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特開2024-150405組織内の伝導ブロックを評価するシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150405
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】組織内の伝導ブロックを評価するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/367 20210101AFI20241016BHJP
   A61B 5/287 20210101ALI20241016BHJP
   A61B 18/02 20060101ALI20241016BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20241016BHJP
   A61B 18/18 20060101ALI20241016BHJP
   A61B 18/20 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
A61B5/367
A61B5/287
A61B18/02
A61B18/12
A61B18/18 100
A61B18/20
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024042388
(22)【出願日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】63/490,887
(32)【優先日】2023-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドン カーティス デノ
(72)【発明者】
【氏名】リンダ エル. ロイツ
(72)【発明者】
【氏名】ポール ジェームス リード
(72)【発明者】
【氏名】ジェフェリー エー. シュヴァイツェル
(72)【発明者】
【氏名】ロエル ボイス ムーン
(72)【発明者】
【氏名】スコット アレン ヘアランド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】組織における伝導ブロックを自動評価するシステム、装置、及び方法を提供する。
【解決手段】組織の損傷にわたる伝導ブロックは、損傷の片側の組織にペーシング信号を印加し、損傷の反対側の組織の電気生理学的活動を感知することによって評価することができる。電気解剖学的マッピングシステムに組み込まれるような信号処理装置は、ペーシング信号による誘発反応について感知された電気生理学的活動を分析し、伝導ブロック状態のインジケータを出力する。より詳細には、プリセット数の連続するペーシングパルスが誘発反応をもたらさない場合、ブロックのインジケータを出力することができ、逆に、プリセット数の連続するペーシングパルスが誘発反応をもたらす場合、ブロックがないことのインジケータを出力することができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織内の損傷にわたる伝導ブロックを評価する方法であって、
前記損傷の第1の側の前記組織にペーシング信号を印加するステップであって、前記ペーシング信号は、複数のペーシングパルスを含む、前記印加するステップと、
前記損傷の第2の側で前記組織内の電気生理学的活動を感知するステップであって、前記損傷の前記第2の側は、前記損傷の前記第1の側とは反対側である、前記感知するステップと、
信号処理装置において、前記ペーシング信号による誘発反応について、感知された前記電気生理学的活動を分析するステップと、
前記信号処理装置を介して、伝導ブロックの状態のインジケータを出力するステップと、を含み、
前記伝導ブロックの状態のインジケータは、
プリセット数の連続するペーシングパルスが前記誘発反応を誘発しない場合、伝導ブロックのインジケータと、
前記プリセット数の連続するペーシングパルスが前記誘発反応を誘発する場合、伝導ブロックがないことのインジケータと、
それ以外の場合、不確かなブロックの状態のインジケータと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記損傷の前記第1の側の前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップは、前記損傷の前記第1の側に位置する第1の複数の電極を使用して前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップを含み、
前記損傷の前記第2の側で前記組織内の前記電気生理学的活動を感知するステップは、前記損傷の前記第2の側に位置する第2の複数の電極を使用して前記電気生理学的活動を感知するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の複数の電極及び前記第2の複数の電極は、共通のカテーテルに取り付けられる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記共通のカテーテルは、近位シャフトと、遠位の複数の拡張可能スプラインと、を備え、
前記第1の複数の電極は、前記遠位の複数の拡張可能スプラインに取り付けられ、
前記第2の複数の電極は、前記近位シャフトに取り付けられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記損傷の前記第1の側に位置する前記第1の複数の電極を使用して、前記ペーシング信号を前記組織に印加するステップの前に、アブレーション治療の第1の増分を前記組織に印加するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記組織に前記アブレーション治療の第1の増分を印加するステップは、前記第1の複数の電極のサブセットを使用して前記組織に前記アブレーション治療の第1の増分を印加することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の複数の電極は、複数のカテーテルに取り付けられる、請求項2に記載の方法
【請求項8】
前記損傷の前記第1の側に位置する前記第1の複数の電極を使用して前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップは、前記第1の複数の電極の全てを同時に使用して前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記損傷の前記第1の側に位置する前記第1の複数の電極を使用して前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップは、前記第1の複数の電極から選択された電極の対を順次使用して前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記伝導ブロックがないことのインジケータは、前記損傷のギャップの位置のインジケータをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記損傷の前記第2の側の前記組織における電気生理学的活動を感知するステップは、表面心電図リードを使用して前記電気生理学的活動を感知するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記損傷の前記第1の側の前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップと、
前記信号処理装置において、前記ペーシング信号による前記誘発反応について、感知された前記電気生理学的活動を分析するステップと、
の間に、プリセットブランキング間隔だけ遅延させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記伝導ブロックの状態のインジケータは、伝導ブロックの状態の視覚インジケータと、伝導ブロックの状態の可聴インジケータと、伝導ブロックの状態の触覚インジケータと、のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記信号処理装置を介して、前記伝導ブロックの状態のインジケータの信頼値を出力するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記信号処理装置において、前記ペーシング信号による前記誘発反応について、感知された前記電気生理学的活動を分析するステップは、前記信号処理装置が、プリセットノイズレベル閾値を超える信号振幅について、感知された前記電気生理学的活動を分析するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記信号処理装置は、静止間隔中に感知された前記電気生理学的活動の振幅に応じて、前記プリセットノイズレベル閾値を決定する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
組織内の損傷にわたる伝導ブロックを評価するためのシステムであって、
前記損傷の第1の側の前記組織にペーシング信号を印加するように構成されたペーシングシステムであって、前記ペーシング信号は、複数のペーシングパルスを含む、前記ペーシングシステムと、
前記損傷の第2の側の前記組織内の電気生理学的活動を感知するように構成された感知システムであって、前記損傷の前記第2の側は、前記損傷の前記第1の側とは反対側である、前記感知システムと、
伝導ブロック信号処理装置と、
を備え、
前記伝導ブロック信号処理装置は、前記ペーシング信号による誘発反応について、感知された前記電気生理学的活動を分析し、伝導ブロックの状態のインジケータを出力するように構成され、
前記伝導ブロックの状態のインジケータは、
プリセット数の連続するペーシングパルスが前記誘発反応を誘発しない場合、伝導ブロックのインジケータと、
前記プリセット数の連続するペーシングパルスが前記誘発反応を誘発する場合、伝導ブロックがないことのインジケータと、
それ以外の場合、不確かなブロックの状態のインジケータと、を含む、
システム。
【請求項18】
前記ペーシングシステム、前記感知システム、及び、前記伝導ブロック信号処理装置は、電気解剖学的マッピングシステムに統合されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ペーシングシステム及び前記感知システムの両方に動作可能に結合された多電極カテーテルをさらに備え、
前記多電極カテーテルは、
前記ペーシングシステムに動作可能に結合されて前記損傷の前記第1の側の前記組織に前記ペーシング信号を印加する第1の複数の電極と、
前記感知システムに動作可能に結合されて前記損傷の前記第2の側の前記組織における前記電気生理学的活動を感知する第2の複数の電極と、を備え、
前記第1の複数の電極は、前記多電極カテーテル上の前記第2の複数の電極の遠位側に位置する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記ペーシングシステムは、前記第1の複数の電極の各電極を同時に使用して前記ペーシング信号を前記組織に印加するように構成されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記伝導ブロック信号処理装置は、固有心拍数と、前記ペーシング信号のレートと、の少なくとも一つの関数として、前記プリセット数の連続するペーシングパルスを決定するようにさらに構成される、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2023年3月17日に出願された米国仮出願第63/490,887号の利益を主張するものであり、これは参照により本明細書に完全に記載されているものとして本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は一般に、心房細動を含むがこれに限定されない、心臓リズム障害の電気生理学的処置及び治療に関する。特に、本開示は、異常な伝導経路を遮断するために形成されたアブレーション損傷の有効性を評価するためのシステム、装置、及び方法に関する。
【0003】
様々な心臓リズム障害が知られている。同様に、一定の心臓リズム障害は、心臓にアブレーション損傷を形成し、不整脈の原因又は一因となっている可能性のある異常な伝導経路を遮断することによって治療できることが知られている。
【0004】
例えば、心房細動は心筋の無秩序な電気的活動に起因することが理解されている。心房細動のよく知られた治療の1つは、左心房から1つ又は複数の肺静脈を隔離する損傷を形成することであり、いわゆる肺静脈隔離術、即ちPVI術である。
【0005】
当業者であれば、PVI損傷の形成に使用できる様々な技術に精通しているであろう。これは高周波(RF)アブレーション、低温アブレーション、マイクロ波アブレーション、レーザーアブレーション、高強度焦点式超音波(HIFU)アブレーション、パルスフィールドアブレーション(PFA)(不可逆的エレクトロポレーション(IRE)としても知られる)を含むが、これらに限定されるものではない。
【0006】
PVI損傷の形成にどのような技術が用いられたとしても、施術者は、損傷が肺静脈と左心房間の電気伝導を遮断するという望んだ効果をもたらしたかどうかを確認したいと考えることが多い。「出口ブロック」とは、損傷が肺静脈から左心房への心房細動を維持する可能性がある伝導を妨げていることを確認することである。「入口ブロック」とはその逆で、左心房から肺静脈への伝導を阻止することである。出口ブロックと入口ブロックの両方を達成することは、「完全ブロック」又は「双方向ブロック」として知られている。
【0007】
出口ブロックは、PVI損傷の上流(肺静脈)側の組織にペーシングを行い、PVI損傷の下流(左房)側の電気生理学的活動を感知することでテストできる。上流のペーシング信号がPVI損傷の下流側で反応を誘発すれば、出口ブロックは達成されていない。
【0008】
しかし、出口ブロックをテストする既知のアプローチは手作業で労働集約的である。施術者は上流の組織に適切なペーシングを施し、損傷の下流側で感知された電気生理学的信号を解釈しなければならない。そのため,ブロックが達成されたかどうかを施術者が判断するまでに数分かかることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本明細書では、組織内の損傷にわたる伝導ブロックを評価する方法が開示される。本方法は、損傷の第1の側の組織にペーシング信号を印加するステップであって、ペーシング信号は複数のペーシングパルスを含む、印加するステップと、損傷の第2の側で組織内の電気生理学的活動を感知するステップであって、損傷の第2の側は損傷の第1の側とは反対側である、感知するステップと、信号処理装置において、ペーシング信号による誘発反応について、感知された電気生理学的活動を分析するステップと、信号処理装置を介して、伝導ブロックの状態のインジケータを出力するステップと、を含む。伝導ブロックの状態のインジケータは、プリセット数の連続するペーシングパルスが誘発反応を誘発しない場合、伝導ブロックのインジケータであり、予め設定された数の連続するペーシングパルスが誘発反応を誘発する場合、伝導ブロックがないことの示すインジケータであり、それ以外の場合、不確かなブロックの状態のインジケータであり得る。伝導ブロックの状態のインジケータは、伝導ブロックの状態の視覚インジケータと、伝導ブロックの状態の可聴インジケータと、及び/又は、伝導ブロックの状態の触覚インジケータと、を含むことができる。
【0010】
本開示の実施形態において、損傷の第1の側の組織にペーシング信号を印加するステップは、損傷の第1の側に位置する第1の複数の電極を使用して組織にペーシング信号を印加するステップを含み、損傷の第2の側で組織内の電気生理学的活動を感知するステップは、損傷の第2の側に位置する第2の複数の電極を使用して電気生理学的活動を感知するステップを含む。第1の複数の電極及び第2の複数の電極は、共通のカテーテルに取り付けられてもよいことが考えられる。例えば、共通のカテーテルは、近位シャフトと、遠位の複数の拡張可能スプラインと、を備えることができ、第1の複数の電極は遠位の複数の拡張可能スプラインに取り付けられ、第2の複数の電極は近位シャフトに取り付けられる。
【0011】
損傷の第1の側に位置する第1の複数の電極を使用して、ペーシング信号を組織に印加するステップの前に、アブレーション治療の第1の増分を組織に印加することができる。本開示のいくつかの実施形態において、アブレーション治療の第1の増分は、第1の複数の電極のサブセットを使用して組織に印加される。
【0012】
本明細書に開示された特定の態様によれば、第2の複数の電極は複数のカテーテルに取り付けることができる。損傷の第2の側の組織における電気生理学的活動も、表面心電図リードで感知することができる。
【0013】
ペーシング信号は、第1の複数の電極の全てを同時に使用して組織に印加することができる。あるいは、ペーシング信号は、第1の複数の電極から選択された電極の対を順次使用して組織に印加することができる。ペーシング信号が、第1の複数の電極から選択された電極の対を順次使用して印加される場合、伝導ブロックがないことのインジケータは、損傷のギャップの位置のインジケータをさらに含むことができることが考えられる。
【0014】
本方法は、損傷の第1の側の組織にペーシング信号を印加するステップと、信号処理装置において、ペーシング信号による誘発反応について感知された電気生理学的活動を分析するステップと、の間に、プリセットブランキング間隔だけ遅延させるステップを含むことができることが考えられる。
【0015】
任意選択で、信号処理装置は、導通ブロックの状態のインジケータに対する信頼値を出力することもできる。
【0016】
信号信号処理装置において、ペーシング信号による誘発反応について、感知された電気生理学的活動を分析するステップは、信号処理装置が、プリセットノイズレベル閾値を超える信号振幅について、感知された電気生理学的活動を分析するステップを含むことができる。信号処理装置は、予め設定されたノイズレベル閾値を使用するか、あるいは、静止間隔中に感知された電気生理学的活動の振幅に応じて、プリセットノイズレベル閾値を決定することもできる。
【0017】
本開示はまた、組織内の損傷にわたる伝導ブロックを評価するためのシステムを提供する。システムは、損傷の第1の側の組織にペーシング信号を印加するように構成されたペーシングシステムであって、ペーシング信号が複数のペーシングパルスを含む、ペーシングシステムと、損傷の第2の側の組織における電気生理学的活動を感知するように構成された感知システムであって、損傷の第2の側は、損傷の第1の側とは反対側である、感知システムと、伝導ブロック信号処理装置と、を備える。伝導ブロック信号処理装置は、ペーシング信号による誘発反応について、感知された電気生理学的活動を分析し、伝導ブロックの状態を示すインジケータを出力するように構成される。伝導ブロックの状態のインジケータは、プリセット数の連続するペーシングパルスが誘発反応を誘発しない場合、伝導ブロックのインジケータであり、プリセット数の連続するペーシングパルスが誘発反応を誘発する場合、伝導ブロックがないことのインジケータであり、それ以外の場合、不確かなブロックの状態のインジケータであり得る。
【0018】
ペーシングシステム、感知システム、及び、伝導ブロック信号処理装置のうちの二つ以上は、電気解剖学的マッピングシステムに統合されていてもよい。
【0019】
システムはまた、ペーシングシステム及び感知システムの両方に動作可能に結合された多電極カテーテルをさらに備えることができ、多電極カテーテルは、ペーシングシステムに動作可能に結合されて損傷の第1の側の組織にペーシング信号を印加する第1の複数の電極と、感知システムに動作可能に結合されて損傷の第2の側の組織における電気生理学的活動を感知する第2の複数の電極と、を備え、第1の複数の電極は、多電極カテーテル上の第2の複数の電極の遠位側に位置する。
【0020】
ペーシングシステムは、第1の複数の電極の各電極を同時に使用してペーシング信号を組織に印加するように構成されることができる。
【0021】
伝導ブロック信号処理装置は、固有心拍数と、ペーシング信号のレートと、の少なくとも一つの関数として、プリセット数の連続するペーシングパルスを決定するようにさらに構成されることができる。
【0022】
本発明の前述及びその他の態様、特徴、詳細、有用性及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を読み、添付図面を検討することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】本開示の態様による伝導ブロックの評価のためのシステムのブロック図である。
図1B】本開示の態様による伝導ブロックの評価のためのシステムのブロック図である。
図2】本開示の態様に関連して使用できる例示的なカテーテルを示している。
図3】本開示の態様に従って実施できる代表的なステップのフローチャートである。
図4A】例示的なペーシング信号である。
図4B図4Aに示したペーシング信号に反応して感知された例示的な電気生理学的活動信号である。
図5A】本明細書に開示される実施形態によるブロック状態のインジケータを示す。
図5B】本明細書に開示される実施形態によるブロック状態のインジケータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
複数の実施形態が開示されているが、本開示のさらに他の実施形態は、例示的な実施形態を示し説明する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。従って、図面及び詳細な説明は、本質的に例示的なものとみなされ、制限的なものではないものとみなされる。
【0025】
本開示は、組織における伝導ブロックを自動評価するシステム、装置、及び方法を提供する。説明のために、本開示の態様を、肺静脈隔離(PVI)処置に起因する伝導ブロックを評価することを参照して説明する。しかしながら、当業者であれば、他の損傷、瘢痕及び低電圧領域にわたる伝導ブロック、解剖学的境界、機能的ブロック又は遅延などを評価するために、本明細書の教示をどのように適用すればよいかを理解するであろう。
【0026】
図1A及び図1Bは、本開示の様々な態様に従って組織(例えば、心臓12内の組織)における伝導ブロックを評価するための例示的なシステム10(それぞれ10a、10bと示す)のブロック図である。より詳細には、図1Aは、様々な個別のハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントを相互接続する本開示の実施形態を示し、図1Bは、本明細書に記載される複数の態様を、アブレーション及びテスト装置と呼ばれる単一のハードウェアコンポーネントに統合する本開示の実施形態を示す。
【0027】
図1Aに示すように、システム10aはアブレーション発生器14を備える。アブレーション発生器14は、パルスフィールドアブレーション(PFA)発生器として図示されているが、損傷がどのように形成されたかに関係なく、アブレーション損傷によって達成されたブロックを評価することが望ましい場合がある限り、他のアブレーション様式(例えば、高周波(RF)アブレーション、低温アブレーション、マイクロ波アブレーションなど)は、本開示の精神及び範囲内であることが理解されるべきである。
【0028】
システム10aはさらに、Abbott Laboratories社(イリノイ州アボットパーク)のEnSite(商標)X、EnSite(商標)Velocity(商標)、又は、EnSite Precision(商標)電気生理学的マッピング及び可視化システムのような、電気解剖学的マッピングシステム16と、いずれもAbbott Laboratories社のEP-4(商標)カーディアックスティムレータと組み合わせて使用できるWorkMate Claris(商標)システムのようなペーシング/感知システム18と、を備える。アブレーション発生器14、マッピングシステム16、及び、ペーシング/感知システム18の機能及び操作は、当業者には周知であろうから、本明細書では、本開示を理解するのに必要な範囲でのみ説明する。
【0029】
ユーザインターフェース20により、施術者はシステム10aとやりとりをし、システム10aからの出力を確認することができる。ユーザインターフェース20のさらなる詳細は、以下に提供される。
【0030】
アブレーション発生器14、マッピングシステム16、及び/又は、ペーシング/感知システム18は、カテーテル22に動作可能に接続することができる。代表的なカテーテル22を以下にさらに詳細に説明する。
【0031】
当業者であればさらに、以下の開示から、説明の目的で単一のカテーテル22のみが示され説明されているが、本明細書の教示は複数のカテーテルを使用して適用できることを理解するであろう。例えば、システム10aは、心臓12内の組織にアブレーションエネルギーを供給するためにアブレーション発生器14に動作可能に接続された第1のカテーテルと、伝導ブロックをテストするためにペーシング/感知システム18に動作可能に接続された追加のカテーテルと、を組み込むことができる。別の例として、システム10aは、ペーシング/感知システム18に動作可能に接続された2つ(又はそれ以上)のカテーテルを利用することができ、そのうちのいくつかはペーシングを行う専用のものであり、他のいくつかは電気生理学的活動を感知する専用のものである。実際、本開示の特定の実施形態では、心臓12の電気生理学的活動を感知するために複数のカテーテルを使用することが特に望ましい場合がある。
【0032】
図1Bは、図1Aに示すシステム10aと同様のシステム10bを示す。しかし、図1Bでは、アブレーション発生器、ペーシング/感知機能、信号処理機能、及び、ユーザインターフェースが、単一のアブレーション及びテスト装置24に統合されており、この装置はカテーテル22に動作可能に接続されている。
【0033】
破線で表したように、システム10bは、電気解剖学的マッピングシステム16及び/又は専用のペーシング/感知システム18を任意に備えることができる。
【0034】
図2は、肺静脈26のPVI損傷にわたる伝導ブロックを評価するために心臓12内に位置するカテーテル22を描いている。図2に示すように、カテーテル22は複数の電極28を含む。電極28a~28dを肺静脈26の壁と接触させるために、第1の複数の電極28(図2に見えるものは28a~28dと指定されているが、図2には見えないカテーテル22の側に追加のこのような電極28が配置されてもよいことが、通常の技術を有する当業者には理解されよう)が、図示のような複数のスプラインを組み込んだバスケットのような拡張可能な部材30の遠位側に取り付けられている。28e及び28fと指定された第2の複数の電極28は、カテーテル22のシャフト32の近位側に取り付けられている。
【0035】
図2に示す電極28の数及び配置は、単に例示的なものであることを理解すべきである。実際、電極28の数及び配置の変形例が本教示の精神及び範囲内にあることは、以下の開示から明らかになるであろう。これには、電極28が2つ以上のカテーテルにわたって配置される変形例が含まれる。例えば、電極28a~28dをペーシングに使用する第1のカテーテルに取り付け、電極28e及び28fを感知に使用する第2のカテーテルに取り付けることができる。
【0036】
同様に、図2に示した特定のカテーテル構成は単なる例示に過ぎないことを理解されたい。他の適切なカテーテル設計としては、これらに限定されるものではないが、バルーンカテーテル、グリッドカテーテル、線形カテーテル、格子カテーテル、円形カテーテル、及び、螺旋カテーテルが挙げられる。
【0037】
本開示の態様による伝導ブロックを評価する例示的な方法を、図3として示された代表的なステップのフローチャート300を参照して説明する。フローチャート300は、最初に一般的に説明され、その中の代表的なステップのさらなる詳細は、その一般的な説明に続いて示される。
【0038】
一般に、フローチャート300はいくつかの例示的なステップを描いており、これらのステップは、システム10によって、より詳細には、システム10内の1つ又は複数の信号処理装置によって実行することができる。本明細書で使用されるように、「信号処理装置」という用語は、ハードウェアベース及びソフトウェアベースの、アナログ信号及びデジタル信号の両方の処理を含む。従って、以下に説明する代表的なステップは、ハードウェア実装、ソフトウェア実装とでき、又は、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実装することができる。さらに、信号処理は、単一の装置において(例えば、システム10bのアブレーション及びテスト装置24に組み込まれた信号処理装置を介して)行われることもあり、あるいは、複数の装置に分散して(例えば、システム10aのアブレーション発生器14及びペーシング/感知システム18に組み込まれた専用の信号処理装置を介して)行われることもある。
【0039】
ブロック302では、肺静脈26にPVI損傷を形成するためにアブレーションの増分が印加される。本開示の実施形態では、アブレーションエネルギーは、PVI損傷全体を同時に形成するために、第1の複数の電極28a~28dのサブセットを使用して印加することができる(「ワンショット」PVI損傷と呼ばれる)。しかしながら、上述のように、伝導ブロック評価のために電極28を搭載したカテーテル20を挿入する前に、専用のアブレーションカテーテルを使用してアブレーションを行ってもよい。
【0040】
フローチャート300のステップ302~312は一般に、ブロック302で形成されたPVI損傷が伝導ブロックを達成する際の有効性を評価することに関連する。説明の便宜上、ステップ302~310は出口ブロックの評価(即ち、PVI損傷が肺静脈26から左心房への心臓興奮の自然な伝導を遮断したかどうかの評価)を参照して説明される。しかしながら、通常の技術を有する当業者であれば、入口ブロック及び/又は完全ブロックを評価するために本明細書の教示をどのように適応させればよいかを理解できるであろう。
【0041】
ブロック304では、ペーシング信号が(例えば、ペーシング/感知システム18を介して、又はアブレーション及びテスト装置24のペーシング機能を介して)損傷の第1の側の組織に印加される。出口ブロックを評価する場合、損傷の上流(遠位)側が第1の側となる。
【0042】
ブロック306では、損傷の第2の側の電気生理学的活動が(例えば、ペーシング/感知システム18を介して、又はアブレーション及びテスト装置24の感知機能を介して)感知される。出口ブロックを評価する場合、損傷の下流側(近位側)が第2の側となる。
【0043】
ブロック308では、信号処理装置がブロック306で感知された電気生理学的活動を分析し、ブロック304で印加されたペーシング信号による誘発反応(もしあれば)を検出することによって、伝導ブロックを評価する。以下にさらに詳しく説明するように、誘発反応が検出された場合は、伝導ブロックが達成されていない可能性が高く、逆に誘発反応が検出されない場合は、伝導ブロックが達成されている可能性が高い。
【0044】
ブロック310において、信号処理装置は、伝導ブロック分析の結果を伝導ブロックのインジケータとしてユーザに対して(例えば、ユーザインターフェース20を介して)出力する。伝導ブロックのインジケータは、典型的には、BLOCK状態、NO BLOCK状態、又は、UNKNOWN(又はUNCERTAIN)状態を反映する。
【0045】
任意のブロック312において、システム10は、ブロック308で得られた分析結果が正しい確率を反映する信頼値を計算し、出力することができる。ブロック312の詳細については後述する。
【0046】
ペーシングの詳細(ブロック304)
本開示の実施形態では、ブロック304のペーシング信号は、図2に示すように、損傷Lの上流側又は損傷Lの真上に位置する第1の複数の電極28a~28dを使用して印加される。本開示の態様では、ブロック304のペーシング信号は、所定の拍動以内で同時に第1の複数の電極の全てを使用して印加することができる(本明細書では「同時ペーシング」と呼ぶ)。これは、複数の拍動にわたって各対の電極を別々に連続して使用してペーシングする従来の(手動の)アプローチ(本明細書では「ペアワイズ連続ペーシング」と呼ぶ)と比較して、伝導ブロックを評価するプロセスを有利に早めることができる。
【0047】
しかしながら、本開示の一定の態様において、ブロック304のペーシング信号は、(例えば、電極28a及び28b、次いで電極28b及び28cなど、複数の拍動にわたる)ペアワイズ連続ペーシングを使用できることが考えられる。ブロック状態の決定が同時ペーシングよりも遅い可能性があるが、ペアワイズ連続ペーシングアプローチは、同時ペーシングが二値のBLOCK又はNO BLOCKインジケータの結果しか提供できない可能性があるのに対して、肺静脈26の周縁のどこに伝導ブロックが存在しないかを特定する能力を高める可能性がある。
【0048】
実際、最初に同時ペーシングを使用し、もし同時ペーシングを使用してNO BLOCKが検出されれば、ブロックが存在しない場所を特定するためのさらなる分析のために、ペアワイズ連続ペーシングに自動的に切り替えることが明示的に考えられている。
【0049】
いずれの場合でも、図4Aは、複数のペーシングパルス402を含み、周期長404(即ち、ペーシングパルス402間の間隔)を有する代表的なペーシング信号400を描いている。感知ステップ306において、組織の自然な興奮が誘発反応と間違われる可能性を最小にために、ペーシング信号400の周期長404は、N-of-Mペーシング(即ち、固有周期長又はその倍数でのペーシング)の可能性を最小にするように設定される。従って、ペーシング信号400は、約500msと約600msの間など、典型的な固有周期長よりわずかに短い、予め設定された周期長404を有することができる。
【0050】
システム10は、予め設定された周期長404が調整されるべきである場合、ユーザに警告するようにプログラムされ得ることが考えられる。実際、本開示の特定の実施形態では、予め設定された周期長404が適切に設定されていない場合、システム10は、ユーザが適切な値に調整するまで、分析ブロック308及び/又は指示ブロック310を中断することができる。
【0051】
ペーシング信号400の周期長404は、患者固有の電気生理学的データから決定することも考えられる。例えば、患者の固有の周期長は、当業者には周知の方法に従って、表面心電図(ECG)及び/又は心内脳波(EGM)を使用して(例えば、サイナスリズム中又は閾値ペーシング中に)測定することができる。固有の周期長が測定されると、ペーシング信号400の周期長404は、固有の周期長の約60%~約90%、又は固有の周期長より約100ms~約400ms小さいなど、固有の周期長とはわずかに異なる値に設定することができる。
【0052】
さらに、ペーシング信号400の周期長404を決定する際に固有の周期長を考慮することに加えて、システム10は房室間隔の長さを考慮することができる。
【0053】
当業者であれば、ペーシング信号400の適切な周期長404と予め設定された分析間隔(以下でさらに詳細に説明する)の長さとの関係も理解できるであろう。
【0054】
当業者であれば、ペーシング信号400内の各パルス402の振幅及び持続時間(幅)は、遠距離キャプチャを回避しつつペーシングされている組織をキャプチャするのに十分であるべきであることも理解するであろう。ほんの一例として、本開示の実施形態は、約5mAの予め設定された振幅及び約2msの予め設定された幅を使用する。
【0055】
本開示の他の実施形態では、各パルス402の振幅及び幅は、処置中に採取されたECG信号及び/又はEGM信号などの患者固有の電気生理学的データから決定することができる。一例として、PVI損傷の形成前(例えば、ステップ302の前)には、本明細書に記載の伝導ブロック評価プロセス(例えば、ステップ304~310)がNO BLOCKという結果を生むと予想される。もし、その代わりにアブレーション前のBLOCKの結果を出すならば、パルス402の振幅及び/又は幅が小さすぎて組織を捕捉できない可能性が高い。このことは、アブレーション後の伝導ブロック評価(例えば、ステップ302の後)のためにパルス402の振幅及び/又は幅を大きくすべきであることを示唆している。
【0056】
別の例として、アブレーション後に遠距離キャプチャがNO BLOCKの(偽の)結果を引き起こすことが疑われる場合、パルス402の振幅を小さくすることが望ましい場合があり、これによりブロック304ペーシングが遠距離キャプチャを引き起こし、誤ったNO BLOCKの結果をもたらす可能性を最小限にする。
【0057】
感知の詳細(ブロック306)
本開示の実施形態では、図2に示すように損傷部の下流に位置する電極28e、28fが、バイポーラ電図を感知するために使用される。図4Bは、電極28e、28fによってブロック306で感知された代表的なバイポーラ電図406を描いている。この電図406内で、読者が本開示を理解するのを助けるために、ペーシングパルス402は図4Bで「P」で注釈され、誘発反応(約-0.5mVまで下方に伸びる垂直線)は「ER」で注釈されている。
【0058】
しかし、組織内の電気生理学的活動を感知する他のアプローチも考えられる。例えば、追加のカテーテル、(例えば、Abbott Laboratories社のAdvisor(商標)HDグリッドマッピングカテーテル、Sensor Enabled(商標)などの高密度(HD)グリッドカテーテル)を使用して、左心房内からオムニポーラ電図を感知することができる。米国特許出願公開第2018/0296111号は、オムニポーラ電図の計算を記載しており、本明細書に完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
本開示の他の実施形態では、電気生理学的活動は、冠状静脈洞に位置するカテーテルを使用して感知されることができる。表面ECG信号もまた、感知ブロック306において有利に採用されてもよい。
【0060】
前述のものの組み合わせも考えられる。例えば、電気生理学的活動は、電極28e、28f及び表面ECGの両方を使用して、又は電極28e、28f及び左心房内のHDグリッドカテーテルの両方を使用して感知することができる。
【0061】
分析の詳細(ブロック308)
ブロック308において、システム10は、ブロック306で感知された電気生理学的活動(例えば、信号406)を分析して、ペーシング信号400による誘発反応を検出する。誘発反応ではなく、上流のペーシングアーチファクトを検出する可能性を最小限にするために、各ペーシングパルス402に続く信号406の予め設定されたブランキング間隔(例えば、約20ms)は、誘発反応について分析されず、むしろ、予め設定されたブランキング間隔に続く信号406の予め設定された分析間隔(例えば、約80ms)のみが、誘発反応について分析される。
【0062】
システム10は、ノイズレベル閾値を超える信号406の振幅ピークを探すことによって誘発反応を検出することができる。本開示の実施形態において、ノイズ閾値は、約0.03mVと約0.04mVとの間に予め設定される。
【0063】
本開示の他の実施形態では、ノイズレベル閾値は、処置中に得られたECG信号及び/又はEGM信号などの処置特有の電気生理学的データから決定することができる。例えば、ベースラインノイズ信号は、処置中(例えば、拍動間の静止間隔中)に得られたEGM信号内で特定することができ、ベースラインノイズ信号の振幅をノイズレベル閾値として使用することができる(又は、代替的に、ノイズ閾値をベースラインノイズ信号の振幅よりわずかに上に設定するなどしてノイズレベル閾値を決定する)。
【0064】
ブロック308において誘発反応を検出するための他のアプローチが考えられる。例えば、信号406の振幅に基づいて誘発反応を検出するのではなく、システム10は、信号406の絶対値、信号406の二乗、信号406の二乗平均平方根、信号406のピーク周波数、時間に関する信号406の一次導関数、及び様々なエネルギーに基づく方法を含むがこれらに限定されない、他の信号特性を採用することができる。また、分析前に信号406をフィルタリングすることが望ましい場合もある(例えば、約30Hzから約300Hzの間の周波数を通すバンドパスフィルタを使用する)。
【0065】
前述のように、システム10は、ペーシングプール402による誘発反応について信号406を評価することによって伝導ブロックの状態を評価し、少なくとも予め設定された数の同一の連続した結果を検出したときに伝導ブロックの状態の判定を行う。本開示の特定の実施形態では、予め設定された数は2である。しかし、これは単に例示的なものであり、同一で連続した結果の数が多ければ多いほど、ブロック308で達した伝導ブロックの状態の判定に対する信頼性を高めることができるが、同様に、そのような判定に至るのに必要な時間が長くなることを理解されたい。例えば、本開示のいくつかの実施形態では、予め設定された数の同一の連続した結果は、ユーザ調整可能とできる。別の例として、本開示の追加的な実施形態では、システム10は、固有心拍数及び/又はペーシングレートの関数として、予め設定された数の同一で連続した結果を分析的に決定することができる。
【0066】
システム10が、プリセット数の連続するペーシングパルス402にわたって信号406において誘発反応を検出しない場合、システム10は、伝導ブロックが達成されたと決定することができる。一方、システム10が、プリセット数の連続するペーシングパルス402にわたって信号406において誘発反応を検出する場合、システム10は、伝導ブロックが達成されていないと決定することができる。そうでなければ(例えば、必要な数の連続ペーシングパルス402が同一の結果をもたらすまで)、システム10は不確かなブロック状態のままである。
【0067】
例として、図4A図4Bとをもう一度検討する。システム10はUNKNOWN状態で始まる。パルス402a(32秒の直後)の後の信号406には誘発反応は見られないが、システム10は最初のパルス402aの後も必ずUNKNOWN状態のままである。パルス402b(33秒の直前)は反応408bを誘発するが、誘発反応がない後に続く誘発反応であるため、システム10はUNKNOWN状態のままである。パルス402c(33秒の直後)は、再び、信号406において反応を誘発せず、2つの連続した同一の結果がないため、システム10は、再度UNKNOWN状態のままである。
【0068】
次の2つのパルス402d、402e(それぞれ約34秒と約34.5秒)は、信号406においてそれぞれ反応408d、408eを誘発する。誘発反応408dは誘発反応がないことに続くので、システム10はパルス402dの後もUNKNOWN状態のままである。一方、誘発反応408eは2回目の連続した誘発反応であるため、システム10はパルス402eの後にNO BLOCK状態に移行し、分析を停止することができる。
【0069】
システム10は、システム10が固有の心房脱分極及び遠距離R波を誘発反応と間違えることを最小限にするために、追加的な分析を組み込んでもよい。特に、誘発反応は、ペーシングパルス402の後の比較的一貫したタイミングで起こるべきである。固有脱分極や遠距離信号、あるいは過度に低い出力のペーシングなど、誤った誘発反応は、特に固有周期長に類似したペーシング周期長404の場合、同程度の一貫性を示さない。
【0070】
従って、本開示の実施形態では、システム10は、ペーシングパルスPのタイミングに対する見かけの誘発反応ERのタイミングもチェックし、それが実際に誘発反応であると結論付ける前に、プリセット予想時間ウィンドウ内で発生していること(例えば、見かけの誘発反応ERが、ペーシングパルスPのプリセット持続時間以上後でないこと)を検証する。
【0071】
インジケータ出力の詳細(ブロック310)
ブロック310において、システム10は、ブロック308における分析結果をユーザに警告するために、BLOCK、NO BLOCK、又はUNKNOWNインジケータを(例えば、ユーザインターフェース20を介して)出力する。インジケータは、視覚的(例えば、電気解剖学的マッピングシステム16、アブレーション及びテスト装置24、又はユーザインターフェース20の一部であり得るような、システム10内のディスプレイへの出力)、可聴的(例えば、BLOCKが達成されたときにトーンを鳴らすことができる)、及び/又は触覚的(例えば、BLOCKが達成されたときにカテーテル22のハンドルが振動できる)なものにできる。
【0072】
本教示に関連して施術者が有用又は望ましいと感じる可能性のある、ブロック状態の視覚的インジケータに対する様々なアプローチがある。例えば、本開示のいくつかの実施形態では、分かりやすいテキストベースの注釈(例えば、「BLOCK」という用語又は「NO BLOCK」というフレーズ)及び/又はカラーコード(例えば、感知された信号406又は別の信号トレースを色付けする、カテーテル20のグラフィック表示に色付けする、又は黄色がUNKNOWNを示し、緑色がBLOCKを示し、赤色がNO BLOCKを示す「信号灯」を表示する)が、ユーザインターフェース20に出力されてもよい。
【0073】
図5Aは、ペアワイズ連続ペーシングに関連して特に有利であり得る、ブロック状態の視覚的インジケータを描いている。特に、カテーテル20の三次元表示500が、周囲の扇形インジケータ502と共に示されている。インジケータ502は、一般に、ペーシングに使用される電極28a~28dの連続する対に対応するセクタ504a~504dに分割されている。これらのセクタ504a~504dは、選択的に点灯されるか、陰影が付けられるか、又は他の方法で強調表示され、それらがNO BLOCKの領域に対応することを示すことができる。
【0074】
インジケータ502はまた、同時ペーシングのために使用することができる。この場合、個々のセクタ504a~504dを選択的に点灯、陰影付け、又は他の方法で強調表示するのではなく、インジケータ502の全体を、NO BLOCK状態において点灯、陰影付け、又は他の方法で強調表示することができる。
【0075】
別個の扇形インジケータ502の代替として、カテーテル20(又はその一部)の三次元表示500は、NO BLOCKの状態及び/又は向きを示すために、選択的に点灯され、陰影が付けられ、又は他の方法で強調表示されることができる。同様に、心臓12の三次元モデルは、NO BLOCKの状態及び/又は位置を示すために、選択的に点灯されるか、陰影が付けられるか、又は他の方法で強調表示されてもよい。
【0076】
さらに他の代替案では、図5Aの三次元表示500及び/又はインジケータ502を、例えば図5Bに示すような、よりコンパクトな二次元インジケータ506に置き換えることができる。もちろん、領域固有のNO BLOCKインジケータを提供するために、インジケータ506をセクタに分割することもできる。
【0077】
信頼値
上述したように、任意選択のブロック312において、システム10は、ブロック308で到達した分析結果が正しい確率(例えば、ペーシング信号400が組織をキャプチャするのに不十分であったため、BLOCKの判定が偽陽性でないこと、又は、例えば、信号406における検出が誘発反応ではなく遠距離活動であるため、NO BLOCKの判定が偽陰性でないこと)を反映する信頼値を計算し、出力することができる。
【0078】
様々な要因が信頼値を上げ下げする。例えば、信頼値は、連続した一貫性のある結果(例えば、連続したBLOCK又はNO BLOCKの結果)が追加されるごとに上昇し、連続した結果が一貫していない場合は低下し得る。
【0079】
別の例として、信号406のペーシング後の反応の振幅がノイズ閾値をさらに超えるにつれて、NO BLOCKの結果に関する信頼値は増加し得る。即ち、信号406のペーシング後の反応の振幅がノイズ閾値に近ければ近いほど、ノイズである可能性が高くなり、従って信頼値はより低くなるはずである。
【0080】
さらに別の例として、信頼値は、信号406のペーシング後の反応が解析区間の端に近いほど減少し得る。即ち、信号406のペーシング後の反応が解析区間の端に近ければ近いほど、それが誘発応答ではなくアーチファクトである可能性が高くなり、従って信頼値はより低くなるはずである。
【0081】
これに関連して、内在性心房脱分極、遠距離R波、その他の信号を誘発反応と間違えないために使用できるアプローチに関する上記の議論と同様に、ペーシングパルスと誘発反応の間のタイミングの一貫性が信頼値に寄与できる。
【0082】
さらに別の例では、ペーシング信号400のプリセット周期長404の適合性又は適切性が信頼値に寄与できる。
【0083】
システム10はまた、信頼値の図表示を出力することもできる。例えば、「信号灯」インジケータの照明の明るさ又は強度は、信頼度が増すにつれて増加できる。逆に、信頼度がプリセット閾値を下回る場合、そうでなければ限界判定にもかかわらず、表示はUNKNOWN状態のままであってもよい。
【0084】
以上、いくつかの実施形態をある程度詳細に説明したが、当業者であれば、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に多数の変更を加えることが可能である。
【0085】
例えば、本明細書の教示は、リアルタイムで(例えば、電気生理学的研究中に)、又は後処理中(例えば、より早い時期に実施された電気生理学的研究中に収集されたデータに対して)に適用することができる。
【0086】
別の例として、ブロック304でペーシングを開始する前に、電極28と組織との接触を評価する技術、例えばインピーダンス感知に基づく技術を採用して、適切な接触を確実にできる。
【0087】
さらに別の例として、損傷の第1の側でペーシング信号を印加するための第1の複数の電極と、損傷の第2の側で電気生理学的活動を感知するための第2の複数の電極とを参照して例示的な実施形態を上述したが、第1及び第2の複数の電極のいずれか一方又は両方を単一の電極(例えば、損傷の第1の側において単一のペーシング電極、及び/又は損傷の第2の側において単一の感知電極)に置き換えることも可能である。
【0088】
すべての方向についての言及(例えば、上方、下方、上方へ、下方へ、左、右、左方へ、右方へ、上、下、より上、より下、垂直、水平、時計回り、及び反時計回り)は、本発明の読者の理解を助けるための識別目的のために使用されるに過ぎず、特に本発明の位置、方向、又は使用に関する制限を生じさせるものではない。結合に関する言及(例えば、取付、結合、接続など)は、広く解釈されるべきであり、要素の連結の間の中間部材と要素間の相対移動とを含んでもよい。そのため、結合に関する言及は、必ずしも2つの要素が直接接続され、互いに固定された関係にあることを推論するものではない。
【0089】
上記の説明に含まれる、又は添付図面に示されるすべての事項は、例示的なものとしてのみ解釈され、限定するものではないことが意図される。詳細又は構造の変更は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の精神から逸脱することなく行うことができる。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
【手続補正書】
【提出日】2024-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが組織内の損傷にわたる伝導ブロックを評価する方法であって、
前記コンピュータが前記損傷の第1の側の前記組織にペーシング信号を印加するステップであって、前記ペーシング信号は、複数のペーシングパルスを含む、前記印加するステップと、
前記コンピュータが前記損傷の第2の側で前記組織内の電気生理学的活動を感知するステップであって、前記損傷の前記第2の側は、前記損傷の前記第1の側とは反対側である、前記感知するステップと、
前記コンピュータが前記ペーシング信号による誘発反応について、感知された前記電気生理学的活動を分析するステップと、
前記コンピュータが伝導ブロックの状態のインジケータを出力するステップと、を含み、
前記伝導ブロックの状態のインジケータは、
プリセット数の連続するペーシングパルスが前記誘発反応を誘発しない場合、伝導ブロックのインジケータと、
前記プリセット数の連続するペーシングパルスが前記誘発反応を誘発する場合、伝導ブロックがないことのインジケータと、
それ以外の場合、不確かなブロックの状態のインジケータと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記損傷の前記第1の側の前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップは、前記コンピュータが前記損傷の前記第1の側に位置する第1の複数の電極を使用して前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップを含み、
前記損傷の前記第2の側で前記組織内の前記電気生理学的活動を感知するステップは、前記コンピュータが前記損傷の前記第2の側に位置する第2の複数の電極を使用して前記電気生理学的活動を感知するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の複数の電極及び前記第2の複数の電極は、共通のカテーテルに取り付けられる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記共通のカテーテルは、近位シャフトと、遠位の複数の拡張可能スプラインと、を備え、
前記第1の複数の電極は、前記遠位の複数の拡張可能スプラインに取り付けられ、
前記第2の複数の電極は、前記近位シャフトに取り付けられる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記損傷の前記第1の側に位置する前記第1の複数の電極を使用して、前記ペーシング信号を前記組織に印加するステップの前に、前記コンピュータがアブレーション治療の第1の増分を前記組織に印加するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記組織に前記アブレーション治療の第1の増分を印加するステップは、前記コンピュータが前記第1の複数の電極のサブセットを使用して前記組織に前記アブレーション治療の第1の増分を印加することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の複数の電極は、複数のカテーテルに取り付けられる、請求項2に記載の方法
【請求項8】
前記損傷の前記第1の側に位置する前記第1の複数の電極を使用して前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップは、前記コンピュータが前記第1の複数の電極の全てを同時に使用して前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記損傷の前記第1の側に位置する前記第1の複数の電極を使用して前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップは、前記コンピュータが前記第1の複数の電極から選択された電極の対を順次使用して前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記伝導ブロックがないことのインジケータは、前記損傷のギャップの位置のインジケータをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記損傷の前記第2の側の前記組織における電気生理学的活動を感知するステップは、前記コンピュータが表面心電図リードを使用して前記電気生理学的活動を感知するステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記損傷の前記第1の側の前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップと、
記ペーシング信号による前記誘発反応について、感知された前記電気生理学的活動を分析するステップと、
の間に、前記コンピュータがプリセットブランキング間隔だけ遅延させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記伝導ブロックの状態のインジケータは、伝導ブロックの状態の視覚インジケータと、伝導ブロックの状態の可聴インジケータと、伝導ブロックの状態の触覚インジケータと、のうちの1つ又は複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記コンピュータが前記伝導ブロックの状態のインジケータの信頼値を出力するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
記ペーシング信号による前記誘発反応について、感知された前記電気生理学的活動を分析するステップは、前記コンピュータがプリセットノイズレベル閾値を超える信号振幅について、感知された前記電気生理学的活動を分析するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記コンピュータが、静止間隔中に感知された前記電気生理学的活動の振幅に応じて、前記プリセットノイズレベル閾値を決定する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
組織内の損傷にわたる伝導ブロックを評価するためのシステムであって、
前記損傷の第1の側の前記組織にペーシング信号を印加するように構成されたペーシングシステムであって、前記ペーシング信号は、複数のペーシングパルスを含む、前記ペーシングシステムと、
前記損傷の第2の側の前記組織内の電気生理学的活動を感知するように構成された感知システムであって、前記損傷の前記第2の側は、前記損傷の前記第1の側とは反対側である、前記感知システムと、
伝導ブロック信号処理装置と、
を備え、
前記伝導ブロック信号処理装置は、前記ペーシング信号による誘発反応について、感知された前記電気生理学的活動を分析し、伝導ブロックの状態のインジケータを出力するように構成され、
前記伝導ブロックの状態のインジケータは、
プリセット数の連続するペーシングパルスが前記誘発反応を誘発しない場合、伝導ブロックのインジケータと、
前記プリセット数の連続するペーシングパルスが前記誘発反応を誘発する場合、伝導ブロックがないことのインジケータと、
それ以外の場合、不確かなブロックの状態のインジケータと、を含む、
システム。
【請求項18】
前記ペーシングシステム、前記感知システム、及び、前記伝導ブロック信号処理装置は、電気解剖学的マッピングシステムに統合されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ペーシングシステム及び前記感知システムの両方に動作可能に結合された多電極カテーテルをさらに備え、
前記多電極カテーテルは、
前記ペーシングシステムに動作可能に結合されて前記損傷の前記第1の側の前記組織に前記ペーシング信号を印加する第1の複数の電極と、
前記感知システムに動作可能に結合されて前記損傷の前記第2の側の前記組織における前記電気生理学的活動を感知する第2の複数の電極と、を備え、
前記第1の複数の電極は、前記多電極カテーテル上の前記第2の複数の電極の遠位側に位置する、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記ペーシングシステムは、前記第1の複数の電極の各電極を同時に使用して前記ペーシング信号を前記組織に印加するように構成されている、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記伝導ブロック信号処理装置は、固有心拍数と、前記ペーシング信号のレートと、の少なくとも一つの関数として、前記プリセット数の連続するペーシングパルスを決定するようにさらに構成される、請求項17に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
上記の説明に含まれる、又は添付図面に示されるすべての事項は、例示的なものとしてのみ解釈され、限定するものではないことが意図される。詳細又は構造の変更は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の精神から逸脱することなく行うことができる。
以下の項目は、国際出願時の請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
組織内の損傷にわたる伝導ブロックを評価する方法であって、
前記損傷の第1の側の前記組織にペーシング信号を印加するステップであって、前記ペーシング信号は、複数のペーシングパルスを含む、前記印加するステップと、
前記損傷の第2の側で前記組織内の電気生理学的活動を感知するステップであって、前記損傷の前記第2の側は、前記損傷の前記第1の側とは反対側である、前記感知するステップと、
信号処理装置において、前記ペーシング信号による誘発反応について、感知された前記電気生理学的活動を分析するステップと、
前記信号処理装置を介して、伝導ブロックの状態のインジケータを出力するステップと、を含み、
前記伝導ブロックの状態のインジケータは、
プリセット数の連続するペーシングパルスが前記誘発反応を誘発しない場合、伝導ブロックのインジケータと、
前記プリセット数の連続するペーシングパルスが前記誘発反応を誘発する場合、伝導ブロックがないことのインジケータと、
それ以外の場合、不確かなブロックの状態のインジケータと、を含む、
方法。
(項目2)
前記損傷の前記第1の側の前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップは、前記損傷の前記第1の側に位置する第1の複数の電極を使用して前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップを含み、
前記損傷の前記第2の側で前記組織内の前記電気生理学的活動を感知するステップは、前記損傷の前記第2の側に位置する第2の複数の電極を使用して前記電気生理学的活動を感知するステップを含む、
項目1に記載の方法。
(項目3)
前記第1の複数の電極及び前記第2の複数の電極は、共通のカテーテルに取り付けられる、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記共通のカテーテルは、近位シャフトと、遠位の複数の拡張可能スプラインと、を備え、
前記第1の複数の電極は、前記遠位の複数の拡張可能スプラインに取り付けられ、
前記第2の複数の電極は、前記近位シャフトに取り付けられる、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記損傷の前記第1の側に位置する前記第1の複数の電極を使用して、前記ペーシング信号を前記組織に印加するステップの前に、アブレーション治療の第1の増分を前記組織に印加するステップをさらに含む、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記組織に前記アブレーション治療の第1の増分を印加するステップは、前記第1の複数の電極のサブセットを使用して前記組織に前記アブレーション治療の第1の増分を印加することを含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記第2の複数の電極は、複数のカテーテルに取り付けられる、項目2に記載の方法
(項目8)
前記損傷の前記第1の側に位置する前記第1の複数の電極を使用して前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップは、前記第1の複数の電極の全てを同時に使用して前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップを含む、項目2に記載の方法。
(項目9)
前記損傷の前記第1の側に位置する前記第1の複数の電極を使用して前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップは、前記第1の複数の電極から選択された電極の対を順次使用して前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップを含む、項目2に記載の方法。
(項目10)
前記伝導ブロックがないことのインジケータは、前記損傷のギャップの位置のインジケータをさらに含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記損傷の前記第2の側の前記組織における電気生理学的活動を感知するステップは、表面心電図リードを使用して前記電気生理学的活動を感知するステップをさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目12)
前記損傷の前記第1の側の前記組織に前記ペーシング信号を印加するステップと、
前記信号処理装置において、前記ペーシング信号による前記誘発反応について、感知された前記電気生理学的活動を分析するステップと、
の間に、プリセットブランキング間隔だけ遅延させるステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
前記伝導ブロックの状態のインジケータは、伝導ブロックの状態の視覚インジケータと、伝導ブロックの状態の可聴インジケータと、伝導ブロックの状態の触覚インジケータと、のうちの1つ又は複数を含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記信号処理装置を介して、前記伝導ブロックの状態のインジケータの信頼値を出力するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目15)
前記信号処理装置において、前記ペーシング信号による前記誘発反応について、感知された前記電気生理学的活動を分析するステップは、前記信号処理装置が、プリセットノイズレベル閾値を超える信号振幅について、感知された前記電気生理学的活動を分析するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記信号処理装置は、静止間隔中に感知された前記電気生理学的活動の振幅に応じて、前記プリセットノイズレベル閾値を決定する、項目15に記載の方法。
(項目17)
組織内の損傷にわたる伝導ブロックを評価するためのシステムであって、
前記損傷の第1の側の前記組織にペーシング信号を印加するように構成されたペーシングシステムであって、前記ペーシング信号は、複数のペーシングパルスを含む、前記ペーシングシステムと、
前記損傷の第2の側の前記組織内の電気生理学的活動を感知するように構成された感知システムであって、前記損傷の前記第2の側は、前記損傷の前記第1の側とは反対側である、前記感知システムと、
伝導ブロック信号処理装置と、
を備え、
前記伝導ブロック信号処理装置は、前記ペーシング信号による誘発反応について、感知された前記電気生理学的活動を分析し、伝導ブロックの状態のインジケータを出力するように構成され、
前記伝導ブロックの状態のインジケータは、
プリセット数の連続するペーシングパルスが前記誘発反応を誘発しない場合、伝導ブロックのインジケータと、
前記プリセット数の連続するペーシングパルスが前記誘発反応を誘発する場合、伝導ブロックがないことのインジケータと、
それ以外の場合、不確かなブロックの状態のインジケータと、を含む、
システム。
(項目18)
前記ペーシングシステム、前記感知システム、及び、前記伝導ブロック信号処理装置は、電気解剖学的マッピングシステムに統合されている、項目17に記載のシステム。
(項目19)
前記ペーシングシステム及び前記感知システムの両方に動作可能に結合された多電極カテーテルをさらに備え、
前記多電極カテーテルは、
前記ペーシングシステムに動作可能に結合されて前記損傷の前記第1の側の前記組織に前記ペーシング信号を印加する第1の複数の電極と、
前記感知システムに動作可能に結合されて前記損傷の前記第2の側の前記組織における前記電気生理学的活動を感知する第2の複数の電極と、を備え、
前記第1の複数の電極は、前記多電極カテーテル上の前記第2の複数の電極の遠位側に位置する、項目17に記載のシステム。
(項目20)
前記ペーシングシステムは、前記第1の複数の電極の各電極を同時に使用して前記ペーシング信号を前記組織に印加するように構成されている、項目19に記載のシステム。
(項目21)
前記伝導ブロック信号処理装置は、固有心拍数と、前記ペーシング信号のレートと、の少なくとも一つの関数として、前記プリセット数の連続するペーシングパルスを決定するようにさらに構成される、項目17に記載のシステム。
【外国語明細書】