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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150288
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】カメラ
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20241016BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20241016BHJP
   G03B 9/02 20210101ALI20241016BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20241016BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20241016BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G02B7/02 E
G02F1/13 505
G03B9/02 E
G02B7/02 H
H04N23/55
H04N23/60 500
G01C3/06 120P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063635
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 良朗
(72)【発明者】
【氏名】仲戸川 博人
(72)【発明者】
【氏名】田中 仁
【テーマコード(参考)】
2F112
2H044
2H080
2H088
5C122
【Fターム(参考)】
2F112AB05
2F112BA12
2F112CA12
2F112DA02
2F112DA32
2H044AE06
2H044AG01
2H080AA04
2H088EA37
2H088EA38
2H088HA08
2H088MA20
5C122DA13
5C122DA30
5C122EA42
5C122FA17
5C122FB03
5C122FB17
5C122FC01
5C122FC02
5C122FF06
5C122FH11
5C122GE05
5C122GE08
5C122GE11
5C122GE18
5C122GE19
5C122HA35
5C122HA88
(57)【要約】
【課題】距離が正確に測定できる画像を撮影するカメラを提供すること。
【解決手段】実施形態に係るカメラは、レンズと、液晶パネルと、撮像素子と、第1駆動回路部品と、カメラ基板と、第2駆動回路部品と、を具備する。光は、レンズと液晶パネルを介して撮像素子に入射される。第1駆動回路部品は、撮像素子を駆動し、撮像素子に対象物の画像を撮影させる。撮像素子と第1駆動回路部品は、カメラ基板に配置される。第2駆動回路部品は、液晶パネルを駆動し、液晶パネルに特定画像を表示させる。液晶パネルは、レンズと撮像素子の間に配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、
液晶パネルと、
前記レンズと前記液晶パネルを介して光が入射される撮像素子と、
前記撮像素子を駆動し、前記撮像素子に対象物の画像を撮影させる第1駆動回路部品と、
前記撮像素子と前記第1駆動回路部品が配置されるカメラ基板と、
前記液晶パネルを駆動し、前記液晶パネルに特定画像を表示させる第2駆動回路部品と、を具備し、
前記液晶パネルは、前記レンズと前記撮像素子の間に配置される、カメラ。
【請求項2】
前記液晶パネルは、前記レンズの開口絞りの位置に配置される、請求項1記載のカメラ。
【請求項3】
前記第1駆動回路部品は、前記第2駆動回路部品による前記特定画像の表示を前記対象物の画像の撮影と同期させる、請求項1記載のカメラ。
【請求項4】
前記第2駆動回路部品は、前記カメラ基板に配置される、請求項1記載のカメラ。
【請求項5】
前記第2駆動回路部品と前記液晶パネルとを接続するフレキシブルプリント配線フィルムをさらに具備する、請求項4記載のカメラ。
【請求項6】
前記液晶パネルは、第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板の間に配置される液晶層と、を備え、
前記第1基板は、複数のアクティブ素子と複数の画素電極を備え、
前記フレキシブルプリント配線フィルムは、前記第1基板に接続される、請求項5記載のカメラ。
【請求項7】
前記第1基板は、前記第2基板よりも前記レンズに近い、請求項6記載のカメラ。
【請求項8】
前記第2基板は、前記第1基板よりも前記レンズに近い、請求項6記載のカメラ。
【請求項9】
前記カメラ基板と前記液晶パネルとを接続するフレキシブルプリント配線フィルムをさらに具備し、
前記第2駆動回路部品は、前記フレキシブルプリント配線フィルムに配置される、請求項1記載のカメラ。
【請求項10】
前記カメラ基板は、アレイ状に配置された複数の半田ボールを備えるボールグリッドアレイ基板であり、
前記液晶パネルは、前記複数の半田ボールを介して前記カメラ基板に接続される、請求項1記載のカメラ。
【請求項11】
前記液晶パネルは、第1基板と、第2基板と、前記第1基板と前記第2基板の間に配置される液晶層と、を備え、
前記第1基板は、複数のアクティブ素子と複数の画素電極を備えるフレキシブルプリント配線基板であり、
前記第1基板は、前記カメラ基板に接続される、請求項1記載のカメラ。
【請求項12】
前記撮像素子により撮影された画像が入力されるプロセッサをさらに具備し、
前記第2駆動回路部品は、少なくとも2枚の前記特定画像を前記液晶パネルに表示させ、
前記プロセッサは、前記少なくとも2枚の特定画像がそれぞれ重畳された少なくとも2枚の前記対象物の画像のぼけの形状に応じて、前記対象物までの距離を計算する、請求項1乃至請求項11のいずれか一項記載のカメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、距離の測定に利用することができる画像を撮影するカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
画像のぼけを利用して画素毎の距離を測定する技術が知られている。特殊なパターンが形成されたフィルタがカメラのレンズに取り付けられ、特殊なパターンが重畳された対象物が撮影される。対象物が合焦状態からずれると、画像はぼやける。ぼけの程度は、対象物が合焦状態からずれる程度に応じている。特殊なパターンが重畳されていると、ぼけの形状は、対象物が合焦位置より手前にある場合と、合焦位置より奥にある場合とで異なる。そのため、画像の画素毎のぼけの程度と形状に基づいて、画素毎の対象物までの距離を測定することができる。特殊なパターンは、符号化パターンと称される。
【0003】
符号化パターンの最適な形状は撮影対象物に応じている。撮影対象物の変化に応じて符号化パターンを変更するためには、フィルタを交換しなければならない。フィルタを交換することは、容易ではない。フィルタを交換しない場合、対象物によっては、距離を正確に測定することが出来ない可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020‐3648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、距離の正確な測定に利用することができる画像を撮影するカメラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るカメラは、レンズと、液晶パネルと、撮像素子と、第1駆動回路部品と、カメラ基板と、第2駆動回路部品と、を具備する。光は、レンズと液晶パネルを介して撮像素子に入射される。第1駆動回路部品は、撮像素子を駆動し、撮像素子に対象物の画像を撮影させる。撮像素子と第1駆動回路部品は、カメラ基板に配置される。第2駆動回路部品は、液晶パネルを駆動し、液晶パネルに特定画像を表示させる。液晶パネルは、レンズと撮像素子の間に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係るカメラの構造の一例を説明するための図。
図2】第1実施形態に係るカメラの一例を説明するための分解斜視図。
図3】第1実施形態に係るカメラの電気的な構成の一例を説明するためのブロック図。
図4】第1実施形態に係るカメラで使用される符号化パターンの一例を説明するための図。
図5】第2実施形態に係るカメラの一例の断面構造を説明するための図。
図6】第2実施形態に係るカメラの一例を示す分解斜視図。
図7】第3実施形態に係るカメラの一例の断面構造を説明するための図。
図8】第4実施形態に係るカメラの一例の断面構造を説明するための図。
図9】第5実施形態に係るカメラの一例の断面構造を説明するための図。
図10】第6実施形態に係るカメラの一例の断面構造を説明するための図。
図11】第7実施形態に係るカメラの一例の断面構造を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態を説明する。以下の説明は、実施形態の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、実施形態の技術的思想は、以下に説明する構成要素の構造、形状、配置、材質等に限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各要素のサイズ、厚み、平面寸法又は形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、互いの寸法の関係や比率が異なる要素が含まれることもある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して重複する説明を省略する場合もある。いくつかの要素に複数の呼称を付す場合があるが、これら呼称の例はあくまで例示であり、これらの要素に他の呼称を付すことを否定するものではない。また、複数の呼称が付されていない要素についても、他の呼称を付すことを否定するものではない。なお、以下の説明において、「接続」は直接接続のみならず、他の要素を介して接続されることも意味する。
【0009】
第1実施形態
図1図2は、第1実施形態に係るカメラ60の一例を説明するための図である。図1(a)は、カメラ60の側面からみた構造の一例を説明するための図である。図1(b)は、カメラ60の上面からみた構造の一例を説明するための図である。
【0010】
カメラ60は、カメラ基板10を含む。カメラ基板10が配置される位置は、カメラ60の下部と称される。カメラ60の複数の構成部品は、カメラ基板10の上面側に配置される。構成部品は、例えば、カメラモジュール12、液晶ドライバ16、及びカメラドライバ18である。図示しないが、抵抗やインダクタンス等のその他の回路部品もカメラ基板10に配置される。カメラ基板10は、カメラの複数の構成部品や回路部品を互いに電気的に接続する配線を含む。
【0011】
カメラモジュール12は、筐体11と、筐体11の内部に配置される撮像素子14を含む。撮像素子14は、カラー画像を撮影する。撮像素子14の例は、CCDセンサやCMOSセンサである。この明細書では、カメラ基板10の両側の中のカメラモジュール12が配置される側は、カメラ基板10の上側と称される。
【0012】
IRフィルタ28、液晶パネル38、遮光板42、カバーボード44、及びレンズモジュール46は、カメラモジュール12の上側に、この順番に配置される。IRフィルタ28は、カメラモジュール12に密着、または略密着されている。液晶パネル38は、IRフィルタ28に密着、または略密着されている。遮光板42は、液晶パネル38に密着、または略密着されている。カバーボード44は、遮光板42に密着、または略密着されている。レンズモジュール46は、カバーボード44に密着、又は略密着されている。
【0013】
フレキシブルプリント配線フィルム20と22の一端は、カメラ基板10に電気的に接続される。液晶ドライバ16は、駆動回路部品である。液晶ドライバ16は、液晶パネル38を駆動し、液晶パネル38に特定画像を表示させる。液晶ドライバ16は、集積回路であり、ICチップとして形成される。液晶ドライバ16は、フレキシブルプリント配線フィルム20を介して、液晶パネル38に駆動信号を供給する。駆動信号は、電圧信号と制御信号を含む。
【0014】
液晶ドライバ16は、液晶パネル38に駆動信号を供給し、液晶パネル38に符号化パターンを表示させることができる。撮像素子14は、符号化パターンが重畳された対象物の画像を撮影する。画素毎の対象物までの距離は、この画像から測定することができる。
【0015】
カメラ60は、距離の測定のための画像を撮影するだけではなく、通常のカメラとして使用してもよい。その場合、液晶ドライバ16は、液晶パネル38に駆動信号を供給し、液晶パネル38に絞りパターンを表示させる。絞りパターンは、光を透過する中心部と、光を遮蔽する周辺部とを有するパターンである。中心部の径は、制御信号により可変される。中心部の径は、光センサ(図示しない)により測定されたカメラの周囲の明るさにより決定される。中心部の径は、カメラの周囲が明るいと小さく、暗いと大きい。
【0016】
カメラドライバ18は、駆動回路部品である。ラドライバ18は、撮像素子14に駆動信号を供給し、撮像素子14に画像を撮影させる。カメラドライバ18は、集積回路であり、ICチップとして形成される。カメラドライバ18は、カメラ基板10を介して、液晶ドライバ16に駆動信号を供給する。カメラドライバ18は、撮像素子14の駆動タイミングに合わせて液晶ドライバ16の駆動タイミングを制御し、撮像素子14による画像の撮影と液晶パネル38による画像(符号化パターン又は絞りパターン)の表示を同期させる。
【0017】
撮像素子14から出力される画像信号は、カメラ基板10を介して、カメラドライバ18に供給される。カメラドライバ18は、フレキシブルプリント配線フィルム22を介して、外部のプロセッサに画像信号を供給する。プロセッサは、画像信号を処理する。画像信号の処理は、距離測定を含む。プロセッサは、フレキシブルプリント配線フィルム22を介して、カメラドライバ18に絞りパターン又は符号化パターンに応じた駆動信号を供給する。カメラドライバ18は、フレキシブルプリント配線フィルム20を介して、液晶パネル38に駆動信号を供給する。プロセッサの詳細は、図3を参照して、後述する。
【0018】
IRフィルタ28は、赤外光以外の光を通過する。IRフィルタ28は、赤外光が撮像素子14に入射されることを防止する。
【0019】
液晶パネル38は、アレイ基板32、液晶層34、及び対向基板36を含む。液晶層34は、対向基板36とアレイ基板32の間に配置される。対向基板36は、液晶層34の下側に配置される。ブラックマトリクス、オーバーコート層、配向膜等が対向基板36に形成されている。液晶パネル38は可視光の透過を制御する又は符号化開口のパターンの制御のために配置されるので、対向基板36は、カラーフィルタを備えていない。対向基板36は、多層基板を有してもよい。アレイ基板32は、液晶層34の上側に配置される。共通電極、画素電極、配向膜、アクティブ素子等が、アレイ基板32に形成されている。アクティブ素子の例は、薄膜トランジスタ(TFT)である。アレイ基板32は多層基板を有してもよい。
【0020】
フレキシブルプリント配線フィルム20は、アレイ基板32又は対向基板36のいずれか一方に電気的に接続される。一例では、フレキシブルプリント配線フィルム20は、アレイ基板32の液晶層34側の表面に接続される。このような構成とすることで、遮光板42とアレイ基板32の隙間を小さくすることができる。アレイ基板32にはフレキシブルプリント配線フィルム20とのコンタクト領域が必要であるので、アレイ基板32は、対向基板36よりもサイズが大きい。
【0021】
フレキシブルプリント配線フィルム20は、アレイ基板32の遮光板42側の表面に接続されてもよい。
【0022】
さらに、フレキシブルプリント配線フィルム20は、対向基板36の表面に接続されてもよい。この場合、対向基板36はフレキシブルプリント配線フィルム20のコンタクト領域が必要であるので、対向基板36は、アレイ基板32よりもサイズが大きい。
【0023】
液晶ドライバ16は、第1電圧信号と第2電圧信号と制御信号を生成する。液晶ドライバ16は、アクティブ素子を介して、第1電圧信号を液晶パネル38の画素電極に供給する。液晶ドライバ16は、第2電圧信号を液晶パネル38の共通電極に供給する。液晶ドライバ16は、制御信号を液晶パネル38のアクティブ素子の制御端子に供給する。制御信号は、表示する画像(符号化パターンまたは絞りパターン)に応じている。アクティブ素子は、表示する画像の画素に応じて、導通/非導通となる。画素電極と共通電極との間に印加される電圧は、画素毎に変化する。液晶層34の透過率は画素毎に変化する。これにより、液晶パネル38は、画像を表示する。
【0024】
遮光板42は、アレイ基板32の上に配置される。遮光板42は、中心部に開口を備える。レンズ48を介して遮光板42に入射される光は、開口を通過して液晶パネル38に入射される。遮光板42の開口以外の部分は、光を透過しない遮光部である。遮光板42は、レンズ48から撮像素子14へ向かう撮像に不要な外光の侵入を制御する。遮光板42を設ける代わりに、アレイ基板32又は対向基板36に遮光板42と同じ遮光パターンを印刷して、アレイ基板32又は対向基板36が遮光板42を兼用してもよい。
【0025】
カバーボード44は、遮光板42の上に配置される。カバーボード44は、レンズモジュール46以外のカメラ60の構成部品、すなわち液晶パネル38及びカメラモジュール12を保護する板状部材である。遮光板42を設ける代わりに、カバーボード44に遮光板42と同じ遮光部のパターンを印刷して、カバーボード44が遮光板42を兼用してもよい。
【0026】
レンズモジュール46は、カバーボード44の上に配置される。レンズモジュール46は、筐体47と、筐体47内に配置されるレンズ48とアクチュエーター50とを含む。レンズ48は、単数のレンズにより構成されてもよいし、複数のレンズにより構成されてもよい。アクチュエーター50は、図示しない配線を介してカメラドライバ18に電気的に接続される。カメラドライバ18は、撮像素子14の出力信号から合焦状態を判定し、レンズ48が合焦状態になるようにアクチュエーター50を駆動してレンズ48を光軸方向に移動する。カメラドライバ18は、例えば2つの画素の出力信号の位相差に基づき合焦状態を判定する。
【0027】
図2は、カメラ60の一例を説明するための分解斜視図である。図2は、フレキシブルプリント配線フィルム20、22を図示省略するが、フレキシブルプリント配線フィルム20、22が接続されるカメラ基板10のコンタクト20a、22aを示す。
【0028】
図3は、カメラ60を含む距離測定システムの電気的な構成を説明するためのブロック図である。カメラ60は、プロセッサ54に接続される。プロセッサ54は、符号化パターンメモリ56に接続される。符号化パターンメモリ56は、対象物の画像に重畳される符号化パターンを表す符号化パターンデータを記憶する。符号化パターンは、対象物が合焦状態からずれると、ずれに応じてぼやけるパターンである。
【0029】
プロセッサ54は、符号化パターンデータに応じた駆動信号をカメラドライバ18に供給する。カメラドライバ18は、撮像素子14の駆動に同期して液晶ドライバ16の駆動タイミングを制御する。
【0030】
撮像素子14から出力される画像信号は、カメラドライバ18を経由して、プロセッサ54に入力される。液晶パネル38は、符号化パターンを表示する、撮像素子14は、符号化パターンが重畳された対象物の画像を撮影する。プロセッサ54は、対象物までの距離に応じた多数のぼけ補正カーネルを備える。プロセッサ54は、対象物の画像の画素毎に画像信号にぼけ補正カーネルを畳み込み演算する。プロセッサ54は、ぼけが最も少なくなる演算結果が得られる補正カーネルを検出し、その補正カーネルに対応する距離を対象物までの距離の測定結果とする。なお、1枚の符号化パターンが重畳された1枚の対象物の画像だけでは、複数の測定結果が得られることがある。この場合、少なくとも2枚の異なる符号化パターンが重畳された2枚の対象物の画像を用いると、ぼけが最も少なくなる演算結果が得られる補正カーネルは1枚となる。
【0031】
プロセッサ54は、画素毎の距離を表す距離画像を表示部52で表示する。距離画像の一例は、各画素を距離に応じた色で表現する画像である。
【0032】
プロセッサ54は、距離情報を表示するだけではなく、距離情報を利用した種々の制御を行ってもよい。例えば、距離測定システムが自走式ロボットに応用される場合、プロセッサ54は、対象物までの距離に応じて、対象物を回避するようにロボットの走行を制御する。
【0033】
図4は、符号化パターンの一例を示す図である。符号化パターンメモリ56は、図4(a)と(b)に示す2枚の互いに異なる符号化パターンを有する符号化パターングループを記憶する。符号化パターンは、対象物が合焦状態からずれる程度に応じてぼけの程度が異なるように決められている。さらに、符号化パターンは、対象物が合焦位置より手前にある場合と、合焦位置より奥にある場合とでぼけの形状が異なるように決められている。すなわち、符号化パターンは点対象の形状はないことが必要である。
【0034】
距離測定のために2枚の符号化パターンを使う必要はなく、場合によっては、1枚の符号化パターンを用いて距離を測定することもできる。また、3枚以上の符号化パターンを用いて距離を測定してもよい。符号化パターンの種類は、対象物の種類や、測定環境に応じて変更可能である。符号化パターンメモリ56は、複数の符号化パターン又は複数の符号化パターングループを記憶し、対象物の種類や、測定環境に応じて符号化パターン又は符号化パターングループが選択されてもよい。
【0035】
第1実施形態によれば、液晶パネル38は、レンズモジュール46とカメラモジュール12の間に配置される。液晶パネル38は、符号化パターンを表示する。撮像素子14は、符号化パターンが重畳された対象物の画像を撮影する。プロセッサ54は、この画像に基づいて対象物までの距離を求めることができる。液晶パネル38が符号化パターンを表示するので、符号化パターンを対象物の種類に応じて簡単に変更することができる。対象物に応じた最適な符号化パターンが用いられる。このため、どのような対象物についても正確に距離を求めることができる。
【0036】
液晶パネル38は、レンズモジュール46とカメラモジュール12の間に配置されるので、レンズモジュール46への光の入射を妨げない。もし、液晶パネル38がレンズモジュール46の前面(対象物側、図1の上側)に配置されていると、液晶パネル38は、レンズモジュール46へ入射される光を妨げてしまう。レンズモジュール46が広範囲で集光するレンズを含む場合、液晶パネル38のサイズは、レンズ48の径よりも大きくする必要がある。広範囲で集光するレンズは、サイズが大きい、曲率が大きい、若しくはそれらの組合せの特徴を持つレンズである。これらのレンズの例は、魚眼レンズ、広角レンズ、及び大口径レンズである。大サイズの液晶パネル38は、歩留まりが悪く、1枚のウェハーから取れる枚数が少なく、高コストである。さらに、大サイズの液晶パネル38は、アレイ基板32と対向基板36の間に設けるスペーサの本数が増える。従って、レンズモジュール46に入射される光がスペーサと干渉し、符号化パターンが歪み、測距精度が低下する。レンズモジュール46とカメラモジュール12の間に配置される液晶パネル38は、レンズモジュール46と略同サイズで済み、低コストである。
【0037】
さらに、レンズモジュール46の前面に液晶パネル38が配置されると、液晶パネル38に入射される光は、斜めに入射される光も含む。光が液晶パネル38の符号化開口を通過後にレンズに入射すると、レンズの歪の影響を受け、符号化パターンは周辺部で歪む。そのため、距離を正確に測定することができない。しかし、第1実施形態によれば、レンズモジュール46を介して液晶パネル38に入射される光は、液晶パネル38の法線方向に沿った光が殆どであるで、周辺部の符号化パターンが歪むことが殆どない。液晶パネル38がレンズモジュール46の開口絞りの位置に配置されると、液晶パネル38に入射される光は、液晶パネル38の法線方向に沿った光のみとなるので、符号化パターンは歪まない。符号化バターンがレンズモジュール46の光入射側に位置していると、符号化パターンとレンズモジュール46内の絞りとの距離が大きくなり、絞りにより符号化パターンが欠ける可能性がある。液晶パネル38がレンズモジュール46の開口絞りの位置に配置されると、レンズを通過した光に対して符号化パターンが欠けることなく付与できるので、液晶パネル38と撮像素子14の位置が多少ずれても、測定する距離の精度が低下することがない。
【0038】
プロセッサ54は、液晶ドライバ16への駆動信号と、カメラドライバ18への駆動信号をカメラドライバ18に送信する。カメラドライバ18は、撮像素子14の撮影と同期して液晶ドライバ16へ駆動信号を供給する。これにより、符号化パターンの表示タイミングと撮像素子14の撮影タイミングが同期し、距離を正しく検出することができる。さらに、カメラドライバ18は、プロセッサ54に直接接続されている。液晶ドライバ16は、カメラドライバ18を介して、プロセッサ54に間接的に接続されている。このため、プロセッサ54と液晶ドライバ16とを接続するフレキシブルプリント配線フィルムは不要となる。
【0039】
第2実施形態
図5は、第2実施形態に係るカメラ60aの側面からみた構造の一例を説明するための図である。図6は、第2実施形態に係るカメラ60aの一例を説明するための分解斜視図である。
【0040】
カメラ60aは、第1実施形態の液晶パネル38の代わりに液晶パネル38aを備える。液晶パネル38aは、アレイ基板32、液晶層34、及び対向基板36を含む。液晶パネル38aは、液晶パネル38とは、アレイ基板32、液晶層34、及び対向基板36の配置の順番が異なる。液晶パネル38aでは、アレイ基板32は、液晶層34の下側に配置される。対向基板36は、液晶層34の上側に配置される。
【0041】
フレキシブルプリント配線フィルム20は、アレイ基板32の液晶層34側の表面に接続される。アレイ基板32にはフレキシブルプリント配線フィルム20とのコンタクト領域が必要であるので、アレイ基板32は、対向基板36よりもサイズが大きい。
【0042】
フレキシブルプリント配線フィルム20は、アレイ基板32のIRフィルタ28側の表面に接続されてもよい。
【0043】
さらに、フレキシブルプリント配線フィルム20は、対向基板36の表面に接続されてもよい。この場合、対向基板36は、フレキシブルプリント配線フィルム20とのコンタクト領域が必要であるので、アレイ基板32よりもサイズが大きい。
【0044】
このような構成の第2実施形態でも、第1実施形態と同様な効果を奏する。
【0045】
第3実施形態
図7は、第3実施形態に係るカメラ60bの側面からみた構造の一例を説明するための図である。
【0046】
第3実施形態は、第1実施形態の変形に関する。液晶ドライバ16がカメラ基板10ではなく、フレキシブルプリント配線フィルム20に配置される点で、カメラ60bは、カメラ60とは異なる。そのため、第3実施形態は、第1実施形態と同様な効果を奏する。さらに、第3実施形態によれば、液晶ドライバ16の設置スペースがカメラ基板10に不要であるので、カメラ基板10の平面サイズを小さくすることができる。液晶ドライバ16に限らず、カメラドライバ18もフレキシブルプリント配線フィルム22に配置されてもよい。
【0047】
第4実施形態
図8は、第4実施形態に係るカメラ60cの側面からみた構造の一例を説明するための図である。
【0048】
第4実施形態は、第2実施形態の変形に関する。液晶ドライバ16がカメラ基板10ではなく、フレキシブルプリント配線フィルム20に配置される点で、カメラ60cは、カメラ60とは異なる。そのため、第4実施形態は、第2実施形態と同様な効果を奏する。さらに、第4実施形態によれば、液晶ドライバ16の設置スペースがカメラ基板10に不要であるので、カメラ基板10の平面サイズを小さくすることができる。液晶ドライバ16に限らず、カメラドライバ18もフレキシブルプリント配線フィルム22に配置されてもよい。
【0049】
第5実施形態
図9は、第5実施形態に係るカメラ60dの側面からみた構造の一例を説明するための図である。
【0050】
第5実施形態は、第2実施形態の変形に関する。液晶ドライバ16と液晶パネル38aを接続する部品として、フレキシブルプリント配線フィルム20の代わりに半田ボール74を用いる点で、カメラ60dは、カメラ60bとは異なる。半田ボール74は、カメラモジュール12の周囲のカメラ基板10aに2次元アレイ状に配置される支持部72の上に配置される。支持部72は内部に配線を含み、半田ボール74は支持部72を介してカメラ基板10に電気的に接続される。カメラ基板10aは、BGA(Ball Grid Array)基板とも称される。
【0051】
第1実施形態乃至第4実施形態において、カメラ基板10とアレイ基板32とを電気的に接続するフレキシブルプリント配線フィルム20は、カメラ基板10とアレイ基板32から周囲に向かって湾曲している。そのため、カメラ60、60a、60b、60cの平面的なサイズは、カメラ基板10より多少大きい。第5実施形態において、カメラ基板10aとアレイ基板32とを電気的に接続する半田ボール74は、アレイ基板32の直下に配置される。そのため、カメラ60dの平面的なサイズがカメラ基板10aより大きくなることがない。
【0052】
第6実施形態
図10は、第6実施形態に係るカメラの一例の断面構造を説明するための図である。
【0053】
第6実施形態は、第1実施形態のアレイ基板32をフレキシブルプリント配線フィルムからなるアレイ基板32aに置き換えたものである。アレイ基板32aの一端は、カメラ基板10に電気的に接続される。
【0054】
第6実施形態は、第1実施形態と同様な効果を奏する。さらに、第6実施形態によれば、アレイ基板とフレキシブルプリント配線フィルムが一体として構成されており、アレイ基板とフレキシブルプリント配線フィルムのコンタクト領域が不要である。そのため、液晶パネル38の平面的なサイズを第1実施形態よりも小さくできるとともに、アレイ基板とフレキシブルプリント配線フィルムとを接続する工程が不要となる。さらに、アレイ基板とフレキシブルプリント配線フィルムとの接続が不安定になることがない。
【0055】
第6実施形態において、第3実施形態のように、液晶ドライバ16をアレイ基板32aに配置してもよい。
【0056】
第6実施形態において、第1実施形態の変形例のように、アレイ基板32ではなく、対向基板36をフレキシブルプリント配線フィルムにより構成してもよい。
【0057】
第7実施形態
図11は、第7実施形態に係るカメラの一例の断面構造を説明するための図である。
【0058】
第7実施形態は、第2実施形態のアレイ基板32をフレキシブルプリント配線フィルムからなるアレイ基板32aに置き換えたものである。アレイ基板32aの一端は、カメラ基板10に電気的に接続される。
【0059】
第7実施形態は、第2実施形態と同様な効果を奏する。さらに、第7実施形態によれば、アレイ基板とフレキシブルプリント配線フィルムのコンタクト領域が不要となる。そのため、液晶パネル38の平面的なサイズを第1実施形態よりも小さくできるとともに、アレイ基板とフレキシブルプリント配線フィルムとを接続する工程が不要となる。さらに、アレイ基板とフレキシブルプリント配線フィルムとの接続が不安定になることがない。
【0060】
第7実施形態において、第4実施形態のように、液晶ドライバ16をフレキシブルプリント配線フィルム32aに配置してもよい。
【0061】
第7実施形態において、第2実施形態の変形例のように、アレイ基板32ではなく、対向基板36をフレキシブルプリント配線フィルムにより構成してもよい。
【0062】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10…カメラ基板、12…カメラモジュール、14…撮像素子、16…液晶ドライバ、18…カメラドライバ、20、22…フレキシブルプリント配線フィルム、32…アレイ基板、34…液晶層、36…対向基板、38…液晶パネル、40…IRフィルタ、42…遮光板、44…カバーボード、46…レンズモジュール、46a…レンズ群、46b…アクチュエーター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11