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特開2024-150402転がり軸受の外輪を保持するフランジ体の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150402
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】転がり軸受の外輪を保持するフランジ体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 35/077 20060101AFI20241016BHJP
   B21D 53/10 20060101ALI20241016BHJP
   B21D 28/10 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
F16C35/077
B21D53/10 Z
B21D28/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024037271
(22)【出願日】2024-03-11
(31)【優先権主張番号】2302522
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】508275098
【氏名又は名称】エヌティエヌ・ヨーロッパ
【氏名又は名称原語表記】NTN EUROPE
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【弁理士】
【氏名又は名称】古後 亜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100230248
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 圭二
(72)【発明者】
【氏名】パランチャード・ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】ルドゥテ・ルイ
(72)【発明者】
【氏名】トマス・ロマン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】少ない工程数で保持フランジ体を製造する方法の提供。
【解決手段】プレートと直交する基準軸1に沿って、第1のツールを、正面201から進入方向Aにプレートよりも小さい中間深さだけ進入させることで、最初に正面側幾何エンべロップ41よりも内側に位置した素材が、保持フランジ体20の前記中間深さと裏面202との間の軸方向に位置する、ブランク材幾何エンべロップによって画定された空間内に押しやられる。次に、基準軸1に沿って、第2のツールを、進入方向Aに進入させて、プレートが裏面側幾何エンべロップを有する最終孔部24を形成するように穿孔されて、裏面側幾何エンべロップは、基準軸1と直交する平面に投影すると、径方向で正面側幾何エンべロップ41よりも内側に且つブランク材幾何エンべロップよりも外側に位置する。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がり軸受(12)の外輪(14)の溝(22)に挿入されるように意図された保持フランジ体(20)を、正面(201)と反対側の裏面(202)との間で測定された板厚を有するメタルプレート(37)から製造する方法において、
-前記プレート(37)と直交する基準軸(1)に沿って、第1のツール(40)を、前記正面(201)から、進入方向(A)に、前記プレート厚(37)よりも小さい中間深さだけ進入させる工程であって、最初に正面側幾何エンべロップ(41)よりも内側に位置していた素材が、前記第1のツール(40)よりも前記進入方向(A)の先に位置する、ブランク材幾何エンべロップ(39)によって画定された空間内に押しやられて、前記ブランク材幾何エンべロップ(39)は、前記基準軸と直交する平面に投影すると、前記正面側幾何エンべロップ(41)よりも内側に位置し、前記正面側幾何エンべロップ(41)は、前記基準軸(1)を中心とした少なくとも2つの円筒状部(251,252)を含み、前記円筒状部(251,252)に対して基準軸(1)の反対側に放射状に突出する少なくとも1つのホールデング・ノッチ(29)及びアセンブリ・ノッチ(31)によって隔てられている工程と、
-前記基準軸(1)に沿って、第2のツール(42)を、前記進入方向(A)に進入させる工程であって、前記プレート(37)が、裏面側幾何エンべロップ(43)を有する最終孔部(24)を形成するように穿孔されて、前記裏面側幾何エンべロップ(43)は、前記基準軸(1)と直交する平面に投影すると、径方向で前記正面側幾何エンべロップ(41)よりも内側に且つ前記ブランク材幾何エンべロップ(39)よりも外側に位置している、工程と、の少なくとも2つの工程を備えることを特徴とする、製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法において、さらに、
前記基準軸(1)に沿って、ブランクツール(38)が、前記正面(201)から、前記進入方向(A)に進入することで、前記プレート(37)を穿孔し、前記基準軸(1)を取り囲む前記ブランク材幾何エンべロップ(39)を輪郭とするブランク孔部を形成する、前処理工程、を備えることを特徴とする、製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の製造方法において、前記正面側幾何エンべロップ(41)の前記アセンブリ・ノッチ(31)に対し、前記基準軸(1)に沿って穿孔が行われて、孔(310)と、該孔(310)と前記裏面側幾何エンべロップ(43)との間の、塑性変形可能なアセンブリメンバー(26)と、を形成することを特徴とする、製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の製造方法において、前記裏面側幾何エンべロップ(43)が、前記基準軸(1)を中心とした円筒状部(241,242)を含み、2つの該円筒状部(241,242)が、前記裏面側幾何エンべロップ(43)の第1の特異部(11)の両側に位置しており、前記第1の特異部(11)は、前記プレート(37)の厚みよりも小さい厚みの、前記裏面側幾何エンべロップ(43)の前記円筒状部(241,242)よりも前記基準軸(1)側へと径方向に突設された舌部(33)を形成するように、前記ホールデング・ノッチ(29)と径方向に並んで位置していることを特徴とする、製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の製造方法において、前記第1の特異部(11)が、該第1の特異部(11)の両側に位置した前記2つの円筒状部(241,242)と前記舌部(33)との間の接続領域(9)を含み、該接続領域(9)は、前記第1の特異部(11)の両側に位置した前記円筒状部(241,242)よりも径方向外側に延在していることを特徴とする、製造方法。
【請求項6】
請求項4または5に記載の製造方法において、前記裏面側幾何エンべロップ(43)が、該裏面側幾何エンべロップ(43)の前記円筒状部のうちの隣接する2つの円筒状部(241,242)間に位置して前記アセンブリ・ノッチ(31)と径方向に並んだ少なくとも第2の特異部(13)を有しており、該第2の特異部(13)が、前記隣接する2つの円筒状部(241,242)との接続領域(15)を含み、前記第2の特異部(13)の該接続領域(15)が、
-径方向で前記裏面側幾何エンべロップ(43)の前記円筒状部(241,242)よりも外側に、軸方向で前記裏面側幾何エンべロップ(43)の厚みにわたって延在しているか、あるいは、
-径方向で前記裏面側幾何エンべロップ(43)の前記円筒状部(241,242)よりも外側に、軸方向で前記保持フランジ体(20)の厚みの全体にわたって延在している、ことを特徴とする、製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の製造方法において、前記正面側幾何エンべロップ(41)が、正反対に位置した合計2つの円筒状部(251,252)、ならびに該正面側幾何エンべロップ(41)のこれら2つの円筒状部(251,252)を隔てる、正反対に位置したホールデング・ノッチ(29)及びアセンブリ・ノッチ(31)を有することを特徴とする、製造方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の製造方法において、前記穿孔が、打抜きによって行われることを特徴とする、製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法において、前記素材が、スタンピングによって押しやられることを特徴とする、製造方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の製造方法において、前記プレート(37)の前記正面側幾何エンべロップ(41)よりも径方向外側で、製造工程時に前記プレート(37)を保持するのに用いられる保持孔(21)と、取付孔(28)とが、前記プレート(37)から切り分けられることを特徴とする、製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の製造方法において、前記プレート(37)の加工後に、前記取付孔(28)を囲んで前記保持孔(21)よりも径方向内側に位置した前記プレート(37)の輪郭が切断されることを特徴とする、製造方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の製造方法において、
-前記中間深さが、前記プレート(37)の厚みの1/3よりも大きく、かつ/あるいは、
-前記中間深さが、前記プレート(37)の厚みの2/3よりも小さく、かつ/あるいは、
-前記プレート(37)の厚みと前記中間深さとの差が、1mmよりも大きく3mmよりも小さく、かつ/あるいは、
-前記中間深さが、1mmよりも大きく3mmよりも小さく、かつ/あるいは、
-前記プレート(37)の厚みが、3mmよりも、例えば、4mmよりも大きく、6mmよりも小さい、ことを特徴とする、製造方法。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の製造方法において、前記第2のツール(42)が、前記中間深さに、尖ったエッジを生じさせるとともに、該尖ったエッジから前記進入方向(A)に少なくとも0.5mmの深さにわたって、前記最終孔部(24)のきれいな切断を生じさせることを特徴とする、製造方法。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の製造方法において、
-前記正面側幾何エンべロップ(41)の前記円筒状部(251,252)が、前記最終孔部(24)から、0.1mmよりも、好ましくは0.5mmよりも大きく、1.0mmよりも、好ましくは0.7mmよりも小さい径方向距離に位置しており、かつ/あるいは、
-前記正面側幾何エンべロップ(41)の前記円筒状部(251,252)が、前記ブランク材幾何エンべロップ(39)から、1mmよりも、好ましくは3mmよりも大きく、10mmよりも、好ましくは7mmよりも小さい径方向距離に位置している、
ことを特徴とする、製造方法。
【請求項15】
ケース(10)内に取り付けられるように意図された回転ガイドアセンブリを製造する方法であって、
請求項3及び4に従属する場合の請求項5から14のいずれか一項に記載のように保持フランジ体(20)を製造する工程と、
転がり軸受(12)の外輪(14)の溝(22)に前記保持フランジ体(20)を取り付ける工程であって、前記溝(22)が、第1の直径の前方面(17)および前記第1の直径よりも大きい第2の直径の後方面(19)を有する、工程と、
を備える、方法において、
前記保持フランジ体(20)の前記舌部(33)が、前記転がり軸受(12)の前記外輪(14)の前記溝(22)内に挿入されて、前記アセンブリメンバー(26)は、少なくとも一部が前記溝(22)内に径方向に挿入されるように塑性変形させられて、変形した前記アセンブリメンバー(26)と前記溝(22)の底との間のクリアランスが、0.1mmよりも大きい、ことを特徴とする、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法によって得られることを特徴とする、ケース(10)内に取り付けられるように意図された回転ガイドアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受の外輪を保持するフランジ体の製造方法、該方法により得られる保持フランジ体、およびこのような保持フランジ体を組み込んだ回転ガイドアセンブリに関する。
【0002】
本発明は、より詳細には、例えば自動車のギアボックスケースやモータケース、特には電気モータケース等のケース内への転がり軸受の取付け時に、該転がり軸受の外輪を維持し且つガイドすることが可能な保持フランジ体に適用される。このような保持フランジ体は、ギアボックスの組立後も機能を奏しているとは限らない。
【背景技術】
【0003】
FR 3032500(特許文献1)には、転がり軸受の外輪の溝に保持フランジ体を組み付ける方法であって、該溝が、上記輪のうちの第1の直径を有する前方面から上記輪のうちの上記第1の直径よりも大きい第2の直径を有する後方面までにかけて形成された方法が記載されている。上記保持フランジ体は、上記第1の直径と第2の直径との間の径を持つ孔部、該孔部の直径から径方向内方に突出する取付ラグ、および取付前状態と取付後状態との間で径方向に変形可能な少なくとも1つの組付部材を有する。上記保持フランジ体を転がり軸受の外輪に組み付けるには、上記溝内に上記取付ラグを配置した後、上記組付部材を径方向に変形させて、その少なくとも一部を上記溝内に配置する。この組付体は、上記保持フランジ体の内側でベアリング・リングが動くことが出来るように、十分な機能的クリアランスを必ず維持する必要がある。実際、この種の保持フランジ体を用いると、ケース内に転がり軸受を手探りで簡単に取り付けることができる。転がり軸受を軸に、そして、保持フランジ体を該軸受の外輪に装着した後、このようにして形成された仮組立体を、ギアボックスケース内に手探りで挿入する。ケースの底板の取付孔に挿通させたねじ又はねじ付き棒状体を、保持フランジ体のねじ孔に螺合させる。すると、転がり軸受の外輪に間接的に軸方向力が加わり、この目的のためにケースの底板に設けられた凹部内へと該外輪を位置決めさせつつ、特には、同凹部内で該外輪を調節しつつ又は同凹部に焼き嵌めしつつ、該フランジ体を最終位置へと徐々に移行させることができる。この組立段階では、転がりベアリング・リングと保持フランジ体との間にクリアランスを設けることが重要であり、これにより、ベアリング・リングに十分な位置決め自由度を与えて焼き嵌め凹部内での心合わせを確実に行わせると共に、保持フランジ体に回転自由度を与えて、上記ねじ又は上記ねじ付き棒状体に軸方向の力のみをギャランティすることができ、該ねじ又は該ねじ付き棒状体が剪断かつ/あるいは屈曲しないような取付けが確実となる。
【0004】
上記保持フランジ体は、硬度を良好なものにするために厚みが比較的大きくなっており、スタンピング工程とプレス切断工程とで製作されるように意図されている。しかし、プレス切断がきれいに行われるのはプレートの厚みの一部のみであって、むしろ、該プレートの厚みの別の一部では破断が生じがちであることから、プレートの厚みの全体にわたって上記孔部の寸法のコントロールを行うことが難しい。結果として、製造公差や組付公差のため、保持フランジ体と転がり軸受の外輪との間で所望の動きの自由度を確保することができていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3032500号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、先行技術の欠点を打開し、限られたオペレーションで前述の種類の保持フランジ体を製造する方法を提案することを目的としている。得られる保持フランジ体は、組立時の前述の課題を抑えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明の第1の態様では、転がり軸受の外輪の溝に挿入されるように意図された保持フランジ体を、メタルプレートの前面と背面との間で測定された板厚を有するメタルプレートから製造する方法において、
-前記プレートと直交する基準軸に沿って、第1のツールを、前記正面から、進入方向に、前記プレートの厚みよりも小さい中間深さまで進入させる工程であって、最初に正面側幾何エンべロップよりも内側に位置していた素材が、前記第1のツールよりも前記進入方向の先に位置する、ブランク材幾何エンべロップによって画定された空間内に押しやられて、前記ブランク材幾何エンべロップは、前記基準軸と直交する平面に投影すると、前記正面側幾何エンべロップよりも内側に位置し、前記正面側幾何エンべロップは、前記基準軸を中心とした少なくとも2つの円筒状部を含み、該少なくとも2つの円筒状部は、前記基準軸とは反対側へと該円筒状部から径方向に突設された少なくとも1つのホルデング・ノッチ及び組付用切欠部によって隔てられている、工程と、
-前記基準軸に沿って、第2のツールを、前記進入方向に進入させる工程であって、前記プレートが、裏面側幾何エンべロップを有する最終孔部を形成するように穿孔されて、前記裏面側幾何エンべロップは、前記基準軸と直交する平面に投影すると、径方向で前記正面側幾何エンべロップよりも内側に且つ前記ブランク材幾何エンべロップよりも外側に位置している、工程と、
の少なくとも2つの工程を備えることを特徴とする、製造方法を提案する。
【0008】
この定義において、ブランク材幾何エンべロップ、フロント幾何エンべロップおよびリア幾何エンべロップは、本明細書をとおして、3つとも閉じた面である。
【0009】
前記第1のツールによる進入後、前記フランジ体のブランク材は、前記正面側幾何エンべロップよりも内側に位置した部分の、該正面側幾何エンべロップと前記ブランク材幾何エンべロップとの間に、前記プレートの最初の厚みと前記第1のツールの進入深さとの差に相当する厚みを有している。つまり、前記第2のツールの進入による前記最終孔部の切削は、前記プレートの最初の厚みよりも小さい厚みにわたって行われる。これにより、切削後の破断作用が著しく抑えられるので、前記最終孔部の寸法をより良く管理することが可能になる。
【0010】
結果として得られる保持フランジ体は、前記最終孔部の外周の、前記正面側幾何エンべロップと前記裏面側幾何エンべロップとの間の空間内に、前記プレートの最初の厚みと前記第1のツールの進入深さとの差に相当する薄肉部を有する。好ましくは、この薄肉部は、前記外輪に形成された前記保持フランジ体のための前記溝の幅よりも必ず薄くなるように選択される。前記保持フランジ体のうち、前記プレートの最初の厚みから変わらない部分は、前記正面側幾何エンべロップよりも径方向外方にあり、この公称的位置では、転がり軸受の外輪と接触する恐れがない。
【0011】
組立ライン生産では、別々の成形ステーションに各ツールが設けられ得て、前記メタルプレートが、例えばコンベアベルト等の任意の適切な手段により、ある成形ステーションから次の成形ステーションへと搬送され得る。各ステーションには、前記メタルプレートが各成形工程で載せられて保持される下型が備え付けられている。各ツールは、例えば1つ以上の機械プレスや油圧プレス等の任意の適切な手段によって駆動され得る。好ましくは、一つの同じプレスのみが、特に前記第1および第2のツールを保持しており、プレスが持ち上がるたびに、あるステーションから別のステーションへと搬送される前記メタルプレートに対して、これらのツールが同期して動作する。
【0012】
前記第1のツールの進入工程では、押しやられた素材が、前記第1のツールと対向する金型内に収まり得る。あるいは、前記基準軸に沿って、ブランクツールが、前記正面から、前記進入方向に進入することで、前記メタルプレートを穿孔し、前記基準軸を取り囲む前記ブランク材幾何エンべロップを輪郭とするブランク孔を形成する、前処理工程が設けられる。この場合、前記第1のツールの進入によって押しやられる素材は、前記ブランク孔へと入り込む。前記メタルプレートを穿孔することが可能な前記ブランクツールは、前記ブランク材幾何エンべロップの断面と同じ断面の、例えば円形パンチや角形パンチ等のどのような形状のパンチであってもよい。
【0013】
好ましくは、前記メタルプレートは、矩形状である。
【0014】
一実施形態では、前記正面側幾何エンべロップの前記組付用切欠部に対し、前記基準軸に沿って穿孔が行われて、孔と、該孔と前記裏面側幾何エンべロップとの間に位置した、塑性変形可能な組付部材と、を形成する。好ましくは、この穿孔は、前記第1のツールの進入工程または前記第2のツールの進入工程で行われる。これにより、前記正面側幾何エンべロップの前記切欠部に形成される前記組付部材は、工程を追加せずに得られる。
【0015】
一実施形態において、前記裏面側幾何エンべロップは、前記基準軸を中心とした円筒状部を含み、2つの該円筒状部が、前記裏面側幾何エンべロップの第1の特異部の両側に位置しており、前記第1の特異部は、前記メタルプレートの厚みよりも小さい厚みの、前記裏面側幾何エンべロップの前記円筒状部よりも前記基準軸側へと径方向に突設された舌部を形成するように、前記ホルデングノッチと径方向に並んで位置している。このようなタブは、前記素材を前記正面側幾何エンべロップと前記ブランク材幾何エンべロップとの間に押しやる過程に由来した素材で形成される。
【0016】
一実施形態において、前記第1の特異部は、該第1の特異部の両側に位置した前記2つの円筒状部と前記舌部との間の接続領域を含み、該接続領域は、前記第1の特異部の両側に位置した前記円筒状部よりも径方向外側に延在している。
【0017】
一実施形態において、前記裏面側幾何エンべロップは、該裏面側幾何エンべロップの前記円筒状部のうちの隣接する2つの円筒状部間に位置して前記組付用切欠部と径方向に並んだ少なくとも第2の特異部を有しており、該第2の特異部が、前記隣接する2つの円筒状部との接続領域を含み、前記第2の特異部の該接続領域が、
-径方向で前記裏面側幾何エンべロップの前記円筒状部よりも外側に、軸方向で前記裏面側幾何エンべロップの厚みにわたって延在しているか、あるいは、
-径方向で前記裏面側幾何エンべロップの前記円筒状部よりも外側に、軸方向で前記保持フランジ体の厚みの全体にわたって延在している。
【0018】
好ましい一実施形態において、前記正面側幾何エンべロップは、正反対に位置した合計2つの円筒状部、ならびに該正面側幾何エンべロップのこれら2つの円筒状部を隔てる、正反対に位置したホルデングノッチ及び組付用切欠部を有する。
【0019】
一実施形態において、前記穿孔は、打抜きによって行われる。
【0020】
前記第1のツールは、前記正面側幾何エンべロップの断面と同じ断面のパンチである。該パンチはスタンピングを実行し、該スタンピングは熱間又は冷間で行われ得る。前記メタルプレートを穿孔するのに用いられる前記第2のツールは、前記ブランク材幾何エンべロップの断面と前記正面側幾何エンべロップの断面との間の断面積の筒形パンチであり、該パンチにより、きれいな切断を少なくとも部分的に得ることが可能である。
【0021】
一実施形態では、前記プレートの前記正面側幾何エンべロップよりも径方向外側で、製造工程時に前記プレートを保持する役割を果たす保持孔と、取付孔とが、前記プレートから切り分けられる。前記保持孔は、ねじ付きの前記取付孔よりも径方向外側に位置し得る。ねじ付きの前記取付孔により、前記保持フランジ体は、締結具を用いて車両のケースに取り付けることができる。
【0022】
一実施形態では、前記プレート製造の終わりに、前記取付孔を囲んで前記保持孔よりも径方向内側に位置した前記プレートの輪郭が切断される。前記プレートの該輪郭は、前記フランジ体の製造工程後に切断ツールを用いて切断される。
【0023】
種々の実施形態において、
-前記中間深さは、前記プレートの厚みの1/3よりも大きく、かつ/あるいは、
-前記中間深さは、前記プレートの厚みの2/3よりも小さく、かつ/あるいは、
-前記プレートの厚みと前記中間深さとの差は、1mmよりも大きく3mmよりも小さく、かつ/あるいは、
-前記中間深さは、1mmよりも大きく3mmよりも小さく、かつ/あるいは、
-前記プレートの厚みは、3mmよりも、例えば、4mmよりも大きく、6mmよりも小さい。
【0024】
一実施形態において、前記第2のツールは、前記中間深さに、尖ったエッジを生じさせるとともに、該尖ったエッジから前記進入方向に少なくとも0.5mmの深さにわたって、前記最終孔部のきれいな切断を生じさせる。好ましくは、前記プレートの厚みの全体にわたって、きれいな切断が行われる。
【0025】
好ましい種々の寸法設定では、
-前記正面側幾何エンべロップの前記円筒状部は、前記最終孔部から、0.1mmよりも、好ましくは0.5mmよりも大きく、1.0mmよりも、好ましくは0.7mmよりも小さい径方向距離に位置しており、かつ/あるいは、
-前記正面側幾何エンべロップの前記円筒状部は、前記ブランク材幾何エンべロップから、1mmよりも、好ましくは3mmよりも大きく、10mmよりも、好ましくは7mmよりも小さい径方向距離に位置している。
【0026】
本発明の他の態様では、本発明が、ケース内に取り付けられるように意図された回転ガイドアセンブリを製造する方法であって、
前述のように保持フランジ体を製造する工程と、
転がり軸受の外輪の溝に前記保持フランジ体を取り付ける工程であって、前記溝が、第1の直径の前方面および前記第1の直径よりも大きい第2の直径の後方面を有する、工程と、を備える、方法において、
前記保持フランジ体の前記舌部が、前記転がり軸受の前記外輪の前記溝内に挿入されて、前記組付部材は、少なくとも一部が前記溝内に径方向に挿入されるように塑性変形させられて、変形した前記組付部材と前記溝の底との間のクリアランスが、0.1mmよりも大きい、ことを特徴とする、方法に関する。
【0027】
本発明のさらなる他の態様では、本発明が、先述の製造方法によって得られる、ケース内に取り付けられるように意図された回転ガイドアセンブリに関する。
【0028】
本発明のその他の構成および利点は、添付の図面を参照しながら以降の開示内容を読むことで明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係る保持フランジ体により定位置に保持された転がり軸受を介してケース内で回転する軸の取付けを示す、縦方向部分断面図である。
図2A図1の保持フランジ体の片方の面を示す斜視図である。
図2B図1の保持フランジ体のもう片方の面を示す斜視図である。
図3A】前処理の製造工程を実施するブランクツールの縦方向断面図である。
図3B】同前処理の製造工程での図2A及び図2Bの保持フランジ体の正面図である。
図4A】第1の製造工程を実施する第1のツールの縦方向断面図である。
図4B】同第1の製造工程での図2A及び図2Bの保持フランジ体の正面図である。
図5A】第2の製造工程を実施するツールの縦方向断面図である。
図5B】同第2の製造工程での図2A及び図2Bの保持フランジ体の正面図である。
図6】前処理工程を介さない場合の、前記第1のツールにより実施される工程の変形例を示す縦方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
分かり易くするために、同一又は同様の構成要素は、全図において同一の参照符号で特定している。
【0031】
図1に、自動車のギアボックスまたはモータの、特には、電気モータのケース10内に、プライマリ軸またはセカンダリ軸2を取り付ける様子を示す。この取付けは、外輪14、内輪16およびこれらの輪14,16の間に設けられて輪14,16の相対回転を可能にする転動体18を有する転がり軸受12を用いて行われる。図示の実施形態では、内輪16が回転側であって軸2に焼き嵌めされ、外輪14が固定側であってケース10の口部3の凹状底部101に焼き嵌め又は圧入される。転動体18は、本例ではボールであるが、例えば円錐ころ、円筒ころ等とされてもよい。外輪14は、第1の直径の前方面17と前記第1の直径よりも必ず大きい第2の直径の後方面19とによって形成された溝22を有する。前方面17は溝22の前方側部4を形成し、後方面19は溝22における前方側部4とは反対側の後方側部5を形成する。外輪14には、保持フランジ体20が取り付けられる。保持フランジ体20は、ケース10側に面さない正面201、およびケース10と溝22の後方側部5とに面する裏面202を有する。
【0032】
ケース10内に転がり軸受12を取り付けるには、保持フランジ体20を、後述の方法によって転がり軸受12の溝22へと組み付ける。そして、保持フランジ体20と転がり軸受12とからなる組付体を、軸2の軸方向端に焼き嵌めする。そして、軸2と転がり軸受12と保持フランジ体20とからなる仮組立体を、ケース10の口部3の入口に対して軸方向に手探りで配置する。
ねじ6をケース10に挿通させて、例えばねじ孔等とされ得る取付孔28と係合させることにより、外輪14が口部3の凹状底部101に焼き嵌め又は隙間嵌めで挿設される。保持フランジ体20の周にわたって分布したこのようなねじ6を徐々に締め付けていくと、保持フランジ体20がケース10に近付いて外輪14とケース10の凹状底部101との間に接触圧が発生する。ところで、保持フランジ体20は、組付力を伝えるとともに軸2から伝わる力を支えるのに十分高い硬度とするため、正面201から裏面202までの厚みが比較的大きくなっており、好ましくは、溝22の前方側部4と後方側部5との間の幅よりも大きくなっている。
【0033】
図2Aに保持フランジ体20の正面201を、図2Bにその裏面202を示す。
【0034】
保持フランジ体20の正面201から、保持フランジ体20の厚みの全体よりも小さい中間深さまでにかけて、正面側幾何エンべロップと称される幾何エンべロップ41を輪郭とする、フランジ体20の基準軸1を中心とした孔部25が形成されている。保持フランジ体20の前記中間厚みから裏面202までにかけて、裏面側幾何エンべロップと称される幾何エンべロップ43を輪郭とする、フランジ体20の基準軸1を中心とした、最終孔部と称される孔部24が形成されている。保持フランジ体20の正面201と裏面202とに平行な一つの面203が、正面側幾何エンべロップ41と裏面側幾何エンべロップ43とを接続している。
【0035】
正面側幾何エンべロップ41は、正反対に位置してホールデング・ノッチ29及びアセンブリ・ノッチ31によって隔てられた2つの円筒状部251,252で構成されている。好ましくは、ホールデング・ノッチ29とアセンブリ・ノッチ31は、正反対に位置している。ホールデング・ノッチ29は、軸方向に投影すると、径方向の幅が正放線方向の長さよりも短いU字状となっている(図4B及び図5Bも参照)。アセンブリ・ノッチ31も、軸方向に投影すると、幅が長さよりも短いU字状となっている。ホールデング・ノッチ29およびアセンブリ・ノッチ31は、保持フランジ体20から径方向外方に突設されている。
【0036】
裏面側幾何エンべロップ43は、正反対に位置して2つの特異部11,13によって隔てられた2つの円筒状部241,242で構成されている。裏面側幾何エンべロップ43は、正面側幾何エンべロップ41よりも小さい。第1の特異部11はホールデング・ノッチ29と径方向に並んで位置しており、第2の特異部13はアセンブリ・ノッチ31と径方向に並んで位置している。接続領域9が円筒状部241,242と第1の特異部11とを接続しており、接続領域15が円筒状部241,242と第2の特異部15とを接続している。接続領域9は、径方向で裏面側幾何エンべロップ43の円筒状部241,242よりも外側に、軸方向で裏面側幾何エンべロップ43の厚みにわたって又は保持フランジ体20の厚みの全体にわたって延在しており、接続領域15は、径方向で裏面側幾何エンべロップ43の円筒状部241,242よりも外側に、軸方向で裏面側幾何エンべロップ43の厚みにわたって又は保持フランジ体20の厚みの全体にわたって延在している。接続領域9,15は、フランジ体20から径方向外方に向いた素材の窪み、例えば、丸状の窪みの形態である。
【0037】
ホールデング・ノッチ29の、保持フランジ体20の裏面202へと向かう軸方向の延長線上には、舌部33が形成されており、アッセンブリ・ノッチ31の、保持フランジ体20の裏面202へと向かう軸方向の延長線上には、第2のノッチ31よりも小寸法の孔310、好ましくは長孔310が穿孔されている。好ましくは、長孔310のエッジ部のうち、裏面側幾何エンべロップ43を画定するエッジ部の中央部分に、保持フランジ体20から径方向外方に向いたボス27が存在している。フランジ体20の裏面側幾何エンべロップ43とアセンブリ・ノッチ31の孔310との間に位置した壁厚部が、アセンブリメンバー26を構成する。アセンブリメンバー26は、図2A及び図2Bに示す取付前状態と保持フランジ体20内部に向かって径方向に動く取付後状態との間で塑性変形可能である。
【0038】
保持フランジ体20の外側の輪郭は、保持フランジ体20から径方向外方に向いた締結タブ23により接続された円筒状部から構成されている。取付孔28は、締結タブ23の中央に存在している。
【0039】
図示しない他の実施形態として、正面側幾何エンべロップ41は、3つ以上の切欠部で隔てられた3つ以上の円筒状部によって形成されていてもよい。これにより、保持フランジ体20は、2つ以上のアセンブリメンバー26および/または2つ以上の舌部33を有していてもよい。
【0040】
以下では、保持フランジ体20を外輪14周りに組み付ける方法に関して説明する。最終孔部24を外輪14の溝22の前方面17に対して傾けて、舌部33が前方面17を軸方向に飛び越えるようにすることで、ホールデング・ノッチ29が外輪14の溝22内に挿入される。次に、この組付方法では、少なくとも1つのアセンブリメンバー26を前記取付前状態から前記取付後状態へと径方向に変形させることで、該アセンブリメンバー26の少なくとも一部が溝22内に配置される。これにより、溝22と舌部33とアセンブリメンバー26とが締まり嵌めになることで、保持フランジ体20の組付けが確実なものになる。このように、アセンブリメンバー26の変形によって組付体を得ているため、保持フランジ体20に加わる力は限定的なものに維持されることから、該保持フランジ体20と転がり軸受12の外輪14との間の組立時のインターフェレンスをコントロールすることができる。
【0041】
次に、前述の図で示されたフランジ体20の製造方法について説明する。図3A及び図3Bに、保持フランジ体20の製造方法の、任意の前処理工程を示す。プレート37が、機械プレス又は油圧プレスの下型に載せられるとともに、プレート37の外郭に穿孔された保持孔21に留め固定手段が挿入されて固定が行われる。ツールホルダに留め固定されたブランクパンチ38が、基準軸1に沿って進入方向Aに動き、前記下型の底に至るまでプレート37を穿孔することにより、シリンダー状ブランク材幾何エンべロップ39を形成する。ブランクパンチ38は、ブランク材幾何エンべロップ39を筒状にした外形を有しており、その直径は正面側幾何エンべロップ41の寸法よりも小さい。図示しない他の実施形態では、ブランク材幾何エンべロップ39が、例えば、正反対に位置した2つの切欠部で隔てられてなる、正反対に位置した2つの円筒状部により形成された、任意の形状および寸法のものとされる。プレート37は、3mm以上で6mm以下の既知の厚みのものである。他の実施形態では、保持孔21が、ブランク材幾何エンべロップ39と同時に穿孔される。
【0042】
図4A及び図4Bに示す、保持フランジ体20の製造方法の実際の第1の工程では、第1のツールホルダに留め固定された第1のパンチ40が、基準軸1に沿って進入方向Aに動き、メタルプレート37をスタンピングすることで、正面側幾何エンべロップ41を輪郭とする素材の陥没部を形成する。図4Aには、第1のパンチ40が、図3Bの工程後に得られたプレート37に対し、プレート37の厚みよりも小さい中間深さだけ部分的にスタンピングを行う様子が描かれている。具体的には、前記中間深さは、1mm~3mm、すなわち、プレート37の厚みの全体の1/3ないしプレート37の厚みの全体の2/3である。第1のパンチ40は、正面側幾何エンべロップ41を外形として有する。正面側幾何エンべロップ41の円筒状部251,252は、ブランク材幾何エンべロップ39に対し、1mmよりも、好ましくは3mmよりも大きく、10mmよりも、好ましくは7mmよりも小さい径方向距離だけ径方向外側に位置している。図4Bには、図4Aに記載の方法に従って第1のパンチ40を用いて形成される前記陥没部が得られたメタルプレート37が描かれている。図示しない追加の工程にて、プレート37のアセンブリ・ノッチ31に含まれる素材に対して穿孔又は打抜きが行われることで、長孔310およびアセンブリメンバー26を形成する。この追加の工程では、そのほか、プレート37の、正面側幾何エンべロップ41から径方向に離れたところの取付孔28の穿孔又は打抜きが行われる。
【0043】
図5A及び図5Bに示す、保持フランジ体20の製造方法の第2の工程では、第2のツールホルダに留め固定された第2のパンチ42が、基準軸1に沿って動き、メタルプレート37を穿孔することで、裏面側幾何エンべロップ43を形成する。第2のパンチ42は、プレート37の厚みの少なくとも一部、特には、面203から進入方向Aに少なくとも0.5mmの厚みに、きれいな切断を行う。図5Aには、第2のパンチ42が、図4Aの工程後に得られたプレート37に対し、基準軸1に沿って進入方向Aに穿孔を行う様子が描かれている。第2のパンチ42は、裏面側幾何エンべロップ43を外形として有する。正面側幾何エンべロップ41の円筒状部251,252は、裏面側幾何エンべロップ43に対し、0.1mmよりも、好ましくは0.5mmよりも大きく、1.0mmよりも、好ましくは0.7mmよりも小さい径方向距離だけ径方向外側に位置している。図5Bには、図5Aに記載の方法に従って第2のパンチ42を用いて裏面側幾何エンべロップ43が形成されたメタルプレート37が描かれている。
【0044】
図示しない後続の工程では、径方向外方に向いた締結タブ23によって円筒状部同士が隔てられた形態の、前記プレートの外側の輪郭が形成される。該輪郭は、一般的に、プレート37を前記下型に保持する役割を果たす保持孔21よりも径方向内側に、かつ、取付孔28よりも径方向外側に位置している。
【0045】
図6に、保持フランジ体20の製造方法を2工程で行う、第2の実施形態を示す。第1の工程では、メタルプレート37が、素材を捕集する空間を有する中空下型44に載せられる。該空間の深さは、メタルプレート37の中間厚みとメタルプレート37の裏面202との間の軸方向距離よりも大きい。この中空下型は、ブランク材幾何エンべロップ39を輪郭とする。第1のツールホルダに留め固定された第1のパンチ40が、基準軸1に沿って動き、正面側幾何エンべロップ41内に位置した素材を前記中空下型の空間内に移動させつつプレート37に対するスタンピングを前記中間深さに沿って行うことで、正面側幾何エンべロップ41を輪郭とする素材の陥没部を前記プレートの前記中間厚みに形成するとともに、プレート37の前記中間厚みから前記中空下型の空間内へと押しやられた、ブランク材幾何エンべロップ39を輪郭とする素材体を形成する。
【0046】
第2の実施形態の第2の工程では、先述の実施形態と同じく、裏面側幾何エンべロップ43を輪郭とする第2のパンチ42が、基準軸1に沿って動き、メタルプレート37を穿孔することにより、図5Bに示すメタルプレート37の裏面側幾何エンべロップ43を形成する。
【0047】
図示しない他の実施形態では、3つのパンチ38,40,42が、3つの異なるプレスに属する3つのツールホルダに設置されている。
【0048】
当然の如く、上述した図示の例は、例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。図示の様々な実施形態を組み合わせて別の実施形態にすることも可能であるという点は明白である。
【0049】
本開示内容、図面及び添付の特許請求の範囲から当業者に対して教示される全ての構成は、規定の別の構成単体又は構成同士の組合せとの関連でしか具体的に触れていないものの、本明細書に開示したその他の構成や構成群とも組み合わされてもよく、この組合せは、明示的に排除されていない限り、そして、技術的状況からみて不可能又は非合理的でない限り実施されてよいという点を強調する。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
【外国語明細書】