(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150593
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】平板電極
(51)【国際特許分類】
A61N 1/04 20060101AFI20241016BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
A61N1/04
A61N1/36
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024114897
(22)【出願日】2024-07-18
(62)【分割の表示】P 2021500877の分割
【原出願日】2019-07-16
(31)【優先権主張番号】NC2018/0007478
(32)【優先日】2018-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CO
(71)【出願人】
【識別番号】520167759
【氏名又は名称】パナシア・クワンタム・リープ・テクノロジー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ・ハビエル・ベラスコ・バルケ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】組織電気刺激のための電極、ならびに組織電気刺激の方法および電極を使用してそのような組織に物質を投与する方法に関する。
【解決手段】電極は、第1の導電板1と、第1の導電板を取り囲む第2の導電板2とを備え、互いから隔てられている。活性化信号が電極の第1の導電板に加えられて、組織内に電流を誘導し、かつ電極の第2の導電板に電位を印加する電場を生成して、第1の導電板に対する電位差を獲得し、この場合、第2の導電板の電位は、第1の導電板によって誘導された電流を導電板と接触している組織の表面を貫通するようにさせ、誘導された電流が組織の表面を流れるのを阻止する。加えて、電極を使用してイオン帯電物質を供給するため、組織上に物質を配置するステップを含み、十分な力と持続時間を備えた電場を加えることによって、組織細胞壁を一時的に透過性にし、組織細胞を損傷することなく、物質がそこを通過することを可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 第1の導電板と、
- 前記第1の導電板を取り囲み、前記第1の導電板と共に電位バリアを確立する第2の導電板とを備える組織電気刺激電極であって、
前記第1の導電板と前記第2の導電板は、互いから隔てられており、前記電位バリアは、前記第2の導電板によって印加される前記電位によって形成される電場強度を有する組織の領域に相当し、これは、前記第1の導電板に対する電荷の符号によって決まる方向での帯電粒子の通行を妨害する、組織電気刺激電極。
【請求項2】
前記導電板の少なくとも一方はスポンジで作製される、請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記第2の導電板に対する少なくとも1つの追加の導電板が存在する、請求項1に記載の電極。
【請求項4】
前記第1の導電板と前記第2の導電板との間にスポンジが存在する、請求項1に記載の電極。
【請求項5】
前記スポンジはイオン帯電物質を含む、請求項4に記載の電極。
【請求項6】
前記第1の導電板および前記第2の導電板が、スポンジ層を備えた導電層で構成される、請求項1に記載の電極。
【請求項7】
前記電極本体は、前記第1の導電板および前記第2の導電板を支持する絶縁材料の層で構成される、請求項1に記載の電極。
【請求項8】
前記第1の導電板および前記第2の導電板は、絶縁材料で被覆される、請求項1に記載の電極。
【請求項9】
前記第2の導電板の周りに、少なくとも1つの追加の導電板があり、これが、前記第2の導電板を同心になるように取り囲む、請求項1に記載の電極。
【請求項10】
組織電気刺激機械の中で使用するための、請求項1に記載の電極。
【請求項11】
前記導電板の少なくとも一方が、イオン帯電物質を含むスポンジで作製される、請求項1に記載の電極。
【請求項12】
前記イオン帯電物質は、医薬品である、請求項11に記載の電極。
【請求項13】
組織電気刺激電極を使用して組織内に電流を誘導する方法であって、
以下のステップ、
A)
- 第1の導電板と、
- 前記第1の導電板を取り囲み、前記第1の導電板と共に電位バリアを確立する第2の導電板とを含み、前記第1の導電板と前記第2の導電板が、前記組織上で、前記導電板が前記組織と接触した状態で、互いから隔てられている
組織電気刺激の前記電極を位置決めするステップと、
B)前記電極の前記第1の導電板に活性化信号を加えて、電流を前記組織内に誘導する電場を生成するステップと、
C)前記電極の前記第2の導電板に電位を印加することで、前記第1の導電板に対する電位差を獲得するステップとを含み、
前記第2の導電板の前記電位は、前記第1の導電板によって誘導された前記電流が、前記導電板と接触している前記組織の表面を貫通するようにさせ、前記誘導された電流が前記組織の前記表面を通って流れるのを阻止する、方法。
【請求項14】
ステップA)の前に、物質が前記組織の上に配置され、ステップB)において、前記電極が、準備された前記物質の上に配置され、ステップB)の前記電場は、組織細胞を損傷することなく、前記物質がそこを通過することを可能にするために組織細胞壁を一時的に透過性にするのに十分な強度と、耐久性を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ステップB)で加えられる前記活性化信号は、0.1Hzから50MHzの間の周波数および1Vから24Vの間の電圧変動を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
ステップB)で加えられる前記活性化信号は、0.1Hzから500kHzの間の周波数および1Vから24Vの間の電圧変動を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
ステップB)の前記電場は、2V/cmから5V/cmの間の強度を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記物質はイオン帯電され、この場合、前記電場は、前記物質の電荷と等しい、またはそれより大きい、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記物質は、前記組織に注入される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
2つ以上の電極が身体の異なる部分に配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
組織電気刺激電極を使用してイオン帯電物質を組織内に投与する方法であって、以下のステップ、
a)前記イオン帯電物質を前記組織の上に配置するステップと、
b)
- 第1の導電板と、
- 前記第1の導電板を取り囲み、前記第1の導電板と共に電位バリアを確立する第2の導電板とを含み、前記第1の導電板と前記第2の導電板が、前記組織の表面上で、前記導電板が前記組織と接触した状態で、互いから隔てられている
組織電気刺激の前記電極を位置決めするステップと、
c)前記電極の前記第1の導電板に活性化信号を加えて、電流を前記組織内に誘導する電場を生成するステップと、
d)前記電極の前記第2の導電板に電位を印加することで、前記第1の導電板に対する電位差を獲得するステップとを含み、
ステップc)の前記電場は、組織細胞を損傷することなく、組織細胞壁を一時的に透過性にして、前記イオン帯電物質がその中に入って行くことを可能にするのに十分強力であり、かつ十分耐久性がある、方法。
【請求項22】
ステップc)で加えられる前記活性化信号は、0.1Hzから50MHzの間の周波数および1Vから24Vの間の電圧変動を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
ステップc)で加えられる前記活性化信号は、0.1Hzから500kHzの間の周波数および1Vから24Vの間の電圧変動を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
ステップc)の前記電場は、2V/cmから5V/cmの間の強度を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記電場は、前記イオン帯電物質の電荷と等しい、またはそれより大きい、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記イオン帯電物質は、前記組織に注入される、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
2つ以上の電極が身体の異なる部分に配置される、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記導電板の少なくとも一方が、イオン帯電物質を含むスポンジで作製される、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の導電板と前記第2の導電板との間にスポンジが存在する、請求項21に記載の電極。
【請求項30】
前記スポンジはイオン帯電物質を含む、請求項29に記載の電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極に関し、詳細には、組織に電気インパルスを送信するために平板電極を備えた、および任意選択で、互いに重なり合う、または一方の極板が他方の極板を取り囲む同心円である平板電極を備えた電極に関する。
【背景技術】
【0002】
第1の電極の発明は、新たな非侵襲の方法の進歩および開発をもたらしたため、可能な限り非侵襲でありながら、組織のより優れた電気刺激を可能にするより優れた電極を開発する関心および必要性があることは明白である。
【0003】
例えば、医学的治療としての電気刺激を利用する神経の治療は、てんかんなどの疾患を治療する際に好ましい結果を示している。しかしながらこのような組織を刺激するためには、多くの場合、侵襲的技術を使用する必要があり、これは、神経組織を取り囲む組織、例えば頭蓋の皮膚および骨が神経組織の電気刺激に対する防壁の代わりを務めるためである。これらの侵襲的技術は効果的であるが、術後の回復時間を長引かせ、これが理由で、神経細胞を取り囲む組織、および一般には刺激すべき対象の組織を取り囲む組織を経頭蓋の非侵襲方法で刺激することが可能な技術の開発における進歩が今のところ求められている。
【0004】
さらに、当技術は、科学論文PMC3606894 Epilepsy Behav.2013 Apr;27(1):154-158、ならびに欧州特許第2493374B1号および米国特許第6135953A号によって開示されるものなどの組織電気刺激電極を開示している。
【0005】
科学論文PMC3606894 Epilepsy Behav.2013 Apr;27(1):154-158は、頭蓋を通るように電気信号を伝達することによって、脳を刺激する非侵襲の代替方法として、三極同心円電極を示している。この論文の電極は、2つの同心円を使用して機能し、この同心円は、テストが示すように、具体的には記憶形成における脳の活動を変えることなく、頭蓋の下に刺激信号を集中させてよい。
【0006】
欧州特許第2493374B1号は、中心のリング形状の極板および同心のリング形状の極板の直径に関する特有の範囲に従う構造パラメータを有する同心円電極を示している。電極は、刺激信号を組織に集中させることを可能にするために、少なくとも2つの同心円によって囲まれた中心ノードを有する。
【0007】
さらに、異なる数の極を備えた他の電極も、信号刺激および測定のために開発されてきた。米国特許第6135953A号に示される電極は、導電板を有し、異なる方法で配列されており、詳細には、本発明の実施形態の1つでは、第1の電極は、中央に間隙を有して示され、第2のより小さな電極がそこに嵌まっている。第1の電極は、分散板として使用され、これは、電気手術中、患者の体内を通って循環する電流のためのリターン電極として機能し、これにより、より小さな接触面を有する第2の電極上に集中した電流を分散板の相対的により大きな表面にわたって拡散させ、平方センチメートル当たりの電力を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第2493374B1号
【特許文献2】米国特許第6135953A号
【特許文献3】第NC2017/000264号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】科学論文PMC3606894 Epilepsy Behav.2013 Apr; 27(1):154-158
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、当技術は、同心円を備えた電極を開示しているが、組織に誘導される電流が組織の表面に分散されるのを阻止する電位バリアを備えた同心円については言及していない。この理由のために、当分野で知られる電極は、それらが組織の継続的な刺激ができず、このことが治療の期間を長引かせ、かつ治療が施されている器官への不快感を生じさせる可能性のある組織の加熱を長引かせ、さらには組織を損傷するリスクさえあるため、組織を適切に刺激することができない。従来技術は、同心円を導電板と結合させて維持することを奨励しており、これが、中心導電板の周りの表面の電位バリアとして電位の印加を阻止する。
【0011】
本開示は、組織電気刺激電極に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
詳細には、電極は、第1の導電板と、第1の導電板を取り囲む第2の導電板とを備え、第1の導電板と第2の導電板は、互いから隔てられて示されている。
【0013】
組織電気刺激の電極を利用して組織内に電流を誘導するための方法も開示されており、方法は、以下のステップ、すなわち、A)第1の導電板と、第1の導電板を取り囲む第2の導電板とを含み、第1の導電板と第2の導電板は、組織と接触した状態で、それら間が隔てられている組織刺激電極を位置決めするステップと、B)電極の第1の導電板に活性化信号を加えて、組織内に電流を誘導する電場を生成するステップと、C)電極の第2の導電板に電位を印加して、第1の導電板に対する電位差を獲得するステップとを含み、この場合、第2の導電板の電位は、第1の導電板によって誘導された電流が、導電板と接触している組織の表面を貫通するようにさせ、誘導された電流が組織の表面を通って流れるのを阻止する。
【0014】
さらに、電極を通してイオン帯電物質を送達する方法が本明細書に開示されており、これは以下のステップ、すなわち上記の方法のステップA)の前に、物質が組織の上に配置されるステップと、ステップB)において、電極が、準備された物質の上に配置されるステップとを含み、ステップB)の電場は、組織細胞を損傷することなく、物質がそこを通過することを可能にするために組織細胞壁を一時的に透過性にするのに十分に強力であり、十分に耐久性がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の一形態の図と、その詳細な断面図である。
【
図2】物質が第1の導電板と接触している、開示の実施形態の図である。
【
図3】導電材料の層と、スポンジの層とを備える、開示の実施形態の図である。
【
図4a】両方の導電板が、導電材料とスポンジの組合せで作製される電極構成を示す図である。
【
図4b】第1の導電板が導電材料で完全に作製され、第2の導電板はスポンジで作製される、電極構成を示す図である。
【
図4c】2つの導電板がスポンジで完全に作製される、電極構成を示す図である。
【
図4d】第1の導電板がスポンジで完全に作製され、第2の導電板は導電材料で作製される、電極構成を示す図である。
【
図4e】第1の導電板が導電材料で完全に作製され、第2の導電板は、導電層とスポンジの槽で構成される、電極構成を示す図である。
【
図4f】第1の導電板が導電材料とスポンジの組合せで作製され、第2の導電板は、導電材料で構成される、電極構成を示す図である。
【
図5】導電板の間に間隙にスポンジを備えた、開示の実施形態の図である。
【
図6A】第1の導電板が2つの導電板を備える、開示の実施形態の一例の図である。
【
図6B】第1の導電板が3つの導電板を備える、開示の実施形態の一例の図である。
【
図7A】第1の導電板と、第2の導電板が互いに重なり合う開示の実施形態の一例を示す等角図である。
【
図7B】導電板が内接する平面に直交する、第1の導電板と第2の導電板が互いに重なり合う、開示の実施形態の一例を示す正面図である。
【
図7C】第1の導電板と第2の導電板が互いに重なり合い、誘電体によって隔てられている、開示の実施形態の一例を示す左側面図である。
【
図7D】第1の導電板と第2の導電板が互いに重なり合い、接触している、開示の実施形態の一例を示す左側面図である。
【
図8】組織電気刺激電極を使用して電流を組織の中に誘導するための方法のフローチャートである。
【
図9】組織電気刺激電極を使用して物質を組織に投与するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示は、有機組織を電気的に刺激するための電極および方法、ならびに電極を利用して有機組織内に電流を誘導するための方法、および電極を利用して有機組織に物質を投与するための方法について言及している。
【0017】
本開示において、有機組織または組織は、単一の分類の1つまたは複数の細胞、または複数の種類の細胞からなる生物の生物学的組織を指しており、このような細胞は器官または有機体を形成する。組織は、中でもとりわけ上皮組織、結合組織、筋肉組織、神経組織など、健康な組織であってよい。組織はまた、全体的または部分的な生化学的不均衡さを備えた組織であってもよく、これは、良性新生物組織、悪性腫瘍性組織またはホメオスタシスの範囲を超える任意の細胞に相当する可能性がある。また、組織は、生体内細胞、またはそのような細胞の生体内環境への移植の前に相当する場合もある。任意選択で、組織は、生体外環境にある細胞、例えば試験管内細胞を指す場合もある。
【0018】
組織は、動物由来であってよく、これは限定せずに、ほ乳類、鳥種(中でもとりわけ、ニワトリ、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒルを含める)、魚、甲殻種(中でもとりわけエビ、ロブスター、ザリガニ)およびは虫類(中でもとりわけクロコダイルおよびアリゲータなど)を含む。用語「ほ乳類」は、この文書で使用される際、ヒト、ヒト以外の霊長類、例えば、カニクイザル、チンパンジー、ヒヒおよびゴリラなど、ウマ種、ウシ種、ブタ種、ヤギ種、イヌ種、ネコ種、ヒツジ種、ウサギ、ラマを含めた家畜および農場動物、ウシ亜科の動物、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギなどの有蹄類、イヌ科の動物、ネコ科の動物、ネズミ科の動物、ウサギ、および中でもとりわけテンジクネズミ、ハムスターおよびラットなどのげっ歯類を含めたほ乳類として分類されるいずれかの種を指す。
【0019】
図1を参照すると、本開示における電極の一実施形態が例示されており、その詳細を有する断面図も示されており、そこでは、電極は、第1の導電板(1)と、第1の導電板(1)を取り囲む第2の導電板(2)とを備え、第1の導電板(1)と第2の導電板(2)は、間隙(3)によって互いから隔てられている。
【0020】
他の実施形態では、間隙(3)は、ガス(3a)が占めており、このガスは、空気、二酸化炭素アセチレン(C2H2)、二酸化炭素(CO2)、一酸化炭素(CO)、塩素(Cl2)、水素(H2)、塩化水素(HCl)、メタン(CH4)、亜酸化窒素(N2O)、プロパン(C3H8)、二酸化硫黄(SO2)などの工業用ガス、およびアルゴン(Ar)、窒素(N2)、酸素(O2)などの空気ガスで形成される群から選択される。
【0021】
任意選択で、電極は、互いから電気的に絶縁され、誘導された電流を組織の中に押しやるための電位バリアの形成を可能にする導電板(1)および(2)を有し、電位バリアは、この後に説明する。電極の別の特有の実施形態では、導電板(1)および(2)は互いに対して電気的に接続される。
【0022】
本開示の電極は、材料の組合せから製造されてよく、電極の一方の部分はスポンジで構成され、他方の部分は、固体導電金属を含む(1aおよび2a)。よって、第1の導電板(1)および第2の導電板(2)は、限定ではなく、中でもとりわけ、亜鉛、マグネシウム、スズ、アルミニウム、銀、プラチナ、銅、金、アルミニウム、鉄、鉛、水銀、ニクロム、ニッケル、クロム、炭素、インジウム、ガリウム、グラファイトおよびそれらの組合せからなる群から選択される導電材料から製造される。
【0023】
特定の電極の実施形態では、第1の導電板(1)は、
図6Aおよび
図6Bに示されるように電極アレイであってもよい。
【0024】
電極板は、
図1から
図5までのように、円形であり、同心円状に構成されてよい、または
図6Aおよび
図6Bに示されるように内側に構成されてもよい、または
図7Aから
図7Dまでの図面に示されるように互いに重なり合あって構成されてもよい。また、例示されない実施形態では、電極の導電板(1)および(2)は、互いに対する割線である、すなわちそれらは互いを切り離す。
【0025】
例示されない別の実施形態では、互いに対する割線である導電板(1)および(2)は、割線であるにも関わらず、電気的に絶縁されてもよく、そのため組織を刺激するのに使用される際の導電板(1)および(2)は両方とも、各導電板(1および2)のために独立した活性化信号を有する方法を用いて組織と接触してよく、
図7Aから
図7Dの図面に例示される実施形態と比べて、組織の刺激の効率を高める。
【0026】
しかしながら、導電板(1)および(2)は、以下に記載されるように異なる幾何学的形状を有する場合がある。
【0027】
一方、電極の寸法は、0.001cmから1メートルの間であってよく、それは、刺激される組織の寸法に応じて変動するため、この範囲に限定されない。任意選択で、電極の寸法は、0.001cmから40cmの間である。
【0028】
特定の実施形態では、導電板(1)および(2)が互いに重なり合うとき、それらは、
図7Bおよび
図7Cに示されるように誘電体(9)を利用して互いから電気的に絶縁されてよい。また、導電板(1)および(2)は、導電板が接触する領域内で電気的に接続されてもよい。
【0029】
図7Bを参照すると、電極の一実施形態が、導電板(1)および(2)が内接する面に直交する正面図で示される。例示の実施形態では、導電板(1)および(2)は円形であり、互いに重なり合っているが、誘電体(9)によって隔てられている。
【0030】
図7Cを参照すると、
図7Bに例示される電極の実施形態が左側面で示されている。
【0031】
図7Cを参照すると、導電板(1)および(2)は互いと電気的に接触している、
図7Bに例示される電極の実施形態の変形形態が左側面図で例示されている。
【0032】
異なる電極形状、寸法および構成により、実施上の理由のために、例えば、感度が高いなど刺激すべきではない組織領域、または刺激の必要性がない組織の健康な領域を刺激せずに、効果的な組織の刺激を可能にする。電極の異なる形状を、以下に開示される方法と併せることで、組織内に誘導される電流を制御することが可能になる。
【0033】
本開示の電極の実施形態では、電極は、スポンジを含み、これは、導電性であっても、導電性でなくてもよく、この場合、第1の導電板(1)および/または第2の導電板(2)は、スポンジで作製される。導電体として機能するためのスポンジに関して、スポンジを湿らせ、電気の伝導を可能にする導電性液体またはゲル(6)、例えば、希釈した電解質を含む液体が必要とされることに留意されたい。よって任意選択で、スポンジで作製された電極は、導電性液体またはゲル(6)で湿らされ、そうして電極を湿らせる液体およびゲルは、電極と刺激すべき組織との間の電気接触を確立するのに貢献する。スポンジはまた、組織に投与される物質を貯蔵することもでき、この手順はこの後に詳細に説明する。
【0034】
本開示の実施形態では、第1の導電板(1)はスポンジで作製されてよく、第2の導電板(2)は導電材料で作製される。他の組合せも可能であり、また同一の開示の一部として理解されるべきであり、例えばリング形状の導電板(2)がスポンジ、例えば天然スポンジまたは合成スポンジで作製される場合がある。第1の導電板(1)および第2の導電板(2)の両方が、スポンジで作製されることもあり得る。
【0035】
図3を参照すると、本開示の一例において、電極の本体は、誘電材料の層(9)を備え、その上に第1の導電板(1)および第2の導電板(2)が配列され、そうして、それらは所定の位置に固定される。
【0036】
任意選択で誘電材料の層(9)は、その上に電極が構築される支持体として機能し、またそれは、中でもとりわけ、ガラス、セラミック、ゴム、マイカ、ワックス、紙、乾燥した木、磁器、ベークライトおよびそれらの組合せによって形成される群から選択された誘電体で作製される。
【0037】
誘電材料のこのコーティング(9)はまた、それが被覆する導電板(1および2)の酸化も防ぐ。加えて、誘電材料のこのコーティング(9)はまた、電極を刺激すべき組織から電気的に切り離すことも可能にする。電極を刺激すべき組織から電気的に切り離すことは、それを損傷する可能性のある放電から組織を保護するのに有益である。
【0038】
本開示の理解のために、電気的に切り離すことは、2つの電気回路の接続を断つことに相当することを理解されたい。
【0039】
電極の別の任意選択の実施形態では、導電板(1)および(2)は、導電板(1)および(2)が空気または酸化ガスと接触するときに劣化または酸化するのを防止する保護材料によって被覆される。
【0040】
導電板(1)および(2)は、中でもとりわけ、矩形、円形、楕円形、平行四辺形、菱形などの二次元形状、または球形、円筒形、多面体、角柱、回転環状体などの三次元形状、またはそれらの組合せによって形成される群から選択される形状を有する。導電板(1)および(2)は、同じ形状を有してもよい、またはその間で異なる形状を有する場合もある。
【0041】
あるいは、電極の導電板(1)および(2)は、電気的に絶縁された同心円であり、言及した同じ方法で作用し、この場合、少なくとも1つの追加の導電板が第2の導電板(2)の周りに同心になるように配置される、すなわち2つ以上のリングを第1の導電板(1)の周りに形成する。任意選択で同心円は、互いに対して電気的に接続される。
【0042】
あるいは、第1の導電板(1)は、商業的に入手可能な電極であってよく、これは、ベースとして使用される絶縁材料層(9)の中間に配置され、第2の導電板(2)は、それが、互いに接することなく、第1の導電板(1)を取り囲むように配置される。
【0043】
開示される電極の別の任意選択の実施形態では、第1の導電板と第2の導電板(2)との間に、誘電材料(9)が設けられる。誘電材料(9)によって、より高い電圧を導電板(1)と(2)との間に到達させることが可能になり、そのため、より深いところに位置する組織、例えば動物の腹の領域を覆う皮膚組織の下の特定の深さに位置する腎臓の組織などが刺激されてよい。
【0044】
図6Aを参照すると、開示の実施形態の一例が例示されており、そこでは、第1の導電板(1)は、2つの導電板(1Aおよび1B)を備える。
【0045】
図6Bを参照すると、開示の実施形態の一例が例示されており、そこでは、第1の導電板(1)は、3つの導電板(1A、1Bおよび1C)を備える。
【0046】
図2を参照すると、開示の別の形態では、例えばゲルまたはヒドロゲルである物質(6)を使用して、第1の導電板(1)または第2の導電板(2)、あるいはその両方を、それらの間の電気的絶縁を維持しつつ、組織と接触させる。
【0047】
電位バリアもまた、第2の導電板(2)を通るように適用されてよく、電気信号が、第1の導電板(1)によって誘導される。電位バリアは、第2の導電板(2)によって印加される電位によって形成される電場強度を有する組織の領域に相当し、これは、電荷信号によって決まる方向での帯電粒子の通行を妨害する。
【0048】
一方、特定の実施形態において、電極の使用に関して、電極と組織との間を接触させるのに導電ゲルまたはヒドロゲル(6)が使用され、このヒドロゲルは、組織表面の抵抗を低減することを理解すべきである。
【0049】
間隙(3)は、誘電体(9)として機能するために空気のない状態で残されてよい、または既知の商業的に入手可能な誘電体(9)を使用して極板を互いから隔てて維持してもよい。間隙(3)は、中でもとりわけ、紙およびポリ塩化ビニル(PVC)基、琥珀、ベークライト、7740パイレックス(登録商標)ガラス、ナイロン、シリコーン、ポリエチレン、ポリスチレン、磁器、ゴム、ネオプレン、テフロン(登録商標)、酸化チタニウムまたはそれらの組合せからの誘電体で満たされてよい。
【0050】
図5を参照すると、導電板(1)と導電板(2)との間の間隙(3)の中にスポンジ(3b)を有する拡張実施形態の図が例示されている。
【0051】
スポンジ(3b)は、導電板(1)と導電板(2)との間の誘電体(9)として機能し、任意選択でそれは、同一の電極の同一の極板のための支持体として機能する。スポンジ(3b)の利点の1つは、それを使用して、本開示の方法を用いてその後組織に投与される物質を吸収することができることである。
【0052】
任意選択で特有の実施形態では、スポンジ(3b)を液体乾燥剤で湿らせ、この液体乾燥剤から、この後に記載されるように活性化信号によって命じられる電場、および本開示の電極に与えられる電位を利用して吸着物質が取り出され、そして、液体乾燥剤から取り出された物質はその後組織に投与される。組織に投与された物質は、組織への電気伝導を高めるような働きをする。
【0053】
導電板(1)および(2)は、スポンジで作製されてよく、このスポンジは、ゲルまたは導電性液体(6)で湿らされ、この液体は食塩水であり得る。
【0054】
任意選択で、開示される電極は、イオン電気導入法で作動されてよい。同様にこの文書は、組織の電気刺激の改善された方法を達成する同心電極を利用する刺激方法を提示する。
【0055】
第1の導電ボード(1)および第2の導電ボード(2)は、活性化信号を生成する装置、例えば、2017年11月17日提出された出願第NC2017/000264号に記載されるような磁性機能生成器に接続されてよい。よって、第1の導電ボード(1)は、その用途に従って、中でもとりわけ信号生成器、測定装置、組織刺激装置、電気マッサージ器、例えばデータ取得回路基板のアナログデジタル回路またはコントローラからなる群から選択される装置に接続される。
【0056】
例えば、信号生成装置に電気的に接続されるべき、またはコンピュータユニットに直接接続されるべき第1のキャリア板(1)と第2のキャリア板(2)の場合、このような極板は、用途がそれを必要とするならば、互いから隔離されてよい、または互いに電気的に接続されてもよい。
【0057】
図3を参照すると、他の実施形態では、空気間隙(3a)によって隔てられて、絶縁材料の同じ層(9)の上に置かれた第1の導電板(1)および第2の導電板(2)の両方が、第1の導電板(1)のスポンジ層(1b)と、第2の導電板(2)のスポンジ層(2b)も有する。
【0058】
図4aから
図4fを参照すると、本開示の導電板(1)および(2)ならびに電極スポンジの異なる構成が例示されている。
【0059】
図4aを参照すると、導電板(1)および(2)の両方が、導電材料(1aおよび2a)とスポンジ(1bおよび2b)の組合せで作製される電極構成が示される。
【0060】
図4bを参照すると、第1の導電板(1)が全部導電材料(4b)で作製され、第2の導電板(2)がスポンジ(2b)で作製される電極構成が示される。
【0061】
図4cを参照すると、2つの導電板(1)および(2)が全部スポンジ(1bおよび2b)で作製される電極構成が示される。
【0062】
図4dを参照すると、第1の導電板(1)が全部スポンジ(1b)で作製され、第2の導電板(2)が導電材料(2a)で作製される電極構成が示される。
【0063】
図4eを参照すると、第1の導電板(1)が全部導電材料(1a)で作製され、第2の導電板(2)が導電層(2a)と、スポンジ層(2b)で構成される電極構成が示される。
【0064】
図4fを参照すると、第1の導電板(1)が導電材料(1a)とスポンジ(1b)の組合せで作製され、第2の導電板(2)が導電材料(2a)で作製される電極構成が示される。
【0065】
【0066】
図4aから
図4fのこのような実施形態では、スポンジ(1bおよび2b)は、スポンジ(1bおよび2b)を通る電気伝導を可能にする導電物質(6)で湿らされ、また組織の表面の電気抵抗を低減する。導電材料(1aおよび2a)に加えて。
【0067】
あるいは、スポンジ(1bおよび2b)は、イオン電気導入法などの技術によって投与されるべきイオン帯電物質で湿らせることもできる。本明細書に記載される電極の形状により、その機能は、電気信号の取得または管理に限定されず、例えば、イオン電気導入法を利用する組織への薬物投与の方法が採用されてもよい。
【0068】
よって、開示される電極によって、物質は、電気泳動法、電気浸透のプロセスを通して組織の表面を通過するように伝えられる、または電場を有する組織の表面の透過性を高めるために伝えられる、またはその組合せであってもよい。
【0069】
物質はいずれの薬物であってもよい。
【0070】
また、開示される電極は、本明細書に開示される物質投与の方法と併せて、組織に物質を投与するのに使用され、これらの物質は、水中に溶解したとき遊離イオンを生成し、電気を伝えるイオン帯電溶液を生み出す強力な電解質であり得る。水中に溶解した物質は、中でもとりわけ塩、硝酸、塩酸、水酸化ナトリウム、硫酸銅液、塩化ナトリウム、溶融金、溶融アルミニウムおよびそれらの組合せによって形成される群から選択される。
【0071】
イオン電気導入法に関して、信号が第1の導電板(1)に加えられ、そこで、それは、2V/cmから5V/cmの間の範囲の電場強度、および0.1Hzから50MHzの間の周波数、好ましくは0.1Hzから500kHzの間の周波数を生成する。
【0072】
任意選択で、組織にイオン的に投与されるべき物質のために、電場強度は、物質のイオン電荷を超える必要がある。
【0073】
あるいは、スポンジ(1b)、スポンジ(2b)またはスポンジ(3b)を有する、スポンジを利用する全ての実施形態において、このようなスポンジは、透過性の膜を備えた貯蔵槽で置き換えられる。この貯蔵槽は、イオン帯電物質をこれまでに吸着した固体ゲルまたは乾燥剤を収容するように機能する。
【0074】
物質を投与する方法を使用することで、電場を使用して、組織に投与されるように固体乾燥剤によって吸着された液体を取り出す、または再生することが可能である。導電板(1)および(2)を活性化するのに使用される活性化信号に従って、乾燥剤からのイオン帯電物質の放出量が調整され、組織内に投与される。
【0075】
図8を参照すると、組織電気刺激電極を使用して電流を組織に誘導するための方法のフローチャートが例示されており、そこでは、方法(100)は、以下のステップ、すなわち
(101)A)第1の導電板(1)と、第1の導電板(1)を取り囲む第2の導電板(2)とを含み、第1の導電板(1)と第2の導電板(2)は、組織の上で、第1の導電板(1)および第2の導電板(2)が組織と接触している状態で、それらの間が隔てられている組織電気刺激電極を位置決めするステップと、(102)B)電極の第1の導電板(1)に活性化信号を加えて、組織内に電流を誘導する電場を生成するステップと、(103)C)電極の第2の導電板(2)に電位を印加して、第1の導電板に対する電位差を獲得するステップとを含み、この場合、第2の導電板の電位は、第1の導電板(1)によって誘導された電流を導電板(1)および(2)と接触している組織の表面を貫通するようにさせ、誘導された電流が組織の表面を通って流れるのを阻止する。電極が構築される方法によって、組織の下での組織の刺激が可能になる。
【0076】
一例では、ステップB)およびステップC)の両方において、活性化信号の適用および電位の印加は、導電ボード(1および/または2)の電力供給源の端子に電圧を提供することに相当し、この電圧は、時間的に固定されても、または変動してもよい。
【0077】
導電板(1)および(2)が電気接触している場合、組織を刺激する電場を形成するために単一の活性化信号または電位が必要とされる。
【0078】
導電板(1)および(2)が電気的に接続されない、または電気的に絶縁されている実施形態では、各導電板(1および2)のために複数の活性化信号が使用されてよく、それが電位バリアとして機能することを可能にする。
【0079】
その導電板(1)および(2)上で電極に加えられる活性化信号は、位相がずれていてもよい、または異なる周波数を有してもよい。例えば、開示されるものなどの電極は、2000Hzの周波数および20Vの電圧を有する活性化信号が第1の導電板(1)に加えられ、第2の導電板(2)では、2020Hzの周波数および24Vの電圧を有する電位が印加される。
【0080】
任意選択で、第2の導電板(2)に印加される電位は、活性化信号が正である場合、正であり、活性化信号が負である場合、負である。
【0081】
開示される方法の一実施形態では、活性化信号は、交流電流信号または直流電流信号、パルス信号、交流または非交流パルス列、有益な周期変動での矩形波、三角波信号、のこぎり波信号、振幅変調(AM)、周波数変調(FM)、位相変調(PM)、パルス位置変調(PPM)またはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0082】
任意選択で、組織電気刺激電極を使用して組織内に電流を誘導する電極および方法によって、組織の表面の下に薬物を投与することが可能になる。この目的のために、最大1mA(ミリアンペア)/cm2(平方センチメートル)までの電流の流れが使用される。一般的に、電流投与は、3分の持続時間を超えることはなく、これはそれが、やけどまたは局所的炎症を引き起こす可能性があるためである。医薬品の利用に関する度合いは、0.5mA/cm2の電流密度を超えることはなく、一般的には0.4mA/cm2まで機能する。
【0083】
別の例では、過剰な発汗を治療するために加えられる信号は20から40分の間、毎日継続し、そして使用の頻度を減らし(1週間に1回)、発汗の予測される減少が達成されるまで、通常、8回から12回かかる。この種の治療に関する特有の電流は、15mAから20mAの直流の間で変動する。
【0084】
本開示の別の例では、使用される物質は、イオン帯電物質であり、その電荷は、正または負のいずれかである。そのような物質を投与するのに使用される活性化信号は、同じ電気性質のものであり、すなわちイオン的に負の物質に関して、正味の負に帯電した活性化信号が使用され、物質がイオン的に正である場合、このとき信号は、正味の正に帯電している。
【0085】
先の例によると、組織電気刺激電極を使用して組織内に電流を誘導するための方法の特定の実施形態では、方法は、電気刺激電極を使用してイオン帯電物質を送達するように構成されており、これは以下のステップ、すなわちステップA)の前に、物質が組織上に置かれるステップと、ステップB)において、電極が配置された物質の上に置かれ、ステップB)の電場が、組織細胞を損傷することなく、物質がそれらを通過することを可能にするために、組織細胞壁を一時的に透過性にするのに、十分強力であり、かつ十分な長さであるステップとを含む。
【0086】
図2を参照すると、本開示の別の実施形態において、装置が、物質(6)を加えるために組織の表面上に配置され、この物質は、イオン帯電されてよい、またはイオン帯電されていなくてもよい。第1の導電板(1)によって、物質(6)の電荷と反対の、正または負の電場が生成され、電位バリアが組織の上に生成され、第2の導電板(2)は、第1の導電板(1)上の信号に対して逆の極性の電気信号によってそれを帯電させる。
【0087】
代替の一実施形態では、ステップB)で加えられる活性化信号は、0.1Hzから50MHzの間の周波数および1Vから24Vの間の電圧変動を有する。任意選択で、ステップB)で加えられる活性化信号は、0.1Hzから500kHzの間の周波数および1Vから24Vの間の電圧変動を有する。
【0088】
電極は、それが使用される用途に従って24Vを超える電圧で機能することも可能であり、これは、組織内部を損傷することなく、組織内部を刺激することができる電場を維持するものである。
【0089】
開示される方法の別の特定の実施形態では、ステップB)の電場は、2V/cmから5V/cmの間の強度を有する。このような範囲の電場強度では、電極が組織に接触した状態で、それを損傷することなく、組織を刺激することが可能である。あるいは、この構成の電極は、誘電材料で被覆された電極である。
【0090】
組織電気刺激電極を使用して物質が組織に投与される方法の一例では、物質は組織に注入される。
【0091】
組織電気刺激電極を使用して電流を誘導するための方法の別の例では、2つ以上の電極が身体の異なる部分に配置される。
【0092】
図9を参照すると、組織電気刺激電極を使用して物質を組織内に投与するための方法のフローチャートが例示されており(120)、方法(120)は、以下のステップ、(121)a)組織の上に物質を置くステップと、(122)b)第1の導電板と、第1の導電板を取り囲む第2の導電板とを含み、第1の導電板と第2の導電板は、組織の表面上で、導電板が組織と接触した状態で、互いから隔てられている組織電気刺激電極を位置決めするステップと、(123)c)電極の第1の導電板に活性化信号を加えて電場を生成し、この電場が電流を組織内に誘導するステップと、(124)d)電極の第2の導電板に電位を印加することで、第1の導電板に対する電位差を獲得するステップとを含み、この場合、ステップ(123)c)の電場は、組織細胞壁を一時的に透過性にして、組織細胞を損傷することなく、物質がその中に入って行くことを可能にするのに十分強力であり、かつ十分耐久性がある。
【0093】
代替の一実施形態では、ステップ(123)c)で加えられる活性化信号は、0.1Hzから50MHzの間の周波数および1Vから24Vの間の電圧変動を有する。任意選択で、ステップ(123)c)で加えられる活性化信号は、0.1Hzから500kHzの間の周波数および1Vから24Vの間の電圧変動を有する。
【0094】
開示される方法の特定の実施形態では、ステップ(123)c)の電場は、2V/cmから5V/cmの間の強度を有する。このような範囲の電場強度では、電極が組織に接触した状態で、組織を損傷することなく、それを刺激することが可能である。あるいは、この構成の電極は、誘電材料で被覆された電極である。
【0095】
あるいは、物質はイオン帯電され、この場合、電場は、物質の電荷と等しい、またはそれより大きい。
【0096】
組織電気刺激電極を使用して物質が組織に投与される方法の一例では、物質は組織に注入される。
【0097】
組織電気刺激電極を使用して電流を誘導する方法の別の例では、2つ以上の電極が身体の異なる部分に配置される。第1の導電板(1)に接触している組織を刺激するための活性化信号は、2V/cmから5V/cmの間の電場強度、および0.1Hzから50MHzの間の周波数範囲を生成することが可能な電圧の範囲内であり、任意選択で周波数範囲は、0.1Hzから500kHzの間である。
【0098】
本開示は、記載され例示される実施形態に限定されるものではなく、その理由は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義される、本開示の精神から逸脱しない可能な変形形態および変更形態が存在することは当業者によって明らかであるためである。
【符号の説明】
【0099】
1 導電板、第1の導電板
2 導電板、第2の導電板
1A、1B、1C 導電板
1a、2a 導電金属
3 間隙
3a ガス、空気間隙
1b、2b、3b スポンジ
6 導電性液体またはゲル、ゲルまたはヒドロゲルである物質、導電ゲルまたはヒドロゲル、導電物質、物質
9 誘電体、誘電材料
【手続補正書】
【提出日】2024-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織電気刺激電極を使用して組織内に電流を誘導する方法であって、
以下のステップ、
A)
- 電荷符号を有するように構成された第1の導電板と、
- 前記第1の導電板を取り囲む第2の導電板であって、前記第1の導電板と前記第2の導電板が、互いから隔てられた、第2の導電板と、
- 前記組織上で、前記導電板が前記組織と接触した状態で、前記第2の導電板によって生成された電位バリアと、
を含む、組織電気刺激の前記電極を位置決めするステップと、
B)
前記電極の前記第1の導電板に活性化信号を適用して、電流を前記組織内に誘導する電場を生成するステップと、
C)
前記第2の導電板に電位を印加するステップと、
を含み、
前記第2の導電板は、
- 前記第1の導電板の電荷符号と逆の符号を有する電位を生成し、
- 前記第1の導電板の電荷符号と同じ符号を有する電位を生成し、組織を貫通するように帯電粒子を誘導する前記電位バリアを生成する、
ように構成されており、
前記第2の導電板の前記電位は、前記第1の導電板によって誘導された前記電流が、前記導電板と接触している前記組織の表面を貫通するようにさせ、前記誘導された電流が前記組織の前記表面を通って流れるのを阻止する、方法。
【請求項2】
ステップA)の前に、物質が前記組織の上に配置され、ステップB)において、前記電極が、準備された前記物質の上に配置され、ステップB)の前記電場は、組織細胞を損傷することなく、前記物質がそこを通過することを可能にするために組織細胞壁を一時的に透過性にするのに十分な強度と、耐久性を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップB)で適用される前記活性化信号は、0.1Hzから50MHzの間の周波数および1Vから24Vの間の電圧変動を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップB)で適用される前記活性化信号は、0.1Hzから500kHzの間の周波数および1Vから24Vの間の電圧変動を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップB)の前記電場は、2V/cmから5V/cmの間の強度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記物質はイオン帯電され、前記電場は、前記物質の電荷と等しい、またはそれより大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記物質は、前記組織に注入される、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
2つ以上の電極が身体の異なる部分に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
組織電気刺激電極を使用してイオン帯電物質を組織内に投与する方法であって、以下のステップ、
a)
前記イオン帯電物質を前記組織の上に配置するステップと、
b)
- 電荷符号を有するように構成された第1の導電板と、
- 前記第1の導電板を取り囲む第2の導電板であって、前記第1の導電板と前記第2の導電板が、互いから隔てられている、第2の導電板と、
- 前記組織の表面上で、前記導電板が前記組織と接触した状態で、前記第2の導電板によって生成された電位バリアと、
を含む、前記組織電気刺激電極を位置決めするステップと、
c)
前記電極の前記第1の導電板に活性化信号を適用して、電流を前記組織内に誘導する電場を生成するステップと、
d)
前記第2の導電板に電位を印加するステップと、
を含み、
前記第2の導電板は、
- 前記第1の導電板の電荷符号と逆の符号を有する電位を生成し、
- 前記第1の導電板の電荷符号と同じ符号を有する電位を生成し、組織を貫通するように帯電粒子を誘導する前記電位バリアを生成する、
ように構成されており、
ステップc)の前記電場は、組織細胞を損傷することなく、組織細胞壁を一時的に透過性にして、前記イオン帯電物質がその中に入って行くことを可能にするのに十分強力であり、かつ十分耐久性がある、方法。
【請求項10】
ステップc)で適用される前記活性化信号は、0.1Hzから50MHzの間の周波数および1Vから24Vの間の電圧変動を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップc)で適用される前記活性化信号は、0.1Hzから500kHzの間の周波数および1Vから24Vの間の電圧変動を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ステップc)の前記電場は、2V/cmから5V/cmの間の強度を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記電場は、前記イオン帯電物質の電荷と等しい、またはそれより大きい、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記イオン帯電物質は、前記組織に注入される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
2つ以上の電極が身体の異なる部分に配置される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記導電板の少なくとも一方が、イオン帯電物質を含むスポンジで作製されている、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の導電板と前記第2の導電板との間にスポンジが存在する、請求項9に記載の電極。
【請求項18】
前記スポンジはイオン帯電物質を含む、請求項17に記載の電極。
【外国語明細書】