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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150341
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】梱包資材
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20241016BHJP
   B65D 65/28 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B65D25/20 Q
B65D65/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063714
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000133157
【氏名又は名称】株式会社TANAX
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 学
【テーマコード(参考)】
3E062
3E086
【Fターム(参考)】
3E062AA01
3E062AC01
3E062DA05
3E086AA01
3E086AB01
3E086AC12
3E086AD02
3E086DA08
(57)【要約】
【課題】梱包資材の廃棄時に個人情報が流出することを防止でき、しかも、そのためにかかる手間及びコストを抑えることができる技術を提供する。
【解決手段】本発明に係る梱包資材は、1枚の波板201と、一方の面が前記波板201の一方の面の山部の頂部に貼り付けられ、他方の面に個人情報表示領域23が形成された1枚の平板202とを備えた梱包資材であって、前記平板202に、前記個人情報表示領域23を取り囲むミシン目又は該平板を切断しない深さの切れ目から成る切取枠線231が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の波板と、一方の面が前記波板の一方の面の山部の頂部に貼り付けられ、他方の面に個人情報表示領域が形成された1枚の平板とを備えた梱包資材であって、
前記平板に、前記個人情報表示領域を取り囲むミシン目又は該平板を切断しない深さの切れ目から成る切取枠線が形成されている、梱包資材。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包資材において、さらに、
前記波板の他方の面に貼り付けられた平板を備える、梱包資材。
【請求項3】
前記波板に対する前記平板の貼付力が弱い第1領域と、該第1領域の外周に位置する領域であって、前記第1領域よりも前記貼付力が強い第2領域とを含み、
前記第1領域に、前記個人情報領域及び前記切取枠線が形成されている、請求項1に記載の梱包資材。
【請求項4】
前記第1領域に対応する前記平板の一方の面に、非接着処理が施されている、請求項3に記載の梱包資材。
【請求項5】
前記第2領域に対応する前記波板の一方の面の山部には接着剤が塗布され、前記第1領域に対応する前記波板の一方の面の山部には接着剤が塗布されていない、請求項3に記載の梱包資材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を送付するときに該物品を梱包する箱や封筒などの梱包資材に関する。
【背景技術】
【0002】
郵便や配送業者を利用して物品を配送する場合、その物品は箱や封筒等の梱包資材に梱包された後、送り主の住所、氏名、電話番号等の情報(送り主情報)、及び、送り先の住所、氏名、電話番号等の情報(送り先情報)が記入、或いは印刷された送付票が梱包資材に貼り付けられ、発送される。
【0003】
送付票に記入又は印刷されている送り主情報、送り先情報は、送り主や受取人を特定するいわゆる個人情報であるため、物品が取り出された後の梱包資材をそのまま廃棄すると、個人情報が流出してしまう。梱包資材から送付票を剥がすことで該梱包資材を廃棄する際に個人情報が流出することを防止できるが、送付票は、配送時に梱包資材から剥がれないよう比較的強固に梱包資材に貼着されており、簡単に剥がすことができない。これに対して、特許文献1には、個人情報が印刷された部分のみをラベル本体から取り外すことができるように工夫された、梱包資材に貼り付けて使用される宛名ラベルが記載されている。しかし、このような宛名ラベルは、従来の送付票に比べて、ラベル自体の製造コストの他、それを貼り付けるための手間及びコストがかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-008792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、梱包資材の廃棄時に個人情報が流出することを防止でき、しかも、そのためにかかる手間及びコストを抑えることができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために成された本発明は、
1枚の波板と、一方の面が前記波板の一方の面の山部の頂部に貼り付けられ、他方の面に個人情報表示領域が形成された1枚の平板とを備えた梱包資材であって、
前記平板に、前記個人情報表示領域を取り囲むミシン目又は該平板を切断しない深さの切れ目から成る切取枠線が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る梱包資材は、物品を配送するときに該物品の梱包に使用される箱、封筒、包装紙等である。波板、平板はシート状のものであり、紙製、プラスチック製等があり得る。箱の蓋のみを本発明に係る梱包資材とし、箱の本体は別の材料(例えば発泡スチロール、プラスチック、金属、木材)等から構成されていてもよい。また、個人情報表示領域とは、物品の送り先を表す名前、住所、電話番号等、あるいは、送り主を表す名前、住所、電話番号等の個人を特定する情報を記入又は印刷するための領域をいう。
【0008】
本発明に係る梱包資材が例えば箱の場合、個人情報表示領域が送り先情報と送り主情報の双方を含む場合は、該領域は箱の蓋となる部分に配置するとよいが、他の部分であっても構わない。送り先情報と送り主情報を別々の領域に配置する場合は、箱の異なる面にそれぞれ個人情報表示領域を配置するようにしてもよい。また、本発明に係る梱包資材が例えば封筒の場合も、送り先情報と送り主情報の双方を一方の面に一緒に配置してもよいし、おもて面に送り先情報、うら面に送り主情報を設けるようにしてもよい。
【0009】
本発明に係る梱包資材は、波板の山部の頂部に貼り付けられた平板に個人情報表示領域と該領域を取り囲む切取枠線が形成されているため、切取枠線に沿って個人情報表示領域をその他の領域から切り離して波板から剥がすことができる。
【0010】
本発明に係る梱包資材においては、さらに、前記波板の他方の面に貼り付けられた平板を備えるものとすることができる。
【0011】
上記構成にすることにより、梱包資材が、2枚の平板とその間に挟まれた波板から成るいわゆる両面段ボール紙製となるため、耐久性が増す。
【0012】
また、本発明に係る梱包資材においては、前記波板に対する前記平板の貼付力が弱い第1領域と、該第1領域の外周に位置する領域であって、前記第1領域よりも前記貼付力が強い第2領域とを含み、
前記第1領域に、前記個人情報領域及び前記切取枠線が形成されているものとすることができる。
【0013】
上記構成によれば、個人情報表示領域を一層剥がし易くなる。
【0014】
上記構成の梱包資材は、前記第1領域に対応する前記平板の一方の面に、非接着処理を施すことにより構成することができる。或いは、前記第2領域に対応する前記波板の一方の面の山部の頂部に接着剤を塗布し、前記第1領域に対応する前記波板の一方の面の山部の頂部に接着剤を塗布しないことにより構成することもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る梱包資材によれば、個人情報表示領域を直接梱包資材に設け、それを切り離し可能としたため、梱包資材の廃棄時に個人情報が流出することを防止でき、しかも、そのためにかかる生産コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る梱包資材の一実施例である梱包箱の斜視図。
図2】梱包箱の蓋の斜視図。
図3】梱包箱の蓋の表面から個人情報表示領域が剥がされる途中の状態を示す斜視図。
図4】本発明の実施形態に係る梱包資材の別の実施例である梱包箱の斜視図。
図5】本発明の実施形態に係る梱包資材の別の実施例である封筒をおもて面側から見た平面図(a)、うら面側から見た平面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る梱包資材の一実施例を示す斜視図である。本実施例に係る梱包資材は箱からなる。この箱1は、扁平な立方体状の箱本体10とその箱本体10の上部開口を塞ぐ蓋20とを備えている。
【0018】
箱本体10は、両面段ボール紙製のブランクを組み立てて形成された立方体状のいわゆるトムソン箱から成り、上面全体が開口している。また、蓋20は、前記箱本体10の上面の開口に対応する長方形状の閉塞部21と、該閉塞部の四辺にそれぞれ延設された4個の台形状のフラップ部22とを有している。
【0019】
蓋20は、1枚の波板201と、該波板201の一方の面及び他方の面にそれぞれ貼り付けられた平板202、203とから成る両面段ボール紙製の部材から成る。本実施例では、蓋20は、矩形状の両面段ボール紙製シートの四隅から四角形の部分を切り取った形状を有している。蓋20は、平板202が上側を、平板203が下側(箱本体10側)を向くように、箱本体10の上部に取り付けられる。
【0020】
本実施例では、箱本体10を構成する両面段ボール紙、蓋20を構成する両面段ボール紙の波板及び平板はいずれも段ボール原紙から構成されている。ただし、段ボール原紙以外の例えばクラフト紙、上質紙、コーテッド紙、又は再生紙を用いてもよく、紙以外のシート材を用いてもよい。また、箱本体10と蓋20を構成する両面段ボール紙は、同じ材料から構成されていてもよく、異なる材料から構成されていてもよい。さらにまた、蓋20を箱本体10の上部に装着したときに上側に位置する平板202には後記する個人情報表示領域23が設けられるため、そこに個人情報を記入したり印刷したりしやすいようなクラフト紙や上質紙等から平板202を形成してもよい。
【0021】
前記個人情報表示領域23は、蓋20の閉塞部21の上面に設けられている。個人情報表示領域23は、平板202に形成された略台形状の切取枠線231によって、蓋20のその他の部分と区画されている。切取枠線231は、平板202を完全に切断しない深さの切れ目から成り、例えば、平板202を、その上面から該平板202の厚みの3/2ないし4/5程度の深さまで切断することにより形成することができる。
【0022】
本実施例では、閉塞部21のうち、個人情報表示領域23と該個人情報表示領域23の外周部を含む領域(図2において網掛けで示した領域)31は、その他の領域32よりも、平板202と波板201との接着力が弱い領域となっている。以下、領域31を弱接着領域、領域32を強接着領域と呼ぶ。弱接着領域31、強接着領域32は、それぞれ本発明の第1領域、第2領域に相当する。弱接着領域31は、該弱接着領域31に対応する波板201の一方の面に接着剤を塗布しないことによって、或いは、弱接着領域31に対応する平板202の一方の面に接着剤の接着力を低下させる処理(本発明の非接着処理に相当)を施すことによって形成される。接着剤の接着力を低下させる処理の例として、平板202の一方の面に、剥離性を有するニス、又は撥水性を有するニスを塗布する処理が挙げられるが、この処理に限られない。
【0023】
蓋20は次のように製造される。
まず、矩形状の1枚に波板201と2枚の平板202,203を用意し、2枚の平板の一方(平板202)に上述した切取枠線231を形成する。この切取枠線231は、平板202の他方の面、あるいは一方の面に、平板202を切断しない深さの切り込みを入れることにより形成することができる。また、切取枠線はミシン目としてもよい。
【0024】
次に、平板202の一方の面のうち前記切取枠線231を含む該切取枠線231よりもやや大きい領域(弱接着領域31に相当)に剥離性、又は撥水性を有するニスを塗布する。このようなニスとしては、ニトロセルロース系樹脂とポリエチレン系の粒状ワックスとを主成分とするOPニス剤、ジアリルフタレート樹脂を含むワニスなどを挙げることができる。
【0025】
続いて、波板201の両面の山部の頂部全体にそれぞれ接着剤を塗布する。接着剤としては、コーンスターチ挙げることができる。上述したニス、及び接着剤の塗布はいかなる方法で行ってもよく、例えば、スポンジローラ又は刷毛などを用いて塗布する方法、又は接着剤をスプレーする方法などを用いることができる。
【0026】
その後、波板201の両面に平板202,203を貼り付ける。このとき、平板202は、ニスが塗布された面が波板201側を向くようにする。以上により、矩形状の両面段ボール紙製シートが得られるため、その四隅から所定の形状を切り取ることで、図2に示すような蓋20を得ることができる。
【0027】
上記のように形成された蓋20のおもて面に形成された切取枠線231で囲まれた個人情報表示領域23には、箱1に物品を入れる前、あるいは箱1に物品を入れた後、その物品の送り先の住所、名前、電話番号等が印刷、或いは記入される。場合によっては、送り先だけでなく、送り主の住所、名前、電話番号等が個人情報表示領域23に印刷又は記入されていてもよい。
【0028】
物品が入った箱1の受取人は、箱1から物品を取り出した後、該箱1を廃棄する際に個人情報表示領域23を蓋20から切り離すことで、個人情報の流出を防止できる。
【0029】
なお、上記実施例では、箱本体10および蓋20の両方が両面段ボール紙から構成されている箱の例を挙げて説明したが、少なくとも蓋20が両面段ボール紙から構成されて居ればよく、箱本体10は、厚紙製やプラスチック製、発泡スチロール製、金属製、木製でもよい。
【0030】
また、上記実施例では、本発明に係る梱包資材を、箱本体と該箱本体とは別体の蓋から成る箱としたが、本発明に係る梱包資材は、例えば図4に示すような箱40、図5に示すような封筒50にも適用可能である。図4に示す箱40は、ブランクを折り曲げることにより形成された、箱本体41と一対の蓋部42とが一体になったフラップ式の箱からなる。この箱40では一方の蓋部42の上面に個人情報表示領域421と該個人情報表示領域421を囲む切取枠線422が形成されている。
【0031】
このような構成の箱40においては、箱本体41に物品を入れる前、あるいは物品を入れた後、蓋部42の個人情報表示領域421に個人情報(送り先情報、送り主情報等)が印刷又は記入される。また、物品が入った箱40の受取人は、箱40から物品を取り出した後、該箱40を廃棄する際に切取枠線422に沿って個人情報表示領域421を蓋部42から切り離す。これにより、個人情報の流出を防止できる。
【0032】
図5に示す封筒50は、1枚の片面段ボール紙製のブランクシートを折り畳んで構成されており、扁平な袋状部51と、該袋状部51の開口部に延設された蓋部52とを備える。袋状部51の一方の面(おもて面)には送り先の名前、住所、電話番号等の送り先情報が印刷又は記入される個人情報表示領域511が形成され、他方の面(うら面)には送り主の名前、住所、電話番号等が印刷又は記入される個人情報表示領域512が形成されている。個人情報表示領域511、512は、それぞれミシン目513、514によって囲まれている。
【0033】
このような構成の封筒50においては、袋状部51に物品を入れる前、あるいは物品を入れた後で個人情報表示領域511、512に送り先情報、送り主情報等がそれぞれ印刷又は記入される。また、物品が入った封筒50の受取人は、封筒50から物品を取り出した後、該封筒50を廃棄する際にミシン目513に沿って個人情報表示領域511を、ミシン目514に沿って個人情報表示領域512をそれぞれ袋状部51から切り離す。これにより、個人情報の流出を防止できる。
【0034】
[態様]
上述した例示的な実施形態が以下の態様の具体例であることは、当業者には明らかである。
【0035】
(第1項)本発明の一態様に係る梱包資材は、1枚の波板と、一方の面が前記波板の一方の面の山部の頂部に貼り付けられ、他方の面に個人情報表示領域が形成された1枚の平板とを備えた梱包資材であって、
前記平板に、前記個人情報表示領域を取り囲むミシン目又は該平板を切断しない深さの切れ目から成る切取枠線が形成されているものである。
【0036】
(第2項)第2項に係る梱包資材は、第1項に係る梱包資材において、さらに、
前記波板の他方の面に貼り付けられた平板を備えるものである。
【0037】
(第3項)第3項に係る梱包資材は、第1項又は第2項に係る梱包資材において、
前記波板に対する前記平板の貼付力が弱い第1領域と、該第1領域の外周に位置する領域であって、前記第1領域よりも前記貼付力が強い第2領域とを含み、
前記第1領域に、前記個人情報領域及び前記切取枠線が形成されているものである。
【0038】
(第4項)第4項に係る梱包資材は、第3項に係る梱包資材において、
前記第1領域に対応する前記平板の一方の面に、非接着処理が施されているものである。
【0039】
(第5項)第5項に係る梱包資材は、第3項に係る梱包資材において、
前記第2領域に対応する前記波板の一方の面の山部に接着剤が塗布され、前記第1領域に対応する前記波板の一方の面の山部に接着剤が塗布されていないものである。
【符号の説明】
【0040】
1…箱
10…箱本体
20…蓋
201…波板
202、203…平板
21…閉塞部
22…フラップ部
23…個人情報表示領域
231…切取枠線
31…弱接着領域
32…強接着領域
40…箱
41…箱本体
42…蓋部
421…個人情報表示領域
422…切取枠線
50…封筒
51…袋状部
511、512…個人情報表示領域
513、514…ミシン目
52…蓋部
図1
図2
図3
図4
図5