(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150411
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】自動車前照灯用照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/265 20180101AFI20241016BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20241016BHJP
F21S 41/255 20180101ALI20241016BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20241016BHJP
F21W 102/145 20180101ALN20241016BHJP
【FI】
F21S41/265
F21S41/143
F21S41/255
F21S41/151
F21W102:145
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024050759
(22)【出願日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】23166618.1
(32)【優先日】2023-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン クノープロッホ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ダンナー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック シュミット
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の異なる光分布を生成可能でありかつ簡単化されている自動車前照灯用の照明装置を提供する。
【解決手段】複数の光源(2)、複数の光源(2)の下流側に配置された第1レンズ要素(3)、第1レンズ要素(3)の下流側に配置された第2レンズ要素を含む自動車前照灯用照明装置。第1レンズ要素(3)の受光面(3a)はメインエリア(5b)及びサブエリア(5a)によって形成され、光源(2)と第1レンズ要素(3)の受光面(3a)は、光の第1部分がサブエリア(5a)へ向かって放射されかつ第2部分がメインエリア(5b)へ向かって放射されるように、互いに対する距離が形成され、光源(2)、第1レンズ要素(3)及び第2レンズ要素は、光の屈折によって、配光可変のハイビーム光分布を生成するよう構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車前照灯のための照明装置であって、
前記照明装置(1)は異なる光分布(複数)を生成するよう構成されており、
前記照明装置(1)は、
*第1光源群(2a)及び第2光源群(2b)に配された複数の光源(2)、但し、前記照明装置(1)の組込位置において、即ち前記照明装置(1)が自動車の自動車前照灯に組み込まれている場合において、前記第1光源群(2a)は前記第2光源群(2b)よりも垂直方向においてより高くに位置付けられており、前記複数の光源(2)は主ビーム方向(d)に沿って光を放射する、
*前記主ビーム方向(d)に沿って前記複数の光源(2)の下流側に配置された第1レンズ要素(3)、但し、前記第1レンズ要素(3)は前記複数の光源(2)を指向する受光面(3a)及び前記受光面(3a)の反対側の放光面(3b)を含み、前記第1レンズ要素(3)は前記複数の光源(2)からの光を前記受光面(3a)を介して受光し、受光した光を前記放光面(3b)を介して放出するよう構成されており、前記第1レンズ要素(3)は光軸(x1)を有し、前記第1レンズ要素(3)はその光軸(x1)に関して光を屈折させるよう構成されている、
*前記主ビーム方向(d)に沿って前記第1レンズ要素(3)の下流側に配置され、前記第1レンズ要素(3)からの屈折光を受光しかつ当該光を前記照明装置(1)の前方へ投射するよう構成された第2レンズ要素(4)、但し、前記第2レンズ要素(4)は光軸(x2)を有する、
を含み、
前記第1レンズ要素(3)と前記第2レンズ要素(4)は、それらの光軸(x1、x2)が同心に整列されかつ前記第1レンズ要素(3)と前記第2レンズ要素(4)が共通の焦点(f)を形成するよう、構成されかつ互いに対し配置されており、前記共通の焦点(f)は、前記第2レンズ要素(4)とは反対側の前記第1レンズ要素(3)の側に位置する共通の焦点面(fp)にあること、
前記複数の光源(2)は光源ホルダ(2h)上に配されており、前記光源ホルダ(2h)は、前記複数の光源(2)によって放射された光の主ビーム方向(d)が前記第1レンズ要素(3)の光軸(x1)及び前記第2レンズ要素(4)の光軸(x2)に対し実質的に平行であるように、前記第1レンズ要素(3)及び前記第2レンズ要素(4)に対し相対的に配置されていること、
前記第1レンズ要素(3)の受光面(3a)はメインエリア(5b)とサブエリア(5a)によって形成されており、前記サブエリア(5a)は夫々光入射セクションを含む複数の屈折要素(6)を含み、前記サブエリア(5a)の屈折要素(複数)(6)は、入射する光が前記メインエリア(5b)によって屈折される光とは異なるように屈折されるよう構成されており、前記光源ホルダ(2h)と前記第1レンズ要素(3)の受光面(3a)は、前記第1光源群(2a)からの光の第1部分が前記サブエリア(5a)へ向かって放射されかつ前記第1光源群(2a)からの光の第2部分が前記メインエリア(5b)へ向かって放射されるよう、及び、前記第2光源群(2b)からの光の第1部分が前記サブエリア(5a)へ向かって放射されかつ前記第2光源群(2b)からの光の第2部分が前記受光面(3a)のメインエリア(5b)へ向かって放射されるよう、互いに対する距離が形成されており、前記第1光源群(2a)からの光の第1部分は前記第2光源群(2b)からの光の第1部分よりもより大きいこと、
前記第1光源群(2a)、前記第2光源群(2b)、前記第1レンズ要素(3)及び前記第2レンズ要素(4)は、完全な又は部分的なハイビーム光分布を生成するよう構成されており、前記ハイビーム光分布は少なくとも2つのセクション(HB1、HB2)によって形成されており、前記第1レンズ要素(3)の受光面(3a)のサブエリア(5a)とメインエリア(5b)は、前記第1光源群(2a)からの光の屈折された第1部分及び第2部分が前記ハイビーム光分布の第1セクション(HB1)を形成する第1照明エリアに対応するように、かつ、前記第2光源群(2b)からの光の屈折された第1部分及び第2部分が前記ハイビーム光分布の第2セクション(HB2)を形成する第2照明エリアに対応するように、入射光を屈折するよう構成されており、前記第1セクション(HB1)は第1強度最大値を有しかつ前記第2セクション(HB2)は第2強度最大値を有し、前記サブエリア(5a)による光の屈折及び前記メインエリア(5b)による光の屈折によって、前記第1セクション(HB1)の第1強度最大値は前記照明装置(1)の前方において前記第2セクション(HB2)の第2強度最大値よりも垂直方向においてより低くに位置付けられること
を特徴とする、照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記第1光源群(2a)の光源(複数)は前記光源ホルダ(2h)上の第1横列に沿って配置され、かつ、前記第2光源群(2b)の光源(複数)は前記光源ホルダ(2h)上の第2横列に沿って配置されていること、
前記第2横列は前記第1横列に対し実質的に平行であること
を特徴とする、照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載の照明装置において、
前記第1光源群(2a)と前記第2光源群(2b)は、前記光源ホルダ(2h)上において―前記組込位置において―夫々水平ラインに沿って配向されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項4】
請求項1に記載の照明装置において、
前記屈折要素(6)は、前記組込位置において、垂直断面に沿って、実質的に三角形状の横断面を有するプリズム要素として形成されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項5】
請求項4に記載の照明装置において、
各プリズム要素は前記光軸(x1)に対し直角をなしかつ水平に配向された長手延伸を有すること
を特徴とする、照明装置。
【請求項6】
請求項1に記載の照明装置において、
前記屈折要素(6)は前記第1レンズ要素(3)の受光面(3a)内の凹部又は凸部として形成されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項7】
請求項6に記載の照明装置において、
前記サブエリア(5a)は前記メインエリア(5b)によって取り囲まれていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項8】
請求項1に記載の照明装置において、
前記サブエリア(5a)による屈折光によって形成される前記第1照明エリアの強度最大値は、等照度図(Isolux-diagram)においてHH線の下方に位置付けられていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項9】
請求項1に記載の照明装置において、
前記メインエリア(5b)による屈折光によって形成される前記第2照明エリアの強度最大値は、等照度図において実質的にHH線に又はHH線の上方に位置付けられていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項10】
請求項1に記載の照明装置において、
前記第1光源群(2a)の各光源及び前記第2光源群(2b)の各光源は、前記照明装置(1)の動作モードに依存して、個別に制御可能であること
を特徴とする、照明装置。
【請求項11】
請求項1に記載の照明装置において、
前記複数の光源(2)は、前記第2光源群(2b)よりも垂直方向においてより低くに配置された第3光源群(2c)を含むこと、
前記第3光源群(2c)からの光は実質的に前記メインエリア(5b)へ向かって放射されること、
前記第3光源群(2c)からの屈折光は、前記ハイビーム光分布の第3セクション(HB3)を形成する第3照明エリアに対応すること、
前記第3セクション(HB3)は第3強度最大値を有すること、
前記メインエリア(5b)による前記第3光源群(2c)からの光の屈折によって、前記第3強度最大値は前記照明装置(1)の前方において前記第1強度最大値及び前記第2強度最大値よりも垂直方向においてより高くに位置付けられること
を特徴とする、照明装置。
【請求項12】
請求項11に記載の照明装置において、
前記第3光源群(2c)は、前記第2横列に対し平行な前記光源ホルダ(2h)上の第3横列に配置されていること、
前記第3横列は前記第2横列よりも垂直方向においてより低い位置にあること
を特徴とする、照明装置。
【請求項13】
請求項1に記載の照明装置において、
前記照明装置(1)はシェード要素(12)を含むこと、
前記シェード要素(12)は、前記サブエリア(5a)を介して前記第1レンズ要素(3)に入射した前記第2光源群(2b)からの光の第1部分(fraction)が前記第2レンズ要素(4)へ向かって横断することを阻止するよう構成されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項14】
請求項1に記載の照明装置において、
前記複数の光源(2)は前記光源ホルダ(2h)の光源面に配されていること、
前記光源面は実質的に前記共通の焦点面(fp)内に位置すること
を特徴とする、照明装置。
【請求項15】
自動車前照灯のためのライトモジュールであって、
前記ライトモジュール(10)は、前記ライトモジュール(10)の異なる動作モードに夫々関連付けられた異なる光分布(複数)を生成するよう構成されており、
前記ライトモジュール(10)は、請求項1に記載の照明装置(1)と、ロービーム光分布の一部分を生成するよう構成された第2照明装置(11)を含み、
前記ライトモジュール(10)は、少なくとも2つの動作モードで動作するよう構成されており、
*前記ライトモジュール(10)の第1動作モードでは、前記照明装置(1)の第1光源群(2a)の少なくとも一部分及び第2光源群(2b)の少なくとも一部分が動作状態(active)であり、前記第1レンズ要素(3)及び前記第2レンズ要素(4)と連携して、完全ないし部分的なハイビーム光分布を生成するよう構成され、前記第2照明装置(11)は動作状態であり、
*前記ライトモジュール(10)の第2動作モードでは、前記第1光源群(2a)の第1部分が動作状態であり、前記第1光源群(2a)の第2部分及び前記第2光源群(2b)は非動作状態であり、前記第2動作モードでは、動作状態の第1光源群(2a)、前記第1レンズ要素(3)及び前記第2レンズ要素(4)は、非対称ロービーム光分布の第1部分を生成するよう構成されており、前記第1光源群(2a)の動作状態の第1部分からの前記サブエリア(5a)による屈折光によって生成される第1照明エリアは、非対称ロービーム光分布の第1部分に対応し、前記第2照明装置(11)は非対称ロービーム光分布の第2部分を生成するよう構成されており、前記第1部分と前記第2部分は前記非対称ロービーム光分布を形成し、前記第1部分は、前記ライトモジュールが自動車に組み込まれている場合において、自動車の運転側のエリアを照明する非対称光分布の非対称部分を形成すること
を特徴とする、ライトモジュール。
【請求項16】
請求項15に記載のライトモジュールにおいて、
前記第2照明装置(11)によって生成される前記非対称ロービーム光分布の第2部分は、前記非対称ロービーム光分布の明暗境界を形成すること
を特徴とする、ライトモジュール。
【請求項17】
請求項1~14の何れかに記載の照明装置(1)又は請求項15又は16に記載のライトモジュールを含む、自動車前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2023年4月4日に出願された欧州特許出願第23166618.1号についてのパリ条約上の優先権の利益を主張するものであり、当該出願の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。
【0002】
本発明は、自動車前照灯のための照明装置に関する。前記照明装置は異なる光分布(複数)を生成するよう構成されており、前記照明装置は、
*第1光源群及び第2光源群に配された複数の光源、但し、前記照明装置の組込位置において、即ち前記照明装置が自動車の自動車前照灯に組み込まれている場合において、前記第1光源群は前記第2光源群よりも垂直方向においてより高くに位置付けられており、前記複数の光源は主ビーム方向に沿って光を放射する、
*前記主ビーム方向に沿って前記複数の光源の下流側に配置された第1レンズ要素、但し、前記第1レンズ要素は前記複数の光源を指向する受光面及び前記受光面の反対側の放光面を含み、前記第1レンズ要素は前記複数の光源からの光を前記受光面を介して受光し、受光した光を前記放光面を介して放出するよう構成されており、前記第1レンズ要素は光軸を有し、前記第1レンズ要素はその光軸に対して光を屈折させるよう構成されている、
*前記主ビーム方向に沿って前記第1レンズ要素の下流側に配置され、前記第1レンズ要素からの屈折光を受光しかつ当該光を前記照明装置の前方へ投射するよう構成された第2レンズ要素、但し、前記第2レンズ要素は光軸を有する、
を含む。
【0003】
本発明は、更に、照明装置及び第2(二次)照明装置を含む、自動車前照灯のためのライトモジュールに関する。
【0004】
本発明は、更に、照明装置又はライトモジュールを含む自動車前照灯に関する。
【背景技術】
【0005】
従来技術において、異なる光分布(複数)を生成するための、及び、光源(複数)及び対応するレンズシステムを含む照明装置が知られている。通常は、光源(複数)からの光は、当該光がレンズシステムへ向かって放射される前にコリメータ装置によって予め成形され、レンズシステムは、コリメータ装置から到来するその光を光分布の形で、例えば照明装置の前方の交通空間へと投射するよう構成されている。異なる光分布(複数)を生成するために、異なる光源(複数)に夫々対応する複数のコリメータ装置を使用することも知られている。例えば、第1のコリメータは第1の光源に対応しかつレンズシステムと連携して第1の光分布を生成し、第2のコリメータは第2の光源に対応しかつレンズシステムと連携して第2の光分布を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP 3 104 064 A1
【特許文献2】EP 3 109 539 A1
【特許文献3】DE 10 2019 202434 A1
【特許文献4】DE 10 2017 103320 A1
【特許文献5】JP 2022 028514 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それらのシステムの欠点は、複雑な構造及び異なる光分布(複数)を生成するために必要とされる多数の光学素子である。
【0008】
本発明の目的は、異なる光分布(複数)を生成することが可能でありかつ簡単化されているが依然として有効な構成を有する、自動車前照灯のための照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の視点により、自動車前照灯のための照明装置が提供される。前記照明装置は異なる光分布(複数)を生成するよう構成されており、
前記照明装置は、
*第1光源群及び第2光源群に配された複数の光源、但し、前記照明装置の組込位置において、即ち前記照明装置が自動車の自動車前照灯に組み込まれている場合において、前記第1光源群は前記第2光源群よりも垂直方向においてより高くに位置付けられており、前記複数の光源は主ビーム方向に沿って光を放射する、
*前記主ビーム方向に沿って前記複数の光源の下流側に配置された第1レンズ要素、但し、前記第1レンズ要素は前記複数の光源を指向する受光面及び前記受光面の反対側の放光面を含み、前記第1レンズ要素は前記複数の光源からの光を前記受光面を介して受光し、受光した光を前記放光面を介して放出するよう構成されており、前記第1レンズ要素は光軸を有し、前記第1レンズ要素はその光軸に関して光を屈折させるよう構成されている、及び、
*前記主ビーム方向に沿って前記第1レンズ要素の下流側に配置され、前記第1レンズ要素からの屈折光を受光しかつ当該光を前記照明装置の前方へ投射するよう構成された第2レンズ要素、但し、前記第2レンズ要素は光軸を有する、
を含む。
前記第1レンズ要素と前記第2レンズ要素は、それらの光軸が同心に(co-axial)整列されかつ前記第1レンズ要素と前記第2レンズ要素が共通の焦点を形成するよう、構成されかつ互いに対し配置されており、前記共通の焦点は、前記第2レンズ要素とは反対側の前記第1レンズ要素の側に位置する共通の焦点面にある。
前記複数の光源は光源ホルダ上に配されており、前記光源ホルダは、前記複数の光源によって放射された光の主ビーム方向が前記第1レンズ要素の光軸及び前記第2レンズ要素の光軸に対し実質的に平行であるように、前記第1レンズ要素及び前記第2レンズ要素に対し相対的に配置されている。
前記第1レンズ要素の受光面はメインエリアとサブエリアによって形成されており、前記サブエリアは夫々光入射セクションを含む複数の屈折要素を含み、前記サブエリアの屈折要素(複数)は、入射する光が前記メインエリアによって屈折される光とは異なるように屈折されるよう構成されており、前記光源ホルダと前記第1レンズ要素の受光面は、前記第1光源群からの光の第1部分が前記サブエリアへ向かって放射されかつ前記第1光源群からの光の第2部分が前記メインエリアへ向かって放射されるよう、及び、前記第2光源群からの光の第1部分が前記サブエリアへ向かって放射されかつ前記第2光源群からの光の第2部分が前記受光面のメインエリアへ向かって放射されるよう、互いに対する距離が形成されており、前記第1光源群からの光の第1部分は前記第2光源群からの光の第1部分よりもより大きい。
前記第1光源群、前記第2光源群、前記第1レンズ要素及び前記第2レンズ要素は、完全な又は部分的なハイビーム光分布を生成するよう構成されており、前記ハイビーム光分布は少なくとも2つのセクションによって形成されており、前記第1レンズ要素の受光面のサブエリアとメインエリアは、前記第1光源群からの光の屈折された第1部分及び第2部分が前記ハイビーム光分布の第1セクションを形成する第1照明エリアに対応するように、かつ、前記第2光源群からの光の屈折された第1部分及び第2部分が前記ハイビーム光分布の第2セクションを形成する第2照明エリアに対応するように、入射光を屈折するよう構成されており、前記第1セクションは第1強度最大値(第1最大強度)を有しかつ前記第2セクションは第2強度最大値(第2最大強度)を有し、前記サブエリアによる光の屈折及び前記メインエリアによる光の屈折によって、前記第1セクションの第1強度最大値は前記照明装置の前方において前記第2セクションの第2強度最大値よりも垂直方向においてより低くに(より低い位置に)位置付けられる。
本発明の第2の視点により、自動車前照灯のためのライトモジュールが提供される。
前記ライトモジュールは、前記ライトモジュールの異なる動作モードに夫々関連付けられた異なる光分布(複数)を生成するよう構成されており、前記ライトモジュールは、本発明(の形態1~14の何れか)に応じた照明装置と、ロービーム光分布の一部分を生成するよう構成された第2(二次)照明装置を含む。
前記ライトモジュールは、少なくとも2つの動作モードで動作するよう構成されており、
*前記ライトモジュールの第1動作モードでは、前記照明装置の第1光源群の少なくとも一部分及び第2光源群の少なくとも一部分が動作状態(active)であり、前記第1レンズ要素及び前記第2レンズ要素と連携して、完全ないし部分的なハイビーム光分布を生成するよう構成され、前記第2照明装置は動作状態であり、
*前記ライトモジュールの第2動作モードでは、前記第1光源群の第1部分が動作状態であり、前記第1光源群の第2部分及び前記第2光源群は非動作状態(inactive)であり、前記第2動作モードでは、動作状態の第1光源群、前記第1レンズ要素及び前記第2レンズ要素は、非対称ロービーム光分布の第1部分を生成するよう構成されており、前記第1光源群の動作状態の第1部分からの前記サブエリアによる屈折光によって生成される第1照明エリアは、非対称ロービーム光分布の第1部分に対応し、前記第2照明装置は非対称ロービーム光分布の第2部分を生成するよう構成されており、前記第1部分と前記第2部分は前記非対称ロービーム光分布を形成し、前記第1部分は、前記ライトモジュールが自動車に組み込まれている場合において、自動車の運転(走行)側のエリアを照明する非対称光分布の非対称部分を形成する。
本発明の第3の視点により、本発明(の形態1~14の何れか)に応じた照明装置又は本発明(の形態15又は16)に応じたライトモジュールを含む、自動車前照灯が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1に記載の照明装置において、
前記第1光源群の光源(複数)は前記光源ホルダ上の第1横列に沿って配置され、かつ、前記第2光源群の光源(複数)は前記光源ホルダ上の第2横列に沿って配置されていること、
前記第2横列は前記第1横列に対し実質的に平行であること
が好ましい。
(形態3)形態1又は2に、とりわけ形態1に記載の照明装置において、
前記第1光源群と前記第2光源群は、前記光源ホルダ上において―前記組込位置において―夫々水平ラインに沿って配向されていること
が好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかに、とりわけ形態1に記載の照明装置において、
前記屈折要素は、前記組込位置において、垂直断面に沿って、実質的に三角形状の横断面を有するプリズム要素として形成されていること
が好ましい。
(形態5)形態4に記載の照明装置において、
各プリズム要素は前記光軸に対し直角をなしかつ水平に配向された長手延伸を有すること
が好ましい。
(形態6)形態1~5の何れかに、とりわけ形態1に記載の照明装置において、
前記屈折要素は前記第1レンズ要素の受光面内の凹部又は凸部として形成されていること
が好ましい。
(形態7)形態6に記載の照明装置において、
前記サブエリアは前記メインエリアによって取り囲まれていること
が好ましい。
(形態8)形態1~7の何れかに、とりわけ形態1に記載の照明装置において、
前記サブエリアによる屈折光によって形成される前記第1照明エリアの強度最大値は、等照度図(Isolux-diagram)においてHH線の下方に位置付けられていること
が好ましい。
(形態9)形態1~8の何れかに、とりわけ形態1に記載の照明装置において、
前記メインエリアによる屈折光によって形成される前記第2照明エリアの強度最大値は、等照度図において実質的にHH線に又はHH線の上方に位置付けられていること
が好ましい。
(形態10)形態1~9の何れかに、とりわけ形態1に記載の照明装置において、
前記第1光源群の各光源及び前記第2光源群の各光源は、前記照明装置の動作モードに依存して、個別に制御可能であること
が好ましい。
(形態11)形態1~10の何れかに、とりわけ形態1に記載の照明装置において、
前記複数の光源は、前記第2光源群よりも垂直方向においてより低くに配置された第3光源群を含むこと、
前記第3光源群からの光は実質的に前記メインエリアへ向かって放射されること、
前記第3光源群からの屈折光は、前記ハイビーム光分布の第3セクションを形成する第3照明エリアに対応すること、
前記第3セクションは第3強度最大値を有すること、
前記メインエリアによる前記第3光源群からの光の屈折によって、前記第3強度最大値は前記照明装置の前方において前記第1強度最大値及び前記第2強度最大値よりも垂直方向においてより高くに位置付けられること
が好ましい。
(形態12)形態11に記載の照明装置において、
前記第3光源群は、前記第2横列に対し平行な前記光源ホルダ上の第3横列に配置されていること、
前記第3横列は前記第2横列よりも垂直方向においてより低い位置にあること
が好ましい。
(形態13)形態1~12の何れかに、とりわけ形態1に記載の照明装置において、
前記照明装置はシェード要素を含むこと、
前記シェード要素は、前記サブエリアを介して前記第1レンズ要素に入射した前記第2光源群からの光の第1部分(fraction)が前記第2レンズ要素へ向かって横断(進行)すること(traversing)を阻止するよう構成されていること
が好ましい。
(形態14)形態1~13の何れかに、とりわけ形態1に記載の照明装置において、
前記複数の光源は前記光源ホルダの光源面に配されていること、
前記光源面は実質的に前記共通の焦点面内に位置すること
が好ましい。
(形態15)上記本発明の第2の視点参照。
(形態16)形態15に記載のライトモジュールにおいて、
前記第2照明装置によって生成される前記非対称ロービーム光分布の第2部分は、前記非対称ロービーム光分布の明暗境界(線)を形成すること
が好ましい。
(形態17)上記本発明の第3の視点参照。
【0011】
上記の目的は本発明の第1の視点に応じた照明装置によって達成される。
【0012】
本発明の第1の視点に応じた照明装置においては、第1レンズ要素と第2レンズ要素は、それらの光軸が同心に(co-axial)整列されかつ第1レンズ要素と第2レンズ要素が共通の焦点を形成するよう、構成されかつ互いに対し配置されており、共通の焦点は第2レンズ要素とは反対側の第1レンズ要素の側に位置する共通の焦点面にあり、
複数の光源は光源ホルダ上に配されており、光源ホルダは、複数の光源によって放射された光の主ビーム方向が第1レンズ要素の光軸及び第2レンズ要素の光軸に対し実質的に平行であるように、第1レンズ要素及び第2レンズ要素に対し相対的に配置されており、
第1レンズ要素の受光面はメインエリアとサブエリアによって形成されており、サブエリアは夫々光入射セクションを含む複数の屈折要素を含み、サブエリアの屈折要素(複数)は、入射する光がメインエリアによって屈折される光とは異なるように、好ましくは光軸へ向かってより強く、屈折されるよう構成されており、光源ホルダと第1レンズ要素の受光面は、第1光源群からの光の第1部分がサブエリアへ向かって放射されかつ第1光源群からの光の、好ましくは第1部分よりより大きい、第2部分がメインエリアへ向かって放射されるよう、及び、第2光源群からの光の第1部分がサブエリアへ向かって放射されかつ第2光源群からの光の、好ましくは第1部分よりもより大きい、第2部分が受光面のメインエリアへ向かって放射されるよう、互いに対する距離が形成されており、第1光源群からの光の第1部分は第2光源群からの光の第1部分よりもより大きく、
第1光源群、第2光源群、第1レンズ要素及び第2レンズ要素は、完全な又は部分的な、好ましくは配光可変の、ハイビーム光分布を生成するよう構成されており、ハイビーム光分布は少なくとも2つのセクションによって形成されており、第1レンズ要素の受光面のサブエリアとメインエリアは、第1光源群からの光の屈折された第1部分及び第2部分がハイビーム光分布の第1セクションを形成する第1照明エリアに対応するように、かつ、第2光源群からの光の屈折された第1部分及び第2部分がハイビーム光分布の第2セクションを形成する第2照明エリアに対応するように、入射光を屈折するよう構成されており、第1セクションは第1強度最大値を有しかつ第2セクションは第2強度最大値を有し、サブエリアによる光の屈折及びメインエリアによる光の屈折によって、第1セクションの第1強度最大値は照明装置の前方において第2セクションの第2強度最大値よりも垂直方向においてより低くに(より低い位置に)位置付けられる。
【0013】
このことは、完全な又は部分的な、好ましくは配光可変の、ハイビーム光分布を生成し、サブエリアを形成する屈折要素(複数)によって光が屈折されることによって実質的に生成されるハイビーム光分布の第1セクションが、HH線の下方においてスムーズな光強度のフェードアウト、換言すれば、HH線の下方における光の拡散(ないし光の広がり:light spread)を生成するという利点を有する。従って、光分布の前方(手前側)領域、即ち、遠方領域と比べて照明装置により近いエリアにおいて、照明エリアと非照明エリアの間の移行(部)がよりスムーズになる。換言すれば、本発明は、ぼかされた(blurred)ハイビーム光分布を提供し、このぼかしは、照明装置に近いエリアにおいてないしは垂直方向においてHH線より低い位置にある光分布のセクションにおいて生じる。第1光源横列の各光源は光線束を放射し、これらは全部合わせて第1光線束横列を形成し、第2光源横列の各光源は光線束を放射し、これらは全部合わせて第2光線束横列を形成する。照明装置は、3つ以上のレンズ要素、例えば第3以上のレンズ要素を含むことができる。本開示において、用語「屈折(refraction)」は、光学要素、例えば第1レンズ要素の横断(通過)後における、光線束ないし光線(複数)の伝搬方向の変化として定義される。用語「下流側(downstream)」は、光伝搬の方向に沿うものとして定義される。好ましくは、第1光源群の光源(複数)及び第2光源群の光源(複数)は、2つのモード即ち(光源(複数)から光が放射される)動作(アクティブ:active)/ONモード及び(光源(複数)から光が放射されない)非動作(イナクティブ:inactive)/OFF状態(モード)で動作可能である。好ましくは、ハイビーム光分布の第1セクションはハイビーム光分布の第2セクションと少なくとも部分的に重なり、この重なりは例えばECE25m試験スクリーン上で測定されることができる。ハイビーム光分布の第1セクションは第2セクションの下側部分と重なってもよい。なお、第2セクションのこの下側部分はHH線の下方に位置付けられる。好ましくは、ライトモジュールは、(1つの)セグメント化光分布の複数の異なるセクションないし複数の異なるセグメント化光分布を生成するよう構成される。好ましくは、光源ホルダは(従って複数の光源も)、第1レンズ要素の受光面の極めて近くに配置されることができ、例えば、複数の光源と第1レンズ要素の受光面との間の(主ビーム方向に沿った)垂直(法線)距離は第1レンズ要素のその光軸に沿った幅(ないし厚み)よりも小さくされることができる。好ましくは、複数の光源(ないし光源ホルダ)と第1レンズ要素の受光面との間の垂直距離は、第1レンズ要素の放光面と第2レンズ要素の受光面との間の垂直距離より小さくされることができる。複数の光源は光源ホルダの光源面に配されることができ、該光源面は実質的に共通の焦点面内にある。好ましくは、ハイビーム光分布の第1セクションは、サブエリアによって屈折される第1光源群からの光に対応し、強度最大値(最大強度)を有する第1サブセクションと、メインエリアによって屈折される第1光源群からの光に対応し、強度最大値(最大強度)を有する第2サブセクションを含む。サブエリアによるより強い屈折のために、第1サブセクションの強度最大値は第2サブセクションの強度最大値よりも垂直方向においてより低い位置にあることが可能である。好ましくは、ハイビーム光分布の第2セクションは、サブエリアによって屈折される第2光源群からの光に対応し、強度最大値(最大強度)を有する第1サブセクションと、メインエリアによって屈折される第2光源群からの光に対応し、強度最大値(最大強度)を有する第2サブセクションを含む。サブエリアによるより強い屈折のために、第1サブセクションの強度最大値は第2サブセクションの強度最大値よりも垂直方向においてより低い位置にあることが可能である。第1光源群(及び第2光源群)からの光の第1部分(fraction)は、第1レンズ要素の受光面に対し相対的な第1(又は第2)光源群の位置に依存して、第2フラクションよりもより大きいか又はより小さいことが可能である。
【0014】
有利には、第1光源群の光源(複数)は光源ホルダ上の第1横列(第1行)に沿って配置され、かつ、第2光源群の光源(複数)は光源ホルダ上の第2横列(第2行)に沿って配置されており、第2横列は第1横列に対し実質的に平行である。
【0015】
有利には、第1光源群と第2光源群は、光源ホルダ上において―組込位置において―夫々水平ラインに沿って配向される。
【0016】
有利には、屈折要素(複数)は、組込位置において、垂直断面に沿って、実質的に三角形状の横断面を有するプリズム要素(複数)として形成され、好ましくは、各プリズム要素は、光軸に対し直角をなしかつ好ましくは水平に配向された長手延伸を有する。
【0017】
有利には、屈折要素(複数)は第1レンズ要素の受光面内の凹部(複数)又は凸部(複数)として形成され、好ましくは、サブエリアはメインエリアによって取り囲まれる(包囲される)。
【0018】
有利には、サブエリアによる屈折光によって形成される第1照明エリアの強度最大値(最大強度)は、等照度図(Isolux-diagram)においてHH線の下方に位置付けられる。本開示において、等照度図におけるHH線は、自動車前照灯によって生成される照明が前照灯の前方25mの距離の所にかつその(光)軸に対し直角に設置された垂直スクリーン上で検査されることを要求する自動車前照灯に関するECE規則に従っている。
【0019】
有利には、メインエリアによる屈折光によって形成される第2照明エリアの強度最大値(最大強度)は、等照度図において実質的にHH線に又はHH線の上方に位置付けられる。
【0020】
有利には、第1光源群の各光源及び第2光源群の各光源は、照明装置の動作モードに依存して、個別に制御可能である。
【0021】
有利には、複数の光源は、第2光源群よりも垂直方向においてより低くに(より低い位置に)配置された第3光源群を含み、第3光源群からの光は実質的にメインエリアへ向かって放射され、第3光源群からの屈折光は、ハイビーム光分布の第3セクションを形成する第3照明エリアに対応し、該第3セクションは第3強度最大値(第3最大強度)を有し、メインエリアによる第3光源群からの光の屈折によって、第3強度最大値は照明装置の前方において第1強度最大値及び第2強度最大値よりも垂直方向においてより高くに(より高い位置に)位置付けられる。
【0022】
有利には、第3光源群は、第2横列に対し平行な、好ましくは水平ラインに沿って配向された、光源ホルダ上の第3横列に配置され、第3横列は第2横列よりも垂直方向においてより低い位置にある。
【0023】
有利には、照明装置は、好ましくは―組込位置において―第1レンズ要素の垂直方向上方に配置された、シェード要素(shade element)を含み、該シェード要素は、サブエリアを介して第1レンズ要素に入射した第2光源群からの光の第1部分(fraction)が第2レンズ要素へ向かって横断(進行)すること(traversing)を阻止するよう構成される。
【0024】
有利には、複数の光源は光源ホルダの光源面に配され、光源面は実質的に共通の焦点面内に位置する。
【0025】
本発明の第2の視点に応じた自動車前照灯のためのライトモジュールにおいて、
ライトモジュールは、ライトモジュールの異なる動作モードに夫々関連付けられた異なる光分布(複数)を生成するよう構成され、
ライトモジュールは、照明装置とロービーム光分布の一部分を生成するよう構成された第2照明装置を含み、
ライトモジュールは、少なくとも2つの動作モードで動作するよう構成され、
*ライトモジュールの第1動作モードでは、照明装置の第1光源群の少なくとも一部分及び第2光源群の少なくとも一部分が動作状態(アクティブ:active)であり、第1レンズ要素及び第2レンズ要素と連携して、完全ないし部分的な、好ましくは配光可変の、ハイビーム光分布を生成するよう構成され、第2照明装置は動作状態(active)であり、
*ライトモジュールの第2動作モードでは、第1光源群の第1部分が動作状態であり、第1光源群の第2部分及び第2光源群は非動作状態であり、第2動作モードでは、動作状態の(アクティブな)第1光源群、第1レンズ要素及び第2レンズ要素は、非対称ロービーム光分布の第1部分を生成するよう構成され、第1光源群の動作状態の(アクティブな)第1部分からのサブエリアによる、好ましくは更にメインエリアによる、屈折光によって生成される第1照明エリアは、非対称ロービーム光分布の第1部分に対応し、第2照明装置は非対称ロービーム光分布の第2部分を生成するよう構成され、第1部分と第2部分は非対称ロービーム光分布を形成し、第1部分は、ライトモジュールが自動車に組み込まれている場合において、自動車の運転(走行)側のエリアを照明する非対称光分布の非対称部分を形成する。
【0026】
有利には、第2照明装置によって生成される非対称ロービーム光分布の第2部分は、非対称ロービーム光分布の明暗境界(線)を形成する。
【0027】
本発明の第3の視点に応じた自動車前照灯において、自動車前照灯は照明装置又はライトモジュールを含む。
【0028】
以下に、本発明を更に説明するために、図面に示されている例示的かつ非限定的な実施形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に応じた照明装置の一例。
【
図4】本発明の照明装置の一例によって生成された光分布の一例の異なるセクション(複数)。
【
図5】第1レンズ要素の受光面の異なる照明(複数)の例。
【
図6】本発明の他の一実施形態に応じたライトモジュールの一例。
【実施例0030】
図1は自動車前照灯のための照明装置1の一例を示し、
図2は該照明装置1の詳細図を示す。照明装置1は、(1つの)光分布(配光パターン)の、図示の例では(1つの)配光可変型セグメント化ハイビーム光分布(配光パターン)の複数の異なるセクション(区画)を生成するよう構成されている。照明装置1は第1光源群2a及び第2光源群2bに配された複数の光源2を含む。照明装置1の組込位置では-照明装置1が自動車の自動車前照灯に組み込まれている場合-第1光源群2aは第2光源群2bよりも垂直方向においてより高くに配置されている。複数の光源2は主ビーム方向dに沿って光を放射する。
【0031】
図示の例では、第1光源群2aの光源(複数)は光源ホルダ2h上の第1横列(第1行)に沿って配置されており、第2光源群2bの光源(複数)は光源ホルダ2h上の第2横列(第2行)に沿って配置されており、第2横列は第1横列に対し実質的に平行である。第1光源群2aと第2光源群2b(換言すれば、第1横列の光源と第2横列の光源)は、光源ホルダ2h上において―組込位置において―夫々水平ラインに沿って配向されている。
【0032】
第1光源群2aの各光源及び第2光源群2bの各光源は、照明装置1の動作モードに依存して、ないしはセグメント化光機能のどのセクションが照明されるべきであるかに依存して、個別に制御可能であることが好ましい。
【0033】
照明装置1は、主ビーム方向dに沿って複数の光源2の下流側に配置された第1レンズ要素3を含む。第1レンズ要素3は、複数の光源2を指向する(面する)受光面3a及び受光面3aの反対側の放光面3bを含む。第1レンズ要素3は、複数の光源2からの光を受光面3aを介して受光し、受光した光を放光面3bを介して放出するよう構成されている。第1レンズ要素3は光軸x1を有する。第1レンズ要素3は、その光軸x1に対して、光を屈折させるよう構成されている。
【0034】
照明装置1は、主ビーム方向dに沿って第1レンズ要素3の下流側に配置され、第1レンズ要素3からの屈折光を受光しかつ当該光を照明装置1の前方へ投射するよう構成された第2レンズ要素4を含む。第2レンズ要素4は光軸x2を有する。
【0035】
第1レンズ要素3と第2レンズ要素4は、それらの光軸x1、x2が同心に(コアキシャルに)整列されかつ第1レンズ要素3と第2レンズ要素4が共通の焦点fを形成するよう、構成されかつ互いに対し配置されている。共通の焦点fは、第2レンズ要素4とは反対側の第1レンズ要素3の側に位置する共通の焦点面fpにある。
【0036】
複数の光源2は光源ホルダ2h上に配されている。光源ホルダ2hは、複数の光源2によって放射された光の主ビーム方向dが第1レンズ要素3の光軸x1及び第2レンズ要素4の光軸x2に対し実質的に平行であるように、第1レンズ要素3及び第2レンズ要素4に対し相対的に配置されている。図示の例では、光源ホルダ2hと第1レンズ要素3との間の距離は第1レンズ要素3と第2レンズ要素4との間の距離よりも小さい。
【0037】
図2に示されかつ
図3a及び
図3bに詳細に示されているように、第1レンズ要素3の受光面3aはメインエリア5bとサブエリア5aによって形成されている。サブエリア5aは、夫々光入射セクションを含む複数の屈折要素6を含む。サブエリア5aの屈折要素(複数)6は、入射する光が異なるように、好ましくはメインエリア5bによって屈折される光よりも光軸x1に向かってより強く、屈折されるように、構成されている。光源ホルダ2hと第1レンズ要素3の受光面3aは、第1光源群2aからの光の第1部分がサブエリア5aへ向かって放射されかつ第1光源群2aからの光の第2部分、これは好ましくは第1部分よりもより大きい、がメインエリア5bへ向かって放射されるよう、及び、第2光源群2bからの光の第1部分がサブエリア5aへ向かって放射されかつ第2光源群2bからの光の第2部分、これは好ましくは第1部分よりも(光束の横断面が)より大きい、が受光面3aのメインエリア5bへ向かって放射されるよう、互いに対する距離が形成されている。第1光源群2aからの光の第1部分は第2群の光源2bからの光の第1部分よりもより大きい。換言すれば、サブエリア5aへ向かって放射される第1光源群2aからの光の部分は、受光面3aに対する相対的な第1光源群2a及び第2光源群2bの位置のために、サブエリア5aへ向かって放射される第2光源群2bからの光の部分よりもより大きい。
図2には、第1光源群2aからの光線のみが示されている(破線として示されている。)
【0038】
図3a及び
図3bに示されているように、屈折要素(複数)6は、組込位置において、垂直断面に沿って、実質的に三角形状の横断面を有する、プリズム要素として形成されている。各プリズム要素は、光軸x1に対し直角をなし、好ましくは水平に配向された長手延伸を有する。
図3aでは、屈折要素6は、
図3bに示された屈折要素6と比べてより短い長手延伸を有する。図示の例では、屈折要素6は第1レンズ要素3の受光面3a内の凹部(複数)又は凸部(複数)として形成されている。サブエリア5aはメインエリア5bによって取り囲まれている(包囲されている)ことが好ましい。
【0039】
第1光源群2a、第2光源群2b、第1レンズ要素3及び第2レンズ要素4は、完全な又は部分的な、好ましくは配光可変の、ハイビーム光分布を生成するよう構成されている。該ハイビーム光分布は少なくとも2つのセクションHB1、HB2によって形成される(
図2並びに
図4(a)及び
図4(b)参照)。第1レンズ要素3の受光面3aのサブエリア5aとメインエリア5bは、第1光源群2aからの光の屈折された第1部分及び第2部分がハイビーム光分布HBの第1セクションHB1を形成する第1照明エリアに対応するように、入射光を屈折するよう構成されている。
【0040】
更に、第2光源群2bからの光の屈折された第1部分及び第2部分は、ハイビーム光分布HBの第2セクションHB2を形成する第2照明エリアに対応する。
【0041】
第1セクションHB1は第1強度最大値を有し、第2セクションHB2は第2強度最大値を有する。サブエリア5aによる光の屈折とメインエリア5bによる光の屈折は、ハイビーム光分布の第1セクションHB1の第1強度最大値が照明装置1の前方において第2セクションHB2の第2強度最大値よりも垂直方向においてより低い(位置にある)ようになされる。
【0042】
図示の例では、複数の光源2は、第2光源群2bよりも垂直方向により低くに配置されている(任意の)第3光源群2cを含む。第3光源群2cからの光は、メインエリア5bへ向かって、好ましくは実質的にメインエリア5bへ向かってのみ、放射される。第3光源群2cからの屈折光はハイビーム光分布HBの第3セクションHB3を形成する第3照明エリアに対応する。第3セクションHB3は第3強度最大値を有する。メインエリア5bによる第3光源群2cからの光の屈折は、第3強度最大値が照明装置1の前方において第1強度最大値及び第2強度最大値よりも垂直方向においてより高い(位置にある)ようになされる。第3光源群2cは光源ホルダ2h上の第3横列(第3行)に配置され、好ましくは水平ラインに沿って配向され、第2横列に対し平行であり、第3横列は第2横列よりも垂直方向においてより低い位置にある。
【0043】
好ましくは、照明装置1は、好ましくは―組込位置において―第1レンズ要素3の垂直方向上方に配置された、(
図6に示されている)シェード要素(遮光ないし減光要素:shade element)12を含むことができ、該シェード要素12は、サブエリア5aを介して第1レンズ要素3に入射した第2光源群2bからの光の第1部分(fraction)が第2レンズ要素4へ向かって横断(進行)すること(traversing)を阻止するよう構成されている。
【0044】
図4(a)~
図4(c)は、夫々、照明装置1によって照明されている(照明装置1の前方に配置され、光軸x1、x2に対し直角に配向されている)スクリーンを示し、H-H線とV-V線が示されている。
【0045】
図4(a)では、第1群の光源2aのみが動作状態(active)であり、ハイビーム光分布HBの第1セクションHB1を生成している。垂直方向下方に延在する照明エリア(即ちHB1の下側のサブセクション)は屈折要素6による光の屈折によって生成される。垂直方向上方の照明エリア(即ちHB1の上側のサブセクション)はメインエリア5bによる光の屈折によって生成される。角丸化された矩形(方形)部(複数)はメインエリア5bから到来する光によって照らされたエリアを示し、下方への突出部はサブエリア5aから到来する光によって照らされたエリアを示す。第1照明エリアの強度最大値(部分)はH-H線の下方に位置付けられている。
【0046】
図4(b)は照明装置1によって照明されたスクリーンを示すが、このケースでは、第2群の光源2bのみが動作状態であり、ハイビーム光分布HBの第2セクションHB2を生成している。(第1レンズ要素3の受光面3aに対する光源ホルダ2hの距離の近さ故に)第2光源群2bからの光の小部分のみがサブエリア5aへ向かって放射されるため、第2光源群2bからの光の小部分のみが屈折要素6によって屈折される。その結果、垂直方向下方に延在する照明領域は
図4(a)と比べてより小さい(ないしはより小さい照明セクションを有する)。角丸化された矩形(方形)部(複数)はメインエリア5bから到来する光によって照らされたエリアを示し、下方への突出部はサブエリア5aから到来する光によって照らされたエリアを示す。第2照明エリアの(更には第2セクションHB2の)強度最大値(部分)はH-H線の少々上方に位置付けられている。
【0047】
図4(c)は照明装置1によって照明されたスクリーンを示すが、このケースでは、第3群の光源2cのみが動作状態であり、ハイビーム光分布HBの第3セクションHB3を生成している。(第1レンズ要素3の受光面3aに対する光源ホルダ2hの距離の近さ故に)第3群の光源2cからの光は、サブエリア5aへ向かって放射されない。第3群の光源2cによって生成される照明エリアはH-H線の十分に(完全に)上方にある。角丸化された矩形(方形)部(複数)はメインエリア5bから到来する光によって照らされたエリアを示す。
【0048】
図4(a)、
図4(b)及び好ましくは
図4(c)に示された照明エリアの「重ね合わせること」ないし組み合わせることによって、ハイビーム光分布が生成される。
【0049】
図5(a)~
図5(c)は、夫々、
図4(a)~
図4(c)について説明した照明状態中における第1レンズ要素3の受光面3aを示す。
【0050】
図5(a)では、第1群の光源2aが動作状態であり、(破線で示されているように)サブエリア5a従って屈折要素6、及び、メインエリア5bを照明する。
【0051】
図5(b)では、第2群の光源2bが動作状態であり、(破線で示されているように)屈折要素6を有するサブエリア5aの(第1群の光源2aと比べて)より小さい部分及びメインエリア5bのより大きい部分を照明する。
【0052】
図5(c)では、第3群の光源2cが動作状態であり、(破線で示されているように)メインエリア5bのみを照明する。
【0053】
当業者には既知のように、後続の(下流側の)第2レンズ要素4は、光を交通空間へ投射する場合、第1レンズ要素3から到来する光を反転するよう構成されている。その結果、受光面3aの垂直方向における最下方の照明、即ち
図5(c)は、ハイビーム光分布HBの垂直方向における最上方のセクションHB3に対応する。
【0054】
図6は、本発明の他の一実施形態、照明装置1及び第2(二次)照明装置11を含む、自動車前照灯のためのライトモジュール10の一例を示す。第2照明装置11はロービーム光分布の一部分を生成するよう構成されている。ライトモジュール10は、少なくとも2つの動作モードで動作するよう構成されている。照明装置1と第2照明装置11は、好ましくは、ライトモジュール10の共通のハウジング(不図示)の内部に配設され、主ビーム方向dに沿って延在するシェード要素12によって分離(隔離)されている。
【0055】
ライトモジュール10の第1動作モードでは、照明装置1の第1光源群2a及び第2光源群2bが動作状態であり、第1レンズ要素3及び第2レンズ要素4と連携して、完全ないし部分的な、好ましくは配光可変の、ハイビーム光分布を生成するよう構成されており、第2照明装置11は非動作状態(inactive)である。
【0056】
ライトモジュール10の第2動作モードでは、第1光源群2aの第1部分が動作状態であり、第1光源群2aの第2部分及び第2光源群2bは非動作状態である。第2動作モードでは、動作状態の第1光源群2a、第1レンズ要素3及び第2レンズ要素4は、非対称ロービーム光分布の第1部分を生成するよう構成されており、第1光源群2aの動作状態の第1部分からの、サブエリア5aによる、好ましくは更にメインエリア5bによる屈折光によって生成される第1照明エリアは、非対称ロービーム光分布の第1部分に対応する。
【0057】
第2照明装置11は(光源ユニット11a、及び、例えばコリメータ及び、光源ユニット11aに対応する、光学要素を含む光学装置11bによって)非対称ロービーム光分布の第2部分を生成するよう構成されている。第1部分と第2部分は非対称ロービーム光分布を形成し、好ましくは、第1部分は、ライトモジュール10が自動車に組み込まれている場合において、自動車の運転(走行)側のエリアを照明する非対称光分布の非対称部分を形成する。
【0058】
第2照明装置11によって生成される非対称ロービーム光分布の第2部分は、非対称ロービーム光分布の明暗境界(線)を形成することができる。
【0059】
図6に示した例では、照明装置1と第2照明装置11の間にシェード要素12が配置されている。シェード要素12は、サブ領域5aを介して第1レンズ要素3に入射した第2光源群2bからの光の第1部分(fraction)が第2レンズ要素4へ向かって横断(進行)すること(traversing)を阻止するよう(訳注:その結果、
図4(b)に示したハイビーム光分布HBの第2セクションHB2の下側突出部の生成を阻止するよう)構成されている。更に、シェード要素12は、照明装置1からの光が第2照明装置11へ向かって放射されること及びその逆のことを阻止するよう構成されている。
【0060】
本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択(「非選択」を含む。)が可能である。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及び図面を含む全開示、本発明の技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【0061】
更に、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を実施形態及び図示の実施例に限定することは意図していない。
【0062】
更に、上記の各文献の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。