(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150237
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】コンクリート冷却システム、コンクリート冷却システムの制御装置、コンクリート冷却システムの制御方法、及びコンクリート冷却システムの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
E04G 21/02 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
E04G21/02 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063553
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】503275129
【氏名又は名称】りんかい日産建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】中出 睦
(72)【発明者】
【氏名】野原 貴純
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172EA11
2E172EA13
(57)【要約】
【課題】打設されたコンクリートを冷却する期間が長くなるように調整可能なコンクリート冷却システムを提供することを目的とする。
【解決手段】コンクリート冷却システム100は、打設されたコンクリートの内部及び周囲の少なくとも一方に配置された通水路と、コンクリートの温度であるコンクリート温度を検出し、コンクリート温度を示すコンクリート温度信号を出力する温度センサと、第1供給水を通水路に供給する第1給水装置と、第1供給水よりも温度が高い第2供給水を通水路に供給する第2給水装置と、コンクリート温度信号が入力され、第1供給水及び第2供給水を通水路に供給するように第1給水装置及び第2給水装置を制御する制御装置とを有し、制御装置は、コンクリートに第1供給水が供給されるときに、コンクリート温度のピーク値を検出し、ピーク値を検出した後に、コンクリート温度がピーク値よりも低くなるように第2供給水を通水路に供給する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打設されたコンクリートの内部及び周囲の少なくとも一方に配置された通水路と、
前記打設されたコンクリートの温度であるコンクリート温度を検出し、検出した前記コンクリート温度を示すコンクリート温度信号を出力する温度センサと、
第1温度を有する第1供給水を前記通水路に供給する第1給水装置と、
前記第1温度よりも高い第2温度を有する第2供給水を前記通水路に供給する第2給水装置と、
前記コンクリート温度信号が入力され、前記第1供給水及び前記第2供給水の少なくとも一方を前記通水路に供給するように前記第1給水装置及び前記第2給水装置を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記打設されたコンクリートに前記第1供給水が供給されるときに、前記コンクリート温度のピーク値を検出し、前記コンクリート温度のピーク値を検出した後に、前記コンクリート温度がピーク値よりも低くなるように前記第2供給水を前記通水路に供給する、
ことを特徴とするコンクリート冷却システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記ピーク値を検出した後に、前記第1供給水の供給を停止し、
前記打設されたコンクリートに前記第2供給水が供給されるときに、前記コンクリート温度が前記ピーク値よりも低い第2ピーク値に達したか否かを判定し、
前記コンクリート温度が前記第2ピーク値に達したと判定した後に、前記第1供給水を前記通水路への供給を再開すると共に、前記第2供給水の供給を停止する、
請求項1に記載のコンクリート冷却システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記第1供給水が供給された後に、前記打設されたコンクリートに前記第2供給水が供給されるときに、前記コンクリート温度が前記第2ピーク値よりも低い第3ピーク値に達したか否かを判定し、
前記コンクリート温度が前記第3ピーク値に達したと判定した後に、前記第2供給水の前記通水路への供給を再開すると共に、前記第1供給水の供給を停止する、
請求項2に記載のコンクリート冷却システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記コンクリート温度の温度変化を示す温度プロファイル情報を記憶し、
前記コンクリート温度信号に対応する前記コンクリート温度が、温度プロファイルに対応する温度変化に一致するように、前記第1供給水及び前記第2供給水を混合した混合水を前記通水路に供給する、
請求項1に記載のコンクリート冷却システム。
【請求項5】
打設されたコンクリートを支持する底版の温度である底版温度を検出する底版温度センサと、
前記第1温度よりも高い温度を有する底版供給水を前記底版の周囲に供給する底版給水装置と、を更に有し、
前記制御装置は、前記コンクリート温度と前記底版温度との温度差が前記コンクリート温度のピーク値を検出したときの前記コンクリート温度と前記底版温度との温度差よりも大きくならないように前記底版供給水の温度を制御する、
請求項1に記載のコンクリート冷却システム。
【請求項6】
前記通水路は、前記打設されたコンクリートの内部及び周囲の少なくとも一方に配置され、
前記底版給水装置は、前記底版に加えて、前記打設されたコンクリートの周囲に前記底版供給水を供給する、請求項5に記載のコンクリート冷却システム。
【請求項7】
前記底版給水装置から前記底版供給水が供給される底版通水路を更に有し、
前記底版通水路は、前記底版及び前記打設されたコンクリートから着脱可能である、請求項6に記載のコンクリート冷却システム。
【請求項8】
打設されたコンクリートの内部及び周囲の少なくとも一方に配置された通水路と、
前記打設されたコンクリートの内部の温度であるコンクリート温度を検出し、検出した前記コンクリート温度を示すコンクリート温度信号を出力する温度センサと、
第1温度を有する第1供給水を前記通水路に供給する第1給水装置と、
前記第1温度よりも高い第2温度を有する第2供給水を前記通水路に供給する第2給水装置と、コンクリート冷却システムにおいて、前記コンクリート温度信号が入力され、前記第1供給水及び前記第2供給水の少なくとも一方を前記通水路に供給するように前記第1給水装置及び前記第2給水装置を制御する制御装置であって、
前記打設されたコンクリートに前記第1供給水が供給されるときに、前記コンクリート温度のピーク値を検出し、前記コンクリート温度のピーク値を検出した後に、前記コンクリート温度がピーク値よりも低くなるように前記第2供給水を前記通水路に供給する、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項9】
打設されたコンクリートの内部及び周囲の少なくとも一方に配置された通水路と、
前記打設されたコンクリートの内部の温度であるコンクリート温度を検出し、検出した前記コンクリート温度を示すコンクリート温度信号を出力する温度センサと、
第1温度を有する第1供給水を前記通水路に供給する第1給水装置と、
前記第1温度よりも高い第2温度を有する第2供給水を前記通水路に供給する第2給水装置と、を有するコンクリート冷却システムの制御方法であって、
前記打設されたコンクリートに前記第1供給水が供給されるときに、前記コンクリート温度のピーク値を検出し、
前記コンクリート温度のピーク値を検出した後に、前記コンクリート温度がピーク値よりも低くなるように前記第2供給水を前記通水路に供給する、
処理を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
打設されたコンクリートの内部及び周囲の少なくとも一方に配置された通水路と、
前記打設されたコンクリートの内部の温度であるコンクリート温度を検出し、検出した前記コンクリート温度を示すコンクリート温度信号を出力する温度センサと、
第1温度を有する第1供給水を前記通水路に供給する第1給水装置と、
前記第1温度よりも高い第2温度を有する第2供給水を前記通水路に供給する第2給水装置と、を有するコンクリート冷却システムの制御プログラムであって、
前記打設されたコンクリートに前記第1供給水が供給されるときに、前記コンクリート温度のピーク値を検出し、
前記コンクリート温度のピーク値を検出した後に、前記コンクリート温度がピーク値よりも低くなるように前記第2供給水を前記通水路に供給する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート冷却システム、コンクリート冷却システムの制御装置、コンクリート冷却システムの制御方法、及びコンクリート冷却システムの制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
打設するコンクリートの内部に予め配管を配置し、打設されたコンクリートの内部に配置された配管に冷却水を供給することで、打設されたコンクリートが固化するときに生じる水和熱に起因する温度ひび割れを防止する種々の技術が知られている。例えば、特許文献1には、打設されたコンクリートの温度が最高温度に達した後から所定の時間が経過した後に、打設されたコンクリートの内部に配置された配管への冷却水の供給を停止する技術が記載される。特許文献1に記載される技術では、コンクリートの温度が低下し始めた後に冷却水の供給を停止させることで、コンクリートの急激な温度低下に起因する温度ひび割れを防止することができる。
【0003】
また、特許文献2には、打設されたコンクリートの内部に配置された配管に冷却水を供給するときに、コンクリートの中心部から周縁部へ向けて冷却水が供給されるように配管の経路を設定する技術が記載される。特許文献2に記載される技術では、コンクリートの中心部から周縁部へ向けて冷却水が供給されるように配管の経路を設定することで、中心部の水和熱を周縁部に配温することで、コンクリート内部の温度勾配が緩やかになり、温度ひび割れの発生が抑制される。
【0004】
また、特許文献3には、先に打設されたコンクリートの周囲に配置された壁領域に配置された配管に温水を供給しながら、後に打設されたコンクリートの周囲に配置された壁領域に配置された配管に冷水を供給する技術が記載される。特許文献3に記載される技術では、先に打設されたコンクリートを冷却すると共に、後に打設されたコンクリートを暖めることで、後に打設されたコンクリートの内部温度の上昇が抑制されて内部拘束応力が小さくなる。また、特許文献3に記載される技術では、先に打設されたコンクリートと後に打設されたコンクリートとの温度差すなわち温度勾配が小さくなり、後に打設されたコンクリートが先に打設されたコンクリートから受ける外部拘束応力が低減される。
【0005】
また、特許文献4には、打設されたコンクリートの内部と外部との温度差が増加するときに、コンクリートの内部の配管に供給される冷却水の温度を低下させ、コンクリートの内部と外部との温度差が減少するときに、冷却水の温度を上昇させる技術が記載される。特許文献4に記載される技術では、打設されたコンクリートの外部温度と内部温度との温度差に応じて冷却水の温度を自動的に制御することで、打設されたコンクリートが所望の条件で冷却され、温度ひび割れの発生を抑制できる。
【0006】
また、特許文献5には、想定される新設コンクリートの最高温度まで既設コンクリートを温めた後に、打設後の新設コンクリートの温度降下時に、新設コンクリート内部の配管に供給された冷却水を、既設コンクリートの配管に供給する技術が記載される。特許文献5に記載される技術では、新設コンクリートの収縮に合わせて、既設コンクリートの温度を調整することで、既設コンクリートと新設コンクリートの収縮量との差を生じさせないようにすることで温度ひび割れの発生が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第6473721号公報
【特許文献2】特許第4108544号公報
【特許文献3】特許第2940367号公報
【特許文献4】特許第6546388号公報
【特許文献5】特許第6347667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、打設されたコンクリートを冷却する期間を長くすることで、打設されたコンクリートに印加される単位時間当たりの外部拘束力を低減して、温度ひび割れの発生を抑制される。しかしながら、特許文献1~5に記載される技術では、打設されたコンクリートの冷却は、コンクリートの内部の温度が外部の温度に近付くことで終了するので、打設されたコンクリートを冷却する期間が長くなるように調整することは容易ではない。
【0009】
本発明に係る発明は、このような課題を解決するものであり、打設されたコンクリートを冷却する期間が長くなるように調整可能なコンクリート冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るコンクリート冷却システムは、打設されたコンクリートの内部及び周囲の少なくとも一方に配置された通水路と、打設されたコンクリートの温度であるコンクリート温度を検出し、検出したコンクリート温度を示すコンクリート温度信号を出力する温度センサと、第1温度を有する第1供給水を通水路に供給する第1給水装置と、第1温度よりも高い第2温度を有する第2供給水を通水路に供給する第2給水装置と、コンクリート温度信号が入力され、第1供給水及び第2供給水の少なくとも一方を通水路に供給するように第1給水装置及び第2給水装置を制御する制御装置とを有し、制御装置は、打設されたコンクリートに第1供給水が供給されるときに、コンクリート温度のピーク値を検出し、コンクリート温度のピーク値を検出した後に、コンクリート温度がピーク値よりも低くなるように第2供給水を通水路に供給する。
【0011】
さらに、本発明に係るコンクリート冷却システムでは、制御装置は、ピーク値を検出した後に、第1供給水の供給を停止し、打設されたコンクリートに第2供給水が供給されるときに、コンクリート温度がピーク値よりも低い第2ピーク値に達したか否かを判定し、コンクリート温度が第2ピーク値に達したと判定した後に、第1供給水を通水路への供給を再開すると共に、第2供給水の供給を停止することが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係るコンクリート冷却システムでは、制御装置は、第1供給水が供給された後に、打設されたコンクリートに第2供給水が供給されるときに、コンクリート温度が第2ピーク値よりも低い第3ピーク値に達したか否かを判定し、コンクリート温度が第3ピーク値に達したと判定した後に、第2供給水の通水路への供給を再開すると共に、第1供給水の供給を停止することが好ましい。
【0013】
さらに、本発明に係るコンクリート冷却システムでは、制御装置は、コンクリート温度の温度変化を示す温度プロファイル情報を記憶し、コンクリート温度信号に対応するコンクリート温度が、温度プロファイルに対応する温度変化に一致するように、第1供給水及び第2供給水を混合した混合水を通水路に供給することが好ましい。
【0014】
さらに、本発明に係るコンクリート冷却システムは、打設されたコンクリートを支持する底版の温度である底版温度を検出する底版温度センサと、第1温度よりも高い温度を有する底版供給水を底版の周囲に供給する底版給水装置と、を更に有し、制御装置は、コンクリート温度と底版温度との温度差がコンクリート温度のピーク値を検出したときのコンクリート温度と底版温度との温度差よりも大きくならないように底版供給水の温度を制御することが好ましい。
【0015】
さらに、本発明に係るコンクリート冷却システムでは、通水路は、打設されたコンクリートの内部及び周囲の少なくとも一方に配置され、底版給水装置は、底版に加えて、打設されたコンクリートの周囲に底版供給水を供給することが好ましい。
【0016】
さらに、本発明に係るコンクリート冷却システムは、底版給水装置から底版供給水が供給される底版通水路を更に有し、底版通水路は、底版及び打設されたコンクリートから着脱可能であることが好ましい。
【0017】
また、本発明に係るコンクリート冷却システムの制御装置は、打設されたコンクリートの内部及び周囲の少なくとも一方に配置された通水路と、打設されたコンクリートの内部の温度であるコンクリート温度を検出し、検出したコンクリート温度を示すコンクリート温度信号を出力する温度センサと、第1温度を有する第1供給水を通水路に供給する第1給水装置と、第1温度よりも高い第2温度を有する第2供給水を通水路に供給する第2給水装置と、コンクリート冷却システムにおいて、コンクリート温度信号が入力され、第1供給水及び第2供給水の少なくとも一方を通水路に供給するように第1給水装置及び第2給水装置を制御する制御装置であって、打設されたコンクリートに第1供給水が供給されるときに、コンクリート温度のピーク値を検出し、コンクリート温度のピーク値を検出した後に、コンクリート温度がピーク値よりも低くなるように第2供給水を通水路に供給する。
【0018】
また、本発明に係るコンクリート冷却システムの制御方法は、打設されたコンクリートの内部及び周囲の少なくとも一方に配置された通水路と、打設されたコンクリートの内部の温度であるコンクリート温度を検出し、検出したコンクリート温度を示すコンクリート温度信号を出力する温度センサと、第1温度を有する第1供給水を通水路に供給する第1給水装置と、第1温度よりも高い第2温度を有する第2供給水を通水路に供給する第2給水装置とを有するコンクリート冷却システムの制御方法であって、打設されたコンクリートに第1供給水が供給されるときに、コンクリート温度のピーク値を検出し、コンクリート温度のピーク値を検出した後に、コンクリート温度がピーク値よりも低くなるように第2供給水を通水路に供給する。
【0019】
また、本発明に係るコンクリート冷却システムの制御プログラムは、打設されたコンクリートの内部及び周囲の少なくとも一方に配置された通水路と、打設されたコンクリートの内部の温度であるコンクリート温度を検出し、検出したコンクリート温度を示すコンクリート温度信号を出力する温度センサと、第1温度を有する第1供給水を通水路に供給する第1給水装置と、第1温度よりも高い第2温度を有する第2供給水を通水路に供給する第2給水装置とを有するコンクリート冷却システムの制御プログラムであって、打設されたコンクリートに第1供給水が供給されるときに、コンクリート温度のピーク値を検出し、コンクリート温度のピーク値を検出した後に、コンクリート温度がピーク値よりも低くなるように第2供給水を通水路に供給する。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るコンクリート冷却システムは、打設されたコンクリートを冷却する期間が長くなるように調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係るコンクリート冷却システムを示す図である。
【
図4】
図1に示す制御装置によるコンクリート冷却処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図4に示すコンクリート冷却処理におけるコンクリート温度の計時変化を示す図である。
【
図6】第2実施形態に係るコンクリート冷却システムを示す図である。
【
図9】
図6に示す制御装置によるコンクリート冷却処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図9に示すコンクリート冷却処理におけるコンクリート温度の計時変化を示す図である。
【
図11】第3実施形態に係るコンクリート冷却システムを示す図である。
【
図13】
図11に示す制御装置によるコンクリート冷却処理を示すフローチャートである。
【
図14】
図4に示すコンクリート冷却処理及び
図13に示す底版冷却処理におけるコンクリート温度の計時変化を示す図である。
【
図15】(a)は第4実施形態に係るコンクリート冷却システムを示す図であり、(b)は(a)のA-A線に沿う断面図である。
【
図16】(a)は第5実施形態に係るコンクリート冷却システムを示す図であり、(b)は図(a)のB-B線に沿う断面図である。
【
図17】第1変形例に係るコンクリート冷却システムを示す図である。
【
図20】第2変形例に係るコンクリート冷却システムを示す図である。
【
図21】打設されたコンクリートの周囲に配置される通水路の一例を示す図である。
【
図22】打設されたコンクリートの周囲に配置される通水路の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明に係るコンクリート冷却システムについて説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0023】
(第1実施形態に係るコンクリート冷却システムの構成及び機能)
図1は、第1実施形態に係るコンクリート冷却システムを示す図である。
【0024】
コンクリート冷却システム100は、壁給水装置101aと、頂版給水装置101bと、壁配管102aと、頂版配管102bと、壁温度センサ103aと、頂版温度センサ103bと、壁水温センサ104aと、頂版水温センサ104bと、制御装置1とを有する。コンクリート冷却システム100は、底版106上に打設されたコンクリートである壁107及び頂版108を冷却する。
【0025】
【0026】
壁給水装置101aは、回収タンク110と、第1給水装置111と、第2給水装置112と、入水三方弁113と、出水三方弁114と、流量計115とを有し、壁107の内部に配置される壁配管102aに第1供給水又は第2供給水を交互に供給する。
【0027】
回収タンク110は、鉄又は繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics、FRP)等の材料で形成され、第1給水装置111又は第2給水装置112から壁配管102aに供給された水を回収する。
【0028】
第1給水装置111は、チラーユニット116と、冷水タンク117とを有し、低温の第1温度を有する第1供給水を生成し、生成した第1供給水を壁配管102aに供給する。チラーユニット116は、回収タンク110から入水三方弁113を介して受水した水を所望の温度に冷却して冷却水である第1供給水を生成する。冷水タンク117は、回収タンク110と同様に鉄又はFRP等の材料で形成され、チラーユニット116によって生成された第1供給水を貯蔵する。冷水タンク117は、給水ポンプを有し、冷水タンク117に貯蔵された第1供給水を壁配管102aに吐出する。
【0029】
第2給水装置112は、給湯器118と、温水タンク119とを有し、第1温度よりも高い高温の第2温度を有する第2供給水を生成し、生成した第2供給水を壁配管102aに供給する。給湯器118は、回収タンク110から入水三方弁113を介して受水した水を所望の温度に加熱して加熱水、すなわち温水である第2供給水を生成する。温水タンク119は、回収タンク110と同様に鉄又はFRP等の材料で形成され、給湯器118によって生成された第2供給水を貯蔵する。温水タンク119は、給水ポンプを有し、温水タンク119に貯蔵された第1供給水を壁配管102aに吐出する。
【0030】
入水三方弁113は、制御装置1から入力される制御信号に従って、回収タンク110と、チラーユニット116及び給湯器118の何れか一方とを接続する。入水三方弁113は、制御装置1から第1供給水供給信号が入力されるとき、回収タンク110とチラーユニット116とを接続する。入水三方弁113は、制御装置1から第2供給水供給信号が入力されるとき、回収タンク110と給湯器118とを接続する。
【0031】
出水三方弁114は、制御装置1から入力される制御信号に従って、壁配管102aと、冷水タンク117及び温水タンク119の何れか一方とを接続する。出水三方弁114は、制御装置1から第1供給水供給信号が入力されるとき、壁配管102aと冷水タンク117とを接続する。出水三方弁114は、制御装置1から第2供給水供給信号が入力されるとき、壁配管102aと温水タンク119とを接続する。
【0032】
流量計115は、壁配管102aと出水三方弁114との間に配置され、壁配管102aに供給される第1供給水又は第2供給水の水量を計測し、計測した流量を示す流量信号を制御装置1に出力する。
【0033】
頂版給水装置101bは、頂版108の内部に配置される頂版配管102bに第1供給水又は第2供給水を供給する。壁給水装置101aと同一の構成を有するので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0034】
壁配管102aは、ポリ塩化ビニル等により形成され、壁107の内部に配置され、壁給水装置101aから供給される第1供給水及び第2供給水の何れかを通水する通水路である。頂版配管102bは、ポリ塩化ビニル等により形成され、頂版108の内部に配置され、頂版給水装置101bから供給される第1供給水及び第2供給水の何れかを通水する通水路である。
【0035】
壁温度センサ103aは、熱電対型及びサーミスタ型等の接触式の温度センサであり壁107の内部に配置され、壁107の温度である壁温度を検出し、検出した壁温度を示す壁温度信号を制御装置1に出力する。頂版温度センサ103bは、熱電対型及びサーミスタ型等の接触式の温度センサであり頂版108の内部に配置され、頂版108の温度である頂版温度を検出し、検出した頂版温度を示す頂版温度信号を制御装置1に出力する。壁温度信号及び頂版温度信号は、打設されたコンクリートの内部の温度であるコンクリート内部温度を示すコンクリート温度信号の一例である。
【0036】
壁水温センサ104aは、壁給水装置101aと壁配管102aとの間を接続する配管に接触するように配置され、壁配管102aに供給される水の温度を検出し、検出した温度を示す壁水温信号を制御装置1に出力する。頂版水温センサ104bは、頂版給水装置101bと頂版配管102bとの間を接続する配管に接触するように配置され、頂版配管102bに供給される水の温度を検出し、検出した温度を示す頂版水温信号を制御装置1に出力する。
【0037】
【0038】
制御装置1は、通信部11と、記憶部12と、入力部13と、出力部14と、処理部20とを有し、コンクリート冷却システム100によるコンクリート冷却処理を実行する。制御装置1は、壁温度信号及び頂版温度信号が入力され、第1供給水及び第2供給水の少なくとも一方を壁配管102a及び頂版配管102bに供給するように第1給水装置111及び第2給水装置112を制御する。制御装置1は、一例ではコンピュータであるが、コンピュータとシーケンサとも称されるプログラマブルロジックコントローラ(Programmable Logic Controller、PLC)とを組み合わせて形成されてもよい。通信部11、記憶部12、入力部13、出力部14及び処理部20は、バス15を介して互いに接続される。
【0039】
通信部11は、イーサネット(登録商標)などの有線の通信インタフェース回路を有する。通信部11は、インターネット及びローカルエリアネットワーク(Local Area Network、LAN)等の通信ネットワークを介してコンクリート冷却システム100の構成要素と通信を行う。通信部11は、壁温度センサ103a、頂版温度センサ103b、壁水温センサ104a、頂版水温センサ104b、出水三方弁114及び出水三方弁114等と通信を行う。
【0040】
記憶部12は、例えば、半導体記憶装置、磁気テープ装置、磁気ディスク装置、又は光ディスク装置のうちの少なくとも一つを備える。記憶部12は、処理部20での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データ等を記憶する。例えば、記憶部12は、打設されたコンクリートを冷却するコンクリート冷却処理を処理部20に実行させるためのコンクリート冷却プログラム等を記憶する。コンクリート冷却プログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記憶媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶部12にインストールされてもよい。
【0041】
入力部13は、データの入力が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、タッチパネル、キーボード等である。制御装置1を使用するオペレータは、入力部13を用いて、文字、数字、記号等を入力することができる。入力部13は、オペレータにより操作されると、その操作に対応する信号を生成する。そして、生成された信号は、オペレータの指示として、処理部20に供給される。
【0042】
出力部14は、映像や画像等の表示が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等である。出力部14は、処理部20から供給された映像データに応じた映像や、画像データに応じた画像等を表示する。また、出力部14は、紙などの表示媒体に、映像、画像又は文字等を印刷する出力装置であってもよい。
【0043】
処理部20は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。処理部20は、制御装置1の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPUである。処理部20は、記憶部12に記憶されているプログラム(ドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。また、処理部20は、複数のプログラム(アプリケーションプログラム等)を並列に実行できる。
【0044】
処理部20は、第1供給水供給部21と、第2供給水供給部22と、コンクリート温度取得部23と、ピーク値判定部24と、計時部25とを有する。これらの各部は、処理部20が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、ファームウェアとして処理部20に実装されてもよい。
【0045】
(第1実施形態に係る制御装置によるコンクリート冷却処理)
図4は制御装置1によるコンクリート冷却処理を示すフローチャートであり、
図5は
図4に示すコンクリート冷却処理におけるコンクリート温度の計時変化を示す図である。
【0046】
図4に示すコンクリート冷却処理は、予め記憶部12に記憶されている制御プログラムに基づいて、主に処理部20により、制御装置1の各要素と協働して実行される。コンクリート冷却処理は、壁107を例にして説明されるが、頂版108に対しても同様にコンクリート冷却処理が実行される。
【0047】
図5において、横軸は時間を示し、縦軸はコンクリート温度を示す。また、波形W101は
図4に示すコンクリート冷却処理が実行されたときのコンクリート温度の計時変化を示し、波形W102は
図4に示すコンクリート冷却処理が実行されないときのコンクリート温度の計時変化を示す。また、「1」で示される矢印は第1供給水が供給される期間を示し、「2」で示される矢印は第2供給水が供給される期間を示す。
【0048】
まず、第1供給水供給部21は、第1供給水を供給することを示す第1供給水供給信号を壁給水装置101aに出力する(S101)。壁給水装置101aに第1供給水供給信号が入力されることに応じて、チラーユニット116は、第1供給水を生成し、生成した第1供給水を冷水タンク117に貯蔵する。冷水タンク117は、貯蔵された第1供給水を壁配管102aに吐出する。入水三方弁113は回収タンク110とチラーユニット116とを接続し、出水三方弁114は壁配管102aと冷水タンク117とを接続する。
【0049】
次いで、コンクリート温度取得部23は、壁温度センサ103aから入力される壁温度信号に対応する壁温度を取得する(S102)。コンクリート温度取得部23は、取得した壁温度を示す壁温度情報を記憶部12に記憶する。
【0050】
次いで、ピーク値判定部24は、S102の処理で取得した壁温度がピーク値に達したか否かを判定する(S103)。ピーク値判定部24によってS102の処理で取得された壁温度がピーク値に達したと判定される(S103-YES)まで、S102及びS103の処理が繰り返される。
【0051】
図5に示す時刻t1において、S102の処理で取得された壁温度がピーク値に達したと判定される(S103-YES)と、計時部25は、壁温度がピーク値に達したと判定した時点から所定の経過時間が経過するまで計時する(S104)。
【0052】
計時部25によって経過時間が経過するまで計時されると、
図5に示す時刻t2において、第1供給水供給部21は、第1供給水の供給を停止することを示す第1供給水停止信号を壁給水装置101aに出力する(S105)。チラーユニット116は、壁給水装置101aに第1供給水停止信号が入力されることに応じて第1供給水の生成を停止する。
【0053】
次いで、第2供給水供給部22は、第2供給水を供給することを示す第2供給水供給信号を壁給水装置101aに出力する(S106)。壁給水装置101aに第2供給水供給信号が入力されることに応じて、給湯器118は、第2供給水を生成し、生成した第2供給水を温水タンク119に貯蔵する。温水タンク119は、貯蔵された第2供給水を壁配管102aに吐出する。入水三方弁113は回収タンク110と給湯器118とを接続し、出水三方弁114は壁配管102aと温水タンク119とを接続する。
【0054】
次いで、コンクリート温度取得部23は、S102の処理と同様に、壁温度センサ103aから入力される壁温度信号に対応する壁温度を取得する(S107)。次いで、ピーク値判定部24は、S107の処理で取得した壁温度が第2ピーク値に達したか否かを判定する(S108)。第2ピーク値は、S103の処理においてピーク値判定部24によって判定されたピーク値よりも低い温度である。一例では、ピーク値と第2ピーク値との間の温度差Δt1は、2℃である。ピーク値判定部24によってS107の処理で取得された壁温度が第2ピーク値に達したと判定される(S108-YES)まで、S107及びS108の処理が繰り返される。
【0055】
図5に示す時刻t3において、S107の処理で取得された壁温度が第2ピーク値に達したと判定される(S108-YES)と、第2供給水供給部22は、第2供給水の供給を停止することを示す第2供給水停止信号を壁給水装置101aに出力する(S109)。壁給水装置101aに第2供給水停止信号が入力されることに応じて、給湯器118は、第2供給水の生成を停止する。
【0056】
次いで、第1供給水供給部21は、第1供給水を供給することを示す第1供給水供給信号を壁給水装置101aに出力する(S110)。壁給水装置101aに第1供給水供給信号が入力されることに応じて、チラーユニット116は、第1供給水を生成し、生成した第1供給水を冷水タンク117に貯蔵する。冷水タンク117は、貯蔵された第1供給水を壁配管102aに吐出する。入水三方弁113は回収タンク110とチラーユニット116とを接続し、出水三方弁114は壁配管102aと冷水タンク117とを接続する。出水三方弁114が壁配管102aと冷水タンク117とを接続することで、第1供給水の壁配管102aへの供給が再開される。
【0057】
次いで、計時部25は、壁温度が第2ピーク値に達したと判定した時点から所定の経過時間が経過するまで計時する(S111)。計時部25によって経過時間が経過するまで計時されると、
図5に示す時刻t4において、第1供給水供給部21は、第1供給水の供給を停止することを示す第1供給水停止信号を壁給水装置101aに出力する(S112)。壁給水装置101aに第1供給水停止信号が入力されることに応じて、チラーユニット116は、第1供給水の生成を停止する。
【0058】
次いで、第2供給水供給部22は、第2供給水を供給することを示す第2供給水供給信号を壁給水装置101aに出力する(S113)。壁給水装置101aに第2供給水供給信号が入力されることに応じて、給湯器118は、第2供給水を生成し、生成した第2供給水を温水タンク119に貯蔵する。温水タンク119は、貯蔵された第2供給水を壁配管102aに吐出する。入水三方弁113は回収タンク110と給湯器118とを接続し、出水三方弁114は壁配管102aと温水タンク119とを接続する。出水三方弁114が壁配管102aと温水タンク119とを接続することで、第2供給水の壁配管102aへの供給が再開される。
【0059】
次いで、計時部25は、所定の供給時間の計時を開始する(S114)。計時部25によって計時される供給時間は、一例では14日間である。次いで、コンクリート温度取得部23は、S102の処理と同様に、壁温度センサ103aから入力される壁温度信号に対応する壁温度を取得する(S115)。次いで、ピーク値判定部24は、S115の処理で取得した壁温度が第3ピーク値に達したか否かを判定する(S116)。第3ピーク値は、S108の処理においてピーク値判定部24によって判定されたピーク値よりも低い温度である。一例では、一例では、第2ピーク値と第3ピーク値との間の温度差は、2℃である。
【0060】
ピーク値判定部24によってS115の処理で取得された壁温度が第3ピーク値に達したと判定される(S115-YES)と、S109からS113の処理の処理と同様に第1供給水及び第2供給水を壁配管102aに順次供給する(S116)。
【0061】
ピーク値判定部24によってS115の処理で取得された壁温度が第3ピーク値に達していないと判定される(S115-NO)と、計時部25は、S114の処理で計時を開始した供給時間が経過したか否かを判定する(S117)。計時部25によって供給時間が経過したと判定される(S117-YES)まで、S115~S117の処理が繰り返される。
図5においてΔt2で示される時刻t5におけるピーク値と第2ピーク値との温度差は、2℃よりも大きく、ピーク値判定部24は、S115の処理で取得された壁温度が第3ピーク値に達したと判定しない(S115-NO)。
【0062】
計時部25によって供給時間が経過したと判定される(S117-YES)と、第2供給水供給部22は、第2供給水の供給を停止することを示す第2供給水停止信号を壁給水装置101aに出力する(S118)。壁給水装置101aに第2供給水停止信号が入力されることに応じて、給湯器118は、第2供給水の生成を停止する。そして、コンクリート冷却処理は、終了する。
【0063】
(第1実施形態に係るコンクリート冷却システムの作用効果)
コンクリート冷却システム100では、第1供給水が供給されるときに壁温度及び頂版温度のピーク値を検出した後に、壁配管及び頂版配管に第2供給水を供給することで、壁及び頂版を冷却する期間が長くなるように調整することができる。
【0064】
また、コンクリート冷却システム100では、壁温度及び頂版温度がピーク値よりも低くなるように第2供給水を供給することで、壁温度及び頂版温度と外部温度との差が大きくなり、壁及び頂版の温度ひび割れが発生することを防止できる。
【0065】
(第2実施形態に係るコンクリート冷却システムの構成及び機能)
図6は、第2実施形態に係るコンクリート冷却システムを示す図である。
【0066】
コンクリート冷却システム200は、壁給水装置201a、頂版給水装置201b及び制御装置2を壁給水装置101a、頂版給水装置101b及び制御装置1の代わりに有することがコンクリート冷却システム100と相違する。壁給水装置201a、頂版給水装置201b及び制御装置2以外のコンクリート冷却システム200の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付されたコンクリート冷却システム100の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0067】
【0068】
壁給水装置201aは、第1入水流調弁211、第2入水流調弁212、第1出水流調弁213及び第2出水流調弁214を入水三方弁113及び出水三方弁114の代わりに有することが壁給水装置101aと相違する。また、壁給水装置201aは、第1逆止弁215、第2逆止弁216及び合流管217を有することが壁給水装置101aと相違する。第1入水流調弁211~合流管217以外の壁給水装置201aの構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された壁給水装置101aの構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0069】
第1入水流調弁211は、回収タンク110と第1給水装置111との間に配置され、制御装置2から第1流調信号が入力されることに応じて、回収タンク110から第1給水装置111に流入する水の流量を調整する。第2入水流調弁212は、回収タンク110と第2給水装置112との間に配置され、制御装置2から第2流調信号が入力されることに応じて、回収タンク110から第2給水装置112に流入する水の流量を調整する。
【0070】
第1出水流調弁213は、第1給水装置111と第1逆止弁215との間に配置され、制御装置2から第1流調信号が入力されることに応じて、第1給水装置111から壁配管102aに供給される第1供給水の流量を調整する。第2出水流調弁214は、第2給水装置112と第2逆止弁216との間に配置され、制御装置2から第2流調信号が入力されることに応じて、第2給水装置112から壁配管102aに供給される第2供給水の流量を調整する。
【0071】
第1逆止弁215は、第1出水流調弁213と合流管217との間に配置され、第2給水装置112から供給される第2供給水が合流管217を介して第1給水装置111に逆流することを防止する。第2逆止弁216は、第2出水流調弁214と合流管217との間に配置され、第1給水装置111から供給される第2供給水が合流管217を介して第2給水装置112に逆流することを防止する。合流管217は、流量計115と、第1逆止弁215及び第2逆止弁216との間に配置される。合流管217は、第1逆止弁215を介して供給される第1供給水と第2逆止弁216を介して供給される第2供給水とを混合した混合水を、流量計115を介して壁配管102aに供給する。
【0072】
【0073】
制御装置2は、記憶部16及び処理部30を記憶部12及び処理部20の代わりに有することが制御装置1と相違する。記憶部16及び処理部30以外の制御装置2の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された制御装置1の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0074】
記憶部16は、温度プロファイル情報160を記憶することが記憶部12と相違する。温度プロファイル情報160を記憶すること以外の記憶部16の構成及び機能は、記憶部12と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0075】
温度プロファイル情報160は、壁温度センサ103aによって検出された壁温度、及び頂版温度センサ103bによって検出された頂版温度がピーク値に達した後の壁温度及び頂版温度の計時的な変化を記憶する。温度プロファイル情報160は、壁温度及び頂版温度から低下する温度を壁温度及び頂版温度のそれぞれがピーク値に達した後の経過時間と関連付けて記憶する。
【0076】
処理部30は、流量調整部31を有することが処理部20と相違する。流量調整部31以外の処理部30の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された処理部20の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0077】
(第2実施形態に係る制御装置によるコンクリート冷却処理)
図9は制御装置2によるコンクリート冷却処理を示すフローチャートであり、
図10は
図9に示すコンクリート冷却処理におけるコンクリート温度の計時変化を示す図である。
【0078】
図9に示すコンクリート冷却処理は、予め記憶部16に記憶されている制御プログラムに基づいて、主に処理部30により、制御装置2の各要素と協働して実行される。コンクリート冷却処理は、壁107を例にして説明されるが、頂版108に対しても同様にコンクリート冷却処理が実行される。
【0079】
図10において、横軸は時間を示し、縦軸はコンクリート温度を示す。また、波形W201は
図4に示すコンクリート冷却処理が実行されたときのコンクリート温度の計時変化を示し、波形W202は外気温の一例を示す。また、「1」で示される矢印は第1供給水が供給される期間を示し、「1」及び「2」の双方が示される矢印は第1供給水及び第2供給水が供給される期間を示す。
【0080】
まず、第1供給水供給部21は、第1供給水を供給することを示す第1供給水供給信号を壁給水装置101aに出力する(S201)。壁給水装置101aに第1供給水供給信号が入力されることに応じて、チラーユニット116は、第1供給水を生成し、生成した第1供給水を冷水タンク117に貯蔵する。冷水タンク117は、貯蔵された第1供給水を吐出する。
【0081】
次いで、流量調整部31は、第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213の開度を100%とすることを示す第1流調信号を壁給水装置101aに出力する(S202)。壁給水装置101aに第1流調信号が入力されることに応じて、第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213は、開度を100%とする。第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213の開度が100%なることで、第1供給水が壁配管102aに供給される。
【0082】
次いで、コンクリート温度取得部23は、壁温度センサ103aから入力される壁温度信号に対応する壁温度を取得する(S203)。次いで、ピーク値判定部24は、S103の処理と同様に、S203の処理で取得した壁温度がピーク値に達したか否かを判定する(S204)。ピーク値判定部24によってS203の処理で取得された壁温度がピーク値に達したと判定される(S204-YES)まで、S202~S204の処理が繰り返される。
【0083】
図10に示す時刻t1において、ピーク値判定部24によってS203の処理で取得された壁温度がピーク値に達したと判定される(S204-YES)と、計時部25は、壁温度がピーク値に達したと判定した時点からの経過時間の計時を開始する(S205)。
【0084】
次いで、第2供給水供給部22は、第2供給水を供給することを示す第2供給水供給信号を壁給水装置101aに出力する(S206)。壁給水装置101aに第2供給水供給信号が入力されることに応じて、給湯器118は、第2供給水を生成し、生成した第2供給水を温水タンク119に貯蔵する。温水タンク119は、貯蔵された第2供給水を吐出する。
【0085】
次いで、流量調整部31は、開度を50%とすることを示す第1流調信号を第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213に出力する(S207)。第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213は、第1流調信号が入力されることに応じて、開度を50%とする。
【0086】
次いで、流量調整部31は、開度を50%とすることを示す第2流調信号を第2入水流調弁212及び第2出水流調弁214に出力する(S208)。第2入水流調弁212及び第2出水流調弁214は、第2流調信号が入力されることに応じて、開度を50%とする。
【0087】
次いで、コンクリート温度取得部23は、壁温度センサ103aから入力される壁温度信号に対応する壁温度を取得する(S209)。次いで、流量調整部31は、計時部25によって計時される経過時間に対応する時間に関連付けて温度プロファイル情報160に記憶される壁温度を示す壁温度情報を取得する(S210)。
【0088】
次いで、流量調整部31は、S209の処理で検出された壁温度がS210の処理で取得された壁温度情報に対応する壁温度より大きいか否かを判定する(S211)。流量調整部31は、S209の処理で検出された壁温度がS210の処理で取得された壁温度情報に対応する壁温度より大きいと判断する(S211-YES)と、第1供給水を増加させると共に、第2供給水を減少させる(S212)。流量調整部31は、第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213の開度を増加することを示す第1流調信号、及び第2入水流調弁212及び第2出水流調弁214の開度を減少することを示す第2流調信号を壁給水装置101aに出力する。一例では、流量調整部31は、第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213の開度を5%増加し、第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213の開度を5%減少する。流量調整部31が第1供給水を増加させると共に、第2供給水を減少させることで、壁配管102aに供給される混合水の温度は低下する。
【0089】
流量調整部31は、S209の処理で検出された壁温度がS210の処理で取得された壁温度情報に対応する壁温度より小さいと判断する(S211-NO)と、第1供給水を減少させると共に、第2供給水を増加させる(S213)。流量調整部31は、第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213の開度を減少することを示す第1流調信号、及び第2入水流調弁212及び第2出水流調弁214の開度を増加することを示す第2流調信号を壁給水装置101aに出力する。一例では、流量調整部31は、第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213の開度を5%増加し、第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213の開度を5%減少する。流量調整部31が第1供給水を減少させると共に、第2供給水を増加させることで、壁配管102aに供給される混合水の温度は上昇する。
【0090】
次いで、流量調整部31は、計時部25によって計時される経過時間が温度プロファイル情報160に記憶される時間の範囲内であるか否かを判定する(S214)。流量調整部31によって経過時間が温度プロファイル情報160に記憶される時間の範囲外であると判定される(S214-NO)まで、S209~S214の処理が繰り返される。
【0091】
経過時間が温度プロファイル情報160に記憶される時間の範囲外であると判定される(S214-NO)と、第1供給水供給部21は、第1供給水の供給を停止することを示す第1供給水停止信号を壁給水装置101aに出力する(S215)。そして、第2供給水供給部22は、第2供給水の供給を停止することを示す第2供給水停止信号を壁給水装置101aに出力して(S216)、コンクリート冷却処理は終了する。
【0092】
(第2実施形態に係るコンクリート冷却システムの作用効果)
コンクリート冷却システム300では、壁温度及び頂版温度が温度プロファイル情報160に対応する温度変化に一致するように、壁配管102a及び頂版配管102bに混合水を供給することで、所望の温度プロファイルで壁107及び頂版108を冷却できる。
【0093】
(第3実施形態に係るコンクリート冷却システムの構成及び機能)
図11は、第3実施形態に係るコンクリート冷却システムを示す図である。
【0094】
コンクリート冷却システム300は、底版給水装置301及び底版配管302を頂版給水装置101b及び頂版配管102bの代わりに有することがコンクリート冷却システム100と相違する。また、コンクリート冷却システム300は、底版温度センサ303、底版水温センサ304及び制御装置3を頂版温度センサ103b、頂版水温センサ104b及び制御装置1の代わりに有することがコンクリート冷却システム100と相違する。底版給水装置301~底版水温センサ304及び制御装置3以外のコンクリート冷却システム300の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付されたコンクリート冷却システム100の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0095】
底版給水装置301は、壁給水装置201aと同様な構成を有する。底版給水装置301は、制御装置3から第1流調信号及び第2流調信号が入力されることに応じて、第1入水流調弁211~第2出水流調弁214の開度を調整しながら、第1供給水と第2供給水の混合水を底版306の内部に配置される底版配管302に供給する。
【0096】
底版温度センサ303は、壁温度センサ103aと同様の構成を有し、底版306の内部に配置され、底版306の温度である底版温度を検出し、検出した温度を示す底版度信号を制御装置3に出力する。底版水温センサ304は、底版給水装置301と底版配管302との間を接続する配管に接触するように配置され、底版配管302に供給される水の温度を検出し、検出した温度を示す底版水温信号を制御装置3に出力する。
【0097】
【0098】
処理部40は、底版温度調整部41を有することが処理部20と相違する。底版温度調整部41以外の処理部30の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された処理部20の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0099】
(第3実施形態に係る制御装置による底版冷却処理)
図13は制御装置3による底版冷却処理を示すフローチャートであり、
図14は
図4に示すコンクリート冷却処理及び
図13に示す底版冷却処理におけるコンクリート温度の計時変化を示す図である。
【0100】
図13に示す底版冷却処理は、予め記憶部12に記憶されている制御プログラムに基づいて、主に処理部40により、制御装置3の各要素と協働して実行される。底版冷却処理は、
図4を参照して説明されるコンクリート冷却処理と同時に実行される。
【0101】
図14において、横軸は時間を示し、縦軸はコンクリート温度を示す。また、波形W301は
図4に示すコンクリート冷却処理が実行されたときの壁温度の計時変化を示し、波形W302は
図4に示すコンクリート冷却処理が実行されないときの壁温度の計時変化を示す。波形W303は
図13に示す底版冷却処理が実行されたときの底版温度の計時変化を示す。また、「1」で示される矢印は第1供給水が壁配管102aに供給される期間を示し、「2」で示される矢印は第2供給水が壁配管102aに供給される期間を示す。「1」及び「2」で示される破線矢印は第1供給水及び第2供給水を混合した混合水が底版供給水として底版配管302供給される期間を示す。
【0102】
まず、第1供給水供給部21は、第1供給水を供給することを示す第1供給水供給信号を底版給水装置301に出力する(S301)。次いで、第2供給水供給部22は、第2供給水を供給することを示す第2供給水供給信号を底版給水装置301に出力する(S301)。次いで、流量調整部31は、第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213の開度を50%とすることを示す第1流調信号を底版給水装置301に出力する(S303)。次いで、流量調整部31は、第2入水流調弁212及び第2出水流調弁214の開度を50%とすることを示す第2流調信号を底版給水装置301に出力する(S304)。S301~S304の処理により、底版給水装置301は、開度が50%である第1出水流調弁213及び第2出水流調弁214を介して第1供給水及び第2供給水を混合した混合水を底版供給水として底版配管302に供給する。底版配管302に供給される底版供給水の温度は、壁配管102aに供給される第1供給水の温度よりも高い。
【0103】
次いで、コンクリート温度取得部23は、壁温度センサ103aから入力される壁温度信号に対応する壁温度を取得する(S305)。次いで、ピーク値判定部24は、
図4に示すS103の処理と同様に、S305の処理で取得した壁温度がピーク値に達したか否かを判定する(S306)。ピーク値判定部24によって取得された壁温度がピーク値に達したと判定される(S306-YES)まで、S305及びS306の処理が繰り返される。
【0104】
図14に示す時刻t1において、ピーク値判定部24によってS305の処理で取得された壁温度がピーク値に達したと判定される(S306-YES)と、計時部25は、所定の供給時間の計時を開始する(S307)。次いで、コンクリート温度取得部23は、底版温度センサ303から入力される底版温度信号に対応する底版温度を取得する(S308)。コンクリート温度取得部23は、取得した底版温度を示す底版温度情報を記憶部12に記憶する。
【0105】
次いで、底版温度調整部41は、S308の処理で取得した底版温度を、S305の処理で取得した壁温度のピーク値壁温度から減算してピーク温度差を演算する(S309)。底版温度調整部41は、演算したピーク温度差を示すピーク温度差情報を記憶部12に記憶する。
【0106】
次いで、コンクリート温度取得部23は、壁温度センサ103aから入力される壁温度信号に対応する壁温度を取得する(S310)。次いで、コンクリート温度取得部23は、底版温度センサ303から入力される底版温度信号に対応する底版温度を取得する(S311)。
【0107】
次いで、底版温度調整部41は、S310の処理で取得された底版温度がS309の処理で取得された壁温度よりも大きいか否かを判定する(S312)。底版温度調整部41は、底版温度が壁温度よりも大きいと判定した(S312-YES)とき、底版給水装置301から供給される底版供給水において、第1供給水を増加させると共に、第2供給水を減少させる(S313)。流量調整部31は、第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213の開度を減少することを示す第1流調信号、及び第2入水流調弁212及び第2出水流調弁214の開度を増加することを示す第2流調信号を底版給水装置301に出力する。一例では、流量調整部31は、第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213の開度を5%減少し、第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213の開度を5%増加する。
【0108】
底版温度調整部41は、底版温度が壁温度よりも小さいと判定した(S312-NO)とき、S310の処理で取得した壁温度からS311の処理で取得した底版温度を減算して壁107と底版306との間の温度差である底版―壁温度差を演算する(S314)。底版温度調整部41は、演算した底版―壁温度差を示す底版―壁温度差を記憶部12に記憶する。
【0109】
次いで、底版温度調整部41は、S314の処理で演算された底版―壁温度差がS309の処理で演算されたピーク温度差よりも大きいか否かを判定する(S315)。底版温度調整部41は、底版―壁温度差がピーク温度差よりも大きいと判断する(S315-YES)と、底版給水装置301から供給される底版供給水において、第1供給水を減少させると共に、第2供給水を増加させる(S316)。底版温度調整部41は、第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213の開度を増加することを示す第1流調信号、及び第2入水流調弁212及び第2出水流調弁214の開度を減少することを示す第2流調信号を底版給水装置301に出力する。一例では、流量調整部31は、第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213の開度を5%増加し、第1入水流調弁211及び第1出水流調弁213の開度を5%減少する。
【0110】
底版温度調整部41によって底版―壁温度差がピーク温度差よりも小さいと判断される(S315-NO)と、計時部25は、
図4においてS117で示される処理と同様に、供給時間が経過したか否かを判定する(S317)。計時部25によって供給時間が経過したと判定される(S317-YES)までS310~S317の処理が繰り返される。
【0111】
計時部25によって供給時間が経過したと判定される(S317-YES)と、第1供給水供給部21は、第1供給水の供給を停止することを示す第1供給水停止信号を底版給水装置301に出力する(S318)。次いで、第2供給水供給部22は、第2供給水の供給を停止することを示す第2供給水停止信号を底版給水装置301に出力する(S319)。底版給水装置301に第1供給水停止信号及び第2供給水停止信号が入力されることに応じて、底版給水装置301のチラーユニット116及び給湯器118は、第1供給水及び第2供給水の生成を停止する。そして、底版冷却処理は終了する。
【0112】
(第3実施形態に係るコンクリート冷却システムの作用効果)
コンクリート冷却システム300では、壁温度と底版温度との温度差がピーク値を検出したときの壁温度と底版温度との温度差よりも小さくなるように底版供給水の温度を制御することで、壁温度と底版温度との温度差を小さくして温度ひび割れの発生を抑制できる。
【0113】
(第4実施形態に係るコンクリート冷却システムの構成及び機能)
図15(a)は第4実施形態に係るコンクリート冷却システムを示す図であり、
図15(b)は
図15(a)のA-A線に沿う断面図である。
【0114】
コンクリート冷却システム400は、一対の底版配管402を底版配管302の代わりに有することがコンクリート冷却システム300と相違する。一対の底版配管402以外のコンクリート冷却システム400の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付されたコンクリート冷却システム300の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0115】
一対の底版配管402のそれぞれは、ポリエステル等の可撓性を有する材料で形成される基部403と、基部403の内部に配置される複数の配管404とを有し、底版406の側面に着脱可能に配置される。
【0116】
コンクリート冷却システム400では、一対の底版配管402は、底版406の側面に着脱可能に配置されるので、底版を加熱する配管を嵌め殺しにすることなく再利用することができ、コンクリートの打設コストを低減することができる。
【0117】
(第5実施形態に係るコンクリート冷却システムの構成及び機能)
図16(a)は第5実施形態に係るコンクリート冷却システムを示す図であり、
図16(b)は
図16(a)のB-B線に沿う断面図である。
【0118】
コンクリート冷却システム500は、一対の壁加熱配管502を有することがコンクリート冷却システム400と相違する。一対の壁加熱配管502以外のコンクリート冷却システム500の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付されたコンクリート冷却システム400の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0119】
一対の壁加熱配管502のそれぞれは、ポリエステル等の可撓性を有する材料で形成される基部503と、基部503の内部に配置される複数の配管504とを有し、壁507の側面に着脱可能に配置される。
【0120】
コンクリート冷却システム500では、一対の底版配管402は、底版406の側面に着脱可能に配置されるので、底版を加熱する配管を嵌め殺しにすることなく再利用することができ、コンクリートの打設コストを低減することができる。
【0121】
(実施形態に係るコンクリート冷却システムの変形例)
説明されたコンクリート冷却システムでは、第1給水装置は、チラーユニット及び冷水タンクを有するが、実施形態に係るコンクリート冷却システムでは、チラーユニット及び冷水タンクは、一体化されてもよい。また、第2給水装置は、給湯器及び温水タンクを有するが、実施形態に係るコンクリート冷却システムでは、給湯器及び温水タンクは、一体化されてもよい。
【0122】
また、説明されたコンクリート冷却システムでは、第1給水装置はチラーユニットを有し、第2給水装置は給湯器を有する。しかしながら、実施形態に係るコンクリート冷却システムでは、第1給水装置は、低温の第1温度を有する第1供給水を生成する装置であればよく、第2供給水は、第1温度よりも高い高温の第2温度を有する第2供給水を生成する装置であればよい。
【0123】
また、実施形態に係るコンクリート冷却システムでは、制御装置は、検出されたコンクリート内部温度のピーク値よりもコンクリート内部温度が低くなるように第1供給水及び第2供給水をコンクリートの内部に形成された通水路に供給するように形成されればよい。例えば、実施形態に係るコンクリート冷却システムでは、制御装置は、第1供給水及び第2供給水の流量を調整することで、コンクリート内部温度を調整してもよい。
【0124】
また、実施形態に係るコンクリート冷却システムでは、打設されたコンクリートのコンクリート内部温度を検出する温度センサを有する。しかしながら、実施形態に係るコンクリート冷却システムは、打設されたコンクリートの表面の温度等のコンクリートの温度を示すコンクリート温度を検出する検出センサを有していればよい。
【0125】
また、コンクリート冷却システム300、400及び500では、底版給水装置301は、壁給水装置101aと別個の装置であるが、実施形態に掛かるコンクリート冷却システムでは、底版給水装置301は、壁給水装置101aと一体化されてもよい。
【0126】
図17は、第1変形例に係るコンクリート冷却システムを示す図である。
【0127】
コンクリート冷却システム600は、給水装置601を壁給水装置101及び底版給水装置301の代わりに有することがコンクリート冷却システム300と相違する。また、コンクリート冷却システム600は、壁配管102a及び底版配管302の接続関係がコンクリート冷却システム300と相違する。給水装置601並びに壁配管102a及び底版配管302の接続関係以外のコンクリート冷却システム600の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付されたコンクリート冷却システム300の構成要素の構成及び機能と同一なのでここでは詳細な説明は省略する。
【0128】
【0129】
給水装置601は、底版給水部602と、壁給水部603とを一体的に有し、底版配管302及び壁配管102aに供給水を順次給水する。
【0130】
底版給水部602は、壁給水装置201aと同一の構造を有し、壁配管102aから入水した水を加熱及び冷却し、底版配管302に供給する。壁給水部603は、壁給水装置101aから回収タンク110を除去した構造を有し、底版配管302から入水した水を加熱及び冷却し、壁配管102aに供給する。
【0131】
コンクリート冷却システム600では、底版給水部602から底版配管302に供給された水を壁給水部603が加熱及び冷却して壁配管102aに供給するので、底版配管302に供給された水が有する熱を再利用することで、エネルギー効率が向上する。
【0132】
また、コンクリート冷却システム600では、底版給水部602及び壁給水部603が一体化されるので、回収タンク110が省略されることで、給水装置を小型化することができる。
【0133】
また、コンクリート冷却システム600では、底版給水部602は、チラーユニット116及び冷水タンク117を有する第1給水装置111を有するが、実施形態に掛かるコンクリート冷却システムでは、第1給水装置111は、省略されてもよい。
【0134】
【0135】
給水装置611は、底版給水部612を底版給水部602の代わりに有することが給水装置601と相違する。底版給水部612は、第1給水装置111、第1入水流調弁211、第1出水流調弁213、第1逆止弁215及び合流管217を有さないことが、底版給水部602と相違する。底版給水部612は、第1給水装置111、第1入水流調弁211、第1出水流調弁213、第1逆止弁215及び合流管217を有さないこと以外の給水装置611の構成及び機能は、給水装置601の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0136】
給水装置611は、第1給水装置111を省略することで、構成要素の数を給水装置601よりも少なくすることができるので、給水装置601よりも更に小型化できる。
【0137】
また、説明されたコンクリート冷却システムでは、第1供給水及び第2供給水が供給される壁配管102a及び頂版配管102bは、打設されたコンクリートである壁107及び頂版108の内部に配置される。しかしながら、実施形態に係るコンクリート冷却システムでは、例えば打設されたコンクリートが狭い壁であるときに、第1供給水及び第2供給水が供給される通水路は、打設されたコンクリートの周囲に配置されてもよい。
【0138】
図20は第2変形例に係るコンクリート冷却システムを示す図であり、
図21は打設されたコンクリートの周囲に配置される通水路の一例を示す図である。
【0139】
コンクリート冷却システム700は、給水タンク105並びに一対の通水路702a及び702bを頂版給水装置101b、頂版配管102b、頂版温度センサ103b及び頂版水温センサ104bの代わりに有することがコンクリート冷却システム100と相違する。給水装置105並びに一対の通水路702a及び702b以外のコンクリート冷却システム700の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付されたコンクリート冷却システム700の構成要素の構成及び機能と同一なのでここでは詳細な説明は省略する。
【0140】
給水タンク105は、回収タンク110と同様に、FRP等の材料で形成され、回収タンク110に給水する。
【0141】
図21において、一対の通水路702a及び702bは、底版106上に打設されたコンクリートである壁207の上端に沿って配置され、供給管702cを介して不図示の壁給水装置から第1供給水及び第2供給水が供給される。一対の通水路702a及び702bは、壁207に向けられた複数のノズルが配置され、壁給水装置101aから供給される第1供給水及び第2供給水がノズルを介して壁207に向けて噴射される。壁207に向けて噴射された第1供給水及び第2供給水は、回収タンク110に戻ることなく、垂れ流される。
【0142】
図22は、打設されたコンクリートの周囲に配置される通水路の他の例を示す図である。
【0143】
図22において、一対の通水路802a及び802bは、底版106上に打設されたコンクリートである壁207の上端に沿って配置され、供給管802cを介して不図示の壁給水装置101aから第1供給水及び第2供給水が供給される。一対の通水路802a及び802bは、壁207の側面に向かって放水するように配置された複数の出水孔が形成され、壁給水装置から供給される第1供給水及び第2供給水が複数の出水孔を介して壁207に向けて噴射される。なお、特許第7067747号公報に記載されるように、通水層を有するコンクリート養生シートを使用する場合は、一対の通水路802a及び802bは、コンクリート養生シートが有する通水層に第1供給水及び第2供給水を噴射するように配置される。
【符号の説明】
【0144】
1~3 制御装置
100、200、300、400、500,600、700 コンクリート冷却システム
101a、201a 壁給水装置
101b、201b 頂版給水装置
102a 壁配管
102b 頂版配管
103a 壁温度センサ
103b 頂版温度センサ
301 底版給水装置
302、402 底版配管
303 底版温度センサ
502 壁加熱配管