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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001503
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】電解セル
(51)【国際特許分類】
   C25B 1/23 20210101AFI20231227BHJP
   C25B 9/23 20210101ALI20231227BHJP
   C25B 1/042 20210101ALI20231227BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20231227BHJP
   C25B 15/08 20060101ALI20231227BHJP
   C25B 11/031 20210101ALI20231227BHJP
   C25B 13/02 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
C25B1/23
C25B9/23
C25B1/042
C25B9/00 A
C25B9/00 Z
C25B15/08 302
C25B11/031
C25B13/02 302
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100189
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】毛里 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 和貴
(72)【発明者】
【氏名】牧 美里
(72)【発明者】
【氏名】米田 英昭
(72)【発明者】
【氏名】吉田 潤平
【テーマコード(参考)】
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
4K011AA11
4K011AA15
4K011AA24
4K011AA48
4K011BA06
4K011BA08
4K011DA01
4K011DA11
4K021AA01
4K021AA09
4K021BA02
4K021BC01
4K021CA09
4K021DB11
4K021DB18
4K021DB19
4K021DB36
4K021DB43
4K021DB49
4K021DB53
4K021DC03
4K021DC15
4K021EA05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】燃料極の上流部から燃料極の下流部にまで電解反応場をバランスよく分散させることができ、電解効率の低減を抑制することができる電解セルを提供する。
【解決手段】電解セルは、膜電極接合体と、一対のセパレータ22と、ガス供給流路24と、ガス排出流路と、を備える。膜電極接合体の燃料極30は、原料ガスの電解反応を触媒する触媒物質を含み、燃料極30に含まれる触媒物質の量は、ガス供給流路24の上流から下流に向かって増加する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料極、酸素極、および、前記燃料極と前記酸素極との間に配置された電解質膜を含む膜電極接合体と、
前記膜電極接合体を挟持する一対のセパレータと、
前記燃料極の極面に沿って前記燃料極と前記一対のセパレータの一方との間に形成され、前記燃料極に供給される原料ガスが流通するガス供給流路と、
前記酸素極の極面に沿って前記酸素極と前記一対のセパレータの他方との間に形成され、前記酸素極で生成される酸素ガスが流通するガス排出流路と、
を備え、
前記燃料極は、前記原料ガスの電解反応を触媒する触媒物質を含み、
前記燃料極に含まれる前記触媒物質の量は、前記ガス供給流路の上流から下流に向かって増加する、電解セル。
【請求項2】
請求項1の電解セルであって、
前記ガス供給流路における前記原料ガスの流通方向と、前記ガス排出流路における前記酸素ガスの流通方向とは相反する、電解セル。
【請求項3】
請求項1の電解セルであって、
前記燃料極に含まれる前記触媒物質の量は、前記ガス供給流路の上流から下流に向かって漸次的に増加する、電解セル。
【請求項4】
請求項1の電解セルであって、
前記燃料極は、第一電極部と、前記第一電極部よりも前記触媒物質の量が多い第二電極部を有し、
前記第一電極部は、前記第二電極部よりも前記ガス供給流路の上流に配置される、電解セル。
【請求項5】
請求項1の電解セルであって、
前記燃料極は、複数の細孔を有し、
前記細孔の細孔径は、前記ガス供給流路の上流から下流に向かって大きくなる、電解セル。
【請求項6】
請求項1の電解セルであって、
前記燃料極は、複数の細孔を有し、
単位体積あたりに占める前記細孔の密度は、前記ガス供給流路の上流から下流に向かって多くなる、電解セル。
【請求項7】
請求項1の電解セルであって、
前記酸素極に含まれる前記触媒物質の量は、前記ガス排出流路の上流から下流にわたって一定である、電解セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解セルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より気候変動の緩和または影響軽減を目的とした取り組みが継続され、この実現に向けて電解セルに関する研究開発が行われている。電解セルは、二酸化炭素ガス等の原料ガスを電解する。
【0003】
下記特許文献1には、アノードと、カソードと、隔膜とを具備した電解セルが開示されている。隔膜は、アノードとカソードとの間に配置される。カソードは、隔膜に向けて配置されたカソード触媒層と、CO2ガス流路に向けて配置されたガス拡散層とを有する。カソードでは、CO2ガス流路に導入されるCO2ガスが電解される。
【0004】
下記特許文献1では、カソードにおける残存ガスの分布の偏り等によって引き起こされる電解セルのセル出力の低下を抑制するために、電解セルの電解性能の判定が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-147680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、一般に、カソードにおける残存ガスは、CO2ガス流路の入口から出口に向かって減少する傾向がある。つまり、電解反応場は、CO2ガス流路の上流に対応するカソード部分に集中する。そのため、電解効率が低減するという問題が生じ得る。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様は、電解セルであって、燃料極、酸素極、および、前記燃料極と前記酸素極との間に配置された電解質膜を含む膜電極接合体と、前記膜電極接合体を挟持する一対のセパレータと、前記燃料極の極面に沿って前記燃料極と前記一対のセパレータの一方との間に形成され、前記燃料極に供給される原料ガスが流通するガス供給流路と、前記酸素極の極面に沿って前記酸素極と前記一対のセパレータの他方との間に形成され、前記酸素極で生成される酸素ガスが流通するガス排出流路と、を備え、前記燃料極は、前記原料ガスの電解反応を触媒する触媒物質を含み、前記燃料極に含まれる前記触媒物質の量は、前記ガス供給流路の上流から下流に向かって増加する。
【発明の効果】
【0009】
上記の態様によれば、燃料極の上流部から燃料極の下流部にまで、電解反応場をバランスよく分散させることができる。その結果、電解効率の低減を抑制することができる。延いては気候変動の緩和または影響軽減に寄与する。なお、燃料極の上流部は、ガス供給流路の上流部に対応する部分である。また、燃料極の下流部は、ガス供給流路の下流部に対応する部分である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態における電解装置の構成を示す概略図である。
図2図2は、電解セルを示す断面図である。
図3図3は、第1セパレータを示す図である。
図4図4は、第2セパレータを示す図である。
図5図5は、燃料極に含まれる触媒量を示す概念図である。
図6図6Aは、比較例における特定ガスの分圧の変化を示すグラフであり、図6Bは、比較例における濃度過電圧および電流密度の変化を示すグラフである。
図7図7Aは、実施形態における特定ガスの分圧の変化を示すグラフであり、図7Bは、実施形態における濃度過電圧および電流密度の変化を示すグラフである。
図8図8は、変形例1における燃料極に含まれる触媒量を示す概念図である。
図9図9Aは、変形例1における特定ガスの分圧の変化を示すグラフであり、図9Bは、変形例1における濃度過電圧および電流密度の変化を示すグラフである。
図10図10は、変形例2における燃料極に含まれる触媒量と、細孔径および細孔密度とを示す概念図である。
図11図11は、変形例3における燃料極に含まれる触媒量と、細孔径および細孔密度とを示す概念図である。
図12図12は、変形例4における第1セパレータを示す図である。
図13図13は、変形例4における第2セパレータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態〕
図1は、実施形態における電解装置10の構成を示す概略図である。電解装置10は、原料ガス入口部12と、合成ガス出口部14と、酸素ガス出口部16と、複数の電解セル18とを有する。
【0012】
原料ガス入口部12は、原料ガスを電解装置10に取り入れる部分である。原料ガスは、水蒸気および二酸化炭素ガスを含む。合成ガス出口部14は、電解装置10から合成ガスを取り出す部分である。合成ガスは、水素ガスおよび一酸化炭素ガスを含む。酸素ガス出口部16は、電解装置10から酸素ガスを取り出す部分である。原料ガス入口部12、合成ガス出口部14および酸素ガス出口部16は、電解装置10の筐体に設けられる。
【0013】
複数の電解セル18は、積層される。各電解セル18は、原料ガスを電解可能に構成される。各電解セル18の構成は実質的に同じである。各電解セル18は、水蒸気および二酸化炭素ガスを共電解し、水素ガスおよび一酸化炭素ガスを生成する。また、各電解セル18は、水蒸気および二酸化炭素ガスの共電解により酸素ガスを副次的に生成する。
【0014】
電解装置10は、原料ガス入口部12から流入する原料ガスを複数の電解セル18の各々に分配する。電解装置10は、各電解セル18から流出する合成ガスを集め、当該合成ガスを合成ガス出口部14から外部に排出する。また、電解装置10は、各電解セル18から流出する酸素ガスを集め、当該酸素ガスを酸素ガス出口部16から外部に排出する。
【0015】
図2は、電解セル18を示す断面図である。電解セル18は、膜電極接合体20と、一対のセパレータ22と、複数のガス供給流路24と、複数のガス排出流路26とを有する。
【0016】
膜電極接合体20は、MEAと称される場合がある。膜電極接合体20は、電解質膜28と、燃料極30と、酸素極32とを含む。
【0017】
電解質膜28は、固体酸化物形電解質膜である。電解質膜28として、スカンジア安定化ジルコニア(Sc23 stabilized ZrO2:ScSZ)、イットリア安定化ジルコニア(Y23 stabilized ZrO2:YSZ)等が用いられる。電解質膜28の一方の主面は燃料極30で覆われ、電解質膜28の他方の主面は酸素極32で覆われる。
【0018】
燃料極30は、電子(e-)を受け取る負極である。燃料極30は、カソード電極と称される場合もある。燃料極30と酸素極32との間に電圧が印加された状態で原料ガスが燃料極30に供給されると、燃料極30では、電解反応が開始される。この場合、燃料極30では、原料ガスに含まれる水蒸気が電子(e-)を受け取って還元され、水素ガスおよび酸素イオンが生成される。同時に、原料ガスに含まれる二酸化炭素ガスが電子(e-)を受け取って還元され、一酸化炭素ガスおよび酸素イオンが生成される。燃料極30は、集電機能を有する導電体のガス拡散層を含んでいてもよい。
【0019】
燃料極30は、多孔質体であり、複数の細孔を有する。また、燃料極30は、電解反応(還元反応)の触媒物質を有する。燃料極30として、イットリア安定化ジルコニアと触媒物質とを混合した混合物、ガドリニアドープセリア(Gd23 Doped CeO2:GDC)と触媒物質とを混合した混合物等が用いられる。触媒物質は、電解反応を触媒する物質である。触媒物質としては、ニッケル(Ni)等が挙げられる。
【0020】
電解質膜28の材料と燃料極30の材料との相互拡散を抑制するための反応防止層が、電解質膜28と燃料極30との間に配置されてもよい。この場合、電解質膜28と燃料極30との界面に、高抵抗の固溶体が形成されることが抑制される。
【0021】
酸素極32は、電子(e-)を放出する正極である。酸素極32は、アノード電極と称される場合もある。燃料極30で電解反応が開始されると、酸素極32では、燃料極30での電解反応により得られる酸素イオンに基づいて酸素ガスが生成される。酸素極32は、集電機能を有する導電体のガス拡散層を含んでいてもよい。
【0022】
酸素極32は、多孔質体であり、複数の細孔を有する。また、酸素極32は、電解反応(酸化反応)の触媒物質を有する。酸素極32として、ランタンストロンチウムマンガナイト((La,Sr)MnO3:LSM)、ランタンストロンチウムコバルタイト((La,Sr)Co34:LSC)等が用いられる。LSM、LSCは、触媒能を有する。
【0023】
電解質膜28の材料と酸素極32の材料との相互拡散を抑制するための反応防止層が、電解質膜28と酸素極32との間に配置されてもよい。この場合、電解質膜28と酸素極32との界面に、高抵抗の固溶体が形成されることが抑制される。
【0024】
一対のセパレータ22は、膜電極接合体20を挟持する。各セパレータ22は、金属により形成される。一対のセパレータ22の一方は燃料極30に向き、一対のセパレータ22の他方は酸素極32に向く。本実施形態では、燃料極30に向くセパレータ22は、第1セパレータ22_1と称する場合がある。また、酸素極32に向くセパレータ22は、第2セパレータ22_2と称する場合がある。
【0025】
第1セパレータ22_1は、燃料極30に向く第1面と、第1面と反対の第2面とを有する。第1セパレータ22_1の第1面は、各ガス供給流路24と接する。第1セパレータ22_1の第2面は、積層される他の電解セル18の各ガス排出流路26と接する。
【0026】
第2セパレータ22_2は、酸素極32に向く第1面と、第1面と反対の第2面とを有する。第2セパレータ22_2の第1面は、各ガス排出流路26と接する。第2セパレータ22_2の第2面は、積層される他の電解セル18の各ガス供給流路24と接する。
【0027】
図3は、第1セパレータ22_1を示す図である。具体的には、第1セパレータ22_1の第1面を正面視した図(図2のIII-IIIの矢視図)が示されている。第1セパレータ22_1は、燃料極入口孔34と、燃料極出口孔36と、酸素極入口孔38と、酸素極出口孔40とを有する。
【0028】
燃料極入口孔34は、原料ガス入口部12と連通する。燃料極出口孔36は、合成ガス出口部14と連通する。酸素極入口孔38は、臨時用入口部42と連通する。酸素極出口孔40は、酸素ガス出口部16と連通する。臨時用入口部42は、例えば、電解装置10の筐体に設けられる。臨時用入口部42には開閉弁44が設けられる。開閉弁44は、各電解セル18による電解が行われている場合は、閉弁される。つまり、各電解セル18による電解が行われている場合に、酸素極入口孔38からガスが流入することはない。
【0029】
第1セパレータ22_1では、燃料極入口孔34は、各ガス供給流路24の一端部(上流端部)と連通する。燃料極出口孔36は、各ガス供給流路24の他端部(下流端部)と連通する。一方、酸素極入口孔38は、第1セパレータ22_1の隔壁部46によって隔離される。同様に、酸素極出口孔40は、第1セパレータ22_1の隔壁部48によって隔離される。つまり、酸素極入口孔38および酸素極出口孔40は、燃料極入口孔34、燃料極出口孔36およびガス供給流路24のいずれとも非連通である。
【0030】
第1セパレータ22_1の燃料極入口孔34から流入する原料ガスは、各ガス供給流路24の一端部に流れる。各ガス供給流路24の一端部に流入した原料ガスは、対応するガス供給流路24の他端部に向かって流れる。原料ガスから燃料極30(図2)で生成される合成ガスは、複数のガス供給流路24の少なくとも1つを介して、ガス供給流路24の他端部に流れる。ガス供給流路24の他端部から流出する原料ガスおよび合成ガスは、合成ガス出口部14から流出する。
【0031】
図4は、第2セパレータ22_2を示す図である。具体的には、第2セパレータ22_2の第1面を正面視した図(図2のIV-IVの矢視図)が示されている。第2セパレータ22_2は、第1セパレータ22_1と同様に、燃料極入口孔34と、燃料極出口孔36と、酸素極入口孔38と、酸素極出口孔40とを有する。
【0032】
第2セパレータ22_2では、酸素極入口孔38は、各ガス排出流路26の一端部(上流端部)と連通する。酸素極出口孔40は、各ガス排出流路26の他端部(下流端部)と連通する。一方、燃料極入口孔34は、第2セパレータ22_2の隔壁部50によって隔離される。同様に、燃料極出口孔36は、第2セパレータ22_2の隔壁部52によって隔離される。つまり、燃料極入口孔34および燃料極出口孔36は、酸素極入口孔38、酸素極出口孔40およびガス排出流路26のいずれとも非連通である。
【0033】
酸素極32(図2)で生成される酸素ガスは、複数のガス排出流路26の少なくとも1つを介して、ガス排出流路26の他端部に流れる。ガス排出流路26の他端部から流出する酸素ガスは、酸素ガス出口部16から流出する。なお、上記のように、電解セル18による電解が行われている場合、酸素極入口孔38と連通する臨時用入口部42に設けられる開閉弁44は閉弁している。したがって、酸素極32(図2)で生成される酸素ガスが逆流して臨時用入口部42から排出されることはない。
【0034】
複数のガス供給流路24の各々は、燃料極30に供給される原料ガスが流通する流路である。また、複数のガス供給流路24の各々は、燃料極30で生成される水素ガスおよび一酸化炭素ガスを含む合成ガスが流通する流路でもある。各ガス供給流路24は、第1セパレータ22_1と燃料極30との間に形成される(図2参照)。各ガス供給流路24は、燃料極30の極面に沿って形成される(図2参照)。ガス供給流路24は、互いに間隔をあけて配置され、並んで延在する(図2図3参照)。各ガス供給流路24は、真っ直ぐ延在していてもよいし、蛇行していてもよい。図3は、各ガス供給流路24が真っ直ぐ延在する場合の例を示している。
【0035】
本実施形態では、ガス供給流路24は、燃料極30に向く第1セパレータ22_1の面に設けられた溝等によって形成される。ただし、ガス供給流路24は、第1セパレータ22_1に向く燃料極30の面に設けられた溝等によって形成されてもよい。
【0036】
複数のガス排出流路26の各々は、酸素極32で生成される酸素ガスが流通する流路である。各ガス排出流路26は、第2セパレータ22_2と酸素極32との間に形成される(図2参照)。各ガス排出流路26は、酸素極32の極面に沿って形成される(図2参照)。ガス排出流路26は、互いに間隔をあけて配置され、並んで延在する(図2図4参照)。各ガス排出流路26は、真っ直ぐ延在していてもよいし、蛇行していてもよい。図4は、各ガス排出流路26が真っ直ぐ延在する場合の例を示している。
【0037】
本実施形態では、ガス排出流路26は、酸素極32に向く第2セパレータ22_2の面に設けられた溝等によって形成される。ただし、ガス排出流路26は、第2セパレータ22_2に向く酸素極32の面に設けられた溝等によって形成されてもよい。
【0038】
ガス供給流路24における原料ガスの流通方向D1(図3)と、ガス排出流路26における酸素ガスの流通方向D2(図4)とは相反する。つまり、原料ガスの流通方向D1(図3)は、酸素ガスの流通方向D2(図4)の逆方向と一致する。同様に、酸素ガスの流通方向D2(図4)は、原料ガスの流通方向D1(図3)の逆方向と一致する。換言すると、ガス供給流路24の上流部は、ガス排出流路26の下流部から電解セル18の厚み方向(電解セル18の積層方向)に配置される(図2参照)。また、ガス供給流路24の下流部は、ガス排出流路26の上流部から電解セル18の厚み方向(電解セル18の積層方向)に配置される(図2参照)。
【0039】
図5は、燃料極30に含まれる触媒量を示す概念図である。本実施形態では、燃料極30に含まれる触媒量は、ガス供給流路24の上流から下流に向かって漸次的に増加する。なお、触媒量とは、触媒物質の量を意味する。
【0040】
図6Aは、比較例における特定ガスの分圧の変化を示すグラフである。図6Bは、比較例における濃度過電圧および電流密度の変化を示すグラフである。比較例では、燃料極30に含まれる触媒量は、ガス供給流路24の上流から下流にわたって実質的に一定である。
【0041】
比較例の場合、水蒸気および二酸化炭素ガスの分圧は、ガス供給流路24の入口から急激に下降する(図6A参照)。また、電解により得られる水素ガスおよび一酸化炭素ガスの分圧は、ガス供給流路24の入口から急激に上昇する(図6A参照)。
【0042】
つまり、比較例の場合、電解反応場は、燃料極30の上流部に集中する。換言すると、燃料極30の端部に偏る。したがって、電極面内における電流密度は、ガス供給流路24の上流から下流に向かって急激に下降する(図6B参照)。また、濃度過電圧は、ガス供給流路24の上流から下流に向かって急激に上昇する(図6B参照)。その結果、電解効率が低減する。
【0043】
これに加えて、比較例の場合、電解反応場が集中する燃料極30の上流部には炭素が析出し易くなる。炭素が析出すると、触媒活性が低下する。その結果、電解効率の低減のみならず、電解セル18の劣化が促進される。
【0044】
図7Aは、本実施形態における特定ガスの分圧の変化を示すグラフである。図7Bは、本実施形態における濃度過電圧および電流密度の変化を示すグラフである。上記のように、本実施形態では、燃料極30に含まれる触媒量は、ガス供給流路24の上流から下流に向かって漸次的に増加する(図5図7A参照)。
【0045】
本実施形態の場合、水蒸気および二酸化炭素ガスの分圧は、ガス供給流路24の入口から出口に向かって緩やかに下降する(図7A参照)。また、電解により得られる水素ガスおよび一酸化炭素ガスの分圧は、ガス供給流路24の入口から出口に向かって緩やかに上昇する(図7A参照)。
【0046】
つまり、本実施形態の場合、燃料極30の上流部から燃料極30の下流部にまで、電解反応場はバランスよく分散される。換言すると、燃料極30の全体で電解反応場が確保される。その結果、電解効率の低減を抑制することができる。これに加えて、炭素が析出し難くなるため、電解セル18の劣化の促進を抑制することができる。
【0047】
水蒸気および二酸化炭素ガスの共電解反応は吸熱反応であり、燃料極30の上流部は電解セル18の温度が低下する。共電解反応では、作動温度が低いほど燃料極30に炭素が析出し易い。本実施形態の場合、ガス供給流路24における原料ガスの流通方向D1(図3)と、ガス排出流路26における酸素ガスの流通方向D2(図4)とは相反する。したがって、燃料極30の上流部の高温化を図ることができる。その結果、燃料極30の上流部に炭素が析出することを抑制することができる。また、酸素極32で生じる熱を、ガス供給流路24の上流に輸送し、吸熱反応である共電解反応(水蒸気および二酸化炭素ガスの還元反応)に利用することができる。なお、酸素極32で生じる熱は、水蒸気および二酸化炭素ガスの還元反応により得られる酸素イオンの移動抵抗に伴う過電圧になる。
【0048】
〔変形例〕
上記実施形態は、以下のように変形してもよい。
【0049】
(変形例1)
図8は、変形例1における燃料極30に含まれる触媒量を示す概念図である。図8では、実施形態において説明した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。なお、本変形例では、実施形態と重複する説明は割愛する。
【0050】
本変形例では、燃料極30は、複数の電極部30_nに区分される。区分される電極部の数nは、2以上の整数である。図8は、区分される電極部の数nは、「3」である場合の例を示している。すなわち、図8では、燃料極30は、第一電極部30_1、第二電極部30_2および第三電極部30_3に区分される。
【0051】
第一電極部30_1は、第二電極部30_2および第三電極部30_3よりもガス供給流路24の上流に配置される。第一電極部30_1に含まれる触媒量は、第二電極部30_2に含まれる触媒量および第三電極部30_3に含まれる触媒量よりも少ない。
【0052】
第二電極部30_2は、第一電極部30_1よりもガス供給流路24の下流に配置されるとともに、第三電極部30_3よりもガス供給流路24の上流に配置される。第二電極部30_2に含まれる触媒量は、第一電極部30_1に含まれる触媒量よりも多く、第三電極部30_3に含まれる触媒量よりも少ない。
【0053】
第三電極部30_3は、第一電極部30_1および第二電極部30_2よりもガス供給流路24の下流に配置される。第三電極部30_3に含まれる触媒量は、第一電極部30_1に含まれる触媒量および第二電極部30_2に含まれる触媒量よりも多い。
【0054】
本変形例では、第一電極部30_1、第二電極部30_2および第三電極部30_3の電極面積は互いに同じであるが異なっていてもよい。第一電極部30_1、第二電極部30_2および第三電極部30_3の厚さは実質的に同じである。
【0055】
図9Aは、変形例1における特定ガスの分圧の変化を示すグラフである。図9Bは、変形例1における濃度過電圧および電流密度の変化を示すグラフである。本変形例では、燃料極30に含まれる触媒量は、ガス供給流路24の上流から下流に向かって、3段階に区分される(図8図9A参照)。
【0056】
本変形例の場合、水蒸気および二酸化炭素ガスの分圧は、ガス供給流路24の入口から出口に向かって緩やかに下降する(図9A参照)。また、電解により得られる水素ガスおよび一酸化炭素ガスの分圧は、ガス供給流路24の入口から出口に向かって緩やかに上昇する(図9A参照)。
【0057】
つまり、本変形例の場合、実施形態と同様に、燃料極30の上流部から燃料極30の下流部にまで、電解反応場はバランスよく分散される。その結果、電解効率の低減を抑制することができる。これに加えて、炭素が析出し難くなるため、電解セル18の劣化の促進を抑制することができる。
【0058】
以上、本変形例では、ガス供給流路24の上流から下流に向かって段階的に触媒量が多くなるように燃料極30が複数の電極部30_nに区分される。このようにしても実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
(変形例2)
図10は、変形例2における燃料極30に含まれる触媒量と、細孔径および細孔密度とを示す概念図である。図10では、実施形態において説明した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。なお、本変形例では、実施形態と重複する説明は割愛する。
【0060】
本変形例では、燃料極30に含まれる触媒量は、実施形態と同様に、ガス供給流路24の上流から下流に向かって漸次的に増加する。また、燃料極30の細孔径および細孔密度は、ガス供給流路24の上流から下流に向かって漸次的に増加する。
【0061】
細孔径は、例えば、単位体積あたりに占める細孔の直径の平均と定義され得る。細孔密度は、単位体積あたりに占める細孔の密度である。細孔径および細孔密度は、調整可能である。例えば、燃料極30の原材料に孔形成材を混合して燃料極30の先駆物質を得た後、当該孔形成材を溶融し、さらに蒸発させることで、燃料極30を得る。この場合に、孔形成材の直径に基づいて細孔径が調整され得る。また、孔形成材の量に基づいて細孔密度が調整され得る。
【0062】
細孔径によってガスの拡散様式が異なることが知られている。具体的には、細孔径と気体分子の平均自由行程との比によって、分子拡散とKnudsen拡散とのどちらの拡散が支配的になるかが決まる。分子拡散は、気体分子同士の衝突による拡散である。Knudsen拡散は、気体分子と細孔壁面との衝突による拡散であり、気体の分子量が大きいほど小さくなる。本実施形態の場合、原料ガス中のガスの分子量に基づいて、Knudsen拡散が支配的とならないように、燃料極30の細孔径が設定されることが好ましい。
【0063】
本変形例の場合、燃料極30に含まれる触媒量のみならず、燃料極30の細孔径および細孔密度が、ガス供給流路24の上流から下流に向かって漸次的に増加する。したがって、燃料極30における電解反応場をより一段とバランスよく分散させることができる。
【0064】
なお、燃料極30の細孔径または細孔密度は、ガス供給流路24の上流から下流にわたって実質的に均一であってもよい。均一とは、最大値に対する最小値の割合が所定の閾値以下である場合である。所定の閾値は、例えば10%等に設定される。
【0065】
(変形例3)
図11は、変形例3における燃料極30に含まれる触媒量と、細孔径および細孔密度とを示す概念図である。図11では、実施形態において説明した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。なお、本変形例では、実施形態と重複する説明は割愛する。
【0066】
本変形例では、燃料極30は、変形例1と同様に、複数の電極部30_nに区分される。図11は、区分される電極部の数nは、「3」である場合の例を示している。すなわち、図11では、燃料極30は、第一電極部30_1、第二電極部30_2および第三電極部30_3に区分される。
【0067】
第一電極部30_1は、第二電極部30_2および第三電極部30_3よりもガス供給流路24の上流に配置される。第一電極部30_1に含まれる触媒量は、第二電極部30_2に含まれる触媒量および第三電極部30_3に含まれる触媒量よりも少ない。さらに、第一電極部30_1の細孔径は、第二電極部30_2の細孔径および第三電極部30_3の細孔径よりも小さい。これに加えて、第一電極部30_1の細孔密度は、第二電極部30_2の細孔密度および第三電極部30_3の細孔密度よりも小さい。
【0068】
第二電極部30_2は、第一電極部30_1よりもガス供給流路24の下流に配置されるとともに、第三電極部30_3よりもガス供給流路24の上流に配置される。第二電極部30_2に含まれる触媒量は、第一電極部30_1に含まれる触媒量よりも多く、第三電極部30_3に含まれる触媒量よりも少ない。さらに、第二電極部30_2の細孔径は、第一電極部30_1の細孔径よりも大きく、第三電極部30_3の細孔径よりも小さい。これに加えて、第二電極部30_2の細孔密度は、第一電極部30_1の細孔密度よりも大きく、第三電極部30_3の細孔密度よりも小さい。
【0069】
第三電極部30_3は、第一電極部30_1および第二電極部30_2よりもガス供給流路24の下流に配置される。第三電極部30_3に含まれる触媒量は、第一電極部30_1に含まれる触媒量および第二電極部30_2に含まれる触媒量よりも多い。さらに、第三電極部30_3の細孔径は、第一電極部30_1の細孔径および第二電極部30_2の細孔径よりも大きい。これに加えて、第三電極部30_3の細孔密度は、第一電極部30_1の細孔密度および第二電極部30_2の細孔密度よりも大きい。
【0070】
以上、本変形例では、燃料極30は、触媒量のみならず細孔径および細孔密度が段階的に大きくなるように、ガス供給流路24の上流から下流に向かって複数の電極部30_nに区分される。したがって、燃料極30における電解反応場をより一段とバランスよく分散させることができる。
【0071】
(変形例4)
図12は、変形例4における第1セパレータ22_1を示す図である。具体的には、第1セパレータ22_1の第1面を正面視した図(図2のIII-IIIの矢視図)が示されている。図12では、実施形態において説明した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。なお、本変形例では、実施形態と重複する説明は割愛する。
【0072】
本変形例の第1セパレータ22_1は、複数の燃料極入口孔34を有する。また、本変形例の第1セパレータ22_1は、複数の酸素極入口孔38を有する。図12では、燃料極入口孔34の数が2つであり、酸素極入口孔38の数が2つである場合の例が示されている。
【0073】
2つの燃料極入口孔34-1、34-2は、当該燃料極入口孔34-1、34-2の間に酸素極出口孔40が位置するように、互いに離間している。各燃料極入口孔34-1、34-2は、ガス供給流路24の一端部(上流端部)と連通する。各燃料極入口孔34-1、34-2の開口面積の合計は、燃料極出口孔36の開口面積よりも大きい。
【0074】
2つの酸素極入口孔38-1、38-2は、当該酸素極入口孔38-1、38-2の間に燃料極出口孔36が位置するように、互いに離間している。各酸素極入口孔38-1、38-2は、第1セパレータ22_1の隔壁部46によって隔離される。
【0075】
本変形例では、各ガス供給流路24の一端部には、2つの燃料極入口孔34-1、34-2の双方から原料ガスが供給される。したがって、燃料極入口孔34が1つである場合に比べて、原料ガスの供給圧が小さくても、各ガス供給流路24に原料ガスを均一に分配し易くなる。その結果、ガス供給流路24に分配される原料ガス量の相違によって、燃料極30での電解反応の反応分布に偏りが生じることを抑制することができる。
【0076】
図13は、変形例4における第2セパレータ22_2を示す図である。具体的には、第2セパレータ22_2の第1面を正面視した図(図3のIV-IVの矢視図)が示されている。図13では、実施形態において説明した構成と同等の構成には同一の符号が付されている。なお、本変形例では、実施形態と重複する説明は割愛する。
【0077】
本変形例の第2セパレータ22_2は、第1セパレータ22_1と同様に、複数の燃料極入口孔34を有する。また、本変形例の第2セパレータ22_2は、第1セパレータ22_1と同様に、複数の酸素極入口孔38を有する。図13では、燃料極入口孔34の数が2つであり、酸素極入口孔38の数が2つである場合の例が示されている。
【0078】
第2セパレータ22_2の各燃料極入口孔34-1、34-2は、第2セパレータ22_2の隔壁部50によって隔離される。また、各酸素極入口孔38-1、38-2は、各ガス排出流路26の一端部(上流端部)と連通する。
【0079】
本変形例では、各ガス排出流路26の一端部に、2つの酸素極入口孔38-1、38-2の双方から清掃用ガス等のガスが供給され得る。したがって、酸素極入口孔38が1つである場合に比べて、清掃用ガス等のガスの供給圧が小さくても、各ガス排出流路26に原料ガスを均一に分配し易くなる。
【0080】
なお、電解セル18による電解が行われている場合、臨時用入口部42に設けられる開閉弁44は閉弁される。したがって、実施形態と同様に、酸素極32(図2)で生成される酸素ガスが逆流して臨時用入口部42から排出されることはない。
【0081】
(変形例5)
実施形態および変形例1~変形例4は、本発明の目的を逸脱しない範囲で任意に組み合わせてもよい。
【0082】
(1)本発明は、電解セル(18)であって、燃料極(30)、酸素極(32)、および、前記燃料極と前記酸素極との間に配置された電解質膜(28)を含む膜電極接合体(20)と、前記膜電極接合体を挟持する一対のセパレータ(22)と、前記燃料極の極面に沿って前記燃料極と前記一対のセパレータの一方との間に形成され、前記燃料極に供給される原料ガスが流通するガス供給流路(24)と、前記酸素極の極面に沿って前記酸素極と前記一対のセパレータの他方との間に形成され、前記酸素極で生成される酸素ガスが流通するガス排出流路(26)と、を備え、前記燃料極は、前記原料ガスの電解反応を触媒する触媒物質を含み、前記燃料極に含まれる前記触媒物質の量は、前記ガス供給流路の上流から下流に向かって増加する。
【0083】
これにより、燃料極の上流部から燃料極の下流部にまで、電解反応場をバランスよく分散させることができる。その結果、電解効率の低減を抑制することができる。また、電解反応場の集中による炭素の析出を抑制することができ、その結果、電解セルの劣化の促進を抑制することができる。
【0084】
(2)本発明は、電解セルであって、前記ガス供給流路における前記原料ガスの流通方向(D1)と、前記ガス排出流路における前記酸素ガスの流通方向(D2)とは相反してもよい。これにより、電解による吸熱反応(二酸化炭素ガスの還元反応)により温度が下がり易い燃料極の上流部の高温化を図ることができる。その結果、燃料極の上流部に炭素が析出することを抑制することができる。また、酸素極で生じる熱を、ガス供給流路の上流に輸送し、吸熱反応である電解反応(二酸化炭素ガスの還元反応)に利用することができる。
【0085】
(3)本発明は、電解セルであって、前記燃料極に含まれる前記触媒物質の量は、前記ガス供給流路の上流から下流に向かって漸次的に増加してもよい。これにより、電解反応場をバランスよく分散させることができる。
【0086】
(4)本発明は、電解セルであって、前記燃料極は、第一電極部(30_1)と、前記第一電極部よりも前記触媒物質の量が多い第二電極部(30_2)を有し、前記第一電極部は、前記第二電極部よりも前記ガス供給流路の上流に配置されてもよい。これにより、電解反応場をバランスよく分散させることができる。
【0087】
(5)本発明は、電解セルであって、前記燃料極は、複数の細孔を有し、前記細孔の細孔径は、前記ガス供給流路の上流から下流に向かって大きくなってもよい。これにより、電解反応場をより一段とバランスよく分散させることができる。
【0088】
(6)本発明は、電解セルであって、前記燃料極は、複数の細孔を有し、単位体積あたりに占める前記細孔の密度は、前記ガス供給流路の上流から下流に向かって多くなってもよい。これにより、電解反応場をより一段とバランスよく分散させることができる。
【0089】
(7)本発明は、電解セルであって、前記酸素極に含まれる前記触媒物質の量は、前記ガス排出流路の上流から下流にわたって一定であってもよい。これにより、酸素極に含まれる触媒量の調整を不要にすることができる。
【0090】
本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0091】
18…電解セル 20…膜電極接合体
22…セパレータ 22_1…第1セパレータ
22_2…第2セパレータ 24…ガス供給流路
26…ガス排出流路 28…電解質膜
30…燃料極 30_1…第一電極部
30_2…第二電極部 30_3…第三電極部
32…酸素極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13