(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150261
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】抱っこ紐
(51)【国際特許分類】
A47D 13/02 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
A47D13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063592
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】野口 日都美
(72)【発明者】
【氏名】森谷 義貴
(57)【要約】
【課題】支持対象とする乳幼児の抱き上げ状態や、成長に応じた仕様変更を可能とし、かつ使用時における乳幼児の快適性を確保することのできる抱っこ紐を提供する。
【解決手段】乳幼児30の身体を支持する抱っこ紐本体12と、使用者40の身体に抱っこ紐本体12を安定支持させる装着手段20と、を有する抱っこ紐10であって、抱っこ紐本体12は、内側面側に配置される背当て部材14と、外側面側に配置されるカバー部材16とを有し、背当て部材14とカバー部材16の少なくとも一方に設けられた幅調整手段を、背当て部材14とカバー部材16との間に折り込み可能な構成としたことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳幼児の身体を支持する抱っこ紐本体と、使用者の身体に前記抱っこ紐本体を安定支持させる装着手段と、を有する抱っこ紐であって、
前記抱っこ紐本体は、内側面側に配置される背当て部材と、外側面側に配置されるカバー部材とを有し、
前記背当て部材と前記カバー部材の少なくとも一方に設けられた幅調整手段を、前記背当て部材と前記カバー部材との間に折り込み可能な構成としたことを特徴とする抱っこ紐。
【請求項2】
前記背当て部材における臀部当接部位は、前記カバー部材における重ね合わせ部位よりも幅が狭い狭幅部を構成しており、
前記幅調整手段は、前記狭幅部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の抱っこ紐。
【請求項3】
前記背当て部材における臀部当接部位は、前記カバー部材における重ね合わせ部位よりも幅が狭い狭幅部を構成しており、
前記幅調整手段は、前記カバー部材における前記重ね合わせ部位の幅を狭める構成であることを特徴とする請求項1に記載の抱っこ紐。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記幅調整手段を前記背当て部材を配置している面と反対側の面に折り込む構成としたことを特徴とする請求項3に記載の抱っこ紐。
【請求項5】
前記背当て部材における臀部当接部位は、前記カバー部材における重ね合わせ部位よりも幅が狭い狭幅部を構成しており、
前記幅調整手段は、前記狭幅部に設けられている第1調整部と、
前記カバー部材における前記重ね合わせ部位の幅を狭める構成である第2調整部とから成ることを特徴とする請求項1に記載の抱っこ紐。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記第2調整部を前記背当て部材を配置している面と反対側の面に折り込む構成としたことを特徴とする請求項5に記載の抱っこ紐。
【請求項7】
前記背当て部材と前記カバー部材の間には、支持対象とする乳児の脚を保持するレッグストラップが備えられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の抱っこ紐。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抱っこ紐に係り、特に乳幼児の成長に伴う変化や、対面抱っこや前向き抱っこなどの抱き上げ状態の変化等、抱き上げ条件の変化への対応に好適な抱っこ紐に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる抱っこ状態で乳幼児を支持することを補助する抱っこ紐は、軽量かつコンパクトなベビーキャリアとして種々の形態が提案されてきている。近年では、特許文献1に開示されているような対面抱っこと前向き抱っこの双方の抱き上げ状態において、乳幼児の快適性を向上させることのできる抱っこ紐や、特許文献2に開示されているような、乳幼児の成長に合わせて仕様を変化させることのできる抱っこ紐なども提案されてきている。
【0003】
特許文献1に開示されている抱っこ紐は、乳幼児を支持する背当て部に対して前向き抱っこした際に鼠径部に当たる部位に狭幅手段を設けて股当て幅を縮小できるようにしている。このような構成を備える事により、幼児を前向き抱っこした際、幼児の脚部(太腿)が外側へ開きすぎるという事を避ける事ができ、幼児の快適性を確保することができる。
【0004】
また、特許文献2に開示されている抱っこ紐は、その基本的な構成は第1形態に開示されているものに相違無く、背当て部における臀部に当接する部位に、一端の接続位置を可変にした支持ベルトを設けるという構成に特徴を持たせている。
【0005】
確かに、特許文献1や特許文献2に開示されている抱っこ紐によれば、種々の抱き上げ形態や、支持対象とする乳幼児の成長に応じて、その仕様を変更することができ、支持状態にある乳幼児の快適性を確保することができると考えられる。しかし、特許文献1や特許文献2に開示されている抱っこ紐はいずれも、調整部箇所を寄せたり広げたりすることで、背当て部の幅調整を行っている。このため、背当て部の幅を狭くした際には、当該箇所を構成する布地に皺が寄り、乳幼児に不快感を与える可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3856625号公報
【特許文献2】特開2022-1255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明では、上記課題を解決し、支持対象とする乳幼児の抱き上げ状態や、成長に応じた仕様変更を可能とし、かつ使用時における乳幼児の快適性を確保することのできる抱っこ紐を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための抱っこ紐は、乳幼児の身体を支持する抱っこ紐本体と、使用者の身体に前記抱っこ紐本体を安定支持させる装着手段と、を有する抱っこ紐であって、前記抱っこ紐本体は、内側面側に配置される背当て部材と、外側面側に配置されるカバー部材とを有し、前記背当て部材と前記カバー部材の少なくとも一方に設けられた幅調整手段を、前記背当て部材と前記カバー部材との間に折り込み可能な構成としたことを特徴とする。
【0009】
また、上記のような特徴を有する抱っこ紐において前記背当て部材における臀部当接部位は、前記カバー部材における重ね合わせ部位よりも幅が狭い狭幅部を構成しており、前記幅調整手段は、前記狭幅部に設けられていると良い。このような特徴を有する事によれば、乳幼児の身体に直接接触する背当て部材における臀部当接部の幅を容易に調節することが可能となる。
【0010】
また、上記のような特徴を有する抱っこ紐において前記背当て部材における臀部当接部位は、前記カバー部材における重ね合わせ部位よりも幅が狭い狭幅部を構成しており、前記幅調整手段は、前記カバー部材における前記重ね合わせ部位の幅を狭める構成とすることができる。このような特徴を有する事によれば、乳幼児を前向き抱っこした際、鼠径部に接触することとなる部位の幅を狭め、乳幼児の脚部が必要以上に開かれてしまうという事態を避けることが可能となる。
【0011】
また、上記のような特徴を有する抱っこ紐における前記カバー部材は、前記幅調整手段を前記背当て部材を配置している面と反対側の面に折り込む構成とすると良い。このような特徴を有する事によれば、生地の折り込みのバリエーションを増やすことができる。
【0012】
また、上記のような特徴を有する抱っこ紐において前記背当て部材における臀部当接部位は、前記カバー部材における重ね合わせ部位よりも幅が狭い狭幅部を構成しており、前記幅調整手段は、前記狭幅部に設けられている第1調整部と、前記カバー部材における前記重ね合わせ部位の幅を狭める構成である第2調整部とから成るものとすることができる。このような特徴を有する事によれば、仕様変更のバリエーションを増やす事ができる。
【0013】
また、上記のような特徴を有する抱っこ紐では、前記カバー部材は、前記第2調整部を前記背当て部材を配置している面と反対側の面に折り込む構成としても良い。このような特徴を有する事により、背当て部材とカバー部材の間に折り込む生地が増えて厚くなり、快適性を損ねる事を防ぐことができる。
【0014】
さらに、上記のような特徴を有する抱っこ紐において前記背当て部材と前記カバー部材の間には、支持対象とする乳児の脚を保持するレッグストラップが備えられているようにすることが望ましい。このような特徴を有する事により、抱っこ紐に収容する乳児の転落事故を防ぐことが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
上記のような特徴を有する抱っこ紐によれば、支持対象とする乳幼児の抱き上げ状態(支持状態)や、成長に応じた仕様変更が可能となる。また、使用時における乳幼児の快適性も確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係る抱っこ紐の形態を示す斜視図である。
【
図3】(A)は、第1調整部を折り込んだ状態の内側面を示す図であり、(B)は、同外側面を示す図である。
【
図4】(A)は、第1調整部を拡開した状態の内側面を示す図であり、(B)は、同外側面を示す図である。
【
図5】乳児を対面抱っこで支持した状態を示す図である。
【
図6】幼児を対面抱っこで支持した状態を示す図である。
【
図7】前向き抱っこで幼児を支持した状態を示す図である。
【
図8】乳児を対面抱っこしてレッグストラップを使用している様子を示す斜視図である。
【
図9】(A)はレッグストラップを引き出した状態を示す図であり、(B)は一方のレッグストラップをホルダに保持させた状態を示す図であり、(C)は双方のレッグストラップをホルダに保持させた状態を示す図である。
【
図10】第2調整部を拡開した状態の外側面を示す図である。
【
図11】第2調整部を折り込んだ状態の外側面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の抱っこ紐に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明を実施する上で好適な形態の1つであり、その効果を奏する限りにおいて、構成の一部に変更を加えたとしても、本発明の一部とみなすことができる。
【0018】
[構成]
本実施形態に係る抱っこ紐10は
図1、
図2に示すように、抱っこ紐本体12と、装着手段20とを基本として構成されている。抱っこ紐本体12は、乳児30a、あるいは幼児30b(以下、総称として乳幼児30と称する場合もある)の身体を支持するための要素であり、少なくとも背当て部材14と、カバー部材16とを有する。なお、児童福祉法等においては乳児を1歳未満と規定しているが、本実施形態における乳児30aや幼児30bに厳密な規定は無く、体の大きさや月齢として、前向き抱っこが可能であると判断できる乳幼児30を幼児30b、それよりも小さな乳幼児30を乳児30aとして説明する。
背当て部材14は、抱っこ紐本体12の内側面側に配置される部材であり、乳幼児30の身体に接触する要素である。
【0019】
本実施形態に係る背当て部材14には、幅調整手段を構成する第1調整部14bが備えられている。第1調整部14bは、
図6に示すように幼児30bを支持した際に、幼児30bの臀部が接触する部位(臀部当接部位)における背当て部材14の幅を広げるように配置された略台形状の片持ち部材である。第1調整部14bは
図3(A)、
図4(A)に示すように、背当て部材14のベース部分14aを基点として片持ち状に配置される部材であるため、背当て部材14のベース部分14aに対して折り込みと張り出しを可能としている。一方で、使用状態において背当て部材14は、乳幼児30の収容体勢に沿って変形するため、湾曲状態となる。そして、臀部当接部位は、詳細を後述するカバー部材16と装着手段20により支持される。このため背当て部材14は、第1調整部14bを折り込んだ状態(狭幅状態:
図3)であっても、第1調整部14bを張り出させた状態(拡幅状態:
図4)であっても、支持対象とする乳幼児30の臀部を安定支持することが可能となる。さらに、第1調整部14bを張り出させた状態で幼児30bを支持した場合には、幼児30bの腿の下側を支えることができ、幼児30bの脚が垂れ下がった状態となる事を防ぐことができる。
【0020】
本実施形態では、背当て部材14の裏面側であって背当て部材14のベース部分14aとカバー部材16との間に第1調整部14bを折り込むことを可能な構成としている。具体的には背当て部材14のベース部分14aは、カバー部材16に対して上端部と下端部のみを係合させており、両者の間には、空間が設けられるように構成されている。なお、ここでいうカバー部材16の下端部とは、厳密な位置の指定では無く、腰ベルト22の接続部分の延長線となる部位を含むものとする。そして、背当て部材14の外側面であって、カバー部材16と重ね合わされている部位と、第1調整部14bの外側面とにはそれぞれ、対応する位置に面ファスナー14c,14dが配置されている。このため、第1調整部14bを折り込んだ際、対応する面ファスナー14c,14d同士が係合し、第1調整部14bの折り込み状態を安定させることが可能となる。
【0021】
カバー部材16は、背当て部材14の外側面側に配置され、詳細を後述する装着手段20に接続されることで乳幼児30の体重を支持する要素である。カバー部材16は
図3(B)、
図4(B)に示すように、少なくとも乳幼児30の背中当接位置から臀部当接位置までを覆い、かつ背当て部材14のベース部分14aよりも幅が広くなるように構成されている。このため、抱っこ紐本体12を外側面側から見た場合には、背当て部材14(ベース部分14a)は、カバー部材16に隠れるかたちとなる。
【0022】
本実施形態に係るカバー部材16には、幅調整手段としての第2調整部16aと、レッグストラップ16bが備えられている。第2調整部16aは、例えば幼児30bを前向きだっこ状態で支持した際に、鼠径部が当接する部位に設けられている。第2調整部16aは、カバー部材16を背当て部材14と重ね合わせた際、背当て部材14のベース部分14aから張り出す部位に相当する。第2調整部16aを折り込むことで、第2調整部16aを配置した部位の幅を狭め、前向き抱っこ状態となる幼児30bの脚部が必要以上に広げられてしまう事を防ぐことができるようになる。なお、第2調整部16aを配置した部位に対応するベース部分14aの幅は、第2調整部16aを折り込んだ際のカバー部材16の幅よりも狭くなるように設定されている。
【0023】
第2調整部16aは、単に折り込むことを可能とする構成としても良いが、本実施形態では、カバー部材16の外側面にボタンやフックなどの係合部18を備えており、第2調整部16aに設けた係合部16a1を、前述の係合部18に係合させることで、カバー部材16の幅を調整することができる構成としている(
図7参照)。すなわち、本実施形態に係る第2調整部16aは、カバー部材16の外側面側に折り込む構成とされている。なお、
図10に示す状態が、第2調整部16aを拡開した状態におけるカバー部材16の外側面を示す図であり、
図11に示す状態が、第2調整部16aを折り込んだ状態におけるカバー部材16の外側面を示す図である。
【0024】
レッグストラップ16bは、支持対象とする乳児30aの脚部を保持する役割を担う要素である。レッグストラップ16bは
図8に示すように、ベルト状の体を成し、その基端をカバー部材16における下端側に配置し、先端にボタンやフックなどの係合部16b1を備える構成としている。本実施形態では
図8に示すように、レッグストラップ16bのベルト部分を乳児30aの脚部に掛け回し、先端の係合部16b1を第2調整部16aに設けた係合部16a1に係合させる構成としている。このような構成とすることで、レッグストラップ16bの使用状態では、乳児30aの脚部はカバー部材16とレッグストラップ16bとの間に保持されることとなる。これにより、使用者が屈んだ際などに、乳児30aが抱っこ紐10から脱落してしまうことを防止することが可能となる。また、本実施形態では
図9の(A)から(C)に示すように、不使用時のレッグストラップ16bを背当て部材14とカバー部材16との間に収納することができる。ここで、
図2に示すように、背当て部材14の外側面にホルダ14eを設け、レッグストラップ16bを保持させるようにしても良い。このような構成とすることで、収納時のレッグストラップ16bを安定保持することが可能となる。
【0025】
このような構成の背当て部材14とカバー部材16を有する抱っこ紐本体12では、背当て部材14はカバー部材16に比べて引張強さや耐久性が低いものとした場合であっても、乳幼児30を安定支持することができる。
【0026】
装着手段20は、抱っこ紐本体12を使用者40の身体に安定支持させるための要素であり、少なくとも腰ベルト22と肩ベルト24を備える構成としている。腰ベルト22は、使用者の腰に巻き付け固定することで、抱っこ紐本体12が横方向にズレることを防止すると共に、抱っこ紐本体12で乳幼児30を支持した際、肩ベルト24を介して使用者の肩に作用する乳幼児30の体重を腰に分散する役割も担う要素である。
【0027】
腰ベルト22は、カバー部材16の下端側、具体的には、臀部を支持する部位の近傍の幅方向端部に接続されている。腰ベルト22には少なくとも、ベルト脱着のためのバックルと、ベルトの長さを調整するためのコキが備えられていれば良い。
【0028】
肩ベルト24は、抱っこ紐本体12と使用者40との間に隙間を形成し、乳幼児30を収容する収容部を形成すると共に、前記収容部に収容支持された乳幼児30の体重を使用者40の肩に作用させる役割を担う要素である。肩ベルト24は、一端部をカバー部材16の上端部における幅方向両端部に接続すると共に、他端部をカバー部材16の長手方向中間部であって、乳幼児30の左右脇腹が位置する部位にそれぞれ接続する構成とされている。このような構成とすることで肩ベルト24は、カバー部材16の一部を介して円環状の体を成すこととなる。このため使用者40は、肩ベルト24とカバー部材16により構成される円環部に腕、及び肩を通すことで、抱っこ紐10を装着することが可能となる。
【0029】
また、本実施形態では、肩ベルト24の中間位置に、対を成す肩ベルト24を締結する締結ベルト26が設けられている。締結ベルト26を設ける事により、肩ベルト24が使用者の肩からズレ落ちてしまう事を防ぐことができ、装着安定性を向上させることが可能となる。上記のような構成の肩ベルトには、その長さを調整するためのコキが設けられ、締結ベルト26には、ベルトの締結、及び解除を成すためのバックルと、締結幅を調整するためのコキが備えられている。
【0030】
[作用・効果]
上記のような構成の抱っこ紐10は、
図5~
図8に示すように、肩ベルト24の円環部に使用者40の肩を通すと共に腰ベルト22を使用者40の腰に巻き付けて装着する。この時、腰ベルト22は、抱っこ紐本体12の下端部と使用者40の腹部との間に隙間が生じないように調節し、肩ベルト24は、抱っこ紐本体12と使用者40の腹部、および胸部との間に、乳幼児30を収容するための隙間を形成するように調節する。
【0031】
[第1調整部の使用]
上記実施形態に係る抱っこ紐10は、以下に示すように複数の使用形態を有する。第1の使用形態は
図5、
図6に示すように、抱っこ紐本体12によって支持される乳児30aまたは幼児30bと、抱っこ紐本体12を装着した使用者40とが向き合った状態となるようにする(対面抱っこ)。この時、乳児30aの臀部が抱っこ紐本体12を構成するカバー部材16の幅に収まる程度である場合には、第1調整部14bを折り込んだ状態を維持する(
図3、
図5に示す形態)。一方、乳幼児30の臀部が抱っこ紐本体12を構成するカバー部材16の幅よりも広い幅を有する場合には、第1調整部14bを背当て部材14におけるベース部分14aの横に張り出させるようにする(
図4、
図6に示す状態)。
【0032】
このように、第1調整部14bの作用により、支持対象とする乳幼児30の月齢や年齢、身長等に応じて、抱っこ紐本体12のサイズを適切なものに変化させ、支持対象とする乳幼児30の快適性を確保することができる。
【0033】
[レッグストラップの使用]
また、上記実施形態に係る抱っこ紐10は第2の使用形態として
図8に示すように、支持対象を乳児30aとする場合には、背当て部材14とカバー部材16との間からレッグストラップ16bを引き出し、このレッグストラップ16bを乳児30aの脚部に掛け回すようにしても良い。このようにしてレッグストラップ16bを使用することで、乳児30aの脚部がレッグストラップとカバー部材との間に保持される。これにより、使用者40が屈んだ際などに、乳児30aが抱っこ紐10から脱落してしまうといった事故を防ぐことが可能となる。
【0034】
[第2調整部の使用]
上記実施形態に係る抱っこ紐10は第3の使用形態として、
図7に示すように、使用者40と幼児30bとが同じ方向を向くように使用(いわゆる前向き抱っこ)することもできる。この場合、第2調整部16aの係合部16a1をカバー部材16の係合部18に係合して折り込むようにする。
【0035】
こうする事により、カバー部材16において幼児30bの鼠径部が当接する部位の幅を狭めることができる。これにより、前向き抱っこの際に幼児30bの脚部が必要以上に拡開してしまう事を防ぐことができる。なお、抱っこ紐10をこのような支持形態で使用する際、第1調整部14bをベース部分14aから張り出させておくと、第1調整部14bは幼児30bの脚部(具体的には太腿あたり)の下に位置することとなり、幼児30bの脚部を支持することができる。これにより、幼児30bの脚部が垂れ下がった状態となることを防ぐことができる。
【0036】
上記のような特徴を有する抱っこ紐10によれば、支持対象とする乳幼児30の抱き上げ状態や、成長に応じた仕様変更が可能となる。また、抱っこ紐本体12を背当て部材14とカバー部材16の二重構造とし、第1調整部14bの折り込みを両部材の間とし、第2調整部16aの折り込みは、カバー部材16の外側面側としているため、折り込み時に生ずる布地のしわなどが乳幼児30に接触する虞がない。このため、抱っこ紐10の使用時における乳幼児30の快適性を確保することができる。
【0037】
なお、上記実施形態では、第2調整部16aは、カバー部材16の外側面側に折り込む旨記載したが、第2調整部16aの折り込みは、背当て部材14とカバー部材16の間であっても良い。
【符号の説明】
【0038】
10………抱っこ紐、12………抱っこ紐本体、14………背当て部材、14a………ベース部分、14b………第1調整部、14c,14d………面ファスナー、14e………ホルダ、16………カバー部材、16a………第2調整部、16a1………係合部、16b………レッグストラップ、16b1………係合部、18………係合部、20………装着手段、22………腰ベルト、24………肩ベルト、26………締結ベルト、30………乳幼児、30a………乳児、30b………幼児、40………使用者。