(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150519
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】液体移動を制御し、生体試料を分析するためのデバイス、カートリッジ、およびセンサ
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20241016BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024110713
(22)【出願日】2024-07-10
(62)【分割の表示】P 2020568227の分割
【原出願日】2019-06-05
(31)【優先権主張番号】62/680,989
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/680,992
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/680,993
(32)【優先日】2018-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/756,007
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/756,011
(32)【優先日】2018-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】520474417
【氏名又は名称】クロノス ヘルス, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジャグティアニ, アシシュ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】血液または唾液試料などの生体試料を分析するためのカートリッジおよびカートリッジを動作させるためのデバイスの提供。
【解決手段】本発明の生体試料を分析するためのカートリッジは、生体試料を受容するように構成された試料受容ポートと、生体試料を分析するように構成されたセンサと、生体試料受容ポートおよびセンサと流体連通しているカートリッジ空間と、カートリッジ空間内で生体試料を輸送し、生体試料を1つ以上の試薬と組み合わせるように構成された複数のエレクトロウェッティング電極と、デバイス上のカートリッジインターフェースから電力を受容し、それと通信するように構成されたデバイスインターフェースとを備え、センサおよび複数のエレクトロウェッティング電極が、デバイスインターフェースと電気的に通信する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料を分析するためのカートリッジであって、
前記生体試料を受容するように構成された試料受容ポートと、
前記生体試料を分析するように構成されたセンサと、
前記生体試料受容ポートおよび前記センサと流体連通しているカートリッジ空間と、
前記カートリッジ空間内で前記生体試料を輸送し、前記生体試料を1つ以上の試薬と組み合わせるように構成された複数のエレクトロウェッティング電極と、
デバイス上のカートリッジインターフェースから電力を受信し、それと通信するように構成されたデバイスインターフェースと、を備え、前記センサおよび前記複数のエレクトロウェッティング電極が、前記デバイスインターフェースと電気的に通信する、カートリッジ。
【請求項2】
前記センサが、インピーダンスセンサである、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記センサが、タンパク質を検出するか、または前記タンパク質の量を測定するように構成されている、請求項1または2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記センサが、チャネルセンサであり、前記チャネルセンサが、
第1のチャネルセグメントと、
第2のチャネルセグメントと、
前記第1のチャネルセグメントおよび前記第2のチャネルセグメントを流体的に接続する細孔またはチャネルと、
電流を前記細孔またはチャネルに印加し、前記細孔またはチャネル内のインピーダンスを検出するように構成された電極対と、を備える、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記センサが、異なる細胞タイプを区別するように構成されている、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記センサが、赤血球、白血球、および血小板を区別するように構成されている、請求項5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記センサが、好酸球、好塩基球、好中球、単球、およびリンパ球を区別するように構成されている、請求項5または6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記電流が、異なる周波数の複数の交流成分を含む多重化された電流である、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記電流が、(1)直流成分または低周波交流、および(2)異なる周波数の複数の交流成分を含む、多重化された電流である、請求項8に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記電極対が、前記細孔またはチャネル内の実インピーダンス成分および虚インピーダンス成分を検出するように構成されている、請求項4~9のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記複数のエレクトロウェッティング電極が、約50ボルト未満の電圧を使用して前記生体試料を輸送するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のカートリッジ。
【請求項12】
生体試料を分析するためのシステムであって、
請求項1~11のいずれか一項に記載のカートリッジと、
前記カートリッジと接続するように構成されたカートリッジインターフェースを含むデバイスと、を備え、前記デバイスが、前記カートリッジに給電し、それを動作させるように構成されている、システム。
【請求項13】
前記デバイスが、1つ以上のプロセッサと、前記1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成された1つ以上のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、をさらに含み、前記1つ以上のプログラムが、(a)前記カートリッジ内で前記生体試料を輸送するために前記カートリッジ内の前記複数のエレクトロウェッティング電極を動作させることと、(b)前記センサを動作させることと、を行うための命令を含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
生体試料を分析する方法であって、
生体試料をカートリッジ内に置くことと、
複数のエレクトロウェッティング電極を使用して前記カートリッジ内に前記生体試料を輸送することと、
前記カートリッジ内の1つ以上のセンサを使用して前記生体試料を分析して、分析データを生成することと、
前記カートリッジから前記分析データを送信することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記生体試料を分析することが、前記生体試料中の細胞数を計数することを含み、前記分析データが、前記細胞数を示す、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記生体試料を分析することが、2つ以上の異なる細胞タイプを区別することを含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記生体試料を分析することが、前記生体試料に電流を印加することと、前記電流の多重化されたインピーダンスを記録することと、を含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記生体試料を分析することが、前記生体試料中の分析物またはタンパク質の濃度を決定することを含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記生体試料中の前記分析物または前記タンパク質の前記濃度を決定することが、
前記分析物または前記タンパク質を、前記センサのうちの1つの内部で電極に結合された親和性部分に結合させることと、
前記親和性部分に結合する前記分析物または前記タンパク質から結果的に生じるインピーダンス変化を測定することと、を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
システムであって、
(a)生体試料を分析するように構成されたカートリッジであって、前記カートリッジが、
(i)センサであって、
第1のチャネルセグメント、
第2のチャネルセグメント、
前記第1のチャネルセグメントおよび前記第2のチャネルセグメントを流体的に接続する細孔またはチャネル、
前記細孔またはチャネルに多重化された電流または電圧を印加するように構成された電極対、ならびに
前記細孔またはチャネル内で複数の周波数でのインピーダンスを検出するように構成された電極対を含み、前記多重化された電流を印加するように構成された前記電極対、および前記インピーダンスを検出するように構成された前記電極対が、同じ電極対または異なる電極対である、センサと、
(ii)前記センサに電気的に接続されたデバイスインターフェースと、を含む、カートリッジと、
(b)前記カートリッジと接続し、それを動作させるように構成されたデバイスであって、前記デバイスが、1つ以上のプロセッサ、および前記1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成された1つ以上のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み、前記1つ以上のプログラムが、前記検出されたインピーダンスに基づいて細胞数または分析物濃度を決定するための命令を含み、前記検出されたインピーダンスが、第1の周波数の第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の周波数の第2の多変量インピーダンスパターンを少なくとも含む、デバイスと、を備える、システム。
【請求項21】
前記多重化された電流を印加するように構成された前記電極対、および前記インピーダンスを検出するように構成された前記電極対が、同じ電極対である、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1の多変量インピーダンスパターンおよび前記第2の多変量インピーダンスパターンが、各々、前記インピーダンスの実数成分および虚数成分を含む、請求項20または21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1の多変量インピーダンスパターンおよび前記第2の多変量インピーダンスパターンが、各々、前記インピーダンスの大きさ成分および位相虚数成分を含む、請求項20~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1の多変量インピーダンスパターンおよび前記第2の多変量インピーダンスパターンが、インピーダンスピーク高さ、インピーダンスピーク幅、インピーダンスピーク面積、またはインピーダンスピーク半値幅ピーク高さのうちの1つ以上を含む、請求項20~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記センサが、異なる細胞タイプを区別するように構成されている、請求項20~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記センサが、赤血球、白血球、および血小板を区別するように構成されている、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記センサが、好酸球、好塩基球、好中球、単球、およびリンパ球を区別するように構成されている、請求項25または26に記載のシステム。
【請求項28】
生体試料中の細胞数を決定する方法であって、
チャネルまたは細孔を含むセンサを介して前記生体試料を輸送することと、
前記チャネルまたは細孔に多重化された電流または電圧を印加することと、
前記チャネルまたは細孔内の多重化されたインピーダンスを検出することであって、前記多重化されたインピーダンスが、第1の周波数での第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の周波数での第2の多変量インピーダンスパターンを少なくとも含む、検出することと、
前記検出された多重化されたインピーダンスに基づいて細胞数を決定することと、を含む、方法。
【請求項29】
前記第1の多変量インピーダンスパターンおよび前記第2の多変量インピーダンスパターンが、各々、実数成分および虚数成分を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の多変量インピーダンスパターンおよび前記第2の多変量インピーダンスパターンが、各々、大きさ成分および位相成分を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
2つ以上の異なる細胞タイプを区別することを含む、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
生体試料中の分析物を検出する方法であって、
チャネルまたは細孔を含むセンサを介して前記生体試料を輸送することであって、前記生体試料が、親和性部分に結合された分析物を含む、輸送することと、
前記チャネルまたは細孔に電流または電圧を印加することと、
前記チャネルまたは細孔内のインピーダンスを検出することと、
前記検出されたインピーダンスに基づいて前記分析物を検出することと、を含む、方法。
【請求項33】
前記分析物が、タンパク質または電解質である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記親和性部分が、多価親和性部分である、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記親和性部分が、アプタマー、抗体、または抗体断片を含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記検出されたインピーダンスに基づいて前記分析物を検出することが、前記分析物に結合された親和性部分と非結合親和性部分とを識別することを含む、請求項35~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
エレクトロウェッティング電極アレイであって、
絶縁層で被覆され、それによって離隔された複数の共平面エレクトロウェッティング電極を備え、
前記エレクトロウェッティングアレイが、疎水性液体接触表面を含み、前記エレクトロウェッティングアレイが、約50ボルト以下の電圧を使用して水性液体を輸送するように構成されている、エレクトロウェッティング電極アレイ。
【請求項38】
前記絶縁層が、前記疎水性液体接触表面を含む、請求項37に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【請求項39】
前記絶縁層が、ナノ構造化表面を含む、請求項38に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【請求項40】
前記絶縁層が、前記疎水性液体接触表面を含む疎水性層で被覆されている、請求項37に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【請求項41】
前記複数のエレクトロウェッティング電極が、約0.5ボルト~約50ボルトの電圧を使用して前記水性液体を輸送するように構成されている、請求項37~40のいずれか一項に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【請求項42】
前記絶縁層が、約3.9以上の誘電率を有する、請求項37~41のいずれか一項に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【請求項43】
前記絶縁層が、約1nm~約5μmの厚さを有する、請求項37~42のいずれか一項に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【請求項44】
前記エレクトロウェッティング電極が、前記疎水性液体接触表面から約1nm~約25μmだけ分離されている、請求項37~43のいずれか一項に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【請求項45】
生体試料を分析するためのカートリッジであって、
前記生体試料を受容するように構成された試料受容ポートと、
前記生体試料を分析するように構成されたセンサと、
前記生体試料受容ポートおよび前記センサと流体連通しているカートリッジ空間であって、前記カートリッジ空間が、請求項37~44のいずれか一項に記載の前記エレクトロウェッティング電極アレイを含む、カートリッジ空間と、
デバイス上のカートリッジインターフェースから電力を受信し、それと通信するように構成されたデバイスインターフェースと、を備え、前記センサおよび前記複数のエレクトロウェッティング電極が、前記デバイスインターフェースと電気的に通信する、カートリッジ。
【請求項46】
生体試料を分析するためのシステムであって、
請求項45に記載のカートリッジと、
前記カートリッジと接続するように構成されたカートリッジインターフェースを含むデバイスと、を備え、前記デバイスが、前記エレクトロウェッティング電極アレイを動作させるように構成されている、システム。
【請求項47】
液体を輸送する方法であって、
不活性化された第1のエレクトロウェッティング電極の上の第1の疎水性液体接触表面上に水性液体を位置付けることと、
第2のエレクトロウェッティング電極を、前記第2のエレクトロウェッティング電極に約50ボルト以下の電圧を印加することによって活性化し、それによって、前記第1の疎水性液体接触表面から前記第2のエレクトロウェッティング電極の上の第2の疎水性液体接触表面に前記水性液体を輸送することと、を含み、
前記第1のエレクトロウェッティング電極および前記第2のエレクトロウェッティング電極が、絶縁層で被覆され、それによって分離されている、方法。
【請求項48】
金属酸化物半導体コンデンサ(MOSCap)センサであって、
第1の電極および第1の半導体層を含む第1のセンサセグメントと、
第2の電極および第2の半導体層を含む第2のセンサセグメントと、
液体流を可能にするように構成された、前記第1のセンサセグメントと前記第2のセンサセグメントとの間の空間と、を備え、
前記第1のセンサセグメント、第2のセンサセグメント、および前記空間が、積層構成である、金属酸化物半導体コンデンサセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年6月5日出願の米国特許仮出願第62/680,989号、2018年6月5日出願の米国特許仮出願第62/680,992号、2018年6月5日出願の米国特許仮出願第62/680,993号、2018年11月5日出願の米国特許仮出願第62/756,007号、および2018年11月5日出願の米国特許仮出願第62/756,011号の優先権利益を主張し、それらの各々の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明のいくつかの態様は、生体試料を分析するためのカートリッジ、システム、および方法に関する。本発明のいくつかの態様は、生体試料中の細胞または分析物を分析するためのセンサ、ならびにそのようなセンサを含むカートリッジおよびシステムに関する。本発明は、センサ、カートリッジ、およびシステムを使用する方法、ならびに生体試料を分析する方法にさらに関する。低電圧エレクトロウェッティング電極を使用してエレクトロウェッティングによって液体移動を制御するためのシステム、および低電圧エレクトロウェッティング電極を使用して液体移動を制御するための方法もまた、提供される。
【背景技術】
【0003】
正確な医療診断のための血液分析は、典型的には、複雑化されたデバイスを使用して、専門化された訓練を受けた技術者によって臨床検査室で実施される。血液試料は、血球数を決定するか、またはタンパク質、電解質、もしくは酵素濃度を定量化するために、センサまたは細胞分取器によって分析される前に、試料を試薬と混合して慎重に処理される必要がある。この専門化された訓練および機器は、患者に多額の費用、および重要な検査結果に対する長い待ち時間を結果的にもたらす。グルコース計などの在宅または臨床現場血液分析システムは、迅速かつ簡便な診断結果を提供するが、多くの場合、実施され得る試験の正確さまたは範囲が制限される。
【0004】
エレクトロウェッティング電極を使用するデジタルマイクロ流体力学は、液体に電界を印加することによって疎水性を調節することによって液滴の作動を探究する発展中の分野である。しかしながら、デジタルマイクロ流体は、液体を操作するためにエレクトロウェッティング電極に印加される比較的高い電圧に起因して制限される。
【0005】
特別な訓練を必要としない迅速、正確、かつ簡便な血液分析システムを提供するデバイスおよびシステムの必要性が引き続き存在する。
【0006】
本明細書に参照される全ての刊行物、特許、および特許出願の開示は、各々、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる任意の参照が本開示と矛盾する限り、本開示が優先することになる。
【発明の概要】
【0007】
生体試料を分析するためのカートリッジが本明細書に説明され、カートリッジは、生体試料を受容するように構成された試料受容ポートと、生体試料を分析するように構成されたセンサと、生体試料受容ポートおよびセンサと流体連通しているカートリッジ空間と、カートリッジ空間内で生体試料を輸送し、生体試料を1つ以上の試薬と組み合わせるように構成された複数のエレクトロウェッティング電極と、デバイス上のカートリッジインターフェースから電力を受容し、それと通信するように構成されたデバイスインターフェースと、を備え、センサおよび複数のエレクトロウェッティング電極が、デバイスインターフェースと電気的に通信する。
【0008】
カートリッジのいくつかの実施形態では、カートリッジ空間は、1つ以上の試薬リザーバに流体的に接続されている。いくつかの実施形態では、1つ以上の試薬リザーバは、試薬を含む。カートリッジのいくつかの実施形態では、カートリッジ空間は、試薬混合領域を含む。
【0009】
カートリッジのいくつかの実施形態では、カートリッジは、単回使用カートリッジである。
【0010】
カートリッジのいくつかの実施形態では、カートリッジは、センサによって分析された後に、生体試料を受容するように構成された廃棄物リザーバを含む。
【0011】
カートリッジのいくつかの実施形態では、生体試料は、毛細管作用を通じて試料受容ポートに入る。
【0012】
カートリッジのいくつかの実施形態では、複数のエレクトロウェッティング電極は、複数の共平面電極を含む。いくつかの実施形態では、複数のエレクトロウェッティング電極は、共平面電極と反対側の表面上に接地電極をさらに含む。いくつかの実施形態では、接地電極は、エレクトロウェッティング電極のうちの2つ以上に共通である。いくつかの実施形態では、エレクトロウェッティング電極のうちの少なくとも1つは、個々の接地電極と対になる。
【0013】
カートリッジのいくつかの実施形態では、エレクトロウェッティング電極は、絶縁層で被覆されている。いくつかの実施形態では、絶縁層は、約3.9以上の誘電率を有する。いくつかの実施形態では、絶縁層は、酸化ハフニウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、またはチタン酸ストロンチウム、シリカ、または窒化ケイ素を含む。いくつかの実施形態では、絶縁層は、原子層堆積、化学蒸着、反応性イオンビーム堆積、スパッタ堆積、蒸発、スプレー堆積、スピンコーティング、またはソルゲル形成を使用して電極上に被覆されている。いくつかの実施形態では、絶縁層は、約1nm~約5μmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、絶縁層は、流体接触表面である。いくつかの実施形態では、絶縁層は、ナノ構造化表面を含む。
【0014】
カートリッジのいくつかの実施形態では、エレクトロウェッティング電極は、疎水性層で被覆されている。いくつかの実施形態では、疎水性層は、流体接触層である。いくつかの実施形態では、疎水性層は、ナノ構造化表面を含む。いくつかの実施形態では、疎水性層は、フルオロポリマー、ポリジメチルシロキサン、パリレン、オクタデカンヒドロキシム酸、ステアリン酸、オクタデカンホスホン酸、l6-ヒドロリヘキサデカンヒドロラミン酸、またはオクタデカンチオールを含む。いくつかの実施形態では、疎水性層は、絶縁層の上に被覆されている。
【0015】
カートリッジのいくつかの実施形態では、エレクトロウェッティング電極は、金、銀、塩化銀、白金、インジウムスズ酸化物、または導電性炭素を含む。
【0016】
カートリッジのいくつかの実施形態では、エレクトロウェッティング電極は、流体接触表面から約1nm~約25μmだけ分離されている。
【0017】
カートリッジのいくつかの実施形態では、複数のエレクトロウェッティング電極は、約50ボルト未満の電圧を使用して生体試料を輸送するように構成されている。
【0018】
カートリッジのいくつかの実施形態では、複数のエレクトロウェッティング電極は、約0.5V~約50Vの電圧を使用して生体試料を輸送するように構成されている。
【0019】
カートリッジのいくつかの実施形態では、センサは、インピーダンスセンサである。いくつかの実施形態では、センサは、タンパク質を検出するか、またはタンパク質の量を測定するように構成されている。いくつかの実施形態では、センサは、親和性部分で官能化された第1の検知電極と、第1の検知電極と対になった第2の検知電極と、を含み、センサは、親和性部分への分析物またはタンパク質の結合時のインピーダンスの変化を検出するように構成されている。いくつかの実施形態では、親和性部分は、抗体、抗体断片、またはアプタマーである。いくつかの実施形態では、第1の検知電極は、エレクトロウェッティング電極である。いくつかの実施形態では、センサは、第1のエレクトロウェッティング電極および第2のエレクトロウェッティング電極をさらに含み、第1のエレクトロウェッティング電極および第2のエレクトロウェッティング電極は、第1の検知電極または第2の検知電極の反対側にある。いくつかの実施形態では、第1の検知電極は、エレクトロウェッティング電極である。いくつかの実施形態では、複数のエレクトロウェッティング電極は、第1の検知電極と第2の検知電極との間に生体試料の少なくとも一部分を静的に位置付けるように構成されている。いくつかの実施形態では、第1のエレクトロウェッティング電極、第2のエレクトロウェッティング電極、および第1の検知電極は、第1のエレクトロウェッティング電極、第2のエレクトロウェッティング電極、または第1の検知電極のうちの1つを選択的に活性化するかまたはいずれも活性化しないように構成された電圧切替回路に電気的に接続されている。いくつかの実施形態では、電圧切替回路は、インピーダンス検知回路またはエレクトロウェッティング電極供給回路を二者択一的に選択するように構成されたスイッチに電気的に接続されている。いくつかの実施形態では、インピーダンスセンサは、pHまたはイオン濃度に基づいてインピーダンスを変調するように構成されたpH感受性層またはイオン感受性層を備える。いくつかの実施形態では、インピーダンスセンサは、金属酸化物半導体コンデンサ(MOSCap)センサを含む。いくつかの実施形態では、MOSCapセンサは、第1の検知電極および第2の検知電極に隣接する。
【0020】
カートリッジのいくつかの実施形態では、カートリッジは、1つ以上の光学窓をさらに備える。
【0021】
カートリッジのいくつかの実施形態では、センサは、チャネルセンサであり、チャネルセンサは、第1のチャネルセグメントと、第2のチャネルセグメントと、第1のチャネルセグメントおよび第2のチャネルセグメントを流体的に接続する細孔またはチャネルと、電流を細孔またはチャネルに印加し、細孔またはチャネル内のインピーダンスを検出するように構成された電極対と、を含む。いくつかの実施形態では、電極対は、チャネルセンサを通って流れる液体に直接接触するように構成されている。いくつかの実施形態では、チャネルセンサは、生体試料中の細胞数を計数するように構成されたフローサイトメータである。いくつかの実施形態では、センサは、異なる細胞タイプを区別するように構成されている。いくつかの実施形態では、センサは、赤血球、白血球、および血小板を区別するように構成されている。いくつかの実施形態では、センサは、赤血球数、白血球数、または血小板数を計数するように構成されている。いくつかの実施形態では、センサは、好酸球、好塩基球、好中球、単球、およびリンパ球を区別するように構成されている。いくつかの実施形態では、センサは、好酸球数、好塩基球数、好中球数、単球数、またはリンパ球数を計数するように構成されている。いくつかの実施形態では、細孔またはチャネルは、マイクロ細孔またはマイクロチャネルである。いくつかの実施形態では、電流は、異なる周波数の複数の交流成分を含む多重化された電流である。いくつかの実施形態では、電流は、(1)直流成分または低周波交流、および(2)異なる周波数の複数の交流成分を含む、多重化された電流である。いくつかの実施形態では、複数の交流成分は、少なくとも3つの交流成分を含む。いくつかの実施形態では、複数の交流成分は、約10kHz~約100kHzの第1の交流、約100kHz~約700kHzの第2の交流、約700kHz~約5MHzの第3の交流、および約5MHzを超える第4の交流を含む。いくつかの実施形態では、複数の交流は、少なくとも5つの異なる交流成分を含む。いくつかの実施形態では、複数の交流成分は、約50kHz~約250kHzの第1の交流、約250kHz~約700kHzの第2の交流、約700kHz~約5MHzの第3の交流、約5MHz~約20MHzの第4の交流、および約20MHz~約150MHzの第5の交流を含む。いくつかの実施形態では、交流は、約100kHz以下、または約50kHz以下の追加の交流をさらに含む。いくつかの実施形態では、電極対は、約100kHz以上のサンプリングレートでインピーダンスを検出するように構成されている。いくつかの実施形態では、電極対は、細孔またはチャネル内の実インピーダンス成分および虚インピーダンス成分を検出するように構成されている。いくつかの実施形態では、電極対は、細孔またはチャネル内の大きさインピーダンス成分および位相インピーダンス成分を検出するように構成されている。いくつかの実施形態では、チャネルセンサは、分析物濃度を検出するように構成されている。いくつかの実施形態では、分析物は、タンパク質である。いくつかの実施形態では、カートリッジは、親和性部分を含む試薬を含み、カートリッジは、親和性部分を含む試薬を生体試料またはそれに由来する小口試料と混合し、チャネルセンサに生体試料または小口試料を輸送するように構成されている。いくつかの実施形態では、細孔またはチャネルは、ナノ細孔またはナノチャネルである。
【0022】
カートリッジのいくつかの実施形態では、カートリッジは、複数のセンサを備える。
【0023】
カートリッジのいくつかの実施形態では、生体試料は、血液試料である。
【0024】
生体試料を分析するためのシステムもまた、本明細書に提供され、システムは、上記カートリッジのいずれか1つと、カートリッジと接続するように構成されたカートリッジインターフェースを含むデバイスと、を備え、デバイスが、カートリッジに給電し、それを動作させるように構成されている。いくつかの実施形態では、デバイスは、2つ以上の異なるタイプのカートリッジに給電し、それらを動作させるように構成されている。いくつかの実施形態では、デバイスは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成された1つ以上のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、をさらに含み、1つ以上のプログラムが、(a)カートリッジ内で生体試料を輸送するためにカートリッジ内の複数のエレクトロウェッティング電極を動作させることと、(b)センサを動作させることと、を行うための命令を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のプログラムは、センサを介して生体試料を連続的に輸送するためにカートリッジ内の複数のエレクトロウェッティング電極を動作させるための命令を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のプログラムは、センサ内で生体試料を静的に位置付けるためにカートリッジ内の複数のエレクトロウェッティング電極を動作させるための命令を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のプログラムは、1つ以上の周波数で検出されたインピーダンス信号の多変数パターンに基づいて細胞数または分析物濃度を決定するための命令を含む。いくつかの実施形態では、多変量パターンは、インピーダンスピーク高さ、インピーダンスピーク幅、インピーダンスピーク面積、またはインピーダンスピーク半値幅ピーク高さのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、多変量パターンは、実インピーダンス成分および虚インピーダンス成分を含む。いくつかの実施形態では、多変量パターンは、インピーダンス成分の大きさおよびインピーダンス成分の位相を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のプログラムは、センサを較正するための命令を含む。いくつかの実施形態では、デバイスは、ハンドヘルドデバイスである。
【0025】
生体試料を分析する方法が本明細書にさらに提供され、方法は、生体試料をカートリッジ内に置くことと、複数のエレクトロウェッティング電極を使用してカートリッジ内で生体試料を輸送することと、カートリッジ内の1つ以上のセンサを使用して生体試料を分析して、分析データを生成することと、カートリッジから分析データを送信することと、を含む。いくつかの実施形態では、方法は、カートリッジ内で生体試料を1つ以上の試薬と混合することを含む。いくつかの実施形態では、生体試料は、毛細管作用を使用してカートリッジによって受容される。いくつかの実施形態では、方法は、生体試料を分析した後に、生体試料をカートリッジ内の廃棄物リザーバ内に輸送することをさらに含む。いくつかの実施形態では、カートリッジは、単回使用後に廃棄される。いくつかの実施形態では、生体試料を分析することは、生体試料中の細胞数を計数することを含み、分析データは、細胞数に関する。いくつかの実施形態では、生体試料を分析することは、2つ以上の異なる細胞タイプを区別することを含む。いくつかの実施形態では、生体試料を分析することは、赤血球、白血球、および血小板を区別することを含む。いくつかの実施形態では、生体試料を分析することは、白血球を計数すること、赤血球を計数すること、または血小板を計数することを含む。いくつかの実施形態では、生体試料を分析することは、好酸球、好塩基球、好中球、単球、およびリンパ球を区別することを含む。いくつかの実施形態では、生体試料を分析することは、好酸球数、好塩基球数、好中球数、単球数、またはリンパ球数を計数することを含む。いくつかの実施形態では、生体試料を分析することが、生体試料に電流を印加することと、電流の多重化されたインピーダンスを記録することと、を含む。いくつかの実施形態では、電流は、異なる周波数の複数の交流成分を含む混合された電流である。いくつかの実施形態では、電流は、直流成分、および異なる周波数の複数の交流成分を含む混合された電流である。いくつかの実施形態では、電流は、異なる周波数の少なくとも5つの交流成分を含む混合された電流である。いくつかの実施形態では、方法は、センサのうちの少なくとも1つを自己較正して、異なる細胞サイズ、材料特性、および/または濃度を検出することを含む。いくつかの実施形態では、生体試料を分析することは、分析中に、生体試料をセンサのうちの少なくとも1つを通して連続的に流すことを含む。
【0026】
方法のいくつかの実施形態では、生体試料は、約50V以下の電圧を使用してカートリッジ内に輸送される。いくつかの実施形態では、生体試料は、約0.5V~約50Vの電圧を使用してカートリッジ内に輸送される。
【0027】
方法のいくつかの実施形態では、生体試料を分析することが、生体試料中の分析物またはタンパク質の濃度を決定することを含む。いくつかの実施形態では、生体試料を分析することは、センサのうちの少なくとも1つの上に生体試料を静的に位置付けることを含む。いくつかの実施形態では、生体試料は、エレクトロウェッティング電極を使用してセンサ上に静的に位置付けられる。
【0028】
方法のいくつかの実施形態では、生体試料中の分析物またはタンパク質の濃度を決定することは、センサのうちの1つの内部で電極に結合された親和性部分に分析物またはタンパク質を結合することと、親和性部分に結合する分析物またはタンパク質から結果的に生じるインピーダンス変化を測定することと、を含む。いくつかの実施形態では、親和性部分は、抗体、抗体断片、またはアプタマーである。
【0029】
センサもまた、本明細書に説明され、センサは、第1のチャネルセグメントと、第2のチャネルセグメントと、第1のチャネルセグメントおよび第2のチャネルセグメントを流体的に接続する細孔またはチャネルと、多重化された電流または電圧を細孔またはチャネルに印加するように構成された電極対と、細孔またはチャネル内で複数の周波数でインピーダンスを検出するように構成された電極対と、を備え、検出されたインピーダンスが、第1の周波数での第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の周波数での第2の多変量インピーダンスパターンを少なくとも含み、多重化された電流を印加するように構成された電極対、およびインピーダンスを検出するように構成された電極対が、同じ電極対または異なる電極対である。いくつかの実施形態では、第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の多変量インピーダンスパターンは、各々、実数成分および虚数成分を含む。いくつかの実施形態では、第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の多変量インピーダンスパターンは、各々、インピーダンス成分の大きさおよび位相成分を含む。
【0030】
カートリッジもまた、本明細書に説明され、カートリッジは、上記のセンサを備え、カートリッジは、生体試料を分析するように構成されている。いくつかの実施形態では、カートリッジは、カートリッジ内で1つ以上の液体を輸送するように構成された複数のエレクトロウェッティング電極を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、生体試料またはそれに由来する小口試料と試薬を混合し、センサに生体試料または小口試料を輸送するように構成されている。いくつかの実施形態では、カートリッジは、センサに電気的に接続されたデバイスインターフェースを備える。
【0031】
上記のカートリッジと接続し、それを動作させるように構成されたデバイスが本明細書にさらに提供される。いくつかの実施形態では、デバイスは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成された1つ以上のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を備え、1つ以上のプログラムは、検出されたインピーダンスに基づいて細胞数または分析物濃度を決定するための命令を含む。
【0032】
システムもまた、本明細書に説明され、システムは、(a)生体試料を分析するように構成されたカートリッジであって、カートリッジが、(i)センサであって、第1のチャネルセグメント、第2のチャネルセグメント、第1のチャネルセグメントおよび第2のチャネルセグメントを流体的に接続する細孔またはチャネル、細孔またはチャネルに多重化された電流または電圧を印加するように構成された電極対、ならびに細孔またはチャネル内で複数の周波数でのインピーダンスを検出するように構成された電極対を含み、多重化された電流を印加するように構成された電極対、およびインピーダンスを検出するように構成された電極対が、同じ電極対または異なる電極対である、センサと、(ii)センサに電気的に接続されたデバイスインターフェースと、を含む、カートリッジと、(b)カートリッジと接続し、それを動作させるように構成されたデバイスであって、デバイスが、1つ以上のプロセッサ、および1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成された1つ以上のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み、1つ以上のプログラムが、複数の周波数での検出されたインピーダンスに基づいて細胞数または分析物濃度を決定するための命令を含む、デバイスと、を備える。いくつかの実施形態では、検出されたインピーダンスは、実数成分および虚数成分を含む。いくつかの実施形態では、検出されたインピーダンスは、大きさ成分および位相成分を含む。
【0033】
システムもまた、本明細書に説明され、システムは、(a)生体試料を分析するように構成されたカートリッジであって、カートリッジが、(i)センサであって、第1のチャネルセグメント、第2のチャネルセグメント、第1のチャネルセグメントおよび第2のチャネルセグメントを流体的に接続する細孔またはチャネル、細孔またはチャネルに多重化された電流または電圧を印加するように構成された電極対、ならびに細孔またはチャネル内で複数の周波数でのインピーダンスを検出するように構成された電極対を含み、多重化された電流を印加するように構成された電極対、およびインピーダンスを検出するように構成された電極対が、同じ電極対または異なる電極対である、センサと、(ii)センサに電気的に接続されたデバイスインターフェースと、を含む、カートリッジと、(b)カートリッジと接続し、それを動作させるように構成されたデバイスであって、デバイスが、1つ以上のプロセッサ、および1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成された1つ以上のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み、1つ以上のプログラムが、検出されたインピーダンスに基づいて細胞数または分析物濃度を決定するための命令を含み、検出されたインピーダンスが、第1の周波数の第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の周波数の第2の多変量インピーダンスパターンを少なくとも含む、デバイスと、を備える。いくつかの実施形態では、第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の多変量インピーダンスパターンは、各々、実数成分および虚数成分を含む。いくつかの実施形態では、第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の多変量インピーダンスパターンは、各々、大きさインピーダンス成分および位相成分を含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、カートリッジは、カートリッジ内で1つ以上の液体を輸送するように構成された複数のエレクトロウェッティング電極を備える。いくつかの実施形態では、カートリッジは、生体試料またはそれに由来する小口試料と試薬を混合し、センサに生体試料または小口試料を輸送するように構成されている。いくつかの実施形態では、カートリッジは、センサに電気的に接続されたデバイスインターフェースを備える。
【0035】
いくつかの実施形態では、多重化された電流を印加するように構成された電極対、およびインピーダンスを検出するように構成された電極対は、同じ電極対である。いくつかの実施形態では、多重化された電流を印加するように構成された電極対、およびインピーダンスを検出するように構成された電極対は、異なる電極対である。
【0036】
いくつかの実施形態では、多変量インピーダンスパターンは、インピーダンスピーク高さ、インピーダンスピーク幅、インピーダンスピーク面積、またはインピーダンスピーク半値幅ピーク高さのうちの1つ以上を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、電極対は、チャネルの内側部分に直接接触している。
【0038】
いくつかの実施形態では、センサは、生体試料中の細胞数を計数するように構成されている。いくつかの実施形態では、センサは、異なる細胞タイプを区別するように構成されている。いくつかの実施形態では、センサは、赤血球、白血球、および血小板を区別するように構成されている。いくつかの実施形態では、センサは、赤血球数、白血球数、または血小板数を計数するように構成されている。いくつかの実施形態では、センサは、好酸球、好塩基球、好中球、単球、およびリンパ球を区別するように構成されている。いくつかの実施形態では、センサは、好酸球、好塩基球、好中球、単球、およびリンパ球の数を計数するように構成されている。
【0039】
いくつかの実施形態では、細孔またはチャネルは、マイクロ細孔またはマイクロチャネルである。
【0040】
いくつかの実施形態では、センサは、分析物濃度を検出するように構成されている。いくつかの実施形態では、分析物は、タンパク質である。いくつかの実施形態では、細孔またはチャネルは、ナノ細孔またはナノチャネルである。
【0041】
いくつかの実施形態では、インピーダンスを検出するように構成された電極対は、第1のチャネルセグメント内の第1の電極、および第2のチャネルセグメント内の第2の電極を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、センサは、チャネルを含み、インピーダンスを検出するように構成された電極対は、チャネル内に位置付けられている。いくつかの実施形態では、電極対は、第1のチャネルセグメントに近位の第1の電極、および第2のチャネルセグメントに近位の第2の電極を含む。いくつかの実施形態では、電極対は、チャネルの上面上の第1の電極、およびチャネルの下面上の第2の電極を含み、第1の電極が、第2の電極の上に位置付けられている。
【0043】
いくつかの実施形態では、センサは、センサ内の液体流を検出するように構成された電極対をさらに含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、センサは、1つ以上の分離電極を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、センサは、エレクトロウェッティング電極に近位の第1のチャネルセグメントへの入口を含む。いくつかの実施形態では、センサは、エレクトロウェッティング電極に近位の第2のチャネルセグメントへの出口を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、多重化された電流は、異なる周波数の複数の交流成分を含む。いくつかの実施形態では、多重化された電流は、(1)直流成分または低周波交流、および(2)異なる周波数の複数の交流成分を含む。いくつかの実施形態では、複数の交流成分は、少なくとも3つの交流成分を含む。いくつかの実施形態では、複数の交流成分は、約10kHz~約100kHzの第1の交流、約100kHz~約700kHzの第2の交流、約700kHz~約5MHzの第3の交流、および約5MHzを超える第4の交流を含む。いくつかの実施形態では、複数の交流成分は、少なくとも5つの交流成分を含む。いくつかの実施形態では、複数の交流成分は、約50kHz~約250kHzの第1の交流、約250kHz~約700kHzの第2の交流、約700kHz~約5MHzの第3の交流、約5MHz~約20MHzの第4の交流、および約20MHz~約150MHzの第5の交流を含む。いくつかの実施形態では、電流は、約50kHz以下などの約100kHz以下の追加の交流をさらに含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、インピーダンスを検出するように構成された電極対は、約100kHz以上のサンプリングレートでインピーダンスを検出するように構成されている。
【0048】
生体試料中の細胞数を決定する方法もまた、本明細書に提供され、方法は、チャネルまたは細孔を含むセンサを通して生体試料を輸送することと、チャネルまたは細孔に多重化された電流または電圧を印加することと、チャネルまたは細孔内の多重化されたインピーダンスを検出することと、検出された多重化されたインピーダンスに基づいて細胞数を決定することと、を含む。いくつかの実施形態では、検出された多重化されたインピーダンスは、複数の異なる周波数の実数成分および虚数成分を含む。いくつかの実施形態では、検出された多重化されたインピーダンスは、複数の異なる周波数の大きさ成分および位相成分を含む。
【0049】
生体試料中の細胞数を決定する方法が、本明細書にさらに提供され、方法は、チャネルまたは細孔を含むセンサを通して生体試料を輸送することと、チャネルまたは細孔に多重化された電流または電圧を印加することと、チャネルまたは細孔内の多重化されたインピーダンスを検出することであって、多重化されたインピーダンスが、第1の周波数での第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の周波数での第2の多変量インピーダンスパターンを少なくとも含む、検出することと、検出された多重化されたインピーダンスに基づいて細胞数を決定することと、を含む。いくつかの実施形態では、第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の多変量インピーダンスパターンは、各々、実数成分および虚数成分を含む。いくつかの実施形態では、第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の多変量インピーダンスパターンは、各々、大きさインピーダンス成分および位相成分を含む。いくつかの実施形態では、多変量インピーダンスパターンは、インピーダンスピーク高さ、インピーダンスピーク幅、インピーダンスピーク面積、またはインピーダンスピーク半値幅ピーク高さのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態では、生体試料は、多重化されたインピーダンスを検出する一対の電極に直接接触する。いくつかの実施形態では、方法は、2つ以上の異なる細胞タイプを区別することを含む。いくつかの実施形態では、細胞数を決定することは、生体試料中の赤血球数、白血球数、または血小板数を決定することを含む。いくつかの実施形態では、細胞数を決定することは、生体試料中の好酸球数、好塩基球数、好中球数、単球数、およびリンパ球数を決定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、センサを介して生体試料の2つ以上の小口試料を輸送することを含み、2つ以上の小口試料は、異なるpHレベルまたは異なる電解質濃度で処理される。
【0050】
上記の方法のいくつかの実施形態では、方法は、マーカをセンサ内に輸送することを含む。いくつかの実施形態では、マーカは、気泡または低導電性溶液である。いくつかの実施形態では、方法は、マーカを検出することを含む。いくつかの実施形態では、マーカは、検出された多重化されたインピーダンスの記録を開始または終了することをトリガする。いくつかの実施形態では、方法は、生体試料の流量を決定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、決定された流量を使用して、細胞数を決定することを含む。
【0051】
上記の方法のいくつかの実施形態では、方法は、生体試料を濾過することを含む。
【0052】
上記の方法のいくつかの実施形態では、多重化された電流は、異なる周波数の複数の交流成分を含む。いくつかの実施形態では、多重化された電流は、(1)直流成分または低周波交流、および(2)異なる周波数の複数の交流成分を含む。いくつかの実施形態では、複数の交流成分は、少なくとも3つの交流成分を含む。いくつかの実施形態では、複数の交流成分は、約10kHz~約100kHzの第1の交流、約100kHz~約700kHzの第2の交流、約700kHz~約5MHzの第3の交流、および約5MHzを超える第4の交流を含む。いくつかの実施形態では、複数の交流成分は、少なくとも5つの交流成分を含む。いくつかの実施形態では、複数の交流成分は、約50kHz~約250kHzの第1の交流、約250kHz~約700kHzの第2の交流、約700kHz~約5MHzの第3の交流、約5MHz~約20MHzの第4の交流、および約20MHz~約150MHzの第5の交流を含む。いくつかの実施形態では、電流は、約50kHz以下などの約100kHz以下の追加の交流成分をさらに含む。
【0053】
生体試料中の分析物を検出する方法もまた、本明細書に提供され、方法は、チャネルまたは細孔を含むセンサを通して生体試料を輸送することであって、生体試料が、親和性部分に結合された分析物を含む、輸送することと、チャネルまたは細孔に電流または電圧を印加することと、チャネルまたは細孔内のインピーダンスを検出することと、検出されたインピーダンスに基づいて分析物を検出することと、を含む。いくつかの実施形態では、分析物は、タンパク質または電解質である。いくつかの実施形態では、親和性部分は、多価親和性部分である。いくつかの実施形態では、親和性部分が、荷電される。いくつかの実施形態では、親和性部分は、アプタマー、抗体、または抗体断片を含む。いくつかの実施形態では、親和性部分は、アビジンまたはアビジン誘導体に結合されたアプタマーを含む。いくつかの実施形態では、方法は、親和性部分を含む試薬と生体試料を混合することを含む。いくつかの実施形態では、検出されたインピーダンスに基づいて分析物を検出することが、分析物に結合された親和性部分と非結合親和性部分とを識別することを含む。
【0054】
上記の方法のいくつかの実施形態では、方法は、マーカをセンサ内に輸送することを含む。いくつかの実施形態では、マーカは、気泡または低導電性溶液である。いくつかの実施形態では、方法は、マーカを検出することを含む。いくつかの実施形態では、マーカは、検出された多重化されたインピーダンスの記録を開始または終了することをトリガする。いくつかの実施形態では、方法は、生体試料の流量を決定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、決定された流量を使用して、分析物の濃度を決定することを含む。
【0055】
エレクトロウェッティング電極アレイもまた、本明細書に説明され、エレクトロウェッティング電極アレイは、絶縁層で被覆され、それによって離隔された複数の共平面エレクトロウェッティング電極を備え、エレクトロウェッティングアレイは、疎水性液体接触表面を含み、エレクトロウェッティングアレイは、約50ボルト以下の電圧を使用して水性液体を輸送するように構成されている。いくつかの実施形態では、絶縁層は、疎水性液体接触表面を含む。いくつかの実施形態では、絶縁層は、ナノ構造化表面を含む。いくつかの実施形態では、絶縁層は、疎水性液体接触表面を含む疎水性層で被覆されている。いくつかの実施形態では、疎水性層は、ナノ構造化表面を含む。いくつかの実施形態では、疎水性層は、フルオロポリマー、ポリジメチルシロキサン、パリレン、オクタデカンヒドロキシム酸、ステアリン酸、オクタデカンホスホン酸、l6-ヒドロリヘキサデカンヒドロラミン酸、またはオクタデカンチオールを含む。いくつかの実施形態では、複数のエレクトロウェッティング電極は、約0.5ボルト~約50ボルトの電圧を使用して水性液体を輸送するように構成されている。
【0056】
いくつかの実施形態では、絶縁層は、約3.9以上の誘電率を有する。いくつかの実施形態では、絶縁層は、酸化ハフニウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、またはチタン酸ストロンチウム、シリカ、または窒化ケイ素を含む。いくつかの実施形態では、絶縁層は、原子層堆積、化学蒸着、反応性イオンビーム堆積、スパッタ堆積、蒸発、スプレー堆積、スピンコーティング、またはソルゲル形成を使用して電極上に被覆されている。いくつかの実施形態では、絶縁層は、約1nm~約5μmの厚さを有する。
【0057】
いくつかの実施形態では、エレクトロウェッティング電極は、金、銀、塩化銀、白金、インジウムスズ酸化物、または導電性炭素を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、エレクトロウェッティング電極は、疎水性液体接触表面から約1nm~約25μmだけ分離されている。
【0059】
いくつかの実施形態では、複数のエレクトロウェッティング電極は、共平面エレクトロウェッティング電極に平行な接地電極をさらに含み、疎水性液体接触表面は、接地電極と共平面エレクトロウェッティング電極との間にある。いくつかの実施形態では、接地電極は、エレクトロウェッティング電極のうちの2つ以上に共通である。いくつかの実施形態では、エレクトロウェッティング電極のうちの少なくとも1つは、個々の接地電極と対になる。
【0060】
いくつかの実施形態では、エレクトロウェッティング電極アレイは、検知電極および官能化された液体接触表面を含むインピーダンスセンサを含み、官能化された液体接触表面は、標的分析物に特異的に結合する親和性部分で官能化されている。いくつかの実施形態では、センサは、第1の検知電極と対になった第2の検知電極をさらに含み、センサは、親和性部分への分析物またはタンパク質の結合時のインピーダンスの変化を検出するように構成されている。いくつかの実施形態では、標的分析物は、タンパク質である。いくつかの実施形態では、親和性部分は、抗体、抗体断片、またはアプタマーである。いくつかの実施形態では、インピーダンスセンサは、pHまたはイオン濃度に基づいてインピーダンスを変調するように構成されたpH感受性層またはイオン感受性層を含む、金属酸化物半導体コンデンサ(MOSCap)センサをさらに含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、水性液体は、生体試料を含む。いくつかの実施形態では、生体試料は、血液試料を含む。
【0062】
生体試料を分析するためのカートリッジもまた、本明細書に提供され、カートリッジは、生体試料を受容するように構成された試料受容ポートと、生体試料を分析するように構成されたセンサと、生体試料受容ポートおよびセンサと流体連通しているチャンバまたはチャネルであって、チャンバまたはチャネルが、上記のエレクトロウェッティング電極アレイを含む、チャンバまたはチャネルと、デバイス上のカートリッジインターフェースから電力を受信し、それと通信するように構成されたデバイスインターフェースと、を備え、センサおよび複数のエレクトロウェッティング電極が、デバイスインターフェースと電気的に通信する。いくつかの実施形態では、チャンバまたはチャネルは、1つ以上の試薬リザーバに流体的に接続され、エレクトロウェッティング電極アレイは、1つ以上の試薬リザーバ内に延在している。いくつかの実施形態では、エレクトロウェッティング電極アレイは、試薬混合領域を含む。
【0063】
生体試料を分析するためのシステムが、本明細書にさらに提供され、システムは、上記のカートリッジと、カートリッジと接続するように構成されたカートリッジインターフェースを含むデバイスと、を備え、デバイスが、エレクトロウェッティング電極アレイを動作させるように構成されている。いくつかの実施形態では、デバイスは、ハンドヘルドデバイスである。
【0064】
液体を輸送する方法もまた、本明細書に提供され、方法は、不活性化された第1のエレクトロウェッティング電極の上の第1の疎水性液体接触表面上に水性液体を位置付けることと、第2のエレクトロウェッティング電極を、第2のエレクトロウェッティング電極に約50ボルト以下の電圧を印加することによって活性化し、それによって、第1の疎水性液体接触表面から第2のエレクトロウェッティング電極の上の第2の疎水性液体接触表面に水性液体を輸送することと、を含み、第1のエレクトロウェッティング電極および第2のエレクトロウェッティング電極が、絶縁層で被覆され、それによって分離されている。いくつかの実施形態では、水性液体は、生体試料を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、方法は、試薬を第2の液体接触表面に輸送し、それによって、試薬を水性液体と混合することを含む。いくつかの実施形態では、試薬は、第2のエレクトロウェッティング電極を活性化することによって輸送される。
【0066】
上記の方法のいくつかの実施形態では、生体試料は、約0.5V~約50Vの電圧を使用してカートリッジ内で輸送される。
【0067】
上記の方法のいくつかの実施形態では、第1の疎水性液体接触表面または第2の疎水性液体接触表面は、ナノ構造化表面である。
【0068】
上記の方法のいくつかの実施形態では、絶縁層は、第1の疎水性液体接触表面および第2の疎水性液体接触表面を含む。
【0069】
上記の方法のいくつかの実施形態では、絶縁層は、第1の疎水性液体接触表面および第2の疎水性液体接触表面を含む疎水性層で被覆される。いくつかの実施形態では、疎水性層は、フルオロポリマー、ポリジメチルシロキサン、パリレン、オクタデカンヒドロキシム酸、ステアリン酸、オクタデカンホスホン酸、l6-ヒドロリヘキサデカンヒドロラミン酸、またはオクタデカンチオールを含む。
【0070】
上記の方法のいくつかの実施形態では、絶縁層は、約3.9以上の誘電率を有する。いくつかの実施形態では、絶縁層は、酸化ハフニウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、またはチタン酸ストロンチウム、シリカ、または窒化ケイ素を含む。
【0071】
上記の方法のいくつかの実施形態では、絶縁層は、約1nm~約5μmの厚さを有する。
【0072】
上記の方法のいくつかの実施形態では、第1のエレクトロウェッティング電極は、第1の疎水性液体接触表面から約1nm~約25μmだけ分離され、第2のエレクトロウェッティング電極は、第2の疎水性液体接触表面から約1nm~約25μmだけ分離されている。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1A】生体試料を分析するための例示的なカートリッジを例示する。
【
図1B】カートリッジの別の例示的な実施形態を例示する。
【
図2】カートリッジと係合された例示的なデバイスのブロック図を例示する。
【
図3】分析物濃度の濃度を測定するように構成された例示的なインピーダンスセンサ対を例示する。
【
図4A】複数のエレクトロウェッティング電極と統合された、分析物を検出または測定するように構成された例示的なインピーダンスセンサを例示する。
【
図4B】疎水性層がセンサの絶縁層を被覆している状態の
図4Aのインピーダンスセンサを例示する。
【
図5A】分析物の間接検出または定量化のために使用され得る例示的なインピーダンスセンサを例示する。インピーダンスセンサは、MOSCapセンサを含む。
【
図5B】インピーダンスセンサの電気モデルと共に、
図5Aのインピーダンスセンサの一部として例示されるMOSCapセンサの側面図を示す。
【
図6】
図5Aおよび5Bに例示されるセンサを使用する、直接および間接分析物測定を例示する。
【
図7】第1のチャネルセグメント、第2のチャネルセグメント、および第1のチャネルセグメントと第2のチャネルセグメントとの間のマイクロチャネルを有するチャネルセンサの例示的なチャネルの画像を示す。
【
図8A】第1のチャネルセグメント内の第1のインピーダンス検出電極、および第2のチャネルセグメント内の第2のインピーダンス検出電極を有し、第1のチャネルセグメントと第2のチャネルセグメントとの間にマイクロ細孔またはマイクロチャネルを有する、チャネルセンサの上面図および側面図を例示する。
【
図8B】第1のチャネルセグメントに隣接するマイクロチャネル内の第1のインピーダンス検出電極、および第2のチャネルセグメントに隣接するマイクロチャネル内の第2のインピーダンス検出電極を有する、チャネルセンサの上面図および側面図を例示する。
【
図8C】マイクロチャネル内に位置付けられた第1のインピーダンス検出電極および第2のインピーダンス検出電極を含み、第1のインピーダンス検出電極が第2のインピーダンス検出電極の上に位置付けられた状態のチャネルセンサの上面図および側面図を例示する。
【
図8D】同じチャネル内に2組の検出電極を有する例示的なチャネルセンサを示す。
【
図8E】同じチャネル内に2組の検出電極を有し、各電極位置のチャネル内に波状チャネル特徴部を有する、別の例示的なチャネルセンサを示す。
【
図8F】複数の検出電極がチャネルの長さに沿って位置付けられた状態の第1のチャネルセグメントと第2のチャネルセグメントとの間のマイクロチャネルの例示的な実施形態を示す。
【
図9】一対のインピーダンス検出電極、2対のフロー検出電極、および2つの分離電極を含むチャネルセンサの上面図および側面図を示す。
【
図10】チャネルセンサの動作の開始を示し、下のプロットは、第1の対のフロー検出電極によって検出されたDC電圧を示す。
【
図11】マーカが、どのように、センサを使用してデータ収集のトリガとして使用されるかを例示し、サイクルは、異なる生体小口試料について繰り返され得る。
【
図12】カートリッジ内のチャネルセンサを使用して生体試料をアッセイする例示的な方法を例示する。
【
図13】細孔またはチャネルを通って流れる細胞の電気モデルを例示する。
【
図14】ほぼ10μmの細胞について、単一周波数(30kHz)の時間の関数として、インピーダンス検出電極によって測定される例示的な相対インピーダンス変化を提示する。
【
図15A】四価親和性分子に結合する標的分析物を例示する。
【
図15B】標的分析物に結合されない親和性部分から結果的に生じるインピーダンス変化(上図)、および親和性部分がチャネルセンサのナノチャネルを通過するときに標的分析物に結合される親和性部分から結果的に生じるインピーダンス変化(下図)を例示する。
【
図15C】標的分析物の濃度を決定するためにインピーダンスの大きさを使用する一例を例示する。
【
図16A】デバイスインターフェースと各電極を電気的に接続するトラックを有する8×16マトリックス内の例示的なエレクトロウェッティング電極アレイを例示する。
【
図16B】
図16Aに示されるアレイ内のいくつかのエレクトロウェッティング電極の拡大図を示し、ほぼ正方形電極のギザギザの縁を強調している。
【
図17A】絶縁層流体接触表面を含む複数のエレクトロウェッティング電極の一実施形態を例示する。
【
図17B】エレクトロウェッティング電極を被覆する絶縁層、および絶縁層を被覆する疎水性層を含む、複数のエレクトロウェッティング電極の別の実施形態を例示する。
【
図17C】絶縁層流体接触表面を含む複数のエレクトロウェッティング電極の別の実施形態を例示する。
【
図17D】エレクトロウェッティング電極を被覆する絶縁層、および絶縁層を被覆する疎水性層を含む、複数のエレクトロウェッティング電極の別の実施形態を例示する。
【
図18A】5μm、10μm、20μm、または30μmの直径を有するポリスチレンビーズが30kHzの電流を介して流れるときのフローサイトメータでの電圧変化を示す。ビーズが電流を通過すると著しい電圧降下が観察され、これは、粒径を測定するために使用され得る。
【
図18B】ポリスチレンビーズの実際のサイズに対する、フローサイトメータ(30kHz電流)を使用したポリスチレンビーズの測定された直径の正規化曲線を示す。測定された直径は、実際の直径の関数として直線的に適合し、この方法が、粒径を推定するために信頼して使用され得ることを示す。
【
図19】好酸球が-6.19秒で電流を通過するときの好酸球について、107kHz、570kHz、1.55MHz、16MHz、および40MHz成分を有する電流で測定された多重化されたインピーダンスの実数成分および虚数成分を示す。
【
図20A】好塩基球(
図20A)、好酸球(
図20B)、リンパ球(
図20C)、単球(
図20D、好中球(
図20E)、血小板(
図20F)、および赤血球(
図20G)について、様々な電流(107kHz、570kHz、1.55MHz、16MHz、および40MHz)での実数成分および虚数成分の平均の正規化されたインピーダンスのプロットを示す。
【
図20B】好塩基球(
図20A)、好酸球(
図20B)、リンパ球(
図20C)、単球(
図20D、好中球(
図20E)、血小板(
図20F)、および赤血球(
図20G)について、様々な電流(107kHz、570kHz、1.55MHz、16MHz、および40MHz)での実数成分および虚数成分の平均の正規化されたインピーダンスのプロットを示す。
【
図20C】好塩基球(
図20A)、好酸球(
図20B)、リンパ球(
図20C)、単球(
図20D、好中球(
図20E)、血小板(
図20F)、および赤血球(
図20G)について、様々な電流(107kHz、570kHz、1.55MHz、16MHz、および40MHz)での実数成分および虚数成分の平均の正規化されたインピーダンスのプロットを示す。
【
図20D】好塩基球(
図20A)、好酸球(
図20B)、リンパ球(
図20C)、単球(
図20D、好中球(
図20E)、血小板(
図20F)、および赤血球(
図20G)について、様々な電流(107kHz、570kHz、1.55MHz、16MHz、および40MHz)での実数成分および虚数成分の平均の正規化されたインピーダンスのプロットを示す。
【
図20E】好塩基球(
図20A)、好酸球(
図20B)、リンパ球(
図20C)、単球(
図20D、好中球(
図20E)、血小板(
図20F)、および赤血球(
図20G)について、様々な電流(107kHz、570kHz、1.55MHz、16MHz、および40MHz)での実数成分および虚数成分の平均の正規化されたインピーダンスのプロットを示す。
【
図20F】好塩基球(
図20A)、好酸球(
図20B)、リンパ球(
図20C)、単球(
図20D、好中球(
図20E)、血小板(
図20F)、および赤血球(
図20G)について、様々な電流(107kHz、570kHz、1.55MHz、16MHz、および40MHz)での実数成分および虚数成分の平均の正規化されたインピーダンスのプロットを示す。
【
図20G】好塩基球(
図20A)、好酸球(
図20B)、リンパ球(
図20C)、単球(
図20D、好中球(
図20E)、血小板(
図20F)、および赤血球(
図20G)について、様々な電流(107kHz、570kHz、1.55MHz、16MHz、および40MHz)での実数成分および虚数成分の平均の正規化されたインピーダンスのプロットを示す。
【
図21A】チャネルセンサを通って流れる5μmおよび10μmのポリスチレンビーズからの正規化された電圧差動信号を示す。
【
図21B】チャネルセンサを通って流れる5μmおよび10μmのポリスチレンビーズについて、測定された電圧差に対するビーズ数のヒストグラムを示す。結果は、ポリスチレンビーズが、チャネルセンサを通過するビーズに起因するインピーダンスに基づいてサイズによって分類され得ることを実証する。
【
図22A】インピーダンス特性に基づいて粒子を選別する機械学習モデルによる、白血球(WBC)、赤血球(RBC)、および血小板のクラスタ化を示す。
【
図22B】インピーダンス特性に基づいて粒子を選別する機械学習モデルによる、好中球、リンパ球、および単球のクラスタ化を示す。
【
図22C】希釈された全血がセンサを通過するときの経時的な成分電圧差動信号を示す。機械学習モデルを使用して、センサを通過した粒子を、粒子の帰属するインピーダンス特性に基づいて、赤血球(R)、白血球(W)、血小板(P)、またはポリスチレンビーズ(PS)としてラベル付けした。
【発明を実施するための形態】
【0074】
生体試料(血液、血清、唾液、汗、涙、粘液、尿、または流体中に懸濁された任意の他の生体試料もしくは誘導体など)を分析するためのカートリッジおよびシステム、ならびに生体システムを分析する方法が本明細書に説明されている。異なるタイプのカートリッジが、制御デバイスと共に使用され得、異なるタイプのカートリッジが、生体試料の異なるアッセイまたはアッセイパネルを実施するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、カートリッジは、全血球計算(CBC)アッセイを実施するように構成されている。CBCアッセイは、赤血球、血小板、および白血球(好酸球、好塩基球、好中球、単球、およびリンパ球を含む)などの異なる血液細胞タイプを識別および計数し得る。いくつかの実施形態では、カートリッジは、包括的代謝パネル(CMP)を実施するように構成されている。同じ制御デバイスが、異なるカートリッジと係合し得、選択されたカートリッジと接続することによって複数のアッセイを実現するために使用され得る、単一の多用途デバイスを可能にする。
【0075】
カートリッジは、生体試料を受容し得る試料受容ポートと、試料を分析するためのセンサと、生体試料受容ポートをセンサに流体的に接続するカートリッジ空間と、を含む。複数のエレクトロウェッティング電極は、カートリッジ空間内で生体試料を輸送し得、任意選択的に、試料をより小さい体積に分割し得る、および/または生体試料を1つ以上の試薬とさらに混合して、生体試料を処理し得る。カートリッジは、カートリッジ上のデバイスインターフェースを介してデバイスに接続し得、デバイスインターフェースは、デバイスから電力を受信し、それと通信するように構成されている。センサおよび複数のエレクトロウェッティング電極は、デバイスインターフェースと電気的に通信し、それによって、デバイスがカートリッジを動作させることを可能にする。
【0076】
センサは、生体試料を分析するために使用され、例えば、タンパク質(例えば、酵素であり得る)もしくは電解質を検出するか、または生体試料中の細胞の数および/もしくはタイプを計数するように構成されたセンサであり得る。いくつかの実施形態では、カートリッジは、同じまたは異なる機能を有し得る2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のセンサを含む。例えば、カートリッジは、タンパク質を検出するための第1のセンサおよび細胞数を計数するための第2のセンサ、またはタンパク質の検出および細胞数の計数の両方を行い得るハイブリッドセンサを含み得る。
【0077】
生体試料は、カートリッジ内に生体試料を置くことと、複数のエレクトロウェッティング電極を使用してカートリッジ内で生体試料を輸送することと、によって分析され得る。生体試料は、例えば、固定体積の生体試料を入力ポート内に直接配置することによって、または採血チューブの配置を可能にするインターフェースを介して、カートリッジ内に導入され、それによって、チューブから入力ポートへの流体経路を作成する。いくつかの実施形態では、生体試料は、血液試料を所定の体積の複数の液滴に分割することによって調製される。試料は、カートリッジ内の1つ以上の試薬と混合されて、生体試料を処理し得、生体試料は、カートリッジ内の1つ以上のセンサを使用して分析されて、分析データを生成する。次いで、分析データがデバイスに送信される。
【0078】
カートリッジ内の複数のエレクトロウェッティング電極は、低電圧力を使用してカートリッジ内で生体試料が慎重に輸送されることを可能にする。カートリッジは、試薬リザーバを含み得、リザーバ内の試薬は、分析のためにセンサに輸送される前に、エレクトロウェッティング電極上の生体試料と混合され得る。
【0079】
カートリッジは、好ましくは、使用者の介入なしで生体試料を処理するために必要な試薬および正しい体積を含む、単回使用の使い捨てカートリッジである。ユーザは、カートリッジ上に生体試料を適用することのみを必要とし、デバイスは、試料を適切に処理および分析するためにカートリッジを動作させ得る。分析が完了すると、カートリッジは、廃棄され得る。センサまたはカートリッジ内に含まれるセンサ(複数可)に応じて異なる分析試験を含む異なるカートリッジタイプが製造され得、単一のデバイスが、異なるカートリッジタイプと接続し得る。
【0080】
生体試料を分析するために多重化されたインピーダンス検知を使用するセンサもまた、本明細書に説明される。生体試料は、例えば、タンパク質(例えば、酵素であり得る)もしくは電解質を検出もしくは定量化するために、または生体試料中の細胞の数および/もしくはタイプ(赤血球、白血球、もしくは血小板など)を計数するために分析され得る。そのような生体試料は、例えば、血液、血清、唾液、汗、涙、粘液、尿、または液体中に懸濁された任意の他の生体試料もしくは誘導体を含み得る。いくつかの実施形態では、センサは、生体試料を受容および分析するように構成されているカートリッジ上に含まれる。カートリッジは、カートリッジを受容し動作させるシステムの一部であり得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、センサは、細孔またはチャネル内の複数の周波数でインピーダンスを検出するように構成された電極対を含む。検出されたインピーダンスは、1つ以上の周波数の多変量インピーダンスパターンを含み得、1つ以上の多変量インピーダンスパターンは、細胞数を計数するために、および/または細胞タイプを識別するために分析され得る。多変量インピーダンスパターンは、例えば、インピーダンスの実数成分からの信号(振幅など)および虚数成分からの信号(振幅など)を含み得る。あるいは、多変量インピーダンスパターンは、例えば、インピーダンスの大きさ成分からの信号(振幅など)および位相成分からの信号(振幅など)を含み得る。
【0082】
生体試料中の細胞数を決定する方法が、本明細書にさらに開示される。細胞数は、生体試料中の白血球数、赤血球数、および/または血小板数などの複数の異なる細胞タイプを計数することを含み得る。いくつかの実施形態では、細胞数は、白血球差を含み得、好塩基球の数、好酸球の数、リンパ球の数、好中球の数、および/または単球の数を含み得る。方法は、チャネルまたは細孔を含むセンサを通して生体試料(または小口試料)を輸送することを含み得る。多重化された電流または電圧がチャネルまたは細孔に印加され、多重化されたインピーダンスがチャネルまたは細孔内で検出され得る。多重化されたインピーダンスは、第1の周波数での第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の周波数での第2の多変量インピーダンスパターンを少なくとも含む。細胞数は、次いで、検出された多重化されたインピーダンスに基づいて決定され得る。本明細書にさらに説明されるように、多重化されたインピーダンスパターンは、細胞または他の粒子がチャネルまたは細孔を通って流れるときの検出されたインピーダンス信号の特徴を含み得る。そのような特徴は、限定されるものではないが、インピーダンスピーク高さ、インピーダンスピーク幅、インピーダンスピーク面積、またはインピーダンスピーク半値幅ピーク高さのうちの1つ以上を含み得る。特徴は、インピーダンス信号の実数成分または虚数成分に由来し得る。特徴は、インピーダンス信号の大きさ成分または位相成分に由来し得る。
【0083】
生体試料中の、タンパク質または電解質などの分析物を検出する方法の方法もまた、本明細書に説明される。方法は、チャネルまたは細孔を含むセンサを通して生体試料を輸送することと、チャネルまたは細孔に電流または電圧を印加することと、チャネルまたは細孔内のインピーダンスを検出することと、を含む。生体試料は、親和性部分に結合された分析物を含み、インピーダンスは、親和性部分に結合された分析物がチャネルまたは細孔を通過するときに影響を受ける。それゆえに、分析物は、検出されたインピーダンスに基づいて検出され得る。
【0084】
本明細書に説明されるエレクトロウェッティング電極アレイのいくつかの任意選択の実施形態では、エレクトロウェッティング電極アレイは、低電圧(約50ボルト以下)をエレクトロウェッティング電極に印加することによって、水性液体(生体試料または処理された生体試料など)を輸送するように構成されている。電極に印加される電圧は、液体接触角に変化を結果的にもたらし、液体を作動させる。低電圧を使用して水性液体を輸送することによって、エレクトロウェッティング電極アレイは、臨床現場アッセイシステムなどの低電力デバイスおよび用途に使用され得る。臨床現場アッセイシステムは、生体試料を分析するように構成されている、エレクトロウェッティング電極アレイを有するカートリッジを含み得る。カートリッジは、カートリッジ内のエレクトロウェッティングアレイを含み、ハンドヘルドおよび/またはバッテリ駆動デバイスであり得るデバイスによって動作され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、エレクトロウェッティング電極アレイは、絶縁層で被覆され、それによって離隔された複数の共平面エレクトロウェッティング電極を含み、エレクトロウェッティングアレイは、疎水性液体接触表面を含み、エレクトロウェッティングアレイは、約50ボルト以下の電圧を使用して水性液体を輸送するように構成されている。本明細書にさらに説明されるように、液体接触表面の疎水性(すなわち、接触角)、ならびに液体接触表面と電極とを分離する距離および/または材料は、1つのエレクトロウェッティング電極から別のエレクトロウェッティング電極に水性液体試料を輸送するために必要とされる電圧を低下させるように選択される。
【0086】
液体は、不活性化された第1のエレクトロウェッティング電極の上の第1の疎水性液体接触表面上に水性液体を位置付けることと、第2のエレクトロウェッティング電極を、第2のエレクトロウェッティング電極に約50ボルト以下の電圧を印加することによって活性化し、それによって、第1の疎水性液体接触表面から第2のエレクトロウェッティング電極の上の第2の疎水性液体接触表面に水性液体を輸送することと、によって輸送され得る。第1のエレクトロウェッティング電極および第2のエレクトロウェッティング電極は、絶縁層で被覆され、それによって分離されている。
【0087】
生体試料(血液、血清、唾液、汗、涙、粘液、尿、または流体中に懸濁された任意の他の生体試料もしくは誘導体など)を分析するためのカートリッジは、カートリッジ内で生体試料を輸送および/または処理するために、エレクトロウェッティング電極アレイを含み得る。カートリッジは、生体試料を分析するための1つ以上のセンサをさらに含み得る。異なるタイプのカートリッジが、制御デバイスと共に使用され得、異なるタイプのカートリッジが、生体試料の異なるアッセイまたはアッセイパネルを実施するように構成され得る。同じ制御デバイスが、異なるカートリッジと係合し得、選択されたカートリッジと接続することによって複数のアッセイを実現するために使用され得る、単一の多用途デバイスを可能にする。
【0088】
定義
本明細書に使用される際、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数参照を含む。
【0089】
本明細書の「約」または「ほぼ」の値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする変形例を含む(および説明する)。例えば、「約X」について言及する説明は、「X」の説明を含む。
【0090】
本明細書に使用される際、「抗体」という用語は、限定されるものではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル、キメラ抗体、CDR移植抗体、ヒト化抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、ジスルフィド結合Fv、scFv、単一ドメイン抗体(dAb)、ダイアボディ、多重特異性抗体、二重特異性抗体(dual specific antibody)、抗特異性抗体、二重特異性抗体(bispecific antibody)、その機能的に活性なエピトープ結合断片、二官能性ハイブリッド抗体、単鎖抗体、および免疫接着などのFc含有ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、抗体は、任意の重鎖アイソタイプ(例えば、IgG、IgA、IgM、IgE、またはIgD)であってもよい。いくつかの実施形態では、抗体は、任意の軽鎖アイソタイプ(例えば、カッパまたはガンマ)であってもよい。抗体は、非ヒト(例えば、マウス、ヤギ、または任意の他の動物由来)、完全ヒト、ヒト化、またはキメラであってもよい。いくつかの実施形態では、抗体は、誘導体化抗体である。
【0091】
「チャネル」という用語は、線形液体流路を提供するチューブ、ダクト、または他の通路を指す。
【0092】
本明細書に説明される本発明の態様および変形例は、態様および変形例「から構成される」および/または「から本質的に構成される」を含むことが理解される。
【0093】
「高カッパ」または「高κ」材料は、3.9以上の誘電率を有する任意の材料である。
【0094】
「疎水性」材料、表面、または層は、25℃で90度以上の水接触角を提供する任意の材料、表面、または層である。
【0095】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の各介在値、ならびにその記載された範囲内の任意の他の記載された値または介在値が、本開示の範囲内に包含されることを理解されたい。記載された範囲が上限または下限を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかを排除する範囲もまた、本開示に含まれる。
【0096】
本明細書に説明される様々な実施形態の特性のうちの1つ、いくつかまたは全てが、本発明の他の実施形態を形成するために組み合わせられ得ることを理解されたい。本明細書に使用される節の見出しは、単に構造的目的のためのものであり、説明される主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0097】
「実施形態」に関して上記に説明された特徴および選好は、別個の選好であり、その特定の実施形態に限定されるものではなく、それらは、技術的に実現可能である場合、他の実施形態からの特徴と自由に組み合わせられ得、特徴の好ましい組み合わせを形成し得る。説明は、当業者が本発明を作製および使用することを可能にするために提示され、特許出願およびその要件の文脈で提供される。説明される実施形態に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書の一般的原理は、他の実施形態に適用され得る。したがって、本発明は、示される実施形態に限定されることを意図しないが、本明細書に説明される原理および特徴と一致する最も広い範囲が付与されるべきである。
【0098】
分析カートリッジ
カートリッジは、使用者によって置かれ得る生体試料を受容し、生体試料を処理および分析する。カートリッジは、生体試料を受容するように構成された試料受容ポートと、生体試料を分析するように構成されたセンサと、生体試料受容ポートおよびセンサと流体連通しているチャンバまたはチャネルと、チャンバまたはチャネル内で生体試料を輸送し、生体試料を1つ以上の試薬と組み合わせるように構成された複数のエレクトロウェッティング電極と、デバイス上のカートリッジインターフェースから電力を受容し、それと通信するように構成されたデバイスインターフェースと、を備え、センサおよび複数のエレクトロウェッティング電極が、デバイスインターフェースと電気的に通信する。カートリッジは、好ましくは、単回使用カートリッジであり、新しいカートリッジは、異なる生体試料を分析するために使用され得る。いくつかの実施形態では、複数のエレクトロウェッティング電極は、カートリッジ内で、(1)チャンバまたはチャネル内で生体試料を輸送し、(2)生体試料を1つ以上の試薬と組み合わせるように構成されている。
【0099】
カートリッジ内の流体作動は、エレクトロウェッティング電極を使用して実施され得るが、カートリッジ内の液体(例えば、試料)輸送の他の形態が考慮される。例えば、いくつかの実施形態では、カートリッジは、カートリッジ内で液体を輸送するための1つ以上の機械ポンプ(シリンジポンプ、蠕動ポンプ、および/または空気圧ポンプなど)を含む。1つ以上の機械ポンプは、例えば、1つ以上の電子流体バルブと共に使用され得る。したがって、本明細書に説明されるカートリッジの特定の実施形態は、液体移動および/または試料調製のためにエレクトロウェッティング電極を使用するが、他の液体輸送形態が使用されてもよい。
【0100】
カートリッジ内に置かれ得る例示的な生体試料としては、限定されるものではないが、血液、血漿、血清、汗、涙液、粘液、尿、または任意の他の好適な液体生体試料もしくは生体試料誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態では、試料は、約20μL~約1mLの体積などの約20μL以上の体積を有する。例えば、いくつかの実施形態では、試料は、約20μL~約40μL、約40μL~約80μL、約80μL~約150μL、約150μL~約300μL、約300μL~約600μL、または約600μL~約1mLの体積を有する。カートリッジによって受容される生体試料は、異なる試験を実行するために、または重複試験を実行するために、カートリッジ内で分割され得る。生体試料は、エレクトロウェッティング電極を使用して分割および/または計測され得る(すなわち、所定体積まで)。いくつかの実施形態では、試料は、2回、3回、4回、またはそれ以上(すなわち、2重、3重など)の重複試験を実施するために分割され得る。いくつかの実施形態では、試料は、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、またはそれ以上の異なる試験に分割され、これらの各々は、重複して実施されてもよく、またはそうでなくてもよい。例として、600μLの生体試料は、30個の分割された試料に分割され得、各分割された生体試料は、20μLの生体試料を有し、これらは、10種の異なる分析試験を使用して3重に分析され得る。
【0101】
試料受容ポートは、第1の試料ポートチャネルによって試料受容チャンバに流体的に接続された入口を含み得、試料受容チャンバは、第2の試料ポートチャネルを介してカートリッジのチャンバまたはチャネルに流体的に接続され得る。試料受容チャンバの体積は、カートリッジによって受容された試料の体積を決定する。したがって、いくつかの実施形態では、試料受容チャンバの体積は、約20μL~約1mLなどの約20μL以上である。例えば、いくつかの実施形態では、試料需要チャンバは、約20μL~約40μL、約40μL~約80μL、約80μL~約150μL、約150μL~約300μL、約300μL~約600μL、または約600μL~約1mLの体積を有する。入口内に置かれた試料は、毛細管作用によって第1の試料ポートチャネルを通って試料受容チャンバ内に流れる。試料は、複数のエレクトロウェッティング電極が、試料受容チャンバから試料を輸送するように動作されるまで、試料受容チャンバ内に保持される。本明細書にさらに議論されるように、エレクトロウェッティング電極は、好ましくは、疎水性流体接触表面を提供する材料で被覆され、疎水性流体接触表面は、試料がエレクトロウェッティング作動なしで第2の試料ポートチャネルを通ってデバイスのチャンバまたはチャネル内に流れることを防止する。第2の試料ポートチャネルおよび/または試料受容チャンバは、エレクトロウェッティング電極のうちの1つ以上を任意選択的に含み得、このエレクトロウェッティング電極は、試料受容チャンバからメインチャンバまたはチャネル内に生体試料を移すことを支援し得る。また、任意選択的に、カートリッジは、生体試料がメインチャンバに入る前に生体試料を濾過するように構成されたフィルタを含み得る。フィルタは、例えば、試料がカートリッジ内で処理および分析される前に、生体試料から異物またはより大きい粒子を除去し得る。フィルタは、例えば、第2の試料ポートチャネルまたは第1の試料ポートチャネル内に位置付けられ得る。
【0102】
試料受容ポートは、1つ以上のセンサまたは他のカートリッジ構成要素に流体的に接続されたメインチャンバまたはチャネルに流体的に接続されている。カートリッジが、カートリッジ全体を通して生体試料を輸送するためのメインチャネルを含む場合、チャネルは、好ましくは、チャネル内の試料の毛細管移動を制限するようにサイズ決めされる。チャンバまたはチャネルの下部分は、本明細書に説明されるように被覆され得る複数のエレクトロウェッティング電極を含む。メインチャンバまたはチャネルはまた、チャネルまたはチャンバを包囲するための上部および側壁を含むが、側壁は、任意選択的に、角を避けるために丸みを帯びてもよい。複数のエレクトロウェッティング電極は、例えば、試薬混合領域、センサ、または廃棄物リザーバに、エレクトロウェッティング作動を介して、チャンバまたはチャネル内の生体試料を輸送するように構成されている。いくつかの構成では、複数のエレクトロウェッティング電極は、チャンバまたはチャネルの底部に位置付けられ、いくつかの実施形態では、複数のエレクトロウェッティング電極は、チャンバまたはチャネルの底部および上部に位置付けられている。エレクトロウェッティングアレイを有してカートリッジ内にメインチャンバを有することは、流体の直線的な移動を強制するチャネルとは対照的に、エレクトロウェッティング電極を使用してカートリッジ内の流体の移動がプログラム的に制御されることを可能にする。
【0103】
チャンバまたはチャネルは、生体試料を処理するために試薬で事前装填され得る、1つ以上の試薬リザーバに流体的に接続され得る。試薬リザーバは、所望の量の試薬を含有するようにサイズ決めされ得る。試薬リザーバは、リザーバチャネルを介してメインチャンバまたはチャネルに接続される。試薬リザーバおよび/またはリザーバチャネルのうちの1つ以上は、試薬を試薬チャンバからメインチャンバまたはチャネル内に輸送するために、エレクトロウェッティング電極のうちの1つ以上を任意選択的に含み得る。エレクトロウェッティング電極は、試料および試薬を試薬混合領域内に任意選択的に輸送し、それによって、生体試料を1つ以上の試薬と組み合わせて、処理された生体試料を形成する。試薬は、例えば、pHを変更するために、化学および/または生体反応を実施するために、または生体試料を希釈(または連続希釈)して、処理された生体試料を形成するために、使用され得る。いくつかの実施形態では、試薬のうちの1つ以上は、試料中の細胞、または試料中の細胞のサブセットを修飾または溶解するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、溶解試薬は、試料中の細胞を溶解するか、または試料中の赤血球のみを溶解する。試料中の赤血球の標的化された溶解は、例えば、試料中の白血球を計数するために試料を処理するために、またはヘモグロビン含有量もしくは濃度を測定するために、任意選択的に実施される。いくつかの実施形態では、1つ以上の試薬は、同定のために細胞タイプに特異的に結合するマーカ(例えば、ラベル付けされ得る、アプタマーまたは抗体(もしくは断片)などの親和性部分マーカ)で細胞表面(例えば、細胞膜)を修飾し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の試薬は、細胞タイプの同定に使用され得る、細胞の内部(例えば、細胞質または細胞の核)を修飾し得る、細胞または細胞の標的化されたサブセット内に浸透し得るマーカを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、1つ以上の試薬は、緩衝液、抗凝固剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など)、もしくは安定剤(安定剤タンパク質、例えば、アルブミンなど)、および/または粘度調整剤(グリセロール、例えば、約0.1%~約50%のグリセロールなど)を含む。
【0105】
いくつかの試薬が、試料または試料の一部分を希釈するために使用され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の試薬は、試料または試料の一部分に添加されて、試料対希釈試薬の比率で、約1:1~約1:2000(約1:1~約1:5、約1:5~約1:10、約1:10~約1:20、約1:20~約1:50、約1:50~約1:100、約1:100~約1:300、約1:300~約1:500、約1:500~約1:1000、または約1:1000~約1:2000など)の比率で試料を希釈する。
【0106】
カートリッジは、チャンバまたはチャネルに流体的に接続されている1つ以上のセンサを含む。カートリッジは、1個、2個、3個、4個、5個またはそれ以上の異なるセンサを含み得、所与のタイプのセンサの1個、2個、3個、4個、5個またはそれ以上の重複センサを含み得る。カートリッジと共に使用され得る例示的なセンサは、本明細書にさらに詳細に説明される。簡潔に述べると、例示的なセンサは、生体試料を分析するように構成され得る光学センサおよびインピーダンスセンサを含む。いくつかの実施形態では、センサは、タンパク質もしくは電解質を検出するか、または生体試料中のタンパク質濃度もしくは電解質濃度を測定するように構成されている。いくつかの実施形態では、センサは、チャネルセンサ(例えば、生体試料中の細胞数を計数するように構成されているフローサイトメータ、またはタンパク質もしくは酵素などの分析物の量を検出または定量化するように構成されているフロー分析物センサ)である。フローサイトメータは、異なる細胞タイプ(例えば、赤血球、白血球、または血小板)を識別することができ得、1つ以上の異なる細胞タイプについて計数するように構成されている。
【0107】
カートリッジは、1つ以上のセンサによって分析された後に生体試料を受容するように構成された廃棄物リザーバを含み得る。廃棄物リザーバは、例えば、廃棄物チャネルによってメインチャンバに流体的に接続されている。エレクトロウェッティング電極は、エレクトロウェッティング作動を通じて、分析された生体試料を廃棄物リザーバ内に輸送し得る。任意選択的に、廃棄物チャネルおよび/または廃棄物リザーバは、廃棄物リザーバ内への生体試料の輸送を制御するための1つ以上のエレクトロウェッティング電極を含み得る。いくつかの実施形態では、生体試料が廃棄物リザーバ内に輸送されると、生体試料は、疎水効果を介して廃棄物リザーバ内に保持される。廃棄物リザーバに隣接するエレクトロウェッティング電極は、疎水性流体接触層で被覆され得、廃棄物リザーバ内の流体は、エレクトロウェッティング電極が使用されないときに疎水性流体接触層を回避するように、そこに留まる。
【0108】
カートリッジは、デバイス上のカートリッジインターフェースから電力を受信し、それと通信するように構成されたデバイスインターフェースをさらに含む。デバイスインターフェースは、カートリッジおよびデバイスが互いに係合されている状態でデバイス電極と電気的に通信する複数の電極を含む。1つ以上のセンサおよびエレクトロウェッティング電極は、電極を介してデバイスインターフェースと電気通信している。これは、デバイスとカートリッジとの間の通信を可能にし、デバイスは、試料受容ポートからの排出および/または廃棄物リザーバ内への侵入を含む、カートリッジ内で生体試料を輸送するためにエレクトロウェッティング電極を動作させ得る。デバイスは、カートリッジ内で1つ以上の試薬を輸送し、生体試料を1つ以上の試薬と組み合わせるために、エレクトロウェッティング電極をさらに動作させ得る。デバイスは、カートリッジ内の1つ以上のセンサをさらに動作させ得る。1つ以上のセンサは、デバイスインターフェースを介してデバイスに送信される生体試料を分析することによって分析データを生成し得る。このようにして、デバイスは、分析データを受信し得る。
【0109】
任意選択的に、カートリッジは、カートリッジの上部および/または底部上で光学的に透明であり得る、1つ以上(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上)の光学窓を含み得る。これらの光学窓は、インピーダンスセンサと組み合わせて、またはスタンドアロン検出器として使用される。試薬との反応の検出のためのスタンドアロンまたは組み合わせの両方では、分析物またはタンパク質結合の選択的検出について、色変化または蛍光放射のいずれかによる。いくつかの実施形態では、インピーダンスセンサと組み合わせて使用されるとき、光学検出が、脂質、ビリルビンC、ビリルビンF、クライル、溶血ヘモグロビン、グルコースに限定されない干渉物質を検出するために、および/または代替的に、測定に対する補正係数を適用するように試料の品質を検出するために、使用され得る。試料品質チェックは、試料濁度の測定を含む。カートリッジが2つ以上の光学窓を含む場合、光学窓は、同じサイズのものであってもよく、または異なるサイズのものであってもよい。光学窓は、光が試料を通過することを可能にする、例えば、試料の画像を取り込むか、または光学顕微鏡または分光法(例えば、蛍光、赤外線(IR)、ラマン、またはUV/Vis吸収分光法)を使用して試料をアッセイするように構成されている。エレクトロウェッティング電極は、生体試料またはその一部分を光学窓に輸送し得、試料がアッセイされ得るか、または試料の画像が取り込まれる。いくつかの実施形態では、カートリッジを動作させるデバイスは、光源と、カートリッジがカートリッジと係合されたときに光学窓と位置合わせされる光学検出器と、を含む。デバイスは、光源および光学検出器を使用して生体試料をアッセイすることとは異なり得る。いくつかの実施形態では、デバイスは、カートリッジの光学窓と位置合わせされるカメラを含み、カメラは、カートリッジがデバイスと係合されたときに、光学窓を通して生体試料を撮像し得る。
【0110】
図1Aは、生体試料を分析するための例示的なカートリッジを例示する。カートリッジは、第1の試料ポートチャネル106を介して試料受容チャンバ104に流体的に接続された入口102を含む試料受容ポートを含む。生体試料は、入口102内に置かれ、毛細管作用によって第1の試料ポートチャネル106を通って受容チャンバ104内に移動する。試料受容チャンバ104は、第2の試料ポートチャネル110を介してメインチャンバ108に流体的に接続されている。任意選択的に、カートリッジは、例えば、第1の試料ポートチャネル106または第2の試料ポートチャネル110内に位置決めされ得る、入口102とメインチャンバ108との間のフィルタ(図示せず)を含む。フィルタは、存在する場合、生体試料中のより大きい異物を除去し得る。メインチャンバ108は、複数のエレクトロウェッティング電極112を含み、第2の試料ポートチャネル110内に続く。カートリッジは、複数の試薬リザーバ114a、114b、114c、および114dをさらに含み、これらは、リザーバチャネル116a、116b、116c、および116dを介してメインチャンバ108に流体的に接続されている。
図1Aに例示される例示的なカートリッジは、4つの試薬リザーバを示すが、カートリッジは、カートリッジを使用して実施される試験(複数可)によって決定されるように、任意の数のリザーバを含み得ることが理解される。複数のエレクトロウェッティング電極112は、リザーバチャネル116a、116b、116c、および116d内に延在し、エレクトロウェッティング電極112は、リザーバチャネル116a、116b、116c、および116d内の試薬をメインチャンバ108の混合領域118内に輸送するように動作され得る。生体試料および試薬は、混合領域118内に輸送され、組み合わされて、処理された生体試料を形成する。任意選択的に、カートリッジのメインチャンバ108は、フィルタを含み得る。生体試料は、例えば、生体試料の成分を分離するために(例えば、血清を全血から分離するために)、エレクトロウェッティング電極112を使用してフィルタを通して輸送され得る。複数のエレクトロウェッティング電極112は、処理された生体試料、または処理された生体試料の一部分をカートリッジ内で1つ以上のセンサに輸送するように動作され得る。任意選択的に、生体試料は、処理なしでセンサによって分析される。
図1Aに例示される例示的なカートリッジは、3つのインピーダンスセンサ120a、120b、および120cを含み、これらは、生体試料中のタンパク質の量を測定するように構成されている。インピーダンスセンサは、同じタイプ(すなわち、同じアッセイを実施する重複インピーダンスセンサ)のものであってもよく、または異なるタイプのものであってもよい。
図1Aに例示される例示的なカートリッジは、3つのインピーダンスセンサを含むが、カートリッジは、特定のカートリッジについてのアッセイまたはアッセイ重複の数に依存し得る、任意の数のインピーダンスセンサを含み得ることが理解される。例示されるカートリッジは、4つのチャネルセンサ122a、122b、122c、および122dをさらに含むが、カートリッジの他の実施形態は、重複または非重複であり得る、追加のまたはより少ないチャネルセンサを有してもよい。チャネルセンサは、例えば、フローサイトメータであってもよく、またはタンパク質を検出もしくは定量化するように構成されてもよい。例示される例では、複数のエレクトロウェッティング電極112は、インピーダンスセンサ120a、120b、および120cの一部である官能化された電極を含む。しかしながら、複数のエレクトロウェッティング電極112は、チャネルセンサ122a、122b、122c、および122d内に延在しておらず、処理された生体試料をセンサに通すために毛細管作用を使用する。カートリッジは、廃棄物チャネル126を介してメインチャンバ108に流体的に接続された廃棄物リザーバ124をさらに含む。複数のエレクトロウェッティング電極は、廃棄物チャネル126内に延在し、処理された生体試料を廃棄物リザーバ124内に輸送するように動作され得る。カートリッジは、複数のエレクトロウェッティング電極112、ならびにセンサ120a、120b、120c、122a、122b、122c、および122dと電気的に通信するデバイスインターフェース128をさらに含む。
【0111】
カートリッジは、任意選択的に、光学窓130を含む。光学窓は、カートリッジの上部の透明窓と、カートリッジの底部の透明窓と、を含み、光が通過することを可能にする。光学窓130は、メインチャンバ108に流体的に接続され、生体試料は、エレクトロウェッティング電極112を使用して光学窓130に輸送され得る。カートリッジがデバイス(
図1Aに示さず)と係合するとき、光源および光学検出器は、光学窓130の反対側に位置付けられ、光学窓内に位置付けられた生体試料は、デバイスを使用してアッセイされ得る。
【0112】
図1Bは、センサの異なる配向を有する、カートリッジの別の実施形態を例示する。メインチャンバは、アレイを示すために複数のエレクトロウェッティング電極を例示するが、エレクトロウェッティング電極のサイズおよび/または間隔は、変化してもよい。カートリッジは、第1の試料ポートチャネル136を介して試料受容チャンバ134に流体的に接続された入口132を含む試料受容ポートを含む。生体試料は、入口132内に置かれ、毛細管作用によって第1の試料ポートチャネル136を通って受容チャンバ134内に移動する。試料受容チャンバ134は、第2の試料ポートチャネル140を介してメインチャンバ138に流体的に接続されている。受容チャンバ134および第2の試料ポートチャネル140は、第1のエレクトロウェッティング電極142および第2のエレクトロウェッティング電極144を含む。エレクトロウェッティング電極は、試料受容チャンバ134から、第2の試料ポートチャネル140を通って、メインチャンバ138内に生体試料を制御可能に移すように動作され得る。任意選択的に、カートリッジは、例えば、第1の試料ポートチャネル136または第2の試料ポートチャネル140内に位置決めされ得る、入口132とメインチャンバ138との間のフィルタを含む。例えば、フィルタが第2の試料ポートチャネル140内に位置付けられる場合、エレクトロウェッティング電極は、フィルタを通して生体試料をメインチャンバ138内に移すために使用され得る。フィルタは、存在する場合、生体試料中のより大きい異物を除去し得る。
【0113】
メインチャンバ138は、複数のエレクトロウェッティング電極を含み、エレクトロウェッティング電極は、エレクトロウェッティング電極がデバイスに接続されるときにデバイスを使用して動作され得るように、デバイスインターフェース146に電気的に接続される。カートリッジは、複数の試薬リザーバ148a、148b、148c、および148dをさらに含み、これらは、リザーバチャネル150a、150b、150c、および150dを介してメインチャンバ138に流体的に接続されている。
図1Bに例示される例示的なカートリッジは、4つの試薬リザーバを示すが、カートリッジは、カートリッジを使用して実施される試験(複数可)によって決定されるように、任意の数のリザーバを含み得ることが理解される。試薬リザーバ148a、148b、148c、および148d、ならびに/またはリザーバチャネル150a、150b、150c、および150dは、試薬リザーバ内に含有される試薬をメインチャンバ内に輸送するために使用され得る、1つ以上のエレクトロウェッティング電極を含み得る。例えば、試薬リザーバ148aおよび試薬チャネル150aは、第1のエレクトロウェッティング電極152aおよび第2のエレクトロウェッティング電極154aを含み得る。
【0114】
生体試料および試薬は、メインチャンバ138の混合領域内に輸送され、組み合わされて、処理された生体試料を形成する。任意選択的に、カートリッジのメインチャンバ138は、フィルタを含み得る。生体試料は、例えば、生体試料の成分を分離するために(例えば、血清を全血から分離するために)、エレクトロウェッティング電極を使用してフィルタを通して輸送され得る。複数のエレクトロウェッティング電極は、処理された生体試料、または処理された生体試料の一部分をカートリッジ内で1つ以上のセンサに輸送するように動作され得る。任意選択的に、生体試料は、処理なしでセンサによって分析される。
【0115】
図1Bに例示される例示的なカートリッジは、2つのインピーダンスセンサ156aおよび156bを含み、これらは、生体試料中のタンパク質の量を測定するように構成されている。インピーダンスセンサは、同じアッセイ(すなわち、重複インピーダンスセンサ)または異なるアッセイを実施するように構成され得る。
図1Bに例示される例示的なカートリッジは、2つのインピーダンスセンサを含むが、カートリッジは、特定のカートリッジについてのアッセイまたはアッセイ重複の数に依存し得る、任意の数のインピーダンスセンサを含み得ることが理解される。例示されるカートリッジは、2つのチャネルセンサ158aおよび158bをさらに含むが、カートリッジの他の実施形態は、重複または非重複であり得る、追加のまたはより少ないチャネルセンサを有してもよい。チャネルセンサは、例えば、フローサイトメータであってもよく、またはタンパク質を検出もしくは定量化するように構成されてもよい。インピーダンスセンサ156aおよび156b、ならびにチャネルセンサ158aおよび158bからの電極は、デバイスインターフェース146に電気的に接続される。デバイスがカートリッジを動作させると、デバイスは、電流を送信し得る、および/または電気的に接続されたセンサを介して取得されたデータを受信し得る。
【0116】
図1Bに例示されるカートリッジは、光学窓160、および光学窓162を含み、これらは、同じサイズのものであってもよく、または異なるサイズのものであってもよい。光学窓は、カートリッジの上部の透明窓と、カートリッジの底部の透明窓と、を含み、光が通過することを可能にする。光学窓は、各々、チャネルを通じてメインチャンバ138に流体的に接続され、生体試料は、エレクトロウェッティング電極を使用して光学窓に輸送され得る。カートリッジがデバイス(
図1Bに示さず)と係合するとき、光源および光学検出器は、光学窓の反対側に位置付けられ、光学窓内に位置付けられた生体試料は、デバイスを使用してアッセイされ得る。
【0117】
図1Bに例示されるカートリッジは、廃棄物チャネル166を介してメインチャンバ138に流体的に接続された廃棄物リザーバ164をさらに含む。廃棄物リザーバ164および廃棄物チャネル166は、分析された生体試料がメインチャンバ138から廃棄物リザーバ内に輸送され得るように、エレクトロウェッティング電極を含む。
【0118】
カートリッジは、カートリッジが実施のために使用されるアッセイまたはアッセイパネルに応じて、様々な数のセンサおよび/またはセンサタイプを含むように構成され得る。例えば、カートリッジは、チャネルセンサ(例えば、フローサイトメータ、またはタンパク質などの分析物を検出するように構成されたチャネルセンサ)、光学窓、および/またはインピーダンスセンサのうちの1つ以上を含み得る。カートリッジは、カートリッジ内に含まれる構成、試薬、および/またはセンサに応じて、1つ以上のアッセイまたはアッセイパネルを実施するように構成され得る。例えば、カートリッジは、細胞数(例えば、赤血球数、白血球数、および/または血小板数)、あるいはタンパク質(もしくは酵素)または他の分析物(電解質など)の検出または定量化のうちの1つ以上をアッセイするように構成され得る。いくつかの実施形態では、カートリッジは、全血球計算(CBC)または包括的代謝パネル(CMP)について生体試料を試験するように構成されている。いくつかの実施形態では、カートリッジは、グルコース、カルシウム、血液尿素窒素(BUN)、クレアチニン、ナトリウム、カリウム、塩化物、二酸化炭素、血清総タンパク質、アルブミン、総ビリルビン、アルカリホスファターゼ(ALP)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、赤血球、白血球、血小板、ヘモグロビン、またはヘマトクリットのうちの1つ以上を検出または定量化するように構成されている。
【0119】
カートリッジを動作させるためのデバイス
デバイスは、本明細書に説明されるカートリッジと相互作用し、それを動作させて、生体試料を分析するためのシステムを形成するように構成されている。議論されるように、デバイスは、生体試料に対して異なるアッセイまたはアッセイパネルを実施するように構成されている、異なるカートリッジタイプを接続し、動作させ得る。デバイスは、カートリッジに給電し、かつカートリッジと通信するためにカートリッジ上のデバイスインターフェースと係合する、カートリッジインターフェースを含む。この点で、デバイスは、カートリッジに電力を供給して、1つ以上のセンサおよび/またはエレクトロウェッティング電極に給電し、カートリッジ内の1つ以上のセンサから分析データを受信し、カートリッジ内の1つ以上のセンサを動作させるように構成されている。デバイスは、エレクトロウェッティング電極または1つ以上のセンサを制御する際にデバイスを動作させ、分析データを受信するために使用され得る、プロセッサ(マイクロコントローラ、有限状態マシンなど)およびメモリを含み得る。いくつかの実施形態では、カートリッジ上のデバイスインターフェースは、デバイス上のカートリッジインターフェース内に挿入するように構成され、いくつかの実施形態では、デバイス上のカートリッジインターフェースは、カートリッジ上のデバイスインターフェース内に挿入するように構成されている。デバイスは、バッテリによって給電され得る、ハンドヘルドデバイスであってもよい。
【0120】
デバイスは、異なるタイプのカートリッジに給電し、かつそれらと通信して、生体試料に対して異なる分析を実施するように構成され得る。例えば、デバイスは、第1のタイプのカートリッジを第1のセンサと係合させ、第1のタイプのカートリッジを使用して第1の生体試料を分析し、第1のタイプのカートリッジを係合解除し、第2のタイプのカートリッジを第1のセンサとは異なる第2のタイプのセンサと係合させ、第2のタイプのカートリッジを使用して第2の生体試料を分析し得る。デバイスは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれ以上の異なるタイプのカートリッジに給電し、それらを動作させるように構成され得る。
【0121】
いくつかの実施形態では、デバイスは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサ(マイクロコントローラなど)によって実行されるように構成された1つ以上のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、を含む。1つ以上のプログラムは、生体試料を輸送するために、および/または生体試料を1つ以上の試薬と混合するために、カートリッジ内の複数のエレクトロウェッティング電極を動作させるための命令を含み得る。1つ以上のプログラムはまた、1つ以上のセンサを動作させるための命令も含み得る。本明細書にさらに説明されるように、特定のセンサは、センサ内の生体試料の静的配置を利用し得、特定のセンサは、センサを通る生体試料の連続フローを必要とし得る。したがって、いくつかの実施形態では、1つ以上のプログラムは、センサを通して生体試料を連続的に輸送するために、または生体試料をセンサ内で静的に位置付けるために、カートリッジ内の複数のエレクトロウェッティング電極を動作させるための命令を含む。
【0122】
デバイスは、複数のエレクトロウェッティング電極および1つ以上のセンサを含む、異なるデバイス構成要素に給電するためのハードウェアおよび回路を含む。例えば、デバイスは、カートリッジ構成要素を動作させるために様々なカートリッジ構成要素にエネルギーを提供する1つ以上の電源回路を含み得る。いくつかの実施形態では、デバイスは、約0.5ボルト~約1000ボルト(約0.5ボルト~約1ボルト、約1ボルト~約5ボルト、約5ボルト~約10ボルト、約10ボルト~約20ボルト、約20ボルト~約30ボルト、約30ボルト~約50ボルト、約50ボルト~約100ボルト、約100ボルト~約250ボルト、約250ボルト~約500ボルト、または約500ボルト~約1000ボルトなど)を使用して複数のエレクトロウェッティング電極を動作させるように構成されている。好ましくは、複数のエレクトロウェッティング電極は、約50ボルト以下、またはより好ましくは約20ボルト以下を使用して動作される。複数のエレクトロウェッティング電極を使用して生体試料を作動させるためのより低い電圧は、より低い電力の使用を可能にし、このことは、デバイスがバッテリによって給電されることを可能にし得る。
【0123】
デバイスは、1つ以上のセンサを給電し、動作させ、かつそれらからデータを受信するための電子回路および/または1つ以上のプログラムをさらに含む。例えば、デバイスは、データ取得回路(DAQ)を使用してデータを送信および/または受信することを含み得る、センサを動作させるための集積回路(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC))を含み得る。デバイスはまた、デジタル信号プロセッサ(DSP)および/またはデジタル信号シンセサイザ(DSS)を含み得る。
【0124】
デバイスは、情報表示またはデータのエクスポートおよび/もしくは通信を可能にするための電子回路をさらに含み得る。例えば、デバイスは、入力/出力ポート(I/Oポート)および/または有線もしくは無線通信デバイス(WiFiもしくはBluetooth通信デバイスなど)を含み得る。
【0125】
デバイスは、生体試料を分析するためのシステムとしてカートリッジと接続し得る。
図2は、カートリッジと係合された例示的なデバイスのブロック図を例示する。デバイスは、デバイスおよび/またはカートリッジを動作させるための1つ以上のプログラムを記憶し得る、メモリと電気的に通信するプロセッサを含む。デバイスは、バッテリまたは電気プラグを含み得る電源回路をさらに含む。電源回路は、プロセッサに電力を提供するためにプロセッサと電気的に通信し、エレクトロウェッティング電極ドライバと電気的に通信する。電源回路は、プロセッサおよび電極ドライバに異なる電力を提供し得る。例えば、電源回路は、エレクトロウェッティング電極の構成に応じて、プロセッサに3.3ボルト(または任意の他の好適な電圧)、およびエレクトロウェッティング電極ドライバに約0.5ボルト~約1000ボルトの電力を提供し得る。プロセッサは、デバイス上のカートリッジインターフェースおよびカートリッジ上のデバイスインターフェースを介してエレクトロウェッティング電極と電気的に通信する、エレクトロウェッティング電極ドライバを動作させるように構成されている。プロセッサは、エレクトロウェッティング電極を使用してカートリッジを通る流体(生体試料および1つ以上の試薬など)のエレクトロウェッティング作動を制御する、エレクトロウェッティングドライバを動作させ得る。エレクトロウェッティングドライバは、試料入口内の生体試料をカートリッジの混合領域に輸送するためにエレクトロウェッティング電極を動作させる。さらに、エレクトロウェッティングドライバは、試薬リザーバ内の試薬を混合領域内に輸送して、試薬(複数可)を生体試料と組み合わせて、処理された生体試料を形成するように、エレクトロウェッティング電極を動作させる。エレクトロウェッティングドライバは、次いで、処理された生体試料を廃棄物リザーバに輸送する前に、連続的または二者択一的(例えば、試料を分割することによって)のいずれかで、処理された生体試料をセンサ(またはカートリッジ上に存在する場合、複数のセンサ、例えば、センサ1およびセンサ2)に輸送するようにエレクトロウェッティング電極を動作させ得る。
【0126】
図2を引き続き参照すると、デバイスのプロセッサは、1つ以上のセンサ(例えば、センサ1およびセンサ2)を動作させるように構成されている集積回路(例えば、FPGA)と電気通信し得る。センサ1は、例えば、生体試料中の細胞の数または細胞のタイプの数を計数するように構成されたフローサイトメータであり得、センサ2は、例えば、タンパク質または分析物濃度を定量化するように構成されたインピーダンスセンサであり得る。デバイスは、ダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)およびデジタルアナログ変換器(DAC)を使用して、アナログ信号(例えば、多重化されたアナログ信号)を生成し、1つ以上のセンサに送信する、デジタル信号シンセサイザ(DSS)モジュールを含み得る。あるいは、この多重化された信号はまた、DACを必要としないダイレクトアナログシンセサイザ(DAS)を使用して生成され得る。例示されるように、DSSは、FPGAに組み込まれているが、DSSは、FPGAとは別個であってもよいと考えられる。DDSまたはDASのいずれかを使用する上記2つのスキームの各々では、アナログまたはデジタル信号は、多重化されたアナログ信号を生成するために別個の混合段階を必要とする生成後に混合される必要がある。別の実施形態では、信号は、任意波形生成器(AWG)を使用して生成され、メモリまたはルックアップテーブル(LUT)に記憶された多重化された信号のデジタルサンプルは、可変周波数クロックを使用してアナログ形態に変換される。センサからのデータは、データ取得回路(DAQ)に送信され、データ取得回路は、処理のために、デジタル信号プロセッサ(DSP)などのプロセッサによって取得される前に、データをメモリ(任意選択的にFPGAに組み込まれる)に記憶し得る。DSSは、DAQ回路に基準信号を提供し得、DAQ回路は、センサから受信された信号を較正するために使用され得る。DSPは、デバイスプロセッサに任意選択的に電気的に接続され、データをデバイスプロセッサに送信し得る。デバイスプロセッサは、データを表示するか、または別様に通信するために、デバイスメモリにデータを記憶するか、または入力/出力(I/O)ポートを介してデータを出力し得る(例えば、Bluetoothまたはネットワーク(例えば、WiFi接続)を介して)。任意選択的に、DSPは、データを通信するためにI/Oポートと直接通信し得る。
【0127】
生体試料は、試料入口を通ってカートリッジに入り、カートリッジのメインチャンバに入る前に第1のフィルタ(フィルタ1)を任意選択的に通過する。任意選択のフィルタは、大きい異物がチャンバに入ることを防止するために使用され得る。メインチャンバは、生体試料をチャンバの混合領域に輸送し得る、デバイスによって動作されるエレクトロウェッティング電極を含む。デバイスはまた、試薬リザーバ内の1つ以上の試薬を輸送して、混合領域内の生体試料と混合するように、エレクトロウェッティング電極を動作させ得る。いくつかの実施形態では、第2のフィルタ(フィルタ2)が含まれ得、デバイスによって動作されるエレクトロウェッティング電極は、1つ以上のセンサのうちの1つへの試料に輸送する前に、フィルタを通して試料を輸送し得る。任意選択の第2のフィルタは、生体試料の成分を分離するために、例えば、血清を単離するために、または赤血球および血小板を白血球から分離するために、使用され得る。
【0128】
センサ
カートリッジは、生体試料を分析し得る1つ以上のセンサを含み得る。いくつかの実施形態では、エレクトロウェッティング電極は、生体試料を分析する1つ以上のセンサに生体試料を輸送するように構成されている。センサは、デバイスインターフェースおよびカートリッジインターフェースを介してセンサに電気的に接続されているデバイスにデータを送信し得る。カートリッジ内のセンサ(複数可)は、所望の生体試料分析に応じて、カートリッジタイプによって変化し得る。例示的なセンサは、チャネルセンサおよびインピーダンスベースのセンサを含む。分析物(タンパク質、酵素、もしくは電解質など)を検出するためのセンサ、分析物濃度(タンパク質、酵素、もしくは電解質濃度など)を測定するためのセンサ、または細胞数もしくは細胞のタイプの数を計数するためのセンサが、本明細書に説明される。しかしながら、他のセンサが、本明細書に説明されるカートリッジと共に使用されてもよい。
【0129】
分析物センサ
いくつかの実施形態では、カートリッジは、光学窓または分析物(タンパク質、酵素、または電解質など)を検出および/もしくは定量化するように構成された切迫センサを含む。
【0130】
カートリッジと係合するデバイスの構成要素であり得る光学センサは、生体試料をアッセイするために、例えば、タンパク質を検出するか、またはタンパク質濃度を測定するために、カートリッジの光学窓と位置合わせされ得る。光学センサは、光学顕微鏡、または蛍光、赤外線(IR)、ラマン、もしくはUV/Vis吸収などの分光法、あるいは分析データを生成するための任意の他の好適な光学分光法を使用して、生体試料をアッセイし得る。分光法を使用して収集されたデータは、デバイスによって分析されて、タンパク質が存在するか否か、またはタンパク質の濃度を決定し得る。いくつかの実施形態では、カートリッジは、2つ以上の光学窓を含み、光学センサのうちの少なくとも1つは、対照として使用され得る。例えば、生体試料を含まない試薬が対照センサによって分析され得、較正のためのベースラインを提供する。デバイスは、次いで、受信されたデータを較正して、正確な分析物濃度を測定し得る。
【0131】
いくつかの実施形態では、センサは、分析物(例えば、タンパク質、酵素、または電解質)を検出するか、または分析物の量を測定するように構成されている、インピーダンスセンサである。インピーダンスセンサは、独立して(または他のインピーダンスセンサと共に)、または1つ以上の光学センサと併せて機能し得る。いくつかの実施形態では、光学センサが分析物検出のために電気インピーダンスベースのセンサと組み合わせて使用されるとき、光学センサは、干渉物質を検出するか、またはインピーダンス測定のための較正係数を検出するために使用され得る。インピーダンスセンサは、電極対を含み得、2つの電極のうちの少なくとも1つは、標的分析物に特異的に結合する親和性部分で官能化されている。電極は、絶縁層(すなわち、誘電体層)で被覆され得、親和性部分が絶縁層上で官能化され得るか、または任意選択の疎水性層が絶縁層を被覆し得る。絶縁層は、好ましくは、高κ材料(すなわち、約3.9以上の誘電率を有する)を含む。いくつかの実施形態では、絶縁層は、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、もしくは酸窒化ケイ素、またはそれらの組み合わせ(例えば、一緒にまたは複数の別個の層で混合される)を含む。絶縁層および/または疎水性層の特性(例えば、厚さ、誘電率および/または疎水性)は、本明細書に説明される絶縁層および疎水性層の特性と同一であってもよく、または類似であってもよい。
【0132】
親和性部分は、例えば、抗体、抗体断片、またはアプタマー(DNAアプタマー、RNAアプタマー、またはXNAアプタマーなど)であり得る。生体試料は、センサに輸送され得、標的タンパク質は、親和性部分に結合する。いくつかの実施形態では、親和性部分は、ヘモグロビンに特異的に結合する。
【0133】
いくつかの実施形態では、生体試料は、インピーダンス測定中にインピーダンスセンサ内に静的に位置付けられ、いくつかの実施形態では、生体試料は、インピーダンス測定中にセンサを通って連続的に流れる。親和性分子への標的分子の結合から結果的に生じる2つの電極間のインピーダンス変化の量は、生体試料中の分析物の濃度と相関される。いくつかの実施形態では、カートリッジは、基準センサを含み、基準センサは、生体試料を分析するために使用されるセンサと同様の様式で構成された少なくとも1つの官能化された電極を含む電極対を含む。生体試料なしの試薬などの対照流体が、ベースラインの切迫を検出するために使用され得、ベースラインの切迫は、デバイスに送信され、生体試料を分析するために使用されるセンサを較正するために使用され得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、インピーダンスは、約10kHz以上(約20kHz以上、約50kHz以上、約100kHz以上、約200kHz以上、約300kHz以上、約400kHz以上、約500kHz以上、約1MHz以上、約5MHz以上、約10MHz以上、約25MHz以上、約50MHz以上、約75MHz以上、約100MHz以上、約125MHz以上、または約150MHz以上など)のサンプリングレートで測定される。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、約10kHz~約200MHz(約10kHz~約20kHz、約20kHz~約50kHz、約50kHz~約100kHz、約100kHz~約200kHz、約200kHz~約300kHz、約300kHz~約400kHz、約400kHz~約500kHz、約500kHz~約1MHz、約1MHz~約2MHz、約2MHz~約3MHz、約3MHz~約4MHz、約4MHz~約5MHz、約5MHz~約10MHz、約10MHz~約25MHz、約25MHz~約50MHz、約50MHz~約75MHz、約75MHz~約100MHz、約100MHz~約125MHz、約125MHz~約150MHz、または約150MHz~約200MHzなど)のサンプリングレートで測定される。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、約100kHz~約5MHzのサンプリングレートで測定される。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、約125MHz以上のサンプリングレートで測定される。
【0135】
いくつかの実施形態では、インピーダンスは、約1Hz以上(10Hzなど)、100Hz以上または1kHz以上、約10kHz以上(約20kHz以上、約50kHz以上、約100kHz以上、約200kHz以上、約300kHz以上、約400kHz以上、約500kHz以上、約1MHz以上、約5MHz以上、約10MHz以上、約25MHz以上、約50MHz以上、約75MHz以上、約100MHz以上、約125MHz以上、または約150MHz以上など)の励起周波数で測定される。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、約1Hz~約100Hz、約100Hz~約1kHz、約1kHz~約10kHz、または約10kHz~約200MHz(約10kHz~約20kHz、約20kHz~約50kHz、約50kHz~約100kHz、約100kHz~約200kHz、約200kHz~約300kHz、約300kHz~約400kHz、約400kHz~約500kHz、約500kHz~約1MHz、約1MHz~約2MHz、約2MHz~約3MHz、約3MHz~約4MHz、約4MHz~約5MHz、約5MHz~約10MHz、約10MHz~約25MHz、約25MHz~約50MHz、約50MHz~約75MHz、約75MHz~約100MHz、約100MHz~約125MHz、約125MHz~約150MHz、または約150MHz~約200MHzなど)の励起周波数で測定される。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、約100Hz~約125kHzの励起周波数で測定される。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、約125kHz以上のサンプリングレートで測定される。
【0136】
図3は、タンパク質または酵素濃度などの分析物濃度の濃度を測定するように構成された例示的なインピーダンスセンサ対を例示する。インピーダンスセンサ対は、試験センサおよび対照センサを含む。生体試料は試験センサに輸送され、対照緩衝液は、対照センサに輸送される。インピーダンスは、試験センサおよび対照センサで測定され、分析物に起因するインピーダンスは、試験センサおよび対照センサで測定されたインピーダンスの間の差である。両方のセンサは、底部基板304上の第1の検知電極302と、第1の検知電極302の反対側の上部基板308上の第2の検知電極306と、を含む。第1の検知電極302は、第1の絶縁層310で被覆され、第2の検知電極306は、第2の絶縁層312で被覆される。第1の誘電体層310は、第1の疎水性層314で被覆され、第2の誘電体層312は、第2の疎水性層316で被覆される。第1の疎水性層314は、試験センサ内の生体試料中の分析物320に特異的に結合する、抗体などの親和性部分318で官能化される。基準センサの第1の疎水性層314もまた、親和性部分318で官能化されるが、生体試料が基準センサに輸送されないため、分析物に結合しない。例示されるセンサ内の第2の疎水性層316は、親和性部分で官能化されないが、他の実施形態では、第2の疎水性層316は、官能化されてもよい。生体試料は、第1の検知電極302と第2の検知電極306との間で試験センサに輸送され、分析物インピーダンス(Z2)が測定され得る。対照緩衝液が基準センサに輸送され、基準インピーダンス(Z1)が測定される。分析物インピーダンス(Z2)と基準インピーダンス(Z1)との間の差は、生体試料中のタンパク質の濃度と相関する。センサは、カートリッジのデバイスインターフェースと電気的に通信する。カートリッジのデバイスインターフェースがデバイス上のカートリッジインターフェースと係合されているとき、デバイスは、親和性部分への分析物の結合の際のインピーダンスの変化または基準インピーダンスを検出するように、インピーダンスセンサを動作させ得る。デバイスは、次いで、検出されたインピーダンスに基づいて分析物濃度を決定し得る。
【0137】
生体試料は、複数のエレクトロウェッティング電極を使用してインピーダンスセンサに輸送される。いくつかの実施形態では、第1の検知電極(または第2の検知電極)は、複数のエレクトロウェッティング電極内の2つのエレクトロウェッティング電極の間に位置付けられる。いくつかの実施形態では、第1の検知電極および/または第2の検知電極は、複数のエレクトロウェッティング電極内のエレクトロウェッティング電極である。この構成では、複数のエレクトロウェッティング電極は、第1の検知電極と第2の検知電極との間の位置に生体試料を輸送し得、第1の検知電極(または第2の検知電極)は、検知電極を活性化することによって、生体試料をセンサ内に静的に保持し得る。デバイス内の、またはデバイスによって動作される電圧切替回路は、エレクトロウェッティング電極に接続され、電極のうちの1つに電圧を印加して、電極を活性化し、生体試料を引き付けて、活性化された電極の上に生体試料自体を位置付け得る。電圧切替回路は、インピーダンス検知回路とエレクトロウェッティング電極供給回路との間を二者択一的に選択するように構成されたスイッチに電気的に接続されている。インピーダンス検知回路は、カートリッジがデバイスと係合されるときに、デバイス内のプロセッサに電気的に接続されるように構成されている。エレクトロウェッティング供給回路は、カートリッジがデバイスと係合されているときに、デバイス内のエレクトロウェッティング電極ドライバに電気的に接続されるように構成され、エレクトロウェッティング電極に電力を供給し得る。
【0138】
図4Aは、複数のエレクトロウェッティング電極と統合された、分析物(例えば、タンパク質、酵素、または電解質)を検出または測定するように構成された例示的なインピーダンスセンサを例示する。複数のエレクトロウェッティング電極は、第1のエレクトロウェッティング電極410、第1の検知電極412、および第2のエレクトロウェッティング電極414を含む。第1のエレクトロウェッティング電極410、第1の検知電極412、および第2のエレクトロウェッティング電極414の反対側には、複数のエレクトロウェッティング電極の接地電極としても作用する、第2の検知電極416がある。第1のエレクトロウェッティング電極410、第1の検知電極412、および第2のエレクトロウェッティング電極414は、第1の絶縁層418で被覆され、第2の検知電極416は、第2の絶縁層420で被覆される。第2の検知電極416は、電極410、412、および414に対する共通電極として示されるが、電極410、412、および414は、個々の電極と対向し得ることが想定される。422の第1の検知電極412の上の位置では、第1の絶縁層418は、生体試料中の標的分析物に特異的に結合する親和性部分で官能化されている。第1のエレクトロウェッティング電極410、第1の検知電極412、および第2のエレクトロウェッティング電極414は、電圧切替回路424に電気的に接続されている。電圧切替回路424は、選択された電極に電圧を印加することによって、第1のエレクトロウェッティング電極410、第1の検知電極412、または第2のエレクトロウェッティング電極414のうちの1つを選択的に活性化し得るか、またはいずれも活性化しなくてもよい。電圧切替回路424は、スイッチ426に電気的に接続され、スイッチ426は、電圧切替回路424をインピーダンス検知回路428またはエレクトロウェッティング電極供給回路430に選択的に接続するように構成されている。インピーダンスセンサは、第1の絶縁層418を被覆する第1の疎水性層432および/または第2の絶縁層420を被覆する第2の疎水性層434を任意選択的に含み得る(
図4B参照)。第1の検知電極412の上の位置436では、第1の疎水性層432は、親和性部分で官能化されている。
【0139】
生体試料は、第1のエレクトロウェッティング電極410に電圧を印加することによって、第1のエレクトロウェッティング電極410に輸送され得る。電圧選択回路424は、第1のエレクトロウェッティング電極410を選択し、スイッチ426は、電圧選択回路424をエレクトロウェッティング電極供給回路430に電気的に接続する。生体試料が第1のエレクトロウェッティング電極410の上に位置付けられた状態で、電圧選択回路424は、第1の検知電極412に対する電圧を選択して印加し、それによって、第1のエレクトロウェッティング電極410を不活性化する。第1の検知電極412を選択することによって、生体試料は、第1の検知電極412に輸送され、生体試料中の標的タンパク質が422で親和性部分に結合し得るように、生体試料が静的に保持され得る。スイッチ426は、インピーダンス検知回路428を電圧選択回路424に電気的に接続し得、それによって、インピーダンスの変化が検出されることを可能にする。インピーダンスの変化は、生体試料ではなく対照溶液を有する類似の基準センサを参照し得る。次いで、生体試料中の標的分析物の濃度が、検出されたインピーダンスに基づいて決定され得る。生体試料の分析が完了すると、スイッチ426は、電圧選択回路424へのエレクトロウェッティング電極供給回路430に電気的に接続し得、電圧選択回路424は、第2のエレクトロウェッティング電極414を選択し、第1の検知電極412を不活性化し、それによって、生体試料をインピーダンスセンサから出て輸送し得る。生体試料は、次いで、異なるセンサによって分析されるか、または廃棄物リザーバに輸送され得る。
【0140】
分析物検出または定量化のためのインピーダンスセンサは、追加的または代替的に、間接分析物検出または定量化方法に依存し得る。間接測定について、分析物(例えば、タンパク質、酵素、または電解質)は、親和性部分に結合され、洗浄緩衝液で洗浄され、イオンまたはプロトンを生成し得る(例えば、プロトンを形成し得る、過酸化水素を生成するために化合物を触媒することによって)第2の親和性部分に結合される。イオンまたはプロトンは、イオン感受性フィルムまたはpH感受性フィルムによって検出され得、イオンまたはプロトンの濃度は、分析物の濃度に比例する。例示的なpH感受性層としては、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム、酸化イリジウム、または酸化クロム-タンタル(CrO2/Ta2O3)が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、イオンまたはプロトンは、pH感受性層またはイオン感受性層を含む、金属酸化物半導体コンデンサ(MOSCap)センサを使用して検出される。
【0141】
分析物の間接検出または定量化のために使用され得る例示的なインピーダンスセンサが
図5Aに示される。
図5Aに例示されるインピーダンスセンサは、MOSCapセンサに隣接する官能化されたエレクトロウェッティング電極を含む。分析物は、親和性部分を使用して官能化されたエレクトロウェッティング電極上で捕捉され、二次親和性部分が、検出のためにMOSCapセンサに流れるイオンまたはプロトンを生成するために分析物に結合されている。エレクトロウェッティング電極は、底部基板504上の第1のエレクトロウェッティング電極502と、第1の電極502の反対側の上部基板508上の任意選択の第2の(接地)エレクトロウェッティング電極506と、を含む。第1のエレクトロウェッティング電極502は、第1の絶縁層510で被覆され、第2のエレクトロウェッティング電極506は、第2の絶縁層512で被覆される。任意選択的に、第1の絶縁層510は、第1のエレクトロウェッティング電極502の上で第1の疎水性層514によって被覆され、第2の絶縁層512は、第2のエレクトロウェッティング電極506の下で第2の疎水性層516によって任意選択的に被覆されている。しかしながら、第1の疎水性層514および第2の疎水性層516は、MOSCapセンサ内に延在しない。第1の疎水性層514(または第1の疎水性層を省略する実施形態では誘電体層510)は、親和性部分518で官能化されている。いくつかの実施形態では、官能化されたエレクトロウェッティング電極は、分析物が親和性部分に結合する際のインピーダンス変化に基づいて、分析物を直接検出または定量化するように構成されている。
【0142】
MOSCapセンサは、第1の基板504上の第1のMOSCap電極520と、第1のMOSCap電極520の反対側の第2の基板508上の第2のMOSCap電極522と、を含む。第1のMOSCap電極520は、第1の半導体層524(例えば、ヒ素化ガリウムまたは窒化ガリウムなどのシリコン、ゲルマニウム、またはガリウム化合物)で被覆され、第2のMOSCap電極522は、第2の半導体層526で被覆されている。この実施形態では、504および508は、524および526とは異なる絶縁もしくは半導体材料、または同じ絶縁もしくは半導体材料であり得る。第1の絶縁層510は、第1の半導体層524の上に延在し、第2の絶縁層512は、第2の半導体層526の上に延在するが、半導体層を被覆する絶縁層は、エレクトロウェッティング電極を被覆する絶縁層とは異なる場合があることが考えられる。第1の検出層528(例えば、pH感受性層またはイオン感受性層)は、MOSCapセンサ内の第1の絶縁層510を被覆し、第2の検出層530(例えば、pH感受性層またはイオン感受性層)は、MOSCapセンサ内の第2の絶縁層512を被覆する。
【0143】
図5Bは、電気モデルと共に、MOSCapセンサの側面図を示す。MOSCapセンサは、基準電極532(例えば、銀もしくは塩化銀電極であってもよく、または任意の他の好適な材料であってもよい)、および対向電極534(例えば、金または任意の他の好適な材料であってもよい)を含む。いくつかの実施形態では、基準電極532および対向電極534は、液体流に沿って位置付けられる(例えば、基準電極532または対向電極534は、第1のMOSCap電極520と第1のエレクトロウェッティング電極502との間に位置付けられ得る)。いくつかの実施形態では、基準電極532および対向電極534は、液体流に隣接して位置付けられる。
【0144】
図6は、
図5Aおよび5Bに例示されるセンサを使用する、直接および間接分析物測定を例示する。ステップ602では、生体試料は、エレクトロウェッティング作動を通じて官能化されたエレクトロウェッティング電極に輸送され、アッセイされることになる分析物は、疎水性層(または、疎水性層が存在しない場合、絶縁層)に付着された親和性部分に結合する。任意選択的に、生体試料は、分析物が結合されると、洗浄される。分析物が親和性部分に結合されると、インピーダンスが、上記のように、分析物濃度を直接測定するために測定され得る。ステップ604では、プロトンを生成するように構成された信号伝達酵素にコンジュゲートされている二次親和性部分が、官能化されたエレクトロウェッティング電極に輸送され、エレクトロウェッティング電極に付着された一次親和性部分に結合された分析物を結合する(絶縁層および/または疎水性層を介して)。ステップ606では、試薬がエレクトロウェッティング電極に輸送され、エレクトロウェッティング電極は、信号伝達酵素によって触媒されて、プロトンを生成するために分解する過酸化水素を生成し得る。プロトンは、ステップ608でMOSCapセンサに流れ、pH感受性層の変化が、プロトンに応答してインピーダンスを変調する。変調されたインピーダンスは、MOSCapセンサを使用して検出され、生体試料中の分析物の濃度に比例する。
【0145】
いくつかの実施形態では、インピーダンスセンサは、絶縁層のうちの1つ(または存在する場合、絶縁層を被覆する疎水性層)が親和性部分で官能化されている、MOSCapセンサである。反対側の絶縁層は、pH感受性層またはイオン感受性層で被覆されている。MOSCapセンサのこの構成は、同じMOSCapセンサでの直接の分析物検出または濃度測定(官能化された表面を介して)および間接の分析物検出(pH感受性層またはイオン感受性層を介して)を可能にする。
【0146】
チャネルセンサ
カートリッジは、追加的または代替的に、生体試料中の細胞(もしくは細胞の1つ以上のタイプ)または分析物(タンパク質または酵素など)を検出または定量化するように構成されている、チャネルセンサを含み得る。いくつかの実施形態では、カートリッジ内の1つ以上のチャネルセンサは、フローサイトメータを含む。フローサイトメータは、例えば、赤血球、血小板、および/または白血球(または好酸球、好塩基球、好中球、単球、および/もしくはリンパ球などの1つ以上の異なるタイプの白血球)などの複数の異なる細胞タイプを検出し、それらを識別するように構成され得る。いくつかの実施形態では、カートリッジ内の1つ以上のチャネルセンサは、フロー分析物センサを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のチャネルセンサは、フローサイトメータおよびフロー分析物センサの両方として構成され得、同一のチャネル内の機能のために(すなわち、フローサイトメータまたはフロー分析物センサとして機能するように)別個に構成された複数の異なる電極セット(各々、2つ、3つまたはそれ以上の電極を含有する)を任意選択的に含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、試料(例えば、血液試料)は、チャネルセンサによって分析される(例えば、異なる細胞タイプを計数および/または区別するために)前に処理されない(例えば、1つ以上の試薬と混合することによって)。例えば、全血(希釈または処理され得るが、必須ではない)は、チャネルセンサを通過して、全血試料内の細胞を計数または区別し得る。いくつかの実施形態では、試料は、例えば、分析前に、試料を希釈すること、特定の細胞タイプをラベル付けすること、または特定の細胞タイプ(例えば、赤血球)を溶解することによって、分析前に処理される。いくつかの実施形態では、試料は、分析前に試料を希釈することのみによって処理され(すなわち、標識または溶解が必要とされない)、分析前に追加の処理ステップが必要とされない。試料は、例えば、試料を1つ以上の試薬と混合することによって処理され得る。
【0148】
チャネルセンサは、コールター原理を使用するインピーダンス検知に基づく。コールター原理を使用して、マイクロ細孔またはマイクロチャネル(あるいはナノ細孔またはナノチャネル)の側部またはその内部に対となるインピーダンス検出電極を有する流体充填されたマイクロ細孔またはマイクロチャネル(あるいはナノ細孔またはナノチャネル)は、単一の粒子(細胞など)が細孔またはチャネルを通過することに起因するインピーダンス変調を検出することができる。細孔またはチャネル内の抵抗または低周波インピーダンスの変化は、次式に従って粒子のサイズに比例する:
式中、R
chは、チャネルまたは細孔の抵抗であり、ΔR
chは、粒子がチャネルまたは細孔を通過したときのチャネルまたは細孔抵抗の変化であり、dは、粒子の直径である。細孔またはチャネルを通って流れる細胞などの粒子から結果的に生じる多重化されたインピーダンス変動は、粒子のサイズ、粒子の構造、粒子の組成物、または粒子の表面特性などの、粒子の種々の特性に依存する。インピーダンスは、実数成分および虚数成分を含み、成分の一方または両方は、多重化されたインピーダンス信号(すなわち、複数の周波数でのインピーダンス信号)を生成する細胞のタイプを決定するために分析され得る。あるいは、実数および/または虚数成分から測定および/または導出され得る、多重化されたインピーダンスの大きさ成分および位相成分が、多重化されたインピーダンス信号(すなわち、複数の周波数でのインピーダンス信号)を生成する細胞のタイプを決定するために分析され得る。
【0149】
チャネルセンサは、生体試料(試料を希釈するために、および/または周囲緩衝液のpHもしくは電解質濃度を変化させるために、カートリッジ内で処理される)が通過し得るマイクロ細孔またはマイクロチャネル(あるいはナノ細孔またはナノチャネル)を含有するチャネルを含む。マイクロ細孔またはマイクロチャネルは、第2のチャネルセグメントから第1のチャネルセグメントを分割し、生体試料は、全チャネルを通って連続的に流れる。生体試料は、エレクトロウェッティング作動ではなく毛細管作用によってセンサを通過するが、エレクトロウェッティング電極は、生体試料をチャネルセンサ内に導入するか、またはチャネルセンサから生体試料を引き出すために使用され得る。チャネルセンサは、電流をマイクロ細孔またはマイクロチャネルに印加し、マイクロ細孔またはマイクロチャネル内のインピーダンスを検出するように構成されたインピーダンス検出電極セット(例えば、インピーダンス検出電極対)をさらに含む。インピーダンス検出電極は、チャネルセンサを通って流れる液体と接触するように構成されている。例えば、インピーダンス検出電極は、絶縁層(ガラスなど)によってセンサから分離される必要はない。加えて、本明細書にさらに議論されるように、検出された電気信号の多変量分析は、異なる細胞タイプの高分解能検出を提供する。それゆえに、基準電極は、チャネルセンサに必要ない。
【0150】
図7は、第1のチャネルセグメント702、第2のチャネルセグメント704、および第1のチャネルセグメント702と第2のチャネルセグメント704との間のマイクロチャネル706を有するチャネルセンサの例示的なチャネルの画像を示す。マイクロチャネルは、直径50μmである。
【0151】
いくつかの実施形態では、マイクロ細孔またはマイクロチャネル(あるいはナノ細孔またはナノチャネル)の直径は、分析物(例えば、タンパク質)検出の場合、約10nm~約1μm、またはフローサイトメータの場合、約5μm~約100μmである。いくつかの実施形態では、マイクロ細孔またはマイクロチャネル(あるいはナノ細孔またはナノチャネル)の直径は、分析物(例えば、タンパク質)検出の場合、約5nm~約1μmである。例えば、いくつかの実施形態では、分析物検出の場合のナノ細孔またはナノチャネルの直径は、約5nm~約10nm、約10nm~約20nm、約20nm~約50nm、約50nm~約100nm、約100nm~約150nm、または約150nm~約200nmであってもよい。いくつかの実施形態では、フローサイトメータは、約5μm~約10μm、約10μm~約25μm、約25μm~約50μm、または約50μm~約100μmなどの約5μm~約100μmの直径を有するマイクロ細孔またはマイクロチャネルを含む。直径のサイズは、所望の分析に基づいて選択され得、特定の細胞タイプは、異なる細孔径を使用してより正確に計数され得る。例えば、平均直径が約1~3μmの血小板は、好ましくは、約5μm~約25μmの直径を有するマイクロ細孔またはマイクロチャネルを有するチャネルセンサを使用して計数されるが、ラガー直径が測定に使用されてもよい。白血球について、マイクロ細孔またはマイクロチャネルの直径は、好ましくは、約50μmなどの約40μm~約100μmである。
【0152】
チャネルセンサは、チャネルまたは細孔(例えば、マイクロチャネルもしくはナノチャネル、またはマイクロ細孔もしくはナノ細孔)内のインピーダンスを検出するように構成された2つ以上の検出電極を含み得る。いくつかの実施形態では、検出電極は、対(例えば、作用電極および対向電極)で動作するように構成されている。いくつかの実施形態では、検出電極は、三つ組(例えば、作用電極、対向電極、および基準電極)として動作するように構成されている。いくつかの実施形態では、検出電極は、インピーダンスを検出するように動作する電極の組(例えば、一組の2つまたは3つの電極)内に静的に位置付けられる。いくつかの実施形態では、電極は、インピーダンスを検出するための組として(例えば、カートリッジを動作させるデバイスによって)動的にグループ化される。例えば、デバイスは、マイクロチャネルまたはナノチャネル内の電極を選択するスイッチを動作させ得、選択された電極は、インピーダンスを検出するために使用される。電極は、例えば、電極の間隔および検出または測定される分析物または細胞のタイプに基づいて選択され得る。
【0153】
マイクロチャネルの長さは、概して、マイクロチャネルの直径よりも大きい。検出電極は、マイクロチャネル内か、マイクロチャネルの外側部分上か(すなわち、検出電極間の空間内のマイクロチャネルと共に)、またはその両方に配置され得る。いくつかの実施形態では、マイクロチャネルの長さは、約0.005mm以上、約0.01mm以上、約0.05mm以上、約0.1mm以上、約0.5mm以上、約1mm以上、約1.5mm以上、約2mm以上、約3mm以上、または約4mm以上などの、約0.001mm以上である。いくつかの実施形態では、マイクロチャネルの長さは、約4mm以下、約3mm以下、約2mm以下、約1.5mm以下、約1mm以下、約0.5mm以下、約0.1mm以下、約0.05mm以下、約0.01mm以下、または約0.005mm以下などの、約5mm以下である。いくつかの実施形態では、マイクロチャネルの長さは、約0.001mm~約0.05mm、約0.05mm~約0.1mm、約0.1mm~約0.5mm、約0.5mm~約1mm、約1mm~約1.5mm、約1.5mm~約2mm、約2mm~約3mm、約3mm~約4mm、または約4mm~約5mmなどの、約0.001mm~約5mmである。チャネル(例えば、マイクロチャネルまたはナノチャネル)は、任意選択的に2つ以上の組にグループ化される、チャネルの長さに沿った複数の検出電極(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれ以上)を含み得る。2つ以上の電極の組は、重複または異なるインピーダンス測定を取得するために使用され得る。重複インピーダンス測定は、例えば、信号平均化による検出を改善するために行われ得る。異なるインピーダンス測定は、例えば、異なる細胞タイプまたはサイズを測定するための検出感度を改善し得る、電極の異なる間隔に依存し得る。
【0154】
インピーダンスを測定するための検出電極の間隔は、測定される粒子のサイズに応じて検出感度に影響を与え得る。より狭い間隔の電極は、より小さい粒子を測定するために一般的に好ましいが、電極のより広い間隔は、より大きい粒子の測定を可能にする。しかしながら、電極は、電極間の複数の粒子がそれらの同じ粒子を測定することを可能にするように、あまり広く離隔されないべきである。例えば、いくつかの実施形態では、検出電極は、分析物(例えば、ヘモグロビンなどのタンパク質)を測定または検出するために、約5nm~約100nm(例えば、約5nm~約10nm、約10nm~約25nm、約25nm~約50nm、または約50nm~約100nm)離隔される。いくつかの実施形態では、検出電極は、例えば、血小板を検出または測定するために、約1μm~約5μm(例えば、約1μm~約1.5μm、約1.5μm~約2μm、約2μm~約3μm、約3μm~約4μm、または約4μm~約5μm)離隔される。いくつかの実施形態では、検出電極は、例えば、赤血球を検出または測定するために、約5μm~約10μm(例えば、約5μm~約6μm、約6μm~約7μm、約7μm~約8μm、約8μm~約9μm、または約9μm~約10μm)離隔される。いくつかの実施形態では、検出電極は、例えば、白血球を検出または測定するために、約5μm~約25μm(例えば、約5μm~約10μm、約10μm~約15μm、約15μm~約20μm、または約20μm~約25μm)離隔される。したがって、チャネル内に異なる間隔の検出電極を含むことによって、同じチャネルが、異なる分析物および/または細胞タイプを検出するために使用され得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、センサのチャネルの幾何学形状は、均一であるか、またはほぼ均一である(すなわち、チャネルの直径は、一定であるか、またはほぼ一定である)。いくつかの実施形態では、センサのチャネルの幾何学形状は、先細りである(すなわち、チャネルの直径は、チャネルの長さに沿って増減する)。チャネルの先細りの幾何学形状は、異なるチャネル直径を使用して、チャネルの長さに沿った異なる位置で単一フローが分析されることを可能にする。いくつかの実施形態では、センサのチャネルの幾何学形状は、1つ以上の波(すなわち、直径の増加に続いて、対応する直径の減少)を含み、任意選択的に、1つまたは検出電極のものは、波内に位置付けられ得る。
【0156】
インピーダンス検出電極対は、マイクロチャネル(もしくはナノチャネル)の長さに沿ってマイクロチャネル(もしくはナノチャネル)内で、あるいはマイクロ細孔もしくはマイクロチャネル(またはナノ細孔もしくはナノチャネル)内で共平面構成において、マイクロ細孔もしくはマイクロチャネル(またはナノ細孔もしくはナノチャネル)のいずれかの側部に位置し得る。例えば、
図8Aは、第1のチャネルセグメント804内の第1のインピーダンス検出電極802、および第2のチャネルセグメント808内の第2のインピーダンス検出電極806を有し、第1のチャネルセグメント804と第2のチャネルセグメント808との間にマイクロ細孔またはマイクロチャネル810を有する、チャネルセンサの上面図および側面図を例示する。例示される実施形態では、第1のインピーダンス検出電極802および第2のインピーダンス検出電極806の両方は、チャネルセンサの下面上に位置付けられるが、第1のインピーダンス検出電極802および第2のインピーダンス検出電極806は、チャネルセンサの上面上に位置付けられてもよいと考えられる。
図8Bは、第1のチャネルセグメント814に隣接するマイクロチャネル820内の第1のインピーダンス検出電極812、および第2のチャネルセグメント818に隣接するマイクロチャネル内の第2のインピーダンス検出電極816を有する、チャネルセンサの上面図および側面図を例示する。例示される実施形態では、第1のインピーダンス検出電極812および第2のインピーダンス検出電極816の両方は、マイクロチャネルの下面上に位置付けられるが、第1のインピーダンス検出電極812および第2のインピーダンス検出電極816は、マイクロチャネルの上面上に位置付けられてもよいと考えられる。
図8Cでは、チャネルセンサは、マイクロチャネル826(またはナノ細孔もしくはナノチャネル)内に位置付けられた第1のインピーダンス検出電極822および第2のインピーダンス検出電極824を含み、第1のインピーダンス検出電極822は、第2のインピーダンス検出電極824の上に位置付けられている(すなわち、第1のインピーダンス検出電極822は、上面上にあり、第2のインピーダンス検出電極824は、下面上にあり、第1のインピーダンス検出電極822は、第2のインピーダンス検出電極824と位置合わせされている)。
【0157】
図8Dは、同じチャネル内に2組の検出電極を有する例示的なチャネルセンサを示す。センサは、チャネル(例えば、マイクロチャネル)832によって分離された第1のチャネルセグメント828および第2のチャネルセグメント830を含む。センサは、チャネル832の長さに沿って位置付けられ、かつチャネル832内のインピーダンスを測定するように構成された、第1の組の検出電極834および第2の組の検出電極836を含む。第1の組の検出電極834は、作用電極838、対向電極840、および作用電極838と対向電極840との間に位置付けられた任意選択の基準電極842を含む。同様に、第2の組の検出電極836は、作用電極844、対向電極846、および作用電極844と対向電極846との間に位置決めされた任意選択の基準電極848を含む。第1の組の検出電極834内の作用電極838と対向電極840との間の間隔は、第2の組の検出電極836内の作用電極844と対向電極846との間の間隔とは異なる(そして、例示された例では、より大きい)。したがって、
図8Dに例示される例示的なチャネルセンサでは、第1の組の検出電極834は、第2の組の検出電極836よりも大きい粒子を検出するように最適化される。
図8Eは、チャネル832が波850を含み、電極が波の中に別々に位置付けられていることを除いて、
図8Dに例示されるチャネルセンサと同様の例示的なチャネルセンサを示す。波の間のチャネルの直径は、波自体よりも狭い。
【0158】
図8Fは、複数の検出電極858a~858pがチャネル852の長さに沿って位置付けられた状態の第1のチャネルセグメント854と第2のチャネルセグメント856との間のマイクロチャネル852の例示的な実施形態を示す。例示された例では、電極858a~858pppは、均等に離隔されているが、代替的な実施形態では、電極は、不均等に離隔される。電極の対が、インピーダンスを測定するために動的に選択され得る。
【0159】
インピーダンス検出電極に加えて、チャネルセンサは、1つ以上のフロー検出電極対および/または1つ以上の分離電極を任意選択的にさらに含み得る。フロー検出電極対は、マイクロ細孔もしくはマイクロチャネル(またはナノ細孔もしくはナノチャネル)のいずれかの側部上に位置付けられ得、かつ液体フローを検出するように構成される。いくつかの実施形態では、センサは、マイクロ細孔もしくはマイクロチャネル(またはナノ細孔もしくはナノチャネル)の第1の側部上(すなわち、第1のチャネルセグメント内)の第1のフロー検出電極対と、マイクロ細孔もしくはマイクロチャネル(またはナノ細孔もしくはナノチャネル)の第2の側部上(すなわち、第2のチャネルセグメント内)の第2のフロー検出電極対とを含む。フロー検出電極対は、電流(DC電流など)を印加し、電圧変化を検出する(または電圧を印加し、電流変化を検出する)ことによって、センサが洗浄緩衝液、開始緩衝液、または他の対照試薬などの液体で充填されていることを検証する。デバイスが、フロー検出電極対と電気的に通信することによってセンサが液体で充填されていることを検証すると、デバイスは、カートリッジ内のエレクトロウェッティング電極を動作させて、生体試料をチャネルセンサ内に輸送し得る。
【0160】
マーカ(気泡または低導電性溶液など)が、対照試薬を生体試料から分離するために導入され得る。気泡マーカは、例えば、液体フローを停止させるようにエレクトロウェッティング電極を動作させることによって、チャネルセンサの入口からの液体フローを中断させることによって導入され得る。毛細管作用が、チャネル内の液体を、チャネルセンサを通って流し続け、気泡が生成される。マーカが気泡である場合、気泡が細孔またはチャネルを通過することを防止するために、気泡トラップがチャネルセンサ内に含められ得る。気泡トラップは、液体ではなく空気の拡散を可能にする選択性の膜を含み得る。いくつかの実施形態では、マーカは、グリセロールまたは油(例えば、シリコン油、植物油、もしくはオリーブ油)などの混和性液体である。次いで、液体は、チャネルセンサ内に導入され、気泡を2つの流体フローの間に位置付けさせ得る。
【0161】
次いで、マーカの検出は、生体試料がチャネルセンサ内に導入されていることを確認し、データ取得が開始される。マーカはまた、例えば、マーカの体積ならびにフロー検出電極を横切るマーカの開始および終了時点に基づいて、センサ内の液体の流量を動的に決定するために使用され得る。チャネルセンサ内の液体の流量を知ることは、生体試料中の粒子(例えば、細胞)濃度の定量化を可能にする。粒子濃度は、単位時間に通過する粒子の数を流量で除算することによって決定される。粒子濃度はまた、または代替的に、粒子の総数を、チャネルセンサを通過する体積で除算することよって取得され得る。検出されたインピーダンス信号のピーク幅はまた、流量から計算され、かつパルス幅から測定され得る、チャネルを通る粒子速度の関数でもある。粒子速度は、検出された信号のパルス幅の変動に基づいて、チャネルを通る粒子の転流経路の決定を可能にする。これは、測定された信号の大きさへの誤差補正の適用を可能にし、それによって、チャネルの中心軸から離れてチャネルを通過する粒子の信号強度の補正を可能にする。変動は、チャネルを通過するより小さい粒子に対してより顕著であろう。例えば、1~5μmの粒子が50μmのチャネルを通過する場合、粒子は、チャネルの中心(真の大きさを示す)またはより大きい信号振幅を引き起こす縁のうちのいずれか一方の、チャネルを通るいくつかの経路をとり得る。あるいは、粒子または細胞は、チャネルの中心と縁との間の経路をとり得、2つの信号強度間の増大した振幅を結果的にもたらす。
【0162】
分離電極は、チャネルセンサの入口または出口に近位に位置付けられ、接地電極として機能し得る。接地(分離)電極は、チャネルセンサを、エレクトロウェッティング電極の動作に起因する電気活性などの、カートリッジ内の他の箇所からの電気活性から分離する。それゆえに、分離電極は、チャネルセンサ内の電気ノイズを最小限に抑える。
【0163】
図9は、一対のインピーダンス検出電極、2対のフロー検出電極、および2つの分離電極を含むチャネルセンサの上面図および側面図を示す。第1の組のエレクトロウェッティング電極902は、対照試薬または生体試料がセンサ内に輸送され得るようにセンサの入口に隣接し、第2の組のエレクトロウェッティング電極904は、対照試薬または生体試料がセンサから離れて輸送され得るように、センサの出口に隣接する。センサ内で、対照試薬または生体試料は、毛細管作動によって輸送される。センサは、マイクロ細孔906の反対側に第1のインピーダンス検出電極908および第2のインピーダンス検出電極910を有するマイクロ細孔906を含む。
図9に例示される実施形態は、マイクロ細孔のいずれかの側部のインピーダンス検出電極を示すが、他の構成が企図される(
図8A~8C参照)。センサは、第1の対のフロー検出電極912および914、ならびにマイクロ細孔906のいずれかの側部上の第2の対のフロー検出電極916および918をさらに含む。フロー検出電極は、インピーダンス検出電極よりもマイクロ細孔をさらに形成するように位置付けられる。センサは、センサの入口に近位の第1の分離電極920と、センサの出口に近位の第2の分離電極922とをさらに含む。
【0164】
図10は、
図9に示されるチャネルセンサの動作の開始を示し、下のプロットは、第1の対のフロー検出電極912および914によって検出されたDC電圧を示す。開始時、エレクトロウェッティング電極は、流体(例えば、対照試薬)をチャネル内に輸送する。液体が電極と接触していないため、この第1のステップでのフロー検出電極によって検出される電圧は、最小である。第2のステップで液体がチャネルに入ると、センサ内への液体のエレクトロウェッティング輸送は、センサを通る毛細管フローを導出し、これは、センサが第3のステップで充填されるまで、フロー検出電極によって検出される電圧を増加させる。マーカ(対照試薬に対する気泡または低導電性緩衝液など)が、センサ内に導入され、対照試薬を生体試料から分離する。マーカが第4のステップでフロー検出電極に到達すると、フロー検出電極によって検出される電圧が低下する。電圧の低下は、センサ内への生体試料の導入をデバイスに信号伝達し得、データ収集が開始され得る。
【0165】
チャネルセンサは、例えば、異なる条件下(例えば、異なるpHもしくは電解質濃度)または異なる希釈液下で、分析物または細胞を測定するために、複数の分析サイクルで使用され再利用され得る。細胞を取り囲む試薬の異なるpHまたは電解質濃度は、細胞の表面電荷を調節し得、異なる表面電荷の変化は、異なる細胞タイプと関連付けられ得る。生体試料は、カートリッジ内で異なる試薬または異なる量の試薬と混合(または連続希釈)され得る複数の小口試料に分割され得、処理された小口試料のうちの1つ以上は、チャネルセンサを通して循環され得る。小口試料は、対照緩衝液によって分離され、対照緩衝液自体は、マーカ(気泡または低導電性緩衝液など)によって小口試料から分離され得る。
【0166】
生体試料は、1つ以上の試薬と生体試料を混合することによってカートリッジ内で希釈され得る。いくつかの実施形態では、生体試料は、チャネルセンサによってアッセイされる前に、例えば、約0.00001倍~約1倍未満(例えば、約0.00001倍~約0.0001倍、約0.0001倍~約0.001倍、約0.001倍~約0.01倍、約0.01倍~約0.1倍、または約0.1倍~約1倍未満)に、1つ以上の異なる濃度に希釈される。分割された生体試料のpHは、生体試料が3.0~約9.0(例えば、約3.0~約3.5、約3.5~約4.0、約4.0~約4.5、約4.5~約5.0、約5.0~約5.5、約5.5~約6.0、約6.0~約6.5、約6.5~約7.0、約7.0~約7.5、約7.5~約8.0、約8.0~約8.5、および/または約8.5~約9.0)などの1つ以上のpHレベルでアッセイされ得るようにカートリッジ内で調整され得る。いくつかの実施形態では、アッセイされた生体試料のpHは、7.4である。カートリッジは、生体試料のpHを調整するためのいくつかの異なる試薬を含み得るか、または所望のpHを取得するために生体試料とある割合で混合される2つの試薬を含み得る。いくつかの実施形態では、生体試料が分割され、処理されて、合計約1~約50個の異なる生体小口試料について、1~10個の異なるpHレベルでの1~5個の異なる試料濃度を取得する。
【0167】
図11は、マーカが、どのように、センサを使用してデータ収集のトリガとして使用されるかを例示し、サイクルは、異なる生体小口試料について繰り返され得る。流体をチャネルセンサ内に導入する前に(「フローなし」)、液体フローおよび流量は、ゼロであり、フロー検出電極によって測定される電圧は、最小であるか、または測定されない。対照試薬がチャネルセンサに導入されるにつれて、センサを通って流れる液体の流量が増加し、対照試薬がフロー検出電極対を横切って流れるにつれて、センサ入口付近のフロー検出電極対によって測定される電圧が増加する。
図11に示されるように、フロー検出電極対によって検出される電圧の増加は、データ取得をトリガするが、データ取得用のトリガは、第1のマーカの検出であり得ることが想定される。対照試薬は、マーカによって生体試料(または、センサが複数の処理された小口試料を分析するために複数のサイクルで使用される場合は、生体小口試料)から分離される。マーカがセンサを通って流れ、液体フローが低下する(気泡マーカを想定する)。フロー検出電極の上を通過するマーカは、
図11に示されるように、生体試料がセンサに入るまで、測定された電圧を低下させる。生体試料の入口は、測定された電圧の増加によってマーキングされるように、フロー検出電極によって検出される。第2のマーカによって生体試料から分離され得る第2の対照試薬(第1の対照試薬と同じであってもよく、または異なってもよい)が、生体試料に続く。第2のマーカがチャネルセンサを通って流れ、液体フローが低下する(第2のマーカが気泡であると仮定する)。マーカはまた、測定された電圧の低下によって、フロー検出電極によって検出される。マーカによって引き起こされる電圧降下、またはマーカの通過の検出は、データ収集の終了を任意選択的にトリガし得る。第2の対照試薬がセンサに入ると、第2の対照試薬を生体試料の次のサイクルから分離する次のマーカが検出されるまで、フロー検出電極によって測定される電圧が増加する。次いで、サイクルは、所望のサイクル数に達するまで、このパターンで繰り返し続け得る。
【0168】
図12は、カートリッジ内のチャネルセンサを使用して生体試料をアッセイする例示的な方法を例示する。デバイスは、デバイス内に挿入されたカートリッジに基づいて、またはデバイスへの試験タイプの手動入力によって、実施される試験タイプを決定し得る。試験の開始時に、生体試料が入力ポートに添加され、試料がエレクトロウェッティング作動を通じて混合領域に移される。生体試料上で行われている試験に基づいて、生体試料は、所定数の異なるpH条件を取得するように処理され、生体試料は、異なるpH条件の数に分割される。pH調整試薬は、例えば、所望のpHレベルで所望の数(x)の異なるpH調整試薬を取得するために、所定の割合で高pH成分および低pH成分を混合することによって、カートリッジ内で調製される。次いで、小口試料は、pH調整試薬と混合される(すなわち、小口試料[n]がpH調整試薬[n]と混合され、小口試料[n+1]がpH調整試薬[n+1]と混合されるなど)。いくつかの実施形態では、小口試料は、等張pH(7.4)で分析され、その小口試料のpHは、調整されない。次いで、小口試料は、所望の濃度に希釈される(または連続希釈される)。加えて、対照試薬が調製され、これは、生体試料(細胞、分析物など)を含有せずに、処理された生体小口試料の条件に類似する。対照試薬が異なるpH条件の各々について調製される。第1の対照試薬(すなわち、小口試料[n]についての)は、チャネルセンサ内に輸送され、マーカ(気泡または低導電性流体など)が後に続く。次に、第1の小口試料(すなわち、所望の濃度の小口試料[n])が、チャネルセンサ内に輸送され、別のマーカおよび次の対照試薬(または、次の小口試料が異なる希釈率を有する同じ試薬条件を有する場合、同じ対照試薬)が後に続く。別のマーカがチャネルセンサ内に導入され、次の小口試料が後に続く。このサイクルは、小口試料がチャネルセンサによって分析されるまで繰り返される。
【0169】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるチャネルセンサは、細胞数または1つ以上の細胞タイプ(例えば、白血球、血小板、または赤血球)の数を検出するように構成されている、フローサイトメータである。細孔またはチャネルを通って流れる細胞の電気モデルが、
図13に示されている。モデルでは、C
pは、細胞膜、細胞質、および細胞核の組み合わせからの静電容量を指し、R
pは、細胞からの抵抗を指し、かつ細胞体積を示し、C
fおよびR
fは、それぞれ、細胞を取り囲む流体の静電容量および抵抗を指し、これらは、流体の電解質濃度またはpHに基づいて変化し得、C
dlは、二重層静電容量を指す。
【0170】
フローサイトメータは、多重化された電流を印加し、かつ細胞がマイクロ細孔またはマイクロチャネルを通って流れる際に、マイクロ細孔またはマイクロチャネルにわたる多重化されたインピーダンスを検出することによって動作し得る。多重化された電流中の任意の所与の電流周波数でのインピーダンスは、実数成分および虚数成分を含み得、インピーダンス成分の一方または両方は、異なる周波数で分析され得る。あるいは、多重化された電流中の任意の所与の電流周波数でのインピーダンスは、大きさ成分および位相成分を含み得、インピーダンス成分の一方または両方は、異なる周波数で分析され得る。フローサイトメータチャネルセンサは、生体試料中の異なる細胞タイプを識別するように構成され得る。例えば、多重化された電流に対するインピーダンスは、白血球、赤血球、および血小板などの生体試料中の異なる細胞タイプを区別するために使用され得る。いくつかの実施形態では、フローサイトメータチャネルセンサは、好酸球、好塩基球、好中球、単球、およびリンパ球を識別し得る。異なる細胞タイプは、複数の異なる電流周波数(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上の異なる電流周波数)で実および/または虚インピーダンス成分を含み得る、各細胞タイプについての固有のインピーダンス特性に基づいて識別され得る。あるいは、異なる細胞タイプは、複数の異なる電流周波数(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上の異なる電流周波数)で、測定された実および虚インピーダンス成分から直接測定されたかまたは導出された、大きさおよび位相インピーダンス成分を含み得る、各細胞タイプについての固有のインピーダンス特性に基づいて識別され得る。いくつかの実施形態では、同じ電極対または異なる電極対が、電流を印加し、かつインピーダンスを測定するために使用され得る。本明細書に説明されるフローサイトメータ設計によると、カートリッジは、各細胞タイプについて細胞数を取得するために異なる細胞タイプを分離する必要がない。
【0171】
インピーダンス検出電極対は、マイクロ細孔またはマイクロチャネルを通して多重化された電流を同時に提供し、生体試料がセンサを通って流れる期間にわたってインピーダンスを決定するために電圧を測定するように構成されている。多重化された電流は、(1)直流成分または低周波交流、および(2)異なる周波数の複数(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つまたはそれ以上)の交流成分を含む。好ましくは、多重化された電流は、少なくとも3つの交流成分を含む。別の好ましい実施形態では、多重化された電流は、少なくとも5つの交流成分を含む。
【0172】
1つ以上の周波数で検出されたインピーダンスは、マイクロ細孔またはマイクロチャネルを通過する細胞タイプ(例えば、白血球、赤血球、もしくは血小板、または好酸球、好塩基球、好中球、単球、もしくはリンパ球などの特定の白血球タイプ)を区別し得る。異なる粒径、核の存在または非存在、および他の細胞特徴は、異なる電流成分でのインピーダンスに影響を与え得る。直流または低周波電流成分は、異なる細胞サイズを決定するために使用され得る。直流または低周波電流は、電極-電解質(周囲の液体からの)界面での電圧降下の影響を最小化または排除し、それによって、電気モジュール内の二重層静電容量を最小化する。結果として生じるインピーダンスの影響は、粒子(例えば、細胞)サイズに関連する。中周波交流は、細胞質および細胞膜の影響を受ける部分細胞静電容量に関する。高周波交流成分は、細胞質および核(存在する場合)を特徴付けるために使用され得、超高周波交流は、細胞核(存在する場合)の静電容量に関する。多重化された電流は、異なる細胞タイプをより良好に識別するために追加の周波数を含み得る。
【0173】
いくつかの実施形態では、交流成分は、(1)約1kHz~約100kHz(例えば、約1kHz~約10kHz、約10kHz~約20kHz、約20kHz~約30kHz、約30kHz~約40kHz、約40kHz~約50kHz、約50kHz~約60kHz、約60kHz~約70kHz、約70kHz~約80kHz、約80kHz~約90kHz、または約90kHz~約100kHz)での直流または低周波交流、(2)約100kHz~約700kHz(約100kHz~約200kHz、約200kHz~約300kHz、約300kHz~約400kHz、約400kHz~約500kHz、約500kHz~約600kHz、約600kHz~約700kHzなど)での中周波交流、(3)約700kHz~約5MHz(約700kHz~約800kHz、約800kHz~約900kHz、または約900kHz~約1000kHz、または約1MHz~約2MHz、約2MHz~約3MHz、約3MHz~約4MHz、または約4MHz~約5MHzなど)の高周波交流、および(4)5MHz以上(約5MHz~10MHz、約10MHz~約20MHz、約20MHz~約30MHz、約30MHz~約40MHz、約40MHz~約50MHz、約50MHz~約60MHz、約60MHz~約70MHz、約70MHz~約80MHz、約80MHz~約90MHz、または約90MHz~約100MHzなど)の超高周波交流を含む。別の実施形態では、多重化された電流は、(1)約1kHz~約100kHz(例えば、約1kHz~約10kHz、約10kHz~約20kHz、約20kHz~約30kHz、約30kHz~約40kHz、約40kHz~約50kHz、約50kHz~約60kHz、約60kHz~約70kHz、約70kHz~約80kHz、約80kHz~約90kHz、または約90kHz~約100kHz)での直流または交流、(2)約50kHz~約250kHz(約50kHz~約70kHz、約70kHz~約90kHz、約90kHz~約110kHz、約110kHz~約130kHz、約130kHz~約150kHz、約150kHz~約200kHz、または約200kHz~約250kHzなど)での交流、(3)約250kHz~約700kHz(約250kHz~約300kHz、約300kHz~約350kHz、約350kHz~約400kHz、約400kHz~約500kHz、約500kHz~約600kHz、または約600kHz~約700kHzなど交流、(4)約700kHz~約5MHz(約700kHz~約800kHz、約800kHz~約900kHz、または約900kHz~約1MHz、または約1MHz~約2MHz、約2MHz~約3MHz、約3MHz~約4MHz、または約4MHz~約5MHzなど)の交流、(5)約5MHz~約20MHz(約5MHz~10MHz、約10MHz~約15MHz、または約15MHz~約20MHzなど)の交流、および(6)約20MHz以上(約20MHz~約30MHz、約30MHz~約40MHz、約40MHz~約50MHz、約50MHz~約60MHz、約60MHz~約70MHz、約70MHz~約80MHz、約80MHz~約90MHz、約90MHz~約100MHz、約100MHz~約125MHz、または約125MHz~約150MHzなど)の交流を含む。いくつかの実施形態では、複数の交流成分は、約50kHz~約250kHzの第1の交流、約250kHz~約700kHzの第2の交流、約700kHz~約5MHzの第3の交流、約5MHz~約20MHzの第4の交流、および約20MHz~約150MHzの第5の交流を含む。いくつかの実施形態では、交流は、細胞のサイズを決定するために有用であり得る、約100kHz以下、または約50kHz以下の追加の交流をさらに含む。交流成分の周波数は、塩濃度、チャネルもしくは細孔サイズ、電極サイズ、間隔もしくは材料、または計数される特定の細胞に基づいて選択され得る。
【0174】
いくつかの実施形態では、多重化された電流は、カートリッジ内のインピーダンス検出電極に送信される前に、アナログ電流成分として生成され、デバイスを使用してリアルタイムで混合される。例えば、デバイスは、ダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)およびデジタルアナログ変換器(DAC)を使用して、アナログ信号(例えば、多重化されたアナログ信号)を生成および送信する、デジタル信号シンセサイザ(DSS)モジュールを含み得る。あるいは、いくつかの実施形態では、多重化された電流信号は、任意波形生成器(AWG)を使用して生成され、メモリまたはルックアップテーブル(LUT)に記憶された多重化された信号のデジタルサンプルは、可変周波数クロックを使用してアナログ形態に変換される。
【0175】
インピーダンスがインピーダンス検出電極によって測定されると、生体試料中の細胞は、マイクロ細孔またはマイクロチャネルを通過する。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、約10kHz以上(約20kHz以上、約50kHz以上、約100kHz以上、約200kHz以上、約300kHz以上、約400kHz以上、約500kHz以上、約1MHz以上、約5MHz以上、約10MHz以上、約25MHz以上、約50MHz以上、約75MHz以上、約100MHz以上、約125MHz以上、または約150MHz以上など)のサンプリングレートで測定される。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、約10kHz~約200MHz(約10kHz~約20kHz、約20kHz~約50kHz、約50kHz~約100kHz、約100kHz~約200kHz、約200kHz~約300kHz、約300kHz~約400kHz、約400kHz~約500kHz、約500kHz~約1MHz、約1MHz~約2MHz、約2MHz~約3MHz、約3MHz~約4MHz、約4MHz~約5MHz、約5MHz~約10MHz、約10MHz~約25MHz、約25MHz~約50MHz、約50MHz~約75MHz、約75MHz~約100MHz、約100MHz~約125MHz、約125MHz~約150MHz、または約150MHz~約200MHzなど)のサンプリングレートで測定される。あるいは、いくつかの実施形態では、測定された信号は、ダウンサンプリングされ、それによって、例えば、アナログデジタル変換器(ADC)を使用するときに、より低い周波数に周波数応答をシフトさせ、より低いサンプリングレートで信号をデジタル化することを可能にする。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、約100kHz~約5MHzのサンプリングレートで測定される。いくつかの実施形態では、インピーダンスは、約125MHz以上のサンプリングレートで測定される。
【0176】
図14は、ほぼ10μmのChlorella vulgaris細胞(細菌を含まない、Carolina Biological Supply、NC、USAから入手可能)について、単一周波数(30kHz)の時間の関数として、インピーダンス検出電極によって測定される例示的な相対インピーダンス変化を提示する。各下向きピークは、マイクロチャネルを通過する粒子に対応し、ピーク高さ、ピーク幅、ピーク面積、および/または半値幅ピーク高さなどの、インピーダンスピークの様々な成分が測定され得る。多変量パターンは、異なる細胞タイプを識別するために、複数の電流成分から構築される。ベースラインインピーダンスの関数としてのインピーダンスの変化が測定され、インピーダンス変化の1つ以上の成分が、検出された細胞を説明するために使用され得る。そのような成分は、限定されるものではないが、細胞サイズ、表面電荷、細胞形状、および細胞の他の顕著な特徴を示す、インピーダンスピーク高さ、インピーダンスピーク幅、インピーダンスピーク面積、およびインピーダンス半値幅高さのうちの1つ以上を含む。生体試料はまた、本明細書でさらに議論されるように、細胞タイプをさらに識別するために、異なる濃度または異なるpHでアッセイされ得る。インピーダンス成分が、細胞の等電点および表面電荷によって影響を受けるため、異なる細胞タイプは、多変量パターンを通じて識別され得る。それゆえに、異なる細胞タイプについての固有の多変量パターンは、1つ以上のpHレベルおよび/または1つ以上の電解質濃度で決定され得る、インピーダンスピーク高さ、インピーダンスピーク幅、インピーダンスピーク面積、および/またはインピーダンス半値幅高さを含み得る。いくつかの実施形態では、多変量パターンは、インピーダンスの実数成分および虚数成分、例えば、実数成分からの振幅および虚数成分からの振幅を含み得る。いくつかの実施形態では、多変量パターンは、インピーダンスの大きさ成分および位相成分、例えば、大きさ成分からの振幅および位相成分からの振幅を含み得る。インピーダンスの大きさおよび位相成分は、直接測定され得るか、または実数成分および虚数成分から導出され得る。クラスタ化アルゴリズムは、様々な周波数で収集された多変量パターンに基づいて、様々な細胞タイプのパターンを作成するために使用され得る。これはまた、正常な細胞集団を異常な細胞集団から識別するためにも使用され得る。
【0177】
インピーダンス振幅のみではなく、検出されたインピーダンスの多変量パターンを分析することによって、異なる細胞タイプの区別がより正確になる。例えば、チャネルセンサは、インピーダンス変動を制御するための基準電極を含む必要がない。加えて、フローセンサは、生体試料(例えば、血清、血漿など)または標識細胞の分離された成分を分析するのではなく、全血生体試料を使用して細胞数および/または分析物濃度をアッセイするために使用され得る。
【0178】
フローサイトメータチャネルセンサのいくつかの実施形態では、インピーダンス信号は、実数成分および虚数成分について分析される。例えば、多重化されたインピーダンスの実数成分の多変量パターンおよび虚数成分の多変量パターンが、細胞タイプを識別するために使用され得る。いくつかの実施形態では、多重化されたインピーダンスの実数成分の振幅および虚数成分の振幅が、異なる細胞タイプを識別するために使用される。フローサイトメータチャネルセンサのいくつかの実施形態では、インピーダンス信号は、大きさ成分および位相成分について分析される。例えば、多重化されたインピーダンスの大きさ成分の多変量パターンおよび位相成分の多変量パターンが、細胞タイプを識別するために使用され得る。いくつかの実施形態では、多重化されたインピーダンスの大きさ成分の振幅および位相成分の振幅が、異なる細胞タイプを識別するために使用される。多重化されたインピーダンスの異なる電流周波数の数は、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上の異なる電流周波数であり得る。
【0179】
フローサイトメータチャネルセンサからの検出された多重化されたインピーダンスは、フィルタ(例えば、バンドパスフィルタ)を使用して各周波数を分離するためにフィルタ処理および復調され得る。これは、例えば、カートリッジを動作させるデバイスによって行われ得る。プロセッサは、フローサイトメータチャネルセンサを通過する各細胞について多重化されたインピーダンス信号を分析し、個々の細胞を標識化するか、または計数し得る。これは、例えば、訓練された機械学習モデルを使用して行われ得る。機械学習モデルは、様々な細胞タイプの既知のインピーダンス特性を使用して訓練され得る。例示的な機械学習モデルとしては、単純ベイズ分類器、ロジスティック回帰、決定木モデル、勾配ブースティングツリー、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク、および他の深層学習アルゴリズムが挙げられる。いくつかの実施形態では、機械学習モデルは、教師ありまたは半教師あり方法を使用して訓練される。
【0180】
一例では、試料(例えば、全血)内の粒子または細胞からの標識なしのインピーダンス特性が、自己訓練を適用して、試料内の異なる粒子/細胞タイプを特徴付けるクラスタを生成することを含み得る、半教師あり学習によってモデルを洗練するために使用される。生成されたデータセットは、ベースラインデータセットと比較される。標識なしのデータセットの誤差は、核細胞タイプの較正重みを計算するために使用される。異なる供給源からの単一細胞タイプの反復試験を使用することに加えて、既知のタイプの混合細胞タイプおよび全血試料が、年齢、性別、民族などの患者の人口統計学的情報を考慮して、モデルのクラスタが各細胞タイプに適合するように補正するベースライン重みを調整するために使用され得る。例えば、モデルは、白血球、赤血球、および/または血小板を区別するクラスタを確立し得る。いくつかの実施形態では、クラスタは、例えば、好中球、好塩基球、好酸球、単球、および/またはリンパ球のうちの2つ以上を識別するために、白血球内で区別する。クラスタは、例えば、1つ以上の生成モデル(例えば、混合ガウスモデル)の適合の良好性によって検証され得る。別の較正係数は、市販の血液分析器などの既知の方法を使用して総計数を使用するときに、計数誤差を補正し得る。
【0181】
カートリッジは、追加的にまたは代替的に、分析物(例えば、タンパク質または酵素)濃度を測定するように構成されている1つ以上のチャネルセンサを含む。分析物濃度を測定するように構成されたチャネルセンサの孔径は、概して、粒子のより小さいサイズに起因して、フローサイトメータに使用される孔径より小さいが、同様のコールター原理が適用され得る。生体試料または小口試料は、生体試料中の細胞がナノ細孔またはナノチャネルを詰まらせ得るため、チャネルセンサに輸送される前に濾過され得る。生体試料(または小口試料)をチャネルセンサ内に導入する前に、生体試料(または小口試料)は、標的分析物に特異的に結合する、荷電された親和性部分(例えば、抗体、抗体断片、またはアプタマーを含み得る)を含有する試薬と混合される。いくつかの実施形態では、親和性分子は、多価の親和性分子(例えば、二価、三価、または四価)である。標的分析物に結合された荷電された親和性部分は、ナノ細孔またはナノチャネルを通過するときに標的分析物単独と比較して電界変調を増加させ、それによって、インピーダンス信号を増加させる。
【0182】
分析物濃度を測定するように構成されたチャネルセンサを使用して生体試料を分析するいくつかの実施形態では、親和性分子(例えば、アプタマー、または抗体もしくはその断片を含み得る)は、タンパク質またはナノ粒子などの多価タグに結合される。いくつかの実施形態では、多価タグは、二価タグ、三価タグ、または四価タグである。例えば、いくつかの実施形態では、多価タグは、アビジンまたはアビジン誘導体(例えば、ニュートラアビジンまたはストレプトアビジン)であり、これらは、親和性分子に融合されたビオチン部分に結合し得る。例えば、いくつかの実施形態では、親和性分子は、アプタマーの5’または3’末端に付着(任意選択的に、リンカーを介して)されたビオチン部分を有するアプタマーであり、多価タグは、アビジンである。多価タグを使用することによって、インピーダンス信号は、親和性分子単独の使用と比較して増加する。
【0183】
標的分析物に結合された親和性部分は、インピーダンスの変化に基づいて非結合親和性部分から識別され得、結合された親和性部分の数は、生体試料中の標的分析物の濃度を決定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、インピーダンス振幅の変化が、結合された親和性部分を非結合の親和性部分から識別するために使用される。いくつかの実施形態では、多変量パターンは、結合された親和性部分および非結合の親和性部分を識別するために、複数の電流成分から構築される。ベースラインインピーダンスの関数としてのインピーダンスの変化が測定され、インピーダンス変化の1つ以上の成分が、親和性部分の状態(結合または非結合)を説明するために使用され得る。そのような成分は、限定されるものではないが、インピーダンスピーク高さ、インピーダンスピーク幅、インピーダンスピーク面積、およびインピーダンス半値幅高さのうちの1つ以上を含む。
【0184】
図15Aは、四価親和性分子に結合する標的分析物を例示する。生体試料(生体試料を1つ以上の試薬と混合することによって処理され得る、および/またはカートリッジ内で濾過され得る)は、四価親和性分子を含む試薬と混合される。四価親和性分子は、4つのアプタマー分子に結合された四価タグ(例えば、アビジンまたはアビジン誘導体)を含む。アプタマー分子は、リンカー配列を介してビオチン部分に結合され、アンカー部分(例えば、ビオチン)は、四価タグに結合する。親和性分子が標的分析物と混合されるとき、最大4つの標的分析物分子が、四価親和性分子に結合する。
【0185】
図15Bは、標的分析物に結合されない親和性部分から結果的に生じるインピーダンス変化(上図)、および親和性部分がチャネルセンサのナノ細孔またはナノチャネルを通過するときに標的分析物に結合される親和性部分から結果的に生じるインピーダンス変化(下図)を例示する。ステップ2で示されるように、インピーダンス信号は、両方の状況で検出され得るが、インピーダンス信号波、親和性部分が標的分析物に結合されるときにより大きい振幅を有する。図はインピーダンスの大きさの変化のみを例示しているが、2つのインスタンス間の多変量パターンの差が検出され得る。いくつかの実施形態では、インピーダンスの大きさは、生体試料中の分析物濃度を決定するために分析される。いくつかの実施形態では、多変量パターは、生体試料中の分析物濃度を決定するために分析される。多変量パターンは、インピーダンスピーク高さ、インピーダンスピーク幅、ピーク面積、および/または半値幅ピーク高さなどの、検出されたインピーダンスピークの特徴を含み得る。
【0186】
図15Cは、標的分析物の濃度を決定するためにインピーダンスの大きさを使用する一例を例示する。2つのインピーダンス信号閾値が確立され得る。インピーダンス信号が下限閾値を超えるが、上限閾値を超えない場合、ナノ細孔またはナノチャネルを通過する親和性部分が標的分析物に結合されないと決定される。インピーダンス信号が下限閾値および上限閾値の両方を超える場合、ナノ細孔またはナノチャネルを通過する親和性部分が標的分析物に結合されないと決定される。結合された親和性部分の割合は、生体試料中の分析物濃度を決定するために使用され得る。
【0187】
チャネルセンサ(例えば、フローサイトメータまたは分析物濃度を測定するように構成されたチャネルセンサ)は、標準化されたサイズ、表面電荷、および/または材料を有する粒子を使用して較正され得る。較正は、製造プロセス中に行われ得、電界効果を考慮して細胞のサイズ決めおよびタイプ決めの改善された正確さを可能にし、そうでなければ、粒子サイズ決めの誤差を引き起こし得る。チャネルセンサは、追加的にまたは代替的に、既知のpHおよび/または電解質濃度を有する様々な試薬を使用して較正され得、このことは、細孔の導電性を検証し得る。
【0188】
いくつかの実施形態では、チャネルセンサは、例えば、生体試料が分析される前または後に、カートリッジの動作中に較正される。この較正は、カートリッジ上に保管または混合された試薬を使用して実施され得、エレクトロウェッティング電極を使用してチャネルセンサに輸送され得る。
【0189】
いくつかの実施形態では、カートリッジは、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上などの複数の細胞分析器センサを含む。異なる細胞分析器は、重複または専門化され得る。異なる細胞分析器を使用して、生体試料は、例えば、生体試料を第1の細胞分析器に通過させ、次いで、第2の細胞分析器に通過させることによって動的に分析され得、第2の細胞分析器は、第1の細胞分析器の結果に基づいて選択される。例えば、生体試料が特定の細胞タイプ(例えば、白血球、赤血球、または血小板)の少ない細胞数を有すると決定された場合、生体試料は、その後、特定の試薬と混合することによって、または特定の細胞タイプを物理的に分離することによって、さらに処理され得、次いで、その特定の細胞タイプをより正確に計数するために、異なる構成の細胞分析器(例えば、異なる孔径を有するか、1つ以上の分子で官能化されるか、または特定の細胞タイプを除去するフィルタを有する)を使用して分析される。
【0190】
エレクトロウェッティング電極
カートリッジ内のエレクトロウェッティング電極は、エレクトロウェッティング作動(デジタルマイクロ流体とも称される)によって水性液体(生体試料または処理された生体試料など)を輸送するか、生体試料を1つ以上の小口試料に分割するか、1つ以上の試薬を一緒に混合するか、または1つ以上の試薬を生体試料もしくは小口試料と混合して、生体試料もしくは小口試料を処理もしくは希釈するように構成されている。エレクトロウェッティング電極は、例えば、カートリッジのメインチャンバまたはチャネル全体を通して生体試料を輸送し得る。複数のエレクトロウェッティング電極内の個々の電極は、例えば、カートリッジと係合されるときにデバイス内のエレクトロウェッティング電極ドライバによって個々に制御され得る。メインチャンバ内で生体試料を輸送するためのエレクトロウェッティング電極の使用は、直線的であり、かつ試料を輸送するために毛細管フロー(制限された制御を可能にする)またはポンプなどの可動部品に一般的に依存する、チャネルベースの流体輸送と比較して、生体試料を輸送する際の汎用性の向上を可能にする。エレクトロウェッティングベースの流体輸送は、生体試料、試薬の混合、希釈、および試料の分割の精密な移動を可能にする。
【0191】
エレクトロウェッティング作動は、活性化された電極の上に位置付けられた流体に電圧を印加することによって駆動される。電圧は、活性化された電極に流体を引き付ける電荷を流体接触表面上に生成することによって、流体の接触角を変化させる。エレクトロウェッティング作動に必要とされる電圧の低減、絶縁および/または疎水層の厚さは、材料の絶縁破壊を引き起こさずに低減されることを必要とする。それゆえに、エレクトロウェッティング作動に必要な電圧を低減し、流体接触表面上に必要な電荷を生成するために、高誘電強度を有する高誘電率の薄く塗布された材料を使用することが望ましい。
【0192】
カートリッジ内のエレクトロウェッティング電極は、エレクトロウェッティング電極を動作させるデバイスと電気的に通信する離隔された電極のアレイとして配置され得る。デバイスは、液体(例えば、試薬または生体試料)を作動させるためにアレイ内の電極を選択的に動作させるスイッチを使用して、エレクトロウェッティング電極を動作させ得る。エレクトロウェッティング電極は、絶縁層がエレクトロウェッティング電極間の空間を満たしている状態で互いに離間される。エレクトロウェッティング電極間の空間は、エレクトロウェッティング電極のサイズに応じてアレイ内で変化し得る。例えば、いくつかの実施形態では、電極間の空間は、約10μm~約150μm(約10μm~約20μm、約20μm~約50μm、約50μm~約100μm、または約100μm~約150μmなど)である。エレクトロウェッティング電極のサイズはまた、電極を占有するように意図される液体体積に応じてアレイ内で変化し得る。例えば、20μLの液体体積を作動させるように構成されたエレクトロウェッティング電極は、約0.632mm×約0.632mmである。いくつかの実施形態では、エレクトロウェッティング電極は、ほぼ正方形または長方形であるが、いくつかの実施形態では、エレクトロウェッティング電極は、隣接する電極間に部分的な重なりを有するギザギザのまたは突出する円形の縁を有し得る。
図16Aは、デバイスインターフェースと各電極を電気的に接続するトラックを有する8×16マトリックス内の例示的なエレクトロウェッティング電極アレイを例示する。
図16Bは、いくつかのエレクトロウェッティング電極の拡大図を示し、ほぼ正方形電極のギザギザの縁を強調している。
【0193】
エレクトロウェッティング電極は、好ましくは高κ材料(すなわち、約3.9以上の誘電率を有する)である、絶縁層(すなわち、誘電体層)で被覆される。絶縁層はまた、エレクトロウェッティング電極間の空間を満たし得る。いくつかの実施形態では、絶縁層は、約3.9以上(約5以上、約10以上、約20以上、約40以上、約60以上、約100以上、約200以上、約400以上、約1000以上、または約2000以上)の誘電率を有する。いくつかの実施形態では、絶縁層は、約3.9~約20,000(例えば、約3.9~約5、約5~約10、約10~約20、約20~約40、約40~約60、約60~約100、約100~約200、約200~約400、約400~約1000、約1000~約2000、約2000~約4000、約4000~約6000、約6000~約10,000、または約10,000~約20,000)の誘電率を有する。絶縁層のための例示的な材料は、酸化ハフニウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、またはチタン酸ストロンチウム、シリカ、および窒化ケイ素を含むか、またはそれらである。
【0194】
絶縁層は、電極の表面上に堆積された薄い層であることが好ましい。厚さは、誘電体材料の絶縁破壊を結果的に生じさせずに、必要とされる電圧を低減するために最小化される。例えば、絶縁層は、原子層堆積、化学蒸着、反応性イオンビーム堆積、スパッタ堆積、蒸発、スプレー堆積、スピンコーティング、またはソルゲル形成を使用して電極上に被覆され得る。いくつかの実施形態では、絶縁層は、約1nm~約5μmの厚さを有する。例えば、いくつかの実施形態では、絶縁層は、約1nm~約10nm、約10nm~約20nm、約20nm~約40nm、約40nm~約100nm、約100nm~約250nm、約250nm~約500nm、約500nm~約1μm、または約1μm~約5μmの厚さを有する。絶縁層が金属酸化物を含むとき、絶縁層は、概して、絶縁層がポリマー材料を含む場合よりも薄い。例えば、いくつかの実施形態では、絶縁層は、約1nm~約100nmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、絶縁層は、ポリマー材料を含み、約0.1μm~約5μmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、電極と流体接触表面との間の距離は、約1nm~約25μmである。例えば、いくつかの実施形態では、電極と流体接触表面との間の距離は、約1nm~約10nm、約10nm~約20nm、約20nm~約40nm、約40nm~約100nm、約100nm~約250nm、約250nm~約500nm、約500nm~約1μm、約1μm~約5μm、約5μm~約10μm、または約10μm~約25μmである。
【0195】
いくつかの実施形態では、絶縁層は、生体試料および/または試薬に接触する表面(すなわち、流体接触層)を有する。流体接触表面は、好ましくは、25℃で水と90°以上の接触角を有する疎水性表面である。いくつかの実施形態では、疎水性表面は、25℃で水と約90°~約160°(約90°~約100°、約100°~約110°、約110°~約120°、約120°~約130°、約130°~約140°、約140°~約150°、または約140°~約150°)の接触角を有する。いくつかの実施形態では、絶縁層は、疎水性材料(すなわち、疎水性である絶縁材料として作用し得る高κ材料)であるか、またはそれを含む。絶縁層の流体接触表面の疎水性をさらに向上させるために、絶縁層は、例えば、織物パターン、ナノピラーパターン、またはナノ芝パターンであり得る、ナノ構造化表面を任意選択的に含み得る。ナノ構造パターンは、例えば、絶縁層内へのエッチングによって形成され得る。
【0196】
いくつかの実施形態では、絶縁層は、流体接触層であり得る疎水性材料で任意選択的に被覆される。いくつかの実施形態では、疎水性層は、例えば、薄膜堆積またはスピンコーティングを使用して塗布される。任意選択的に、疎水性層の流体接触表面は、例えば、織物パターン、ナノピラーパターン、またはナノ芝パターンであり得る、ナノ構造化表面を有する。ナノ構造パターンは、例えば、疎水性層内にエッチングすることによって、流体接触層(例えば、絶縁層または別個の疎水性層)内にウェットエッチングまたはドライエッチングすることによって形成され得る。例えば、フォトリソグラフィまたはイオンエッチングが、所定のパターンを作成するために使用され得る。疎水性層のための例示的な疎水性材料としては、フルオロポリマー、シラン、フッ素化シラン、ポリジメチルシロキサン、またはパリレンが挙げられる。
【0197】
流体接触表面(例えば、絶縁層または疎水性コーティングの表面であり得る)は、ナノ構造化表面(すなわち、流体接触表面上のナノ構造化パターン)を有し得る。ナノ構造化表面は、表面の疎水性を変化させ得、したがって、エレクトロウェッティング電極上の流体を作動させるために必要とされる電圧を減少させる。例示的なナノ構造化表面としては、限定されるものではないが、織物パターン、ナノピラーパターン、またはナノ芝パターンが挙げられる。いくつかの実施形態では、疎水性ナノ構造化パターン化表面は、追加の材料コーティングが必要とされないように、絶縁表面上にパターン化される。他の実施形態では、ナノ構造化疎水性表面は、1つ以上の絶縁層の上部に形成されて、上部絶縁表面上に疎水性表面を形成する。
【0198】
いくつかの実施形態では、疎水性層は、絶縁層上で自己組織化する長鎖分子を使用して形成される。例えば、疎水性層のための長鎖分子は、スペーサ部分を有するかまたは有していない頭部基としてアルカン炭化水素と、絶縁基材上に特異的に組織化する、オクタデカンヒドロキシム酸、ステアリン酸、オクタデカンホスホン酸、l6-ヒドロリヘキサデカンヒドロラミン酸、またはオクタデカンチオールなどの末端基と、を有する分子を含み得る。これらの材料は、絶縁層上に疎水性層を形成する。例えば、疎水性層は、約2.5nm~約30nmの厚さであり得る。この薄い疎水性層は、エレクトロウェッティング電極を被覆する層に実質的な厚さを付加せずに、流体接触表面に疎水性を付加する。
【0199】
生体試料または試薬と接触する表面の薄い距離および高い疎水性は、エレクトロウェッティング作動を可能にするために、より低い電圧がエレクトロウェッティング電極に印加されることを可能にする。例えば、いくつかの実施形態では、複数のエレクトロウェッティング電極は、約50ボルト未満の電圧を使用して生体試料を輸送するように構成されている。いくつかの実施形態では、複数のエレクトロウェッティング電極は、約0.5ボルト~約50ボルト(例えば、約0.5ボルト~約1ボルト、約1ボルト~約5ボルト、約5ボルト~約10ボルト、約10ボルト~約20ボルト、約20ボルト~約30ボルト、約30ボルト~約40ボルト、または約40ボルト~約50ボルト)の電圧を使用して生体試料を輸送するように構成されている。
【0200】
複数のエレクトロウェッティング電極は、カートリッジのメインチャンバまたはチャネルの底面に沿って位置付けられ得る複数の共平面電極を含み得る。任意選択的に、カートリッジは、メインチャンバまたはチャネルの上面(すなわち、共平面電極を有する表面の反対側)上に接地電極(連続接地電極または複数の別個の接地電極であり得る)を含む。エレクトロウェッティング電極は、本明細書にさらに説明されるように、1つ以上の層で被覆され得、上層は、生体試料および/または試薬がカートリッジ内で輸送される際に生体試料および/または試薬と接触する流体接触層である。個々の電極の活性化は、電極の上の流体接触層の疎水性を調節し、それによって、活性化された電極の上の位置まで流体(例えば、生体試料または試薬)を作動させる。
【0201】
エレクトロウェッティング電極は、金、銀、塩化銀、白金、酸化インジウムスズ(ITO)、または導電性炭素などの任意の好適な導電性材料を含み得る。導電性炭素は、他の導電性粒子、例えば、炭素銀インクと混合された炭素粒子(例えば、黒鉛)を含み得る、導電性炭素インクを含み得る。
【0202】
図17Aは、絶縁層流体接触表面を含む複数のエレクトロウェッティング電極の一実施形態を例示する。複数のエレクトロウェッティング電極は、第1のエレクトロウェッティング電極1702、第2のエレクトロウェッティング電極1704、および第3のエレクトロウェッティング電極1706を含む。第1のエレクトロウェッティング電極1702、第2のエレクトロウェッティング電極1704、および第3のエレクトロウェッティング電極1706の反対側の表面上には、3つのエレクトロウェッティング電極に共通である接地電極1708が存在する。絶縁層1710は、第1のエレクトロウェッティング電極1702、第2のエレクトロウェッティング電極1704、および第3のエレクトロウェッティング電極1706を、エレクトロウェッティング電極間の空間と共に被覆する。接地電極1708はまた、絶縁層1712で被覆される。生体試料および/または1つ以上の試薬などの流体は、接地電極1708と第1、第2、および第3のエレクトロウェッティング電極との間の間隙1714を通って輸送され得る。絶縁層1710の流体接触表面1716は、流体接触表面の疎水性を向上させるようにナノ構造化され得る。絶縁層1710の流体接触表面1718および/または絶縁層1712の流体接触表面1719もまた、流体接触表面の疎水性を向上させるようにナノ構造化され得る。
【0203】
図17Bは、エレクトロウェッティング電極を被覆する絶縁層、および絶縁層を被覆する疎水性層を含む、複数のエレクトロウェッティング電極の別の実施形態を例示する。複数のエレクトロウェッティング電極は、第1のエレクトロウェッティング電極1720、第2のエレクトロウェッティング電極1722、および第3のエレクトロウェッティング電極1724を含む。第1のエレクトロウェッティング電極1720、第2のエレクトロウェッティング電極1722、および第3のエレクトロウェッティング電極1724の反対側の表面上には、3つのエレクトロウェッティング電極に共通である接地電極1726が存在する。絶縁層1728は、第1のエレクトロウェッティング電極1720、第2のエレクトロウェッティング電極1722、および第3のエレクトロウェッティング電極1724を、エレクトロウェッティング電極間の空間と共に被覆する。接地電極1726はまた、絶縁層1730で被覆される。絶縁層1728を被覆するものは、疎水性層1732であり、絶縁層1730を被覆するものは、疎水性層1734である。生体試料および/または1つ以上の試薬などの流体は、疎水性層1732と1734との間の間隙1736を通って輸送され得る。任意選択的に、疎水性層1732の流体接触表面および/または疎水性層1734の流体接触表面は、流体接触層の疎水性を向上させるようにナノ構造化される。
【0204】
エレクトロウェッティング電極のうちの1つ以上は、共通の接地電極の代わりにエレクトロウェッティング電極の反対側の個々の接地電極を含み得る。いくつかの実施形態では、エレクトロウェッティング電極の一部分は、共通の接地電極を含み、エレクトロウェッティング電極の一部分は、個々の接地電極を含む。これらの構成の例が
図17C(別個の疎水性層を含まない)および
図17D(別個の疎水性層を有する)に示される。
【0205】
いくつかの実施形態では、液体を輸送する方法が存在し、方法は、不活性化された第1のエレクトロウェッティング電極の上の第1の疎水性液体接触表面上に水性液体を位置付けることと、第2のエレクトロウェッティング電極を、第2のエレクトロウェッティング電極に約50ボルト以下の電圧を印加することによって活性化し、それによって、第1の疎水性液体接触表面から第2のエレクトロウェッティング電極の上の第2の疎水性液体接触表面に水性液体を輸送することと、を含み、第1のエレクトロウェッティング電極および第2のエレクトロウェッティング電極が、絶縁層で被覆され、それによって分離されている。
【0206】
水性液体は、血液、血清、唾液、汗、涙、粘液、尿、または液体中に懸濁された任意の他の生体試料もしくは誘導体などの生体試料であり得る。いくつかの実施形態では、液体は、液体を1つ以上の試薬と混合することによって処理され得る、処理された生体試料である。試薬は、エレクトロウェッティング電極を使用して、生体試料と混合され得る。例えば、いくつかの実施形態では、方法は、液体を含有する液体接触表面に試薬を輸送し、それによって、試薬を水性液体と混合することを含む。
【0207】
生体試料は、約50ボルト以下の電圧を使用して、エレクトロウェッティング電極によって輸送される。例えば、いくつかの実施形態では、生体試料は、約0.5ボルト~約50ボルト(約0.5ボルト~約1ボルト、約1ボルト~約2ボルト、約2ボルト~約3ボルト、約3ボルト~約4ボルト、約4ボルト~約5ボルト、約5ボルト~約10ボルト、約10ボルト~約20ボルト、約20ボルト~約30ボルト、約30ボルト~約40ボルト、または約40ボルト~約50ボルトなど)を使用して輸送される。
【0208】
生体試料を分析するための方法
本明細書に説明されるカートリッジおよびデバイスは、生体試料を分析するために、例えば、血球数または分析物濃度を決定するために、使用され得る。試料を分析するために、生体試料は、カートリッジ内に置かれ、生体試料は、複数のエレクトロウェッティング電極を使用して(すなわち、エレクトロウェッティング作動によって)カートリッジ内に輸送される。生体試料は、カートリッジ内の1つ以上のセンサを使用して分析されて、分析データを生成し、分析データは、カートリッジから(例えば、カートリッジと係合されたデバイスに)送信される。生体試料は、カートリッジ内の1つ以上の試薬と混合されて、例えば、センサのうちの1つ以上を使用して分析される、処理された生体試料を形成し得る。カートリッジは、単回使用後に廃棄され得る。
【0209】
いくつかの実施形態では、生体試料は、毛細管作用を使用してカートリッジによって受容される。生体試料は、カートリッジに入る生体試料の体積を決定し得る、受容チャンバを満たし得る。1つ以上のセンサによる分析後、生体試料は、廃棄物リザーバに輸送され得(例えば、エレクトロウェッティング作動を通じて)、カートリッジが廃棄されるまで保管され得る。
【0210】
生体試料は、エレクトロウェッティング作動によって、カートリッジ内(例えば、試料受容レポートから、混合領域、センサのうちの1つ以上、または廃棄物リザーバ)に輸送され得る。エレクトロウェッティング電極は、絶縁層および/または疎水性層で被覆され得、そのいずれかが、ナノ構造化パターンを有し得る疎水性流体接触表面を含み得る。生体試料を輸送するために、第1のエレクトロウェッティング電極は、第1のエレクトロウェッティング電極に電圧電位を印加することによって活性化されて、生体試料を第1の電極の上の位置に引き付ける。生体試料が第1の電極の上の位置にあると、第2のエレクトロウェッティング電極は、第2のエレクトロウェッティング電極に電圧を印加することによって活性化され、第1のエレクトロウェッティング電極が非活性化され、それによって、生体試料を第2のエレクトロウェッティング電極の上の位置に輸送する。いくつかの実施形態では、電圧は、約0.5ボルト~約1000ボルト(約0.5ボルト~約1ボルト、約1ボルト~約5ボルト、約5ボルト~約10ボルト、約10ボルト~約20ボルト、約20ボルト~約30ボルト、約30ボルト~約50ボルト、約50ボルト~約100ボルト、約100ボルト~約250ボルト、約250ボルト~約500ボルト、または約500ボルト~約1000ボルトなど)である。好ましくは、複数のエレクトロウェッティング電極は、約50ボルト以下、またはより好ましくは約20ボルト以下を使用して動作される。
【0211】
いくつかの実施形態では、生体試料を分析することは、生体試料中の細胞数を計数することを含む。カートリッジによって送信される分析データは、細胞数に関する情報を含み得る。いくつかの実施形態では、細胞数を計数することは、2つ以上の異なる細胞タイプを区別することを含み、分析データは、細胞タイプおよび細胞数に関する情報を含む。異なる細胞タイプは、例えば、白血球、赤血球、または血小板であり得る。いくつかの実施形態では、異なる細胞タイプは、好酸球、好塩基球、好中球、単球、およびリンパ球を含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、生体試料を分析することは、白血球を計数すること、赤血球を計数すること、血小板を計数すること、好酸球を計数すること、好塩基球を計数すること、好中球を計数すること、単球を計数すること、および/またはリンパ球を計数することを含む。生体試料を分析することが、生体試料に電流を印加することと、電流の多重化されたインピーダンスを記録することと、を含み得る。分析データ(すなわち、多重化されたインピーダンス)は、生体試料中の細胞数または細胞タイプの数を決定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、生体試料を分析することは、センサのうちの少なくとも1つを自己較正して、異なる細胞サイズまたは異なる細胞タイプを検出することを含む。
【0212】
細胞分析センサを使用して生体試料を分析するために、生体試料は、マイクロチャネルまたはマイクロ細孔を含むチャネルを通って連続的に流れる。生体試料がマイクロ細孔またはマイクロチャネルを通って流れると、多重化された電流がマイクロ細孔またはマイクロチャネルに印加される。マイクロ細孔またはマイクロチャネル内の多重化された電気インピーダンスが測定され、多重化された電気インピーダンスに関する分析データがカートリッジから送信される。電流は、直流成分、および異なる周波数の複数(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、またはそれ以上)の交流成分を含む混合された電流であり得る。好ましくは、多重化された電流は、少なくとも3つの交流成分を含む。いくつかの実施形態では、交流成分は、約1kHz~約100kHz(例えば、約1kHz~約10kHz、約10kHz~約20kHz、約20kHz~約30kHz、約30kHz~約40kHz、約40kHz~約50kHz、約50kHz~約60kHz、約60kHz~約70kHz、約70kHz~約80kHz、約80kHz~約90kHz、または約90kHz~約100kHz)での第1の交流、約100kHz~約1MHz(約100kHz~約200kHz、約200kHz~約300kHz、約300kHz~約400kHz、約400kHz~約500kHz、約500kHz~約600kHz、約600kHz~約700kHz、約700kHz~約800kHz、約800kHz~約900kHz、または約900kHz~約1000kHzなど)での第2の交流、および約1MHz以上(例えば、約1MHz~約10MHz、約10MHz~約20MHz、約20MHz~約30MHz、約30MHz~約40MHz、約40MHz~約50MHz、約50MHz~約60MHz、約60MHz~約70MHz、約70MHz~約80MHz、約80MHz~約90MHz、または約90MHz~約100MHzなど)での第3の交流を含む。別の実施形態では、多重化された電流は、(1)約1kHz~約100kHz(例えば、約1kHz~約10kHz、約10kHz~約20kHz、約20kHz~約30kHz、約30kHz~約40kHz、約40kHz~約50kHz、約50kHz~約60kHz、約60kHz~約70kHz、約70kHz~約80kHz、約80kHz~約90kHz、または約90kHz~約100kHz)での直流または交流、(2)約50kHz~約250kHz(約50kHz~約70kHz、約70kHz~約90kHz、約90kHz~約110kHz、約110kHz~約130kHz、約130kHz~約150kHz、約150kHz~約200kHz、または約200kHz~約250kHzなど)での交流、(3)約250kHz~約700kHz(約250kHz~約300kHz、約300kHz~約350kHz、約350kHz~約400kHz、約400kHz~約500kHz、約500kHz~約600kHz、または約600kHz~約700kHzなど交流、(4)約700kHz~約5MHz(約700kHz~約800kHz、約800kHz~約900kHz、または約900kHz~約1MHz、または約1MHz~約2MHz、約2MHz~約3MHz、約3MHz~約4MHz、または約4MHz~約5MHzなど)の交流、(5)約5MHz~約20MHz(約5MHz~10MHz、約10MHz~約15MHz、約15MHz~約20MHzなど)の交流、および(6)約20MHz以上(約20MHz~約30MHz、約30MHz~約40MHz、約40MHz~約50MHz、約50MHz~約60MHz、約60MHz~約70MHz、約70MHz~約80MHz、約80MHz~約90MHz、約90MHz~約100MHz、約100MHz~約125MHz、または約125MHz~約150MHzなど)の交流を含む。いくつかの実施形態では、複数の交流成分は、約50kHz~約250kHzの第1の交流、約250kHz~約700kHzの第2の交流、約700kHz~約5MHzの第3の交流、約5MHz~約20MHzの第4の交流、および約20MHz~約150MHzの第5の交流を含む。生体試料中の細胞数および/または2つ以上の異なる細胞タイプの数は、測定された多重化されたインピーダンスに基づいて決定され得る。分析されたインピーダンスは、実数および/または虚数成分を含み得る。あるいは、分析されたインピーダンスは、大きさおよび/または位相成分を含み得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、試料を分析するために、生体試料は、カートリッジ内に置かれ、生体試料は、複数のエレクトロウェッティング電極を使用して(すなわち、エレクトロウェッティング作動によって)カートリッジ内に輸送される。生体試料は、カートリッジ内の1つ以上のセンサを使用して分析されて、分析データを生成し、分析データは、カートリッジから(例えば、カートリッジと係合されたデバイスに)送信される。生体試料は、カートリッジ内の1つ以上の試薬と混合されて、例えば、センサのうちの1つ以上を使用して分析される、処理された生体試料を形成し得る。カートリッジは、単回使用後に廃棄され得る。
【0214】
いくつかの実施形態では、生体試料は、毛細管作用を使用してカートリッジによって受容される。生体試料は、カートリッジに入る生体試料の体積を決定し得る、受容チャンバを満たし得る。1つ以上のセンサによる分析後、生体試料は、廃棄物リザーバに輸送され得(例えば、エレクトロウェッティング作動を通じて)、カートリッジが廃棄されるまで保管され得る。
【0215】
生体試料は、エレクトロウェッティング作動によって、カートリッジ内(例えば、試料受容レポートから、混合領域、センサのうちの1つ以上、または廃棄物リザーバ)に輸送され得る。生体試料を輸送するために、第1のエレクトロウェッティング電極は、第1のエレクトロウェッティング電極に電圧電位を印加することによって活性化されて、生体試料を第1の電極の上の位置に引き付ける。生体試料が第1の電極の上の位置にあると、第2のエレクトロウェッティング電極は、第2のエレクトロウェッティング電極に電圧を印加することによって活性化され、第1のエレクトロウェッティング電極が非活性化され、それによって、生体試料を第2のエレクトロウェッティング電極の上の位置に輸送する。
【0216】
いくつかの実施形態では、生体試料を分析することは、生体試料中の分析物(例えば、タンパク質)の存在を決定すること、またはその濃度を測定することを含む。生体試料は、例えば、エレクトロウェッティング作動を使用して(例えば、エレクトロウェッティング電極を使用して)、センサ(例えば、インピーダンスセンサまたは光学センサであり得る)内に静的に位置付けられ得る。分析物の存在または濃度は、生体試料中の分析物を、センサ内の電極に結合された親和性部分に結合させ、分析物が親和性部分に結合することから結果的に生じるインピーダンス変化を測定することによって決定され得る。インピーダンス変化は、例えば、生体試料を含まない基準溶液に起因するインピーダンスに較正され得る。親和性部分は、例えば、抗体、抗体断片、またはアプタマー(DNAアプタマー、RNAアプタマー、またはXNAアプタマーなど)であり得る。センサによって検出されたインピーダンスは、カートリッジから送信され得、インピーダンス変化は、分析物の存在または濃度を決定するために使用され得る。
【0217】
本開示の例が、添付の図面を参照して完全に説明されているが、様々な変更および修正が当業者に明らかになることに留意されたい。そのような変更および修正は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の例の範囲内に含まれるものと理解される。
【0218】
例示的な実施形態
以下の実施形態は、例示的であり、本明細書に説明される発明(複数可)の限定とみなされるべきではない。
【0219】
実施形態1.生体試料を分析するためのカートリッジであって、
生体試料を受容するように構成された試料受容ポートと、
生体試料を分析するように構成されたセンサと、
生体試料受容ポートおよびセンサと流体連通しているカートリッジ空間と、
カートリッジ空間内で生体試料を輸送し、生体試料を1つ以上の試薬と組み合わせるように構成された複数のエレクトロウェッティング電極と、
デバイス上のカートリッジインターフェースから電力を受信し、それと通信するように構成されたデバイスインターフェースと、を備え、センサおよび複数のエレクトロウェッティング電極が、デバイスインターフェースと電気的に通信する、カートリッジ。
【0220】
実施形態2.カートリッジ空間が、1つ以上の試薬リザーバに流体的に接続されている、実施形態1に記載のカートリッジ。
【0221】
実施形態3.1つ以上の試薬リザーバが、試薬を含む、実施形態2に記載のカートリッジ。
【0222】
実施形態4.カートリッジ空間が、試薬混合領域を備える、実施形態2または3に記載のカートリッジ。
【0223】
実施形態5.カートリッジが、単回使用カートリッジである、実施形態1~4のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0224】
実施形態6.センサによって分析された後に生体試料を受容するように構成された廃棄物リザーバを備える、実施形態1~5のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0225】
実施形態7.生体試料が、毛細管作用を通じて試料受容ポートに入る、実施形態1~6のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0226】
実施形態8.複数のエレクトロウェッティング電極は、複数の共平面電極を備える、実施形態1~7のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0227】
実施形態9.複数のエレクトロウェッティング電極が、共平面電極と反対側の表面上に接地電極をさらに備える、実施形態8に記載のカートリッジ。
【0228】
実施形態10.接地電極が、エレクトロウェッティング電極のうちの2つ以上に共通である、実施形態9に記載のカートリッジ。
【0229】
実施形態11.エレクトロウェッティング電極のうちの少なくとも1つが、個々の接地電極と対になる、実施形態9に記載のカートリッジ。
【0230】
実施形態12.エレクトロウェッティング電極が、絶縁層で被覆されている、実施形態1~11のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0231】
実施形態13.絶縁層が、約3.9以上の誘電率を有する、実施形態12に記載のカートリッジ。
【0232】
実施形態14.絶縁層が、酸化ハフニウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、またはチタン酸ストロンチウム、シリカ、または窒化ケイ素を含む、実施形態12または13に記載のカートリッジ。
【0233】
実施形態15.絶縁層が、原子層堆積、化学蒸着、反応性イオンビーム堆積、スパッタ堆積、蒸発、スプレー堆積、スピンコーティング、またはソルゲル形成を使用して電極上に被覆されている、実施形態12~14のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0234】
実施形態16.絶縁層が、約1nm~約5μmの厚さを有する、実施形態12~15のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0235】
実施形態17.絶縁層が、流体接触層である、実施形態12~16のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0236】
実施形態18.絶縁層が、ナノ構造化表面を備える、実施形態17に記載のカートリッジ。
【0237】
実施形態19.エレクトロウェッティング電極が、疎水性層で被覆されている、実施形態1~18のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0238】
実施形態20.疎水性層が、流体接触層である、実施形態19に記載のカートリッジ。
【0239】
実施形態21.疎水性層が、ナノ構造化表面を備える、実施形態20に記載のカートリッジ。
【0240】
実施形態22.疎水性層が、フルオロポリマー、ポリジメチルシロキサン、パリレン、オクタデカンヒドロキシム酸、ステアリン酸、オクタデカンホスホン酸、l6-ヒドロリヘキサデカンヒドロラミン酸、またはオクタデカンチオールを含む、実施形態19~21のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0241】
実施形態23.疎水性層が、絶縁層の上に被覆されている、実施形態19~22のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0242】
実施形態24.エレクトロウェッティング電極が、金、銀、塩化銀、白金、インジウムスズ酸化物、または導電性炭素を含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0243】
実施形態25.エレクトロウェッティング電極が、流体接触表面から約1nm~約25μmだけ分離されている、実施形態1~24のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0244】
実施形態26.複数のエレクトロウェッティング電極が、約50ボルト未満の電圧を使用して生体試料を輸送するように構成されている、実施形態1~25のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0245】
実施形態27.複数のエレクトロウェッティング電極が、約0.5V~約50Vの電圧を使用して生体試料を輸送するように構成されている、実施形態1~26のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0246】
実施形態28.センサが、インピーダンスセンサである、実施形態1~27のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0247】
実施形態29.センサが、タンパク質を検出するか、またはタンパク質の量を測定するように構成されている、実施形態1~29のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0248】
実施形態30.センサが、親和性部分で官能化された第1の検知電極と、第1の検知電極と対になった第2の検知電極と、を備え、センサが、親和性部分への分析物またはタンパク質の結合時のインピーダンスの変化を検出するように構成されている、実施形態28または29に記載のカートリッジ。
【0249】
実施形態31.親和性部分が、抗体、抗体断片、またはアプタマーである、実施形態30に記載のカートリッジ。
【0250】
実施形態32.第1の検知電極が、エレクトロウェッティング電極である、実施形態30または31に記載のカートリッジ。
【0251】
実施形態33.センサが、第1のエレクトロウェッティング電極および第2のエレクトロウェッティング電極をさらに備え、第1のエレクトロウェッティング電極および第2のエレクトロウェッティング電極が、第1の検知電極または第2の検知電極の反対側にある、実施形態30または31に記載のカートリッジ。
【0252】
実施形態34.第1の検知電極が、エレクトロウェッティング電極である、実施形態33に記載のカートリッジ。
【0253】
実施形態35.複数のエレクトロウェッティング電極が、第1の検知電極と第2の検知電極との間に生体試料の少なくとも一部分を静的に位置付けるように構成されている、実施形態33または34に記載のカートリッジ。
【0254】
実施形態36.第1のエレクトロウェッティング電極、第2のエレクトロウェッティング電極、および第1の検知電極が、第1のエレクトロウェッティング電極、第2のエレクトロウェッティング電極、または第1の検知電極のうちの1つを選択的に活性化するかまたはいずれも活性化しないように構成された電圧切替回路に電気的に接続されている、実施形態34または35に記載のカートリッジ。
【0255】
実施形態37.電圧切替回路が、インピーダンス検知回路またはエレクトロウェッティング電極供給回路を二者択一的に選択するように構成されたスイッチに電気的に接続されている、実施形態36に記載のカートリッジ。
【0256】
実施形態38.インピーダンスセンサが、pHまたはイオン濃度に基づいてインピーダンスを変調するように構成されたpH感受性層またはイオン感受性層を備える、実施形態28~37のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0257】
実施形態39.インピーダンスセンサが、金属酸化物半導体コンデンサ(MOSCap)センサを含む、実施形態38に記載のカートリッジ。
【0258】
実施形態40.MOSCapセンサが、第1の検知電極および第2の検知電極に隣接する、実施形態39に記載のカートリッジ。
【0259】
実施形態41.カートリッジが、1つ以上の光学窓をさらに備える、実施形態1~40のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0260】
実施形態42.センサが、チャネルセンサであり、チャネルセンサが、
第1のチャネルセグメントと、
第2のチャネルセグメントと、
第1のチャネルセグメントおよび第2のチャネルセグメントを流体的に接続する細孔またはチャネルと、
電流を細孔またはチャネルに印加し、細孔またはチャネル内のインピーダンスを検出するように構成された電極対と、を備える、実施形態1~41のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0261】
実施形態43.電極対が、チャネルセンサを通って流れる液体に直接接触するように構成されている、実施形態42に記載のカートリッジ。
【0262】
実施形態44.チャネルセンサが、生体試料中の細胞数を計数するように構成されたフローサイトメータである、実施形態42または43に記載のカートリッジ。
【0263】
実施形態45.センサが、異なる細胞タイプを区別するように構成されている、実施形態44に記載のカートリッジ。
【0264】
実施形態46.センサが、赤血球、白血球、および血小板を区別するように構成されている、実施形態45に記載のカートリッジ。
【0265】
実施形態47.センサが、赤血球数、白血球数、または血小板数を計数するように構成されている、実施形態45または46に記載のカートリッジ。
【0266】
実施形態48.センサが、好酸球、好塩基球、好中球、単球、およびリンパ球を区別するように構成されている、実施形態45~47のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0267】
実施形態49.センサが、好酸球数、好塩基球数、好中球数、単球数、またはリンパ球数を計数するように構成されている、実施形態45~48のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0268】
実施形態50.細孔またはチャネルが、マイクロ細孔またはマイクロチャネルである、実施形態42~49のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0269】
実施形態51.電流が、異なる周波数の複数の交流成分を含む多重化された電流である、実施形態42~50のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0270】
実施形態52.電流が、(1)直流成分または低周波交流、および(2)異なる周波数の複数の交流成分を含む、多重化された電流である、実施形態42~51のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0271】
実施形態53.複数の交流成分が、少なくとも3つの交流成分を含む、実施形態51または52に記載のカートリッジ。
【0272】
実施形態54.複数の交流成分が、約10kHz~約100kHzの第1の交流、約100kHz~約700kHzの第2の交流、約700kHz~約5MHzの第3の交流、および約5MHzを超える第4の交流を含む、実施形態53に記載のカートリッジ。
【0273】
実施形態55.複数の交流が、少なくとも5つの異なる交流成分を含む、実施形態51~54のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0274】
実施形態56.複数の交流成分が、約50kHz~約250kHzの第1の交流、約250kHz~約700kHzの第2の交流、約700kHz~約5MHzの第3の交流、約5MHz~約20MHzの第4の交流、および約20MHz~約150MHzの第5の交流を含む、実施形態55に記載のカートリッジ。
【0275】
実施形態57.電極対が、約100kHz以上のサンプリングレートでインピーダンスを検出するように構成されている、実施形態42~56のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0276】
実施形態58.電極対が、細孔またはチャネル内の実インピーダンス成分および虚インピーダンス成分を検出するように構成されている、実施形態42~57のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0277】
実施形態59.電極対が、細孔またはチャネル内の大きさインピーダンス成分および位相インピーダンス成分を検出するように構成されている、実施形態42~57のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0278】
実施形態60.チャネルセンサが、分析物濃度を検出するように構成されている、実施形態42または43に記載のカートリッジ。
【0279】
実施形態61.分析物が、タンパク質である、実施形態60に記載のカートリッジ。
【0280】
実施形態62.カートリッジが、親和性部分を含む試薬を含み、カートリッジが、親和性部分を含む試薬を生体試料またはそれに由来する小口試料と混合し、チャネルセンサに生体試料または小口試料を輸送するように構成されている、実施形態60または61に記載のカートリッジ。
【0281】
実施形態63.細孔またはチャネルが、ナノ細孔またはナノチャネルである、実施形態60~62のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0282】
実施形態64.カートリッジが、複数のセンサを備える、実施形態1~63のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0283】
実施形態65.生体試料が、血液試料である、実施形態1~64のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0284】
実施形態66.カートリッジ空間が、チャンバまたはチャネルである、実施形態1~65のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0285】
実施形態67.生体試料を分析するためのシステムであって、
実施形態1~66のいずれか1つに記載のカートリッジと、
カートリッジと接続するように構成されたカートリッジインターフェースを含むデバイスと、を備え、デバイスが、カートリッジに給電し、それを動作させるように構成されている、システム。
【0286】
実施形態68.デバイスが、2つ以上の異なるタイプのカートリッジに給電し、それらを動作させるように構成されている、実施形態67に記載のシステム。
【0287】
実施形態69.デバイスが、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成された1つ以上のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体と、をさらに含み、1つ以上のプログラムが、(a)カートリッジ内で生体試料を輸送するためにカートリッジ内の複数のエレクトロウェッティング電極を動作させることと、(b)センサを動作させることと、のための命令を含む、実施形態67または68に記載のシステム。
【0288】
実施形態70.1つ以上のプログラムが、センサを介して生体試料を連続的に輸送するためにカートリッジ内の複数のエレクトロウェッティング電極を動作させるための命令を含む、実施形態69に記載のシステム。
【0289】
実施形態71.1つ以上のプログラムが、センサ内で生体試料を静的に位置付けるためにカートリッジ内の複数のエレクトロウェッティング電極を動作させるための命令を含む、実施形態70に記載のシステム。
【0290】
実施形態72.1つ以上のプログラムが、1つ以上の周波数で検出されたインピーダンス信号の多変数パターンに基づいて細胞数または分析物濃度を決定するための命令を含む、実施形態69~71のいずれか1つに記載のシステム。
【0291】
実施形態73.多変量パターンが、インピーダンスピーク高さ、インピーダンスピーク幅、インピーダンスピーク面積、またはインピーダンスピーク半値幅ピーク高さのうちの1つ以上を含む、実施形態72に記載のシステム。
【0292】
実施形態74.多変量パターンが、実インピーダンス成分および虚インピーダンス成分を含む、実施形態72または73に記載のシステム。
【0293】
実施形態75.多変量パターンが、大きさインピーダンス成分および位相インピーダンス成分を含む、実施形態72または73に記載のシステム。
【0294】
実施形態76.1つ以上のプログラムが、センサを較正するための命令を含む、実施形態67~75のいずれか1つに記載のシステム。
【0295】
実施形態77.デバイスが、ハンドヘルドデバイスである、実施形態67~76のいずれか1つに記載のシステム。
【0296】
実施形態78.生体試料を分析する方法であって、
生体試料をカートリッジ内に置くことと、
複数のエレクトロウェッティング電極を使用してカートリッジ内に生体試料を輸送することと、
カートリッジ内の1つ以上のセンサを使用して生体試料を分析して、分析データを生成することと、
カートリッジから分析データを送信することと、を含む、方法。
【0297】
実施形態79.カートリッジ内で生体試料を1つ以上の試薬と混合することを含む、実施形態78に記載の方法。
【0298】
実施形態80.生体試料が、毛細管作用を使用してカートリッジによって受容される、実施形態78または79に記載の方法。
【0299】
実施形態81.生体試料を分析した後に、生体試料をカートリッジ内の廃棄物リザーバ内に輸送することをさらに含む、実施形態78~80のいずれか1つに記載の方法。
【0300】
実施形態82.カートリッジが、単回使用後に廃棄される、実施形態78~81のいずれか1つに記載の方法。
【0301】
実施形態83.生体試料を分析することが、生体試料中の細胞数を計数することを含み、分析データが、細胞数に関する、実施形態78~82のいずれか1つに記載の方法。
【0302】
実施形態84.生体試料を分析することが、2つ以上の異なる細胞タイプを区別することを含む、実施形態78~83のいずれか1つに記載の方法。
【0303】
実施形態85.生体試料を分析することが、赤血球、白血球、および血小板を区別することを含む、実施形態84に記載の方法。
【0304】
実施形態86.生体試料を分析することが、白血球を計数すること、赤血球を計数すること、または血小板を計数することを含む、実施形態78~85のいずれか1つに記載の方法。
【0305】
実施形態87.生体試料を分析することが、好酸球、好塩基球、好中球、単球、およびリンパ球を区別することを含む、実施形態78~86のいずれか1つに記載の方法。
【0306】
実施形態88.生体試料を分析することが、好酸球数、好塩基球数、好中球数、単球数、またはリンパ球数を計数することを含む、実施形態78~87のいずれか1つに記載の方法。
【0307】
実施形態89.生体試料を分析することが、生体試料に電流を印加することと、電流の多重化されたインピーダンスを記録することと、を含む、実施形態78~88のいずれか1つに記載の方法。
【0308】
実施形態90.電流が、異なる周波数の複数の交流成分を含む混合された電流である、実施形態89に記載の方法。
【0309】
実施形態91.電流が、直流成分、および異なる周波数の複数の交流成分を含む混合された電流である、実施形態89または90に記載の方法。
【0310】
実施形態92.電流が、異なる周波数の少なくとも5つの交流成分を含む混合された電流である、実施形態89~91のいずれか1つに記載の方法。
【0311】
実施形態93.センサのうちの少なくとも1つを自己較正して、異なる細胞サイズを検出することを含む、実施形態78~92のいずれか1つに記載の方法。
【0312】
実施形態94.生体試料を分析することが、分析中に、生体試料をセンサのうちの少なくとも1つを通して連続的に流すことを含む、実施形態78~93のいずれか1つに記載の方法。
【0313】
実施形態95.生体試料が、約50V以下の電圧を使用してカートリッジ内に輸送される、実施形態78~94のいずれか1つに記載の方法。
【0314】
実施形態96.生体試料が、約0.5V~約50Vの電圧を使用してカートリッジ内に輸送される、実施形態78~95のいずれか1つに記載の方法。
【0315】
実施形態97.生体試料を分析することが、生体試料中の分析物またはタンパク質の濃度を決定することを含む、実施形態78~96のいずれか1つに記載の方法。
【0316】
実施形態98.生体試料を分析することが、センサのうちの少なくとも1つの上に生体試料を静的に位置付けることを含む、実施形態97に記載の方法。
【0317】
実施形態99.生体試料が、エレクトロウェッティング電極を使用してセンサ上に静的に位置付けられる、実施形態98に記載の方法。
【0318】
実施形態100.生体試料中の分析物またはタンパク質の濃度を決定することが、
分析物またはタンパク質を、センサのうちの1つの内部で電極に結合された親和性部分に結合させることと、
親和性部分に結合する分析物またはタンパク質から結果的に生じるインピーダンス変化を測定することと、を含む、実施形態78~99のいずれか1つに記載の方法。
【0319】
実施形態101.親和性部分が、抗体、抗体断片、またはアプタマーである、実施形態100に記載の方法。
【0320】
実施形態102.システムであって、
(a)生体試料を分析するように構成されたカートリッジであって、カートリッジが、
(i)センサであって、
第1のチャネルセグメント、
第2のチャネルセグメント、
第1のチャネルセグメントおよび第2のチャネルセグメントを流体的に接続する細孔またはチャネル、
細孔またはチャネルに多重化された電流または電圧を印加するように構成された電極対、ならびに
細孔またはチャネル内で複数の周波数でのインピーダンスを検出するように構成された電極対を含み、多重化された電流を印加するように構成された電極対、およびインピーダンスを検出するように構成された電極対が、同じ電極対または異なる電極対である、センサと、
(ii)センサに電気的に接続されたデバイスインターフェースと、を含む、カートリッジと、
(b)カートリッジと接続し、それを動作させるように構成されたデバイスであって、デバイスが、1つ以上のプロセッサ、および1つ以上のプロセッサによって実行されるように構成された1つ以上のプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み、1つ以上のプログラムが、検出されたインピーダンスに基づいて細胞数または分析物濃度を決定するための命令を含み、検出されたインピーダンスが、第1の周波数の第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の周波数の第2の多変量インピーダンスパターンを少なくとも含む、デバイスと、を備える、システム。
【0321】
実施形態103.多重化された電流を印加するように構成された電極対、およびインピーダンスを検出するように構成された電極対が、同じ電極対である、実施形態102に記載のシステム。
【0322】
実施形態104.多重化された電流を印加するように構成された電極対、およびインピーダンスを検出するように構成された電極対が、異なる電極対である、実施形態102に記載のシステム。
【0323】
実施形態105.第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の多変量インピーダンスパターンが、各々、インピーダンスの実数成分および虚数成分を含む、実施形態102~104のいずれか1つに記載のシステム。
【0324】
実施形態106.第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の多変量インピーダンスパターンが、各々、インピーダンスの大きさ成分および位相虚数成分を含む、実施形態102~104のいずれか1つに記載のシステム。
【0325】
実施形態107.第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の多変量インピーダンスパターンが、インピーダンスピーク高さ、インピーダンスピーク幅、インピーダンスピーク面積、またはインピーダンスピーク半値幅ピーク高さのうちの1つ以上を含む、実施形態102~106のいずれか1つに記載のシステム。
【0326】
実施形態108.電極対が、チャネルの内側部分に直接接触している、実施形態102~107のいずれか1つに記載のシステム。
【0327】
実施形態109.センサが、生体試料中の細胞数を計数するように構成されている、実施形態102~108のいずれか1つに記載のシステム。
【0328】
実施形態110.センサが、異なる細胞タイプを区別するように構成されている、実施形態109に記載のシステム。
【0329】
実施形態111.センサが、赤血球、白血球、および血小板を区別するように構成されている、実施形態110に記載のシステム。
【0330】
実施形態112.センサが、赤血球数、白血球数、または血小板数を計数するように構成されている、実施形態109~111のいずれか1つに記載のシステム。
【0331】
実施形態113.センサが、好酸球、好塩基球、好中球、単球、およびリンパ球を区別するように構成されている、実施形態109~112のいずれか1つに記載のシステム。
【0332】
実施形態114.センサが、好酸球、好塩基球、好中球、単球、およびリンパ球の数を計数するように構成されている、実施形態109~113のいずれか1つに記載のシステム。
【0333】
実施形態115.細孔またはチャネルが、マイクロ細孔またはマイクロチャネルである、実施形態109~114のいずれか1つに記載のシステム。
【0334】
実施形態116.センサが、分析物濃度を検出するように構成されている、実施形態102~108のいずれか1つに記載のシステム。
【0335】
実施形態117.分析物が、タンパク質である、実施形態116に記載のシステム。
【0336】
実施形態118.細孔またはチャネルが、ナノ細孔またはナノチャネルである、実施形態116または117に記載のシステム。
【0337】
実施形態119.インピーダンスを検出するように構成された電極対が、第1のチャネルセグメント内の第1の電極、および第2のチャネルセグメント内の第2の電極を含む、実施形態102~118のいずれか1つに記載のシステム。
【0338】
実施形態120.センサが、チャネルを含み、インピーダンスを検出するように構成された電極対が、チャネル内に位置付けられている、実施形態102~119のいずれか1つに記載のシステム。
【0339】
実施形態121.電極対が、第1のチャネルセグメントに近位の第1の電極、および第2のチャネルセグメントに近位の第2の電極を含む、実施形態120に記載のシステム。
【0340】
実施形態122.電極対が、チャネルの上面上の第1の電極、およびチャネルの下面上の第2の電極を含み、第1の電極が、第2の電極の上に位置付けられている、実施形態121に記載のシステム。
【0341】
実施形態123.センサが、センサ内の液体流を検出するように構成された電極対をさらに含む、実施形態102~122のいずれか1つに記載のシステム。
【0342】
実施形態124.センサが、1つ以上の分離電極を備える、実施形態102~123のいずれか1つに記載のシステム。
【0343】
実施形態125.センサが、エレクトロウェッティング電極に近位の第1のチャネルセグメントへの入口を含む、実施形態102~124のいずれか1つに記載のシステム。
【0344】
実施形態126.センサが、エレクトロウェッティング電極に近位の第2のチャネルセグメントへの出口を含む、実施形態102~125のいずれか1つに記載のシステム。
【0345】
実施形態127.多重化された電流は、異なる周波数の複数の交流成分を含む、実施形態102~126のいずれか1つに記載のシステム。
【0346】
実施形態128.多重化された電流が、(1)直流成分または低周波交流、および(2)異なる周波数の複数の交流成分を含む、実施形態102~127のいずれか1つに記載のシステム。
【0347】
実施形態129.複数の交流成分が、少なくとも3つの交流成分を含む、実施形態127または128に記載のシステム。
【0348】
実施形態130.複数の交流成分が、約10kHz~約100kHzの第1の交流、約100kHz~約700kHzの第2の交流、約700kHz~約5MHzの第3の交流、および約5MHzを超える第4の交流を含む、実施形態129に記載のシステム。
【0349】
実施形態131.複数の交流成分が、少なくとも5つの交流成分を含む、実施形態127または128に記載のシステム。
【0350】
実施形態132.複数の交流成分が、約50kHz~約250kHzの第1の交流、約250kHz~約700kHzの第2の交流、約700kHz~約5MHzの第3の交流、約5MHz~約20MHzの第4の交流、および約20MHz~約150MHzの第5の交流を含む、実施形態131に記載のシステム。
【0351】
実施形態133.インピーダンスを検出するように構成された電極対が、約100kHz以上のサンプリングレートでインピーダンスを検出するように構成されている、実施形態102~132のいずれか1つに記載のシステム。
【0352】
実施形態134.カートリッジが、カートリッジ内で1つ以上の液体を輸送するように構成された複数のエレクトロウェッティング電極を備える、実施形態102~133のいずれか1つに記載のシステム。
【0353】
実施形態135.カートリッジが、生体試料またはそれに由来する小口試料と試薬を混合し、センサに生体試料または小口試料を輸送するように構成されている、実施形態102~134のいずれか1つに記載のシステム。
【0354】
実施形態136.生体試料中の細胞数を決定する方法であって、
チャネルまたは細孔を含むセンサを介して生体試料を輸送することと、
チャネルまたは細孔に多重化された電流または電圧を印加することと、
チャネルまたは細孔内の多重化されたインピーダンスを検出することであって、多重化されたインピーダンスが、第1の周波数での第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の周波数での第2の多変量インピーダンスパターンを少なくとも含む、検出することと、
検出された多重化されたインピーダンスに基づいて細胞数を決定することと、を含む、方法。
【0355】
実施形態137.第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の多変量インピーダンスパターンが、各々、実数成分および虚数成分を含む、実施形態136に記載の方法。
【0356】
実施形態138.第1の多変量インピーダンスパターンおよび第2の多変量インピーダンスパターンが、各々、大きさ成分および位相成分を含む、実施形態136に記載の方法。
【0357】
実施形態139.多変量インピーダンスパターンが、インピーダンスピーク高さ、インピーダンスピーク幅、インピーダンスピーク面積、またはインピーダンスピーク半値幅ピーク高さのうちの1つ以上を含む、実施形態136~138のいずれか1つに記載の方法。
【0358】
実施形態140.生体試料は、多重化されたインピーダンスを検出する一対の電極に直接接触する、実施形態136~139のいずれか1つに記載の方法。
【0359】
実施形態141.2つ以上の異なる細胞タイプを区別することを含む、実施形態136~140のいずれか1つに記載の方法。
【0360】
実施形態142.細胞数を決定することが、生体試料中の赤血球数、白血球数、または血小板数を決定することを含む、実施形態136~141のいずれか1つに記載の方法。
【0361】
実施形態143.細胞数を決定することが、生体試料中の好酸球数、好塩基球数、好中球数、単球数、およびリンパ球数を決定することを含む、実施形態136~142のいずれか1つに記載の方法。
【0362】
実施形態144.センサを介して生体試料の2つ以上の小口試料を輸送することを含み、2つ以上の小口試料が、異なるpHレベルまたは異なる電解質濃度で処理される、実施形態136~143のいずれか1つに記載の方法。
【0363】
実施形態145.センサ内にマーカを輸送することを含む、実施形態136~144のいずれか1つに記載の方法。
【0364】
実施形態146.マーカが、気泡または低導電性溶液である、実施形態145に記載の方法。
【0365】
実施形態147.マーカを検出することを含む、実施形態145または146に記載の方法。
【0366】
実施形態148.マーカが、検出された多重化されたインピーダンスの記録を開始または終了することをトリガする、実施形態136~147のいずれか1つに記載の方法。
【0367】
実施形態149.生体試料の流量を決定することを含む、実施形態136~148のいずれか1つに記載の方法。
【0368】
実施形態150.決定された流量を使用して、細胞数を決定することを含む、実施形態149に記載の方法。
【0369】
実施形態151.生体試料を濾過することを含む、実施形態136~150のいずれか1つに記載の方法。
【0370】
実施形態152.多重化された電流が、異なる周波数の複数の交流成分を含む、実施形態136~151のいずれか1つに記載の方法。
【0371】
実施形態153.多重化された電流が、(1)直流成分または低周波交流、および(2)異なる周波数の複数の交流成分を含む、実施形態136~152のいずれか1つに記載の方法。
【0372】
実施形態154.複数の交流成分が、少なくとも3つの交流成分を含む、実施形態152または153に記載の方法。
【0373】
実施形態155.複数の交流成分が、約10kHz~約100kHzの第1の交流、約100kHz~約700kHzの第2の交流、約700kHz~約5MHzの第3の交流、および約5MHzを超える第4の交流を含む、実施形態152~154のいずれか1つの実施形態に記載の方法。
【0374】
実施形態156.複数の交流成分が、少なくとも5つの交流成分を含む、実施形態152または153に記載のシステム。
【0375】
実施形態157.複数の交流成分が、約50kHz~約250kHzの第1の交流、約250kHz~約700kHzの第2の交流、約700kHz~約5MHzの第3の交流、約5MHz~約20MHzの第4の交流、および約20MHz~約150MHzの第5の交流を含む、実施形態156に記載のシステム。
【0376】
実施形態158.生体試料中の分析物を検出する方法であって、
チャネルまたは細孔を含むセンサを介して生体試料を輸送することであって、生体試料が、親和性部分に結合された分析物を含む、輸送することと、
チャネルまたは細孔に電流または電圧を印加することと、
チャネルまたは細孔内のインピーダンスを検出することと、
検出されたインピーダンスに基づいて分析物を検出することと、を含む、方法。
【0377】
実施形態159.分析物が、タンパク質または電解質である、実施形態158に記載の方法。
【0378】
実施形態160.親和性部分が、多価親和性部分である、実施形態158または159に記載の方法。
【0379】
実施形態161.親和性部分が、荷電されている、実施形態158~160のいずれか1つに記載の方法。
【0380】
実施形態162.親和性部分が、アプタマー、抗体、または抗体断片を含む、実施形態158~151のいずれか1つに記載の方法。
【0381】
実施形態163.親和性部分が、アビジンまたはアビジン誘導体に結合されたアプタマーを含む、実施形態158~162のいずれか1つに記載の方法。
【0382】
実施形態164.親和性部分を含む試薬と生体試料を混合することを含む、実施形態158~163のいずれか1つに記載の方法。
【0383】
実施形態165.検出されたインピーダンスに基づいて分析物を検出することが、分析物に結合された親和性部分と非結合親和性部分とを識別することを含む、実施形態158~164のいずれか1つに記載の方法。
【0384】
実施形態166.センサ内にマーカを輸送することを含む、実施形態158~165のいずれか1つに記載の方法。
【0385】
実施形態167.マーカが、気泡または低導電性溶液である、実施形態166に記載の方法。
【0386】
実施形態168.マーカを検出することを含む、実施形態166または167に記載の方法。
【0387】
実施形態169.マーカが、検出された多重化されたインピーダンスの記録を開始または終了することをトリガする、実施形態166~168のいずれか1つに記載の方法。
【0388】
実施形態170.生体試料の流量を決定することを含む、実施形態166~169のいずれか1つに記載の方法。
【0389】
実施形態171.決定された流量を使用して、分析物の濃度を決定することを含む、実施形態170に記載の方法。
【0390】
実施形態172.エレクトロウェッティング電極アレイであって、
絶縁層で被覆され、それによって離隔された複数の共平面エレクトロウェッティング電極を備え、
エレクトロウェッティングアレイが、疎水性液体接触表面を含み、エレクトロウェッティングアレイが、約50ボルト以下の電圧を使用して水性液体を輸送するように構成されている、エレクトロウェッティング電極アレイ。
【0391】
実施形態173.絶縁層が、疎水性液体接触表面を含む、実施形態172に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0392】
実施形態174.絶縁層が、ナノ構造化表面を含む、実施形態173に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0393】
実施形態175.絶縁層が、疎水性液体接触表面を含む疎水性層で被覆されている、実施形態172に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0394】
実施形態176.疎水性層が、ナノ構造化表面を備える、実施形態175に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0395】
実施形態177.疎水性層が、フルオロポリマー、ポリジメチルシロキサン、パリレン、オクタデカンヒドロキシム酸、ステアリン酸、オクタデカンホスホン酸、l6-ヒドロリヘキサデカンヒドロラミン酸、またはオクタデカンチオールを含む、実施形態175または176に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0396】
実施形態178.複数のエレクトロウェッティング電極が、約0.5ボルト~約50ボルトの電圧を使用して水性液体を輸送するように構成されている、実施形態172~177のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0397】
実施形態179.絶縁層が、約3.9以上の誘電率を有する、実施形態172~178のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0398】
実施形態180.絶縁層が、酸化ハフニウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、またはチタン酸ストロンチウム、シリカ、または窒化ケイ素を含む、実施形態172~179のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0399】
実施形態181.絶縁層が、原子層堆積、化学蒸着、反応性イオンビーム堆積、スパッタ堆積、蒸発、スプレー堆積、スピンコーティング、またはソルゲル形成を使用して電極上に被覆されている、実施形態171~180のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0400】
実施形態182.絶縁層が、約1nm~約5μmの厚さを有する、実施形態171~181のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0401】
実施形態183.エレクトロウェッティング電極が、金、銀、塩化銀、白金、インジウムスズ酸化物、または導電性炭素を含む、実施形態171~182のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0402】
実施形態184.エレクトロウェッティング電極が、疎水性液体接触表面から約1nm~約25μmだけ分離されている、実施形態171~183のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0403】
実施形態185.複数のエレクトロウェッティング電極が、共平面エレクトロウェッティング電極に平行な接地電極をさらに含み、疎水性液体接触表面が、接地電極と共平面エレクトロウェッティング電極との間にある、実施形態171~184のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0404】
実施形態186.接地電極が、エレクトロウェッティング電極のうちの2つ以上に共通である、実施形態185に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0405】
実施形態187.エレクトロウェッティング電極のうちの少なくとも1つが、個々の接地電極と対になる、実施形態185に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0406】
実施形態188.実施形態171~187のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング電極アレイであって、検知電極および官能化された液体接触表面を含むインピーダンスセンサを備え、官能化された液体接触表面が、標的分析物に特異的に結合する親和性部分で官能化されている、エレクトロウェッティング電極アレイ。
【0407】
実施形態189.センサが、第1の検知電極と対になった第2の検知電極をさらに備え、センサが、親和性部分への分析物またはタンパク質の結合時のインピーダンスの変化を検出するように構成されている、実施形態188に記載のエレクトロウェッティング電極。
【0408】
実施形態190.標的分析物が、タンパク質である、実施形態188または189に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0409】
実施形態191.親和性部分が、抗体、抗体断片、またはアプタマーである、実施形態188~190のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0410】
実施形態192.インピーダンスセンサが、pHまたはイオン濃度に基づいてインピーダンスを変調するように構成されたpH感受性層またはイオン感受性層を含む、金属酸化物半導体コンデンサ(MOSCap)センサをさらに備える、実施形態188~191のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0411】
実施形態193.水性液体が、生体試料を含む、実施形態172~192のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0412】
実施形態194.生体試料が、血液試料を含む、実施形態193に記載のエレクトロウェッティング電極アレイ。
【0413】
実施形態195.生体試料を分析するためのカートリッジであって、
生体試料を受容するように構成された試料受容ポートと、
生体試料を分析するように構成されたセンサと、
生体試料受容ポートおよびセンサと流体連通しているカートリッジ空間であって、カートリッジ空間が、実施形態172~194のいずれか1つに記載のエレクトロウェッティング電極アレイを含む、カートリッジ空間と、
デバイス上のカートリッジインターフェースから電力を受信し、それと通信するように構成されたデバイスインターフェースと、を備え、センサおよび複数のエレクトロウェッティング電極が、デバイスインターフェースと電気的に通信する、カートリッジ。
【0414】
実施形態196.カートリッジ空間が、1つ以上の試薬リザーバに流体的に接続され、エレクトロウェッティング電極アレイは、1つ以上の試薬リザーバ内に延在している、実施形態195に記載のカートリッジ。
【0415】
実施形態197.エレクトロウェッティング電極アレイが、試薬混合領域を備える、実施形態195または196に記載のカートリッジ。
【0416】
実施形態198.カートリッジ空間が、チャンバまたはチャネルである、実施形態195~197のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【0417】
実施形態199.生体試料を分析するためのシステムであって、
実施形態195~198のいずれか1つに記載のカートリッジと、
カートリッジと接続するように構成されたカートリッジインターフェースを含むデバイスと、を備え、デバイスが、エレクトロウェッティング電極アレイを動作させるように構成されている、システム。
【0418】
実施形態200.デバイスが、ハンドヘルドデバイスである、実施形態199に記載のシステム。
【0419】
実施形態201.液体を輸送する方法であって、
不活性化された第1のエレクトロウェッティング電極の上の第1の疎水性液体接触表面上に水性液体を位置付けることと、
第2のエレクトロウェッティング電極を、第2のエレクトロウェッティング電極に約50ボルト以下の電圧を印加することによって活性化し、それによって、第1の疎水性液体接触表面から第2のエレクトロウェッティング電極の上の第2の疎水性液体接触表面に水性液体を輸送することと、を含み、
第1のエレクトロウェッティング電極および第2のエレクトロウェッティング電極が、絶縁層で被覆され、それによって分離されている、方法。
【0420】
実施形態202.水性液体が、生体試料を含む、実施形態201に記載の方法。
【0421】
実施形態203.試薬を第2の液体接触表面に輸送し、それによって、試薬を水性液体と混合することを含む、実施形態201または202に記載の方法。
【0422】
実施形態204.試薬が、第2のエレクトロウェッティング電極を活性化することによって輸送される、実施形態203に記載の方法。
【0423】
実施形態205.生体試料が、約0.5V~約50Vの電圧を使用してカートリッジ内に輸送される、実施形態201~204のいずれか1つに記載の方法。
【0424】
実施形態206.第1の疎水性液体接触表面または第2の疎水性液体接触表面が、ナノ構造化表面である、実施形態201~205のいずれか1つに記載の方法。
【0425】
実施形態207.絶縁層が、第1の疎水性液体接触表面および第2の疎水性液体接触表面を含む、実施形態201~206のいずれか1つに記載の方法。
【0426】
実施形態208.絶縁層が、第1の疎水性液体接触表面および第2の疎水性液体接触表面を含む疎水性層で被覆されている、実施形態201~207のいずれか1つに記載の方法。
【0427】
実施形態209.疎水性層が、フルオロポリマー、ポリジメチルシロキサン、パリレン、オクタデカンヒドロキシム酸、ステアリン酸、オクタデカンホスホン酸、l6-ヒドロリヘキサデカンヒドロラミン酸、またはオクタデカンチオールを含む、実施形態208に記載の方法。
【0428】
実施形態210.絶縁層が、約3.9以上の誘電率を有する、実施形態201~209のいずれか1つに記載の方法。
【0429】
実施形態211.絶縁層が、酸化ハフニウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、またはチタン酸ストロンチウム、シリカ、または窒化ケイ素を含む、実施形態201~210のいずれか1つに記載の方法。
【0430】
実施形態212.絶縁層が、約1nm~約5μmの厚さを有する、実施形態201~211のいずれか1つに記載の方法。
【0431】
実施形態213.第1のエレクトロウェッティング電極が、第1の疎水性液体接触表面から約1nm~約25μmだけ分離され、第2のエレクトロウェッティング電極が、第2の疎水性液体接触表面から約1nm~約25μmだけ分離されている、実施形態201~212のいずれか1つに記載の方法。
【0432】
実施形態214.金属酸化物半導体コンデンサ(MOSCap)センサであって、
第1の電極および第1の半導体層を含む第1のセンサセグメントと、
第2の電極および第2の半導体層を含む第2のセンサセグメントと、
液体流を可能にするように構成された、第1のセンサセグメントと第2のセンサセグメントとの間の空間と、を備え、
第1のセンサセグメント、第2のセンサセグメント、および空間が、積層構成である、金属酸化物半導体コンデンサセンサ。
【0433】
実施形態215.第1の半導体層が、第1の電極上に直接被覆され、第2の半導体層が、第2の電極上に直接被覆されている、実施形態214に記載のMOSCapセンサ。
【0434】
実施形態216.第1のセンサセグメントが、第1の絶縁層を含み、第2のセンサセグメントが、第2の絶縁層を含む、実施形態214または215に記載のMOSCapセンサ。
【0435】
実施形態217.第1の絶縁層が、第1の半導体層上に直接被覆され、第2の絶縁層が、第2の半導体層上に直接被覆されている、実施形態216に記載のMOSCapセンサ。
【0436】
実施形態218.第1のセンサセグメントが、第1のインピーダンス変調層を含み、第2のセンサセグメントが、第2のインピーダンス変調層を含み、第1のインピーダンス変調層および第2のインピーダンス変調層が、pHまたはイオン濃度に基づいてインピーダンスを変調するように構成されたpH感受性層またはイオン感受性層である、実施形態214~217のいずれか1つに記載のMOSCapセンサ。
【0437】
実施形態219.第1のセンサセグメントが、第1の絶縁層を含み、第2のセンサセグメントが、第2の絶縁層を含み、第1のインピーダンス変調層が、第1の絶縁層上に直接被覆され、第2のインピーダンス変調層が、第2の絶縁層上に直接被覆されている、実施形態218に記載のMOSCapセンサ。
【0438】
実施形態220.第1の電極が、第1の基板に取り付けられ、第2の電極が、第2の基板に取り付けられている、実施形態214~219のいずれか1つに記載のMOSCapセンサ。
【0439】
実施形態221.第1のセンサセグメントが、基準電極に隣接している、実施形態214~220のいずれか1つに記載のMOSCapセンサ。
【0440】
実施形態222.第1のセンサセグメントが、対向電極に隣接している、実施形態221に記載のMOSCapセンサ。
【0441】
実施形態223.MOSCapセンサが、エレクトロウェッティング電極に隣接している、実施形態214~222のいずれか1つに記載のMOSCapセンサ。
【0442】
実施形態224.エレクトロウェッティング電極が、親和性部分によって官能化されている、実施形態223に記載のMOSCapセンサ。
【0443】
実施形態225.親和性部分が、ヘモグロビンに特異的に結合する、実施形態224に記載のMOSCapセンサ。
【実施例0444】
本出願は、本出願の例示的な実施形態として提供される、以下の非限定的な例を参照することによってより良好に理解され得る。以下の実施例は、実施形態をより完全に例示するために提示されるが、しかしながら、本出願の広い範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。本出願の特定の実施形態が本明細書に示され説明されてきたが、そのような実施形態が単に例として提供されることは明らかであろう。本発明の概念および範囲から逸脱せずに、多数の変形、変更、および置換が、当業者に生じ得る。本明細書に説明される実施形態の様々な代替例は、本明細書に説明されるデバイスおよび方法を実施する際に用いられ得ることが理解されるべきである。
【0445】
実施例1:フローサイトメータチャネルセンサを使用する細胞サイズの区別
フローサイトメータを通って流れる細胞の直径は、低周波電流(例えば、<100Hz)を使用して決定され得、電圧信号は、既知のサイズを有するポリスチレンビーズを使用して検出される信号変調に較正され得る。センサを較正するために、リン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)に懸濁された直径5μm、10μm、20μm、または30μmのポリスチレンビーズをフローサイトメータチャネルセンサに通過させた。30kHz電流(0.35V
pk)を、センサを通過させ、インピーダンスを460,000サンプル/秒でサンプリングした。時間に対する電圧の変化は、粒子サイズの各々について
図18Aに示され、各ピークは、単一の粒子の通過を反映する。
【0446】
図18Bに示されるように、測定された粒径を真の粒径に正規化して、測定値を較正した。異なる粒径は、直線的に適合し、このフローサイトメータチャネルセンサを使用する将来の測定のための較正を、線形適合を使用して設定した。測定された電圧信号からサイズを決定または計算するために、ベースライン信号(粒子なし)に関する電圧の変化をインピーダンスの変化に変換した。このインピーダンス変化を、以下のように、インピーダンスの変化に対するチャネル寸法間の理論的関係を使用して、粒子サイズに変換した。
式中、ΔZは、粒子なしのベースラインインピーダンスZに関するインピーダンスの変化であり、d、L、Dは、それぞれ、粒子直径、チャネル長さ、およびチャネル直径である。
は、補正係数である。
【0447】
実施例2:様々な細胞タイプの多重化されたインピーダンス特性の決定
赤血球、血小板、好酸球、好塩基球、好中球、単球、およびリンパ球のインピーダンス特性を、様々な細胞タイプを分離し、インピーダンスを測定しながら、細胞を、フローサイトメータチャネルセンサを通過させることによって測定した。異なる細胞タイプを、既知の技術を使用して分離した。分離された細胞を、リン酸塩緩衝生理食塩水(pH7.4)に懸濁させ、フローサイトメータを通過させた。サイズ検出のための低周波成分(30kHz)を含んだ多重化された電流(0.35V
pk)と、5つの追加の周波数(107kHz、570kHz、1.55MHz、16MHz、および40MHz)を、フローセンサを通過させ、インピーダンスの実数成分および虚数成分を検出した。インピーダンス信号を460,000サンプル/秒のレートでサンプリングし、異なるインピーダンス周波数を、バンドパスフィルタ(8次、5Hzバンド幅)を使用してフィルタ処理し、復調した。全5つの周波数での単一好酸球の例示的な実および虚インピーダンスが
図19に示され、細胞は、-6.19秒において電流を通して流れている。データは示されないが、他の細胞タイプについて同様のプロットを収集した。インピーダンス信号を、全ての測定値にわたって107kHz信号での大きさを除算することによって正規化し(ただし、データは、他の周波数のいずれかに等しく正規化され得る)、異なる細胞タイプについての5つの異なる周波数での実および虚インピーダンス成分の平均の正規化されたインピーダンスが、
図20A(好塩基球)、
図20B(好酸球)、
図20C(リンパ球)、
図20D(単球)、
図20E(好中球)、
図20F(血小板)、
図20G(赤血球)、および表1に示される。
図20A~20Gでは、レーダープロット上の点A~Eは、それぞれ、周波数107kHz、570kHz、1.55MHz、16MHzおよび40MHzに対応する。
【0448】
これらのインピーダンス特性は、pH、緩衝液のイオン濃度などの単一の環境条件で決定される。pH、イオン濃度などの環境変数を調整および修正することによって、環境条件は、細胞の表面およびバルク特性の両方、ならびにこれらの条件下での測定に影響を与える。それゆえに、追加のインピーダンス特性が、様々な細胞タイプのより固有の特徴を提供するように、異なる緩衝液条件下で収集され得る。
【0449】
実施例3:フローセンサ内の粒径の選別
1倍PBS溶液中に懸濁された5μmおよび10μmのポリスチレンビーズの混合物を、2.5μL/分の一定流量でチャネルセンサを通してポンプ輸送した。チャネルセンサは、マイクロチャネル(長さ1mm、幅および高さ20μm)を含み、3つの電極が、マイクロチャネルの長さに沿って12.5μm離隔されて位置付けられた。ビーズがチャネルを通って流れると、交流(0.5Vpp、100kHz)が電極間を通過し、電圧変化が測定された。電圧差動信号を正規化した(ベースラインを除去し、信号を交流から復調し、その結果、測定された電圧は、固定された交流信号のインピーダンスに比例した)。経時的な例示的な正規化された電圧信号が
図21Aに示され、5μmビーズおよび10μmビーズからの例示的な信号が示されている。より小さいパルスは、5μmのビーズに対応し、より大きいパルスは、それらがマイクロチャネルを通過するにつれて10μmのビーズに対応する。電圧差動信号のヒストグラムが
図21Bに示され、2つの異なるビーズサイズの分類を示す。
【0450】
実施例4:異なる細胞タイプのクラスタ化
インピーダンス特性を、実施例2に説明されるように、健康な男性から採取した全血から精製された全ての個々の細胞について事前に収集した。このデータは、個々の細胞群およびクラスタの同定を可能にした標識データセットを形成した。健康な成人からの全血試料を1倍PBS中で希釈して、細胞の濃度を低減し、フローセンサで測定した。この不明な試料データを、複数のパラメータにわたって別個のクラスタにクラスタ化した。次いで、事前に収集されたデータセットからの標識データセットを使用して、これらのクラスタをカテゴリまたは細胞タイプにさらに精査した。教師なしおよび教師あり学習方法の両方の組み合わせ(すなわち、半教師あり学習技術)を使用して、分類を精査した。訓練されたモデルは、
図22Aに示されるように、インピーダンス特性を血小板、赤血球(RBC)、および白血球(WBC)にクラスタ化した。
図22Aでは、分類された細胞がプロットされ、107kHzで示されている。同時に、同じ訓練されたモデルは、
図22Bに示されるように、白血球が、好中球、リンパ球、および単球を識別するためにインピーダンス特性に基づいてさらに精査およびクラスタ化されることを可能にする。
図22Bは、1.55MHzでの細胞タイプのプロットを示す。例示的な単一信号が、
図22Cで、粒子がセンサを通って流れる時間に対して示され、各ピークが、細胞タイプに従って同定されている(Rが赤血球を示し、Wが白血球を示し、PTが血小板を示し、PSは、区別化能力を示すために全血に添加された5μmのポリスチレンビーズを示す)。
【0451】
インピーダンス特性をクラスタ化した後、各細胞タイプの数が取得され得る。測定された数が、健康な成人男性の基準範囲と共に表2に示される。
【0452】
実施例5:赤血球溶解物中のヘモグロビンの測定
赤血球溶解物のヘモグロビン(Hb)含有量を、ヘモグロビン検出用に構成された金属酸化物半導体コンデンサ(MOSCap)センサを使用して測定した。アプタマーの5’末端にチオール基を有するHb特異的アプタマーを、電極に結合させた。Hb特異的アプタマー修飾電極は、センサの「検出領域」と呼ばれ得る。全血を赤血球溶解試薬と混合させ、溶解物を検出領域に位置付けた。溶解物を検出領域で培養することを可能にし、このことは、溶解物中のヘモグロビンが表面結合Hb特異的アプタマーに結合することを可能にした。次いで、洗浄緩衝液を使用して検出領域を3回洗浄し、溶解物の非結合部分を除去した。グルコースオキシダーゼ(GOx)にコンジュゲートされた第2のHb特異的アプタマーを検出領域に移動させ、GOxコンジュゲートされたアプタマーを、表面結合アプタマーに結合されたヘモグロビンに結合させた。次いで、非結合GOxコンジュゲートされたアプタマーを、検出領域を洗浄することによって除去した。GOxが過酸化水素およびグルコン酸を生成するために使用する、緩衝液中のグルコースを検出領域に導入した。グルコン酸は、pH感受性MOScapセンサに対してセンサの隣接領域内に移動された緩衝液のpHを低下させた。緩衝液のpHの変化は、試料中のヘモグロビンの濃度に比例した。ヘモグロビン濃度を、既知の濃度の精製ヘモグロビンを使用した較正データに基づいて決定した。