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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150207
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】インモールドコート注入装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/16 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
B29C45/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063504
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000147350
【氏名又は名称】株式会社精工技研
(74)【代理人】
【識別番号】100148688
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 裕行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 正己
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 憲宏
(72)【発明者】
【氏名】飯田 有人
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AA36
4F206AC05
4F206AD05
4F206AD11
4F206AR12
4F206AR13
4F206JA07
4F206JB22
4F206JD04
4F206JF01
4F206JF46
4F206JL02
4F206JM04
4F206JN14
4F206JQ31
(57)【要約】
【課題】液状コーティング剤(例えば塗料)の注入量の精度が高く、液状コーティング剤の歩留まりがよく、コンパクトなインモールドコート注入装置を提供する。
【解決手段】成形基材2が保持された一方の金型3に成形基材2を覆うように他方の金型4を押し当て、他方の金型4の内面と成形基材2の表面の間のコーティングギャップ5に所定量の塗料6を注入するインモールドコート注入装置1であって、塗料6の計量シリンダ9を押出シリンダとして利用することで計量シリンダ9と押出シリンダを繋ぐ配管を不要とし、計量シリンダ9に塗料6を導く際には注入口8を仕切弁14で閉じることで計量精度を高め、塗料6の循環路および循環ポンプを用いないことで装置のコンパクト化を図ると共に塗料6の材料歩留まりを高めた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形基材が保持された一方の金型に前記成形基材を覆うように他方の金型を押し当て、該他方の金型の内面と前記成形基材の表面の間のコーティングギャップに所定量の液状コーティング剤を注入するインモールドコート注入装置であって、
前記他方の金型に取り付けられる注入装置本体と、
該注入装置本体の先端に設けられ前記コーティングギャップに前記液状コーティング剤を注入するための注入口と、
該注入口に繋げて前記注入装置本体の内部に設けられた計量シリンダと、
該計量シリンダの内部を軸方向に移動自在なピストンと、
前記計量シリンダに繋げて前記注入装置本体の側部に設けられた供給口と、
該供給口に接続された前記液状コーティング剤の供給通路に設けられ、前記ピストンが前記計量シリンダの容積を縮小する吐出方向に移動するとき前記供給通路を閉じ、前記ピストンが前記計量シリンダの容積を拡大する吸入方向に移動するとき前記供給通路を開く供給弁と、
前記ピストンに軸方向にスライド自在に装着され、スライドによって前記注入口を開く開弁位置と前記注入口を閉じる閉弁位置に移動する仕切弁と、
該仕切弁を前記閉弁位置とすると共に前記ピストンを前記吸入方向に移動して前記液状コーティング剤を前記供給口から前記計量シリンダ内に導くことで前記計量シリンダ内に所定量の前記液状コーティング剤を充填させた後、前記仕切弁を前記開弁位置とすると共に前記ピストンを前記吐出方向に移動することで前記所定量の前記液状コーティング剤を前記注入口から吐出させるためのアクチュエータと、を備えたことを特徴とするインモールドコート注入装置。
【請求項2】
前記供給弁は、前記液状コーティング剤が前記供給通路から前記計量シリンダへ流れることを許容すると共に前記計量シリンダから前記供給通路へ流れることを防止する逆止弁である、ことを特徴とする請求項1に記載のインモールドコート注入装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、
前記ピストンを前記計量シリンダの軸方向に移動させるため前記ピストンの前記計量シリンダから突出した部分に形成されたピストン作動用フランジと、
該ピストン作動用フランジを前記計量シリンダの軸方向に沿って移動自在に収容するように形成されたピストン作動用シリンダと、
前記仕切弁を前記ピストンの軸方向に移動させるため前記仕切弁の前記ピストンから突出した部分に形成された仕切弁作動用フランジと、
該仕切弁作動用フランジを前記ピストンの軸方向に沿って移動自在に収容するように前記ピストン作動用シリンダに繋げて形成された仕切弁作動用シリンダと、
前記仕切弁作動用フランジの上面と前記ピストン作動用フランジの下面に流体圧を加えて前記仕切弁が前記注入口を閉じ前記ピストンが前記吸入方向に移動する計量モードと、前記仕切弁作動用フランジの下面と前記ピストン作動用フランジの上面に流体圧を加えて前記仕切弁が前記注入口を開き前記ピストンが前記吐出方向に移動する注入モードとに切り替え自在な流体圧切替手段とを有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のインモールドコート注入装置。
【請求項4】
前記液状コーティング剤が一液性硬化型熱硬化塗料であり、
前記注入装置本体の内部に、前記計量シリンダから前記注入口に吐出される前記液状コーティング剤の流路を囲むように冷却水通路が形成されている、ことを特徴とする請求項3に記載のインモールドコート注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形基材が保持された一方の金型に成形基材を覆うように他方の金型を押し当て、他方の金型の内面と成形基材の表面の間のコーティングギャップに所定量の液状コーティング剤を注入するインモールドコート注入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題への関心が高まる中、有機溶剤を使用せず且つCO2排出削減効果の高い塗装代替技術として、金型内コーティング方法(インモールドコーティング:IMC)が注目されている。IMCは、成形基材が保持された一方の金型に成形基材を覆うように他方の金型を押し当て、他方の金型の内面と成形基材の表面の間のコーティングギャップに液状コーティング剤(例えば熱硬化塗料)を注入し、加熱により成形基材の外面に被膜を形成する技術である。
【0003】
IMCの特徴としては、(1)一般的なスプレー塗装で用いられる有機溶剤を使用しないので環境及び人体に優しい、(2)塗装工程を行うための設備(スプレー吹付、オーブン熱処理)が不要、(3)塗料を有機溶剤で希釈しないので塗布前の材料(塗料)が成形基材の外面に塗膜として形成される割合(塗着効率)が非常に高く無駄が極めて少ない、等が挙げられる。IMCは、成形品表面の品質向上及び塗装工程の簡略化を目的として利用されており、特に外観及び品質に対する要求度の高い自動車業界において、外装部品等に広く利用されている。
【0004】
ところで、IMCにおいては、成形基材が保持された一方の金型に成形基材を覆うように他方の金型を押し当て、他方の金型の内面と成形基材の表面の間にコーティングギャップが形成された状態で、そのコーティングギャップに液状コーティング剤を注入するため、コーティングギャップの容積に見合った適切な量の液状コーティング剤を注入することが肝要となる。
【0005】
仮に、コーティングギャップに注入される液状コーティング剤がコーティングギャップの容積よりも少ないと、成形基材の表面の一部にコーティングされない領域(所謂ショート)が生じてしまう。逆に、コーティングギャップに注入される液状コーティング剤がコーティングギャップの容積よりも多いと、余分な液状コーティング剤が金型同士のパーティング面から漏れ出してしまう(所謂オーバーフロー)。
【0006】
そこで、従来より、所定量の液状コーティング剤(熱硬化塗料など、以下、単に塗料とも言う)をコーティングギャップに注入するインモールドコート注入装置が開発されている(特許文献1参照)。特許文献1の図6図7には、塗料が循環ポンプによって循環されている循環路の途中に計量シリンダを介設し、計量シリンダより下流側の循環路に計量シリンダで計量された所定量の塗料をコーティングギャップに注入するための注入装置を設けたインモールドコート注入装置が記載されている。
【0007】
しかし、このように計量シリンダと注入装置とが分離しておりそれらを配管で繋ぐ構造であると、計量シリンダの内部の塗料を押し出して注入装置からコーティングギャップに注入する際、計量シリンダと注入装置とを繋ぐ配管において圧力損失が生じ、配管が僅かではあるが膨張するため、注入される塗料の定量精度が期待できない。特に、成形基材の表面に施される塗料の膜厚が0.1mm以下の場合など、コーティングギャップに注入する塗料の1回当たりの注入量が少量(例えば数CC)である場合、コーティングギャップの容積に見合った適切な量の塗料を注入することが困難となり、使用状況によっては、上述したショートやオーバーフローが発生する可能性も考えられる。
【0008】
これらの問題点を解消するため、特許文献1の図1図2には、循環ポンプによって塗料が循環されている循環路の途中に計量シリンダの機能と注入装置の機能が一体となった計量兼注入部を設け、計量兼注入部によって所定量の塗料をコーティングギャップに注入するインモールドコート注入装置が記載されている。この構成によれば、計量兼注入部によって塗料の計量と注入を行っているため、上述したように計量シリンダと注入装置とを繋ぐ配管における圧力損失や配管の膨張が生じることはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3422843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1の図1図2に記載されたインモールドコート注入装置は、塗料を循環路内において循環させることで、塗料が金型からの熱を受けることを抑えているため、循環路および循環ポンプが必要となり、システムが大型化・複雑化してしまう。
【0011】
また、一日の操業が終了した後、循環路の内部の塗料が硬化することを回避するため、循環路に残った塗料を全て排出する必要がある。ここで、循環路は、その途中に循環ポンプや塗料のタンクを設ける必要があるため、装置内に投入される塗料は或る程度の容量となってしまう。よって、一日の終業時に排出する循環路の内部の塗料の量と一日の操業で成形基材をコーティングするために必要な塗料の量を対比すると、材料(塗料)の歩留まりがよいとは言えない。特に、成形基材のサイズが小さく表面に施される塗料の膜厚が0.1mm以下の場合、コーティングに必要な塗料の量が僅かであるのに対し、循環路の内部に残留する塗料の量が相対的に大きくなり、極めて歩留まりが悪い。
【0012】
また、塗料に一液性硬化型の熱硬化塗料を用いた場合、始業時に塗料に硬化開始剤を混合すると、12時間程度のポットライフ(常温でも硬化が始まる時間)の制約が生じるため、一日の終業時に循環路の塗料を必ず排出しなければならず、塗料排出作業が必要となると共に循環路の内部に残った塗料は全て無駄となる。
【0013】
また、特許文献1の図1図2に記載されたインモールドコート注入装置は、計量兼注入部の計量注入スペース(以下シリンダと言う)が細長く形成され、その内部を昇降するピストンが細長いロッド状に形成されており、そのピストンが上昇してシリンダの上部から塗料がシリンダ内に導かれるとき、シリンダの下部の注入口が成形基材の表面で塞がれることで、シリンダ内に所定量の塗料が溜め込まれるようになっている。このように、シリンダの下部の注入口を開閉する仕切弁が存在せず、注入口を金型内の成形基材の表面で塞いでシリンダ内に所定量の塗料を溜め込むようにしているため、シリンダ内の塗料が注入口から金型内に漏出する可能性があり、定量精度が問題となり得る。
【0014】
また、このようにシリンダの下部の注入口を金型内の成形基材の表面で塞ぐことでシリンダ内に塗料を溜め込み、金型内の成形基材の表面をシリンダの下部の注入口の仕切弁として利用しているため、シリンダ下部の注入口が金型のキャビティ内面と繋がるようにシリンダを金型の肉厚部に埋設する必要がある。このため、シリンダ内の塗料が金型からの熱を受けて硬化反応が進み、ピストンを下降させてシリンダ内の塗料を注入口から金型内に注入した際、隅まで適切に注入できなくなる可能性がある。
【0015】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、液状コーティング剤の注入量の精度が高く、液状コーティング剤の歩留まりがよく、コンパクトなインモールドコート注入装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成すべく創案された本発明によれば、成形基材が保持された一方の金型に成形基材を覆うように他方の金型を押し当て、他方の金型の内面と成形基材の表面の間のコーティングギャップに所定量の液状コーティング剤を注入するインモールドコート注入装置であって、他方の金型に取り付けられる注入装置本体と、注入装置本体の先端に設けられコーティングギャップに液状コーティング剤を注入するための注入口と、注入口に繋げて注入装置本体の内部に設けられた計量シリンダと、計量シリンダの内部を軸方向に移動自在なピストンと、計量シリンダに繋げて注入装置本体の側部に設けられた供給口と、供給口に接続された液状コーティング剤の供給通路に設けられ、ピストンが計量シリンダの容積を縮小する吐出方向に移動するとき供給通路を閉じ、ピストンが計量シリンダの容積を拡大する吸入方向に移動するとき供給通路を開く供給弁と、ピストンに軸方向にスライド自在に装着され、スライドによって注入口を開く開弁位置と注入口を閉じる閉弁位置に移動する仕切弁と、仕切弁を閉弁位置とすると共にピストンを吸入方向に移動して液状コーティング剤を供給口から計量シリンダ内に導くことで計量シリンダ内に所定量の液状コーティング剤を充填させた後、仕切弁を開弁位置とすると共にピストンを吐出方向に移動することで所定量の液状コーティング剤を注入口から吐出させるためのアクチュエータと、を備えたことを特徴とするインモールドコート注入装置が提供される(請求項1)。
【0017】
本発明に係るインモールドコート注入装置においては、供給弁は、液状コーティング剤が供給通路から計量シリンダへ流れることを許容すると共に計量シリンダから供給通路へ流れることを防止する逆止弁であってもよい(請求項2)。
【0018】
本発明に係るインモールドコート注入装置においては、アクチュエータは、ピストンを計量シリンダの軸方向に移動させるためピストンの計量シリンダから突出した部分に形成されたピストン作動用フランジと、ピストン作動用フランジを計量シリンダの軸方向に沿って移動自在に収容するように形成されたピストン作動用シリンダと、仕切弁をピストンの軸方向に移動させるため仕切弁の前記ピストンから突出した部分に形成された仕切弁作動用フランジと、仕切弁作動用フランジをピストンの軸方向に沿って移動自在に収容するようにピストン作動用シリンダに繋げて形成された仕切弁作動用シリンダと、仕切弁作動用フランジの上面とピストン作動用フランジの下面に流体圧を加えて仕切弁が注入口を閉じピストンが吸入方向に移動する計量モードと、仕切弁作動用フランジの下面とピストン作動用フランジの上面に流体圧を加えて仕切弁が注入口を開きピストンが吐出方向に移動する注入モードとに切り替え自在な流体圧切替手段とを有していてもよい(請求項3)。
【0019】
本発明に係るインモールドコート注入装置においては、液状コーティング剤が一液性硬化型熱硬化塗料であり、注入装置本体の内部に、計量シリンダから注入口に吐出される液状コーティング剤の流路を囲むように冷却水通路が形成されていてもよい(請求項4)。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るインモールドコート注入装置によれば、次のような効果を発揮できる。
(1)液状コーティング剤の計量シリンダを液状コーティング剤の押出シリンダとしても利用することで計量シリンダと押出シリンダを繋ぐ配管が不要となり、計量シリンダに液状コーティング剤を導く際に注入口を仕切弁で閉じているので、液状コーティング剤の吐出精度が向上する。
(2)供給通路を通って供給口から計量シリンダ内に導かれた液状コーティング剤をピストンで注入口から押し出しており、従来技術で述べた液状コーティング剤の循環路および循環ポンプを用いていないので、終業後に循環路および循環ポンプに残留した塗料を取り出して廃棄する必要がなく、液状コーティング剤の材料歩留まりが向上する。
(3)液状コーティング剤の循環路および循環ポンプを用いていないので、装置全体をコンパクトに構成できると共に、液状コーティング剤の材料歩留まりが高まる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るインモールドコート注入装置のシステム全体を示す断面図である。
図2図1のインモールドコート注入装置が計測開始したときの断面図である。
図3図2に続く計測完了したときの断面図である。
図4図3に続く注入開始したときの断面図である。
図5図4に続く注入完了したときの断面図である。
図6】冷却水通路を示す説明図であり、(a)は透視斜視図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。係る実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0023】
(インモールドコート注入装置1の概要)
本発明に係るインモールドコート注入装置1は、図1に示すように、成形基材2が保持された一方の金型3に成形基材2を覆うように他方の金型4を押し当て、他方の金型4の内面と成形基材2の表面の間のコーティングギャップ5に所定量の液状コーティング剤6を注入するものである。
【0024】
図1の要部を拡大した図2に示すように、本発明の一実施形態に係るインモールドコート注入装置1は、他方の金型4に取り付けられる注入装置本体7と、注入装置本体7の先端に設けられコーティングギャップ5に液状コーティング剤6を注入するための注入口8と、注入口8に繋げて注入装置本体7の内部に設けられた計量シリンダ9と、計量シリンダ9の内部を軸方向に移動自在なピストン10と、計量シリンダ9に繋げて注入装置本体7の側部に設けられた供給口11と、供給口11に接続された液状コーティング剤6の供給通路12に設けられ、ピストン10が計量シリンダ9の容積を縮小する吐出方向に移動するとき供給通路12を閉じ、ピストン10が計量シリンダ9の容積を拡大する吸入方向に移動するとき供給通路12を開く供給弁13と、を備えている。
【0025】
また、図2に示すように、本実施形態に係るインモールドコート注入装置1は、ピストン10に軸方向にスライド自在に装着され、スライドによって注入口8を開く開弁位置と注入口8を閉じる閉弁位置に移動する仕切弁14と、図2から図3に架けて示すように、仕切弁14を閉弁位置とすると共にピストン10を吸入方向に移動して液状コーティング剤6を供給口11から計量シリンダ9内に導くことで計量シリンダ9内に所定量の液状コーティング剤6を充填させた後、図4から図5に架けて示すように、仕切弁14を開弁位置とすると共にピストン10を吐出方向に移動することで所定量の液状コーティング剤6を注入口8から吐出させるためのアクチュエータ15と、を備えている。以下、各構成要素について説明する。
【0026】
(金型、コーティングギャップ5)
図1に示すように、金型は、別途成形された成形基材2が装着される凸状のコア16が設けられた一方の金型3(以下、下型3とも言う)と、それに対向して配置され下型3のコア16に装着された成形基材2の外面との間に所定のコーティングギャップ5(例えば50μm~100μm)が形成されるようにキャビティ17が凹設された他方の金型4(以下、上型4とも言う)とから構成されている。上型4は、上部プラテン18の下面に、断熱板52を介して図示しないボルトで取り付けられ、下型3は、下部プラテン19の上面に、図示しないボルトで取り付けられている。下部プラテン19が上部プラテン18に対して上下方向に移動することで、上型4に対して下型3が近接離間して型締め型開きされるようになっている。
【0027】
図1に示すように、上型4の下型3との突き合わせ面(パーティング面)には、型締め時に成形基材2の外面と上型4のキャビティ17の内面との間のコーティングギャップ5に、液状コーティング剤6(例えば一液硬化型熱硬化塗料、以下、単に塗料とも言う)を供給するため、ランナー溝20が形成されている。ランナー溝20には、上型4に替えて図示しない別の成形金型によって成形基材2を成形した際に生じたランナー2aが収容されている。塗料6は、図4図5に示すように、ランナー溝20を通り、ランナー2aに沿ってコーティングギャップ5に注入される。ランナー溝20を通ってコーティングギャップ5に注入された塗料6を加熱して硬化させるため、上型4には図示しない加熱機構(電気抵抗線等)が設けられている。上型4と上部プラテン18との間に介設された断熱板52は、上型4の熱が上部プラテン18に伝わることを抑える機能を発揮する。これにより上部プラテン18から注入装置本体7への入熱が減少し、注入装置本体7の内部(シリンダ9)に導かれた塗料6(一液硬化型熱硬化塗料)の硬化反応の進行が抑えられる。
【0028】
(注入装置本体7)
図2に示すように、注入装置本体7は、本実施形態においては、小径部7a、中径部7b、大径部7cが下方から上方に連なった三段円柱体からなり、大径部7cの外周面に設けられた取付フランジ43を備えている。取付フランジ43は、ボルト44によって上部プラテン18に取り付けられている。上型4には、注入装置本体7を収容するための取付穴21が、ランナー溝20と繋がるように、上下面を貫通して形成されている。取付穴21は、注入装置本体7の小径部7aに対応する穴径の小径穴部21aと、注入装置本体7の中径部7bよりも大きな穴径の中径穴部21bから成り、中径穴部21bと中径部7bとの間には、所定の間隔54が形成されている。間隔54は、上型4の熱が注入装置本体7に伝わることを抑える空気断熱層として機能する。
【0029】
図2に示すように、上部プラテン18には、注入装置本体7の大径部7cを収容するため、大径部7cよりも穴径の大きな貫通穴24が形成されている。貫通穴24と注入装置本体7の大径部7cとの間には隙間25が形成されており、隙間25は、上型4から断熱板52を介して少量ながらも上部プラテン18に伝わった熱が、注入装置本体7に伝わることを抑える空気断熱層として機能する。
【0030】
図2に示すように、注入装置本体7の小径部7aと取付穴21の小径穴部21aとの間には、断熱スリーブ22が介設されている。断熱スリーブ22は、上型4の熱が注入装置本体7に伝わることを抑制し、注入装置本体7の内部に導かれた塗料6(一液硬化型熱硬化塗料)の硬化反応の進行を抑える。断熱スリーブ22の上端には、断熱フランジ22aが一体的に設けられている。断熱フランジ22aは、注入装置本体7の小径部7aから中径部7bにかけての段差と取付穴21の小径穴21aから中径穴21bにかけての段差との間に挟まるように形成されており、上型4の熱が注入装置本体7に伝わることを抑制し、注入装置本体7の内部に導かれた塗料6(一液硬化型熱硬化塗料)が、上型4からの熱を受けて硬化反応の進行を抑える。また、断熱フランジ22aは、ボルト44のネジ込み時に段差同士の間に挟まれて僅かに潰れ、ランナー溝20内の塗料6が取付穴21と注入装置本体7との間から上方に漏出することを防止するパッキンとしても機能する。
【0031】
図2に示すように、注入装置本体7の大径部7cから中径部7bにかけての段差と、上型4の上面との間には、上型4の熱が注入装置本体7に伝わることを抑える断熱リング23が介設されている。断熱リング23は、上型4の熱が注入装置本体7に伝わることを抑え、注入装置本体7の内部に導かれた塗料6(一液硬化型熱硬化塗料)が、上型4からの熱を受けて硬化反応の進行を抑える機能を発揮する。また、断熱リング23は、ボルト44のネジ込み時に大径部7cの下面と上型4の上面との間に挟まれて僅かに潰れ、それが復元する力によって、ボルト44の雄ネジ部と上部プラテン18に形成されたボルト44用のネジ穴の雌ネジ部が互いに軸方向に押し付けられることで、ボルト44の緩み止め材としても機能する。また、断熱スリーブ22の断熱フランジ22aも、同様にボルト44のネジ込み時に僅かに潰れて復元力を発揮するため、ボルト44の緩み止め材としても機能する。
【0032】
(計量シリンダ9、ピストン10)
図2に示すように、注入装置本体7の内部には、所定量の塗料6を収容するための計量シリンダ9が形成されている。計量シリンダ9は、注入装置本体7の大径部7cの内部に形成されており、上述した断熱スリーブ22、断熱リング23、隙間25(空気断熱層)、隙間54(空気断熱層)によって、注入装置本体7の内部において上型4の熱の影響を最も受け難い位置に配置されている。本実施形態においては、計量シリンダ9は、上型4の上面よりも上方かつ断熱リング23よりも上方に配置されている。計量シリンダ9の内部には、ピストン10が軸方向(上下方向)に移動自在に設けられている。ピストン10は、計量シリンダ9に摺動する直径のピストン本体部10aと、ピストン本体部10aの上部の計量シリンダ9から突出した部分に設けられたピストン突出部10bとを備えている。
【0033】
(注入口8、供給口11)
図2に示すように、注入装置本体7の中径部7bおよび小径部7aの内部には、計量シリンダ9に繋げて計量シリンダ9より小径の通路穴26が形成されている。通路穴26の下端には、円錐状の弁座27が形成されており、弁座27の下端には、注入口8がランナー溝20に臨むように形成されている。注入口8は、計量シリンダ9内の塗料6を、通路穴26を介してランナー溝20に注入するものであり、仕切弁14の下端が弁座27に着座することで閉じられ、仕切弁14の下端が弁座27から離間することで開かれる。また、注入装置本体7の大径部7cの側部には、塗料6を計量シリンダ9に供給するための供給口11が、計量シリンダ9に繋げて設けられている。
【0034】
(供給通路12)
図2に示すように、注入装置本体7の大径部7cの側部の供給口11には、塗料6を計量シリンダ9に供給するための供給通路12が接続されている。供給通路12は、上部プラテン18の内部に供給通路12の外径よりも大径に形成された穴に、挿通されている。穴と供給通路12との間には、隙間53が形成されている。隙間53は、上部プラテン18の熱が供給通路12内を流れる塗料6に伝わることを抑えるための空気断熱層となる。
【0035】
(供給弁13)
図1に示す供給通路12には、図2から図3に架けて示すように、ピストン10が計量シリンダ9の容積を拡大する吸入方向(上方)に移動するとき供給通路12を開き、図4から図5に架けて示すように、ピストン10が計量シリンダ9の容積を縮小する吐出方向(下方)に移動するとき供給通路12を閉じる供給弁13が設けられている。供給弁13は、本実施形態においては、塗料6が供給通路12から計量シリンダ9へ流れることを許容すると共に、計量シリンダ9から供給通路12へ流れることを防止する逆止弁(チェック弁)が用いられているが、供給通路12を開閉する開閉弁を上述したように開閉制御するものでもよい。図1に示すように、供給弁13の上流側には、塗料6が収容された塗料タンク28が、配管29を介して繋がれている。
【0036】
(仕切弁14)
図2に示すように、ピストン10には軸方向(上下方向)に穴30が貫通形成されており、穴30には上下方向に細長い仕切弁14が軸方向にスライド自在に装着されている。仕切弁14は、穴30に摺動する直径の中径部14aと、中径部14aの下部に一体的に設けられた小径部14bと、中径部14aの上部に一体的に設けられた大径部14cとを備えている。小径部14bは、通路穴26に直径方向に所定の隙間を隔てて収容されており、その下端に弁座27に着座するように円錐状に形成された先端弁部14dを備えている。大径部14cは、ピストン突出部10bの内部に軸方向に形成された穴31に摺動する直径であり、その上部がピストン突出部10bから上方に突出している。かかる仕切弁14は、上昇時に先端弁部14dが弁座27から離れて注入口8を開く開弁位置となり、下降時に先端弁部14dが弁座27に着座して注入口8を閉じる閉弁位置となる。
【0037】
(アクチュエータ15)
図1に示すように、ピストン10と仕切弁14は、アクチュエータ15によって、夫々、適宜昇降される。アクチュエータ15は、図2から図3に架けて示すように、仕切弁14を下降させて閉弁位置とすると共にピストン10を上昇させる吸入方向に移動して液状コーティング剤6を供給口11から計量シリンダ9内に導くことで計量シリンダ9内に所定量の液状コーティング剤6を充填させた後、図4から図5に架けて示すように、仕切弁14を上昇させて開弁位置とすると共にピストン10を下降させる吐出方向に移動することで所定量の液状コーティング剤6を注入口8から吐出させるものである。
【0038】
図2に示すように、アクチュエータ15は、ピストン10を計量シリンダ9の軸方向に移動させるためピストン10の計量シリンダ9から突出した部分(ピストン突出部10b)に形成されたピストン作動用フランジ32と、ピストン作動用フランジ32を計量シリンダ9の軸方向に沿って移動自在に収容するように形成されたピストン作動用シリンダ33と、仕切弁14をピストン10の軸方向に移動させるため仕切弁14のピストン10から突出した部分(仕切弁突出部14e)に形成された仕切弁作動用フランジ34と、仕切弁作動用フランジ34をピストン10の軸方向に沿って移動自在に収容するようにピストン作動用シリンダ33に繋げて形成された仕切弁作動用シリンダ35と、を備えている。
【0039】
図2に示すように、ピストン作動用シリンダ33および仕切弁作動用シリンダ35は、上部プラテン18に支柱36を介して取り付けられたシリンダブロック37の内部に夫々形成されている。シリンダブロック37には、仕切弁作動用フランジ34の上面とピストン作動用フランジ32の下面に流体圧を加えるための第一通路38と、仕切弁作動用フランジ34の下面とピストン作動用フランジ32の上面に流体圧を加えるための第二通路39とが形成されている。第一通路38は、シリンダブロック37の一方の側面に形成された穴と仕切弁作動用シリンダ35の仕切弁作動用フランジ34よりも上方の部分とを繋ぐ通路38aと、通路38aの途中とピストン作動用シリンダ33のピストン作動用フランジ32よりも下方の部分とを繋ぐ通路38bとを備えている。第二通路39は、シリンダブロック37の他方の側面に形成された穴と、ピストン作動用シリンダ33のピストン作動用フランジ32よりも上方の部分とを繋いでいる。
【0040】
また、アクチュエータ15は、図2から図3に架けて示すように、第一通路38に流体(エア、水、オイル等)を供給することで仕切弁作動用フランジ34の上面とピストン作動用フランジ32の下面に流体圧を加えて仕切弁14が注入口8を閉じピストン10が吸入方向に移動する計量モードと、図4から図5に架けて示すように、第二通路39に流体を供給することで仕切弁作動用フランジ34の下面とピストン作動用フランジ32の上面に流体圧を加えて仕切弁14が注入口8を開きピストン10が吐出方向に移動する注入モードとに切り替え自在な流体圧切替手段40(図1参照)を備えている。
【0041】
(流体圧切替手段40)
図1に示すように、流体圧切替手段40は、第一通路38および第二通路39に繋がれた切換バルブ41と、流体圧(エア圧、水圧、油圧など)を供給するため流体(エア、水、オイル等)が所定圧力で収容されたタンクT(エアタンク、水タンク、オイルタンク等、)と、タンクTに流体を加圧して供給するポンプPと、切換バルブ41を適宜切り替える制御部Cと、を備えている。本実施例では、流体にエア(空気)を用い、切換バルブ41に電磁式ソレノイドバルブを用いた例を示している。
【0042】
図1に示す電磁式ソレノイドバルブ(切換バルブ41)は、制御部Cから切換バルブ41のソレノイド41aに電気が供給されない場合、バネ41bによりボックスが右方に押されて平行回路が機能する状態となる。この結果、タンクT内のエアは、第一通路38に供給され、第二通路39のエアが排気サイレンサ42から排気される。これにより、図2から図3に架けて示すように、仕切弁14が下降して閉弁位置となり、ピストンが上方(吸入方向)に移動し、計量モードとなる。
【0043】
他方、図1に示す制御部Cよりソレノイド41aに電気が供給された場合、ソレノイド41aが励起してボックスが左方に移動され、クロス回路が機能する状態となる。この結果、タンクT内のエアは、第二通路39に供給され、第一通路38のエアが排気サイレンサ42から排気される。これにより、図4から図5に架けて示すように、仕切弁14が上昇して開弁位置となり、ピストンが下方(吐出方向)に移動し、注入モードとなる。
【0044】
(冷却水通路)
図6(a)に示すように、注入装置本体7の内部には、計量シリンダ9および通路穴26を通って注入口8から吐出される液状コーティング剤6(一液性硬化型熱硬化塗料)の流路を囲むように、冷却水通路45が形成されている。冷却水通路45は、計量シリンダ9および通路穴26を囲むように二重螺旋状に形成されており、注入装置本体7の上部の左方に形成された入口46から導かれた冷却水が、上方から見て反時計回りに下降し、注入装置本体7の下部で折り返されて時計回りに上昇し、注入装置本体7の上部の右方に形成された出口47から排出されるようになっている。このような複雑な形状の冷却水通路45が形成された注入装置本体7は、金属3Dプリンターやロストワックス鋳造等によって製造される。冷却水通路45を流れる冷却水によって、計量シリンダ9および通路穴26に収容される液状コーティング剤6(一液性硬化型熱硬化塗料)が、上型4からの熱によって過度に熱せられ、硬化反応が進むことを抑制できる。
【0045】
(計量開始)
図1に示すインモールドコート注入装置1に所定量の塗料6を導く際には、先ず、図2に示すように、第一通路38に流体を供給する。すると、仕切弁14が下降して閉弁位置となり、ピストン10が上昇する。これにより、計量シリンダ9内が負圧となり、供給弁13(逆止弁)を介して計量シリンダ9に塗料6が導かれる。ここで、万一、仕切弁14の先端弁部14dが弁座27から離間すると塗料6が注入口8から漏出してしまうため、シリンダブロック37の天井面には、仕切弁14を下方に付勢することで先端弁部14dを弁座27に押し付けるための漏れ防止バネ48が設けられている。そのため、アクチュエータ15の不具合や緊急停止等で制御不能となっても、装置内の塗料6が金型内に漏出することはない。なお、ピストン作動用シリンダ33内のピストン作動フランジ32よりも上方の流体は、ピストン作動フランジ32の上昇に伴って第二通路39から排出される。
【0046】
(計量完了)
図3に示すように、ピストン10のピストン作動フランジ32がピストン作動シリンダ33の天井面に当接することでピストン10が上死点となり、計量シリンダ9内に所定量の塗料6が溜め込まれ、計量が完了する。
【0047】
(注入開始)
次に、注入口8から所定量の塗料6をランナー溝20に注入すべく、図4に示すように、第二通路39に流体を供給する。すると、仕切弁14が上昇して注入口8が開かれ、ピストン10が下降して計量シリンダ9の容積が縮小される。これにより、計量シリンダ9内の塗料6が注入口8からランナー溝20に注入される。このとき、供給弁13(逆止弁)によって計量シリンダ9内の塗料6がタンク28(図1参照)側に逆流することが防止される。なお、ピストン作動用シリンダ33内のピストン作動フランジ32よりも下方の流体はピストン作動フランジの下降に伴って第一通路38から排出され、仕切弁作動用シリンダ35内の仕切弁作動フランジ32よりも上方の流体は、仕切弁作動フランジ34の上昇に伴って第一通路38から排出される。
【0048】
(注入完了)
図5に示すように、ピストン10に設けたストローク調整リング49の下面が注入装置本体7の上面に当接することでピストン10が下死点となり、塗料6の注入が完了する。ストローク調整リング49の厚さtを適宜変更することで、上死点から下死点までのストロークS(図3参照)を調整でき、塗料6の注入量を調節できる。他方、仕切弁14は、シリンダブロック37の天井面を貫通するネジ穴50にネジ込まれたストッパーボルト51の底面に当接して、開弁位置が定められる。ストッパーボルト51のネジ込み位置を適宜変更することで、開弁位置となった仕切弁14の先端弁部14dと弁座27との間隔を調節でき、注入口8から吐出される塗料6の吐出率(単位時間当たりの吐出量)を調節できる。
【0049】
(作用・効果)
本実施形態に係るインモールドコート注入装置1によれば、図2から図3に架けて示すように塗料6の計量シリンダ9を図4から図5に架けて示すように塗料6の押出シリンダとしても利用することで計量シリンダ9と押出シリンダを繋ぐ配管が不要となり、計量シリンダ9に塗料6を導く際に注入口8を仕切弁14で閉じているので、塗料6の計量精度が向上する。
【0050】
また、図1に示すように、供給通路12を通って供給口11から計量シリンダ9内に導かれた塗料6をピストン10で注入口8から押し出しており、従来技術で述べた塗料の循環路および循環ポンプを用いていないので、終業後に循環路および循環ポンプに残留した塗料を取り出して廃棄する必要がなく、塗料6の材料歩留まりが向上する。
【0051】
また、塗料の循環路および循環ポンプを用いていないので、装置全体をコンパクトに構成できると共に、塗料6の材料歩留まりが高まる。このように、本実施形態に係るインモールドコート注入装置1よれば、塗料6の注入量の精度が高く、塗料6の歩留まりがよく、コンパクトとなる。
【0052】
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、成形基材が保持された一方の金型に成形基材を覆うように他方の金型を押し当て、他方の金型の内面と成形基材の表面の間のコーティングギャップに所定量の液状コーティング剤を注入するインモールドコート注入装置に利用できる。
【符号の説明】
【0054】
1 インモールドコート注入装置
2 成形基材
3 一方の金型(下型)
4 他方の金型(上型)
5 コーティングギャップ
6 液状コーティング剤(塗料)
7 注入装置本体
8 注入口
9 計量シリンダ
10 ピストン
11 供給口
12 供給通路
13 供給弁(逆止弁)
14 仕切弁
15 アクチュエータ
32 ピストン作動用フランジ
33 ピストン作動用シリンダ
34 仕切弁作動用フランジ
35 仕切弁作動用シリンダ
40 流体圧切替手段
45 冷却水通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6