(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150583
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】細胞ミクロコンパートメントおよびその調製方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/071 20100101AFI20241016BHJP
C12N 5/0789 20100101ALI20241016BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20241016BHJP
【FI】
C12N5/071
C12N5/0789
C12N5/10
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024114667
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2022120854の分割
【原出願日】2017-11-23
(31)【優先権主張番号】1661377
(32)【優先日】2016-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】514058706
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・ボルドー
(71)【出願人】
【識別番号】592236245
【氏名又は名称】サントル・ナシオナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シアンティフィク
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LARECHERCHE SCIENTIFIQUE
(71)【出願人】
【識別番号】519183782
【氏名又は名称】アンスティテュ・ドプティーク・テオリク・エ・アプリケ
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT D’OPTIQUE THEORIQUE ET APPLIQUEE
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】マクシム・フェイユー
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・アレッサンドリ
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・ナソワ
(72)【発明者】
【氏名】ローラン・コニェ
(72)【発明者】
【氏名】ガエル・ルシェ
(72)【発明者】
【氏名】エルワン・ベザール
(57)【要約】 (修正有)
【課題】細胞の多能性が維持される、ヒト多能性細胞を含む3D細胞ミクロコンパートメント、およびかかる細胞ミクロコンパートメントの調製方法を提供する。
【解決手段】管腔4の周りに組織化された、ヒト多能性細胞の少なくとも1つの層3、細胞外マトリクス層2および外側ヒドロゲル層1を順次含む細胞ミクロコンパートメントである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管腔の周りに組織化された:
-ヒト多能性細胞の少なくとも1つの層;
-細胞外マトリクス層;
-外側ヒドロゲル層
を順次含む細胞ミクロコンパートメント。
【請求項2】
該ミクロコンパートメントが閉じられている、請求項1に記載の細胞ミクロコンパートメント。
【請求項3】
外側層がアルギネートを含む、請求項1または2に記載の細胞ミクロコンパートメント。
【請求項4】
該ミクロコンパートメントが球形または細長い形状を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の細胞ミクロコンパートメント。
【請求項5】
該ミクロコンパートメントが10μm~1mm、好ましくは50μm~500μm、より好ましくは500μm未満、さらにより好ましくは400μm未満からなる直径または最小寸法を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞ミクロコンパートメント。
【請求項6】
細胞密度が一千~数千細胞/ミクロコンパートメント、好ましくは50~1000細胞/ミクロコンパートメントからなる、請求項1~5のいずれか1項に記載の細胞ミクロコンパートメント。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の細胞ミクロコンパートメントの調製方法であって、
(a)RHO/ROCK経路インヒビターを含む培養培地中でヒト多能性幹細胞をインキュベートし;
(b)工程(a)からの多能性幹細胞を細胞外マトリクスと混合し;
(c)工程(b)からの混合物をヒドロゲル層にカプセル封入し;
(d)工程(c)で得られたカプセルをRHO/ROCK経路インヒビターを含む培養培地で培養し;
(e)工程(d)からのカプセルを濯いでRHO/ROCK経路インヒビターを除去し;
(f)工程(e)からのカプセルを3~20日間、好ましくは5~10日間培養し、および、所望により得た細胞ミクロコンパートメントを回収してもよい
からなる工程を含む、細胞ミクロコンパートメントの調製方法。
【請求項8】
(a’)工程(b)の前に、好ましくは酵素を含まない試薬によって、工程(a)からの多能性幹細胞を分離することからなる中間工程を含む、請求項7に記載のミクロコンパートメントの調製方法。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか1項に記載の細胞ミクロコンパートメントの調製方法であって、
(a)ヒト分化細胞を細胞外マトリクスおよび細胞リプログラミング剤と混合し;
(b)工程(a)からの混合物をヒドロゲル層にカプセル封入し;
(c)工程(b)からのカプセルを10~40日間培養し、ついで、所望により得た細胞ミクロコンパートメントを回収してもよい
からなる工程を含む、細胞ミクロコンパートメントの調製方法。
【請求項10】
工程(b)からの各カプセルが1~500の分化細胞を含む、請求項9に記載の細胞ミクロコンパートメントの調製方法。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか1項に記載の細胞ミクロコンパートメントの調製方法であって、請求項7に記載の工程(f)または請求項9に記載の工程(c)で得られた細胞ミクロコンパートメントを冷凍することからなる続く工程を含む、細胞ミクロコンパートメントの調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト細胞の多能性を維持させることができる細胞ミクロコンパートメントに関する。本発明は、かかる三次元(3D)細胞培養コンパートメントを得るための調製方法にも関する。
【0002】
多能性細胞は重要なヒト細胞資源と考えられており、その培養は特に医療および製薬分野において関心が高まっている。よって、多能性細胞を大量に製造することは製薬産業によって表されている新しいニーズに合致し、それは現在使用されている多くのセルラインよりもより適切である細胞モデルとして好まれる動物モデルの使用を減少するというものである。製薬会社によって開発されたハイスループット試験は、多量のヒト多能性細胞をすでに使用されている。同様にして、ヒトにおける組織工学および細胞治療は、工業的な量のヒト多能性細胞の利用可能性に依存している。
【0003】
ヒト多能性細胞は、通常、細胞が正常に進展する3D培地とは非常に異なるペトリ皿のような二次元(2D)環境で培養されている。これらの2D培養細胞の取り扱いは、繊細である場合があり、特に精製、酵素脱着ほかの工程を必要とする。さらに、これらの細胞は保存することが困難であり、冷凍後の生存率が非常に低くなる。しかしながら、大量に凍結した多能性細胞培養物を送るための従来のキャリアを使用する可能性および液体培養との親和性は、研究所および製薬産業の両方に対して主要な挑戦を表している。
【0004】
この状況に対応して、特にヒト多能性幹細胞培養系のスループット、効率および品質を高めることを求める三次元培養系が開発されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現存する3D培養系は申し分がないといえるほどではなかった。制御できない融合現象が観察される場合があり、これは培養培地の拡散を不十分なものとするサイズ(直径で>200μm)の細胞凝集物を生じる。よって、かかる3D培養系内では、細胞分化を制御することは困難であり、および/または細胞の死亡率は非常に高い。一般的に、3D細胞培養に起因する生成物の均一性の欠如およびかかる技術の費用は、この技術を2D培養と比較して非競争的なものにする。しかしながら、それとて満足のゆくものではない。
【0006】
よって、基礎研究および産業上の両方に容易に使用できる、制御された表現型を有する多量の多能性細胞を提供し得る3D細胞培養系に対する要望が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
3D細胞培養用の細胞ミクロコンパートメントの開発に従事している間に、本発明者らは、表現型を維持しつつヒト多能性細胞の大量液体懸濁培養を許容する系を開発した。開発したミクロコンパートメントは、細胞を保護し、細胞の表現型を制御して野生型の分化を回避して多能性を維持しつつ、2D培養で従来使用されている培地を用いて細胞を液体培地で培養することを許容する。より正確には、本発明者らにより開発されたミクロコンパートメントまたはカプセルは、実質的に共通の中心を有する様式で組織された、ヒドロゲル・シェル、細胞外マトリクス層および中央管腔を囲むヒト多能性細胞の1つ以上の層を順次含む。本発明に係るカプセルのヒドロゲル・シェルは、現存する培養系とは異なり、液体懸濁培養の間の衝突または融合に関連する機械的ストレスから細胞を保護する。特に好都合には、本発明に係るミクロコンパートメントの「包嚢」における組織化は、それを高い細胞生存率で凍結することを許容する。加えて、細胞は、3Dおよび2D培養の両方で、ミクロコンパートメント内で直接的に、使用前に分化することができ、または多能性ステージで用いることができる。本発明者らは、それが含む細胞の冷凍および表現型の制御の両方に好適である、包嚢形状を得、それが維持されることを保障するかかる細胞ミクロコンパートメントの調製方法も開発した。
【0008】
したがって、発明の主題は、管腔の周りに組織化される:
-ヒト多能性細胞の少なくとも1つの層;
-細胞外マトリクス層;
-外側ヒドロゲル層
を順次含む細胞ミクロコンパートメントである。
好都合には、培養培地は層間に残された空間を充填する。
【0009】
本発明のもう1つの主題は、本発明に係る細胞ミクロコンパートメントの調製方法であり、それは:
(a)RHO/ROCK経路インヒビターを含む培養培地中でヒト多能性幹細胞をインキュベートし;
(b)工程(a)からの多能性幹細胞を細胞外マトリクスと混合し;
(c)工程(b)からの混合物をヒドロゲル層にカプセル封入し;
(d)工程(c)で得られたカプセルをRHO/ROCK経路インヒビターを含む培養培地中で培養し;
(e)工程(d)からのカプセルを濯いでRHO/ROCK経路インヒビターを除去し;
(f)工程(e)からのカプセルをRHO/ROCK経路インヒビターを含まない培養培地中で3~20日間、好ましくは5~10日間培養し、ついで、所望により得た細胞ミクロコンパートメントを回収してもよい
からなる工程を含む。
【0010】
本発明のもう1つの主題は、本発明に係る細胞ミクロコンパートメントの調製方法であり、それは:
(a)ヒト分化細胞を細胞外マトリクスおよび細胞リプログラミング剤と混合し;
(b)工程(a)からの混合物をヒドロゲル層にカプセル封入し;
(c)工程(b)からのカプセルを10~40日間培養し、ついで、所望により得た細胞ミクロコンパートメントを回収してもよい
からなる工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1:本発明に係る包嚢を形成する細胞ミクロコンパートメントの(A)図面代用写真および(B)模式図(1:ヒドロゲル層;2:細胞外マトリクス層;3:多能性細胞の層;4:管腔)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の主題は、細胞の多能性が維持される、ヒト多能性細胞を含む3D細胞ミクロコンパートメントである。
【0013】
細胞ミクロコンパートメント
本発明に係る細胞ミクロコンパートメントは、中空の中心または管(lumen)腔が優先的に水性である包嚢(cyst)を形成する。本発明の記載において、「包嚢」とは、同一点の周りに順次組織化され、外側層が細胞層を包むマトリクス層を包み、細胞層は管腔を囲んでいるという意味において、実質的に共通の中心を有する層を含む閉じられた中空構造をいう。一般的に、包嚢を作る多能性細胞は極性化(polarized)している。包嚢内のこれらの細胞の極性は、タンパク質TJP-1またはZO-1(両方とも管腔に近接している多能性細胞層の内側/頂上側に位置する)によって検出できる。
【0014】
管腔は、細胞外マトリクス層で増殖および発達した細胞によって、包嚢形成時に生成する。好都合には、管腔は液体、より詳細には培養培地を含む。
【0015】
本発明の記載において、「ヒドロゲル層」とは、液体、有利には水によって膨張したポリマー鎖のマトリクスから形成された三次元構造をいう。好都合には、使用したヒドロゲルは、それが細胞に対して毒性がないという意味において生体適合性である。さらに、ヒドロゲル層は、ミクロコンパートメントに含まれる細胞に酸素および栄養を拡散させてそれを生存させなければならない。例えば、外側ヒドロゲルはアルギネートを含む。好ましくは、外側層はアルギネートのみを含む。本発明に関する記載において、「アルギネート」とは、β-D-マンヌロネート(M)およびα-L-グルロネート(G)、それらの塩および誘導体から形成される鎖状多糖類をいう。好都合には、アルギネートはナトリウムアルギネートである。それは、80%を超えるGおよび20%未満のMからなり、100~400KDaの質量分子量(例えば、PRONOVA(登録商標)SLG100)を有し、0.5質量%~5質量%からなる合計濃度を有する。本発明によれば、ヒドロゲル層は細胞を含まない。本発明に係る細胞ミクロコンパートメントの1つの実施形態において、外側層がアルギネートを含む。
【0016】
次に、細胞外マトリクス層は少量の細胞を含んでいてもよい。実際、包嚢形成の際に、細胞はマトリクス中にその空間を作り、増殖し、ミクロコンパートメントを充填する。したがって、細胞外マトリクス層と多能性細胞層との間の境界は、完全にクリアでなくてもよい。したがって、細胞層と接触する表面において、細胞外マトリクスは少数の多能性細胞を含むことができる。反対に、ヒドロゲル層と接触する細胞外マトリクス層の表面は細胞を含まない。
【0017】
細胞外マトリクス層は、ミクロコンパートメントにおける多能性細胞の生存におよび包嚢を作り出すのに必要である。
【0018】
好ましくは、細胞外マトリクス層はヒドロゲル層の内側側面にゲルを形成し、これはミクロコンパートメントの管腔に向かって指向される側を意味する。細胞外マトリクス層は、細胞培養、より詳細には多能性細胞の培養、に必要なタンパク質および細胞外化合物の混合物を含む。好ましくは、細胞外マトリクスは、α1、α4もしくはα5サブユニット、β1もしくはβ2サブユニット、およびγ1もしくはγ3サブユニットを含むラミニンのような構造タンパク質、エンタクチン、ビトロネクチン、ラミニン、コラーゲン、ならびにTGF-betaおよび/またはEGFのような成長因子を含む。1つの実施形態において、細胞外マトリクス層は、Matrigel(登録商標)および/またはGeltrex(登録商標)からなる、またはそれを含む。
【0019】
本発明によれば、細胞ミクロコンパートメントは、1つ以上の層のヒト多能性幹細胞を含む。多能性幹細胞または多能性細胞は、起源生物全体に存在する全ての組織を形成する能力を有するが、生物全体それ自体は形成することはできない細胞である。
【0020】
特別の実施形態において、カプセル封入した細胞は、成体哺乳動物の皮膚および骨髄または胚性幹(ES)細胞に見いだされる誘導多能性幹(IPS)細胞、ミューズ(MUSE)細胞、または胚性幹(ES)細胞のような多能性幹細胞である。
【0021】
本発明の記載において、“誘導多能性幹細胞”(IPS細胞)は、分化型体細胞の遺伝子リプログラムによって得られ、胚性幹細胞と部分的に類似する形態および自己再生および多能性の可能性を有する多能性幹細胞と定義される。これらの細胞は、アルカリホスファターゼ染色およびタンパク質NANOG、SOX2、OCT4およびSSEA3/4の発現のような多能性マーカーに対して明白に陽性である。誘導多能性幹細胞を得る方法は、当業者によく知られており、Yuら、(Science, 2007, 318(5858):1917-1920)、Takahashiら、(Cell, 2007, 131(5):861-872)およびNakagawaら、(Nat Biotechnol, 2008, 26(1):101-106)による文献に明白に記載されている。
【0022】
胚性幹細胞の場合において、該多能性幹細胞は胚盤胞の内部細胞塊(the internal cell mass)に由来する細胞であり、生物のすべての組織の形成に通じる能力を有する細胞である。胚性幹細胞の多能性は、転写因子OCT4およびNANOGのようなマーカーならびにSSEA3/4、Tra-1-60およびTra-1-81のようなマーカーの存在によって評価することができる。胚性幹細胞は、例えば、Chungら、(Cell Stem Cell, 2008, 2(2):113-117)により記載されている技術を用いることによって、その起源となる胚を破壊することなく得ることができる。特別の実施形態において、および法学的または倫理学的な理由のため。幹細胞として、ヒトの胚性幹細胞は排除されると定義される。
【0023】
1つの実施形態において、本発明に係るミクロコンパートメントに使用するヒト多能性幹細胞は体細胞からの多能性に誘導される。
【0024】
好都合には、細胞層は細胞のおよび細胞によって生成されるマトリクスの少なくとも95体積%、好ましくは少なくとも96%、97%、98%、99%を含む。細胞は実質的には多能性細胞である。「実質的に」とは、細胞層に含まれる細胞の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、96%、97%、98%、99%、100%が多能性細胞であることを意味する。
【0025】
好都合には、包嚢の管腔は培養培地を含む。特に、多能性細胞の懸濁培養を許容するいずれの培養培地も用いることができ、特に2D培養で従来使用されているいずれの培養培地も用いることができる。
【0026】
好ましくは、細胞ミクロコンパートメントは閉じている。細胞ミクロコンパートメントに大きさや形状を与えるのは、外側ヒドロゲルである。ミクロコンパートメントは細胞カプセル封入と適合するいずれの形状を有することもできる。
【0027】
好都合には、細胞ミクロコンパートメントの寸法は制御される。1つの実施形態において、本発明に係る細胞ミクロコンパートメントは球形を有する。好ましくは、かかるミクロコンパートメントの直径は、10μm~1mm、より好ましくは50μm~500μm、さらにより好ましくは500μm未満、好ましくは400μm未満に含まれる。
【0028】
もう1つの実施形態において、本発明に係る細胞ミクロコンパートメントは細長い形状を有する。特に、ミクロコンパートメントは卵形または管形を有し得る。好都合には、かかる卵形または管形のミクロコンパートメントの最小寸法は、10μm~1mm、より好都合には50μm~500μm、なおより好都合には500μm未満、好都合には400μm未満に含まれる。「最小寸法」とは、ヒドロゲル層の外側表面上の点とミクロコンパートメントの中心との間の最短距離の2倍を意味する。
【0029】
特有の実施形態において、外側ヒドロゲル層の厚さは、ミクロコンパートメントの半径の5~40%を表す。細胞外マトリクス層の厚さは、ミクロコンパートメントの半径の5~80%を表し、有利にはヒドロゲル・シェルの内側に結合している。多能性細胞層の厚さは、ミクロコンパートメントの半径の約10%を表す。多能性細胞層は、細胞外マトリクス層と少なくとも1点で接触しており、培養培地で満たされた空間は、マトリクス層と包嚢との間に存在する。その場合の管腔は、ミクロコンパートメントの半径の5~30%を表す。本発明の記載において、層の「厚さ」とは、ミクロコンパートメントの中心に対して放射状に伸長する該層の寸法である。
【0030】
特有の例において、細胞ミクロコンパートメントは、100μmの半径の球形を有する。ヒドロゲルは5μm~40μmの厚さを有する。細胞外マトリクス層は5μm~約80μmの厚さを有する。多能性細胞の層は10~30μmの厚さを有し、管腔はざっと5~30μmの半径を有する。
【0031】
一般に、外側ヒドロゲルの存在は細胞層に最大のサイズを課し、閉じ込め(confinement)によって、細胞の無酸素死および/またはより深層の細胞の制御されない増殖を制限し、これは包嚢の管腔に最も近いものを意味する。ペトリ皿上の2Dにおいては、コロニーは円板状であり、ディスクの中心に存在する細胞は死滅するか(分裂から生じる各々の新しい細胞は、空間の欠乏によりコロニーから除外する)またはそれを囲む細胞の束縛下で分化する傾向があり、端部の細胞は分化する傾向があり、正しい距離のバンドだけが最適の表現型を有する。本明細書に示すミクロコンパートメントのトポロジー、カプセルによって形成される球体の内側表面は、小さい細胞の拡散および機械的ストレスの観点の両方についてすべての細胞が最適かつ均等に位置する「端部なしの」幹細胞の「コロニー」(多能性細胞層)を生成することを可能にする。好都合には、ミクロコンパートメントにおける細胞密度は、ミクロコンパートメント当たり千~数千細胞、好ましくは100μm半径のミクロコンパートメント当たり50~1000細胞含まれる。
【0032】
細胞ミクロコンパートメントの調製方法
本発明は、本発明に係る細胞ミクロコンパートメントを得ることを可能にする細胞ミクロコンパートメントの調製方法にも関する。より詳細には、本発明は、多能性幹細胞から、またはミクロコンパートメントの形成の間にヒドロゲルカプセルの内側の多能性細胞にリプログラムされる分化細胞から直接的に包嚢に組織化された多能性幹細胞を含む細胞ミクロコンパートメントを作製することを提唱する。
【0033】
ヒドロゲルカプセル内に細胞外マトリクスおよび多能性幹細胞を含む細胞ミクロコンパートメントを作製するいずれの方法も、本発明に係る調製方法の実施に使用し得る。特に、以下に記載する工程に従って、Alessandriら,2016(“A 3D printed microfluidic device for production of functionalized hydrogel microcapsules for culture and differentiation of human Neuronal Stem Cells(hNSC)”, Lab on a Chip, 2016, vol. 16, no. 9, p. 1593-1604)に記載されている微少流体の方法およびデバイスを適用することによってミクロコンパートメントを調製することが可能である。
【0034】
第1の実施形態において、本発明に係る調製方法は下記からなる工程を含む
(a)RHO/ROCK経路インヒビターを含む培養培地中でヒト多能性幹細胞をインキュベートし;
(b)工程(a)からの多能性幹細胞を細胞外マトリクスと混合し;
(c)工程(b)からの混合物をヒドロゲル層にカプセル封入し;
(d)工程(c)で得られたカプセルをRHO/ROCK経路インヒビターを含む培養培地で培養し;
(e)工程(d)からのカプセルを濯いでRHO/ROCK経路インヒビターを除去し;
(f)工程(e)からのカプセルを3~20日間、好ましくは5~10日間、包嚢が得られるまで培養し、ついで、所望により得た細胞ミクロコンパートメントを回収してもよい。
【0035】
チアゾビビン(C15H13N5OS)および/またはY-27632(C14H21N3O)のような1つ以上のRHO/ROCK(“Rho-結合プロテインキナーゼ”)経路インヒビターを含む培地におけるインキュベーション工程(a)および培養工程(d)は、外側ヒドロゲルが該細胞外マトリクスの周りに形成される場合、多能性幹細胞の生存性および細胞外マトリクスに対する細胞接着性を促進する。しかしながら、これらの工程は、RHO/ROCK経路インヒビターが包嚢の形成を妨害しないように、最適な時に限定することが望ましい。
【0036】
よって、好ましくは、工程(a)のインキュベーションは、数分間~数時間、好ましくは2分~2時間、より好ましくは10分~1時間からなる時間行う。
【0037】
同様にして、好ましくは、培養工程(d)は2~48時間からなる時間、好ましくは6~24時間からなる時間、より好ましくは12~18時間からなる時間行う。
【0038】
工程(e)は、微量のRHO/ROCK経路インヒビターもすべて確実に除去するために必要である。工程(e)は、例えば、濯ぐことによって、好ましくはRHO/ROCK経路インヒビターを含まない連続する培養培地中での数回の濯ぎによって行う。
【0039】
好都合には、工程(f)は、中の多能性細胞層および管腔がミクロコンパートメントの半径の10~95%に等しい累積厚さを有する細胞ミクロコンパートメントを得るのに十分な時間、すなわち2個の細胞~約1000個の細胞の通過を許容するのに十分な時間、行う。多能性幹細胞培養に好適ないずれの培養培地、とりわけRoswell Park Memorial Institute培地のようなリン酸緩衝食塩水を用いることができる。
【0040】
1つの実施形態において、本発明に係る方法は、工程(b)の前に工程(a)からの多能性幹細胞を、好ましくは、酵素を含まない試薬によって、引き離すことからなる中間工程(a’)を含む。好都合には、該試薬はカプセル封入工程の前に阻害するか、または特に、多能性細胞用の特別な培地で連続して濯ぐことにより濯がれる。例えば、使用した試薬は、ReLeSR(登録商標)のようなEDTAまたはEGTAを含む等張緩衝液である。勿論、トリプシンまたは酵素を含む試薬を使用することも可能であるが、その場合、この工程の終了時の多能性細胞の生存率が酵素を含まない試薬を使用した場合と比較して低くなり得る。すべての場合において、濯ぎ工程は細胞の分離に使用した微量の試薬も除去する必要がある。
【0041】
1つの実施形態において、工程(a’)、(b)、(c)、(d)または(e)の少なくとも1つ、優先的に工程(a’)、(b)、(c)、(d)および(e)の全ては、0~8℃からなる温度で行う。4℃に実質的に等しい温度に維持することにより、外部環境からの信号の伝達を含む細胞の生物学的プロセスを休眠状態にすることができる。これは、細胞脱着によって誘導され得る細胞死の減少を制限することを可能にする。
【0042】
もう1つの実施形態において、本発明に係る細胞ミクロコンパートメントの調製方法は、下記からなる工程を含む:
(a)分化ヒト細胞を細胞外マトリクスと混合しおよびヒドロゲル層を浸透しない細胞リプログラミング剤;
(b)工程(a)からの混合物をヒドロゲル層にカプセル封入し;
(c)工程(b)からのカプセルを10~40日間培養し、ついで、所望により得た細胞ミクロコンパートメントを回収してもよい。
【0043】
もう1つの実施形態において、本発明に係る細胞ミクロコンパートメントの調製方法は下記からなる工程を含む:
(a)分化ヒト細胞を細胞外マトリクスと混合し;
(b)工程(a)からの混合物をヒドロゲル層にカプセル封入し;
(c)工程(b)からのカプセルをヒドロゲル層を浸透する細胞リプログラミング剤とインキュベートし、そのカプセルを10~40日間培養し、ついで、所望により得た細胞ミクロコンパートメントを回収してもよい。
例えば、使用した分化細胞はフィブロブラストである。
【0044】
当業者であれば、本発明においてどの様にして「リプログラミング剤」といっている特定の要素によって胚期と関連する遺伝子の発現を再活性化することによって分化細胞を幹細胞にリプログラムするかを認識している。それには、例えば、Takahashiら,2006(“Induction of pluripotent stem cells from mouse embryonic and adult fibroblast0000ltures by defined factors” Cell, 2006 Vol 126, pages 663-676)、Banら,2009(“Efficient induction of transgene-free human pluripotent stem cells using a vector based on Sendai virus, an RNA virus that does not integrate into the host genome” Proc Jpn Acad Ser B Phys Biol Sci. 2009; 85(8):348-62)および“Production of reprogrammed pluripotent cells”という発明の名称の国際公開番号WO2010/105311に記載されている方法が含まれる。
【0045】
リプログラミング剤は、好都合には、生成物を濃縮し、すべての細胞との接触を促進するように、分化細胞と同時カプセル封入する。ヒドロゲル層に浸透するリプログラミング剤の場合、カプセル封入工程の後に該剤を培養培地に添加することが可能である。
【0046】
リプログラミング剤は、多能化期までの連続した表現型の変化を細胞に課すことが可能にする。好都合には、リプログラミング工程(a)は、これらの表現型変化を促進する特定の培養培地を用いて行う。例えば、細胞は、セリン/トレオニンプロテインキナーゼ受容体インヒビター(生成物SB-431542(C22H16N4O3))、チアゾビビンおよび/またはY-27632のような1つ以上のRHO/ROCK(“Rho-結合プロテインキナーゼ”)経路インヒビター、FGF-2のようなフィブロブラスト増殖因子、アスコルビン酸、およびトリコスタチンA(C17H22N2O3)のような抗生物質を補充したイーグル最小必須培地(DMEM)中に10%ヒトまたはウシ血清を含む第1の培地で培養する。ついで、培養培地を、mTeSR(登録商標)1のような多能性細胞の増殖を促進する培地で置き換える。
【0047】
好都合には、工程(b)からのカプセルは、各々、1~500の分化細胞、好ましくは50~200の分化細胞を含むことができる。
【0048】
1つの実施形態において、(a)、(b)、(c)または(d)の少なくとも1の工程、好ましくは(a)、(b)、(c)および(d)の全ての工程は、0~4℃からなる温度で行う。温度を4℃以下に維持することにより、外部環境からの信号の伝達を含む細胞の生物学的プロセスが休眠状態になる。これにより、細胞脱着によって誘導され得る細胞死の現象を制限することが可能になる。
【0049】
工程(d)の間に得られたミクロコンパートメントは、望ましい包嚢形成で細胞ミクロコンパートメントを単離するようにソートすることができる。かかるソーティング工程は、未だ形成されているミクロコンパートメントから、望ましい包嚢形状をすでに有している細胞ミクロコンパートメントを分離するように連続して行うことができる。かかるソーティング工程は、中でリプログラミングが未だ進行中である他のミクロコンパートメントおよび/または包嚢組織24を妨害することなく、単純形状分析によって行うことができる。
【0050】
一般に、本発明の方法によって得られた細胞ミクロコンパートメントは、ついで使用する前に冷凍し得る。実際、包嚢フォームはミクロコンパートメント内で細胞生存を促進し、解凍後、生存率は80%を超える。好都合には、冷凍は液体窒素を用いて行ってミクロコンパートメントを迅速にガラス状にし、細胞の脂質膜内の結晶形成のリスクを制限する。細胞ミクロコンパートメントは、細胞生存を促進する冷凍緩衝液に懸濁し得る。例えば、胚を冷凍するために従来使用されている冷凍緩衝液を使用することが可能である。
よって、冷凍した細胞ミクロコンパートメントは、ついで必要により解凍し得る。
【0051】
適用
本発明に関するコンパートメントは、多くの適用に用いることができる。実際、それらが含む細胞は、外側ヒドロゲルの単純な加水分解および/または溶解によって簡単に回収することができる。さらに、大量の目的のセルラインを得るために、必要により、ヒドロゲルカプセル内でまたは該ヒドロゲルカプセルの加水分解/溶解の後に多能性細胞を分化させることも可能である。好都合には、細胞はミクロコンパートメント内で、関心のある1つ以上の細胞型に分化させ、これは外側ヒドロゲルの加水分解の前を意味する。
【0052】
細胞ミクロコンパートメント、より正確にはそれらが含む細胞は、3D細胞ネットワーク細胞ネットワークの形態でおよびより慣例的には2D培養での両方で、研究および開発目的に使用することができる。それらは、細胞治療、組織工学、ほかのような治療目的でも使用し得る。
【実施例0053】
実施例1:多能性に誘導したヒト細胞から細胞ミクロコンパートメントを得るプロトコール
使用溶液:
溶液1、2μm チアゾビビンを補充したDMEMF12培地ベース
溶液2、1μm、2μM チアゾビビンを補充したマグネシウムを含まない、カルシウムを含まないPBS
溶液3、2μm チアゾビビンを補充した非-酵素的細胞脱着緩衝液非-酵素的細胞脱着緩衝液:補充したRelesR(商標)
溶液4、多能性幹細胞培養培地:MTeSR1(商標)hES/hIPS細胞培地STEMCELL(商標))
溶液4+、2μm チアゾビビンを補充した溶液4
溶液5、Matrigel(商標)
溶液6、2μm チアゾビビンを含む300mMソルビトール
【0054】
細胞溶液:
25cm2ペトリ皿に入れた90%集塊のヒトIPS細胞(実施例2に示した技術を用いて、初代皮膚フィブロブラスト;ノーマル、成人ATCC(登録商標)PCS-201-012(商標)およびCytoTune(商標)-iPS 2.0 Sendai Reprogramming Kit(商品番号A16517)から得た)を用いて推奨される体積にする。以下のすべての工程はヒドロゲル・シェルがカルシウム浴中で架橋するまで4℃で行った。
【0055】
工程1:細胞を溶液1で濯ぐ。10分間~1時間待つ。10分間~1時間待つ。
工程2:4mLの溶液2で2回濯ぐ。
工程3:慎重に溶液を吸引する。
工程4:細胞を4mLの溶液3で5~10分間培養する。
工程5:2mLの溶液4+および先端幅広ピペットを用いて細胞を脱着してせん断応力を減少する。
工程6:細胞懸濁液を360gで5分間遠心する。
工程7:上清を吸引する。
工程8:0.5mLの溶液4+で再懸濁する。
工程9:360gで再遠心し、上清を吸引する。
工程10:細胞ペレットを70μLの溶液5および100μLの溶液6(ペレットの体積は30μLとする)に再懸濁する。細胞溶液は使用できる。
【0056】
カプセル封入:
カプセル封入装置は、Alessandriら,2016(“A 3D printed microfluidic device for production of functionalized hydrogel microcapsules for culture and differentiation of human Neuronal Stem Cells(hNSC)”, Lab on a Chip, 2016, vol. 16, no. 9, pp. 1593-1604)に記載されているように調製する。
【0057】
要約すると、装置の異なる部品は滅菌し(オートクレーブによって);3の必要な溶液を3のシリンジポンプに負荷し;i)蒸留水中の2質量%アルギネート溶液(PRONOVA(登録商標)SLG100、ii)中間溶液(300mMソルビトール)、iii)細胞溶液(先の工程で調製したもの);3の溶液は、外側層がアルギネート溶液でコアが細胞溶液である液滴に壊れる噴出物を形成する液滴に壊れるマイクロ流体インジェクターを用いて同心円状に同時射出し;これらの液滴はアルギネート溶液を固化してシェルを形成するカルシウム浴(100mMで)に収集する。
【0058】
細胞ミクロコンパートメントの単分散性を改善するために、アルギネートを+2kV DC電流で充電した。直径2cmのマスリングを、マイクロ流体インジェクターから射出される噴流の軸に対して垂直な面の先端から500μmに設置して、電界を発生させる。
これらのカプセル封入条件下では、Matrigel(登録商標)層が自発的に形成することは注記すべきである。
【0059】
カプセル封入後の処理:
工程1:カプセは40μm細胞シーブで収集し、ついで溶液1で濯いだ後に20mLの溶液4+を入れた75cm2フラスコに保存する。
工程2:フラスコは37℃および5%CO2のインキュベーター中に12h保存する。
工程3:培地を溶液4に変えて包嚢を形成させる。
工程4:24~72時間後、数十の細胞の包嚢がカプセルに形成される。細胞ミクロコンパートメントは、5~10日間後に成熟する。
【0060】
実施例2:ヒトフィブロブラストから細胞ミクロコンパートメントを得るプロトコール
使用溶液:
溶液1、DMEMF12培地ベース
溶液2、マグネシウムおよび添加カルシウムを含まないPBS
溶液3、トリプシン EDTA細胞脱着緩衝液
溶液4、フィブロブラスト培養培地:DMEM培地ベース中の10%ヒト血清
溶液4+、2μm チアゾビビンを補充した溶液4
溶液5、Matrigel(商標)
溶液6、2μm チアゾビビンを含む300mMソルビトール
【0061】
細胞溶液:
低密集度のヒトフィブロブラスト(初代皮膚フィブロブラスト;ノーマル、ヒト成人(ATCC(登録商標)PCS-201-012(登録商標))の25cm2ペトリ皿を用いて、推奨体積(1~2百万の細胞)に合わせる。以下の工程のすべては、以下のすべての工程は、シェルがカルシウム浴中で架橋するまで4℃で行った。
工程1:細胞を溶液2で濯ぐ。
工程2:溶液を慎重に吸引する。
工程3:細胞を4mLの溶液3で5~10分間、培養する。
工程4:2mLの溶液4+および先端幅広ピペットを用いてせん断応力を減少して細胞を脱着する。
工程6:細胞懸濁液を360gで5分間遠心する。
工程7:上清を吸引する。
工程8:0.5mLの溶液4+で再懸濁する。
工程9:360gで再度遠心し、上清を吸引する。
工程10:細胞ペレットを90μLの溶液5および100μLの溶液6に再懸濁する(ペレット程11:“CytoTune(登録商標)-IPS 2.0 Sendai Reprogramming Kit”(リプログラミング・ウイルスを含む)の内容物の1/10を6-ウェルプレートに添加する。細胞溶液は使用できる。
【0062】
カプセル封入:
カプセル封入は、実施例1のプロトコールに従って行う。
【0063】
カプセル封入後の処理:
工程1:カプセルは40μm細胞シーブを用いて取集し、溶液1で濯いだ後、75cm2フラスコに保存する。
工程2:フラスコは、37℃および5%CO2のインキュベーター中、24時間維持する。
工程3:培地は毎日交換する。各カプセルには、カプセル形成時に1~10個のフィブロブラストが含まれる。リプログラミング・ウイルスは約0.2%の形質転換効率を有する。したがって、大部分のカプセルは、存在するとしても、非常に少ないリプログラム細胞しか含まない。包嚢は15~40日後に形成し始める。フィブロブラストは長細い形状を有し、包嚢を形成しない。よって、形成されたすべての包嚢は、IPS細胞から形成される。
細胞密度が、一千~数千細胞/ミクロコンパートメント、好ましくは50~1000細胞/ミクロコンパートメントである、請求項1~4のいずれか1項に記載の細胞ミクロコンパートメント。
前記細胞外マトリクス層が、a)α1、α4またはα5サブユニット、b)β1またはβ2サブユニット、およびc)γ1またはγ3サブユニットを含むラミニンを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の細胞ミクロコンパートメント。
(a’)工程(b)の前に、好ましくは酵素を含まない試薬によって、工程(a)からの多能性幹細胞を分離することからなる中間工程を含む、請求項11に記載のミクロコンパートメントの調製方法。
請求項11に記載の工程(f)で得られた細胞ミクロコンパートメントを冷凍することからなる続く工程を含む、請求項11~13のいずれか1項に記載の細胞ミクロコンパートメントの調製方法。