(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001505
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】シーリングファン
(51)【国際特許分類】
F04D 25/08 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
F04D25/08 304B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100191
(22)【出願日】2022-06-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 公開の事由1 掲載年月日 令和4年6月6日 掲載アドレス https://www.finekagu.com/products/clf-molis 公開の事由2 掲載年月日 令和4年6月6日 掲載アドレス https://www.amazon.co.jp/dp/B08X6YNLQP 公開の事由3 掲載年月日 令和4年6月6日 掲載アドレス https://www.amazon.co.jp/dp/B0B393F493 公開の事由4 掲載年月日 令和4年6月6日 掲載アドレス https://paypaymall.yahoo.co.jp/store/finekagu/item/molis/
(71)【出願人】
【識別番号】522091416
【氏名又は名称】国楽(香港)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100164013
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 隆一
(72)【発明者】
【氏名】趙 賽
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB02
3H130AB04
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC25
3H130BA13Z
3H130BA74Z
3H130BA95Z
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DE01X
3H130DJ06X
3H130EA03Z
3H130EB01Z
3H130ED03Z
(57)【要約】
【課題】天井の傾斜方向に対する位置決めする作業を不要として、傾斜天井に対して容易に取り付けることができるシーリングファンを提供する。
【解決手段】固定部10と、羽根部31が設けられている本体30と、固定部10に対して本体30を吊下げる吊下部40と、を備え、固定部10および吊下部30を連結する連結部60は、吊下部40に設けられ、側面視において上下方向に延びる係止溝43が形成されている被保持部41と、固定部10に設けられ、被保持部41を保持した状態で係止溝43に係止される係止部27が設けられている保持部21と、を有し、係止部27に対する係止溝43の相対的なスライド、係止部27に対する係止溝43の相対的な回動、および、これらが組み合わせられた係止溝43と係止部27の相対的な姿勢変化により、吊下部40は固定部10に対して係止溝43に沿った方向以外にも角度変更可能とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜天井に取り付け可能なシーリングファンであって、
天井に取り付けられる固定部と、
羽根部および前記羽根部を回転させる駆動部が設けられている本体と、
一端側が前記固定部に連結され、他端側が前記本体に連結されることにより、前記固定部に対して前記本体を吊下げる吊下部と、を備え、
前記固定部および前記吊下部は、前記吊下部の軸方向が前記固定部の中心方向に対して角度変更可能となるように、前記固定部および前記吊下部を連結する連結部を構成しており、
前記連結部は、
前記吊下部に設けられ、側面視において上下方向に延びる係止溝が形成されている被保持部と、
前記固定部に設けられ、前記被保持部を保持した状態で前記係止溝に係止される係止部が設けられている保持部と、を有し、
前記係止部に対する前記係止溝の相対的なスライド、前記係止部に対する前記係止溝の相対的な回動、および、これらが組み合わせられた前記係止溝と前記係止部の相対的な姿勢変化により、前記吊下部は前記固定部に対して前記係止溝に沿った方向以外にも角度変更可能であるとともに、前記羽根部の反トルクによって生じる前記固定部に対する前記吊下部の軸回り方向の回転が、前記係止溝と前記係止部によって制限されている、
シーリングファン。
【請求項2】
前記吊下部は、
側面形状が略半球状に形成され、表面に前記係止溝が形成されている前記被保持部と、
前記被保持部から延びており、前記固定部に対して前記本体を吊り下げる支持部と、を有し、
前記保持部は、
前記被保持部の側面形状に対応した内面形状を有する保持部主体と、
前記支持部を挿通させ、前記被保持部を挿通させないように前記保持部主体に形成された開口部と、
前記開口部の下端部の周縁部に形成された前記係止部と、を有し、
前記係止部の幅方向の寸法は、前記係止部が前記係止溝に係止された状態で、前記係止部と前記係止溝との間に間隙が形成されるように設定され、
前記係止部の幅方向に直交する高さ方向の寸法は、前記係止部の幅方向の寸法以下に設定されている、
請求項1に記載のシーリングファン。
【請求項3】
前記固定部は、
天井に取り付けるためのアタッチメントと、
前記アタッチメントに取り付けられるカバーと、
前記カバーとは別体に構成され、前記カバーに対して下端部の一部が露出するように取り付けられる前記保持部と、を有し、
前記保持部は、前記係止部とともに板金によって形成されている、
請求項2に記載のシーリングファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜天井に対して容易に取り付けることができるシーリングファンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、天井に取り付け可能なシーリングファン(天井扇)が知られている(例えば、特許文献1参照)。シーリングファンは、羽根部が設けられている本体部と、本体部を天井に吊り下げるための固定部とを有している。天井に取り付けられたシーリングファンの羽根部を回転させることにより、天井と床との間に空気の流れを生じさせる。この空気の流れによって部屋内の空気を攪拌・循環させることができ、冷暖房等で温度差が生じた室温を均一化させることができる。本体に発光部が設けられることにより、照明器具を兼ねたシーリングファンも知られている。
【0003】
ところで、シーリングファンを天井に取り付ける場合には、羽根部が水平に回転するように取り付けられる必要がある。一方、シーリングファンが取り付けられる天井は、水平な天井だけでなく、勾配がつけられた傾斜天井(勾配天井)である場合もある。このため、傾斜天井に取り付けた状態でも羽根部を水平に回転させることができるように、固定部に対する本体部の取り付け角度を変更できるものも知られている。
【0004】
固定部に対する本体部の取り付け角度を変更できる機構は、具体的には、天井側の固定部と、羽根部が設けられる本体部との間に支柱を介在させ、固定部に対する支柱の角度が変更可能となるように構成されている。これにより、固定部が傾斜天井に取り付けられた状態において、支柱および本体部は鉛直下方に向けて吊り下げられた状態となり、羽根部を水平に回転させることができる。
【0005】
ここで従来のシーリングファンでは、固定部に対する支柱の角度は、所定の一方向のみに角度変更できるように制限されている。角度変更できる方向を一方向のみに制限しているのは、羽根部を回転させることによって生じる反トルクにより、本体部が不用意に回転することを防止するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のシーリングファンでは、支柱の角度を変更できる方向が、一方向に制限されているため、シーリングファンの施工に手数が掛かるという問題があった。
【0008】
具体的には、傾斜天井にシーリングファンを取り付ける場合、固定部に対する支柱の角度変更ができる方向と、天井の傾斜方向とを合わせるように、固定部および支柱の取り付け方向を確認して位置決めする作業が必要であった。支柱の角度変更ができる方向と、天井の傾斜方向とが異なる状態で施工された場合、支柱および本体部が鉛直下方に吊り下げられた状態にならず、羽根部を水平に回転させることができなくなる。この状態でシーリングファンを作動させると、シーリングファンに振動が生じるなどの不具合が生じるおそれがある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、天井の傾斜方向に対して位置決めする作業を不要として、傾斜天井に対して容易に取り付けることができるシーリングファンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のシーリングファンは、傾斜天井に取り付け可能なシーリングファンであって、
天井に取り付けられる固定部と、
羽根部および前記羽根部を回転させる駆動部が設けられている本体と、
一端側が前記固定部に連結され、他端側が前記本体に連結されることにより、前記固定部に対して前記本体を吊下げる吊下部と、を備え、
前記固定部および前記吊下部は、前記吊下部の軸方向が前記固定部の中心方向に対して角度変更可能となるように、前記固定部および前記吊下部を連結する連結部を構成しており、
前記連結部は、
前記吊下部に設けられ、側面視において上下方向に延びる係止溝が形成されている被保持部と、
前記固定部に設けられ、前記被保持部を保持した状態で前記係止溝に係止される係止部が設けられている保持部と、を有し、
前記係止部に対する前記係止溝の相対的なスライド、前記係止部に対する前記係止溝の相対的な回動、および、これらが組み合わせられた前記係止溝と前記係止部の相対的な姿勢変化により、前記吊下部は前記固定部に対して前記係止溝に沿った方向以外にも角度変更可能であるとともに、前記羽根部の反トルクによって生じる前記固定部に対する前記吊下部の軸回り方向の回転が、前記係止溝と前記係止部によって制限されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明のシーリングファンによれば、天井の傾斜方向に対して位置決めする作業が不要となり、シーリングファンを傾斜天井に対して容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図2は、固定部および吊下部によって構成される連結部の正面断面図である。
【
図3】
図3aは、保持部の上面図であり、
図3bは、保持部の正面図である。
【
図4】
図4aは、吊下部の上面図であり、
図4bは、吊下部の正面図であり、
図4bは、吊下部の右側面図である。
【
図5】
図5は、固定部に対して吊下部が角度変更した状態を示す連結部の正面断面図である。
【
図6】
図6は、固定部に対して吊下部が角度変更した状態を示す連結部の右側面断面図である。
【
図7】
図7は、シーリングファンを傾斜天井に取り付けた状態を示す正面図である。
【
図8】
図8は、シーリングファンを傾斜天井に取り付けた状態を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態にかかるシーリングファンは、傾斜天井に取り付け可能なシーリングファンであって、
天井に取り付けられる固定部と、
羽根部および前記羽根部を回転させる駆動部が設けられている本体と、
一端側が前記固定部に連結され、他端側が前記本体に連結されることにより、前記固定部に対して前記本体を吊下げる吊下部と、を備え、
前記固定部および前記吊下部は、前記吊下部の軸方向が前記固定部の中心方向に対して角度変更可能となるように、前記固定部および前記吊下部を連結する連結部を構成しており、
前記連結部は、
前記吊下部に設けられ、側面視において上下方向に延びる係止溝が形成されている被保持部と、
前記固定部に設けられ、前記被保持部を保持した状態で前記係止溝に係止される係止部が設けられている保持部と、を有し、
前記係止部に対する前記係止溝の相対的なスライド、前記係止部に対する前記係止溝の相対的な回動、および、これらが組み合わせられた前記係止溝と前記係止部の相対的な姿勢変化により、前記吊下部は前記固定部に対して前記係止溝に沿った方向以外にも角度変更可能であるとともに、前記羽根部の反トルクによって生じる前記固定部に対する前記吊下部の軸回り方向の回転が、前記係止溝と前記係止部によって制限されている(第1の構成)。
【0014】
上記構成によれば、固定部と吊下部を連結する連結部は、被保持部に形成されている係止溝と平行な方向だけでなく、係止溝に非平行な方向にも角度変更可能となるように構成されている。
このため、天井の傾斜方向に対して固定部および吊下部の取り付け方向を確認して位置決めする作業が不要となり、シーリングファンを傾斜天井に対して容易に取り付けることができる。
また、固定部に対する吊下部の軸回り方向の回転が制限されているため、羽根部の回転によって発生する反トルクによる本体の不用意な回転を防止することができる。
【0015】
上記第1の構成において、
前記吊下部は、
側面形状が略半球状に形成され、表面に前記係止溝が形成されている前記被保持部と、
前記被保持部から延びており、前記固定部に対して前記本体を吊り下げる支持部と、を有し、
前記保持部は、
前記被保持部の側面形状に対応した内面形状を有する保持部主体と、
前記支持部を挿通させ、前記被保持部を挿通させないように前記保持部主体に形成された開口部と、
前記開口部の下端部の周縁部に形成された前記係止部と、を有し、
前記係止部の幅方向の寸法は、前記係止部が前記係止溝に係止された状態で、前記係止部と前記係止溝との間に間隙が形成されるように設定され、
前記係止部の幅方向に直交する高さ方向の寸法は、前記係止部の幅方向の寸法以下に設定されていてもよい(第2の構成)。
【0016】
上記構成によれば、係止部の幅方向の寸法は、係止部が係止溝に係止された状態で、係止部と係止溝との間に間隙が形成されるように設定され、係止部の幅方向に直交する高さ方向の寸法は、係止部の幅方向の寸法以下に設定されている。
このため、係止部に対する係止溝の相対的なスライド、係止部に対する係止溝の相対的な回動、および、これらが組み合わせられた係止溝と係止部の相対的な姿勢変化が許容され、吊下部は、被保持部に形成されている係止溝に平行な一方向だけでなく、係止溝に非平行な方向にも角度変更可能とすることができる。
また、係止部が開口部の下端部の周縁部に形成されているため、係止部に対する係止溝の相対的な回動範囲をより大きくすることができ、固定部に対する吊下部の角度変更範囲をより大きくすることができる。
【0017】
上記第2の構成において、
前記固定部は、
天井に取り付けるためのアタッチメントと、
前記アタッチメントに取り付けられるカバーと、
前記カバーとは別体に構成され、前記カバーに対して下端部の一部が露出するように取り付けられる前記保持部と、を有し、
前記保持部は、前記係止部とともに板金によって形成されていてもよい(第3の構成)。
【0018】
上記構成によれば、保持部は、カバーに対して、下端部の一部が露出するように取り付けられるため、係止部の位置がカバーよりも下方に位置することとなる。このため、係止部に対する係止溝の相対的な回動範囲をより大きくすることができ、保持部に対する吊下部の角度変更範囲をより大きくすることができる。
また、保持部は係止部とともに板金によって形成されているため、係止部を開口部の下端部の周縁部に容易に形成することができる。
【0019】
[実施形態1]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るシーリングファン100について詳しく説明する。以下の図では、矢印Fはシーリングファン100の前方向、矢印Bは後方向を示す。矢印Rはシーリングファン100の右方向、矢印Lは左方向を示す。矢印Uはシーリングファン100の上方向、矢印Dは下方向を示す。
【0020】
以下の図では同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
【0021】
[全体構成]
図1は、シーリングファン100の斜視図である。
図1に示すように、シーリングファン100は、固定部10、本体30、および吊下部40を有している。
【0022】
本体30には、本実施形態では4枚の羽根部31が設けられている。4枚の羽根部31は、本体30の内部に収容されている駆動部33によって回転駆動される。駆動部33は、天井Sに予め設置されている配線器具(例えば、引掛け埋込ローゼットあるいは引掛けシーリング)や、天井Sの所定位置まで配線された電線に対して電気的に接続される。駆動部33に供給される駆動電源は駆動制御部(図示せず)によって制御される。
【0023】
本体30の下部には、照明部35が設けられている。照明部35の下部は、照明カバー36で覆われており、照明カバー36の内側にはLED光源、点灯制御部等が配置されている。
【0024】
シーリングファン100の動作は、リモコン90によって遠隔操作することができる。リモコン90の送信部から送信された制御信号を本体30の受信部が受信することにより、駆動制御部や点灯制御部を制御して、駆動部33の運転・停止の切り替えや風量の調整、照明部35の点灯・消灯の切り替えや照度の調整等を行うことができる。
【0025】
固定部10は、シーリングファン100を天井Sに取り付けるための部材である。固定部10は、アタッチメント11、カバー13、および保持部21を有している。
【0026】
アタッチメント11は、天井Sに対して直接固定されたり、天井Sに設置されている配線器具に対して固定される部材である。
【0027】
カバー13は、アタッチメント11および天井Sに設置された配線器具等を覆う部材である。カバー13は、天井Sに取り付けられたアタッチメント11に対して固定される。
【0028】
保持部21は、カバー13の下部に取り付けられる部材である。保持部21は、吊下部40とともに連結部60を構成している。
【0029】
吊下部40は、固定部10と本体30の間に介在して、固定部10に対して本体30を吊下げる部材である。吊下部40の一端側(上端側)が固定部10の保持部21に連結されており、他端側(下端側)が本体30に連結されている。
【0030】
吊下部40は、被保持部41および支持部45を有している。被保持部41は、支持部45の上端部に取り付けられている。支持部45は、被保持部41から延びており、固定部10に対して本体30を吊り下げている。被保持部41は、固定部10に設けられている保持部21とともに連結部60を構成している。
【0031】
[連結部]
図2は、固定部10および吊下部40によって構成される連結部60の正面断面図である。連結部60は、固定部10および吊下部40によって構成されている。連結部60は、固定部10の中心方向D1に対して吊下部40の軸方向D2が様々な方向に角度変更可能となるように構成されている(
図5、
図6参照)。
【0032】
なお、固定部10の保持部21には係止部27が設けられており(
図2、
図3参照)、吊下部40の被保持部41には係止溝43(
図2、
図4参照)が設けられている。本実施形態の説明では、係止部27および係止溝43が右に見えるように配置された面をシーリングファン100および連結部60の正面Fとしている。
【0033】
図2では、固定部10が天井Sに取り付けられている状態を示している。アタッチメント11は、天井Sに対して固定されており、カバー13は、アタッチメント11に対して固定されている。シーリングファン100を施工する際には、アタッチメント11を天井Sに取り付けた後、アタッチメント11に対してカバー13を固定する。
【0034】
カバー13の下部には、保持部21を支持するための受け部15が設けられている。受け部15には、保持部21を下方に露出させるための貫通穴16が形成されている。
【0035】
保持部21は、カバー13とは別体に構成されている。保持部21は、保持部主体23、フランジ24、開口部25および係止部27を有している(
図3参照)。フランジ24は、保持部主体23の上縁部の周囲に設けられており、受け部15の上部(カバー13の内側)に支持されている。保持部主体23は、受け部15の貫通穴16から下方に向けて突出するように取り付けられている。フランジ24と受け部15がネジ等の締結部材や溶接手段等によって固定されることにより、カバー13と保持部21は固定されている。
【0036】
保持部21には吊下部40の被保持部41が保持される。被保持部41は、側面形状が略半球状に形成されている(
図4参照)。このため、保持部主体23の内面形状は、被保持部41の側面形状に対応した形状を有している。本実施形態では、保持部主体23の内面形状は、略球面状に形成されている。これにより被保持部41は、保持部主体23に対して円滑に姿勢変更することができ、保持部21と被保持部41を球面滑り軸受けのように連結させることができる。保持部主体23の下部には、開口部25が形成されている。開口部25は、吊下部40の支持部45を挿通させ、被保持部41を挿通させない大きさとなるように内径が設定されている。
【0037】
係止部27は、開口部25の下端部の周縁部に形成されている。係止部27は、保持部21に被保持部41を保持した状態で、被保持部41に形成された係止溝43に係止される。係止部27は、係止溝43に係止されることで被保持部41の軸D2回り方向の回転を制限するために設けられている。これにより、羽根部31の回転によって発生する反トルクによる本体30の不用意な回転を防止することができる。
【0038】
図3aは、保持部21の上面図であり、
図3bは、保持部21の正面図である。
図3に示すように、係止部27は、開口部25の下端部の周縁部に形成されている。保持部21は、カバー13とは別部材で構成されており、例えば金属素材を用いて形成されている。保持部21とカバー13を別部材にすることにより、保持部21とカバー13の素材の板厚を変えたり、保持部21とカバー13の素材を変えてカバー13のみ樹脂素材等にすることができる。また、保持部21の板厚を厚くすることにより、係止部27の強度を向上させることができる。なお、保持部21の素材や形成手段については限定されないが、例えば板金を用いたプレス加工手段により、係止部27も含めた一体形成とすることができる。
【0039】
係止部27の幅方向の寸法W1は、被保持部41の係止溝43の幅方向の寸法W2(
図4参照)よりも小さく設定されている。これにより、係止部27が係止溝43に係止された状態で、係止部27と係止溝43との間に間隙が形成され、係止溝43に対して係止部27が回動(傾斜)するような姿勢変化が可能となる(
図6参照)。また、係止部27の幅方向に直交する高さ方向の寸法H1は、係止部27の幅方向の寸法W1以下に設定されている。係止部27の高さを抑えることにより、係止部27の対角線方向の寸法を抑えることができ、係止溝43に対する係止部27の回動(傾斜)範囲が大きくすることができる。
【0040】
なお本実施形態では、係止部27の断面形状は、幅方向の寸法W1、高さ方向の寸法H1の略長方形であるが、係止部27の形状はこれに限定されない。例えば、係止部27の断面形状を正方形や円形にしてもよく、あるいは幅方向の中央部を山形や谷形に折り曲げた形状等にしてもよい。
【0041】
図4aは、吊下部40の上面図であり、
図4bは、吊下部40の正面図であり、
図4bは、吊下部40の右側面図である。
図4に示すように、被保持部41は、側面形状が略半球状に形成されている。被保持部41の右側面には、係止溝43が形成されている。係止溝43は、右側面から見て(
図4c)、上下方向に延びるように形成されている。本実施形態では、係止溝43は、吊下部40の軸方向D2と平行に延びるように形成されているが、これに限定されない。例えば、右側面視において、係止溝43が吊下部40の軸方向D2に対して傾斜していてもよい。
【0042】
係止溝43の幅方向の寸法W2は、係止部27の幅方向の寸法W1よりも大きく設定されている。係止溝43は、深さ方向の寸法B2が一定になるように形成されており、略半球状に形成された被保持部41の側面に沿って形成されている。なお、係止溝43の深さ方向の寸法B2は、係止部27が係止溝43に係止された状態で、係止部27の先端が干渉しないように設定されている。
【0043】
[連結部の姿勢変化]
次に連結部60の姿勢変化について説明する。
図5は、固定部10に対して吊下部40が角度変更した状態を示す連結部60の正面断面図である。
図6は、固定部10に対して吊下部40が角度変更した状態を示す連結部60の右側面断面図である。
図5は、連結部60を正面方向から見た状態を示しており、
図6は、連結部60を右側面方向から見た状態を示している。
【0044】
図5では、主に係止部27に対する係止溝43の相対的なスライドによって、固定部10に対して吊下部40が角度θ1を為すように角度変更した状態を示している。言い換えると
図5では、吊下部40は、係止溝43と平行な方向に角度変更している。
【0045】
図6では、主に係止部27に対する係止溝43の相対的な回動によって、固定部10に対して吊下部40が角度θ2を為すように角度変更した状態を示している。言い換えると
図6では、吊下部40は、係止溝43に非平行な方向に角度変更している。
【0046】
固定部10に対する吊下部40の角度変更が可能な方向は、
図5および
図6に示した方向に限られない。
図5では、主に係止部27に対する係止溝43の相対的なスライドによって角度変更し、
図6では、主に係止部27に対する係止溝43の相対的な回動によって角度変更したが、これらの動きが組み合わせられた係止溝43と係止部27の相対的な姿勢変化により、
図5および
図6以外の、他の様々な方向に向けて角度変更が可能である。言い換えると、固定部10に対して吊下部40は、固定部10の中心方向D1を中心とした円錐形状を描くように角度変更することが可能である。
【0047】
また、固定部10に対して吊下部40が様々な方向に角度変更した状態においても、係止部27と係止溝43は係止状態を保っている。このため、吊下部40は、軸D2回り方向の回転は制限されており、羽根部31の回転によって発生する反トルクによる本体30の不用意な回転を防止することができる。
【0048】
[シーリングファンの取り付け状態]
図7は、シーリングファン100を傾斜天井Sに取り付けた状態を示す正面図である。
図8は、シーリングファン100を傾斜天井Sに取り付けた状態を示す右側面図である。
図7および
図8は、同じ勾配で傾斜している天井Sに、シーリングファン100を異なる向きに取り付けた状態を示している。
図7および
図8では、それぞれ天井Sは図示左方が低く、図示右方が高くなるように傾斜している。
【0049】
図7では、天井Sの低いほうにシーリングファン100の左側面、天井Sの高いほうにシーリングファン100の右側面が位置するように取り付けられている。
図7では、
図5で示した状態を同様に、吊下部40は、係止溝43と平行な方向に角度変更している。これにより、本体30は鉛直下方に向けて吊り下げられた状態となり、羽根部31を水平に回転させることができる。
【0050】
一方、
図8では、
図7とはシーリングファン100の取り付け方向が90度異なっており、天井Sの低いほうにシーリングファン100の正面、天井Sの高いほうにシーリングファン100の背面が位置するように取り付けられている。
図8では、
図6で示した状態を同様に、吊下部40は、係止溝43に非平行な方向に角度変更している。この状態においても、
図7と同様に本体30は鉛直下方に向けて吊り下げられた状態となり、羽根部31を水平に回転させることができる。
【0051】
なお、図示は省略したが、傾斜天井Sの低いほうや高いほうに対してシーリングファン100のいずれの面を向けて取り付けても、連結部60が自由に角度変更することによって本体30は鉛直下方に向けて吊り下げられた状態となり、羽根部31を水平に回転させることができる。
【0052】
このため、天井Sの傾斜方向に対して固定部10および吊下部40の取り付け方向を確認して位置決めする作業が不要となり、シーリングファン100を傾斜天井Sに対して容易に取り付けることができる。また、固定部10に対する吊下部40の軸D2回り方向の回転が制限されているため、羽根部31の回転によって発生する反トルクによる本体30の不用意な回転を防止することができる。
【0053】
また、係止部27の幅方向の寸法W1は、係止部27が係止溝43に係止された状態で、係止部27と係止溝43との間に間隙が形成されるように設定され、係止部27の幅方向に直交する高さ方向の寸法H1は、係止部27の幅方向の寸法W1以下に設定されている。
このため、係止部27に対する係止溝43の相対的なスライド、係止部27に対する係止溝43の相対的な回動、および、これらが組み合わせられた係止溝43と係止部27の相対的な姿勢変化が許容され、吊下部40は、被保持部41に形成されている係止溝43に平行な一方向だけでなく、係止溝43に非平行な方向にも角度変更可能とすることができる。
【0054】
保持部21の係止部27は、開口部25の下端部の周縁部に形成されているため、係止部27に対する係止溝43の相対的な回動範囲をより大きくすることができる。仮に係止部27が開口部25の下端部よりも上方に形成されている場合には、支持部45と開口部25が干渉しやすくなったり、係止溝43の回転中心位置である係止部27が上方に位置することになるため、係止部27に対する係止溝43の相対的な回動範囲が制限されやすくなる。このため、固定部10に対する吊下部40の角度変更範囲をより大きくすることができる。
【0055】
保持部21は、カバー13に対して、下端部の一部が露出するように取り付けられるため、係止部27の位置がカバー13よりも下方に位置することとなる。このため、係止部27に対する係止溝43の相対的な回動範囲をより大きくすることができ、保持部21に対する吊下部40の角度変更範囲をより大きくすることができる。仮に保持部21がカバー13から露出していない場合には、支持部45とカバー13の貫通穴16が干渉しやすくなり、係止部27に対する係止溝43の相対的な回動範囲が制限されやすくなる。
【0056】
保持部21は係止部27とともに板金によって形成されているため、係止部27を開口部25の下端部の周縁部に容易に形成することができる。
【0057】
[変形例]
以上説明した本発明に係るシーリングファンは、上記説明した本実施形態に限定されない。例えば、本実施形態では、被保持部41の側面形状を略半球状とし、保持部主体23の内面形状も略球面状としたがこれに限定されない。保持部21および被保持部41は、互いに連結された状態で角度変更できるような形状であればよいため、略半球状や略球面状以外の形状であってもよい。
【0058】
また、シーリングファンを天井に取り付ける手段や、カバーあるいは本体の形状等は、本実施形態のものに限定されない。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
100 シーリングファン
10 固定部
21 保持部
27 係止部
30 本体
31 羽根部
33 駆動部
40 吊下部
41 被保持部
43 係止溝
60 連結部
D1 固定部の中心方向
D2 吊下部の軸方向
S 傾斜天井
【手続補正書】
【提出日】2023-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜天井に取り付け可能なシーリングファンであって、
天井に取り付けられる固定部と、
羽根部および前記羽根部を回転させる駆動部が設けられている本体と、
一端側が前記固定部に連結され、他端側が前記本体に連結されることにより、前記固定部に対して前記本体を吊下げる吊下部と、を備え、
前記固定部および前記吊下部は、前記吊下部の軸方向が前記固定部の中心方向に対して角度変更可能となるように、前記固定部および前記吊下部を連結する連結部を構成しており、
前記連結部は、
前記吊下部に設けられ、側面視において上下方向に延びる係止溝が形成されている被保持部と、
前記固定部に設けられ、前記被保持部を保持した状態で前記係止溝に係止される係止部が設けられている保持部と、を有し、
前記吊下部は、
側面形状が略半球状に形成され、表面に前記係止溝が形成されている前記被保持部と、
前記被保持部から延びており、前記固定部に対して前記本体を吊り下げる支持部と、を有し、
前記保持部は、
前記被保持部の側面形状に対応した内面形状を有する保持部主体と、
前記支持部を挿通させ、前記被保持部を挿通させないように前記保持部主体に形成された開口部と、
前記開口部の下端部の周縁部に形成された前記係止部と、を有し、
前記係止部の幅方向の寸法は、前記係止部が前記係止溝に係止された状態で、前記係止部と前記係止溝との間に間隙が形成されるように設定され、
前記係止部の幅方向に直交する高さ方向の寸法は、前記係止部の幅方向の寸法以下に設定されており、
前記係止部に対する前記係止溝の相対的なスライド、前記係止部に対する前記係止溝の相対的な回動、および、これらが組み合わせられた前記係止溝と前記係止部の相対的な姿勢変化により、前記吊下部は前記固定部に対して前記係止溝に沿った方向以外にも角度変更可能であるとともに、前記羽根部の反トルクによって生じる前記固定部に対する前記吊下部の軸回り方向の回転が、前記係止溝と前記係止部によって制限されている、
シーリングファン。
【請求項2】
前記固定部は、
天井に取り付けるためのアタッチメントと、
前記アタッチメントに取り付けられるカバーと、
前記カバーとは別体に構成され、前記カバーに対して下端部の一部が露出するように取り付けられる前記保持部と、を有し、
前記保持部は、前記係止部とともに板金によって形成されている、
請求項1に記載のシーリングファン。