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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150305
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】液体供給システム
(51)【国際特許分類】
   B01J 4/00 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
B01J4/00 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063660
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】水野 智国
【テーマコード(参考)】
4G068
【Fターム(参考)】
4G068AA01
4G068AB11
4G068AD21
4G068AE10
4G068AF02
4G068AF31
(57)【要約】
【課題】貯留部から供給先に液体をより適切に供給することが可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る液体供給システム1は、液体を貯留するタンク10と、液体を供給先に供給する供給経路20と、供給経路20に設けられ、液体の密度を測定する測定装置40と、供給経路20における測定装置40の下流から分岐しタンク10に戻る、戻り経路60と、戻り経路60との分岐よりも下流側の供給経路20に液体を供給する第1の状態と戻り経路60に液体を供給する第2の状態とを切り替え可能な調整弁23V,60Vと、液体の密度が相対的に大きい場合に、調整弁23V,60Vを第1の状態に設定し、液体の密度が相対的に小さい場合に、調整弁23V,60Vを第2の状態に設定する制御装置80と、供給経路20における測定装置40の上流から分岐しタンク10に戻る、戻り経路50,70と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する貯留部と、
前記液体を供給先に供給する供給経路と、
前記供給経路に設けられ、前記液体に混入する気体量に関する物理量を測定する測定部と、
前記供給経路における前記測定部の下流から分岐し前記貯留部に戻る第1の戻り経路と、
前記第1の戻り経路との分岐よりも下流側の前記供給経路に液体を供給する第1の状態と、前記第1の戻り経路に液体を供給する第2の状態とを切り替え可能な切替部と、
前記測定部による測定結果が、前記液体に混入する気体量が相対的に少ない状態を表す場合に、前記切替部を第1の状態に設定し、前記測定部による測定結果が、前記液体に混入する気体量が相対的に多い状態を表す場合に、前記切替部を第2の状態に設定する制御部と、
前記供給経路における前記測定部の上流から分岐し前記貯留部に戻る第2の戻り経路と、を備え、
前記第2の状態において、前記第1の戻り経路との分岐よりも下流側の前記供給経路に液体を供給すると共に前記第2の戻り経路に液体の一部を供給させる、
液体供給システム。
【請求項2】
前記第2の戻り経路は、前記供給経路の鉛直方向に対し、前記供給経路よりも上方に位置するよう分岐する、
請求項1に記載の液体供給システム。
【請求項3】
前記第2の戻り経路に設けられ、開度を調整可能な調整弁を備え、
前記制御部は、前記測定部の測定結果に応じて、前記調整弁の開度を調整する、
請求項1又は2に記載の液体供給システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記測定部の測定結果が、前記液体に混入する気体量が相対的に多い状態を表す場合、前記調整弁の開度を相対的に大きく設定し、前記測定部の測定結果が、前記液体に混入する気体量が相対的に少ない状態を表す場合、前記調整弁の開度を相対的に小さく設定する、
請求項3に記載の液体供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、貯留部から供給経路を介して供給先に液体水素等の液体を供給するシステムにおいて、供給経路の途中に液体に気体が混入しているか否かを検出するための質量流量計や密度計等の検出器を設け、検出器が気体の混入を検出した場合、検出器による液体に混入する気体の測定点よりも下流の供給経路から分岐する戻し経路から貯留部に液体を戻し、検出器により気体が混入していないことが検出された場合には供給先に液体を供給する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
かかる構成によれば、気体が混入する液体を供給先に供給してしまうことを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平3-21457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、液体中に気体が混入していないことが検出器で検出されるまでは、供給先に液体を供給することができず、このため、供給先に液体を供給できない状態が継続してしまう可能性がある。
【0006】
そこで、上記課題に鑑み、供給先に液体を供給する際に、液体中に混入する気体が供給先にて許容しうる気体の混入量(許容限度)を超えている場合であっても、液体中の気体の混入量を許容限度以下に減少させた液体を供給先に供給させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
液体を貯留する貯留部と、
前記液体を供給先に供給する供給経路と、
前記供給経路に設けられ、前記液体に混入する気体量に関する物理量を測定する測定部と、
前記供給経路における前記測定部の下流から分岐し前記貯留部に戻る第1の戻り経路と、
前記第1の戻り経路との分岐よりも下流側の前記供給経路に液体を供給する第1の状態と、前記第1の戻り経路に液体を供給する第2の状態とを切り替え可能な切替部と、
前記測定部による測定結果が、前記液体に混入する気体量が相対的に少ない状態を表す場合に、前記切替部を第1の状態に設定し、前記測定部による測定結果が、前記液体に混入する気体量が相対的に多い状態を表す場合に、前記切替部を第2の状態に設定する制御部と、
前記供給経路における前記測定部の上流から分岐し前記貯留部に戻る第2の戻り経路と、を備え、
前記第2の状態において、前記第1の戻り経路との分岐よりも下流側の前記供給経路に液体を供給すると共に前記第2の戻り経路に液体の一部を供給させる、
液体供給システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
上述の実施形態によれば、貯留部から供給される液体中に許容限度を超えた気体が混入している場合、貯留部へ戻る液体の流量を増加させることで、相対的に気体が多く混入する液体を貯留部へ戻し、相対的に気体の混入量が少ない液体を貯留部から供給先へ供給することができる。このため、液体中に多少の気体が混入していたとしても、液体中に混入する気体を減少させて供給先に供給させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】液体供給システムの構成の第1例を示す図である。
図2】液体供給システムの構成の第2例を示す図である。
図3】液体供給システムの構成の第3例を示す図である。
図4】制御装置による処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0011】
[液体供給システムの構成]
まず、図1図3を参照して、本実施形態に係る液体供給システム1の構成について説明する。
【0012】
<第1例>
図1は、液体供給システム1の構成の第1例を示す図である。
【0013】
図1では、制御装置80以外の構成要素について、上下方向は、鉛直の上下方向を表し、左右方向は、水平方向を表す。以下、後述の図2図3についても同様である。
【0014】
液体供給システム1は、タンク10に貯留される液体を所定の供給先に供給する。例えば、液体供給システム1は、水素ステーションに設置され、タンク10に貯留される液体水素をディスペンサに供給する。以下、供給先へ供給される液体が液体水素である場合を中心に説明を行う。
【0015】
尚、液体供給システム1の供給対象の液体は、液体水素以外であってもよい。例えば、液体供給システム1は、液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)等を供給先に供給してもよい。
【0016】
液体供給システム1は、タンク10と、供給経路20と、ポンプ30と、測定装置40と、戻り経路50,60,70とを含む。また、液体供給システム1は、調整弁22V,23V,50V,60Vと、制御装置80とを含む。
【0017】
タンク10(貯留部の一例)は、供給先に供給される液体水素を貯留する。
【0018】
尚、タンク10に貯留される液体水素には、水素ガスが混入している場合がある。つまり、タンク10には、液体水素を中心とする、気液二相状態の水素が貯留されている場合がある。水素ガスは、例えば、液体水素のタンク10への移送中或いは移送後の内部での差圧(膨張)、外部からの入熱、オルト水素のパラ水素への転換時の転換熱、膨張弁によるフラッシュにより発生するボイルオフガス(BOG:Boil of Gas)である。以下、供給経路20や戻り経路50や戻り経路60や戻り経路70を流れる液体水素についても、同様に、水素ガスが混入している場合がある。また、タンク10に貯留される気液二相状態の水素は、時間の経過に応じて、液体水素及び水素ガスに分離され、液体水素はタンク10の下部に留まり、水素ガスは、タンク10の上部に集まる。
【0019】
供給経路20は、タンク10から供給先に液体水素を供給するための経路である。例えば、供給経路20は、管(パイプ)で構成される。具体的には、供給経路20は、一端がタンク10の下部に接続されると共に他端が供給先に接続される。供給経路20は、供給経路21~23を含む。
【0020】
供給経路21は、供給経路20のうちの最も上流側の部分である。具体的には、供給経路21は、タンク10の下部と分岐点P1との間を接続する。本例では、供給経路21は、タンク10の下部が分岐点P1までの間で水平方向に延びるように設けられる。
【0021】
供給経路22は、供給経路20のうちの中間部分である。具体的には、供給経路21は、分岐点P1と分岐点P2との間を接続する。本例では、供給経路22は、分岐点P1と分岐点P2との間で水平方向に延びるように設けられる。
【0022】
供給経路23は、供給経路20のうちの最も下流側の部分である。具体的には、供給経路23は、分岐点P2と供給先との間を接続する。本例では、供給経路23は、分岐点P2から水平方向に延びるように設けられる。
【0023】
ポンプ30は、供給経路20に設けられ、供給経路20を通じてタンク10の液体水素を供給先に向けて圧送する。例えば、図1に示すように、ポンプ30は、供給経路21に設けられる。
【0024】
測定装置40(測定部の一例)は、液体水素に混入する水素ガスに関する物理量を測定する。測定装置40の測定結果の信号は、制御装置80に取り込まれる。
【0025】
測定装置40は、例えば、振動式測定装置(「コリオリ流量計」とも称する)である。振動式測定装置は、被測定流体が流れる測定管を振動させて被測定流体の質量流量や密度(液体に混入する気体量に関する物理量の一例)を測定する。振動式測定装置は、既知の技術であるため、詳細な説明を省略する(例えば、特許第5498439号等参照)。
【0026】
戻り経路50(第2の戻り経路の一例)は、測定装置40の上流側の供給経路20の液体水素をタンク10の上部に戻すための経路である。例えば、戻り経路50は、管(パイプ)で構成される。具体的には、戻り経路50は、分岐点P1と合流点P3との間を接続し、分岐点P1にて供給経路20から分岐する液体水素を戻り経路70を経由してタンク10に戻すことができる。これにより、例えば、液体供給システム1は、供給経路20を通過する液体水素に混入する水素ガスの量が比較的多い状況において、その液体水素を、戻り経路50を通じてタンク10に戻すことができる。そのため、液体供給システム1は、水素ガスの混入量が比較的多い液体水素が供給先に供給されるような事態を抑制することができる。また、液体供給システム1は、戻り経路50を通じて、気液二相状態の水素をタンク10の上部に戻すことによって、タンク10の内部での気液二相状態の水素の液体水素及び水素ガスへの分離を促進させることができる。そのため、液体供給システム1は、時間の経過に応じて、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量を減少させることができる。
【0027】
本例では、戻り経路50は、分岐点P1から鉛直上方向に延びるように設けられる。つまり、戻り経路50は、分岐点P1から水平方向に分岐する供給経路22に対して上方にあるように分岐点P1から分岐する。これにより、分岐点P1から供給経路22及び戻り経路50の双方に液体水素が流入可能な状況において、戻り経路50には、液体水素と気体水素との間の密度(比重)の違いによって、供給経路22よりも多くの水素ガスが混入した液体水素を流入させることができる。そのため、液体供給システム1は、タンク10における気液二相状態の水素の液体水素及び水素ガスへの分離をより促進させることができる。その結果、液体供給システム1は、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量をより早く減少させることができる。
【0028】
戻り経路60(第1の戻り経路の一例)は、測定装置40の下流側の供給経路20の液体水素をタンク10の上部に戻すための経路である。例えば、戻り経路60は、管(パイプ)で構成される。具体的には、戻り経路60は、分岐点P2と合流点P3との間を接続し、分岐点P2にて供給経路20から分岐する液体水素を戻り経路70を経由してタンク10に戻すことができる。これにより、例えば、液体供給システム1は、供給経路20を通過する液体水素に混入する水素ガスの量が比較的多い状況において、その液体水素を、戻り経路60を通じてタンク10に戻すことができる。そのため、液体供給システム1は、水素ガスの混入量が比較的多い液体水素が供給先に供給されるような事態を抑制することができる。また、液体供給システム1は、戻り経路60を通じて、気液二相状態の水素をタンク10の上部に戻すことによって、タンク10の内部での気液二相状態の水素の液体水素及び水素ガスへの分離を促進させることができる。そのため、液体供給システム1は、時間の経過に応じて、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量を減少させることができる。
【0029】
本例では、戻り経路60は、分岐点P2から鉛直上方向に延びるように設けられる。つまり、戻り経路60は、分岐点P2から水平方向に延びるように分岐する供給経路23に対して上方にあるように分岐点P2から分岐する。これにより、分岐点P2から供給経路23及び戻り経路60の双方に液体水素が流入可能な状況において、戻り経路60には、供給経路23よりも多くの水素ガスが混入した液体水素を流入させることができる。そのため、液体供給システム1は、タンク10における気液二相状態の水素の液体水素及び水素ガスへの分離をより促進させることができる。その結果、液体供給システム1は、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量をより早く減少させることができる。
【0030】
例えば、液体供給システム1は、戻り経路50,60の双方を用いることによって、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量をより早く減少させることができる。
【0031】
戻り経路70は、戻り経路50及び戻り経路60の少なくとも一方から流入する液体水素をタンク10の上部に戻すための経路である。例えば、戻り経路70は、管(パイプ)で構成される。具体的には、戻り経路70は、合流点P3とタンク10の上部との間を接続し、合流点P3から流入する、戻り経路50及び戻り経路60の少なくとも一方の液体水素をタンク10の上部に戻すことができる。
【0032】
尚、戻り経路70及び合流点P3が省略され、戻り経路50,60のそれぞれがタンク10の上部に接続されてもよい。
【0033】
調整弁22Vは、供給経路22に設けられ、その開度によって、供給経路22の液体水素の流量を調整する。具体的には、調整弁22Vは、開度がゼロの全閉状態と、開度が100%の全開状態との間で、供給経路22の流量を調整することができる。例えば、調整弁22Vは、制御装置80からの制御指令で動作する電磁弁である。
【0034】
調整弁23V(切替部の一例)は、供給経路23に設けられ、その開度によって、供給経路23の液体水素の流量を調整する。具体的には、調整弁23Vは、開度がゼロの全閉状態と、開度が100%の全開状態との間で、供給経路23の流量を調整することができる。例えば、調整弁23Vは、制御装置80からの制御指令で動作する電磁弁である。
【0035】
調整弁50Vは、戻り経路50に設けられ、その開度によって、供給経路20(具体的には、供給経路21)から分岐点P1で分岐し戻り経路50を流れる液体水素の流量を調整する。具体的には、調整弁50Vは、開度がゼロの全閉状態と、開度が100%の全開状態との間で、供給経路21から戻り経路50に分岐する液体水素の流量を調整することができる。例えば、調整弁50Vは、制御装置80からの制御指令で動作する電磁弁である。
【0036】
調整弁60V(切替部の一例)は、戻り経路60に設けられ、その開度によって、供給経路20(具体的には、供給経路22)から分岐点P2で分岐し戻り経路60を流れる液体水素の流量を調整する。具体的には、調整弁60Vは、開度がゼロの全閉状態と、開度が100%の全開状態との間で、供給経路22から戻り経路60に分岐する液体水素の流量を調整することができる。例えば、調整弁60Vは、制御装置80からの制御指令で動作する電磁弁である。
【0037】
尚、後述の如く、供給経路23及び戻り経路60の何れか一方に液体水素を流す前提の場合、調整弁23V及び調整弁60Vは、例えば、分岐点P2に設けられる三方弁(切替部の一例)等に置換されてもよい。
【0038】
制御装置80(制御部の一例)は、ポンプ30や調整弁22V,23V,50V,60Vに制御指令を出力することにより、液体供給システム1の動作を制御する。例えば、制御装置80は、ポンプ30が稼働している状態で、測定装置40の出力信号に基づき、調整弁22V,23V,50V,60Vのそれぞれの開度を調整することにより、液体供給システム1の動作を制御する。
【0039】
制御装置80の機能は、任意のハードウェア、或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現されてよい。例えば、制御装置80は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ装置、補助記憶装置、及びインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成される。これにより、制御装置80は、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードしCPU上で実行することにより各種機能を実現することができる。メモリ装置は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)である。補助記憶装置は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリである。インタフェース装置は、例えば、外部の機器と通信を行う通信インタフェースを含む。これにより、制御装置80は、インタフェース装置を通じて、測定装置40の出力信号を受信したり、調整弁22V,23V,50V,60Vに制御指令を送信したりすることができる。また、インタフェース装置は、記録媒体と接続する外部インタフェースを含んでもよい。これにより、例えば、記録媒体から制御装置80の補助記憶装置に各種のプログラムをインストールすることができる。また、プログラムは、通信インタフェースを通じて外部の機器から制御装置80にダウンロードされてもよい。
【0040】
<第2例>
図2は、液体供給システム1の構成の第2例を示す図である。
【0041】
以下、上述の第1例と異なる部分を中心に説明し、上述の第1例と同じ或いは対応する内容の説明を簡略化或いは省略する。
【0042】
液体供給システム1は、上述の第1例と同様、タンク10と、供給経路20と、ポンプ30と、測定装置40と、戻り経路50,60,70と、調整弁22V,23V,50V,60Vと、制御装置80とを含む。
【0043】
供給経路22は、上述の第1例と異なり、分岐点P1から鉛直下方向に延びるように設けられる。
【0044】
戻り経路50は、上述の第1例と異なり、分岐点P1から水平方向に延びるように設けられる。つまり、戻り経路50は、分岐点P1から鉛直下方向に分岐する供給経路22に対して上方にあるように分岐する。これにより、分岐点P1から供給経路22及び戻り経路50の双方に液体水素が流入可能な状況において、戻り経路50には、供給経路22よりも多くの水素ガスが混入した液体水素を流入させることができる。そのため、液体供給システム1は、タンク10における気液二相状態の水素の液体水素及び水素ガスへの分離をより促進させることができる。その結果、液体供給システム1は、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量をより早く減少させることができる。
【0045】
<第3例>
図3は、液体供給システム1の構成の第3例を示す図である。
【0046】
以下、上述の第1例や第2例と異なる部分を中心に説明し、上述の第1例と同じ或いは対応する内容の説明を簡略化或いは省略する。
【0047】
液体供給システム1は、上述の第1例や第2例と異なる部分を中心に説明し、上述の第1例や第2例と同じ或いは対応する内容の説明を簡略化或いは省略する。
【0048】
液体供給システム1は、上述の第1例、第2例と同様、タンク10と、供給経路20と、ポンプ30と、測定装置40と、戻り経路50,60,70と、調整弁22V,23V,50V,60Vと、制御装置80とを含む。
【0049】
供給経路22は、上述の第2例と同様、分岐点P1から鉛直下方向に延びるように設けられる。
【0050】
戻り経路50は、上述の第1例と同様、分岐点P1から鉛直上方向に延びるように設けられる。つまり、戻り経路50は、分岐点P1から鉛直下方向に分岐する供給経路22に対して上方にあるように分岐する。これにより、分岐点P1から供給経路22及び戻り経路50の双方に液体水素が流入可能な状況において、戻り経路50には、供給経路22よりも多くの水素ガスが混入した液体水素を流入させることができる。特に、戻り経路50及び供給経路23が鉛直の反対方向に分岐していることから、戻り経路50には、気液二相状態の水素の中の水素ガスが更に流入し易くなる。そのため、液体供給システム1は、タンク10における気液二相状態の水素の液体水素及び水素ガスへの分離を更に促進させることができる。その結果、液体供給システム1は、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量を更に早く減少させることができる。
【0051】
[液体供給システムの動作]
次に、図4を参照して、液体供給システム1の動作について説明する。
【0052】
図4は、制御装置80による処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
【0053】
本フローチャートは、液体供給システム1による液体供給の開始のタイミングで実行される。例えば、本フローチャートは、ユーザからの液体供給の開始の操作が受け付けられると開始される。
【0054】
以下、液体供給システム1による液体供給が停止されている状態では、調整弁22V,23V,50V,60Vが全閉状態にある前提で説明を行う。
【0055】
図4に示すように、ステップS102にて、制御装置80は、調整弁22V及び調整弁60Vに制御指令を出力し、調整弁22V及び調整弁60Vを全開状態に移行させる。そして、制御装置80は、ポンプ30に制御指令を出力し、ポンプ30の稼働を開始させる。
【0056】
これにより、タンク10の液体水素は、供給経路22に送り出された後に、供給経路22,23、及び戻り経路60,70を通じて、タンク10の上部に戻る形で循環する。そのため、液体供給システム1は、タンク10における気液二相状態の水素の液体水素及び水素ガスへの分離が促進され、時間の経過によって、タンク10から供給される液体水素に混入する水素ガスの量を減少させることができる。
【0057】
制御装置80は、ステップS102の処理が完了すると、ステップS104に進む。
【0058】
ステップS104にて、制御装置80は、供給先への液体供給を停止させるかどうかを判定する。例えば、制御装置80は、ユーザからの液体供給を停止させる操作が受け付けられたか否かを判定する。以下、後述のステップS114についても同様であってよい。制御装置80は、供給先への液体供給を停止させる場合、ステップS105に進み、停止させない場合、ステップS106に進む。
【0059】
ステップS105にて、制御装置80は、ポンプ30に制御指令を出力し、ポンプ30の稼働を停止させる。そして、制御装置80は、全ての調整弁(調整弁22V、調整弁50V、調整弁23V、及び調整弁60V)に制御指令を出力し、全ての調整弁(調整弁22V、調整弁50V、調整弁23V、及び調整弁60V)を全閉状態に移行させる。
【0060】
制御装置80は、ステップS105の処理が完了すると、本フローチャートの処理を終了する。
【0061】
一方、ステップS106にて、制御装置80は、測定装置40から取り込まれた最新の測定結果、具体的には、液体水素の密度の測定値ρを取得する。
【0062】
制御装置80は、ステップS106の処理が完了すると、ステップS108に進む。
【0063】
ステップS108にて、制御装置80は、供給経路22の液体水素の密度の測定値ρが閾値αより大きいか否かを判定する。
【0064】
閾値αは、供給先に供給可能な液体水素の密度の下限値(許容限度)に相当し、水素ガスが混入しない液体水素の密度の理論値以下の正数値として設定される。液体水素の密度が相対的に小さい場合、水素ガスの混入量が比較的多い液体水素が供給先に供給されてしまうからである。また、液体水素の密度が相対的に小さく、液体水素への水素ガスの混入量が比較的多い場合、測定装置40(具体的には、振動式測定装置)での質量流量の測定誤差が比較的大きくなり、その結果、供給先への液体水素の供給量(質量流量の積算値)の測定精度が悪化してしまうからである。つまり、閾値αは、供給先に供給可能な液体水素に混入する気体量の下限値に対応する。閾値αは、固定値であってもよいし、各種条件により変化する可変値であってもよい。
【0065】
制御装置80は、供給経路22の液体水素の密度の測定値ρが閾値αより大きくない場合、液体水素を供給先に供給可能な状態でないと判断し、ステップS110に進む。一方、制御装置80は、供給経路22の液体水素の密度の測定値ρが閾値αより大きい場合、液体水素を供給先に供給可能な状態であると判断し、ステップS112に進む。
【0066】
ステップS110にて、制御装置80は、調整弁50Vに制御指令を出力し、調整弁50Vの開度Bs[%]を所定値β(>0)[%]だけ増加させる。
【0067】
これにより、制御装置80は、戻り経路60に加えて、戻り経路50を用いて液体水素をタンク10に戻すことができる。また、制御装置80は、戻り経路50を通じてタンク10に戻される液体水素の量を増加させることができる。そのため、制御装置80は、タンク10における液体水素及び水素ガスの分離を促進し、供給経路21,22の液体水素に混入する気体量をより早期に減少させることができる。具体的には、制御装置80は、タンク10へ戻る液体水素の流量を増加させることにより、液体水素中の気体(水素ガス)の混入量を許容限度以下に減少させることができる。
【0068】
尚、調整弁50Vの開度Bsは、全閉状態に対応する0%を下限とし、全開状態に対応する100%を上限とする範囲で調整されうる。そのため、例えば、調整弁50Vの開度Bsが既に100%の状態にある場合、ステップS110では、調整弁50Vの開度Bsの調整は実施されない。また、例えば、調整弁50Vの開度Bsを所定値βだけ増加させると100[%]を超える場合、調整弁50Vの開度Bsは、上限値の100%に調整される。以下、後述のステップS122についても同様である。
【0069】
制御装置80は、ステップS110の処理が完了すると、ステップS104に戻る。
【0070】
一方、ステップS112にて、制御装置80は、調整弁60Vに制御指令を出力し、調整弁60Vを全閉状態に移行する。そして、制御装置80は、調整弁23Vに制御指令を出力し、調整弁23Vを全開状態に移行する。
【0071】
これにより、制御装置80は、供給経路23を通じて、供給先に液体水素を供給することができる。
【0072】
制御装置80は、ステップS112の処理が完了すると、ステップS114に進む。
【0073】
ステップS114にて、制御装置80は、供給先への液体供給を停止させるかどうかを判定する。制御装置80は、供給先への液体供給を停止させる場合、ステップS105に進み、停止させない場合、ステップS116に進む。
【0074】
ステップS116にて、制御装置80は、測定装置40から取り込まれた最新の測定結果、具体的には、液体水素の密度の測定値ρを取得する。
【0075】
制御装置80は、ステップS116の処理が完了すると、ステップS118に進む。
【0076】
ステップS118にて、制御装置80は、供給経路22の液体水素の密度の測定値ρが閾値αより大きいか否かを判定する。制御装置80は、供給経路22の液体水素の密度の測定値ρが閾値αより大きい場合、ステップS120に進み、閾値αより大きくない場合、ステップS122に進む。
【0077】
ステップS120にて、制御装置80は、調整弁50Vに制御指令を出力し、調整弁50Vの開度Bs[%]を所定値β[%]だけ減少させる。
【0078】
これにより、制御装置80は、調整弁23Vの全開状態への移行後、供給経路22の液体水素に混入する水素ガスの量が比較的少ない状態が継続している場合に、供給経路20を通じて供給先に供給される液体水素の流量を増加させることができる。
【0079】
尚、調整弁50Vの開度Bsは、全閉状態に対応する0%を下限とし、全開状態に対応する100%を上限とする範囲で調整されうる。そのため、例えば、調整弁50Vの開度Bsが既に0%の状態にある場合、ステップS120では、調整弁50Vの開度Bsの調整は実施されない。また、例えば、調整弁50Vの開度Bsを所定値βだけ減少させると0[%]より小さくなる場合、調整弁50Vの開度Bsは、下限値の0%に調整される。
【0080】
制御装置80は、ステップS120の処理が完了すると、ステップS114に戻る。
【0081】
尚、ステップS120での調整弁50Vの開度Bsの減少量と、ステップS110やステップS122での調整弁50Vの開度Bsの増加量とは、異なっていてもよい。
【0082】
一方、ステップS122にて、制御装置80は、調整弁50Vに制御指令を出力し、調整弁50Vの開度Bs[%]を所定値β[%]だけ増加させる。
【0083】
これにより、制御装置80は、戻り経路60に加えて、戻り経路50を用いて液体水素をタンク10に戻すことができる。また、制御装置80は、戻り経路50を通じてタンク10に戻される液体水素の量を増加させることができる。そのため、制御装置80は、調整弁23Vの全開状態への以降後、供給経路22の液体水素に混入する水素ガスの量が比較的多い状態に戻ってしまった場合に、タンク10における液体水素及び水素ガスの分離を促進することができる。その結果、制御装置80は、供給経路21,22の液体水素に混入する気体量を減少させることができる。
【0084】
制御装置80は、ステップS122の処理が完了すると、ステップS124に進む。
【0085】
ステップS124にて、制御装置80は、調整弁50Vの開度Bsが100[%]であるか否かを判定する。制御装置80は、調整弁50Vの開度Bsが100[%]でない場合、ステップS114に戻る。一方、制御装置80は、調整弁50Vの開度Bsが100[%]である場合、ステップS126に進む。
【0086】
尚、ステップS124では、調整弁50Vの開度Bsが100[%]より小さい所定の閾値(例えば、90%)以上であるか否かを判定してもよい。この場合、制御装置80は、調整弁50Vの開度Bsが閾値以上でない場合、ステップS114に戻り、閾値以上である場合、ステップS126に進む。
【0087】
ステップS126にて、制御装置80は、調整弁23Vに制御指令を出力し、調整弁23Vを全開状態から全閉状態に移行させる。そして、制御装置80は、調整弁60Vに制御指令を出力し、調整弁60Vを全閉状態から全開状態に移行させる。
【0088】
これにより、制御装置80は、戻り経路50を用いて比較的高いレベルの流量で供給経路21の液体水素をタンク10に戻しても液体水素に混入する水素ガスの量が所望のレベルまで低下しない状況において、供給先への液体水素の供給を停止させることができる。そして、制御装置80は、戻り経路50に加えて、戻り経路60を用いることによって、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量を所望のレベル(即ち、許容限度以下)までより早く減少させることができる。
【0089】
制御装置80は、ステップS126の処理が完了すると、ステップS104に戻る。
【0090】
このように、本例では、制御装置80は、液体水素の供給の開始前に、供給経路21,22、及び戻り経路60,70を通じて、タンク10を起点及び終点として液体水素を循環させる。これにより、タンク10における気液二相状態の水素の液体水素及び水素ガスの分離が促進され、その結果、制御装置80は、時間の経過に応じて、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量を低減させることができる。
【0091】
また、本例では、制御装置80は、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量が所望のレベルに対して相対的に少なくなった場合に、供給経路23を通じて供給先への液体水素の供給を開始する。具体的には、制御装置80は、供給経路22の液体水素の密度の測定値ρが閾値αより大きくなった場合に、供給経路23を通じて供給先への液体水素の供給を開始する。これにより、制御装置80は、水素ガスの混入量が比較的少ない液体水素を供給先に供給することができる。また、制御装置80は、測定装置40(振動式測定装置)による質量流量の測定結果の誤差を抑制し、供給先への液体水素の供給量をより正確に測定することができる。
【0092】
また、本例では、制御装置80は、液体水素の供給の開始前に、戻り経路60に加え
、戻り経路50を用いて、タンク10の液体水素を循環させることができる。そのため、制御装置80は、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量をより早く低減させることができる。その結果、制御装置80は、より早いタイミング、供給先への液体水素の供給を開始することができる。
【0093】
また、本例では、制御装置80は、液体水素の供給先への供給開始後、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量が所望のレベルに対して相対的に少ない状態が継続する場合、調整弁50Vの開度を小さくする。これにより、制御装置80は、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量が所望のレベルに対して相対的に小さい状態を維持しつつ、供給経路20を通じて供給先に供給される液体水素の流量を増加させることができる。そのため、制御装置80は、効率的に液体水素を供給先に供給することができる。
【0094】
また、本例では、制御装置80は、液体水素の供給先への供給開始後、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量が所望のレベルに対して相対的に多い状態になってしまった場合、調整弁50Vの開度を大きくする。これにより、制御装置80は、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量が所望のレベルに対して相対的に少ない状態に戻るように措置を講じつつ、供給先への液体水素の供給を継続させることができる。
【0095】
また、本例では、制御装置80は、液体水素の供給先への供給開始後、調整弁50Vの開度Bsが比較的大きい状態にも関わらず、供給経路20の液体水素に混入する水素ガスの量が所望のレベルに対して相対的に多い状態が継続する場合、液体水素の供給先への供給を停止する。そして、制御装置80は、供給経路21,22、及び戻り経路60,70を通じて、タンク10を起点及び終点として液体水素を循環させる状態に戻す。これにより、制御装置80は、水素ガスの混入量が所望のレベルに対して相対的に多い液体水素が供給先に供給し続けられるような事態を抑制することができる。また、制御装置80は、測定装置40による液体水素の質量流量の測定結果の誤差が大きい状態が継続し、供給先への液体水素の供給量の測定精度が悪化するような事態を抑制することができる。
【0096】
[作用]
次に、本実施形態に係る液体供給システムの作用について説明する。
【0097】
本実施形態では、液体供給システムは、貯留部と、供給経路と、測定部と、第1の戻り経路と、切替部と、制御部と、第2の戻り経路と、を備える。液体供給システムは、例えば、上述の液体供給システム1である。貯留部は、例えば、上述のタンク10である。供給経路は、例えば、上述の供給経路20である。測定部は、例えば、上述の測定装置40である。第1の戻り経路は、例えば、上述の戻り経路60,70である。切替部は、例えば、調整弁23V及び調整弁60Vである。制御部は、例えば、上述の制御装置80である。第2の戻り経路は、例えば、上述の戻り経路50,70である。具体的には、貯留部は、液体を貯留する。液体は、例えば、上述の液体水素である。また、供給経路は、液体を供給先に供給する。また、測定部は、供給経路に設けられ、液体に混入する気体量に関する物理量を測定する。気体は、例えば、上述の水素ガスである。液体に混入する気体量に関する物理量は、例えば、液体の密度である。また、第1の戻り経路は、供給経路における測定部の下流から分岐し貯留部に戻る。また、切替部は、第1の戻り経路との分岐よりも下流側の供給経路に液体を供給する第1の状態と、第1の戻り経路に液体を供給する第2の状態とを切り替え可能である。また、制御部は、測定部による測定結果が、液体に混入する気体量が相対的に少ない状態を表す場合に、切替部を上記の第1の状態に設定し、測定部による測定結果が、液体に混入する気体量が相対的に多い状態を表す場合に、切替部を上記の第2の状態に設定する。そして、第2の戻り経路は、供給経路における測定部の上流から分岐し貯留部に戻る。
【0098】
例えば、供給経路の液体に混入する気体の量が相対的に多い状態が継続すると、供給先に液体が供給されない状態が継続し、比較的長い時間で液体の供給が停止してしまう可能性がある。
【0099】
これに対して、本実施形態では、液体供給システムは、第1の戻り経路に加えて、第2の戻り経路を用いることによって、貯留部により多くの液体を戻し、貯留部における気液二相状態から液体及び気体への分離をより促進させることができる。そのため、液体供給システムは、より早く液体に混入する気体の量を低減させることができ、その結果、供給先への液体の供給をより適切に行うことができる。
【0100】
また、本実施形態では、液体供給システムは、第2の状態において、第1の戻り経路との分岐よりも下流側の供給経路に液体を供給すると共に第2の戻り経路に液体の一部を供給させる。
【0101】
これにより、液体供給システムは、例えば、貯留部から供給される液体中に許容限度を超えた気体が混入している場合に、貯留部へ戻る液体の流量を増加させることで、相対的に気体が多く混入する液体を貯留部へ戻し、相対的に気体の混入量が少ない液体を貯留部から供給先へ供給することができる。そのため、液体供給システムは、液体中に多少の気体が混入していたとしても、液体中に混入する気体を減少させて供給先に供給させることができる。
【0102】
また、本実施形態では、第2の戻り経路は、供給経路よりも高さ方向(鉛直方向)で上方に位置するように分岐してもよい。
【0103】
これにより、液体と気体との密度(比重)の違いによって、第2の戻り経路には、気体がより多く混入する液体が流入し易くなる。そのため、液体供給システムは、貯留部における気液二相状態から液体及び気体への分離を更に促進させることができる。そのため、液体供給システムは、液体に混入する気体の量を更に早く低減させることができる。
【0104】
また、本実施形態では、液体供給システムは、調整弁を備えてもよい。調整弁は、例えば、上述の調整弁50Vである。具体的には、調整弁は、第2の戻り経路に設けられ、開度を調整可能であってよい。そして、制御部は、測定部の測定結果に応じて、調整弁の開度を調整してもよい。
【0105】
これにより、液体供給システムは、液体に混入する気体の量に関する物理量の測定値によって、貯留部に戻す液体の量、及び供給先に供給する液体の量を調整することができる。そのため、液体供給システムは、液体に混入する気体の量を抑制しつつ、効率的に液体を供給先に供給することができる。
【0106】
また、本実施形態では、制御部は、測定部の測定結果が、液体に混入する気体量が相対的に多い状態を表す場合、調整弁の開度を相対的に大きく設定し、測定部の測定結果が、液体に混入する機体量が相対的に少ない状態を表す場合、調整弁の開度を相対的に小さく設定してもよい。
【0107】
これにより、液体供給システムは、液体に混入する気体量が相対的に多い状態である場合に、より多くの液体を貯留部に戻して、気液二相状態から液体及び気体への分離を促進させることができる。そのため、液体供給システムは、液体に混入する気体量を低減することができる。一方、液体供給システムは、液体に混入する気体量が相対的に少ない状態である場合に、供給先に供給する液体の量を増加させることができる。そのため、液体供給システムは、液体に混入する気体の量を抑制しつつ、効率的に液体を供給先に供給することができる。
【0108】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0109】
1 液体供給システム
10 タンク
20 供給経路
21,22,23 供給経路
22V 調整弁
23V 調整弁
30 ポンプ
40 測定装置
50 戻り経路(第2の戻り流路)
50V 調整弁
60 戻り経路(第1の戻り流路)
60V 調整弁
70 戻り経路
80 制御装置
図1
図2
図3
図4