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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150233
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 19/20 20060101AFI20241016BHJP
   H01H 3/08 20060101ALI20241016BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H01H19/20 A
H01H3/08 A
B60R16/02 630K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063548
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】畑田 洋佑
(72)【発明者】
【氏名】山西 雄太
(72)【発明者】
【氏名】加藤 政弘
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 創太
【テーマコード(参考)】
5G219
【Fターム(参考)】
5G219GS21
5G219HT07
5G219JU05
(57)【要約】
【課題】複数の被制御状態の選択可能性を維持しつつ、共用可能な部品点数を増やす。
【解決手段】ノブは、軸を中心として回動可能かつ当該軸に沿って第一位置と第二位置の間で変位可能である。カム機構は、前記ノブの回動に応じて前記軸に沿う方向に前記スライダ34を変位させる。スライダ34の移動経路には、複数の所定位置が定められている。センサ37は、前記ノブが前記第一位置と前記第二位置のいずれに位置するかを示す検出信号DTを出力する。プロセッサ382は、前記ノブが前記第一位置にあることを検出信号DTが示している場合、前記複数の所定位置を、複数の第一被制御状態に対応付ける。プロセッサ382は、前記ノブが前記第二位置にあることを検出信号DTが示している場合、前記複数の所定位置を、前記複数の第一被制御状態とは異なる複数の第二被制御状態に対応付ける。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を中心として回動可能かつ当該軸に沿って第一位置と第二位置の間で変位可能であるノブと、
スライダと、
前記ノブの回動に応じて前記軸に沿う方向に前記スライダを変位させるカム面を有しているカム機構と、
前記ノブが前記第一位置と前記第二位置のいずれに位置するかを示す信号を出力するセンサと、
前記信号を受け付けるプロセッサと、
を備えており、
前記スライダの移動経路には、複数の所定位置が定められており、
前記プロセッサは、
前記ノブが前記第一位置にあることを前記信号が示している場合、前記複数の所定位置を、複数の第一被制御状態に対応付け、
前記ノブが前記第二位置にあることを前記信号が示している場合、前記複数の所定位置を、前記複数の第一被制御状態とは異なる複数の第二被制御状態に対応付ける、
スイッチ装置。
【請求項2】
前記ノブには開口部が形成されており、
前記ノブが前記第一位置にある場合、前記開口部を通じて前記複数の第一被制御状態を示す情報が視認可能とされ、
前記ノブが前記第二位置にある場合、前記開口部を通じて前記複数の第二被制御状態を示す情報が視認可能とされる、
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記ノブを支持している支持体と、
前記ノブと前記支持体の一方に設けられている凸部と、
前記ノブと前記支持体の他方に設けられており、前記ノブの回動方向に沿って配列されている複数の第一凹部と、
前記ノブと前記支持体の他方に設けられており、前記ノブの回動方向に沿って配列されている複数の第二凹部と、
を備えており、
前記複数の第一凹部は、前記複数の第一被制御状態に対応付けられており、
前記複数の第二凹部は、前記複数の第二被制御状態に対応付けられており、
前記ノブが前記第一位置にある場合、前記ノブの回動に応じて前記凸部が前記複数の第一凹部の一つと係合し、
前記ノブが前記第二位置にある場合、前記ノブの回動に応じて前記凸部が前記複数の第二凹部の一つと係合する、
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記スライダには可動導電接点が設けられており、
前記スライダの移動経路には複数の固定導電接点が設けられており、
前記可動導電接点は、前記複数の所定位置の各々において、相違する複数の電気的接続状態を前記複数の固定導電接点の少なくとも一つと確立するように構成されている、
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
車両の進行方向を変更する操舵装置の一部を構成しており、
前記複数の第一被制御状態と前記複数の第二被制御状態は、前記車両に搭載された少なくとも一つの装置により実行される複数の動作に対応している、
請求項1に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、軸を中心として回動可能なノブの操作に基づいて複数の被制御状態のいずれかを選択するスイッチ装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両に搭載されるスイッチ装置を開示している。当該スイッチ装置は、各々が軸を中心として回動可能である第一ノブと第二ノブを備えている。第一ノブの回動に伴い、第一ノブに設けられた第一可動接点が複数の第一固定接点のいずれかと電気的接続状態を確立する。第一ノブにより確立される複数の電気的接続状態は、相違する第一被制御状態に対応付けられている。第二ノブの回動に伴い、第二ノブに設けられた第二可動接点が複数の第二固定接点のいずれかと電気的接続状態を確立する。第二ノブにより確立される複数の電気的接続状態は、相違する第二被制御状態に対応付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-216259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の被制御状態の選択可能性を維持しつつ、共用可能な部品点数を増やすことが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示により提供される一態様例は、スイッチ装置であって、
軸を中心として回動可能かつ当該軸に沿って第一位置と第二位置の間で変位可能であるノブと、
スライダと、
前記ノブの回動に応じて前記軸に沿う方向に前記スライダを変位させるカム面を有しているカム機構と、
前記ノブが前記第一位置と前記第二位置のいずれに位置するかを示す信号を出力するセンサと、
前記信号を受け付けるプロセッサと、
を備えており、
前記スライダの移動経路には、複数の所定位置が定められており、
前記プロセッサは、
前記ノブが前記第一位置にあることを前記信号が示している場合、前記複数の所定位置を、複数の第一被制御状態に対応付け、
前記ノブが前記第二位置にあることを前記信号が示している場合、前記複数の所定位置を、前記複数の第一被制御状態とは異なる複数の第二被制御状態に対応付ける。
【0006】
上記のような構成によれば、複数の第一被制御状態の一つを選択するためのノブと、複数の第二被制御状態の一つを選択するためのノブとを個別に設ける必要がない。共通のノブを軸に沿う方向に変位させて第一位置と第二位置のいずれかをとらせるという簡単な操作で、後続するノブの回動に基づく一つの被制御状態を選択する操作の対象を、複数の第一被制御状態と複数の第二被制御状態の間で切り替えることができる。ノブおよび当該ノブの回動に基づいて一つの被制御状態を選択するための構成を共用できるので、複数の被制御状態の選択可能性は維持しつつ、共用可能な部品点数を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るスイッチ装置の外観を例示している。
図2図1のスイッチ装置を回動軸に沿う方向から見た外観を例示している。
図3図1のスイッチ装置からノブが取り外された状態を例示している。
図4図2の線IV-IVに沿って矢印方向から見たノブの断面を例示している。
図5図1のスイッチ装置の動作を例示している。
図6図1のスイッチ装置の動作を例示している。
図7図1のスイッチ装置の動作を例示している。
図8図1のスイッチ装置の動作を例示している。
図9図1のスイッチ装置の動作を例示している。
図10図1のスイッチ装置における制御部の構成を例示している。
図11】別例に係るスイッチ装置の構成を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面を参照しつつ、実施形態の例について以下詳細に説明する。各図においては、例示される各要素を認識可能な大きさとするために、縮尺を適宜に変更している。
【0009】
図1は、一実施形態に係るスイッチ装置1の外観を例示している。スイッチ装置1は、車両に搭載されて当該車両の進路を変更する操舵装置の一部を構成する。
【0010】
スイッチ装置1は、レバースイッチ2を備えている。レバースイッチ2は、操舵装置に対する変位が可能なレバー21を備えている。レバースイッチ2は、例えば車両の方向指示器を点灯させるために当該変位を伴う操作を受け付ける。
【0011】
スイッチ装置1は、ノブスイッチ3を備えている。ノブスイッチ3は、回動軸Aを中心として回動可能なノブ31を備えている。図2は、回動軸Aに沿う向きから見たノブスイッチ3の外観を例示している。ノブ31は、例えば車両の前照灯による照明状態を変更するために当該回動を伴う操作を受け付ける。前照灯は、車両に搭載された装置の一例である。照明状態は、被制御状態の一例である。
【0012】
図3は、ノブ31が取り外された状態のノブスイッチ3の外観を例示している。ノブスイッチ3は、ロータ32とステータ33を備えている。ステータ33は、レバースイッチ2に対して固定される。ロータ32は、回動軸Aを中心に回動可能にステータ33に支持されている。ロータ32の外周面には係合部材321が設けられている。
【0013】
図4は、図2における線IV-IVに沿って矢印方向から見たノブ31の断面を例示している。ノブ31の内周面には係合部材311が設けられている。ノブ31がロータ32に装着されると、ノブ31の係合部材311とロータ32の係合部材321が係合する。これにより、ロータ32は、ノブ31とともに回動軸Aを中心として回動可能とされる。ステータ33は、ロータ32を介してノブ31を支持する。ステータ33は、支持体の一例である。
【0014】
係合部材311と係合部材321は、ともに回動軸Aに沿う方向に延びている。これにより、ノブ31は、ロータ32およびステータ33に対して回動軸Aに沿う方向に摺動可能とされている。具体的には、ノブ31は、図5に例示される第一位置と図6に例示される第二位置との間で変位可能とされている。
【0015】
ノブスイッチ3は、スライダ34と基板35を備えている。基板35は、回動軸Aに沿う方向に長尺な形状を有している。スライダ34は、基板35に載置されている。基板35上には、複数の固定接点が配置されている。スライダ34には可動接点が設けられている。
【0016】
図7は、基板35上の複数の固定接点とスライダ34の可動接点341の位置関係を模式的に例示している。複数の固定接点は、第一接点351、第二接点352、および第三接点353を含んでいる。第一接点351、第二接点352、および第三接点353の各々は、導電性を有する材料により形成されており、相互に電気的に絶縁されている。第一接点351、第二接点352、および第三接点353の各々は、回動軸Aに沿う方向に延びている。可動接点341は、導電性を有する材料により形成されている。
【0017】
図7に例示されるスライダ34の第一位置P1においては、可動接点341は、第二接点352および第三接点353と電気的接続を確立している。
【0018】
図5に例示されるように、ノブスイッチ3は、カム機構36を備えている。カム機構36は、カム面361とカムフォロワ362を含んでいる。カム面361は、ロータ32の一部として形成されている。カムフォロワ362は、スライダ34の一部として形成されている。
【0019】
カム面361は、ノブ31の回動に応じてカムフォロワ362を回動軸Aに沿う方向に変位させるように構成されている。すなわち、カム機構36は、ノブ31の回動に応じて、基板35上のスライダ34を回動軸Aに沿って変位させるように構成されている。
【0020】
図8は、図7に例示された状態からノブ31を図2における時計回り方向に回動させた場合を例示している。カムフォロワ362は、カム面361に沿って図8における左方へ変位し、スライダ34は、図7における第二位置P2まで移動する。この状態における可動接点341は、第一接点351、第二接点352、および第三接点353と電気的接続を確立している。
【0021】
図9は、図7に例示された状態からノブ31を図2における反時計回り方向に回動させた場合を例示している。カムフォロワ362は、カム面361に沿って図9における右方へ変位し、スライダ34は、図7における第三位置P3まで移動する。この状態における可動接点341は、第一接点351および第二接点352と電気的接続を確立している。
【0022】
すなわち、可動接点341は、スライダ34の移動経路上に定められた第一位置P1、第二位置P2、および第三位置P3の各々において、相違する複数の電気的接続状態を複数の固定接点と確立する。第一位置P1、第二位置P2、および第三位置P3は、複数の所定位置の一例である。
【0023】
本例に係る可動接点341は、スライダ34の位置に依らず少なくとも二つの固定接点と電気的接続が確立されるように構成されている。しかしながら、ノブスイッチ3の仕様に応じて、可動接点341は少なくとも一つの固定接点と電気的接続を確立するように構成されうる。
【0024】
図10に例示されるように、ノブスイッチ3は、センサ37と制御部38を備えている。センサ37の少なくとも一部と制御部38は、基板35に搭載されている。制御部38は、入力インタフェース381、プロセッサ382、および出力インタフェース383を備えている。
【0025】
センサ37は、ノブ31が図5に例示される第一位置と図6に例示される第二位置のいずれに位置するかを示す検出信号DTを出力するように構成されている。検出信号DTは、センサ37の仕様に応じて、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。
【0026】
図5図6に例示されるように、センサ37は、機械的な可動部分を有するプッシュスイッチ371を備えている。ノブ31が第一位置にあるとき、検出信号DTは第一状態をとる。ノブ31が第一位置から第二位置へ移動されると、ノブ31の内壁面によりプッシュスイッチ371が押され、検出信号DTは第一状態と異なる第二状態をとる。ノブ31が第二位置から第一位置へ移動されると、プッシュスイッチ371に対する押圧が解除され、検出信号DTは第一状態に戻る。
【0027】
ノブ31が第一位置と第二位置のいずれに位置するかに応じて検出信号DTの状態を変えることができるのであれば、センサ37によるノブ31の位置検出は適宜の方式に基づいてなされうる。例えば、ステータ33とノブ31の内壁面との距離が光学的または磁気的に検出され、当該距離に基づいて検出信号DTの状態が変更されうる。
【0028】
図10に例示されるように、制御部38の入力インタフェース381は、検出信号DTを位置信号PSを受け付けるハードウェアインタフェースとして構成されている。位置信号PSは、図7から図9を参照して説明したスライダ34がとりうる所定の位置に応じて変化する接点同士の電気的接続状態に対応している。検出信号DTと位置信号PSの少なくとも一方がアナログ信号である場合、入力インタフェース381は、A/Dコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0029】
プロセッサ382は、ノブ31が第一位置にあることを検出信号DTが示している場合、位置信号PSが示すスライダ34に係る複数の所定位置を、複数の第一被制御状態に対応付けるように構成されている。複数の第一被制御状態の例としては、車両に搭載された前照灯に係る複数の動作状態が挙げられる。
【0030】
プロセッサ382は、ノブ31が第二位置にあることを検出信号DTが示している場合、位置信号PSが示すスライダ34に係る複数の所定位置を、複数の第一被制御状態とは異なる複数の第二被制御状態に対応付けるように構成されている。複数の第二被制御状態の例としては、車両に搭載されたワイパ装置に係る複数の動作状態が挙げられる。
【0031】
プロセッサ382は、ノブ31の位置とスライダ34の位置の組合せに基づいて定まる複数の第一被制御状態の一つまたは複数の第二被制御状態の一つを実現するための制御信号CTを、出力インタフェース383から出力するように構成されている。
【0032】
ノブ31が第一位置に配置されている場合、プロセッサ382は、ノブ31の回動操作に応じて変位するスライダ34が位置P1、P2、およびP3のいずれに位置しているかに応じて、前照灯に複数の動作状態のいずれかを行なわせる制御信号CTを、出力インタフェース383から出力する。
【0033】
ノブ31が第二位置に配置されている場合、プロセッサ382は、ノブ31の回動操作に応じて変位するスライダ34が位置P1、P2、およびP3のいずれに位置しているかに応じて、ワイパ装置に複数の動作状態のいずれかを行なわせる制御信号CTを、出力インタフェース383から出力する。
【0034】
出力インタフェース383は、制御信号CTを出力可能なハードウェアインタフェースとして構成されている。制御信号CTは、被制御装置の仕様に応じて、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。制御信号CTがアナログ信号である場合、出力インタフェース383は、D/Aコンバータを含む適宜の変換回路を備える。
【0035】
上記のような構成によれば、複数の第一被制御状態の一つを選択するためのノブと、複数の第二被制御状態の一つを選択するためのノブとを個別に設ける必要がない。共通のノブ31を回動軸Aに沿う方向に変位させて第一位置と第二位置のいずれかをとらせるという簡単な操作で、後続するノブ31の回動に基づく一つの被制御状態を選択する操作の対象を、複数の第一被制御状態と複数の第二被制御状態の間で切り替えることができる。ノブ31、およびノブ31の回動に基づいて一つの被制御状態を選択するための構成を共用できるので、複数の被制御状態の選択可能性は維持しつつ、共用可能な部品点数を増やすことができる。
【0036】
図11に例示されるように、ノブ31には開口部312が形成されうる。ノブ31が第一位置にある場合、ノブ31の回動操作により選択可能な前照灯に係る複数の被制御状態を示す情報が、開口部312を通じて視認可能とされる。当該情報は、文字、図形、記号、色の少なくとも一つを通じて提供されうる。
【0037】
ノブ31が第二位置にある場合、ノブ31の回動操作により選択可能なワイパ装置に係る複数の被制御状態を示す情報が、開口部312を通じて視認可能とされる。当該情報は、文字、図形、記号、色の少なくとも一つを通じて提供されうる。
【0038】
開口部312の形状および大きさは、ノブ31が第一位置にあるとき、ワイパ装置に係る複数の被制御状態を示す情報がノブ31の周壁に覆われて視認できなくなるように定められる。同様に、開口部312の形状および大きさは、ノブ31が第二位置にあるとき、前照灯に係る複数の被制御状態を示す情報がノブ31の周壁に覆われて視認できなくなるように定められる。
【0039】
このような構成によれば、ノブ31の回動操作により選択可能な複数の被制御状態が何であるかを、ユーザが容易に認識できる。これにより、スイッチ装置1の操作性を高めることができる。
【0040】
図5に例示されるように、ノブスイッチ3は、節度感発生機構39を備えている。節度感発生機構39は、複数の第一凹部391、複数の第二凹部392、および一対の凸部393を含んでいる。
【0041】
図4に例示されるように、複数の第一凹部391は、ノブ31の内周面に設けられており、ノブ31の回動方向に沿って配列されている。複数の第二凹部392は、ノブ31の内周面に設けられており、ノブ31の回動方向に沿って配列されている。
【0042】
図3図5に例示されるように、一対の凸部393は、ステータ33の外周面に設けられている。本例においては、一対の凸部393は、不図示の付勢部材によりノブ31の内周面に向けて付勢されており、回動軸Aと直交する向きに変位可能である。しかしながら、付勢部材は適宜に省略されうる。また、凸部393の数は、一つでもよいし、三つ以上でもよい。
【0043】
ノブ31が図5に例示される第一位置にある場合、各凸部393は、複数の第一凹部391の一つと係合する。ノブ31が図6に例示される第二位置にある場合、各凸部393は、複数の第二凹部392の一つと係合する。複数の第一凹部391と複数の第二凹部392は、回動軸Aに沿う方向に並ぶように配列されているので、ノブ31を第一位置と第二位置との間で変位させると、各凸部393が一方の凹部から他方の凹部へ乗り移る動きが生じる。これにより、ノブ31の回動による選択操作に供される被制御状態のグループをユーザが切り替える際に、節度感を提供できる。
【0044】
複数の第一凹部391の各々は、前照灯に係る複数の被制御状態の一つに対応付けられている。したがって、第一位置にあるノブ31を回動させると、各凸部393が一つの第一凹部391から隣の第一凹部391へ乗り移る動きが生じる。これにより、前照灯に係る複数の被制御状態の一つをユーザが選択する際に、節度感を提供できる。
【0045】
複数の第二凹部392の各々は、ワイパ装置に係る複数の被制御状態の一つに対応付けられている。したがって、第二位置にあるノブ31を回動させると、各凸部393が一つの第二凹部392から隣の第二凹部392へ乗り移る動きが生じる。これにより、ワイパ装置に係る複数の被制御状態の一つをユーザが選択する際に、節度感を提供できる。
【0046】
上記のような構成によれば、ノブ31の回動による選択操作に供される被制御状態のグループを切り替える操作と、特定のグループ内で一つの被制御状態を選択する操作の双方について、部品点数の増加を伴うことなく節度感を提供できる。
【0047】
なお、少なくとも一つの凸部393がノブ31の内周面に設けられ、複数の第一凹部391と複数の第二凹部392がステータ33の外周面に設けられる構成も採用されうる。
【0048】
これまで説明した各構成は、本開示の理解を容易にするための例示にすぎない。各構成例は、本開示の趣旨の範囲内において適宜の変更や他の構成例との組合せがなされうる。
【0049】
上記のスイッチ装置1においては、位置信号PSの生成は、スライダ34に設けられた可動接点341と基板35に設けられた複数の固定接点の少なくとも一つとが複数の電気的接続状態のいずれかを確立することによりなされている。しかしながら、カム機構36のカム面361により変位するスライダ34の位置が光学的または磁気的に検出され、当該位置に基づいて位置信号PSの生成がなされてもよい。
【0050】
上記のスイッチ装置1は、車両の進行方向を変更する操舵装置の一部を構成している。ノブ31の回動操作に基づいて選択される複数の被制御状態は、車両に搭載された前照灯により実行される複数の動作に対応している。しかしながら、ノブ31の回動操作に基づいて選択される複数の被制御状態は、車両に搭載された他の装置により実行される複数の動作であってもよい。他の装置の例としては、別の照明装置、扉体や窓体の開閉装置などが挙げられる。
【0051】
上記のスイッチ装置1は、必ずしも操舵装置の一部を構成することを要しない。スイッチ装置1は、車両における適宜の場所に配置され、ノブ31の回動操作に基づいて車両に搭載された他の装置の動作を制御するものであってもよい。他の装置の例としては、映像音響装置、空調装置、ナビゲーション装置などが挙げられる。
【0052】
上記のスイッチ装置1は、必ずしも車両に搭載されることを要しない。スイッチ装置1は、住宅や施設における適宜の場所に配置され、ノブ31の回動操作に基づいて当該住宅や施設に設置された各種の機器の動作を制御するものであってもよい。
【0053】
以下に列挙される構成もまた、本開示の一部を構成する。

項目1:
軸を中心として回動可能かつ当該軸に沿って第一位置と第二位置の間で変位可能であるノブと、
スライダと、
前記ノブの回動に応じて前記軸に沿う方向に前記スライダを変位させるカム面を有しているカム機構と、
前記ノブが前記第一位置と前記第二位置のいずれに位置するかを示す信号を出力するセンサと、
前記信号を受け付けるプロセッサと、
を備えており、
前記スライダの移動経路には、複数の所定位置が定められており、
前記プロセッサは、
前記ノブが前記第一位置にあることを前記信号が示している場合、前記複数の所定位置を、複数の第一被制御状態に対応付け、
前記ノブが前記第二位置にあることを前記信号が示している場合、前記複数の所定位置を、前記複数の第一被制御状態とは異なる複数の第二被制御状態に対応付ける、
スイッチ装置。

項目2:
前記ノブには開口部が形成されており、
前記ノブが前記第一位置にある場合、前記開口部を通じて前記複数の第一被制御状態を示す情報が視認可能とされ、
前記ノブが前記第二位置にある場合、前記開口部を通じて前記複数の第二被制御状態を示す情報が視認可能とされる、
項目1に記載のスイッチ装置。

項目3:
前記ノブを支持している支持体と、
前記ノブと前記支持体の一方に設けられている凸部と、
前記ノブと前記支持体の他方に設けられており、前記ノブの回動方向に沿って配列されている複数の第一凹部と、
前記ノブと前記支持体の他方に設けられており、前記ノブの回動方向に沿って配列されている複数の第二凹部と、
を備えており、
前記複数の第一凹部は、前記複数の第一被制御状態に対応付けられており、
前記複数の第二凹部は、前記複数の第二被制御状態に対応付けられており、
前記ノブが前記第一位置にある場合、前記ノブの回動に応じて前記凸部が前記複数の第一凹部の一つと係合し、
前記ノブが前記第二位置にある場合、前記ノブの回動に応じて前記凸部が前記複数の第二凹部の一つと係合する、
項目1または2に記載のスイッチ装置。

項目4:
前記スライダには可動導電接点が設けられており、
前記スライダの移動経路には複数の固定導電接点が設けられており、
前記可動導電接点は、前記複数の所定位置の各々において、相違する複数の電気的接続状態を前記複数の固定導電接点の少なくとも一つと確立するように構成されている、
項目1から3のいずれか一項に記載のスイッチ装置。

項目5:
車両の進行方向を変更する操舵装置の一部を構成しており、
前記複数の第一被制御状態と前記複数の第二被制御状態は、前記車両に搭載された少なくとも一つの装置により実行される複数の動作に対応している、
項目1から4のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【符号の説明】
【0054】
1:スイッチ装置、3:ノブスイッチ、31:ノブ、312:開口部、33:ステータ、34:スライダ、341:可動接点、351:第一接点、352:第二接点、353:第三接点、36:カム機構、361:カム面、37:センサ、382:プロセッサ、391:第一凹部、392:第二凹部、393:凸部、A:回動軸、DT:検出信号、P1:第一位置、P2:第二位置、P3:第三位置
図1
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図11