(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150542
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0745 20120101AFI20241016BHJP
H01L 31/0224 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H01L31/06 450
H01L31/04 266
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024113152
(22)【出願日】2024-07-16
(31)【優先権主張番号】202410373895.7
(32)【優先日】2024-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523183389
【氏名又は名称】トリナ・ソーラー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TRINA SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 Trina Road, Trina PV Park, Xinbei District, Changzhou, Jiangsu 213031, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン ダミン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン イーフェン
(72)【発明者】
【氏名】リョ ドンユン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】太陽電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】太陽電池及びその製造方法、太陽光発電モジュール並びに太陽光発電システムである。太陽電池は基板を含み、基板の第1表面に第1トンネル酸化層及びパッシベーション誘電体層が順に積層して設けられ、第1トンネル酸化層は、第1表面と少なくとも部分的に接触する。パッシベーション誘電体層は、少なくとも透明導電酸化物層を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表面、及び前記第1表面に対向して設けられた第2表面を有する基板と、
前記基板の前記第1表面上に設けられ、前記第1表面と少なくとも部分的に接触する第1トンネル酸化層と、
前記第1トンネル酸化層の前記基板から離れた表面に設けられ、少なくとも透明導電酸化物層を含むパッシベーション誘電体層と、を含む、ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記透明導電酸化物層の材質は、ドープされた金属酸化物を含み、
前記ドープされた金属酸化物は、アルミニウム、ホウ素、ガリウムのうちの少なくとも1種がドープされた酸化亜鉛を含み、
前記ドープされた金属酸化物は、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、ホウ素ドープ酸化亜鉛のうちの1種又は任意の組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記透明導電酸化物層の厚さは、5nm~20nmである、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記パッシベーション誘電体層は、1層の透明酸化物層及び1層の第1パッシベーション層を含み、
前記第1パッシベーション層は、前記透明導電酸化物層の前記第1トンネル酸化層から離れた表面に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記パッシベーション誘電体層は、少なくとも1層の前記透明導電酸化物層と、少なくとも1層の第1パッシベーション層とを含み、
前記透明導電酸化物層及び前記第1パッシベーション層がいずれも1層設けられる場合、前記第1トンネル酸化層から離れる方向に沿って、前記透明導電酸化物層及び前記第1パッシベーション層が順に積層して設けられ、
前記透明導電酸化物層が少なくとも2層設けられる場合、前記第1トンネル酸化層から離れる方向に沿って、前記透明導電酸化物層及び前記第1パッシベーション層が順に交互に積層して設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第1表面に電極領域及び非電極領域を有し、
前記第1表面への前記第1トンネル酸化層及び前記パッシベーション誘電体層の正投影は、重なり投影を有し、
前記重なり投影は、少なくとも前記第1表面の前記非電極領域に位置する、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第1表面の前記電極領域に設けられた第1パッシベーションコンタクト層をさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第1トンネル酸化層と前記第1表面の前記非電極領域とは、互いに接触し、
前記第1パッシベーションコンタクト層は、前記第1表面の前記電極領域に設けられる、ことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第1トンネル酸化層は、前記第1表面の前記非電極領域と互いに接触する第1部分と、前記第1表面の前記電極領域と間隔をおいた第2部分とを含み、
前記第2部分は、前記第1パッシベーションコンタクト層の前記第1表面から離れた表面に設けられる、ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第1パッシベーションコンタクト層は、前記第1表面の電極領域に順に積層して設けられた第2トンネル酸化層、及び第1ドープ半導体層を含む、ことを特徴とする請求項8に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第1トンネル酸化層は、前記第1表面の前記非電極領域と互いに接触する第1部分と、前記第1表面の前記電極領域と互いに接触する第2部分とを含み、
前記第1パッシベーションコンタクト層は、前記第2部分の前記基板から離れた表面に設けられる、ことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第1パッシベーションコンタクト層は、第1ドープ半導体層を含み、
前記第1ドープ半導体層は、前記第2部分の前記基板から離れた表面に設けられる、ことを特徴とする請求項11に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記第1パッシベーションコンタクト層は、第2トンネル酸化層をさらに含み、
前記第2トンネル酸化層は、前記第1ドープ半導体層の前記第2部分から離れた表面に設けられる、ことを特徴とする請求項12に記載の太陽電池。
【請求項14】
第1グリッド線電極をさらに含み、
前記第1グリッド線電極の前記第1表面への正投影は、前記第1表面の電極領域に位置し、かつ前記第1グリッド線電極は、前記第1パッシベーションコンタクト層とオーミック接触を形成する、ことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池。
【請求項15】
前記第1グリッド線電極の幅方向に沿って、前記第1グリッド線電極の寸法と、前記第1パッシベーションコンタクト層の寸法との比は、0より大きく、かつ1以下である、ことを特徴とする請求項14に記載の太陽電池。
【請求項16】
第2パッシベーション層をさらに含み、
前記第2パッシベーション層は、前記パッシベーション誘電体層の前記第1トンネル酸化層から離れた表面に設けられる、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項17】
前記基板の前記第2表面に設けられた第2パッシベーションコンタクト層をさらに含む、ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項18】
前記第2パッシベーションコンタクト層は、前記第2表面に順に積層して設けられた第3トンネル酸化層及び第2ドープ半導体層を含む、ことを特徴とする請求項17に記載の太陽電池。
【請求項19】
第2グリッド線電極をさらに含み、
前記第2グリッド線電極は、前記基板の前記第2表面に位置し、かつ前記第2パッシベーションコンタクト層とオーミック接触を形成する、ことを特徴とする請求項17に記載の太陽電池。
【請求項20】
第3パッシベーション層をさらに含み、
前記第3パッシベーション層は、前記第2パッシベーションコンタクト層の前記基板から離れた表面に設けられる、ことを特徴とする請求項17に記載の太陽電池。
【請求項21】
対向して設けられた第1表面及び第2表面を有する基板を提供するステップと、
前記基板の前記第1表面に第1トンネル酸化層及びパッシベーション誘電体層を順に形成するステップであって、前記第1トンネル酸化層は、前記第1表面と少なくとも部分的に接触し、前記パッシベーション誘電体層は、前記第1トンネル酸化層の前記基板から離れた表面に設けられ、前記パッシベーション誘電体層は、少なくとも透明導電酸化物層を含むステップと、を含む、ことを特徴とする太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽電池の技術分野に関し、特に太陽電池及びその製造方法、太陽光発電モジュール並びに太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
TOPCon(Tunnel Oxide Passivated Contact)電池において、通常、シリコンウェハの表面にトンネル酸化層とドープポリシリコン層を製造し、両者は、共にパッシベーションコンタクト構造を形成して、シリコンウェハに良好な界面パッシベーションを提供する。しかしながら、ドープポリシリコン層には、常に大きな寄生吸収が発生するため、太陽電池の効率を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに基づいて、太陽電池の効率を向上させることができる太陽電池及びその製造方法、太陽光発電モジュール並びに太陽光発電システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の一態様によれば、本願の実施例に係る太陽電池は、第1表面、及び第1表面に対向して設けられた第2表面を有する基板と、基板の第1表面上に設けられ、第1表面と少なくとも部分的に接触する第1トンネル酸化層と、第1トンネル酸化層の基板から離れた表面に設けられ、少なくとも透明導電酸化物層を含むパッシベーション誘電体層と、を含む。
【0005】
一実施例において、透明導電酸化物層の材質は、ドープされた金属酸化物を含む。
【0006】
一実施例において、前記ドープされた金属酸化物は、アルミニウム、ホウ素、ガリウムのうちの少なくとも1種がドープされた酸化亜鉛を含む。
【0007】
一実施例において、ドープされた金属酸化物は、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、ホウ素ドープ酸化亜鉛のうちの1種又は任意の組み合わせを含む。
【0008】
一実施例において、透明導電酸化物層の材質は、アルミニウムドープ酸化亜鉛を含み、アルミニウムドープ酸化亜鉛中のアルミニウムの質量百分率は、1%~20%である。
【0009】
一実施例において、透明導電酸化物層の厚さは、5nm~20nmである。
【0010】
一実施例において、パッシベーション誘電体層は、1層の透明酸化物層及び1層の第1パッシベーション層を含み、第1パッシベーション層は、透明導電酸化物層の第1トンネル酸化層から離れた表面に設けられる。
【0011】
一実施例において、パッシベーション誘電体層は、少なくとも1層の透明導電酸化物層、及び少なくとも1層の第1パッシベーション層を含む。
【0012】
一実施例において、透明導電酸化物層及び第1パッシベーション層はいずれも1層設けられ、第1トンネル酸化層から離れる方向に沿って、透明導電酸化物層及び第1パッシベーション層が順に積層して設けられる。
【0013】
一実施例において、透明導電酸化物層は少なくとも2層設けられ、第1トンネル酸化層から離れる方向に沿って、透明導電酸化物層及び第1パッシベーション層が順に交互に積層して設けられる。
【0014】
一実施例において、第1パッシベーション層の材質は、アルミナ、窒化ケイ素のうちの少なくとも1種を含む。
【0015】
一実施例において、第1パッシベーション層の厚さは、1nm~20nmである。
【0016】
一実施例において、第1表面に電極領域及び非電極領域を有し、第1表面への第1トンネル酸化層及びパッシベーション誘電体層の正投影は、重なり投影を有し、重なり投影は、少なくとも第1表面の非電極領域に位置する。
【0017】
一実施例において、太陽電池は、第1表面の電極領域に設けられた第1パッシベーションコンタクト層をさらに含む。
【0018】
一実施例において、第1トンネル酸化層と第1表面の非電極領域とは、互いに接触し、
第1パッシベーションコンタクト層は、第1表面の電極領域に設けられる。
【0019】
一実施例において、第1トンネル酸化層は、第1表面の非電極領域と互いに接触する第1部分と、第1表面の電極領域と間隔をおいた第2部分とを含み、第2部分は、第1パッシベーションコンタクト層の第1表面から離れた表面に設けられる。
【0020】
一実施例において、第1パッシベーションコンタクト層は、第1表面の電極領域に順に積層して設けられた第2トンネル酸化層及び第1ドープ半導体層を含む。
【0021】
一実施例において、第2トンネル酸化層の厚さは、0.8nm~2nmである。
【0022】
一実施例において、第1ドープ半導体層の厚さは、10nm~500nmである。
【0023】
一実施例において、第1トンネル酸化層は、第1表面の非電極領域と互いに接触する第1部分と、第1表面の電極領域と互いに接触する第2部分とを含み、第1パッシベーションコンタクト層は、第2部分の基板から離れた表面に設けられる。
【0024】
一実施例において、第1パッシベーションコンタクト層は、第1ドープ半導体層を含み、第1ドープ半導体層は、第2部分の基板から離れた表面に設けられる。
【0025】
一実施例において、第1パッシベーションコンタクト層は、第2トンネル酸化層をさらに含み、第2トンネル酸化層は、第1ドープ半導体層の第2部分から離れた表面に設けられる。
【0026】
一実施例において、太陽電池は、第1グリッド線電極をさらに含み、第1グリッド線電極の第1表面への正投影は、第1表面の電極領域に位置し、かつ第1グリッド線電極は、第1パッシベーションコンタクト層とオーミック接触を形成する。
【0027】
一実施例において、第1グリッド線電極の幅方向に沿って、第1グリッド線電極の寸法と、第1パッシベーションコンタクト層の寸法との比は、0より大きく、かつ1以下である。
【0028】
一実施例において、太陽電池は、第2パッシベーション層をさらに含み、第2パッシベーション層は、パッシベーション誘電体層の第1トンネル酸化層から離れた表面に設けられる。
【0029】
一実施例において、太陽電池は、基板の第2表面に設けられた第2パッシベーションコンタクト層をさらに含む。
【0030】
一実施例において、第2パッシベーションコンタクト層は、第2表面に順に積層して設けられた第3トンネル酸化層及び第2ドープ半導体層を含む。
【0031】
一実施例において、第3トンネル酸化層の厚さは、0.8nm~2nmである。
【0032】
一実施例において、第2ドープ半導体層の厚さは、10nm~1000nmである。
【0033】
一実施例において、太陽電池は、第2グリッド線電極をさらに含み、第2グリッド線電極は、基板の第2表面に位置し、かつ第2パッシベーションコンタクト層とオーミック接触を形成する。
【0034】
一実施例において、太陽電池は、第3パッシベーション層をさらに含み、第3パッシベーション層は、第2パッシベーションコンタクト層の基板から離れた表面に設けられる。
【0035】
一実施例において、第1トンネル酸化層の厚さは、0.8nm~2nmである。
【0036】
本願の別の態様によれば、本願の実施例に係る太陽電池の製造方法は、対向して設けられた第1表面及び第2表面を有する基板を提供するステップと、基板の第1表面に第1トンネル酸化層及びパッシベーション誘電体層を順に形成するステップであって、第1トンネル酸化層は、第1表面と少なくとも部分的に接触し、パッシベーション誘電体層は、第1トンネル酸化層の基板から離れた表面に設けられ、パッシベーション誘電体層は、少なくとも透明導電酸化物層を含むステップと、を含む。
【0037】
一実施例において、透明導電酸化物層の材質は、ドープされた金属酸化物を含む。
【0038】
一実施例において、ドープされた金属酸化物は、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、ホウ素ドープ酸化亜鉛のうちの1種又は任意の組み合わせを含む。
【0039】
一実施例において、透明導電酸化物層の材質は、アルミニウムドープ酸化亜鉛を含み、アルミニウムドープ酸化亜鉛中のアルミニウムの質量百分率は、1%~20%である。
【0040】
一実施例において、前記パッシベーション誘電体層を形成することは、透明酸化物層を形成すること及び第1パッシベーション層を形成することを含み、前記第1パッシベーション層は、前記透明導電酸化物層の前記第1トンネル酸化層から離れた表面に形成される。
【0041】
一実施例において、前記パッシベーション誘電体層を形成することは、少なくとも1層の透明導電酸化物層を形成すること及び少なくとも1層の第1パッシベーション層を形成することを含む。
【0042】
一実施例において、前記パッシベーション誘電体層を形成することは、1層の透明導電酸化物層を形成すること及び1層の第1パッシベーション層を形成することを含み、前記第1トンネル酸化層から離れる方向に沿って、前記透明導電酸化物層及び前記第1パッシベーション層が順に積層して設けられる。
【0043】
一実施例において、前記パッシベーション誘電体層を形成することは、少なくとも2層の透明導電酸化物層を形成すること及び少なくとも2層の第1パッシベーション層を形成することを含み、前記第1トンネル酸化層から離れる方向に沿って、前記透明導電酸化物層及び前記第1パッシベーション層が順に交互に積層して設けられる。
【0044】
一実施例において、第1パッシベーション層の材質は、アルミナ、窒化ケイ素のうちの少なくとも1種を含む。
【0045】
一実施例において、第1表面に電極領域及び非電極領域を有し、基板の第1表面に第1トンネル酸化層及びパッシベーション誘電体層を順に形成する前に、前記方法は、基板の第1表面の電極領域に第1パッシベーションコンタクト層を形成するステップを含み、第1トンネル酸化層と第1表面の非電極領域とは、互いに接触する。
【0046】
一実施例において、第1トンネル酸化層は、第1表面の非電極領域と互いに接触する第1部分と、第1表面の電極領域と間隔をおいた第2部分とを含み、第2部分は、第1パッシベーションコンタクト層の第1表面から離れた表面に形成される。
【0047】
一実施例において、前記第1パッシベーションコンタクト層を形成することは、前記第1表面の前記電極領域に順に積層して設けられた第2トンネル酸化層及び第1ドープ半導体層を形成することを含む。
【0048】
一実施例において、基板の第1表面に第1トンネル酸化層及びパッシベーション誘電体層を順に形成した後、前記方法は、基板の第1表面に第1グリッド線電極を形成するステップであって、第1グリッド線電極の第1表面への正投影は、第1表面の電極領域に位置し、かつ第1グリッド線電極は、第1パッシベーションコンタクト層とオーミック接触を形成するステップを含む。
【0049】
一実施例において、基板の第1表面に第1トンネル酸化層及びパッシベーション誘電体層を順に形成した後、前記方法は、パッシベーション誘電体層の第1トンネル酸化層から離れた表面に第2パッシベーション層を形成するステップを含む。
【0050】
一実施例において、製造方法は、基板の第2表面に第2パッシベーションコンタクト層を形成するステップをさらに含む。
【0051】
一実施例において、基板の第2表面に第2パッシベーションコンタクト層を形成した後、前記方法は、基板の第2表面に第2グリッド線電極を形成するステップであって、第2グリッド線電極は、第2パッシベーションコンタクト層とオーミック接触を形成するステップを含む。
【0052】
一実施例において、基板の第2表面に第2パッシベーションコンタクト層を形成した後、前記方法は、第2パッシベーションコンタクト層の基板から離れた表面に第3パッシベーション層を形成するステップを含む。
【0053】
本願の別の態様によれば、本願の実施例に係る太陽光発電モジュールは、上記いずれかの実施例に記載の太陽電池を含む。
【0054】
本願のさらに別の態様によれば、本願の実施例に係る太陽光発電システムは、上記いずれかの実施例に記載の太陽光発電モジュールを含む。
【発明の効果】
【0055】
上記太陽電池及びその製造方法、太陽光発電モジュール並びに太陽光発電システムによれば、基板の第1表面に第1トンネル酸化層及びパッシベーション誘電体層が順に積層して設けられ、第1トンネル酸化層は、第1表面と少なくとも部分的に接触する。第1トンネル酸化層及びパッシベーション誘電体層により積層構造を形成し、かつパッシベーション誘電体層は、少なくとも透明導電酸化物層を含み、第1トンネル酸化層と透明導電酸化物層との協働によって、良好な表面パッシベーション効果を形成するだけでなく、寄生吸収を低下させることができ、キャリアの移動に寄与し、さらにキャリア再結合の電流密度を低減し、太陽電池の変換効率を向上させる。
【0056】
本願の実施例の追加の態様及び利点は、以下の説明において示され、以下の説明から明らかになり、又は本願の実施例の実施により理解される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
以下、本発明の技術的解決策をより明確に説明するために、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。以下に説明される図面は本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、これらの図面に基づいて創造的な努力なしに他の図面を得ることができることが明らかであろう。
【0058】
【
図1】本願の一実施例に係る太陽電池の構造概略図である。
【
図3】本願の別の実施例に係る太陽電池の構造概略図である。
【
図5】本願のさらに別の実施例に係る太陽電池の構造概略図である。
【
図7】本願の別の実施例に係る太陽電池の部分拡大図である。
【
図8】本願の別の実施例に係る太陽電池の部分拡大図である。
【
図9】本願のまたさらに別の実施例に係る太陽電池の構造概略図である。
【
図11】本願の別の実施例に係る太陽電池の部分拡大図である。
【
図12】本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法のフローチャートである。
【
図13】本願の一実施例に係る、ステップSHを含む太陽電池の製造方法のフローチャートである。
【
図14】本願の一実施例に係る、ステップSIを含む太陽電池の製造方法のフローチャートである。
【
図15】本願の一実施例に係る、ステップSJを含む太陽電池の製造方法のフローチャートである。
【
図16】本願の一実施例に係る、ステップSKを含む太陽電池の製造方法のフローチャートである。
【
図17】本願の一実施例に係る、ステップSLを含む太陽電池の製造方法のフローチャートである。
【
図18】本願の一実施例に係る、ステップSMを含む太陽電池の製造方法のフローチャートである。
【
図19】本願の一比較例に係る太陽電池の構造概略図である。
【
図20】本願の別の比較例に係る太陽電池の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本願の上記の目的、特徴及び利点をより明確かつ理解しやすくするために、以下、本願の具体的な実施形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、本願の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、本願は、ここで説明したものとは異なる他の多くの形態で実施することができ、当業者であれば、本願の趣旨を逸脱することなく同様の改良を行うことができるため、以下に開示する具体的な実施例によって本願が限定されるものではない。
【0060】
本発明の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語で示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係であり、本発明を説明しやすい、又は説明を簡単にするだけに用いられ、示している装置又は部品が必ず特定の方位を有し、特定の方位構造と操作を有することを表す又は暗示することではないことを理解されるべきであり、そのため本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0061】
また、用語「第1」、「第2」は、目的を説明するためだけに用いられるものであり、比較的な重要性を指示又は暗示するか、或いは示された技術的特徴の数を黙示的に指示すると理解してはいけない。これにより、「第1」、「第2」に限定されている特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本願の説明において、明確かつ具体的な限定がない限り、用語「複数」は、少なくとも2つ、例えば、2つ、3つなどを意味する。
【0062】
本発明において、特に明確な規定及び限定しない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」などの用語は、広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続であってもよく、或いは、一体的な接続であってもよく、機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよく、直接的に接続してもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの部材の内部の連通又は2つの部材の相互作用関係であってもよい。なお、以下の説明及び添付の特許請求の範囲において、1つの要素と他の要素とが「電気的に接続される」とは、1つの要素と他の要素とが直接接触して電気エネルギー伝送経路又は電流伝送経路を形成することを含むだけでなく、1つの要素と他の要素との間に中間要素があり、該1つの要素、他の要素及びそれらの間の中間要素が電気エネルギー伝送経路又は電流伝送経路を形成して、電気エネルギー伝送又は伝達を実現することを含む。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願中の具体的な意味を理解することができる。
【0063】
本願において、明確な規定と限定がない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1特徴と第2特徴とが直接接触することを含んでもよく、第1特徴と第2特徴とが中間媒体を介して間接的に接触することを含んでもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上又は斜め上にあることを含み、或いは、第1特徴の水平高さが第2特徴よりも高いことを表すだけである。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1特徴が第2特徴の直下又は斜め下にあることを含み、或いは、第1特徴の水平高さが第2特徴よりも低いことを表すだけである。
【0064】
なお、要素が別の要素に「固定される」又は「設けられる」と呼ばれる場合、それは別の要素上に直接存在する場合もあれば、介在要素が存在する場合もある。要素が別の要素に「接続される」と考えられる場合、それは別の要素に直接接続される場合もあれば、介在要素が同時に存在する場合もある。本願で用いられる用語「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」及び同様の表現があれば、説明のみを目的としており、唯一の実施形態を表すものではない。
【0065】
図1は、本願の一実施例に係る太陽電池の構造概略図を示し、
図2は、
図1におけるA部の部分拡大図を示し、説明の便宜上、本願の実施例に関連する内容のみを示している。
【0066】
図1及び
図2に示すように、本願の実施例は、基板100と、第1トンネル酸化層200と、パッシベーション誘電体層300とを含む太陽電池を提供する。
【0067】
基板100は、入射光を受けて光生成キャリアを生成するものである。例えば、太陽電池は、TOPCon(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネル酸化層パッシベーションコンタクト)電池であってもよい。基板100の材料は、実際のニーズに応じて選択することができる。例示的には、基板100は、シリコン基板であってもよい。基板100のドープタイプは、特に限定されない。例えば、該基板100は、N型ドープシリコン基板であってもよく、又は、P型ドープシリコン基板であってもよい。本願の実施例において、これは特に限定されない。一実施例において、基板100は、N型単結晶シリコンウェハであってもよい。
【0068】
基板100は、第1表面m1、及び第1表面m1に対向して設けられた第2表面m2を有する。即ち、第1表面m1と第2表面m2とは、対向して設けられる2つの表面であり、第1方向F1に沿って対向して設けられ、第1方向F1は、基板100の厚さ方向である。第1表面m1及び第2表面m2は、いずれも入射光を受けることができる。一実施例において、第1表面m1は、受光面であり、第2表面m2は、裏面である。なお、受光面と裏面は、相対的なものであり、受光面は、具体的には、太陽電池又は太陽光発電モジュールにおける基板100の、太陽光が主に照射される表面である。太陽電池技術の発展に伴い、裏面も主に周囲環境における反射光又は散乱光に由来する太陽光のエネルギーを受ける。
図1及び
図2に示すように、第1表面m1には、通常、光照射を吸収する面積を増加させ、光起電流を向上させ、太陽電池の効率の向上に寄与するテクスチャ構造が設けられる。
【0069】
第1トンネル酸化層200は、主に基板100の第1表面m1の界面パッシベーションを実現し、ケミカルパッシベーションの効果を奏するものである。具体的には、基板100の表面のダングリングボンドを飽和させることにより、基板100の第1表面m1の界面欠陥状態密度を低下させ、基板100の第1表面m1の再結合中心を減少させてキャリア再結合速度を低下させる。第1トンネル酸化層200の材料は、誘電体材料であってもよく、例えば、酸化ケイ素、フッ化マグネシウム、アモルファスシリコン、ポリシリコン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化シリコン、アルミナ又は酸化チタンのうちの少なくとも1種である。1つの具体的な実施例において、第1トンネル酸化層200の材料は、酸化ケイ素であってもよい。後に説明される他のトンネル酸化層は、第1トンネル酸化層200と同様な機能及び/又は材料を有することができるため、ここでは説明を省略する。
【0070】
第1トンネル酸化層200は、基板100の第1表面m1上に設けられる。第1トンネル酸化層200は、基板100の第1表面m1と少なくとも部分的に接触する。即ち、第1トンネル酸化層200及び基板100の第1表面m1の一方の一部が他方に接触するか、又は、第1トンネル酸化層200及び基板100の第1表面m1の一方の全部が他方に接触する。例えば、第1トンネル酸化層200の全部が第1表面m1に接触してもよく、第1トンネル酸化層200の全部が第1表面m1を被覆してもよく、第1表面m1の一部を被覆してもよい。また、例えば、
図1及び
図2を例として、第1トンネル酸化層200は、第1表面m1に接触する一部と、第1表面m1に接触しない他の一部とを含んでもよい。
【0071】
パッシベーション誘電体層300は、第1トンネル酸化層200の基板100から離れた側の表面に設けられる。パッシベーション誘電体層300は、主に太陽電池において表面パッシベーション作用を果たし、基板100の表面のダングリングボンドに対して良好なケミカルパッシベーションを行うことができる。パッシベーション誘電体層300は、単層構造又は多層構造を用いることができる。パッシベーション誘電体層300は、少なくとも透明導電酸化物層310を含む。透明導電酸化物層310は、透明導電酸化物材料で製造された層構造であり、高光透過性、低抵抗率の特徴を有する。即ち、パッシベーション誘電体層300が単層構造である場合、パッシベーション誘電体層300は、透明導電酸化物層310であり、パッシベーション誘電体層300が多層構造である場合、パッシベーション誘電体層300は、多層の透明導電酸化物層310、又は少なくとも1層の透明導電酸化物層310及び少なくとも1層の他の層を含む。より具体的には、パッシベーション誘電体層300が多層構造である場合、第1トンネル酸化層200の基板100から離れた側の表面には、透明導電酸化物層310が設けられ、他の層は、該透明導電酸化物層310の第1トンネル酸化層200から離れた側の表面に積層され、他の層は、他の透明導電酸化物層310、パッシベーション層などを含んでもよい。
図1及び
図2を例として、パッシベーション誘電体層300が透明導電酸化物層310である場合を示す。
【0072】
トンネル酸化層とドープポリシリコン層を用いて第1表面m1にパッシベーションコンタクト構造を形成すると、ドープポリシリコン層の吸光能力が強いため、大きな寄生吸収と電流損失を招く。ドープポリシリコン層に対して高濃度ドープ処理を行って、ドープポリシリコン層が基板100の表面に形成するエネルギーバンドの曲がり程度を向上させると、高濃度ドープされたドープポリシリコン層の吸光能力がさらに向上し、ドープポリシリコン層の寄生吸収がより深刻になるため、電流損失の問題をさらに解決できない。本願発明において、少なくとも透明導電酸化物層310を含むパッシベーション誘電体層300と第1トンネル酸化層200とを用いてパッシベーションコンタクト構造を形成し、透明導電酸化物層310が高光透過性を有するため、透明導電酸化物層310の吸光能力がドープポリシリコン層の吸光能力より遥かに小さく、かつ基板100の第1表面m1側に、より顕著なエネルギーバンドの曲がりが生じることができ、さらに吸光による寄生吸収を減少するだけでなく、少数のキャリアに対して電界パッシベーションを実現し、多数のキャリアに対して選択的輸送を実現することができ、さらにより良好な表面パッシベーション効果を得て、キャリア再結合の電流密度を低減することができる。
【0073】
これにより、第1トンネル酸化層200及びパッシベーション誘電体層300により積層構造を形成し、かつパッシベーション誘電体層300は、少なくとも透明導電酸化物層310を含み、第1トンネル酸化層200と透明導電酸化物層310との協働によって、良好な表面パッシベーション効果を形成するだけでなく、寄生吸収を低下させることができ、キャリアの移動に寄与し、さらにキャリア再結合の電流密度を低減し、太陽電池の変換効率を向上させる。
【0074】
いくつかの実施例において、引き続き
図1及び
図2を参照すると、透明導電酸化物層310の材質は、ドープされた金属酸化物を含む。具体的には、いくつかの実施例において、ドープされた金属酸化物は、アルミニウム、ホウ素、ガリウムのうちの少なくとも1種がドープされた酸化亜鉛である。例示的には、ドープされた金属酸化物は、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ホウ素ドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛のうちの1種又は任意の組み合わせを含む。このように、使用ニーズに応じて、所望の材質を選択して透明導電酸化物層310を形成することができる。
【0075】
いくつかの実施例において、引き続き
図1及び
図2を参照すると、透明導電酸化物層310の材質は、アルミニウムドープ酸化亜鉛を含む。このように、アルミニウムドープ酸化亜鉛が基板100の第1表面m1側に形成するエネルギーバンドの曲がりがより顕著であるため、キャリア再結合電流密度をより一層低減することができる。
【0076】
例示的には、アルミニウムドープ酸化亜鉛中のアルミニウムの質量百分率は、1%~20%である。例えば、アルミニウムドープ酸化亜鉛中のアルミニウムの質量百分率は、1%、2%、3%、5%、6%、8%、9.5%、10%、11%、13%、15%、17%、19%又は20%であってもよい。このように、透明導電酸化物層310に一定の導電性を持たせることに有利である。
【0077】
いくつかの実施例において、引き続き
図1及び
図2を参照すると、透明導電酸化物層310の厚さは、5nm~20nmである。例示的には、透明導電酸化物層の厚さは、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、12nm、14nm、15nm、17nm、18nm、19nm又は20nmであってもよい。このように、透明導電酸化物層310に、より優れた電気的特性及び光学特性を持たせることに有利である。
【0078】
このように、透明導電酸化物層310の厚さを制御することにより、シート抵抗を低減するとともに、製造コストを低減し、製造を容易にすることができる。
【0079】
図3は、本願の別の実施例に係る太陽電池の構造概略図を示し、
図4は、
図3におけるB部の部分拡大図を示し、
図5は、本願のさらに別の実施例に係る太陽電池の構造概略図を示し、
図6は、
図5におけるC部の部分拡大図を示し、説明の便宜上、本願の実施例に関連する内容のみを示している。
【0080】
いくつかの実施例において、
図3~
図6を参照すると、パッシベーション誘電体層300は、第1パッシベーション層320をさらに含む。第1パッシベーション層320は、主に太陽電池において表面パッシベーションの役割を果たすものである。第1パッシベーション層320は、単層構造又は多層構造を用いることができる。
【0081】
具体的には、いくつかの実施例において、
図3及び
図4を例として、パッシベーション誘電体層300は、1層の透明導電酸化物層310及び1層の第1パッシベーション層320を含む。透明導電酸化物層310は、第1トンネル酸化層200の基板100から離れた側の表面に設けられ、第1パッシベーション層320は、透明導電酸化物層310の第1トンネル酸化層200から離れた側の表面に設けられる。
【0082】
具体的には、他の実施例において、パッシベーション誘電体層300は、少なくとも1層の透明導電酸化物層310及び少なくとも1層の第1パッシベーション層320を含み、透明導電酸化物層310及び第1パッシベーション層320がいずれも1層設けられる場合、第1トンネル酸化層200から離れる方向(例えば、第1方向F1)に沿って、透明導電酸化物層310及び第1パッシベーション層320が順に積層して設けられ、透明導電酸化物層310が少なくとも2層設けられる場合、第1トンネル酸化層200から離れる方向に沿って、透明導電酸化物層310及び第1パッシベーション層320が順に交互に積層して設けられる。
【0083】
なお、交互に積層して設けられるとは、隣接する2層の透明導電酸化物層310の間に1層の第1パッシベーション層320が設けられ、透明導電酸化物層310、第1パッシベーション層320、透明導電酸化物層310、第1パッシベーション層320、透明導電酸化物層310・・・・・・第1パッシベーション層320の積層構造を形成してもよく、透明導電酸化物層310、第1パッシベーション層320、透明導電酸化物層310、第1パッシベーション層320、透明導電酸化物層310・・・・・・透明導電酸化物層310の積層構造を形成してもよい。つまり、パッシベーション誘電体層300における第1トンネル酸化層200から最も離れた層は、透明導電酸化物層310であってもよく、第1パッシベーション層320であってもよい。
【0084】
図5及び
図6を例として、透明導電酸化物層310は、2層設けられ、それぞれ、第1透明導電酸化物層310a及び第2透明導電酸化物層310bであり、第1パッシベーション層320は、1層設けられる。第1透明導電酸化物層310a、第1パッシベーション層320及び第2透明導電酸化物層310bは、第1トンネル酸化層200の基板100から離れた側の表面に順に積層して設けられる。
【0085】
このように、パッシベーション誘電体層300に透明導電酸化物層310と協働する第1パッシベーション層320を設けることにより、基板100の第1表面m1側のパッシベーション効果をさらに向上させることができる。
【0086】
いくつかの実施例において、引き続き
図3~
図6を参照すると、第1パッシベーション層320の材質は、アルミナ、窒化ケイ素のうちの少なくとも1種を含む。このように、使用ニーズに応じて、必要な材質を柔軟に選択して、対応する第1パッシベーション層を形成することができる。
【0087】
いくつかの実施例において、引き続き
図3~
図6を参照すると、透明導電酸化物層310の材質は、アルミニウムドープ酸化亜鉛であってもよく、第1パッシベーション層320の材質は、アルミナであってもよい。アルミナは、水素元素の外部へのオーバーフローを阻止することができるため、透明導電酸化物層310及び第1トンネル酸化層200において十分な水素パッシベーションを得ることができるので、このような透明導電酸化物層310と第1パッシベーション層320との間に相乗作用を果たすことができ、透明導電酸化物層310による電界パッシベーション効果と第1パッシベーション層320による水素パッシベーション効果との重ね合わせによりパッシベーション効果をさらに向上させ、さらに電池効率を顕著に向上させる。
【0088】
いくつかの実施例において、引き続き
図3~
図6を参照すると、第1パッシベーション層320の厚さは、1nm~20nmである。例示的には、第1パッシベーション層320の厚さは、1nm、2nm、3nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、12nm、14nm、15nm、17nm、18nm、19nm又は20nmであってもよい。このように、第1パッシベーション層320の厚さを制御することにより、第1パッシベーション層320に一定のパッシベーション効果を持たせるとともに、一定のキャリアの輸送能力を持たせることができる。
【0089】
いくつかの実施例において、引き続き
図1~
図6を参照すると、基板100の第1表面m1は、電極領域z1及び非電極領域z2を有する。電極領域z1は、電極を製造する領域であり、非電極領域z2は、第1表面m1における電極のない領域、即ち電極領域z1以外の領域である。第1表面m1への第1トンネル酸化層200及びパッシベーション誘電体層300の正投影は、少なくとも第1表面m1の非電極領域z2に位置する重なり投影を有する。パッシベーション誘電体層300は、第1トンネル酸化層200の基板100から離れた側の表面を被覆し、且つ重なり投影は、少なくとも第1表面m1の非電極領域z2に位置することができるため、第1トンネル酸化層200及びパッシベーション誘電体層300は、少なくとも第1表面m1に対応する非電極領域z2と見なすことができる。重なり投影は、第1表面m1の非電極領域z2と電極領域z1に位置してもよく、この場合、第1トンネル酸化層200とパッシベーション誘電体層300は、第1表面m1の非電極領域z2と電極領域z1に対応すると見なすことができる。
【0090】
いくつかの実施例において、
図1~
図6を例として、第1トンネル酸化層200及びパッシベーション誘電体層300は第1表面m1の非電極領域z2及び電極領域z1に対応する。
【0091】
第1トンネル酸化層200及びパッシベーション誘電体層300が少なくとも第1表面m1の非電極領域z2に対応するため、少なくとも第1表面m1の非電極領域z2のキャリア再結合を低減し、さらに電池効率を向上させることができる。第1トンネル酸化層200及びパッシベーション誘電体層300が第1表面m1の非電極領域z2及び電極領域z1に対応する場合、第1表面m1の電極領域z1及び非電極領域z2のキャリア再結合がいずれも低減することができ、電池効率がさらに向上する。
【0092】
いくつかの実施例において、引き続き
図1~
図6を参照すると、太陽電池は、第1パッシベーションコンタクト層400をさらに含み、第1パッシベーションコンタクト層400は、第1表面m1の電極領域z1に設けられる。いくつかの実施例において、第1表面m1の電極領域z1及び非電極領域z2は、第1パッシベーションコンタクト層400が形成されているか否かによって定義され、すなわち、第1パッシベーションコンタクト層400によって覆われた第1表面m1の領域は電極領域z1であり、第1パッシベーションコンタクト層400によって覆われていない第1表面m1の領域は非電極領域z2である。
【0093】
第1表面m1に設けられた電極は、第1パッシベーションコンタクト層400とオーミック接触を形成することができ、第1パッシベーションコンタクト層400により、第1表面m1の電極領域z1のキャリア再結合を低減するとともに、電極と第1表面m1の電極領域z1は良好な接触性能を有し、それにより、太陽電池の効率を大幅に向上させることができる。
【0094】
いくつかの実施例において、引き続き
図1~
図6を参照すると、第1トンネル酸化層200と第1表面m1の非電極領域z2とは、互いに接触し、第1パッシベーションコンタクト層400は、第1表面m1の電極領域z1に設けられ、例えば、第1表面m1の電極領域z1に接触する。
【0095】
第1表面m1の電極領域z1に第1パッシベーションコンタクト層400が設けられるため、後に電極を製造する際に、電極は、第1パッシベーションコンタクト層400とオーミック接触を形成することができ、電極は、第1パッシベーションコンタクト層400に電気的に接続され、接触性能をさらに向上させるとともに、第1トンネル酸化層200は、非電極領域z2の第1パッシベーションコンタクト層400を除去した後に形成することができるので、第1トンネル酸化層200への損傷を低減することができる。
【0096】
いくつかの実施例において、引き続き
図2、
図4及び
図6を参照すると、第1トンネル酸化層200は、非電極領域z2に設けられた、第1表面m1と互いに接触する第1部分210と、電極領域z1に設けられた、第1表面m1と間隔をおいた第2部分220とを含む。第2部分220は、第1パッシベーションコンタクト層400の第1表面m1から離れた側の表面に設けられる。それに応じて、パッシベーション誘電体層300は、第1部分210の基板100から離れた側の表面に設けられた第3部分と、第2部分220の基板100から離れた側の表面に設けられた第4部分との2つの部分を含んでもよい。即ち、パッシベーション誘電体層300は、第1トンネル酸化層200の基板100から離れた側の表面を完全に被覆する。
【0097】
このように、第1表面m1の電極領域z1における、電極で被覆されていない領域は第1トンネル酸化層200及びパッシベーション誘電体層300で被覆され、電極領域z1のキャリア再結合をより低減し、電池効率を向上させることができる。
【0098】
他の実施例において、
図7及び
図8を参照すると、
図2及び
図4に示す実施例との相違点は、第1トンネル酸化層200が第1表面m1の非電極領域z2のみに位置し、第1トンネル酸化層200と第1表面m1の非電極領域z2とが互いに接触することである。すなわち、第1トンネル酸化層200は、第1部分210のみを含む。これらの実施例において、太陽電池は、第1表面m1の電極領域z1に設けられた第1パッシベーションコンタクト層400を含むことができる。しかしながら、第1パッシベーションコンタクト層400の第1表面m1から離れた表面は、第1トンネル酸化層200によって被覆されていない。いくつかの実施例において、第1パッシベーションコンタクト層400の第1表面m1から離れた表面は、電極によって完全に被覆される。これに対応して、パッシベーション誘電体層300も、第1表面m1の非電極領域z2のみに位置し、すなわち第3部分のみを含む。
【0099】
いくつかの実施例において、引き続き
図2、
図4、
図6~
図8を参照すると、第1パッシベーションコンタクト層400は、第1表面m1の電極領域z1に順に積層して設けられた第2トンネル酸化層410及び第1ドープ半導体層420を含む。第1ドープ半導体層420は、N型ドープ半導体層であってもよく、P型ドープ半導体層であってもよい。いくつかの実施例において、N型ドープ半導体層は、N型アモルファスシリコン層、N型微結晶シリコン層、N型ポリシリコン層又はN型ナノ結晶シリコン層のうちの1種であってもよい。具体的な使用状況に応じて柔軟に設定することができ、本願の実施例は、これを具体的に限定しない。1つの具体的な実施例において、第1ドープ半導体層420は、N型ドープポリシリコン層である。
【0100】
第2トンネル酸化層410が表面をパッシベーションし、かつ第1ドープ半導体層420がキャリアの選択的接触材料として使用されるため、第2トンネル酸化層410と第1ドープ半導体層420によって第1表面m1の電極領域z1にパッシベーションコンタクト構造を形成することができ、キャリア再結合を低減し、良好な接触性能を有し、電池効率を向上させるだけでなく、第1表面m1の電極領域z1に電極を製造しやすい。
【0101】
いくつかの実施例において、引き続き
図2、
図4、
図6~
図8を参照すると、第2トンネル酸化層410の厚さは、0.8nm~2nmである。例示的には、第2トンネル酸化層410の厚さは、0.8nm、0.9nm、1nm、1.1nm、1.3nm、1.4nm、1.6nm、1.9nm又は2nmであってもよい。
【0102】
このように、第2トンネル酸化層410が一定のパッシベーション作用を有するとともに、第2トンネル酸化層410の接触抵抗の低減に有利である。つまり、第2トンネル酸化層410の厚さを制御することにより、一定のパッシベーション作用を有するとともに、接触抵抗による太陽電池の曲線因子の低下を抑制することができる。
【0103】
いくつかの実施例において、引き続き
図2、
図4、
図6~
図8を参照すると、第1ドープ半導体層420の厚さは、10nm~500nmである。例示的には、第1ドープ半導体層420の厚さは、10nm、20nm、30nm、50nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、170nm、190nm、200nm、210nm、220nm、270nm、290nm、300nm、310nm、320nm、370nm、390nm、400nm、410nm、420nm、470nm、490nm又は500nmであってもよい。
【0104】
このように、第1ドープ半導体層420の厚さを制御することにより、キャリアの選択的輸送を実現し、再結合損失を減少させるだけでなく、吸収光路を減少させ、寄生吸収を低下させ、電池効率を向上させることができる。
【0105】
また、関連技術において単純にドープポリシリコン導電層とトンネル酸化層を用いてパッシベーションコンタクト構造を形成することに比べて、少なくとも第1表面m1の非電極領域z2には、第1トンネル酸化層200と第1パッシベーション層320からなるパッシベーションコンタクト構造が設けられるため、キャリア再結合を低減することができ、かつ第1表面m1の電極領域z1のみには、第1ドープ半導体層420が設けられるため、第1ドープ半導体層420の面積を減少することができ、さらに電極の製造を容易にするとともに、第1ドープ半導体層420の寄生吸収を低減することができる。
【0106】
図9は、本願のまたさらに別の実施例に係る太陽電池の構造概略図を示し、
図10は、
図9におけるD部の部分拡大図を示し、
図11は、本願の別の実施例に係る太陽電池の部分拡大図を示し、説明の便宜上、本願の実施例に関連する内容のみを示している。
【0107】
いくつかの実施例において、
図9~
図11を参照すると、第1トンネル酸化層200は、非電極領域z2に設けられた、第1表面m1の非電極領域z2と互いに接触する第1部分210と、電極領域z1に設けられた、第1表面m1の電極領域z1と互いに接触する第2部分220とを含む。即ち、第1トンネル酸化層200は、第1表面m1を被覆し、全部の第1トンネル酸化層200は、第1表面m1と接触してもよい。第1パッシベーションコンタクト層400は、第1表面m1の電極領域z1に設けられ、且つ第2部分220の基板100から離れた側の表面に設けられる。つまり、第1パッシベーションコンタクト層400は、第1トンネル酸化層200の第2部分220を介して基板100の第1表面m1と間隔をおく。
【0108】
いくつかの実施例において、
図10を参照すると、第1パッシベーションコンタクト層400は、第1ドープ半導体層420を含み、第1ドープ半導体層420は、第2部分220の基板100から離れた側の表面に設けられる。第1ドープ半導体層420及び第1トンネル酸化層200の第2部分220は、パッシベーションコンタクト構造を構成することができる。別の実施例において、
図11を参照すると、第1パッシベーションコンタクト層400は、第1ドープ半導体層420及び第2トンネル酸化層410を含み、第2トンネル酸化層410は、第1ドープ半導体層420の第2部分220から離れた側の表面に設けられる。即ち、第1ドープ半導体層420及び第2トンネル酸化層410は、第2部分220の基板100から離れた側の表面に順に積層して設けられる。第1ドープ半導体層420及び第2トンネル酸化層410は、パッシベーションコンタクト構造を構成し、かつ第1パッシベーションコンタクト層400及び第1トンネル酸化層200は、パッシベーションコンタクト構造を共に構成するものと見なすこともできる。第2トンネル酸化層410及び第1ドープ半導体層420の他の特徴については、上記いくつかの実施例に対する説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0109】
このように、第1パッシベーションコンタクト層400及び第1トンネル酸化層200を示す上記いくつかの実施例によれば、対応するパッシベーションコンタクト構造をより柔軟に構成することができる。
【0110】
なお、
図2、
図4、
図6、
図10及び
図11に示す場合には、第1ドープ半導体層420が第1トンネル酸化層200の第2部分220と第2トンネル酸化層410との間に位置するパッシベーションコンタクト構造が形成されている。
図2、
図4及び
図6に示す場合には、
図10及び
図11に示す場合よりも成形が容易である。
【0111】
いくつかの実施例において、引き続き
図1~
図11を参照すると、太陽電池は、第1グリッド線電極500をさらに含む。第1グリッド線電極500の第1表面m1への正投影は、第1表面m1の電極領域z1に位置し、かつ第1グリッド線電極500は、第1パッシベーションコンタクト層400とオーミック接触を形成する。具体的には、第1グリッド線電極500は、第1表面m1の電極領域z1に対応して製造され、第1グリッド線電極500は、第1ドープ半導体層420と接触することができるが、第1ドープ半導体層420を貫通しないため、良好な界面パッシベーションを維持することができる。
【0112】
図1~
図6を参照すると、第1パッシベーションコンタクト層400の第1表面m1から離れた側の表面に第1トンネル酸化層200の第2部分220が設けられた場合、第1グリッド線電極500は、パッシベーション誘電体層300、第1トンネル酸化層200を順に貫通し、第1ドープ半導体層420と接触することができる。引き続き
図7及び
図8を参照すると、第1トンネル酸化層200及びパッシベーション誘電体層300が第1表面m1の非電極領域z2のみに位置する場合、第1グリッド線電極500は、第1ドープ半導体層420と接触してもよい。引き続き
図10及び
図11を参照すると、第1トンネル酸化層200が電極領域z1の第1表面m1とさらに接触する場合、第1トンネル酸化層200は、パッシベーション誘電体層300を貫通して第1ドープ半導体層420に接触してもよく、パッシベーション誘電体層300、第2トンネル酸化層410を順に貫通して第1ドープ半導体層420に接触してもよい。
【0113】
いくつかの実施例において、第1グリッド線電極500の材質は、金属材質であってもよく、金属材質は、Ag、Ni、Cu、Sn、Alなどの導電金属のうちの1種又は複数種の組み合わせを含むが、具体的な使用状況に応じて選択することができ、ここでは具体的に限定されない。
【0114】
いくつかの実施例において、引き続き
図2、
図4、
図6~
図8を参照すると、第1グリッド線電極500の幅方向(即ち、図に示す第2方向F2、第2方向F2と第1方向F1とは互いに垂直である)に沿って、第1グリッド線電極500の寸法と、第1パッシベーションコンタクト層400の寸法との比は、0より大きく、かつ1以下である。即ち、第2方向F2に沿って、第1グリッド線電極500の寸法は、第1寸法d1であり、第1パッシベーションコンタクト層400の寸法は、第2寸法d2であり、第1寸法d1と、第2寸法d2との比は、0より大きく、かつ1以下である。例示的には、該比は、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2又は0.1であってもよい。
【0115】
図2、
図4及び
図6を例として、第1寸法d1が第2寸法d2よりも小さい場合を示す。
図7及び
図8を例として、第1寸法d1が第2寸法d2に等しい場合を示す。
図7及び
図8に示す場合には、第1トンネル酸化層200は、第1表面m1の非電極領域z2に位置し、第1表面m1の非電極領域z2と互いに接触する。
【0116】
なお、上記いくつかの実施例に示す第1パッシベーションコンタクト層400が第1表面m1の電極領域z1に設けられるため、第1表面m1の電極領域z1は、第2寸法d2で表すこともできる。第1パッシベーションコンタクト層400が第2トンネル酸化層410及び第1ドープ半導体層420を含む場合、第2方向F2に沿う第2トンネル酸化層410及び第1ドープ半導体層420の寸法は、いずれも第2寸法d2であってもよい。
【0117】
このように、第1寸法d1と第2寸法d2との比を制御することにより、第1グリッド線電極500の製造を容易にするとともに、太陽電池の変換効率を向上させることができる。
【0118】
いくつかの実施例において、引き続き
図1~
図11を参照すると、太陽電池は、第2パッシベーション層600をさらに含む。第2パッシベーション層600は、パッシベーション誘電体層300の第1トンネル酸化層200から離れた側の表面に設けられる。具体的には、
図1、
図2及び
図7を例として、第2パッシベーション層600は、透明導電酸化物層310の第1トンネル酸化層200から離れた側の表面に設けられる。
図3、
図4及び
図8を例として、第2パッシベーション層600は、第1パッシベーション層320の透明導電酸化物層310から離れた側の表面に設けられる。
図5及び
図6を例として、第2パッシベーション層600は、第2透明導電酸化物層310bの第1パッシベーション層320から離れた側の表面に設けられる。第1グリッド線電極500は、第2パッシベーション層600、パッシベーション誘電体層300及び第1トンネル酸化層200を貫通し、第1ドープ半導体層420に接続されてもよい。
【0119】
第2パッシベーション層600は、太陽電池において主に表面パッシベーション作用及び反射防止作用を果たし、基板100の表面のダングリングボンドに対して良好なケミカルパッシベーションを行うことができ、反射防止効果を奏する。第2パッシベーション層600は、単層構造又は多層構造を用いてもよく、第2パッシベーション層600の材料は、アルミナ、酸化ケイ素、窒化ケイ素又は酸窒化シリコンのうちの少なくとも1種であってもよい。一実施例において、第2パッシベーション層600の材料は、窒化ケイ素である。
【0120】
いくつかの実施例において、引き続き
図1、
図3、
図5及び
図9を参照すると、太陽電池は、基板100の第2表面m2に設けられた第2パッシベーションコンタクト層700をさらに含む。
【0121】
第2表面m2に設けられた電極は、第2パッシベーションコンタクト層700とオーミック接触を形成することができ、第2パッシベーションコンタクト層700に電気的に接続されてもよい。これにより、第2表面m2のキャリア再結合を低減するとともに、電極と第2表面m2は良好な接触性能を有し、太陽電池の効率を大幅に向上させることができる。
【0122】
いくつかの実施例において、第2パッシベーションコンタクト層700は、第2表面m2に順に積層して設けられた第3トンネル酸化層710及び第2ドープ半導体層720を含む。第2ドープ半導体層720は、N型ドープ半導体層であってもよく、P型ドープ半導体層であってもよい。いくつかの実施例において、P型ドープ半導体層は、P型アモルファスシリコン層、P型微結晶シリコン層、P型ポリシリコン層又はP型ナノ結晶シリコン層のうちの1種であってもよい。具体的な使用状況に応じて柔軟に設定することができ、本願の実施例は、これを具体的に限定しない。一実施例において、第2ドープ半導体層720は、P型ドープポリシリコン層である。
【0123】
第3トンネル酸化層710が表面をパッシベーションし、かつ第2ドープ半導体層720がキャリアの選択的接触材料として使用されるため、第3トンネル酸化層710と第2ドープ半導体層720によって第2表面m2にパッシベーションコンタクト構造を形成することができ、キャリア再結合を低減し、良好な接触性能を有し、電池効率を向上させるだけでなく、第2表面m2に電極を製造しやすい。
【0124】
いくつかの実施例において、引き続き
図1、
図3、
図5及び
図9を参照すると、第3トンネル酸化層710の厚さは、0.8nm~2nmである。例示的には、第3トンネル酸化層710の厚さは、0.8nm、0.9nm、1nm、1.1nm、1.3nm、1.4nm、1.6nm、1.9nm又は2nmであってもよい。
【0125】
このように、第3トンネル酸化層710が一定のパッシベーション作用を有するとともに、第3トンネル酸化層710の接触抵抗の低減に有利である。つまり、第3トンネル酸化層710の厚さを制御することにより、一定のパッシベーション作用を有するとともに、接触抵抗による太陽電池の曲線因子の低下を抑制することができる。
【0126】
いくつかの実施例において、引き続き
図1、
図3、
図5及び
図9を参照すると、第2ドープ半導体層720の厚さは、10nm~1000nmである。例示的には、第1ドープ半導体層420の厚さは、10nm、20nm、30nm、50nm、70nm、80nm、90nm、100nm、110nm、120nm、170nm、190nm、200nm、210nm、220nm、270nm、290nm、300nm、310nm、320nm、370nm、390nm、400nm、410nm、420nm、470nm、490nm、500nm、510nm、520nm、570nm、590nm、600nm、610nm、620nm、670nm、690nm、700nm、710nm、720nm、770nm、790nm、800nm、810nm、820nm、870nm、890nm、900nm、910nm、920nm、970nm、990nm又は1000nmであってもよい。
【0127】
このように、第2ドープ半導体層720の厚さを制御することにより、キャリアの選択的輸送を実現し、再結合損失を減少させるだけでなく、吸収光路を減少させ、寄生吸収を低下させ、電池効率を向上させることができる。
【0128】
いくつかの実施例において、引き続き
図1、
図3、
図5及び
図9を参照すると、太陽電池は、第2グリッド線電極800をさらに含む。第2グリッド線電極800は、基板100の第2表面m2の側に位置し、かつ第2パッシベーションコンタクト層700とオーミック接触を形成する。具体的には、第2グリッド線電極800は、第2ドープ半導体層720と接触することができるが、第2ドープ半導体層720を貫通しないため、良好な界面パッシベーションを維持することができる。
【0129】
例示的には、第2グリッド線電極800の材質は、金属材質であってもよく、金属材質は、Ag、Ni、Cu、Sn、Alなどの導電金属のうちの1種又は複数種の組み合わせを含むが、具体的な使用状況に応じて選択することができ、ここでは具体的に限定されない。
【0130】
いくつかの実施例において、引き続き
図1、
図3、
図5及び
図9を参照すると、太陽電池は、第3パッシベーション層900をさらに含む。第3パッシベーション層900は、第2パッシベーションコンタクト層700の基板100から離れた側の表面に設けられる。具体的には、第3パッシベーション層900は、第2ドープ半導体層720の第3トンネル酸化層710から離れた側の表面に設けられる。第2グリッド線電極800は、第3パッシベーション層900を貫通し、第2ドープ半導体層720に接続されてもよい。
【0131】
第3パッシベーション層900は、太陽電池において主に表面パッシベーション作用及び反射防止作用を果たし、基板100の表面のダングリングボンドに対して良好なケミカルパッシベーションを行うことができ、反射防止効果を奏する。第3パッシベーション層900は、単層構造又は多層構造を用いてもよく、第3パッシベーション層900の材料は、アルミナ、酸化ケイ素、窒化ケイ素又は酸窒化シリコンのうちの少なくとも1種であってもよい。一実施例において、第3パッシベーション層900の材料は、窒化ケイ素である。
【0132】
いくつかの実施例において、引き続き
図1~
図11を参照すると、第1トンネル酸化層200の厚さは、0.8nm~2nmである。例示的には、第1トンネル酸化層200の厚さは、0.8nm、0.9nm、1nm、1.1nm、1.3nm、1.4nm、1.6nm、1.9nm又は2nmであってもよい。
【0133】
このように、第1トンネル酸化層200が一定のパッシベーション作用を有するとともに、第1トンネル酸化層200の接触抵抗の低減に有利である。つまり、第1トンネル酸化層200の厚さを制御することにより、一定のパッシベーション作用を有するとともに、接触抵抗による太陽電池の曲線因子の低下を抑制することができる。
【0134】
図12は、本願の一実施例に係る太陽電池の製造方法のフローチャートを示し、説明の便宜上、本願の実施例に関連する内容のみを示している。
【0135】
同一の発明思想に基づいて、
図12及び
図1~
図11を参照すると、本願の実施例は、以下のステップSF~SGを含む太陽電池の製造方法をさらに提供する。
【0136】
ステップSFでは、対向して設けられた第1表面m1及び第2表面m2を有する基板100を提供する。
【0137】
ステップSGでは、基板100の第1表面m1に第1トンネル酸化層200及びパッシベーション誘電体層300を順に形成し、第1トンネル酸化層200は、第1表面m1と少なくとも部分的に接触し、パッシベーション誘電体層300は、第1トンネル酸化層200の基板100から離れた表面に設けられ、パッシベーション誘電体層300は、少なくとも透明導電酸化物層310を含む。
【0138】
ステップSFでは、まず、基板100であるシリコンウェハを洗浄し、テクスチャ化し、少なくともシリコンウェハの厚さ方向の一方の表面を研磨し、研磨された表面が基板100の第2表面m2を形成し、このように、
図1~
図8を例として、基板100の第1表面m1にテクスチャ構造を形成する。もちろん、テクスチャ化するか否かは、具体的な使用状況に応じて選択することができ、ここでは具体的に限定されない。
【0139】
ステップSGでは、熱酸化プロセス、プラズマ酸化プロセス、硝酸酸化プロセスのうちの1種又は複数種の組み合わせにより第1トンネル酸化層200を製造することができる。原子層堆積法、物理気相堆積法のうちの1種又は複数種の組み合わせにより透明導電酸化物層310を製造することができる。
【0140】
基板100、第1トンネル酸化層200、パッシベーション誘電体層300及び透明導電酸化物層310の構造及び材料は、上記で詳細に説明したので、ここでは説明を省略する。
【0141】
上記太陽電池の製造方法で製造された太陽電池が備える利点は、上記いくつかの実施例に示す内容を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0142】
図13は、本願の一実施例に係る、ステップSHを含む太陽電池の製造方法のフローチャートを示し、説明の便宜上、本願の実施例に関連する内容のみを示している。
【0143】
いくつかの実施例において、
図13及び
図1~
図8を参照すると、第1表面m1に電極領域z1及び非電極領域z2を有する。第1トンネル酸化層200と第1表面m1の非電極領域z2とは、互いに接触する。ステップSGの前に、以下のステップSHを含む。
【0144】
ステップSHでは、基板100の第1表面m1の電極領域z1に第1パッシベーションコンタクト層400を形成する。
【0145】
ステップSHでは、まず、基板100の第1表面m1に第1パッシベーションコンタクト層400を形成し、次にレーザー又は化学エッチングプロセスにより第1パッシベーションコンタクト層400の第1表面m1の非電極領域z2に位置する部分を除去し、第1パッシベーションコンタクト層400の第1表面m1の電極領域z1に位置する部分を残す。例示的には、このような操作ステップにおいて、
図2、
図4、
図6~
図8に示すような構造を形成することができる。
【0146】
なお、
図2、
図4及び
図6に示す場合において、第1トンネル酸化層200は、上記レーザー又は化学エッチングプロセスなどの関連する除去プロセスの後に形成されるため、該除去プロセスにおける第1トンネル酸化層200へのダメージを回避することができ、第1トンネル酸化層200のパッシベーション性能の向上に有利である。同時に、第1表面m1の電極領域z1の第2方向F2に沿う寸法が電極の第2方向F2に沿う寸法(即ち、電極の幅)よりも大きいため、電極の製造のために、より多くのプロセスウィンドウを広げることもできる。また、第1パッシベーションコンタクト層400が第1ドープ半導体層420を含む場合、第1ドープ半導体層420の耐焼付性がより良いため、接触性能がより良い電極を製造しやすい。
【0147】
第1パッシベーションコンタクト層400が第1ドープ半導体層420及び/又は第2トンネル酸化層410を含む場合、第1ドープ半導体層420は、減圧化学気相成長プロセス、プラズマ強化化学気相成長プロセス又は物理気相成長プロセスで製造されてもよく、第2トンネル酸化層410の関連製造プロセスは、上記いくつかの実施例に示す第1トンネル酸化層200の関連製造プロセスを参照してもよく、ここでは説明を省略する。
【0148】
当然ながら、他の実施例において、まず、基板100の第1表面m1に第1トンネル酸化層200を形成し、次に第1表面m1の電極領域z1に第1パッシベーションコンタクト層400を形成してもよい。例示的には、このような操作ステップにおいて、
図10及び
図11に示すような構造を形成することができる。第1表面m1の電極領域z1に第1パッシベーションコンタクト層400を形成する関連特徴は、上記いくつかの実施例に対する説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
図2、
図4及び
図6に示す場合において、第1ドープ半導体層420の側壁は、第1トンネル酸化層200と接触し、第1ドープ半導体層420は、第1トンネル酸化層200に被覆され、後に示す第1グリッド線電極500を形成する過程において、第1グリッド線電極500は、第1トンネル酸化層200の第2部分220を貫通してから、第1ドープ半導体層420とオーミック接触を形成する。
図10及び
図11に示す場合において、第1ドープ半導体層420の側壁は、透明導電酸化物層310と接触し、第1ドープ半導体層420は、第1トンネル酸化層200に設けられ、第1ドープ半導体層420の露出した壁面が透明導電酸化物層310に被覆され、後に示す第1グリッド線電極500を形成する過程において、第1グリッド線電極500は、透明導電酸化物層310を貫通してから、第1ドープ半導体層420とオーミック接触を形成する。
【0149】
なお、第1パッシベーションコンタクト層400の関連特徴、及び形成された第1パッシベーションコンタクト層400と第1トンネル酸化層200とで構成される関連構造については、上記に示す太陽電池構造の関連する実施例を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0150】
図14は、本願の一実施例に係る、ステップSIを含む太陽電池の製造方法のフローチャートを示し、説明の便宜上、本願の実施例に関連する内容のみを示している。
【0151】
いくつかの実施例において、
図14及び
図1~
図11を参照すると、ステップSGの後に、以下のステップSIを含む。
【0152】
ステップSIでは、基板100の第1表面m1に第1グリッド線電極500を形成し、第1グリッド線電極500の第1表面m1への正投影は、第1表面m1の電極領域z1に位置し、かつ第1グリッド線電極500は、第1パッシベーションコンタクト層400とオーミック接触を形成する。
【0153】
ステップSIでは、第1グリッド線電極500は、スクリーン印刷プロセス、めっきプロセス又はレーザー転写プロセスなどのプロセスで製造されてもよく、ここでは特に限定されない。
【0154】
第1グリッド線電極500の関連特徴は、上記に示す太陽電池構造の関連する実施形態を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0155】
図15は、本願の一実施例に係る、ステップSJを含む太陽電池の製造方法のフローチャートを示し、説明の便宜上、本願の実施例に関連する内容のみを示している。
【0156】
いくつかの実施例において、
図15及び
図1~
図11を参照すると、ステップSGの後に、以下のステップSJを含む。
【0157】
ステップSJでは、パッシベーション誘電体層300の第1トンネル酸化層200から離れた表面に第2パッシベーション層600を形成する。
【0158】
なお、ステップSJは、プロセスの利便性をさらに向上させるために、ステップSIの前に製造されてもよい。それに応じて、第1グリッド線電極500は、まず第2パッシベーション層600を貫通してから、少なくともパッシベーション誘電体層300を貫通して第1ドープ半導体層420とオーミック接触することができる。
【0159】
第2パッシベーション層600に関連する特徴は、上記いくつかの実施例の説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0160】
図16は、本願の一実施例に係る、ステップSKを含む太陽電池の製造方法のフローチャートを示し、説明の便宜上、本願の実施例に関連する内容のみを示している。
【0161】
いくつかの実施例において、
図16並びに
図1、
図3、
図5及び
図9を参照すると、製造方法は、以下のステップSKをさらに含む。
【0162】
ステップSKでは、基板100の第2表面m2に第2パッシベーションコンタクト層700を形成する。
【0163】
第2パッシベーションコンタクト層700に関する実施形態については、上記いくつかの実施例における説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0164】
なお、ステップSKは、ステップSGの前に実行されてもよいし、ステップSGの後に実行されてもよい。第2パッシベーションコンタクト層700が第3トンネル酸化層710を含む場合、第3トンネル酸化層710を形成するステップは、第1トンネル酸化層200を形成するステップ又は第2トンネル酸化層410を形成するステップと同時に実行されてもよく、別々に実行されてもよく、異なる構造のニーズに応じて選択されてもよく、ここでは具体的に限定されない。第2パッシベーションコンタクト層700が第3トンネル酸化層710及び第2ドープ半導体層720を含む場合、上記と同様の層構造の形成プロセスを参照して、対応する構造を形成することもできる。
【0165】
図17は、本願の一実施例に係る、ステップSLを含む太陽電池の製造方法のフローチャートを示し、説明の便宜上、本願の実施例に関連する内容のみを示している。
【0166】
いくつかの実施例において、
図17並びに
図1、
図3、
図5及び
図9を参照すると、ステップSKの後に以下のステップSLをさらに含む。
【0167】
ステップSLでは、基板100の第2表面m2に第2グリッド線電極800を形成し、第2グリッド線電極800は、第2パッシベーションコンタクト層700とオーミック接触を形成する。
【0168】
第2グリッド線電極800に関する特徴については、上記いくつかの実施例における説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0169】
図18は、本願の一実施例に係る、ステップSMを含む太陽電池の製造方法のフローチャートを示し、説明の便宜上、本願の実施例に関連する内容のみを示している。
【0170】
いくつかの実施例において、
図17並びに
図1、
図3、
図5及び
図9を参照すると、ステップSKの後に以下のステップSMをさらに含む。
【0171】
ステップSMでは、第2パッシベーションコンタクト層700の基板100から離れた表面に第3パッシベーション層900を形成する。
【0172】
第3パッシベーション層900に関する特徴については、上記いくつかの実施例における説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0173】
以下、具体的な例を挙げて太陽電池の製造方法を説明する。
図1~
図6を参照すると、該製造方法は、以下のステップ1~7を含む。
【0174】
ステップ1では、シリコンウェハを洗浄し、テクスチャ化し、シリコンウェハの一方の表面を研磨し、研磨された表面が基板100の第1表面m1を形成し、テクスチャ化された表面が基板100の第2表面m2を形成する。
【0175】
ステップ2では、基板100の第1表面m1の電極領域z1に第1パッシベーションコンタクト層400を形成する。
【0176】
ステップ3では、基板100の第1表面m1に第1トンネル酸化層200及びパッシベーション誘電体層300を順に形成し、第1トンネル酸化層200は、第1表面m1の非電極領域z2と互いに接触する第1部分210と、第1パッシベーションコンタクト層400の第1表面m1から離れた表面に設けられた第2部分220とを含む。
【0177】
ステップ4では、パッシベーション誘電体層300の第1トンネル酸化層200から離れた表面に第2パッシベーション層600を形成する。
【0178】
ステップ5では、基板100の第1表面m1に第1グリッド線電極500を形成し、第1グリッド線電極500の第1表面m1への正投影は、第1表面m1の電極領域z1に位置し、かつ第1グリッド線電極500は、第1パッシベーションコンタクト層400とオーミック接触を形成する。
【0179】
ステップ6では、基板100の第2表面m2に第3トンネル酸化層710、第2ドープ半導体層720及び第3パッシベーション層900を順に形成する。
【0180】
ステップ7では、基板100の第2表面m2に第2グリッド線電極800を形成し、第2グリッド線電極800は、第2ドープ半導体層720とオーミック接触を形成する。
【0181】
以下、別の具体的な例を挙げて太陽電池の製造方法を説明する。
図9~
図11を参照すると、該製造方法は、以下のステップ1~8を含む。
【0182】
ステップ1では、シリコンウェハを洗浄し、テクスチャ化し、シリコンウェハの一方の表面を研磨し、研磨された表面が基板100の第1表面m1を形成し、テクスチャ化された表面が基板100の第2表面m2を形成する。
【0183】
ステップ2では、基板100の第1表面m1に第1トンネル酸化層200を形成する。
【0184】
ステップ3では、基板100の第1表面m1の電極領域z1に第1パッシベーションコンタクト層400を形成する。
【0185】
ステップ4では、基板100の第1表面m1にパッシベーション誘電体層300を形成し、パッシベーション誘電体層300は、第1トンネル酸化層200と互いに接触する一部と、第1パッシベーションコンタクト層400の第1表面m1から離れた表面に設けられた他の一部とを含む。
【0186】
ステップ5では、パッシベーション誘電体層300の第1トンネル酸化層200から離れた表面に第2パッシベーション層600を形成する。
【0187】
ステップ6では、基板100の第1表面m1に第1グリッド線電極500を形成し、第1グリッド線電極500の第1表面m1への正投影は、第1表面m1の電極領域z1に位置し、かつ第1グリッド線電極500は、第1パッシベーションコンタクト層400とオーミック接触を形成する。
【0188】
ステップ7では、基板100の第2表面m2に第3トンネル酸化層710、第2ドープ半導体層720及び第3パッシベーション層900を順に形成する。
【0189】
ステップ8では、基板100の第2表面m2に第2グリッド線電極800を形成し、第2グリッド線電極800は、第2ドープ半導体層720とオーミック接触を形成する。
【0190】
なお、上記に示されたいくつかのステップ又は段階は、必ずしも同じタイミングで実行されて完了するわけではなく、異なるタイミングで実行されてもよく、これらのステップ又は段階の実行順序も必ず順に行われるわけではなく、他のステップ又は他のステップにおけるステップ又は段階の少なくとも一部に対して、順番にまたは交替に実行されてもよい。具体的な使用ニーズに応じて選択することができ、ここでは具体的に限定されない。
【0191】
以下、実施例及び比較例を参照して、本発明の実施例に係る太陽電池を例示的に説明する。
【0192】
実施例1において、
図3及び
図4に示す太陽電池の構造を用い、太陽電池における基板110は、N型シリコンウェハであり、厚さが120μmであり、基板110の第1表面m1は、受光面であり、第2表面m2は、裏面である。第1トンネル酸化層200、第2トンネル酸化層410及び第3トンネル酸化層710の材質は、いずれも二酸化ケイ素であり、第1トンネル酸化層200の厚さは、1.4nmであり、第2トンネル酸化層410の厚さは、1.4nmであり、第3トンネル酸化層710の厚さは、1.4nmである。透明導電酸化物層310の材質は、アルミニウムドープ酸化亜鉛であり、厚さが10nmであり、アルミニウムドープ酸化亜鉛中のアルミニウムの質量百分率は、12%である。第1ドープ半導体層420は、N型ドープポリシリコン層であり、厚さが150nmである。第2ドープ半導体層720は、P型ドープポリシリコン層であり、厚さが200nmである。第1パッシベーション層320の材質は、アルミナであり、厚さが3nm~100nmである。第2パッシベーション層600及び第3パッシベーション層900の材質は、いずれも窒化ケイ素であり、第2パッシベーション層600の厚さは、70nmであり、第3パッシベーション層900の厚さは、80nmである。第1グリッド線電極500及び第2グリッド線電極800の材質は、いずれも銀である。第1表面m1に位置する第1グリッド線電極500において、バスバーは、18本であり、フィンガーは、200本であり、バスバーの幅は、200μmであり、フィンガーの幅は、20μmであり、第1表面m1の電極領域z1の第2方向F2に沿う寸法は、100μmである。第2表面m2に位置する第2グリッド線電極800において、バスバーは、18本であり、フィンガーは、200本であり、バスバーの幅は、200μmであり、フィンガーの幅は、いずれも20μmである。
【0193】
実施例2において、
図1及び
図2に示す太陽電池の構造を用いるが、実施例1との相違点は、実施例2において第1パッシベーション層320が設けられないことである。
【0194】
図19を参照すると、比較例1において、基板100の第2表面m2側の構造は、実施例1と一致し、実施例1との相違点は、基板100の第1表面m1側の構造が基板の第2表面m2側の構造と一致し、即ち、基板100の第1表面m1側にトンネル酸化層710’、ドープポリシリコン層720’、パッシベーション層900’及び第1グリッド線電極500が順に形成されることである。基板100の第1表面m1側に形成される構造は、基板100の第2表面m2側に形成される構造と位置、形状、寸法、材料などの特徴で全く同様である。
【0195】
図20を参照すると、比較例2は、比較例1との相違点は、基板100の第1表面m1の非電極領域z2の構造が異なることである。即ち、基板100の第1表面m1の電極領域z1にトンネル酸化層710’、ドープポリシリコン層720’、パッシベーション層900’及び第1グリッド線電極500が順に設けられ、基板100の第1表面m1の電極領域z1に設けられた各構造の材質及び厚さは、比較例1と一致する。基板100の第1表面m1の非電極領域z2において、比較例1における対応するトンネル酸化層710’及びドープポリシリコン層720’の非電極領域z2に位置する部分の代わりにリンドープ層730’を用いる。
【0196】
実施例1~実施例2及び比較例1~比較例2における太陽電池に対して、光源が100mW/cm
2、AM1.5Gの擬似太陽光、25℃の条件で、過渡シミュレータ装置を用いて電気的試験を行い、試験結果を表1に示す。
【表1】
【0197】
表1から分かるように、比較例1~比較例2と比較して、実施例1~実施例2に係る太陽電池は、全体として変換効率及び曲線因子がより良好である。比較例1と比較して、実施例1及び実施例2に係る太陽電池は、より高い開放電圧及び短絡電流を有し、比較例2と比較して、実施例1及び実施例2に係る太陽電池は、より高い開放電圧及び曲線因子を有する。
【0198】
同一の発明思想に基づいて、本願の実施例は、上記いずれの実施例における太陽電池を含む太陽光発電モジュール、又は、上記いずれの実施例における太陽電池の製造方法で製造された太陽電池を含む太陽光発電モジュールを提供する。
【0199】
さらに、太陽電池は、複数設けられてもよく、全体又は複数の別体の形態で電気的に接続されて複数の電池ストリングを形成し、複数の電池ストリングは、直列及び/又は並列に電気的に接続される。太陽光発電モジュールは、電池ストリングの表面を被覆する封止層と、封止層の電池ストリングから離れた表面を被覆するカバープレートとをさらに含んでもよい。具体的には、いくつかの実施例において、複数の電池ストリングは、導電性テープによって電気的に接続されてもよい。封止層は、太陽電池の表面を被覆する。例として、封止層は、エチレン-酢酸ビニルコポリマー薄膜、ポリエチレンオクテン共エラストマー薄膜、又はポリエチレンテレフタレート薄膜などの有機封止薄膜であってもよい。カバープレートは、ガラスカバープレート、プラスチックカバープレートなどの光透過機能を有するカバープレートであってもよい。
【0200】
該太陽光発電モジュールは、上記いずれかの実施例における太陽電池が備える利点、又は上記いずれの実施例における太陽電池の製造方法で製造された太陽電池が備える利点を同様に備えるため、ここでは説明を省略する。
【0201】
同一の発明思想に基づいて、本願の実施例は、上記いずれかの実施例における太陽光発電モジュールを含む太陽光発電システムを提供する。該太陽光発電システムは、上記太陽光発電モジュールが備える利点を同様に備えるため、ここでは説明を省略する。
【0202】
太陽光発電システムは、地上発電所、屋上発電所、水面発電所などの太陽光発電所に適用することができ、また、ユーザ太陽光電源、太陽光街路灯、太陽光カー、太陽光ビルディングなどのような太陽光を利用して発電する設備又は装置に適用することができる。もちろん、理解されるように、太陽光発電システムの利用シーンはこれに限らない。つまり、太陽光発電システムは、太陽光による発電を必要とするあらゆる分野に適用可能である。太陽光発電システムネットワークを例とし、太陽光発電システムは、太陽光発電アレイと、集電ボックスと、インバータとを含んでもよく、太陽光発電アレイは、複数の太陽光発電モジュールのアレイの組み合わせとすることができ、例えば、複数の太陽光発電モジュールは、複数の太陽光発電アレイを構成することができ、太陽光発電アレイは、集電ボックスに接続され、集電ボックスは、太陽光発電アレイによって生成された電流を集電することができ、集電された電流は、インバータを介して商用電力網によって要求される交流に変換された後、商用電力網に接続され、太陽光電力供給を実現する。
【0203】
上述した実施例の各技術的特徴を任意に組み合わせてもよく、簡潔に説明するために、上述した実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを説明していないが、これらの組み合わせは全て本明細書に記載された範囲に属すると考えられるべきである。
【0204】
以上、実施例は本願のいくつかの実施形態のみを説明しており、それらの説明は、具体的で詳細であるが、本願の特許の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者にとって、本願の構想から逸脱することなく、いくつかの変形又は改善を加えることもでき、これらの変形又は改善は、両方とも、本願の保護範囲に属することに留意されたい。よって、本願の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲を基準とするべきである。
【符号の説明】
【0205】
基板100、第1表面m1、電極領域z1、第2寸法d2、非電極領域z2、第2表面m2、第1トンネル酸化層200、第1部分210、第2部分220、パッシベーション誘電体層300、透明導電酸化物層310、第1透明導電酸化物層310a、第2透明導電酸化物層310b、第1パッシベーション層320、第1パッシベーションコンタクト層400、第2トンネル酸化層410、第1ドープ半導体層420、第1グリッド線電極500、第1寸法d1、第2パッシベーション層600、第2パッシベーションコンタクト層700、第3トンネル酸化層710、第2ドープ半導体層720、第2グリッド線電極800、第3パッシベーション層900、第1方向F1、第2方向F2、ステップSF、SG、SH、SI、SJ、SK、SL、SM。