(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150355
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】高周波モジュール及び通信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 1/38 20150101AFI20241016BHJP
H04B 1/00 20060101ALI20241016BHJP
H03H 7/46 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H04B1/38
H04B1/00 260
H03H7/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063749
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 昌志
【テーマコード(参考)】
5K011
【Fターム(参考)】
5K011DA01
5K011DA27
5K011EA06
5K011JA01
5K011KA01
5K011KA18
(57)【要約】
【課題】通信損失の抑制と小型化とを両立できる高周波モジュールを提供する。
【解決手段】高周波モジュール1は、スイッチ回路6、第1アンテナ端子5a、第2アンテナ端子5b、整合回路8、第1フィルタ9及び第2フィルタ10を備える。スイッチ回路6は、第1~第4端子6a~6dを有する。第1アンテナ端子5aは、第1信号経路K1を介して第1端子6aに接続される。第2アンテナ端子5bは、第2信号経路K2を介して第2端子6bに接続される。整合回路8は、第1信号経路K1と第2信号経路K2との間に接続される。第1フィルタ9は、第3端子6cに接続される。第2フィルタ10は、第4端子6dに接続される。第1端子6a及び第2端子6bのうちの一方の端子が第3端子6c又は第4端子6dに接続される場合、第1端子6a及び第2端子6bのうちの他方の端子は、グランドに接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子、第2端子、第3端子及び第4端子を有するスイッチ回路と、
第1信号経路を介して前記第1端子に接続される第1アンテナ端子と、
第2信号経路を介して前記第2端子に接続される第2アンテナ端子と、
前記第1信号経路と前記第2信号経路との間に接続される整合回路と、
前記第3端子に接続され、前記第1信号経路及び前記第2信号経路のうちの一方の経路と接続可能に構成される第1フィルタと、
前記第4端子に接続され、前記第1信号経路及び前記第2信号経路のうちの他方の経路と接続可能に構成される第2フィルタと、を備え、
前記第1端子及び前記第2端子はそれぞれ、前記第3端子、前記第4端子及びグランドと選択的に接続可能に構成され、
前記第1端子及び前記第2端子のうちの一方の端子が前記第3端子又は前記第4端子に接続される場合、前記第1端子及び前記第2端子のうちの他方の端子は、前記グランドに接続される、
高周波モジュール。
【請求項2】
第1端子、第2端子、第3端子及び第4端子を有するスイッチ回路と、
第1信号経路を介して前記第1端子に接続される第1増幅回路と、
第2信号経路を介して前記第2端子に接続される第2増幅回路と、
前記第1信号経路と前記第2信号経路との間に接続される整合回路と、
前記第3端子に接続され、前記第1信号経路及び前記第2信号経路のうちの一方の経路と接続可能に構成される第1フィルタと、
前記第4端子に接続され、前記第1信号経路及び前記第2信号経路のうちの他方の経路と接続可能に構成される第2フィルタと、を備え、
前記第1端子及び前記第2端子はそれぞれ、前記第3端子、前記第4端子及びグランドと選択的に接続可能に構成され、
前記第1端子及び前記第2端子のうちの一方の端子が前記第3端子又は前記第4端子に接続される場合、前記第1端子及び前記第2端子のうちの他方の端子は、前記グランドに接続される、
高周波モジュール。
【請求項3】
実装基板を更に備え、
前記スイッチ回路は、前記第1端子と接続及び非接続の切り替えが可能に接続されるグランド端子を更に有し、
前記整合回路は、前記実装基板の厚さ方向からの平面視で、前記第1アンテナ端子又は前記スイッチ回路と重なり、
前記グランド端子は、前記第1端子と隣接している、
請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項4】
実装基板を更に備え、
前記整合回路は、前記実装基板の厚さ方向からの平面視で、前記スイッチ回路と隣接している、
請求項1に記載の高周波モジュール。
【請求項5】
前記第1端子及び前記第2端子は、前記実装基板の厚さ方向からの平面視で、前記スイッチ回路の内部における前記整合回路の側に配置されている、
請求項4に記載の高周波モジュール。
【請求項6】
前記整合回路は、前記第1信号経路と前記第2信号経路との間に接続されるインダクタを含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項7】
前記整合回路は、前記第1信号経路と前記第2信号経路との間に接続されるキャパシタを含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項8】
前記整合回路は、前記第1信号経路と前記第2信号経路との間に接続されており、互いに並列に接続されるインダクタ及びキャパシタを含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項9】
前記整合回路は、前記第1信号経路と前記第2信号経路との間に接続されており、互いに直列に接続されるインダクタ及びキャパシタを含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項10】
前記整合回路は、前記第1信号経路と前記グランドとの間に接続されるキャパシタを更に備える、
請求項6に記載の高周波モジュール。
【請求項11】
前記整合回路は、前記第1信号経路に直列に接続されるインダクタを更に備える、
請求項6に記載の高周波モジュール。
【請求項12】
前記整合回路は、前記実装基板においてパターンで形成されるインダクタを含む、
請求項3~5のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項13】
前記第3端子及び前記第4端子はそれぞれ、前記第1端子、前記第2端子及び前記グランドと選択的に接続可能に構成され、
前記第3端子及び前記第4端子のうちの一方の端子が前記第1端子又は前記第2端子に接続される場合、前記第3端子及び前記第4端子のうちの他方の端子は、前記グランドに接続される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項14】
前記スイッチ回路は、
前記第1端子及び前記第2端子と接続及び非接続が切り替え可能に接続される第1グランド端子と、
前記第3端子及び前記第4端子と接続及び非接続が切り替え可能に接続される第2グランド端子と、
前記第1端子、前記第2端子、前記第1グランド端子及び前記第2グランド端子が配置された基板と、を更に有し、
前記基板の厚さ方向からの平面視で、
前記第1端子と前記第1グランド端子との距離を第1距離とし、
前記第1端子と前記第2グランド端子との距離を第2距離とし、
前記第1距離は、前記第2距離よりも短い、
請求項1~5のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項15】
前記スイッチ回路は、
前記第1端子及び前記第2端子と接続及び非接続が切り替え可能に接続される第1グランド端子と、
前記第3端子及び前記第4端子と接続及び非接続が切り替え可能に接続される第2グランド端子と、
前記第1端子、前記第2端子、前記第1グランド端子及び前記第2グランド端子が配置された基板と、を更に有し、
前記基板の厚さ方向からの平面視で、
前記第1端子と前記第1グランド端子との距離を第1距離とし、
前記第1端子と前記第2グランド端子との距離を第2距離とし、
前記第2端子と前記第1グランド端子との距離を第3距離とし、
前記第2端子と前記第2グランド端子との距離を第4距離とし、
前記第1距離と前記第3距離との和は、前記第2距離と前記第4距離との和よりも短い、
請求項1~5のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項16】
前記スイッチ回路は、
前記第1端子及び前記第2端子と接続及び非接続が切り替え可能に接続される第1グランド端子と、
前記第3端子及び前記第4端子と接続及び非接続が切り替え可能に接続される第2グランド端子と、
前記第1端子、前記第2端子、前記第1グランド端子及び前記第2グランド端子が配置された基板と、を更に有し、
前記基板の厚さ方向からの平面視で、
前記第1端子と前記第1グランド端子との直線距離を第1距離とし、
前記第1端子と前記第2グランド端子との直線距離を第2距離とし、
前記第2端子と前記第1グランド端子との直線距離を第3距離とし、
前記第2端子と前記第2グランド端子との直線距離を第4距離とし、
前記第1距離及び前記第3距離はそれぞれ、前記第2距離及び前記第4距離よりも短い、
請求項1~5のいずれか1項に記載の高周波モジュール。
【請求項17】
請求項1~5のいずれか1項に記載の高周波モジュールと、
前記高周波モジュールに接続されており、高周波信号を信号処理する信号処理回路と、を備える、
通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波モジュール及び通信装置に関し、より詳細には、スイッチ回路及び整合回路を備える高周波モジュール及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のスイッチモジュールは、第1のアンテナ電極と、第2のアンテナ電極と、第1のスイッチICと、整合回路と、第2のスイッチICと、第1のフィルタと、第2のフィルタと、を備える。第1のスイッチICは、第1のアンテナ電極に接続された第1のアンテナ端子と、第2のアンテナ電極に接続された第2のアンテナ端子と、整合回路に接続された第1の共通端子と、を有する。第2のスイッチICは、整合回路に接続された第2の共通端子と、第1のフィルタに接続された第1の信号電極と、第2のフィルタに接続された第2の信号電極と、を備える。
【0003】
このスイッチモジュールでは、第1のアンテナ電極が使用される場合は、例えば、第1のスイッチICにおいて、第1の共通端子は、第1のアンテナ端子に接続され、第2のスイッチICにおいて、第2の共通端子は、第1の信号電極又は第2の信号電極に接続される。また、第2のアンテナ電極が使用される場合は、例えば、第1のスイッチICにおいて、第1の共通端子は、第2のアンテナ端子に接続され、第2のスイッチICにおいて、第2の共通端子は、第1の信号電極又は第2の信号電極に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のスイッチモジュールでは、2つのスイッチIC(第1のスイッチIC及び第2のスイッチIC)を備えるため、スイッチモジュールの小型化が難しいという問題がある。また、上述のように2つのスイッチICを備えるため、スイッチICの全体にわたる通過損失(例えば受信感度の劣化及び送信電力の低下)が大きくなるという問題がある。また、通過損失を抑制して整合回路を小型化することが難しいという問題もある。
【0006】
本発明は、上記の問題を鑑みて、通過損失の抑制と小型化とを両立できる高周波モジュール及び通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る高周波モジュールは、スイッチ回路と、第1アンテナ端子と、第2アンテナ端子と、整合回路と、第1フィルタと、第2フィルタと、を備える。前記スイッチ回路は、第1端子、第2端子、第3端子及び第4端子を有する。前記第1アンテナ端子は、第1信号経路を介して前記第1端子に接続される。前記第2アンテナ端子は、第2信号経路を介して前記第2端子に接続される。前記整合回路は、前記第1信号経路と前記第2信号経路との間に接続される。前記第1フィルタは、前記第3端子に接続され、前記第1信号経路及び前記第2信号経路のうちの一方の経路と接続可能に構成される。前記第2フィルタは、前記第4端子に接続され、前記第1信号経路及び前記第2信号経路のうちの他方の経路と接続可能に構成される。前記第1端子及び前記第2端子はそれぞれ、前記第3端子、前記第4端子及びグランドと選択的に接続可能に構成される。前記第1端子及び前記第2端子のうちの一方の端子が前記第3端子又は前記第4端子に接続される場合、前記第1端子及び前記第2端子のうちの他方の端子は、前記グランドに接続される。
【0008】
本発明の一態様に係る高周波モジュールは、スイッチ回路と、第1増幅回路と、第2増幅回路と、整合回路と、第1フィルタと、第2フィルタと、を備える。前記スイッチ回路は、第1端子、第2端子、第3端子及び第4端子を有する。前記第1増幅回路は、第1信号経路を介して前記第1端子に接続される。前記第2増幅回路は、第2信号経路を介して前記第2端子に接続される。前記整合回路は、前記第1信号経路と前記第2信号経路との間に接続される。前記第1フィルタは、前記第3端子に接続され、前記第1信号経路及び前記第2信号経路のうちの一方の経路と接続可能に構成される。前記第2フィルタは、前記第4端子に接続され、前記第1信号経路及び前記第2信号経路のうちの他方の経路と接続可能に構成される。前記第1端子及び前記第2端子はそれぞれ、前記第3端子、前記第4端子及びグランドと選択的に接続可能に構成される。前記第1端子及び前記第2端子のうちの一方の端子が前記第3端子又は前記第4端子に接続される場合、前記第1端子及び前記第2端子のうちの他方の端子は、前記グランドに接続される。
【0009】
本発明の一態様に係る通信装置は、前記高周波モジュールと、信号処理回路と、を備える。前記信号処理回路は、前記高周波モジュールに接続されており、高周波信号を信号処理する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る高周波モジュール及び通信装置によれば、通過損失の抑制と小型化とを両立できる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る高周波モジュール及び通信装置の構成図である。
【
図2】
図2は、同上の高周波モジュールが備えるスイッチ回路の構成図である。
【
図3】
図3Aは、同上の高周波モジュールにおいて第1アンテナ端子が使用される場合の動作を説明するための構成図である。
図3Bは、同上の高周波モジュールにおいて第1アンテナ端子が使用される場合の整合回路の等価回路を示す構成図である。
【
図4】
図4Aは、同上の高周波モジュールにおいて第2アンテナ端子が使用される場合の動作を説明するための構成図である。
図4Bは、同上の高周波モジュールにおいて第2アンテナ端子が使用される場合の整合回路の等価回路を示す構成図である。
【
図5】
図5は、変形例1における整合回路の対称な回路の具体例を示す構成図である。
【
図6】
図6は、変形例1における整合回路の対称な回路の他の具体例を示す構成図である。
【
図7】
図7は、変形例1における整合回路の対称な回路の他の具体例を示す構成図である。
【
図8】
図8は、変形例1における整合回路の対称な回路の他の具体例を示す構成図である。
【
図9】
図9Aは、変形例2における整合回路の非対称な回路の具体例を示す構成図である。
図9Bは、同上の整合回路における第1アンテナ端子が使用される場合の等価回路を示す構成図である。
図9Cは、同上の整合回路における第2アンテナ端子が使用される場合の等価回路を示す構成図である。
【
図10】
図10Aは、変形例2における整合回路の非対称な回路の別の具体例を示す構成図である。
図10Bは、同上の整合回路における第1アンテナ端子が使用される場合の等価回路を示す構成図である。
図10Cは、同上の整合回路における第2アンテナ端子が使用される場合の等価回路を示す構成図である。
【
図11】
図11は、変形例4に係る高周波モジュールの要部の配置関係を説明する説明図であって、Aは、同上の高周波モジュールの平面図であり、Bは、同上の高周波モジュールの断面図である。
【
図12】
図12は、変形例5に係る高周波モジュールの要部の配置関係を説明する説明図であって、Aは、同上の高周波モジュールの平面図であり、Bは、同上の高周波モジュールの断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態2に係る高周波モジュール及び通信装置の構成図である。
【
図14】
図14は、同上の高周波モジュールが備えるスイッチ回路の構成図である。
【
図15】
図15は、同上のスイッチ回路の端子の配置関係を説明する平面図である。
【
図16】
図16は、実施形態3に係る高周波モジュールの要部の構成図である。
【
図17】
図17は、実施形態3の変形例1に係る高周波モジュールの要部の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、実施形態1に係る高周波モジュールを備える通信装置100について、図面を参照して詳しく説明する。
【0013】
(1)概要
図1に示すように、実施形態1に係る高周波モジュール1は、スイッチ回路6と、第1アンテナ端子5aと、第2アンテナ端子5bと、整合回路8と、第1フィルタ9と、第2フィルタ10と、を備える。スイッチ回路6は、第1端子6a、第2端子6b、第3端子6c及び第4端子6dを有する。第1アンテナ端子5aは、第1信号経路K1を介して第1端子6aに接続されている。第2アンテナ端子5bは、第2信号経路K2を介して第2端子6bに接続されている。整合回路8は、第1信号経路K1と第2信号経路K2との間に接続されている。第1フィルタ9は、第3端子6cに接続され、第1信号経路K1及び第2信号経路K2のうちの一方の経路と接続可能に構成されている。第2フィルタ10は、第4端子6dに接続され、第1信号経路K1及び第2信号経路K2のうちの他方の経路と接続可能に構成されている。第1端子6a及び第2端子6bはそれぞれ、第3端子6c、第4端子6d及びグランドと選択的に接続可能に構成されている。第1端子6a及び第2端子6bのうちの一方の端子が第3端子6c又は第4端子6dに接続される場合、第1端子6a及び第2端子6bのうちの他方の端子は、グランドに接続される。
【0014】
この構成によれば、整合回路8のフィルタ9,10側にはスイッチ回路6が設けられているが、整合回路8のアンテナ端子5a,5b側にはスイッチ回路が設けられていない。このため、整合回路8のアンテナ端子5a,5b側にスイッチ回路が設けられていない分、スイッチ回路の個数を抑制できる。これにより、高周波モジュール1を小型化できる。また、整合回路8を、第1アンテナ端子5aとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を取るための整合回路と、第2アンテナ端子5bとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を取るための整合回路とに兼用される。これによっても、高周波モジュール1を小型化できる。また、上述のようにスイッチ回路の個数を抑制できるため、スイッチ回路の全体にわたる通過損失を抑制できる。また、第1端子6a及び第2端子6bのうちの一方の端子(使用端子)が第3端子6c又は第4端子6dに接続される場合、第1端子6a及び第2端子6bのうちの他方の端子(不使用端子)は、グランドに接続される。したがって、不使用端子から、使用する信号経路に不要な信号が回り込むことを抑制できる。この結果、使用する信号経路における通信損失の劣化(例えば受信感度の劣化及び送信電力の低下)を抑制できる。以上より、通信損失の抑制と小型化とを両立できる。
【0015】
(2)通信装置の構成
図1に示すように、通信装置100は、高周波モジュール1を備える通信装置である。通信装置100は、例えば携帯端末(例えばスマートフォン)であるが、これに限らず、例えばウェアラブル端末(例えばスマートウォッチ)であってもよい。高周波モジュール1は、例えば、4G(第4世代移動通信)規格及び5G(第5世代移動通信)規格に対応可能なモジュールである。4G規格は、例えば、3GPP(登録商標、Third Generation Partnership Project) LTE規格(登録商標、Long Term Evolution)である。5G規格は、例えば、5G NR(New Radio)である。
【0016】
通信装置100は、高周波モジュール1の他に、信号処理回路2と、1つ以上(例えば2つ)のアンテナ(第1アンテナ3及び第2アンテナ4)とを備える。
【0017】
高周波モジュール1は、信号処理回路2から出力された送信信号(高周波信号)を増幅して第1アンテナ3又は第2アンテナ4から送信するように構成されている。また、高周波モジュール1は、第1アンテナ3又は第2アンテナ4が受信した受信信号(高周波信号)を増幅して信号処理回路2に出力するように構成されている。高周波モジュール1は、例えば、信号処理回路2によって制御される。
【0018】
信号処理回路2は、高周波モジュール1に接続されており、高周波モジュール1に出力する送信信号を信号処理し、又は、高周波モジュール1から出力された受信信号を信号処理するように構成されている。信号処理回路2は、RF(Radio Frequency)信号処理回路21とベースバンド信号処理回路22とを含む。
【0019】
RF信号処理回路21は、例えばRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)であり、高周波信号(送信信号及び受信信号)に対して信号処理を行う。RF信号処理回路21は、高周波モジュール1から出力された受信信号をダウンコンバート等の信号処理を行ってベースバンド信号処理回路22に出力する。また、RF信号処理回路21は、ベースバンド信号処理回路22から出力された送信信号をアップコンバート等の信号処理を行って高周波モジュール1に出力する。
【0020】
ベースバンド信号処理回路22は、例えばBBIC(Baseband Integrated Circuit)である。ベースバンド信号処理回路22は、RF信号処理回路21から出力された受信信号を外部に出力する。この出力信号(受信信号)は、例えば、画像信号として画像表示のために、又は、音声信号として通話のために使用される。また、ベースバンド信号処理回路22は、外部から入力されたベースバンド信号(例えば音声信号及び画像信号)から送信信号を生成し、生成した送信信号をRF信号処理回路21に出力する。
【0021】
(3)高周波モジュールの構成
図1に示すように、高周波モジュール1は、複数の外部端子5a~5fと、スイッチ回路6と、整合回路8と、第1フィルタ9と、第2フィルタ10と、を備える。高周波モジュール1は、スイッチ回路7と、パワーアンプ11と、ローノイズアンプ12,13と、コントローラ14と、を更に備える。スイッチ回路7、パワーアンプ11、ローノイズアンプ12,13及びコントローラ14は、一例の構成であり、このような構成に限定されない。
【0022】
外部端子5aは、第1アンテナ3が接続されるアンテナ端子(第1アンテナ端子)である。外部端子5bは、第2アンテナ4が接続されるアンテナ端子(第2アンテナ端子)である。外部端子5cは、信号処理回路2の出力部に接続されており、信号処理回路2の出力部から出力された送信信号が入力される入力端子である。外部端子5d,5eは、信号処理回路2の入力部に接続されており、高周波モジュール1で処理された受信信号を信号処理回路2の入力部に出力する出力端子である。外部端子5fは、信号処理回路2の信号出力部に接続されており、コントローラ14を制御するための制御信号を信号処理回路2から入力する信号入力端子である。以後、外部端子5aを第1アンテナ端子5aと記載し、外部端子5bを第2アンテナ端子5bと記載し、外部端子5cを入力端子5cと記載し、外部端子5d,5eを出力端子5d,5eと記載し、外部端子5fを信号入力端子5fと記載する場合がある。
【0023】
スイッチ回路6は、第1アンテナ3及び第2アンテナ4の中から使用するアンテナを1つ選択し、選択したアンテナを第1フィルタ9又は第2フィルタ10に接続するためのスイッチ(アンテナスイッチ)である。高周波モジュール1では、スイッチ回路6は、第1アンテナ3及び第2アンテナ4の両方を同時に選択しないこと(すなわち第1アンテナ3及び第2アンテナ4を用いて同時通信を行わないこと)を想定している。スイッチ回路6は、コントローラ14からの制御信号によって制御される。スイッチ回路6は、例えばスイッチIC(Integrated Circuit)である。
【0024】
スイッチ回路6は、第1端子6a、第2端子6b、第3端子6c及び第4端子6dと、スイッチング素子Q1,Q2と、を有する。第1端子6a及び第2端子6bは、例えば共通端子であり、第3端子6c及び第4端子6dは、例えば選択端子である。第1端子6aは、第1信号経路K1を介して第1アンテナ端子5aに接続されている。第2端子6bは、第2信号経路K2を介して第2アンテナ端子5bに接続されている。第3端子6cは、第1フィルタ9の入出力部9aに接続されている。第4端子6dは、第2フィルタ10の入力部10aに接続されている。
【0025】
第1端子6a及び第2端子6bはそれぞれ、第3端子6c、第4端子6d及びグランドと選択的に接続可能である。第1端子6aは、スイッチング素子Q1を介してグランドに接続されており、スイッチング素子Q1のオンオフの切り替えによってグランドに選択的に接続される。第2端子6bは、スイッチング素子Q2を介してグランドに接続されており、スイッチング素子Q2のオンオフの切り替えによってグランドに選択的に接続される。高周波モジュール1では、第1端子6a及び第2端子6bのうちの一方の端子が第3端子6c又は第4端子6dに選択的に接続される場合、第1端子6a及び第2端子6bのうちの他方の端子は、グランドに選択的に接続される。
【0026】
スイッチ回路7は、パワーアンプ11及びローノイズアンプ12の中から使用するアンプを1つ選択し、選択したアンプを第1フィルタ9の入出力部9bに接続するためのスイッチである。スイッチ回路7は、コントローラ14からの制御信号によって制御される。スイッチ回路7は、例えばスイッチICである。スイッチ回路7は、共通端子7aと、複数(
図1の例では2つ)の選択端子7b,7cを有する。共通端子7aは、複数の選択端子7b,7cのうちの1つと選択的に接続される。共通端子7aは、第1フィルタ9の入出力部9bに接続されている。選択端子7bは、パワーアンプ11の出力部11bに接続されている。選択端子7cは、ローノイズアンプ12の入力部12aに接続されている。
【0027】
第1フィルタ9は、例えば、第1通信バンドの送受信帯域を通信帯域とする送受信フィルタである。実施形態1では、第1フィルタ9は、送受信フィルタであるが、送受信フィルタに限定されない。第1フィルタ9は、入出力部9a,9bを有する。入出力部9aは、スイッチ回路6の第3端子6cに接続され、第1信号経路K1及び第2信号経路K2のうちの一方の経路と接続可能に構成されている。入出力部9bは、スイッチ回路7の共通端子7aに接続されている。第1フィルタ9は、スイッチ回路7がパワーアンプ11を選択した場合は、スイッチ回路7の共通端子7aから出力されるパワーアンプ11の増幅信号(送信信号)を入出力部9bから入力する。そして、第1フィルタ9は、その入力した増幅信号を第1通信バンドの送受信帯域の信号に制限して通過させ、通過させた増幅信号を入出力部9aから出力する。また、第1フィルタ9は、スイッチ回路7がローノイズアンプ12を選択した場合は、スイッチ回路6の第3端子6cから出力される受信信号を入出力部9aから入力する。そして、第1フィルタ9は、入力した受信信号を第1通信バンドの送受信帯域の信号に制限して通過させ、通過させた受信信号を入出力部9bから出力する。
【0028】
第2フィルタ10は、例えば、第2通信バンドの受信帯域を通信帯域とする受信フィルタである。第2通信バンドは、第1通信バンドとは異なる通信バンドである。実施形態1では、第2フィルタ10は、受信フィルタであるが、受信フィルタに限定されない。第2フィルタ10は、入力部10a及び出力部10bを有する。入力部10aは、スイッチ回路6の第4端子6dに接続され、第1信号経路K1及び第2信号経路K2のうちの他方の経路と接続可能に構成されている。出力部10bは、ローノイズアンプ13の入力部13aに接続されている。第2フィルタ10は、スイッチ回路6の第4端子6dから出力される受信信号を入力部10aから入力し、その入力した受信信号を第2通信バンドの受信帯域の信号に制限して通過させ、通過させた受信信号を出力部10bから出力する。
【0029】
整合回路8は、第1信号経路K1と第2信号経路K2との間に接続されている。整合回路8は、第1アンテナ端子5aとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を取るための整合回路であり、かつ、第2アンテナ端子5bとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を取るための整合回路である。すなわち、整合回路8は、上記の2つの整合回路を兼用している。
【0030】
より詳細には、整合回路8は、整合回路8のインピーダンスによって、第1フィルタ9を使用する場合(すなわち第1通信バンドの通信帯域の信号が流れる場合)における第1アンテナ端子5a又は第2アンテナ端子5bとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を取るように構成されている。
【0031】
また、整合回路8は、整合回路8のインピーダンスによって、第2フィルタ10を使用する場合(すなわち第2通信バンドの通信帯域の信号が流れる場合)における第1アンテナ端子5a又は第2アンテナ端子5bとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を取るようにも構成されている。整合回路8のインピーダンス値だけでは、第2フィルタ10を使用する場合における第1アンテナ端子5a又は第2アンテナ端子5bとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を十分に取ることが難しい場合には、第2フィルタ10のインピーダンス値を適宜値に設定し、整合回路8のインピーダンス値と第2フィルタ10のインピーダンス値との組み合わせによって、第2フィルタ10を使用する場合における第1アンテナ端子5a又は第2アンテナ端子5bとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を取るように、整合回路8を構成してもよい。
【0032】
パワーアンプ11は、外部端子5cとスイッチ回路7の選択端子7bとの間に接続されている。パワーアンプ11は、入力部11a及び出力部11bを有する。入力部11aは、外部端子5cに接続されている。出力部11bは、スイッチ回路7の選択端子7bに接続されている。パワーアンプ11は、外部端子5cから入力部11aに入力された信号(送信信号)を増幅し、増幅した信号を出力部11bから選択端子7bに出力する。
【0033】
ローノイズアンプ12は、スイッチ回路7の選択端子7cと外部端子5eとの間に接続されている。ローノイズアンプ12は、入力部12a及び出力部12bを有する。入力部12aは、スイッチ回路7の選択端子7cに接続されている。出力部12bは、外部端子5eに接続されている。ローノイズアンプ12は、選択端子7cから入力部12aに入力された信号(受信信号)を増幅し、増幅した信号を出力部12bから外部端子5eに出力する。
【0034】
ローノイズアンプ13は、第2フィルタ10の出力部10bと外部端子5dとの間に接続されている。ローノイズアンプ13は、入力部13a及び出力部13bを有する。入力部13aは、第2フィルタ10の出力部10bに接続されている。出力部13bは、外部端子5dに接続されている。ローノイズアンプ13は、第2フィルタ10の出力部10bから入力部13aに入力された信号(受信信号)を増幅し、増幅した信号を出力部13bから外部端子5dに出力する。
【0035】
コントローラ14は、信号処理回路2からの制御信号に従って、高周波モジュール1が備える電子部品(例えば、スイッチ回路6,7、パワーアンプ11、及びローノイズアンプ12,13)を制御する。コントローラ14は、上記の電子部品と電気的に接続されている。また、コントローラ14は、外部端子5fを介して信号処理回路2の信号出力部に接続されている。コントローラ14は、信号処理回路2から外部端子5fに入力された制御信号に従って、上記の各電子部品を制御する。
【0036】
(4)スイッチ回路6の詳細な構成
図2を参照して、スイッチ回路6の詳細な構成を説明する。
【0037】
スイッチ回路6は、第1~第4端子6a~6d及びスイッチング素子Q1,Q2の他に、スイッチング素子Q3~Q6を更に備える。
【0038】
スイッチング素子Q1は、上述の通り、第1端子6aとグランドとの間に設けられており、第1端子6aとグランドとの接続及び非接続を切り替える。スイッチング素子Q2は、上述の通り、第2端子6bとグランドとの間に設けられており、第2端子6bとグランドとの接続及び非接続を切り替える。スイッチング素子Q3は、第1端子6aと第3端子6cとの間に設けられており、第1端子6aと第3端子6cとの接続及び非接続を切り替える。スイッチング素子Q4は、第2端子6bと第3端子6cとの間に設けられており、第2端子6bと第3端子6cとの接続及び非接続を切り替える。スイッチング素子Q5は、第1端子6aと第4端子6dとの間に設けられており、第1端子6aと第4端子6dとの接続及び非接続を切り替える。スイッチング素子Q6は、第2端子6bと第4端子6dとの間に設けられており、第2端子6bと第4端子6dとの接続及び非接続を切り替える。
【0039】
このスイッチ回路6において、第1端子6aが第3端子6c、第4端子6d及びグランドのうち第3端子6cに選択的に接続される場合(すなわち第1端子6a及び第2端子6bのうち第1端子6aが使用される場合)を考える。この場合、スイッチング素子Q3はオンに制御され、スイッチング素子Q1,Q5はオフ制御される。これにより、第1端子6aが第3端子6cに選択的に接続される。この場合、スイッチング素子Q2はオンに制御され、スイッチング素子Q4,Q6はオフに制御される。これにより、使用されない第2端子6bは、グランドに選択的に接続され、第3端子6c及び第4端子6dには接続されない。
【0040】
また、第1端子6aが第3端子6c、第4端子6d及びグランドのうち第4端子6dに選択的に接続される場合(すなわち第1端子6a及び第2端子6bのうち第1端子6aが使用される場合)を考える。この場合、スイッチング素子Q5はオンに制御され、スイッチング素子Q1,Q3はオフに制御される。これにより、第1端子6aが第4端子6dに選択的に接続される。この場合、スイッチング素子Q2はオンに制御され、スイッチング素子Q4,Q6はオフに制御される。これにより、使用されない第2端子6bはグランドに選択的に接続され、第3端子6c及び第4端子6dには接続されない。
【0041】
また、第2端子6bが第3端子6c、第4端子6d及びグランドのうち第3端子6cに選択的に接続される場合(すなわち第1端子6a及び第2端子6bのうち第2端子6bが使用される場合)を考える。この場合は、スイッチング素子Q4はオンに制御され、スイッチング素子Q2,Q6はオフに制御される。これにより、第2端子6bは第3端子6cに選択的に接続される。この場合、スイッチング素子Q1はオンに制御され、スイッチング素子Q3,Q5はオフに制御される。これにより、使用されない第1端子6aはグランドに選択的に接続され、第3端子6c及び第4端子6dには接続されない。
【0042】
また、第2端子6bが第3端子6c、第4端子6d及びグランドのうち第4端子6dに選択的に接続される場合(すなわち第1端子6a及び第2端子6bのうち第2端子6bが使用される場合)を考える。この場合、スイッチング素子Q6はオンに制御され、スイッチング素子Q2,Q4はオフに制御される。これにより、第2端子6bが第4端子6dに選択的に接続される。この場合、スイッチング素子Q1はオンに制御され、スイッチング素子Q3,Q5はオフに制御される。これにより、使用されない第1端子6aはグランドに選択的に接続され、第3端子6c及び第4端子6dには接続されない。
【0043】
(5)高周波モジュールの動作
図3A~
図4Bを参照して、高周波モジュール1の動作を説明する。より詳細には、スイッチ回路6の動作を中心に高周波モジュール1の動作を説明する。
【0044】
図3Aに示されるように、第1アンテナ端子5aが、第1フィルタ9及び第2フィルタ10の一方(
図3Aの例では第1フィルタ9)に接続され、かつ、第2アンテナ端子5bが、第1フィルタ9及び第2フィルタ10の両方に接続されない場合を説明する。すなわち、第1アンテナ端子5aが使用され、第2アンテナ端子5bが使用されない場合を考える。なお、この場合、スイッチ回路7は、第1フィルタ9をパワーアンプ11及びローノイズアンプ12のどちらに接続してもよい。
図3Aの例では、スイッチ回路7は、第1フィルタ9をローノイズアンプ12に接続している。
【0045】
この場合、スイッチ回路6では、第1端子6aは、第3端子6c、第4端子6d及びグランドのうち、第3端子6cに選択的に接続される。これにより、第1アンテナ端子5aは、スイッチ回路6によって第1フィルタ9に選択的に接続される。これにより、第1アンテナ3が受信した受信信号は、スイッチ回路6を介して第1フィルタ9に流れる。また、第2端子6bは、第3端子6c、第4端子6d及びグランドのうち、グランドに選択的に接続される。これにより、使用されない第2アンテナ端子5bに接続されている第2端子6bは、グランドに選択的に接続される。これにより、使用されない信号経路(第2信号経路K2)で発生した不要な信号は、第2端子6b(不使用端子)からグランドに放電される。この結果、第2端子6b(不使用端子)から、使用する信号経路(第1アンテナ端子5a、第1端子6a、第3端子6c及び第1フィルタ9を繋ぐ信号経路)に不要な信号が回り込むことが抑制される。この場合、
図3Bに示されるように、使用される第1アンテナ端子5aから整合回路8を見ると、整合回路8の一端(第1信号経路K1とは反対側の一端)は、グランドに接続されているように見える。
【0046】
また、
図4Aに示されるように、第2アンテナ端子5bが、第1フィルタ9及び第2フィルタ10の一方(
図4Aの例では第1フィルタ9)に選択的に接続され、かつ、第1アンテナ端子5aが第1フィルタ9及び第2フィルタ10の両方に接続されない場合を説明する。なお、この場合、スイッチ回路7は、第1フィルタ9をパワーアンプ11及びローノイズアンプ12のどちらに接続してもよい。
図4Aの例では、スイッチ回路7が第1フィルタ9をローノイズアンプ12に接続している。
【0047】
この場合、スイッチ回路6では、第2端子6bは、第3端子6c、第4端子6d及びグランドのうち、第3端子6cに選択的に接続される。これにより、第2アンテナ端子5bは、スイッチ回路6によって第1フィルタ9に選択的に接続される。これにより、第2アンテナ4が受信した受信信号は、スイッチ回路6を介して第1フィルタ9に流れる。また、第1端子6aは、第3端子6c、第4端子6d及びグランドのうちグランドに選択的に接続される。これにより、使用されない第1アンテナ端子5aに接続されている第1端子6aは、グランドに選択的に接続される。これにより、使用されない信号経路(第1信号経路K1)で発生した不要な信号は、第1端子6a(不使用端子)からグランドに放電される。この結果、第1端子6a(不使用端子)から、使用する信号経路(第2アンテナ端子5b、第2端子6b、第3端子6c及び第1フィルタ9を繋ぐ信号経路)に不要な信号が回り込むことが抑制される。この場合、
図4Bに示されるように、使用される第2アンテナ端子5bから整合回路8を見ると、整合回路8の一端(第2信号経路K2とは反対側の一端)は、グランドに接続されているように見える。
【0048】
このように、第1端子6a及び第2端子6bのうちの一方の端子(使用端子)が第3端子6c又は第4端子6dに接続される場合、第1端子6a及び第2端子6bのうちの他方の端子(不使用端子)は、グランドに接続される。これにより、不使用端子から使用端子側に不要な信号が回り込むことを抑制できる。この結果、使用する信号経路における通信損失の劣化(例えば受信感度の劣化及び送信電力の低下)を抑制できる。
【0049】
また、整合回路8は、第1アンテナ端子5aとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を取るための整合回路と、第2アンテナ端子5bとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を取るための整合回路との両方の整合回路を兼用する。このため、高周波モジュール1を小型化できる。
【0050】
(6)効果
以上のように、実施形態1に係る高周波モジュール1は、スイッチ回路6と、第1アンテナ端子5aと、第2アンテナ端子5bと、整合回路8と、第1フィルタ9と、第2フィルタ10と、を備える。スイッチ回路6は、第1端子6a、第2端子6b、第3端子6c及び第4端子6dを有する。第1アンテナ端子5aは、第1信号経路K1を介して第1端子6aに接続されている。第2アンテナ端子5bは、第2信号経路K2を介して第2端子6bに接続されている。整合回路8は、第1信号経路K1と第2信号経路K2との間に接続されている。第1フィルタ9は、第3端子6cに接続されている。第2フィルタ10は、第4端子6dに接続されている。第1端子6a及び第2端子6bはそれぞれ、第3端子6c、第4端子6d及びグランドと選択的に接続可能に構成されている。第1端子6a及び第2端子6bのうちの一方の端子が第3端子6c又は第4端子6dに接続される場合、第1端子6a及び第2端子6bのうちの他方の端子は、グランドに接続される。
【0051】
この構成によれば、整合回路8のフィルタ9,10側にはスイッチ回路6が設けられているが、整合回路8のアンテナ端子5a,5b側にはスイッチ回路が設けられていない。このため、整合回路8のアンテナ端子5a,5b側にスイッチ回路が設けられていない分、スイッチ回路の個数を抑制できる。これにより、高周波モジュール1を小型化できる。また、整合回路8を、第1アンテナ端子5aとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を取るための整合回路と、第2アンテナ端子5bとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を取るための整合回路とに兼用される。これによっても、高周波モジュール1を小型化できる。
【0052】
また、上述のようにスイッチ回路の個数を抑制できるため、スイッチ回路の全体にわたる通過損失を抑制できる。また、第1端子6a及び第2端子6bのうちの一方の端子(使用端子)が第3端子6c又は第4端子6dに接続される場合、第1端子6a及び第2端子6bのうちの他方の端子(不使用端子)は、グランドに接続される。したがって、不使用端子から、使用する信号経路に不要な信号が回り込むことを抑制できる。この結果、使用する信号経路における通信損失の劣化(例えば受信感度の劣化及び送信電力の低下)を抑制できる。
【0053】
以上より、通信損失の抑制と小型化とを両立できる。
【0054】
また、実施形態1に係る通信装置100は、高周波モジュール1と、信号処理回路2とを備える。信号処理回路2は、高周波モジュール1に接続されており、高周波信号を信号処理する。この構成によれば、高周波モジュール1の効果を奏する通信装置100を提供できる。
【0055】
(7)変形例
以下、実施形態1の変形例について説明する。
【0056】
(7-1)変形例1
変形例1では、整合回路8の回路構成の具体例(
図5~
図8)を例示する。
図5~
図8に示す整合回路8は、対称な回路である。
【0057】
なお、上記「対称な回路」とは、整合回路8の第1等価回路と第2等価回路とが同じであることである。上記第1等価回路とは、スイッチ回路6において第1端子6aが第3端子6c又は第4端子6dに選択的に接続され(すなわち第1アンテナ端子5aが使用され)かつ第2端子6bがグランドに選択的に接続される(すなわち第2アンテナ端子5bが使用されない)場合の整合回路8の等価回路である。上記第2等価回路とは、スイッチ回路6において第1端子6aがグランドに選択的に接続され(すなわち第1アンテナ端子5aが使用されず)かつ第2端子6bが第3端子6c又は第4端子6dに選択的に接続される(すなわち第2アンテナ端子5bが使用される)場合の整合回路8の等価回路である。
【0058】
図5に示す整合回路8は、第1信号経路K1と第2信号経路K2との間に接続されたインダクタL1を含む。この場合の整合回路8は、ハイパス型の整合回路を構成する。この場合、整合回路8の第1等価回路は、インダクタL1が第1信号経路K1とグランドとの間に接続された回路構成である。第2等価回路は、インダクタL1が第2信号経路K2とグランドとの間に接続された回路構成である。よって、第1等価回路と第2等価回路は同じである。
【0059】
図6に示す整合回路8は、第1信号経路K1と第2信号経路K2との間に接続されたキャパシタC1を含む。この場合の整合回路8は、ローパス型の整合回路を構成する。この場合も、整合回路8の第1等価回路と第2等価回路は同じである。
【0060】
図7に示す整合回路8は、第1信号経路K1と第2信号経路K2との間に接続されており、互いに並列に接続されたインダクタL2及びキャパシタC2を含む。すなわち、第1信号経路K1と第2信号経路K2との間に、インダクタL2及びキャパシタC2の並列回路が接続される。この場合の整合回路8は、バンドパス型の整合回路を構成する。この場合も、整合回路8の第1等価回路と第2等価回路は同じである。
【0061】
図8に示す整合回路8は、第1信号経路K1と第2信号経路K2との間に接続されており、互いに直列に接続されたインダクタL3及びキャパシタC3を含む。すなわち、第1信号経路K1と第2信号経路K2との間に、インダクタL2及びキャパシタC2の直列回路が接続される。この場合の整合回路8は、バンドエリミネーション型の整合回路を構成する。この場合も、整合回路8の第1等価回路と第2等価回路は同じである。
【0062】
(7-2)変形例2
変形例2では、整合回路8が非対称な回路である場合の整合回路8の回路構成の具体例(
図9A~
図10C)を例示する。なお、上記「非対称な回路」とは、整合回路8の第1等価回路と第2等価回路とが異なることである。上記第1等価回路及び上記第2等価回路の定義は、上記変形例1の場合と同じである。
【0063】
図9Aに示す整合回路8は、第1信号経路K1と第2信号経路K2との間に接続されたインダクタL1と、第1信号経路K1とグランドとの間に接続されたキャパシタC4と、を含む。
【0064】
この場合、
図9Bに示すように、整合回路8の第1等価回路では、キャパシタC4及びインダクタL1はそれぞれ、第1信号経路K1とグランドとの間に接続される。この場合、整合回路8の第1等価回路は、バンドパス型の整合回路になる。
図9Bの例では、第1端子6aが第3端子6cに選択的に接続される場合が図示されている。
【0065】
他方、
図9Cに示すように、整合回路8の第2等価回路では、インダクタL1は、第2信号経路K2とグランドとの間に接続され、キャパシタC4は、その両端がグランドに接続されて実質的に整合回路8の構成から無くなる。この場合、整合回路8の第2等価回路は、ハイパス型の整合回路になる。
図9Cの例では、第2端子6bが第4端子6dに選択的に接続される場合が図示されている。
【0066】
なお、
図9Aに示す整合回路8は、
図5に示す整合回路8にキャパシタC4を追加した構成を有するが、
図5に示す整合回路8の代わりに他の回路(例えば
図6、
図7又は
図8に示す整合回路8)に、キャパシタC4を追加した構成であってもよい。
【0067】
図10Aに示す整合回路8は、第1信号経路K1と第2信号経路K2との間に接続されたインダクタL1と、第1信号経路K1における第1アンテナ端子5aとインダクタL1との間の部分に直列に接続されたインダクタL4と、を含む。
【0068】
この場合、
図10Bに示すように、整合回路8の第1等価回路では、インダクタL4は、第1信号経路K1に直列に接続され、インダクタL1は、第1信号経路K1とグランドとの間に接続されている。
【0069】
他方、
図10Cに示すように、整合回路8の第2等価回路では、インダクタL1は、第2信号経路K2とグランドとの間に接続され、インダクタL4は、実質的に整合回路8の構成から無くなる。この場合、整合回路8の第2等価回路は、ハイパス型の整合回路になる。
【0070】
なお、
図10Aに示す整合回路8は、
図5に示す整合回路8にインダクタL4を追加した構成を有するが、
図5に示す整合回路8の代わりに他の回路(例えば
図6、
図7又は
図8に示す整合回路8)に、インダクタL4を追加した構成であってもよい。
【0071】
このように、変形例2の整合回路8は、スイッチング素子を用いずに、第1等価回路と第2等価回路との切り替えが可能である。このため、変形例2の整合回路8は、Q値を低下させずに、第1等価回路と第2等価回路とを切り替えることができる。
【0072】
また、第1アンテナ端子5aを選択する場合と、第2アンテナ端子5bを選択する場合とで、整合回路8の等価回路を第1等価回路と第2等価回路に切り替えることができる。これにより、第1アンテナ端子5aを選択する場合と、第2アンテナ端子5bを選択する場合とで、使用するフィルタ(第1フィルタ9又は第2フィルタ10)を異ならせても、整合回路8のインピーダンス値だけで、第1アンテナ端子5aとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合、及び、第2アンテナ端子5bとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を取ることができる。つまり、第1アンテナ端子5a及び第2アンテナ端子5bとでインピーダンスが異なる場合でも、整合回路8によって、第1アンテナ端子5a及び第2アンテナ端子5bとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を取ることができる。
【0073】
(7-3)変形例3
実施形態1において、整合回路8は、実装基板に形成されたインダクタを含んでもよい。この場合、上記インダクタは、高周波モジュール1が備える複数の電子部品が実装される実装基板においてパターンで形成されてもよい。上記複数の電子部品は、スイッチ回路6,7、整合回路8、第1フィルタ9、第2フィルタ10、パワーアンプ11、ローノイズアンプ12,13、及び、コントローラ14を含む。例えば、上記インダクタは、上記実装基板に設けられた電路によってパターン形成されてもよい。変形例3によれば、上記インダクタを表面実装部品として構成する場合と比べて、高周波モジュール1を小型化できる。
【0074】
(7-4)変形例4
変形例4では、実施形態1の高周波モジュール1の要部(第1アンテナ端子5a、第2アンテナ端子5b、整合回路8及びスイッチ回路6)の配置関係を例示する。
【0075】
(7-4-1)構成説明
図11のA及びBに示すように、変形例4では、高周波モジュール1は、実施形態1の高周波モジュール1において、実装基板20と、樹脂層26と、シールド層27とを更に備える。変形例4では、高周波モジュール1は、スイッチ回路6を含むIC(Integrated Circuit)チップ23を更に備える。
【0076】
実装基板20は、高周波モジュール1が備える複数の電子部品が実装される基板であり、例えば矩形の板状である。上記複数の電子部品は、実施形態1で説明したスイッチ回路6(ICチップ23)、スイッチ回路7、整合回路8、第1フィルタ9、第2フィルタ10、パワーアンプ11、ローノイズアンプ12,13、及び、コントローラ14を含む。
図11の例では、上記複数の電子部品のうち、整合回路8及びICチップ23のみが図示されており、他の電子部品は図示省略されている。
【0077】
実装基板20は、複数の誘電体層及び複数の導電層を含む複数の層を有する基板(多層基板)である。複数の誘電体層及び複数の導電層は、実装基板20の厚さ方向D1において積層されている。複数の導電層は、層ごとに定められた所定パターンに形成されている。複数の導電層は、グランド電位に接続されたグランド層20mを含む。グランド層20mは、実装基板20の外周面の少なくとも一部でシールド層27と接続されている。
【0078】
実装基板20は、実装基板20の厚さ方向D1において互いに対向する第1主面20s及び第2主面20tを有する。実装基板20の第1主面20sには、複数のパッド20a~20eが設けられている。複数のパッド20a~20eは、実装基板20内のビア電極を介して上記導電層に接続されている。
【0079】
実装基板20の第1主面20sには、上記複数の電子部品、樹脂層26、及び、シールド層27が設けられている。つまり、変形例4では、実装基板20は、実装基板20の片面に上記複数の電子部品が実装される片面実装基板である。より詳細には、上記複数の電子部品は、実装基板20の第1主面20sに配置(実装)されている。上述の通り、
図11の例では、上記複数の電子部品のうち、整合回路8及びICチップ23のみが図示されている。
【0080】
ICチップ23は、実装基板20の第1主面20sの所定位置に配置されている。ICチップ23は、例えば平面視矩形の板状である。ICチップ23は、チップ本体231と、複数の外部端子232と、を有する。チップ本体231は、例えば平面視矩形の板状である。チップ本体231は、スイッチ回路6を構成するスイッチング素子Q1~Q6(
図2参照)を含む。複数の外部端子232は、チップ本体231における実装基板20との対向面231sに配置されている。複数の外部端子232は、実装基板20の第1主面20sに設けられた複数のパッド20a~20eとはんだ24を介して接続されている。
【0081】
複数の外部端子232は、外部端子232a~232dを含む。
【0082】
外部端子232aは、スイッチ回路6の第1端子6aを構成する。外部端子232aは、実装基板20のパッド20aとはんだ24を介して接続されている。パッド20aは、第1信号経路K1を介して第1アンテナ端子5aに接続されている。第1信号経路K1は、実装基板20の導電層及びビア電極によって形成されている。
【0083】
外部端子232bは、スイッチ回路6の第2端子6bを構成する。外部端子232bは、実装基板20のパッド20bとはんだ24を介して接続されている。パッド20bは、第2信号経路K2を介して第2アンテナ端子5bに接続されている。第2信号経路K2は、実装基板20の導電層及びビア電極によって形成されている。
【0084】
外部端子232cは、外部端子232aを実装基板20のグランド層20mに接続するためのグランド端子である。外部端子232cは、チップ本体231内のスイッチング素子Q1(
図1参照)を介して外部端子232a(第1端子6a)と接続されている。これにより、外部端子232cは、外部端子232aと接続及び非接続が切り替え可能に接続されている。外部端子232cは、実装基板20の第1主面20sに設けられたパッド20cとはんだ24を介して接続されている。パッド20cは、実装基板20内のビア電極及び導電層を介してグランド層20mに接続されている。すなわち、外部端子232cは、グランド層20mを介してグランドに接続されている。
【0085】
外部端子232dは、外部端子232bを実装基板20のグランド層20mに接続するためのグランド端子である。外部端子232dは、チップ本体231内のスイッチング素子Q2(
図1参照)を介して外部端子232b(第2端子6b)と接続されている。これにより、外部端子232dは、外部端子232bと接続及び非接続が切り替え可能に接続されている。外部端子232dは、実装基板20の第1主面20sに設けられたパッド20dとはんだ24を介して接続されている。パッド20dは、実装基板20内のビア電極及び導電層を介してグランド層20mに接続されている。すなわち、外部端子232dは、グランド層20mを介してグランドに接続されている。
【0086】
なお、外部端子232c,232dを外部端子232a,232bごとに設ける場合を例示するが、外部端子232c,232dを外部端子232a,232bとの間で共通化してもよい。
【0087】
整合回路8は、実装基板20の第1主面20sの所定位置に配置(実装)されている。整合回路8は、例えば平面視矩形の板状である。整合回路8は、実装基板20内のビア電極及び導電層を介して第1信号経路K1及び第2信号経路K2と電気的に接続されている。
【0088】
樹脂層26は、上記複数の電子部品を覆うように、実装基板20の第1主面20sに設けられている。樹脂層26は、樹脂で形成された層であり、樹脂の他にフィラーを含んでいてもよい。
【0089】
シールド層27は、例えば金属で形成されている。シールド層27は、樹脂層26の表面と実装基板20の外周面とを覆うように設けられている。シールド層27は、実装基板20の外周面の少なくとも一部でグランド層20mと接続されている。これにより、シールド層27は、グランド層20mを介してグランド電位に接続されている。
【0090】
実装基板20の第2主面20tには、実施形態1で説明した複数の外部端子5a~5f(
図1参照)が配置されている。変形例4では、複数の外部端子5a~5fは、例えば平面視円形の平板状である。
図11の例では、複数の外部端子5a~5fのうち外部端子5a,5bのみが図示されており、他の外部端子5c~5fは図示省略されている。ここで、実施形態1で説明した通り、外部端子5aは第1アンテナ端子5aであり、外部端子5bは第2アンテナ端子5bである。第1アンテナ端子5aは、実装基板20に設けられた第1信号経路K1及びパッド20aを介してICチップ23の外部端子232aに接続されている。第2アンテナ端子5bは、実装基板20に設けられた第2信号経路K2及びパッド20bを介してICチップ23の外部端子232bに接続されている。
【0091】
(7-4-2)高周波モジュールの要部の配置関係の説明
図11のA及びBを参照して、高周波モジュール1の要部(第1アンテナ端子5a、第2アンテナ端子5b、整合回路8及びスイッチ回路6)の配置関係を説明する。
【0092】
変形例4では、整合回路8は、実装基板20の第1主面20sにおいて、ICチップ23(すなわちスイッチ回路6)と隣接するように配置されている。これにより、整合回路8とICチップ23との間の信号経路を短くすることができる。ここで、「整合回路8がICチップ23と隣接する」とは、整合回路8とICチップ23との間に他の電子部品が配置されていないことである。
【0093】
また、第1アンテナ端子5a及び第2アンテナ端子5bは、実装基板20の厚さ方向D1からの平面視で、整合回路8と重なるように、実装基板20の第2主面20tに配置されている。これにより、第1アンテナ端子5a及び第2アンテナ端子5bと整合回路8との間の信号経路を短くできる。ここで、「第1アンテナ端子5a及び第2アンテナ端子5bが整合回路8と重なる」とは、第1アンテナ端子5a及び第2アンテナ端子5bの各々の少なくとも一部が整合回路8と重なることである。
【0094】
また、スイッチ回路6は、ICチップ23の内部において、例えば、整合回路8の側に配置されている。なお、「スイッチ回路6がICチップ23の内部における整合回路8の側に配置される」とは、スイッチ回路6の平面視の中心がICチップ23の平面視の中心よりも整合回路8の側に配置することである。より詳細には、スイッチ回路6は、ICチップ23の内部において、例えば、ICチップ23の側面(より詳細には整合回路8と隣接する側面)の付近に配置されている。これにより、スイッチ回路6と整合回路8との間の信号経路を短くできる。
【0095】
また、外部端子232a,232bは、実装基板20の厚さ方向D1からの平面視で、スイッチ回路6と重なるように配置されている。また、外部端子232cは、外部端子232a(すなわち上述のようにICチップ23内でスイッチング素子Q1を介して外部端子232cと接続される外部端子)と隣接するように配置されている。外部端子232dは、外部端子232b(すなわち上述のようにICチップ23内でスイッチング素子Q2を介して外部端子232dと接続される外部端子)と隣接するように配置されている。これらにより、外部端子232a,232cの間の信号経路、及び、外部端子232b,232dの間の信号経路を短くできる。ここで、「外部端子(例えば232c)が外部端子(例えば232a)と隣接する」とは、外部端子(例えば232c)と外部端子(例えば232a)との間に他の外部端子232が配置されていないことである。
【0096】
このような配置関係により、第1アンテナ端子(外部端子)5a、第1端子(外部端子)6a、グランド端子(外部端子)232c及びグランド層20mに到る信号経路を短くできる。同様に、第2アンテナ端子(外部端子)5b、第2端子(外部端子)6b、グランド端子(外部端子)232d及びグランド層20mに到る信号経路を短くできる。これにより、上記信号経路に生じる寄生成分(寄生インダクタ及び寄生容量)を削減できる。この結果、使用する信号経路における通過損失(例えば受信感度の劣化及び送信電力の低下)を抑制できる。
【0097】
(7-5)変形例5
変形例4では、実装基板20が片面実装基板である場合の高周波モジュール1の要部の配置関係を例示する。これに対し、変形例5では、実装基板20が両面実装基板である場合の高周波モジュール1の要部の配置関係を例示する。
【0098】
(7-5-1)構成説明
図12のA及びBに示すように、変形例5の高周波モジュール1は、変形例4の高周波モジュール1と比べて、ICチップ23が実装基板20の第2主面20tに配置されている点、及び、実装基板20の第2主面20tに樹脂層25を更に備える点で相違している。
【0099】
変形例5では、複数の外部端子5a~5fは、例えば円柱状に形成されており、実装基板20の第2主面20tから立ち上がるように配置されている。なお、
図12のA及びBでは、複数の外部端子5a~5fのうち、外部端子5bのみ図示され、他の外部端子5a、5c~5fは図示省略されている。また、樹脂層25は、実装基板20の第2主面20tにおいて、ICチップ23の全体及び各外部端子5a~5fの外周面を覆うように、設けられている。樹脂層25の外周面は、シールド層27で覆われている。
【0100】
(7-5-2)高周波モジュールの要部の配置関係の説明
次に
図12のA及びBを参照して、変形例5における高周波モジュール1の要部の配置関係を説明する。
【0101】
変形例5では、整合回路8は、実装基板20の厚さ方向D1からの平面視で、ICチップ23と重なるように、実装基板20第1主面20sに配置されている。より詳細には、整合回路8は、実装基板20の厚さ方向D1からの平面視で、スイッチ回路6と重なるように、実装基板20の第1主面20sに配置されている。これにより、整合回路8とICチップ23(より詳細にはスイッチ回路6)との間の信号経路を短くできる。ここで、「整合回路8がICチップ23又はスイッチ回路6と重なる」とは、整合回路8の少なくとも一部が、ICチップ23又はスイッチ回路6と重なることである。
【0102】
さらに、整合回路8は、実装基板20の厚さ方向D1からの平面視で、外部端子232a,232bの各々と重なるように、実装基板20第1主面20sに配置されている。これにより、整合回路8と外部端子232a,232bとの間の信号経路を短くできる。ここで、「整合回路8が外部端子6a,6bの各々と重なる」とは、整合回路8が外部端子6a,6bの各々の少なくとも一部と重なることである。
【0103】
また、外部端子232cは、外部端子232a(すなわち上述のようにICチップ23内でスイッチング素子Q1を介して外部端子232cと接続される外部端子)と隣接するように配置されている。外部端子232dは、外部端子232b(すなわち上述のようにICチップ23内でスイッチング素子Q2を介して外部端子232dと接続される外部端子)と隣接するように配置されている。これらにより、外部端子232a,232cの間の信号経路、及び、外部端子232b,232dの間の信号経路を短くできる。ここで、「外部端子(例えば232c)が外部端子(例えば232a)と隣接する」とは、外部端子(例えば232c)と外部端子(例えば232a)との間に他の外部端子232が配置されていないことである。
【0104】
このような配置関係により、第1アンテナ端子(外部端子)5a、第1端子(外部端子)6a、グランド端子(外部端子)232c及びグランド層20mに到る信号経路を短くできる。同様に、第2アンテナ端子(外部端子)5b、第2端子(外部端子)6b、グランド端子(外部端子)232d及びグランド層20mに到る信号経路を短くできる。これにより、上記信号経路に生じる寄生成分(寄生インダクタ及び寄生容量)を削減できる。この結果、使用する信号経路における通過損失(例えば受信感度の劣化及び送信電力の低下)を抑制できる。
【0105】
(実施形態2)
図13~
図15を参照して、実施形態2に係る高周波モジュール1Bについて説明する。
【0106】
(1)構成説明
図13に示すように、実施形態2のスイッチ回路6Bは、実施形態1のスイッチ回路6において、スイッチング素子Q7,Q8を更に備える。これにより、スイッチ回路6Bは、第3端子6c及び第4端子6dとグランドとの接続及び非接続との切り替えが可能に構成されている。すなわち、スイッチ回路6Bでは、第3端子6c及び第4端子6dがそれぞれ、第1端子6a、第2端子6b及びグランドと選択的に接続可能に構成されている。これにより、スイッチ回路6Bでは、第3端子及び第4端子のうちの一方の端子が第1端子又は第2端子に接続される場合、第3端子及び第4端子のうちの他方の端子は、グランドに接続される。
【0107】
より詳細には、
図14に示すように、スイッチ回路6Bは、実施形態1のスイッチ回路6(
図2参照)において、スイッチング素子Q7,Q8を更に備える。スイッチング素子Q7は、第3端子6cと第2グランド端子6fとの間に接続されており、第3端子6cと第2グランド端子6fとの接続及び非接続を切り替える。スイッチング素子Q8は、第4端子6dと第2グランド端子6fとの間に接続されており、第4端子6dと第2グランド端子6fとの接続及び非接続を切り替える。なお、
図14の例では、スイッチング素子Q1は、第1端子6aと第1グランド端子6eとの間に接続されており、第1端子6aと第1グランド端子6eとの接続及び非接続を切り替える。スイッチング素子Q2は、第2端子6bと第1グランド端子6eとの間に接続されており、第2端子6bと第1グランド端子6eとの接続及び非接続を切り替える。第1グランド端子6e及び第2グランド端子6fは、グランドに接続されている。
【0108】
(2)動作説明
図14を参照して、スイッチ回路6Bの動作を説明する。
【0109】
図14を参照して、スイッチ回路6Bにおいて、第1端子6aが第3端子6c、第4端子6d及び第1グランド端子6eのうち第3端子6cに選択的に接続される場合(すなわち第1端子6a及び第2端子6bのうち第1端子6aが使用される場合)を考える。この場合、スイッチング素子Q3はオンに制御され、スイッチング素子Q1,Q5,Q7はオフに制御される。これにより、第1端子6aが第3端子6cに選択的に接続される。この場合、スイッチング素子Q2はオンに制御され、スイッチング素子Q4,Q6はオフに制御される。これにより、使用されない第2端子6bは、第1グランド端子6eに選択的に接続され、第3端子6c及び第4端子6dには接続されない。また、この場合、スイッチング素子Q8は、オンに制御される。これにより、使用されない第4端子6dは、第2グランド端子6fに接続される。したがって、使用されない第4端子6dが浮遊状態になることを防止できる。この結果、不要な信号が第4端子6dから使用する信号経路に回り込むことを抑制できる。
【0110】
また、第1端子6aが第3端子6c、第4端子6d及び第1グランド端子6eのうち第4端子6dに選択的に接続される場合(すなわち第1端子6a及び第2端子6bのうち第1端子6aが使用される場合)を考える。この場合は、スイッチング素子Q5はオンに制御され、スイッチング素子Q1,Q3,Q8はオフに制御される。これにより、第1端子6aが第4端子6dに選択的に接続される。この場合、スイッチング素子Q2はオンに制御され、スイッチング素子Q4,Q6はオフに制御される。これにより、使用されない第2端子6bは第1グランド端子6eに選択的に接続され、第3端子6c及び第4端子6dには接続されない。また、この場合、スイッチング素子Q7はオンに制御される。これにより、使用されない第3端子6cは、第2グランド端子6fに接続される。これにより、使用されない第3端子6cが浮遊状態になることを防止できる。これにより、不要な信号が第3端子6cから使用する信号経路に回り込むことを抑制できる。
【0111】
また、第2端子6bが第3端子6c、第4端子6d及び第1グランド端子6eのうち第3端子6cに選択的に接続される場合(すなわち第1端子6a及び第2端子6bのうち第2端子6bが使用される場合)を考える。この場合は、スイッチング素子Q4はオンに制御され、スイッチング素子Q2,Q6,Q7はオフに制御される。これにより、第2端子6bは、第3端子6cに選択的に接続される。この場合、スイッチング素子Q1はオンに制御され、スイッチング素子Q3,Q5はオフに制御される。これにより、使用されない第1端子6aは、第1グランド端子6eに選択的に接続され、第3端子6c及び第4端子6dには接続されない。また、この場合、スイッチング素子Q8は、オンに制御される。これにより、使用されない第4端子6dは、第2グランド端子6fに接続される。したがって、使用されない第4端子6dが浮遊状態になることを防止できる。この結果、不要な信号が第4端子6dから使用する信号経路に回り込むことを抑制できる。
【0112】
また、第2端子6bが第3端子6c、第4端子6d及びグランドのうち第4端子6dに選択的に接続される場合(すなわち第1端子6a及び第2端子6bのうち第2端子6bが使用される場合)を考える。この場合は、スイッチング素子Q6はオンに制御され、スイッチング素子Q2,Q4,Q8はオフに制御される。これにより、第2端子6bが第4端子6dに選択的に接続される。この場合、スイッチング素子Q1はオンに制御され、スイッチング素子Q3,Q5はオフに制御される。これにより、使用されない第1端子6aは第1グランド端子6eに選択的に接続され、第3端子6c及び第4端子6dには接続されない。また、この場合、スイッチング素子Q7はオンに制御される。これにより、使用されない第3端子6cは、第2グランド端子6fに接続される。これにより、使用されない第3端子6cが浮遊状態になることを防止できる。これにより、不要な信号が第3端子6cから使用する信号経路に回り込むことを抑制できる。
【0113】
(3)スイッチ回路6Bの端子の配置関係
図15を参照して、スイッチ回路6Bの端子(第1端子6a、第2端子6b、第1グランド端子6e及び第2グランド端子6f)の配置関係を説明する。
【0114】
スイッチ回路6Bは、主面61sを有する基板61を更に備える。基板61の主面61sには、スイッチ回路6を構成する回路要素(スイッチング素子Q1~Q8、第1~第4端子6a~6d、第1グランド端子6e、第2グランド端子6f)が配置されている。
図15では、上記回路要素のうち、第1端子6a、第2端子6b、第1グランド端子6e及び第2グランド端子6fのみが図示されている。
【0115】
第1端子6a、第2端子6b、第1グランド端子6e及び第2グランド端子6fは、基板61の主面61sに、例えば
図15のように配置されている。より詳細には、基板61の厚さ方向からの平面視で、第1端子6aの中心と第1グランド端子6eの中心との直線距離を第1距離T1とし、第1端子6aの中心と第2グランド端子6fの中心との直線距離を第2距離T2とする。また、基板61の厚さ方向からの平面視で、第2端子6bの中心と第1グランド端子6eの中心との直線距離を第3距離T3とし、第2端子6bの中心と第2グランド端子6fの中心との直線距離を第4距離T4とする。この場合、下記の式1を満たすように、第1端子6a、第2端子6b、第1グランド端子6e及び第2グランド端子6fは、配置されている。
(T1+T3)<(T2+T4)・・・(式1)
式1は、第1距離T1と第3距離T3との和は、第2距離T2と第4距離T4との和よりも短いことを意味する。
【0116】
このように、第1端子6a、第2端子6b、第1グランド端子6e及び第2グランド端子6fは、式1を満たすように配置される。これにより、第1端子6aと第1グランド端子6eとの間の信号経路と、第2端子6bと第1グランド端子6eとの間の信号経路との和を短くできる。これにより、上記通信経路に生じる寄生成分(寄生インダクタ及び寄生容量など)を抑制できる。この結果、使用する信号経路での通過損失(受信感度の劣化及び送信電力の低下)を抑制できる。
【0117】
(4)スイッチ回路6Bのグランド端子の共通化
図14に示すように、第1端子6aが接続されるグランド端子(第1グランド端子6e)、及び、第2端子6bが接続されるグランド端子(第1グランド端子6e)はともに、整合回路8のグランド端子として機能する。つまり、それら各グランド端子は、整合回路8のグランド端子として機能するという同じ機能のグランド端子であるため、共通の第1グランド端子6eによって構成されている。
【0118】
また、第3端子6cが接続されるグランド端子(第2グランド端子6f)、及び、第4端子6dが接続されるグランド端子(第2グランド端子6f)はともに、第3端子6c又は第4端子6dを他の端子から絶縁(アイソレーション)するためのグランド端子として機能する。つまり、それら各グランド端子は、第3端子6c又は第4端子6dを他の端子から絶縁するという同じ機能のグランド端子であるため、共通の第2グランド端子6fによって構成されている。
【0119】
このように、スイッチ回路6Bでは、複数のグランド端子(第1グランド端子6e及び第2グランド端子6f)は、グランド端子の機能ごとに共通化されている。これにより、スイッチ回路6Bを小型化できる。この結果、高周波モジュール1Bを小型化できる。
【0120】
(5)効果
以上のように、実施形態2のスイッチ回路6Bでは、第3端子6c及び第4端子6dはそれぞれ、第1端子6a、第2端子6b及び第2グランド端子6fと選択的に接続可能に構成されている。第3端子6c及び第4端子6dのうちの一方の端子が第1端子6a又は第2端子6bに接続される場合、第3端子6c及び第4端子6dのうちの他方の端子は、第2グランド端子6fに接続される。この構成によれば、第3端子6c及び第4端子6dのうちの一方の端子が第1端子6a又は第2端子6bに接続される場合、第3端子6c及び第4端子6dのうちの他方の端子(不使用端子)が第2グランド端子6fに接続される。これにより、不使用端子が浮遊状態になることを防止できる。この結果、不要な信号が不使用端子から使用する信号経路に回り込むことを抑制できる。
【0121】
また、実施形態2でも、実施形態1と同様に、整合回路8のフィルタ9,10側にはスイッチ回路6Bが設けられているが、整合回路8のアンテナ端子5a,5b側にはスイッチ回路が設けられていない。このため、整合回路8のアンテナ端子5a,5b側にスイッチ回路が設けられていない分、スイッチ回路の個数を抑制できる。これにより、高周波モジュール1を小型化できる。また、整合回路8を、第1アンテナ端子5aとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を取るための整合回路と、第2アンテナ端子5bとスイッチ回路6との間のインピーダンス整合を取るための整合回路とに兼用される。これによっても、高周波モジュール1を小型化できる。
【0122】
(6)変形例
実施形態2の変形例を説明する。
【0123】
(6-1)変形例1
実施形態2では、第1端子6a、第2端子6b、第1グランド端子6e及び第2グランド端子6fは、上記の式1を満たすように基板61の主面61sに配置される。ただし、第1端子6a、第2端子6b、第1グランド端子6e及び第2グランド端子6fは、上記の式1の代わりに、下記の式2を満たすように、基板61の主面61sに配置されてもよい。
T1<T2・・・(式2)
【0124】
式2は、第1距離T1は第2距離T2よりも短いことを意味する。
【0125】
このように、第1端子6a、第2端子6b、第1グランド端子6e及び第2グランド端子6fは、式2を満たすように配置されることで、第1端子6aと第1グランド端子6eとの間の信号経路を短くできる。これにより、上記通信経路に生じる寄生成分(寄生インダクタ及び寄生容量など)を抑制できる。この結果、使用する信号経路での通過損失(受信感度の劣化及び送信電力の低下)を抑制できる。
【0126】
(6-2)変形例2
実施形態2では、第1端子6a、第2端子6b、第1グランド端子6e及び第2グランド端子6fは、上記の式1を満たすように基板61の主面61sに配置される。ただし、第1端子6a、第2端子6b、第1グランド端子6e及び第2グランド端子6fは、上記の式1の代わりに、下記の式3を満たすように、基板61の主面61sに配置されてもよい。
T1<T2、T1<T4、T3<T2、T3<T4・・・(式3)
【0127】
式3は、第1距離T1は、第2距離T2及び第4距離T4よりも小さく、かつ、第3距離T3も、第2距離T2及び第4距離T4よりも短いことを意味する。
【0128】
このように、第1端子6a、第2端子6b、第1グランド端子6e及び第2グランド端子6fは、式3を満たすように配置される。これにより、第1端子6aと第1グランド端子6eとの間の信号経路、及び、第2端子6bと第1グランド端子6eとの間の信号経路を短くできる。したがって、上記通信経路に生じる寄生成分(寄生インダクタ及び寄生容量など)を抑制できる。この結果、使用する信号経路での通過損失(受信感度の劣化及び送信電力の低下)を抑制できる。
【0129】
(実施形態3)
図16を参照して、実施形態3に係る高周波モジュール1Cについて説明する。
【0130】
(1)構成
実施形態1に係る高周波モジュール1では、スイッチ回路6の第1端子6aに第1信号経路K1を介して第1アンテナ端子5aが接続され、スイッチ回路6の第2端子6bに第2信号経路K2を介して第2アンテナ端子5bが接続される(
図1参照)。これに対し、実施形態3に係る高周波モジュール1Cでは、
図16に示すように、スイッチ回路6Cの第1端子6aに第1信号経路K3を介して第1パワーアンプ30(第1増幅回路)が接続され、スイッチ回路6Cの第2端子6bに第2信号経路K4を介して第2パワーアンプ31(第2増幅回路)が接続される。
【0131】
より詳細には、高周波モジュール1Cは、スイッチ回路6Cと、第1パワーアンプ30と、第2パワーアンプ31と、整合回路8と、第1フィルタ32と、第2フィルタ33と、を備える。
【0132】
スイッチ回路6Cは、実施形態1のスイッチ回路6と同様に構成されている。スイッチ回路6Cは、第1端子6a、第2端子6b、第3端子6c及び第4端子6dを有する。実施形態3では、スイッチ回路6Cは、バンドセレクトスイッチとして機能する。第1端子6a及び第2端子6bはそれぞれ、第3端子6c、第4端子6d及びグランドと選択的に接続可能に構成されている。第1端子6aは、スイッチング素子Q1によってグランドとの接続及び非接続が切り替えられる。第2端子6bは、スイッチング素子Q2によってグランドとの接続及び非接続が切り替えられる。第1端子6a及び第2端子6bのうちの一方の端子が第3端子6c又は第4端子6dに接続される場合、第1端子6a及び第2端子6bのうちの他方の端子は、グランドに接続される。
【0133】
第1パワーアンプ30は、第1信号経路K3を介して第1端子6aに接続されている。第1パワーアンプ30は、信号処理回路(図示省略)からの送信信号を増幅してスイッチ回路6Cの第1端子6aに出力する。第2パワーアンプ31は、第2信号経路K4を介して第2端子6bに接続されている。第2パワーアンプ31は、信号処理回路(図示省略)からの送信信号を増幅してスイッチ回路6Cの第2端子6bに出力する。整合回路34は、第1信号経路K3と第2信号経路K4との間に接続されている。
【0134】
第1フィルタ32は、第3端子6cに接続され、第1信号経路K3及び第2信号経路K4のうちの一方の経路と接続可能に構成されている。第1フィルタ32は、例えば、第1通信バンドの送信帯域を通信帯域とする送信フィルタである。第1フィルタ32は、スイッチ回路6Cの第3端子6cから出力された送信信号を第1通信バンドの送信帯域の信号に制限して通過させ、通過させた送信信号を後段の回路に出力する。第2フィルタ33は、第4端子6dに接続され、第1信号経路K3及び第2信号経路K4のうちの他方の経路と接続可能に構成されている。第2フィルタ33は、例えば、第2通信バンドの送信帯域を通信帯域とする送信フィルタである。第2フィルタ33は、スイッチ回路6Cの第4端子6dから出力された送信信号を第2通信バンドの送信帯域の信号に制限して通過させ、通過させた送信信号を後段の回路に出力する。
【0135】
実施形態3でも、実施形態1と同様の効果を奏する。より詳細には、実施形態3によれば、整合回路34のフィルタ32,33側にはスイッチ回路6Cが設けられているが、整合回路34のパワーアンプ30,31側にはスイッチ回路が設けられていない。このため、整合回路34のパワーアンプ30,31側にスイッチ回路が設けられていない分、スイッチ回路の個数を抑制できる。これにより、高周波モジュール1Cを小型化できる。また、整合回路34を、第1パワーアンプ30とスイッチ回路6Cとの間のインピーダンス整合を取るための整合回路と、第1パワーアンプ30とスイッチ回路6Cとの間のインピーダンス整合を取るための整合回路とに兼用される。これによっても、高周波モジュール1を小型化できる。また、上述のようにスイッチ回路の個数を抑制できるため、スイッチ回路の全体にわたる通過損失を抑制できる。また、第1端子6a及び第2端子6bのうちの一方の端子(使用端子)が第3端子6c又は第4端子6dに接続される場合、第1端子6a及び第2端子6bのうちの他方の端子(不使用端子)は、グランドに接続される。したがって、不使用端子から使用端子に不要な信号が回り込むことを抑制できる。この結果、使用する信号経路における通信損失の劣化(例えば受信感度の劣化及び送信電力の低下)を抑制できる。以上より、通信損失の抑制と小型化とを両立できる。
【0136】
(2)変形例
次に実施形態3の変形例を説明する。
【0137】
(2-1)変形例1
実施形態3では、第1増幅回路が第1パワーアンプ30であり、第2増幅回路が第2パワーアンプ31である場合が例示されるが、
図17に示すように、第1増幅回路が第1ローノイズアンプ36であり、第2増幅回路が第2ローノイズアンプ37であってもよい。この場合、第1フィルタ32及び第2フィルタ33は、例えば、受信フィルタとなる。この変形例1でも、実施形態3の効果と同様の効果を奏する。
【0138】
(2-2)その他の変形例
実施形態1~3及びそれらの変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0139】
(態様)
本明細書には、以下の態様が開示されている。
【0140】
第1の態様の高周波モジュール(1;1B)は、スイッチ回路(6;6B)と、第1アンテナ端子(5a)と、第2アンテナ端子(5b)と、整合回路(8)と、第1フィルタ(9)と、第2フィルタ(10)と、を備える。スイッチ回路(6;6B)は、第1端子(6a)、第2端子(6b)、第3端子(6c)及び第4端子(6d)を有する。第1アンテナ端子(5a)は、第1信号経路(K1)を介して第1端子(6a)に接続される。第2アンテナ端子(5b)は、第2信号経路(K2)を介して第2端子(6b)に接続される。整合回路(8)は、第1信号経路(K1)と第2信号経路(K2)との間に接続される。第1フィルタ(9)は、第3端子(6c)に接続され、前記第1信号経路及び前記第2信号経路のうちの一方の経路と接続可能に構成される。第2フィルタ(10)は、第4端子(6d)に接続され、前記第1信号経路及び前記第2信号経路のうちの他方の経路と接続可能に構成される。第1端子(6a)及び第2端子(6b)はそれぞれ、第3端子(6c)、第4端子(6d)及びグランドと選択的に接続可能に構成される。第1端子(6a)及び第2端子(6b)のうちの一方の端子が第3端子(6c)又は第4端子(6d)に接続される場合、第1端子(6a)及び第2端子(6b)のうちの他方の端子は、グランドに接続される。
【0141】
この構成によれば、整合回路(8)のフィルタ(9,10)側にはスイッチ回路(6;6B)が設けられているが、整合回路(8)のアンテナ端子(5a,5b)側にはスイッチ回路が設けられていない。このため、整合回路(8)のアンテナ端子(5a,5b)側にスイッチ回路が設けられていない分、スイッチ回路の個数を抑制できる。これにより、高周波モジュール(1;1B)を小型化できる。また、整合回路(8)を、第1アンテナ端子(5a)とスイッチ回路(6;6B)との間のインピーダンス整合を取るための整合回路と、第2アンテナ端子(5b)とスイッチ回路(6;6B)との間のインピーダンス整合を取るための整合回路とに兼用される。これによっても、高周波モジュール(1;1B)を小型化できる。また、上述のようにスイッチ回路の個数を抑制できるため、スイッチ回路の全体にわたる通過損失を抑制できる。また、第1端子(6a)及び第2端子(6b)のうちの一方の端子(使用端子)が第3端子(6c)又は第4端子(6d)に接続される場合、第1端子(6a)及び第2端子(6b)のうちの他方の端子(不使用端子)は、グランドに接続される。したがって、不使用端子から、使用する信号経路に不要な信号が回り込むことを抑制できる。この結果、使用する信号経路における通信損失の劣化(例えば受信感度の劣化及び送信電力の低下)を抑制できる。以上より、通信損失の抑制と小型化とを両立できる。
【0142】
第2の態様の高周波モジュール(1C)は、スイッチ回路(6C)と、第1増幅回路(30;36)と、第2増幅回路(31;37)と、整合回路(34)と、第1フィルタ(32)と、第2フィルタ(33)と、を備える。スイッチ回路(6C)は、第1端子(6a)、第2端子(6b)、第3端子(6c)及び第4端子(6d)を有する。第1増幅回路(30;36)は、第1信号経路(K3)を介して第1端子(6a)に接続される。第2増幅回路(31;37)は、第2信号経路(K4)を介して第2端子(6b)に接続される。整合回路(8)は、第1信号経路(K3)と第2信号経路(K4)との間に接続される。第1フィルタ(32)は、第3端子(6c)に接続され、前記第1信号経路及び前記第2信号経路のうちの一方の経路と接続可能に構成される。第2フィルタ(33)は、第4端子(6d)に接続され、前記第1信号経路及び前記第2信号経路のうちの他方の経路と接続可能に構成される。第1端子(6a)及び第2端子(6b)はそれぞれ、第3端子(6c)、第4端子(6d)及びグランドと選択的に接続可能に構成される。第1端子(6a)及び第2端子(6b)のうちの一方の端子が第3端子(6c)又は第4端子(6d)に接続される場合、第1端子(6a)及び第2端子(6b)のうちの他方の端子は、グランドに接続される。
【0143】
この構成によれば、整合回路(34)のフィルタ(32,33)側にはスイッチ回路(6C)が設けられているが、整合回路(34)の増幅回路(30,31;36,37)側にはスイッチ回路が設けられていない。このため、整合回路(34)の増幅回路(30,31;36,37)側にスイッチ回路が設けられていない分、スイッチ回路の個数を抑制できる。これにより、高周波モジュール(1C)を小型化できる。また、整合回路(34)を、第1増幅回路(30;36)とスイッチ回路(6C)との間のインピーダンス整合を取るための整合回路と、第2増幅回路(31;37)とスイッチ回路(6C)との間のインピーダンス整合を取るための整合回路とに兼用される。これによっても、高周波モジュール(1C)を小型化できる。また、上述のようにスイッチ回路の個数を抑制できるため、スイッチ回路の全体にわたる通過損失を抑制できる。また、第1端子(6a)及び第2端子(6b)のうちの一方の端子(使用端子)が第3端子(6c)又は第4端子(6d)に接続される場合、第1端子(6a)及び第2端子(6b)のうちの他方の端子(不使用端子)は、グランドに接続される。したがって、不使用端子から、使用する信号経路に不要な信号が回り込むことを抑制できる。この結果、使用する信号経路における通信損失の劣化(例えば受信感度の劣化及び送信電力の低下)を抑制できる。以上より、通信損失の抑制と小型化とを両立できる。
【0144】
第3の態様の高周波モジュール(1;1B)は、第1の態様において、実装基板を更に備える。スイッチ回路(6;6B)は、第1端子(6a)と接続及び非接続の切り替えが可能に接続されるグランド端子(232c)を更に有する。整合回路(8)は、実装基板(20)の厚さ方向(D1)からの平面視で、第1アンテナ端子(5a)又はスイッチ回路(6;6B)と重なる。グランド端子(232c)は、第1端子(6a)と隣接している。
【0145】
この構成によれば、第1アンテナ端子(5a)、第1端子(6a)、グランド端子(232c)及びグランドに到る信号経路を短くできる。これにより、上記信号経路に生じる寄生成分(寄生インダクタ及び寄生容量など)を抑制できる。この結果、使用する信号経路における通過損失(例えば受信感度の劣化及び送信電力の低下)を更に抑制できる。
【0146】
第4の態様の高周波モジュール(1)は、第1の態様において、実装基板(20)を更に備える。整合回路(8)は、実装基板(20)の厚さ方向(D1)からの平面視で、スイッチ回路(6)と隣接している。
【0147】
この構成によれば、整合回路(8)とスイッチ回路(6)との間の信号経路を短くできる。これにより、上記通信経路に生じる寄生成分(寄生インダクタ及び寄生容量など)を抑制できる。この結果、使用する信号経路における通過損失(例えば受信感度の劣化及び送信電力の低下)を更に抑制できる。
【0148】
第5の態様の高周波モジュール(1)では、第4の態様において、第1端子(6a)及び第2端子(6b)は、実装基板(20)の厚さ方向(D1)からの平面視で、スイッチ回路(6)の内部における整合回路(8)の側に配置されている。
【0149】
この構成によれば、第1端子(6a)と整合回路(8)との間の信号経路、及び、第2端子(6b)と整合回路(8)との間の信号経路を短くできる。これにより、上記通信経路に生じる寄生成分(寄生インダクタ及び寄生容量など)を抑制できる。この結果、使用する信号経路における通過損失(例えば受信感度の劣化及び送信電力の低下)を抑制できる。
【0150】
第6の態様の高周波モジュール(1)では、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、整合回路(8)は、インダクタ(L1)を含む。インダクタ(L1)は、第1信号経路(K1)と第2信号経路(K2)との間に接続される。
【0151】
この構成によれば、整合回路(8)としてハイパスフィルタを構成できる。
【0152】
第7の態様の高周波モジュール(1)では、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、整合回路(8)は、キャパシタ(C1)を含む。キャパシタ(C1)は、第1信号経路(K1)と第2信号経路(K2)との間に接続される。
【0153】
この構成によれば、整合回路(8)としてローパスフィルタを構成できる。
【0154】
第8の態様の高周波モジュール(1)では、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、整合回路(8)は、インダクタ(L2)及びキャパシタ(C2)を含む。インダクタ(L2)及びキャパシタ(C2)は、第1信号経路(K1)と第2信号経路(K2)との間に接続されており、互いに並列に接続される。
【0155】
この構成によれば、バンドパスフィルタを構成できる。
【0156】
第9の態様の高周波モジュール(1)では、第1~第5の態様のいずれか1つにおいて、整合回路(8)は、インダクタ(L3)及びキャパシタ(C3)を含む。インダクタ(L3)及びキャパシタ(C3)は、第1信号経路(K1)と第2信号経路(K2)との間に接続されており、互いに直列に接続される。
【0157】
この構成によれば、整合回路(8)としてバンドエリミネーションフィルタを構成できる。
【0158】
第10の態様の高周波モジュール(1)では、第6~第9の態様のいずれか1つにおいて、整合回路(8)は、キャパシタ(C4)を更に備える。キャパシタ(C4)は、第1信号経路(K1)とグランドとの間に接続される。
【0159】
この構成によれば、整合回路(8)は、第1信号経路(K1)及び第2信号経路(K2)のうち第1信号経路(K1)が使用されるときのみ機能するキャパシタ(C4)を備えることができる。これにより、整合回路(8)の回路構成を、使用する信号経路(第1信号経路(K1)又は第2信号経路(K2))によって変更することができる。
【0160】
第11の態様の高周波モジュール(1)では、第6~第10の態様のいずれか1つにおいて、整合回路(8)は、インダクタ(L4)を更に備える。インダクタ(L4)は、第1信号経路(K1)に直列に接続される。
【0161】
この構成によれば、整合回路(8)は、第1信号経路(K1)及び第2信号経路(K2)のうち第1信号経路(K1)が使用されるときのみ機能するインダクタ(L4)を備えることができる。これにより、整合回路(8)の回路構成を、使用する信号経路(第1信号経路(K1)又は第2信号経路(K2))によって変更することができる。
【0162】
第12の態様の高周波モジュール(1)では、第3~第5の態様のいずれか1つにおいて、整合回路(8)は、実装基板においてパターンで形成されるインダクタを含む。
【0163】
この構成によれば、インダクタを小型化でき、これにより高周波モジュール(1;1B)を小型化できる。
【0164】
第13の態様の高周波モジュール(1B)では、第1~第12の態様のいずれか1つにおいて、第3端子(6c)及び第4端子(6d)はそれぞれ、第1端子(6a)、第2端子(6b)及びグランドと選択的に接続可能に構成される。第3端子(6c)及び第4端子(6d)のうちの一方の端子が第1端子(6a)又は第2端子(6b)に接続される場合、第3端子(6c)及び第4端子(6d)のうちの他方の端子は、グランドに接続される。
【0165】
この構成によれば、第3端子(6c)及び第4端子(6d)のうちの一方の端子が第1端子(6a)又は第2端子(6b)に接続される場合、第3端子(6c)及び第4端子(6d)のうちの他方の端子(不使用端子)がグランドに接続される。このため、不使用端子が浮遊状態になることを防止できる。これにより、不要な信号が不使用端子から、使用する信号経路に回り込むことを抑制できる。
【0166】
第14の態様の高周波モジュール(1B)では、第1~第13の態様のいずれか1つにおいて、スイッチ回路(6B)は、第1グランド端子(6e)と、第2グランド端子(6f)と、基板(61)と、を更に有する。第1グランド端子(6e)は、第1端子(6a)及び第2端子(6b)と接続及び非接続が切り替え可能に接続される。第1グランド端子(6e)は、第3端子(6c)及び第4端子(6d)と接続及び非接続が切り替え可能に接続される。基板(61)は、第1端子(6a)、第2端子(6b)、第1グランド端子(6e)及び第2グランド端子(6f)が配置される。基板(61)の厚さ方向からの平面視で、第1端子(6a)と第1グランド端子(6e)との距離を第1距離(T1)とし、第1端子(6a)と第2グランド端子(6f)との距離を第2距離(T2)とする。第1距離(T1)は、第2距離(T2)よりも短い。
【0167】
この構成によれば、第1端子(6a)と第1グランド端子(6e)との間の信号経路を短くできる。これにより、上記通信経路に生じる寄生成分(寄生インダクタ及び寄生容量など)を更に抑制できる。この結果、使用する信号経路での通過損失(受信感度の劣化及び送信電力の低下)を更に抑制できる。
【0168】
第15の態様の高周波モジュール(1B)では、第1~第13の態様のいずれか1つにおいて、スイッチ回路(6B)は、第1グランド端子(6e)と、第2グランド端子(6f)と、基板(61)と、を更に有する。第1グランド端子(6e)は、第1端子(6a)及び第2端子(6b)と接続及び非接続が切り替え可能に接続される。第1グランド端子(6e)は、第3端子(6c)及び第4端子(6d)と接続及び非接続が切り替え可能に接続される。基板(61)は、第1端子(6a)、第2端子(6b)、第1グランド端子(6e)及び第2グランド端子(6f)が配置される。基板(61)の厚さ方向からの平面視で、第1端子(6a)と第1グランド端子(6e)との距離を第1距離(T1)とし、第1端子(6a)と第2グランド端子(6f)との距離を第2距離(T2)とし、第2端子(6b)と第1グランド端子(6e)との距離を第3距離(T3)とし、第2端子(6b)と第2グランド端子(6f)との距離を第4距離(T4)とする。第1距離(T1)と第3距離(T3)との和は、第2距離(T2)と第4距離(T4)との和よりも短い。
【0169】
この構成によれば、第1距離(T1)と第3距離(T3)との和が第2距離(T2)と第4距離(T4)との和よりも短い。このため、第1端子(6a)と第1グランド端子(6e)との間の信号経路と、第2端子(6b)と第1グランド端子(6e)との間の信号経路との和を短くできる。これにより、上記通信経路に生じる寄生成分(寄生インダクタ及び寄生容量など)を抑制できる。この結果、使用する信号経路での通過損失(受信感度の劣化及び送信電力の低下)を抑制できる。
【0170】
第16の態様の高周波モジュール(1B)では、第1~第13の態様のいずれか1つにおいて、スイッチ回路(6B)は、第1グランド端子(6e)と、第2グランド端子(6f)と、基板(61)と、を更に有する。第1グランド端子(6e)は、第1端子(6a)及び第2端子(6b)と接続及び非接続が切り替え可能に接続される。第1グランド端子(6e)は、第3端子(6c)及び第4端子(6d)と接続及び非接続が切り替え可能に接続される。基板(61)は、第1端子(6a)、第2端子(6b)、第1グランド端子(6e)及び第2グランド端子(6f)が配置される。基板(61)の厚さ方向からの平面視で、第1端子(6a)と第1グランド端子(6e)との距離を第1距離(T1)とし、第1端子(6a)と第2グランド端子(6f)との距離を第2距離(T2)とする。第1距離(T1)及び第3距離(T3)はそれぞれ、第2距離(T2)及び第4距離(T4)よりも短い。
【0171】
この構成によれば、第1端子(6a)と第1グランド端子(6e)との間の信号経路と、第2端子(6b)と第1グランド端子(6e)との間の信号経路とを短くできる。これにより、上記通信経路に生じる寄生成分(寄生インダクタ及び寄生容量など)を更に抑制できる。この結果、使用する信号経路での通過損失(受信感度の劣化及び送信電力の低下)を更に抑制できる。
【0172】
第17の態様の通信装置(100)は、第1~第16の態様のいずれか1つの高周波モジュール(1;1B)と、信号処理回路(2)と、を備える。信号処理回路(2)は、高周波モジュール(1;1B)に接続されており、高周波信号を信号処理する。
【0173】
この構成によれば、高周波モジュール(1;1B)の効果を奏する通信装置(100)を提供できる。
【符号の説明】
【0174】
1,1B,1C 高周波モジュール
2 信号処理回路
3 第1アンテナ
4 第2アンテナ
5a 第1アンテナ端子
5b 第2アンテナ端子
5c 入力端子
5d 出力端子
5e 出力端子
5f 信号入力端子
6,6B,6C スイッチ回路
6a 第1端子
6b 第2端子
6c 第3端子
6d 第4端子
6e 第1グランド端子
6f 第2グランド端子
7 スイッチ回路
7a 共通端子
7b 選択端子
7c 選択端子
8,34 整合回路
9 第1フィルタ
9a,9b 入出力部
10 第2フィルタ
10a 入力部
10b 出力部
11 パワーアンプ
11a 入力部
11b 出力部
12 ローノイズアンプ
12a 入力部
12b 出力部
13 ローノイズアンプ
13a 入力部
13b 出力部
14 コントローラ
20 実装基板
20a~20e パッド
20m グランド層
20s 第1主面
20t 第2主面
21 RF信号処理回路
22 ベースバンド信号処理回路
23 ICチップ
24 はんだ
25,26 樹脂層
27 シールド層
30 第1パワーアンプ(第1増幅回路)
31 第2パワーアンプ(第2増幅回路)
32 第1フィルタ
33 第2フィルタ
36 第1ローノイズアンプ(第1増幅回路)
37 第2ローノイズアンプ(第2増幅回路)
61 基板
61s 主面
100 通信装置
231 チップ本体
231s 対向面
232,232a,232b 外部端子
232c~232d グランド端子
C1~C4 キャパシタ
D1 方向
K1,K3 第1信号経路
K2,K4 第2信号経路
L1~L4 インダクタ
Q1~Q8 スイッチング素子
T1 第1距離
T2 第2距離
T3 第3距離
T4 第4距離