(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150231
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
B60R16/02 630K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063546
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑田 洋佑
(72)【発明者】
【氏名】山西 雄太
(72)【発明者】
【氏名】加藤 政弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 創太
(57)【要約】
【課題】車両に搭載されるスイッチ装置において信号を処理する機能を有するプロセッサの交換作業性を高める。
【解決手段】支持体2は、車両の進行方向を変更するステアリングシャフトSと結合される。スイッチ3は、支持体2と結合されており、運転者の操作に応じた信号を出力する。処理ユニット4は、前記信号を伝達するケーブルが接続される第一コネクタ41、および前記信号を処理するプロセッサ43を備えている。スナップフィット構造5は、スイッチ3が支持体2に結合された状態で支持体2の下方からの処理ユニット4の着脱を許容する。処理ユニット4が支持体2に装着された状態において、第一コネクタ41は下方に面している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向を変更するステアリングシャフトと結合される支持体と、
前記支持体と結合されており、運転者の操作に応じた信号を出力するスイッチと、
前記信号を伝達するケーブルが接続されるコネクタ、および前記信号を処理するプロセッサを備えている処理ユニットと、
前記スイッチが前記支持体に結合された状態で前記支持体の下方からの前記処理ユニットの着脱を許容する少なくとも一つのスナップフィット構造と、
を備えており、
前記処理ユニットが前記支持体に装着された状態において、前記コネクタは下方に面している、
スイッチ装置。
【請求項2】
前記車両の左右方向に対応する前記処理ユニットの幅方向における中央位置は、前記処理ユニットが前記支持体に装着された状態において、前記ステアリングシャフトの回転軸よりも前記車両の運転席ドアの近くに位置するように構成されている、
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つのスナップフィット構造は、前記ステアリングシャフトの回転軸よりも前記車両の運転席ドアの近くに位置するように構成されている、
請求項1または2に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に搭載されるスイッチ装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両に搭載されるスイッチ装置を開示している。当該スイッチ装置は、支持体とレバースイッチを備えている。支持体は、当該車両の進行方向を変更するステアリングシャフトに結合される。レバースイッチは、コネクタを介して当該支持体にケーブルレスに結合されており、ユーザの操作に応じた信号を出力する。支持体は、当該信号を処理するプロセッサを備えている。プロセッサを交換する場合、支持体とレバースイッチの結合を解除する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に搭載されるスイッチ装置において信号を処理する機能を有するプロセッサの交換作業性を高めることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示により提供される一態様例は、スイッチ装置であって、
車両の進行方向を変更するステアリングシャフトと結合される支持体と、
前記支持体と結合されており、運転者の操作に応じた信号を出力するスイッチと、
前記信号を伝達するケーブルが接続されるコネクタ、および前記信号を処理するプロセッサを備えている処理ユニットと、
前記スイッチが前記支持体に結合された状態で前記支持体の下方からの前記処理ユニットの着脱を許容する少なくとも一つのスナップフィット構造と、
を備えており、
前記処理ユニットが前記支持体に装着された状態において、前記コネクタは下方に面している。
【0006】
上記のような構成によれば、処理ユニットの交換に際して行なわれる支持体に対する着脱作業と処理ユニットのコネクタに対するケーブルの着脱作業とが、ともにスイッチ装置の下方から行なわれうる。処理ユニットの支持体に対する着脱はスイッチと支持体の結合解除を要しない簡易なスナップフィット構造を介して行なわれ、コネクタは下方に面している。よって、これらの作業は手探りでも遂行可能であり、作業者はステアリングコラムモジュールの下方の狭いスペースに上半身を潜り込ませる必要がない。したがって、スイッチ装置において信号を処理する機能を有するプロセッサの交換作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係るスイッチ装置の外観を例示している。
【
図2】
図1のスイッチ装置においてスイッチと処理ユニットが支持体から取り外された状態を例示している。
【
図3】
図1のスイッチ装置において処理ユニットが支持体から取り外された状態を例示している。
【
図4】
図1のスイッチ装置において支持体に装着された処理ユニットを下方から見た外観を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。添付の図面において、矢印Fは、図示された構造の前方向を示している。矢印Bは、図示された構造の後方向を示している。矢印Uは、図示された構造の上方向を示している。矢印Dは、図示された構造の下方向を示している。矢印Rは、図示された構造の右方向を示している。矢印Lは、図示された構造の左方向を示している。
【0009】
本明細書で用いられる「前後方向」という語は、上記の前方向と後方向に沿う方向を意味している。本明細書で用いられる「上下方向」という語は、上記の上方向と下方向に沿う方向を意味している。本明細書で用いられる「左右方向」という語は、上記の左方向と右方向に沿う方向を意味している。
【0010】
図1は、一実施形態に係るスイッチ装置1を下右前方から見た外観を例示している。スイッチ装置1は、車両に搭載される。上記の前方向、後方向、左方向、および右方向は、当該車両内の運転者から見た前方向、後方向、左方向、および右方向にそれぞれ対応している。
【0011】
スイッチ装置1は、支持体2、スイッチ3、および処理ユニット4を備えている。スイッチ3と処理ユニット4は、支持体2に対して着脱可能とされている。
図2は、スイッチ3と処理ユニット4が支持体2から取り外された状態を例示している。
【0012】
スイッチ装置1は、車両に搭載されるステアリングコラムモジュールの一部を構成している。
図1に例示されるように、支持体2は、車両の進行方向を変更するステアリングシャフトSと結合されるように構成されている。
【0013】
図2に例示されるように、支持体2は、右レセプタクル21を備えている。スイッチ3は、基部31を備えている。基部31が右レセプタクル21に嵌合されることにより、スイッチ3が支持体2に結合される。
【0014】
図1に例示されるように、スイッチ3は、レバースイッチ32を備えている。レバースイッチ32は、上下方向へ変位可能である。レバースイッチ32は、例えば車両の方向指示器を点灯させるために当該変位を伴う操作を受け付ける。レバースイッチ32は、当該操作に応じた信号を出力するように構成されている。
【0015】
スイッチ3は、ノブスイッチ33を備えている。ノブスイッチ33は、回動軸A1を中心として回動可能である。ノブスイッチ33は、例えば車両の前照灯による照明状態を変更するために当該回動を伴う操作を受け付ける。ノブスイッチ33は、当該操作に応じた信号を出力するように構成されている。
【0016】
スイッチ3は、コネクタ34を備えている。コネクタ34は、スイッチ3から出力される信号を伝達するためのケーブルの一端が接続されるように構成されている。コネクタ34は、下方に面している。
【0017】
処理ユニット4は、第一コネクタ41を備えている。第一コネクタ41は、当該ケーブルの他端が接続されるように構成されている。すなわち、運転者の操作に応じてスイッチ3から出力された信号は、第一コネクタ41を通じて処理ユニット4に入力される。
【0018】
処理ユニット4は、第二コネクタ42とプロセッサ43を備えている。プロセッサ43は、第一コネクタ41および第二コネクタ42と電気的に接続されている。プロセッサ43は、スイッチ3から出力された信号を第一コネクタ41を通じて受け付け、当該信号に基づいてスイッチ3に関連付けられた被制御装置の動作を制御するための制御信号を第二コネクタ42から出力するように構成されている。
【0019】
このような機能を有するプロセッサ43は、マイクロコントローラ、ASIC、FPGAなどの集積回路素子により実現されうる。
【0020】
第二コネクタ42は、プロセッサ43により生成された制御信号をスイッチ3に関連付けられた被制御装置または当該被制御装置の動作を制御する制御装置へ伝達するためのケーブルの一端が接続されるように構成されている。
【0021】
図2に例示されるように、支持体2は、左レセプタクル22を備えている。必要に応じて別のスイッチ(不図示)が結合されうる。当該別のスイッチは、レバースイッチ32およびノブスイッチ33の各々とは異なる被制御装置の動作制御に関連付けられる。
【0022】
支持体2は、下レセプタクル23を備えている。下レセプタクル23は、処理ユニット4の下方からの着脱を許容している。
【0023】
図3は、処理ユニット4が支持体2から取り外された状態を、下左後方から見た外観を例示している。
【0024】
図1に例示されるように、スイッチ装置1は、スナップフィット構造5を備えている。スナップフィット構造5は、スイッチ3が支持体2に結合された状態で支持体2の下方からの処理ユニット4の着脱を許容するように構成されている。
【0025】
具体的には、
図2と
図3に例示されるように、スナップフィット構造5は、第一係合部材511、第二係合部材512、第一被係合部材521、および第二被係合部材522を含んでいる。第一係合部材511は、処理ユニット4の左側壁に設けられている。第二係合部材512は、処理ユニット4の右側壁に設けられている。第一被係合部材521は、下レセプタクル23において処理ユニット4の左側壁と対向しうる部分に設けられている。第二被係合部材522は、下レセプタクル23において処理ユニット4の右側壁と対向しうる部分に設けられている。
【0026】
第一係合部材511と第二係合部材512は、第一被係合部材521と第二被係合部材522よりも高い可撓性を有している。処理ユニット4を下方から支持体2の下レセプタクル内に配置すると、第一係合部材511および第二係合部材512が撓み変形しつつ、第一被係合部材521および第二被係合部材522とスナップフィット係合する。これにより、処理ユニット4が支持体2に結合される。
【0027】
支持体2と処理ユニット4の結合を解除するためには、第一係合部材511と第二係合部材512に力を加えて撓ませる。これにより、スナップフィット係合が解除され、処理ユニット4を下方へ離脱させることができる。
【0028】
図1に例示されるように、処理ユニット4が支持体2に装着された状態において、第一コネクタ41と第二コネクタ42は、下方に面している。したがって、これらのコネクタに対する前述したケーブルの着脱作業もまた、スイッチ装置1の下方から行なわれうる。
【0029】
本実施形態に係る構成によれば、処理ユニット4の交換に際して行なわれる支持体2に対する着脱作業と処理ユニット4の第一コネクタ41と第二コネクタ42に対するケーブルの着脱作業とが、ともにスイッチ装置1の下方から行なわれうる。処理ユニット4の支持体2に対する着脱はスイッチ3と支持体2の結合解除を要しない簡易なスナップフィット構造5を介して行なわれ、第一コネクタ41と第二コネクタ42は下方に面している。よって、これらの作業は手探りでも遂行可能であり、作業者はステアリングコラムモジュールの下方の狭いスペースに上半身を潜り込ませる必要がない。したがって、スイッチ装置1において信号を処理する機能を有するプロセッサ43の交換作業性を高めることができる。
【0030】
なお、処理ユニット4の第一コネクタ41に一端が接続されるケーブルの他端は、下方に面しているスイッチ3のコネクタ34に接続されるので、やはり手探りでの作業遂行が可能である。これにより、コネクタ34に対する第一コネクタ41の配置自由度の確保と配線作業効率の低下抑制を両立できる。
【0031】
加えて、プロセッサ43の交換に係る構成がステアリングシャフトSと結合される支持体2の下方に集約されているので、ステアリングシャフトSの上方に他の車載装置を設置するためのスペースを確保しやすい。これにより、車室内における車載装置のレイアウト自由度を高めることができる。
【0032】
図4は、処理ユニット4が支持体2に結合された状態を下方からみた外観を例示している。車両の左右方向に対応する処理ユニット4の幅方向における中央位置Cは、ステアリングシャフトSの回転軸A2よりも右方に位置している。すなわち、中央位置Cは、回転軸A2よりも車両の運転席ドアの近くに位置している。
【0033】
このような構成によれば、運転席ドアを開いた車室外からの第一コネクタ41、第二コネクタ42、およびスナップフィット構造5へのアクセス容易性を高めることができる。作業者は車室内に入らずとも手探りで処理ユニット4の交換作業を遂行できるので、作業効率をさらに高めることができる。
【0034】
これまで説明した各構成は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。各構成例は、本開示の趣旨の範囲内において適宜の変更や他の構成例との組合せがなされうる。
【0035】
上記の実施形態例に係るスナップフィット構造5においては、処理ユニット4に可撓性が相対的に高い係合部材が設けられており、支持体2に被係合部材が設けられている。しかしながら、支持体2に係合部材が設けられ、処理ユニット4に被係合部材が設けられてもよい。
【0036】
上記の実施形態例に係るスナップフィット構造5は、一対の係合部材と一対の被係合部材を含んでいる。しかしながら、スナップフィット構造5は、係合部材と被係合部材の対を少なくとも一つ含んでいればよい。
図4に示される例の場合、第一係合部材511と第一被係合部材521の対は単純なフック係合構造で置き換えられうる。この場合、処理ユニット4の左部を下レセプタクル23の対応部分に掛けた状態で処理ユニット4の右部を持ち上げることにより、第二係合部材512と第二被係合部材522をスナップフィット係合させることができる。
【0037】
すなわち、単一のスナップフィット構造5は、ステアリングシャフトSの回転軸A2よりも右方に配置されることが好ましい。換言すると、単一のスナップフィット構造5は、ステアリングシャフトSの回転軸A2よりも車両の運転席ドアの近くに配置されることが好ましい。
【0038】
このような構成によれば、運転席ドアを開いた車室外からのスナップフィット構造5へのアクセス容易性を高めることができる。作業者は車室内に入らずとも手探りでスナップフィット構造5の操作を行なえるので、作業効率をさらに高めることができる。
【符号の説明】
【0039】
1:スイッチ装置、2:支持体、3:スイッチ、4:処理ユニット、41:第一コネクタ、42:第二コネクタ、43:プロセッサ、5:スナップフィット構造、A2:ステアリングシャフトの回転軸、C:処理ユニットの幅方向における中央位置、S:ステアリングシャフト