(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150259
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】通信方法、及び、制御装置
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20241016BHJP
H04W 4/00 20180101ALI20241016BHJP
H04W 84/14 20090101ALI20241016BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20241016BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20241016BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
H04W4/00 110
H04W84/14
H04W84/10 110
H04W76/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063589
(22)【出願日】2023-04-10
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】吉川 彩衣
(72)【発明者】
【氏名】田中 敬一
(72)【発明者】
【氏名】田垣 憲一
【テーマコード(参考)】
5K048
5K067
【Fターム(参考)】
5K048BA07
5K048BA08
5K048BA14
5K048EB06
5K048EB12
5K048GC03
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
5K067AA34
5K067BB28
5K067DD11
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE25
5K067HH22
5K067HH24
(57)【要約】
【課題】施設に設けられた機器をルータに接続する作業を簡素化することができる通信方法を提供する。
【解決手段】通信方法は、施設に設けられた機器30の第1近距離無線通信による接続を受け付ける第1接続ステップS12と、接続された機器30を制御装置20に登録する登録ステップS13と、機器30が制御装置20に接続するために用いられた第1接続情報を、広域通信ネットワークに接続可能なルータ40に送信することにより、第1接続情報をルータ40に設定する設定ステップS19とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設けられた制御装置によって実行される通信方法であって、
前記施設に設けられた機器の第1近距離無線通信による接続を受け付ける第1接続ステップと、
接続された前記機器を前記制御装置に登録する登録ステップと、
前記機器が前記制御装置に接続するために用いられた接続情報を、広域通信ネットワークに接続可能なルータに送信することにより、前記接続情報を前記ルータに設定する設定ステップとを含む
通信方法。
【請求項2】
前記接続情報には、前記制御装置の識別情報が含まれる
請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
前記第1接続ステップを行うために前記制御装置へ操作を行う人と、前記設定ステップを行うために前記制御装置へ操作を行う人とは別人である
請求項1に記載の通信方法。
【請求項4】
さらに、携帯端末と第2近距離無線通信を行うことにより前記携帯端末から機器リストを取得する取得ステップを含み、
前記登録ステップにおいては、前記機器リストに含まれる前記機器であって前記制御装置に接続された前記機器を前記制御装置に登録する
請求項1に記載の通信方法。
【請求項5】
前記携帯端末は、二次元コードを読み取ることで前記機器リストを取得し、取得した前記機器リストを前記第2近距離無線通信により前記制御装置へ送信する
請求項4に記載の通信方法。
【請求項6】
前記第1近距離無線通信の通信規格は、Wi-Fi(登録商標)であり、
前記第1接続ステップは、WPS(Wi-Fi Protected Setup、登録商標)、または、Wi-Fi Easy Connect(登録商標)で規定される手順にしたがって行われる
請求項1に記載の通信方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の通信方法を前記制御装置に実行させるためのプログラム。
【請求項8】
施設に設けられた制御装置であって、
前記施設に設けられた機器の第1近距離無線通信による接続を受け付ける第1通信部と、
前記第1通信部に接続された前記機器を前記制御装置に登録する登録部と、
前記機器が前記制御装置と接続するために用いられた接続情報を、前記第1通信部を用いて広域通信ネットワークに接続可能なルータに送信することにより、前記接続情報を前記ルータに設定する通信制御部とを備える
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信方法、及び、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅へのEMS(Energy Management System)の導入が進んでいる。EMSによれば、住宅で使う電気またはガスなどのエネルギーの使用量をモニタに表示する「見える化」が実現される。EMSに関する技術として、特許文献1には、機器の消費電力を正確に監視することが可能なEMSの機器監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、施設に設けられた機器をルータに接続する作業を簡素化することができる通信方法等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る通信方法は、施設に設けられた制御装置によって実行される通信方法であって、前記施設に設けられた機器の第1近距離無線通信による接続を受け付ける第1接続ステップと、接続された前記機器を前記制御装置に登録する登録ステップと、前記機器が前記制御装置に接続するために用いられた接続情報を、広域通信ネットワークに接続可能なルータに送信することにより、前記接続情報を前記ルータに設定する設定ステップとを含む。
【0006】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記通信方法を前記制御装置に実行させるためのプログラムである。
【0007】
本発明の一態様に係る制御装置は、施設に設けられた制御装置であって、前記施設に設けられた機器の第1近距離無線通信による接続を受け付ける第1通信部と、前記第1通信部に接続された前記機器を前記制御装置に登録する登録部と、前記機器が前記制御装置と接続するために用いられた接続情報を、前記第1通信部を用いて広域通信ネットワークに接続可能なルータに送信することにより、前記接続情報を前記ルータに設定する通信制御部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る通信方法等は、施設に設けられた機器をルータに接続する作業を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、登録動作の例1のシーケンス図である。
【
図3】
図3は、登録動作の例1の要点を示す図である。
【
図4】
図4は、登録動作の例2のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る制御システムの構成について説明する。
図1は、実施の形態に係る制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【0013】
制御システム10は、住宅70における電力使用量を制御装置20の表示部22に表示することができるシステムである。また、制御システム10は、住宅70に設けられた複数の機器30と通信することにより複数の機器30を制御することができるシステムである。
【0014】
制御システム10は、制御装置20と、複数の機器30と、ルータ40と、携帯端末50と、気象情報配信サーバ60とを備える。制御装置20、複数の機器30、及び、ルータ40は、住宅70内(より詳細には、住宅70の敷地内)に設置され、気象情報配信サーバ60は、住宅70外に設置される。携帯端末50は、住宅70内に位置している。住宅70は、施設の一例であり、具体的には、戸建住宅であるが、集合住宅であってもよい。なお、制御システム10は、宿泊施設などの住宅70以外の施設に適用されてもよい。
【0015】
制御装置20は、エネルギーマネジメント機能を有するEMSコントローラである。制御装置20は、電力計測装置(図示せず)によって計測された電力使用量(言い換えれば、消費電力量)に基づいて、住宅70における電力使用量を管理する。また、制御装置20は、制御装置20に通信接続された機器30の制御などを行うこともできる。制御装置20は、EMSコントローラに限定されず、他のコントローラ、または、ゲートウェイ装置であってもよい。制御装置20は、操作受付部21と、表示部22と、情報処理部23と、記憶部24と、第1通信部25と、第2通信部26とを備える。
【0016】
操作受付部21は、住宅70の居住者などの操作を受け付ける。操作受付部21は、例えば、タッチパネルによって実現されるが、ハードウェアキーなどによって実現されてもよい。
【0017】
表示部22は、画像を表示する。表示部22は、例えば、液晶パネルまたは有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどの表示パネルによって実現される。なお、表示部22は、制御装置20と別体である場合もある。
【0018】
情報処理部23は、住宅70における電力使用量を表示部22に表示する表示処理などを行う。情報処理部23は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。情報処理部23は、機能的な構成要素として、取得部27、登録部28、及び、通信制御部29を有する。取得部27、登録部28、及び、通信制御部29の機能は、例えば、情報処理部23を構成するマイクロコンピュータまたはプロセッサ等が記憶部24に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。
【0019】
記憶部24は、情報処理部23によって実行されるコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部24は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0020】
第1通信部25は、制御装置20が、機器30及びルータ40と第1近距離無線通信を行うための通信回路である。第1近距離無線通信の通信規格は、例えば、Wi-Fi(登録商標)である。
【0021】
第2通信部26は、制御装置20が、携帯端末50と第2近距離無線通信を行うための通信回路である。第2近距離無線通信の通信規格は、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)である。
【0022】
複数の機器30は、住宅70に設けられる機器である。複数の機器30の少なくとも一部は、制御装置20に登録されることにより制御装置20によって制御される。複数の機器30には、照明機器、空調機器、換気機器、空気清浄器、電動シャッタ、電気錠、ヒートポンプ式給湯器、燃料電池発電システム、太陽光発電システム、蓄電システム、宅配ボックス、及び、電気自動車の充放電器などが含まれる。
【0023】
ルータ40は、例えば、住宅70内に設置される、無線LAN(Local Area Network)ルータである。ルータ40は、制御装置20及び機器30の第1近距離無線通信を中継する機器であり、ルータ40には、制御装置20及び機器30が接続される。また、ルータ40は、インターネットなどの広域通信ネットワーク80に接続されており、ルータ40に接続された制御装置20及び機器30は、ルータ40を介して広域通信ネットワーク80に接続することができる。
【0024】
携帯端末50は、制御装置20及び複数の機器30を住宅70へ設置する作業者が所持する携帯型の情報端末であり、具体的には、スマートフォンまたはタブレット端末などである。携帯端末50は、制御装置20と第2近距離無線通信を行うことができる。
【0025】
気象情報配信サーバ60は、制御装置20へ気象関連情報を配信するクラウドサーバである。気象情報配信サーバ60は、広域通信ネットワーク80を介して制御装置20と通信を行うことができる。気象関連情報には、天気予報情報、及び、気象警報情報などが含まれる。気象警報情報は、暴風または大雨などの警報(注意報を含む)が発令されていることを示す情報である。
【0026】
[登録動作の例1]
制御装置20は、居住者の制御装置20への操作に応じて、制御装置20に登録された機器30を制御することができる。ここで、住宅70が、新規に建築された住宅、または、リフォームされた住宅である場合、つまり、住宅70が居住者に引き渡される住宅である場合には、居住者に住宅70を引き渡す前に、制御装置20へ機器30を登録しておく。これにより、居住者は、登録作業を行うことなく、入居後にすぐに機器30を制御することができる。
【0027】
ここで、ルータ40は、居住者に住宅70を引き渡す前には設置されておらず、居住者自身の所有物であり、入居後に設置される場合が多い。一般的には、居住者は、入居後にルータ40を設置し、制御装置20及び機器30をルータ40に接続する作業を行う必要がある。
【0028】
ここで、制御システム10においては、制御装置20がWi-Fi(登録商標)のアクセスポイントとして動作する機能(ルータ40と同様の機能)を有している。制御システム10は、制御装置20の本機能を利用して、居住者が制御装置20及び機器30をルータ40に接続する作業を簡素化することができる登録動作を行う。以下、このような登録動作の例1について説明する。
図2は、登録動作の例1のシーケンス図である。
【0029】
作業者(例えば、工事会社に属する者)は、制御装置20及び複数の機器30の住宅70への設置を行う。このとき、ルータ40については住宅70には設置されていない。作業者は、制御装置20及び複数の機器30を設置した後、制御装置20をアクセスポイントモードで動作させる(S11)。また、作業者は、複数の機器30のそれぞれを第1近距離無線通信で制御装置20(第1通信部25)に接続させる操作等を行い、制御装置20の第1通信部25(通信制御部29)は、複数の機器30のそれぞれの第1通信部25への接続を受け付ける(S12)。言い換えれば、第1通信部25(通信制御部29)は、複数の機器30のそれぞれの第1通信部25への接続を許可する。
【0030】
例えば、作業者は、制御装置20にあらかじめ設定されている第1接続情報を複数の機器30へ入力する(入力操作を行う)ことにより、複数の機器30のそれぞれを制御装置20に接続させる。つまり、ステップS12において、複数の機器30のそれぞれには第1接続情報が記憶され、複数の機器30のそれぞれは、第1接続情報を用いて制御装置20に接続する。第1接続情報には、SSID(Service Set Identifier)及び暗号化キーが含まれる。SSIDは、制御装置20がアクセスポイントとして機能するときの制御装置20の識別情報である。
【0031】
なお、作業者は、WPS(Wi-Fi Protected Setup、登録商標)、または、Wi-Fi Easy Connect(登録商標)などで規定される手順にしたがって、複数の機器30のそれぞれを制御装置20に接続させてもよい。つまり、制御装置20は、WPS(登録商標)、または、Wi-Fi Easy Connect(登録商標)に対応する機能を備えていてもよい。これにより、作業者は、SSID及び暗号化キーを直接入力しなくても複数の機器30のそれぞれを制御装置20に接続させることができ、作業者に制御装置20のSSID及び暗号化キーが知られてしまうことを抑制することができる。なお、この場合も、複数の機器30のそれぞれには第1接続情報が記憶される。
【0032】
次に、作業者は、登録処理を指示する操作を行う。制御装置20の登録部28は、操作受付部21によって受け付けられた当該操作にしたがって、複数の機器30の登録処理を行う(S13)。登録処理には、機器30の識別情報を記憶部24に記憶(登録)する処理などが含まれる。なお、
図2では図示されないが、登録処理においては必要に応じて制御装置20及び機器30が第1近距離無線通信を行う。
【0033】
その後、住宅70が居住者に引き渡され、居住者は、ルータ40を住宅70に設置する。居住者は、制御装置20に対し、制御装置20(第1通信部25)に設定された第1接続情報(SSID及び暗号キー)の送信を指示する指示操作を行い、操作受付部21は、指示操作を受け付ける(S14)。情報処理部23は、受け付けられた指示操作に基づいて、第1接続情報の転送モードに遷移する(S15)。制御装置20の第1通信部25は、転送モードで動作している間は、所定期間(例えば120秒間)の間、第1接続情報を第1近距離無線通信でブロードキャスト送信する(S16)。この所定期間においては、第1接続情報が設定されていない装置であっても、第1近距離無線通信の通信可能範囲内に位置していれば、第1接続情報を受信することができる。
【0034】
次に、居住者は、ルータ40に対して第1接続情報の受信を指示する指示操作を行い、ルータ40は指示操作を受け付ける(S17)。ルータ40は、受け付けられた指示操作に基づいて、第1接続情報の受信モードに遷移する(S18)。ルータ40は、受信モードで動作している間は、第1近距離無線通信でブロードキャスト送信されている情報をモニタリングし、第1接続情報を待ち受けている状態となる。
【0035】
ルータ40は、ブロードキャストされた第1接続情報を受信し(S19)、ルータ40にあらかじめ設定されている第2接続情報を、受信された第1接続情報に更新する(S20)。つまり、ルータ40に第1接続情報が設定される。接続情報の更新後、ルータ40は、クライアントモードに遷移し(S21)、第1接続情報を用いて制御装置20に第1近距離無線通信で接続し(S22)、第1接続情報の受信が完了したことを示す完了通知を制御装置20へ送信する(S23)。
【0036】
制御装置20の第1通信部25は、完了通知を受信する。情報処理部23は、完了通知が受信されるとアクセスポイントモードからクライアントモードに遷移する(S24)。一方、ルータ40は、完了通知を送信した後、クライアントモードからアクセスポイントモードに遷移する(S25)。この結果、複数の機器30の接続先が制御装置20からルータ40に自動的に変更され(S26)、制御装置20も(クライアントとして)ルータ40に接続する。
【0037】
以上のステップS11~S26の処理をまとめると、
図3のようになる。
図3は、登録動作の例1の要点を示す図である。制御システム10は、複数の機器30を制御装置20に登録するための通信接続(制御装置20と複数の機器30との通信接続)に用いられていた第1接続情報(
図3の(a))を、複数の機器30の登録後にルータ40に設定する(
図3の(b))。これにより、複数の機器30の接続先が自動的に制御装置20からルータ40に変更になるため、居住者が制御装置20及び機器30をルータ40に接続する作業を簡素化することができる。
【0038】
[登録動作の例2]
ところで、機器30の制御装置20への登録作業は、制御装置20及び複数の機器30を住宅70に設置する作業者が、住宅70の設計者(具体的には、電気設備関連の設計者)が用意した指示書等を参照しながら手作業で行う。しかしながら、作業者が登録作業を失念したりミスしたりする場合があり、機器30の登録漏れの発生を抑制することが課題となる。
【0039】
そこで、制御システム10においては、制御装置20が自動的に機器30の登録を行ってもよい。以下、制御システム10における登録動作について説明する。
図4は、登録動作の例2のシーケンス図である。
【0040】
住宅70の設計者は、あらかじめ機器リストを作成する。つまり、機器リストは、制御装置20の設置を行う作業者、及び、住宅70の居住者とは異なる者(住宅70の設計者)によって作成される。また、住宅70の設計者は、機器リストを二次元コード化し、当該二次元コードを印刷した紙面を作成する。作業者は、この紙面を入手し、携帯端末50で二次元コードを読み取る。携帯端末50は、二次元コードを読み取ることで(S31)、機器リストを取得する(S32)。
図5は、機器リストの一例を示す図である。
【0041】
図5に示されるように、機器リストは、制御装置20へ登録すべき1以上の機器30の識別情報を示す情報である。
図5では、説明の簡略化のため、識別情報として機器名称(空調機器など)を使用している。
【0042】
また、
図5の例では、機器リストには、機器30の設定に関する設定情報(以下、第1設定情報とも記載される)が含まれる。第1設定情報には、機能設定に関する設定情報と、名称設定に関する設定情報とが含まれる。機能設定は、照明機器の明るさの設定、及び、空調機器の温度の設定など、機器30に事前に設定しておくべき設定を意味する。また、名称設定は、制御装置20に設定しておくべき名称を意味し、例えば、「リビングのエアコン」というように、機器の種別と設置場所とを組み合わせたものが名称として使用される場合が多い。
【0043】
次に、携帯端末50は、取得した機器リストを第2近距離無線通信により制御装置20(第2通信部26)へ送信する(S33)。第2近距離無線通信の通信規格は、第1近距離無線通信と異なるが、同一であってもよい。
【0044】
制御装置20の第2通信部26は、機器リストを受信する。取得部27は、機器リストを取得し、取得した機器リストを記憶部24に記憶する(S34)。
【0045】
また、作業者は、制御装置20をアクセスポイントモードで動作させる(S35)。また、作業者は、機器30を第1近距離無線通信で制御装置20に接続させる操作等を行い、制御装置20の第1通信部25(通信制御部29)は、機器30の第1通信部25への接続を受け付ける(S36)。ステップS35及びS36の処理は、ステップS11及びS12の処理と同様である。
【0046】
登録部28は、ステップS36において第1通信部25に接続された機器30がステップS34において取得された機器リストに含まれる場合、自動的に当該機器30の登録処理を行う(S37)。一方、登録部28は、ステップS12において第1通信部25に接続された機器30であっても機器リストに含まれない機器30については登録処理を行わない。
【0047】
また、登録部28は、機器30が機器リストに含まれると判定した場合、機器リストに含まれる第1設定情報に基づいて、当該機器30の機能設定、及び、当該機器30の名称設定を行う(S38)。
【0048】
ステップS38の処理の後、住宅70が居住者に引き渡され、居住者の操作等に基づいて、登録動作の例1のステップS14~S26と同様の処理が行われる。
【0049】
このように、制御システム10において、制御装置20は、機器リストを取得した後、機器リストに含まれる機器30と制御装置20とが通信可能な状態になったことを契機に自動的に機器30の登録を行う。これにより、作業者は、機器30を制御装置20に接続すれば、残りの処理は自動的に行われることから、機器30の制御装置20への登録漏れの発生が抑制される。
【0050】
一般に、機器30の登録漏れが発生すると、住宅70の設計を担当した事業者、または、機器30の設置を請け負った工事会社などから訪問者を住宅70へ派遣するなどの手間が生じるが、登録動作の例2によれば、このような手間の発生が抑制される。
【0051】
なお、住宅70の設計者は、機器リストに加えて、制御装置20の設定に関する設定情報(以下、第2設定情報とも記載される)を作成しておき、ステップS22においては、機器リストに加えて第2設定情報が携帯端末50によって取得されてもよい。この場合、取得部27は、機器リストに加えて第2設定情報を取得し、登録部28は、取得された第2設定情報に基づいて制御装置20の設定を行う。
【0052】
制御装置20の設定としては、シーン制御の設定が例示される。シーン制御は、複数の機器30を一括して制御することができる機能である。例えば、照明機器をオンし、空調機器をオンし、電動シャッタを開けるシーン制御をあらかじめ制御装置20に設定しておけば、居住者は操作受付部21への操作(例えば、ワンタッチ操作)により、照明機器をオンし、空調機器をオンし、電動シャッタを開けることができる。
【0053】
住宅70の設計者は、シーン制御の設定(どのような機器30をどのように動作させるか)を示す第2設定情報を二次元コード化し、当該二次元コードを印刷した紙面を作成しておく。これにより、シーン制御の設定の自動化が実現される。
【0054】
また、制御装置20の設定としては、気象警報連動機能のオンまたはオフ設定も挙げられる。気象警報連動機能は、制御装置20が気象情報配信サーバ60から気象警報情報を受信(取得)したとき(気象警報が発令されているとき)に、近い将来の停電(暴風または大雨などに起因する停電)に備えた所定の動作を機器30に実行させる機能である。例えば、機器30に蓄電システム、ヒートポンプ式給湯器、及び、燃料電池発電システムが含まれる場合、気象警報が発令されると、蓄電池システムは蓄電池の充電を行い、ヒートポンプ式給湯器は湯の沸き上げを行い、燃料電池発電システムは起動処理(発電が可能な状態に遷移するための、電力を使用する処理)を行う。
【0055】
住宅70の設計者は、気象警報連動機能の設定(オンまたはオフ)を示す第2設定情報を二次元コード化し、当該二次元コードを印刷した紙面を作成しておく。これにより、気象警報連動機能の設定の自動化が実現される。
【0056】
[機器リストの取得方法の変形例]
なお、携帯端末50(二次元コード)を使用しない機器リストの取得方法も考えられる。制御装置20がSDカード(登録商標)スロットまたはUSB(Universal Serial Bus)コネクタなどの接続インターフェースを備えている場合、制御装置20(取得部27)は、当該接続インターフェースに接続された記録媒体(SDカード(登録商標)またはUSBメモリ)から機器リストを取得してもよい。
【0057】
例えば、住宅70の設計者は、機器リストを記録媒体に記録する。作業者は、この記録媒体を入手し、制御装置20へ接続する。これにより、取得部27は、機器リストを取得することができる。
【0058】
以上のような記録媒体を用いた機器リストの取得方法は、制御装置20が第2通信部26を用いた第2近距離無線通信が不可能な状態でも制御装置20が機器リストを取得することができる利点がある。
【0059】
[未登録機器があることの通知]
上述のように、制御システム10においては、機器リストに含まれる機器30の登録が自動的に行われるが、機器30が制御装置20に接続されない場合には、機器30を登録することができない。つまり、作業者による機器30の設置ミス等により、機器リストに含まれる機器30が登録されない可能性がある。
【0060】
そこで、制御装置20は、機器リストに含まれているにもかかわらず制御装置20に登録されていない機器が存在する場合に通知を行ってもよい。
【0061】
例えば、登録部28は、機器リストに含まれる1つの機器30の登録が完了してから一定期間経過しても機器リストに未登録の機器が含まれていることを検出した場合に、表示部22に通知画面を表示する。
図6は、通知画面の一例である。
【0062】
図6に示されるように、登録部28は、例えば、未登録の機器30の識別情報(名称)を表示部22に表示する。これにより、作業者は、未登録の機器30がどの機器であるかを容易に把握し、未登録の機器30に異常が無いかを容易に確認することができる。
【0063】
なお、登録部28による通知が通知画面の表示によって実現されることは必須ではなく、登録部28による通知は、制御装置20が備えるスピーカ(図示せず)からの出音によって実現されてもよい。また、登録部28による通知は、通知画面の表示、及び、スピーカからの出音を併用して実現されてもよい。
【0064】
[効果等]
以下、本明細書の開示内容から得られる発明を例示し、当該発明から得られる効果等について説明する。
【0065】
発明1は、住宅70に設けられた制御装置20によって実行される通信方法であって、住宅70に設けられた機器30の第1近距離無線通信による接続を受け付ける第1接続ステップS12(またはS36)と、接続された機器30を制御装置20に登録する登録ステップS13(またはS37)と、機器30が制御装置20に接続するために用いられた第1接続情報を、広域通信ネットワーク80に接続可能なルータ40に送信することにより、第1接続情報をルータ40に設定する設定ステップS19とを含む、通信方法である。住宅70は、施設の一例である。
【0066】
このような通信方法によれば、第1接続情報がルータ40に設定されることで、機器30の接続先を制御装置20からルータ40に変更することができる。したがって、通信方法は、住宅70に設けられた機器30をルータ40に接続する作業を簡素化することができる。
【0067】
発明2は、接続情報には、制御装置20の識別情報が含まれる、発明1の通信方法である。
【0068】
このような通信方法によれば、制御装置20の識別情報を含む第1接続情報がルータ40に設定されることで、機器30の接続先を制御装置20からルータ40に変更することができる。したがって、通信方法は、住宅70に設けられた機器30をルータ40に接続する作業を簡素化することができる。
【0069】
発明3は、第1接続ステップS12(またはS36)を行うために制御装置20へ操作を行う人と、設定ステップS19を行うために制御装置20へ操作を行う人とは別人である、発明1または2の通信方法である。
【0070】
このような通信方法によれば、制御装置20に機器30を接続した人(作業者)の当該接続を使用して、機器30をルータ40に接続したい別の人(居住者)の、機器30をルータ40に接続する作業を簡素化することができる。
【0071】
発明4は、さらに、携帯端末50と第2近距離無線通信を行うことにより携帯端末50から機器リストを取得する取得ステップS34を含み、登録ステップS37においては、機器リストに含まれる機器30であって制御装置20に接続された機器30を制御装置20に登録する、発明1~3のいずれかの通信方法である。
【0072】
このような通信方法は、機器リストに含まれる機器30を登録することで、機器リストに含まれない機器30が誤って登録されてしまうことを抑制することができる。
【0073】
発明5は、携帯端末50は、二次元コードを読み取ることで機器リストを取得し、取得した機器リストを第2近距離無線通信により制御装置20へ送信する、発明4の通信方法である。
【0074】
このような通信方法は、携帯端末50が二次元コードを読み取ることで携帯端末50に記憶された機器リストを、携帯端末50から取得することができる。
【0075】
発明6は、第1近距離無線通信の通信規格は、Wi-Fi(登録商標)であり、第1接続ステップは、WPS(Wi-Fi Protected Setup、登録商標)、または、Wi-Fi Easy Connect(登録商標)で規定される手順にしたがって行われる、発明1~5のいずれかの通信方法である。
【0076】
このような通信方法によれば、第1接続ステップS12(またはS36)を行うために制御装置20へ操作を行う人は、第1接続情報を直接入力しなくても機器30を制御装置20に接続させることができる。したがって、通信方法は、第1接続ステップS12(またはS36)を行うために制御装置20へ操作を行う人に制御装置20の第1接続情報が知られてしまうことを抑制することができる。
【0077】
発明7は、発明1~6のいずれかの通信方法を制御装置20に実行させるためのプログラムである。
【0078】
このようなプログラムによれば、第1接続情報がルータ40に設定されることで、機器30の接続先を制御装置20からルータ40に変更することができる。したがって、プログラムは、住宅70に設けられた機器30をルータ40に接続する作業を簡素化することができる。
【0079】
発明8は、住宅70に設けられた制御装置20であって、住宅70に設けられた機器30の第1近距離無線通信による接続を受け付ける第1通信部25と、第1通信部25に接続された機器30を制御装置20に登録する登録部28と、機器30が制御装置20と接続するために用いられた第1接続情報を、第1通信部25を用いて広域通信ネットワーク80に接続可能なルータ40に送信することにより、第1接続情報をルータ40に設定する通信制御部29とを備える、制御装置20である。
【0080】
このような制御装置20によれば、第1接続情報がルータ40に設定されることで、機器30の接続先を制御装置20からルータ40に変更することができる。したがって、制御装置20は、住宅70に設けられた機器30をルータ40に接続する作業を簡素化することができる。
【0081】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0082】
例えば、上記実施の形態では、制御システムは、複数の装置によって実現された。この場合、制御システムが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。また、制御システムは、単一の装置によって実現されてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0084】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0085】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0086】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0087】
例えば、本発明は、上記実施の形態に係る制御装置または制御システムとして実現されてもよい。また、本発明は、制御装置または制御システムが実行する方法として実現されてもよいし、このような方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0088】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
10 制御システム
20 制御装置
21 操作受付部
22 表示部
23 情報処理部
24 記憶部
25 第1通信部
26 第2通信部
27 取得部
28 登録部
29 通信制御部
30 機器
40 ルータ
50 携帯端末
60 気象情報配信サーバ
70 住宅(施設)
80 広域通信ネットワーク