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特開2024-150192可動ルーバー面格子及びこれを有する建具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150192
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】可動ルーバー面格子及びこれを有する建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/01 20060101AFI20241016BHJP
   E06B 5/16 20060101ALI20241016BHJP
   E06B 7/10 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
E06B9/01 K
E06B5/16
E06B7/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063477
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】390006530
【氏名又は名称】松本金属株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】西元 健太
(72)【発明者】
【氏名】山下 富広
【テーマコード(参考)】
2E020
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E020BA02
2E020BB03
2E020BC06
2E020CA02
2E020EA06
2E036JA02
2E036JC03
2E036KA03
2E036KA04
2E036LA06
2E036LB05
2E036MA08
2E239CA01
2E239CA11
2E239CA26
2E239CA32
2E239CA57
2E239CA61
(57)【要約】
【課題】室内側で火災が発生した場合に、ガラス窓のガラス面からの放熱が温度センサの周囲に伝わり難いことに起因してガラス窓の遮炎性能が低下する不都合の発生を防止することができる、防火性に優れた可動ルーバー面格子を提供する。
【解決手段】開閉可能な複数のルーバー23,33を有してガラス窓2の室外側に設置される可動ルーバー面格子において、ルーバー23,33を開方向に揺動させて複数のルーバー23,33による遮蔽率を低減させる遮蔽率低減機構60と、周囲温度が所定温度に達するのに伴って遮蔽率低減機構60を作動させる温度センサSとが備えられ、温度センサSが、ガラス窓2のガラス面に対向する部位に配置されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉可能な複数のルーバーを有してガラス窓の室外側に設置される可動ルーバー面格子であって、
前記ルーバーを開方向に揺動させて複数の前記ルーバーによる遮蔽率を低減させる遮蔽率低減機構と、
周囲温度が所定温度に達するのに伴って前記遮蔽率低減機構を作動させる温度センサとが備えられ、
前記温度センサが、前記ガラス窓のガラス面に対向する部位に配置されている可動ルーバー面格子。
【請求項2】
前記温度センサとして、銅製の温度ヒューズが使用されている請求項1に記載の可動ルーバー面格子。
【請求項3】
前記ルーバーを開閉可能に支持する固定枠が備えられ、
前記固定枠には、枠内方向に向けて延出する支持部材が備えられ、
前記支持部材における前記ガラス面との対向部位に前記温度センサが取り付けられている請求項1又は2に記載の可動ルーバー面格子。
【請求項4】
前記温度センサは、前記支持部材に形成された中空部の内部空間に備えられている請求項3に記載の可動ルーバー面格子。
【請求項5】
前記中空部における前記ガラス面との対向面に貫通孔が形成され、当該貫通孔の近傍に前記温度センサが配置されている請求項4に記載の可動ルーバー面格子。
【請求項6】
上記請求項1から5のいずれか一項に記載の可動ルーバー面格子を有する建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能な複数のルーバーを有してガラス窓の室外側に設置される可動ルーバー面格子及びこれを有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景技術としては、例えば、ガラス窓(窓装置)の屋外側に設置される面格子本体と、面格子本体をガラス窓と平行に並ぶ閉鎖位置に保持するロック機構と、温度センサ(温度ヒューズ)の溶断でロック機構による面格子本体の閉鎖位置での保持を解除する解除機構とが備えられた防火面格子がある。この防火面格子においては、温度センサが、ガラス窓の窓枠や障子枠と対向するように配置された面格子本体の框枠体における上框の内部に収容されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-25244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の防火面格子は、室内側で火災が発生して温度センサ(温度ヒューズ)の周囲温度が所定温度(作動温度)に達すると、解除機構の温度センサが溶断してロック機構による面格子本体の閉鎖位置での保持が解除されることにより、面格子本体がガラス窓から離れる方向に揺動してガラス窓の室外側を開放し、これにより、室内側で火災が発生したときのガラス窓から室外への放熱が面格子本体にて遮られないようにしている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の防火面格子においては、温度センサが収容される上框を含む面格子本体の框枠体が、ガラス窓のガラス面ではなく、窓枠や障子枠に対向する状態でガラス窓の屋外側に取り付けられていることから、室内側で火災が発生したときには、ガラス窓のガラス面から放出される熱(輻射熱)が、上框内に備えられた温度センサの周囲に伝わり難くなっている。そのため、室内側で火災が発生した場合には、火災の発生から温度センサの周囲温度が所定温度に達するまでの時間が長くなり、この間、温度センサが溶断しないことにより、面格子本体が閉鎖位置に保持されてガラス窓のガラス面からの放熱を遮る状態に維持されることから、ガラス窓の温度がガラス窓を破損させる高い温度まで急激に上昇する可能性が高くなる。
【0006】
その結果、特許文献1に記載の防火面格子においては、室内側で火災が発生した場合に、ガラス窓のガラス面からの放熱が温度センサの周囲に伝わり難いことに起因して、ガラス窓が破損してガラス窓の遮炎性能が低下する不都合を招く虞がある。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、室内側で火災が発生した場合に、ガラス窓のガラス面からの放熱が温度センサの周囲に伝わり難いことに起因してガラス窓の遮炎性能が低下する不都合の発生を防止することができる、防火性に優れた可動ルーバー面格子を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、開閉可能な複数のルーバーを有してガラス窓の室外側に設置される可動ルーバー面格子であって、
前記ルーバーを開方向に揺動させて複数の前記ルーバーによる遮蔽率を低減させる遮蔽率低減機構と、
周囲温度が所定温度に達するのに伴って前記遮蔽率低減機構を作動させる温度センサとが備えられ、
前記温度センサが、前記ガラス窓のガラス面に対向する部位に配置されている点にある。
【0009】
本構成によると、室内側で火災が発生して温度センサの周囲温度が所定温度に達すると、温度センサが遮蔽率低減機構を作動させて複数のルーバーによる遮蔽率を低減させることから、ガラス窓のガラス面から室外への放熱を、複数のルーバーにて遮られることなく良好に行うことができる。
そして、温度センサがガラス窓のガラス面に対向する部位に配置されていることにより、室内側で火災が発生した場合には、ガラス窓のガラス面から放出される熱(輻射熱)が温度センサの周囲に伝わり易くなり、これにより、火災の発生から温度センサの周囲温度が所定温度に達するまでの時間が短くなり、これに応じて、温度センサが遮蔽率低減機構を作動させて複数のルーバーによる遮蔽率を低減させるまでの時間も短くなる。
このように、火災の発生から複数のルーバーによる遮蔽率が低減するまでの時間が短くなることにより、ガラス窓のガラス面から室外への放熱を、ガラス窓と可動ルーバー面格子との間に熱を滞留させることのない好適な状態で速やかに行うことができ、これにより、その熱の滞留でガラス窓の温度がガラス窓を破損させる高い温度まで急激に上昇するのを防止することができ、この温度上昇によるガラス窓の破損でガラス窓の遮炎性能が低下する不都合の発生を防止することができる。
その結果、室内側で火災が発生した場合に、ガラス窓のガラス面からの放熱が温度センサの周囲に伝わり難いことに起因してガラス窓の遮炎性能が低下する不都合の発生を防止することができる、防火性に優れた可動ルーバー面格子を提供し得るに至った。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記温度センサとして、銅製の温度ヒューズが使用されている点にある。
【0011】
本構成によると、例えば、銅製の温度ヒューズが溶断する作動温度(例えば72℃)よりも融点が高い樹脂部材を温度センサに使用し、この温度センサの溶融で遮蔽率低減機構を作動させる場合に比較して、室内側で火災が発生してから、温度センサが遮蔽率低減機構を作動させて複数のルーバーによる遮蔽率を低減させるまでの時間を短くすることができる。
その結果、室内側で火災が発生した場合におけるガラス窓のガラス面から室外への放熱をより速やかに行うことができ、これにより、ガラス窓での急激な温度上昇をより確実に防止することができ、この温度上昇によるガラス窓の破損でガラス窓の遮炎性能が低下する不都合の発生をより確実に防止することができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記ルーバーを開閉可能に支持する固定枠が備えられ、
前記固定枠には、枠内方向に向けて延出する支持部材が備えられ、
前記支持部材における前記ガラス面との対向部位に前記温度センサが取り付けられている点にある。
【0013】
本構成によると、固定枠を利用した簡素な構成で、温度センサをガラス窓のガラス面と対向する位置に容易に配置することができる。
その結果、構成の複雑化を抑制しながら、室内側で火災が発生した場合に、ガラス窓のガラス面からの放熱が温度センサの周囲に伝わり難いことに起因してガラス窓の遮炎性能が低下する不都合の発生を防止することができる。
【0014】
本発明の第4特徴構成は、前記温度センサは、前記支持部材に形成された中空部の内部空間に備えられている点にある。
【0015】
本構成によると、温度センサに対する人や他物などの接触を防止することができ、これにより、人や他物などの接触に起因した温度センサの破損や誤作動による遮蔽率低減機構の作動不良や誤作動などを回避することができる。
又、温度センサが露出することによる意匠性の低下を回避することができる。
【0016】
本発明の第5特徴構成は、前記中空部における前記ガラス面との対向面に貫通孔が形成され、当該貫通孔の近傍に前記温度センサが配置されている点にある。
【0017】
本構成によると、温度センサを支持部材における中空部の内部空間に備えながらも、室内側で火災が発生した場合には、ガラス窓のガラス面から放出される熱を、そのガラス面に対向する貫通孔から支持部材の中空部内に速やかに導くことができ、温度センサの周囲に伝わり易くすることができる。
その結果、人や他物などの接触に起因した温度センサの破損や誤作動による遮蔽率低減機構の作動不良や誤作動などを回避しながらも、室内側で火災が発生した場合に、ガラス窓のガラス面からの放熱が温度センサの周囲に伝わり難いことに起因してガラス窓の遮炎性能が低下する不都合の発生を防止することができる。
【0018】
本発明の第6特徴構成は、上記請求項1から5のいずれか一項に記載の可動ルーバー面格子を有する建具である点にある。
【0019】
本構成によると、建具は、上記構成の可動ルーバー面格子を有することにより、前述した遮炎性能の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ガラス窓の室外側に設置された可動ルーバー面格子を室内側から見た状態を示す正面図
図2】ガラス窓の室外側に可動ルーバー面格子が設置された状態を示す横断平面図
図3】ガラス窓の室外側に可動ルーバー面格子が設置された状態を示す縦断側面図
図4】可動ルーバー面格子における要部の構成を示す斜視図
図5】(A)は操作ダイヤルの操作でルーバーによる遮蔽率が増大された状態を示す可動ルーバー面格子の縦断側面図、(B)は操作ダイヤルの操作でルーバーによる遮蔽率が低減された状態を示す可動ルーバー面格子の縦断側面図
図6】(A)は操作ダイヤルの操作でルーバーによる遮蔽率が増大された状態を示す可動ルーバー面格子の拡大縦断側面図、(B)は遮蔽率低減機構の作動でルーバーによる遮蔽率が低減された状態を示す可動ルーバー面格子の拡大縦断側面図
図7】(A)は操作ダイヤルの操作でルーバーによる遮蔽率が増大された状態を示す可動ルーバー面格子における要部の拡大正面図、(B)は遮蔽率低減機構の作動でルーバーによる遮蔽率が低減された状態を示す可動ルーバー面格子における要部の拡大正面図
図8】操作ユニットの構成を示す斜視図
図9】(A)はロック機構による操作ユニットのロック状態を示す背面図、(B)はロック機構による操作ユニットのロック解除状態を示す背面図
図10】(A)は単一の支持部材が固定枠の上枠部材から枠内に垂下する状態で備えられた別実施形態にて操作ダイヤルの操作でルーバーによる遮蔽率が増大された状態を示す可動ルーバー面格子の正面図、(B)は同別実施形態にて遮蔽率低減機構の作動でルーバーによる遮蔽率が低減された状態を示す可動ルーバー面格子の正面図
図11】(A)は左右の支持部材が固定枠の上枠部材から左右の枠内に垂下する状態で備えられた別実施形態にて操作ダイヤルの操作でルーバーによる遮蔽率が増大された状態を示す可動ルーバー面格子の正面図、(B)は同別実施形態にて遮蔽率低減機構の作動でルーバーによる遮蔽率が低減された状態を示す可動ルーバー面格子の正面図
図12】(A)は単一の支持部材が固定枠の中方立から左右の枠内に延出する状態で備えられた別実施形態にて操作ダイヤルの操作でルーバーによる遮蔽率が増大された状態を示す可動ルーバー面格子の正面図、(B)は同別実施形態にて遮蔽率低減機構の作動でルーバーによる遮蔽率が低減された状態を示す可動ルーバー面格子の正面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る可動ルーバー面格子の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1~3に示すように、本実施形態で例示する可動ルーバー面格子1は、素材としてアルミニウム合金やステンレスなどが使用された金属製で、例えば、戸建て住宅の浴室や、マンションなどの集合住宅において共用廊下に面する部屋などに備えられる建具であるガラス窓2の室外側に設置されるものであり、この設置により、ガラス窓2からの採光性や換気性などを損なうことなく、目隠し性や防犯性などを高めることができる。
尚、実施形態では、ガラス窓2の室外側に設置された可動ルーバー面格子1における室内側の面を可動ルーバー面格子1の正面としている。
【0023】
ガラス窓2は、矩形に形成された窓枠3の枠内に、室内側の内障子4と室外側の外障子5とが左右方向にスライド自在に備えられた引き違い窓である。窓枠3は、上枠部材3Aと下枠部材3Bと左枠部材3Cと右枠部材3Dとを有する四方枠である。内障子4および外障子5は、矩形に形成された障子枠4A,5Aと、それらの枠内に嵌め込まれる窓ガラス(複層ガラス)4B,5Bとを有している。
【0024】
図1~3に示すように、可動ルーバー面格子1には、ガラス窓2の室外側に固定される固定枠10と、固定枠10の上部側に組み付けられる上側ルーバーユニット20と、固定枠10の下部側に組み付けられる下側ルーバーユニット30とが備えられている。
【0025】
図1~3に示すように、固定枠10は、上枠部材11と下枠部材12と左枠部材13と右枠部材14とを有する四方枠である。図2~3に示すように、固定枠10は、可動ルーバー面格子1とガラス窓2との間の空間6を囲む矩形に形成された取付枠7を介して窓枠3に取り付けられている。図2図5~7に示すように、左枠部材13と右枠部材14は、それらの全体が内部空間13A,14Aを有する中空部に形成されている。
【0026】
尚、本実施形態では、固定枠10として、上枠部材11と下枠部材12と左枠部材13と右枠部材14とを有する四方枠を例示したが、これに限らず、四方枠に形成された固定枠10の枠内を左右に仕切る中方立や上下に仕切る無目を有するものであってもよい。
【0027】
図2~3に示すように、取付枠7は、窓枠3の上枠部材3Aと固定枠10の上枠部材11とにわたる天板部7A(図3参照)と、窓枠3の下枠部材3Bと固定枠10の下枠部材12とにわたる底板部7B(図3参照)と、窓枠3の左枠部材3Cと固定枠10の左枠部材13とにわたる左側板部7C(図2参照)と、窓枠3の右枠部材3Dと固定枠10の右枠部材14とにわたる右側板部7D(図2参照)とを有している。
【0028】
図1図4~7に示すように、上側ルーバーユニット20は、固定枠10における左枠部材13と右枠部材14の上部側に左右一対の回転軸21を介して開閉揺動可能に支持される複数のルーバー23(本実施形態では5枚)と、左側の回転軸21を介して複数のルーバー23を連動開閉可能に連動連結する連動機構24とを有している。複数のルーバー23は、固定枠10における枠内の上部側に水平姿勢で並列に配置されている。連動機構24は、左側の回転軸21を介して一端部がルーバー23に連動連結される複数の連動アーム25と、複数の連動アーム25にわたる長さを有して各連動アーム25の他端部にピン連結される単一の連動バー26とを有している。複数の連動アーム25と単一の連動バー26は、左枠部材13における内部空間13Aの上部側に配備されている。
【0029】
下側ルーバーユニット30は、固定枠10における左枠部材13と右枠部材14の下部側に左右一対の回転軸31を介して開閉揺動可能に支持される複数のルーバー33(本実施形態では14枚)と、左側の回転軸31を介して複数のルーバー33を連動開閉可能に連動連結する連動機構34とを有している。複数のルーバー33は、固定枠10における枠内の上部側に水平姿勢で並列に配置されている。連動機構34は、左側の回転軸31を介して一端部がルーバー33に連動連結される複数の連動アーム35と、複数の連動アーム35にわたる長さを有して各連動アーム35の他端部にピン連結される単一の連動バー36とを有している。複数の連動アーム35と単一の連動バー36は、左枠部材13における内部空間13Aの下部側に配備されている。
【0030】
上下の各ルーバーユニット20,30は、連動機構24,34の各連動アーム25,35が下向きに揺動すると、その揺動に連動して各ルーバー23,33が閉方向に揺動し、連動機構24,34の各連動アーム25,35が上向きに揺動すると、その揺動に連動して各ルーバー23,33が開方向に揺動するように構成されている。
【0031】
つまり、本発明に係る可動ルーバー面格子1は、固定枠10に左右一対の回転軸21,31を介して開閉揺動可能に支持された状態で固定枠10の枠内に並列配置される複数のルーバー23,33と、各回転軸21,31を介して複数のルーバー23,33を連動開閉可能に連動連結する連動機構24,34とが備えられることで、複数のルーバー23,33による遮蔽率が変更可能に構成されている。
【0032】
尚、本実施形態では、可動ルーバー面格子1として、複数のルーバー23,33が、固定枠10に左右一対の回転軸21,31を介して開閉揺動可能に支持された状態で、固定枠10の枠内に水平姿勢で並列に配置されるものを例示したが、これに限らず、例えば、複数のルーバー23,33が、固定枠10に上下一対の回転軸21,31を介して開閉揺動可能に支持された状態で、固定枠10の枠内に垂直姿勢で並列に配置されるものであってもよい。
又、本実施形態では、連動機構24,34として、複数の連動アーム25,35が左側の回転軸21,31に連結されて、複数の連動アーム25,35と単一の連動バー26,36とが左枠部材13の内部空間13Aに配備されるものを例示したが、これに限らず、例えば、複数の連動アーム25,35が右側の回転軸21,32に連結されて、複数の連動アーム25,35と単一の連動バー26,36とが右枠部材14の内部空間14Aに配備されるものであってもよい。
【0033】
図1~2、図8~9に示すように、固定枠10における右枠部材14の上部側と下部側には、それぞれ、上側ルーバーユニット20又は下側ルーバーユニット30における各ルーバー23,33による遮蔽率の変更を可能にする操作ユニット40が備えられている。
【0034】
図8に示すように、各操作ユニット40は、上側ルーバーユニット20又は下側ルーバーユット30に対する遮蔽率変更用の操作軸41と、操作軸41に一端部が連動連結される操作アーム42と、操作アーム42と一体揺動するセクターギア43と、セクターギア43と噛み合うピニオンギア44Aが一体形成された操作ダイヤル44と、操作ダイヤル44を回転可能に支持するとともに操作ダイヤル44の一部を室内側(ガラス窓2側)に露出させるカバー部材45とを有している。
【0035】
上側ルーバーユニット20においては、その下部側(本実施例では下から2番目)に配置されたルーバー23の右端部に連結された右側の回転軸21が遮蔽率変更用の操作軸41に兼用されている。下側ルーバーユニット30においては、その上下中央側(本実施例では上から6番目)に配置されたルーバー33の右端部に連結された右側の回転軸31が遮蔽率変更用の操作軸41に兼用されている。
【0036】
上記の構成により、上側の操作ユニット40の操作ダイヤル44が回転操作されると、そのときの回転運動が、セクターギア43と操作アーム42とを介して操作軸41(上側ルーバーユニット20における下から2番目の右側の回転軸21)に伝わり、この操作軸41が右側の回転軸21となるルーバー23(下から2番目のルーバー23)から左側の回転軸21と連動機構24とを介して他のルーバー23に伝わることにより、上側ルーバーユニット20における各ルーバー23の開度が操作ダイヤル44の回転方向と回転操作量に応じて変更される。
【0037】
又、下側の操作ユニット40の操作ダイヤル44が回転操作されると、そのときの回転運動が、セクターギア43と操作アーム42とを介して操作軸31(下側ルーバーユニット30における上から6番目の右側の回転軸31)に伝わり、この操作軸31が右側の回転軸31となるルーバー33(上から6番目のルーバー33)から左側の回転軸31と連動機構34とを介して他のルーバー33に伝わることにより、下側ルーバーユニット30における各ルーバー33の開度が操作ダイヤル44の回転方向と回転操作量に応じて変更される。
【0038】
そして、上下いずれのルーバーユニット20,30においても、操作ダイヤル44が下から上に回転操作されると各ルーバー23の開度が大きくなり、操作ダイヤル44が上から下に回転操作されると各ルーバー23の開度が小さくなる。
【0039】
つまり、本実施形態で例示する可動ルーバー面格子1においては、上側の操作ユニット40の操作ダイヤル44が回転操作されると、そのときの回転方向と回転操作量に応じて、上側ルーバーユニット20における各ルーバー23による遮蔽率が変更され、又、下側の操作ユニット40の操作ダイヤル44が回転操作されると、そのときの回転方向と回転操作量に応じて、下側ルーバーユニット30における各ルーバー33による遮蔽率が変更されるように構成されている。
【0040】
尚、本実施形態では、遮蔽率変更用の操作軸41として、上側ルーバーユニット20における下から2番目の右側の回転軸21や下側ルーバーユニット30における上から6番目の右側の回転軸31が兼用されるものを例示したが、これに限らず、例えば、それら以外の左右の回転軸21のいずれかが遮蔽率変更用の操作軸41に兼用されるものであってもよい。
【0041】
図8~9に示すように、上下の各操作ユニット40には、操作ダイヤル44の回転操作を阻止するロック機構50が含まれている。図9に示すように、ロック機構50は、カバー部材45にて上方のロック位置と下方のロック解除位置とにわたって上下移動可能に案内される操作具51と、操作具51のロック位置又はロック解除位置での係合保持を可能にする板バネ52と、操作ダイヤル44の外周面に形成された多数の凹部44aに対して係脱可能な係合部材53と、係合部材53を操作ダイヤル44の凹部44aと係合する上方の係合位置に向けて付勢する圧縮バネ54とを有している。操作具51は、その上端部がロック解除用の操作部51Aに形成され、下端部がロック用の操作部51Bに形成されている。操作具51には、板バネ52の付勢でカバー部材45に備えられた上下の凹部45a,45bに択一的に係合する係合部51aと、圧縮バネ52の付勢に抗した下方の係合解除位置への係合部材51の押圧操作を可能にする押圧部51bとが一体形成されている。カバー部材45における上側の凹部45aは、操作具51が上方のロック位置に操作された場合に、板バネ52の付勢で操作具51の係合部51aが係合されることで操作具51を上方のロック位置に保持するロック用の保持部である。カバー部材45における下側の凹部45bは、操作具51が下方のロック解除位置に操作された場合に、板バネ52の付勢で操作具51の係合部51aが係合されることで、圧縮バネ52の付勢に抗して操作具51を下方のロック解除位置に保持するロック解除用の保持部である。
【0042】
上記の構成により、各ロック機構50は、それらの操作具51の上端部に形成されたロック解除用の操作部51Aが下方に向けて押圧されると、操作具51の押圧部51bが、圧縮バネ52の付勢に抗して、係合部材51を上方の係合位置から下方の係合解除位置に向けて押圧し、操作具51の係合部51aが、板バネ52の付勢でカバー部材45における下側の凹部45bに係合されることにより、操作具51が圧縮バネ52の付勢に抗して下方のロック解除位置に保持されるとともに、係合部材51が下方の係合解除位置に保持される。これにより、各ロック機構50は、操作ダイヤル44の操作を許容するロック解除状態となり、操作ダイヤル44の操作量に応じた上側ルーバーユニット20又は下側ルーバーユニット30における各ルーバー23,32の開度変更を許容して、各ルーバー23,32による遮蔽率を変更可能にする。
【0043】
又、各ロック機構50は、それらの操作具51の下端部に形成されたロック用の操作部51Bが上方に向けて押圧されると、操作具51の押圧部51bが上方に移動するとともに、圧縮バネ52の付勢によって係合部材51が下方の係合解除位置から上方の係合位置に向けて移動し、操作具51の係合部51aが、板バネ52の付勢でカバー部材45における上側の凹部45aに係合されることにより、操作具51が上方のロック位置に保持されるとともに、係合部材51が圧縮バネ52の付勢によって上方の係合位置に保持される。これにより、各ロック機構50は、操作ダイヤル44の操作を阻止するロック状態となり、この段階での操作ダイヤル44の操作位置に応じた上側ルーバーユニット20又は下側ルーバーユニット30における各ルーバー23,32の開度を維持して、このときの各ルーバー23,32による遮蔽率を維持する。
【0044】
図1~2、図4~7に示すように、固定枠10には、枠内方向に向けて延出する支持部材15が備えられている。支持部材15は、固定枠10の室内側(ガラス窓2側)において、下側ルーバーユニット30における最上位のルーバー33と対向する高さ位置に、左枠部材13と右枠部材14とにわたって架設されている。支持部材15は、垂直断面が略コの字状で、室内側(ガラス窓2側)を開放する状態で左枠部材13と右枠部材14とにわたって架設される第1部材15Aと、第1部材15Aの開放部を塞ぐ第2部材15Bとを有している。これにより、支持部材15は、その全体が内部空間15Cを有する中空部に形成されている。図示は省略するが、支持部材15の左右両端には、左右両端の開口部を塞ぐ左右の蓋部材が取り付けられている。
【0045】
図1図5~6に示すように、第1部材15Aにおいて、左枠部材13と前後方向で重なり合う左側端部には、その底部から上下中間部にわたるスリット15aが形成されている。第2部材15Bにおいて、ガラス窓2のガラス面と対向する部位には貫通孔として3本のスリット15b(図1図6参照)が形成されている。
【0046】
尚、本実施形態では、支持部材15として、その全体が内部空間15Cを有する中空部に形成されているものを例示したが、これ以外に、例えば、支持部材15におけるガラス窓2のガラス面と対向する部位の一部が部分的に内部空間15Cを有する中空部に形成されているものであってもよく、又、その全体が内部空間15Cを有していない中実に形成されているものであってもよい。
【0047】
図1~2、図4~7に示すように、本実施形態で例示する可動ルーバー面格子1には、複数のルーバー23,33を開方向に揺動させて複数のルーバー23,32による遮蔽率を低減させる遮蔽率低減機構60と、周囲温度が所定温度に達するのに伴って遮蔽率低減機構60を作動させる温度センサSとが備えられている。
【0048】
遮蔽率低減機構60は、上側のルーバーユニット20での複数のルーバー23による遮蔽率を低減させる上側遮蔽率低減ユニット61(図4~7参照)と、下側のルーバーユニット30での複数のルーバー33による遮蔽率を低減させる下側遮蔽率低減ユニット62(図5~6参照)と、上下の遮蔽率低減ユニット61,62を連動させる連動ユニット63とを有している。
【0049】
図4~7に示すように、上下の各遮蔽率低減ユニット61,62は、左枠部材13の内部空間13Aに固定配備される上下のガイド部材64,65と、上下のガイド部材64,65にて上下方向にスライド案内されるスライド部材66と、スライド部材66の下方への移動に伴って上下のルーバーユニット20,30と上下の操作ユニット40(図1図8参照)との連動を解除する連動解除機構67と、スライド部材66にて遮蔽率低減方向に揺動操作される揺動アーム68とを有している。
【0050】
各スライド部材66は、下側のガイド部材65に一体形成された縦長の係合片65Aが係入される縦長のスリット66Aを有している。各スライド部材66は、そのスリット66Aの下端が係合片65Aに当接する上限位置が通常使用位置に設定され、スリット66Aの上端が係合片65Aに当接する下限位置が遮蔽率低減位置に設定され、通常使用位置と遮蔽率低減位置との間の上下中間位置が連動解除位置に設定されている。
【0051】
各スライド部材66には、その上部から連動解除機構67に向けて延びる連動切替部66Bが一体形成されている。各連動切替部66Bは、スライド部材66が通常使用位置に位置する状態では連動解除機構67による連動解除を阻止し、スライド部材66の通常使用位置から連動解除位置への移動に伴って連動解除機構67による連動解除を許容する。
【0052】
各連動切替部66Bの下端縁は、揺動アーム68に一体連結された連動ピン69を介して揺動アーム68を遮蔽率低減方向に揺動操作する操作部66Cとして機能するように形成されている。各操作部66Cは、スライド部材66が連動解除位置から遮蔽率低減位置に移動するのに伴って、連動ピン69に上方から当接して連動ピン69を下限位置まで押し下げることにより、揺動アーム68を遮蔽率低減方向の限界位置まで揺動させる。
【0053】
各スライド部材66の下部には、上下のスライド部材66の連動連結を可能にする連結部66Dが一体形成されている。上側のスライド部材66の下部には、固定枠10の左枠部材13に形成された上下向きのスリット13Bにて案内されるとともに、スライド部材66が通常使用位置に位置する状態において、支持部材15の第1部材15Aに形成されたスリット15aから支持部材15の内部空間15Cに係入される係合片66Eが一体形成されている(図1図4図6~7参照)。
【0054】
各連動解除機構67は、各ルーバーユニット20,30の操作軸41となる右側の回転軸21,31と対になる左側の回転軸21,31の左端部に一体連結される角軸70と、角軸70に離脱可能な状態で連動可能に嵌合される嵌合アーム71と、嵌合アーム71と左側の回転軸21,31の左端部との間に介在して嵌合アーム71を角軸70から離脱させる方向(左方向)に付勢する圧縮バネ72(図6~7参照)とを有している。
【0055】
各嵌合アーム71は、操作軸41と対になる左側の回転軸21,31に連動連結される連動アーム25,35に兼用されている。各嵌合アーム71は、他の連動アーム25,35が連動バー26,36の右側(ルーバー23,33側)に配置されるのに対し、連動バー26,36の左側に配置されることで、通常使用位置に位置するスライド部材66の連動切替部66Bにて受け止め支持されている。これにより、各嵌合アーム71は、圧縮バネ72の付勢による角軸70からの離脱が阻止されて、上下のルーバーユニット20,30と上下の操作ユニット40との連動が維持される。
【0056】
各嵌合アーム71は、スライド部材66が通常使用位置から連動解除位置に移動すると、スライド部材66の連動切替部66Bによる受け止め支持が解除され、これにより、圧縮バネ72の付勢による角軸70からの離脱が許容されて角軸70から離脱し、この離脱より、上下のルーバーユニット20,30における角軸70と連動するルーバー23,33を除いた複数のルーバー23,33と上下の操作ユニット40との連動が解除される。
【0057】
各揺動アーム68は、嵌合アーム71の下方に隣接する連動アーム25,35に一体揺動可能に連結されている。これにより、各揺動アーム68は、それらの連動ピン69がスライド部材66の操作部66Cにて押し下げられると、連結された連動アーム25,35と一体的に遮蔽率低減方向に揺動し、この揺動により、連動機構24,34の連動バー26,36を介して他の連動アーム25,35を遮蔽率低減方向に揺動させる。
【0058】
図1~2、図4~7に示すように、連動ユニット63は、上下のスライド部材66を連動連結する連動バー73(図4~7参照)と、上側スライド部材66の係合片66Eを受け止めることで上下のスライド部材66を通常使用位置に保持する保持部材74と、保持部材74から右方向に延びるバー部材75と、バー部材75の右端部に連結されたブラケット76と、バー部材75とブラケット76とを介して保持部材74を保持解除方向に付勢する第1引張バネ77と、下側のスライド部材66を遮蔽率低減方向に付勢する第2引張バネ78(図5参照)とを有している。
【0059】
図4~7に示すように、連動バー73は、その上端部が上側のスライド部材66の連結部66Dに連結され、下端部が下側のスライド部材66の連結部66Dに連結されることで、上下のスライド部材66を連動可能に連結している。
【0060】
図1~2、図4~7に示すように、保持部材74は、支持部材15の内部空間15Cに備えられており、通常は、支持部材15に形成されたスリット15aにおける支持部材15の底面側部分を塞ぐ左側の保持位置に維持されている。これにより、保持部材74は、左側の保持位置においては、支持部材15のスリット15aの上部側から支持部材15の内部空間15Cに係入された上側スライド部材66の係合片66Eを受け止めて、係合片66Eの内部空間15Cからの離脱を阻止している。保持部材74は、その保持位置から右側の解除位置への移動が可能であり、この移動により、係合片66Eの受け止めを解除するとともに、スリット15aの底面側部分を開放することで、係合片66Eの内部空間15Cからの離脱を許容する。
【0061】
第1引張バネ77は、支持部材15の内部空間15Cにおいて、保持部材74の右端部と、その右端部よりも支持部材15の右端側に連結された支持具79とにわたって架設されている。これにより、第1引張バネ77は、保持部材74を保持解除方向に付勢する状態で備えられており、この付勢により、保持部材74を左側の保持位置から右側の解除位置に移動させることが可能になっている。
【0062】
第2引張バネ78は、下側のスライド部材66の下端部と、その下端部よりも下方に位置する下側のガイド部材65の下端部とにわたって架設されている。これにより、第2引張バネ78は、下側のスライド部材66を遮蔽率低減方向に付勢するとともに、連動バー73を介して上側のスライド部材66を遮蔽率低減方向に付勢する状態になっている。
【0063】
温度センサSは、その左端側が支持部材15の所定位置に連結され、その右端側が保持位置に配置された保持部材74にバー部材75とブラケット76とを介して連結されることで、第1引張バネ77の付勢に抗して保持部材74を左側の保持位置に保持している。温度センサSには、作動温度が比較的低い温度(例えば72℃)に設定された銅製の温度ヒューズが使用されている。これにより、温度センサSは、その周囲温度が所定の作動温度(例えば72℃)に達するのに伴って溶断し、この溶断で左右に分離されることで、第1引張バネ77の付勢に抗した保持部材74の保持位置での保持を解除し、第1引張バネ77の付勢による保持部材74の保持位置から解除位置への移動を許容して遮蔽率低減機構60を作動させる。
【0064】
尚、本実施形態では、温度センサSとして、作動温度が比較的低い温度(例えば72℃)に設定された銅製の温度ヒューズが使用されるものを例示したが、これに限らず、例えば、作動温度が比較的低い温度(例えば72℃程度)に設定された合金製や樹脂製の温度ヒューズが使用されるものであってもよい。
【0065】
図1~2に示すように、温度センサSは、ガラス窓2のガラス面に対向する部位に配置されている。具体的には、温度センサSは、全体が中空部に形成された支持部材15の内部空間15Cにおいて、上側スライド部材66の係合片66Eを受け止めるために支持部材15の左端部に配置された保持部材74に、バー部材75とブラケット76とを介して連結されることで、支持部材15の内部空間15Cにおけるガラス窓2のガラス面に対向する部位に備えられている。そして、この部位に備えられることで、温度センサSは、支持部材15におけるガラス面との対向面に形成された3本のスリット15bの近傍において、これらのスリット15bを介してガラス窓2のガラス面と対向する状態になっている。
【0066】
以上の構成により、本実施形態で例示する可動ルーバー面格子1においては、通常、温度センサSによって遮蔽率低減機構60の作動が阻止されており、これにより、保持部材74が保持位置に保持されて、上下のスライド部材66が通常使用位置に保持されている。この保持により、各スライド部材66の連動切替部66Bが、各連動解除機構67の嵌合アーム71を受け止める状態を維持することになり、圧縮バネ72の付勢による嵌合アーム71の角軸70からの離脱が阻止されて、上下のルーバーユニット20,30と上下の操作ユニット40との連動が維持される。
【0067】
これにより、ユーザーは、各操作ユニット40の操作ダイヤル44を回転操作することにより、各ルーバーユニット20,30における各ルーバー23,33の開度を任意に変更することができ、各ルーバー23,33による遮蔽率を任意に変更することができる。そして、このような操作ダイヤル44の回転操作による各ルーバー23,33の開度や遮蔽率の変更を行った後、ロック機構50の操作具51をロック解除位置からロック位置に操作することで、操作ダイヤル44の回転操作による各ルーバー23,33の開度や遮蔽率の変更を阻止することができ、任意に変更した各ルーバー23,33の開度や遮蔽率を維持することができる。
【0068】
そして、このように、ロック機構50の操作具51がロック位置に操作された状態において、室内側で火災が発生して温度センサSの周囲温度が所定温度(作動温度)に達すると、温度センサSが溶断して左右に分離されることにより、第1引張バネ77の付勢で保持部材74が左側の保持位置から解除位置に移動する。すると、保持部材74による各スライド部材66の通常使用位置の保持が解除され、第2引張バネ78の付勢で上下のスライド部材66が通常使用位置から遮蔽率低減方向に移動する。そして、この移動で、各スライド部材66が通常使用位置から連動解除位置に達すると、各スライド部材66の連動切替部66Bによる嵌合アーム71の受け止め支持が解除され、これにより、各嵌合アーム71が圧縮バネ72の付勢で角軸70から離脱し、この離脱より、上下のルーバーユニット20,30と上下の操作ユニット40との連動が解除される。その後、各スライド部材66が連動解除位置から遮蔽率低減位置に移動するのに伴って、各スライド部材66の操作部66Cが、連動ピン69を介して揺動アーム68を遮蔽率低減方向に揺動操作して、揺動アーム68を遮蔽率低減方向の限界位置まで揺動させる。すると、このときの各揺動アーム68の揺動が、各揺動アーム68と一体揺動する連動アーム25,35を含む連動機構24,34を介して、各ルーバーユニット20,30における角軸70と連動するルーバー23,33を除いた大多数のルーバー23,33に伝わり、これらの大多数のルーバー23,33が遮蔽率低減方向の限界位置まで揺動して全開状態に切り替わることで、複数のルーバー23,33による遮蔽率が最低限近くまで低減される。
【0069】
つまり、室内側で火災が発生して温度センサSの周囲温度が所定温度(作動温度)に達すると、温度センサSが遮蔽率低減機構60を作動させて複数のルーバー23,33による遮蔽率を低減させることから、ガラス窓2のガラス面から室外への放熱を、複数のルーバー23,33にて遮られることなく良好に行うことができる。
【0070】
そして、温度センサSが、固定枠10に備えられた支持部材15におけるガラス面との対向部位に取り付けられていることにより、固定枠10を利用した簡素な構成で、温度センサSをガラス窓2のガラス面と対向する位置に容易に配置することができ、これにより、室内側で火災が発生した場合には、ガラス窓2のガラス面から放出される熱(輻射熱)が温度センサSの周囲に伝わり易くなる。よって、火災の発生から温度センサSの周囲温度が所定温度(作動温度)に達するまでの時間が短くなり、これに応じて、温度センサSが遮蔽率低減機構60を作動させて複数のルーバー23,33による遮蔽率を低減させるまでの時間も短くなる。
【0071】
このように、火災の発生から複数のルーバー23,33による遮蔽率が低減するまでの時間が短くなることにより、ガラス窓2のガラス面から室外への放熱を、ガラス窓2と可動ルーバー面格子1との間に熱を滞留させることのない好適な状態で速やかに行うことができ、これにより、その熱の滞留でガラス窓2の温度がガラス窓2を破損させる高い温度まで急激に上昇するのを防止することができ、この温度上昇によるガラス窓2の破損でガラス窓2の遮炎性能が低下する不都合の発生を防止することができる。
【0072】
又、温度センサSが、支持部材15の内部空間15に備えられることにより、温度センサSに対する人や他物などの接触を防止することができ、これにより、人や他物などの接触に起因した温度センサSの破損や誤作動による遮蔽率低減機構60の作動不良や誤作動などを回避することができる。又、温度センサSが露出することによる意匠性の低下を回避することができる。
【0073】
しかも、支持部材15におけるガラス面との対向面には3本のスリット15bが形成され、温度センサSが、支持部材15の内部空間15におけるスリット15bの近傍に配置されることにより、温度センサSを支持部材15の内部空間15Cに備えながらも、室内側で火災が発生した場合には、ガラス窓2のガラス面から放出される熱を、そのガラス面に対向する各スリット15bから支持部材15の内部空間15Cに速やかに導くことができ、温度センサSの周囲に伝わり易くすることができる。
【0074】
その結果、人や他物などの接触に起因した温度センサSの破損や誤作動による遮蔽率低減機構60の作動不良や誤作動などを回避しながらも、室内側で火災が発生した場合に、ガラス窓2のガラス面からの放熱が温度センサSの周囲に伝わり難いことに起因してガラス窓2の遮炎性能が低下する不都合の発生を防止することができる。
【0075】
そして、温度センサSには、作動温度が比較的低い温度(例えば72℃)に設定された銅製の温度ヒューズが使用されていることにより、この温度ヒューズよりも作動温度が高い温度(例えば120℃や280℃など)に設定された銅製や合金製の温度ヒューズ、又は、融点が比較的高い樹脂部材を温度センサとして使用する場合に比較して、室内側で火災が発生してから、温度センサSが遮蔽率低減機構60を作動させて複数のルーバー23,33による遮蔽率を低減させるまでの時間を短くすることができる。
【0076】
その結果、室内側で火災が発生した場合におけるガラス窓2のガラス面から室外への放熱をより速やかに行うことができ、これにより、ガラス窓2での急激な温度上昇をより確実に防止することができ、この温度上昇によるガラス窓2の破損でガラス窓2の遮炎性能が低下する不都合の発生をより確実に防止することができる。
【0077】
尚、図示は省略するが、支持部材15の第2部材15Bに、そのガラス面との対向面に形成された3本のスリット15bを塞ぐ閉塞部材を備えて、各スリット15bから支持部材15の内部空間15Cへの水や塵埃などの入り込みを防止するようにしてもよい。この場合、閉塞部材として、温度センサSの作動温度よりも低い温度で溶融又は剥がれる保護フィルムなどを採用して、室内側で火災が発生した場合に、ガラス窓2のガラス面からの放熱で閉塞部材が溶融又は剥がれて、ガラス面からの放熱が、各スリット15bから支持部材15の内部空間15Cに速やかに導かれるようにすることが好ましい。
【0078】
〔別実施形態〕
本発明の別実施形態について説明する。
尚、以下に説明する各別実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の別実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0079】
(1)上記の実施形態においては、可動ルーバー面格子1として、固定枠10内に上側ルーバーユニット20と下側ルーバーユニット30とが備えられているものを例示したが、これに限らず、例えば、図9に示すように、固定枠10内に単一のルーバーユニット90が備えられているものや、図10~11に示すように、固定枠10に、その枠内を左右に仕切る中方立16が備えられて、その左右に仕切られた枠内に個別に開度調整可能な左右のルーバーユニット91,92が備えられているものであってもよい。
又、図示は省略するが、固定枠10に、その枠内を上下に仕切る無目が備えられて、その上下に仕切られた枠内に個別に開度調整可能な上下のルーバーユニットが備えられているものであってもよい。
【0080】
(2)上記の実施形態においては、温度センサSを支持する支持部材15として、固定枠10の室内側(ガラス窓2側)において、固定枠10の左枠部材13と右枠部材14とにわたって架設されているものを例示したが、これに限らず、固定枠10から枠内方向に向けて延出するものであれば種々の変更が可能である。
【0081】
例えば、図9に示すように、固定枠10が上枠部材11と下枠部材12と左枠部材13と右枠部材14とを有する四方枠である場合は、支持部材15が固定枠10の上枠部材11から枠内に垂下するように備えられていてもよい。
【0082】
又、例えば、図10~11に示すように、固定枠10に、その枠内を左右に仕切る中方立16が備えられていて、その左右に仕切られた枠内に個別に開度調整可能な左右のルーバーユニット91,92が備えられている場合は、左右の支持部材15が固定枠10の上枠部材11から左右の枠内に垂下するように備えられていてもよく、又、単一の支持部材15が中方立16から左右の枠内に延出するように備えられていてもよい。
【0083】
尚、図9に示す別実施形態の可動ルーバー面格子1においては、固定枠10内に単一のルーバーユニット90が備えられていることにより、単一の遮蔽率低減機構60が備えられている。又、図10~11に示す別実施形態の可動ルーバー面格子1においては、個別に開度調整可能な左右のルーバーユニット91,92が備えられていることにより、左右の遮蔽率低減機構60が備えられている。
【0084】
そして、図9~11に示す別実施形態においては、遮蔽率低減機構60として、例えば、遮蔽率低減ユニット80のスライド部材(図示せず)と温度センサ(温度ヒューズ)Sとにわたる連動ワイヤー81と、スライド部材を遮蔽率低減方向に付勢する引張バネ82とが備えられて、通常時は、温度センサSが溶断しないことで遮蔽率低減ユニット80のスライド部材が通常使用位置に保持され、室内側で火災が発生して温度センサSの周囲温度が所定温度(作動温度)に達した場合は、温度センサSが溶断して上下又は左右に分離されるのに伴って、引張バネ82の付勢でスライド部材が通常使用位置から連動解除位置を経由して遮蔽率低減位置に移動することで、複数のルーバー93による遮蔽率が最低限近くまで低減されるように構成されたものを使用することが考えられる。
【符号の説明】
【0085】
2 ガラス窓(建具)
10 固定枠
15 支持部材
15C 内部空間
15b スリット(貫通孔)
21 回転軸
23 ルーバー
24 連動機構
31 回転軸
33 ルーバー
34 連動機構
60 遮蔽率低減機構
93 ルーバー
S 温度センサ(温度ヒューズ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12