(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150413
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】乗物フラップの回転駆動のためのアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
F16H 1/16 20060101AFI20241016BHJP
F16H 1/06 20060101ALI20241016BHJP
F16D 11/10 20060101ALI20241016BHJP
E05F 15/63 20150101ALI20241016BHJP
【FI】
F16H1/16 Z
F16H1/06
F16D11/10 A
E05F15/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024051235
(22)【出願日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】10 2023 107 692.2
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】514062655
【氏名又は名称】スタビラス ゲ―エムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ペーター オスター
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス リッター
(57)【要約】 (修正有)
【課題】乗物フラップの回転駆動のためのアクチュエータを提供する。
【解決手段】アクチュエータ(10)は、中心軸を有する出力シャフトを有する電気モータ(12)と、出力ユニット(14)であって、電気モータ(12)が作動すると出力ユニット(14)の回転軸を中心とする出力ユニット(14)の回転変位が生じるように電気モータ(12)と力伝達接続している出力ユニット(14)と、取付ユニット(22)であって、電気モータ(12)が作動すると取付ユニット(22)に対する駆動ユニット(14)の変位が生じるように、駆動ユニット(14)に対する上位アセンブリと力伝達接続してアクチュエータ(10)を支持するように構成された取付ユニット(22)とを備え、電気モータ(12)の出力シャフトの中心軸は、駆動ユニット(14)の回転軸から離間され、且つ回転軸に対して実質的に平行である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物フラップ、具体的には、乗物ドア、を回転駆動するためのアクチュエータ(10)であって、
電気モータ(12)であって、中心軸(X)を有する出力シャフト(40)を有し、前記電気モータ(12)の作動に応じて前記出力シャフト(40)が前記中心軸(X)を中心として回転し、前記電気モータは前記乗物フラップを変位させることが可能な駆動力を提供するように構成されている、電気モータ(12)と、
出力ユニット(14)であって、前記電気モータ(12)の作動により前記出力ユニット(14)の回転軸(Y)を中心とする前記出力ユニット(14)の回転変位が生じるように前記電気モータ(12)と力伝達接続されている、出力ユニット(14)と、
取付ユニット(22)であって、前記電気モータ(12)が作動すると前記取付ユニット(22)に対する前記出力ユニット(14)の変位が生じるように、前記出力ユニット(14)に対する上位アセンブリと力伝達接続して前記アクチュエータ(10)を支持するように構成されている、取付ユニット(22)と、
を備え、
前記電気モータ(12)の前記出力シャフト(40)の前記中心軸(X)は、前記出力ユニット(14)の前記回転軸(Y)から離間され、且つ前記回転軸(Y)に対して実質的に平行である、アクチュエータ(10)。
【請求項2】
請求項1に記載のアクチュエータ(10)であって、
前記取付ユニット(22)が前記乗物フラップと力伝達接続されている一方で、前記出力ユニット(14)が少なくとも回転式に固定された態様で前記乗物のボディに接続されている、ことを特徴とする、
アクチュエータ。
【請求項3】
先行する請求項のいずれかに記載のアクチュエータ(10)であって、
前記アクチュエータ(10)は、前記電気モータ(12)の前記出力シャフト(40)により発生されるトルクと前記出力ユニット(14)により発生されるトルクとの間の伝達比を提供するように構成されたギヤボックスユニット(38,138)を備えている、ことを特徴とする、
アクチュエータ。
【請求項4】
先行する請求項に記載のアクチュエータ(10)であって、
前記ギヤボックスユニット(38,138)は、少なくとも1つ、具体的には2つの、ウォーム対ウォームギヤボックス(40,42,46,48)と、スパーギヤボックス(50,52;150,152)と、を備えている、ことを特徴とする、
アクチュエータ。
【請求項5】
請求項4に記載のアクチュエータ(10)であって、
前記電気モータ(12)の前記出力シャフト(40)から前記アクチュエータ(10)の前記出力ユニット(14)への力の流れの前記方向で見たときに、まず第1のウォーム対ウォームギヤボックス(40,42)、次に第2のウォーム対ウォームギヤボックス(46,48)、次にスパーギヤボックス(50,52;150,152)、が配置されており、
前記スパーギヤボックス(52,152)の出力側は、前記出力ユニット(14)に、具体的には一体的に、接続されている、ことを特徴とする、
アクチュエータ。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のアクチュエータ(10)であって、
前記スパーギヤボックスの前記出力側におけるスパーギヤ(52)は、セグメントスパーギヤ(52)として設計されており、前記セグメントスパーギヤ(52)は、前記スパーギヤの前記円周の一部に亘ってのみ、具体的には、前記スパーギヤ(52)の前記円周の90°~180°の角度に亘って、好ましくは、前記スパーギヤ(52)の前記円周の120°に亘って、歯部を有するように設計されている、ことを特徴とする、
アクチュエータ。
【請求項7】
先行する請求項のいずれか、任意には請求項3~請求項6のいずれか、に記載のアクチュエータ(10)であって、
前記取付ユニット(22)は、前記アクチュエータ(10)のハウジング(16)に力伝達方式で接続されており、前記ハウジング(16)は、具体的には、前記ギヤボックスユニット(38,138)のみを実質的に囲繞している、ことを特徴とする、
アクチュエータ(10)。
【請求項8】
先行する請求項に記載のアクチュエータ(10)であって、
前記ハウジング(16)は、2つの主要なハウジングシェル(18,20)を備え、前記ハウジング(16)の前記組み立てられた状態において、前記2つの主要なハウジングシェル(18,20)の間には、封止部、具体的には封止コード、が配置されている、ことを特徴とする、
アクチュエータ。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載のアクチュエータ(10)であって、
前記ハウジングの内壁の一部は、前記ハウジング(16)内に配置されているシャフト(32,34)のための軸端位置(28,30)を提供するように構成されている、ことを特徴とする、
アクチュエータ。
【請求項10】
先行する請求項に記載のアクチュエータ(10)であって、
前記ハウジング(16)は、外部側に補強リブ(26)を有し、前記リブは、前記ハウジングの外側から外方向に突出しているとともに、前記シャフト(32,34)のための前記軸端位置(28,30)から半径方向に離れて延在している、及び/又は前記シャフト(32,34)のための前記軸端位置(28,30)の周囲に前記軸端位置に対して同心状に延在している、ことを特徴とする、
アクチュエータ。
【請求項11】
先行する請求項のいずれかに記載のアクチュエータ(10)であって、
前記アクチュエータ(10)はさらに、前記出力ユニット(14)と前記取付ユニット(22)との間の相対変位を防止するように構成された、制動ユニット、具体的には、切換可能な制動ユニット、を備えている、ことを特徴とする、
アクチュエータ。
【請求項12】
先行する請求項のいずれかに記載のアクチュエータ(10)であって、
前記アクチュエータ(10)は、クラッチ(166)を備え、前記クラッチは、その離脱状態においては前記電気モータ(12)の前記出力シャフト(40)から前記出力ユニット(14)への動力伝達を遮断するように、又は、その係合状態においては前記動力伝達を発生させるように構成されている、ことを特徴とする、
アクチュエータ。
【請求項13】
先行する請求項に記載のアクチュエータ(10)であって、
前記クラッチ(166)は、径方向内側を向いている歯部(158)を有する第1のギヤ(152)と、径方向外側を向いている歯部を有する第2のギヤ(160)とを備え、
前記第1のギヤ(152)及び/又は前記第2のギヤ(160)は、前記2つのギヤ(152,160)が互いに噛み合って前記クラッチ(166)が前記係合状態を形成する相対位置と、前記2つのギヤ(152,160)が互いに離脱されて前記クラッチ(166)の前記離脱状態を形成する相対位置と、の間で変位可能である、ことを特徴とする、
アクチュエータ。
【請求項14】
請求項12又は請求項13に記載のアクチュエータ(10)であって、
前記クラッチ(166)は、さらなる電気モータ(12)を使用して、その係合状態とその離脱状態との間で変位可能であり、
前記さらなる電気モータ(12)は、前記アクチュエータ(10)の前記電気モータ(12)とは別個に設計されている、ことを特徴とする、
アクチュエータ。
【請求項15】
請求項12~14のいずれかに記載のアクチュエータ(10)であって、
前記クラッチ(166)は、前記クラッチ(166)をその離脱状態の前記方向へ予圧するように構成された、弾性要素(176)、具体的には圧力ばね(176)、を備えている、ことを特徴とする、
アクチュエータ。
【請求項16】
乗物ドア(182)のための格納装置(180)であって、
少なくとも1つの連結棒(186)を備えている少なくとも1つのジョイント装置(184)であって、前記連結棒(186)がその第1端において乗物ボディ(188)に旋回可能に接続されている、少なくとも1つのジョイント装置(184)と、
旋回要素(182,190)であって、前記連結棒(186)がその第2端において前記旋回要素に旋回可能に接続されている、旋回要素(182,190)と、
先行する請求項1~15に記載のアクチュエータ(10)であって、前記乗物ボディ(188)又は前記乗物ドア(182)に接続されており、作動されると、前記旋回要素(190)を前記乗物ボディ(188)に対して水平に変位させるように構成された、アクチュエータ(10)と、
を備えている、格納装置。
【請求項17】
請求項16に記載の格納装置(180)であって、
ジョイント装置(184)は、互いに平行に配置されるとともに互いに横方向に離間された2つの連結棒(186)を備え、
前記連結棒(186)のうちの一方は、前記アクチュエータ(10)によって回転駆動可能に設けられている、ことを特徴とする、
格納装置。
【請求項18】
少なくとも1つの水平に旋回可能な乗物ドア(182)と、請求項16又は請求項17に記載の格納装置(180)と、を有している、モータビークル。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[説明]
本発明は、乗物フラップ、具体的には、乗物ドア、を回転駆動するためのアクチュエータに関する。
【0002】
長さが可変であるアクチュエータが先行技術から知られており、このアクチュエータが乗物フラップと乗物のボディとの間に適切に配置されていると、このアクチュエータの長さの変化によって、関連する旋回軸を中心とする乗物フラップの回転変位が生じる。具体的には、特定の乗物フラップを大きな旋回範囲に亘って動かす必要がある場合には、既知の可変長アクチュエータは、ストロークが短すぎる可能性があり、また、乗物フラップの開放エリア内へ突出する可能性もあるため、乗物フラップの使用を妨げ得る。
【0003】
したがって、以下の発明の目的は、大きな旋回角度に亘っていても乗物フラップを回転駆動するのに適したアクチュエータを提供することである。さらに、本発明の目的は、乗物ドアを水平に変位させるのに適した格納装置を提供することである。本発明のさらなる目的は、少なくとも1つの水平に変位可能な乗物ドアと、格納装置と、を有するモータビークルを提供することである。
【0004】
本発明によれば、この目的は、乗物フラップ、具体的には乗物ドア、を回転駆動するためのアクチュエータであって、電気モータであって、中心軸を有する出力シャフトを有し、出力シャフトが当該電気モータの作動に応じて中心軸を中心として回転し、当該電気モータが乗物フラップを変位させることが可能な駆動力を提供するように構成されている、電気モータと、出力ユニットであって、電気モータの作動により当該出力ユニットの回転軸を中心とする当該出力ユニットの回転変位が生じるように電気モータと力伝達接続されている、出力ユニットと、取付ユニットであって、この目的のために構成されており、電気モータが作動すると組立ユニットに対する当該出力ユニットの変位が生じるように、出力ユニットに対する上位アセンブリと力伝達接続してアクチュエータを支持している、取付ユニットと、を備え、電気モータの出力シャフトの中心軸は、出力ユニットの回転軸から離間され、且つ出力ユニットの回転軸に対して実質的に平行である、アクチュエータによって達成される。この点において、上位アセンブリは、例えば、ボディ又は乗物フラップであり得ることに留意すべきである。
【0005】
よって、本発明に係るアクチュエータは、取付ユニットに対して出力ユニットを回転させることで乗物のボディに対して乗物フラップを回転変位させることにより、乗物フラップに直接回転の影響を与えて乗物フラップを変位させることができる。この動作の態様に基づいて、本発明に係るアクチュエータは、乗物フラップが開放されるときに当該乗物フラップにより解放される乗物の領域がアクチュエータのコンポーネントによる影響を受けないままであるように、乗物のボディ上における乗物フラップのヒンジの領域内に直接配置され得る。具体的には、それぞれの乗物フラップのヒンジの領域内における本発明に係るアクチュエータの配置に関連して、電気モータの出力シャフトの中心軸が、出力ユニットの回転軸から離間されているとともに当該回転軸に対して実質的に平行である、という本発明に係る特徴は、アクチュエータの配置に利用可能な設置スペースの利用を大幅に改善することにつながり得る。この配置は、特に、例えばバス、列車又は自律ビークルのドア等といった、水平面に沿って旋回される乗物ドアのための、設置スペースの最適な利用につながり得る。
【0006】
例えば、取付ユニットは、乗物フラップと力伝達接続されることが可能である一方、出力ユニットは、少なくとも回転式に固定された態様で乗物のボディに接続され得る。例えば、出力ユニットの回転軸、又は出力ユニットの周囲の取付ユニットの回転軸は、乗物のボディに対して関連付けられた乗物フラップの旋回軸に対し、実質的に同心状に配置され得る。電気モータが作動されると、取付ユニットと、具体的にはギヤボックス及びギヤボックスを囲繞しているハウジングとは、乗物のボディに対して、ドアと共に移動され得る。想定可能な一実施形態では、乗物フラップに接続されているとともにドアと共に回転するチューブを、乗物ドアのヒンジの外側部分として設けることができ、そのチューブは、乗物のボディに固定式に接続されたシャフト上に、回転可能に取り付けられている。本発明に係るアクチュエータは、取付ユニットがチューブに例えばねじ締めにより堅固に接続されるように配置され得り、出力ユニットは、当該出力ユニットが少なくとも回転に対して固定されるように、シャフトに接続される。このことは、例えば、シャフトと出力ユニットとの間におけるスプラインシャフト接続の形態のポジティブ接続により実現することができ、当該スプラインシャフト接続では、出力ユニット及びシャフトが互いに離脱することなく、互いに対する軸方向変位を、予め定められた程度まで可能にすることができる。
【0007】
取付ユニットがボディと力伝達接続している一方で、出力ユニットが、乗物フラップ、即ち乗物ドア、との直接又は間接的な接続によって少なくとも回転式に固定され得ることも、考えられる。
【0008】
さらに、アクチュエータは、電気モータの出力シャフトにより発生されるトルクと出力ユニットにより発生されるトルクとの間に伝達比を提供するように構成された、ギヤユニットを備えてもよい。これにより、比較的低いトルクを有する電気モータの高い回転速度を比較的より高いトルクを有する出力ユニットにおける、より低い回転速度へと変換することができる。
【0009】
ギヤユニットは、少なくとも1つ、具体的には2つの、ウォーム対ウォームギヤボックスと、スパーギヤボックスと、を備え得る。具体的には、ギヤユニットの各ギヤ段は、ギヤユニットの入力側における、より低いトルクを有するより高い回転速度を、ギヤユニットの出力側における、より高いトルクを有するより低い回転速度へと変換することができる。さらに、アクチュエータのコンポーネントが、異なる機能ユニットを単一のコンポーネントに統合することが考えられる。例えば、一体型コンポーネントは、第1のギヤ段の出力側におけるウォームギヤ、及び入力側におけるウォームギヤ、又は後続ギヤ段の入力側におけるスパーギヤ、を有し得る。これらの一体型コンポーネントは、ワンピースのコンポーネントとして生産されること、又は、個々のサブコンポーネントから組み立てられて一体型コンポーネントを形成すること、が可能である。
【0010】
ここで、電気モータの出力シャフトからアクチュエータの出力ユニットへの力の流れの方向に見たときに、まず第1のウォーム対ウォームギヤボックス、それに続いて、第2のウォーム対ウォームギヤボックス、そして、スパーギヤボックス、が配置され得り、スパーギヤボックスの1つの出力側は、出力ユニットに、具体的には一体的に、接続される。具体的には、2つのウォームの回転軸及び/又は2つのウォームギヤの回転軸が、互いに実質的に直交している場合(2つの対応する回転軸が、それぞれの2つの回転軸に直交する投影方向に見たときに互いに角度をなして延在している場合)には、2つのウォーム対ウォームギヤボックス段の連続的な配置により、このようなギヤユニットの特にコンパクトな空間利用が可能になる。上記のように、ギヤユニットのコンポーネントは、一方側に伝達段の出力側部分を有し、反対側に後続伝達段の駆動側部分を有し得る。このような態様では、出力ユニットは、最終ギヤ段の出力側要素又はスパーギヤの出力側ギヤに接続されてそれと共に回転する、シャフトの出力側長手方向端として、実現され得る。
【0011】
あるいは、又は、さらに、スパーギヤボックスの出力側におけるスパーギヤは、セグメントスパーギヤとして設計され得り、セグメントスパーギヤは、スパーギヤの円周の一部に亘ってのみ、具体的には、スパーギヤの円周の90°~180°の角度に亘って、好ましくは、スパーギヤの円周の120°に亘って、歯部を有するように設計されている。具体的には、スパーギヤが歯を有している円周角は、乗物フラップの全閉状態から全開状態までの、乗物フラップの予め定められた開放角に対応し得る。これは例えば、乗物フラップが、その閉状態からその完全開状態までの120°の角度を描く場合に、ギヤユニットの最終ギヤ段の出力側ギヤもまた120°に亘るセグメントにのみ設計され得ることを意味する。当然ながら、歯部が設けられているか又は少なくとも径方向外方に突出する端止めが設けられている出力側ギヤの、円周角は、乗物フラップの旋回軸を中心とする、乗物のボディに対する乗物フラップの開放角の合計よりも、例えば2°~10°だけ幾分大きくてもよく、その目的は、乗物フラップの最端位置(全閉/全開)においてセグメントで設計されたギヤがギヤユニットの最終ギヤ段の関連する駆動側ギヤから離脱するのを防止することが可能な、一定の安全係数を提供するためである。出力側のギヤ又はスパーギヤの、このようなセグメント状の設計は、ギヤユニットの必要とされる設置スペースをさらに小さくすることができる。
【0012】
有利には、取付ユニットは、アクチュエータのハウジングに力伝達方式で接続され得り、ハウジングは、具体的にはギヤユニットのみを実質的に囲繞する。取付ユニットは、ハウジングの一体部分として設計されるか、または、例えばねじ締めによりハウジングに接続されることが可能である。取付ユニットとハウジングとの間のこの接続はまた、例えば、少なくとも1つの旋回軸を有するジョイント装置を備え得り、当該ジョイント装置は、具体的には、自在継手という意味で、相互に直交して配列された2つの旋回軸を有し得る。このようにして、ハウジングは、取付ユニットに対して旋回可能な装置を有し得るものの、取付ユニットとハウジングとの間では回転力が伝達され得る。出力ユニットが回転式に固定された態様で乗物ボディに接続されるという上記例を参照すると、ハウジングは、よって、出力ユニットに対して、及び、その上の、取付ユニットと、取付ユニットに接続された乗物フラップと、に対して、回転駆動され得る。ハウジングが「ギヤユニットのみを実質的に囲繞する」ことができるという表現は、ここでは具体的には、電気モータが、少なくとも大部分、例えば90%を超えて、特に完全に、アクチュエータのハウジングの外側に配置され得ることを意味し得る。
【0013】
ハウジングは、2つの主要シェルを備え得り、これら2つの主要シェルの間には、ハウジングが組み立てられた状態において、封止部、具体的には封止コード、が配置され得る。例えば、ギヤユニットは、2つの主要ハウジングシェルのうちの一方内に組み付けられ得り、ハウジングは、その後、第2の主要ハウジングシェルを用いて閉じられ得る。封止部は、封止されたハウジングが特に水密性及び防塵性を有するように設計され得ることを意味する。
【0014】
有利には、ハウジングの内壁の一部は、ハウジング内に配置されたシャフトの軸端位置を提供するように構成され得る。
【0015】
この目的のために、ハウジングは、1つの外部側において補強リブを有し得り、補強リブは、ハウジングの外側から外方に突出しているとともに、シャフトの軸端位置から径方向に離れるように延在し、及び/又はシャフトの軸端位置の周囲にそれと同心状に延在する。よって、シャフトは、その対応する長手方向端にシャフトのための対抗する止めが設けられるような態様で、ハウジングによって直接支持され得り、ハウジングによって形成された軸端位置内におけるシャフトの回転は依然として可能である。
【0016】
本発明のさらなる一実施形態では、アクチュエータはさらに、出力ユニットと取付ユニットとの間の相対変位を防止するように構成された、制動ユニット、具体的には、切換可能制動ユニット、を備えてもよい。「防止する」という用語は、ここでは具体的には、出力ユニットと取付ユニットとの間の相対変位が、例えば、ユーザの手動力、乗物フラップに影響を及ぼす重力、及び/又は風荷重等といった、乗物フラップの適用領域では通例であって且つ乗物フラップに影響を及ぼす力から阻止され得る、ことを意味するものと理解されるべきである。制動ユニットは、出力ユニットと取付ユニットとの間の相対変位が可能な解除位置と、例えば電磁力及び/又はばね力を用いてこの相対変位が防止される係合位置と、の間で変位され得る。結果的に、制動ユニットは、乗物フラップが、乗物のボディに対する所定の位置、具体的には、乗物フラップの全閉相対位置、及び/又は乗物フラップの全開相対位置、から変位されることを防止し得る。
【0017】
さらに、アクチュエータは、クラッチであって、その離脱状態においては電気モータの出力シャフトから出力ユニットへの動力伝達を遮断し、その係合状態においては動力伝達をもたらすように構成されたクラッチを備え得る。本発明に係るアクチュエータにおいてカップリングを使用することにより、出力ユニットと取付ユニットとの間、ひいては乗物フラップと乗物のボディとの間の、相対変位は、電気モータのセルフロック力に打ち勝つ必要なく、解除され得る。このことは、クラッチの離脱状態において、乗物フラップが、乗物のボディに対し、具体的にはユーザによる簡単な方法で、変位され得ることを意味する。例えば、緊急事態において、乗物フラップは、乗物の乗員により容易に開放され得る。
【0018】
このようなクラッチは、例えば、径方向内側を向いている歯部を有する第1のギヤと、径方向外側を向いている歯部を有する第2のギヤとを当該クラッチが備えることができて、第1のギヤ及び/又は第2のギヤが、当該2つのギヤが互いに噛み合って当該クラッチの係合状態を形成する相対位置と、当該2つのギヤが互いに離脱されて当該クラッチの離脱状態を形成する相対位置との間で変位可能であるように、実現され得る。換言すると、ギヤユニットの所定のコンポーネントは、電気モータから出力ユニットへのギヤユニットのコンポーネントを経由した動力の流れに関して、2つのサブコンポーネントに分割され得り、それら2つのサブコンポーネントは、互いに相対的に、動力伝達(係合)状態と離脱(離脱)状態とに変位され得る。当然ながら、上記の2つのサブコンポーネント(第1のギヤ及び第2のギヤ)の間における実質的に径方向のフォームクロージャの代わりとして、第1のギヤ又は第2のギヤの回転軸に対する実質的に軸方向のフォームクロージャも提供され得る。
【0019】
具体的には、クラッチは、アクチュエータの電気モータとは別個に設計されたさらなる電気モータを使用して、その係合状態とその離脱状態との間で変位され得る。この点において追記すべきこととして、アクチュエータ駆動部を駆動するための電気モータは、具体的には、クラッチを駆動するための他方の電気モータとは別個に制御可能に設計され得り、その結果、クラッチの制御は、アクチュエータ駆動部を駆動するための電動モータの制御とは独立して作動され得る。クラッチをその係合状態とその離脱状態との間、及びその逆に変位させることができるようにするために、電気モータは、具体的には、例えばクラッチの一部分とねじ係合された出力シャフトを有し得る。
【0020】
さらに、クラッチは、当該クラッチをその離脱状態の方向に予圧するように構成された、ばね弾性要素、具体的には圧力ばね、を備え得る。追加的な電気モータ又はその出力シャフトは、例えば、切換要素に接続され得る。追加的な電気モータが起動されて、その出力シャフトが対応する回転方向に作動された場合、クラッチの力伝達要素のうちの少なくとも1つは、切換要素を介して、そこから係合状態の方向へ離間され得る。この変位は、弾性要素のばね力に抗して生じ得る。追加的な電気モータに電流が供給される限り、クラッチの係合状態は、ばね弾性要素のばね力に抗して維持され得る。しかしながら、例えば乗物の一般的なシステム故障に起因して他方の電気モータへ電力を供給できない場合、弾性要素のばね力は、当該クラッチがその離脱状態へ移行されるように、クラッチの少なくとも1つの力伝達要素に影響を与えることができる。このように、アクチュエータ又は乗物に故障が生じた場合における安全機構が設けられていれば、クラッチが離脱されているときに電気モータのセルフロック機構に抗してクラッチの少なくとも1つの力伝達要素を変位させる必要がないため、関連する乗物フラップは手動で簡単に開放され得る。
【0021】
あるいは、又は、さらに、切換要素自体が、ばね弾性特性を有し、且つクラッチをその係合状態の方向に予圧するように構成されていることも考えられる。このような切換要素は、追加的な電気モータがクラッチをその係合状態の方向に変位させるときに、クラッチの力伝達要素のうちの少なくとも1つに影響を及ぼし得る。例えば、追加的な電気モータ又はその出力シャフトは、切換要素に接続され得り、且つ、追加的な電気モータの回転方向に応じてバネ力が増減されるように切換要素に作用するように構成されており、そのバネ力は、クラッチの力伝達要素のうちの少なくとも1つに対して切換要素を介してクラッチの係合状態の方向に作用する。切換要素の効果により、クラッチの力伝達要素の現在の相対位置において係合が可能ではない場合に、次の可能な時点又は次の可能な相対位置でクラッチの係合状態が確実に達成され得る。径方向に互いにフォームクロージャを有する(第1のギヤの径方向内歯部が第2のギヤの径方向外歯部と噛み合う)、記載された2つのギヤの例を用いると、これら2つのギヤが、それらの軸方向に見たときに、第1のギヤの歯が第2のギヤの歯と重なるような互いの相対位置にあり、それにより、これら2つのギヤが、互いに向けて変位されたときに互いに噛み合うことができない代わりに互いに当接し合う、ということが生じ得る。そこで、アクチュエータの電気モータの影響により第1のギヤが第2のギヤに対して、第1のギヤ及び第2のギヤの歯が互いに噛み合うことが可能な程度、即ち第1のギヤの歯が第2のギヤの凹部によって軸方向に重ね合わされる程度に変位されるとすぐに、弾性切換要素は、第2のギヤが第1のギヤとフォームクロージャにされ得るように第2のギヤに作用することができる。
【0022】
この目的は、少なくとも1つの連結棒を備える少なくとも1つのジョイント装置であって、連結棒がその第1端において乗物ボディに旋回可能に接続されている、少なくとも1つのジョイント装置と、旋回要素であって、連結棒がその第2端において当該旋回要素に旋回可能に接続されている、旋回要素と、乗物ボディ又は乗物ドアに接続されているとともに、作動されたときに旋回要素を乗物ボディに対して水平に変位させるように構成された、アクチュエータと、備える、乗物ドアのための格納装置によって、さらに達成される。
【0023】
ジョイント装置は、互いに平行に配置されるとともに互いに横方向に離間された2つの連結棒を備え得り、これら連結棒のうちの一方は、アクチュエータにより回転可能に駆動されるように設けられている。
【0024】
この目的は、少なくとも1つの水平変位可能な乗物ドアと、格納装置と、を有するモータビークルによってさらに達成される。このような可動乗物ドアは、例えば、バス又は列車において使用され、設置スペースの最適な利用につながる。本発明は、他のドアの概念がここに包括的に提供されているため、自律ビークルにも特に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付の図面を参照して、一実施形態に基づき、本発明を以下においてより詳細に説明する。図面は以下の通りである。
【
図1】本発明に係るアクチュエータの斜視図を示す。
【
図2】
図1のアクチュエータの側面図を示し、上側の主要なハウジングシェルが除去されているので第1実施形態ではギヤユニットを見ることができる。
【
図3】
図2のアクチュエータの斜視図を示し、ハウジングが完全に非表示にされている。
【
図4】本発明に係るアクチュエータのギヤユニットの第2実施形態の詳細図を示している。
【
図6】
図4のギヤユニットの側断面図を示している。
【
図7】
図4のギヤユニットの、係合された状態における側断面図を示している。
【
図8】
図4のギヤユニットの、離脱された状態における側断面図を示している。
【
図9】
図4のギヤユニットの、離脱された状態における側面図を示しており、ハウジングの一部が非表示にされている。
【
図10】
図1の本発明に係るアクチュエータの側面図を示している。
【
図11】
図1の本発明に係るアクチュエータの側面図を示している。
【
図12】
図1の本発明に係るアクチュエータの側面図を示している。
【
図13】2つの乗物ドアを有する、本発明に係るモータビークルモデルの斜視図を示している。
【
図14】本発明に係る格納装置の斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1において、本発明に係るアクチュエータは、全体的に、参照数字10で指し示されている。アクチュエータ10は、電気モータ12を備え、電気モータ12は、例えば乗物ドア等といった、アクチュエータ10に接続された要素を乗物のボディに対して変位させるために、駆動力を提供するように構成されている。この場合、アクチュエータ10は、出力ユニット14を備え、出力ユニット14は、アクチュエータ10の力の流れに関して電気モータ12の反対側にあり、また、電気モータ12により駆動され得る。さらに、アクチュエータ10は、ハウジング16を備えており、ハウジング16は、ここでは、第1ハウジング主要シェル18及び第2ハウジング主要シェル20から形成されている。
【0027】
ハウジング16を力伝達方式で上位アセンブリに接続できるようにするために、アクチュエータ10は、取付ユニット22を備えており、取付ユニット22は、ここでは、ハウジング16の、又は図示の実施形態においては下側主要ハウジングシェル20の、一体型コンポーネントとして設計されている。このように、乗物フラップが、電気モータ12の影響を受けて乗物のボディに対して変位可能に出力ユニット14に接続されている場合には、ハウジング16は、トルクサポートを提供するように取付ユニット22を介して乗物のボディに接続され得る。変位される乗物フラップが取付ユニット22に接続されている場合には、電気モータ12が作動すると電気モータ12及びハウジング16が乗物フラップと共に乗物のボディに対して変位するように、トルクサポートは、乗物のボディへの出力ユニット14の接続によって提供され得る。
【0028】
電気モータ12に電流及び/又は制御信号を供給できるようにするために、電気モータ12は、接続ユニット24を有しており、接続ユニット24は、ケーブル(不図示)の対応するプラグに接続され得る。
【0029】
さらに、
図1からは、ハウジング16が、その外部側に補強リブ26を有し、補強リブ26が、ハウジング16又は主ハウジング回路18及び20を補強するように構成されていることが分かる。この場合、補強リブ26は、シャフト軸受28及び30のそれぞれに対して、径方向に、且つ同心状に延在しており、シャフト軸受28及び30のそれぞれは、それぞれのシャフト32又は34、或いはより正確には、それぞれのシャフト32又は34の軸長手方向端、を中に受けるように、また、その軸長手方向端に軸方向端止め及び/又は回転軸受を提供するように構成されている。
【0030】
ここに示された実施形態において、出力ユニット14は、その径方向内側に凹部36を有しており、凹部36は、例えば乗物ドア又は乗物のボディ等といった上位アセンブリの合致する突出部とスプラインシャフトのようにトルク伝達係合するように構成されている。
【0031】
図2は、ハウジング16の内部にギヤボックスユニット38が配置されていて、ギヤボックスユニット38が電気モータ12の出力シャフト40と駆動ユニット14との間に伝達比を提供するように構成されている、ことを示している。
図3を参照すると、電気モータ12の出力シャフト40が第1のウォーム42に接続され、又は、第1のウォーム42が電気モータ12の出力シャフト40上に一体的に設計され、第1のウォーム42が第1のウォームギヤ44と噛み合っており、第1のウォームギヤ44がシャフト32に接続されているか又はシャフト32と一体的に設計されていて、当該第1のウォームギヤ44の中心軸を中心にしてシャフト32と共に回転する、ことが分かる。第1のウォーム42及び第1のウォームギヤ44は共に、第1のギヤ段を形成している。シャフト32は、
図3における当該シャフト32の下側長手方向端において、第2のウォーム46を有し、続いて、第2のウォーム46は、第2のウォームギヤ48と噛み合っている。第2のウォーム46及び第2のウォームギヤ48は共に、第2のギヤ段を形成している。第2のウォームギヤ48は、シャフト34に接続されているか、又はシャフト34と一体的に設計されており、当該第2のウォームギヤ48の中心軸を中心にしてシャフト34と共に回転する。シャフト34の、第2のウォームギヤ48の反対側の長手方向端において、シャフト34は、第2のウォームギヤ48の回転がシャフト34を介して第1のスパーギヤ50に伝達され得るように、第1のスパーギヤ50に接続されている。第1のスパーギヤ50は、第2のスパーギヤ52と噛み合っているので、第1のスパーギヤ50及び第2のスパーギヤ53は共に、アクチュエータ10のギヤボックスユニット38の第3のギヤ段を形成している。
【0032】
図3に示されるように、電気モータ12の出力シャフト40の中心軸Xは、出力ユニット14が第2のスパーギヤ52と共に回転する中心となる回転軸Yに対して、実質的に平行でありながらも、離間して延在している。
【0033】
第2のスパーギヤ52は、ここでは、セグメントギヤとして設計されており、第2のスパーギヤ52に歯車が設けられている範囲の円周角は、少なくとも、乗物のボディに対する乗物フラップの全閉状態と全開状態との間の、乗物フラップの開放角と、同じ大きさである。第2のスパーギヤ52が第1のスパーギヤ50から離脱するように第2のスパーギヤ52が歯部セグメント領域を超えて回転することを防止するために、ここでは、第2のスパーギヤ52の歯部領域のそれぞれの端に、それぞれの端止め54が設けられており、第2のスパーギヤ52に対する第1のスパーギヤ50のさらなる回転がこの方向に生じ得ないようにそれぞれの端止め54が第1のスパーギヤ50を阻止し、その結果、第1のスパーギヤ50及び第2のスパーギヤ52が互いに離脱することを防止できるように、それぞれの端止め54は、第2のスパーギヤ52上において径方向外方に突出している。
【0034】
図3はまた、シャフト32の中心軸が、シャフト34の中心軸と実質的に直交しているとともにシャフト34の中心軸から逸脱していること、を示している。
【0035】
出力シャフト40には、電気モータ12の反対側の当該出力シャフト40の長手方向端に端止めが設けられており、当該端止めに対して、出力シャフト40の長手方向端が当接している。端止め56は、弾性要素を備えており、例えば、温度に起因する出力シャフト40の長さの変化を吸収できる。そして、端止め56は、ハウジング16の内側に当たって支持され得る。
【0036】
図4は、本発明に係るアクチュエータ10において使用可能なギヤユニットの第2実施形態を示している。ここでは、ギヤボックスユニット38に類似するコンポーネントは、数字が100だけ増加された類似の参照番号で指し示されている。ギヤボックスユニット38と同一のコンポーネントは、ギヤボックスユニット138の第2実施形態においても、同一の参照番号で指し示されている。よって、ギヤボックスユニット138は、電気モータ12から出力ユニット14への力の流れの方向に見たときに、ギヤボックスユニット38と比較して、第2のウォームホイール48まで同一に設計され得る。ここで、第1のスパーギヤ150は、ギヤボックスユニット138におけるシャフト134上に一体的に設計されている。さらに、第2のスパーギヤ152は、ギヤボックスユニット38の第2のスパーギヤ52のようにセグメントのみで設計されているのではなく、第2のスパーギヤ152はその外周縁全体に渡ってスパーギヤ歯を有している。
【0037】
加えて、第2のスパーギヤ152は、その径方向内側に歯部138(例えば、
図6及び
図8を参照)を有し、歯部138は、さらなるスパーギヤ160と、又は、さらなるスパーギヤ160の外周縁上に形成された歯部と、噛み合うように構成されている。ここで、さらなるスパーギヤ160は、出力ユニット14に接続されたシャフト162上に、具体的にはここでは、さらなるスパーギヤ160がシャフト162に対して又は第2のスパーギヤ152に対して軸Yに沿って変位され得るように、シャフト162のスプラインシャフト部分164上に、取り付けられており、さらなるスパーギヤ160は、シャフト162(ここではそのスプラインシャフト部分164)とのトルク伝達接続を常に維持している(
図6参照)。よって、第2のスパーギヤ152及びさらなるスパーギヤ160は、クラッチ166の力伝達コンポーネントを形成している。ここに示されたギヤボックスユニット138の第2実施形態において、さらなるスパーギヤ160は、
図6、
図8及び
図9に示された離脱状態と、
図7に示された係合状態との間で、さらなる電気モータ168を介して変位される。クラッチ166の離脱状態において、電気モータ12の駆動力は、第1のスパーギヤ150を介して第2のスパーギヤ152に伝達されるものの、第2のスパーギヤ152は、その後、シャフト162にトルクを伝達することができずに、シャフト162上で空転する。第2のスパーギヤ152は、回転軸Yの方向においてのみ、スナップリング170を用いてシャフト162に固定されている。しかしながら、クラッチ166の係合状態において、第2のスパーギヤ152のトルクは、第2のスパーギヤ152のさらなるスパーギヤとの係合を介してさらなるスパーギヤ160へ伝達可能であり、また、スプラインシャフト部分164を介して、シャフト162、ひいては出力ユニット14へ伝達可能である。
【0038】
図4~
図9では、さらなる電気モータ168がさらなるスパーギヤ160に直接的に作用しないものの、さらなる電気モータ168が切換要素172に作用し、切換要素172がさらなる電気モータ268との接続の反対側にある当該切換要素172の長手方向端において、ピン174を中心にして回転可能に取り付けられている、ことが分かる。この場合、切換要素172は、さらなる電気モータ168の対応する回転方向における対応する作動に応じて、さらなるスパーギヤ160が、第2のスパーギヤ152に向けて、ひいては第2のスパーギヤ152と係合する方向へ、予圧されるように、さらなるスパーギヤ160に作用することができる。第2のスパーギヤ152及びさらなるスパーギヤ160が、変位方向Yに沿って互いに係合(歯と歯が接触)できない互いの相対位置にある場合に、確実に、適切な相対位置の次の可能な時点で、第2のスパーギヤ152のそれぞれの歯部とさらなるスパーギヤ160のそれぞれの歯部との間で形状閉鎖が達成され得るように、切換要素172自体は弾性であるように設計され得る。
【0039】
さらなる電気モータ168が対応する回転方向に作動されたときにおける、第2のスパーギヤ152からのさらなるスパーギヤ160の離脱と、クラッチ166の離脱状態に合致する位置の方向における弾性要素172の関連付けられた変位と、を達成するために、第2のスパーギヤ152とさらなるスパーギヤ160との間に、弾性要素176(図示の実施形態では圧力ばね176)が配置されており、弾性要素176のばね力は、さらなるスパーギヤ160を、第2のスパーギヤ152との係合から外れさせる。弾性要素176は、例えば乗物のシステム故障に起因して、さらなる電気モータ168への電力供給がオフにされるか又は不能になった場合に、クラッチ166が自動的に離脱状態にされるように、具体的には切換要素172、ひいては、さらなる電気モータ168を付勢することができる。
【0040】
図10~
図12は、本発明に係るアクチュエータ10の異なる側面図を示しており、具体的には、電気モータ12の出力シャフト40の中心軸Xが、出力ユニット14の回転軸Yからいかに離間し、いかに実質的に平行であるのか、が分かる。
【0041】
図13は、水平面に沿って旋回される2つの乗物ドア182を有する乗物モデル192を示している。このタイプのスイング/スイベルドアは、例えば、バス又は列車、或いは自動運転ビークルにおいて使用され、設置スペースの最適な使用につながる。用途に応じて1つ又は2つの乗物ドア182が設けられ得る。
【0042】
図14において拡大された部分に示されている、乗物ドア182のための本発明に係る格納装置180は、ドアの下側に配置されたジョイント装置184を備え、ジョイント装置184は、少なくとも1つの連結棒186を有している。連結棒186の第1端は、乗物ボディ188を表す上位の乗物サブアセンブリに、直接的に又は間接的に、旋回式に接続されている。連結棒186の第2端は、乗物ドア182に、直接的に又は間接的に、旋回式に接続されており、乗物ドア182は、旋回要素190を表している。
【0043】
図示された例示的実施形態において、ジョイント装置184は、互いに平行に配置されるとともに互いに横方向に離間された2つの連結棒186を備え、四棒装置を形成しており、連結棒186のうちの一方は、上記のアクチュエータ10により回転駆動可能に設けられている。この目的のために、出力ユニット14は、例えば凹部36により、ジョイント装置184の合致する突出部とトルク伝達係合している。ハウジング16又は取付ユニット22は、上位アセンブリ上に、この場合では、乗物のボディ188上に、回転不能に配置されている。
【0044】
制御要素10が作動されると、出力ユニットの回転軸を中心とする当該出力ユニットの前述の回転変位が生じ、その結果、連結棒186が回転変位して、乗物ドア182が開方向又は閉方向に水平変位する。
【0045】
図13から分かるように、乗物ドア182は、第2の四棒装置194により、ドアの頂部上に取り付けられ得る。
【外国語明細書】