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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150297
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】フォトマスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/29 20120101AFI20241016BHJP
【FI】
G03F1/29
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063649
(22)【出願日】2023-04-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】302003244
【氏名又は名称】株式会社エスケーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】森山 久美子
(72)【発明者】
【氏名】山田 慎吾
【テーマコード(参考)】
2H195
【Fターム(参考)】
2H195BB03
2H195BB08
2H195BB32
2H195BC11
(57)【要約】
【課題】描画装置アライメントずれの影響を回避しながら、リム部の形状を柔軟に設定が可能な位相シフトマスクの製造方法を提供する。
【解決手段】
本発明のフォトマスクの製造方法は、透過性基板1上に位相シフト膜2、遮光膜3を形成する工程、遮光膜3上にレジスト膜4を形成し、互いに露光量が異なる第1の露光領域41、第2の露光領域42及び第3の露光領域43と、第1の露光領域41と露光量が等しく、一端側が第2の露光領域42、他端側が第1の露光領域41と接する第4の露光領域44を形成し、第3の露光領域43を除去する工程、半透過膜2と遮光膜3とをエッチングし、位相シフト膜パターン2aと第1の遮光膜パターン3aとを形成する工程、第2の露光領域42を除去する工程、第1の遮光膜パターン3aをエッチングし、位相シフト膜パターン2aを部分的に露出する第2の遮光膜パターン3bを形成する工程を含む。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過性基板(1)上に半透過膜(2)を形成し、次いで前記半透過膜(2)上に遮光膜(3)を形成する積層膜形成工程と、
前記遮光膜(3)上にレジスト膜(4)を形成し、
互いに露光量が異なる露光量で、
第1の露光領域(41)、第2の露光領域(42)及び第3の露光領域(43)を順次形成する一方、
前記第1の露光領域(41)を形成する際の露光量と等しい露光量で、
一端側が前記第2の露光領域(42)に接し、他端側が前記第1の露光領域(41)に接する第4の露光領域(44)を形成し、
次いで前記第3の露光領域(43)を選択的に除去する第1のエッチングマスクパターン形成工程と、
前記半透過膜(2)と前記遮光膜(3)とをエッチングし、位相シフト膜パターン(2a)と第1の遮光膜パターン(3a)とを形成する第1のパターニング工程と、
前記第2の露光領域(42)を除去する第2のエッチングマスクパターン形成工程と、
前記第1の遮光膜パターン(3a)をエッチングし、前記位相シフト膜パターン(2a)を部分的に露出する第2の遮光膜パターン(3b)を形成する第2のパターニング工程とを含むことを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項2】
前記第2のパターニング工程において、
前記第4の露光領域(44)をリフトオフして除去する工程を含む
ことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項3】
前記第1のパターニング工程において、
前記第4の露光領域(44)の下部の前記遮光膜(3)を除去する工程を含み、
前記第2のエッチングマスクパターン形成工程において、
前記第4の露光領域(44)を除去する工程を含む
ことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項4】
前記第4の露光領域(44)は前記第2の露光領域(42)に囲まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項5】
前記第4の露光領域(44)は前記第2の露光領域(42)を囲むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項6】
前記積層膜形成工程において、半透過膜(2)を形成後にさらに中間膜(5)を形成し、
前記第1のパターニング工程において、さらに前記中間膜(5)をエッチングし、前記位相シフト膜パターン(2a)と第1の中間膜パターン(5a)と前記第1の遮光膜パターン(3a)とを形成し、
前記第2のパターニング工程において、さらに前記第1の中間膜パターン(5a)をエッチングし、前記位相シフト膜パターン(2a)を部分的に露出する第2の中間膜パターン(5b)を形成することを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項7】
前記積層膜形成工程において、半透過膜(2)を形成後にさらに中間膜(5)を形成し、
前記第1のパターニング工程において、さらに前記中間膜(5)をエッチングし、前記位相シフト膜パターン(2a)と第1の中間膜パターン(5a)と前記第1の遮光膜パターン(3a)とを形成し、
前記第2のパターニング工程において、前記第1の遮光膜パターン(3a)をエッチングし、前記第1の中間膜パターン(5a)を部分的に露出する
ことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項8】
前記半透過膜(2)、前記中間膜(5)及び前記遮光膜(3)は互いに異なる物質から構成されていることを特徴とする請求項6又は7記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項9】
前記中間膜(5)は前記半透過膜(2)と異なる物質から構成され、前記半透過膜(2)と前記遮光膜(3)とは同じ物質から構成されていることを特徴とする請求項6又は7記載のフォトマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォトマスクの製造方法、特に位相シフトマスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトマスクは、液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置(電子デバイス)を製造する際のリソグラフィー工程において使用されている。位相シフトマスクは、リソグラフィー工程において、解像限界以下のより微細なパターンの転写を可能とするために使用されることがある。
【0003】
微細なパターンを転写する際に、フォトマスクのパターン形成に使用される描画装置のアライメントずれは、フォトマスク上のパターンの微細化の妨げとなる。特許文献1、2には、位相シフトマスクのパターン描画の際のアライメントずれの影響を回避し、遮光部に形成した開口部の内側に、ウェットエッチングによるサイドエッチングを利用し、位相シフト部(リム部と称す)を形成する方法が開示されている。この方法によれば、リム部によって露光光の位相が反転され、リソグラフィー工程において、露光対象物上で急峻な露光光強度分布を実現し、電子デバイスのパターンの微細化が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-134435
【特許文献2】特開2017-68281
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2に開示された製造方法によって、遮光パターンに一定幅のリム部を形成することは可能である。
しかしながら、多様な微細なパターンや、密集したホールパターン等においては、各パターン毎に最適なリム部の幅は異なり、必ずしも同一ではない場合がある。
【0006】
上記課題を鑑み、本発明は、描画装置アライメントずれの影響を回避しながら、形成するリム部の形状を柔軟に設定することを可能とする位相シフトマスクの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るフォトマスクの製造方法は、
透過性基板(1)上に半透過膜(2)を形成し、次いで前記半透過膜(2)上に遮光膜(3)を形成する積層膜形成工程と、
前記遮光膜(3)上にレジスト膜(4)を形成し、
互いに露光量が異なる露光量で、
第1の露光領域(41)、第2の露光領域(42)及び第3の露光領域(43)を順次形成する一方、
前記第1の露光領域(41)を形成する際の露光量と等しい露光量で、
一端側が前記第2の露光領域(42)に接し、他端側が前記第1の露光領域(41)に接する第4の露光領域(44)を形成し、
次いで前記第3の露光領域(43)を選択的に除去する第1のエッチングマスクパターン形成工程と、
前記半透過膜(2)と前記遮光膜(3)とをエッチングし、位相シフト膜パターン(2a)と第1の遮光膜パターン(3a)とを形成する第1のパターニング工程と、
前記第2の露光領域(42)を除去する第2のエッチングマスクパターン形成工程と、
前記第1の遮光膜パターン(3a)をエッチングし、前記位相シフト膜パターン(2a)を部分的に露出する第2の遮光膜パターン(3b)を形成する第2のパターニング工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
このようなフォトマスクの製造方法により、表面が露出した位相シフト膜パターンによりリム部を形成でき、リム部の形状を柔軟に設定することができる。また、第4の露光領域の存在により、リム部のパターニング精度を向上させることができる。なお、第1~第4の露光領域の形成順序は特に限定されない。
【0009】
また、上記構成において、前記第2のパターニング工程は、前記第4の露光領域(44)をリフトオフして除去する工程を含んでもよい。
【0010】
このようなフォトマスクの製造方法により、リム部と遮光領域とを同時に画定することができる。
【0011】
また、上記構成において、前記第1のパターニング工程は、
前記第4の露光領域(44)の下部の前記遮光膜(3)を除去する工程を含み、
前記第2のエッチングマスクパターン形成工程において、
前記第4の露光領域(44)を除去する工程を含んでもよい。
【0012】
このようなフォトマスクの製造方法により、リム部と遮光領域とを画定するエッチングマスクパターンの形成ができる。
【0013】
また、上記構成において、前記第4の露光領域(44)は前記第2の露光領域(42)に囲まれてもよい。
【0014】
このようなフォトマスクの製造方法により、種々の形状リム部を備えたホールパターンを形成することができる。
【0015】
また、上記構成において、前記第4の露光領域(44)は前記第2の露光領域(42)を囲んでもよい。
【0016】
このようなフォトマスクの製造方法により、種々の形状リム部を備えたラインパターンを形成することができる。
【0017】
また、上記構成において、前記積層膜形成工程において、半透過膜(2)を形成後にさらに中間膜(5)を形成し、
前記第1のパターニング工程において、さらに前記中間膜(5)をエッチングし、前記位相シフト膜パターン(2a)と第1の中間膜パターン(5a)と前記第1の遮光膜パターン(3a)とを形成し、
前記第2のパターニング工程において、さらに前記第1の中間膜パターン(5a)をエッチングし、前記位相シフト膜パターン(2a)を部分的に露出する第2の中間膜パターン(5b)を形成してもよい。
【0018】
このようなフォトマスクの製造方法により、フォトマスクの製造の自由度を拡大させることができる。
【0019】
また、上記構成において、
前記積層膜形成工程において、半透過膜(2)を形成後にさらに中間膜(5)を形成し、
前記第1のパターニング工程において、さらに前記中間膜(5)をエッチングし、前記位相シフト膜パターン(2a)と第1の中間膜パターン(5a)と前記第1の遮光膜パターン(3a)とを形成し、
前記第2のパターニング工程において、前記第1の遮光膜パターン(3a)をエッチングし、前記第1の中間膜パターン(5a)を部分的に露出してもよい。
【0020】
このようなフォトマスクの製造方法により、リム部の透過率を中間膜により調整することができる。
【0021】
また、上記構成において、
前記半透過膜(2)、前記中間膜(5)及び前記遮光膜(3)は互いに異なる物質から構成されていてもよい。
【0022】
このようなフォトマスクの製造方法により、パターニング精度の向上に寄与することができる。
【0023】
また、上記構成において、
前記中間膜(5)は前記半透過膜(2)と異なる物質から構成され、前記半透過膜(2)と前記遮光膜(3)とは同じ物質から構成されていてもよい。
【0024】
このようなフォトマスクの製造方法により、フォトマスクの製造の自由度を拡大させるとともに、製造コストの低減に寄与することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、描画装置アライメントずれの影響を回避しながら、形成するリム部の形状を柔軟に設定することを可能とする位相シフトマスクの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施形態1によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図2図2は、実施形態1によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図3図3は、実施形態1によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図4図4は、種々のホールパターンの例を非限定的に示す平面図である。
図5図5は、実施形態2によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図6図6は、実施形態2によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図7図7は、実施形態2によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図8図8は実施形態1及び実施形態2によるフォトレジスト膜の形状を比較する模式図である。
図9図9は、ラインパターンへの適用例を示す平面図である。
図10図10は、実施形態2の変形例の主要な製造工程を示す模式図である。
図11図11は、実施形態3によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図12図12は、実施形態3によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図13図13は、実施形態3によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図14図14は、実施形態3の変形例によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図15図15は、実施形態4によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図16図16は、実施形態4によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図17図17は、実施形態5によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図18図18は、実施形態6による、半透過領域HTを形成するための、主要な製造工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、いずれも本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。また、同一又は同種の部材については同じ参照符号を付して、説明を省略することがある。
【0028】
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「面一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0029】
(実施形態1)
図1、2、3は、実施形態1によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。以下、図面を参照して、フォトマスク100の製造方法を説明する。
【0030】
<積層膜形成工程:フォトマスクブランクスの準備>
図1(A)の断面図に示すように、石英ガラス等の透過性基板1を準備する。
透過性基板1は、フォトマスク100を用いたリソグラフィー工程において、フォトマスク上のパターンを露光対象物に転写するための露光光に含まれる代表波長(非限定的に、例えばi線、h線、g線)に対して90%以上(90%≦透過率)の透過率を有する。
なお、露光光はi線、g線、h線のうち少なくとも2つの光を含む混合光であってもよい。
【0031】
次に、透過性基板1上に、半透過性を有する半透過膜2(位相シフト膜)、例えば金属(Cr、Ni、Ti)、金属化合物(Cr系化合物等)、金属シリサイド化合物(例えばMoシリサイド、Zrシリサイド等)、金属窒化物(ZrN等)の材料からなる膜をスパッタ法、蒸着法等により(例えば、非限定的に、膜厚5~20[nm])成膜する。
半透過膜2は位相シフト膜として機能し、露光光に含まれる代表波長に対して、半透過膜2の透過率が3~15%(3%≦透過率≦15%)、位相シフト量が略180°(160°≦位相シフト量≦200°)、さらに好適には170°≦位相シフト量≦190°になるよう設定する。
【0032】
次に、半透過膜2上に、遮光性を有する遮光膜3をスパッタ法、蒸着法等により(例えば、非限定的に、膜厚50[nm]~100[nm])成膜し、透過性基板1上に半透過膜2及び遮光膜3を有するフォトマスクブランクス10を得る。
遮光膜3は、非限定的に、例えば光学濃度(OD値)が2.7以上となるように設定され、例えば金属(Cr、Ni、Ti)、金属化合物、Si系化合物、金属シリサイド化合物から構成され、半透過膜2とエッチング特性が異なる材料から構成される。
例えば、半透過膜2として金属シリサイド、遮光膜3としてCr膜を用いることができるが、これに限定するものではない。
【0033】
なお、上記の工程により透過性基板1上に半透過膜2及び遮光膜3をこの順に形成したフォトマスクブランクスを予め準備しておくことにより、製造工期の短縮も可能である。
【0034】
<第1のエッチングマスク形成工程>
次に図1(B)の断面図に示すように、フォトレジスト膜4(第1のフォトレジスト膜4)を塗布法等により遮光膜3上に形成する。
【0035】
次に図1(C)の断面図、図1(D)の平面図に示すように、描画装置、例えばレーザー描画装置によって、フォトレジスト膜4を露光する。この露光処理によって、フォトレジスト膜4には、第1の露光量(ドーズ)で露光(レーザー描画)された第1の露光領域41、第2の露光量(ドーズ)で露光(レーザー描画)された第2の露光領域42及び第3の露光量(ドーズ)で露光(レーザー描画)された第3の露光領域43が設けられる。
フォトレジスト膜4として、ポジ型レジストを採用する場合、第1の露光量は0(零)であり(第1の露光領域41は未露光領域41であり)、第3の露光量は第2の露光量より大きく設定される。すなわち、第3の露光領域43は第2の露光領域42と比較して高ドーズな領域である。
【0036】
なお、フォトレジスト膜4として、ネガ型レジストを採用した場合、第3の露光領域43、第2の露光領域42及び第1の露光領域41の順に露光量が増大し、第3の露光領域43は未露光領域(第3の露光量が0(零))となる。
【0037】
図1(D)の平面図に示すように、第3の露光領域43の周囲を囲むように第2の露光領域42が形成されている。第2の露光領域42及び第3の露光領域43の形状は、それぞれ独立して決定することができる。
例えば、第2の露光領域42と第3の露光領域43とを、それぞれ個別に描画(露光)してもよいが、第2の露光領域42と第3の露光領域43との和集合となる領域を描画(露光)し、その後、高ドーズの第3の露光領域43を追加的に描画(露光)してもよい。
【0038】
次に、図2(A)の断面図に示すように、第1の現像処理において、例えば、現像時間の調整等により、高ドーズの第3の露光領域43を選択的に除去し、フォトレジスト膜4をパターニングして、第1のエッチングマスクを形成する。未露光領域である第1の露光領域41は溶解せずに残置する。また、第2の露光領域42は、ドーズ量が少ないため膜厚は減少するが、残置することが可能である。第1のエッチングマスクは、第1の露光領域41と第2の露光領域42とから構成される。
なお、選択的に高ドーズな領域を除去する現像処理は、公知の方法を使用することができる。
【0039】
<第1のパターニング工程>
次に、図2(B)の断面図に示すように、フォトレジスト膜4の第1の露光領域41と第2の露光領域42をエッチングマスクにして、遮光膜3を、半透過膜2に対して選択的にエッチングし、第1の遮光膜パターン3aを形成する。
【0040】
次に、図2(C)の断面図に示すように、フォトレジスト膜4の第1の露光領域41と第2の露光領域42をエッチングマスクにして、半透過膜2を、遮光膜3に対して選択的にエッチングし、半透過膜パターン2a(位相シフト膜パターン)を形成する。
半透過膜パターン2aは第1の開口部EPを有し、第1の開口部EPにおいて、透過性基板1の表面が露出する。
なお、エッチングは、好適にはウェットエッチングを採用することができるが、ドライエッチングの採用を排除しない。
【0041】
<第2のエッチングマスクパターン形成工程>
次に、図2(D)の断面図に示すように、第2の現像処理により、第2の露光領域42を選択的に除去する。未露光領域である第1の露光領域41は溶解せずに残置する。第1の露光領域41は第2のエッチングマスクを構成する。
なお、相対的に露光量が低い第2の露光領域42を選択的に除去する現像処理は、公知の方法を使用することができる。
【0042】
<第2のパターニング工程>
次に、図3(A)の断面図に示すように、フォトレジスト膜4の第1の露光領域41をエッチングマスクにして、遮光膜3(第1の遮光膜パターン3a)を、半透過膜2(半透過膜パターン2a)に対して選択的にエッチングし、第2の遮光膜パターン3bを形成する。第2の遮光膜パターン3bは第2の開口部OPを有している。
エッチングは、好適にはウェットエッチングを採用することができるが、ドライエッチングの採用を排除しない。
第2の露光領域42の下部に位置していた遮光膜3は除去され、半透過膜2(半透過膜パターン2a)の表面が露出する。第1の開口部EPの周囲に露出した透過膜2(表面が露出した半透過膜パターン2a)は、リム部RMを構成する。
【0043】
次に、図3(B)の断面図、図3(C)の平面図に示すように、フォトレジスト膜4(第1の露光領域41)をアッシング等により除去する。
図3(C)に示すように、フォトマスク100は、第1の開口部EPと、その第1の開口部EPの周囲に設けられたリム部RMを有するホールパターンを備えている。
具体的には、第2の遮光膜パターン3bに設けられた第2の開口部OPの内側にはリム部RMが設けられ、リム部RMの内側には第1の開口部EPが設けられている。
【0044】
遮光膜3と半透過膜2との積層構造から構成される遮光領域SHは、リム部RMに隣接している。リム部RMの光学特性は半透過膜2により決定され、リム部RMは位相を反転する特性を有する位相シフト領域を構成する。
第2の開口部OPはホールパターンを構成し、露光対象物上に転写される。
フォトマスク100を用いたリソグラフィー工程において、位相シフト領域であるリム部RMにより、第2の開口部OPのエッジでの露光光の強度分布が急峻となり、第2の開口部OPによるホールのパターニング精度が向上する。
【0045】
第1の開口部EPの形状は、第3の露光領域43により決定され、リム部RMの形状は、第2の露光領域42により決定される。
第2の露光領域42及び第3の露光領域43の形状は、レーザー描画装置により独立して制御できるため、遮光領域SHに囲まれた第2の開口部OPと、第2の開口部OPと第1の開口部EPに挟まれたリム部RMの形状は、それぞれ任意の形状とすることができる。
【0046】
図4は、種々のホールパターンの例を、非限定的に示す平面図である。フォトマスク100に異なる幅wのリム部を有するホールパターンや、異なる形状のリム部を有するホールパターンを混在させてもよい。
図4(A)は、同一形状の第1の開口部EPの周囲に異なる幅wのリム部RMを有し、リム部RMを囲むように遮光領域SHが設けられたホールパターンの例を示す。PT-1、PT-2、PT-3の順にリム部RMの幅wが増大する。例えば幅wの非限定的な例として、w=1、2、3μmとすることができる。
【0047】
図4(B)は、同一形状の第1の開口部EPの周囲に異なる形状のリム部RMを有し、リム部RMを囲むように遮光領域SHが設けられたホールパターンの例を示す。
【0048】
PT-4は、第1の開口部EPの周囲に八角形のリム部RMを有し、PT-5は、第1の開口部EPの周囲に八角形のリム部RMを有し、PT-6は、第1の開口部EPの周囲にリム部RMを有さないホールパターンの例を示す。
なお、フォトマスク100にリム部を有するホールパターンとリム部を有しないホールパターンを混在させることも可能である。
【0049】
また、特許文献に記載のような従来の方法によれば、リム幅wはサイドエッチング量により決定される。そのため、リム幅wの長いリム部RMを形成する場合、サイドエッチング量を増大させる必要がある。この場合、リム部RMの角部がラウンド形状となり、所望の形状が得られなくなることがある。
しかし、本発明によれば、第3の露光領域43によってリム部RMの形状が決定されるため、所望の形状のリム部RMを得ることができる。
【0050】
なお、遮光領域SHの形状は、ホールを有する形状に限定されず、ラインパターンであっても良い。しかし、リム部RMの角部の形状の制御性が向上することは、ラインパターンに対して角部の影響が大きいホールパターンにおいて、特に優れた効果を得ることができる。
また、近接補正を施した複雑な遮光パターン形状においても、遮光パターンの形状に応じたリム部RMのパターニングの制御性が向上する。
他の実施形態においても同様に、遮光領域のパターン(遮光パターン)はラインパターンであってもよく、近接補正を施したパターンであってもよい。
【0051】
(実施形態2)
図5、6、7は、実施形態2によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
図8は実施形態1及び実施形態2によるフォトレジスト膜の形状を比較する模式図である。
図9はラインパターンへの適用例を示す平面図である。
図10は実施形態2の変形例の主要な製造工程を示す模式図である。
以下、図面を参照して、フォトマスク100の製造方法を説明する。
【0052】
<積層膜形成工程:フォトマスクブランクスの準備>
実施形態1と同様に、図5(A)の断面図に示すように、石英ガラス等の透過性基板1を準備し、半透過膜2及び遮光膜3を形成する。
【0053】
<第1のエッチングマスク形成工程>
次に、図5(B)の断面図に示すように、フォトレジスト膜4を塗布法等により遮光膜3上に形成する。
【0054】
次に図5(C)の断面図、図5(D)の平面図に示すように、描画装置、例えばレーザー描画装置によって、フォトレジスト膜4を露光する。
この露光処理によって、フォトレジスト膜4には、第1の露光量(ドーズ)で露光(レーザー描画)された第1の露光領域41、第2の露光量で露光された第2の露光領域42及び第3の露光量で露光された第3の露光領域43が設けられ、さらに第1の露光量と等しい第4の露光量で露光された第4の露光領域44が設けられる。
実施形態1と同様に、フォトレジスト膜4として、ポジ型レジストを採用する場合、第1の露光量及び第4の露光量は0(零)であり、第3の露光量は第2の露光量より大きく設定される。すなわち、第3の露光領域43は第2の露光領域42と比較して高ドーズな領域であり、第1の露光領域41と第4の露光領域44は露光されていない未露光領域である。なお、フォトレジスト膜4として、ネガ型レジストを採用することも可能である。
【0055】
図5(D)の平面図に示すように、第4の露光領域44は第3の露光領域43の周囲を囲むように形成され、さらに第2の露光領域42は第4の露光領域44の周囲を囲むように形成され、第1の露光領域41は第2の露光領域42の周囲を囲むように形成されている。すなわち、第2の露光領域42は、第1の露光領域41と第4の露光領域44との間に位置し、第1の露光領域41と第4の露光領域44とに接している。さらに第4の露光領域44は第3の露光領域43に接するように形成されている。従って、第4の露光領域44の一端は第2の露光領域42に接し、その他端は第3の露光領域43に接する。
【0056】
後述するように、第4の露光領域44は、パターニング精度をさらに向上させるため、フォトレジスト膜4のエッジ形状を改善する補助領域であり、第4の露光領域44の幅は、第3の露光領域43の幅及び第2の露光領域42の幅より小さく設定することができる。第4の露光領域44の幅は、例えば0.1μm~0.5μmの幅とし、フォトマスク100を用いたリソグラフィー工程の解像限界以下に設定することができるが、これに限定するものではない。
【0057】
次に、図6(A)の断面図に示すように、図2(A)に示す工程と同様に、第1の現像処理により、高ドーズの第3の露光領域43を選択的に除去して、第1のエッチングマスクを形成する。この工程においては、第1のエッチングマスクは第1の露光領域41、第2の露光領域42及び第4の露光領域44から構成され、第2の露光領域42は第1の露光領域41と第4の露光領域44との間に形成されている。第3の露光領域43が除去されるため、第4の露光領域44は開口部を囲む構成となる。
【0058】
<第1のパターニング工程>
次に、図6(B)の断面図に示すように、フォトレジスト膜4の第1の露光領域41、第2の露光領域42及び第4の露光領域44をエッチングマスクにして、遮光膜3を、半透過膜2に対して選択的にエッチングし、第1の遮光膜パターン3aを形成し、半透過膜2の表面を部分的に露出する。
【0059】
次に、図6(C)の断面図に示すように、フォトレジスト膜4の第1の露光領域41、第2の露光領域42及び第4の露光領域44をエッチングマスクにして、半透過膜2を、遮光膜3に対して選択的にエッチングし、半透過膜パターン2a(位相シフト膜パターン)を形成する。
半透過膜パターン2aは第1の開口部EPを有し、第1の開口部EPにおいて、透過性基板1の表面が露出する。
【0060】
なお、図6(D)の断面図に示すように、適宜、半透過膜パターン2aに対して、オーバーエッチングを施し、第1の開口部EPの幅を調整(距離Da拡大)してもよい。
例えば、実施形態1の第2の露光領域42の内側に第4の露光領域44を追加すると、第1の開口部EPの幅が短縮することとなる。しかし、第1の開口部EPに露出する半透過膜パターン2aの側壁をサイドエッチングすると、第1の開口部EPを調整することができる。
なお、第2の露光領域42の幅と第4の露光領域44の幅を調整し、リム部RMの幅及び形状を規定するように設計し、本オーバーエッチングを不要としてもよい。
【0061】
<第2のエッチングマスクパターン形成工程>
次に、図7(A)の断面図に示すように、第2の現像処理により、第2の露光領域42を選択的に除去し、第2のエッチングマスクを形成する。なお、未露光領域である第1の露光領域41及び第4の露光領域44は溶解せず、第2のエッチングマスクは第1の露光領域41及び第4の露光領域44から構成される。
なお、本現像処理は公知の方法を使用することができる。
【0062】
<第2のパターニング工程>
次に、図7(B)の断面図に示すように、第2のエッチングマスクをマスクにして、第1の遮光膜パターン3aを、半透過膜2(半透過膜パターン2a)に対して選択的エッチングし、半透過膜パターン2aの表面を部分的に露出する第2の遮光膜パターン3bを形成する。実施形態1と同様に、第2の遮光膜パターン3bは第2の開口部OPを有している。
【0063】
エッチングは等方エッチングであるウェットエッチングが好適に採用できる。
第4の露光領域44の幅は狭いため、等方エッチングにより第4の露光領域44の両サイドから遮光膜3(第1の遮光膜パターン3a)がエッチングされると、第4の露光領域44がリフトオフにより除去され、さらに第4の露光領域44の下部の遮光膜3(第1の遮光膜パターン3a)も除去される。一方、第1の露光領域41は除去されずに残置する。
第2の露光領域42及び第4の露光領域44の下部に位置していた遮光膜3(第1の遮光膜パターン3a)は除去され、半透過膜2(半透過膜パターン2a)の表面が部分的に露出する。第1の開口部EPの周囲に露出した透過膜2(半透過膜パターン2a)は、リム部RMを構成する。第1の開口部EPはリム部RMと隣接し、リム部RMに囲まれる。
このように、本エッチング工程において、同一の露光量の第1の露光領域41と第4の露光領域44のうち、第4の露光領域44のみを選択的に除去できるため、リム部RMと遮光領域SHとを同時に画定することができる。
【0064】
次に、図7(C)の断面図、図7(D)の平面図に示すように、フォトレジスト膜4(第1の露光領域41)をアッシング等により除去する。
図7(D)に示されるフォトマスク100は、図3(C)に示されるフォトマスク100と同様の構成となる。
具体的には、遮光領域SHに設けられた第2の開口部OPの内側にはリム部RMが設けられ、リム部RMの内側には透過性を有する第1の開口部EPが設けられている。リム部RMは、半透過膜パターン2aから構成され、位相を反転する特性を有する位相シフト領域を構成する。遮光領域SHは、第2の遮光膜パターン3b及び半透過膜パターン2aの積層から構成される。
【0065】
図8は、第4の露光領域44の効果を示す模式図であり、実施形態1と実施形態2のフォトレジスト膜の形状を比較して示す。
図8(A)は、実施形態1における図2(A)に示す第2の露光領域42のエッジ部(除去された第3の露光領域43との境界部)近傍を示す拡大断面図であり、図8(B)は図2(A)に示す工程における平面図の拡大図である。図8(B)は、第2の露光領域42のエッジ部の形状を強調して示す。
図8(C)は、実施形態2における図6(A)に示す第4の露光領域44近傍を模式的に示す拡大断面図である。
【0066】
第1の現像処理により、高ドーズの第3の露光領域43は選択的に除去される。第2の露光領域42は、第3の露光領域43と比較して露光量は低く、現像液の溶解度が相対的に低くなるものの、第2の露光領域42は部分的に現像液に溶解する。
そのため、図8(A)に示すように、第2の露光領域42はテーパー形状となり、特にそのエッジ部には裾引部42e(テール部)が発生する。裾引部42eのフォトレジスト膜4の膜厚は薄く、ばらつきが大きい。そのため、図8(B)の平面図に示すように、第2の露光領域42と遮光膜3との境界を示す裾引部42eの形状は凹凸(ラフネス)を有する。その結果、第2の露光領域42をエッチングマスクにして形成された第1の開口部EPの周縁部の形状に凹凸が生じ、パターニング精度が劣化する。
【0067】
一方、図8(C)は、未露光領域である第4の露光領域44のエッジ部44eの形状を示す断面である。エッジ部44eは、第4の露光領域44と、最も高ドーズな領域である第3の露光領域43との境界に対応する。第4の露光領域44は最も現像液の溶解度が低い領域であり、第3の露光領域43は最も現像液の溶解度が高い領域である。
本来、フォトレジスト膜4の形状は、所定量以上の露光量により露光された領域と未露光領域との境界の形状が急峻になり、裾引き発生が最小となるように最適化されている。
従って、エッジ部44eは、フォトレジスト膜4の最適化された急峻な形状を有することができる。
その結果、実施形態2のようにフォトレジスト膜4に第4の露光領域44を追加的に設けることにより、実施形態1と比較して、第1の開口部EPのパターニング精度が向上する。
【0068】
なお、第2の露光領域42は部分的に現像液に溶解するため、第4の露光領域44と第2の露光領域42との境界部において、第2の露光領域42はテーパー形状となるが、第1の開口部EPのパターニング精度に影響はない。
【0069】
なお、図8は形成する遮光膜3のパターンがホールパターンの例について説明するが、ホールパターンに限定されず、ラインパターンであっても良い。遮光膜3のパターンのエッジの凹凸(ラフネス)を低減し、パターニング精度を向上させることができる。
【0070】
図9はラインパターンに適用する例を示し、異なるリム部を有するラインパターンを示す平面図である。
図9(A)は、図5(D)に相当し、遮光膜3上に形成されたフォトレジスト膜4の第1の露光領域41、第2の露光領域42、第3の露光領域43及び第4の露光領域44を示す平面図である。図9(A)は、異なる幅のリム部RMを有する2つのラインパターン(PT-1、PT-2)を示す。
第4の露光領域44の一端側は第3の露光領域43に接し、第4の露光領域44の他端側は第2の露光領域42に接している。
また、第2の露光領域42は、ラインパターンに相当する第1の露光領域41を囲むように形成され、第1の露光領域41に接している。さらに、第4の露光領域44は、第2の露光領域42に接し、第2の露光領域42を囲むように形成されている。
【0071】
図9(B)は、遮光膜3及び半透過膜2がパターニングされて形成されたラインパターンを示す平面図であり、異なる幅のリム部RMを有する2つのラインパターン(PT-1、PT-2)の例を示す。遮光領域SHに接して、遮光領域SHを囲むようにリム部RMが設けられている。リム部RMの外側は透過性基板1が露出する透過領域TRである。
第4の露光領域44はリム部RMの外周形状を決定し、ラインパターンのパターニング精度を向上させる。
【0072】
以下、実施形態2の変形例について説明する。
実施形態2においては、第4の露光領域44は、第1の遮光膜パターン3aのエッチング処理によりリフトオフされる構成であった。
第4の露光領域44の下部の遮光膜3をエッチングするためには、第4の露光領域44の両側からのサイドエッチングが必要となる。この場合、第1の露光領域41の下部の第1の遮光膜パターン3aの側壁がエッチングされ、第1の露光領域41の周縁より後退することがある。
特に、第4の露光領域44の幅が長い場合、第2の遮光膜パターン3bの側壁の後退量が大きくなり、リム部RMの幅が、第2の露光領域42及び第4の露光領域44により決定される幅より広くなる。
以下では、第1の遮光膜パターン3aのサイドエッチングにより、リム部RMの幅が増大することを防止又は軽減可能なフォトマスクの製造方法について説明する。
【0073】
<第1のパターニング工程>
図10(A)の断面図に示すように、図6(B)に示す工程において、遮光膜3を、半透過膜2に対して選択的にエッチングし、第1の遮光膜パターン3aを形成する。
その後、さらに第1の遮光膜パターン3aの側壁面が、第4の露光領域44の端面より距離Ed後退し、第2の露光領域42の下部に位置するよう、第1の遮光膜パターン3aをサイドエッチング(オーバーエッチング)する。すなわち、後退距離Edを第4の露光領域44の幅wと同一又はそれ以上とすることで、第4の露光領域44の下部の遮光膜3は除去される。後退距離Edを第4の露光領域44の幅wと同一とした場合、第1の遮光膜パターン3aの側壁面は、第2の露光領域42の端面と面一になる。
【0074】
次に図10(B)の断面図に示すように、フォトレジスト膜4の第1の露光領域41、第2の露光領域42及び第1の遮光膜パターン3aをエッチングマスクにして、半透過膜2を、遮光膜3(第1の遮光膜パターン3a)に対して選択的にエッチングし、半透過膜パターン2a(位相シフト膜パターン)を形成する。
半透過膜パターン2aは第1の開口部EPを有し、第1の開口部EPにおいて、透過性基板1の表面が露出する。第1の開口部EPの形状は、第1の遮光膜パターン3aにより決定される。図10(B)に示すように、第1の開口部EPの幅Rは、第4の露光領域44の開口部により決定される幅rより大きくなる(R=r+2Ed)。
なお、第4の露光領域44の下部の遮光膜3はエッチングされるが、第4の露光領域44は第2の露光領域42と繋がっているため、本工程において、第4の露光領域44は除去されない。
【0075】
<第2のエッチングマスクパターン形成工程>
次に図10(C)の断面図に示すように、図7(A)に示す工程と同様に、第2の現像処理により、第2の露光領域42を選択的に除去する。未露光領域である第4の露光領域44は現像液に溶解しない。しかし、第2の露光領域42が現像液により溶解し除去されるため、第2の露光領域42に支えられていた第4の露光領域44も除去される。
なお、第1の露光領域41は溶解せず、第1の遮光膜パターン3a上に残置する。第2のエッチングマスクは第1の露光領域41のみから構成され、第4の露光領域44を含まない点で図7(A)に示す第2のエッチングマスクと異なる。
露光量が等しい(未露光の)第1の露光領域41と第4の露光領域44のうち、第4の露光領域44を選択的に除去し、リム部RMを形成するための第4の露光領域44の除去と、遮光領域SHを保護(マスク)する第1の露光領域41の保持を両立させることができる。
【0076】
<第2のパターニング工程>
次に図10(D)の断面図に示すように、第1の露光領域41をエッチングマスクにして、第1の遮光膜パターン3aを、半透過膜2(半透過膜パターン2a)に対して選択的エッチングし、半透過膜パターン2aの表面を部分的に露出する第2の遮光膜パターン3bが形成される。
【0077】
その後、図7(C)に示す工程と同様にフォトレジスト膜4をアッシング等により除去する。
【0078】
第2のパターニング工程において、第2の現像処理により第4の露光領域44は除去されている、そのため、図7(B)に示される工程とは異なり、第4の露光領域44直下の第1の遮光膜パターン3aをエッチングするためのオーバーエッチングが不要となる。その結果、第1の遮光膜パターン3aのパターニングの制御性が向上する。
【0079】
(実施形態3)
図11、12、13は、実施形態3によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
実施形態3においては、上記実施形態1、2の半透過膜2の代わりに、上層に中間膜5(エッチングストッパ膜)、下層に半透過膜2を有する積層構造が、遮光膜3の下部に設けられている。
このような積層構造とすることで、実施形態5や実施形態6に示すフォトマスク100への対応が、適宜可能となり、フォトマスク100の製造の自由度を拡大させることができる。
以下、図面を参照して、フォトマスク100の製造方法を説明する。
【0080】
<積層膜形成工程:フォトマスクブランクスの準備>
図11(A)の断面図に示すように、石英ガラス等の透過性基板1を準備し、半透過膜2を形成し、半透過膜2上に中間膜5(エッチングストッパ膜)を、例えば、非限定的に、膜厚5~20[nm]形成し、中間膜5上に遮光膜3を形成する。その結果、透過性基板1上に半透過膜2、中間膜5及び遮光膜3を有するフォトマスクブランクス10’を得る。
半透過膜2、遮光膜3の光学特性は上記の通りである。
中間膜5の透過率は、露光光に含まれる代表波長に対して、3~15%(3%≦透過率≦15%)であり、例えば金属(Cr、Ni、Ti)、金属化合物(Cr系化合物等)、金属シリサイド化合物(例えばMoシリサイド、Zrシリサイド等)、金属窒化物(ZrN等)の材料からなる。
半透過膜2、中間膜5及び遮光膜3はそれぞれ異なる物質(材料)から構成され、エッチング特性が異なる。中間膜5はエッチングストッパ膜として機能することができる。
半透過膜2、中間膜5及び遮光膜3のエッチング特性が異なるため、上記積層構造は、第1の開口部EP、第2の開口部OP、リム部RMのパターニング精度の向上に寄与することができる。
【0081】
<第1のエッチングマスク形成工程>
次に、図11(B)の断面図に示すように、図5(B)、(C)に示す工程と同様に、遮光膜3上にフォトレジスト膜4を形成し、フォトレジスト膜4に第1の露光領域41、第2の露光領域42及び第3の露光領域43、及び第4の露光領域44を設ける。
【0082】
次に、図11(C)の断面図に示すように、図6(A)に示す工程と同様に、第1の現像処理により、高ドーズの第3の露光領域43を選択的に除去して、第1のエッチングマスクを形成する。第1のエッチングマスクは第1の露光領域41、第2の露光領域42及び第4の露光領域44から構成される。
【0083】
<第1のパターニング工程>
次に、図11(D)の断面図に示すように、第1のエッチングマスクであるフォトレジスト膜4の第1の露光領域41、第2の露光領域42及び第4の露光領域44をエッチングマスクにして、遮光膜3を、中間膜5に対して選択的にエッチングし、第1の遮光膜パターン3aを形成し、中間膜5の表面を部分的に露出する。
【0084】
次に、図12(A)の断面図に示すように、フォトレジスト膜4の第1の露光領域41、第2の露光領域42及び第4の露光領域44をエッチングマスクにして、中間膜5を、遮光膜3及び半透過膜2に対して選択的にエッチングし、第1の中間膜パターン5aを形成する。
【0085】
次に、図12(B)の断面図に示すように、フォトレジスト膜4の第1の露光領域41、第2の露光領域42及び第4の露光領域44をエッチングマスクにして、半透過膜2を、遮光膜3(第1の遮光膜パターン3a)及び中間膜5(第1の中間膜パターン5a)に対して選択的にエッチングし、半透過膜パターン2aを形成する。
半透過膜パターン2aは第1の開口部EPを有し、第1の開口部EPにおいて、透過性基板1の表面が露出する。
【0086】
なお、図12(C)の断面図に示すように、図6(D)に示す工程と同様に、適宜、半透過膜パターン2aに対して、オーバーエッチングを施し、第1の開口部EPの幅を調整(拡大)してもよい。
【0087】
<第2のエッチングマスクパターン形成工程>
次に、図13(A)の断面図に示すように、図7(A)に示す工程と同様に、第2の現像処理により、第2の露光領域42を選択的に除去し、第2のエッチングマスクを形成する。なお、未露光領域である第1の露光領域41及び第4の露光領域44は溶解せず、第2のエッチングマスクは第1の露光領域41及び第4の露光領域44から構成される。
【0088】
<第2のパターニング工程>
次に、図13(B)の断面図に示すように、図7(B)に示す工程と同様に、第2のエッチングマスクをマスクにして、第1の遮光膜パターン3aを、中間膜5(第1の中間膜パターン5a)及び半透過膜2(半透過膜パターン2a)に対して選択的にエッチングし、第2の遮光膜パターン3bを形成する。
なお、図7(B)に示す工程とは異なり、第1の遮光膜パターン3aをエッチングすることにより、第1の中間膜パターン5aの表面が部分的に露出する。
【0089】
図7(B)に示す工程と同様に、エッチングは等方エッチングを採用し、ウェットエッチングが好適に採用できる。第1の遮光膜パターン3aの等方エッチングにより、第4の露光領域44がリフトオフにより除去される。第4の露光領域44の下部の第1の遮光膜パターン3aもエッチングされる。
【0090】
次に、図13(C)の断面図に示すように、第2のエッチングマスクをマスクにして、第1の中間膜パターン5aを、遮光膜3(第2の遮光膜パターン3b)及び半透過膜2(半透過膜パターン2a)に対して選択的にエッチングし、半透過膜パターン2aの表面を部分的に露出する第2の中間膜パターン5bを形成する。
第2の遮光膜パターン3b及び第2の中間膜パターン5bは第2の開口部OPを有している。
【0091】
次に、図13(D)の断面図に示すように、フォトレジスト膜4(第1の露光領域41)をアッシング等により除去する。
図13(D)に示されるフォトマスク100は、図7(C)に示されるフォトマスク100と同様に、遮光領域SHに設けられた第2の開口部OPの内側にはリム部RMが設けられ、リム部RMの内側には透過性を有する第1の開口部EPが設けられている。リム部RMは半透過膜2のみから構成され、位相を反転する特性を有する位相シフト領域を構成する。
ただし、遮光領域SHは、第2の遮光膜パターン3b、第2の中間膜パターン5b及び半透過膜パターン2aの積層から構成され、第2の遮光膜パターン3bの下部に第2の中間膜パターン5bを有する点において図7(C)の遮光領域SHと異なる。
【0092】
以下、実施形態3の変形例について説明する。
実施形態2の変形例と同様に、第1の遮光膜パターン3aのサイドエッチングにより、リム部RMの幅が増大することを防止又は軽減することができる。
【0093】
<第1のパターニング工程>
図14(A)の断面図に示すように、図12(B)又は図12(C)に示す工程の後に、第1の遮光膜パターン3aの側壁面が、第4の露光領域44の端面より距離Ed後退し、第2の露光領域42の下部に位置するよう、第1の遮光膜パターン3aの側壁面を、中間膜5(第1の中間膜パターン5a)及び半透過膜2(半透過膜パターン2a)に対して選択的にエッチング(オーバーエッチング)する。
【0094】
<第2のエッチングマスクパターン形成工程>
次に図14(B)断面図に示すように、図10(C)に示す工程と同様に、第2の現像処理により、第2の露光領域42を選択的に除去する。第2の露光領域42が現像液により溶解し除去されるため、第2の露光領域42に支えられていた第4の露光領域44も除去される。第2のエッチングマスクは第1の露光領域41から構成される。
【0095】
<第2のパターニング工程>
次に図14(C)の断面図に示すように、第2のエッチングマスクをマスクにして、第1の遮光膜パターン3aを、中間膜5(第1の中間膜パターン5a)及び半透過膜2(半透過膜パターン2a)に対して選択的にエッチングし、第2の遮光膜パターン3bを形成する。
【0096】
次に図14(D)の断面図に示すように、第2のエッチングマスクをマスクにして、第1の中間膜パターン5aを、遮光膜3(第1の遮光膜パターン3a)及び半透過膜2(半透過膜パターン2a)に対して選択的にエッチングし、第2の中間膜パターン5bを形成する。その後、フォトレジスト膜4(第1の露光領域41)をアッシング等により除去する。
図14(D)に示されるフォトマスク100は、図13(D)に示されるフォトマスク100と同様に、遮光領域SH(第2の遮光膜パターン3b及び第2の中間膜パターン5bの積層)に設けられた第2の開口部OPの内側にはリム部RMが設けられ、リム部RMの内側には透過性を有する第1の開口部EPが設けられている。リム部RMは半透過膜2のみから構成され、位相を反転する特性を有する位相シフト領域を構成する。
【0097】
(実施形態4)
図15、16は、実施形態3によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
実施形態3においては、半透過膜2、中間膜5及び遮光膜3はそれぞれ異なる物質から構成され、互いにエッチング特性が異なる。しかし、実施形態4においては、中間膜5は半透過膜2及び遮光膜3と異なる物質(材料)から構成され、異なるエッチング特性を有するが、半透過膜2と遮光膜3とは同じ物質(材料)から構成され、同じエッチング特性を有する。半透過膜2上の中間膜5はエッチングストッパ膜として機能することができる。
半透過膜2と遮光膜3とは同じ物質(材料)から構成されるため、同一の成膜方法、又は成膜装置を使用することができ、フォトマスク100の製造管理の負担を軽減し、又製造コストの低減に寄与することができる。
以下、図面を参照して、フォトマスク100の製造方法を説明する。
なお、実施形態4についても、実施形態5や実施形態6に示すフォトマスク100への対応が、適宜可能である。
【0098】
<第1のパターニング工程>
図15(A)の断面図に示すように、図11(D)に示す工程と同様に、第1のエッチングマスクであるフォトレジスト膜4の第1の露光領域41、第2の露光領域42及び第4の露光領域44をエッチングマスクにして、遮光膜3を、中間膜5に対して選択的にエッチングし、第1の遮光膜パターン3aを形成し、中間膜5の表面を部分的に露出する。
ただし、上記のように半透過膜2と遮光膜3とは同じ物質から構成されるが、膜厚を調整することにより、半透過膜2は半透過性を有し、遮光膜3は遮光性を有するように構成することができる。
なお、遮光膜3、中間膜5及び半透過膜2の積層が遮光性を有するように、必要な光学濃度(OD値)(例えば2.7以上)となるように構成してもよい。
【0099】
次に、図15(B)の断面図に示すように、第1のエッチングマスクをエッチングマスクにして、中間膜5を、遮光膜3(第1の遮光膜パターン3a)及び半透過膜2に対して選択的にエッチングし、第1の中間膜パターン5aを形成する。
【0100】
次に、図15(C)の断面図に示すように、第1のエッチングマスクをエッチングマスクにして、半透過膜2を、中間膜5(第1の中間膜パターン5a)に対して選択的にエッチングし、半透過膜パターン2aを形成し、透過性基板1の表面が部分的に露出する。
この工程において、第1の遮光膜パターン3aはサイドエッチングされ、第1の遮光膜パターン3aの側壁面は、距離d後退する。好適には、等方エッチングのウェットエッチングを採用することができ、後退距離dは、半透過膜2のエッチング量と等しくなる。
【0101】
なお、図15(D)の断面図に示すように、図6(D)に示す工程と同様に、適宜、半透過膜パターン2aに対して、オーバーエッチングを施し、第1の開口部EPの幅を調整(距離Da拡大)してもよい。第1の遮光膜パターン3aも、サイドエッチングされるため、第1の遮光膜パターン3aの側壁も(距離Da)後退する。
【0102】
<第2のエッチングマスクパターン形成工程>
次に、図16(A)の断面図に示すように、図13(A)に示す工程と同様に、第2の現像処理により、第2の露光領域42を選択的に除去し、第2のエッチングマスクを形成する。
【0103】
<第2のパターニング工程>
次に、図16(B)の断面図に示すように、図13(B)に示す工程と同様に、第2のエッチングマスクをマスクにして、第1の遮光膜パターン3aを、中間膜5(第1の中間膜パターン5a)に対して選択的にエッチングし、第2の遮光膜パターン3bを形成する。この工程において、第4の露光領域44がリフトオフにより除去されるため、第4の露光領域44の下部の第1の遮光膜パターン3aも除去される。
なお、図13(B)に示す工程とは異なり、半透過膜パターン2aはサイドエッチングされ、半透過膜パターン2aの側壁面は後退する。
エッチング方法として、等方エッチング、好適にはウェットエッチングを採用することができ、半透過膜パターン2aの側壁面の後退量は、第1の遮光膜パターン3aのエッチング量と等しくなる。
【0104】
次に、図16(C)の断面図に示すように、図13(C)に示す工程と同様に、第2のエッチングマスクをマスクにして、中間膜パターン5aを、遮光膜3(第2の遮光膜パターン3b)及び半透過膜2(半透過膜パターン2a)に対して選択的にエッチングし、半透過膜パターン2aの表面を部分的に露出する第2の中間膜パターン5bを形成する。
第2の遮光膜パターン3b及び第2の中間膜パターン5bは第2の開口部OPを有している。
【0105】
次に、図16(D)の断面図に示すように、フォトレジスト膜4(第1の露光領域41)をアッシング等により除去する。
図16(D)に示されるフォトマスク100は、遮光領域SHに設けられた第2の開口部OPの内側にはリム部RMが設けられ、リム部RMの内側には透過性を有する第1の開口部EPが設けられている。リム部RMは半透過膜2のみから構成され、位相を反転する特性を有する位相シフト領域を構成する。
遮光領域SHは、遮光膜3(第2の遮光膜パターン3b)、中間膜5(第2の中間膜パターン5b)及び半透過膜2(半透過膜パターン2a)の積層から構成される。
【0106】
(実施形態5)
図17は、実施形態5によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図である。
リム部RMを半透過膜2と中間膜5の積層膜としてもよい。中間膜5の位相シフト量を小さく、例えば-20°≦位相シフト量≦20°になるよう設定し、リム部RMの透過率を調整することができる。
例えば、予め透過性基板1上に半透過膜2、中間膜5及び遮光膜3を有するフォトマスクブランクス10’を準備しておき、リム部RMの透過率を調整することで、顧客の要求や使用目的等に対応可能とし、フォトマスク100の製造工期の短縮に寄与することができる。
以下、図を参照して、フォトマスク100の製造方法について説明する。
【0107】
図17(A)は、図13(B)又は図14(C)に示す工程後のフォトマスク100の製造工程を示す断面図である。
ただし、図13(B)においては、図12(C)に示す工程を省略し、半透過膜パターン2aに対して、オーバーエッチングを行わず、半透過膜パターン2aは図12(B)に示す形状を有す。
第1の中間膜パターン5aと半透過膜パターン2aとは、同一形状の第1の開口部EPを有する。
【0108】
次に図17(B)に示すように、フォトレジスト膜4(第1の露光領域41)をアッシング等により除去する。
図17(B)に示されるフォトマスク100は、遮光領域SHに設けられた第2の開口部OPの内側にはリム部RMが設けられ、リム部RMの内側には透過性を有する第1の開口部EPが設けられている。リム部RMは半透過膜2(半透過膜パターン2a)と中間膜5(第1の中間膜パターン5a)との積層膜から構成され、位相を反転する特性を有する位相シフト領域を構成する。
遮光領域SHは、遮光膜3(第2の遮光膜パターン3b)、中間膜5(第1の中間膜パターン5a)及び半透過膜2(半透過膜パターン2a)の積層膜から構成される。
【0109】
(実施形態6)
図18は実施形態6によるフォトマスク100の主要な製造工程を示す模式図であり、ハーフトーン領域を形成する工程を模式的に示す。
【0110】
実施形態3及び実施形態4においては、遮光膜3の下部に中間膜5と半透過膜2を有している。半透過膜2は、遮光領域SHに隣接してリム部RMを構成し、遮光領域SHにより転写されるパターンの微細化に寄与する。
一方、中間膜5は、半透過性を有している。中間膜5と半透過膜2との積層は、半透過膜2の透過率より低い透過率を有する。
そのため、中間膜5と半透過膜2との積層により、半透過膜2と透過率が異なるハーフトーンパターンを得ることができる。公知のようにハーフトーンパターンは、フォトマスク100を用いたリソグラフィー工程数の削減に寄与することができる。
以下、図面を参照して、ハーフトーンパターンを有するフォトマスク100の製造方法について説明する。
【0111】
<第3のエッチングマスクパターン形成工程>
図18(A)の断面図に示すように、図14(D)又は図16(D)に示す工程の後に、フォトレジスト膜6(第2のフォトレジスト膜6)を塗布法等により形成する。
【0112】
次に図18(B)の断面図に示すように、露光及び現像によりフォトレジスト膜6をパターニングし、フォトレジスト膜パターン6a(第3のエッチングマスク)を形成する。フォトレジスト膜パターン6aは、遮光領域SH、リム部RM及び第1の開口部EPを覆い、ハーフトーン領域HTを露出する形状を有する。
【0113】
次に図18(C)の断面図に示すように、フォトレジスト膜パターン6a(第3のエッチングマスク)をエッチングマスクにして、第2の遮光膜パターン3bを、中間膜5(第2の中間膜パターン5b)に対して選択的にエッチングし、第3の遮光膜パターン3cを形成し、第2の中間膜パターン5bの表面を部分的に露出するハーフトーン領域HTが形成される。
ハーフトーン領域HTは、中間膜5と半透過膜2との積層から構成され、遮光膜3を有しないため、半透過性を有する。
【0114】
なお、実施形態3の場合、半透過膜2、中間膜5及び遮光膜3はそれぞれエッチング特性が異なる。そのため、第2の遮光膜パターン3bを、中間膜5(第2の中間膜パターン5b)及び半透過膜2(半透過膜パターン2a)に対して選択的にエッチングすることにより、半透過膜パターン2aのサイドエッチングを防止することができる。
【0115】
次に図18(D)の断面図に示すように、アッシング等によりフォトレジスト膜パターン6aを除去する。
図18(D)に示されるフォトマスク100は、遮光領域SH、リム部RM、第1の開口部EP、及びハーフトーン領域HTが設けられている。また、ハーフトーン領域HTに隣接して透過領域TRが存在する。
ハーフトーン領域HTの透過率は、遮光領域SHより高く、透過領域TR(透過性基板1)より低い。
【0116】
なお、図18(D)に示される例においては、ハーフトーン領域HTは遮光領域SHと隣接する例を示したが、孤立して存在してもよい。
【0117】
上記のように半透過膜2は位相シフト膜として必要な光学特性を有している。ハーフトーン領域HTは、中間膜5と半透過膜2との積層により構成されるため、ハーフトーン領域HTの透過率を中間膜5の光学特性により調整することができる。したがって、中間膜5は透過率の調整膜として機能する。
そのため、半透過膜2上の中間膜5を設けることにより、位相シフト効果を有するリム部RMと、リム部RMと異なる透過率を有するハーフトーン領域HTとの両立を可能とし、フォトマスク100の適用範囲を広げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明によれば、位相シフト作用を有するリム部を遮光パターンに隣接して配置し、そのリム部の形状を、遮光パターンに合わせた最適な形状とすることができるとともに、遮光パターンとの位置合わせずれを解消することができるフォトマスクを製造することができる。
本フォトマスクを用いて製造する電子回路等の微細化に寄与することができ、産業上の利用可能性は高い。
なお、本発明のフォトマスクのパターンはホールパターン、ラインアンドスペースパターンに限定されるものではない。本発明により実施できるパターンであればパターンの種類は限定されない。
【符号の説明】
【0119】
100 フォトマスク
10、10’ フォトマスクブランクス
1 透過性基板
2 半透過膜(位相シフト膜)
2a 半透過膜パターン(位相シフト膜パターン)
3 遮光膜
3a 第1の遮光膜パターン
3b 第2の遮光膜パターン
3c 第3の遮光膜パターン
4 フォトレジスト膜(第1のフォトレジスト膜)
41 第1の露光領域
42 第2の露光領域
42e 裾引部
43 第3の露光領域
44 第4の露光領域
44e エッジ部
5 中間膜(エッチングストッパ膜)
5b 第2の中間膜パターン
6 フォトレジスト膜(第2のフォトレジスト膜)
6a フォトレジスト膜パターン(第3のエッチングマスク)
EP 第1の開口部
OP 第2の開口部
RM リム部
SH 遮光領域
TR 透過領域
HT ハーフトーン領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2023-11-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過性基板(1)上に半透過膜(2)を形成し、次いで前記半透過膜(2)上に遮光膜(3)を形成する積層膜形成工程と、
前記遮光膜(3)上にレジスト膜(4)を形成し、
互いに露光量が異なる露光量で、
第1の露光領域(41)、前記第1の露光領域(41)に接する第2の露光領域(42)及び第3の露光領域(43)を順次形成する一方、
前記第1の露光領域(41)を形成する際の露光量と等しい露光量で、
一端側が前記第2の露光領域(42)に接し、他端側が前記第の露光領域(4)に接する第4の露光領域(44)を形成し、
次いで前記第3の露光領域(43)を選択的に除去する第1のエッチングマスクパターン形成工程と、
前記半透過膜(2)と前記遮光膜(3)とをエッチングし、位相シフト膜パターン(2a)と第1の遮光膜パターン(3a)とを形成する第1のパターニング工程と、
前記第2の露光領域(42)を除去する第2のエッチングマスクパターン形成工程と、
前記第1の遮光膜パターン(3a)をエッチングし、前記位相シフト膜パターン(2a)を部分的に露出する第2の遮光膜パターン(3b)を形成する第2のパターニング工程とを含むことを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項2】
前記第2のパターニング工程において、
前記第4の露光領域(44)をリフトオフして除去する工程を含む
ことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項3】
前記第1のパターニング工程において、
前記第4の露光領域(44)の下部の前記遮光膜(3)を除去する工程を含み、
前記第2のエッチングマスクパターン形成工程において、
前記第4の露光領域(44)を除去する工程を含む
ことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項4】
前記第4の露光領域(44)は前記第2の露光領域(42)に囲まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項5】
前記第4の露光領域(44)は前記第2の露光領域(42)を囲むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項6】
前記積層膜形成工程において、半透過膜(2)を形成後にさらに中間膜(5)を形成し、
前記第1のパターニング工程において、さらに前記中間膜(5)をエッチングし、前記位相シフト膜パターン(2a)と第1の中間膜パターン(5a)と前記第1の遮光膜パターン(3a)とを形成し、
前記第2のパターニング工程において、さらに前記第1の中間膜パターン(5a)をエッチングし、前記位相シフト膜パターン(2a)を部分的に露出する第2の中間膜パターン(5b)を形成することを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項7】
前記積層膜形成工程において、半透過膜(2)を形成後にさらに中間膜(5)を形成し、
前記第1のパターニング工程において、さらに前記中間膜(5)をエッチングし、前記位相シフト膜パターン(2a)と第1の中間膜パターン(5a)と前記第1の遮光膜パターン(3a)とを形成し、
前記第2のパターニング工程において、前記第1の遮光膜パターン(3a)をエッチングし、前記第1の中間膜パターン(5a)を部分的に露出する
ことを特徴とする請求項1記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項8】
前記半透過膜(2)、前記中間膜(5)及び前記遮光膜(3)は互いに異なる物質から構成されていることを特徴とする請求項6又は7記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項9】
前記中間膜(5)は前記半透過膜(2)と異なる物質から構成され、前記半透過膜(2)と前記遮光膜(3)とは同じ物質から構成されていることを特徴とする請求項6又は7記載のフォトマスクの製造方法。