0012】
また、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態に係るヒューズユニット保護カバー10は、図1及び図2に示すように、車両のバッテリ50に一体的に設置されているヒューズユニット(ヒュージブルリンクユニット)40のカバーとして使用されるものである。
【0014】
本実施形態では、ヒューズユニット保護カバー10は、ヒューズユニット40に着脱可能に取り付けられるように構成されている。具体的には、ヒューズユニット40をバッテリ50に一体的に設置させた状態で、このヒューズユニット40にヒューズユニット保護カバー10を着脱可能に装着させることができるようになっている。
【0015】
そして、バッテリ50に設置させたヒューズユニット40に、ヒューズユニット保護カバー10を装着することで、ヒューズユニット40がヒューズユニット保護カバー10で覆われるようにしている。すなわち、ヒューズユニット保護カバー10をヒューズユニット40に装着することで、ヒューズユニット保護カバー10に形成された空間S1内にヒューズユニット40が収容されるようにしている。こうすることで、ヒューズユニット保護カバー10で覆われている空間S1内に、水などの液体が浸入してしまうことを抑制できるようにしている。そして、ヒューズユニット40の金属露出部の被水による腐食を抑制することができるようにしつつ、ヒューズユニット40に形成された回路が水などの液体によりショートしてしまうことを抑制できるようにしている。
【0016】
また、バッテリ50に設置させたヒューズユニット40からヒューズユニット保護カバー10を取り外すことで、ヒューズユニット40が外部に露出することになるため、ヒューズユニット40の点検等を行うことができるようになっている。
【0017】
ここで、本実施形態では、バッテリ50として、DIN規格のバッテリ(DINバッテリ)を例示している。このバッテリ50は、車両等に蓄電装置として搭載されるものである。本実施形態では、バッテリ50は、バッテリ液等を収容する略直方体状のバッテリ本体51と、バッテリ本体51の上面51aからZ方向(第2方向:上下方向)の上側に突出している突部511と、バッテリポスト52と、を備えている。突部511は、バッテリ本体51の上面51aの一部に形成されており、バッテリ本体51の内側に位置している。そのため、バッテリ本体51には、突部511が存在しない突部非存在領域が形成されており、この突部非存在領域にバッテリポスト52が、バッテリ本体51の上面51aから法線方向に突出するように形成されている。なお、図示省略したが、突部非存在領域には、一対のバッテリポスト52がX方向(第1方向:ヒューズユニット保護カバーの前後方向)に離間した状態で並設されている。このバッテリポスト52は、先端の外径が基端の外径より小さいテーパ形状をしている。
【0018】
そして、このバッテリポスト52の外周面にヒューズユニット40を締結させることで、ヒューズユニット40とバッテリポスト52とが電気的に接続されるようにしている。
【0019】
ヒューズユニット40は、図3に示すように、ヒューズ機能を有するユニット本体60と、ユニット本体60の前端に連結されて、バッテリポスト52に締結されるバッテリ端子70と、ユニット本体60の下端に連結される電線付端子80と、を備えている。
【0020】
ユニット本体60は、図4に示すように、バスバー61と、バスバー61の外面を覆う絶縁保護部62と、を備えている。
【0021】
バスバー61は、例えば、導電性及び剛性を有する金属材料を用いて形成することができる。本実施形態では、バスバー61は、水平方向に延在し、バッテリ端子70が電気的に接続されるバッテリ端子側接続部611と、鉛直方向に延在し、電線付端子80が電気的に接続される電線側接続部612と、を備えており、側面視で略L字状をしている。また、バッテリ端子側接続部611と電線側接続部612との間には、太さが細い(断面積が小さい)可溶部613が形成されており、バッテリ端子側接続部611と電線側接続部612とがこの可溶部613を介して接続されている。
【0022】
本実施形態では、バッテリ端子側接続部611にボルト挿通孔611aが形成されており、このボルト挿通孔611aにバッテリ端子70のボルト711を挿入することで、バスバー61とバッテリ端子70とが電気的に接続されるようにしている。また、電線側接続部612にもボルト挿通孔612aが形成されており、このボルト挿通孔612aに外部接続用ボルト6121が挿入固定されている。そして、この外部接続用ボルト6121に電線付端子80を接続することで、バスバー61と電線付端子80とが電気的に接続されるようにしている。
【0023】
絶縁保護部62は、バッテリ端子側接続部611の一部を覆って保護するバッテリ端子側保護部6211と、電線側接続部612の一部を覆って保護する電線側保護部6212と、を有する保護部本体621を備えている。さらに、絶縁保護部62は、保護部本体621に着脱可能に取り付けられて、可溶部613を覆って保護する保護カバー622を備えている。そして、この保護カバー622を保護部本体621から取り外すことで、可溶部613の状態を確認できるようにしている。
【0024】
また、本実施形態では、バッテリ端子側保護部6211には、係止壁6211aが形成されており、ヒューズユニット保護カバー10を装着する際に、後述するロックアーム2211の係止突起2211aが係止されるようになっている。
【0025】
さらに、電線側保護部6212には、Z方向(第2方向:上下方向)の上方に開口する係止孔6212aが形成されており、ヒューズユニット保護カバー10を装着する際に、後述する係止片222aが挿入されるようになっている。
【0026】
バッテリ端子70は、図3に示すように、ユニット本体60のバスバー61が接続される被接続部71と、バッテリポスト52に接続されるポスト取付部72と、ポスト取付部72をバッテリポスト52に締め付けるための締め付け部材73と、を備えている。
【0027】
バッテリ端子70は、例えば、導電性及び剛性を有する金属材料を用いて形成することができる。本実施形態では、一枚の導電性を有する金属板を素材の外形が所定形状になるように打ち抜き加工し、この打ち抜き加工された加工品に折り曲げ加工等の塑性加工を適宜施すことでバッテリ端子70を形成している。そして、このようにして形成されたバッテリ端子70が、ユニット本体60のバスバー61が電気的に接続される部位である被接続部71と、被接続部71に連設されて、バッテリポスト52に接続される部位であるポスト取付部72と、を備えるようにしている。
【0028】
被接続部71は、上方に位置する第1壁部と下方に位置する第2壁部とを備えており、この第1壁部と第2壁部の間にボルト711を挟み込むことで、ボルト711が被接続部71に保持されるようにしている。
【0029】
一方、ポスト取付部72には、バッテリポスト52が挿入される挿入孔721が形成されており、この挿入孔721に切込み7211を形成することで、挿入孔721を拡縮させることができるようにしている。
【0030】
そして、バッテリポスト52を挿入孔721に挿入した状態で、締め付け部材73の締め付けボルト731で締め付ける(挿入孔721を縮径させる)ことで、バッテリ端子70がバッテリポスト52に電気的に接続されるようにしている。
【0031】
電線付端子80は、ユニット本体60のバスバー61に電気的に接続される端子部81と、端子部81に電気的に接続される電線82と、を備えている。
【0032】
本実施形態では、端子部81は、ユニット本体60のバスバー61に電気的に接続される接続端子部811と、電線82が接続される電線接続部812と、を備えている。そして、接続端子部811には、外部接続用ボルト6121が挿入される挿入孔811aが形成されており、挿入孔811aに外部接続用ボルト6121を挿入することで、電線付端子80がユニット本体60のバスバー61に電気的に接続されるようにしている。また、電線接続部812には、電線82の導体821をカシメる導体カシメ片8121と、電線82の被覆体822をカシメる被覆体カシメ片8122とが形成されている。そして、導体カシメ片8121で電線82の導体821をカシメることで、導体圧着部8123が形成されるようにし、被覆体カシメ片8122で電線82の被覆体822をカシメることで、被覆体圧着部8124が形成されるようにしている。こうすることで、電線82の導体821が端子部81に電気的に接続されるようにしている。
【0033】
そして、このような構成をしたヒューズユニット40をバッテリポスト52に接続することで、バッテリ50から電線82に電力が供給されるようにしている。また、電線82に過電流が流れた場合に可溶部613を破断させることで、電線82への電力の供給を中断できるようにしている。
【0034】
次に、ヒューズユニット保護カバー10の構成について説明する。
【0035】
ヒューズユニット保護カバー10は、バッテリ液に対しての耐食性を持たせるために(防食機能を持たせるために)、合成樹脂材料(例えば、ポリプロピレン等)を用いて成形されている。そして、このヒューズユニット保護カバー10は、ヒューズユニット40を覆うように配置されるカバー本体(第1の部材)20を備えている。
【0036】
このカバー本体20は、図5図10に示すように、水平方向に延在して、バッテリポスト52側のヒューズユニット40を覆うバッテリ端子側被覆部21を備えている。具体的には、カバー本体20のバッテリ端子側被覆部21によって、バッテリ端子70、ユニット本体60のバッテリ端子側接続部611及びバッテリ端子側保護部6211が覆われるようにしている。
【0037】
また、カバー本体20は、鉛直方向に延在して、電線付端子80側のヒューズユニット40を覆う電線側被覆部22を備えている。具体的には、カバー本体20の電線側被覆部22によって、電線82の導体821、ユニット本体60の電線側接続部612、可溶部613、電線側保護部6212及び保護カバー622が覆われるようにしている。
【0038】
このように、本実施形態では、ヒューズユニット保護カバー10も側面視で略L字状をしている。
【0039】
バッテリ端子側被覆部21は、バッテリ本体51の上面51aに対向する対向壁211と、対向壁211のY方向(ヒューズユニット保護カバーの幅方向)の両端から下方に向けて延設された一対の延設壁212と、を備えている。そして、バッテリ端子側被覆部21の内側には、下方に開口する空間S1が形成されており、ヒューズユニット保護カバー10をヒューズユニット40に取り付けた状態で、空間S1内にバッテリポスト52側のヒューズユニット40が収容されるようにしている。
【0040】
なお、本実施形態では、ヒューズユニット保護カバー10をヒューズユニット40に取り付けた状態で、X方向(第1方向:ヒューズユニット保護カバーの前後方向)の前方に開口する開口部S1aが形成されるようになっている。そして、バッテリ端子側被覆部21には、前壁213が開口部S1aの一部を塞ぐように形成されている。
【0041】
一方、電線側被覆部22は、バッテリ本体51の側面51bに対向する対向壁221と、対向壁221のY方向(ヒューズユニット保護カバーの幅方向)の両端から前方に向けて延設された一対の延設壁222と、を備えている。そして、この電線側被覆部22の内側には、前方に開口する空間S1が形成されており、ヒューズユニット保護カバー10をヒューズユニット40に取り付けた状態で、この空間S1内に電線付端子80側のヒューズユニット40が収容されるようにしている。
【0042】
さらに、本実施形態では、電線側被覆部22の対向壁221の内側に、上方に向けて延設されたロックアーム2211が形成されており、このロックアーム2211の上端には、係止突起2211aが形成されている。そして、この係止突起2211aをバッテリ端子側保護部6211に形成された係止壁6211aに係止することで、ヒューズユニット保護カバー10がヒューズユニット40に取り付けられるようにしている。
【0043】
また、一対の延設壁222の下端には、係止片222aがそれぞれ形成されている。そして、この係止片222aを電線側保護部6212に形成された係止孔6212aに挿入することで、ヒューズユニット保護カバー10がヒューズユニット40に取り付けられるようにしている。
【0044】
このように、本実施形態では、バッテリ50に設置されたヒューズユニット40に対してカバー本体20を下方に相対移動させることで、延設壁222の係止片222aが電線側保護部6212に形成された係止孔6212aに挿入されるようにしている。また、係止片222aを係止孔6212aに挿入させた状態で、カバー本体20をさらに下方に移動させることで、ロックアーム2211の係止突起2211aが係止壁6211aに係止されるようにしている。こうすることで、カバー本体20がヒューズユニット40に取り付けられて、ヒューズユニット40がカバー本体20に形成された空間S1に収容されるようにしている。
【0045】
なお、電線側被覆部22の上部には、治具を挿入するための挿入孔23が上方に開口するように形成されており、挿入孔23に挿入した治具によって係止突起2211aと係止壁6211aとの係止を解除できるようにしている。
【0046】
また、本実施形態では、カバー本体20をヒューズユニット40に取り付けて、ヒューズユニット40をカバー本体20に形成された空間S1に収容されるようにした状態で、X方向(第1方向:前後方向)の前方に開口する開口部S1aが形成されている。
【0047】
すなわち、カバー本体20は、X方向(第1方向:前後方向)に開口する開口部S1aが形成された状態で、ヒューズユニット40を覆うように配置される部材である。
【0048】
そのため、本実施形態では、ヒューズユニット保護カバー10が、開口部S1aを塞ぐことが可能な蓋体31を有し、カバー本体20に取り付けられる蓋部材(第2の部材)30を備えるようにしている。
【0049】
ここで、本実施形態では、蓋体31とバッテリ50との間に隙間が形成されてしまうことをより確実に抑制できるようにしている。
【0050】
具体的には、少なくとも蓋体31をX方向(第1方向:前後方向)と交差するZ方向(第2方向:上下方向)に移動させることができるようにした状態で蓋部材30がカバー本体20に取り付けられるようにしている。
【0051】
こうすることで、蓋体31により塞がれる開口部S1aの面積を調整できるようにしている。なお、本実施形態では、蓋体31には、対向壁211と干渉することが可能な突起311が形成されており、この突起311によって蓋体31の上下方向の移動範囲が所定の範囲となるようにしている。
【0052】
本実施形態では、蓋部材30は、略矩形板状の蓋体31と、蓋体31に上下方向に延在するように連設され、対向壁211に形成された一対のスリット2411にそれぞれ摺動可能に嵌合する一対のリブ3311と、を備えている。このように、本実施形態では、対向壁211に形成された一対のスリット2411が、取付部24及び孔241に相当し、蓋部材30に形成された一対のリブ3311が、被取付部33及び突起331に相当している。また、本実施形態では、蓋部材30には、一方のリブ3311の側部を覆う側壁32が形成されている。
【0053】
さらに、本実施形態では、蓋体31が弾性変形可能に構成されており、蓋体31に形成された一対のリブ3311が、蓋体31の弾性変形に追従するように形成されている。
【0054】
そして、図7図11に示すように、一対のリブ3311の先端側が互いに近づくように蓋体31を弾性変形させた状態で、一対のリブ3311を一対のスリット2411に嵌合することで、蓋部材30がカバー本体20に取り付けられるようにしている。
【0055】
こうすることで、蓋体31の弾性復元力を利用して、リブ3311がスリット2411に取り付けられるようにしている。具体的には、リブ3311とスリット2411との間に生じる反力によって、蓋部材30とカバー本体20とが係止されるようにしている。さらに、蓋体31の弾性復元力により生じる反力によって、対向壁211の先端(前端)が蓋体31の内面に突き当てられることになるため、本実施形態では、蓋部材30は、カバー本体20に3点で保持されている。
【0056】
また、蓋体31の弾性復元力を利用して、リブ3311をスリット2411に取り付けるようにすれば、蓋体31の弾性復元力によって、リブ3311のスリット2411に対する相対移動(Z方向への相対移動)をより確実に抑制することも可能になる。そのため、例えば、車両の振動時等に、車体に組み付けられたバッテリ50が振動してしまった場合であっても、蓋部材30がカバー本体20に対して相対移動(Z方向への相対移動)してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。また、車両の振動時等に、バッテリ50に設置されたヒューズユニット40が振動してしまった場合であっても、蓋部材30がカバー本体20に対して相対移動(Z方向への相対移動)してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0057】
このように、蓋部材30がカバー本体20に対して相対移動(Z方向への相対移動)してしまうことをより確実に抑制できるようにすれば、開口部S1aをより一層確実に蓋体31で塞ぐことができるようになる。
【0058】
次に、ヒューズユニット保護カバー10のヒューズユニット40への取付方法を説明する。なお、下記で示す方法は一例であって、他の方法でヒューズユニット保護カバー10をヒューズユニット40に取り付けることも可能である。
【0059】
まず、図12に示すように、蓋体31を弾性変形させ、蓋部材30のリブ3311を対向壁211のスリット2411に嵌合させた状態で、ヒューズユニット保護カバー10をヒューズユニット40の上方に配置する。
【0060】
次に、図13に示すように、バッテリ50に設置されたヒューズユニット40に対してカバー本体20を下方に相対移動させることで、カバー本体20をヒューズユニット40に取り付ける。
【0061】
具体的には、延設壁222の係止片222aを電線側保護部6212に形成された係止孔6212aに挿入させ、ロックアーム2211の係止突起2211aを係止壁6211aに係止させる。こうすることで、カバー本体20をヒューズユニット40に取り付けて、ヒューズユニット40をカバー本体20に形成された空間S1内に収容する。
【0062】
次に、図14に示すように、蓋体31を押圧して下方に移動させることで、蓋体31の下端を突部511の上面511aに当接させる。こうすることで、開口部S1aが蓋体31で塞がれるようにしている。
【0063】
こうすれば、図15に示すように、X方向(第1方向:前後方向)の前方から見た状態で、空間S1(ヒューズユニット40の金属部分)を外部に露出させないようにすることができる。
【0064】
また、蓋体31により塞がれる開口部S1aの面積を調整できるようにすれば、バッテリ50の寸法誤差等により開口部S1aの面積が異なってしまった場合であっても、開口部S1aをより確実に蓋体31で塞ぐことができる。
【0065】
例えば、図16に示すように、バッテリ50の突部511の高さが高い場合であっても、蓋体31の下端を突部511の上面511aに当接させることができるため、開口部S1aをより確実に蓋体31によって塞ぐことができるようになる。
【0066】
すなわち、図17に示すように、X方向(第1方向:前後方向)の前方から見た状態で、空間S1(ヒューズユニット40の金属部分)を外部に露出させないようにすることが可能になる。
【0067】
このように、本実施形態に係るヒューズユニット保護カバー10を用いれば、バッテリ50の大きさの相違に関わらず、蓋体31とバッテリ50との間に隙間が形成されてしまうことをより確実に抑制することが可能になる。
【0068】
(第2実施形態)
本実施形態に係るヒューズユニット保護カバー10は、基本的に上記第1実施形態で示したヒューズユニット保護カバー10とほぼ同様の構成をしている。すなわち、本実施形態に係るヒューズユニット保護カバー10も、図18及び図19に示すように、車両のバッテリ50に一体的に設置されているヒューズユニット(ヒュージブルリンクユニット)40のカバーとして使用されるものである。
【0069】
本実施形態においても、ヒューズユニット保護カバー10は、ヒューズユニット40に着脱可能に取り付けられるように構成されている。具体的には、ヒューズユニット40をバッテリ50に一体的に設置させた状態で、このヒューズユニット40にヒューズユニット保護カバー10を着脱可能に装着させることができるようになっている。
【0070】
そして、バッテリ50に設置させたヒューズユニット40に、ヒューズユニット保護カバー10を装着することで、ヒューズユニット40がヒューズユニット保護カバー10で覆われるようにしている。すなわち、ヒューズユニット保護カバー10をヒューズユニット40に装着することで、ヒューズユニット保護カバー10に形成された空間S1内にヒューズユニット40が収容されるようにしている。こうすることで、ヒューズユニット保護カバー10で覆われている空間S1内に、水などの液体が浸入してしまうことを抑制できるようにしている。そして、ヒューズユニット40の金属露出部の被水による腐食を抑制することができるようにしつつ、ヒューズユニット40に形成された回路が水などの液体によりショートしてしまうことを抑制できるようにしている。
【0071】
また、バッテリ50に設置させたヒューズユニット40からヒューズユニット保護カバー10を取り外すことで、ヒューズユニット40が外部に露出することになるため、ヒューズユニット40の点検等を行うことができるようになっている。
【0072】
ここで、本実施形態では、バッテリ50として、JIS規格のバッテリ(JISバッテリ)を例示している。このバッテリ50は、車両等に蓄電装置として搭載されるものである。本実施形態では、バッテリ50は、バッテリ液等を収容する略直方体状のバッテリ本体51と、バッテリ本体51の上面51aから上方に突出するように形成された一対のバッテリポスト52と、を備えている。なお、本実施形態では、一対のバッテリポスト52は、X方向(第1方向:ヒューズユニット保護カバーの前後方向)に離間した状態で並設されている。このバッテリポスト52は、先端から基端にかけての外径がほぼ同一の円柱状をしている。
【0073】
そして、このバッテリポスト52の外周面にヒューズユニット40を締結させることで、ヒューズユニット40とバッテリポスト52とが電気的に接続されるようにしている。
【0074】
本実施形態においても、ヒューズユニット40は、ヒューズ機能を有するユニット本体60と、ユニット本体60の前端に連結されて、バッテリポスト52に締結されるバッテリ端子70と、ユニット本体60の下端に連結される電線付端子80と、を備えている。
【0075】
ヒューズユニット保護カバー10は、バッテリ液に対しての耐食性を持たせるために(防食機能を持たせるために)、合成樹脂材料(例えば、ポリプロピレン等)を用いて成形されている。そして、このヒューズユニット保護カバー10は、ヒューズユニット40を覆うように配置されるカバー本体(第1の部材)20を備えている。
【0076】
このカバー本体20も、図20図23に示すように、水平方向に延在して、バッテリポスト52側のヒューズユニット40を覆うバッテリ端子側被覆部21を備えている。具体的には、カバー本体20のバッテリ端子側被覆部21によって、バッテリ端子70、ユニット本体60のバッテリ端子側接続部611及びバッテリ端子側保護部6211が覆われるようにしている。
【0077】
また、カバー本体20は、鉛直方向に延在して、電線付端子80側のヒューズユニット40を覆う電線側被覆部22を備えている。具体的には、カバー本体20の電線側被覆部22によって、電線82の導体821、ユニット本体60の電線側接続部612、可溶部613、電線側保護部6212及び保護カバー622が覆われるようにしている。
【0078】
このように、本実施形態においても、ヒューズユニット保護カバー10も側面視で略L字状をしている。
【0079】
バッテリ端子側被覆部21は、バッテリ本体51の上面51aに対向する対向壁211と、対向壁211のY方向(ヒューズユニット保護カバーの幅方向)の両端から下方に向けて延設された一対の延設壁212と、を備えている。そして、バッテリ端子側被覆部21の内側には、下方に開口する空間S1が形成されており、ヒューズユニット保護カバー10をヒューズユニット40に取り付けた状態で、空間S1内にバッテリポスト52側のヒューズユニット40が収容されるようにしている。
【0080】
なお、本実施形態においても、ヒューズユニット保護カバー10をヒューズユニット40に取り付けた状態で、X方向(第1方向:ヒューズユニット保護カバーの前後方向)の前方に開口する開口部S1aが形成されるようになっている。
【0081】
一方、電線側被覆部22は、バッテリ本体51の側面51bに対向する対向壁221と、対向壁221のY方向(ヒューズユニット保護カバーの幅方向)の両端から前方に向けて延設された一対の延設壁222と、を備えている。そして、この電線側被覆部22の内側には、前方に開口する空間S1が形成されており、ヒューズユニット保護カバー10をヒューズユニット40に取り付けた状態で、この空間S1内に電線付端子80側のヒューズユニット40が収容されるようにしている。
【0082】
さらに、本実施形態では、電線側被覆部22の対向壁221の内側に、上方に向けて延設されたロックアーム2211が形成されており、このロックアーム2211の上端には、係止突起2211aが形成されている。そして、この係止突起2211aをバッテリ端子側保護部6211に形成された係止壁6211aに係止することで、ヒューズユニット保護カバー10がヒューズユニット40に取り付けられるようにしている。
【0083】
また、一対の延設壁222の下端には、係止片222aがそれぞれ形成されている。そして、この係止片222aを電線側保護部6212に形成された係止孔6212aに挿入することで、ヒューズユニット保護カバー10がヒューズユニット40に取り付けられるようにしている。
【0084】
このように、本実施形態では、バッテリ50に設置されたヒューズユニット40に対してカバー本体20を下方に相対移動させることで、延設壁222の係止片222aが電線側保護部6212に形成された係止孔6212aに挿入されるようにしている。また、係止片222aを係止孔6212aに挿入させた状態で、カバー本体20をさらに下方に移動させることで、ロックアーム2211の係止突起2211aが係止壁6211aに係止されるようにしている。こうすることで、カバー本体20がヒューズユニット40に取り付けられて、ヒューズユニット40がカバー本体20に形成された空間S1に収容されるようにしている。
【0085】
なお、電線側被覆部22の上部には、治具を挿入するための挿入孔23が上方に開口するように形成されており、挿入孔23に挿入した治具によって係止突起2211aと係止壁6211aとの係止を解除できるようにしている。
【0086】
また、本実施形態では、カバー本体20をヒューズユニット40に取り付けて、ヒューズユニット40をカバー本体20に形成された空間S1に収容されるようにした状態で、X方向(第1方向:前後方向)の前方に開口する開口部S1aが形成されている。
【0087】
すなわち、カバー本体20は、X方向(第1方向:前後方向)に開口する開口部S1aが形成された状態で、ヒューズユニット40を覆うように配置される部材である。
【0088】
そのため、本実施形態では、ヒューズユニット保護カバー10が、開口部S1aを塞ぐことが可能な蓋体31を有し、カバー本体20に取り付けられる蓋部材(第2の部材)30を備えるようにしている。
【0089】
ここで、本実施形態においても、少なくとも蓋体31をX方向(第1方向:前後方向)と交差するZ方向(第2方向:上下方向)に移動させることができるようにした状態で蓋部材30がカバー本体20に取り付けられるようにしている。
【0090】
こうすることで、蓋体31により塞がれる開口部S1aの面積を調整できるようにしている。なお、本実施形態では、蓋体31には、対向壁211と干渉することが可能な突起311が形成されており、この突起311によって蓋体31の上下方向の移動範囲が所定の範囲となるようにしている。
【0091】
本実施形態では、蓋部材30は、略矩形板状の蓋体31と、蓋体31に上下方向に延在するように連設され、対向壁211に形成された一対のスリット2411にそれぞれ摺動可能に嵌合する一対のリブ3311と、を備えている。このように、本実施形態では、対向壁211に形成された一対のスリット2411が、取付部24及び孔241に相当し、蓋部材30に形成された一対のリブ3311が、被取付部33及び突起331に相当している。また、本実施形態では、蓋部材30には、一対のリブ3311の側部をそれぞれ覆う側壁32が形成されている。
【0092】
さらに、本実施形態では、蓋体31が弾性変形可能に構成されており、蓋体31に形成された一対のリブ3311が、蓋体31の弾性変形に追従するように形成されている。
【0093】
そして、図22図24に示すように、一対のリブ3311の先端側が互いに近づくように蓋体31を弾性変形させた状態で、一対のリブ3311を一対のスリット2411に嵌合することで、蓋部材30がカバー本体20に取り付けられるようにしている。
【0094】
こうすることで、蓋体31の弾性復元力を利用して、リブ3311がスリット2411に取り付けられるようにしている。具体的には、リブ3311とスリット2411との間に生じる反力によって、蓋部材30とカバー本体20とが係止されるようにしている。さらに、蓋体31の弾性復元力により生じる反力によって、対向壁211の先端(前端)が蓋体31の内面に突き当てられることになるため、本実施形態では、蓋部材30は、カバー本体20に3点で保持されている。
【0095】
また、蓋体31の弾性復元力を利用して、リブ3311をスリット2411に取り付けるようにすれば、蓋体31の弾性復元力によって、リブ3311のスリット2411に対する相対移動(Z方向への相対移動)をより確実に抑制することも可能になる。そのため、例えば、車両の振動時等に、車体に組み付けられたバッテリ50が振動してしまった場合であっても、蓋部材30がカバー本体20に対して相対移動(Z方向への相対移動)してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。また、車両の振動時等に、バッテリ50に設置されたヒューズユニット40が振動してしまった場合であっても、蓋部材30がカバー本体20に対して相対移動(Z方向への相対移動)してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0096】
このように、蓋部材30がカバー本体20に対して相対移動(Z方向への相対移動)してしまうことをより確実に抑制できるようにすれば、開口部S1aをより一層確実に蓋体31で塞ぐことができるようになる。
【0097】
そして、本実施形態に係るヒューズユニット保護カバー10も、上記第1実施形態で説明した方法と同様の方法でヒューズユニット40に取り付けることができる。なお、本実施形態では、蓋体31を押圧して下方に移動させることで、蓋体31の下端をバッテリ本体51の上面51aに当接させるようになっている。
【0098】
こうすれば、図26に示すように、X方向(第1方向:前後方向)の前方から見た状態で、空間S1(ヒューズユニット40の金属部分)を外部に露出させないようにすることができる。
【0099】
また、蓋体31により塞がれる開口部S1aの面積を調整できるようにすれば、ヒューズユニット40が取り付けられる位置が異なることにより開口部S1aの面積が異なってしまった場合であっても、開口部S1aをより確実に蓋体31で塞ぐことができる。
【0100】
例えば、図27に示すように、バッテリポスト52の根元側にヒューズユニット40を接続した場合であっても、蓋体31の下端をバッテリ本体51の上面51aに当接させることができる。そのため、開口部S1aをより確実に蓋体31によって塞ぐことができるようになる。
【0101】
すなわち、図28に示すように、X方向(第1方向:前後方向)の前方から見た状態で、空間S1(ヒューズユニット40の金属部分)を外部に露出させないようにすることが可能になる。
【0102】
このように、本実施形態に係るヒューズユニット保護カバー10を用いれば、ヒューズユニット40が取り付けられる位置に関わらず、蓋体31とバッテリ50との間に隙間が形成されてしまうことをより確実に抑制することが可能になる。
【0103】
[作用・効果]
以下では、上記各実施形態で示したヒューズユニット保護カバーの特徴的構成及びそれにより得られる効果を説明する。
【0104】
上記各実施形態で示したヒューズユニット保護カバー10は、バッテリ50に設置されているヒューズユニット40を保護することが可能なカバーである。このヒューズユニット保護カバー10は、X方向(第1方向:前後方向)に開口する開口部S1aが形成された状態で、ヒューズユニット40を覆うように配置されるカバー本体(第1の部材)20を備えている。また、ヒューズユニット保護カバー10は、開口部S1aを塞ぐことが可能な蓋体31を有し、カバー本体(第1の部材)20に取り付けられる蓋部材(第2の部材)30を備えている。
【0105】
そして、蓋部材(第2の部材)30は、少なくとも蓋体31をX方向(第1方向:前後方向)と交差するZ方向(第2方向:上下方向)に移動させることができるようにした状態でカバー本体(第1の部材)20に取り付けられている。
【0106】
このように、上記各実施形態で示したヒューズユニット保護カバー10では、蓋体31により塞がれる開口部S1aの面積を調整できるように構成されている。
【0107】
そのため、例えば、バッテリ50の寸法誤差等により開口部S1aの面積が異なってしまった場合であっても、開口部S1aをより確実に蓋体31で塞ぐことができるようになる。また、ヒューズユニット40が取り付けられる位置が異なることにより開口部S1aの面積が異なってしまった場合であっても、開口部S1aをより確実に蓋体31で塞ぐことができるようになる。
【0108】
このように、上記各実施形態で示した構成とすれば、バッテリ50の大きさの相違に関わらず、蓋体31とバッテリ50との間に隙間が形成されてしまうことをより確実に抑制することが可能になる。また、ヒューズユニット40が取り付けられる位置に関わらず、蓋体31とバッテリ50との間に隙間が形成されてしまうことをより確実に抑制することが可能になる。
【0109】
以上より、上記各実施形態で示した構成とすれば、ヒューズユニット保護カバー10で覆われている空間S1内に、水などの液体が浸入してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。その結果、ヒューズユニット40の金属露出部の被水による腐食を抑制することができるようになる上、ヒューズユニット40に形成された回路が水などの液体によりショートしてしまうことを抑制することができるようになる。
【0110】
また、蓋体31が弾性変形可能に構成されていてもよい。さらに、蓋体31には、カバー本体(第1の部材)20に形成された一対の取付部24にそれぞれ取り付けられる一対の被取付部33が、蓋体31の弾性変形に追従するように形成されていてもよい。そして、一対の被取付部33が近づくように蓋体31を弾性変形させた状態で、一対の被取付部33を一対の取付部24にそれぞれ取り付けることで、蓋部材(第2の部材)30がカバー本体(第1の部材)20に取り付けられるようにしてもよい。
【0111】
こうすれば、蓋体31の弾性復元力を利用して、被取付部33が取付部24に取り付けられるようにすることが可能になる。
【0112】
また、蓋体31の弾性復元力を利用して、被取付部33を取付部24に取り付けるようにすれば、蓋体31の弾性復元力によって、被取付部33の取付部24に対する相対移動(Z方向への相対移動)をより確実に抑制することも可能になる。そのため、例えば、車両の振動時等に、車体に組み付けられたバッテリ50が振動してしまった場合であっても、蓋部材30がカバー本体20に対して相対移動(Z方向への相対移動)してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。また、車両の振動時等に、バッテリ50に設置されたヒューズユニット40が振動してしまった場合であっても、蓋部材30がカバー本体20に対して相対移動(Z方向への相対移動)してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。
【0113】
このように、蓋部材30がカバー本体20に対して相対移動(Z方向への相対移動)してしまうことをより確実に抑制できるようにすれば、開口部S1aをより一層確実に蓋体31で塞ぐことができるようになる。
【0114】
また、取付部24及び被取付部33の一方が、Z方向(第2方向:上下方向)に延在する突起331であり、他方が、突起331をZ方向(第2方向:上下方向)に移動可能な状態で挿入することが可能な孔241であってもよい。
【0115】
こうすれば、より簡素な構成で、バッテリ50との間に隙間が形成されてしまうことをより確実に抑制することが可能なヒューズユニット保護カバー10を得ることができるようになる。
【0116】
また、被取付部33が、Z方向(第2方向:上下方向)に延在するリブ3311であり、取付部24が、リブ3311をZ方向(第2方向:上下方向)に摺動可能に嵌合するスリット2411であってもよい。
【0117】
このように、リブ3311をスリット2411にZ方向(第2方向:上下方向)に摺動可能に嵌合させるようにすれば、リブ3311とスリット2411との嵌合強度をより向上させることが可能になる。その結果、蓋部材30がカバー本体20に対して相対移動(Z方向への相対移動)してしまうことをより確実に抑制することができるようになる。また、蓋体31にリブ3311を形成するようにすれば、弾性変形させながらカバー本体20に取り付けられる蓋体31の強度を向上させることも可能になる。
【0118】
[その他]
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0119】
例えば、上記各実施形態では、ヒューズユニット40として、ユニット本体60とバッテリ端子70と電線付端子80と、を備えるものを例示している。しかしながら、このような構成に限られるものではなく、例えば、バッテリ端子70をヒューズユニット40の構成に含めないようにすることも可能であるし、電線付端子80をヒューズユニット40の構成に含めないようにすることも可能である。また、バッテリ端子70及び電線付端子80をヒューズユニット40の構成に含めないようにすることも可能である。このように、ヒューズユニット40は、少なくともユニット本体60を備えていればよい。
【0120】
また、上記各実施形態では、ヒューズユニット40の点検時等に、カバー本体(第1の部材)20をヒューズユニット40から取り外すようにしたヒューズユニット保護カバー10を例示している。しかしながら、ヒューズユニット保護カバー10の構成は、このような構成に限られるものではなく、例えば、カバー本体(第1の部材)20が、固定部と、固定部にヒンジを介して連設される開閉部と、を備えるようにすることも可能である。
【0121】
また、上記各実施形態では、被取付部33が蓋体31の動きに連動するものを例示したが、被取付部33を取付部24に相対移動できない状態で固定し、蓋体31を被取付部33に対しても相対移動させるようにすることも可能である。
【0122】
また、上記各実施形態では、被取付部33及び取付部24として、リブ3311及びスリット2411を例示したが、このような構成に限られるものではない。例えば、取付部24及び被取付部33の一方が、Z方向(第2方向:上下方向)に延在する突部であってもよい。そして、取付部24及び被取付部33の他方が、突部をZ方向(第2方向:上下方向)に移動可能な状態で挿入することが可能な孔であってもよい。具体的には、Z方向(第2方向:上下方向)には貫通しているが、水平方向には開口していない貫通孔を、カバー本体(第1の部材)20または蓋部材(第2の部材)30に設けるようにしてもよい。そして、取付部24及び被取付部33の一方が、Z方向(第2方向:上下方向)の下方に延びて、貫通孔に上方から挿入することが可能な棒状の突起を、蓋部材(第2の部材)30またはカバー本体(第1の部材)20に設けるようにしてもよい。
【0123】
また、バッテリやヒューズユニット、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【符号の説明】
【0124】
10 ヒューズユニット保護カバー
20 カバー本体(第1の部材)
S1a 開口部
24 取付部
241 孔
2411 スリット
30 蓋部材(第2の部材)
31 前壁(蓋体)
33 被取付部
331 突起
3311 リブ
50 バッテリ
40 ヒューズユニット
X方向(第1方向)
Z方向(第2方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28