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特開2024-150574中継装置、車両通信システム、通信方法および通信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150574
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】中継装置、車両通信システム、通信方法および通信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024114428
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2021536862の分割
【原出願日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】P 2019142240
(32)【優先日】2019-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】陶山 洋次郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】泉 達也
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】萩原 剛志
(72)【発明者】
【氏名】呉 ダルマワン
(72)【発明者】
【氏名】清水 洋祐
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ネットワークに新たな機能部が追加された際に、ネットワークの情報を容易に取得する中継装置、車両通信システム、車両、通信方法および通信プログラムを提供する。
【解決手段】車両に搭載される中継装置200は、1または複数の機能部である既存機能部を含むネットワークに新たにインストールされる機能部(アプリケーション)である新規機能部を検知する検知部と、機能部間のフレームを中継する中継部と、中継部によって中継され、検知部によって検知された新規機能部および既存機能部間のフレームから、新規機能部および既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得する取得部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される中継装置であって、
1または複数の機能部である既存機能部を含むネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部を検知する検知部と、
前記機能部間のフレームを中継する中継部と、
前記中継部によって中継される、前記検知部によって検知された前記新規機能部および前記既存機能部間の前記フレームから、前記新規機能部および前記既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得する取得部とを備える、中継装置。
【請求項2】
前記機能部情報は、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報の生成に用いられる情報である、請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記新規機能部によって送信されて前記既存機能部へ中継される前記フレームから、前記機能部情報を取得する、請求項1または請求項2に記載の中継装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記既存機能部によって送信されて前記新規機能部へ中継される前記フレームから、前記機能部情報を取得する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項5】
前記中継部は、前記機能部から受信した前記フレームに含まれる送信先情報および送信元情報を変更することなく、他の前記機能部へ中継し、
前記取得部は、前記中継部によって中継される前記フレームから前記機能部情報を取得する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項6】
前記中継部は、前記機能部から受信した前記フレームに含まれる送信先情報および送信元情報の少なくともいずれか一方を変更し、変更後の前記フレームを他の前記機能部へ中継し、
前記取得部は、前記中継部によって中継される前記フレームから前記機能部情報を取得する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項7】
前記中継装置は、さらに、
前記取得部によって取得された前記機能部情報に基づいて、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成する生成部を備える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項8】
前記機能部情報は、前記フレームを受信すべき前記機能部において処理対象とならない情報である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項9】
前記検知部は、前記ネットワークに新たに追加される車載ECU(Electronic Control Unit)に含まれるアプリケーション、前記ネットワークにおける車載ECUに新たにインストールされるアプリケーション、および前記車両の外部において前記ネットワークに新たに追加される外部装置に含まれるアプリケーションのうちの少なくともいずれか1つを前記新規機能部として検知し、検知した前記新規機能部の認証処理を行い、認証処理の結果を前記新規機能部へ通知する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の中継装置を備える、車両。
【請求項11】
車両に搭載される中継装置と、
ネットワークを構成する1または複数の機能部である既存機能部と、
前記ネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部とを備え、
前記中継装置は、前記ネットワークへの前記新規機能部の追加を検知し、
前記新規機能部または前記既存機能部は、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報が格納された他の機能部宛のフレームを送信し、
前記中継装置は、前記新規機能部または前記既存機能部によって送信された前記フレームから前記機能部情報を取得する、車両通信システム。
【請求項12】
車両に搭載され、機能部間のフレームを中継する中継装置における通信方法であって、
1または複数の前記機能部である既存機能部を含むネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部を検知するステップと、
検知した前記新規機能部および前記既存機能部間の中継すべき前記フレームから、前記新規機能部および前記既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得するステップとを含む、通信方法。
【請求項13】
車両に搭載される中継装置と、ネットワークを構成する1または複数の機能部である既存機能部と、前記ネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部とを備える車両通信システムにおける通信方法であって、
前記中継装置が、前記ネットワークへの前記新規機能部の追加を検知するステップと、
前記新規機能部または前記既存機能部が、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報が格納された他の機能部宛のフレームを送信するステップと、
前記中継装置が、前記新規機能部または前記既存機能部によって送信された前記フレームから前記機能部情報を取得するステップとを含む、通信方法。
【請求項14】
車両に搭載される中継装置において用いられる通信プログラムであって、
コンピュータを、
1または複数の機能部である既存機能部を含むネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部を検知する検知部と、
前記機能部間のフレームを中継する中継部と、
前記中継部によって中継される、前記検知部によって検知された前記新規機能部および前記既存機能部間の前記フレームから、前記新規機能部および前記既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得する取得部、
として機能させるための、通信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中継装置、車両通信システム、車両、通信方法および通信プログラムに関する。
この出願は、2019年8月1日に出願された日本出願特願2019-142240号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2018-192876号公報)には、以下のような運転支援装置が開示されている。すなわち、運転支援装置は、一つ以上の通信バスを含む車両内ネットワークに接続可能な運転支援装置であって、前記通信バスに流れる通信メッセージを取得するメッセージ取得部と、前記メッセージ取得部により取得された通信メッセージに基づいて、前記通信バスに車両制御用の電子制御装置が接続しているか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記通信バスに前記電子制御装置が接続していると判定された場合に、前記電子制御装置が接続している前記通信バスへの通信メッセージの送信を停止させる通信制御部とを備える。
【0003】
また、特許文献2(特開2017-220220号公報)には、以下のような車両用電子制御装置が開示されている。すなわち、車両用電子制御装置は、車載ネットワーク(6)に接続され、搭載されているアプリケーションにより所定の機能を実行する車両用電子制御装置(1~5)であって、前記アプリケーションからの要求に応じて前記車載ネットワークに接続された他の車両用電子制御装置に搭載されている機能を利用するサービスを要求すると共に、前記他の車両用電子制御装置からサービスの要求を受けた場合はサービスを生成して応答するサービスインターフェース(8)と、前記サービスインターフェースと、前記他の車両用電子制御装置の前記サービスインターフェースとの間で所定のプロトコルによりサービスの要求及び応答に対応したメッセージを送受信するサービスバス(9)と、前記サービスの位置を管理することで前記サービスを動的に相互利用可能とするサービス管理部(11)とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-192876号公報
【特許文献2】特開2017-220220号公報
【発明の概要】
【0005】
本開示の中継装置は、車両に搭載される中継装置であって、1または複数の機能部である既存機能部を含むネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部を検知する検知部と、前記機能部間のフレームを中継する中継部と、前記中継部によって中継される、前記検知部によって検知された前記新規機能部および前記既存機能部間の前記フレームから、前記新規機能部および前記既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得する取得部とを備える。
【0006】
本開示の車両通信システムは、車両に搭載される中継装置と、ネットワークを構成する1または複数の機能部である既存機能部と、前記ネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部とを備え、前記中継装置は、前記ネットワークへの前記新規機能部の追加を検知し、前記新規機能部または前記既存機能部は、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報が格納された他の機能部宛のフレームを送信し、前記中継装置は、前記新規機能部または前記既存機能部によって送信された前記フレームから前記機能部情報を取得する。
【0007】
本開示の通信方法は、車両に搭載され、機能部間のフレームを中継する中継装置における通信方法であって、1または複数の前記機能部である既存機能部を含むネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部を検知するステップと、検知した前記新規機能部および前記既存機能部間の中継すべき前記フレームから、前記新規機能部および前記既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得するステップとを含む。
【0008】
本開示の通信方法は、車両に搭載される中継装置と、ネットワークを構成する1または複数の機能部である既存機能部と、前記ネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部とを備える車両通信システムにおける通信方法であって、前記中継装置が、前記ネットワークへの前記新規機能部の追加を検知するステップと、前記新規機能部または前記既存機能部が、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報が格納された他の機能部宛のフレームを送信するステップと、前記中継装置が、前記新規機能部または前記既存機能部によって送信された前記フレームから前記機能部情報を取得するステップとを含む。
【0009】
本開示の通信プログラムは、車両に搭載される中継装置において用いられる通信プログラムであって、コンピュータを、1または複数の機能部である既存機能部を含むネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部を検知する検知部と、前記機能部間のフレームを中継する中継部と、前記中継部によって中継される、前記検知部によって検知された前記新規機能部および前記既存機能部間の前記フレームから、前記新規機能部および前記既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得する取得部、として機能させるためのプログラムである。
【0010】
本開示の一態様は、中継装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。また、本開示の一態様は、車両通信システムの一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。また、本開示の一態様は、車両通信システムにおける処理のステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図2図2は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムの構成の一例を示す図である。
図3図3は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおけるネットワーク構成の一例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態に係る中継装置200の構成を示す図である。
図5図5は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構成の一例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構成の他の例を示す図である。
図7図7は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構成の他の例を示す図である。
図8図8は、本開示の実施の形態に係る機能部が送信する通信設定フレームの一例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施の形態に係る生成部により生成される構成情報の一例を示す図である。
図10図10は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける設定変更後の新規ネットワークの構成の他の例を示す図である。
図11図11は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおいて中継装置が新規ネットワークを構築する際の動作手順を定めたフローチャートである。
図12図12は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの一例を示す図である。
図13図13は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの他の例を示す図である。
図14図14は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
近年、カーシェアリングの普及、および車両に搭載される車載装置の処理能力向上の要望に伴って、車載ネットワークにアプリケーションを追加することにより車載ネットワークをカスタマイズすることが求められている。このように、ユーザのニーズに応じて様々なアプリケーションを、車載ネットワークへ追加したり外したりすることが可能な技術が求められている。
【0013】
[本開示が解決しようとする課題]
このような特許文献1および2に記載の技術を超えて、ネットワークに新たな機能部が追加された際に、ネットワークの情報を容易に取得することが可能な技術が望まれる。
【0014】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、新たな機能部が追加されたネットワークの情報を容易に取得することが可能な中継装置、車両通信システム、車両、通信方法および通信プログラムを提供することである。
【0015】
[本開示の効果]
本開示によれば、新たな機能部が追加されたネットワークの情報を容易に取得することができる。
【0016】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0017】
(1)本開示の実施の形態に係る中継装置は、車両に搭載される中継装置であって、1または複数の機能部である既存機能部を含むネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部を検知する検知部と、前記機能部間のフレームを中継する中継部と、前記中継部によって中継される、前記検知部によって検知された前記新規機能部および前記既存機能部間の前記フレームから、前記新規機能部および前記既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得する取得部とを備える。
【0018】
このように、機能部間のフレームから機能部情報を取得する構成により、たとえば新規機能部および既存機能部間の通信接続を確立するために新規機能部および既存機能部間において中継すべきフレームから機能部情報を取得することができるため、機能部との間で機能部情報を取得するためのフレームのやり取りを行うことなく、機能部情報を取得することができる。したがって、新たな機能部が追加されたネットワークの情報を容易に取得することができる。
【0019】
(2)好ましくは、前記機能部情報は、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報の生成に用いられる情報である。
【0020】
このような構成により、機能部情報を用いて、たとえばアプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成および制約が考慮された新規ネットワークを構築することができる。これにより、たとえばネットワークに新規機能部を追加することに起因する重要度の高い通信における遅延の発生を抑制することができる。
【0021】
(3)好ましくは、前記取得部は、前記新規機能部によって送信されて前記既存機能部へ中継される前記フレームから、前記機能部情報を取得する。
【0022】
このような構成により、たとえば通信接続の確立後に既存機能部へデータを送信すべき新規機能部によって送信されるフレームから機能部情報を取得することができる。
【0023】
(4)好ましくは、前記取得部は、前記既存機能部によって送信されて前記新規機能部へ中継される前記フレームから、前記機能部情報を取得する。
【0024】
このような構成により、たとえば通信接続の確立後に新規機能部へデータを送信すべき既存機能部によって送信されるフレームから機能部情報を取得することができる。
【0025】
(5)好ましくは、前記中継部は、前記機能部から受信した前記フレームに含まれる送信先情報および送信元情報を変更することなく、他の前記機能部へ中継し、前記取得部は、前記中継部によって中継される前記フレームから前記機能部情報を取得する。
【0026】
このような構成により、機能部間におけるフレームをスヌーピングする中継装置において、機能部情報を容易に取得することができる。
【0027】
(6)好ましくは、前記中継部は、前記機能部から受信した前記フレームに含まれる送信先情報および送信元情報の少なくともいずれか一方を変更し、変更後の前記フレームを他の前記機能部へ中継し、前記取得部は、前記中継部によって中継される前記フレームから前記機能部情報を取得する。
【0028】
このような構成により、プロキシサーバとして機能する中継装置において、機能部情報を容易に取得することができる。
【0029】
(7)好ましくは、前記中継装置は、さらに、前記取得部によって取得された前記機能部情報に基づいて、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成する生成部を備える。
【0030】
このような構成により、機能部情報を用いて、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成および制約が考慮された新規ネットワークを構築することができる。これにより、たとえばネットワークに新規機能部を追加することに起因する重要度の高い通信における遅延の発生を抑制することができる。
【0031】
(8)好ましくは、前記機能部情報は、前記フレームを受信すべき前記機能部において処理対象とならない情報である。
【0032】
このような構成により、フレームを受信すべき機能部における処理負荷を増大させることなく、当該フレームから機能部情報を取得することができる。
【0033】
(9)好ましくは、前記検知部は、前記ネットワークに新たに追加される車載ECU(Electronic Control Unit)に含まれるアプリケーション、前記ネットワークにおける車載ECUに新たにインストールされるアプリケーション、および前記車両の外部において前記ネットワークに新たに追加される外部装置に含まれるアプリケーションのうちの少なくともいずれか1つを前記新規機能部として検知し、検知した前記新規機能部の認証処理を行い、認証処理の結果を前記新規機能部へ通知する。
【0034】
このような構成により、多様な新規機能部を検知して新たなネットワークを構築することができる。
【0035】
(10)本開示の実施の形態に係る車両は、前記中継装置を備える。
【0036】
このような構成により、中継装置を備える車両において、新たな機能部が追加されたネットワークの情報を容易に取得することができる。
【0037】
(11)本開示の実施の形態に係る車両通信システムは、車両に搭載される中継装置と、ネットワークを構成する1または複数の機能部である既存機能部と、前記ネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部とを備え、前記中継装置は、前記ネットワークへの前記新規機能部の追加を検知し、前記新規機能部または前記既存機能部は、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報が格納された他の機能部宛のフレームを送信し、前記中継装置は、前記新規機能部または前記既存機能部によって送信された前記フレームから前記機能部情報を取得する。
【0038】
このように、新規機能部または既存機能部によって送信されたフレームから機能部情報を取得する構成により、たとえば新規機能部および既存機能部間の通信接続を確立するために新規機能部および既存機能部間において中継すべきフレームから機能部情報を取得することができるため、機能部との間で機能部情報を取得するためのフレームのやり取りを行うことなく、機能部情報を取得することができる。したがって、新たな機能部が追加されたネットワークの情報を容易に取得することができる。
【0039】
(12)本開示の実施の形態に係る通信方法は、車両に搭載され、機能部間のフレームを中継する中継装置における通信方法であって、1または複数の前記機能部である既存機能部を含むネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部を検知するステップと、検知した前記新規機能部および前記既存機能部間の中継すべき前記フレームから、前記新規機能部および前記既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得するステップとを含む。
【0040】
このように、新規機能部および既存機能部間の中継すべきフレームから機能部情報を取得する方法により、たとえば新規機能部および既存機能部間の通信接続を確立するために新規機能部および既存機能部間において中継すべきフレームから機能部情報を取得することができるため、機能部との間で機能部情報を取得するためのフレームのやり取りを行うことなく、機能部情報を取得することができる。したがって、新たな機能部が追加されたネットワークの情報を容易に取得することができる。
【0041】
(13)本開示の実施の形態に係る通信方法は、車両に搭載される中継装置と、ネットワークを構成する1または複数の機能部である既存機能部と、前記ネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部とを備える車両通信システムにおける通信方法であって、前記中継装置が、前記ネットワークへの前記新規機能部の追加を検知するステップと、前記新規機能部または前記既存機能部が、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報が格納された他の機能部宛のフレームを送信するステップと、前記中継装置が、前記新規機能部または前記既存機能部によって送信された前記フレームから前記機能部情報を取得するステップとを含む。
【0042】
このように、新規機能部または既存機能部によって送信されたフレームから機能部情報を取得する方法により、たとえば新規機能部および既存機能部間の通信接続を確立するために新規機能部および既存機能部間において中継すべきフレームから機能部情報を取得することができるため、機能部との間で機能部情報を取得するためのフレームのやり取りを行うことなく、機能部情報を取得することができる。したがって、新たな機能部が追加されたネットワークの情報を容易に取得することができる。
【0043】
(14)本開示の実施の形態に係る通信プログラムは、車両に搭載される中継装置において用いられる通信プログラムであって、コンピュータを、1または複数の機能部である既存機能部を含むネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部を検知する検知部と、前記機能部間のフレームを中継する中継部と、前記中継部によって中継される、前記検知部によって検知された前記新規機能部および前記既存機能部間の前記フレームから、前記新規機能部および前記既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得する取得部、として機能させるためのプログラムである。
【0044】
このように、機能部間のフレームから機能部情報を取得する構成により、たとえば新規機能部および既存機能部間の通信接続を確立するために新規機能部および既存機能部間において中継すべきフレームから機能部情報を取得することができるため、機能部との間で機能部情報を取得するためのフレームのやり取りを行うことなく、機能部情報を取得することができる。したがって、新たな機能部が追加されたネットワークの情報を容易に取得することができる。
【0045】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0046】
[車両通信システム]
図1は、本開示の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【0047】
図1を参照して、通信システム400は、サーバ180と、1または複数の車両通信システム300とを備える。車両通信システム300は、車両1に搭載される。
【0048】
図2は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムの構成の一例を示す図である。
【0049】
図2を参照して、車両通信システム300は、1または複数の車載ECU111と、中継装置200とを備える。具体的には、車両通信システム300は、車載ECU111として、車載ECU111A~111Eを備える。
【0050】
車載ECU111A~111Eは、それぞれアプリケーション100を含む。
【0051】
より詳細には、アプリケーション100として、車載ECU111Aはアプリケーション100Aを含み、車載ECU111Bはアプリケーション100Bを含み、車載ECU111Cはアプリケーション100Cを含み、車載ECU111Dはアプリケーション100Dを含み、車載ECU111Eはアプリケーション100Eを含む。
【0052】
車載ECU111A~111Eおよび中継装置200は、ネットワーク12を構成する。
【0053】
車載ECU111およびアプリケーション100は、ネットワーク12における機能部のうち車両1に搭載される機能部の一例である。
【0054】
なお、車両通信システム300は、5つの車載ECU111を備える構成に限らず、1つ、2つ、3つ、4つまたは6つ以上の車載ECU111を備える構成であってもよい。また、車両通信システム300は、1つの車載ECU111に1つのアプリケーション100が設けられる構成に限らず、1つの車載ECU111に2つ以上のアプリケーション100が設けられる構成であってもよい。
【0055】
また、車両通信システム300は、1つの中継装置200を備える構成に限らず、複数の中継装置200を備える構成であってもよい。
【0056】
また、ネットワーク12は、車両1の外部における外部装置および当該外部装置に設けられるアプリケーションを機能部として含んでもよい。
【0057】
車載ECU111は、たとえば、TCU(Telematics Communication Unit)、自動運転ECU、エンジンECU、センサ、ナビゲーション装置、ヒューマンマシンインタフェース、およびカメラ等である。
【0058】
この例では、車載ECU111A,111B,111C,111D,111Eは、それぞれTCU、自動運転ECU、エンジンECU、温度センサ、水温センサである。
【0059】
以下、車載ECU111A,111B,111C,111D,111Eを、それぞれTCU111A、自動運転ECU111B、エンジンECU111C、温度センサ111D、水温センサ111Eとも称する。
【0060】
ネットワーク12において、車載ECU111A~111Eは、イーサネット(登録商標)ケーブル11を介して中継装置200に接続される。
【0061】
中継装置200は、たとえば、ゲートウェイ装置であり、自己に接続される複数の車載ECU111間のデータを中継可能である。
【0062】
中継装置200は、イーサネットの通信規格に従って、イーサネットフレームの中継処理を行う。具体的には、中継装置200は、たとえば、車載ECU111間でやり取りされるイーサネットフレームを中継する。イーサネットフレームには、IPパケットが格納される。
【0063】
なお、車両通信システム300では、イーサネットの通信規格に従ってイーサネットフレームの中継が行われる構成に限らず、たとえば、CAN(Controller Area Network)(登録商標)、FlexRay(登録商標)、MOST(Media Oriented Systems Transport)(登録商標)およびLIN(Local Interconnect Network)等の通信規格に従ってデータの中継が行われる構成であってもよい。
【0064】
図1および図2を参照して、TCU111Aは、サーバ180と通信を行うことが可能である。詳細には、TCU111Aは、たとえば、IPパケットを用いて無線基地局装置161経由でサーバ180と通信することが可能である。
【0065】
より詳細には、TCU111Aは、たとえば、LTE(Long Term Evolution)または3G等の通信規格に従って、無線基地局装置161と無線通信を行うことが可能である。
【0066】
具体的には、無線基地局装置161は、サーバ180から外部ネットワーク170経由でIPパケットを受信すると、受信したIPパケットを無線信号に含めてTCU111Aへ送信する。
【0067】
TCU111Aは、たとえば、サーバ180からのIPパケットを含む無線信号を無線基地局装置161から受信すると、受信した無線信号からIPパケットを取得し、取得したIPパケットをイーサネットフレームに格納して中継装置200へ送信する。
【0068】
また、TCU111Aは、中継装置200からイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームからIPパケットを取得し、取得したIPパケットを無線信号に含めて無線基地局装置161へ送信する。
【0069】
無線基地局装置161は、TCU111Aから無線信号を受信すると、受信した無線信号からIPパケットを取得し、取得したIPパケットを外部ネットワーク170経由でサーバ180へ送信する。
【0070】
自動運転ECU111Bは、中継装置200を介して他の車載ECU111と通信を行うことが可能であり、たとえば、センサからの計測情報を用いて車両1の走行状況の検知、および検知結果に基づく自動運転制御を行う。
【0071】
エンジンECU111Cは、中継装置200を介して他の車載ECU111と通信を行うことが可能であり、たとえば車両1におけるエンジンを制御する。
【0072】
より詳細には、エンジンECU111Cは、たとえば、エンジンの回転数、車両1の車速、エンジンの軸トルク、トランスミッションの状態、スロットルバルブの状態、および各センサの計測値等を示す情報を取得し、取得した情報に基づいてエンジンを制御する。
【0073】
また、エンジンECU111Cは、たとえば、中継装置200からの要求に応じて、取得した情報の一部または全部を中継装置200へ送信することが可能である。
【0074】
温度センサ111Dは、中継装置200を介して他の車載ECU111と通信を行うことが可能であり、たとえば車両1の外気温を定期的に測定する。
【0075】
水温センサ111Eは、中継装置200を介して他の車載ECU111と通信を行うことが可能であり、たとえば車両1におけるエンジン内を循環する冷却水の水温を定期的に測定する。
【0076】
各アプリケーション100は、たとえば、アプリケーションレイヤの処理を行なうことにより、自己が設けられる車載ECU111において所定の処理を行う。たとえば、温度センサ111Dにおけるアプリケーション100Dは、所定周期で、車両1の外気温を示す温度情報を生成する。
【0077】
図3は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおけるネットワーク構成の一例を示す図である。
【0078】
図3を参照して、中継装置200は、通信ポート120A,120B,120Cを含む。通信ポート120A,120B,120Cの各々を、通信ポート120とも称する。通信ポート120は、たとえば、イーサネットケーブル11を接続可能な端子である。
【0079】
図3に示す例では、TCU111Aが通信ポート120Aに接続され、自動運転ECU111BおよびエンジンECU111Cが通信ポート120Bに接続され、温度センサ111Dおよび水温センサ111Eが通信ポート120Cに接続されている。
【0080】
また、ネットワーク12において、TCU111Aは、VLAN(Virtual Local Area Network)10に属している。自動運転ECU111BおよびエンジンECU111Cは、VLAN10とは異なるVLAN20に属している。温度センサ111Dおよび水温センサ111Eは、VLAN10およびVLAN20とは異なるVLAN30に属している。
【0081】
中継装置200は、たとえば、同じVLANに属する車載ECU111間のイーサネットフレームの中継処理を行う。具体的には、中継装置200は、受信したイーサネットフレームに含まれる送信元MAC(Media Access Control)アドレスおよび送信先MACアドレスに基づいて、当該イーサネットフレームを送信先の車載ECU111へ送信する。
【0082】
また、中継装置200は、たとえば、異なるVLANに属する車載ECU111間のIPパケットの中継処理を行う。具体的には、中継装置200は、受信したイーサネットフレームからIPパケットを取得し、取得したIPパケットの送信先IPアドレスに基づいて、当該IPパケットを送信先の車載ECU111へ送信する。
【0083】
[中継装置]
図4は、本開示の実施の形態に係る中継装置200の構成を示す図である。
【0084】
図4を参照して、中継装置200は、通信ポート120A,120B,120Cと、中継部220と、検知部230と、取得部240と、生成部250と、通知部260と、記憶部270とを備える。記憶部270は、たとえばフラッシュメモリである。以下、通信ポート120A,120B,120Cの各々を、通信ポート120とも称する。
【0085】
中継部220、検知部230、取得部240、生成部250、および通知部260は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)およびDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサによって実現される。
【0086】
[中継部]
中継部220は、車載ECU111間のフレームを中継する。具体的には、中継部220は、たとえば、ある車載ECU111から対応の通信ポート120経由でイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームに対してレイヤ2の中継処理およびレイヤ3の中継処理を行う。
【0087】
たとえば、中継部220は、車載ECU111から受信したフレームに含まれる送信先情報および送信元情報を変更することなく、他の車載ECU111へ中継する。
【0088】
具体的には、中継部220は、たとえば、VLAN20に属する自動運転ECU111BからVLAN20に属するエンジンECU111C宛のイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームに含まれる送信先MACアドレスおよび送信元MACアドレスを変更することなく、当該送信先MACアドレスおよび当該送信元MACアドレスに従ってエンジンECU111Cへの中継処理を行う。
【0089】
あるいは、中継部220は、車載ECU111から受信したフレームに含まれる送信先情報および送信元情報の少なくともいずれか一方を変更し、変更後のフレームを他の車載ECU111へ中継する。
【0090】
一例として、中継部220は、たとえば、VLAN30に属する温度センサ111DからVLAN20に属するエンジンECU111C宛のイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームに含まれる送信先MACアドレスおよび送信元MACアドレスを変更し、変更後のイーサネットフレームを宛先のエンジンECU111Cへ中継する。
【0091】
また、他の例として、中継部220は、車載ECU111からイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームに含まれる送信先IPアドレスおよび送信元IPアドレスの少なくともいずれか一方を変更し、変更後のイーサネットフレームを他の車載ECU111へ中継する。
【0092】
具体的には、たとえば、中継部220は、イーサネットフレームの送信元の車載ECU111のプロキシとして機能する。より詳細には、中継部220は、水温センサ111Eからイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームに含まれる送信元IPアドレスを自己のIPアドレスに変更し、変更後のイーサネットフレームをエンジンECU111Cへ中継する。
【0093】
そして、中継部220は、当該イーサネットフレームに対する応答として、エンジンECU111Cから自己のIPアドレスを送信先IPアドレスとするイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームに含まれる送信先IPアドレスを水温センサ111EのIPアドレスに変更し、変更後のイーサネットフレームを水温センサ111Eへ中継する。
【0094】
なお、中継部220は、車載ECU111から受信したフレームに含まれる、送信先情報および送信元情報以外のフィールドに格納された情報を変更し、変更後のフレームを他の車載ECU111へ中継する構成であってもよい。
【0095】
[検知部]
検知部230は、ネットワーク12に新たに追加される機能部である新規機能部を検知する。より詳細には、検知部230は、ネットワーク12に新たに追加される車載ECU111、外部装置およびアプリケーション100などの機能部を、新規機能部として検知する。一例として、検知部230は、ネットワーク12に新たに追加される車載ECU111を、新規ECUとして検知する。
【0096】
たとえば、新規機能部は、ネットワーク12における通信接続を要求するための接続要求情報を中継装置200へ送信する。
【0097】
検知部230は、中継部220経由で当該接続要求情報を受信して、当該接続要求情報の送信元の新規機能部を検知する。
【0098】
なお、検知部230は、たとえば定期的に、新規機能部を検知するための探索メッセージをブロードキャストする構成であってもよい。この場合、新規機能部は、上記探索メッセージを受信し、受信した探索メッセージに対する応答として上記接続要求情報を送信する。
【0099】
以下、新規機能部を含むネットワーク12を新規ネットワークとも称し、新規機能部が追加される前のネットワーク12を既存ネットワークとも称し、既存ネットワークに含まれる機能部を既存機能部とも称する。既存ネットワークに含まれる車載ECU111は、既存機能部すなわち既存ECUの一例である。
【0100】
図5は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構成の一例を示す図である。
【0101】
図5を参照して、ネットワーク12に、車載ECU111Gが新たに追加される場合を想定する。この例では、車載ECU111Gは、画像センサである。以下、車載ECU111Gを、画像センサ111Gとも称する。画像センサ111Gは、新規機能部であるアプリケーション100Gを含む。
【0102】
画像センサ111Gは、電源供給を受けるとともにたとえばイーサネットケーブル11を介して中継装置200における通信ポート120Cに接続されると、ネットワーク12における通信接続を要求するための接続要求情報を中継装置200における検知部230へ送信する。
【0103】
より詳細には、画像センサ111Gにおけるアプリケーション100Gは、接続要求情報、自己のID、および送信先MACアドレスとして中継装置200のMACアドレスを含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを中継装置200へ送信する。
【0104】
中継装置200における検知部230は、アプリケーション100Gから送信された当該イーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームに含まれるIDなどを用いて、アプリケーション100Gの認証処理を行う。
【0105】
検知部230は、アプリケーション100Gの認証に成功すると、認証が成功した旨を示す認証成功情報、および送信先MACアドレスとして画像センサ111GのMACアドレスを含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを中継部220経由で画像センサ111Gへ送信する。
【0106】
なお、検知部230が検知する新規機能部は、新たに中継装置200に接続される車載ECU111に含まれるアプリケーション100に限定されない。たとえば、検知部230は、既存ネットワークにおける車載ECU111にインストールされるアプリケーション100を新規機能部として検知する構成であってもよい。
【0107】
図6は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構成の他の例を示す図である。
【0108】
図6を参照して、ネットワーク12において、新規機能部として、エンジンECU111Cにアプリケーション100Hが新たにインストールされる場合を想定する。
【0109】
アプリケーション100Hは、エンジンECU111Cにインストールされると、接続要求情報、自己のID、および送信先MACアドレスとして中継装置200のMACアドレスを含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを中継装置200へ送信する。
【0110】
中継装置200における検知部230は、アプリケーション100Hから送信された当該イーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームに含まれるIDなどを用いて、アプリケーション100Hの認証処理を行う。
【0111】
検知部230は、アプリケーション100Hの認証に成功すると、認証が成功した旨を示す認証成功情報、および送信先MACアドレスとしてエンジンECU111CのMACアドレスを含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを中継部220経由でエンジンECU111Cへ送信する。
【0112】
なお、検知部230が検知する新規機能部は、上述のような、新たに中継装置200に接続される車載ECU111に含まれるアプリケーション100、または車載ECU111にインストールされるアプリケーション100に限定されない。たとえば、検知部230は、車両1の外部においてネットワーク12に追加される外部装置113に含まれるアプリケーション100を新規機能部として検知する構成であってもよい。
【0113】
図7は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構成の他の例を示す図である。
【0114】
図7を参照して、ネットワーク12に、外部装置113が新たに追加される場合を想定する。外部装置113は、車両1の外部に設けられる装置である。外部装置113は、新規機能部であるアプリケーション100Jを含む。
【0115】
外部装置113は、TCU111Aと通信を行うことが可能である。より詳細には、外部装置113は、たとえば、IPパケットを用いて無線基地局装置161経由でTCU111Aと通信することが可能である。
【0116】
外部装置113は、ネットワーク12における通信接続を要求するための接続要求情報をTCU111A経由で中継装置200における検知部230へ送信する。
【0117】
より詳細には、外部装置113におけるアプリケーション100Jは、接続要求情報、自己のIDおよび中継装置200のMACアドレスを含むIPパケットを外部ネットワーク170経由で無線基地局装置161へ送信する。
【0118】
無線基地局装置161は、外部装置113から外部ネットワーク170経由でIPパケットを受信すると、受信したIPパケットを無線信号に含めてTCU111Aへ送信する。
【0119】
TCU111Aは、アプリケーション100JからのIPパケットを含む無線信号を無線基地局装置161から受信すると、受信した無線信号からIPパケットを取得し、取得したIPパケット、および送信先MACアドレスとして中継装置200のMACアドレスを含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームを中継装置200へ送信する。
【0120】
中継装置200における検知部230は、TCU111Aから当該イーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームに格納されたIPパケットに含まれるIDなどを用いて、アプリケーション100Jの認証処理を行う。
【0121】
検知部230は、アプリケーション100Jの認証に成功すると、認証が成功した旨を示す認証成功情報、および送信先MACアドレスとして外部装置113のMACアドレスを含むイーサネットフレームを生成し、生成したイーサネットフレームをTCU111Aへ送信する。
【0122】
TCU111Aは、検知部230から当該イーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームからIPパケットを取得し、取得したIPパケットを無線信号に含めて無線基地局装置161経由で外部装置113へ送信する。
【0123】
検知部230は、上述のように新規機能部の認証に成功すると、当該新規機能部のIDたとえばMACアドレスを記憶部270に保存する。
【0124】
[機能部間の通信接続]
たとえば、新規機能部および既存機能部は、定期的または不定期に、他の機能部を検知するためのディスカバリフレームを中継装置200経由で1または複数の他の機能部へ送信する。また、たとえば、新規機能部および既存機能部は、定期的または不定期に、他の機能部との通信接続を確立するためのフレームである通信設定フレームを生成し、生成した通信設定フレームを中継装置200経由で1または複数の他の機能部へ送信する。
【0125】
図8は、本開示の実施の形態に係る機能部が送信する通信設定フレームの一例を示す図である。
【0126】
図8を参照して、通信設定フレームは、ヘッダと、送信元IPアドレスと、送信先IPアドレスと、オプションフィールドと、データフィールドと、追加情報フィールドとを有する。データフィールドには、送信元の機能部が送信可能なデータの内容を示す情報および送信元の機能部が受信すべきデータの内容を示す情報の少なくともいずれか一方が格納される。
【0127】
たとえば、新規機能部および既存機能部は、SOME/IP(Scalable Service-Oriented Middleware on Ethernet/Internet Protocol)等のプロトコルに従い、自己が送信可能なデータの内容を示す情報をデータフィールドに格納した通信設定フレームを生成し、生成した通信設定フレームを中継装置200経由で1または複数の他の機能部へ送信する。
【0128】
あるいは、新規機能部および既存機能部は、SOME/IP等のプロトコルに従い、自己が受信すべきデータの内容を示す情報をデータフィールドに格納した通信設定フレームを生成し、生成した通信設定フレームを中継装置200経由で1または複数の他の機能部へ送信する。
【0129】
再び図5を参照して、一例として、新規機能部であるアプリケーション100Gを含む画像センサ111Gは、中継装置200から認証成功情報を受信すると、自己が車両1の周囲の画像データを送信可能である旨を示す情報をデータフィールドに格納した通信設定フレームを生成する。そして、画像センサ111Gは、生成した通信設定フレームを、中継装置200経由で、ネットワーク12におけるすべての既存機能部へブロードキャストするか、または特定の各既存機能部へマルチキャストする。
【0130】
ネットワーク12における既存機能部の一つであるアプリケーション100Bを含む自動運転ECU111Bは、画像センサ111Gからの当該通信設定フレームを受信すると、自己が画像データを受信すべき旨を示す要求情報および自己のIPアドレスをデータフィールドに格納した通信設定フレームを生成し、画像センサ111Gからの通信設定フレームに対する応答として、生成した通信設定フレームを中継装置200経由で画像センサ111Gへ送信する。
【0131】
画像センサ111Gおよび自動運転ECU111Bは、通信設定フレーム等をやり取りすることにより通信接続を確立する。画像センサ111Gは、自動運転ECU111Bとの通信接続の確立後、定期的または不定期に、画像データを中継装置200経由で自動運転ECU111Bへ送信する。
【0132】
一方、ネットワーク12における自動運転ECU111B以外の既存機能部は、画像センサ111Gからの通信設定フレームを受信すると、画像データが不要である旨を示す情報をデータフィールドに格納した通信設定フレームを生成し、画像センサ111Gからの通信設定フレームに対する応答として、生成した通信設定フレームを中継装置200経由で画像センサ111Gへ送信する。
【0133】
再び図6を参照して、他の例として、インストールされた新規機能部であるアプリケーション100Hを含むエンジンECU111Cは、中継装置200から認証成功情報を受信すると、自己が車両1におけるエンジン内を循環する冷却水の水温データを受信すべき旨を示す要求情報をデータフィールドに格納した通信設定フレームを生成する。そして、エンジンECU111Cは、生成した通信設定フレームを、中継装置200経由で、ネットワーク12におけるすべての既存機能部へブロードキャストするか、または特定の各既存機能部へマルチキャストする。
【0134】
ネットワーク12における既存機能部の一つであるアプリケーション100Eを含む水温センサ111Eは、エンジンECU111Cからの当該通信設定フレームを受信すると、自己が水温データを送信可能である旨を示す情報および自己のIPアドレスをデータフィールドに格納した通信設定フレームを生成し、エンジンECU111Cからの通信設定フレームに対する応答として、生成した通信設定フレームを中継装置200経由でエンジンECU111Cへ送信する。
【0135】
水温センサ111EおよびエンジンECU111Cは、通信設定フレーム等をやり取りすることにより通信接続を確立する。水温センサ111Eは、エンジンECU111Cとの通信接続の確立後、定期的または不定期に、水温データを中継装置200経由でエンジンECU111Cへ送信する。
【0136】
一方、ネットワーク12における水温センサ111E以外の既存機能部は、エンジンECU111Cからの当該通信設定フレームを受信すると、水温データを送信不可能である旨を示す情報をデータフィールドに格納した通信設定フレームを生成し、エンジンECU111Cからの通信設定フレームに対する応答として、生成した通信設定フレームを中継装置200経由でエンジンECU111Cへ送信する。
【0137】
[取得部]
取得部240は、中継部220によって中継される、新規機能部および既存機能部間のフレームから、新規機能部および既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得する。
【0138】
より詳細には、新規機能部および既存機能部の少なくともいずれか一方は、追加情報フィールドに機能部情報を格納した通信設定フレームを中継装置200経由で他の機能部へ送信する。
【0139】
具体的には、通信設定フレームを送受信する新規機能部および既存機能部のうち、当該通信設定フレーム等の送受信による通信接続の確立後に、確立した通信接続を用いて定期的または不定期にデータを送信することとなる機能部であるパブリッシュ機能部は、追加情報フィールドに機能部情報を格納した通信設定フレームを他の機能部へ送信する。
【0140】
一例として、新規機能部であるアプリケーション100Gを含む画像センサ111Gは、自己が車両1の周囲の画像データを送信可能である旨を示す情報をデータフィールドに格納した通信設定フレームを既存機能部へ送信し、他の機能部との通信接続の確立後に、確立した通信接続を用いて定期的または不定期に画像データを送信することとなるパブリッシュ機能部である。このため、画像センサ111Gは、追加情報フィールドに機能部情報を格納した通信設定フレームを各既存機能部へブロードキャストまたはマルチキャストする。
【0141】
一方、ネットワーク12における既存機能部の一つであるアプリケーション100Bを含む自動運転ECU111Bは、画像センサ111Gからの通信設定フレームに対する応答として、自己が画像データを受信すべき旨を示す要求情報をデータフィールドに格納した通信設定フレームを画像センサ111Gへ送信し、画像センサ111Gとの通信接続の確立後に、確立した通信接続を用いたデータ送信を行わないサブスクライブ機能部である。このため、自動運転ECU111Bは、追加情報フィールドに機能部情報を格納することなく通信設定フレームを画像センサ111Gへ送信する。
【0142】
他の例として、新規機能部であるアプリケーション100Hを含むエンジンECU111Cは、自己が水温データを受信すべき旨を示す要求情報をデータフィールドに格納した通信設定フレームを既存機能部へ送信し、他の機能部との通信接続の確立後に、確立した通信接続を用いたデータ送信を行わないサブスクライブ機能部である。このため、エンジンECU111Cは、追加情報フィールドに機能部情報を格納することなく通信設定フレームを各既存機能部へブロードキャストまたはマルチキャストする。
【0143】
一方、ネットワーク12における既存機能部の一つであるアプリケーション100Eを含む水温センサ111Eは、エンジンECU111Cからの通信設定フレームに対する応答として、自己が水温データを送信可能である旨を示す情報をデータフィールドに格納した通信設定フレームをエンジンECU111Cへ送信し、エンジンECU111Cとの通信接続の確立後に、確立した通信接続を用いて定期的または不定期に水温データを送信することとなるパブリッシュ機能部である。このため、水温センサ111Eは、追加情報フィールドに機能部情報を格納した通信設定フレームをエンジンECU111Cへ送信する。
【0144】
(機能部情報の具体例)
たとえば、機能部情報は、通信設定フレームを受信すべき機能部において処理対象とならない情報である。より詳細には、通信設定フレームを受信した機能部は、当該通信設定フレームにおける追加情報フィールドから機能部情報を取得する処理、当該機能部情報を用いた演算処理、および当該機能部情報を用いた各種設定変更処理を行わない。たとえば、機能部情報は、新規ネットワークの構成情報の生成に用いられる情報である。
【0145】
たとえば、新規機能部および既存機能部は、機能部情報として、新規ネットワークにおける車載ECU111、中継装置200および外部装置113などのハードウェア装置の仕様ならびに新規ネットワークのトポロジを認識可能な情報と、新規ネットワークにおけるハードウェア装置へのアプリケーション100の配置に関する制約と、新規ネットワークにおける通信方式の制約とのうち、少なくともいずれか1つを認識可能な情報を通信設定フレームにおける追加情報フィールドに格納する。
【0146】
新規機能部および既存機能部は、ハードウェア装置の仕様および新規ネットワークのトポロジを認識可能な情報として、たとえば、ハードウェア装置の、識別子、名称、センサ種別などを示す装置タイプ、メモリサイズ、通信プロトコルごとに設けられる物理ポート数、物理ポートの識別子、電源構成、消費電力、VLANのID、サブネットアドレスおよび機能ドメインに関する情報、ならびにハードウェア装置に搭載されるCPUまたはGPU(Graphics Processing Unit)の仕様に関する情報、ハードウェア装置間の接続関係に関する情報、ハードウェア装置間の通信の帯域幅に関する情報、および中継装置200の仕様に関する情報のうち、少なくともいずれか1種類の情報を通信設定フレームにおける追加情報フィールドに格納する。
【0147】
新規機能部および既存機能部は、ハードウェア装置へのアプリケーション100の配置に関する制約を認識可能な情報として、たとえば、アプリケーション100の、実行に必要な演算速度、メモリ使用量、OS(Operating System)環境の制約、ならびにTCP(Transmission Control Protocol)およびUDP(User datagram Protocol)などの通信プロトコルの制約に関する情報のうち、少なくともいずれか1種類の情報を通信設定フレームにおける追加情報フィールドに格納する。
【0148】
新規機能部および既存機能部は、新規ネットワークにおける通信方式の制約を認識可能な情報として、アプリケーション100の、通信データサイズ、通信頻度、バースト送信の要否、許容される遅延時間、許容される損失量、必要とするセキュリティのレベル、動作タイミング、たとえば周期的通信か不定期通信かを示す通信タイプ、通信相手となるアプリケーション100の識別子、および要求応答型または出版購読型などを示すメッセージング方式、ならびにアプリケーション100による通信の優先度に関する情報のうち、少なくともいずれか1種類の情報を通信設定フレームにおける追加情報フィールドに格納する。
【0149】
新規機能部および既存機能部は、1つの機能部情報を通信設定フレームにおける追加情報フィールドに格納してもよいし、複数の機能部情報を通信設定フレームにおける追加情報フィールドに格納してもよい。
【0150】
たとえば、新規機能部および既存機能部は、機能部情報の種類を示す情報、および当該機能部情報の値を示す情報を追加情報フィールドに格納する。一例として、新規機能部および既存機能部は、追加情報フィールドに格納された機能部情報が通信頻度であることを示す情報、および通信頻度の値を示す「20回/秒」を追加情報フィールドに格納する。
【0151】
中継部220は、新規機能部から既存機能部への通信設定フレームを受信すると、受信した通信設定フレームを記憶部270に保存する。また、中継部220は、既存機能部から新規機能部への通信設定フレームを受信すると、受信した通信設定フレームを記憶部270に保存する。
【0152】
そして、たとえば、中継部220は、上述のように、記憶部270から通信設定フレームを取得し、取得した通信設定フレームに含まれる送信先情報および送信元情報を変更することなく、送信先の機能部へ中継する。これにより、中継部220における処理負荷を増大することなく、中継部220によって中継されるフレームから機能部情報を取得することができる。
【0153】
あるいは、中継部220は、上述のように、記憶部270から通信設定フレームを取得し、取得した通信設定フレームに含まれる送信先情報および送信元情報の少なくともいずれか一方を変更し、変更後のフレームを送信先の機能部へ中継する。
【0154】
より詳細には、中継部220は、上述のような2つの例の他に、たとえば、1または複数の機能部からブロードキャストまたはマルチキャストされた通信設定フレームを受信し、受信した通信設定フレームの送信先MACアドレスを、特定の通信ポート120に対応する送信先MACアドレスに変更することにより、ブロードキャストまたはマルチキャストされた通信設定フレームの送信先の機能部を限定する。これにより、セキュリティの向上および中継部220によって中継処理されるフレームのデータ量の削減が可能となる。
【0155】
取得部240は、記憶部270を監視し、中継部220によって記憶部270に通信設定フレームが保存されると、記憶部270に保存された通信設定フレームにおける追加情報フィールドから機能部情報を取得する。
【0156】
すなわち、取得部240は、たとえば、新規機能部から既存機能部への通信設定フレームおよび既存機能部から新規機能部への通信設定フレームの少なくともいずれか一方から機能部情報を取得する。
【0157】
取得部240は、取得した1または複数の機能部情報を生成部250へ出力する。
【0158】
[生成部]
生成部250は、取得部240から受けた1または複数の機能部情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する。
【0159】
より詳細には、生成部250は、新規ネットワークにおいて通信を行うための既存機能部および新規機能部の設定内容を示す構成情報を生成する。
【0160】
たとえば、生成部250は、取得部240から受けた1または複数の機能部情報に基づいて、新規ネットワークの論理的構成および物理的構成を考慮して、新規ネットワークにおいて各機能部がOSI(Open Systems Interconnection)参照モデルにおけるレイヤ4以下の通信を行うための当該各機能部の設定内容を示す構成情報を生成する。
【0161】
図9は、本開示の実施の形態に係る生成部により生成される構成情報の一例を示す図である。
【0162】
以下では、便宜上、中継装置200の通信ポート120A,120B,120Cのポート番号を、それぞれ、「1」,「2」,「3」とする。また、車載ECU111は、1つの通信ポートを含むものとし、当該通信ポートのポート番号を「1」とする。
【0163】
図9を参照して、たとえば、生成部250は、図5に示す新規ネットワークにおいて、新規機能部であるアプリケーション100Gを含む画像センサ111Gの属するVLANのIDとして「VLAN20」を設定し、アプリケーション100Fを含む中継装置200の通信ポート120Cに対応するVLANのIDとして「VLAN20」を追加設定する内容を示す構成情報を生成する。
【0164】
生成部250は、生成した構成情報を通知部260へ出力するとともに、記憶部270に登録する。
【0165】
通知部260は、生成部250から構成情報を受けると、受けた構成情報に基づいて、新規ネットワークにおける機能部のうちの少なくともいずれか1つに、新規ネットワークにおいて通信を行うための設定内容を通知する。
【0166】
たとえば、通知部260は、生成部250から受けた構成情報に基づいて、設定変更の必要がある機能部へ設定内容を中継部220経由で通知する。通知部260は、新規ネットワークにおいて設定変更の必要がある機能部が存在しない場合、たとえば機能部への設定内容の通知を行わない。たとえば、図9に示す例では、通知部260は、アプリケーション100Gを含む画像センサ111GにVLAN20に対応するIPアドレスを割り当て、割り当てたIPアドレスを画像センサ111Gへ通知する。
【0167】
新規ネットワークにおける各機能部は、通知部260から設定内容を通知されると、通知された設定内容に従って各種設定変更を行う。新規ネットワークにおける各機能部は、変更後の設定内容に従って互いに通信を行う。
【0168】
図10は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける設定変更後の新規ネットワークの構成の他の例を示す図である。
【0169】
図10を参照して、図5に示す新規ネットワークにおいて、画像センサ111Gおよび中継装置200は、通知部260から通知された設定内容を用いて設定変更を行う。これにより、画像センサ111Gは、VLAN20における通信を行うことが可能となる。
【0170】
[動作の流れ]
本開示の実施の形態に係る通信システムにおける各装置は、メモリを含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートおよびシーケンスの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該メモリから読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0171】
図11は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおいて中継装置が新規ネットワークを構築する際の動作手順を定めたフローチャートである。
【0172】
図11を参照して、まず、中継装置200は、ネットワーク12への新規機能部の追加を待ち受け(ステップS102でNO)、新規機能部を検知すると(ステップS102でYES)、検知した新規機能部の認証処理を行う(ステップS104)。
【0173】
次に、中継装置200は、新規機能部および既存機能部間において中継すべき通信設定フレームを待ち受け(ステップS106でNO)、新規機能部または既存機能部から通信設定フレームを受信すると(ステップS106でYES)、受信した通信設定フレームから送信元の機能部の機能部情報を取得する(ステップS108)。
【0174】
次に、中継装置200は、受信した通信設定フレームを送信先の機能部へ中継する(ステップS110)。
【0175】
次に、中継装置200は、取得した機能部情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する(ステップS112)。
【0176】
次に、中継装置200は、生成した構成情報に基づいて、新規ネットワークにおける1または複数の機能部へ設定内容を通知する(ステップS114)。
【0177】
次に、中継装置200は、新規ネットワークへの新規機能部の追加を待ち受ける(ステップS102でNO)。
【0178】
なお、上記ステップS108とS110との順番は、上記に限らず、順番を入れ替えてもよい。
【0179】
図12は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの一例を示す図である。図12は、新規機能部および既存機能部A,Bが双方向にデータを送受信することが可能な新規ネットワークの構築処理のシーケンスを示している。
【0180】
図12を参照して、まず、ネットワーク12に新たに追加される新規機能部は、接続要求情報を中継装置200へ送信する(ステップS202)。
【0181】
次に、中継装置200は、新規機能部から接続要求情報を受信して、当該新規機能部を検知し、当該新規機能部の認証処理を行う(ステップS204)。
【0182】
次に、新規機能部は、自己が受信すべきデータの内容および自己が送信可能なデータの内容を示す情報ならびに自己の機能部情報を格納した既存機能部A,B宛の通信設定フレームを中継装置200へ送信する(ステップS206)。
【0183】
次に、中継装置200は、新規機能部から既存機能部A,B宛の通信設定フレームを受信すると、受信した通信設定フレームから機能部情報を取得する(ステップS208)。
【0184】
次に、中継装置200は、新規機能部から受信した通信設定フレームを既存機能部A,Bへ中継する(ステップS210)。
【0185】
次に、既存機能部Aは、自己が受信すべきデータの内容および自己が送信可能なデータの内容を示す情報ならびに機能部情報を格納した新規機能部宛の通信設定フレームを中継装置200へ送信する(ステップS212)。
【0186】
次に、中継装置200は、既存機能部Aから新規機能部宛の通信設定フレームを受信すると、受信した通信設定フレームから機能部情報を取得する(ステップS214)。
【0187】
次に、中継装置200は、既存機能部Aから受信した通信設定フレームを新規機能部へ中継する(ステップS216)。
【0188】
次に、既存機能部Bは、自己が受信すべきデータの内容および自己が送信可能なデータの内容を示す情報ならびに自己の機能部情報を格納した新規機能部宛の通信設定フレームを中継装置200へ送信する(ステップS218)。
【0189】
次に、中継装置200は、既存機能部Bから新規機能部宛の通信設定フレームを受信すると、受信した通信設定フレームから機能部情報を取得する(ステップS220)。
【0190】
次に、中継装置200は、既存機能部Bから受信した通信設定フレームを新規機能部へ中継する(ステップS222)。
【0191】
次に、中継装置200は、取得した各機能部情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する(ステップS224)。
【0192】
次に、中継装置200は、生成した構成情報に基づいて、新規機能部および既存機能部A,Bへ設定内容を通知する(ステップS226)。
【0193】
次に、新規機能部は、中継装置200から通知された設定内容に従って各種設定変更を行う(ステップS228)。
【0194】
また、既存機能部A,Bは、中継装置200から通知された設定内容に従って各種設定変更を行う(ステップS230)。
【0195】
次に、新規ネットワークにおける新規機能部および既存機能部A,Bは、変更後の設定内容に従って互いに通信を行う(ステップS232)。
【0196】
図13は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの他の例を示す図である。図13は、パブリッシュ機能部である既存機能部A,Bがサブスクライブ機能部である新規機能部へデータを送信することが可能な新規ネットワークの構築処理のシーケンスを示している。
【0197】
図13を参照して、まず、ネットワーク12に新たに追加される新規機能部は、接続要求情報を中継装置200へ送信する(ステップS302)。
【0198】
次に、中継装置200は、新規機能部から接続要求情報を受信して、当該新規機能部を検知し、当該新規機能部の認証処理を行う(ステップS304)。
【0199】
次に、新規機能部は、自己が受信すべきデータの内容を示す情報および自己の機能部情報を格納した既存機能部A,B宛の通信設定フレームを中継装置200へ送信する(ステップS306)。
【0200】
次に、中継装置200は、新規機能部から既存機能部A,B宛の通信設定フレームを受信すると、受信した通信設定フレームを既存機能部A,Bへ中継する(ステップS308)。
【0201】
次に、既存機能部Aは、自己が送信可能なデータの内容を示す情報ならびに自己の機能部情報を格納した新規機能部宛の通信設定フレームを中継装置200へ送信する(ステップS310)。
【0202】
次に、中継装置200は、既存機能部Aから新規機能部宛の通信設定フレームを受信すると、受信した通信設定フレームから機能部情報を取得する(ステップS312)。
【0203】
次に、中継装置200は、既存機能部Aから受信した通信設定フレームを新規機能部へ中継する(ステップS314)。
【0204】
次に、既存機能部Bは、自己が送信可能なデータの内容を示す情報ならびに自己の機能部情報を格納した新規機能部宛の通信設定フレームを中継装置200へ送信する(ステップS316)。
【0205】
次に、中継装置200は、既存機能部Bから新規機能部宛の通信設定フレームを受信すると、受信した通信設定フレームから機能部情報を取得する(ステップS318)。
【0206】
次に、中継装置200は、既存機能部Bから受信した通信設定フレームを新規機能部へ中継する(ステップS320)。
【0207】
次に、中継装置200は、取得した各機能部情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する(ステップS322)。
【0208】
次に、中継装置200は、生成した構成情報に基づいて、新規機能部および既存機能部A,Bへ設定内容を通知する(ステップS324)。
【0209】
次に、新規機能部は、中継装置200から通知された設定内容に従って各種設定変更を行う(ステップS326)。
【0210】
また、既存機能部A,Bは、中継装置200から通知された設定内容に従って各種設定変更を行う(ステップS328)。
【0211】
次に、新規ネットワークにおける新規機能部および既存機能部A,Bは、変更後の設定内容に従って互いに通信を行う(ステップS330)。
【0212】
図14は、本開示の実施の形態に係る車両通信システムにおける新規ネットワークの構築処理のシーケンスの他の例を示す図である。図14は、パブリッシュ機能部である新規機能部A,Bがサブスクライブ機能部である既存機能部へデータを送信することが可能な新規ネットワークの構築処理のシーケンスを示している。
【0213】
図14を参照して、まず、ネットワーク12に新たに追加される新規機能部Aは、接続要求情報を中継装置200へ送信する(ステップS402)。
【0214】
次に、中継装置200は、新規機能部Aから接続要求情報を受信して、当該新規機能部Aを検知し、当該新規機能部Aの認証処理を行う(ステップS404)。
【0215】
次に、ネットワーク12に新たに追加される新規機能部Bは、接続要求情報を中継装置200へ送信する(ステップS406)。
【0216】
次に、中継装置200は、新規機能部Bから接続要求情報を受信して、当該新規機能部Bを検知し、当該新規機能部Bの認証処理を行う(ステップS408)。
【0217】
次に、新規機能部Aは、自己が送信可能なデータの内容を示す情報ならびに自己の機能部情報を格納した既存機能部宛の通信設定フレームを中継装置200へ送信する(ステップS410)。
【0218】
次に、中継装置200は、新規機能部Aから既存機能部宛の通信設定フレームを受信すると、受信した通信設定フレームから機能部情報を取得する(ステップS412)。
【0219】
次に、中継装置200は、新規機能部Aから受信した通信設定フレームを既存機能部へ中継する(ステップS414)。
【0220】
次に、既存機能部は、自己が受信すべきデータの内容および自己の機能部情報を格納した新規機能部A宛の通信設定フレームを中継装置200へ送信する(ステップS416)。
【0221】
次に、中継装置200は、既存機能部から受信した通信設定フレームを新規機能部Aへ中継する(ステップS418)。
【0222】
次に、新規機能部Bは、自己が送信可能なデータの内容を示す情報ならびに自己の機能部情報を格納した既存機能部宛の通信設定フレームを中継装置200へ送信する(ステップS420)。
【0223】
次に、中継装置200は、新規機能部Bから既存機能部宛の通信設定フレームを受信すると、受信した通信設定フレームから機能部情報を取得する(ステップS422)。
【0224】
次に、中継装置200は、新規機能部Bから受信した通信設定フレームを既存機能部へ中継する(ステップS424)。
【0225】
次に、既存機能部は、自己が受信すべきデータの内容および自己の機能部情報を格納した新規機能部B宛の通信設定フレームを中継装置200へ送信する(ステップS426)。
【0226】
次に、中継装置200は、既存機能部から受信した通信設定フレームを新規機能部Bへ中継する(ステップS428)。
【0227】
次に、中継装置200は、取得した各機能部情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する(ステップS430)。
【0228】
次に、中継装置200は、生成した構成情報に基づいて、新規機能部A,Bおよび既存機能部へ設定内容を通知する(ステップS432)。
【0229】
次に、新規機能部A,Bは、中継装置200から通知された設定内容に従って各種設定変更を行う(ステップS434)。
【0230】
また、既存機能部は、中継装置200から通知された設定内容に従って各種設定変更を行う(ステップS436)。
【0231】
次に、新規ネットワークにおける新規機能部A,Bおよび既存機能部は、変更後の設定内容に従って互いに通信を行う(ステップS438)。
【0232】
なお、本開示の実施の形態に係る中継装置200では、検知部230は、ネットワーク12に車載ECU111または外部装置が追加された場合に、当該車載ECU111または当該外部装置に含まれるアプリケーション100を新規機能部として検知する構成であるとしたが、これに限定するものではない。検知部230は、ネットワーク12に追加される、アプリケーション100を搭載していない車載ECU111または外部装置を新規機能部として検知する構成であってもよい。
【0233】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置200では、生成部250が、生成した構成情報を通知部260へ出力し、通知部260が、生成部250から受けた構成情報に基づいて、設定変更の必要がある機能部へ設定内容を通知する構成であるとしたが、これに限定するものではない。生成部250は、たとえば機能部における設定変更が不要となるような新規ネットワークの構成情報を生成する構成であってもよい。この場合、中継装置200は、通知部260を備えない構成であってもよい。
【0234】
また、本開示の実施の形態に係る車両通信システム300では、機能部情報は、通信設定フレームを受信すべき機能部において処理対象とならない情報であるとしたが、これに限定するものではない。機能部情報は、通信設定フレームを受信すべき機能部において処理対象となる情報であってもよい。
【0235】
また、本開示の実施の形態に係る車両通信システム300では、機能部情報は、新規ネットワークの構成情報の生成に用いられる情報であるとしたが、これに限定するものではない。機能部情報は、新規ネットワークの構成情報の生成以外の何らかの処理に用いられてもよい。
【0236】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置200では、生成部250は、取得部240から受けた機能部情報に基づいて、新規ネットワークの構成情報を生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。中継装置200は、生成部250を備えない構成であってもよい。また、中継装置200は、生成部250の代わりに、取得部240によって取得された機能部情報に基づいて生成される新規ネットワークの構成情報を外部から取得する構成情報取得部を備える構成であってもよい。
【0237】
ところで、ネットワークに新たな機能部が追加された際に、新たなネットワークにおける機能部の情報を容易に取得することが可能な技術が望まれる。
【0238】
たとえば、ネットワークに新たに機能部を追加して新規ネットワークを構築する際に、下位レイヤのネットワーク構成および制約を受けて、上位レイヤにより要求される通信を実現できない場合がある。
【0239】
このような下位レイヤのネットワーク構成および制約の一例として、物理層の通信帯域の制約が挙げられる。特に、車載ECUなどの車載機能部を含むネットワークなどの、低コスト化が求められるネットワークにおいては、上述のような通信帯域の制約を受けるため、ネットワークにおける安定した動作を維持しながらネットワークに新たな機能部を追加することが困難となる場合がある。
【0240】
そこで、ネットワークにおける安定した動作を維持しながら新たな構成のネットワークを柔軟に構築するために、新たなネットワークにおける機能部の情報を容易に取得することが可能な技術が望まれる。
【0241】
これに対して、本開示の実施の形態に係る中継装置200は、車両1に搭載される。中継装置200では、検知部230は、1または複数の機能部である既存機能部を含むネットワーク12に新たに追加される機能部である新規機能部を検知する。中継部220は、機能部間のフレームを中継する。取得部240は、中継部220によって中継される、検知部230によって検知された新規機能部および既存機能部間のフレームから、新規機能部および既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得する。
【0242】
このように、機能部間のフレームから機能部情報を取得する構成により、たとえば新規機能部および既存機能部間の通信接続を確立するために新規機能部および既存機能部間において中継すべきフレームから機能部情報を取得することができるため、機能部との間で機能部情報を取得するためのフレームのやり取りを行うことなく、機能部情報を取得することができる。
【0243】
したがって、本開示の実施の形態に係る中継装置200では、新たな機能部が追加されたネットワークの情報を容易に取得することができる。
【0244】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置200では、機能部情報は、新規機能部をさらに含むネットワーク12である新規ネットワークの構成情報の生成に用いられる情報である。
【0245】
このような構成により、機能部情報を用いて、たとえばアプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成および制約が考慮された新規ネットワークを構築することができる。これにより、たとえばネットワークに新規機能部を追加することに起因する重要度の高い通信における遅延の発生を抑制することができる。
【0246】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置200では、取得部240は、新規機能部によって送信されて既存機能部へ中継されるフレームから、機能部情報を取得する。
【0247】
このような構成により、たとえば通信接続の確立後に既存機能部へデータを送信すべき新規機能部によって送信されるフレームから機能部情報を取得することができる。
【0248】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置200では、取得部240は、既存機能部によって送信されて新規機能部へ中継されるフレームから、機能部情報を取得する。
【0249】
このような構成により、たとえば通信接続の確立後に新規機能部へデータを送信すべき既存機能部によって送信されるフレームから機能部情報を取得することができる。
【0250】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置200では、中継部220は、機能部から受信したフレームに含まれる送信先情報および送信元情報を変更することなく、他の機能部へ中継する。取得部240は、中継部220によって中継されるフレームから機能部情報を取得する。
【0251】
このような構成により、機能部間におけるフレームをスヌーピングする中継装置200において、機能部情報を容易に取得することができる。
【0252】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置200では、中継部220は、機能部から受信したフレームに含まれる送信先情報および送信元情報の少なくともいずれか一方を変更し、変更後のフレームを他の機能部へ中継する。取得部240は、中継部220によって中継されるフレームから機能部情報を取得する。
【0253】
このような構成により、プロキシサーバとして機能する中継装置200において、機能部情報を容易に取得することができる。
【0254】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置200では、生成部250は、取得部240によって取得された機能部情報に基づいて、新規機能部をさらに含むネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成する。
【0255】
このような構成により、機能部情報を用いて、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成および制約が考慮された新規ネットワークを構築することができる。これにより、たとえばネットワークに新規機能部を追加することに起因する重要度の高い通信における遅延の発生を抑制することができる。
【0256】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置200では、機能部情報は、フレームを受信すべき機能部において処理対象とならない情報である。
【0257】
このような構成により、フレームを受信すべき機能部における処理負荷を増大させることなく、当該フレームから機能部情報を取得することができる。
【0258】
また、本開示の実施の形態に係る中継装置200では、検知部230は、ネットワーク12に新たに追加される車載ECU111に含まれるアプリケーション100、ネットワーク12における車載ECU111に新たにインストールされるアプリケーション100、および車両1の外部においてネットワーク12に新たに追加される外部装置113に含まれるアプリケーション100のうちの少なくともいずれか1つを新規機能部として検知し、検知した新規機能部の認証処理を行い、認証処理の結果を新規機能部へ通知する。
【0259】
このような構成により、多様な新規機能部を検知して新たなネットワーク12を構築することができる。
【0260】
また、本開示の実施の形態に係る車両1は、中継装置200を備える。
【0261】
このような構成により、中継装置200を備える車両1において、新たな機能部が追加されたネットワークの情報を容易に取得することができる。
【0262】
また、本開示の実施の形態に係る車両通信システム300では、既存機能部は、ネットワーク12を構成する。新規機能部は、ネットワーク12に新たに追加される。車両1に搭載される中継装置200は、ネットワーク12への新規機能部の追加を検知する。新規機能部または既存機能部は、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報が格納された他の機能部宛のフレームを送信する。中継装置200は、新規機能部または既存機能部によって送信されたフレームから機能部情報を取得する。
【0263】
このように、新規機能部または既存機能部によって送信されたフレームから機能部情報を取得する構成により、たとえば新規機能部および既存機能部間の通信接続を確立するために新規機能部および既存機能部間において中継すべきフレームから機能部情報を取得することができるため、機能部との間で機能部情報を取得するためのフレームのやり取りを行うことなく、機能部情報を取得することができる。
【0264】
したがって、本開示の実施の形態に係る車両通信システム300では、新たな機能部が追加されたネットワークの情報を容易に取得することができる。
【0265】
また、本開示の実施の形態に係る通信方法は、車両1に搭載され、機能部間のフレームを中継する中継装置200における通信方法である。この通信方法では、まず、中継装置200が、1または複数の機能部である既存機能部を含むネットワーク12に新たに追加される機能部である新規機能部を検知する。次に、中継装置200が、検知した新規機能部および既存機能部間の中継すべきフレームから、新規機能部および既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得する。
【0266】
このように、新規機能部および既存機能部間の中継すべきフレームから機能部情報を取得する方法により、たとえば新規機能部および既存機能部間の通信接続を確立するために新規機能部および既存機能部間において中継すべきフレームから機能部情報を取得することができるため、機能部との間で機能部情報を取得するためのフレームのやり取りを行うことなく、機能部情報を取得することができる。
【0267】
したがって、本開示の実施の形態に係る通信方法では、新たな機能部が追加されたネットワークの情報を容易に取得することができる。
【0268】
また、本開示の実施の形態に係る通信方法は、車両1に搭載される中継装置200と、ネットワーク12を構成する1または複数の既存機能部と、ネットワーク12に新たに追加される新規機能部とを備える車両通信システム300における通信方法である。この通信方法では、まず、中継装置200が、ネットワーク12への新規機能部の追加を検知する。次に、新規機能部または既存機能部が、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報が格納された他の機能部宛のフレームを送信する。次に、中継装置200が、新規機能部または既存機能部によって送信されたフレームから機能部情報を取得する。
【0269】
このように、新規機能部または既存機能部によって送信されたフレームから機能部情報を取得する方法により、たとえば新規機能部および既存機能部間の通信接続を確立するために新規機能部および既存機能部間において中継すべきフレームから機能部情報を取得することができるため、機能部との間で機能部情報を取得するためのフレームのやり取りを行うことなく、機能部情報を取得することができる。
【0270】
したがって、本開示の実施の形態に係る通信方法では、新たな機能部が追加されたネットワークの情報を容易に取得することができる。
【0271】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0272】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
1または複数の機能部である既存機能部を含むネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部を検知する検知部と、
前記機能部間のフレームを中継する中継部と、
前記中継部によって中継される、前記検知部によって検知された前記新規機能部および前記既存機能部間の前記フレームから、前記新規機能部および前記既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記機能部情報に基づいて、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成する生成部とを備え、
前記取得部は、前記新規機能部および前記既存機能部のうち前記新規ネットワークにおいてデータ送信を行う機能部によって送信された前記フレームから前記機能部情報を取得する、中継装置。
【0273】
[付記2]
中継装置と、
ネットワークを構成する1または複数の機能部である既存機能部と、
前記ネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部とを備え、
前記中継装置は、前記ネットワークへの前記新規機能部の追加を検知し、
前記新規機能部または前記既存機能部のうち、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークにおいてデータ送信を行う機能部は、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報が格納された他の機能部宛のフレームを送信し、
前記中継装置は、前記新規機能部または前記既存機能部によって送信された前記フレームから機能部情報を取得する、車両通信システム。
【0274】
[付記3]
プロセッサを備える中継装置であって、
前記プロセッサは、
1または複数の車載ECUである既存ECUを含むネットワークに新たに追加される車載ECUである新規ECUを検知する検知部と、
前記車載ECU間のフレームを中継する中継部と、
前記中継部によって中継される、前記検知部によって検知された前記新規ECUおよび前記既存ECU間の前記フレームから、前記新規ECUおよび前記既存ECUの少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記機能部情報に基づいて、前記新規ECUをさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成する生成部とを実現し、
前記取得部は、前記新規ECUおよび前記既存ECUのうち前記新規ネットワークにおいてデータ送信を行う車載ECUによって送信された前記フレームから前記機能部情報を取得する、中継装置。
【0275】
[付記4]
中継装置と、
ネットワークを構成する1または複数の車載ECUである既存ECUと、
前記ネットワークに新たに追加される車載ECUである新規ECUとを備え、
前記中継装置におけるCPUは、前記ネットワークへの前記新規ECUの追加を検知し、
前記新規ECUまたは前記既存ECUのうち、前記新規ECUをさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークにおいてデータ送信を行う車載ECUは、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報が格納された他の車載ECU宛のフレームを送信し、
前記中継装置におけるCPUは、前記新規ECUまたは前記既存ECUによって送信された前記フレームから機能部情報を取得する、車両通信システム。
【符号の説明】
【0276】
1 車両
10 VLAN
11 イーサネットケーブル
12 ネットワーク
20 VLAN
30 VLAN
100 アプリケーション
111 車載ECU
113 外部装置
120 通信ポート
161 無線基地局装置
170 外部ネットワーク
180 サーバ
200 中継装置
220 中継部
230 検知部
240 取得部
250 生成部
260 通知部
270 記憶部
300 車両通信システム
400 通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-07-18
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される中継装置であって、
1または複数の機能部である既存機能部を含むネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部を検知する検知部と、
前記機能部間のフレームを中継する中継部と、
前記中継部によって中継される、前記検知部によって検知された前記新規機能部および前記既存機能部間の前記フレームから、前記新規機能部および前記既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得する取得部とを備え、
前記機能部情報は、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークにおけるハードウェア装置へのアプリケーションの配置に関する制約、および前記新規ネットワークにおける通信方式の制約の少なくともいずれか一方を認識可能な情報である、中継装置。
【請求項2】
前記機能部情報は、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報の生成に用いられる情報である、請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記新規機能部によって送信されて前記既存機能部へ中継される前記フレームから、前記機能部情報を取得する、請求項1または請求項2に記載の中継装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記既存機能部によって送信されて前記新規機能部へ中継される前記フレームから、前記機能部情報を取得する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項5】
前記中継部は、前記機能部から受信した前記フレームに含まれる送信先情報および送信元情報を変更することなく、他の前記機能部へ中継し、
前記取得部は、前記中継部によって中継される前記フレームから前記機能部情報を取得する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項6】
前記中継部は、前記機能部から受信した前記フレームに含まれる送信先情報および送信元情報の少なくともいずれか一方を変更し、変更後の前記フレームを他の前記機能部へ中継し、
前記取得部は、前記中継部によって中継される前記フレームから前記機能部情報を取得する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項7】
前記中継装置は、さらに、
前記取得部によって取得された前記機能部情報に基づいて、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークの構成情報を生成する生成部を備える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項8】
前記機能部情報は、前記フレームを受信すべき前記機能部において処理対象とならない情報である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の中継装置。
【請求項9】
前記検知部は、前記ネットワークに新たに追加される車載ECU(Electronic Control Unit)に含まれるアプリケーション、前記ネットワークにおける車載ECUに新たにインストールされるアプリケーション、および前記車両の外部において前記ネットワークに新たに追加される外部装置に含まれるアプリケーションのうちの少なくともいずれか1つを前記新規機能部として検知し、検知した前記新規機能部の認証処理を行い、認証処理の結果を前記新規機能部へ通知する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の中継装置
【請求項10】
車両に搭載される中継装置と、
ネットワークを構成する1または複数の機能部である既存機能部と、
前記ネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部とを備え、
前記中継装置は、前記ネットワークへの前記新規機能部の追加を検知し、
前記新規機能部または前記既存機能部は、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報が格納された他の機能部宛のフレームを送信し、
前記中継装置は、前記新規機能部または前記既存機能部によって送信された前記フレームから前記機能部情報を取得し、
前記機能部情報は、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークにおけるハードウェア装置へのアプリケーションの配置に関する制約、および前記新規ネットワークにおける通信方式の制約の少なくともいずれか一方を認識可能な情報である、車両通信システム。
【請求項11】
車両に搭載され、機能部間のフレームを中継する中継装置における通信方法であって、
1または複数の前記機能部である既存機能部を含むネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部を検知するステップと、
検知した前記新規機能部および前記既存機能部間の中継すべき前記フレームから、前記新規機能部および前記既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得するステップとを含み、
前記機能部情報は、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークにおけるハードウェア装置へのアプリケーションの配置に関する制約、および前記新規ネットワークにおける通信方式の制約の少なくともいずれか一方を認識可能な情報である、通信方法。
【請求項12】
車両に搭載される中継装置と、ネットワークを構成する1または複数の機能部である既存機能部と、前記ネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部とを備える車両通信システムにおける通信方法であって、
前記中継装置が、前記ネットワークへの前記新規機能部の追加を検知するステップと、
前記新規機能部または前記既存機能部が、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報が格納された他の機能部宛のフレームを送信するステップと、
前記中継装置が、前記新規機能部または前記既存機能部によって送信された前記フレームから前記機能部情報を取得するステップとを含み、
前記機能部情報は、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークにおけるハードウェア装置へのアプリケーションの配置に関する制約、および前記新規ネットワークにおける通信方式の制約の少なくともいずれか一方を認識可能な情報である、通信方法。
【請求項13】
車両に搭載される中継装置において用いられる通信プログラムであって、
コンピュータを、
1または複数の機能部である既存機能部を含むネットワークに新たに追加される機能部である新規機能部を検知する検知部と、
前記機能部間のフレームを中継する中継部と、
前記中継部によって中継される、前記検知部によって検知された前記新規機能部および前記既存機能部間の前記フレームから、前記新規機能部および前記既存機能部の少なくともいずれか一方の、アプリケーションレイヤよりも下位のレイヤのネットワーク構成に関する情報を含む機能部情報を取得する取得部、
として機能させるためのプログラムであり、
前記機能部情報は、前記新規機能部をさらに含む前記ネットワークである新規ネットワークにおけるハードウェア装置へのアプリケーションの配置に関する制約、および前記新規ネットワークにおける通信方式の制約の少なくともいずれか一方を認識可能な情報である、通信プログラム。