(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150392
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】光学モジュール及びVR機器
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20241016BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20241016BHJP
G02B 17/08 20060101ALI20241016BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20241016BHJP
G02B 25/00 20060101ALN20241016BHJP
G02B 27/02 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
G02B17/08
G02B5/30
G02B25/00
G02B27/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201929
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】202310383881.9
(32)【優先日】2023-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520357958
【氏名又は名称】ジョウシュウシ エーエーシー レイテック オプトロニクス カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】姜思遠
【テーマコード(参考)】
2H087
2H149
2H199
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087KA14
2H087KA23
2H087LA01
2H087LA12
2H087NA18
2H087PA03
2H087PA17
2H087PB03
2H087QA01
2H087QA07
2H087QA13
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA34
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA34
2H087RA44
2H087RA45
2H087TA01
2H087TA04
2H087TA06
2H149AA17
2H149AA20
2H149AB00
2H149BA04
2H149DA04
2H149DA12
2H149EA02
2H149FC07
2H149FC10
2H149FD01
2H149FD03
2H149FD09
2H149FD14
2H199CA42
2H199CA47
2H199CA58
2H199CA64
2H199CA65
2H199CA83
2H199CA84
2H199CA87
2H199CA90
(57)【要約】 (修正有)
【課題】仮想現実の技術分野における、光学モジュール及びVR機器に関し、Eyebox及びFOVが小さい、屈折度が調整できない、または調節構造が複雑、調整範囲が小さいという従来の問題を解決し、小型化、軽量化のニーズを満たす。
【解決手段】光学モジュールは、像側から物体側に向かって順に、第1レンズ、第2レンズ及び第3レンズを備え、第1レンズの像側の面には、複合フィルムが貼り付けられており、複合フィルムは、像側から物体側に向かって順に、反射型偏光フィルム層及び1/4波長板フィルム層を備え、光学モジュールの焦点距離をf、第2レンズと第3レンズの合成焦点距離をf23、光学モジュールのレンズの最大半径をMAX SD、光学モジュールのアイボックスのサイズをEyeboxと定義したときに、1.00≦f23/f≦1.50、MAX SD≦27.00mm、Eyebox≧12.00*12.00mmという関係式を満たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
VR機器に適用される光学モジュールであって、
前記光学モジュールは、像側から物体側に向かって順に、第1レンズ、第2レンズ及び第3レンズを備え、
前記第1レンズの像側の面には、複合フィルムが貼り付けられており、前記複合フィルムは、像側から物体側に向かって順に、反射型偏光フィルム層及び1/4波長板フィルム層を備え、
前記光学モジュールの焦点距離をf、前記第2レンズと前記第3レンズの合成焦点距離をf23、前記光学モジュールのレンズの最大半径をMAX SD、前記光学モジュールのアイボックスのサイズをEyeboxと定義したときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする光学モジュール。
1.00≦f23/f≦1.50
MAX SD≦27.00mm
Eyebox≧12.00*12.00mm
【請求項2】
前記第1レンズの像側の面は、平面であり、前記第2レンズの像側の面と物体側の面は、いずれも非球面であることを特徴とする請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項3】
前記光学モジュールの画角をFOVと定義したときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学モジュール。
90.00°≦FOV≦110.00
【請求項4】
前記光学モジュールの光学全長をTTLと定義したときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学モジュール。
TTL≦15.00mm
TTL/f≦0.70
【請求項5】
前記第3レンズの物体側の面には半透過半反射型フィルムがメッキされており、前記半透過半反射型フィルムの透過率をT、前記半透過半反射型フィルムの反射率をFと定義したときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学モジュール。
40.00%≦T≦60.00%
40.00%≦F≦60.00%
【請求項6】
前記反射型偏光フィルム層の透過率は、95%以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項7】
前記光学モジュールの光学歪曲収差は、35%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項8】
前記光学モジュールの色収差は、100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項9】
前記光学モジュールの屈折度の調整範囲は、0~7Dであることを特徴とする請求項1に記載の光学モジュール。
【請求項10】
VR機器であって
請求項1~9のいずれか1項に記載の光学モジュールを含むことを特徴とするVR機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想現実の技術分野に関し、特にスマートフォン、デジタルカメラなどの携帯端末装置、モニター、PCレンズなどの撮像装置に適用される撮像光学モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
仮想現実技術(virtual reality、VR)は、コンピューター技術を中心に光電センシング技術と結び付けて、リアルな視覚、聴覚、触覚、嗅覚を一体化させた特定範囲内の仮想環境を発生させる。ユーザーは、VR機器を使うと、自然に仮想世界でのオブジェクトとリアルタイムにリアルインタラクティブを行い、臨場感と体験を生み出すことができる。
【0003】
仮想現実デバイスの軽量化を実現するため、折りたたみ光路システムを採用することが一般的である。光路を折りたたむ方式を使っているため、既存の小型軽量化されたVR折りたたみ光路システムには、Eyeboxが小さく、FOVが小さく、屈折度が調整ができなく、屈折度が調整できても、調節構造が複雑であるとともに、屈折度の調整範囲が小さいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の問題に対して、本発明は、Eyeboxが小さく、FOVが小さく、屈折度が調整できなく、屈折度が調整できても、調節構造が複雑であるとともに、屈折度の調整範囲が小さいという既存の光学モジュールの問題を解決する光学モジュール及びVR機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の実施例には、光学モジュールが提供され、この光学モジュールは、像側から物体側に向かって順に、第1レンズ、第2レンズ及び第3レンズを備え、
前記第1レンズの像側の面には、複合フィルムが貼り付けられており、前記複合フィルムは、像側から物体側に向かって順に、反射型偏光フィルム層及び1/4波長板フィルム層を備え、
前記光学モジュールの焦点距離をf、前記第2レンズと前記第3レンズの合成焦点距離をf23、前記光学モジュールのレンズの最大半径をMAX SD、前記光学モジュールのアイボックスのサイズをEyeboxと定義したときに、以下の関係式を満たす。
1.00≦f23/f≦1.50
MAX SD≦27.00mm
Eyebox≧12.00*12.00mm
【0006】
本発明の1つの実施例によれば、前記第1レンズの像側の面は、平面であり、前記第2レンズの像側の面と物体側の面は、いずれも非球面である。
【0007】
本発明の1つの実施例によれば、前記光学モジュールの画角をFOVと定義したときに、以下の関係式を満たす。
90.00°≦FOV≦110.00°
【0008】
本発明の1つの実施例によれば、前記光学モジュールの光学全長をTTLと定義したときに、以下の関係式を満たす。
TTL≦15.00mm
TTL/f≦0.70
【0009】
本発明の1つの実施例によれば、前記第3レンズの物体側の面には半透過半反射型フィルムがメッキされており、前記半透過半反射型フィルムの透過率をT、前記半透過半反射型フィルムの反射率をFと定義したときに、以下の関係式を満たす。
40.00%≦T≦60.00%
40.00%≦F≦60.00%
【0010】
本発明の1つの実施例によれば、前記反射型偏光フィルム層の透過率は、95%以上である。
【0011】
本発明の1つの実施例によれば、前記光学モジュールの光学歪曲収差は、35%以下である。
【0012】
本発明の1つの実施例によれば、前記光学モジュールの色収差は、100μm以下である。
【0013】
本発明の1つの実施例によれば、前記光学モジュールの屈折度の調整範囲は、0~7Dである。
【0014】
上記の技術的課題を解決するために、本発明の実施形態では、上記の光学モジュール10を含んだVR機器がさらに提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の有益な効果は、本発明で提供された光学モジュールが第1レンズの像側の面に複合フィルムを貼り付けて、光路おりたたみ構造を形成し、光学モジュールの体積を減らし、3枚のレンズを用いて光路折り返しに関与し、光学全長を大幅に短縮し、VR機器における光学モジュールの小型化、軽量化のニーズを満たしており、Eyebox≧12.00*12.00mmで、ユーザーが面倒な調整なしに最適な位置で良い表示効果を見ることができ、体験感がより良くなり、FOVを増やし、FOVが90.00°~110.00°に達し、VRユーザーの没入感がより良く、屈折度が調整可能で、近視ユーザーに優れた表示体験を提供し、2.00~2.30インチのディスプレイに適用できるということである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例における技術考案をより明確に説明し、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下の図面の説明が、本発明のいくつかの実施例のみを説明するためのものであり、当業者にとっては、創造的な努力を払わなくて、これらの図面からほかの図面も得られる。そのうち、
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1の光学モジュールの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1の光学モジュールの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態1の光学モジュールの屈折度0での光路図である。
【
図4】
図4は、実施形態1における光学モジュールの屈折度0でのMTF図である。
【
図5】
図5は、実施形態1における光学モジュールの屈折度0での像面湾曲図と歪曲収差を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態1における光学モジュールの屈折度0での縦軸色収差を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態1における光学モジュールの屈折度0でのスポット図である。
【
図8】
図8は、実施形態1の光学モジュールの眼球運動±4での光路図である。
【
図9】
図9は、実施形態1の光学モジュールの眼球運動±4でのMTF図である。
【
図10】
図10は、実施形態1の光学モジュールの眼球運動±4での像面湾曲図と歪曲収差を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態1における光学モジュールの眼球運動±4での縦軸色収差を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態1における光学モジュールの眼球運動±4でのスポット図である。
【
図13】
図13は、実施形態1の光学モジュールの屈折度4Dでの光路図である。
【
図14】
図14は、実施形態1の光学モジュールの屈折度4DでのMTF図である。
【
図15】
図15は、実施形態1の光学モジュールの屈折度4Dでの像面湾曲図と歪曲収差を示す図である。
【
図16】
図16は、実施形態1における光学モジュールの屈折度4Dでの縦軸色収差を示す図である。
【
図17】
図17は、実施形態1における光学モジュールの屈折度4Dでのスポット図である。
【
図18】
図18は、実施形態1の光学モジュールの屈折度7Dでの光路図である。
【
図19】
図19は、実施形態1の光学モジュールの屈折度7DでのMTF図である。
【
図20】
図20は、実施形態1の光学モジュールの屈折度7Dでの像面湾曲図と歪曲収差を示す図である。
【
図21】
図21は、実施形態1における光学モジュールの屈折度7Dでの縦軸色収差を示す図である。
【
図22】
図22は、実施形態1における光学モジュールの屈折度7Dでのスポット図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的、技術方案及び利点をより明確にするために、以下に、図面を参照しながら本発明の各実施形態を詳しく説明する。ただ、本発明の各実施形態において、本発明に対する理解を便宜にするために、多くの技術的細部まで記載されているが、これらの技術的細部及び以下の各実施形態に基づく各種の変化及び修正がなくても、本発明が保護しようとする技術方案を実現可能であることは、当業者にとっては自明なことである。
実施形態1
【0018】
図1に示すように、本発明の実施例1は、光学モジュール10を提供する。この光学モジュール10は、3つのレンズを備える。具体的には、この光学モジュール10は、像側から物体側に向かって順に、第1レンズP1、第2レンズP2及び第3レンズP3を備える。
【0019】
第1レンズP1の像側の面には、複合フィルム11が貼り付けられており、複合フィルム11は、像側から物体側に向かって順に、反射型偏光フィルム層(図示せず)及び1/4波長板フィルム層(図示せず)を備えている。本実施例の光学モジュール10は、第1レンズP1の像側の面に複合フィルム11を貼り付けて光路折りたたみ構造を形成し、光学モジュール10の体積を減らしており、3枚のレンズを採用して光路折り返しに関与することで、光学全長を大幅に短縮し、VR機器における光学モジュール10の小型化、軽量化の使用ニーズを満たしている。
【0020】
第3レンズP3の物体側の面には半透過半反射型フィルム12がメッキされている。半透過半反射型フィルム12の反射によって形成された反射光束は、第3レンズP3でより反射されやすくなり、光の損失を回避し、反射効率を高め、結像の輝度を確保する。
【0021】
図2に示すように、像側から物体側に向かって、像側101、反射型偏光フィルム層102、1/4波長板フィルム層103、第1レンズP1、第2レンズP2、第3レンズP3、半透過半反射型フィルム12及び物体側104を順に含んだ光学モジュール10を提供している。本実施例の光路折り返し原理は、物体側104の光が第3レンズP3、第2レンズP2、第1レンズP1及び1/4波長板フィルム層103を順に通過して、反射型偏光フィルム層102の反射によって反射光を形成し、反射光が1/4波長板フィルム層103、第1レンズP1、第2レンズP2及び第3レンズP3を順に通過し、第3レンズP3の物体側の面における半透過半反射型フィルム12の反射によって2次反射光を形成し、2次反射光が第3レンズP3、第2レンズP2、第1レンズP1、1/4波長板フィルム層103及び反射型偏光フィルム層102を順に通過して像側101に届くということである。実際、光線の伝播経路には、第1レンズP1の像側の面に1/4波長板フィルム層103及び反射型偏光フィルム層102を貼り付けることにより、第1レンズP1と反射型偏光フィルム層102との間を輸送する偏光を偏光補償し、反射型偏光フィルム層102に入射する偏光が対応する直線偏光となるようにして、レンズの複屈折効果による偏光解消を効果的に補償することができ、ゴーストを解消し、ライティングエフェクトを確保し、結像品質を高め、ユーザーの視聴効果を改善するのに寄与する。
【0022】
さらに、第1レンズP1、第2レンズP2及び第3レンズP3の材質は、透明で光を伝達できるものであればよく、ここで限定しない。本実施例では、第1レンズP1、第2レンズP2及び第3レンズP3のうち、少なくとも1つの材質がプラスチック材質である。もう1つの実施例では、第1レンズP1、第2レンズP2及び第3レンズP3のうち、少なくとも1つの材質がガラス材質である。ガラス材質に比べて、プラスチック材質の方が好ましく、プラスチック材質の使用寿命がより長く、ガラスが易損品であり、外力によって割れやすい。
【0023】
本実施例では、第1レンズP1の像側の面は、平面であり、第2レンズP2の像側の面と物体側の面は、いずれも非球面である。非球面設計によって、表示画像のフォーカス位置を調整し、表示画像の色収差と歪曲収差を低減し、結像品質を高めることができる。
【0024】
本実施例では、半透過半反射型フィルム12の透過率をT、半透過半反射型フィルム12の反射率をFと定義しており、40.00%≦T≦60.00%、40.00%≦F≦60.00%という関係式を満たしている。関係式で定められた範囲内では、光の反射効率を高め、結像の輝度を確保するのに役立つ。
【0025】
本実施例では、反射型偏光フィルム層の透過率は、95%以上である。この範囲内において、光の反射効率を高め、結像品質を向上させるのに役立つ。
【0026】
本実施例では、光学モジュール10の焦点距離をf、第2レンズP2と第3レンズP3の合成焦点距離をf23、光学モジュール10のレンズの最大半径をMAX SD、光学モジュール10のアイボックスのサイズをEyeboxと定義しており、1.00≦f23/f≦1.50、MAX SD≦27.00mm、Eyebox≧12.00*12.00mmという関係式を満たしている。関係式で定められた範囲内において、ユーザーは、面倒な調整をせずに最適な位置で良い表示効果を見ることができ、体験感がよくなり、画角を拡大し、視覚効果を高めることができる。この実施例におけるアイボックスのサイズは、光学モジュール10の入射瞳径と眼球運動範囲の和であり、レンズ設計の制限によって、眼球運動範囲が増えるにつれて、結像も低下する。本実施例では、眼球運動が±4の場合、光学モジュール10の全視野の性能が良好であり、VR機器の位置調整がよくない場合のユーザー表示体験を向上させている。
【0027】
本実施例では、光学モジュール10の画角をFOVと定義しており、90.00°≦FOV≦110.00°という関係式を満たしている。関係式で定められた範囲内では、VRユーザーの没入感がより良くなる。
【0028】
本実施例では、光学モジュール10の光学全長をTTLと定義しており、TTL≦15.00mm、TTL/f≦0.70という関係式を満たしている。関係式で定められた範囲内では、極薄化の実現に寄与する。
【0029】
本実施例では、光学モジュール10の光学歪曲収差は、35%以下である。
【0030】
本実施例では、光学モジュール10の色収差は、100μm以下である。
【0031】
本実施例では、光学モジュール10の屈折度の調整範囲は、0~7Dであり、近視ユーザーに優れた表示体験を提供する。
【0032】
上記の関係を満たす場合、光学モジュール10は、2.00~2.30インチのディスプレイに適用されることができる。
【0033】
本発明の実施形態1では、一実施例の光学モジュール10の設計パラメータは、Eyeboxが12.00*12.00mmで、f23/fが1.26で、MAX SDが26.20mmで、TTLが14.695mmで、TTL/fが0.61で、FOVが105°で、光学歪曲収差が35%で、色収差が100μmで、ディスプレイのサイズが2.1インチであることである。
【0034】
表1、表2及び表3は、本発明の実施形態1に係る光学モジュール10の設定データを示す。
【0035】
表1は、本発明の実施形態1に係る光学モジュール10における各光学モジュールの設定データを示す。
【0036】
ここで、各符号の意味は、以下の通りである。
R :光学面の曲率半径、レンズの場合は中心曲率半径
R1 :第1レンズP1の像側の面の曲率半径
R2 :第1レンズP1の物体側の面の曲率半径
R3 :第2レンズP2の像側の面の曲率半径
R4 :第2レンズP2の物体側の面の曲率半径
R5 :第3レンズP3の像側の面の曲率半径
R6 :第3レンズP3の物体側の面の曲率半径
d :レンズの軸上厚み及びレンズ間の軸上距離
d0 :像面から第1レンズP1の物体側の面までの軸上距離
d1 :第1レンズP1の軸上厚み
d2 :第1レンズP1の物体側の面から第2レンズP2の像側の面までの軸上距離
d3 :第2レンズP2の軸上厚み
d4 :第2レンズP2の物体側の面から第3レンズP3の像側の面までの軸上距離
d5 :第3レンズP3の軸上厚み
d6 :第3レンズP3の物体側の面から物面までの軸上距離
d7 :第3レンズP3の軸上厚み
d8 :第2レンズP2の物体側の面から第3レンズP3の像側の面までの軸上距離
d9 :第2レンズP2の軸上厚み
d10 :第1レンズP1の物体側の面から第2レンズP2の像側の面までの軸上距離
d11 :第1レンズP1の軸上厚み
d12 :第1レンズL1の物体側の面から第2レンズP2の像側の面までの軸上距離
d13 :第2レンズP2の軸上厚み
d14 :第2レンズP2の物体側の面から第3レンズP3の像側の面までの軸上距離
d15 :第3レンズP3の軸上厚み
d16 :第3レンズP3の物体側の面から物面までの軸上距離
TTL :第1レンズP1の像側の面から第3レンズP3の物体側の面までの軸上距離
SD :レンズ半径
nd :d線の屈折率
nd1 :第1レンズP1のd線の屈折率
nd2 :第2レンズP2のd線の屈折率
vd :アッベ数
v1 :第1レンズP1のアッベ数
v2 :第2レンズP2のアッベ数
【0037】
表2は、本発明の実施形態1に係る光学モジュール10における非球面係数の設計値を示す。
【0038】
表3は、本発明の実施形態1に係る光学モジュール10における非球面係数の設計値を示す
【0039】
ここで、kは円錐係数であり、A4、A6、A8、A10、A12、A14、A16、A18、A20、A22、A24、A26、A28、A30は非球面係数であり、rは非球面曲線上の点と光軸との垂直距離であり、zは非球面深さ(非球面における光軸から離れた距離がrである点と、非球面光軸上の頂点に接する接平面との垂直距離)である。
【0040】
z=(cr2)/[1+{1-(k+1)(c2r2)}1/2]+A4x4+A6x6+A8x8+A10x10+A12x12+A14x14+A16x16+A18x18+A20x20 (1)
【0041】
各レンズ面の非球面は、便宜上、上記式(1)で表される非球面を使用しているが、本発明は、この式(1)の非球面多項式に限定されるものではない。
【0042】
図4、9、14、19は、それぞれ実施形態1における光学モジュール10の屈折度0、眼球運動±4、屈折度4D及び屈折度7DでのMTF図であり、Tは子午線方向が25線対/mmで測定されたMTF曲線であり、Sはサジタル方向が25線対/mmで測定されたMTF曲線である。
【0043】
図5、
図10、
図15、
図20は、波長540nmの光がそれぞれ実施形態1における光学モジュール10を通過するとき、屈折度0、眼球運動±4、屈折度4D及び屈折度7Dでの像面湾曲図と歪曲収差を示す図であり、ここで、Tは子午線方向の像面湾曲、Sは子午線方向の像面湾曲である。
【0044】
図6は、波長630nm、540nm、450nmの光が実施形態1における光学モジュール10を通過するとき、屈折度0での縦軸色収差をそれぞれ示したものであり、
図11は、波長630nm、540nm、450nmの光が実施形態1における光学モジュール10を通過するとき、眼球運動±4での縦軸色収差をそれぞれ示したものであり、
図16は、波長630nm、540nm、450nmの光が実施形態1における光学モジュール10を通過するとき、屈折度4Dでの縦軸色収差をそれぞれ示したものであり、
図21は、波長630nm、540nm、450nmの光が実施形態1における光学モジュール10を通過するとき、屈折度7Dでの縦軸色収差をそれぞれ示したものである。
【0045】
図7は、波長630nm、540nm、450nmの光が実施形態1における光学モジュール10を通過するとき、屈折度0でのスポット図をそれぞれ示したものであり、
図12は、波長630nm、540nm、450nmの光が実施形態1における光学モジュール10を通過するとき、眼球運動±4でのスポット図をそれぞれ示したものであり、
図17は、波長630nm、540nm、450nmの光が実施形態1における光学モジュール10を通過するとき、屈折度4Dでのスポット図をそれぞれ示したものであり、
図22は、波長630nm、540nm、450nmの光が実施形態1における光学モジュール10を通過するとき、屈折度7Dでのスポット図をそれぞれ示したものである。
【0046】
本発明はまた、実施形態1における光学モジュール10の異なる屈折度での光学性能について試験を行った。
図2~
図21に示すように、本発明の実施形態1で提供された光学モジュール10は、像面湾曲と歪曲収差を効果的に補正し、画質を高めることができるだけでなく、高解像度を実現し、高品質な結像要求を満たすことができる。Eyeboxのエッジ、すなわちEye Shift=±4では、レンズの全視野の性能が良好であり、VR機器の位置調整が良くない場合のユーザー表示体験を向上させることができ、0~7D屈折度の調整が可能であり、近視ユーザーに優れた表示体験を提供する。
実施形態2
【0047】
本発明の実施形態2では、上記の光学モジュール10を含んだVR機器を提供する。光学モジュール10の具体的な構成は、上記の実施形態1を参考することができるが、本VR機器は、上記のあらゆる実施例の全ての技術的手段を採用しているため、少なくとも上記の実施形態の技術的手段による全ての有益な効果を備えている。ここでは繰り返して説明する必要がない。
【0048】
上記の各実施形態は本発明を実現するための具体的な実施形態であるが、実際の応用において、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、形式及び細部に対する種々の変更を行うことができることは、当業者であれば理解できるはずである。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
VR機器に適用される光学モジュールであって、
前記光学モジュールは、像側から物体側に向かって順に、第1レンズ、第2レンズ及び第3レンズから構成され、
前記第1レンズの像側の面には、複合フィルムが貼り付けられており、前記複合フィルムは、像側から物体側に向かって順に、反射型偏光フィルム層及び1/4波長板フィルム層を備え、
前記光学モジュールの焦点距離をf、前記第2レンズと前記第3レンズの合成焦点距離をf23、前記光学モジュールのレンズの最大半径をMAX SD、前記光学モジュールのアイボックスのサイズをEyeboxと定義したときに、以下の関係式を満たすことを特徴とする光学モジュール。
1.00≦f23/f≦1.50
MAX SD≦27.00mm
Eyebox≧12.00*12.00mm