(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150363
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20241016BHJP
F21S 43/247 20180101ALI20241016BHJP
F21S 43/236 20180101ALI20241016BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241016BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20241016BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20241016BHJP
【FI】
F21S2/00 412
F21S43/247
F21S43/236
F21S2/00 330
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y101:00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063769
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】505474256
【氏名又は名称】佐藤ライト工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174090
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 光
(74)【代理人】
【識別番号】100205383
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 諭史
(74)【代理人】
【識別番号】100224661
【弁理士】
【氏名又は名称】牧内 直征
(74)【代理人】
【識別番号】100100251
【弁理士】
【氏名又は名称】和気 操
(72)【発明者】
【氏名】土井 元裕
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA11
3K244BA26
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA02
3K244DA10
(57)【要約】
【課題】光軸方向と平行な方向へ光を照射する構成において、小型化を図りつつ、光の利用効率の高い照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置1は、光源3と、光源側より順に配置された第1レンズL1、正のパワーを持つ第2レンズL2、絞り、正のパワーを持つ第3レンズL3を有し、光源3の光軸O
aと平行な光軸方向へ光を照射する照明装置であり、第1レンズL1は、光源3からの光が入射される入射面f1と、正のパワーを持つ屈折面であり入射面f1よりも径の大きい出射面f2と、入射面f1と出射面f2との間に一体に設けられ、光源3の光軸方向へ延びる導光部L1aとを有し、導光部L1aは、その側面に、入射面f1から入射した光の一部を出射面f2に向けて反射する反射面f3を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、光源側より順に配置された第1レンズ、正のパワーを持つ第2レンズ、絞り、正のパワーを持つ第3レンズを有し、前記光源の光軸と平行な光軸方向へ光を照射する照明装置であり、
前記第1レンズは、前記光源からの光が入射される入射面と、正のパワーを持つ屈折面であり前記入射面よりも径の大きい出射面と、前記入射面と前記出射面との間に一体に設けられ、前記光源の光軸方向へ延びる導光部とを有し、前記導光部は、その側面に、前記入射面から入射した光の一部を前記出射面に向けて反射する反射面を有することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記第1レンズに入射した光のうち、前記反射面に反射されずに前記出射面で屈折され出射する光の有効径をA、前記反射面に反射され、かつ、前記出射面で屈折され出射する光の有効径をA’としたとき、これら有効径が、前記第1レンズの前記出射面と前記第2レンズの前記入射面との間の範囲において、下記の関係を満たすこと特徴とする請求項1記載の照明装置。
0.6≦(A’/A)≦1
【請求項3】
前記第1レンズの前記出射面と前記第2レンズの前記入射面との間の範囲における前記第1レンズによる集光分布のピーク位置は、前記光源の光軸を中心とした前記有効径Aの90%の範囲内に含まれることを特徴とする請求項2記載の照明装置。
【請求項4】
前記第1レンズにおいて、前記導光部は出射側に向かうにしたがい拡径する円錐台状部を有し、該円錐台状部の側面が前記反射面を形成し、かつ、小径側の端面が前記入射面を形成しており、前記入射面のレンズ直径D1と、前記円錐台状部の大径側の端部におけるレンズ直径D2が下記の関係を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2記載の照明装置。
2<(D2/D1)<6
【請求項5】
前記導光部は、前記円錐台状部の大径側の端部からさらに拡径したフランジ部を有し、前記第1レンズに入射した光は、前記フランジ部から外部に出射されないことを特徴とする請求項4記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1レンズの前記入射面のレンズ直径D1と、前記光源から前記第1レンズの前記入射面までの距離T1が、下記の関係を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2記載の照明装置。
(D1/2)/T1≧0.57
【請求項7】
前記第2レンズの入射面に入射する光束の最外光線のチーフレイアングル(CRA)が下記の関係を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2記載の照明装置。
0°≦CRA≦15°
【請求項8】
前記照明装置において、前記第2レンズの入射面のレンズ直径の最外部は、前記第1レンズの前記出射面から出射する光束の最外光線の出射位置を中心とした光軸方向に対して±30°以内の範囲に位置することを特徴とする請求項1または請求項2記載の照明装置。
【請求項9】
前記第2レンズの入射面は、光源側に凸面を向けて形成され、前記第3レンズの出射面は、照射側に凸面を向けて形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の照明装置。
【請求項10】
前記照明装置において、前記光源から前記第3レンズの出射面までの距離が100mm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾照明やスポット照明などに用いられる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、任意のデザインが施されたデザインフィルムを用いて、模様が付いた投影像を映す照明装置が知られている(特許文献1参照)。例えば、特許文献1の照明装置は、光源から出射される光をデザインフィルム、および投影レンズに透過させてデザインを投影する。
【0003】
このような加飾照明に用いられる照明装置として、例えば車両に取り付けられるロゴランプが知られている。ロゴランプは、夜間に乗降者の足元を照らす足元照明の役割と加飾性を担っており、需要が高まりつつある。このようなロゴランプの多くは、サイドミラーや車両ドアの内側に組み込まれて使用されている。
【0004】
また、近年では多くの設備や場所などにおいて加飾照明やスポット照明などの照明装置が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような照明装置は、小スペースに収めるための小型化および明るさの確保が要求されている。例えば、サイドミラーに設置される照明装置などでは、照射方向での長さ制限が厳しく要求される一方で、投影インパクトを得るための高照度が要求されている。また、照射方向での長さ制限を受けて、照明装置の構成として光源の光軸方向と交差する方向へ光を反射させて照射する構成も採用し得るが、構成が複雑になる傾向があることから、光源の光軸方向と平行な方向へ光を照射する構成も求められている。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、光軸方向と平行な方向へ光を照射する構成において、小型化を図りつつ、光の利用効率の高い照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明装置は、光源と、光源側より順に配置された第1レンズ、正のパワーを持つ第2レンズ、絞り、正のパワーを持つ第3レンズを有し、上記光源の光軸と平行な光軸方向へ光を照射する照明装置であり、上記第1レンズは、上記光源からの光が入射される入射面と、正のパワーを持つ屈折面であり上記入射面よりも径の大きい出射面と、上記入射面と上記出射面との間に一体に設けられ、上記光源の光軸方向へ延びる導光部とを有し、上記導光部は、その側面に、上記入射面から入射した光の一部を上記出射面に向けて反射する反射面を有することを特徴とする。
【0009】
上記第1レンズに入射した光のうち、上記反射面に反射されずに上記出射面で屈折され出射する光の有効径をA、上記反射面に反射され、かつ、上記出射面で屈折され出射する光の有効径をA’としたとき、これら有効径が、上記第1レンズの上記出射面と上記第2レンズの上記入射面との間の範囲において、下記の関係を満たすこと特徴とする。
0.6≦(A’/A)≦1
【0010】
上記第1レンズの上記出射面と上記第2レンズの上記入射面との間の範囲における上記第1レンズによる集光分布のピーク位置は、上記光源の光軸を中心とした上記有効径Aの90%の範囲内に含まれることを特徴とする。
【0011】
上記第1レンズにおいて、上記導光部は出射側に向かうにしたがい拡径する円錐台状部を有し、該円錐台状部の側面が上記反射面を形成し、かつ、小径側の端面が上記入射面を形成しており、上記入射面のレンズ直径D1と、上記円錐台状部の大径側の端部におけるレンズ直径D2が下記の関係を満たすことを特徴とする。
2<(D2/D1)<6
【0012】
上記導光部は、上記円錐台状部の大径側の端部からさらに拡径したフランジ部を有し、上記第1レンズに入射した光は、上記フランジ部から外部に出射されないことを特徴とする。
【0013】
上記第1レンズの上記入射面のレンズ直径D1と、上記光源から上記第1レンズの上記入射面までの距離T1が、下記の関係を満たすことを特徴とする。
(D1/2)/T1≧0.57
【0014】
上記第2レンズの入射面に入射する光束の最外光線のチーフレイアングル(CRA)が下記の関係を満たすことを特徴とする。
0°≦CRA≦15°
【0015】
上記照明装置において、上記第2レンズの入射面のレンズ直径の最外部は、上記第1レンズの上記出射面から出射する光束の最外光線の出射位置を中心とした光軸方向に対して±30°以内の範囲に位置することを特徴とする。
【0016】
上記第2レンズの入射面は、光源側に凸面を向けて形成され、上記第3レンズの出射面は、照射側に凸面を向けて形成されていることを特徴とする。
【0017】
上記照明装置において、上記光源から上記第3レンズの出射面までの距離が100mm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の照明装置は、光源と、光源側より順に配置された第1レンズ、正のパワーを持つ第2レンズ、絞り、正のパワーを持つ第3レンズを有し、光源の光軸方向に沿うように照射光を照射する照明装置であり、全系におけるパワー配置などを設定した上でさらに、第1レンズは、光源からの光が入射される入射面と、正のパワーを持つ屈折面であり入射面よりも径の大きい出射面と、入射面と出射面との間に一体に設けられ、光源の光軸方向へ延びる導光部とを有し、導光部は、その側面に、入射面から入射した光の一部を出射面に向けて反射する反射面を有しており、第1レンズに照度分布制御と集光の役割を持たせることで、レンズ全体構成を効率化でき、結果として照射方向のサイズを小さくできる。これにより、小型化を図りつつ、光の利用効率の高い照明装置が得られる。
【0019】
第1レンズに入射した光のうち、反射面に反射されずに出射面で屈折され出射する光の有効径をA、反射面に反射され、かつ、出射面で屈折され出射する光の有効径をA’としたとき、これら有効径A、A’が上記の関係を満たすことで、例えばデザインフィルムなどが配置される上記範囲において、有効径Aの周辺部の光量調整をしやすくなり、また反射面にて反射された光を第2レンズに入射させやすくなり、光量ロスを少なくできる。例えば、上記範囲における第1レンズによる集光分布のピーク位置は、光源の光軸を中心とした有効径Aの90%の範囲内に含まれるので、周辺部の光量を確保することができる。
【0020】
第1レンズにおいて、導光部は出射側に向かうにしたがい拡径する円錐台状部を有し、入射面のレンズ直径D1と、円錐台状部の大径側の端部におけるレンズ直径D2が上記の関係を満たすので、導光部の反射面によって反射される反射光の方向を制御しやすくなる。
【0021】
また、第1レンズの入射面のレンズ直径D1と、光源から第1レンズの入射面までの距離T1が、上記の関係を満たすので、広い配光光源に対しても光源から発せられた光を漏らさず、第1レンズに入射させやすくなり、光量ロスを少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の照明装置の一形態の概略構成図である。
【
図2】
図1の第1レンズの各寸法を説明するための概略図である。
【
図3】第1レンズからの出射光の光線を示す図である。
【
図4】第2レンズにおけるチーフレイアングルを説明するための図である。
【
図7】照明装置の別形態における光線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の照明装置の一形態について
図1に基づいて説明する。
図1の照明装置は、例えば、被照射面に任意のデザインを表示するものである。この照明装置は、例えば車両のサイドミラーに搭載され、被照射面となる地面にロゴマークなどを映し出す車両用照明装置などとして用いられる。その他、任意の投影像(デザイン)をスクリーンなどに映し出す照明装置などとして用いられる。
図1に示す照明装置1は、光源の光軸O
aに平行な方向(光軸方向ともいう)へ向けて照射光を照射する装置である。
【0024】
照明装置1は、ハウジング2の空間内に、光源3と、光源側より順に配置された第1レンズL1、第2レンズL2、絞りS、第3レンズL3を有する。これらは、各レンズなどの中心軸が光軸Oaと一致するように配置されている。第1レンズL1、第2レンズL2、および第3レンズL3は、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ガラスなどの透明材質によって形成される。
【0025】
図1では、第1レンズL1と第2レンズL2の間に画像生成部としてデザインフィルム4が配置されている。なお、本発明の照明装置において画像生成部は必須ではなく、画像生成部を配置せずに当該照明装置をスポット照明などとして用いてもよい。
【0026】
ハウジング2には第3レンズL3に対応する位置に開口部2aが設けられている。
図1では、第3レンズL3は、その出射面f7が開口部2aから露出するように設けられている。出射面f7から出射された光は、他の光学素子を介さずに被照射面(図示省略)に映し出される。なお、ハウジング2には、開口部2aを覆うカバーなどが設けられていてもよい。照明装置1の外形形状は、例えば矩形状や円筒形状である。
【0027】
光源3には、LED、LD、電球などを用いることができる。例えば、LEDは回路基板上に設けられる。LEDとしては、例えば、青色、赤色、および緑色などの単色系LED、あるいは青色系LED、赤色系LED、および緑色系LEDを備えたRGB型のLEDを使用できる。本発明において、光源は、光束断面形状が円形状の光を放射する光源であることが好ましい。
【0028】
光源3から出射された光は、第1レンズL1に入射する。第1レンズL1は、光源3からの光が入射される入射面f1と、正のパワーを持つ屈折面であり、入射面f1よりも径の大きい出射面f2と、入射面f1と出射面f2との間に一体に設けられ、光源3の光軸方向へ延びる導光部L1aとを有する。導光部L1aは、入射面f1から入射した光を通過させ出射面f2へ導く部分であり、その側面に、入射面f1から入射した光の一部を出射面f2に向けて反射する反射面f3を有する。
【0029】
第1レンズL1は、光源3から出射された光をレンズ内で反射して照度分布を制御する機能および集光する機能を有する光学素子である。第1レンズL1は、光路制御に関わる主な光学機能面として、入射面f1と、出射面f2と、反射面f3とを有する。これら光学機能面は、第1レンズL1に一体に設けられている。
図1において、第1レンズL1は、光軸O
aに対し回転対称な形状を有しており、光軸O
aと直交する断面形状は円形である。
【0030】
第1レンズL1において、導光部L1aは出射側に向かうにしたがい拡径する円錐台状部L1bを有している。この場合、円錐台状部L1bの側面が反射面f3を形成し、かつ、小径側の端面が入射面f1を形成する。
図1に示す円錐台状部L1bにおいて、入射面f1は、光軸O
aと直交する平面で形成されているが、これに限らず、入射面f1は、光源側に凸曲面や凹曲面で形成されてもよい。
【0031】
ここで、第1レンズの各寸法について
図2を用いて説明する。第1レンズL1の入射面f1は、その中心軸が光源3の光軸O
aと一致するように対向して配置される。光源3と第1レンズL1の位置関係は、特に限定されないが、第1レンズL1の入射面f1のレンズ直径D
1と、光源3から第1レンズL1の入射面f1までの距離T
1が、下記の式(1)を満たすことが好ましい。
(D
1/2)/T
1≧0.57・・・(1)
上記の式(1)における「0.57」は、tan30に相当する値である。光源によっては、光軸O
aに対して30°以上の広がりを持った光線を発する光源もある。上記の式(1)を満たすことで、このような光源を使用した場合であっても、光源から発せられる光線を有効的に第1レンズL1に入射させることができる。なお、(D
1/2)/T
1の上限は、例えば2.0である。
【0032】
また、入射面f1のレンズ直径D1と、円錐台状部L1bの大径側の端部(円錐台状部の底面に相当する)におけるレンズ直径D2は、(D2>D1)の関係となっており、さらに、下記の式(2)を満たすことが好ましい。
2<(D2/D1)<6・・・(2)
上記の式(2)を満たすことで、反射面f3によって反射される反射光の方向を制御しやすくなる。その結果、反射光を出射面f2から出射させることができ、例えばフランジ部L1cから外部に出射されることを防止できる。上記式(2)において、(D2/D1)は5未満であってもよく、4未満であってもよい。反射面f3は、第1レンズL1内に入射した入射光の一部を出射面f2へ向けて反射するものであり、反射面f3の形状は、傾斜平面に限らず、例えば外側に凸曲面に形成されていてもよい。なお、円錐台状部L1bにおける、光軸Oaと直交する断面形状は円形である。
【0033】
また、入射面f1から円錐台状部L1bの大径側の端部までの距離T2(円錐台状部の高さに相当する)と、レンズ直径D2との関係は、(T2>D2)が好ましく、距離T2は、レンズ直径D2の1.5倍~3.0倍がより好ましい。例えば、この範囲にすることで、第1レンズの小型化を図りつつ、照射領域内における照度分布を制御しやすくなる。
【0034】
図2において、導光部は、円錐台状部L1bの大径側の端部から更に拡径したフランジ部L1cを有する。例えば、フランジ部L1cは全周にわたり円環状に形成されている。なお、フランジ部L1cは、全周に設けずに円周方向の一部分に設けてもよい。フランジ部L1cは、例えば第1レンズL1をハウジングに固定する固定部として機能する。照明装置に具備されるレンズのうち、最も光源側に位置する第1レンズL1をフランジ部L1cによって固定させることで、照射性能を安定的に発揮させることができる。なお、導光部がフランジ部L1cを有する構成においては、第1レンズL1に入射した光を出射面f2に導きやすくするため、出射面f2のレンズ直径D
3は、上記D
2よりも大きいことが好ましい(D
3>D
2)。
【0035】
なお、第1レンズにおいて、フランジ部の構成は必須ではなく、例えば、円錐台状部L1bが入射面f1から出射面f2までにかけて形成されていてもよい。その場合、出射面f2のレンズ直径D3は、上記D2と等しくなる。
【0036】
第1レンズL1の出射面f2は、正のパワーを持つ屈折面であり、照射側に凸面を向けている。出射面f2のレンズ直径D3は、入射面f1のレンズ直径D1よりも大きくなっている(D3>D1)。第1レンズL1に入射した光のうち、一部は反射面f3で反射されずに出射面f2で屈折されて出射し、残りは、反射面f3で反射され、かつ、出射面f2で屈折されて出射する。
【0037】
図1に戻り、第1レンズL1から出射した光はデザインフィルム4を透過する。デザインフィルム4は、例えば遮光部と非遮光部を有し、当該フィルムを透過する光の光線量の差が模様となって表れる。デザインフィルムには、公知のものを用いることができる。なお、画像生成部は、光源から出射された光を変調して画像を生成するものでもよく、例えば、光の偏光成分を制御することによって画像を形成する透過型または反射型の液晶表示素子や、光の進行方向を制御することによって画像を形成する反射型のデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)素子などであってもよい。
【0038】
デザインフィルム4は、第1レンズL1の出射面f2と第2レンズL2の入射面f4との間の範囲において、第1レンズL1の出射面f2寄りに設置されている。第1レンズL1の出射面f2寄りとは、出射面f2と入射面f4との間の範囲(
図3に示す範囲R)の光軸方向における中間位置よりも出射面f2に近い側を指す。
【0039】
図1に示す照明装置1は、デザインフィルム4によって生成された画像光を光軸方向に沿うように投影するための投影レンズとして、第2レンズL2および第3レンズL3を有している。
【0040】
第2レンズL2は正のパワーを持つレンズであり、入射面f4は光源側に凸面を向けて形成され、出射面f5は照射側に凸面を向けて形成されている。第2レンズL2は、光軸O
aに対し回転対称な形状を有している。
図1では、入射面f4および出射面f5の両面が非球面となっているが、これらの面の少なくとも一方を球面としてもよい。
図1において、入射面f4のレンズ直径は、出射面f5のレンズ直径よりも大きくなっている。また、第2レンズL2において、入射面f4と出射面f5の間にはフランジ部が形成されており、ハウジング2への取り付けなどに利用される。
【0041】
絞りSには、例えば遮光性の板材を用いることができる。絞り孔が透過部を形成し、板材のその他の部分が遮光部を形成する。絞りSは、光路において第2レンズL2と第3レンズL3の間に配置されていればよい。例えば、絞りSは超音波溶着などによりハウジング2に固定され、絞りSが第3レンズL3よりも照射側に配置される構成に比べて、照明装置内部(光源側)の気密性を向上させやすくなる。また、第3レンズL3の出射面f7に付着したゴミの除去などについても有利である。
【0042】
第3レンズL3は正のパワーを持つレンズであり、入射面f6は光源側に凹面を向けて形成され、出射面f7は照射側に凸面を向けて形成されている。第3レンズL3は、光軸O
aに対し回転対称な形状を有している。
図1では、入射面f6および出射面f7の両面が非球面となっているが、これらの面の少なくとも一方を球面としてもよい。
図1において、出射面f7のレンズ直径は、入射面f6のレンズ直径よりも大きくなっている。また、第3レンズL3において、入射面f6と出射面f7の間にはフランジ部が形成されており、ハウジング2への取り付けなどに利用される。
【0043】
照明装置1の全体的なサイズは、特に限定されないが、本発明の照明装置はコンパクトであるので、小スペース内に搭載される照明装置に適している。例えば、光源から第3レンズL3の出射面f7(具体的には凸面の頂点)までの距離は100mm以下であり、50mm以下であってもよく、30mm以下であってもよい。
【0044】
照明装置1において、第1レンズL1は、該レンズに入射した光のうち、その一部を反射面f3にて反射させて出射面f2から2種類の出射光を出射することで、例えばデザインフィルム4を通過する光について、照度の部分的な偏り(例えば中心部付近などへの偏り)を抑制しやすくなる。
【0045】
図3(a)には、第1レンズL1において反射面f3で反射されていない出射光の光線を示し、
図3(b)には、第1レンズL1において反射面f3で反射された出射光の光線を示す。第1レンズL1に入射した光のうち、反射面f3で反射されずに出射面f2で屈折され出射する光の有効径をA(
図3(a)参照)、反射面f3で反射され、かつ、出射面f2で屈折され出射する光の有効径をA’(
図3(b)参照)としたとき、これら有効径が、第1レンズL1の出射面f2と第2レンズL2の入射面f4との間の範囲Rにおいて、下記の式(3)を満たすことが好ましい。
0.6≦(A’/A)≦1・・・(3)
【0046】
上記範囲Rは、出射面f2と入射面f4の両凸面の頂点間の範囲である。例えば、デザインフィルム4はこの範囲R内に配置される。
図3に示すように、第1レンズL1の出射面f2から出射される光線は収束する側に屈折するが、反射面f3で反射されて出射される光線の方が、反射面f3で反射されない光線に比べて、より収束した光線となる傾向がある。上記の式(3)における(A’/A)は、1未満が好ましく、0.9以下であってもよい。
【0047】
また、第1レンズと第2レンズの位置関係で見ると、第2レンズL2の入射面f4のレンズ直径の最外部Qは、第1レンズL1の出射面f2から出射する光束の最外光線の出射位置Pを中心とした光軸方向に対して±30°以内の範囲に位置することが好ましく、±20°以内の範囲に位置することがより好ましい。これにより、第1レンズL1に対する第2レンズL2のレンズサイズを好適に設定でき、第2レンズL2の小型化を図りつつ、第1レンズからの出射光を第2レンズに漏れなく入射させることができる。
【0048】
なお、第2レンズL2の入射面f4に入射する光束の最外光線、および第1レンズL1の出射面f2から出射する光束の最外光線は、それぞれ第1レンズL1において反射面f3で反射されていない光線に基づくものである(
図3(a)参照)。
【0049】
図4は、第2レンズにおけるチーフレイアングルを説明する図を示す。
図4では、デザインフィルム4によって生成される画像光の光束のうち、光軸に沿った主光線と最外光線を示している。第2レンズL2の入射面f4に入射する光束の最外光線のチーフレイアングル(CRA)は特に限定されないが、下記の式(4)を満たすことが好ましい。最外光線のチーフレイアングル(CRA)は、
図4に示すように、光軸に対する内径側に向かう光線の角度を指す。
0°≦CRA≦15°・・・(4)
上記の式(4)を満たすことで、第1レンズL1と第2レンズL2とのマッチングを良好にすることができる。上記の式(4)におけるCRAは、10°以下がより好ましい。
【0050】
次に、照明装置における光線を
図5に示す。
図5に示すように、光源3からの光は第1レンズL1に入射されて、該レンズ内で有効径が拡がるように進み、出射面f2から出射される。第1レンズL1から出射した光によって、デザインフィルム4を透過して画像光が形成される。デザインフィルム4から出射された画像光は、正のパワーを持つ第2レンズL2によって集光され、絞りSを透過した後、第3レンズL3によって出射される。
【0051】
光源側から、屈折面が正のパワーを持つ第1レンズ、デザインフィルム4、正のパワーを持つ第2レンズL2、絞りS、正のパワーを持つ第3レンズL3を配置することで、レンズ構成を効率化しつつ、第3レンズに入射される画像光の有効光束を小さくして第3レンズ(特に入射側)をコンパクトにできる。
【0052】
ここで、
図5に示す範囲Rにおける第1レンズによる集光分布の一例を
図6に示す。
図6は、範囲Rにおける位置としてデザインフィルム4上での集光分布を示している。
図6において、横軸は光軸を中心(X座標値0)としたX座標値を示し、縦軸は照度を示す。
図6の横軸の全領域がデザインフィルム4での有効径Aに相当する。
【0053】
図6に示すように、光軸を中心とした一方向における集光分布において、ピークを対称に2箇所有している。
図6では、ピーク位置は、光源の光軸を中心とした有効径Aの90%の範囲内に含まれており、より具体的には、有効径Aの40%~90%の範囲内に含まれている。このような範囲内にピークを有することで、有効径Aにおける周辺部の光量を確保しやすくなる。なお、中心側(例えば、有効径Aの30%の範囲内)にピークを有するようにしてもよい。
【0054】
本発明の照明装置は、上記
図1~
図6の構成に限定されるものではない。例えば、
図1では、照明装置1が3枚のレンズ構成からなる例を示したが、これに限定されず、例えば、第2レンズL2を複数枚のレンズ群で構成してもよい。例えば、第2レンズL2を2枚のレンズ群で構成する場合、その第2レンズ群全体として正のパワーを持つことが好ましい。この場合、照明装置は4枚のレンズ構成からなる。
【0055】
また、
図1では、第1レンズL1において、導光部L1aが円錐台状部L1bを有する構成としたが、これに限定されず、例えば、導光部が角錐台状部(例えば五角錐台状部や六角錐台状部)を有する構成としてもよい。この場合、第1レンズの入射面から入射した光の一部は、角錐台状部の側面に形成される反射面によって反射されて出射面へ導かれる。
【0056】
また、本発明の照明装置は、例えば、第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、画像生成部、および絞り以外の光学素子を有する構成としてもよい。例えば、照明装置に更に追加部品を設けて、光量を確保するようにしてもよい。この構成の一例を
図7に示す。
【0057】
図7(a)は上述した照明装置(基本構成)における光線図を示し、
図7(b)は追加部品における光線図を示し、
図7(c)は合成光線図を示す。
図7(b)における追加部品は、上述した第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、画像生成部、および絞りを外側から取り囲むように配置された光学素子である。この光学素子は、上述した光源から発せられ、第1レンズに入射しきれない光を取り込み、当該光学素子の反射面によって照射方向側に向けて反射させる。反射された反射光は、上述した光源の光軸方向と略平行な平行光となって光学素子内を進み、出射面で屈折されて出射される。
【0058】
このように、追加部品を組み合わせることで、
図7(c)に示すように、光をより照射方向に向けて利用させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の照明装置は、光軸方向と平行な方向へ光を照射する構成において、照射方向のサイズを小さくでき、かつ、光の利用効率が高いので、特に小スペースに設置される照明装置に適している。
【符号の説明】
【0060】
1 照明装置
2 ハウジング
2a 開口部
3 光源
4 デザインフィルム
L1 第1レンズ
L1a 導光部
L1b 円錐台状部
L1c フランジ部
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
S 絞り
f1 入射面
f2 出射面
f3 反射面
f4 入射面
f5 出射面
f6 入射面
f7 出射面