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特開2024-150388リニアモータ用冷却システム及びリニアモータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150388
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】リニアモータ用冷却システム及びリニアモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 41/03 20060101AFI20241016BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20241016BHJP
   H02K 9/19 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H02K41/03 A
H01L23/46 Z
H02K9/19 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023199546
(22)【出願日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】202310379741.4
(32)【優先日】2023-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522033221
【氏名又は名称】広東工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】王 長宏
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲イ▼華
(72)【発明者】
【氏名】楊 光
(72)【発明者】
【氏名】李 茂生
【テーマコード(参考)】
5F136
5H609
5H641
【Fターム(参考)】
5F136BA02
5F136BA07
5F136BA13
5F136BA14
5F136BC01
5F136CB08
5F136DA50
5F136FA02
5H609BB08
5H609PP07
5H609QQ04
5H609QQ23
5H609RR37
5H609RR63
5H641BB06
5H641GG03
5H641GG04
5H641GG06
5H641HH02
5H641JB03
5H641JB05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】リニアモータの放熱効率及び動作効率を向上させることができるリニアモータ用冷却システム及びリニアモータを提供する。
【解決手段】リニアモータの可動子6には、モータ用ケイ素鋼板が含まれ、モータ用ケイ素鋼板の底部には鉄心が接続され、鉄心にはコイル巻線が巻かれ、モータ用ケイ素鋼板の頂部には液冷プレートが設置され、モータ用ケイ素鋼板と液冷プレートの接触面との間には、熱伝導性の界面材料が設けられる。液冷プレートの内部には放熱フィンが設置され、且つ、放熱フィンには冷却媒体が流れる流路が形成され、液冷プレートの内部には液体入口と液体出口が設けられ、液体入口と液体出口は、それぞれ放熱フィンに形成された流路に貫通している。本発明によれば、扁平リニアモータの内部巻線の放熱状態を改善し、モータ巻線の温度を低減できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動子を含み、当該可動子には、モータ用ケイ素鋼板が含まれ、前記モータ用ケイ素鋼板の底部には鉄心が接続され、前記鉄心にはコイル巻線が巻かれ、前記モータ用ケイ素鋼板の頂部には液冷プレートが設置され、前記モータ用ケイ素鋼板と前記液冷プレートの接触面との間には、熱伝導性の界面材料が設けられ、前記液冷プレートの内部には放熱フィンが設置され、且つ、前記放熱フィンには冷却媒体が流れる流路が形成され、前記液冷プレートの内部には液体入口と液体出口が設けられ、前記液体入口と液体出口は、それぞれ前記放熱フィンに形成された流路に貫通していることを特徴とするリニアモータ用冷却システム。
【請求項2】
前記液冷プレートと前記モータ用ケイ素鋼板は面接触していることを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ用冷却システム。
【請求項3】
前記液冷プレートの上端にはカバープレートが設置され、前記液冷プレートの下端には底板が設けられ、前記カバープレートと前記底板との間には前記放熱フィンが設置されていることを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ用冷却システム。
【請求項4】
前記液体入口と前記液体出口はそれぞれ前記カバープレートの側面に設置されていることを特徴とする請求項3に記載のリニアモータ用冷却システム。
【請求項5】
前記放熱フィンの断面は凹凸型、山型、波形、多孔質形状、ジグザグ形状のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ用冷却システム。
【請求項6】
冷却媒体が流れる流路は、並列に配置された複数の単位流路を形成し、液体入口側の単位流路の数と液体出口側の単位流路の数は同じであり、且つ、単位流路の液体入口側及び液体出口側は、前記液体入口と前記液体出口にそれぞれ連通することを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ用冷却システム。
【請求項7】
前記単位流路は同一水平面上に配置され、前記単位流路は直線状の流路として配置されていることを特徴とする請求項6に記載のリニアモータ用冷却システム。
【請求項8】
冷却媒体が流れる流路はU字型の戻り流路であることを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ用冷却システム。
【請求項9】
前記熱伝導性の界面材料は熱伝導性シリコーングリースであり、前記冷却媒体は水であり、前記液冷プレートはアルミニウム合金製であることを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ用冷却システム。
【請求項10】
更に、前記可動子と協働する固定子も含まれ、前記可動子は前記固定子の中に摺動可能に設置され、前記固定子は磁性鋼とガイドレールとを含み、前記磁性鋼は前記ガイドレールの長さ方向に沿って敷設されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の冷却システムを備えたリニアモータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの放熱の技術分野に関し、特に、リニアモータ用冷却システム及びリニアモータに関する。
【背景技術】
【0002】
永久磁石リニアモータは、高推力密度、高加速、高速、高精度、高効率などの大きな利点を持ち、高精度CNCシステムやフォトリソグラフィーシステムなどに広く使用されている。
【0003】
推力密度を高めて高加速運転を実現するには、通常、より大きな電流密度を流す必要があり、損失が大きくなり、これらの損失が熱源となり、モータ温度が急激に上昇し、モータ巻線の絶縁温度上昇限界や永久磁石材料の温度上昇限界を超える場合があり、保護及び予防策が講じられない場合、高温によりモータの絶縁材料が劣化し、構造が変形し、永久磁石材料が減磁または磁性を失う可能性があり、その結果、モータの巻線とバックアイアンに高温の部分が蓄積・拡散して、モータが完全に損傷して動作不能になる。したがって、モータには、モータの温度上昇を抑制し、さまざまな使用条件下でのモータの過負荷容量と連続推力出力を向上させ、安全な動作を確保できる冷却システムを設置することが非常に必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術におけるリニアモータの放熱能力が不十分であるという問題に鑑み、本発明は、リニアモータの放熱効率及び動作効率を向上させることができるリニアモータ用冷却システム及びリニアモータを提供する。
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決策を採用する。
リニアモータ用冷却システムであって、
可動子を含み、当該可動子にはモータ用ケイ素鋼板が含まれ、上記モータ用ケイ素鋼板の底部には鉄心が接続され、上記鉄心にはコイル巻線が巻かれ、上記モータ用ケイ素鋼板の頂部には液冷プレートが設置され、上記モータ用ケイ素鋼板と上記液冷プレートの接触面との間には、熱伝導性の界面材料が設けられ、上記液冷プレートの内部には放熱フィンが設置され、且つ、上記放熱フィンには冷却媒体が流れる流路が形成され、上記液冷プレートの内部には液体入口と液体出口が設けられ、上記液体入口と上記液体出口は、それぞれ上記放熱フィンに形成された流路に貫通している。
【0006】
上記のリニアモータ用冷却システムでは、更に、上記液冷プレートと上記モータ用ケイ素鋼板は面接触している。
【0007】
上記のリニアモータ用冷却システムでは、更に、上記液冷プレートの上端にはカバープレートが設置され、上記液冷プレートの下端には底板が設けられ、上記カバープレートと上記底板との間には上記放熱フィンが設置されている。
【0008】
上記のリニアモータ用冷却システムでは、更に、上記液体入口と上記液体出口はそれぞれ上記カバープレートの側面に設置されている。
【0009】
上記のリニアモータ用冷却システムでは、更に、上記放熱フィンの断面は凹凸型、山型、波形、多孔質形状、ジグザグ形状のいずれかである。
【0010】
上記のリニアモータ用冷却システムでは、更に、冷却媒体が流れる流路は、並列に配置された複数の単位流路を形成し、液体入口側の単位流路の数と液体出口側の単位流路の数は同じであり、且つ、単位流路の液体入口側及び液体出口側は、上記液体入口と上記液体出口にそれぞれ連通している。
【0011】
上記のリニアモータ用冷却システムでは、更に、上記単位流路は同一水平面上に配置され、上記単位流路は直線状の流路として配置されている。
【0012】
上記のリニアモータ用冷却システムでは、更に、冷却媒体が流れる流路はU字型の戻り流路である。
【0013】
上記のリニアモータ用冷却システムでは、更に、上記熱伝導性の界面材料は熱伝導性シリコーングリースであり、上記冷却媒体は水であり、上記液冷プレートはアルミニウム合金製である。
【0014】
上記の冷却システムを備えたリニアモータであって、更に、上記可動子と協働する固定子も含まれ、上記可動子は上記固定子の中に摺動可能に設置され、上記固定子は磁性鋼とガイドレールとを含み、上記磁性鋼は上記ガイドレールの長さ方向に沿って敷設されている。
【発明の効果】
【0015】
従来技術と比較して、本発明の有利な効果は以下の通りである:本発明は、幾何学的パラメータ、電磁性能及び動作条件に関する研究を組み合わせて、リニアモータに適合する取り外し可能な液冷プレートを設計し、その中で、液冷プレートはモータのケイ素鋼板上に設置され、液冷プレートの底板側には熱伝導性の界面材料が設置されて、素子面接触時の熱抵抗を低減し、熱の効果的な伝達を強化するために使用される。液冷プレートはコイル巻線からの膨大な熱を循環パイプ内に封入された冷却媒体に間接的に伝え、冷却媒体を通して熱を除去する。冷却媒体は液体入口から液冷プレートに入り、液冷プレートに設置された放熱フィンを通って液体出口から流出し、熱を奪う。液冷プレートから流出した冷却媒体は外部冷却システムにより冷却された後、液冷プレートに再び送られて循環し、冷却される。
【0016】
一方では、液冷プレート内部に複数グループの拡張表面の構造(放熱フィン)が設けられ、より小さい冷却チャネル等価直径と対流熱伝達を促進するリブ表面形状を採用することにより熱交換密度を大幅に高めることができる。
【0017】
その中でも、モータの複雑な動作モードを考慮し、モータが低負荷や低速等低性能モードにあるときは、液冷プレートを取り外してエネルギー効率を向上させることができ、モータが高負荷、高精度、高加速、その他の高性能モードにあるとき、液冷プレートは熱暴走の問題をうまく解決でき、モータの信頼性の高い動作を保証し、また、迅速に分解できる液冷プレートの設計により、機械の使用と組み立ての難しさとコストもさらに削減される。要約すると、当該冷却システムは、長時間運転してもモータに熱がたまりにくく、モータの軽量化と小型化の要求を実現できる。また、本放熱構造はシンプルで分解が容易であり、省エネ、低コストという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施例における技術的解決策をより明確に説明するために、本実施例で使用する図面について簡単に紹介するが、以下の説明における図面は、本出願の一部の実施例にすぎず、当業者であれば、創造的な努力をすることなく、これらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
図1】本発明実施形態の三次元概略図。
図2】本発明実施形態に係る可動子の分解図。
図3】本発明実施形態に係る可動子の断面図。
図4】本発明実施形態に係る液冷プレートの分解図。
図5】本発明実施形態に係る液冷プレートの部分図。
図6】本発明実施形態に係る放熱フィンの立体図。
図7】本発明実施形態に係る液冷プレートにおける冷却媒体の流れを示す二次元上面図。
図8】本発明実施形態に係る液冷プレートにおける冷却媒体の流れを示す二次元側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態における技術的解決策は、本発明の実施形態における図面を参照して以下に明確かつ完全に説明される。明らかに、説明した実施形態は本出願の実施形態の一部にすぎず、すべての実施形態ではない。本願の実施形態に基づいて、当業者が創造的な努力なしに得た他のすべての実施形態は、本願の保護の範囲内に入る。
【0020】
実施例
本発明の明細書及び特許請求の範囲、ならびに上記の図面における「第1」、「第2」などの用語は、類似の対象を区別するために使用され、必ずしも特定の順序または順序を説明するために使用されるわけではないことに留意されたい。このように使用されるデータは、本明細書に記載される本発明の実施形態が、本明細書に図示または記載されたもの以外の順序で実施できるように、適切な状況下で交換可能であることを理解されたい。さらに、本発明の実施形態における「含む」及び「有する」という用語、及びそれらの全ての変形は、非排他的な包含を包含することを意図し、例えば、一連のステップやユニットで構成されるプロセス、方法、システム、製品、または設備を含み、明示的に列挙されたステップまたは要素に限定される必要はなく、明示的に列挙されていない、またはプロセス、方法、製品、または装置に固有の他のステップまたは要素を含んでもよい。
【0021】
「中心」、「縦」、「横」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「半径方向」、「円周方向」などに示される方位または位置関係は、図面に示される方位または位置関係に基づくものであり、単に、本発明の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものであり、言及されているデバイスまたは部品が特定の向きを持ち、特定の向きで構築され、動作しなければならないことを示したり暗示したりすることを意図したものではなく、したがって本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0022】
本発明の説明において、「複数」とは、特に明示的に限定されない限り、2つ、3つなどの少なくとも2つを意味する。また、特に明確に記載及び限定されない限り、「設置」、「連結」、及び「接続」という用語は、広い意味で理解されるべきであり、例えば、固定接続、取り外し可能な接続、または一体型の接続があってもよく、機械的接続、電気的接続であってもよく、直接接続することも、仲介経由で間接的に接続することも、2つの部品間の内部接続であってもよい。当業者であれば、本発明における上記の用語の具体的な意味は、ケースバイケースで理解できる。
【0023】
本発明において、特に明記及び限定されない限り、第1特徴が第2特徴の「上」または「下」にあるということは、第1と第2の特徴が直接接触していること、または第1と第2特徴が中間媒体を介して間接的に接触していることを意味することができる。また、第1特徴が第2特徴の「の上」、「上方」、「上側」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上、或は斜め上にあってもよく、或は、単に、第1特徴が第2特徴より水平方向に高いことを意味してもよい。第1特徴が第2特徴の「の下」、「下方」、「下側」にあることは、第1特徴が第2特徴の真下、或は斜め下にあってもよく、或は、単に、第1特徴が第2特徴より水平方向に低いいことを意味してもよい。
【0024】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本発明の説明において本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することを目的としたものであり、本発明を限定することを意図したものではない。
【0025】
図1から図8を参照すると、本発明実施形態はリニアモータ用冷却システム及びリニアモータを開示し、リニアモータには、互いに協働する固定子7と可動子6を含み、可動子6は固定子7内に摺動可能に設置され、モータ用ケイ素鋼板3を更に含み、モータ用ケイ素鋼板3の底部には鉄心9が接続され、鉄心9にはコイル巻線8が巻かれ、モータ用ケイ素鋼板3と液冷プレート2の接触面との間には、熱伝導性シリコーングリース4が設けられ、液冷プレート2のカバープレート1の上側中部の両端には、液体入口18及び液体出口19が設けられ、液体入口18と液体出口19は、それぞれ放熱フィン11の内部流路に貫通し、放熱フィン11内には、液冷プレート2及び熱伝導性シリコーングリース4を介してモータと熱交換できる冷却媒体がある。このうち、液冷プレート2は、固定ネジ10を介してモータ用ケイ素鋼板3に固定されている。ここで、液冷プレート2は、固定ネジ10を介してモータ用ケイ素鋼板3上にロッキング固定されている。
【0026】
具体的に、本実施形態における液冷プレート2はコイル巻線8からの膨大な熱を循環パイプ内に封入された冷却媒体に間接的に伝え、冷却媒体を通して熱を除去する。冷却媒体は液体入口18から液冷プレート2に入り、液冷プレート2に設置された放熱フィン11を通って液体出口19から流出し、熱を奪う。液冷プレート2から流出した冷却媒体は外部冷却システムにより冷却された後、液冷プレート2に再び送られて循環し、冷却される。
【0027】
一方では、液冷プレート2内部に複数グループの拡張表面の構造(放熱フィン11)が設けられ、より小さい冷却チャネル等価直径と対流熱伝達を促進するリブ表面形状を採用することにより熱交換密度を大幅に高めることができる。他方では、使用される水や油などの冷却媒体の対流熱伝達係数は、通常の空気に比べて非常に大きくなる。したがって、液冷プレート2は、動作中に巻線アセンブリによって生成されるオーム熱をコイル巻線8から非常に効率的に取り除くことができる。
【0028】
図1を参照すると、いくつかの実施形態において、固定子7は磁性鋼14とガイドレール13とを含み、磁性鋼14はガイドレール13の上にガイドレール13の長さ方向に沿って配置され、可動子6は固定子7の長さ方向に沿って直線的に運動する。
【0029】
いくつかの実施形態では、液冷プレート2とモータ用ケイ素鋼板3とが面接触しているため、伝熱経路面積が大きくなり、モータの放熱効果が十分に確保される。
【0030】
図4を参照すると、いくつかの実施形態では、モータ用ケイ素鋼板3と液冷プレート2との間に熱伝導層が設けられる。その中で、部品間の隙間を熱伝導性の界面材料で埋めることにより、機器間の接触熱抵抗を低減し、熱伝達効率をさらに向上させることができる。好ましくは、熱伝導層の材料は、熱伝導パッドまたは熱伝導シリコーングリースである。本実装例では、液冷プレート2の底板5とモータ用ケイ素鋼板3との間に充填される熱伝導性の界面材料は、熱伝導性シリコーングリース4であるため、局所的な接触面積が大きく、所要の充填材料がより多く、範囲がより広い。熱伝導性シリコーングリース4は、高熱伝導性、優れた絶縁性、低油分離性、耐高温性、自己調整可能な掻き取り形状などの特徴を持っている。熱伝導性シリコーングリース4で覆われた領域は、取り付け穴の位置を避けることができるため、組み立ての困難さが軽減される。また、熱伝導性シリコーングリース4の厚みを非常に薄く塗布できるため、熱伝達時の熱抵抗が大幅に低減される。
【0031】
いくつかの実施形態では、液冷プレート2の上端にはカバープレート1が設置され、液冷プレート2の内部には放熱フィン11が設けられ、液冷プレート2の下端には底板5が設けられ、分割アセンブリの設計は、一方では液冷プレート2内部の流路設計及びスペース利用に有利であり、他方では製品の製造難易度及びコストを低減でき、図4に示すとおりである。
【0032】
いくつかの実施形態では、液冷プレート2の形状は、平坦な形状であり、当該形状は、熱源との接触を最大限にし、液冷プレート2の高い熱伝導率を最大限に活かすことができる。任意選択で、液冷プレート2が平坦な形状を有することにより、液冷プレート2が薄くて軽くなり、これにより、モータ構造の変更が軽減され、モータの放熱性能を向上させながら軽量設計目標を達成できる。
【0033】
図4を参照すると、いくつかの実施形態では、液冷プレート2には液体入口18及び液体出口19が設けられ、液体入口18及び液体出口19はいずれも放熱フィン11と連通し、液体入口18及び液体出口19は、カバープレート1の上側中央部両端に設置され、液冷プレート2は、コイル巻線8からの膨大な熱を循環配管内に封入された冷却媒体に間接的に伝え、冷却媒体を介して熱を奪う。冷却媒体は、液体入口18から液冷プレート2に入り、液冷プレート2に設けられた放熱フィン11を通って液体出口19から流出し、熱を奪い、図8に示すとおりである。液冷プレート2から流出した冷却媒体は、外部の冷却システムにより冷却された後、液冷プレート2に送られて循環冷却される。液冷プレート2内部に複数グループの拡張表面の構造(放熱フィン11)が設けられ、より小さい冷却チャネル等価直径と対流熱伝達を促進するリブ表面形状を採用することにより熱交換密度を大幅に高めることができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、液冷プレート2の内部の放熱フィン11の形状は「凹凸型」であり、異なる断面のマイクロチャネル内の流体の臨界レイノルズ数は、従来のチャネル内の流体のレイノルズ数よりもはるかに小さく、これは、マイクロチャネル内の流体の流れが容易に乱流に達する可能性があることを意味し、これは、また液冷プレート2内に追加されたマイクロチャネルが強力な放熱能力を備えている理由でもあり、図5に示すとおりである。
【0035】
任意選択で、フィンは液冷プレート2の主要構成要素であり、液冷プレート2の拡張表面の基本部分である。その構造形状は、凹凸型、山型、波形、多孔質形状、ジグザグ形状のフィンから選択でき、図6に示すとおりである。リブの構造が異なると特性も異なり、凹凸型リブは等価直径が小さいため高い伝熱能力を持っているが、流路の長さが伝熱効果に大きく影響し、他の形状のフィンに比べて熱伝達率や抵抗が小さい。ジグザグ形状のフィンは境界層を分離して流体の乱流を促進し、それによって熱伝達を高めることができるが、抵抗が大きい。多孔質形状のフィンは熱境界層を破壊し、流体をフィン内でより均一に分散させ、遷移ゾーンと乱流ゾーンでの熱伝達を強化できる。本実施例では、凹凸型のフィンを選択しているが、この形状の使用に限定されるわけではない。
【0036】
いくつかの実施形態では、放熱フィン11の高さ及び幅は液冷プレート2の内部空間に厳密に一致しており、冷却媒体がフィン内を最大限に均一に流れることができ、液冷プレート2内部の放熱フィン11の利用効率を向上させ、液冷プレート2の熱交換能力を向上させる。
【0037】
いくつかの実施形態では、放熱フィン11内には、並列に配置された複数の単位流路を備え、液体入口18と液体出口19の単位流路の数は同じであり、単位流路の液体入口端と液体出口端は、それぞれ対応する液体入口18と液体出口19に連通し、合理的な流路設計により、内部冷却媒体の流動過程における循環バイパス、逆流、流れ閉塞などの極端な現象の発生を低減し、図7に示すとおりである。このうち、液冷プレート2の液体入口端と液体出口端に変換ジョイント12と軟質ゴム製パイプ15を使用することで、冷却システムの露出部品を多方向に柔軟に配置でき、或はモータ電気信号伝送ラインと一緒にタンクチェーンアセンブリの中に直接配置することができて、冷却システムによってモータの動作に生じる追加の干渉を軽減する。
【0038】
いくつかの実施形態では、単位流路は同一水平面上に配置されて、単位流路は冷却媒体の流動過程における抵抗を低減するために直線状の流路とされている。
【0039】
図7を参照すると、いくつかの実施形態では、液冷プレート2の底板5内部の冷却媒体の流れ回路は、「U」字型の戻り流路であり、ここで、冷却媒体が液冷プレート2の放熱フィン11と合理的且つ効率的に熱交換を十分に行うために、液冷プレート2の内部に貯水溝16と回流溝17が設置されて、理解できることは、当該流路の組み合わせの設計により、モータの熱分布がより均一になり、液冷プレート2の流路スペースの利用率が効果的に向上する。
【0040】
いくつかの実施形態では、冷却媒体は水であってもよい。具体的には、冷却媒体の特性も液冷プレート2の放熱効果に重要な影響を及ぼし、冷却媒体を選択する際には、主に冷却媒体の熱的特性、物理的特性、電気的特性、適合性、経済性が考慮され、液冷プレート2は、流体が電子部品に直接接触しないため、冷却媒体の導電性は考慮されず、主にその腐食性と熱的特性が考慮される。さまざまな要因を考慮して、本実施例で使用される冷却媒体は水である。
【0041】
いくつかの実施形態では、液冷プレート2はアルミニウム合金材料を使用している。具体的に、液冷プレート2の基材は普通熱伝導性が良い銅、アルミニウムなどのプレートを使用しているが、銅は熱伝導率が高いが、モータの運動性能や負荷性能に対する高い要求を考慮すると、冷却システムの材料の選択では、熱伝導率と品質のバランスを考慮する必要があるため、本実施例では、材料コストが安く、軽量で、製造技術が成熟し、熱伝導性に優れたアルミニウム合金材料を使用している。
【0042】
いくつかの実施形態では、液冷プレート2の設置位置は、コイル巻線8の直上であり、リニアモータが作動すると、コイル巻線8が発熱して熱くなり、その熱は鉄心9を介してモータ用ケイ素鋼板3に伝わるが、中央部は熱の蓄積が最も激しい領域であり、液冷プレート2の配置、形状及び設置位置の設計により、熱の迅速且つ効率的な二次伝達を最大限に高めることができ、モータと外界との間の熱交換能力を向上させ、コイル巻線8の温度上昇を低減することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、液冷プレート2は取り外し可能な構造設計を採用し、固定ネジ10を使用して液冷プレート2をモータ用ケイ素鋼板3上にロッキング固定されて、モータの複雑な動作モードを考慮し、モータが低負荷や低速等低性能モードにあるときは、液冷プレート2を取り外してエネルギー効率を向上でき、モータが高負荷、高精度、高加速、その他の高性能モードにあるとき、液冷プレート2は熱暴走の問題をうまく解決でき、モータの信頼性の高い動作を保証し、また、迅速に分解できる液冷プレート2の設計により、機械の使用と組み立ての難しさとコストもさらに削減され、図2に示すとおりである。
【0044】
要約すると、本発明は、モータの幾何学的パラメータ、電磁性能及び動作条件の研究を通じて、リニアモータに適合する取り外し可能な液冷プレート2を設計した。液冷プレート2はモータ用ケイ素鋼板3上に設置され、このうち、液冷プレート2の底板5側には熱伝導性の界面材料が設置されて、部品間表面接触時の熱抵抗を低減し、熱の効果的な伝達を強化するために使用される。液冷プレート2はコイル巻線8からの膨大な熱を循環パイプ内に封入された冷却媒体に間接的に伝え、冷却媒体を通して熱を除去する。冷却媒体は液体入口18から液冷プレート2に入り、液冷プレート2に設置された放熱フィン11を通って液体出口19から流出し、熱を奪う。液冷プレート2から流出した冷却媒体は外部冷却システムにより冷却された後、液冷プレート2に再び送られて循環し、冷却される。
【0045】
一方では、液冷プレート2内部に複数グループの拡張表面の構造(放熱フィン11)が設けられ、より小さい冷却チャネル等価直径と対流熱伝達を促進するリブ表面形状を採用することにより熱交換密度を大幅に高めることができる。他方では、使用される水や油などの冷却媒体の対流熱伝達係数は、通常の空気に比べて非常に大きくなる。したがって、液冷プレート2は、動作中に巻線アセンブリによって生成されるオーム熱をコイル巻線8から非常に効率的に取り除くことができる。
【0046】
その中で、モータの複雑な動作モードを考慮すると、モータが低負荷、低速などの低性能モードの場合、液冷プレート2を分解してエネルギー効率を向上させることができるが、モータが高負荷、高精度、高加速などの高性能モードにある場合、液冷プレート2は熱暴走の問題をうまく解決し、モータの信頼性の高い動作と迅速な分解を保証し、且つ液冷プレート2は熱暴走の問題をうまく解決でき、モータの信頼性の高い動作を保証し、また、迅速に分解できる液冷プレート2の設計により、機械の使用と組み立ての難しさとコストもさらに削減される。要約すると、当該冷却システムにより、長時間運転してもモータの蓄熱を防ぐことができ、モータの軽量化、小型化の要求を達成できる。また、本放熱構造はシンプルで分解が容易であり、省エネ、低コストという利点がある。
【0047】
本発明で対象としない事項は既知の技術である。
【0048】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的に」、「具体例」、または「いくつかの例」などの用語は、当該実施例または実施例に関連して記載された特定の特徴、構造、材料または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態または実施例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の模式的表現は、必ずしも同一の実施形態や実施例を指すものではない。また、記載された特定の特徴、構造、材料または特性は、任意の1つまたは複数の実施例または例において任意の適切な方法で組み合わせることができる。さらに、当業者は、互いに矛盾しない限り、本明細書に記載される異なる実施形態または実施例及び異なる実施形態または実施例の特徴を組み合わせることができる。
【0049】
上記の実施形態は、本発明の技術的思想及び特徴を説明するためのものにすぎず、当業者が本発明の内容を理解し、それに応じて実施できるようにすることを目的としており、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の本質に基づいて行われるすべての同等の変更または修正は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0050】
1.カバープレート、2.液冷プレート、3.モータ用ケイ素鋼板、4.熱伝導性シリコーングリース、5.底板、6.可動子、7.固定子、8.コイル巻線、9.鉄心、10.固定ネジ、11.放熱フィン、12.変換ジョイント、13.ガイドレール、14.磁性鋼、15軟質ゴム製パイプ、16.貯水溝、17.回流溝、18.液体入口、19.液体出口。

図1
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