(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150262
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】タッチパネル及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20241016BHJP
G02F 1/1333 20060101ALI20241016BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G06F3/041 470
G06F3/041 412
G06F3/041 400
G06F3/041 450
G02F1/1333
G02F1/1343
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063594
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003926
【氏名又は名称】弁理士法人イノベンティア
(72)【発明者】
【氏名】竹原 佑亮
(72)【発明者】
【氏名】秋山 泰人
【テーマコード(参考)】
2H092
2H189
【Fターム(参考)】
2H092GA31
2H092GA62
2H092GA64
2H092HA04
2H092NA01
2H092NA14
2H092NA27
2H092QA09
2H189HA10
2H189HA12
2H189JA14
2H189LA28
2H189LA31
(57)【要約】
【課題】導電体の配置を抑えつつタッチの検出感度と静電気の放電のしやすさとを両立できるタッチパネルを提供する。
【解決手段】タッチパネル1は、静電容量の変化に基づく検出信号を出力するタッチセンサ電極12、及び画素電極を含む第1基板10と、第1基板との間に液晶層30を挟んで配置された、カラーフィルタ21を含む第2基板20と、第2基板の上面の、タッチセンサ電極上に配置された高抵抗部41と、第2基板の上面の、高抵抗部を囲む外周に配置された、高抵抗部より低抵抗であって、高抵抗部に接続された低抵抗部42と、低抵抗部を基準電位に接続する導電部材50と、を備える。第2基板の上面は、画素電極上の表示領域E1と、その外側の額縁領域E2と、を有する。タッチセンサ電極は、表示領域を超えて額縁領域まで配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量の変化に基づく検出信号を出力するタッチセンサ電極、及び画素電極を含む第1基板と、
前記第1基板との間に液晶層を挟んで配置された、カラーフィルタを含む第2基板と、
前記第2基板の上面の、前記タッチセンサ電極上に配置された高抵抗部と、
前記第2基板の上面の、前記高抵抗部を囲む外周に配置された、前記高抵抗部より低抵抗であって、前記高抵抗部に接続された低抵抗部と、
前記低抵抗部を基準電位に接続する導電部材と、を備え、
前記第2基板の上面は、前記画素電極上の表示領域と、その外側の額縁領域と、を有し、
前記タッチセンサ電極は、前記表示領域を超えて前記額縁領域まで配置されている
タッチパネル。
【請求項2】
前記第1基板は、第1の方向に並んで配置された複数の前記タッチセンサ電極を有し、
複数の前記タッチセンサ電極のうちの少なくとも端の前記タッチセンサ電極は、前記額縁領域に配置されている
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記タッチセンサ電極を覆うように配置された透明電極を備え、
前記高抵抗部は、前記透明電極の前記タッチセンサ電極上の第1領域であり、
前記低抵抗部は、前記透明電極の前記第1領域を囲む外周部である
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記低抵抗部は、端部が前記第2基板の上面の端部より内側となるように配置されている
請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の静電容量型タッチパネルと、
画像を表示する表示部と、を備え、
前記表示部が画像を表示する表示面上に、前記静電容量型タッチパネルが配置されている
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タッチパネル及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
横電界方式のインセル型の液晶パネルは、液晶駆動用回路及びタッチ電極を備えた第1基板と、カラーフィルタ(CF)を有する第2基板と、これら基板間の液晶層と、を備える。このようなインセル型の液晶パネルでは、第2基板に電極が形成されておらず、第2基板に静電気が帯電すると表示が乱れるおそれがある。静電気による電界によって液晶層の液晶分子の配向が乱れる場合があるためである。
【0003】
特開2012-63839号公報(以下、特許文献1)は、静電気が印加された場合でも表示の乱れを低減することができるタッチ検出機能付き表示装置を開示している。そのタッチ検出機能付き表示装置は、表示動作を行う液晶表示素子と、一方向に延在するように並設され、外部近接物体に応じた静電容量の変化に基づく検出信号をそれぞれ出力する複数のタッチ検出電極と、タッチ検出電極と絶縁または高抵抗で接続され、これらを覆うように配置された導電膜と、検出信号をサンプリングすることにより外部近接物体を検出するタッチ検出部と、を備え、上記導電膜のシート抵抗は所定の値以下であり、かつその導電膜の時定数は、タッチ検出部のサンプリングタイミングにより定まる所定の最小時定数より大きいものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
特許文献1に開示のタッチ検出機能付き表示装置では、液晶表示素子及び複数のタッチ検出電極を覆うように導電膜が配置されるため、時定数が、タッチ検出部のサンプリングタイミングにより定まる所定の最小時定数より大きい導電膜が必要となる。このような導電膜を用いることなく、タッチの検出感度と静電気の放電のしやすさとを両立できるタッチパネル、及び表示装置が望まれる。
【0006】
ある実施の形態に従うと、タッチパネルは、静電容量の変化に基づく検出信号を出力するタッチセンサ電極、及び画素電極を含む第1基板と、第1基板との間に液晶層を挟んで配置された、カラーフィルタを含む第2基板と、第2基板の上面の、タッチセンサ電極上に配置された高抵抗部と、第2基板の上面の、高抵抗部を囲む外周に配置された、高抵抗部より低抵抗であって、高抵抗部に接続された低抵抗部と、低抵抗部を基準電位に接続する導電部材と、を備える。第2基板の上面は、画素電極上の表示領域と、その外側の額縁領域と、を有する。タッチセンサ電極は、表示領域を超えて額縁領域まで配置されている。
【0007】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る表示装置の概略構成図である。
【
図2】
図2は、表示装置に備えられるタッチパネルの概略断面図である。
【
図3】
図3は、タッチパネルの、タッチセンサ電極を含む層の概略平面図である。
【
図4】
図4は、タッチセンサ電極の配置を説明するための概略平面図である。
【
図5】
図5は、タッチパネルに備えられる透明電極の構成を模式的に示す概略平面図である。
【
図6】
図6は、比較例に係るタッチパネルの模式図である。
【
図7】
図7は、比較例に係るタッチパネルの各検出電極の隣接するドライブ電極との間の静電容量の大きさの算出結果を表した図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係るタッチパネルの模式図である。
【
図9】
図9は、第2の実施の形態に係るタッチパネルにおける透明電極の配置を説明するための概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<1.タッチパネル及び表示装置の概要>
【0010】
(1)実施の形態に係るタッチパネルは、静電容量の変化に基づく検出信号を出力するタッチセンサ電極、及び画素電極を含む第1基板と、第1基板との間に液晶層を挟んで配置された、カラーフィルタを含む第2基板と、第2基板の上面の、タッチセンサ電極上に配置された高抵抗部と、第2基板の上面の、高抵抗部を囲む外周に配置された、高抵抗部より低抵抗であって、高抵抗部に接続された低抵抗部と、低抵抗部を基準電位に接続する導電部材と、を備える。第2基板の上面は、画素電極上の表示領域と、その外側の額縁領域と、を有する。タッチセンサ電極は、表示領域を超えて額縁領域まで配置されている。
【0011】
第2基板の上面の、高抵抗部を囲む外周に低抵抗部が配置されることによって、静電気によって高抵抗部に帯電された電荷が抵抗の差によって低抵抗部に移動する。低抵抗部は導電材によって基準電位に接続されているため、低抵抗部に移動した電荷は、導電材を経て素早く放電される。これにより、第2基板の上面への静電気の帯電が抑えられる。その結果、静電気による電界によって液晶層の液晶分子の配向が乱されることが抑えられる。そのため、表示の乱れが抑えられる。すなわち、この構成によって、タッチパネルでは、タッチの検出感度と静電気の放電のしやすさとの両立が図られる。
【0012】
低抵抗部を基準電位に接続する導電部材が設けられることで、低抵抗部から電荷が除去される。そのため、導電体は、例えば導電膜として、タッチパネルの全面や全周に配置することが必要ではない。それにより、狭額縁化、異形化タッチパネルのような、導電膜を全面や全周に配置することが困難であったり、配置され得る箇所が限定されたりするタッチパネルであっても、静電気による電荷を効果的に除去することができる。
【0013】
タッチセンサ電極が表示領域を超えて額縁領域まで配置されていることによって、額縁領域に配置されたタッチセンサ電極がダミー電極として機能する。これにより、表示領域におけるタッチセンサ電極と低抵抗部との間の静電容量の影響を抑えることができる。そのため、表示領域におけるタッチの検出精度の均一性を確保しつつ、静電気を放電することが可能になる。
【0014】
(2)(1)のタッチパネルであって、好ましくは、第1基板は、第1の方向に並んで配置された複数のタッチセンサ電極を有し、複数のタッチセンサ電極のうちの少なくとも端のタッチセンサ電極は、額縁領域に配置されている。これにより、表示領域は、複数のタッチセンサ電極のうちの少なくとも端のタッチセンサ電極よりタッチの検出精度が高い領域とすることができる。
【0015】
(3)(1)又は(2)に記載のタッチパネルは、好ましくは、タッチセンサ電極を覆うように配置された透明電極を備え、高抵抗部は、透明電極の前記タッチセンサ電極上の第1領域であり、低抵抗部は、透明電極の第1領域を囲む外周部である。これにより、高抵抗部と低抵抗部とが、それぞれ単一の透明電極の第1領域と第2領域とで実現され、製造が容易になる。
【0016】
(4)(1)~(3)のいずれかに記載のタッチパネルであって、好ましくは、低抵抗部は、端部が第2基板の上面の端部より内側となるように配置されている。これにより、第2基板の上面の外縁が筐体などに接触した場合であっても、低抵抗部が接触することが防止される。その結果、高抵抗部から低抵抗部に移動した電荷が、筐体などの接触物に移動することが防止される。
【0017】
(5)実施の形態に係る表示装置は、(1)~(4)のいずれかに記載の静電容量型タッチパネルと、画像を表示する表示部と、を備え、表示部が画像を表示する表示面上に、静電容量型タッチパネルが配置されている。(1)~(4)のいずれかに記載の静電容量型タッチパネルでは、タッチの検出感度と静電気の逃しやすさとの両立が図られる。そのため、この静電容量型タッチパネルを搭載した表示装置では、高品質の表示と高い操作性との両立が図られる。
【0018】
<2.タッチパネル及び表示装置の例>
【0019】
[第1の実施の形態]
[表示装置の説明]
図1は、本実施の形態に係る表示装置100の概略構成図である。表示装置100は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ、車載用インフォメーションディスプレイ、及びパーソナルコンピューターとして構成される。
【0020】
表示装置100は、タッチパネル1と、コントローラ2と、を備える。タッチパネル1は、フルインセル型のタッチパネルであって、静電容量型のタッチパネルである。タッチパネル1は、画像を表示する機能、及び、指示体からのタッチ及びタッチ位置を検出する機能を有する。コントローラ2は、タッチパネル1から取得したタッチ位置に基づいて、表示装置100における各制御処理を実行する。
【0021】
[タッチパネルの説明]
タッチパネル1は、第1基板10と第1基板10との間に液晶層30を挟んで配置された第2基板20と、第2基板20の上面に配置された透明電極40とを備える。第2基板20はカラーフィルタ21を含む。第1基板10は、タッチセンサ電極12を含む。タッチセンサ電極12は、静電容量の変化に基づく検出信号を出力する。
【0022】
透明電極40は、タッチセンサ電極12を覆うように配置されている。透明電極40がタッチセンサ電極12を覆うように配置されていることは、平面視で、透明電極40がタッチセンサ電極12に重複していることを指す。透明電極40は、タッチセンサ電極12上の高抵抗部41と、高抵抗部41を囲む外周部であって、高抵抗部41より低抵抗の低抵抗部42と、を有する。低抵抗部42は、導電材50によって基準電位(グランド)に接続されている。すなわち、低抵抗部42は接地されている。
【0023】
図2は、タッチパネル1の概略断面図である。タッチパネル1は、第1基板10と、第2基板20と、第1基板10と第2基板20との間の液晶層30と、第2基板20の上面に配置された透明電極40と、を備える。
【0024】
第2基板20は、カラーフィルタ21を有する。カラーフィルタ21は、上面がガラス基板22に覆われている。透明電極40は、第2基板20の上面、すなわち、ガラス基板22の上面に配置されている。透明電極40は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)などである。透明電極40の最外層が、タッチパネル1のタッチ面を形成する。タッチパネル1は、タッチ面において、指等の指示体によるタッチ操作を受け付ける。
【0025】
液晶層30に含まれる液晶分子の駆動方式は、横電界駆動方式である。そのため、第1基板10はアクティブマトリクス基板であって、電界を形成するための画素電極11とタッチセンサ電極12とを含む。タッチセンサ電極12は、複数の画素電極11に共通に設けられ、複数の画素電極11に対向して配置される共通電極として機能する。
【0026】
第1基板10は、タッチ面側から順に配置された、タッチセンサ電極12、画素電極11、絶縁層15、薄膜トランジスタ層14、及び、ガラス基板10aを有する。薄膜トランジスタ層14は、図示しないゲート線、半導体層、ドレイン電極、ソース線、などを含む。タッチセンサ電極12は、画素電極11を覆うように配置されている。すなわち、タッチセンサ電極12は、平面視で画素電極11に重複して配置されている。
【0027】
図3は、第1基板10におけるタッチセンサ電極12を含む層の概略平面図である。第1基板10には、複数のタッチセンサ電極12が配置されている。複数のタッチセンサ電極12は、マトリクス状に配置されている。複数のタッチセンサ電極12は、ドライブ電極として機能する電極と、検出電極として機能する電極とを含む。
【0028】
タッチセンサ電極12は、例えば、ITOからなる透明電極である。タッチセンサ電極12は、他の例として、IZOからなる透明電極であってもよい。複数のタッチセンサ電極12は、それぞれ、隣り合うタッチセンサ電極12との間の静電容量の変化を検出信号として出力する。そのため、マトリクス状に配置された複数のタッチセンサ電極12それぞれの位置が、タッチ位置を表す座標となる。また、タッチセンサ電極12は、薄膜トランジスタに接続された画素電極11に対向して配置され、液晶層30に電界を生じさせる対向電極(共通電極)を兼ねている。
【0029】
第2基板20の上面であるタッチ面は、表示領域E1と、表示領域E1より外側の額縁領域E2を有する。表示領域E1は、複数の画素電極11が配置される領域を指す。表示領域E1は、指示体によりタッチされた場合に当該タッチをタッチセンサ電極12で検出するタッチ検出領域に相当する。
【0030】
第1基板10には、さらに、タッチ検出用ドライバ53が配置されている。タッチ検出用ドライバ53は、タッチ検出に関する制御処理を行う集積回路を含む。複数のタッチセンサ電極12は、それぞれ、タッチ信号線13によってタッチ検出用ドライバ53に接続されている。
【0031】
タッチ検出用ドライバ53は、検出用駆動信号を、タッチ信号線13を介して複数のタッチセンサ電極12に供給するとともに、検出信号を、タッチ信号線13を介して複数のタッチセンサ電極12から取得する。タッチ検出用ドライバ53は、検出信号に基づいて指示体(例えば、指)によるタッチを検出する。詳しくは、タッチ検出用ドライバ53は、複数のタッチセンサ電極12の各々の静電容量の変化によってタッチを検出する。タッチ検出用ドライバ53は、検出結果をコントローラ2(
図1参照)に送信する。
【0032】
タッチセンサ電極12は、マトリクス状に配置される。タッチセンサ電極12は、表示領域E1を超えて額縁領域E2まで配置されている。すなわち、複数のタッチセンサ電極12のうちの少なくとも最外周に配置されたタッチセンサ電極12Aは、額縁領域E2に配置されている。この場合、額縁領域E2に配置されたタッチセンサ電極12Aはダミーとなる。ダミーとは、タッチの検出に用いられないことを指す。
【0033】
図4は、タッチセンサ電極12の配置を説明するための概略平面図である。複数のタッチセンサ電極12のうちの最外周に配置されたタッチセンサ電極12Aは額縁領域E2に配置され、それより内側のタッチセンサ電極12Bが表示領域E1に配置されている。透明電極40の高抵抗部41は、タッチセンサ電極12を覆うように配置されている。
【0034】
第1基板10はタッチ検出用ドライバ53を有する。タッチ検出用ドライバ53は、タッチ検出に関する制御処理を行う集積回路を含む。複数のドライブ電極12aは、それぞれ、タッチ信号線13によってタッチ検出用ドライバ53に接続されている。また、複数の検出電極12bは、それぞれ、タッチ信号線13によってタッチ検出用ドライバ53に接続されている。
【0035】
[透明電極の構成]
図5は、透明電極40の構成を模式的に示す概略平面図である。透明電極40は、高抵抗部41と低抵抗部42とを有する。高抵抗部41と低抵抗部42とは、例えば、透明電極40の厚みが、高抵抗部41を低抵抗部42よりも大きい。他の例として、透明電極40の材料組成比が異なることで抵抗の差を生じさせてもよい。
【0036】
高抵抗部41の抵抗は、透明電極40とタッチセンサ電極12との静電容量が十分小さくなる抵抗値であればよい。透明電極40とタッチセンサ電極12との静電容量が十分小さくなる抵抗値とは、指等の指示体のタッチによる指示体とタッチセンサ電極12との静電容量の変化に影響を与えない程度の抵抗値を指す。高抵抗部41の抵抗は、透明電極40とタッチセンサ電極12との静電容量が、指示体とタッチセンサ電極12との静電容量と比較して十分小さくなる抵抗値であればよい。好ましくは、高抵抗部41の抵抗は、107Ω以上である。低抵抗部42は、高抵抗部41を囲む外周部である。低抵抗部42の抵抗は、高抵抗部41の抵抗より低い。好ましくは、低抵抗部42の抵抗は、102Ω以下である。
【0037】
高抵抗部41は、タッチセンサ電極12上の領域であって、タッチセンサ電極12を覆う領域である。高抵抗部41がタッチセンサ電極12上の領域であることは、平面視で高抵抗部41がタッチセンサ電極12と重複することを指す。
【0038】
低抵抗部42は、導電材50に接続されている。導電材50は、端子側低抵抗部を構成し、導線を介して低抵抗部42を基準電位(グランド)に電気的に接続する。導電材50は、例えば、銀ペーストでもよいし、銀ペースト以外の銅又は金などの金属によって構成されるものでもよい。導電材50が低抵抗部42に接続することは、例えば、導電材50が低抵抗部42の少なくとも一部に接して配置されてよい。例えば、
図5の例では、矩形の透明電極40の外周部である低抵抗部42の一辺に接して配置され、他の辺には接して配置されていない。
【0039】
[実施の形態の効果]
本実施の形態に係るタッチパネル1では、透明電極40が、タッチセンサ電極12上の高抵抗部41を有することによって、透明電極40の高抵抗部41とタッチセンサ電極12との静電容量が小さくなる。その結果、指等の指示体のタッチによる指示体とタッチセンサ電極12との静電容量の変化が透明電極40とタッチセンサ電極12との静電容量によって妨げられない。そのため、タッチの検出精度の低下が抑えられる。
【0040】
本実施の形態に係るタッチパネル1では、第2基板20の上面に透明電極40が配置されることによって、透明電極40に静電気が帯電する。透明電極40が高抵抗部41を囲む外周部の低抵抗部42を有することによって、高抵抗部41に帯電された電荷が、抵抗の差によって低抵抗部42に移動する。低抵抗部42は導電材50によって接地されているため、高抵抗部41に帯電した電荷は、低抵抗部42及び導電材50を経て、素早く放電される。これにより、第2基板20の上面への静電気の帯電が抑えられる。その結果、静電気による電界によって液晶層30の液晶分子の配向が乱されることが抑えられる。そのため、表示の乱れが抑えられる。
【0041】
本実施の形態に係るタッチパネル1では、導電材50は低抵抗部42と基準電位とを電気的に接続するために配置される。すなわち、本実施の形態に係るタッチパネル1では、タッチセンサ電極12を覆うように導電膜が配置されないため、特殊な時定数を必要とせずにタッチの検出感度と静電気の放電のしやすさとが両立される。
【0042】
本実施の形態に係るタッチパネル1では、導電材50は低抵抗部42と基準電位とを電気的に接続するために配置される。すなわち、本実施の形態に係るタッチパネル1では、導電体は、例えば導電膜として、タッチパネルの全面や全周に配置することが必要とされていない。そのため、狭額縁化、異形化されたタッチパネルのような、導電膜を全周に配置することが困難であったり、配置可能な箇所が限定されたりするタッチパネルであっても、静電気による電荷を効果的に除去することができる。
【0043】
さらに、本実施の形態に係るタッチパネル1は、最外周のタッチセンサ電極12Aを額縁領域E2に配置することによって、タッチセンサ電極12Aと低抵抗部42との間の静電容量の表示領域E1に対する影響を抑えることができる。そのため、表示領域E1におけるタッチの検出精度の均一性を確保しつつ、静電気を逃すことが可能になる。詳しくは、比較例に係るタッチパネル1aと対比して説明する。
【0044】
図6は、比較例に係るタッチパネル1aの模式図である。比較例に係るタッチパネル1aにおいては、タッチセンサ電極12は、表示領域E1にマトリクス状に配置されている。この場合、複数のタッチセンサ電極12のうちの最外周に配置されたタッチセンサ電極12Aは、透明電極40の外周部の低抵抗部42と容量結合する。
【0045】
最外周に配置されたタッチセンサ電極12Aと低抵抗部42との間の静電容量C1は、それより内側のタッチセンサ電極12Bと高抵抗部41との間の静電容量C2より大きい。そのため、比較例に係るタッチパネル1aにおいては、タッチセンサ電極12Aにおける静電容量が静電容量C1の影響を受け、タッチセンサ電極12Bにおける静電容量より大きくなる場合も考えられる。静電容量の大きさは距離に反比例するため、タッチセンサ電極12Bにおける静電容量は低抵抗部42からの影響が少ないためである。
【0046】
図7は、比較例に係るタッチパネル1aの各タッチセンサ電極12における静電容量の大きさの算出結果を表した図である。
図7の高さ方向の軸は、静電容量の大きさを表し、上の方が静電容量が大きい。比較例に係るタッチパネル1aでは、最外周に配置されたタッチセンサ電極12Aにおける静電容量が、それより内側のタッチセンサ電極12Bにおける静電容量よりも大きい。このため、比較例に係るタッチパネル1aにおいては、表示領域E1においてタッチの検出感度のばらつきが生じる可能性が考えられる。すなわち、比較例に係るタッチパネル1aにおいては、表示領域E1の内側の縁部分のタッチの検出精度が、それより内側の検出精度と比較して低い可能性が考えられる。
【0047】
これに対して、
図8は、本実施の形態に係るタッチパネル1の模式図である。本実施の形態に係るタッチパネル1においては、複数のタッチセンサ電極12のうちの最外周に配置されたタッチセンサ電極12Aが額縁領域E2に配置され、表示領域E1より外に位置している。そのため、本実施の形態に係るタッチパネル1では、低抵抗部42と容量結合するタッチセンサ電極12Aが表示領域E1内に位置していない。従って、本実施の形態に係るタッチパネル1では、表示領域E1に配置されているタッチセンサ電極(タッチセンサ電極12B)は、比較例に係るタッチパネル1aよりも静電容量C1の影響を受けにくい。
【0048】
なお、この場合、額縁領域E2に配置されたタッチセンサ電極12Aはダミーとなるため、好ましくは、タッチセンサ電極12Aは、タッチセンサ電極12Bの位置に静電容量C1の影響が及ばないサイズである。タッチセンサ電極12Aのサイズは、例えば、1mm以上である。
【0049】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態に係るタッチパネル1において、透明電極40は、端部が第2基板20の上面の端部より内側となるように配置されている。
図9は、第2の実施の形態に係るタッチパネル1における透明電極40の配置を説明するための概略平面図である。第2の実施の形態に係るタッチパネル1においては、透明電極40は、第2基板20の外縁20Aより内側に配置される。そのため、第2基板20の上面は、外縁20Aの内側に透明電極40が配置されていない無電極領域23を有する。
【0050】
これにより、第2基板20の上面の外縁20Aが筐体などに接触した場合であっても、低抵抗部42が接触せずに無電極領域23が接触する。そのため、高抵抗部41から低抵抗部42に移動した電荷が、筐体などの接触物に移動することが防止される。
【0051】
[変形例]
なお、上の説明では、高抵抗部41と低抵抗部42とが単一の透明電極40の領域として実現されるものとしているが、単一の透明電極40であることは必須ではない。タッチパネル1は、透明電極40に替えて、例えば、タッチセンサ電極12上の高抵抗部材と、高抵抗部材の周囲に配置された、導電材50によって接地された低抵抗部材とを有し、これらが接続されていてもよい。このような場合であっても、高抵抗部材に帯電された電荷が、抵抗の差によって低抵抗部材に移動し、導電材50を経て、素早く放電される。
【0052】
<3.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0053】
1:タッチパネル、10:第1基板、11:画素電極、12,12A,12B:タッチセンサ電極、21:カラーフィルタ、30:液晶層、40:透明電極、41:高抵抗部、42:低抵抗部、50:導電材、100:表示装置、E1:表示領域、E2:額縁領域