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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150242
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】モータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/06 20060101AFI20241016BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H02K5/06
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063560
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大堀 竜
(72)【発明者】
【氏名】石関 翼
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
5H605BB05
5H605BB19
5H605CC01
5H605CC10
5H605DD09
5H605DD32
5H605EB01
5H605GG06
5H605GG16
5H607BB01
5H607BB09
5H607BB17
5H607CC01
5H607DD03
5H607DD08
5H607DD19
5H607EE31
5H607FF01
5H607GG01
5H607HH01
5H607HH09
5H607JJ05
5H607JJ10
(57)【要約】
【課題】モータ装置において、モータケースの固定箇所を少なくしつつ、モータ回転時に発生するスラスト力に耐えられる固定強度を得る。
【解決手段】ワイパモータ10は、モータケース21とフレーム部とプレート部とが固定される第1固定部31と、モータケース21と前記プレート部とが固定される2つの第2固定部32と、モータケース21と前記フレーム部とが固定される2つの第3固定部33と、を有する。第1固定部31は、モータ部20の回転軸23とギヤ部70の出力軸75とを結ぶ仮想線60を延伸した第1仮想線61上に設けられ、2つの第2固定部32は、回転軸23と出力軸75との間の領域27において仮想線60の両側に設けられ、2つの第3固定部33は、仮想線60を延伸した第2仮想線62の両側に設けられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有するモータ部と、
前記回転軸の回転を減速する減速機構と、前記回転軸と平行に設けられた出力軸と、を含むギヤ部と、
前記モータ部を収容するケース部と、
前記ギヤ部を収容するフレーム部と、
前記ケース部と前記フレーム部との間に設けられるプレート部と、
を有するモータ装置であって、
前記ケース部、前記フレーム部および前記プレート部のうちの何れかが重ねられて固定される5つの固定部を備え、
前記5つの固定部は、
前記ケース部と前記フレーム部と前記プレート部とが固定される1つの第1固定部と、
前記ケース部と前記プレート部とが固定される2つの第2固定部と、
前記ケース部と前記フレーム部とが固定される2つの第3固定部と、
を含み、
前記第1固定部は、前記回転軸の軸方向視で、前記回転軸と前記出力軸とを結ぶ仮想線を前記ギヤ部から前記モータ部に向かう方向に延伸した第1仮想線上に設けられ、
前記2つの第2固定部は、前記回転軸の軸方向視で、前記回転軸と前記出力軸との間の領域において前記仮想線の両側に設けられ、
前記2つの第3固定部は、前記回転軸の軸方向視で、前記仮想線を前記モータ部から前記ギヤ部に向かう方向に延伸した第2仮想線の両側に設けられている、モータ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ装置において、
前記2つの第2固定部は、前記仮想線に対して線対称となる位置に設けられ、
前記2つの第3固定部は、前記第2仮想線に対して線対称となる位置に設けられている、モータ装置。
【請求項3】
前記モータ部は、回転自在なロータを有し、
前記回転軸の軸方向で、前記出力軸と重なる位置に基板が設けられ、
前記基板に、前記ロータの回転を検出するロータ検出部と、前記出力軸の回転を検出する出力軸検出部と、が設けられている、請求項1または請求項2に記載のモータ装置。
【請求項4】
前記回転軸の軸方向視で、前記1つの第1固定部と前記2つの第2固定部とを結ぶ三角形の第3仮想線の内側に前記回転軸が設けられ、
前記回転軸の軸方向視で、前記1つの第1固定部と前記2つの第3固定部とを結ぶ三角形の第4仮想線の内側に前記出力軸が設けられている、請求項1に記載のモータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ部およびギヤ部を備えたモータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両に搭載されるワイパ装置などの駆動源には、小型でありながら大きなトルクを出力可能な減速機構を備えたモータ装置が用いられている。このようなモータ装置は、回転軸を有するモータ部と、当該回転軸の回転を減速する減速機構を有するギヤ部とを備えている。
【0003】
上記した減速機構を備えたモータ装置として、例えば、特許文献1には、モータ部の回転軸と、ギヤ部に設けられ、当該回転軸と平行を成す出力軸と、を備えた構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-18035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載されたモータ装置では、モータ部は、モータケースに収容され、ギヤ部は、ギヤケースに収容されている。モータ回転時にはモータ部の回転軸にスラスト力が発生するとともに、このスラスト力はモータケースに対して付与される。
【0006】
したがって、モータケースとギヤケースとの固定には、スラスト力に耐えうる締結力が必要となる。
【0007】
モータケースとギヤケースとの固定において締結力を増加させるためには、モータケースとギヤケースとを固定するねじの本数を増やすことが考えられる。しかしながら、ねじの本数を増やすことは部品点数の増加につながるとともに、部品点数の増加による組付け工数も増加することが懸念される。
【0008】
本発明の目的は、モータケースの固定箇所を少なくしつつ、モータ回転時に発生するスラスト力に耐えることが可能なモータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、回転軸を有するモータ部と、前記回転軸の回転を減速する減速機構と前記回転軸と平行に設けられた出力軸とを含むギヤ部と、前記モータ部を収容するケース部と、前記ギヤ部を収容するフレーム部と、前記ケース部と前記フレーム部との間に設けられるプレート部と、を有するモータ装置であって、前記ケース部、前記フレーム部および前記プレート部のうちの何れかが重ねられて固定される5つの固定部を備え、前記5つの固定部は、前記ケース部と前記フレーム部と前記プレート部とが固定される1つの第1固定部と、前記ケース部と前記プレート部とが固定される2つの第2固定部と、前記ケース部と前記フレーム部とが固定される2つの第3固定部と、を含み、前記第1固定部は、前記回転軸の軸方向視で前記回転軸と前記出力軸とを結ぶ仮想線を前記ギヤ部から前記モータ部に向かう方向に延伸した第1仮想線上に設けられ、前記2つの第2固定部は、前記回転軸の軸方向視で前記回転軸と前記出力軸との間の領域において前記仮想線の両側に設けられ、前記2つの第3固定部は、前記回転軸の軸方向視で前記仮想線を前記モータ部から前記ギヤ部に向かう方向に延伸した第2仮想線の両側に設けられている。
【発明の効果】
【0010】
モータ装置において、モータケースの固定箇所を少なくしつつ、モータ回転時に発生するスラスト力に耐えられる固定強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るモータ装置の構造を説明する外観斜視図である。
図2図1のモータ装置の外観構造を説明する側面図である。
図3図1のモータ装置の内部構造を説明する断面図である。
図4図1のモータ装置の固定部の配置を説明する平面図である。
図5図1のモータ装置における第1固定部の構造を説明する部分断面図ある。
図6図1のモータ装置における第2固定部の構造を説明する部分断面図ある。
図7図1のモータ装置における第3固定部の構造を説明する部分断面図ある。
図8図1のモータ装置の固定部の配置と回転軸および出力軸との位置関係を説明する平面図である。
図9図1のモータ装置におけるモータユニットの構造を示す斜視図である。
図10図9のモータユニットの固定部における組付け構造を示す斜視図である。
図11図1のモータ装置の固定部における締結状態を示す斜視図である。
図12図11のモータ装置のモータユニットとフレームユニットとの固定部における組付け構造を示す斜視図である。
図13】本発明に係るモータ装置の変形例の構造を説明する外観斜視図である。
図14図13のモータ装置の外観構造を説明する側面図である。
図15図13のモータ装置の外観構造を説明する裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
図1は本実施形態のモータ装置の構造を説明する外観斜視図、図2図1のモータ装置の外観構造を説明する側面図、図3図1のモータ装置の内部構造を説明する断面図である。
【0014】
[ワイパモータの概要]
図1ないし図3に示されるワイパモータ10は、自動車等の車両の前方に搭載されるワイパ装置(図示せず)の駆動源である。ワイパモータ10は、本発明におけるモータ装置に相当し、例えば、ブラシレスモータであり、車両のフロントガラス(図示せず)の近傍に搭載される。ワイパモータ10は、車室内に設けられたワイパスイッチ(図示せず)の操作により作動し、これにより、フロントガラス上に揺動自在に設けられたワイパ部材(図示せず)が往復払拭動作を行う。
【0015】
具体的には、ワイパモータ10は、運転席側および助手席側にそれぞれ設けられたワイパ部材を、フロントガラス上の下反転位置と上反転位置との間の払拭範囲(図示せず)で往復移動させる。これにより、それぞれのワイパ部材がフロントガラス上に付着した雨水等を払拭して、車両前方の視界が確保される。
【0016】
ワイパモータ10は、モータ部20およびギヤ部70を備えている。モータ部20は、モータケース(ケース部)21に収容され、ギヤ部70は、ギヤフレーム(フレーム部)71に収容されている。モータケース21とギヤフレーム71は、5つの固定部で強固に固定されている。
【0017】
[モータ部]
図1ないし図3に示されるように、モータ部20は、回転自在な回転軸23を有している。モータ部20は、溶融したアルミ材料等を射出成形することで、段付きの略皿状に形成されたモータケース21に収容される。そして、モータケース21は、モータ収容部22およびベース装着部25を備えており、モータ収容部22の深さの方が、ベース装着部25の深さよりも深くなっている。
【0018】
モータ収容部22には、その底部の中央部分の内側に、回転軸23の基端側(図3の下側)を回転自在に支持する第1軸受81が装着されている。また、回転軸23の中央付近には、回転軸23の中央部を回転自在に支持する第2軸受82が装着されている。第1軸受81は、モータ収容部22の底壁によって支持され、第2軸受82は、ベースプレート53によって支持されている。言い換えると、第1軸受81と第2軸受82は、回転軸23に固定されるとともに、モータケース21とベースプレート53とによって挟み込まれている。
【0019】
また、ベース装着部25の表面には、図4に示される開口部21fが形成されているとともに、ベース装着部25の内側には、図3に示されるセンサ基板94を保持するベース部材26が装着されている。具体的には、センサ基板94は、ベース部材26の基板固定部26aによって保持されるとともに、ベース部材26にねじ固定されている。
【0020】
ここで、モータケース21には、ギヤフレーム(フレーム部)71に向けて開口した開口部22aが設けられている。この開口部22aは、ギヤフレーム71の開口部72fと対向している。そして、これらの開口部22aおよび開口部72fを突き合せた状態で、モータケース21は、ギヤフレーム71に対して、図1に示される5つの固定部30で互いに強固に固定されている。また、開口部22aおよび開口部72fを突き合せた状態において、モータケース21およびギヤフレーム71は、回転軸23(出力軸75)の軸方向に沿って並んでいる。
【0021】
さらに、図3に示されるように、モータケース21において、モータ収容部22およびベース装着部25は、それぞれの一部が互いに重ねられているため、後述する図4に示されるように、モータケース21の回転軸23の軸方向視(以降、平面視とも言う)において、モータケース21は、略達磨形状となっている。
【0022】
また、モータ収容部22の内部には、モータ部20を形成するロータユニット40およびステータユニット50が組付けられている。
【0023】
[ロータユニット]
ロータユニット40は、丸鋼棒からなる回転軸23と、略皿状に形成されたロータ41と、を有している。回転軸23の基端側は第1軸受81により回転自在に支持されており、回転軸23の先端側にはピニオンギヤ42が一体に設けられている。ここで、ピニオンギヤ42は、例えば、ナーリング加工等により螺旋状に形成されている。
【0024】
また、ロータ41は、モータ部20において回転自在に設けられており、回転軸23を回転させるものである。ロータ41は、鋼板(磁性体)をプレス加工等することで、断面が略U字形状に形成されている。
【0025】
さらに、ロータ41の底壁の中心部分には、回転軸23の軸方向に延出された筒状のボス部41bが設けられており、このボス部41bには、回転軸23の基端側が圧入により強固に固定されている。これにより、回転軸23はロータ41とともに回転される。
【0026】
また、ロータ41の側壁の径方向内側には、略瓦状(略円弧形状)に形成された複数のマグネット43が固定されている。これらのマグネット43は、ロータ41の周方向に等間隔で並べられ、かつロータ41の側壁に対して、エポキシ樹脂系の接着剤により強固に固定されている。
【0027】
ここで、ロータ41は、その軸方向におけるロータ41の底壁が設けられる側とは反対側に、ギヤフレーム71に向けて開口した開口部41aを備えている。そして、当該開口部41aからロータ41の側壁(マグネット43)の径方向内側に対して、ステータユニット50のステータ51が入り込んでいる。
【0028】
[ステータユニット]
ステータユニット50は、略筒状に形成されたステータ51を備えている。ステータ51は、複数の薄い鋼板(磁性体)を積層して形成され、略筒状のステータコアを有するとともに、該ステータコアに複数のティース51aが設けられている。そして、それぞれのティース51aには、U相,V相,W相(三相)に対応したコイル56が、それぞれ集中巻により所定の巻き数で巻装されている。ここで、三相のコイル56のそれぞれには、車載コントローラ(図示せず)から所定のタイミングで交互に駆動電流が供給される。これにより、ステータ51の径方向外側に配置されたロータユニット40が、所定の回転方向に所定の駆動トルクで回転される。
【0029】
ステータ51は、ベースプレート(プレート部)53によって保持されている。ベースプレート53は、溶融したアルミ材料等を射出成形することで略半円の皿状に形成され、ステータ51をロータ41に対して、規定の位置に精度良く位置決めする機能を有する。ベースプレート53は、モータケース21を形成する開口部22aの一部を覆っている。
【0030】
ベースプレート53の中央部には、軸受保持部54が設けられている。軸受保持部54は、第2軸受82を保持しており、当該第2軸受82は、回転軸23の軸方向中央部を回転自在に支持している。なお、第2軸受82は、ベースプレート53に設けられた軸受保持部54および軸受固定部材55により挟持されている。
【0031】
また、ベースプレート53は、ステータ51をロータ41との間で保持している。そして、回転軸23は、ステータ51の径方向内側に、非接触の状態で回転自在に配置されており、ステータ51は、ロータ41の半径方向において、回転軸23とマグネット43との間に設けられている。
【0032】
なお、ベースプレート53は、モータケース21およびギヤフレーム71により挟持されている。具体的には、ベースプレート53は、モータケース21とギヤフレーム71との間に設けられている。そして、モータ部20は、モータケース21とベースプレート53とによって挟持されている。
【0033】
[ベース部材]
ベース装着部25の内側には、プラスチック等の樹脂材料により略三日月状に形成されたベース部材26が装着されている。ベース部材26のギヤ部70側には、略長方形の壁部により区画された基板固定部26aが一体に設けられている。基板固定部26aの内側には、センサ基板94が装着されており、当該センサ基板94は、出力軸75の軸方向においてヘリカルギヤ78と対向している。言い換えると、センサ基板94は、平面視で、出力軸75と重なる位置に設けられている。
【0034】
ここで、センサ基板94のモータ部20側には、第1センサ(ロータ検出部)28が実装されており、当該第1センサ28は、回転軸23の軸方向においてモータ部20のロータ41に設けられたマグネット43と対向している。これにより、第1センサ28は、ロータ41の回転を検出する。したがって、車載コントローラは、第1センサ28からの検出信号に基づいて、ロータ41の回転状態(回転位置等)を把握することが可能である。
【0035】
一方、センサ基板94のギヤ部70側には、第2センサ(出力軸検出部)29が実装されており、当該第2センサ29は、出力軸75の軸方向においてヘリカルギヤ78の回転中心に固定されたセンサマグネット80と対向している。これにより、第2センサ29は、出力軸75の回転を検出する。したがって、車載コントローラは、第2センサ29からの検出信号に基づいて、出力軸75の回転状態(回転位置等)を把握し、ワイパ部材のフロントガラスに対する払拭位置を精度良く制御する。
【0036】
[ギヤ部]
ギヤ部70は、溶融したアルミ材料等を射出成形することで、図3に示されるような段付きの略皿状に形成されたギヤフレーム(フレーム部)71に収容される。ギヤフレーム71は、ヘリカルギヤ収容部72およびステータホルダ被覆部73を備えており、ヘリカルギヤ収容部72の深さの方が、ステータホルダ被覆部73の深さよりも深くなっている。
【0037】
ヘリカルギヤ収容部72は、ヘリカルギヤ78を回転自在に収容しており、略円盤状に形成された底壁および当該底壁の外縁部から出力軸75の軸方向に延出された側壁72bを有している。また、ヘリカルギヤ収容部72の中央部分には、ヘリカルギヤ収容部72の外側(図3の上側)に突出されたボス部72gが一体に設けられている。そして、ボス部72gの径方向内側には、出力軸75を回転自在に支持する筒状の第3軸受83が装着されている。これにより、出力軸75は、ギヤフレーム71を形成するボス部72gに対して、ガタつくことなくスムーズに回転自在に支持される。
【0038】
また、ボス部72gの径方向内側で、かつボス部72gの先端側(図3の上側)には、ゴム等の弾性材料からなるOリング74が装着されている。これにより、出力軸75と第3軸受83との間に、雨水や埃等が進入することが阻止される。
【0039】
さらに、ギヤフレーム71の外側の部分で、かつボス部72gの径方向外側には、略三角形に形成された複数の補強リブ72aが一体に設けられている。これらの補強リブ72aは、ボス部72gの上記底壁に対する固定強度を高めるものであり、ボス部72gの周方向に等間隔となるように、複数個配置されている。
【0040】
ステータホルダ被覆部73は、モータ部20に設けられるベースプレート53を覆う部分となっている。
【0041】
また、ギヤフレーム71には、モータケース21に向けて開口した開口部72fが設けられている。この開口部72fは、モータケース21の開口部22aと対向している。なお、ヘリカルギヤ収容部72およびステータホルダ被覆部73は、それぞれの一部が互いに重ねられている。これにより、ギヤフレーム71も平面視において、略達磨形状となっている。
【0042】
また、ギヤフレーム71のボス部72gから偏心した位置には、軸受部材収容部72eが設けられている。軸受部材収容部72eの径方向内側は、略筒状に形成されており、ギヤフレーム71の内部において、出力軸75の先端側(図3の上側)に向けて窪んでいる。そして、軸受部材収容部72eの内部には、回転軸23の先端側を回転自在に支持する第4軸受84が収容されており、回転軸23の先端側の端部は、回転軸支持部79によって支持されている。
【0043】
このように、出力軸75を支持するボス部72gおよび回転軸23を支持する第4軸受84は、精度良く形成されたアルミ製のギヤフレーム71にそれぞれ設けられている。したがって、出力軸75および回転軸23を互いに精度良く配置して、ギヤフレーム71の内部においてピニオンギヤ42およびヘリカルギヤ78をそれぞれ精度良く噛み合わせることができる。特に、ピニオンギヤ42の軸方向両側が、第2軸受82および第4軸受84によって回転自在に支持されている。したがって、ピニオンギヤ42の反り等の変形が抑えられる。よって、ピニオンギヤ42とヘリカルギヤ78との噛み合いが外れることが効果的に抑えられている。
【0044】
また、ステータホルダ被覆部73の上部付近のヘリカルギヤ収容部72の内側には、バックアップ部材収容部72cが設けられている。バックアップ部材収容部72cは、軸受部材収容部72eの近傍に配置されている。バックアップ部材収容部72cの内部には、バックアップ部材77が収容されている。
【0045】
ここで、バックアップ部材77は、プラスチック等の樹脂材料からなり、バックアップ部材収容部72cの内部に固定されている。そして、バックアップ部材77は、ピニオンギヤ42の周囲に、微小隙間を介して囲うように配置されている。これにより、バックアップ部材77は、出力軸75に大きな外力が付加されたときに、ピニオンギヤ42が湾曲することを防止する。
【0046】
さらに、ヘリカルギヤ収容部72の側壁72bの上方には、略環状に形成された支持突起72dが設けられている。支持突起72dは、ギヤフレーム71の内側(図3の下側)に向けて所定の高さで突出されている。そして、支持突起72dは、出力軸75に大きな外力が付加されたときに、ヘリカルギヤ78が傾斜することを抑制する。よって、ギヤフレーム71の内部でヘリカルギヤ78が傾斜することが抑えられ、これによっても、ピニオンギヤ42とヘリカルギヤ78との噛み合いが保持される。
【0047】
[減速機構]
図3に示されるように、ギヤフレーム71の内部には、ギヤ部70を形成する減速機構SDが回転自在に収容されている。減速機構SDは、回転軸23に一体に設けられたピニオンギヤ42と、当該ピニオンギヤ42に噛み合わされ、ピニオンギヤ42よりも低速で回転されるヘリカルギヤ78と、を備えている。減速機構SDは、回転軸23の回転を減速する機構である。
【0048】
そして、ピニオンギヤ42の軸線およびヘリカルギヤ78の軸線は互いに平行となっている。つまり、回転軸23と出力軸75とは、互いに平行となっている。これにより、減速機構SDでは、その体格をよりコンパクトにすることが可能となっている。
【0049】
また、ピニオンギヤ42はワイパモータ10の回転軸23側(入力側)に配置され、ヘリカルギヤ78はワイパモータ10の出力軸75側(出力側)に配置されている。すなわち、減速機構SDは、歯数が少ないピニオンギヤ42の高速回転を、歯数が多いヘリカルギヤ78の低速回転に減速するようになっている。よって、ヘリカルギヤ78は、ピニオンギヤ42よりも低速で回転される。
【0050】
また、ピニオンギヤ42の周囲には、螺旋状歯42aが一体に設けられ、当該螺旋状歯42aの軸方向長さは、ヘリカルギヤ78の軸方向長さよりも若干長い長さ寸法となっている。これにより螺旋状歯42aは、ヘリカルギヤ78に確実に噛み合わせられる。
【0051】
螺旋状歯42aは、ピニオンギヤ42の軸方向に螺旋状に連なるように延びており、ピニオンギヤ42には、1つの螺旋状歯42aのみが設けられている。つまり、ピニオンギヤ42の歯数は「1」となっている。そして、螺旋状歯42aは、その断面形状が円形となるように形成され、ヘリカルギヤ78の噛部に入り込む(噛み合う)ようになっている。
【0052】
減速機構SDを形成するヘリカルギヤ78は、プラスチック等の樹脂材料製である。図3に示されるように、ヘリカルギヤ78は、略円盤状に形成されたギヤ本体を備えており、当該ギヤ本体の回転中心に、出力軸75の回転中心が一致するように強固に固定されている。これにより、出力軸75は、ヘリカルギヤ78とともに回転される。また、ヘリカルギヤ78の回転中心部でかつセンサ基板94側(図3の下側)には、センサマグネット80が固定されている。
【0053】
ここで、出力軸75は、丸鋼棒を切削加工等することにより、段付きに形成されており、その軸方向における先端側には、ワイパ部材を形成するリンク機構等(図示せず)が固定される出力部90が一体に設けられている。具体的には、出力部90は雄ねじとなっており(図示せず)、当該出力部90には、リンク機構等を固定するためのナット(図示せず)がねじ結合される。
【0054】
ヘリカルギヤ78の径方向外側には、ギヤ形成部が設けられており、当該ギヤ形成部には、その周方向に並ぶようにして、複数の斜歯78aが設けられている。これらの斜歯78aは、ヘリカルギヤ78の軸方向に対して所定角度で傾斜しており、これにより、螺旋状歯42aの回転に伴いヘリカルギヤ78は回転される。具体的には、隣り合う斜歯78a同士の間に噛合凹部が設けられ、当該噛合凹部に螺旋状歯42aが入り込んで噛み合わされている。
【0055】
[モータケースとギヤフレームとベースプレートの固定]
図2および図4に示されるように、ワイパモータ(モータ装置)10では、モータケース21、ギヤフレーム71およびベースプレート53のうちの何れかが重ねられて固定される5つの固定部30を備えている。これら5つの固定部30は、モータケース21とギヤフレーム71とベースプレート53とが固定される1つの第1固定部31と、モータケース21とベースプレート53とが固定される2つの第2固定部32と、モータケース21とギヤフレーム71とが固定される2つの第3固定部33と、である。これら5つの固定部30は、それぞれねじによって締結されている。
【0056】
ねじによる5つの固定部30は、図4に示されるように、モータケース21の上方から見た平面視において、モータ部20およびギヤ部70の外周部に分散して配置されている。具体的には、上記5つの固定部30のうち、1つの第1固定部31と2つの第2固定部32は、円筒状のモータ収容部22の外周部のフランジの3箇所に分散して設けられ、2つの第3固定部33は、略円盤状のベース装着部25の外周部のフランジの2箇所に分散して設けられている。
【0057】
さらに詳細には、図4の平面視に示されるように、第1固定部31は、回転軸23と出力軸75とを結ぶ仮想線60をギヤ部70からモータ部20に向かう方向(第1方向P1)に延伸した第1仮想線61上に設けられている。ここで、円筒状のモータ収容部22の平面視の外周円の中心に回転軸23が設けられているとすると、円筒状のモータ収容部22の外周円の中心を通る中心線が仮想線60(第1仮想線61)に相当する。したがって、第1固定部31は、言い換えると、円筒状のモータ収容部22の平面視の外周円の中心線上において、ギヤ部70から最も遠ざかるモータ収容部22のフランジ(第1フランジ21a)に設けられている。なお、円筒状のモータ収容部22の外周部において、第1フランジ21aは、第1仮想線61上に形成されており、この第1フランジ21aに第1固定部31が設けられている。
【0058】
また、2つの第2固定部32は、図4の平面視で、回転軸23と出力軸75との間の領域27において仮想線60の両側に設けられている。すなわち、2つの第2固定部32のうち、一方の第2固定部32aは、円筒状のモータ収容部22の外周部において、仮想線60の一方側(図4の仮想線60の下側)のフランジ(第2フランジ21b)に設けられている。また、2つの第2固定部32のうち、他方の第2固定部32bは、円筒状のモータ収容部22の外周部において、仮想線60の他方側(図4の仮想線60の上側)のフランジ(第3フランジ21c)に設けられている。
【0059】
さらに詳細には、第2固定部32aと第2固定部32bのそれぞれは、仮想線60の両側において、円筒状のモータ収容部22の外周部と、略円盤状のベース装着部25の外周部と、が交差する2つの箇所に設けられている。なお、円筒状のモータ収容部22の外周円の中心を通る中心線が仮想線60に相当する場合、第2固定部32aと仮想線60との距離と、第2固定部32bと仮想線60との距離と、は等しい。そして、円筒状のモータ収容部22の外周部と、略円盤状のベース装着部25の外周部と、が交差するモータケース21の2つの箇所に、第2フランジ21bと第3フランジ21cが形成されており、第2フランジ21bに第2固定部32aが設けられ、第3フランジ21cに第2固定部32bが設けられている。
【0060】
また、2つの第3固定部33は、図4の平面視で、仮想線60をモータ部20からギヤ部70に向かう方向(第2方向P2)に延伸した第2仮想線62の両側に設けられている。すなわち、2つの第3固定部33のうち、一方の第3固定部33aは、略円盤状のベース装着部25の外周部において、第2仮想線62の一方側(図4の第2仮想線62の下側)のフランジ(第4フランジ21d)に設けられている。また、2つの第3固定部33のうち、他方の第3固定部33bは、略円盤状のベース装着部25の外周部において、第2仮想線62の他方側(図4の第2仮想線62の上側)のフランジ(第5フランジ21e)に設けられている。
【0061】
なお、略円盤状のベース装着部25の外周円の中心を通る中心線が仮想線60および第2仮想線62に相当する場合、第3固定部33aと第2仮想線62との距離と、第3固定部33bと第2仮想線62との距離と、は等しい。そして、略円盤状のベース装着部25の外周部において出力軸75より第2方向P2側の領域に、第4フランジ21dと第5フランジ21eが形成されており、第4フランジ21dに第3固定部33aが設けられ、第5フランジ21eに第3固定部33bが設けられている。
【0062】
また、円筒状のモータ収容部22の外周円の中心を通る中心線が仮想線60に相当する場合、2つの第2固定部32は、仮想線60に対して線対称となる位置に設けられている。詳細には、一方の第2固定部32aと他方の第2固定部32bは、仮想線60に対して線対称となる位置に設けられている。同様に、略円盤状のベース装着部25の外周円の中心を通る中心線が第2仮想線62に相当する場合、2つの第3固定部33は、第2仮想線62に対して線対称となる位置に設けられている。
【0063】
このように1つの第1固定部31が第1仮想線61上に設けられ、かつ2つの第2固定部32が仮想線60に対して線対称となる位置に設けられ、さらに2つの第3固定部33が第2仮想線62に対して線対称となる位置に設けられているため、5つの固定部30の配置は、第1仮想線61と仮想線60と第2仮想線62とを含む中心線を基準にして、第3方向P3において対象の配置となっている。このとき、第3方向P3をモータケース21の左右方向と見立てると、5つの固定部30の配置は、モータケース21の左右方向(第3方向P3)において、第1仮想線61と仮想線60と第2仮想線62とを含むモータケース21の中心線に対して、左右対称の配置となっている。
【0064】
次に、5つの固定部30のそれぞれの断面構造について説明する。
【0065】
図5に示されるように、第1固定部31では、モータケース21とベースプレート53とギヤフレーム71とが重ねられて固定されている。具体的には、モータケース21の第1フランジ21aと、ベースプレート53の第1フランジ53aと、ギヤフレーム71の第1フランジ71aと、が重ねられ、第1固定ねじ91によって締結されている。ここで、第1フランジ21aには貫通孔21gが形成され、第1フランジ53aにも貫通孔53dが形成されている。これに対して第1フランジ71aにはねじ孔71fが形成されている。これにより、第1固定ねじ91は、貫通孔21gおよび貫通孔53dを挿通してねじ孔71fでねじ締結されている。したがって、第1固定部31におけるベースプレート53は、第1固定ねじ91とギヤフレーム71のねじ孔71fとの締結により、モータケース21とギヤフレーム71とに挟持されている。
【0066】
また、図6に示されるように、第2固定部32においても、モータケース21とベースプレート53とギヤフレーム71とが重ねられ、第2固定ねじ92によって固定されている。具体的には、第2固定部32a(32b)では、モータケース21の第2フランジ21b(第3フランジ21c)と、ベースプレート53と、ギヤフレーム71と、が重ねられ、第2固定ねじ92a(92b)によって締結されている。ここで、第2フランジ21b(第3フランジ21c)には、貫通孔21h(21i)が形成され、ベースプレート53にねじ孔53e(53f)が形成されている。ギヤフレーム71には貫通孔71d(71e)が形成されている。これにより、第2固定ねじ92a(92b)は、モータケース21の貫通孔21h(21i)を挿通してベースプレート53のねじ孔53e(53f)でねじ締結されている。ギヤフレーム71の貫通孔71d(71e)には、第2固定ねじ92a(92b)が挿通されているだけである。したがって、第2固定部32a(32b)においては、モータケース21を挟んだ状態で第2固定ねじ92a(92b)とベースプレート53とがねじ締結されている。
【0067】
また、図7に示されるように、第3固定部33においては、モータケース21とギヤフレーム71とが重ねられ、第3固定ねじ93によって固定されている。具体的には、第3固定部33a(33b)では、モータケース21の第4フランジ21d(第5フランジ21e)と、ギヤフレーム71の第2フランジ71b(第3フランジ71c)と、が重ねられ、第3固定ねじ93a(93b)によって締結されている。ここで、モータケース21の第4フランジ21d(第5フランジ21e)には、貫通孔21j(21k)が形成され、ギヤフレーム71にねじ孔71g(71h)が形成されている。これにより、第3固定ねじ93a(93b)は、モータケース21の貫通孔21j(21k)を挿通してギヤフレーム71のねじ孔71g(71h)でねじ締結されている。
【0068】
ここで、図8を用いてねじによる5つの固定部30の配置について、別の表現で説明する。回転軸23は、モータケース21の上方から見た平面視において、第1固定部31と2つの第2固定部32とを結ぶ三角形の第3仮想線63の内側に設けられている。一方、出力軸75は、モータケース21の上方から見た平面視において、第1固定部31と2つの第3固定部33とを結ぶ三角形の第4仮想線64の内側に設けられている。
【0069】
すなわち、1つの第1固定部31と2つの第2固定部32は、円筒状のモータ収容部22の外周部のフランジ(第1フランジ21a、第2フランジ21b、第3フランジ21c)の3箇所に分散して設けられており、1つの第1固定部31と2つの第2固定部32とによって三角形の第3仮想線63が形成されるような配置となっている。そして、三角形の第3仮想線63の内側の領域に回転軸23が設けられる配置となっている。このとき、第3仮想線63からなる三角形が、正三角形に近づくように1つの第1固定部31および2つの第2固定部32が配置されていることが好ましく、第3仮想線63からなる三角形が正三角形となるように1つの第1固定部31および2つの第2固定部32が配置されていることが最も好ましい。
【0070】
一方、2つの第3固定部33は、略円盤状のベース装着部25の外周部のフランジ(第4フランジ21d、第5フランジ21e)の2箇所に分散して設けられており、1つの第1固定部31と2つの第3固定部33とによって三角形の第4仮想線64が形成されるような配置となっている。そして、三角形の第4仮想線64の内側の領域に出力軸75が設けられる配置となっている。このとき、第4仮想線64からなる三角形が、第1固定部31を頂点とする二等辺三角形に近づくように1つの第1固定部31および2つの第3固定部33が配置されていることが好ましく、第4仮想線64からなる三角形が第1固定部31を頂点とする二等辺三角形となるように1つの第1固定部31および2つの第3固定部33が配置されていることが最も好ましい。
【0071】
[モータケースとギヤフレームとベースプレートの組付け]
図9および図10を用いてモータケース21とベースプレート53の組付けについて説明する。図10に示されるように、モータケース21とベースプレート53との間にロータユニット40を配置し、ロータユニット40をモータケース21のモータ収容部22に収容するとともに、回転軸23をベースプレート53の円筒形の軸受保持部54内に配置してモータケース21とベースプレート53とを組付け、これにより、モータユニット24を組立てる。
【0072】
このとき、第2固定部32a,32bにおいて第2固定ねじ92a,92bによりモータケース21とベースプレート53を組付ける。具体的には、ロータユニット40をモータケース21のモータ収容部22に収容するとともに回転軸23をベースプレート53の軸受保持部54内に挿通させた状態でモータケース21とベースプレート53とを積層する。この状態でモータケース21の第1フランジ21aとベースプレート53の第1フランジ53a、モータケース21の第2フランジ21b(図8参照)とベースプレート53の第2フランジ53bおよびモータケース21の第3フランジ21cとベースプレート53の第3フランジ53cがそれぞれ重ねられている。
【0073】
そして、第2固定ねじ92aをモータケース21の第2フランジ21bの貫通孔21h(図6参照)に挿通し、さらに、ベースプレート53の第2フランジ53bのねじ孔53eで締結する。同様に、第2固定ねじ92bをモータケース21の第3フランジ21cの貫通孔21iに挿通し、さらに、ベースプレート53の第3フランジ53cのねじ孔53fで締結する。これにより、モータケース21とベースプレート53とが第2固定部32a,32bにおいてそれぞれねじ固定され組付けられ、図9に示されるモータユニット24が組立てられる。
【0074】
次に、図11および図12を用いて図9に示されるモータユニット24と、図12に示されるフレームユニット76のギヤフレーム71との組付けについて説明する。図12に示されるように、モータユニット24とフレームユニット76とを重ね合わせ、3本のねじにより1つの第1固定部31と2つの第3固定部33とにおいてモータユニット24と、フレームユニット76のギヤフレーム71とを固定し、図11に示されるワイパモータ10を組立てる。
【0075】
このとき、第1固定部31において第1固定ねじ91により、かつ、第3固定部33a,33bにおいて第3固定ねじ93a,93bによりモータユニット24とフレームユニット76とを組付ける。具体的には、モータユニット24のモータケース21と、フレームユニット76のギヤフレーム71とを積層する。この状態でモータケース21の第1フランジ21aとギヤフレーム71の第1フランジ71a、モータケース21の第4フランジ21dとギヤフレーム71の第2フランジ71bおよびモータケース21の第5フランジ21e(図7参照)とギヤフレーム71の第3フランジ71cがそれぞれ重ねられている。
【0076】
そして、第1定ねじ91をモータケース21の第1フランジ21aの貫通孔21gに挿通し、ギヤフレーム71の第1フランジ71aのねじ孔71fで締結する。また、第3固定ねじ93aをモータケース21の第4フランジ21dの貫通孔21jに挿通し、ギヤフレーム71の第2フランジ71bのねじ孔71gで締結する。同様に、第3固定ねじ93bをモータケース21の第5フランジ21eの貫通孔21k(図7参照)に挿通し、ギヤフレーム71の第3フランジ71cのねじ孔71hで締結する。これにより、モータユニット24とフレームユニット76とが、1つの第1固定部31および2つの第2固定部32a,32bにおいてそれぞれねじ固定され組付けられ、図11に示されるワイパモータ10が組立てられる。
【0077】
本実施形態のワイパモータ10によれば、モータケース21とベースプレート53とギヤフレーム71とが重ねられた状態で、5つの固定部30において5本の固定ねじにより締結される。その際、ベースプレート53は、モータケース21とギヤフレーム71とに挟持されている。したがって、ワイパモータ10では、モータケース21とギヤフレーム71の固定箇所を少なくしつつ3つの部材の固定において固定強度を確保することができる。なお、モータケース21は、ロータユニット40を収容している。したがって、モータ回転時にモータ部20の回転軸23が噛み合う箇所で発生するスラスト力がモータケース21に付与される。このとき、モータケース21、ベースプレート53およびギヤフレーム71が5箇所で固定ねじにより締結されているため、モータケース21の固定においても固定強度が確保されている。その結果、モータケース21のスラスト方向の固定力を向上させることができ、モータケース21にスラスト力が掛かっても、モータケース21はスラスト力に耐えることができる。
【0078】
すなわち、ワイパモータ10では、モータケース21の固定箇所を少なくすることができるとともに、モータ回転時に発生するスラスト力に対してモータケース21が耐えることが可能になる。
【0079】
また、本来3つの部材を分散させて3箇所で固定しようとすると、6本の固定ねじが必要になる。しかしながら、ワイパモータ10においては、1つの第1固定部31でモータケース21とベースプレート53とギヤフレーム71とを重ねて固定し、この第1固定部31を基点として2つの3点固定を採用している。具体的には、1つの第1固定部31と2つ第2固定部32において、さらに1つの第1固定部31と2つ第3固定部33において、モータケース21とベースプレート53とギヤフレーム71を固定している。
【0080】
これにより、モータケース21とベースプレート53とギヤフレーム71を5つの固定部30において5本の固定ねじで固定することができるため、固定ねじの本数を減らすことができ、部品点数を削減することができる。さらに、部品点数の増加による組付け工数の増加を抑えることができる。また、2つの3点固定を組み合わせて採用することで、モータケース21の固定強度を確保することができる。
【0081】
なお、ワイパモータ10では、図8に示されるように、モータケース21のモータ収容部22の外周部のフランジの3箇所に分散して設けられた1つの第1固定部31と2つの第2固定部32が、第1固定部31と2つの第2固定部32とによって三角形の第3仮想線63が形成されるような配置となっている。さらに、三角形の第3仮想線63の内側の領域に回転軸23が設けられる配置となっている。
【0082】
これにより、回転軸23に対するモータケース21の固定のバランスを維持することができる。なお、第3仮想線63からなる三角形が、正三角形である場合には、モータケース21の固定強度のバランスを最適な状態で維持することができる。
【0083】
また、ベース装着部25の外周部のフランジの2箇所に分散して設けられた2つの第3固定部33が、1つの第1固定部31と2つの第3固定部33とによって三角形の第4仮想線64が形成されるような配置となっている。さらに、三角形の第4仮想線64の内側の領域に出力軸75が設けられる配置となっている。
【0084】
これにより、出力軸75に対するモータケース21の固定のバランスを維持することができる。なお、第4仮想線64からなる三角形が、第1固定部31を頂点とする二等辺三角形である場合には、前記同様、モータケース21の固定強度のバランスを最適な状態で維持することができる。
【0085】
以上のように、回転軸23および出力軸75に対するモータケース21の固定のバランスを維持することができるため、モータケース21の固定強度をさらに確保することができる。
【0086】
また、ワイパモータ10では、5つの固定部30の配置が、図4に示されるように、第1仮想線61と仮想線60と第2仮想線62とを含む中心線を基準にして、第3方向P3において対象の配置となっている。このとき、第3方向P3をモータケース21の左右方向と見立てると、5つの固定部30の配置は、モータケース21の左右方向(第3方向P3)において、モータケース21の前記中心線に対して、左右線対称の配置となっている。
【0087】
これにより、ワイパモータ10の外形形状がモータケース21の前記中心線を基準として左右対称となるため、ワイパモータ10を右ハンドル車に対して、さらには左ハンドル車に対して適用することが可能になる。すなわち、ワイパモータ10の外形形状が左右方向に対して線対称形状となっているため、モータケース21の前記中心線を基準としてその左右側で取り付けの方向性を無くして、ワイパモータ10を、右ハンドル車の運転席側および左ハンドル車の運転席側のそれぞれに容易に設置可能としている。
【0088】
また、ワイパモータ10には、平面視で出力軸75と重複するようにセンサ基板94がモータケース21に組付けられ、さらにセンサ基板94に、ロータ41の回転を検出する第1センサ28が実装され、かつ、出力軸75の回転を検出する第2センサ29が実装されている。また、ワイパモータ10では、上述のように、モータケース21のスラスト方向の固定力を向上させることができる。
【0089】
したがって、出力軸75と重複するようにセンサ基板94が設けられていることで、スラスト力がモータケース21にかかっても、センサ基板94とロータ41との位置ずれ、およびセンサ基板94と出力軸75との位置ずれをそれぞれ抑制することができる。これにより、ロータ41の回転の位置検出精度およ出力軸75の回転の位置検出精度をそれぞれ高めることができる。
【0090】
さらに、本実施形態のワイパモータ10によれば、ワイパモータ10を右ハンドル車用および左ハンドル車用で共通化して左右側で作り分ける必要がなく、部品点数の削減も図れるため、ワイパモータ10を製造するためのエネルギーを省力化することが可能となる。よって、国連で定められた持続可能な開発目標(SDGs)における特に目標7(すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する)および目標13(気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる)を実現することできる。
【0091】
[変形例]
図13図15に示される変形例のワイパモータ10は、2つの第2固定部32のそれぞれにおいて、第2固定ねじ92とナット95とによってモータケース21とギヤフレーム71とを締結するものである。具体的には、ギヤフレーム71側にナット95を配置し、モータケース21側から第2固定ねじ92を挿通してギヤフレーム71側でナット95との間で締結し、これにより、モータケース21とギヤフレーム71とを固定する。この場合、モータケース21とギヤフレーム71の両方に貫通孔が形成されている。
【0092】
モータケース21とギヤフレーム71とをナット95を用いて締結することにより、モータケース21とベースプレート53とギヤフレーム71の固定力を増加することができ、モータケース21の固定強度をさらに高めることができる。
【0093】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施形態では、モータ装置を、車両に搭載されるワイパ装置の駆動源(ワイパモータ10)に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、パワーウィンドウ装置やサンルーフ装置等の他の駆動源にも適用することができる。
【0094】
また、上記実施形態では、ワイパモータ10の一例として、ブラシレスモータを取り上げて説明したが、ワイパモータ10は、ブラシ付きモータであってもよい。
【0095】
また、ワイパモータ10の5つの固定部30において、1つの第1固定部31と2つの第2固定部32とを結ぶ第3仮想線63によって形成される三角形は、正三角形に限定されるものではない。また、1つの第1固定部31と2つの第3固定部33とを結ぶ第4仮想線64によって形成される三角形は、二等辺三角形に限定されるものではない。さらに、2つの第2固定部32a,32bおよび2つの第3固定部33a,33bの配置は、仮想線60に対してそれぞれ線対称となる配置でなくてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10:ワイパモータ(モータ装置),20:モータ部,21:モータケース(ケース部),21a:第1フランジ,21b:第2フランジ,21c:第3フランジ,21d:第4フランジ,21e:第5フランジ,21f:開口部,21g:貫通孔,21h:貫通孔,21i:貫通孔,21j:貫通孔,21k:貫通孔,22:モータ収容部,22a:開口部,23:回転軸,24:モータユニット,25:ベース装着部,26:ベース部材,26a:基板固定部,27:領域,28:第1センサ(ロータ検出部),29:第2センサ(出力軸検出部),30:固定部,31:第1固定部,32,32a,32b:第2固定部,33,33a,33b:第3固定部,40:ロータユニット,41:ロータ,41a:開口部,41b:ボス部,42:ピニオンギヤ,42a:螺旋状歯,43:マグネット,50:ステータユニット,51:ステータ,51a:ティース,53:ベースプレート(プレート部),53a:第1フランジ,53b:第2フランジ,53c:第3フランジ,53d:貫通孔,53e:ねじ孔,53f:ねじ孔,54:軸受保持部,55:軸受固定部材,56:コイル,60:仮想線,61:第1仮想線,62:第2仮想線,63:第3仮想線,64:第4仮想線,70:ギヤ部,71:ギヤフレーム(フレーム部),71a:第1フランジ,71b:第2フランジ,71c:第3フランジ,71d:貫通孔,71e:貫通孔,71f:ねじ孔,71g:ねじ孔,71h:ねじ孔,72:ヘリカルギヤ収容部,72a:補強リブ,72b:側壁,72c:バックアップ部材収容部,72d:支持突起,72e:軸受部材収容部,72f:開口部,72g:ボス部,73:ステータホルダ被覆部,74:Oリング,75:出力軸,76:フレームユニット,77:バックアップ部材,78:ヘリカルギヤ,78a:斜歯,79:回転軸支持部,80:センサマグネット,81:第1軸受,82:第2軸受,83:第3軸受,84:第4軸受,90:出力部,91:第1固定ねじ,92,92a,92b:第2固定ねじ,93,93a,93b:第3固定ねじ,94:センサ基板(基板),95:ナット,SD:減速機構,P1:第1方向,P2:第2方向,P3:第3方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15