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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150580
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】尿吸収パッド
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/471 20060101AFI20241016BHJP
   A61F 13/475 20060101ALI20241016BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20241016BHJP
   A61F 13/535 20060101ALI20241016BHJP
   A61F 13/537 20060101ALI20241016BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
A61F13/471
A61F13/475 200
A61F13/475 110
A61F13/53 300
A61F13/53 200
A61F13/535 200
A61F13/537 100
A61F13/537 200
A61F13/534 100
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024114611
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2021002586の分割
【原出願日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2020035526
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520074217
【氏名又は名称】合同会社IP技研
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 雄一
(57)【要約】      (修正有)
【課題】尿の漏洩を防止する尿吸収パッド及びガイドを提供する。
【解決手段】尿吸収パッド80は、肌に当接する透水性である表面シート86と、下着に当接する不透水性である裏面シートと、表面シート86と裏面シートに挟まれ、表面シート86を透過した尿を吸収する吸収剤18と、尿が浸透し、裏面シートよりも表面シート86側に立ち上がるように自立して、尿の流れを制御するガイドA81及びガイドB82と、を備えている。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌に当接する透水性である表面シートと、
下着に当接する不透水性である裏面シートと、
前記表面シートと前記裏面シートに挟まれ、前記表面シートを透過した尿を吸収する吸収剤と、
を備え、
装着者の身体に装着する向きにおいて、前記吸収剤が集合した部分は、縦方向よりも横方向のほうが長く、
前記装着者が装着した際に、横方向両端部が股に挟まれて折れ曲がり、前記装着者の視点から見るとW字状に折れ曲がることが可能な、尿吸収パッド。
【請求項2】
前記裏面シートよりも前記表面シート側に立ち上がるように自立して、尿の流れを制御するガイドを更に備える、請求項1に記載の尿吸収パッド。
【請求項3】
前記ガイドは、前記横方向に延びて配置されており、浸透して来た尿が短手方向に通過するだけでなく、内部が尿の流路となり浸透してきた尿の一部分が前記内部に留まり前記横方向へも流れる機能を有し、該尿吸収パッド内の所望する位置に尿を誘導する、請求項2に記載の尿吸収パッド。
【請求項4】
前記ガイドは、繊維が絡み合って一体化したへちまたわし状である、請求項3に記載の尿吸収パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、性器前に装着され、排出される尿を吸収する尿吸収パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
尿吸収パッド(以下、単にパッドともいう)は、多くの製品が市販され公知である。尿吸収には、パッドの他、パンツ式のものも存在する。パンツ式のものは、排出された尿が該パンツ外に漏れる可能性が低く着衣を汚損する心配がない代わりに、装着や取り換えは正にパンツと同じで手間がかかり、外出時の使用がためらわれる。且つ、パッドに比較して尿吸収に直接貢献する部位以外が多く、重量・形状が大きく携帯に不便であり、また処分時の環境負荷が過大となる。
【0003】
一方、既存のパッド式は、略全体が尿吸収に直接貢献する部位で構成されコンパクトであり、且つ装着や取り換えが簡便である反面、特に男性用のものは尿の吸収方法が不完全である。このため、既存のパッド式のものは、成人男性の一回の排尿量150cc~200ccを全量吸収できず信頼性が低く、結局は、排尿後の残尿吸収に用いられる程度である。
【0004】
男性用のパッドの不完全さは、男性用でありながら、女性用のそれと大差無い設計思想に起因していると思われる。女性用のそれに対し男性用のパッド設計上の大きく異なる留意点は以下二点である。第一に、女性用ではパッド平面に対し尿の放出方向は垂直であるのに対し、男性用のパッドの場合、尿の放出方向はパッド平面に並行であり、また方向が定まらない点にある。第二は、尿が放出される直下に陰嚢(以下、「玉」)が存在することである。位置関係は、尿道口→玉→パッドの後側の吸収剤となる。このため、玉が障害物となって、放出された尿は、パッドの後側の吸収剤まで届かず、パッドの前側上面で滞留し、この部分の吸収剤の尿吸収能を越えると、尿はパッド系外に溢れ出してしまう。また、玉がパッド面を押圧することによってパッド内の尿の流通を阻害することも、充分な尿吸収能力がパッドの後側に残っていながら、パッドの前側や横方向から吸収されない尿が横溢することとなる。ここでいうパッドの前側は、装着者に装着されたパッドにおいて、装着者の身長の方向における装着者の頭部に近い側であり、後側は、装着者の身長の方向における装着者の足に近い側である。
【0005】
頻尿の治療には、薬物を用いるよりも排尿を出来るだけ我慢することが推奨されている。しかし、多くの場合、漏れる寸前まで我慢して、ギリギリでトイレに入った途端ズボンを下す前に放尿が開始する。この放尿は、出切るまで止めることができない(以下、ドバっと漏れともいう)。このため推奨されている「出来るだけ我慢する」治療方法は、パッドが尿の全量を確実に捕捉する保証がない限り実施できない。既存のパッドは、充分の吸収剤を備えながら、先に挙げた設計思想の不備のため、成人男性の一回の排尿量150cc~200ccを捕捉できず、この治療には用をなさない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3171928号公報
【特許文献2】特許第5433815号公報
【特許文献3】特開2019-146657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、成人用失禁パッドなどの使い捨て吸収性物品に関するものであるが、前記男性用のパッドの二大留意点への配慮が無い。図5A図5Bにおいて、部番83、85が一応の遮蔽壁の様に示されているが、これらは「レッグカフシート」と呼ばれるシート状のもので織布材または不織布材などが好適に用いられることを想定しおり(段落[0008]参照)、パッド平面に並行な方向から放出された尿の系外への遮蔽には不十分であり、一時的な尿の貯留もできず尿の横溢を許してしまう。
【0008】
特許文献2は、男性用の尿取りパッドに関する。該パッド装着時、陰茎をパッド下方に設けられた第1空間部72に挿入し、排泄された尿を系外に漏らさない構造とされている(段落[0010]参照)。また、陰茎が上方に向いた場合は、パッド上方に設置された第2空間部73が排泄された尿を受け止め系外への漏洩を防止する構造とされている(段落[0011]参照)。更に、横漏れに対しては、バリアカフシート50が起立して立体カフが形成され、これにより効果的に尿の漏洩防止がなされるとしている(段落[0012]参照)。
【0009】
該パッドが、寝たきり状態等装着者が動かない場合は、ある程度の効果が予想される。しかし、該パッドは、装着者が日常的に行動している場合問題が発生し、尿の系外への漏洩防止が不確実となる。即ち、装着者が日常的に行動している場合、該パッドと装着者の密着性は確度高く維持されるものの、身体縦方向への摺動が必ず起こる。歩行時や特に立ったり座ったりする動作時に身体と該パッドとの縦方向の摺動によって、第1空間部72から陰茎が抜けてしまう虞がある。ここでいう、縦方向とは、装着者が尿吸収パッドを装着した状態において、装着者の身長の方向である。
【0010】
特許文献2は、正にそのことも経験して、(第1空間部72から陰茎が抜けて)陰茎が上方に向いた場合を想定しているが、第1空間部72から陰茎が抜けて、且つ上に向かず第1空間部72に戻らず、カバーシート61の外側に陰茎が位置することが充分想定される。カバーシート61は、難透液性又は不透液性の繊維不織布等から形成するため(段落[0015]参照)、カバーシート61の外側に陰茎が位置した場合は尿の吸収が起こらず、尿は全て漏洩してしまうことにつながる。
【0011】
特許文献2が想定している陰茎が上方に向いた場合も、パッドの上部に設置された第2空間部73に確実に陰茎が入り込むかは不確実であり、この場合も尿の漏洩につながり信頼性が低くなる。更には横漏れ防止を謳ったバリアカフシート50は、パッドの中央部で一番起立が高くなるが、横漏れの確率が高いパッドの上部や下部で高さが低く(図6参照)、これも信頼性を低くする原因となる。なぜなら、陰茎が真横に向いたまま放尿される機会はかなり低いと思われるためである。
【0012】
特許文献2の図8には、玉の位置が記されているものの、パッド本体への玉の押圧は考慮されていない。つまり、特許文献2は、玉がパッド全体への均一な尿の吸収を阻害し、準備された吸収剤の能力を100%発揮できず、系外への尿の漏洩につながる既存の男性用のパッド特有の問題点が意識されていない。
【0013】
特許文献2と同様に陰茎をポケット状のものに納める先行特許文献は他にも見られるが(例えば実用新案登録3078455号公報)、特許文献2と同様の理由により、尿の漏洩を防ぎ得ない。
【0014】
特許文献3も、男性用の尿取りパッドに特定した開示である。この横漏れ防止には「立体ギャザー」が用いられ、該立体ギャザーは、立体ギャザーシートと伸縮性弾性部材とから成り(段落[0048]参照)、その点特許文献2と変わるところはなく、[0011]後段で示した如く、パッドの中央部で一番起立が高くなるが、横漏れの確率が高いパッドの上部や下部で高さが低く、信頼性を低くする原因となる。既述の如く陰茎が真横に向いたまま放尿される機会はかなり低いと思われるためである。
【0015】
特許文献3には、体液漏れテストが開示されている(段落[0048]参照)。特許文献3以外の上記した文献には、漏れテストをした結果が開示されていないため、男性用のパッドの設計上重要な既述の二点の気付きがないまま、出願され開示されている懸念が払拭できない。真の効果に疑問符をつけざるを得ないからである。一方、特許文献3には、その体液漏れテストが開示されているものの、傾斜した板に固定して、生理食塩水を流すもの(段落[0061]参照)であり、実際の装着実験ではなく、真の効果については不明である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を達成するために、第1発明が対象とする尿吸収パッドは、肌に当接する透水性である表面シートと、下着に当接する不透水性である裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートに挟まれ、前記表面シートを透過した尿を吸収する吸収剤と、尿が浸透し、前記裏面シートよりも前記表面シート側に立ち上がるように自立して、尿の流れを制御するガイドと、を備えている。
【0017】
また、上記課題を達成するために、第2発明が対象とするガイドは、装着者の尿を吸収する尿吸収パッドの前記装着者の肌に当接する表面シートの前記装着者の肌側の面に取り付け自在であり、尿が浸透し、前記表面シートから前記装着者の肌側に立ち上がるように自立し、尿の流れを制御する。ここでいう、尿の流れを制御するとは、ガイドに浸透した尿を、所望の方向に流したり、所望の流速にしたりすることを意味する。
【0018】
第1発明の尿吸収パッドは、該吸収剤を余すところなく使用し、一度に150cc~200ccの尿を余裕を持って吸収できるように、所定の幅を有し、裏面シートよりも表面シート側に立ち上がるように自立して、尿の流れを制御するガイドを備えている。第2発明のガイドは、取り付けられた尿吸収パッドにおいて、装着者の尿の流れを制御することによって、尿吸収パッドにおける広い範囲に尿を誘導し、尿吸収パッドが吸収し得る尿の吸収能力を余すことなく利用するものである。第2発明のガイドは、市販の尿吸収パッドに対して取り付け自在である。
【0019】
ここでいう自立するとは、フィルム状ではなく、そのもの単体によって、立ち上がるように自立した状態を保持することをいう。本発明におけるガイドは、立ち上がり方向の断面厚さを所定数(数ミリ程度)有し、単に障害物としての機能だけでなく、尿が浸透して保水し得る空隙が内包可能であり、ガイド内に一時的に尿を貯留したり、ガイド内が流路となるなどしたりして尿の流れを制御する機能を有する。ここでいう一時的とは、所定の時間であることを意味する。多くの特許文献において、尿の横漏れ防止のためのガイドとして挙げられているのは、シートやフィルム状のものであり、ゴム等の弾性体により吊り下げられたり、二方向に屈曲するように形成されたりして、はじめて起立した状態にされて尿の越流を防ぐ障害物としての機能を果たさんとするのみのため、本明細書段落[0011]で述べたように尿が漏洩し得るため万全ではない。
【0020】
該ガイドは、尿の系外への越流を防ぐため、自立していて、連続空隙である多孔質体であって、直接肌に触れる可能性が有るため柔軟性が有り、具体的には含水し得るスポンジ状の合成樹脂が望ましい。該ガイドは、一時的に尿を吸収して貯留し尿の系外への越流を防ぐ(以下、「ガイドA」ともいう)。
【0021】
ガイドAの保水性を確かめるために浸漬試験を行った。以下に浸漬実験の結果を示す。ガイドAには、レック株式会社製「激落ち(登録商標)パパ」S-693を選択した。
【0022】
【表1】
【0023】
ガイドAの外形形状は、15mm角×125mmとした。125mmの長さは、後述するガイドBの長さと同じにした。外形をこの寸法に成形したガイドAを20本用意して重量を計測したところ13gであった。該ガイドAをキッチンバット内に重ならないように配置した後、キッチンバットの上方約30cmからシャワー放水をした。ガイドAは、吸水性が高いため、難なくガイドA全体が吸水して保水した。その後保水したガイドAをキッチンバットから取り出し、長手方向を鉛直方向にして1分間放置した。この放置中ガイドAからは、殆ど水の滴りは無く、保水した状態が保たれた。この後、保水した状態のガイドAの20本の重量を計測したところ499gであった。浸漬後保水した状態の重量を乾燥した状態(保水していない状態)の重量で除した値は38.4であった。この値をガイドAの保水倍率とする。ガイドAは、きわめて吸水性及び保水性が高いことが分かる。ガイドAは、スポンジ状、即ち、ガイドA本体内の連続空隙が複数の気泡が連なったように形成された状態であるため、上記効果が発揮される。
【0024】
ガイドAは、該尿吸収パッドの縦方向の最外縁部に位置することが望ましい。更にはガイドAの最外縁部の外側の面は不透水性を有していることが望ましい。ガイドAは、立ち上がるように自立しているため、パッドの上側であっても、下側であっても一定の高さを有し、尿の越流を防ぐことができる。ガイドAは、連続空隙である多孔質体であるため、ガイドAに向け放出された尿を一定量貯留することも可能であり、尿の越流防止に更に寄与する。加えて、ガイドAはスポンジ様であるため、本パッドを真空包装すれば、減容しコンパクトになり、該包装から取り出し外気圧の下で起立し本来の遮蔽壁として機能を発揮する。
【0025】
ガイドAは、その材質に尿を吸収する尿吸収剤(以下、単に吸収剤ともいう)を含んでいてもよい。これは、既存の市販の男性用の尿吸収パッドの使用実験において、パッドの片方に尿の吸収が偏在し、吸収剤の体積がその部分で膨張し、その後に寄せ来る尿がパッドの下側部分(この部分は、吸収剤に今だ余裕が有る)へ流れることを阻害してしまい、当該吸収剤の膨張部分近傍から尿の越流が発生した知見による。即ち、ガイドA内に吸収剤を含ませることによって、このガイドA部分は、尿の第一波により尿の吸収反応が起こり体積が膨張し、その後に寄せ来る尿に対して、より強力な遮蔽力が生じ、遮蔽された尿の行き場を確保することによって(主としてパッドの下側)、当該第一波の尿が押し寄せた部分からの尿の越流を防止し得るからである。
【0026】
また、所定の幅を有し、裏面シートよりも表面シート側に立ち上がるように自立して、尿の流れを制御するガイドは、押し寄せた尿を他のパッド部分に誘導できるように、内部に尿が滞留し難く、尿の流れに対し流路抵抗が低く、尿が内部を流通し、尿を他の領域に誘導する構成が望ましい。具体的には、合成樹脂等の高分子材料を繊維状にし、この繊維が絡み合うようにして立体に編んで一体化したような状態(具体的には、植物のへちまから作ったへちまたわし状)の材質が好ましい(以下、「ガイドB」ともいう)。ガイドBは、内部に形成される連続空隙の大きさがガイドAのものに比べて大きい。
【0027】
ガイドBの保水性を確かめるために浸漬試験を行った。浸漬実験の結果を以下に示す。ガイドBには、レック株式会社製「激落ちくん」(登録商標)K00213を選択した。
【0028】
【表2】

ガイドBの形状は、φ18mm×125mmとした。この形状のガイドBを20本用意して重量を計測したところ19gであった。該ガイドBをキッチンバット内に重ならないように配置後、キッチンバットの上方約30cmからシャワー放水をした。この際、ガイドBの吸水性が低く給水し難かったため、ガイドBが水に浮いた。このため、充分水の溜まったキッチンバット内へガイドBを手で押圧して沈め、水をガイドBに充分に浸透させた。その後、充分水を含んだガイドBをキッチンバットから取り出し、長手方向を鉛直方向にして1分間放置した。この放置の最中、多くの水がガイドBから滴り落ちたが1分程度で滴りが止まり平衡状態となったため、放置時間を1分間とした。この後、20本のガイドBの重量を計測したところ36gであった。ガイドBの保水倍率は1.9であった。ガイドBは、繊維の絡み合いが適度に粗であるため、この程度の保水性(保水倍率)を有している。長手方向を横方向にしてガイドBを設置した場合、ガイドBのいずれかの部分に浸透して来た尿がすぐさまガイドBの短手方向にガイドBを通過するだけでなく、浸透してきた尿の一部分がガイドB内に留まり、横方向(長手方向)へも流れる機能を発揮すると考えられる。ガイドBはガイドAに比べ尿の保水性(保水倍率)が圧倒的に低いため、ガイドB内部が尿の流路となる。そして、パッド内におけるガイドBの設置場所を適宜調整することによって、パッド内の所望する位置に尿を誘導することができる。
【0029】
ガイドBは、該パッドの最外縁部以外の任意の場所に位置することが望ましい。ガイドBを、ガイドAの内側に沿うように位置させれば、ガイドAによって遮蔽された尿をパッドの下側に誘導することが確実に可能となる。また、ガイドBは、繊維状の高分子材料を絡め合わせて立体に編んだような状態である。このため、ガイドBをパッドの中央部に縦方向に位置させれば、ほとんど尿を内包することができない反面、ある程度の外圧を加えられても連続空隙が完全に潰れることはなく、連続した空間を維持できる。このため、ガイドBは、玉の押圧に耐えて尿の流路を確保でき、主として玉の後側にある吸収剤にも尿を到達させ、玉の後側にある吸収剤によって尿を固定し越流を防ぐことができるI字形状(すなわち直線形状)が良い。
【0030】
また、ガイドBは、パッドの中央部に略水平な横方向に位置させることによって、例えばパッド内の横方向の一方に尿が放出された場合でも、該ガイドBによって、パッド内の横方向の他方に尿を分散させることができる。ガイドBを尿の流路として機能を発揮させるには、上記の如く縦方向と横方向の両方向の配置が求められる。ここでいう、横方向とは、装着者が尿吸収パッドを装着した状態において、装着者の身長に直交し、且つパッドが拡がる面に沿った方向である。このため、ガイドBを配置する形状には、U字形状若しくはH字形状が好適に用いられる。
【0031】
更に、ガイドBは、吸収剤そのものでも形成され得る。該ガイドBの求められる機能は、尿をスムーズに所望の箇所に送達させることがその基本である。例えば、上記したH字形状やI字形状を吸収剤そのもので形成する場合、H字形状やI字形状をなす部分に最初から、吸収剤を配置しない、若しくは周囲に比較し少量とする、或いは、吸収剤の尿吸収速度を操作し、H字形状やI字形状をなす部分には、周囲他の部分と比較して尿吸収速度を遅くした吸収剤を配置する。これによって、尿の横方向や縦方向へのスムーズな移動、及び尿のパッド全体への送達を可能とするものである。これは、吸収剤が尿を吸収すると体積が急激・顕著に膨張することを逆手に取ったものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る男性用の尿吸収パッドの実施形態によれば、立ち上がるように自立して一定の高さを持ったガイドAがパッドの最外縁部にある。このため、パッド着用後の日常動作によって、陰茎がどの方向に向いて放尿が起こっても、ガイドAが連続空隙であり多孔質であるため、ガイドAは、尿を吸収しつつ受け止め、内部に吸水剤がある場合、体積も膨張し更に大きな壁となって、尿の系外への漏出を防止する。ガイドAは、パッドの縦方向に配置されているため、遮蔽された尿はガイドAに沿って多くは下側に流れ、そこに在る吸収剤によって吸収固定される。ガイドAに沿って内側にガイドBが在ると、ガイドBは、繊維状の高分子材料を絡め合わせて立体に編んだような状態であって、連続空隙が多数形成されるため輸送パイプの役割を果たし、尿のパッド内における流通を阻害する玉の押圧にも耐え、玉の後背に在る吸収剤に尿を輸送し、そこに在る吸収剤が尿を固定し漏洩を防止する。陰茎が左右どちらかに偏向している場合でも、パッドの中央部の略水平の横方向に位置するガイドBが在ることにより、尿はパッド内の左右両方向(すなわち、横方向)に配分される。しかして、ガイドの存在によって尿がパッドの全体に配分され、全ての吸収剤の能力を使って尿を固定することとなるため、コンパクトでありながら、成人男性の一回の排尿量150cc~200ccを、余裕を持って吸収することができる。
【0033】
これにより、いわゆる「ドバっと漏れ」にも対応できることから、頻尿治療に推奨されている「できるだけ我慢すること」が、どこでも実践でき、特に中高年男性の社会再進出を、薬物を用いること無しに達成することができる。また、簡便に脱着可能で且つ信頼性高く、どこでも排尿できる利便性は、治療や介護目的だけでなく、トイレの発見困難な状況にあるハイキング・登山等のレジャーに、長距離ドライブに、長時間の観劇に、と簡易脱着式トイレとして生活の質向上に効果が期待できる。即ち、排尿機会を周囲環境にとらわれない、「パッドトイレ」としてトイレを携行・使用するという新しいライフスタイルを提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の第1実施形態における尿吸収パッドの平面図。
図2】本発明の第1実施形態における尿吸収パッドの側面図。
図3】本発明の第1実施形態における尿吸収状況の概観図。
図4】本発明の第2実施形態における尿吸収パッドの平面図。
図5】本発明の第2実施形態における尿吸収パッドの側面図。
図6】本発明の第2実施形態における尿吸収状況の概観図。
図7】本発明の第3実施形態における尿吸収パッドの平面図。
図8】本発明の第3実施形態における尿吸収状況の概観図。
図9】本発明の第4実施形態における尿吸収パッドの平面図。
図10】本発明の第4実施形態における尿吸収パッドの側面図。
図11】本発明の第5実施形態における尿吸収パッドの平面図。
図12】本発明の第5実施形態における尿吸収パッドの側面図。
図13】本発明の第5実施形態におけるメッシュ体の配置を変更した尿吸収パッドの側面図。
図14】本発明の第5実施形態における尿吸収状況の概観図。
図15】本発明の第6実施形態における尿吸収パッドの平面図。
図16】本発明の第6実施形態における尿吸収パッドの側面図。
図17】本発明の第6実施形態において放尿実験を実施するにあたり作成した尿吸収パッドの平面図。
図18】本発明の第6実施形態における尿吸収状況の概観図。
図19】既存の販売されている男性用の尿吸収パッドにおける尿吸収状況の概観図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<第1実施形態>
図1から図3は、本発明に係る尿吸収パッドの一例を示す。図1は、本発明に係るパッドの平面図であり、図2は同側面図であり、図3は同パッドの使用実験後に表面シートを除去して18の吸収剤の反応状況を概観するものである。
【0036】
図1の10は、本発明を実現する男性用の尿吸収パッドであり、日本製紙クレシア株式会社製「ポイズ(登録商標)メンズパッド」薄型ワイド300ccをその母体として使用した。各種ガイド等を貼着前に、バリアカフシート(特許文献2の50)に相当する部分を除去した。これは不透水性であるため、尿吸収を阻害する可能性があるからである。
【0037】
11は、ガイドAであり、この外側面を不透水性とした。11Wは、該不透水性を有する外側面を示す。これによって、16の表面シートに貼着された11のガイドAは、11Wの外側面を乗り越えて系外(すなわち、尿吸収パッドの外部)への尿の越流を防ぐことができる。該ガイドAは、レック株式会社製「激落ち(登録商標)パパ」S-693を適宜切断して15mm角に成形して用いた。これは、容易に水を含侵させることのできるスポンジ状のものである。12は、ガイドBであり、第1実施形態においては、ガイドBを3本設置している。該ガイドBは、レック株式会社製「激落ちくん」(登録商標)K00213の直径およそ18mmの円柱状の部分を活かして適宜分割切断して用いた。これは、合成樹脂の繊維が絡みあい一体化した、いわゆる、へちまたわし状のものである。11のガイドA、及び12のガイドBは、10の尿吸収パッドにおける尿の流れを制御することができる。11のガイドA、及び12のガイドBは、共に連続空隙である多孔質体である。11のガイドAの連続空隙における1つの空隙の大きさは12のガイドBの連続空隙における1つの空隙よりも小さい。このため、11のガイドAは、12のガイドBに比べて、浸透して吸収された尿を一時的に貯留し易い。これに対して、12のガイドBは、11のガイドAに比べて、浸透した尿が一時的に貯留する性能は低く、内部を尿が流通し易い。このため、16の表面シートに貼着された12のガイドBは、尿を10の尿吸収パッド内の他の領域に誘導することができる。
【0038】
11のガイドA及び12のガイドBは、10の男性用の尿吸収パッドの表面に両面テープを用いて貼着した。該両面テープは、スリーエムジャパン株式会社製「Scotch(登録商標)強力両面テープ」KB-10を用いた。11のガイドA、及び12のガイドBは、17の裏面シートよりも16の表面シート側に立ち上がるように自立して、16の表面シートの着用者の肌側に貼着されている。11のガイドA、及び12のガイドBは、帯状に形成されている。11のガイドA、及び12のガイドBは、貼着された16の表面シートが拡がる面に沿い、且つ帯状の長手方向に直交する短手方向が所定の幅を有している。
【0039】
13は、台所用ビニール袋である。これは本発明のパッドの下端に尿が吸着剤に吸収される前に液体状で到達した場合に下端からの尿漏れを防ぐべくガイドするものである。14は、両面テープであり、13のビニール袋の開口部がフリー状態では、この開口部からの尿漏れの可能性が有るため、13のビニール袋開口を10の表面に貼着するためのものである。これらの装備を完備した本発明のパッド総重量は32グラムであった。
【0040】
図1の二点鎖線は、本発明のパッド装着時点での陰茎装填位置である。図2は、本発明のパッドの側面図である。16は、本発明のパッドの表面シートであり、主として透水性を有するシートである。16の表面シートは、装着者の肌に当接する。17は、本発明のパッドの裏面シートであって不透水性である。17の裏面シートは、装着者が身に着ける下着に当接する。該16と17の間には、16の表面シートを透過した尿を吸収するための18の吸収剤が内包されている。つまり、18の吸収剤は、16の表面シートと17の裏面シートに挟まれている。11のガイドAは、本発明のパッド上端近傍に於いても一定の高さを既に有していることが分かる。15は、セロファンテープであり、13のビニール袋の本発明のパッドの裏面側の開口部を全面にわたって閉じている。図1における破線15が該セロファンテープである。
【0041】
使用実験は、ぴったりしたパンツに本発明のパッドを装着し約2時間半経過後、両足を略肩幅に開いて立位姿勢にて放尿実験を行った。この放尿実験において、系外への尿の漏洩は認められなかった。本実験後における本発明のパッドの重量は、243グラムであった。各種ガイド等全ての貼着後における当初重量が32グラムであったので、差引211グラムが尿重量、尿比重を1として、211ccを系外に漏洩することなく吸収して捕捉することができた。
【0042】
図3は、実験後に16の表面シートを除去して18の吸収剤の反応状況を概観するものである。一重ハッチング部は黄変していた部分である。パッド上端にわずかに白い無反応部分を残しているが、略パッド全面が反応している。二重ハッチング部は該一重ハッチング部より色濃く黄変していた部分である。これらから、更なる尿吸収の可能性が有る。
【0043】
使用実験後に、13のビニール袋内にわずかな水滴状のものが見られた。放出された尿は、11のガイドA及び12のガイドBに浸透し、11のガイドA及び12のガイドBによって、スムーズにパッド上を流れ、ほとんどがその過程で18の吸収剤に捕捉され、一部がダイレクトにパッドの下端に到達する可能性があることが分かる。従って、13のビニール袋は、尿の漏洩防止の必要なガイド要素と考えられるが、13のビニール袋である必要はない。少なくとも13のビニール袋は、17の裏面シート側に必要無い。本実験では、加工の容易さから13のビニール袋としたが、実際上は、16の表面シート側に存在するだけで良い。また、袋状でなくとも、11のガイドA、及び12のガイドBの外側(16の表面シートに貼着されている部分(面)の反対側)と、16の表面シートを覆う不透水性のガイド膜であっても良い。
【0044】
第1実施形態と同一形態のものを用いて、装着テストを繰り返し行った結果を表3に示す。
【0045】
【表3】
【0046】
全てにおいて、尿の系外への漏洩は無かった。ここでいう使用感とは、装着テスト後の使用感であり、第1実施形態においては、放尿後において陰茎下部及び陰茎と接する一部の玉に濡れ感があった。しかし、特に問題無い使用感であった。
【0047】
上記のように構成された第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0048】
10の尿吸収パッドは、肌に当接する透水性である16の表面シートと、下着に当接する不透水性である17の裏面シートと、16の表面シートと17の裏面シートに挟まれ、16の表面シートを透過した尿を吸収する18の吸収剤と、尿が浸透し、17の裏面シートよりも16の表面シート側に立ち上がるように自立して、尿の流れを制御する11のガイドA及び12のガイドBと、を備えている。この構成によれば、11のガイドA、及び12のガイドBによって、10の尿吸収パッドにおける広い範囲に尿を誘導し、10の尿吸収パッドが吸収し得る尿の吸収能力を余すことなく利用することができる。
【0049】
11のガイドAは、連続空隙である多孔質体であって、一時的に尿を吸収して貯留し、尿の系外への越流を防ぐ。この構成によれば、11のガイドAに向け放出された尿を一定量貯留することも可能であり、尿の越流を防止することができる。加えて、11のガイドAは連続空隙である多孔質体(すなわち、スポンジ様)であるため、本パッドを真空包装すれば、減容しコンパクトになり、嵩張らない。
【0050】
11のガイドAは、含水し得るスポンジ状である。この構成によれば、連続空隙が、気泡が連なるように形成されるため、水を水滴状に保持し易くなり、効率良く尿を貯留することができる。
【0051】
12のガイドBは、尿が内部を流通し、尿を他の領域に誘導する。この構成によれば、12のガイドBは、尿の内部の流通が容易であるため、尿をパッド内における所望の領域に案内することができる。また、11のガイドAに沿うように12のガイドBを配置することによって、11のガイドAによって越流が阻止された尿が12のガイドBの内部を流通することができるため、パッド内において良好に尿を流通させつつ、尿を効率よく吸収することができる。
【0052】
12のガイドBは、合成繊維が絡みあって一体化したへちまたわし状である。この構成によれば、11のガイドAよりも連続空隙がより大きいため、より尿の内部流通がし易い。
【0053】
<第2実施形態>
図4から図6は、本発明に係る尿吸収パッドの他の第2実施形態を示す。図4は、本発明に係るパッドの平面図であり、図5は同側面図であり、図6は同パッドの使用実験後に表面シートを除去して18の吸収剤の反応状況を概観するものである。図4における40は、本発明を実現する男性用の尿吸収パッドであり、日本製紙クレシア株式会社製「ポイズ(登録商標)メンズパッド」薄型ワイド300ccをその母体として使用した。
【0054】
第2実施形態は、該メンズパッドを中心線に沿って縦に分割し、上部を4cmほど広げてガムテープにて再固定したものである。分割の際は内包する18の吸収剤をこぼさない様に注意して作業したため、18の吸収剤の系外への損失はきわめて軽微であった。ガムテープに固定後は、該ガムテープに向かって18の吸収剤のこぼれが発生したが、これはガムテープに捕捉されているため、系外への損失とはならない。装着し易くするために、ガムテープ上にキッチンペーパーを重ねて接着した。
【0055】
このガムテープを川底の様にして、両側に既存の18の吸収剤の部分がある溝構造は、吸収剤そのもので形成されるガイドBである。該溝構造によって尿の流れをガイドする。第2実施形態の場合、該溝構造が縦方向のガイドに相当する。42は、横方向のガイドBであり、第1実施形態と同様に、レック株式会社製「激落ちくん」(登録商標)K00213の円柱状部分を活かして適宜分割切断して用いた。
【0056】
図5は、本発明のパッドの側面図である。46は、本発明のパッドの表面シートであり、主として透水性を有するシートである。47は、本発明のパッドの裏面シートであって、不透水性であり、該46と47の間に尿を吸収するための18の吸収剤が内包されている。42のガイドBは、第2実施形態のパッド上端近傍に於いても一定の高さを既に有している。45は、セロファンテープであり、43のビニール袋の本発明のパッド裏面側の開口部を全面にわたって閉じている。図4における破線45が該セロファンテープである。
【0057】
使用実験は、ぴったりしたパンツに第2実施形態のパッドを装着し約2時間経過後、両足を略肩幅に開いて立位姿勢にて放尿実験を行った。この放尿実験において、系外への尿の漏洩は認められなかった。本実験後における第2実施形態の重量は184グラムであった。ガイドBやガムテープ等全ての貼着後における当初重量が27グラムであったので、差引157グラムが尿重量、尿比重を1として、157ccを系外に漏洩することなく吸収して捕捉することができた。
【0058】
図6は、実験後に46の表面シートを除去して18の吸収剤の反応状況を概観するものである。一重ハッチング部は黄変していた部分である。パッド上端に白い無反応部分を残しているが、略パッド全面が反応している。二重ハッチング部は該一重ハッチング部より色濃く黄変していた部分である。これらから、更なる尿吸収の可能性が有る。
【0059】
使用実験後に、43のビニール袋内に水滴状のものは発見されなかった。しかし、更に放出される尿の量が増えた場合、第1実施形態と同様に尿の一部はダイレクトにパッドの下端に到達する可能性があることが考えられる。従って、ガイドBの外側(46の表面シートに貼着されている部分(面)の反対側)と、46の表面シートを覆う不透水性のガイド膜であっても良い。
【0060】
第2実施形態と同一形態のものを用いて、装着テストを繰り返し行った結果を表4に示す。
【0061】
【表4】
【0062】
実施例6において、横漏れが発生した。横漏れは放尿試験終了前から発生しており、いわゆる「ドバっと漏れ」であったため、途中で放尿を中止できず、横漏れを発生しつつ、パッドへの尿の吸収捕捉も並行してされていた。従って、漏れが発生するまでの実際に尿を吸収して捕捉した量は、212ccに満たない。また、ここでの使用感が「△」であるのは、試験後において陰茎下部及び玉の全体に濡れ感が及んだためである。
【0063】
第2実施形態は、パッド内に18の吸収剤の存在しない部分を連続的に設けることによって、玉を障害物とせず、パッド上部から下部へ尿をガイドする構造であり、シンプルで製造コスト面も有利と考えられる。一方で、装着者の体調等により放尿速度を低く抑えられない場合、第2実施形態は、18の吸収剤の吸収速度を超えて尿供給速度が高くされると、横方向に伸びる42のガイドBによって横方向に均一に尿が拡がったり、玉を越えてパッド下側までの全体に尿が拡がったりし得る構成であっても、系外への尿の漏れが発生してしまう。18の吸収剤の存在しない部分を連続的に設ける構造のガイドは、他の自立するガイドに比較して水を他所へ案内し難い。また、この時、系外への尿の漏洩を防御すべき既存の立体ギャザーは、尿の流速が早いせいか無力である。従って、第2実施形態は、安全な吸収量を「150cc」と明記し使用者に注意を促すことによって、使用が可能と成る。
【0064】
<第3実施形態>
図7から図8は、本発明に係る尿吸収パッドの第3実施形態を示す。図7は、本発明に係るパッドの平面図であり、図8は同パッドの使用実験後に表面シートを除去して18の吸収剤の反応状況を概観するものである。なお、第3実施形態の側面図は、図2と同様であるため、図示しない。図7における50は、本発明を実現する男性用の尿吸収パッドであり、日本製紙クレシア株式会社製「ポイズ(登録商標)メンズパッド」薄型ワイド300ccをその母体として使用した。
【0065】
第3実施形態は、図7に示すように、第1実施形態と比較して、112のガイドBの配置が異なる点以外は、第1実施形態と全て同一である。すなわち、第3実施形態では、U字形状をなした112のガイドBを縦方向に2本略並列に設置している。第3実施形態は、第1実施形態に対してガイドBを用いる量を少なくしてコストダウンを狙ったものである。112のガイドBとして、第1実施形態と同一のレック株式会社製「激落ちくん」(登録商標)K00213の円柱状の部分を活かして適宜分割切断して用いた。
【0066】
使用実験は、ぴったりしたパンツに本発明のパッドを装着し約2時間半経過後、両足を略肩幅に開いて立位姿勢にて放尿実験を行った。この放尿実験において、系外への尿の漏洩は認められなかった。本実験後における本発明のパッドの重量は、245グラムであった。各種ガイド等全ての貼着後における当初重量が29グラムであったので、差引216グラムが尿重量、尿比重を1として、216ccを系外に漏洩することなく吸収して捕捉することができた。
【0067】
図8は、実験後に16の表面シートを除去して18の吸収剤の反応状況を概観するものである。一重ハッチング部は黄変していた部分である。二重ハッチング部は該一重ハッチング部より色濃く黄変していた部分である。一方でパッド上端にわずかに白い無反応部分を残している。また、図8における領域Yも白い無反応部分である。これは、両大腿部のパッドへの圧迫によって尿の流れが阻害され、18の吸収剤が尿と反応しなかった結果である。これは、図3との比較によって明らかな如く、第1実施形態では、12のガイドBが11のガイドAに沿ってパッドの下端にまで延びているのに対し、第3実施形態では、112のガイドBがU字状に湾曲して配置されるのみであり、パッドの下端まで延びてないことに起因するものと思われる。
【0068】
図8において、パッドの中央の右側部分にも二重ハッチングで示す18の吸収剤の高い反応部位が観察される。また、パッドのこの部分に接する111のガイドAに部分的に尿の沁み込みがみられた。このことから、尿の流れがこの部分をアタックし、111のガイドAは、ある程度の量の尿を吸収しつつ、系外への尿の漏洩を遮断し、尿の流れをパッド本体の横方向の中央部側に押し戻し、そこに在る18の吸収剤によって尿を固定して捕捉した経過が読取れる。これは、自立し且つ連続空隙をもつ多孔質体である111のガイドAの効果である。つまり、111のガイドAは、尿の系外への越流を防ぐことが分かった。
【0069】
実験後に、113のビニール袋内がわずかに曇っていた。放出された尿は、111のガイドA及び112のガイドBによって、スムーズにパッド上を流れ、ほとんどがその過程で18の吸収剤に捕捉され、一部がダイレクトにパッドの下端に到達した後、18の吸収剤に捕捉された可能性がある。第3実施形態は、両大腿部のパッドへの圧迫によって尿の流れが阻害され、領域Yを形成しつつも111のガイドAの効果によるものか、尿の流れがパッドの下端まで到達し、この部分の18の吸収剤を活用している。
【0070】
第3実施形態と同一形態のものを用いて、装着テストを繰り返し行った結果を表5に示す。
【0071】
【表5】
【0072】
全てにおいて、尿の系外への漏洩は無かった。使用感も第1実施形態と同様に、陰茎下部及び陰茎と接する部分の玉に濡れ感があった。しかし、特に問題無い使用感であった。
【0073】
<第4実施形態>
図9から図10は、本発明に係る尿吸収パッドの第4実施形態を示す。図9は、本発明に係るパッドの平面図であり、図10は、本発明に係る側面図である。図9における60は、本発明を実現する男性用の尿吸収パッドであり、日本製紙クレシア株式会社製「ポイズ(登録商標)メンズパッド」薄型ワイド300ccをその母体として使用した。第4実施形態は、第1実施形態の図1における12のガイドBを肌に当接する透水性である16の表面シートと、下着に当接する不透水性である17の裏面シートとの間に設置したものであり、他の構成は全て第1実施形態と同一である。
【0074】
第4実施形態を実現する男性用の尿吸収パッドの構成要素は、全て第1実施形態と同一であるが、作成方法において異なる点がある。具体的には、透水性である16の表面シートの一部を切り開き、12のガイドBを3本適宜、16の表面シートと17の裏面シートとの間に挿入し、該透水性である16の表面シートに前掲の両面テープを用いて固定する。透水性である16の表面シートの切り開いた部分は、両面テープを用いて11のガイドAをその上から塞ぐように配置して貼着することによって閉鎖した。第4実施形態の作成方法は、上記の点以外全て、第1実施形態と同一である。つまり、12のガイドBは、17の裏面シートよりも16の表面シート側に立ち上がるように自立している。
【0075】
使用実験は、ぴったりしたパンツに本発明のパッドを装着し約2時間半経過後、両足を略肩幅に開いて立位姿勢にて放尿実験を行った。この放尿実験において、系外への尿の漏洩は認められなかった。本実験後における本発明のパッドの重量は、264グラムであった。各種ガイド等全ての貼着後における当初重量が32グラムであったので、差引232グラムが尿重量、尿比重を1として、232ccを系外に漏洩することなく吸収して捕捉することができた。
【0076】
実験後に16の表面シートを除去し、18の吸収剤の反応状況を観察した。黄変した領域は、図3とおおよそ変わるところがないため図示しない。12のガイドBは、16の表面シートと17の裏面シートとの間であって、18の吸収剤の中に設置されていたため、反応した18の吸収剤の粒が12のガイドB全体にまとわりつくように付着していた。
【0077】
第4実施形態と同一形態のものを用いて、装着テストを繰り返し行った結果を表6に示す。
【0078】
【表6】
【0079】
全てにおいて、尿の系外への漏洩は無かった。使用感も第1実施形態と同様に陰茎下部及び陰茎と接する部分の玉に濡れ感があった。しかし、特に問題無い使用感であった。第1実施形態では、12のガイドBが直接肌に触れるのに対し、第4実施形態では、16の表面シートが12のガイドBと肌との間に介在するため装着感に違いが出ることを予想した。しかし、顕著に感じられる相違はなかった。
【0080】
<第5実施形態>
図11から図14は、本発明に係る尿吸収パッドの第5実施形態を示す。図11は、第5実施形態に係るパッドの平面図であり、図12は側面図であり、図13は他の例に関わる側面図を示す。図11における70は、本発明を実現する男性用の尿吸収パッドであり、日本製紙クレシア株式会社製「ポイズ(登録商標)メンズパッド」薄型ワイド300ccをその母体として使用した。第5実施形態は、第1実施形態の図1における12のガイドBを設置する代わりに、212のメッシュ体を16の表面シート上に設置したものである。図13は、縦方向におけるパッドの中央部及び下側において、212のメッシュ体の横幅を211のガイドAで規定されるパッドの内側の横幅よりも大きくとることによって、212のメッシュ体の拡がる向きが、211のガイドAによって方向を変えられ、211のガイドAよりも高く(すなわち、211のガイドAよりも16の表面シートから離れた状態で)212のメッシュ体が自立する状態を示す。これにより、装着者がパッド装着後に何らかの理由によって、パッドと装着者との間隔が不測に広がった場合でも、212のメッシュ体によってその間隙を埋めることが期待される。図14は同パッドの使用実験後に16の表面シートを除去して18の吸収剤の反応状況を概観するものである。
【0081】
本実施形態を実現する70の男性用の尿吸収パッドの構成要素は、ガイドBとして212のメッシュ体を用いた点以外全て第1実施形態と同一である。212のメッシュ体は、株式会社アサヒペン すべりどめマットLFB-60を適宜切断して用いた。本製品は、厚み約3mmであり、概ね長球形状をなした合成樹脂の発泡体である粒が、その長手方向、及び短手方向の二方向に複数連ねて並べられ連結されたものである。この粒は、連続空隙である発泡体であるため吸水する機能を有している。この様な212のメッシュ体を16の表面シート上の全面に配置することによって、装着者とパッドとの間に間隙を設け、且つ212のメッシュ体を伝って尿の流れをパッドの全面に誘導することが期待できる。一方で、212のメッシュ体は、第1実施形態のU字状に歪曲した12のガイドBの様に、常に陰茎を中央下方に向ける自動調心するような役割は期待できない。
【0082】
使用実験は、ぴったりしたパンツに本発明のパッドを装着し約2時間半経過後、両足を略肩幅に開いて立位姿勢にて放尿実験を行った。この放尿実験において、系外への尿の漏洩は認められなかった。本実験後における本発明のパッドの重量は、264グラムであった。各種ガイド等全ての貼着後における当初重量が35グラムであったので、差引229グラムが尿重量、尿比重を1として、229ccを系外に漏洩することなく吸収して捕捉することができた。
【0083】
図14は、実験後に16の表面シートを除去して18の吸収剤の反応状況を概観するものである。一重ハッチング部は黄変していた部分である。二重ハッチング部は、該一重ハッチング部より色濃く黄変していた部分である。一重ハッチング部は、パッド下側でやや狭く、パッドの下側に届いた尿の量は第1実施形態より少ないと思われる。一方で、二重ハッチング部はパッド上部から中央部全域に広がっており、ここで大半の尿吸収反応が起こったと思われる。パッドの略中央部に白い無反応部分がある。これは玉の押圧により尿が到達せず尿の吸収が生じなかったことをうかがわせている。
【0084】
第5実施形態と同一形態のものを用いて、装着テストを繰り返し行った結果を表7に示す。
【0085】
【表7】
【0086】
表5において、使用感が「△」であるのは、試験後において、陰茎下部及び玉の全体に濡れ感が及んだためである。
【0087】
<第6実施形態>
図15から図18は、本発明に係る尿吸収パッドの他の第6実施形態を示す。第6実施形態は、第1実施形態から第5実施形態と異なり、座位姿勢での使用を前提としている。座位姿勢の場合、立位姿勢に比較して玉のみならず大腿部がパッド上面から大きく押圧し、パッド内外の尿の流通を阻害する虞が大きい。このため、押圧に強い剛性のあるガイドBをパッドに設置することも一案であるが、使用感低下の虞もあり、排出された尿のほとんどを該押圧の係り難い前側で吸収することを目指すものである。
【0088】
このため、第6実施形態に係る尿吸収パッドは、図15に示すように、前側の横幅が、後側の横幅よりも大きく形成されている。装着者の身体に装着する向きにおいて、18の吸収剤は、80の尿吸収パッドのおおむね全体にわたって配置されている。18の吸収剤が配置されている部分は、縦方向よりも横方向のほうが長い。前側における18の吸収剤の量は、後側よりも多い。80の尿吸収パッドの下側縁部と二点鎖線88,89とが交差する近傍は、前側に向けて窪んで形成されている。
【0089】
81は、ガイドAであり、レック株式会社製「激落ちパパ」S-693を適宜切断して15mm角に成形して用いた。中心線Cに近い81のガイドAは、それぞれ10mm程度の間隔を開けパッドの上面と既述の両面テープ(図示せず)によって固定している。両端に位置する81のガイドAは、中心線Cに近いガイドAと数mmの間隔を開け中心線Cに近いガイドAと同様にパッドの上面と既述の両面テープ(図示せず)によって固定している。これはパッド装着時、装着者の視点から見ると略W字状にパッドが折れ曲がり、中心線Cに近い81のガイドA同士が相互に干渉して折れ曲がり難くなり、装着者の肌面とパッドとの乖離が大きくなるからである。
【0090】
82は、ガイドBであり、レック株式会社製「激落ちくん」(登録商標)K00213の直径およそ18mmの円柱状部分を活かして適宜分割切断して用い、既述の両面テープ(図示せず)を用いパッドの上面に固定した。これは、80のパッドの前側における尿の流通を横方向に広めるためのものである。
【0091】
83は、食品用ラップフィルムである。これは本発明のパッドの下端に吸着剤に吸収される前に尿が液体状で到達した場合に下端からの尿の漏れを防ぐべくガイドするものであり、85の両面テープによって(既述の物を使用)透水性を有する86の表面シートに固定されている。83の食品用ラップフィルムの開口部がフリー状態では、この開口部から尿が漏れる可能性が有る。このため、既述である84の両面テープを用いて、86の表面シートに対して83の食品用ラップフィルムの開口部の中央部を貼着している。
【0092】
図16は、本発明のパッドの矢視D側面図である。86は、本発明のパッドの表面シートであり、主として透水性を有するシートである。87は、本発明のパッドの裏面シートであって、不透水性である。86と87のシート間には、尿を吸収するための18の吸収剤が内包されている。81のガイドAは、パッドの上面に於いて一定の高さを有していることが分かる。図15における二点鎖線88,89は、装着時に股の間に挟まれる制約を受けて折曲がる折曲がり線である。
【0093】
図17における90は、市販の尿取りパッドを用いて図15図16における第6実施形態に係るパッドを模式的に作成したものであり、図18は、同パッドの使用実験後に96の表面シートを除去して18の吸収剤の反応状況を概観するものである。90の尿吸収パッドは、90Aの第1パッド(日本製紙クレシア株式会社製「ポイズ(登録商標)メンズパッド」薄型ワイド300cc)と、90Bの第2パッド(ユニ・チャーム株式会社製 ライフリー(登録商標)男性用さわやかうす型パッド120cc)と、を隣合せにしてガムテープを用いて接続したものを、その母体として使用した。90Aの第1パッドは、少なくとも300ccの尿を吸収し得る量の18の吸収剤を含んでいると想定される。90Bの第2パッドは、少なくとも120ccの尿を吸収し得る量の18の吸収剤を含んでいると想定される。90の尿吸収パッドは、装着者の身体に装着する向きにおいて、18の吸収剤が配置された部分が、縦方向よりも横方向のほうが長くなっている。90の尿吸収パッドは、玉や大腿部による押圧の係り難い前側(すなわち、90の尿吸収パッドの上部90A側)で排出された尿のほとんどを吸収することを目指している。
【0094】
従って、パッドの上部におよそ300ccの尿を吸収し得る90Aの第1パッドを使用し、パッドの下部におよそ120ccの尿を吸収し得る90Bの第2パッドを補完的に用い、それぞれの吸収面を密着させ、裏面側からガムテープを用いて固定した。図17における破線は裏面の該ガムテープを表す。98は、該ガムテープの両端部であり、継ぎ目からの漏れを防ぐため折り返してパッドの上面(96の表面シート側)に一部が及んでいる。
【0095】
91は、ガイドAであり、レック株式会社製「激落ちパパ」S-693を適宜切断して15mm角に成形して用いた。中心線Cに近い91のガイドAは、それぞれ10mm程度の間隔を開けパッドの上面と既述の両面テープ(図示せず)によって固定している。両端に位置する91のガイドAは、中心線Cに近いガイドAと数mmの間隔を開け中心線Cに近いガイドAと同様にパッドの上面と既述の両面テープ(図示せず)によって固定している。これはパッド装着時、装着者の視点から見ると略W字状にパッドが折れ曲がり、中心線Cに近い91のガイドA同士が相互に干渉して折れ曲がり難くなり、装着者の肌面とパッドとの乖離が大きくなるからである。
【0096】
92は、ガイドBであり、レック株式会社製「激落ちくん」(登録商標)K00213の直径およそ18mmの円柱状部分を活かして適宜分割切断して用い、既述の両面テープ(図示せず)を用いパッドの上面に固定した。これは、90Aの第1パッドの上面での尿の流通を左右に広めるためのものである。
【0097】
93は、食品用ラップフィルムである。これは本発明のパッドの下端に吸着剤に吸収される前に尿が液体状で到達した場合に下端からの尿の漏れを防ぐべくガイドするものであり、95の両面テープによって(既述の物を使用)90Bの第2パッドの上面に固定されている。93の食品用ラップフィルムの開口部がフリー状態では、この開口部から尿が漏れる可能性が有る。このため、既述である94の両面テープを用いて、90Aの第2パッドの上面に対して93の食品用ラップフィルムの開口部の中央部を貼着している。二点鎖線99,100は、装着時に股の間に挟まれる制約を受けて折曲がる折曲がり線である。これらの装備を完備した本発明の第6実施形態の90の尿吸収パッドの総重量は48グラムであった。
【0098】
使用実験は、ぴったりしたパンツに90の尿吸収パッドを装着し約2時間経過後、洋式便器の蓋に腰を掛け、両足を略肩幅に開いて座位姿勢にて放尿実験を行った。第6実施形態のパッドは、91のガイドAが、装着者に対して横方向に並んだ状態であって、且つ上端に位置するようにして装着される。つまり、90の尿吸収パッドは、90Aの第1パッド、及び90Bの第2パッドの向きが、90Aの第1パッド、及び90Bの第2パッドを単体で使用する状態に交差する向きに装着者に装着される。
【0099】
この放尿実験において、系外への尿の漏洩は認められなかった。本実験後における第6実施形態の重量は255グラムであった。当初総重量が48グラムであったので、差引207グラムが尿重量、尿比重を1として、207ccを系外に漏洩することなく吸収して捕捉することができた。
【0100】
図18は、実験後に96の表面シートを除去して18の吸収剤の反応状況を概観するものである。一重ハッチング部は黄変していた部分である。黄変していた部分は、90Aの第1パッドから90Bの第2パッドへと連続して続いている。二重ハッチング部は該一重ハッチング部より色濃く黄変していた部分である。90Aの第1パッドの上側に白い無反応部分を残しており、これらから、更なる尿吸収の可能性が有る。
【0101】
使用実験後に、93の食品用ラップフィルム内に水滴状のものは発見されなかった。しかし、放出される尿量が増えた場合、第1実施形態と同様に、尿の一部がダイレクトに90Bの第2パッドの下端に到達する可能性があると考えられる。従って、90Bの第2パッドにおける96の表面シートの全体を覆う不透水性のガイド膜があっても良い。
【0102】
実施形態6と同一形態のものを用いて、装着テストを繰り返し行った結果を表8に示す。
【0103】
【表8】
【0104】
表6において、使用感が「△」であるのは、試験後において陰茎下部及び玉の全体に濡れ感が及んだためである。
【0105】
90の尿吸収パッドは、装着者の身体に装着する向きにおいて、18の吸収剤が集合した部分が、縦方向よりも横方向のほうが長い。この構成によれば、装着者が座った姿勢であって、玉の押圧等によって、玉の後方への尿の流通が阻害されても、尿を吸収する部位の大部分が玉より前に存在することによって、尿の系外への漏洩なく尿の全量を吸収することができる。
【0106】
<既存市販パッドの形態>
図19は、既存の販売されている男性用の尿吸収パッドにおける尿吸収状況の概観図である。比較例に相当するものである。既存市販のパッド使用実験は、日本製紙クレシア株式会社製「ポイズ(登録商標)メンズパッド」薄型ワイド300ccを、ぴったりしたパンツに装着し約2時間半経過後、両足を略肩幅に開いて立位姿勢にて放尿実験を行った。
【0107】
放尿試験中半ばで尿の系外への漏洩が始まった。既述の如く放尿は中断できないため、全放出後パッドを取り出しその重量を測ったところ122グラムであった。本パッドの使用前重量は25グラムで、差引97グラムで、尿の比重を1として97ccが捕捉された尿である。図19に示すように、尿吸収の状況を観察すると、一重ハッチング部が黄変した部分であり、これより色濃く黄変していた部分を二重ハッチング部で示す。更にパッドからの越流が起こったと思われる経路を矢印で示す。
【0108】
既存市販のパッドは、尿のパッド内の流通が悪い。また、既存市販のパッドは、放尿する方向が偏った場合これを修正する機能が無く、尿の吸収が偏在し、これが未だ尿の吸収能力が残されている他の部分へ拡がることなく、尿の吸収が偏在する箇所の吸収能力が限界に達するとそのまま越流し、尿の漏洩につながる様子が見て取れる。
【0109】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)第5実施形態において、ガイドBの材料は、第1実施形態から第4実施形態、及び第6実施形態におけるガイドBのものと異なるものが採用されている。しかしこれに限らず、第5実施形態におけるガイドBの材料と、第1実施形態から第4実施形態、及び第6実施形態におけるガイドBの材料と、を併用してもよい。また、ガイドBの材料として、本実施形態に用いたものに限らず、他の材料をガイドBとして用いてもよい。さらに、ガイドAの材料として、本実施形態に用いたものに限らず、他の材料をガイドAとして用いてもよい。
(2)ガイドA及びガイドBに両面テープを貼り付けた物を市販されている尿吸収パッドに後から貼り付けてもよい。つまり、これらガイドA及びガイドBは、装着者の尿を吸収する尿吸収パッドの装着者の肌に当接する表面シートの装着者の肌側の面に取り付け自在であり、尿が浸透し、表面シートから装着者の肌側に立ち上がるように自立し、尿の流れを制御する。この構成によれば、装着者の身体の状態に応じてガイドA及びガイドBを貼り付ける位置を調整することができるため、市販の尿吸収パッドに対して、より良好に尿を吸収させるだけでなく、装着した感触を各装着者の好みに応じて調整することができる。
(3)第5実施形態におけるメッシュ体は、概ね長球形状をなした合成樹脂の発泡体である粒が、その長手方向、及び短手方向の二方向に複数連ねて並べられ連結されたものである。しかし、メッシュ体における構成は、これに限らない。
【符号の説明】
【0110】
10…第1実施形態
11,81,91,111,211…ガイドA(ガイド)
12,42,82,92,112,212…ガイドB(ガイド)
13,43,113,213…台所用ビニール袋
14,44,84,94,114,214…両面テープ
15,45,85,95,115,215…セロファンテープ
16,46,86,96…表面シート
17,47,87…裏面シート
18…吸収剤
40…第2実施形態
50…第3実施形態
60…第4実施形態
70…第5実施形態
80,90…第6実施形態
90A…第1パッド
90B…第2パッド
83,93…食品用ラップフィルム
88,98…ガムテープ折返し部
212…メッシュ体(ガイドB)
図1
図2
図3
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図5
図6
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図18
図19