(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150300
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】洗濯機、洗濯機を制御する方法
(51)【国際特許分類】
D06F 33/54 20200101AFI20241016BHJP
D06F 39/08 20060101ALI20241016BHJP
D06F 33/56 20200101ALI20241016BHJP
D06F 33/57 20200101ALI20241016BHJP
D06F 33/58 20200101ALI20241016BHJP
D06F 33/62 20200101ALI20241016BHJP
D06F 33/68 20200101ALI20241016BHJP
D06F 33/69 20200101ALI20241016BHJP
D06F 34/08 20200101ALI20241016BHJP
【FI】
D06F33/54
D06F39/08 301B
D06F33/56
D06F33/57
D06F33/58
D06F33/62
D06F33/68
D06F33/69
D06F34/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063653
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183276
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 裕三
(72)【発明者】
【氏名】工藤 慶之
(72)【発明者】
【氏名】松尾 優樹
(72)【発明者】
【氏名】田村 和浩
(72)【発明者】
【氏名】徐 丁英
(72)【発明者】
【氏名】大黒 祐揮
(72)【発明者】
【氏名】福宿 将士
【テーマコード(参考)】
3B166
3B167
【Fターム(参考)】
3B166AA11
3B166AB42
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE04
3B166AE05
3B166AE07
3B166BA10
3B166BA52
3B166BA53
3B166BA72
3B166BA78
3B166BA82
3B166CA01
3B166CA02
3B166CB01
3B166CB12
3B166CB13
3B166DA35
3B166DC03
3B166DC13
3B166DC14
3B166DC22
3B166DC45
3B166DC47
3B166DD03
3B166DD06
3B166DE01
3B166DE02
3B166DE04
3B166FA01
3B166FA05
3B166FA06
3B166FA13
3B166FB01
3B166FB05
3B166FB09
3B166GA02
3B166GA04
3B166GA12
3B166HA11
3B166HA31
3B166HA35
3B166HA36
3B166JM01
3B166JM02
3B166JM03
3B167AA11
3B167AB42
3B167AE01
3B167AE02
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167BA10
3B167BA52
3B167BA53
3B167BA72
3B167BA78
3B167BA82
3B167FB01
3B167FB05
3B167FB08
3B167HA11
3B167HA35
3B167HA36
3B167JA01
3B167JA11
3B167JA31
3B167JC01
3B167KA18
3B167KA84
3B167LA23
3B167LA38
3B167LA39
3B167LC02
3B167LC09
3B167LC25
3B167LE04
3B167LG02
(57)【要約】
【課題】洗濯槽に対する除菌性能を向上させた洗濯機を提供する。
【解決手段】本開示に係る洗濯機は、水溶性を有する1回使い切りの除菌用の固形剤を投入可能に構成された洗濯機であって、外槽と、外槽内に回転可能に設けられた洗濯槽と、洗濯槽を回転させるモータと、洗濯槽に供給される洗剤を収容する洗剤ケースと、洗濯槽に供給される固形剤を収容する固形剤ケースと、洗剤ケースを介して洗濯槽に給水する第1給水弁と、固形剤ケースを介して洗濯槽に給水する第2給水弁と、第1給水弁、第2給水弁及びモータを制御する制御部と、を備え、制御部は、洗い工程において、第1給水弁を開放して洗剤ケースに給水し、洗い工程の後の除菌工程において、第2給水弁を開放して固形剤ケースに給水してから前記第2給水弁を閉める第1ステップと、モータを駆動して洗濯槽を回転させる第2ステップとを順に実行する。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性を有する1回使い切りの除菌用の固形剤を投入可能に構成された洗濯機であって、
外槽と、
前記外槽内に回転可能に設けられた洗濯槽と、
前記洗濯槽を回転させるモータと、
前記洗濯槽に供給される洗剤を収容する洗剤ケースと、
前記洗濯槽に供給される前記固形剤を収容する固形剤ケースと、
前記洗剤ケースを介して前記洗濯槽に給水する第1給水弁と、
前記固形剤ケースを介して前記洗濯槽に給水する第2給水弁と、
前記第1給水弁、前記第2給水弁及び前記モータを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
洗い工程において、前記第1給水弁を開放して前記洗剤ケースに給水し、
前記洗い工程の後の除菌工程において、前記第2給水弁を開放して前記固形剤ケースに給水してから前記第2給水弁を閉める第1ステップと、前記モータを駆動して前記洗濯槽を回転させる第2ステップとを順に実行する、洗濯機。
【請求項2】
前記洗濯槽に給水された水を撹拌させる撹拌機構をさらに備え、
前記制御部は、前記除菌工程において、前記撹拌機構を駆動して前記洗濯槽に給水された水を撹拌させる第3ステップを実行する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記制御部は、前記第3ステップを前記第1ステップと前記第2ステップとの間に実行する、請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記モータは、前記洗濯槽の回転軸に連結される第1伝達機構と、前記撹拌機構の回転軸に連結される第2伝達機構とに切り替え可能に接続され、
前記制御部は、
前記第2ステップおいて、前記モータを前記第1伝達機構に接続させて、
前記第3ステップにおいて、前記モータを前記第2伝達機構に接続させる、請求項2に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記第3ステップの時間は、前記第2ステップの時間より長い、請求項2に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記第2ステップにおける前記洗濯槽の回転数は、洗濯運転のコースの途中に実行可能な自動槽洗浄機能における前記洗濯槽の回転数より低い、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記洗濯槽に柔軟剤を供給する柔軟剤供給機構をさらに備え、
前記制御部は、前記除菌工程の後のすすぎ工程において、前記柔軟剤供給機構を駆動して前記洗濯槽に柔軟剤を供給する、請求項1に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記洗濯槽に給水された水を排水する排水弁をさらに備え、
前記制御部は、前記洗い工程の後かつ前記第1ステップの前に、前記排水弁を開放して前記洗濯槽に給水された水を排水する第4ステップを実行する、請求項1から7のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記制御部は、前記第4ステップの後かつ前記第1ステップの前に、前記第1給水弁を開放して前記洗剤ケースに給水し、前記排水弁を開放して前記洗濯槽に給水された水を排水する第5ステップを実行する、請求項8に記載の洗濯機。
【請求項10】
前記洗濯槽の水を排水する排水弁をさらに備え、
前記制御部は、前記除菌工程における前記洗濯槽の最高水位が、前記洗い工程における前記洗濯槽の最高水位より大きくなるように前記第1給水弁、前記第2給水弁及び前記排水弁を制御する、請求項1から7のいずれか一項に記載の洗濯機。
【請求項11】
外槽と、前記外槽内に回転可能に設けられた洗濯槽と、前記洗濯槽に供給される洗剤を収容する洗剤ケースと、前記洗濯槽に供給される、水溶性を有する1回使い切りの除菌用の固形剤を収容する固形剤ケースと、を有する洗濯機を制御する方法であって、
洗い工程において、前記洗剤ケースを介して前記洗濯槽に給水する第1給水弁を開放して前記洗剤ケースに給水することと、
前記洗い工程の後の除菌工程において、前記固形剤ケースを介して前記洗濯槽に給水する第2給水弁を開放して前記固形剤ケースに給水してから前記第2給水弁を閉める第1ステップと、前記洗濯槽を回転させるモータを駆動して前記洗濯槽を回転させる第2ステップとを順に実行することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗濯機、及び洗濯機を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、洗濯物及び水を収容する洗濯槽と、次亜塩素酸を放出する固体と、洗濯槽の内下部に設けられた撹拌体と、洗濯槽の内周側部に形成されて洗濯槽の下部から上部に延びる揚水路とを有する洗濯機が開示されている。特許文献1に記載された洗濯機において、放出された次亜塩素酸を含む水は洗濯槽内に供給される。
【0003】
特許文献1に記載された洗濯機は、撹拌体を回転させることで、次亜塩素酸を含む水を洗濯槽の下部から揚水路に送り込んで、洗濯槽の上部から吐出させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された洗濯機によって、洗濯物を除菌することは可能である。しかしながら、洗濯槽に対する除菌性能の観点において、未だ向上の余地がある。
【0006】
したがって、本開示の目的は、上記課題を解決することにあり、洗濯槽に対する除菌性能を向上させる洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の洗濯機は、水溶性を有する1回使い切りの除菌用の固形剤を投入可能に構成された洗濯機であって、外槽と、外槽内に回転可能に設けられた洗濯槽と、洗濯槽を回転させるモータと、洗濯槽に供給される洗剤を収容する洗剤ケースと、洗濯槽に供給される固形剤を収容する固形剤ケースと、洗剤ケースを介して洗濯槽に給水する第1給水弁と、固形剤ケースを介して洗濯槽に給水する第2給水弁と、第1給水弁、第2給水弁及びモータを制御する制御部と、を備え、制御部は、洗い工程において、第1給水弁を開放して洗剤ケースに給水し、洗い工程の後の除菌工程において、第2給水弁を開放して固形剤ケースに給水してから給水弁10bを閉める第1ステップと、モータを駆動して洗濯槽を回転させる第2ステップとを順に実行する。
【0008】
本開示の一態様の方法は、外槽と、外槽内に回転可能に設けられた洗濯槽と、洗濯槽に供給される洗剤を収容する洗剤ケースと、洗濯槽に供給される、水溶性を有する1回使い切りの除菌用の固形剤を収容する固形剤ケースと、を有する洗濯機を制御する方法であって、洗い工程において、洗剤ケースを介して洗濯槽に給水する第1給水弁を開放して洗剤ケースに給水することと、洗い工程の後の除菌工程において、固形剤ケースを介して洗濯槽に給水する第2給水弁を開放して固形剤ケースに給水してから給水弁10bを閉める第1ステップと、洗濯槽を回転させるモータを駆動して洗濯槽を回転させる第2ステップとを順に実行することと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、洗濯槽に対する除菌性能を向上させた洗濯機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図14】除菌コースの第1すすぎ工程の一部のシーケンス図
【
図15】除菌コースの第1すすぎ工程の一部のシーケンス図
【
図16】除菌コースの第1すすぎ工程の一部のシーケンス図
【
図19】除菌コースの第1すすぎ工程の一部のシーケンス図
【
図20】除菌コースの第2すすぎ工程及び脱水工程のシーケンス図
【
図24】槽洗浄コースの槽すすぎ工程及び脱水工程のシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態)
本開示の実施の形態に係る洗濯機1について説明する。
【0012】
[全体構成]
図1A及び
図1Bは、本開示に係る実施の形態の洗濯機1を示す斜視図である。
図1Aでは蓋21が開位置にあって、
図1Bでは蓋21が閉位置にある。
図1Cは、外槽3及び洗濯槽4の模式断面図である。
図1Aに示すように、洗濯機1は、筐体2と、外槽3と、洗濯槽4と、洗濯剤供給ユニット5と、排水弁9と、センサとを備える。
図1Bに示すように、洗濯機1は、制御部Cと、報知部23と、表示部24とをさらに備える。
図1Cに示すように、洗濯機1は、撹拌機構8と、駆動部18と、ヒータ28とをさらに備える。
【0013】
<筐体>
筐体2は、洗濯機1の外観を形成する部材である。筐体2の上面には、開口20と、開口20を覆う開閉自在な蓋21とが設けられている。
図1A及び
図1Bに示すように、蓋21は、開口20が露出する開位置と、開口20が覆われている閉位置との間で開閉可能である。蓋21が閉位置にあると、ユーザは洗濯機1の内部にアクセスすることができず、洗濯槽4に洗濯物を投入することや洗濯剤供給ユニット5に洗濯処理剤を投入することができない。
【0014】
図1Aに示すように、筐体2には、蓋ロック機構22がさらに設けられている。蓋ロック機構22は、閉位置にある蓋21を解除可能にロックし、蓋21の開放を防止する。蓋ロック機構22が解除される(蓋ロックがOFF)と、ユーザは閉位置と開位置との間で蓋21を移動させることができる。蓋ロック機構22が動作する(蓋ロックがON)と、蓋21は閉位置において固定される。蓋ロック機構22は、制御部Cの動作またはユーザの入力によって解除可能である。
【0015】
<外槽>
外槽3は、筐体2の内部に設けられ、洗濯水を溜めるように一端が閉じた大略円筒状の部材である。外槽3を水槽と称してもよい。外槽3は筐体2の開口20に面する位置に開口30を有する。
【0016】
<洗濯槽>
洗濯槽4は、外槽3の内側において回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物を収容する大略円筒状の部材である。洗濯槽4には外槽3に連通する多数の貫通孔40が形成される。貫通孔40は、外槽3と洗濯槽4との間で洗濯水及び洗濯処理剤の移動を可能にする。洗濯槽4は筐体2の開口20に面する位置に開口41をさらに有する。開口41を通じて洗濯物は洗濯槽4に投入される。洗濯槽4をドラムまたは内槽と称してもよい。
【0017】
図1Cに示すように、洗濯槽4の外周面は外槽3の内周面から離れており、洗濯槽4の底面も外槽3の底面から離れている。そのため、洗濯槽4と外槽3との間には第1空間X1が設けられている。本明細書において、第1空間X1は、洗濯槽4の外周面と外槽3の内周面とを含む空間を意味する。第1空間X1は、貫通孔40を通じて、洗濯槽4の内部の第2空間X2と連通する。
【0018】
洗濯槽4は、縦方向に延びる筒部42を有する。筒部42には、筒部42の下部における吸込口43aと筒部42の上部における吐出口43bとの間で延びる揚水路43が設けられている。洗濯槽4の下部の水が吸込口43aから揚水路43に流入すると、吐出口43bから吐出される。実施の形態では、揚水路43は、筒部42の内周面と筒部42の内周面に貼り付けた樹脂部材との間に形成される。一方で、揚水路43は、筒部42を形成する壁部の内部に形成されてもよい。
【0019】
<洗濯剤供給ユニット>
図1Aに戻ると、洗濯剤供給ユニット5は、洗濯槽4に液剤、粉末洗剤、及び固形剤等の洗濯処理剤を供給するユニットである。洗濯処理剤を供給するとは、洗濯槽4に向かって下方に排出することを意味する。液剤とは、衣類等の洗濯物を洗浄するために用いられる液剤である。液剤は、洗剤、柔軟剤、中性洗剤を含んでもよい。
【0020】
洗濯剤供給ユニット5は、手動投入ユニット6と自動投入ユニット7とを備える。
【0021】
<排水弁>
排水弁9は、開閉可能に構成され、開かれると、外槽3に溜められた水を排水するための弁である。排水弁9は、筐体2の下部に設けられる。
【0022】
<センサ>
水位センサ25は、洗濯槽4に収容された水の水位を測定する。水位センサ25は、例えば、空気が収容されたチューブであって、水位の増減による圧力差に応じて水位を検知する。布量センサ26は、洗濯槽4内に投入された洗濯物の重量を検知する。水温センサ27は、洗濯槽4内の水の水温を検知する。開閉センサ29は、蓋21の開閉を検知する。蓋21が閉位置にあると導通する電気回路が筐体2に設けられている場合、開閉センサ29は、例えば、電気回路の電圧を検知する。なお、開閉センサ29として、電気回路の電圧を検知する構成の代わりに、磁界の変化をホールセンサで検知する構成を用いてもよい。
【0023】
<撹拌機構>
図1Cに示すように、撹拌機構8は、洗濯槽4内の水を撹拌する部材である。実施の形態では、撹拌機構8は、筒部42の下端に接続され、洗濯槽4の底部を形成する回転可能なパルセータである。撹拌機構8は、上面に表羽根8aを有し、下面に裏羽根8bを有する。撹拌機構8の回転によって、表羽根8a及び裏羽根8bによって水は巻き上げられ、一部の水は揚水路43に送り込まれる。撹拌機構8は、時計回り及び反時計回りのうち一方向に回転してもよく、両方向に回転してもよい。
【0024】
<駆動部>
駆動部18は、洗濯槽4または撹拌機構8を回転させる機構である。駆動部18は、モータ18aと、洗濯槽4の回転軸に連結される第1伝達機構18bと、撹拌機構8の回転軸に連結される第2伝達機構18cと、を有する。制御部Cは、モータ18aの接続先を第1伝達機構18bと第2伝達機構18cとの間で切り替えることができる。モータ18aが第1伝達機構18bに接続されると、洗濯槽4が回転され、第2伝達機構18cに接続されると、撹拌機構8が回転される。伝達機構18b、18cは例えば、クラッチ機構またはギアを有する。
【0025】
<ヒータ>
ヒータ28は、洗濯槽4の下方に配置された、洗濯槽4内の水を加熱するためのヒータである。ヒータ28の最大温度は例えば65°Cである。
【0026】
<制御部>
図1Bに示すように、制御部Cは、洗濯機1の運転を制御する部材である。制御部Cは、例えば、プログラムを記憶したメモリ(図示せず)と、CPUなどのプロセッサに対応する処理回路(図示せず)とを備え、プロセッサがプログラムを実行することでこれらの要素として機能してもよい。
【0027】
<報知部>
報知部23は、洗濯機1から離れているユーザに洗濯機1に関する情報を伝達する装置である。報知部23は、例えば、ブザーであって、制御部Cの制御によって音を発する。報知部23は、例えば、光を発するランプ等であって、制御部Cの制御によって視覚的な報知を行ってもよい。
【0028】
<表示部>
表示部24は、表示部24を目視確認するユーザに洗濯機1に関する情報を表示する装置である。実施の形態では、表示部24は、制御部Cの制御によって、規定された数字と文字を表示する。表示部24は、例えば、7セグ表示である。なお、表示部24は、任意の文字や数字を自由に表示してもよく、例えば、LEDディスプレイであってもよい。
【0029】
続いて、洗濯剤供給ユニット5の構成について、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
図2及び
図3は、洗濯剤供給ユニット5の斜視図である。
【0030】
図2に示すように、洗濯剤供給ユニット5は、ユニットケース50と、蓋50aと、手動投入ユニット6と、自動投入ユニット7と、給水装置10と、流路部材11(
図3)とを備える。
【0031】
図3に示すように、ユニットケース50は、手動投入ユニット6と、自動投入ユニット7と、流路部材11とを収容する部材である。ユニットケース50の上部は開口しており、蓋50aで覆われる。
【0032】
手動投入ユニット6は、洗濯機1の運転の度に、使用者が1回分の液剤、粉末洗剤や固形剤等の洗濯剤を手動で投入するための部材である。手動投入ユニット6に投入される洗濯剤は、投入された量において洗濯槽4に流入する。
【0033】
手動投入ユニット6に投入される1回分の洗濯剤は、手動投入ユニット6が形成する複数のケース60、61、62、63に収容される。実施の形態では、それぞれのケース60、61、62、63は、1回分の洗剤、柔軟剤、粉末洗剤、水溶性の固形剤(例えば、錠剤)を収容する。
【0034】
自動投入ユニット7は、液剤を貯蔵するタンクから洗濯槽4に、所定量の液剤を自動で供給する装置である。自動投入ユニット7は、例えば洗濯物の量や種類に応じて、適切な種類の液剤を適切な量において洗濯槽4に投入する。自動投入ユニット7は、幅方向K(例えば、水平方向)に並び液剤を収容する2つのタンク70、71と、液剤の吸引・吐出を行うポンプ(図示せず)とを有する。実施の形態では、タンク70は洗剤を収容し、タンク71は柔軟剤を収容する。
【0035】
給水装置10は、流路部材11を介して、洗濯剤供給ユニット5に水を供給する装置である。給水装置10は複数の給水弁10a、10b、10cからなり、給水弁10a、10b、10cの開閉によって、水の供給先を変更することができる。具体的には、給水弁10aが開放されると、水はケース60、62に供給され、給水弁10bが開放されると、水はケース61、63に供給され、給水弁10cが開放されると、水は自動投入ユニット7に供給される。給水弁10a、10b、10cは、例えば、電磁弁であるが、これに限定されない。
【0036】
流路部材11は、給水弁10a、10b、10cから供給される水を供給先に案内する部材である。流路部材11は、ケース60、61、62、63の上方に設けられて、給水弁10a、10b、10cに接続される。より具体的には、流路部材11は、給水弁10a、10b、10cからそれぞれの供給先まで連通する複数の独立した経路を形成する。
【0037】
手動投入ユニット6のケース60、61、62、63に供給された水は、収容されている洗濯剤とともに洗濯槽4に流入する。
【0038】
続いて、手動投入ユニット6の構成について、
図3から
図6を参照しながら、より詳細に説明する。
図4は、手動投入ユニット6の斜視図である。
図5は、手動投入ユニット6からケース63、及び投入口部材65、66を外した状態を示す断面図である。
図6は、手動投入ユニット6からケース63、及び投入口部材65、66を外した状態を示す斜視図である。
【0039】
図3に示すように、手動投入ユニット6は、本体部64を備える。本体部64は、ユニットケース50において、前後方向Lに引き出し可能に保持される部材である。
【0040】
図4に示すように、本体部64には、投入口部材65、66と、ケース63(以降、錠剤ケース63)とが収容される。投入口部材65、66と錠剤ケース63とは、本体部64に取り外し可能に収容される。
【0041】
図4及び
図5に示すように、本体部64には、洗濯剤が収容されるケース60、61、62が幅方向Kに並んで設けられている。上述のように、ケース60(以降、洗剤ケース60)は洗剤を収容し、ケース61(以降、柔軟剤ケース61)は柔軟剤を収容し、ケース62(以降、粉末洗剤ケース62)は粉末洗剤を収容する。本体部64において、洗剤ケース60と粉末洗剤ケース62とは互いに隣接している。一方で、洗剤ケース60と柔軟剤ケース61との間には空間67が設けられており、空間67には錠剤ケース63が配置される。
【0042】
図5に示すように、柔軟剤ケース61は、柔軟剤を収容する収容スペース78と、液剤吐出流路74とを有する。液剤吐出流路74は、吸込み口74aから上方に延びて、柔軟剤ケース61の上部で折り返して収容スペース78の底面78aに接続されたU字形状を有する。液剤吐出流路74は、収容スペース78に所定量の水が溜まると、柔軟剤を吸込み口74aから吸い上げ、収容スペース78の底面78aに形成された開口61aから吐出する。洗剤ケース60は、洗剤を収容する収容スペース77と、液剤吐出流路74と同様な液剤吐出流路73とを有する。
【0043】
投入口部材65は収容スペース77に配置され、洗剤の投入のために設けられた投入口65aを形成する。投入口部材66は収容スペース78に配置され、柔軟剤の投入のために設けられた投入口66aを形成する。
【0044】
錠剤ケース63は、1回の除菌洗濯コースで使用する水溶性の除菌用の固形剤を収容する部材である。固形剤に水がかかると固形剤は溶解して、固形剤の溶解物が洗濯槽4に供給される。固形剤は、中実または中空の固体である。例えば、固形剤は、圧縮されてまとまった粉末から形成される固形物である。固形剤を固形処理剤と称してもよい。実施の形態では、固形剤の一例として錠剤Jについて説明する。
【0045】
ここで、錠剤Jは、除菌性能を発揮する成分を含むものである。錠剤Jは水溶性を有する成分を含み、給水前において一定の形状を有するが、水がかかると小さい破片(細かい粒子)に分解して水に溶ける。
【0046】
錠剤Jの構成材料について、錠剤Jは次亜塩素酸を発生させる成分を含んでもよい。実施の形態では、錠剤Jは除菌成分としてジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを含む。錠剤Jは水と反応して発泡する成分をさらに含んでもよい。
【0047】
錠剤Jの形状について、錠剤Jは、錠剤ケース63における所定位置まで移動可能であるような形状を有してもよく、例えば、転がって移動できるような外周形状または輪郭を有する。実施の形態では、錠剤Jは、直径D0が厚みT0より大きい円盤形状(
図8A、
図8B)を有する。
【0048】
錠剤ケース63に投入される錠剤Jは、洗濯機1の製造者によって使用が想定される特定の錠剤Jであってもよい。例えば、錠剤Jは、指定された1つまたは複数の種類の錠剤Jであってもよい。また、例えば、錠剤Jの種類は、制御部Cに記憶されたカタログまたはリストから選択された種類である。
【0049】
錠剤ケース63は、前側L1に錠剤Jを投入するための投入口63aを形成する。
図4に示すように、錠剤ケース63が本体部64に配置されると、投入口63aは、幅方向Kに並ぶ投入口65aと投入口66aとの間に配置されている。
図3に示すように、ユニットケース50から本体部64を引き出すと、投入口63aは全面にわたって露出する。投入口63aは縦長形状を有してもよい。
【0050】
図6に示すように、本体部64の底面64aには、それぞれのケース60、61、62と空間67に対応する位置において、開口60a、61a、62a、67aが設けられている。給水装置10からそれぞれのケース60、61、62、63に水が供給されると、収容された液剤は水とともにそれぞれの開口60a、61a、62a、67aから洗濯槽4に向かって流出する。
【0051】
図7は、錠剤ケース63の斜視図である。
図7に示すように、実施の形態において、錠剤ケース63は、一方の側壁80を備え、反対側の側面が開放されている片側開放構造を有する。実施の形態においては、柔軟剤ケース61の外側壁が錠剤ケース63の他方の側壁として機能する。
【0052】
側壁80は、側壁80の厚み方向(幅方向K)に貫通したメッシュ82を有する。溶けた錠剤Jは、水とともにメッシュ82から流出して洗濯槽4に供給される。
【0053】
側壁80の一方の面には、幅方向K(短手方向)に突出するように周壁81が設けられている。周壁81は側壁80の外周部から突出し、錠剤ケース63の前面、底面及び背面を形成する。周壁81は側壁80と合わせて投入口63aに投入された錠剤Jを後側L2の収容空間K10に案内し、収容する。収容空間K10は、給水時において錠剤Jを収容する空間である。
【0054】
また、側壁80は、幅方向Kに突出する突出部88をさらに有する。突出部88は、錠剤Jを収容空間K10に安定的に保持する。そうすると、収容空間K10は周壁81と突出部88とによって規定される。
【0055】
収容空間K10の上方には、流路部材11の給水ノズル12、13が設けられている。錠剤Jが収容空間K10に配置されると、給水ノズル12、13から供給される水によって錠剤Jは溶解される。
【0056】
図8A及び
図8Bに示すように、錠剤Jは、円盤形状を有し、直径D0と、厚みT0とを有する。
図8Aは、投入方向A2に対して厚み方向を直交させて、錠剤Jを縦置きした姿勢を示す。縦置きした姿勢とは、鉛直方向の寸法が、水平断面における錠剤Jの短手方向(例えば、厚み方向)の寸法より大きい姿勢である。
図8Bは、投入方向A2に対して厚み方向を平行にして、錠剤Jを横置きした姿勢を示す。実施の形態においては、錠剤Jは縦置きした姿勢で錠剤ケース63に投入される。
【0057】
ここで、錠剤Jへの給水について説明する。
【0058】
図9は、蓋50aを取り外した状態における洗濯剤供給ユニット5の上面図である。
図9に示すように、給水装置10の3つの給水弁10a、10b、10c(
図3)は、それぞれ、流路部材11の経路F1、F2、F3に接続される。経路F1、F2、F3は互いから独立して形成される。給水弁10aに接続される経路F1は、洗剤ケース60と粉末洗剤ケース62とに水を供給するための流路を形成する。給水弁10bに接続される経路F2は、柔軟剤ケース61と錠剤ケース63とに水を供給するための流路を形成する。給水弁10cに接続される経路F3は、自動投入ユニット7に水を供給するための流路を形成する。1つの経路で複数のケースに給水することで、給水装置10における給水弁の数を減らして、構成を単純化することができる。
【0059】
経路F2には、錠剤ケース63に面した開口14、15と、柔軟剤ケース61に面した複数の開口16とが設けられている。給水弁10bが開放されて経路F2と連通すると、一部の水は開口14、15を通じて錠剤ケース63に流入する(矢印B参照)。開口14、15を超えた水は、その後、開口16を通じて柔軟剤ケース61に流入する。給水弁10bを開放することで、錠剤ケース63と柔軟剤ケース61とに同時に給水できる。
【0060】
図10は洗濯剤供給ユニット5の断面図である。
図10に示すように、錠剤ケース63の上部には、開口14から下方に延びる給水ノズル12と、開口15から下方に延びる給水ノズル13とが設けられている。給水ノズル12、13は、前後方向Lに並んで収容空間K10の上方に設けられている。給水ノズル12、13は円筒状の部材であって、開口14、15に流入した水は、給水ノズル12、13を通じて錠剤ケース63の内部に吐出される。
【0061】
図11は、前後方向Lから見た錠剤ケース63の模式断面図である。
図11に示すように、水は給水ノズル12から斜め下方に、錠剤ケース63の側壁80に向かって吐出される(矢印W1)。また、水は給水ノズル13から逆向きの斜め下方に、反対側の柔軟剤ケース61の外側壁に向かって吐出される(矢印W2)。
【0062】
水は、側壁80における点P1及び柔軟剤ケース61の外側壁89における点P2に当たって、壁面に沿って下方に流れる。点P1、P2は錠剤Jの頂点の上方であって、収容空間K10の上方におけるメッシュ82上に位置する。衝突後、水が壁面に沿って下方に流れると、錠剤Jの側面に当たり、錠剤Jに吸収される。水が一度側壁80に衝突してから間接的に錠剤Jの側面に当たるため、給水ノズル12、13から直接錠剤Jに当たる場合と比較して、水の勢い及び流速を小さくできる。
【0063】
[動作:除菌コース]
続いて、洗濯機1の動作について説明する。洗濯機1の動作の例として、
図12から
図20を参照しながら、洗濯物及び洗濯槽4を除菌する除菌コースについて説明する。
図12は、除菌コースのシーケンス図である。
図13から
図16、
図19及び
図20は、除菌コースのそれぞれの工程のシーケンス図である。
図17は、撹拌機構8を回転させた洗濯機1の模式図である。
図18は、洗濯槽4を回転させた洗濯機1の模式図である。
【0064】
除菌コースは、衣類やタオル等の洗濯物、洗濯槽4内の第2空間X2とともに、洗濯槽4と外槽3との間の第1空間X1を除菌するために行われる運転コースである。1回の除菌コースでは1つの錠剤Jが使用される。除菌コースの終了後には、錠剤Jは、投入前と同じ形状において、錠剤ケース63に残っていないことが想定される。そのため、ユーザは次に除菌コースを運転させる際には新たな錠剤Jを錠剤ケース63に投入する。
【0065】
図12に示すように、除菌コースでは、制御部Cは、順に洗い工程と、第1すすぎ工程と、第2すすぎ工程と、脱水工程とを実行する。洗い工程では洗剤が洗濯槽4に供給され、すすぎ工程では他の液剤や錠剤等が洗濯槽4に供給される。実施の形態において、第1すすぎ工程、即ち最終すすぎ工程の1つ前の工程では、錠剤Jが洗濯槽4に供給される。そのため、第1すすぎ工程を除菌工程と称してもよい。第2すすぎ工程、即ち最終すすぎ工程では、柔軟剤が洗濯槽4に供給されてもよい。
【0066】
まず、除菌コースの事前準備として、ユーザは、手動投入ユニット6に1回の除菌コースのための洗剤及び1つの錠剤Jを投入する。洗剤は投入口65aを通じて洗剤ケース60に投入される。錠剤Jは縦置きの姿勢で投入口63aを通じて錠剤ケース63に投入される。その後、ユーザは蓋21を閉位置に移動させる。
【0067】
柔軟剤を使用する場合、ユーザは、自動投入ユニット7のタンク71に柔軟剤が収容されていることを確認し、残量が少ない場合にはタンク71に柔軟剤を補充する。
【0068】
洗剤も自動投入ユニット7によって自動投入されてもよい。洗剤を自動投入する場合、ユーザは、自動投入ユニット7のタンク70に洗剤が収容されていることを確認し、残量が少ない場合にはタンク70に洗剤を補充する。
【0069】
<洗い工程>
まず、
図13に示すように、制御部Cは、洗い工程を実行する。制御部Cは、洗い工程の給水量Q1を決定する(S10)。具体的には、制御部Cは、布量センサ26で検知された洗濯槽4内の洗濯物の重量を取得し、重量に応じて、給水量Q1を決定する。
【0070】
続いて、制御部Cは、給水弁10aを開放して経路F1に所定量の水を給水する(S11)。水は経路F1を通じて洗剤ケース60に流入し、洗剤ケース60に収容されている洗剤とともに洗濯槽4に供給される。
【0071】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4の水位が給水量Q1に対応する洗い水位Y1より大きいか否かを判定する(S12)。具体的には、制御部Cは、水位センサ25で検知された水位を取得し、水位と洗い水位Y1とを比較して判定する。
【0072】
洗濯槽4の水位が洗い水位Y1より小さい場合(S12でNo)、ステップS11に戻る。
【0073】
洗濯槽4の水位が洗い水位Y1より大きい場合(S12でYes)、制御部Cは給水弁10aを閉める(S13)。給水後における洗濯槽4の水位は、洗い工程における最高水位である。
【0074】
制御部Cは、ステップS12を実行する代わりに、給水量Q1に対応する給水時間T0を決定し、給水弁10aを開放して給水時間T0が経過するまで給水を継続してもよい。
【0075】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4の撹拌機構8を作動させて洗濯物の洗い撹拌を実行する(S14)。具体的には、制御部Cは、撹拌機構8を回転させて洗い撹拌を実行する。洗い撹拌は、所定時間にわたって継続される。洗い撹拌において、給水弁10aを開放して追加の給水を行ってもよい。
【0076】
洗い工程によって、給水及び撹拌を行うことで洗濯物を洗浄できる。
【0077】
<第1すすぎ工程:排水ステップ>
続いて、
図14に示すように、制御部Cは、第1すすぎ工程の排水ステップ(S15~S17)を実行する。
【0078】
まず、制御部Cは、排水弁9を開放して所定量の水及び洗剤を排水する(S15)。
【0079】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4の水位が最低水位Y0より小さいか否かを判定する(S16)。具体的には、制御部Cは、水位センサ25で検知された水位を取得し、水位と最低水位Y0とを比較して判定する。最低水位Y0は、例えば、洗濯槽4の最高水位の10%以下の水位である。また、洗濯槽4に水が収容されていない状態の水位を最低水位Y0としてもよい。
【0080】
洗濯槽4の水位が最低水位Y0より大きい場合(S16でNo)、ステップS15に戻る。
【0081】
洗濯槽4の水位が最低水位Y0より小さい場合(S16でYes)、制御部Cは排水弁9を閉める(S17)。ここで、制御部Cは中間脱水も実行してもよい。
【0082】
<第1すすぎ工程:洗剤すすぎステップ>
続いて、
図15に示すように、制御部Cは、第1すすぎ工程の洗剤すすぎステップ(S20~S27)を実行する。洗剤すすぎステップは、洗い工程において洗濯槽4に投入された洗剤を洗濯物からすすぐために実行される。錠剤Jの供給前に洗剤をすすぐことで、洗剤と錠剤Jとが混ざることを抑制できる。
【0083】
まず、制御部Cは給水弁10aを開放して経路F1に所定量の水を給水する(S20)。水は、経路F1を通じて洗剤ケース60を経由して洗濯槽4に供給される。洗剤ケース60に投入された洗剤は既に洗い工程で使用されているため、洗剤ケース60は空の状態である。
【0084】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4の洗剤すすぎ水位Y2より大きいか否かを判定する(S21)。具体的には、制御部Cは、水位センサ25で検知された水位を取得し、水位と洗剤すすぎ水位Y2とを比較して判定する。洗剤すすぎ水位Y2は、洗濯物が水に浸るために必要であると想定される水位である。制御部Cは、布量センサ26で検知された洗濯槽4内の洗濯物の重量を取得し、重量に基づいて洗剤すすぎ水位Y2を決定してもよい。例えば、洗剤すすぎ水位Y2は、制御部Cが取得した洗濯物の重量に応じて、浴比が10L/kgとなる水位である。
【0085】
洗濯槽4の水位が洗剤すすぎ水位Y2より小さい場合(S21でNo)、ステップS20に戻る。
【0086】
洗濯槽4の水位が洗剤すすぎ水位Y2より大きい場合(S21でYes)、制御部Cは給水弁10aを閉める(S22)。洗濯槽4には洗剤すすぎ水位Y2以上の水が収容されている。
【0087】
続いて、制御部Cは、給水弁10bを開放して経路F2に少量の給水量を給水する(以降、予備給水ステップS23)。水は、経路F2を通じて錠剤ケース63に流入し、
図11に示すように錠剤Jに間接的に当たる。少量の給水量とは、錠剤Jの表面を湿潤させる一方、錠剤Jを溶かして錠剤ケース63から流出させるには足りない給水量を意味する。このような動作によって錠剤Jが湿潤されて溶けやすくなる。
【0088】
続いて、制御部Cは、給水弁10bを閉めて、待機時間を開始する(S24)。待機時間は、給水弁10bから経路F2への給水は停止している時間である。例えば、待機時間は、20秒以上である。一方で、待機時間において、給水弁10aからの給水、排水、撹拌等の他の操作を実行してもよい。
【0089】
待機時間を設けることで、予備給水ステップS23において湿潤された錠剤Jが発泡する時間を確保できる。また、予備給水された水が、錠剤Jの表面からさらに内部に浸透する時間を確保できる。錠剤Jを発泡させて、水を内部に浸透させることで、錠剤Jは水に溶けやすくなっている。予備給水ステップS23を後述の除菌給水ステップの前に行うことで、予備給水ステップS23を省略する場合と比較して、錠剤Jを容易に溶かし切ることができる。
【0090】
続いて、制御部Cは、排水弁9を開放して、所定量の水を排水する(S25)。排水される水には洗濯物からすすがれた洗剤が含まれる。
【0091】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4の水位が最低水位Y0より小さいか否かを判定する(S26)。具体的には、制御部Cは、水位センサ25で検知された水位を取得し、水位と最低水位Y0とを比較して判定する。
【0092】
洗濯槽4の水位が最低水位Y0より大きい場合(S26でNo)、ステップS25に戻る。
【0093】
洗濯槽4の水位が最低水位Y0より小さい場合(S26でYes)、制御部Cは排水弁9を閉めて(S27)、洗剤すすぎステップを終了する。
【0094】
洗剤すすぎステップによって、洗濯物から洗剤をすすぎ落とすとともに、錠剤Jを湿潤させて溶けやすくすることができる。
【0095】
<第1すすぎ工程:除菌ステップ>
続いて、
図16に示すように、制御部Cは、第1すすぎ工程の除菌ステップ(S30~S44)を実行する。除菌ステップは、錠剤ケース63に投入された錠剤Jを洗濯槽4に供給し、洗濯物及び洗濯槽4を除菌するために実行される。除菌ステップには、除菌給水ステップ、撹拌ステップ、及び槽回転ステップが含まれる。
【0096】
まず、制御部Cは給水弁10aを開放して経路F1に所定量の水を給水する(S30)。水は、経路F1を通じて空の洗剤ケース60を経由して洗濯槽4に供給される。
【0097】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4の除菌前水位Y3より大きいか否かを判定する(S31)。具体的には、制御部Cは、水位センサ25で検知された水位を取得し、水位と除菌前水位Y3とを比較して判定する。除菌前水位Y3は、洗濯物が水に浸るために必要であると想定される水位以上である。除菌前水位Y3は、制御部Cが取得した洗濯物の重量に応じて、浴比が10L/kg以上となる水位である。実施の形態において、除菌前水位Y3は、洗い水位Y1及び洗剤すすぎ水位Y2より高い。なお、除菌前水位Y3は、洗い水位Y1または洗剤すすぎ水位Y2と等しくてもよい。
【0098】
洗濯槽4の水位が除菌前水位Y3より小さい場合(S31でNo)、ステップS30に戻る。
【0099】
洗濯槽4の水位が除菌前水位Y3より大きい場合(S31でYes)、制御部Cは給水弁10aを閉める(S32)。
【0100】
続いて、制御部Cは、ステップS24で開始された待機時間が経過したか否かを判定する(S33)。なお、ステップS33は行わなくてもよい。言い換えると、待機時間は0秒であってもよい。
【0101】
待機時間が経過していない場合(S33でNo)、制御部Cは、所定時間、例えば5秒経過後に再度ステップS33を実行する。
【0102】
待機時間が経過した場合(S33でYes)、制御部Cは除菌給水ステップを実行する(S34~S36)。除菌給水ステップを本給水ステップと称してもよい。
【0103】
制御部Cは、給水弁10aを閉じた状態で、給水弁10bを開放して経路F2に所定量の水を給水する(S34)。水は、経路F2を通じて錠剤ケース63に流入し、
図11に示すように錠剤Jに間接的に当たる。除菌給水ステップの給水量が予備給水ステップS23の給水量より多い。そのため、錠剤Jは溶解される。溶けた錠剤Jは、水とともにメッシュ82を通じて洗濯槽4に供給される。錠剤Jの供給によって、洗濯槽4内の洗濯物及び第2空間X2が除菌される。
【0104】
ステップS34における給水量は、23Lの給水であってもよく、120秒以上の給水であってもよく、例えば、予備給水ステップS23における給水量の30倍である。実施の形態では、給水弁10bの開放によって供給される水の流量は、給水弁10aの開放によって供給される水の流量よりも小さい。このような構成によって、予め決められた給水量に対しての給水時間を長くすることができる。そのため、錠剤Jに水が当たる時間を長くして、錠剤Jを容易に溶かすことができる。なお、給水弁10bの開放によって供給される水の流量は、給水弁10aの開放によって供給される水の流量より大きくてもよい。
【0105】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4の水位が除菌中水位Y4より大きいか否かを判定する(S35)。具体的には、制御部Cは、水位センサ25で検知された水位を取得し、水位と除菌中水位Y4とを比較して判定する。除菌中水位Y4は、洗い水位Y1、洗剤すすぎ水位Y2、及び除菌前水位Y3より高い。このような動作によって、錠剤Jの溶解物は洗濯槽4に供給される水中に浮遊し、錠剤Jの溶解物が洗濯物に付着することを抑制できる。錠剤Jの溶解物が洗濯物に長時間付着することを抑制することで、洗濯物の傷みや色落ちを抑制することができる。また、洗濯槽4において、錠剤Jの溶解物に対する水の量を増加させることで、錠剤Jが溶けやすくなる。
【0106】
洗濯槽4の水位が除菌中水位Y4より小さい場合(S35でNo)、制御部Cは、給水弁10bを通じて少量の追加給水を行って、再度ステップS35を実行する。少量の追加給水とは、例えば、0.3Lの給水である。
【0107】
洗濯槽4の水位が除菌中水位Y4より大きい場合(S35でYes)、制御部Cは給水弁10bを閉める(S36)。給水後における洗濯槽4の水位は、第1すすぎ工程における最高水位である。
【0108】
除菌給水ステップにおいて、制御部Cは、第1伝達機構18bに接続されたモータ18aを駆動して、洗濯槽4を回転させてもよい。洗濯槽4の回転数は、25rpm以上45rpm以下であってもよく、例えば、35rpmである。ステップS30の開始から一定時間が経過して洗濯槽4に水が溜まると、制御部Cは、モータ18aの接続先を第2伝達機構18cに切り替えて撹拌機構8を回転させてもよい。具体的には、ステップS30とステップS32との間でモータ18aの接続先を切替てもよい。撹拌機構8の回転は、ステップS36まで継続してもよい。撹拌機構8の回転数は、上記給水における洗濯槽4の回転数より高く、100rpm以上130rpm以下であってもよい。このような動作によって、錠剤Jの溶液を均一に洗濯物に浸透させることができる。給水初期、即ち洗濯槽4内の水が少ないときに、撹拌機構8ではなく洗濯槽4を回転させることによって、洗濯物へのダメージを抑制することができる。
【0109】
続いて、制御部Cは、撹拌ステップを実行し、撹拌機構8を駆動して洗濯槽4内の水を撹拌させる(S37)。撹拌ステップは、給水(S30~S36)が完了している状態で実行される。具体的には、制御部Cは、第2伝達機構18cに接続されたモータ18aを駆動して撹拌機構8を回転させる。撹拌ステップにおいて、洗濯槽4の筒部42は静止しているため、撹拌機構8は筒部42に対して回転する。ここで、撹拌機構8が回転する時間を撹拌時間T1とする。
【0110】
図17に示すように、撹拌機構8が回転すると、洗濯槽4内(即ち第2空間X2内)の下部の水が撹拌機構8の表羽根8a及び裏羽根8bによってかき上げられ、吸込口43aを通じて揚水路43に送り込まれる。揚水路43に送り込まれた水は、洗濯槽4の上部における揚水路43の吐出口43bから吐出され洗濯槽4内に落下する。このような動作によって洗濯槽4内の水が撹拌され、洗濯槽4内における水の滞留を抑制できる。水の撹拌によって、洗濯槽4に供給された錠剤Jの破片を水に溶かし切ることができる。撹拌ステップを後述の槽回転ステップの前に実行することで、槽回転ステップの前により多くの錠剤Jを水に溶かすことができる。
【0111】
撹拌ステップの後に、制御部Cは、槽回転ステップを実行し、洗濯槽4を回転させる(S38)。槽回転ステップは、給水(S30~S36)が完了して給水弁10bが閉まっている状態、即ち給水が停止している状態で実行される。具体的には、制御部Cは、モータ18aの接続先を第2伝達機構18cから第1伝達機構18bに切り替えて、第1伝達機構18bに接続されたモータ18aを駆動して洗濯槽4を回転させる。洗濯槽4が回転する際、洗濯槽4の底部を構成する撹拌機構8も筒部42とともに回転する。
【0112】
水に溶けた錠剤Jの有効成分は、洗濯槽4と外槽3の壁面に存在する菌や汚れにより消費され、局所的に濃度が低下する。
図18に示すように、洗濯槽4が回転すると、洗濯槽4内(即ち、第2空間X2内)の水が回転し、水に遠心力が作用し、水は洗濯槽4内から貫通孔40を通じて第1空間X1に流入する。水に溶けた錠剤Jも水とともに第1空間X1に向かって流れる。その結果、洗濯槽4と外槽3の壁面を含む第1空間X1に錠剤Jが溶けた水が流入して、消費された有効成分を補うことで、局所的な濃度低下が生じることを抑制し、除菌効果を高めることができる。
【0113】
槽回転ステップにおける洗濯槽4の回転数は、脱水工程における洗濯槽4の回転数より小さい。槽回転ステップにおける洗濯槽4の回転数は、自動槽洗浄機能における洗濯槽4の回転数より小さい。自動槽洗浄機能は、洗濯運転のコースの途中に実行可能な動作である。具体的には、自動槽洗浄機能は、すすぎ工程における排水の途中に実行可能な動作であって、処理剤の追加投入を伴わず、槽回転動作によりすすぎ水をかき上げて水流を生じさせ、生じた水流で洗濯槽4の洗剤カスを洗い流す動作である。自動槽洗浄機能における洗濯槽4の回転数は、例えば、170rpmである。槽回転ステップにおける洗濯槽4の回転数は、後述の槽洗浄コースにおける洗い工程の洗濯槽4の回転数より小さくてもよい。槽回転ステップにおける洗濯槽4の回転数は、除菌給水ステップにおける洗濯槽4の回転数より高くてもよい。洗濯槽4の回転数は、例えば、50rpm以上65rpm以下である。制御部Cは、洗濯槽4に収容された洗濯物の量、具体的には布量センサ26で検知された洗濯物の重量に基づいて、上記範囲内で洗濯槽4の回転数を決定してもよい。
【0114】
槽回転ステップにおいて、洗濯槽4の回転数が高いと、第2空間X2における水にかかる遠心力が増加し、より多くの水が第1空間X1に流入する。そのため、第1空間X1における液面が高くなり、第1空間X1の上部を除菌することが可能になる。
【0115】
槽回転ステップにおいて、洗濯槽4は、時計回り及び反時計回りのうち一方向に回転してもよく、両方向に回転してもよい。
【0116】
槽回転ステップにおいて洗濯槽4が回転する時間を回転時間T2とすると、撹拌ステップにおける撹拌時間T1は、回転時間T2より長い。
【0117】
続いて、制御部Cは、給水条件が、錠剤Jが溶けにくい条件であるか否かを判定する。錠剤Jが溶けにくい条件である場合に、制御部Cは、槽回転ステップS38後に追加の工程(S39~S44)を実行する。錠剤Jが溶けにくい条件として、給水流量が大きい場合、給水水温が低い場合が挙げられる。
【0118】
そこで、まず、制御部Cは、給水弁10bを通じて供給される水の流量を決定する(S39)。具体的には、制御部Cは、水位センサ25が検知する水位の増加を、水位の増加にかかった時間で除算して給水流量を算出する。
【0119】
続いて、制御部Cは、算出された給水流量が所定流量より大きいか否かを判定する(S40)。
【0120】
給水流量が所定流量より大きい場合(S40でYes)、制御部Cは、錠剤ケース63への追加給水を実行する(S41)。具体的には、制御部Cは、排水弁9を開放して少量の水を排水した後、排水弁9を閉じて、給水弁10bを開放して少量の水を錠剤ケース63に給水する。少量の追加給水とは、例えば、5Lの給水である。このような動作によって、洗濯槽4の水位が過剰に上昇することを抑制しつつ、錠剤ケース63における錠剤Jの溶け残りを抑制できる。その後、ステップS42に進む。
【0121】
給水流量が所定流量より小さい場合(S40でNo)、ステップS42に進む。
【0122】
続いて、制御部Cは、洗濯機1に供給される水の水温を決定する(S42)。具体的には、制御部Cは、水温センサ27が検知する給水水温を取得する。
【0123】
続いて、制御部Cは、給水水温が所定水温より低いか否かを判定する(S43)。所定水温は例えば10°Cである。
【0124】
給水水温が10°Cより低い場合(S43でYes)、制御部Cは、ヒータ28を作動させた状態で、撹拌機構8を駆動して洗濯物の追加撹拌を実行する(S44)。なお、制御部Cは、ヒータ28による加熱に代わって、錠剤ケース63への追加給水を実行してもよい。
【0125】
給水水温が10°Cより高い場合(S43でNo)、制御部Cは、除菌ステップを終了する。
【0126】
追加工程(S39~S44)を槽回転ステップ(S38)の後に実行することによって、槽回転ステップにおいて、追加給水による錠剤Jの濃度の低下を抑制できる。
【0127】
除菌ステップによって、給水を行うことで錠剤Jを溶かして洗濯槽4に供給し、洗濯槽4の回転によって錠剤Jを洗濯槽4の外側にも供給し、第1空間X1及び第2空間X2を除菌することができる。
【0128】
<第1すすぎ工程:錠剤すすぎステップ>
続いて、
図19に示すように、制御部Cは、第1すすぎ工程の錠剤すすぎステップ(S50~S53)を実行する。錠剤すすぎステップは、除菌ステップにおいて洗濯槽4に供給された錠剤Jをすすぐために実行される。
【0129】
制御部Cは、排水弁9を開放して所定量の水及び錠剤Jの溶解物を排水する(S50)。
【0130】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4の水位が錠剤すすぎ水位Y5より小さいか否かを判定する(S51)。錠剤すすぎ水位Y5は最低水位Y0より高い。
【0131】
洗濯槽4の水位が錠剤すすぎ水位Y5より大きい場合(S51でNo)、ステップS50に戻る。
【0132】
洗濯槽4の水位が錠剤すすぎ水位Y5より小さい場合(S51でYes)、制御部Cは排水弁9を閉める(S52)。この状態において、洗濯槽4には最低水位Y0以上の一定の水が保持されていることが想定される。
【0133】
続いて、制御部Cは、給水弁10bを開放して経路F2に所定量の水を給水して、給水弁10bを閉める(S53)。給水によって、洗濯物に残っている錠剤Jの成分をすすぎ落すことができる。また、水が経路F2を通じて供給されるため、水を錠剤ケース63に流入させて、溶け残っている錠剤Jをさらに洗い出すことができる。
【0134】
<第2すすぎ工程>
続いて、
図20に示すように、制御部Cは、排水弁9を開放して所定量の水を排水する(S54)。ここで、制御部Cは中間脱水も実行してもよい。
【0135】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4の水位が最低水位Y0より小さいか否かを判定する(S55)。
【0136】
洗濯槽4の水位が最低水位Y0より大きい場合(S55でNo)、ステップS54に戻る。
【0137】
洗濯槽4の水位が最低水位Y0より小さい場合(S55でYes)、制御部Cは排水弁9を閉める(S56)。このような動作によって、錠剤すすぎステップにおいて洗濯物からすすぎ落とされた錠剤Jを含む水を洗濯槽4から排出できる。
【0138】
続いて、制御部Cは、間欠的に給水弁10bを複数回開閉して経路F2に給水する(S60)。具体的には、制御部Cは、一定期間にわたって、一定の間隔で給水弁10bの開閉を繰り返して経路F2に給水する。このような動作によって、水は断続的に経路F2を通じて錠剤ケース63に流入し、流入する水の流量の変動によって錠剤ケース63の洗浄を促進することができる。
【0139】
並行して、制御部Cは柔軟剤の供給を実行してもよい。柔軟剤の供給は、手動投入ユニット6ではなく、自動投入ユニット7によって行われる。手動投入の柔軟剤ケース61は錠剤ケース63と経路F2を共用するため、手動投入ユニット6によって柔軟剤を供給しようとすると、柔軟剤と錠剤Jとを分けて供給することが難しく、柔軟剤と錠剤Jとが混ざる恐れがある。柔軟剤と錠剤Jとが混ざると、錠剤Jが理想の効果を発揮しにくくなる。柔軟剤を自動投入ユニット7によって供給することで、柔軟剤と錠剤Jとの供給を分けて行うことが可能になる。そこで、柔軟剤と錠剤Jとを異なる工程において洗濯槽4に供給することが可能になる。このような動作によって、それぞれの洗濯処理剤の効果を維持することができる。実施の形態では、錠剤Jを第1すすぎ工程で洗濯槽4に供給し、柔軟剤を最終すすぎ工程(即ち、第2すすぎ工程)で洗濯槽4に供給する。
【0140】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4の水位が最終すすぎ水位Y6より大きいか否かを判定する(S61)。最終すすぎ水位Y6は除菌中水位Y4より低い。
【0141】
洗濯槽4の水位が最終すすぎ水位Y6より小さい場合(S61でNo)、制御部Cは給水弁10bを通じて少量の追加給水を行って、再度ステップS61を実行する。
【0142】
洗濯槽4の水位が錠剤すすぎ水位Y5より大きい場合(S61でYes)、制御部Cは給水弁10bを閉める(S62)。
【0143】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4の撹拌機構8を駆動して洗濯物の撹拌を実行する(S63)。
【0144】
第2すすぎ工程によって、洗濯物及び洗濯槽4から錠剤Jをより確実にすすぎ落とし、柔軟剤を供給することができる。
【0145】
<脱水工程>
続いて、脱水工程において、洗濯槽4の水を排水して、洗濯物の脱水を行う(S70)。その後、制御部Cは除菌コースを終了する。
【0146】
[動作:槽洗浄コース]
洗濯機1の他の動作の例として、洗濯槽4や外槽3を洗浄するための専用の槽洗浄コースが挙げられる。
図21から
図24を参照しながら、槽洗浄コースについて説明する。
図21は、槽洗浄コースのシーケンス図である。
図22から
図24は、槽洗浄コースのそれぞれの工程のシーケンス図である。
【0147】
槽洗浄コースは、洗濯槽4や外槽3を洗浄して黒カビの発生を抑制するために行われるコースである。槽洗浄コースでは、洗濯槽4に洗濯物が投入されていない状態で、洗濯槽4の内部の第2空間X2と、洗濯槽4と外槽3との間の第1空間X1を洗浄する。
【0148】
槽洗浄コースでは、洗浄剤として、錠剤Jまたは塩素系漂白剤が使用される。以下では、錠剤Jを使用する例について説明する。除菌コースと同様に、1回の槽洗浄コースでは1つの錠剤Jが使用される。
【0149】
図21に示すように、槽洗浄コースでは、制御部Cは、順に給水工程と、槽洗い工程と、槽すすぎ工程と、脱水工程とを実行する。錠剤Jは給水工程において、水とともに洗濯槽4に供給される。
【0150】
<給水工程>
槽洗浄コースの準備として、ユーザは、洗濯処理剤を投入する前に、蓋21を閉位置に移動させる。蓋21が閉位置に位置すると、ユーザが手動投入ユニット6に液剤や錠剤等を投入することが抑制される。手動投入ユニット6(即ち、錠剤ケース63)は空の状態である。
【0151】
図22に示すように、給水工程において、制御部Cは、蓋ロック機構22をONにする(S100)。蓋21が閉位置から開位置に移動することが抑制される。
【0152】
続いて、制御部Cは、給水弁10bを開放して経路F2に給水する(S101)。ステップS101を第1給水ステップと称してもよい。水は経路F2を通じて空の錠剤ケース63に流入して洗濯槽4に供給される。なお、制御部Cは、給水弁10aを開放して経路F1に所定量の水を給水してもよい。
【0153】
制御部Cは、第1給水ステップの間、蓋ロック機構22のON状態を維持する。
【0154】
続いて、制御部Cは、経路F2に所定量の水を給水した後、停止ステップ(S102~S106)を実行する。停止ステップは、ユーザが錠剤Jの投入に関する操作を受け付ける待機時間を設けるために実行される。実施の形態において、錠剤Jの投入に関する操作とは、錠剤Jの投入である。一方で、錠剤Jの投入に関する操作とは、ユーザの接近、蓋21の開閉、ユニットケース50からの本体部64の引き出し等であってもよい。
【0155】
まず、制御部Cは、給水弁10bを閉めて給水を停止させる(S102)。具体的には、制御部Cは、後述のS108までの所定時間にわたって給水弁10bを閉めて給水を停止させる。所定時間とは、ユーザが錠剤Jの投入に関する操作を受け付ける待機時間に相当する。
【0156】
続いて、制御部Cは、蓋ロック機構22をOFFにする(S103)。ユーザが蓋21を閉位置から移動させることが可能になる。制御部Cは、停止ステップの間、蓋ロック機構22のOFF状態を維持する。また、ステップS103はステップS102と同時に実行されてもよい。
【0157】
制御部Cは、蓋ロック機構22が解除されたこと、または蓋21が開放可能であることを表示部24に表示させる(S104)。例えば、制御部Cは表示部24に「OP」と表示させる。
【0158】
続いて、制御部Cは、停止ステップへの移行に伴って、報知部23に報知させる(S105)。例えば、報知部23はブザー音を発する。ステップS104とステップS105とは同時に実行されてもよい。
【0159】
このような動作によって、制御部Cは、表示または報知を確認したユーザに錠剤Jの投入を促すことができる。具体的には、制御部Cは、ユーザに、蓋21を開放して、1つの錠剤Jを手動投入ユニット6に投入することを促すことができる。錠剤Jは縦置きの姿勢で投入口63aに投入される。錠剤Jの投入後、ユーザは蓋21を閉位置に戻す。なお、液体の塩素系漂白剤が使用される場合、ユーザは、塩素系漂白剤を洗濯槽4に直接投入する。
【0160】
続いて、制御部Cは、報知後に蓋21の開閉の有無を判定する(S106)。具体的には、制御部Cは、開閉センサ29が取得して情報に基づいて、蓋21が開放された後に閉位置に戻されたか否かを判定する。開閉センサ29が電圧を検知する場合、制御部Cは、検知された電圧が減少した後、増加したかを判定する。蓋21の開閉の有無を判定することで、制御部Cは、ユーザが蓋21を開けて錠剤Jを投入したか否かを推定できる。
【0161】
蓋21の開閉があった場合(S106でYes)、制御部Cは、蓋ロック機構22をONにする(S107)。
【0162】
蓋21の開閉がなかった場合(S106でNo)、制御部Cは、待機時間、例えば10分経過後に再度ステップS105を実行する。一方で、報知部23による最初の報知から30分経過した後でも蓋21の開閉が無い場合、制御部Cは、ステップS107を実行してもよい。
【0163】
続いて、制御部Cは、給水弁10bを開放して経路F2に給水する(S108)。ステップS108を第2給水ステップと称してもよい。水は経路F2を通じて錠剤ケース63に流入し、
図11に示すように錠剤Jに間接的に当たる。このような動作によって、錠剤Jは破片に分解され、水とともに洗濯槽4に供給される。錠剤Jが洗濯槽4に供給される際に、第1給水ステップによって既に洗濯槽4に一定量の水が供給されているため、錠剤Jの破片が水と混ざり、洗濯槽4内により均一に拡散される。
【0164】
第2給水ステップの給水量は、第1給水ステップの給水量より多い。例えば、第1給水ステップにおける給水量は25Lであって、第2給水ステップにおける給水量は40Lである。そのため、錠剤Jをより確実に溶解できる。制御部Cは、経路F2に所定量の水を給水した後、給水弁10bを閉めて給水を停止させる。
【0165】
制御部Cは、第2給水ステップの間、蓋ロック機構22のON状態を維持する。
【0166】
給水工程によって、洗濯槽4に水が溜めた後にユーザに錠剤Jの投入を促し、追加の給水(第2給水ステップ)によって錠剤Jを洗濯槽4内に供給できる。
【0167】
<槽洗い工程>
図23に示すように、槽洗い工程において、制御部Cは、撹拌ステップを実行し、撹拌機構8を駆動して洗濯槽4内の水を撹拌させる(S111)。具体的には、制御部Cは、第2伝達機構18cに接続されたモータ18aを駆動して、撹拌機構8を回転させる。撹拌機構8が回転すると、水が揚水路43に流入し、吐出口43bから吐出され洗濯槽4内に落下する。このような動作によって、洗濯槽4に供給された錠剤Jの破片を水に溶かし切ることができる。また、洗濯槽4内の第2空間X2を除菌できる。
【0168】
続いて、制御部Cは、槽回転ステップを実行し、洗濯槽4を回転させる(S112)。具体的には、制御部Cは、モータ18aの接続先を第2伝達機構18cから第1伝達機構18bに切り替えて、第1伝達機構18bに接続されたモータ18aを駆動して、洗濯槽4を回転させる。このような動作によって、溶けた錠剤Jを洗濯槽4の外側の第1空間X1に向かって流出させて、第1空間X1を除菌することができる。
【0169】
制御部Cは、モータ18aの回転数を制御し、水が洗濯槽4の上部に到達するように洗濯槽4を回転させる。制御部Cは、給水工程における給水量に基づいて、モータ18aの回転数を決定してもよい。制御部Cは、例えば、外槽3が65Lの水を収容する場合、洗濯槽4を80rpmで回転させる。
【0170】
制御部Cは、回転が所定時間継続された後に洗濯槽4を停止させる。所定時間の回転と停止とを1セットとする。制御部Cは、運転中の槽洗い工程において実行したセット数を記憶する。
【0171】
続いて、制御部Cは、セット数が所定の数以上、例えば6以上であるか否かを判定する(S113)。
【0172】
セット数が6以上である場合(S113でYes)、制御部Cは、ステップS112と同様な撹拌ステップを実行する(S114)。なお、制御部Cは、さらに給水弁10bを開放して経路F2に給水してもよい。このような構成によって、錠剤ケース63を洗浄して錠剤ケース63における錠剤Jの残留を抑制できる。
【0173】
セット数が6未満である場合(S113でNo)、制御部Cは、ステップS112を再度実行する。
【0174】
槽洗い工程によって、第1空間X1及び第2空間X2を除菌できる。
【0175】
<槽すすぎ工程>
図24に示すように、槽すすぎ工程において、制御部Cは、排水弁9を開放して所定量の水を排水する(S121)。
【0176】
続いて、制御部Cは、洗濯槽4を回転させる(S122)。洗濯槽4の回転数はステップS112より高く、例えば、780rpmである。このような動作によって、洗濯槽4から錠剤Jを含む水を脱水することができる。その後、制御部Cは排水弁9を閉める。
【0177】
続いて、制御部Cは、給水弁10bを開放して経路F2に所定量の水を給水する(S123)。制御部Cは、給水工程と同じ水量を給水してもよい。
【0178】
槽すすぎ工程によって、第1空間X1及び第2空間X2から錠剤Jをすすぎ落とすことができる。
【0179】
<脱水工程>
脱水工程において、制御部Cは、排水弁9を開放して、ステップS123で給水した水を排水する(S124)。
【0180】
続いて、制御部Cは、ステップS122と同様に洗濯槽4を回転させる(S125)。洗濯槽4の回転数はステップS112より高く、例えば、780rpmである。このような動作によって、槽すすぎ工程の水を脱水することができる。その後、制御部Cは、動作を終了する。
【0181】
[効果1]
実施の形態に係る洗濯機1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0182】
上述したように、本実施の形態の洗濯機1は、水溶性を有する1回使い切りの除菌用の固形剤(錠剤J)を投入可能に構成された洗濯機である。洗濯機1は、外槽3と、外槽3内に回転可能に設けられた洗濯槽4と、洗濯槽4を回転させるモータ18aと、を備える。洗濯機1は、洗濯槽4に供給される洗剤を収容する洗剤ケース60と、洗濯槽4に供給される錠剤Jを収容する固形剤ケース(錠剤ケース63)と、をさらに備える。洗濯機1は、洗剤ケース60を介して洗濯槽4に給水する第1給水弁(給水弁10a)と、錠剤ケース63を介して洗濯槽4に給水する第2給水弁(給水弁10b)と、給水弁10a、給水弁10b及びモータ18aを制御する制御部Cと、を備える。制御部Cは、洗い工程において、給水弁10aを開放して洗剤ケース60に給水する。制御部Cは、洗い工程の後の除菌工程において、給水弁10bを開放して錠剤ケース63に給水してから給水弁10bを閉める第1ステップ(除菌給水ステップ)と、モータ18aを駆動して洗濯槽4を回転させる第2ステップ(槽回転ステップ)とを順に実行する。
【0183】
このような構成によって、除菌給水ステップにより錠剤ケース63に収容された錠剤Jを溶かして洗濯槽4に供給できる。その後に、洗濯槽4を回転させることで、洗濯槽4内の水及びそこに溶けた錠剤Jに遠心力を作用させて、洗濯槽4内の第2空間X2から洗濯槽4の外側の第1空間X1に向かって流出させるとともに、第1空間X1内を流れる水流を生じさせることができる。そのため、第2空間X2やそこに収容された洗濯物に加えて、第1空間X1の除菌効果を高めることができる。
【0184】
また、本実施の形態の洗濯機1は、洗濯槽4に給水された水を撹拌させる撹拌機構8をさらに備える。制御部Cは、除菌工程において、撹拌機構8を駆動して洗濯槽4に給水された水を撹拌させる第3ステップ(撹拌ステップ)を実行する。
【0185】
このような構成によって、除菌給水ステップにより供給された錠剤Jの破片をより確実に溶かし切ることができる。また、撹拌ステップによって洗濯槽4内で水流を発生させて洗濯槽4における錠剤Jの濃度をより均一にすることができる。
【0186】
また、本実施の形態の洗濯機1において、制御部Cは、撹拌ステップを除菌給水ステップと槽回転ステップとの間に実行する。
【0187】
このような構成によって、錠剤Jの破片をより確実に溶かし切った後に、水及びそこに溶けた錠剤Jを第1空間X1に向かって流出させることで、第1空間X1に対する除菌性能を向上させることができる。
【0188】
また、本実施の形態の洗濯機1において、モータ18aは、洗濯槽4の回転軸に連結される第1伝達機構18bと、撹拌機構8の回転軸に連結される第2伝達機構18cとに切り替え可能に接続される。制御部Cは、槽回転ステップおいて、モータ18aを第1伝達機構18bに接続させて、撹拌ステップにおいて、モータ18aを第2伝達機構18cに接続させる。
【0189】
このような構成によって、1つのモータ18aで、洗濯槽4及び撹拌機構8を駆動することができる。そのため、洗濯機1の構成を簡単にすることができる。
【0190】
また、本実施の形態の洗濯機1において、撹拌ステップの時間(撹拌時間T1)は、槽回転ステップの時間(回転時間T2)より長い。
【0191】
このような構成によって、錠剤Jの破片をより確実に溶かし切ることができる。また、槽回転ステップの実行による除菌コースの運転時間の増加を抑えることができる。
【0192】
また、本実施の形態の洗濯機1において、槽回転ステップにおける洗濯槽4の回転数は、洗濯運転のコースの途中に実行可能な自動槽洗浄機能における洗濯槽4の回転数より低い。
【0193】
このような構成によって、洗濯槽4内の水があふれることを抑制しつつ、水を第1空間X1に向かって流出させることができる。
【0194】
また、本実施の形態の洗濯機1は、柔軟剤を供給する柔軟剤供給機構(自動投入ユニット7)をさらに備える。制御部Cは、除菌工程の後のすすぎ工程において、自動投入ユニット7を駆動して洗濯槽4に柔軟剤を供給する。
【0195】
このような構成によって、錠剤Jの有効成分と柔軟剤とが混合することを抑制できる。
【0196】
また、本実施の形態の洗濯機1は、洗濯槽4に給水された水を排水する排水弁9をさらに備える。制御部Cは、洗い工程の後かつ除菌給水ステップの前に、排水弁9を開放して洗濯槽4に給水された水を排水する第4ステップ(排水ステップ)を実行する。
【0197】
このような構成によって、洗い工程後、錠剤Jを洗濯槽4に供給する前に、洗剤を含む水を洗濯槽4内から排出することができる。したがって、洗剤と錠剤Jとが混ざることを抑制して錠剤Jの効果を高めることができる。
【0198】
また、本実施の形態の洗濯機1において、制御部Cは、排水ステップの後かつ除菌給水ステップの前に、給水弁10aを開放して洗剤ケース60に給水し、排水弁9を開放して洗濯槽4に給水された水を排水する第5ステップ(洗剤すすぎステップ)を実行する。
【0199】
このような構成によって、洗濯物及び洗濯槽4から洗剤をすすぎ落として洗濯槽4内から排出することができる。したがって、洗剤と錠剤Jとが混ざることをさらに抑制することができる。
【0200】
また、本実施の形態の洗濯機1は、洗濯槽4に給水された水を排水する排水弁9をさらに備える。制御部Cは、除菌工程における洗濯槽4の最高水位が、洗い工程における洗濯槽4の最高水位より大きくなるように給水弁10a、給水弁10b及び排水弁9を制御する。
【0201】
このような構成によって、除菌工程において、洗濯槽4の上部まで錠剤Jが溶けた水を行きわたらせることができる。
【0202】
本実施の形態の方法は、外槽3と、外槽3内に回転可能に設けられた洗濯槽4と、洗濯槽4に供給される洗剤を収容する洗剤ケース60と、洗濯槽4に供給される固形剤(錠剤J)を収容する固形剤ケース(錠剤ケース63)と、を有する洗濯機1を制御する方法である。錠剤Jは、水溶性を有する1回使い切りの除菌用の固形剤である。方法は、洗い工程において、洗剤ケース60を介して洗濯槽4に給水する第1給水弁(給水弁10a)を開放して洗剤ケース60に給水することを含む。方法は、洗い工程の後の除菌工程において、錠剤ケース63を介して洗濯槽4に給水する第2給水弁(給水弁10b)を開放して錠剤ケースに給水してから給水弁10bを閉める第1ステップ(除菌給水ステップ)と、洗濯槽4を回転させるモータ18aを駆動して洗濯槽4を回転させる第2ステップ(槽回転ステップ)とを順に実行することを含む。
【0203】
このような構成によって、除菌給水ステップの後で洗濯槽4を回転させることで、溶けた錠剤Jに遠心力を作用させて、洗濯槽4の外側の第1空間X1に向かって流出させるとともに、第1空間X1内を流れる水流を生じさせることができる。そのため、第1空間X1の除菌効果を高めることができる。
【0204】
[効果2]
上述したように、本実施の形態の洗濯機1は、水溶性を有する1回使い切りの除菌用の固形剤(錠剤J)を投入可能に構成された洗濯機である。洗濯機1は、外槽3と、外槽3内に回転可能に設けられた洗濯槽4と、を備える。洗濯機1は、洗濯槽4に供給される錠剤Jを収容する固形剤ケース(錠剤ケース63)と、洗濯槽4に給水する給水装置10と、給水装置10を制御する制御部Cと、をさらに備える。制御部Cは、洗濯槽4と外槽3との間の第1空間X1を洗浄する槽洗浄コースを実行する。槽洗浄コースにおいて、制御部Cは、洗濯槽4に所定量の水を給水するように給水装置10を動作させてから停止させる第1給水ステップを実行する。その後、制御部Cは、給水装置10の動作を所定時間停止させる停止ステップを実行する。その後、制御部Cは、錠剤ケース63を介して洗濯槽4に給水するように給水装置10を動作させる第2給水ステップを実行する。
【0205】
このような構成によって、第1給水ステップにより、錠剤Jの供給前に洗濯槽4に水を溜めることができる。停止ステップにおいて、ユーザが錠剤Jを錠剤ケース63に投入する機会、又は液体の塩素系漂白剤を洗濯機1に直接投入する機会を確保できる。第2給水ステップにより、洗濯槽4に水が溜まった状態で、洗濯槽4に錠剤J又は塩素系漂白剤を供給することができる。そのため、錠剤Jの破片、又は塩素系漂白剤の原液が洗濯槽4に付着することを抑制できる。
【0206】
また、本実施の形態の洗濯機1において、制御部Cは、第1給水ステップにおいて、錠剤ケース63を介して洗濯槽4に給水するように給水装置10を動作させる。
【0207】
このような構成によって、錠剤ケース63を介した給水を中断させることで錠剤Jを洗濯機1に投入する機会を確保できる。錠剤Jを第1給水ステップの終了後に投入することで、第1給水ステップにおける錠剤ケース63を介した給水によって錠剤Jが洗濯槽4に供給されることを抑制できる。
【0208】
また、本実施の形態の洗濯機1において、錠剤Jを錠剤ケース63に投入することを促す報知部23をさらに備える。制御部Cは、停止ステップへの移行に伴って、報知部23に報知させる。
【0209】
このような構成によって、ユーザに錠剤J又は液体の塩素系漂白剤を投入するタイミングを知らせて、錠剤J又は液体の塩素系漂白剤の投入を促すことができる。
【0210】
また、本実施の形態の洗濯機1は、外槽3の開口を閉じる蓋21を解除可能にロックする蓋ロック機構22をさらに備える。制御部Cは、第1給水ステップの間、蓋ロック機構22をONにし、停止ステップの間、蓋ロック機構22をOFFにし、第2給水ステップの間、蓋ロック機構22をONにする。
【0211】
このような構成によって、第1給水ステップ及び第2給水ステップの間に錠剤J又は液体の塩素系漂白剤が投入されることを抑制しつつ、停止ステップにおいて錠剤J又は液体の塩素系漂白剤の投入を可能にする。
【0212】
また、本実施の形態の洗濯機1は、洗濯槽4に給水された水を撹拌させる撹拌機構8をさらに備える。制御部Cは、第2給水ステップの後で、撹拌機構8を駆動して洗濯槽4に給水された水を撹拌させる撹拌ステップを実行する。
【0213】
このような構成によって、第2給水ステップにより供給された錠剤Jの破片をより確実に溶かし切ることができる。また、撹拌ステップによって洗濯槽4内で水流を発生させて洗濯槽4における錠剤Jの濃度をより均一にすることができる。
【0214】
また、本実施の形態の洗濯機1は、洗濯槽4の下部の水を洗濯槽4の上部まで案内する水路(揚水路43)をさらに備える。制御部Cは、第2給水ステップの後で、撹拌機構8を駆動して水を揚水路43に流入させる。
【0215】
このような構成によって、錠剤Jを洗濯槽4の全体に行きわたらせることができる。
【0216】
また、本実施の形態の洗濯機1は、洗濯槽4を回転させるモータ18aをさらに備える。制御部Cは、撹拌ステップの後で、水が洗濯槽4の上部に到達するように、モータ18aの回転数を制御して洗濯槽4を回転させる槽回転ステップを実行する。
【0217】
このような構成によって、洗濯槽4を回転させることで、洗濯槽4内の水を洗濯槽4の外側の第1空間X1に向かって流出させるとともに、第1空間X1内を流れる水流を生じさせ、第1空間X1の除菌効果を高めることができる。また、第1空間X1及び洗濯槽4の内部の第2空間X2の上部まで除菌できる。
【0218】
また、本実施の形態の洗濯機1において、槽洗浄コースは、第1給水ステップと第2給水ステップと後に実行される槽洗い工程と槽すすぎ工程とを含む。制御部Cは、槽すすぎ工程において、錠剤ケース63を介して洗濯槽4に給水するように給水装置10を動作させる。
【0219】
このような構成によって、水の流れによって錠剤ケース63を洗浄して、錠剤ケース63における錠剤Jの溶け残りが残留することを抑制できる。
【0220】
本実施の形態の方法は、外槽3と、外槽3内に回転可能に設けられた洗濯槽4と、洗濯槽4に供給される水溶性を有する1回使い切りの除菌用の固形剤(錠剤J)を収容する固形剤ケース(錠剤ケース63)と、洗濯槽4に給水する給水装置10と、を有する洗濯機1を制御する方法である。方法は、洗濯槽4と外槽3との間の第1空間X1を洗浄する槽洗浄コースにおいて、洗濯槽4に所定量の水を給水するように給水装置10を動作させてから停止させる第1給水ステップを実行することを含む。方法は、その後、給水装置10の動作を所定時間停止させる停止ステップを実行することを含む。方法は、その後、錠剤ケース63を介して洗濯槽4に給水するように給水装置10を動作させる第2給水ステップを実行することを含む。
【0221】
このような構成によって、第1給水ステップの後の第2給水ステップにより、洗濯槽4に水が溜まった状態で、洗濯槽4に錠剤J又は塩素系漂白剤を供給することができる。そのため、錠剤Jの破片、又は塩素系漂白剤の原液が洗濯槽4に付着することを抑制できる。
【0222】
なお、本開示は前記実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0223】
なお、洗濯機1は乾燥機能付きの洗濯機であってもよい。この場合、洗濯機1は、洗濯槽4に乾燥用の空気を循環させる乾燥装置をさらに有する。乾燥装置の配置に応じて、手動投入ユニット6の構造を変更してもよい。
【0224】
なお、固形剤として錠剤Jを用いる例について説明したが、これに限定されない。
【0225】
なお、錠剤Jがジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを含む例について説明したが、これに限定されない。錠剤Jはジクロロイソシアヌル酸カリウム等、他のジクロロイソシアヌル酸塩を含んでもよい。また、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムと異なるジクロロイソシアヌル酸塩の錠剤を投入する場合は、錠剤を柔軟剤と同タイミングで洗濯槽4に投入してもよい。
【0226】
なお、固形剤ケースである錠剤ケース63と洗剤ケースである洗剤ケース60とが、同じ手動投入ユニット6に設けられている例について説明したが、これに限定されない。固形剤ケースと洗剤ケースは、別々のユニットに設けられてもよい。
【0227】
なお、自動投入ユニット7を有する例について説明したが、これに限定されず、洗濯剤供給ユニット5は手動投入ユニット6のみを有してもよい。
【0228】
なお、錠剤Jが円盤形状を有し、縦置きの姿勢において錠剤ケース63に投入される例について説明したが、これに限定されない。例えば、錠剤Jは他の形状を有してもよく、投入口63aは錠剤Jの形状に合わせて設計される。また、錠剤Jを横置きの姿勢において錠剤ケース63に投入できるように投入口63aの形状を変更してもよい。
【0229】
なお、洗濯機1の運転コースにおける所定量の給水または排水は、任意の水量を意味し、それぞれ異なる水量であってもよい。所定量の給水または排水における水量は、製造時に決定されてもよく、洗濯機1の性能、設置環境によって決定されてもよく、または、布量センサ26によって検知される洗濯物の重量によって決定されてもよい。
【0230】
なお、撹拌機構8がパルセータである例について説明したが、これに限定されない。洗濯機1は、撹拌機構8として、循環ポンプ等の洗濯槽4内の水を撹拌できる他の機構を有してもよい。
【0231】
なお、柔軟剤ケース61と錠剤ケース63との経路F2が共通である例について説明したが、これに限定されない。柔軟剤ケース61の給水経路と錠剤ケース63の給水経路とは独立で設けられてもよい。この場合、除菌コースにおいて、制御部Cは、除菌工程の後のすすぎ工程において、柔軟剤ケース61に給水する。
【0232】
なお、除菌コースが2つのすすぎ工程を含む例について説明したが、これに限定されない。除菌コースは3つ以上のすすぎ工程を含んでもよい。第1すすぎ工程より前に1つまたは複数のすすぎ工程が設けられてもよい。代わってまたは加えて、第1すすぎ工程と第2すすぎ工程の間に1つまたは複数のすすぎ工程が設けられてもよい。さらに、第2すすぎ工程より後に1つまたは複数のすすぎ工程が設けられてもよい。この場合、除菌給水ステップS34は、最終すすぎ工程の直前のすすぎ工程以前のすすぎ工程において実行され、柔軟剤の供給は最終すすぎ工程において実行される。このような構成によって、最終のすすぎ工程において、洗濯物に付着した錠剤Jの破片をより確実に洗い落とし、柔軟剤成分の付着を維持することができる。
【0233】
なお、除菌コースにおいて、制御部Cが、錠剤Jが溶けにくい条件のときに加熱または追加撹拌等を実行する例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部Cは、水温が高い場合においても、加熱または追加撹拌等を実行してもよい。
【0234】
なお、除菌コースにおいて、制御部Cが、除菌給水ステップS34後に追加の工程(S37~S42)を実行する例について説明したが、これに限定されない。追加の工程(S37~S42)は除菌給水ステップS34の前に実行されてもよい。
【0235】
なお、除菌コースにおいて、制御部Cが、除菌給水ステップと槽回転ステップとの間に撹拌ステップを実行する例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部Cは、撹拌ステップを槽回転ステップと同時に実行し、撹拌機構8を筒部42に対して相対的に回転させてもよい。
【0236】
なお、槽洗浄コースにおいて、制御部Cが、槽すすぎ工程において、錠剤ケース63を介して洗濯槽4に給水するように給水装置10を動作させる例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部Cが、槽洗い工程において、錠剤ケース63を介して洗濯槽4に給水するように給水弁10bを開放してもよい。
【0237】
なお、洗濯機1は、インターネットを介して、外部のサーバとスマートフォンとあわせて洗濯システムを構成してもよい。この場合、ユーザによるスマートフォンの操作に基づいて、制御部Cは、除菌コース及び/または槽洗浄コースを制御プログラムとしてサーバからダウンロードしてもよい。また、報知部23はスマートフォンにあってもよい。言い換えると、スマートフォンから報知してもよい。
【0238】
第1の態様における洗濯機は、水溶性を有する1回使い切りの除菌用の固形剤を投入可能に構成された洗濯機であって、外槽と、外槽内に回転可能に設けられた洗濯槽と、洗濯槽を回転させるモータと、洗濯槽に供給される洗剤を収容する洗剤ケースと、洗濯槽に供給される固形剤を収容する固形剤ケースと、洗剤ケースを介して洗濯槽に給水する第1給水弁と、固形剤ケースを介して洗濯槽に給水する第2給水弁と、第1給水弁、第2給水弁及びモータを制御する制御部と、を備え、制御部は、洗い工程において、第1給水弁を開放して洗剤ケースに給水し、洗い工程の後の除菌工程において、第2給水弁を開放して固形剤ケースに給水してから前記第2給水弁を閉める第1ステップと、モータを駆動して洗濯槽を回転させる第2ステップとを順に実行する。
【0239】
第2の態様における洗濯機として、第1の態様における洗濯機において、洗濯槽に給水された水を撹拌させる撹拌機構をさらに備え、制御部は、除菌工程において、撹拌機構を駆動して洗濯槽に給水された水を撹拌させる第3ステップを実行する。
【0240】
第3の態様における洗濯機として、第2の態様における洗濯機において、制御部は、第3ステップを第1ステップと第2ステップとの間に実行する。
【0241】
第4の態様における洗濯機として、第2または第3の態様における洗濯機において、モータは、洗濯槽の回転軸に連結される第1伝達機構と、撹拌機構の回転軸に連結される第2伝達機構とに切り替え可能に接続され、制御部は、第2ステップおいて、モータを第1伝達機構に接続させて、第3ステップにおいて、モータを第2伝達機構に接続させる。
【0242】
第5の態様における洗濯機として、第2から第4の態様のいずれかにおける洗濯機において、第3ステップの時間は、第2ステップの時間より長い。
【0243】
第6の態様における洗濯機として、第1から第5の態様のいずれかにおける洗濯機において、第2ステップにおける洗濯槽の回転数は、洗濯運転のコースの途中に実行可能な自動槽洗浄機能における洗濯槽の回転数より低い。
【0244】
第7の態様における洗濯機として、第1から第6の態様のいずれかにおける洗濯機において、洗濯槽に柔軟剤を供給する柔軟剤供給機構をさらに備え、制御部は、除菌工程の後のすすぎ工程において、柔軟剤供給機構を駆動して洗濯槽に柔軟剤を供給する。
【0245】
第8の態様における洗濯機として、第1から第7の態様のいずれかにおける洗濯機において、洗濯槽に給水された水を排水する排水弁をさらに備え、制御部は、洗い工程の後かつ第1ステップの前に、排水弁を開放して洗濯槽に給水された水を排水する第4ステップを実行する。
【0246】
第9の態様における洗濯機として、第8の態様における洗濯機において、制御部は、第4ステップの後かつ第1ステップの前に、第1給水弁を開放して洗剤ケースに給水し、排水弁を開放して洗濯槽に給水された水を排水する第5ステップを実行する。
【0247】
第10の態様における洗濯機として、第1から第9の態様のいずれかにおける洗濯機において、洗濯槽の水を排水する排水弁をさらに備え、制御部は、除菌工程における洗濯槽の最高水位が、洗い工程における洗濯槽の最高水位より大きくなるように第1給水弁、第2給水弁及び排水弁を制御する。
【0248】
第11の態様における方法は、外槽と、外槽内に回転可能に設けられた洗濯槽と、洗濯槽に供給される洗剤を収容する洗剤ケースと、洗濯槽に供給される、水溶性を有する1回使い切りの除菌用の固形剤を収容する固形剤ケースと、を有する洗濯機を制御する方法であって、洗い工程において、洗剤ケースを介して洗濯槽に給水する第1給水弁を開放して洗剤ケースに給水することと、洗い工程の後の除菌工程において、固形剤ケースを介して洗濯槽に給水する第2給水弁を開放して固形剤ケースに給水してから前記第2給水弁を閉める第1ステップと、洗濯槽を回転させるモータを駆動して洗濯槽を回転させる第2ステップとを順に実行することと、を含む。
【0249】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0250】
本開示の洗濯機は、固形剤の投入に関する構成の機能を向上させることができるため、家庭用の洗濯機、業務用の洗濯機、あるいは任意の種類の洗濯乾燥機(例えば家庭用の縦型洗濯機)として有用である。
【符号の説明】
【0251】
1 洗濯機
2 筐体
3 外槽
4 洗濯槽
5 洗濯剤供給ユニット
6 手動投入ユニット
7 自動投入ユニット
8 撹拌機構
10 給水装置
10a 給水弁
10b 給水弁
11 流路部材
18 駆動部
18a モータ
18b 第1伝達機構
18c 第2伝達機構
23 報知部
24 表示部
29 開閉センサ
50 ユニットケース
60 洗剤ケース
61 柔軟剤ケース
62 粉末洗剤ケース
63 錠剤ケース
63a 投入口
C 制御部