(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150266
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】空間光通信システム、空間光通信システムの発局および制御方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/112 20130101AFI20241016BHJP
H04B 10/077 20130101ALI20241016BHJP
【FI】
H04B10/112
H04B10/077
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063601
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】馬場 智義
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA20
5K102AH02
5K102AH26
5K102AL23
5K102AN01
5K102AN05
5K102MB20
5K102MD03
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH22
5K102PB12
5K102PC12
5K102PH01
5K102PH31
5K102PH49
5K102RB02
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】消費電力を低減することができる空間光通信システム、空間光通信システムの発局および制御方法を提供する。
【解決手段】空間光通信システムは、受局と、発局とを備え、受局は、光源と、光源が発した光ビームを発局へ送光する送光光学系と、発局が発した光ビームの反射光を受光する受光光学系と、受光光学系が受光した反射光から所定のセンサ情報を復調して出力する出力部と、を備え、発局は、検知したセンサ情報を表すセンサ信号を出力するセンサ部と、センサ信号を入力する変調部を含み、受局が送光した光ビームを入射し、入射した光ビームを変調部によってセンサ信号に応じて変調して受局へ反射する変調レトロリフレクタと、受局が送光した光ビームを検出する光検出部と、光検出部による光ビームの検出結果に基づいて変調部へ電力を供給したり、遮断したりする電力供給部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受局と、発局とを備え、
前記受局は、
光源と、
前記光源が発した光ビームを前記発局へ送光する送光光学系と、
前記発局が発した前記光ビームの反射光を受光する受光光学系と、
前記受光光学系が受光した前記反射光から所定のセンサ情報を復調して出力する出力部と、
を備え、
前記発局は、
検知した前記センサ情報を表すセンサ信号を出力するセンサ部と、
前記センサ信号を入力する変調部を含み、前記受局が送光した前記光ビームを入射し、入射した前記光ビームを前記変調部によって前記センサ信号に応じて変調して前記受局へ反射する変調レトロリフレクタと、
前記受局が送光した前記光ビームを検出する光検出部と、
前記光検出部による前記光ビームの検出結果に基づいて前記変調部へ電力を供給したり、遮断したりする電力供給部と、
を備える
空間光通信システム。
【請求項2】
前記変調レトロリフレクタの受光軸と前記光検出部の受光軸とは隣接して同一方向を向いていて、
前記送光光学系が、前記変調レトロリフレクタの受光面と前記光検出部の受光面との両方を含むように、前記光源が発した光ビームの広がりを調節して前記発局へ送光する
請求項1に記載の空間光通信システム。
【請求項3】
前記光検出部が、前記光ビームに対応した帯域波長フィルタを有し、前記帯域波長フィルタを介して前記受局が送光した前記光ビームを検出する
請求項2に記載の空間光通信システム。
【請求項4】
前記受局が、前記反射光を撮像する撮像部と、前記撮像部の出力に応じて前記送光光学系と前記受光光学系の向きを変化させる可動部と、を備える
請求項3に記載の空間光通信システム。
【請求項5】
前記受光光学系と前記撮像部とが隣接して設置されていて、
前記変調レトロリフレクタが、前記受光光学系の受光面と前記撮像部の撮像面との両方を含むように、前記反射光に広がりを持たせる
請求項4に記載の空間光通信システム。
【請求項6】
前記受局が、前記受光光学系の受光面と前記撮像部の撮影面とに前記反射光を分割して入射させるビームスプリッタを備える
請求項4に記載の空間光通信システム。
【請求項7】
受局と、発局とを備える空間光通信システムの前記発局であって、
前記受局は、
光源と、
前記光源が発した光ビームを前記発局へ送光する送光光学系と、
前記発局が発した前記光ビームの反射光を受光する受光光学系と、
前記受光光学系が受光した前記反射光から所定のセンサ情報を復調して出力する出力部と、
を備え、
前記発局は、
検知した前記センサ情報を表すセンサ信号を出力するセンサ部と、
前記センサ信号を入力する変調部を含み、前記受局が送光した前記光ビームを入射し、入射した前記光ビームを前記変調部によって前記センサ信号に応じて変調して前記受局へ反射する変調レトロリフレクタと、
前記受局が送光した前記光ビームを検出する光検出部と、
前記光検出部による前記光ビームの検出結果に基づいて前記変調部へ電力を供給したり、遮断したりする電力供給部と、
を備える
空間光通信システムの発局。
【請求項8】
受局と、発局とを備える空間光通信システムの前記発局の制御方法であって、
前記受局は、
光源と、
前記光源が発した光ビームを前記発局へ送光する送光光学系と、
前記発局が発した前記光ビームの反射光を受光する受光光学系と、
前記受光光学系が受光した前記反射光から所定のセンサ情報を復調して出力する出力部と、
を備え、
前記発局は、
検知した前記センサ情報を表すセンサ信号を出力するセンサ部と、
前記センサ信号を入力する変調部を含み、前記受局が送光した前記光ビームを入射し、入射した前記光ビームを前記変調部によって前記センサ信号に応じて変調して前記受局へ反射する変調レトロリフレクタと、
前記受局が送光した前記光ビームを検出する光検出部と、
前記変調部へ電力を供給または遮断する電力供給部と、
を備え、
前記光検出部による前記光ビームの検出結果に基づいて前記変調部へ電力を供給したり、遮断したりするよう前記電力供給部を制御する
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空間光通信システム、空間光通信システムの発局および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1および特許文献2には空間光通信システムの構成例が記載されている。なお、本願において空間光通信とは、データに基づいて変調された自由空間を伝搬する光を用いた通信である。特許文献1に記載されている空間光通信システムでは、レトロリフレクタ(再帰反射器)を用いて、変調したレーザ光線を送信側から送信し、受信側で受信して復調するとともに、折り返し送信側へ反射する際に受信側で反射光変調器によって反射光を変調する。また、特許文献1に記載されている空間光通信システムでは、受信側に赤外光LED(発光ダイオード)の目印を設けるとともに、送信側でCCD(電荷結合素子)カメラを用いて目印を撮影し、撮影した画像に基づいてレーザ光線の方向が調節される。特許文献1に記載されている空間光通信システムでは、照準を自動化することで、固定局間通信に加え、移動体間通信や移動体固定局間通信への利用が可能であるとされる。また、特許文献2では、再帰反射光の光路に設けた光シャッタを用いて反射光の通過と遮断を制御することで反射光が変調される。なお、反射光を変調するための他の構成としては、例えば、レトロリフレクタとMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)変調器とを一体的に構成したもの、レトロリフレクタを構成するミラーとして、MEMS技術を用いて構成したものなどがある。また、レトロリフレクタと反射光の変調器とはまとめて変調レトロリフレクタとも呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-264135号公報
【特許文献2】特開2021-105827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1および特許文献2に記載されている空間光通信システムでは、レトロリフレクタを用いることで一方の装置で光源を省略することができ、重量や消費電力の低減を図ることができる。ただし、反射光を変調するための構成では一定の電力が消費される。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、消費電力を低減することができる空間光通信システム、空間光通信システムの発局および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る空間光通信システムは、受局と、発局とを備え、前記受局は、光源と、前記光源が発した光ビームを前記発局へ送光する送光光学系と、前記発局が発した前記光ビームの反射光を受光する受光光学系と、前記受光光学系が受光した前記反射光から所定のセンサ情報を復調して出力する出力部と、を備え、前記発局は、検知した前記センサ情報を表すセンサ信号を出力するセンサ部と、前記センサ信号を入力する変調部を含み、前記受局が送光した前記光ビームを入射し、入射した前記光ビームを前記変調部によって前記センサ信号に応じて変調して前記受局へ反射する変調レトロリフレクタと、前記受局が送光した前記光ビームを検出する光検出部と、前記光検出部による前記光ビームの検出結果に基づいて前記変調部へ電力を供給したり、遮断したりする電力供給部と、を備える。
【0007】
本開示に係る空間光通信システムの発局は、受局と、発局とを備える空間光通信システムの前記発局であって、前記受局は、光源と、前記光源が発した光ビームを前記発局へ送光する送光光学系と、前記発局が発した前記光ビームの反射光を受光する受光光学系と、前記受光光学系が受光した前記反射光から所定のセンサ情報を復調して出力する出力部と、を備え、前記発局は、検知した前記センサ情報を表すセンサ信号を出力するセンサ部と、前記センサ信号を入力する変調部を含み、前記受局が送光した前記光ビームを入射し、入射した前記光ビームを前記変調部によって前記センサ信号に応じて変調して前記受局へ反射する変調レトロリフレクタと、前記受局が送光した前記光ビームを検出する光検出部と、前記光検出部による前記光ビームの検出結果に基づいて前記変調部へ電力を供給したり、遮断したりする電力供給部と、を備える。
【0008】
本開示に係る制御方法は、受局と、発局とを備える空間光通信システムの前記発局の制御方法であって、前記受局は、光源と、前記光源が発した光ビームを前記発局へ送光する送光光学系と、前記発局が発した前記光ビームの反射光を受光する受光光学系と、前記受光光学系が受光した前記反射光から所定のセンサ情報を復調して出力する出力部と、を備え、前記発局は、検知した前記センサ情報を表すセンサ信号を出力するセンサ部と、前記センサ信号を入力する変調部を含み、前記受局が送光した前記光ビームを入射し、入射した前記光ビームを前記変調部によって前記センサ信号に応じて変調して前記受局へ反射する変調レトロリフレクタと、前記受局が送光した前記光ビームを検出する光検出部と、前記変調部へ電力を供給または遮断する電力供給部と、を備え、前記光検出部による前記光ビームの検出結果に基づいて前記変調部へ電力を供給したり、遮断したりするよう前記電力供給部を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の空間光通信システム、空間光通信システムの発局および制御方法によれば、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る空間光通信システムの構成例を示す模式図である。
【
図2】
図1に示す電源+制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示す電源+制御装置の他の構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図2に示す電源+制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図5】本開示の第2実施形態に係る空間光通信システムの構成例を示す模式図である。
【
図6】本開示の第3実施形態に係る空間光通信システムの構成例を示す模式図である。
【
図7】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
(空間光通信システムの構成)
以下、本開示の実施形態に係る空間光通信システム、空間光通信システムの発局および制御方法について、
図1~
図4を参照して説明する。なお、本願の各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
図1は、本開示の第1実施形態に係る空間光通信システムの構成例を示す模式図である。
図2は、
図1に示す電源+制御装置の構成例を示すブロック図である。
図3は、
図1に示す電源+制御装置の他の構成例を示すブロック図である。
図4は、
図2に示す電源+制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【0012】
図1に示すように空間光通信システム1は、受局2と、発局3とを備える。本実施形態において、発局3はデータを送信する局であり、受局2はデータを受信する局である。発局3と受局2は、例えば、大気中、地上または水上の移動体に搭載されたり、地上または水上に固定あるいは半固定されたりする。発局3と受局2は、一方が移動して他方が固定されていてもよいし、双方が固定または移動していてもよい。また、発局3と受局2は、1または複数とすることができる。また、発局3が移動と固定とを含み、受局2が移動と固定とを含んでいてもよい。
【0013】
受局2は、光源21と、送光光学系22と、分散制御部23と、受光光学系24と、出力部25とを備える。出力部25は、受信機251と、監視装置252とを備える。受信機251は、光電変換器253と、復調器254とを備える。
【0014】
発局3は、光検出器31と、送信機32と、電源+制御装置33と、センサ34とを備える。送信機32は、変調レトロリフレクタ35を備える。変調レトロリフレクタ35は、レトロリフレクタ36と、変調器37とを備える。レトロリフレクタ36と変調器37は一定的に構成されていてもよいし、別々に構成されていてもよい。
【0015】
受局2の光源21は、所定の波長のレーザ光(以下、光ビームともいう)を発生する。送光光学系22は、光源21が発した光ビームを発局3へ送光(照射)する。発局3へ送光される光ビームは、変調されておらず、一定の光強度を有する光信号である。送光光学系22は、例えば位置を調節可能な複数のレンズを備え、1または複数のレンズの位置を変化させることで、発局3へ送光される光ビームの空間的な広がり(光ビームの拡がり角)を調節する。送光光学系22は、例えば、変調レトロリフレクタ35が備えるレトロリフレクタ36の受光面36sと光検出器31の受光面31sとの両方を含むように、光源21が発した光ビームの広がりを調節して発局3へ送光する。分散制御部23は、例えば送光光学系22を構成するレンズの位置を制御することで、送光光学系22による光ビームの広がりの調節を制御する。
【0016】
受光光学系24は、発局3が発した光ビームの反射光を受光する。出力部25は、受光光学系24が受光した反射光から所定のセンサ情報を復調して監視装置252から出力する。出力部25において、光電変換器253は、受光光学系24が受光した反射光を電気信号に変換する。復調器254は、光電変換器253が出力した電気信号を入力し、電気信号からセンサ信号を復調する。センサ信号は、発局3が備えるセンサ34が検知したセンサ情報を表す信号である。センサ情報は、例えば、静止画像、動画像、温度等の情報であるが、これらに限定されない。監視装置252は、復調器254が出力したセンサ信号に基づく情報を例えば監視装置252が備える表示部の画面上に表示する。
【0017】
発局3の光検出器31は、受局2が送光した光ビームを検出する。光検出器31は、光ビームに対応した帯域波長フィルタ311を有し、帯域波長フィルタ311を介して受局2が送光した光ビームを検出する。帯域波長フィルタ311は、例えば光ビームが太陽光等の外乱光に埋もれてしまったり、外乱光を光ビームとして誤検出してしまったりすることを防止する。光検出器31は、太陽光下であっても、受局2が送光した光ビームの有無を検出する。光検出器31は、受局2が送光した光ビームの強さに応じた電流の電気信号を電源+制御装置33に対して出力する。なお、夜間の使用を前提とする場合には帯域波長フィルタ311は省略することができる。また、光検出器31は複数であってもよい。なお、光検出器31は本開示に係る「光検出部」の一構成例である。
【0018】
変調レトロリフレクタ35は、センサ34が出力したセンサ信号を入力する変調器37を含み、受局2が送光した光ビームをレトロリフレクタ36に入射し、入射した光ビームを変調器37によってセンサ信号に応じて変調して受局2へ反射光として反射する。反射光は、入射した光ビームと反対の方向へと反射する光である。また、反射光は、変調器37によって例えば光強度変調された光信号である。変調器37は本開示に係る「変調部」の一構成例である。
【0019】
なお、変調レトロリフレクタ35の受光軸と光検出器31の受光軸とは隣接して同一方向を向いている。ここで、変調レトロリフレクタ35の受光軸は例えば受光面36sに対して垂直な軸であり、光検出器31の受光軸は例えば受光面31sに対して垂直な軸である。この場合、変調レトロリフレクタ35の受光方向と光検出器31の受光方向とは平行である。
【0020】
センサ34は、検知した所定のセンサ情報を表すセンサ信号を出力する。センサ34は、例えば、カメラであり、センサ情報である画像情報を表すデジタル信号をセンサ信号として出力する。ただし、この例に限定されない。また、センサ34は、複数種類のセンサを含んでいてもよい。なお、センサ34は本開示に係る「センサ部」の一構成例である。
【0021】
図2は、電源+制御装置33の構成例を示す。
図2に示す電源+制御装置33は、電力供給部330を備える。電力供給部330は、電源331と、制御部332と、スイッチ333とを備える。電力供給部330は、光検出器31による光ビームの検出結果に基づいて変調器37へ電力を供給したり、遮断したりする。
【0022】
電源331は、二次電池、一次電池、キャパシタ、またはそれらの組み合わせである。電源331は、制御部332に電力を供給するとともに、スイッチ333を介して変調器37とセンサ34に電力を供給する。
【0023】
スイッチ333は、例えば半導体スイッチまたはリレーであり、制御部332によって制御され、電源331から電力を変調器37等へ供給したり、電力の供給を遮断したりする。なお、スイッチ333は、複数のスイッチを含み、変調器37へ供給する電力とセンサ34へ供給する電力を独立して制御してもよい。
【0024】
制御部332は、例えばマイクロコントローラ等のコンピュータである。制御部332は、光検出器31の出力信号を入力し、光検出器31による光ビームの検出結果に基づいてスイッチ333をオン・オフ制御し、変調器37等へ電力を供給したり、電力の供給を遮断したりする。制御部332は、例えば、光検出器31が光ビームを検出している場合、スイッチ333をオンして電力を供給する。また、制御部332は、光検出器31が光ビームを検出していない場合、スイッチ333をオフして電力の供給を遮断する。なお、制御部332は、光検出器31の動作状態が光ビームを検出した状態から検出していない状態に遷移した場合、直ちにスイッチ333をオフしてもよいし、所定時間、検出していない状態が継続した場合にスイッチ333をオフしてもよい。
【0025】
図3は電源+制御装置33の他の構成例を示す。
図1および
図2に示す例では、センサ34が出力したセンサ信号を直接、変調器37へ入力しているが、
図3に示す例では、センサ34が出力したセンサ信号を制御部332へ入力している。
図3に示す例では、制御部332が、センサ信号を入力して保存し、光検出器31が光ビームを検出した場合にスイッチ333をオンするとともに、変調器37へセンサ信号を出力する。
【0026】
(制御部の動作例)
図4は
図2に示す制御部332の動作例を示す。
図4に示す処理は発局3で制御部332が起動した後、所定の周期で繰り返し実行される。
図4に示す処理が開始されると、制御部332は、光検出器31の出力信号を入力する(ステップS1)。次に制御部332は、光検出器31の出力信号のレベルが所定の閾値より大きいか否かを判定する(ステップS2)。光検出器31の出力信号のレベルが所定の閾値より大きい場合(ステップS2:YES)、制御部332は、スイッチ333をオンして、変調器37とセンサ34へ電源331から電力を供給して(ステップS3)、
図4に示す処理を終了する。
【0027】
一方、光検出器31の出力信号のレベルが所定の閾値以下の場合(ステップS2:NO)、制御部332はスイッチ333がオンしているか否かを判定する(ステップS4)。スイッチ333がオンしている場合(ステップS4:YES)、制御部332は、出力信号が閾値以下となってから所定時間が経過しているか否かを判定する(ステップS5)。所定時間が経過していた場合(ステップS5:YES)、制御部332は、スイッチ333をオフして、変調器37とセンサ34への電源331からの電力の供給を遮断して(ステップS6)、
図4に示す処理を終了する。
【0028】
また、スイッチ333がオンしていない場合(ステップS4:NO)、または、所定時間が経過していない場合(ステップS5:NO)、制御部332は、
図4に示す処理を終了する。
【0029】
(作用・効果)
本実施形態によれば、電力供給部330が、光検出器31による光ビームの検出結果に基づいて変調器37へ電力を供給したり、遮断したりするので、電力の供給の制御をしない場合にと比較して消費電力を低減することができる。また、受局2が送光するビーム光を変調せず一定の強度の光信号としているので、光検出器31では安定的にビーム光を検出することができる。
【0030】
<第2実施形態>
図5は、本開示の第2実施形態に係る空間光通信システムの構成例を示す模式図である。
図5に示す空間光通信システム1aは、受局2aと、発局3aとを備える。なお、
図5において末尾に英字「a」を付加した符号を付した構成は、
図1に示す末尾に英字「a」を付加していない符号を付した構成に対応する。例えば、
図5に示す空間光通信システム1a、受局2aおよび発局3aは、それぞれ
図1に示す空間光通信システム1、受局2および発局3に対応する。以下、第1実施形態と第2実施形態の相違点について説明する。
【0031】
第2実施形態の受局2aは、監視カメラ26と、可動部制御装置27と、可動部28とを新たに備える。可動部28は、送光光学系22の向きと受光光学系24の向きと監視カメラ26の向きを水平方向、垂直方向、または、水平および垂直方向に変化させる。なお、送光光学系22の向きと受光光学系24の向きと監視カメラ26の向きは相対的に同一方向に固定されている。
【0032】
監視カメラ26は、発局3aからの反射光を撮影し、撮影した画像を表す画像信号を出力する。可動部制御装置27は、例えばコンピュータを用いて構成され、監視カメラ26が出力した画像信号を入力し、画像信号に含まれる反射光の位置と強度を認識し、認識結果に基づいて可動部28を制御する。可動部制御装置27は、例えば、反射光の強度が最も強くなるように可動部28の方向を制御する。監視カメラ26は本開示に係る「撮像部」の一構成例である。また、受光光学系24と監視カメラ26とは隣接して設置されている。
【0033】
一方、第2実施形態の発局3aは、変調レトロリフレクタ35aを備える。変調レトロリフレクタ35aは、反射光が所定の空間的な広がりを有するように、反射光を出射する。反射光の広がりは、レトロリフレクタ36aの構造を第1実施形態のレトロリフレクタ36と異ならせることで調節しもよいし(場合によっては同一でもよい)、変調器37による変調の掛け方を第1実施形態と異ならせることで調節してもよい。あるいは、変調レトロリフレクタ35aに対してレンズ等の光学系を新たに設けることで反射光の広がりを調節してもよい。変調レトロリフレクタ35aは、例えば、受光光学系24の受光面24sと監視カメラ26の撮像面26sとの両方を含むように、反射光に広がりを持たせる。なお、第2実施形態においても第1実施形態と同様、受局2aからは光ビームが所定の広がりを有するように照射される。したがって、レトロリフレクタ36aへは、再帰反射の許容範囲を超えた光の入射が発生し、完全な再帰反射とならず、「漏れ光」が発生する。したがって、レトロリフレクタ36aからの反射光の広がりは、この「漏れ光」を含めた広がりとなる。
【0034】
第2実施形態によれば、受局2aにおいて発局3aからの反射光を観測し、可動部28を制御することで、受局2aの方向を制御することができる。この場合、例えば特許文献1のように発局3a側に目印を設ける必要はない。
【0035】
<第3実施形態>
図6は、本開示の第3実施形態に係る空間光通信システムの構成例を示す模式図である。
図6に示す空間光通信システム1bは、受局2bと、発局3とを備える。受局2bは、
図5に示す第2実施形態の受局2aに対して、同軸光学系29を新たに備える点が異なる。なお、第1実施形態と第3実施形態とにおいて発局3は同一である。
【0036】
同軸光学系29は、ビームスプリッタ291と、ミラー292とを備える。ビームスプリッタ291は、ミラー292を用いて、受光光学系24の受光面24sと監視カメラ26の撮影面26sとに反射光を分割して入射させる。なお、ミラー292は、監視カメラ26の配置と向きを変更することで省略することができる。
【0037】
第3実施形態によれば、同軸光学系29を配置することで、「漏れ光」が弱い場合であっても、反射光を監視カメラ26で監視できるようになり、可動部28を制御することで、受局2bの方向を制御することができる。
【0038】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0039】
〈コンピュータ構成〉
図7は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ90は、プロセッサ91、メインメモリ92、ストレージ93、および、インタフェース94を備える。
上述の制御部332は、コンピュータ90に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ93に記憶されている。プロセッサ91は、プログラムをストレージ93から読み出してメインメモリ92に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ92に確保する。
【0040】
プログラムは、コンピュータ90に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータは、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。この場合、プロセッサによって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0041】
ストレージ93の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ93は、コンピュータ90のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース94または通信回線を介してコンピュータ90に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ90に配信される場合、配信を受けたコンピュータ90が当該プログラムをメインメモリ92に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ93は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0042】
<付記>
各実施形態に記載の空間光通信システム1、1aおよび1bは、例えば以下のように把握される。
【0043】
(1)第1の態様の空間光通信システム1、1aおよび1bは、受局2、2aまたは2bと、発局3または3aとを備え、前記受局は、光源21と、前記光源が発した光ビームを前記発局へ送光する送光光学系22と、前記発局が発した前記光ビームの反射光を受光する受光光学系24と、前記受光光学系が受光した前記反射光から所定のセンサ情報を復調して出力する出力部25と、を備え、前記発局は、検知した前記センサ情報を表すセンサ信号を出力するセンサ部(センサ34)と、前記センサ信号を入力する変調部(変調器37)を含み、前記受局が送光した前記光ビームを入射し、入射した前記光ビームを前記変調部によって前記センサ信号に応じて変調して前記受局へ反射する変調レトロリフレクタ35または35aと、前記受局が送光した前記光ビームを検出する光検出部(光検出器31)と、前記光検出部による前記光ビームの検出結果に基づいて前記変調部へ電力を供給したり、遮断したりする電力供給部330と、を備える。本態様および以下の各態様によれば、消費電力を低減することができる。
【0044】
(2)第2の態様の空間光通信システム1、1aおよび1bは、(1)の空間光通信システムであって、前記変調レトロリフレクタの受光軸と前記光検出部の受光軸とは隣接して同一方向を向いていて、前記送光光学系が、前記変調レトロリフレクタの受光面と前記光検出部の受光面との両方を含むように、前記光源が発した光ビームの広がりを調節して前記発局へ送光する。本態様によれば、光検出部(光検出器31)が光ビームを容易に感知することができる。
【0045】
(3)第3の態様の空間光通信システム1、1aおよび1bは、(1)または(2)の空間光通信システムであって、前記光検出部が、前記光ビームに対応した帯域波長フィルタ311を有し、前記帯域波長フィルタ311を介して前記受局が送光した前記光ビームを検出する。本態様によれば、外乱光の影響を低減することができる。
【0046】
(4)第4の態様の空間光通信システム1aおよび1bは、(1)~(3)の空間光通信システムであって、前記受局が、前記反射光を撮像する撮像部(監視カメラ26)と、前記撮像部の出力に応じて前記送光光学系と前記受光光学系の向きを変化させる可動部28と、を備える。本態様によれば、受局の方向を自動で制御することができる。
【0047】
(5)第5の態様の空間光通信システム1aおよび1bは、(4)の空間光通信システムであって、前記受光光学系と前記撮像部とが隣接して設置されていて、前記変調レトロリフレクタが、前記受光光学系の受光面と前記撮像部の撮像面との両方を含むように、前記反射光に広がりを持たせる。本態様によれば、反射光を用いて容易に受局の方向を自動で制御することができる。
【0048】
(6)第6の態様の空間光通信システム1aおよび1bは、(4)の空間光通信システムであって、前記受局が、前記受光光学系の受光面と前記撮像部の撮影面とに前記反射光を分割して入射させるビームスプリッタを備える。本態様によれば、反射光が広がりが小さい場合でも、反射光を用いて容易に受局の方向を自動で制御することができる。
【符号の説明】
【0049】
1、1a、1b…空間光通信システム
2、2a、2b…受局
3、3a…発局
21…光源
22…送光光学系
24…受光光学系
25…出力部
26…監視カメラ
28…可動部
29…同軸光学系
291…ビームスプリッタ
31…光検出器
311…帯域波長フィルタ
34…センサ
35、35a…変調レトロリフレクタ
36…レトロリフレクタ
37…変調器
330…電力供給部
332…制御部