(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150384
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】水平軸方向角振動装置
(51)【国際特許分類】
G01M 7/02 20060101AFI20241016BHJP
B06B 1/04 20060101ALI20241016BHJP
H02K 33/18 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G01M7/02 C
B06B1/04 Z
H02K33/18 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023131931
(22)【出願日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】202211736155.2
(32)【優先日】2022-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211740278.3
(32)【優先日】2022-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202211740606.X
(32)【優先日】2022-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】505072650
【氏名又は名称】浙江大学
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】何 聞
(72)【発明者】
【氏名】苑 澤宇
(72)【発明者】
【氏名】周 杰
(72)【発明者】
【氏名】賈 叔仕
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水平軸方向の角振動装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る水平軸角振動装置は、ベースと、少なくとも、試験装置を載置するテーブルおよびテーブルに接続されてテーブルを回転駆動する主軸を有する可動部品と、テーブルおよび/または主軸に接続されて主軸の軸線を中心に揺動するようにテーブルを駆動する駆動部品と、を含み、主軸の軸線は、水平に設けられている。本発明によれば、主軸が水平に設けられ、第1駆動部品によって駆動されるため、試験装置を載置するテーブルがそれと平行する回転軸を中心に角振動し、取付け面に対し平行かつ敏感な回転軸を有する試験装置に対する加振を実現できる。また、第2駆動部品を設けることによって、試験装置の取付けなどにより生じるテーブル上の可動部品の重心の上方可動に対して、付加的な重力モーメントを形成して補償できる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
少なくとも、試験装置を載置するテーブルと、前記テーブルに接続され、前記テーブルを回転させる主軸と、を有する可動部品と、
前記テーブルおよび/または前記主軸に接続され、前記主軸の軸線を中心に前記テーブルを回動させる駆動部品と、
を有し、前記主軸の軸線は水平に設けられている、水平軸方向角振動装置。
【請求項2】
前記駆動部品は第1駆動部品であり、当該第1駆動部品は、前記主軸の両端に接続された第1可動コイルアセンブリと、前記第1可動コイルアセンブリに適合した第1磁気回路アセンブリと、を備え、前記第1可動コイルアセンブリは前記可動部品に取り付けられ、前記第1磁気回路アセンブリは前記ベースに固定され、
前記第1可動コイルアセンブリに交流電流が流される際、前記第1磁気回路アセンブリにおいて生じるエアギャップ磁界の作用によって前記第1可動コイルアセンブリにおいて交番トルクが生じ、当該交番トルクの駆動により、前記可動部品が平衡位置を中心に往復揺動され、前記テーブルの角振動が実現される、
ことを特徴とする請求項1に記載の水平軸方向角振動装置。
【請求項3】
前記第1駆動部品は、2セット設けられ、2セットの前記第1駆動部品は、前記主軸の両端に対称設置されて前記主軸の回転を駆動する、
ことを特徴とする請求項2に記載の水平軸方向角振動装置。
【請求項4】
前記第1可動コイルアセンブリは、円盤型の形状を呈し、第1ベースと、前記第1ベースの表面に固定された第1コイルセットと、を含み、前記第1ベースは前記主軸に固定接続され、
前記第1磁気回路アセンブリは、前記ベースに設けられた内側磁気ベースと、前記ベースに設けられ、前記内側磁気ベースに適合した外側磁気ベースと、前記内側磁気ベースに設けられた内側磁石と、前記外側磁気ベースに設けられた外側磁石と、前記内側磁石と前記外側磁石との間に形成された第1エアギャップと、を含み、
前記第1可動コイルアセンブリは、前記内側磁石および前記外側磁石のそれぞれと間隔をおいて結合されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の水平軸方向角振動装置。
【請求項5】
前記駆動部品は、前記主軸の中央部に設けられた第2駆動部品であり、当該第2駆動部品は、前記テーブルまたは前記主軸に取り付けられた第2可動コイルアセンブリと、前記第2可動コイルアセンブリに適合した第2磁気回路アセンブリと、を備え、前記第2可動コイルアセンブリは前記可動部品に取り付けられ、前記第2磁気回路アセンブリは前記ベースに固定され、
前記第2可動コイルアセンブリに電流が流される際、前記第2磁気回路アセンブリにおいて生じるエアギャップ磁界の作用によって前記第2可動コイルアセンブリにおいて駆動トルクが生じ、当該駆動トルクおよび前記第1可動コイルアセンブリにおいて生じる交番駆動トルクがともに前記可動部品に作用される、
ことを特徴とする請求項1に記載の水平軸方向角振動装置。
【請求項6】
前記第2可動コイルアセンブリは、少なくとも1つの第2可動コイルユニットを有し、当該第2可動コイルユニットは、半円板形状の第2ベースおよび少なくとも1つの前記第2ベースの表面に固定された第2コイルセットを有し、前記第2ベースの円心が前記主軸の軸線上に位置されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の水平軸方向角振動装置。
【請求項7】
前記第2コイルセットは、1本ワイヤから巻回された第1コイルおよび第2コイルを有し、前記第1コイルおよび前記第2コイルは、それぞれ、エアギャップ磁界の内側に位置する有効ワイヤセットと、エアギャップ磁界の外側に位置する第1接続ワイヤセットおよび第2接続ワイヤセットと、を含み、各コイルは、2つの有効ワイヤセットを有し、前記第1接続ワイヤセットおよび前記第2接続ワイヤセットは、それぞれ、両側の有効ワイヤセットに接続され、
ここで、第1接続ワイヤセットは前記第2ベースの円心に近接し、第2接続ワイヤセットは前記第2ベースの円心から離れており、前記第1接続ワイヤセットおよび前記第2接続ワイヤセットは同心であり、有効ワイヤセットにおけるワイヤはいずれも第2ベースの円心に向いており、
各コイルにおける2つの有効ワイヤセットの電流方向は反対であり、各コイルにおける2つの有効ワイヤセットは、それぞれ2つの隣接するエアギャップ磁場位置と1対1に対応し、隣接するエアギャップ磁場は反対方向を向いており、
2つのコイルにおける隣接する有効ワイヤセットの電流方向は同じであり、同一のエアギャップ磁界内に位置されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の水平軸方向角振動装置。
【請求項8】
前記第2磁気回路アセンブリは、取付台に設けられた第1磁化器と、前記第1磁化器に適合第2磁化器と、前記第1磁化器に設けられた第1磁石と、前記第2磁化器に設けられた第2磁石と、前記第1磁石と前記第2磁石との間に形成された第2エアギャップと、を有し、
前記第2可動コイルアセンブリは、前記第1磁石および前記第2磁石のギャップに嵌合されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の水平軸方向角振動装置。
【請求項9】
前記第2駆動部品は、複数セットに設けられ、複数セットの前記第2駆動部品は、前記主軸の中央部に対称配置され、隣接する2セットの第2駆動部品は、1つの磁化器を共有する、ことを特徴とする請求項5に記載の水平軸方向角振動装置。
【請求項10】
前記テーブルおよび/または前記主軸に関連付けられ、前記可動部品の全体の重心を前記主軸の軸線上に調整する重心調整アセンブリをさらに備える、ことを特徴とする請求項1~2、5のいずれか一項に記載の水平軸方向角振動装置。
【請求項11】
前記重心調整アセンブリは、少なくとも2セット設けられ、2セットの前記重心調整アセンブリは、前記主軸の長さ方向に沿って離隔して設けられ、かつ、前記テーブルに対して対称設置され、
前記重心調整アセンブリは、前記テーブルに設けられた固定平衡ブロックと、前記固定平衡ブロックに可動可能に設けられた調整可能平衡ブロックとを備え、前記固定平衡ブロックは、前記可動部品の重心が偏位する反対方向の位置に設けられている、
ことを特徴とする請求項10に記載の水平軸方向角振動装置。
【請求項12】
前記調整可能平衡ブロックと前記固定平衡ブロックは、複数の締結ボルトおよびナットによって固定され、前記固定平衡ブロックの一側面にはテーブルから離れる方向に開口したT字型のガイド溝を有し、前記ナットの大径端部は前記T字型のガイド溝内で摺動可能で、前記締結ボルトのねじ部は、前記調整可能平衡ブロックから穿出して前記ナットに接続されている、ことを特徴とする請求項11に記載の水平軸方向角振動装置。
【請求項13】
前記重心調整アセンブリは、トルクを補償するための第2駆動部品であり、前記第2駆動部品は、前記主軸の中央部に設けられ、前記テーブルまたは前記主軸に取り付けられた第2可動コイルアセンブリと、前記第2可動コイルアセンブリに適合する第2磁気回路アセンブリを有し、前記第2可動コイルアセンブリは、前記可動部品に取り付けられ、前記第2磁気回路アセンブリは、ベースに固定されている、ことを特徴とする請求項10記載の水平軸方向角振動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角振動テーブル技術領域に関し、特に水平軸方向角振動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現代科学技術の発展に伴い、角振動センサーは、たとえば、深海探査、資源探査、航空宇宙、医療機器、自動車産業、家電製品などのような国民経済生活の各分野においてますます広く使われている。角振動センサーは、工場出荷前にキャリブレーションする必要があり、なお、一定期間使用された後または修理後も校正する必要がある。一方、角振動テーブルは、角振動センサーの動的性能をキャリブレーションまたは校正する重要な機器の一つとしてますます注目されている。また、角振動テーブルは、様々な製品に対する角振動の環境試験の実施に使用できる。
【0003】
従来の角振動テーブルは、駆動部品としてDCトルクモーターを採用し、モーターのトルク出力軸は可動部品の主軸と固設され、DCトルクモーターに交流電流を流すと、モーターにより生じる交流トルクが可動部品に作用し、可動部品に角振動を発生させる。モーターの時定数の影響により、このようなDCトルクモーターの角振動テーブルの動作周波数範囲は、通常100Hz以下であり、軸受の摩擦力が大きく、モーター内部の不均一な磁界の影響のため、ブラシレスDCトルクモーターを使用しても、振動テーブルから出力される角振動波形の歪みも比較的大きい。
【0004】
近年、上記のようなモーターを駆動部品とする角振動テーブルの欠点を解消するために、モーター駆動ではないコイル励磁駆動の角振動テーブルが徐々に提案されている。たとえば、中国特許出願CN200610099078.9には、モーター駆動モードではない電動式角振動テーブルが開示され、角振動テーブルの励磁システムは、電気技術者が純鉄で作成されたベース、磁性体コアの外壁およびヨークと励磁コイルとの組み合わせにより構成され、可動コイル骨格にはワイヤ溝が均一に設けられ、駆動ワイヤは絶縁粘着紙によりしっかりと包まれて可動コイル骨格のワイヤ溝に挿入され、高圧浸漬塗装および硬化され、ワイヤがワイヤ溝の両端から延び出してフレキシブルワイヤと溶接され、中空円筒カップ構造の主軸は、その両端はそれぞれ可動コイルおよびテーブルと接続され、主軸の外側にはゴムシリンダーがセットされ、ゴムシリンダーの両端は強力な接着剤によりそれぞれ支持台とテーブルに接着され、可動コイルは、磁性体コアとヨークとの間に設けられている。このような角振動テーブルは、励磁コイルにより磁場を生じ、エアギャップ磁界における可動コイルに交流を流し、可動コイルと磁界との電磁カップリング効果のもとで、可動コイルは交流トルクを生成し、可動コイルと接続されるテーブルにおいて角振動を生じさせる。このような角振動テーブルは、次のような欠点を有する。1)可動コイルの巻上げが困難で、配線が不均一で、プロセスが複雑である。2)回転部品の慣性が大きく、動作周波数範囲が狭い。3)ゴムシリンダーばねを駆動部品の回復ばねとして使用するため、角度の範囲が制限され、角変位が小さく、角加速度の波形の歪みが大きい。
【0005】
また、中国特許出願CN201420503770.3には、ハウジング、テーブル、テーブルを回転させる主軸、第1可動コイルアセンブリ、磁気回路アセンブリ、空気軸受および角変位センサーを備える角振動装置が開示されている。当該角振動装置が動作する際、コイルに交流電流を流すと、コイルは磁場の作用下でアンペール力が生じることにより、アンプルール力の作用下で第1可動コイルアセンブリが平衡位置の周りを往復振動する。このような角振動装置は、上記角振動装置の問題点を解決できるが、上記らの角振動装置の回転軸は、いずれも角振動テーブルに対して垂直、または重力加速度に対して平行である。
【0006】
角振動センサーには2つの種類がある。1つは、感度のよい回転軸が取付け面に垂直なもので、もう一つは、感度のよい回転軸が取付け面に平行なもので、取付け面は通常水平である。回転軸がテーブル面に垂直または重力加速度に平行な角振動テーブルは、感度のよい回転軸が取付け面に垂直な角振動センサーの校正にのみ使用でき、感度のよい回転軸が取付け面に平行な角振動センサーの校正に使用するためには、取付け面を角振動テーブルのテーブル面に対して垂直に配置する必要がある。しかしながら、これは実際の動作状態と一致せず、追加工具による影響を加えれば、大きな校正誤差をもたらしてしまう。したがって、感度の良い回転軸が取付け面に平行な角振動センサーは、回転軸がテーブル面に平行な角振動テーブルを使用せざるをえない。さらに、水平軸方向の回転自由度を持つ製品の角振動環境試験のシミュレーションにも、回転軸がテーブル面に平行な角振動テーブルが必要である。また、回転軸がテーブル面に平行な角振動テーブルは、重力場におけるリニア加速度センサーの動的校正にも使用できる。現在、回転軸がテーブル面に平行な校正用の角振動テーブルはまだ市販されていない。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、上記従来技術における問題点に鑑みてなされたものであり、水平軸方向の角振動装置を提供することを目的とする。
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る水平軸方向の角振動装置は、
ベースと、
少なくとも、試験装置を載置するテーブルと、前記テーブルに接続され、前記テーブルを回転駆動する主軸と、を有する可動部品と、
前記テーブルおよび/または前記主軸に接続され、前記主軸の軸線を中心に前記テーブルを回動させる駆動部品と、
を有し、前記主軸の軸線は水平に設けられている。
【0009】
本発明による有益な効果は以下のとおりである。
本発明によれば、主軸が水平に設けられ、かつ、駆動部品により駆動され、試験装置を載置するテーブルが自身に平行な回転軸を中心に角振動するため、感度の良い回転軸が取付け面に平行な試験装置(たとえば、角振動センサー)に対する加振を実現し、感度の良い回転軸が取付け面に平行な角振動センサーの実際の取付条件における動的校正を実現し、このようなセンサーの振幅特性および周波数特性を取得することにより本発明に係る角振動装置が感度の良い回転軸が取付け面に平行な角振動センサーを動的校正するシーンに使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係る水平軸方向角振動装置を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態1に係る水平軸方向角振動装置を示す断面図である。
【
図4】本発明の実施形態1に係るフィードバック制御アセンブリの原理を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施形態2に係る水平軸方向角振動装置を示す立体図である。
【
図7】本発明の実施形態2に係る水平軸方向角振動装置を示す断面図である。
【
図10】本発明の実施形態3に係る水平軸方向角振動装置を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態3に係る水平軸方向角振動装置を示す断面図である。
【
図14】
図12の第2コイルセットの巻線配置を示す図である。
【
図15】
図12の磁石と位置決め部品の組み合わせを示す図である。
【
図16】
図12の第1固定ブロック、第2固定ブロックと第2可動コイルセットとの組み合わせを示す図である。
【
図17】本発明の実施形態4に係る水平軸方向の角振動装置を示す図である。
【
図19】本発明の実施形態4に係る水平軸方向の角振動装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いわゆる当業者が本発明についてより理解しやすいため、以下では、図面を参照しながら、本発明の実施形態について明確かつ詳細に説明する。
【0012】
(実施例1)
図1および
図2に示すように、軸方向が水平である角振動装置10は、ベース11、可動部品および第1駆動部品20を有する。可動部品は、少なくともテーブル12と主軸13を備え、第1駆動部品20の駆動によって動作する。テーブル12は、試験装置を載置する作業用テーブルであり、表面には試験装置を取付けるための複数のねじ穴121が均等に設けられている。主軸13は、軸線が水平に設けられ、第1駆動部品20により駆動されて往復回転する。主軸13は、テーブル12を穿設しかつテーブル12に固設され、テーブル12を揺動させることにより、テーブル12から角運動量が出力され、試験装置を振動させる。ここで、試験装置は、感度のよい回転軸が取付け面に平行な角振動センサーまたは感度のよい回転軸が取付け面に平行な他の装置であってよい。
【0013】
本発明によれば、主軸13が水平に設けられ、試験装置を載置するテーブル12が自身に平行な回転軸を中心に角振動するため、感度の良い回転軸が取付け面に平行な試験装置(たとえば、角振動センサー)に対する加振を実現することにより本発明に係る角振動装置10が感度の良い回転軸が取付け面に平行な角振動センサーを動的校正するシーンに使用できる。
【0014】
図1および
図2に示されるように、第1駆動部品20は2セット設けられ、それぞれベース11に取付けられ、2セットの第1駆動部品20は、主軸13の両端に対称設置され、同時に主軸13に回転トルクを出力し、主軸13の回転誤差を低減し、角振動装置10の駆動能力を向上させる。当然でありながら、他の実施例において、第1駆動部品20は1セットだけ設けられ、主軸13の一端に関連づけられ、主軸13の他端は、軸受26を介してベース11に直接回転可能に設けられ、1セットの第1駆動部品20によって駆動されてもよい。
【0015】
図1に示されるように、ベース11の左右両側には、テーブルの下方の空間をガードするための側板14が対称に設けられている。側板14の上部には位置制限ブロック141が固定されており、位置制限ブロック141はテーブル12の下方に設けられ、テーブルとの一定の高低差を保っている。位置制限ブロックを設けることにより、テーブルの揺動範囲を制限する。具体的には、各側板には2つの位置制限ブロックが設けられている。
【0016】
具体的には、
図2および
図3に示すように、第1駆動部品20は、主軸13に関連づけられる第1可動コイルアセンブリ21と、第1可動コイルアセンブリ21に応じて設けられる第1磁気回路アセンブリ22と、を含む。動作する際、第1可動コイルアセンブリ21に交流電流を流し、第1磁気回路アセンブリ22によって生じるエアギャップ磁界の作用の下で、第1可動コイルアセンブリ21において交流駆動トルクが生じ、主軸13を介してテーブル12に伝達され、テーブル12が平衡位置の周りを往復揺動することでテーブル12の角振動を実現し、テーブル12から角運動量が出力される。
【0017】
次のような駆動方法を採用する。均一なエアギャップ磁界に位置される通電コイルを介して生じる均一なトルクが主軸に作用し、主軸を介してテーブルの角振動を駆動することにより、通常のモーターで角振動を実現場合に発生する整流トルク脈動や電磁トルク脈動が解消され、出力波形の歪みが少ない。
【0018】
図2および
図3に示されるように、第1可動コイルアセンブリ21が完全な円盤構造を有し、主軸13に第1可動コイルアセンブリ21と適合する段差が設けられることにより、第1可動コイルアセンブリ21を迅速に位置決めし、かつ、主軸13上の第1可動コイルアセンブリ21の位置を制限する。また、主軸13には圧力リング23が螺合され、圧力リング23と段差とが協働して第1可動コイルアセンブリ21を固定する。
【0019】
図2および
図3に示されるように、具体的には、第1可動コイルアセンブリ21は、少なくとも1つの第1可動コイルユニットを有し、第1可動コイルユニットは、円板状の第1基板211および第1基板211の表面に固定された複数の第1コイルセットを備え、第1基板211はと主軸13とは固定接続されている。1つの第1可動コイルユニットにおける各々の第1コイルセットは、並列または直列に接続されている。第1コイルセットは、エアギャップ磁界の内側に位置する有効ワイヤセットおよびエアギャップ磁界の外側に位置する接続ワイヤセットを含み、エアギャップ磁界の外側に位置する接続ワイヤセットは第1基板と同心であり、エアギャップ磁界の内側に位置する有効ワイヤセットは第1基板の円心を向いている。本発明では、たとえば、中国特許出願CN201310451020.6に開示されてある第1可動コイルユニットを使用できる。
【0020】
具体的には、
図2および
図3に示されるように、第1磁気回路アセンブリ22は、内側磁性導体シート221、外側磁性導体シート222、内側磁石223、外側磁石224および内側磁石223と外側磁石224との間に形成された第1エアギャップを有する。
【0021】
前記内側磁性導体シート221はベース11に取り付けられている。前記外側磁性導体シート222は、ベース11に取り付けられ、かつ、テーブル面12から離れた内側磁性導体シート221の側に位置し、ベース11には、内側磁性導体シートおよび外側磁性導体シートを同時に押圧して固定する押圧カバー15も設けられている。2組の第1磁気回路アセンブリ22の内側および外側磁性導体シートは、ベース11と適合してU字型構造を形成する。主軸13の両端は、軸線の水平を保つためにそれぞれU字型構造上に架設され、具体的には、主軸13の両端は、径方向の空気軸受26によって内側磁性導体シート221に取り付けられている。
【0022】
前記内側磁石223は、主軸の軸線に沿って周方向に複数設けられ、テーブル面12から離れた内側磁性導体シート221の側壁にそれぞれ固定されている。前記外側磁石224は、主軸の軸線に沿う周方向に複数個設けられ、それぞれテーブル面12の一側に近い外側磁性導体シート222の側壁に固定されている。前記内側磁石223と前記外側磁石224とは同数であり、前記内側磁石223と前記外側磁石224とは1対1に対応している。前記外側磁性導体シート222、内側磁性導体シート221、内側磁石223、外側磁石224および第1エアギャップは、閉磁路システムを形成する。
第1可動コイルアセンブリ21の各第1コイルセットの有効ワイヤセットは全て、対応する内側磁石223と外側磁石224との間に形成されたエアギャップの磁界内に常に位置し、第1可動コイルアセンブリ21はそれぞれ内側磁石223と外側磁石224とギャップフィットする。
【0023】
前記内側磁石223と外側磁石224は同じ構造を有し、複数の内側磁石223は円形領域を囲み、外側磁石224も同様に円形領域を囲み、内側磁石223の円形領域は外側磁石224の円形領域と同軸であり、主軸13は円形領域内に延びる。
【0024】
内側磁石223と外側磁石224は、それぞれタイル状に設けられている。周方向において、隣り合う磁石の間には隙間があり、外側磁石224および内側磁石223の数が変化すると、第1基板211上のコイルセット数も同時に変化する。内側磁石223と外側磁石224の数はともに2の倍数である。
【0025】
永久磁石磁気回路構造を採用するため、励磁コイルを排除し、励磁システムの損失を低減し、エネルギー変換効率を向上させ、磁気回路構造はシンプル、コンパクトで信頼性が高い。
【0026】
図2および
図3を参照すると、前記内側磁石223および外側磁石224は、それぞれ外周に位置決めリング24を備え、内側磁石223と協働する位置決めリング24は、締結具によって内側磁性導体シート221に連結され、外側磁石224と協働する位置決めリング24は、締結具によって外側磁性導体シート222に連結される。位置決めリング24の内壁は、内側磁石223と外側磁石224の外形は接続しており、磁石を制限し、主軸13に沿った磁石の径方向の変位を回避し、エアギャップ磁界の安定性を確保する。
【0027】
内側磁性導体シート221と外側磁性導体シート222はそれぞれ、位置決めリング24と協働する位置決め溝25を備え、位置決めリング24を制限するように、位置決めリング24が部分的に位置決め溝25にはめ込まれる。
【0028】
図2および
図3を参照すると、水平軸方向角振動装置10は、径方向空気軸受26をさらに備えており、径方向空気軸受26は、主軸13と内側磁性導体シート221との間に配置されている。
【0029】
具体的には、前記径方向空気軸受26は、主軸13にソケット止めされた空気軸受スリーブ261と、上記空気軸受スリーブ261と嵌合する軸受座262とからなり、上記軸受座262は内側磁性導体シート221に取り付けられている。前記空気軸受スリーブ261および軸受座262は先行技術であり、その構造は繰り返さない。空気軸受スリーブ261と主軸13の側壁との間には半径方向の気体膜が形成され、半径方向の気体膜が主軸13を支えている。気体の粘性は極めて小さいため、摩擦はほとんどないと考えることができ、主軸は完全な空気軸受運動を実現し、主軸の回転に対する非線形摩擦抵抗の影響を大幅に低減し、角振動装置10の出力運動波形の歪みを低減することができる。また、径方向空気軸受のエアフィルムからオーバーフローしたガスは、第1可動コイルアセンブリを冷却する役割を果たす。
【0030】
図2および
図3を参照すると、本願発明の角振動装置10は、平面空気軸受28と、支持板291と、押圧ボルト292とからなる軸方向空気軸受を更に備えている。前記平面空気軸受28は、前記主軸13の両端に設けられ、前記支持板291は、前記外側磁性導体シート222に固定的に連結され、前記押圧ボルト292は、前記平面空気軸受28を前記主軸13の端部に対して押圧するために、前記支持板291に螺合されている。具体的には、前記押圧ボルト292はボールヘッドコンプレッションボルトを採用し、押圧ボルト292と主軸13の異なる軸の影響を排除し、平面空気軸受28が主軸13の端面に対して常に平面で均一なエアフィルム接触を維持するようにしている。平面空気軸受28は既存技術であり、その構造は繰り返さない。
【0031】
このようにして、平面空気軸受と主軸端部との間に軸方向の空気膜が形成され、主軸の軸振れが低減され、主軸の運動が安定し、角振動装置10の出力運動波形の歪みがさらに低減される。
【0032】
図2および
図4を参照すると、本発明の角振動装置10のフィードバック制御は、フィードバック制御アセンブリ70を介して達成される。
【0033】
具体的には、前記フィードバック制御アセンブリ70は、角変位センサー71、フィードバックユニット72、信号発生器73、減算器74、PID制御器75および電力増幅器76から構成される。角変位センサーは、角度回折格子31と読取ヘッド61から構成される。前記角度回折格子31は、締結具を介して主軸13の一端の圧力リング23に取り付けられ、前記読み取りヘッド61は、読み取りヘッド取り付けブロック62を介して角度回折格子31の反対側の外側の導電性磁気シート222に取り付けられ、角度回折格子31と読取ヘッド61は既存の製品であり、構造は繰り返されず、読取ヘッド61は、主軸13とテーブル面12の回転の角度変位信号θを検出するために角度回折格子31と協働する。角度変位信号はフィードバックユニットに入力され、フィードバックユニットは入力信号を増幅して第1出力信号を得、入力信号はまず微分され、次に増幅されて第2出力信号を得(すなわち、フィードバックユニットは入力信号の2種類の処理をそれぞれ行い、第1出力信号と第2出力信号を得る)、第1出力信号と第2出力信号を重ね合わせてフィードバックユニット出力信号を得る。フィードバックユニットの出力信号と信号発生器から出力された標準信号を減算器で減算して偏差信号を得、偏差信号をPID制御器で処理して電力増幅器に出力し、主軸13とテーブル12を駆動することにより、角振動装置10のフィードバック制御を実現し、角振動装置の出力運動の波形の歪みを改善・低減する。
【0034】
図2および
図3を参照すると、主軸13の一端に角度回折格子31が付加されることによって発生する重心オフセットを補正するために、主軸13の角度回折格子31から離れた他端には、角度回折格子31の質量と同じ質量を有するウェイトリング32が設けられ、このウェイトリング32は、主軸13を中心として角度回折格子31と対称に配置され、主軸13の回転精度を高めている。具体的には、ウェイトリング32は、締結具によって圧力リング23に取り付けられている。
【0035】
図2および
図3を参照すると、前記外側磁性導体シート222には、貫通した第1貫通孔2221が設けられており、この第1貫通孔2221は、角度回折格子31および読取ヘッド61へのアクセスを容易にするための視認可能な窓として機能する。前記外側磁性導体シート222は、前記内側磁性導体シート221から離れた側で前記第1貫通孔2221を封止するための端部キャップ27aを備え、この端部キャップ27aは、前記外側磁性導体シート222に螺合または締結具によって連結される。
【0036】
(実施例2)
図5~
図7を参照すると、本実施形態では、前記テーブル12または主軸13が、本角度振動装置の大きな負荷の必要性に応えるために質量中心調整アセンブリ40を備えている点で、実施例1と異なっている。本角度振動装置10の可動部の質量中心は、テーブル12が無負荷のときに主軸13の軸に調整されるので、一方では可動部に小さな回転慣性を持たせることができ、他方ではテーブル12が静止しているときに水平方向を保証することができる。テーブル面12に大きな質量の試験装置が載置されると、可動部品の質量中心が上方に可動し、テーブル面12の上面まで可動することになり、可動部品の慣性モーメントが大きくなるだけでなく、テーブル面が不安定になって横向きになり、角振動装置の制御が困難になる。このため、テーブル面の下方に質量中心調整アセンブリ40を設け、質量中心のずれを補正し、可動部品の全体的な質量中心を主軸13の軸に対して調整することにより、可動部品が小さな回転慣性を維持し続けることができるようにし、さらに、テーブル面12が静止しているときに水平方向となるようにし、角振動装置の制御の困難性を低減し、テーブル面12から出力される運動の波形の歪み度合いをさらに低減するようにしている。
【0037】
図5~
図8を参照すると、前記質量中心調整アセンブリ40は、前記テーブル12に着脱自在に取り付けられた固定バランサブロック41と、上記固定バランサブロック41に取り付けられた複数の調整バランサブロック42とから構成されている。前記固定バランサブロックは、T字型構造として設けられており、前記固定バランサブロック41は、前記可動部の質量中心が偏倚する逆位置に設けられ、前記可動部の質量中心の全体的な偏在を調整するようになっている。本実施形態において、前記固定バランスブロックは、前記テーブル12の前記ベース11に近い側に設けられ、前記固定バランスブロック41は、前記テーブル12に接続されるフランジ面411を有する。前記調整可能なバランシングブロックは、U字形ブロックとして提供され、前記固定バランサブロック41は、少なくとも部分的に構造的に調整バランサブロック42に詰まっており、調整バランサブロック42が固定バランサブロック41の長さ方向に沿ってのみスライドできるようにし、調整バランサブロック42の可動のためのプラットフォームとして機能する。調整バランサブロック42と固定バランサブロック41は、複数の固定ボルト43とナット44によって固定されている。
【0038】
調整バランサブロックを固定バランサブロック上にセットすることにより、可動部が無負荷の時に調整バランサブロックを調整することにより、可動部の質量中心を主軸の軸線に調整することができる。そして、テーブルに負荷がかかり、質量中心がオフセットする場合には、調整バランサブロックの位置を調整して、質量中心のオフセットの値を微調整することにより、可動部品の質量中心を主軸の軸に戻すことができ、可動部品の質量中心の偏在を調整する精度をさらに向上させ、より柔軟に対応することができる。調整バランサブロック42の数と位置は、実際の作業条件に応じて調整することができる。
【0039】
図8および
図9を参照すると、前記固定バランスブロック41の一側面には、テーブルから離れる方向に少なくとも1つのガイド溝412が設けられており、ガイド溝412はT字形状の溝として設けられている。締結ボルト43の大径端部はガイド溝412内に位置し、締結ボルト43のねじ部は調整バランスブロック42からねじ抜かれてナット44に連結され、ナット44を締め付けることにより調整バランスブロック42の位置を固定することができる。ガイド溝412はT字型の溝として設定され、調整バランサブロック42の位置を調整するとき、締結ボルト43の大径の端部は常にT字型の溝内に位置し、調整バランサブロック42の位置を調整するのに便利である。
【0040】
図8および
図9を参照すると、前記固定バランスブロック41は、ガイド溝412に接続されたフィードスルー溝413をさらに備え、このフィードスルー溝413は、フランジ面411の近くのガイド溝412の端部に位置し、フィードスルー溝413は、調整バランサブロック42の組み立てを容易にするために、締結ボルト43の大径端部がアクセス可能である。前記調整バランスブロック42はまた、締結ボルト43のねじセグメントが通過可能な少なくとも1つの横溝421を備え、該横溝421は、前記ガイド溝412に対して垂直に配置される。本実施形態において、前記ガイド溝412は、2つのガイド溝412が互いに平行に設けられ、前記横溝421も、2つの横溝421が互いに平行に設けられ、2つのガイド溝412にまたがって設けられ、2つのガイド溝412に配置された4つの締結ボルト43が2つずつ同じ横溝421を通過することができ、横溝421がガイド溝412と垂直状態を維持するため、調整バランスブロック42が調整されることを防止する。これにより、調整バランスブロック42のたわみを防止することができる。
【0041】
図5~
図7を参照すると、本実施形態では、質量中心調整アセンブリ40は2つのグループに分かれて設けられており、2つのグループの質量中心調整アセンブリ40は、主軸13の長さ方向に沿って間隔をあけて配置され、主軸13の長さ方向においてテーブル12の中心分割面に対して対称に配置されている。ベース11上に対称に設けられたサイド板14は、重心調整アセンブリ40を保護する。もちろん、質量中心調整アセンブリ40の数や具体的な設置位置は、実際の作業条件に応じて設定することができる。
【0042】
(実施例3)
図10~
図13を参照すると、この実施形態では、ベース11が、テーブル12および/またはテーブルを部分的に貫通する主軸13に関連する第2駆動部材50をさらに備え、この第2駆動部材50は、取り付け部55によってベース11に結合され、2組の第1駆動部材20の間に配置されている点で、実施例1と区別される。ベース11上に対称的に設けられたサイド板14は、第2駆動部品5を保護する。前記第2駆動部品50は、テーブル12または主軸に取り付けられた第2可動コイルアセンブリ51と、第2可動コイルアセンブリ51と互換性のある第2磁気回路アセンブリ52とからなる。角振動装置10が作動しているとき、テーブル12および主軸13に作用する重力モーメントを発生させる大きな質量の試験装置がテーブル12に取り付けられているとき、第2可動コイルアセンブリに電流が流され、トルクを補償するために第2磁気回路アセンブリによって発生されるエアギャップ磁界の影響下で、上記重力モーメントと等しい大きさで反対方向のトルクが第2可動コイルアセンブリに発生される。第2駆動部品は、角振動装置の作動中に試験装置がテーブルに載置されることにより、可動部の質量中心が回転主軸に対して上方に可動し、可動部が重力モーメントにより転倒した場合に、第2駆動部品が、これを補償するために等しい大きさで反対方向のトルクを発生することができるように設けられており、可動部が平衡位置に復元され、テーブルのレベルがゼロ位置に復元される。
【0043】
具体的には、
図12および
図13を参照すると、前記第2磁気回路アセンブリ52は、第1磁石導体521と、第2磁石導体522と、第1磁石523と、第2磁石524と、第1磁石523と第2磁石524との間に形成された第2エアギャップとを含む。
【0044】
前記第1磁石導体521および第2磁石導体522は、それぞれ架台55に固定されている。前記第1磁石523は、複数個設けられ、それぞれ前記第1磁石導体521に固定される。前記第2磁石524は、複数個設けられ、それぞれ前記第1磁石導体521の側面近傍の前記第2磁石導体522の側壁に固定され、前記第1磁石導体521、第2磁石導体522、第1磁石材523、第2磁石材524および第2エアギャップは、閉磁路系を形成する。第1磁石523の位置と第2磁石524の位置は一対一であり、第2可動コイルアセンブリ51はそれぞれ第1磁石523と第2磁石524とギャップフィットしている。
【0045】
図12、
図13および
図15を参照すると、前記第1磁石523および第2磁石524は同じ構造を有し、複数の第1磁石523は扇形状の領域を囲み、複数の第2磁石524も扇形状の領域を囲み、複数の第1磁石523により形成される扇形状の領域と、複数の第2磁石524により形成される扇形状の領域とは、主軸13と同軸線上に設定されている。第1磁石523および第2磁石524は、それぞれタイル状に設けられており、周方向において隣り合う磁石間に隙間が設けられている。
【0046】
図13および
図15を参照すると、前記第1磁石523および第2磁石524はそれぞれ外周に位置決め部材56を備え、前記第1磁石523と協働する前記位置決め部材56は締結具を介して第1磁石導体521に接続され、前記第2磁石524と協働する前記位置決め部材56は締結具を介して第2磁石導体522に接続される。前記位置決め部材56は、部分的なリングの形態で提供され、位置決め部材56は、第1磁石523または第2磁石524を制限し、ずれを回避し、エアギャップの磁場の安定性を確保するために、隣接する磁石間のギャップに挿入可能なブロック561と一体成形されている。
【0047】
図12~
図14を参照すると、前記第2可動コイルアセンブリ51は、半円板構造として設けられ、第2可動コイルアセンブリ51は、少なくとも1つの第2可動コイルユニットで構成され、第2可動コイルユニットは、半円板状の第2基体511と、第2基体511の表面に固定された少なくとも1つの第2コイルセットとで構成されている。本実施形態では、第2基体は、ワイヤによって巻かれた第1コイル512aおよび第2コイル512bを含む第2コイルパックを有する。
【0048】
図14を参照すると、第1コイル512aは、内側から外側に向かって小さいものから大きいものへと徐々に巻かれたワイヤで構成され、第2コイル512bは、外側から内側に向かって大きいものから小さいものへと徐々に巻かれたワイヤで構成され、これらは全て第2基板511の表面上にある。第2コイルセットは、第1コイル512aの内側の始端516から始まり、第2コイル512bの内側の終端517で終わる。
【0049】
第1コイル512aは、エアギャップ磁界内に配置された有効ワイヤセット513aと、エアギャップ磁界外に配置された第1接続ワイヤセット514a、第2接続ワイヤセット515aとを含む。第1コイル512aは2つの有効導体セット513aを有し、有効導体セット513aの導体は全て第2基板511の円の中心を向いている。
【0050】
第1接続導体セット514a、第2接続導体セット515aおよび第2基板511は、同心円状に配置されている。第1接続導体セット514a、第2接続導体セット515aはそれぞれ2つの有効導体セット513aの間に配置され、第1接続導体セット514aは第2基板の円の中心に比較的近く、第2接続導体セット515aは第2基板の円の中心から比較的遠い。
【0051】
第2コイル512bは、第1コイル512aと同じ構造を有し、エアギャップ磁界内に配置された有効導体セット513bと、エアギャップ磁界外に配置された第1接続導体セット514bおよび第2接続導体セット515bとを含む。
【0052】
第2コイル512bは2つの有効ワイヤセット513bを有し、有効ワイヤセット513bのワイヤはすべて第2基板511の円の中心に向いている。
【0053】
第1接続導体セット514b、第2接続導体セット515bおよび第2基板511は、同心円状に配置されている。第1接続導体セット514b、第2接続導体セット515bはそれぞれ2つの有効導体セット513bの間に配置され、第1接続導体セット514bは第2基板の円の中心に比較的近く、第2接続導体セット515bは第2基板の円の中心から比較的遠い。
【0054】
このような解決策では、半円板状の第2基板にコイルを設けることで、ムービングコイルの小型化、軽量化、高剛性化、ムービングコイルの回転慣性の低減、ムービングコイルの固有周波数の向上が図れる。
【0055】
図14は、第1磁石523に対する第1コイル512aと第2コイル512bの位置を示している。
【0056】
図14を参照すると、各コイルにおける2つの有効ワイヤセットは異なる第1磁石523に対応し、周方向に隣接する2つの第1磁石523に対応する第2エアギャップ内の磁界は逆方向である。コイルに電流を流すと、コイル内の2つの有効ワイヤセットの電流方向が逆であるため、2つの有効ワイヤセットは同じ方向のアンペロメトリック力を受け、その結果、同じ方向のトルクが発生する。
【0057】
第1コイル512aの有効線群513aと、これに隣接する第2コイル512bの有効線群513bとがアンペロメトリック力発生部518を形成し、コイルセットがよりコンパクトになる。アンペロメトリック力発生部518は、同じ方向のエアギャップ磁界を受け、アンペロメトリック力発生部518の有効ワイヤ群513aと有効ワイヤ群513bは、同じ方向の電流を有するので、アンペロメトリック力発生部518は、単一方向のアンペロメトリック力を受け、同じ方向のトルクを発生する。
【0058】
もちろん、他の実施形態では、第2基板511は複数の第2コイルパックを有し、第2コイルパックは直列または並列に接続される。
【0059】
第2可動コイルユニットの数が複数である場合、複数の第2可動コイルユニットは直列または並列に接続される。
【0060】
直列接続とは、隣り合う2つの第2可動コイルユニットのうち、一方の第2可動コイルユニットのコイルの始点と、他方の第2可動コイルユニットのコイルの終点とが接続されることをいう。
【0061】
並列接続とは、隣接する2つの第2可動コイルユニットのうち、一方の第2可動コイルユニットのコイルの始点と他方の第2可動コイルユニットのコイルの始点とが接続され、一方の第2可動コイルユニットのコイルの終点と他方の第2可動コイルユニットのコイルの終点とが接続されることをいう。
【0062】
上述の第2可動コイルアセンブリ51の製造方法は、中国特許CN201310451020.6に言及されている。
【0063】
図12および
図13を参照すると、前記テーブル面12は、ベース11に面する側に切欠き122を備え、この切欠き122に対応する位置に主軸13が部分的に露出するようになっている。前記第2可動コイルアセンブリ51は、前記切欠き122内に部分的に位置し、前記第2可動コイルアセンブリ51は、前記主軸13の円周の一部を包含することができる溝を備え、前記溝の内壁は、前記主軸13の側壁に固着され、前記第2可動コイルアセンブリ51は、前記主軸13の軸に対してトルクを発生することができるようになっている。
【0064】
図12乃至
図16を参照すると、第2基板511は、第1固定ブロック53と第2固定ブロック54とからなる連結構造によって、カウンタートップ12に固定的に連結されている。前記第1固定ブロック53は、第2基板511の位置を制限するために、第2基板511の両側に対称に配置された2つ設けられ、第1固定ブロック53は、テーブル12に面する一側に主軸13を包含する曲面531を有するタイル状に設けられ、第1固定ブロック53の中心線が主軸13の軸線と一致するように第1固定ブロック53が配置される。前記第1固定ブロック53は、一端が前記第2基板511に突き当てられ、前記第1固定ブロック53は、前記第2基板511に連結するための第1連結部532と、前記テーブル面12に連結するための第2連結部533とを有する。前記第1連結部532は、第1固定ブロック53の第2基板511側の端部に位置する部分リングとして設けられ、第1連結部532は、締結具によって第2基板511に連結される。前記第2接続部533は、前記湾曲面531の軸線に沿った放射状の延長部として形成され、2つ設けられ、前記第1接続部532の中央部分に対して対称に配置され、前記第2接続部533は、締結具によって前記天板12に接続される。
【0065】
図16を参照すると、前記第2固定ブロック54は、4つ設けられており、2つの第2固定ブロック54ごとにグループとして設けられ、2つのグループは、それぞれ第2基板511の中心線から離れた位置に設けられ、グループ内に位置する2つの第2固定ブロック54は、第2基板511について対称に設けられている。第2固定ブロック54は、L字状に設けられ、第2基板511に接続される第1分岐部541と、テーブル面12に接続される第2分岐部542とを有し、第2基板511の堅固性をさらに向上させる。
【0066】
本実施形態では、
図12を参照して、前記第2駆動部品50のグループが2つあり、2つの第2駆動部品50のグループが共通の磁性導体521を共有し、第1磁性導体521の断面が逆T字型に設定され、2つの第2駆動部品50のグループの第2磁性導体522が第1磁性導体521の両側に対称に配置されており、コンパクトな構造であり、製造コストを低減することができる。もちろん、第2駆動部品50の数は本実施形態の例に限定されるものではなく、第2駆動部品50の各群が独立して間隔を空けて配置されていてもよい。
【0067】
本実施形態におけるトルク補償用第2駆動部品50の具体的な動作原理は以下の通りである。
S1:テーブル上に試験装置が置かれていない場合、水平軸角度振動装置10は、テーブルが水平であるときの平衡位置として記録され、角度回折格子はゼロ位置を記録する。
【0068】
S2:試験装置がテーブル上に置かれると、可動部の質量中心が上方に可動し、可動部全体の質量中心がその上にある主軸軸をたわませ、軸に対してたわみモーメントを発生させ、可動部全体が不安定になり、ゼロ位置をたわませる。
【0069】
S3:丸型回折格子は、可動部の全体的な偏向角変位信号を上位コンピュータにフィードバックする。
【0070】
S4:上位コンピュータは、可動部の全体的な偏向角変位に応じて偏向トルクの大きさを計算し、対応する電流を第2可動コイルアセンブリ51に出力し、第2駆動部50は、偏向トルクの大きさと方向とが等しく逆方向の補償トルクを発生させて可動部の位置を補償し、テーブル面を水平に戻してゼロ位置に復帰させる。
【0071】
(実施例4)
図17および
図19を参照すると、本実施形態と実施例3との相違点は、本実施形態では、第1駆動部品20が設けられておらず、主軸13および/またはテーブル12に関連する少なくとも1組の第2駆動部品50のみがベース11上に設けられており、主軸13が第2駆動部品50(このとき、この第2駆動部品50は第1駆動部品20に相当する)によって直接往復駆動されることである。テーブル12には、試験装置を加振するための角運動が出力されることになる。本実施形態では、第2可動コイルアセンブリ51の最大角変位は、有効ワイヤ群513が同一のエアギャップ磁界内で回転できる最大角度によって決まり、第2可動コイルアセンブリ51の最大角変位によってテーブル面の最大出力振幅が決まるので、角振動装置10の出力の異なる角振幅の要求に対して、また、コイルを配置するための基板のスペースを十分に利用するという設計思想に対して、ムービングコイル構造は、異なる数のコイル群に対して設計することができる。可動コイル構造は、異なるコイル数で設計することができる。
【0072】
図17~
図19を参照すると、ベース11上には2つの第1支持体111が対称に設けられており、主軸13の両端はそれぞれ径方向空気軸受26によって第1支持体111に支持されている。前記第1支持体111は、テーブル面から離れた側に第2支持体112を更に備え、前記第2支持体112もベース11に固定され、前記第2支持体112は、第2貫通孔1121を備え、前記主軸13の端部は、前記第2貫通孔1121内に部分的に延びる。前記第2支持体112は、前記第1支持体111から離れた側で前記第2貫通孔1121を塞ぐための端部キャップ27bを備え、この端部キャップ27bは、前記第2支持体112に螺合または締結具によって接続される。
【0073】
本実施形態では、
図19を参照して、前記第2駆動部品50のグループが2つあり、2つの第2駆動部品50のグループが共通の磁性導体521を共有し、第1磁性導体521の断面が逆T字型に設定され、2つの第2駆動部品50のグループの第2磁性導体522が第1磁性導体521の両側に対称に配置されており、コンパクトな構造であり、製造コストを低減することができる。もちろん、第2駆動部品50の数は本実施形態の例に限定されるものではなく、第2駆動部品50の各群が独立して間隔を空けて配置されていてもよい。
【0074】
更に、前記角振動装置10は、少なくとも2組の第2駆動部品50を備え、第2駆動部品の少なくとも1組は、主軸またはテーブルトップを角振動させるように交流電流で通電され、残りの第2駆動部品は、トルク補償として作用する。角振動装置10が作動するとき、テーブルトップ12に取り付けられた試験装置が、可動部品の質量中心を上方に可動させ、可動部品の全体的な質量中心を主軸軸からその上方に逸脱させ、テーブルトップ12および主軸13に作用する重力モーメントを発生させるとき、トルク補償器として作用する第2駆動部品50は、これを補償するために、等しい大きさで反対方向のトルクを発生させることができる。第2駆動部品50の全ては、個別に設けられてもよいし、第1磁性導体521を共有する態様で組み合わされてもよい。
【0075】
本実施形態における第2駆動部品の動作原理は以下の通りである。
St1:テーブルトップが試験装置と一緒に置かれていないとき、可動部の質量中心は、設計要件に従ってちょうど主軸軸上にある。この時、テーブルトップは水平に保たれ、可動部の平衡位置として、また角度回折格子記録のゼロ点位置として設定することができる。
【0076】
St2:試験装置をテーブルの上に置くと、可動部の質量中心が上方に可動する。可動部の質量中心が主軸の軸より上方に位置すると、可動部の重力により偏向重力モーメントが発生し、可動部全体の回転がゼロ位置からずれる;
【0077】
St3:動力源である第2駆動部品が可動部品を駆動して平衡位置を中心に前後に揺動させ、可動部品の全体的なたわみの角度変位信号が角度回折格子から上部コンピュータにフィードバックされる。
【0078】
St4:ホストコンピュータは、可動部の全体的な撓み角変位に応じて撓み重りモーメントの大きさを計算し、トルク補償として第2駆動部の第2可動コイルアセンブリに対応する電流を出力し、トルク補償としての前記第2駆動部は、テーブル面のレベルをゼロ位置に戻すように、撓み重りモーメントと同じ大きさで反対方向の補償トルクを生成して可動部の位置を補償する。
【0079】
上述の実施例は、技術的解決手段の保護範囲を限定するものではない。上記実施例の技術的思想および原理の範囲内で行われる修正、同等の置換および改良は、技術的解決策の保護範囲に含まれる。
【外国語明細書】